咲「京ちゃんは不良」 (48)

平和な清澄高校麻雀部

京太郎「だぁーっ!またトンだ!?」

優希「京太郎、罰ゲーム!タコス買ってこーい!」

京太郎「そんなこと言ってなかったろ!?」

久「ついでに買い出しよろしくー」

京太郎「部長まで……わかりましたよ、もう」

まこ「おいおい本当にいかんでええぞ」

和「そうですよ、優希もタコス食べ過ぎです」

京太郎「いえいえ、ついでに買いたいものありましたし」

咲「……京ちゃん」

京太郎「わかってるって」

和「?」

京太郎「それじゃ、行って来まーす」

優希「犬は優秀だじぇ」

和「優希」

久「男の子だから便利なのは確かね」

まこ「部長がこれじゃ、どーにもならんの」

咲「二人ともすごいなぁ……」

久「宮永さんは須賀君にお願いされてばっかりなんだっけ?たまにはお願いきいてもらったら?」

優希「そうだじぇ、ちょっとスカートをチラッとさせて」

咲「む、無理ですよ……京ちゃんは不良ですし」

久「ん?」

優希「じぇ?」

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和「須賀君が」

まこ「不良のう」

久「嫌だわ宮永さんったらそんな、冗談よね?」

優希「あ、あの犬が不良なんてありえないじぇ」

咲「ううん、中学時代からの付き合いですけど京ちゃんは不良です、めちゃくちゃ悪です」

和「意外ですね、あの須賀君が」

まこ「そうじゃのう、部活以外で見かけても普通の男子高校生っちゅー……どうしたんじゃ二人とも」

久「ちょ、ちょっと冷や汗が止まらないだけよ!」

優希「じぇんじぇん問題ないじぇ!」

和「ありまくりでしょう」

咲「京ちゃん、髪染めてるんです」

和「確かにあの髪色は自然のものではないと思っていましたが……」

まこ「和が言えることじゃないじゃろ」

優希「染谷先輩もだじぇ」

久「か、髪を染めてるだけで不良なんて!その程度で良かっ……そんなの不良じゃないわよ、宮永さんのはやとち」

咲「元々の地毛も金髪なんですけど、殴ってきた人の血で髪を整えてたら脱色しちゃったんで今は染めてもらってルんです」

和「へえ、本当に漫画の世界みたいな不良ですね」

まこ「今時珍しいくらいの荒れかたじゃのう」

久「」

咲「京ちゃんは昔オールバックだったんですけど、それがまた血で濡れた金髪とあわせて怖くて」

和「あーわかります、怖いですよねオールバックの男の人って」

まこ「変な厳つさがあるのう」

優希「」

咲「中学入学の時なんか凄かったんだから」

和「そういえばずっと同じクラスだったんですよね」

咲「うん、教室でオールバックの金髪の男の子……京ちゃんが机に足掛けてふんぞり返っていてね」

まこ「ちゅ、中学の入学じゃろ?その時点でそうなのか?」

咲「小学校の頃かららしかったです、同じ小学校出身の子は同じクラスになって泣いてる子もいましたし」

優希「そ、そんなことしたら先生に怒られるじぇ?」

咲「だから、すぐに先生に連れられて指導室に連れていかれたよ……二、三ヶ月もしたら無駄だと思ったのかなくなったけど。基本的に授業中はいないか大人しいかの二択だったから」

久「じゃ、じゃあちょっと態度は悪いけど 大人しい良い子だったのね?そうなんでしょ?」

咲「いえ、放課後は毎日が血祭りって感じでした」

久「」

咲「まずは先輩の不良達でしたね、大人数でたむろしてるところに突き進んでいっていちゃもんつけられたらまず殴って、次に殴って、動かなくなるまで殴って……なんやかんや結局最後まで立って勝ってます」

和「本当ですか?なんか漫画っぽいというか」

まこ「うーん、信じられんのう」

優希「そ、そうだじぇあの犬がそんなことできっこ」

咲「京ちゃんは母親の人が外国人でハーフなんですけど、そのせいか体つきまで整ってまして……入学した時には今とそんなに変わらないくらいの身長でしたね」

和「顔立ちも整っているとは思っていましたがハーフだったんですか」

まこ「それならまあ納得じゃの、不良なんて不健康な生活してるもんがほとんどじゃけえ恵まれた身体には勝てん」

久「そういえば掃除のとき自動卓軽々と抱えていたわね……」

咲「挑んでは打ちのめし、リベンジに来た人間はより強く打ちのめし、それでもリベンジに来た人間はより酷しく打ちのめし……と繰り返していたら入学から三ヶ月で中学から不良は京ちゃん以外消えていました」

和「すごいですね、ある意味で学校を平和にしたんですから」

咲「その点は先生達も感謝していたみたい、悪いことしてたりするとすぐに京ちゃんが突撃してくるから……みんなマジメ君になったよ」

まこ「野良犬を始末するために虎を放ったようなもんじゃな」

優希「い、犬が……虎……」

咲「その内京ちゃんは街中を彷徨くようになりました」

京太郎『おい咲、帰るぞ』

咲『ちょっと待って京ちゃん、いまいいところだから』

京太郎『なるべく早くしろよ、あそこのラーメン屋すぐ並ぶから』

咲『はいはい』

優希「ちょ、ちょっと待つじぇ!」

久「そ、そうよなんでこんなに仲良くなってるのよ!三ヶ月で学校を制圧した人間なのよ!?」

咲「席が隣りだったんで」

和「よくあることですね」

まこ「よくあることじゃのう」

久「あなた達ちょっと淡白過ぎるわよ!」

咲「ともかく放課後はよくいっしょにぶらぶらして、京ちゃんが不良とか見つけると」

京太郎『じゃあボコってくるから』

咲『じゃあ私ここで本読んでるね』

久「おかしい!あなたどうしてそんな反応なの!?」

咲「私、少し方向音痴で京ちゃんがいないと迷っちゃうんで待ってたんです」

久「そういうことじゃないわよ!」

咲「流石に街中の不良となるとなかなか居なくならないものみたいで、卒業近くまで続きましたねこの日課は」

優希「というかそれってデートなんじゃ……」

和「青春って感じですね」

まこ「ずいぶん真っ赤な青春じゃのう」

咲「だんだん京ちゃんは不敗の京なんて呼ばれるようになって、取り巻きみたいなのが現れだしたんです」

まこ「チームっちゅうやつか」

和「知ってます、湘南純愛組みたいなのですね」

『須賀さん、カバンお持ちしました!』

『肩もみます!』

京太郎『おう』

『姐さん!図書館に返してきやした!』

『最新刊買ってきやした!』

咲『ありがとう、これお代』

久「おかしいわよね!これはおかしいわよね!」

優希「この優希ちゃんでもわかるじぇ!」

まこ「そうじゃのう、湘南純愛組は走り屋のチームじゃから」

和「あっ、そうでしたね」

久「違うわよ!」

優希「違うじぇ!」

咲「まあ京ちゃんが『媚びへつらうその姿勢が気に入らない』とかで全員ぼこぼこにしちゃって一週間くらいなもんでしたけど」

まこ「敵にも味方にも容赦ないんじゃな」

咲「いじめっ子を倒した時も感謝するいじめられっ子を『テメーもメソメソしてるのが悪い』とかでぼこぼこにしましたから」

和「破天荒ですね……」

優希「もうボクシングかなんかしろって感じだじぇ」

咲「でもそんな京ちゃんにも新たな出会いがありました、ハンドボールです」

久「なるほど!ハンドボールの楽しさに目覚めた須賀君は汗と涙と共に今の須賀君に……」

咲「ハンドボールで投げる技術を覚えた京ちゃんはぼこぼこだけじゃなくぽいぽいもできるようになったんです」

久「そういうこと!?」

咲「ま、あとはそんな感じで激動の三年間が過ぎていったわけです」

まこ「人に歴史あり、じゃの」

和「それならどうして須賀君はあのような性格になったのでしょう?」

優希「そ、そうだじぇ!これはやっぱり咲ちゃんの作りばな」

咲「ああ、それは」

京太郎『咲、俺は高校デビューというものをしようと思う』

咲『高校デビュー?』

京太郎『気づいた、このままだとモテない』

咲『今もクラス全員二メートル以内に近づかないもんね』

京太郎『別に中学生みたいなガキにモテないのはいいが高校生のお姉さまにはモテたいからな、髪型も変えるよ』

咲『それならこんな髪型は?』

京太郎『似合うか?』

咲『似合うよー』

久「ぎゃ、逆高校デビュー……」

和「今日から俺は!の真逆ですね」

まこ「懐かしいのう」

京太郎「ただいまーっす、ってなんですかこの空気」

久「」

優希「」

まこ「おお、実はのう」

……

京太郎「はぁ!?そりゃ作り話っすよ」

久「そ、そうなの!?」

京太郎「そうですよ……」

優希「よかったじぇ!やっぱり犬は犬……」

京太郎「俺が先と話始めたのは入学から三ヶ月たってからですし、学校の制圧も半年ぐらいかかりました、チームだって即日にボコボコでしたよ」

久「……ん?」

優希「……じぇ?」

京太郎「咲、お前脚色し過ぎ」

咲「そ、その方が話しやすいし面白いんだもん」

まこ「お、そろそろ完全下校時刻じゃの」

和「優希、先に帰ってますからね」

優希「」

久「」

エンディング

今日、私は少し嘘をついた。

中学時代、はじめは京ちゃんなんて怖くて仕方がなかった。

けど。

先輩達に囲まれて困っていたのを助けてくれたのが。

「邪魔」

京ちゃんだった。

はじめはお礼を言おうとして後ろをついて回ったけど。

「邪魔」

……容赦なくげんこつをもらったりした。ひどいよ、京ちゃん。

あまりにも意地悪だから。

「喧嘩より面白いこと沢山あるのに、馬鹿みたい!」

なんて言っちゃって。

「……じゃあ教えてくれよ、他の楽しいこと」

あれが最初の会話だったね。

私はオススメの本を読ませたり、スポーツの観戦に出掛けたり、ラーメン食べたり、夜中に星を見に行ったり、遊園地にも出掛けたり……ほとんど私が楽しいことばっかりだったけど。

「けっこう面白いな、咲」

なんて京ちゃんも楽しんでくれて。

だけど、これはナイショ。

京ちゃんのバイクの後ろに乗せてもらったり、京ちゃんの家で映画みたり、京ちゃんのハンドボールの練習に付き添ったのは……私と京ちゃんだけの思い出だから。

京ちゃんの素敵なとこは、私だけ知ってればいいの。

「ね、京ちゃん」

「なんだよ、咲」

「なんでもない」

「おかしなやつ」

この気持ちも、だから今はまだナイショだよ。

おまけ

原村宅。

和「須賀君、不良だったんですね……」

和「ま、まさかこんな近くにいるなんて……いけません、ここはB・Yを読んで落ち着かないと」

和「……ああ、格好いい!須賀君もキレちゃうとこんな感じなんですかね、それで『和……テメーは引っ込んでろ』なんてキャー!キャー!私ったら!もう!」

原村 和、ヤンキーに惚れやすいありがちなお嬢様である。

京咲とみせかけての京和イェイ~

依頼だしてきます。

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