ほむら「笑顔?」杏子「おう」 (33)
ほむら「私ってそんなに仏頂面かしら?」
杏子「まぁ少なくともさやかよりはな」
ほむら「あんな脳みそお花畑と比べないでちょうだい」
杏子「ワルプルギスの時のお前の大怪我直したの誰だっけ」
ほむら「…感謝はしてるわよ」プイッ
杏子「素直じゃねぇなぁ」
杏子「ほれ、笑ってみ」
ほむら「笑えと言われてすぐ笑えるような性格ではないわ」
杏子「何がそんなに難しいんだよ」
杏子「口元を釣り上げるだけじゃんか」
ほむら「…」クイッ
杏子「こっわwww」ケラケラ
ほむら「ぶん殴るわよあなた」
杏子「楽しいことを想像しろよ」
ほむら「お生憎様、ループの経験が積もり積もって楽しくても笑うことが苦手なのよ」
杏子「まどかがお前の家に来ました」
杏子「「ほむらちゃん、今日はご飯を作りに来たよ!」」
杏子「「えへへ、ちょっと焦げちゃった」」
杏子「「でもでも!味は確かだよ!」」
ほむら「…」カァッ
杏子「笑えや」
杏子「指で広角無理やり上げたらどうだ」
ほむら「どうしてそんなことしないといけないのよ」
杏子「あんたがずっと仏頂面だからだろ」
ほむら「…」クイッ
杏子「うわ」
ほむら「うわってなによ」
杏子「目が笑ってなかったから怖い」
ほむら「ほんとに殴るわよ」
杏子「あー、分かったわ、あんた目が怖いんだ」
ほむら「…」
杏子「お前の目怖いもん、人殺しの目だわ」
ほむら「…」
杏子「それそれ」
ほむら「…今は普通よ」
杏子「えっ?普通なの?素なのかよそれ」
ほむら「…」ウルッ
杏子「冗談だから!」
杏子「ったく、ちょっといじっただけで泣きやがる」
ほむら「…いっ、いじられるのには慣れていないのよ」
杏子「あたしとあんたの仲だろ、マジで悪口いうわけ無いじゃん」
ほむら「私は裏で言いまくってるけどね」
杏子「次は私が泣く番ってか?」ケラケラ
ほむら「…マジなんだけどね」
杏子「…」ウルッ
ほむら「冗談よ」ファサッ
杏子「話がそれたな」グスッ
ほむら「お互い泣き虫を隠しているのだからもうきつい冗談は止めましょう」
杏子「だな」
ほむら「で、なんだったかしら」
杏子「あんたの仏頂面の話だよ」
ほむら「だから私はそんな顔してないってば」
杏子「してるっての」
ほむら「してないってば」
杏子「しゃーねーな」パシャッ
ほむら「きゃっ、何するの」
杏子「お前の顔をとってやった」
ほむら「…今の時代ガラケーなんて珍しいわね」
杏子「しゃーねーだろ、マミの奴が出してくれなかったんだからよ」
ほむら「それはどうやって買ったの?」
杏子「マミとあたしの折半」
ほむら「出してくれてるじゃないの」
杏子「マミの奴がスマホは高いからダメってさ」
ほむら「まぁそうよね」
杏子「けっ、貯金はあるくせによ」
ほむら「巴さん、あなたが独り立ちした時のお金貯めてるって言ってたわよ」
杏子「嘘つけ」
ほむら「これメール」
『あんまり贅沢はできないの』
『今の佐倉さんがどれだけアルバイトを頑張ったって生活するのが手一杯でしょう?』
『私もアルバイトをしているけど佐倉さんの将来のためにも無駄使いはできないのよ』
『だから気持ちだけ受け取っておくわね?』
??杏子「…マジかよ」
杏子「家族でもねぇのによ」
ほむら「一緒に住んでるんだから家族でしょう」
杏子「血は繋がってねぇだろ」
ほむら「あら、じゃあ嬉しくないのかしら?」
杏子「ばーか、めちゃめちゃ嬉しいから困ってんだよ」
杏子「ったく、小卒のあたしに何を期待してんだか」
ほむら「顔がにやけてるわよ」
杏子「見んな!」
杏子「ちなみにこれ何のメールなんだ?」
ほむら「わたし達五人で旅行に行かないかって話」
杏子「へー、あたし聞いてないぞ」
ほむら「巴さんに伝えれば伝わると思って」
杏子「…五人との旅行を「無駄使い」とはねぇ…」
ほむら「本心で思ってるわけじゃないわ」
杏子「分かってるよ」
杏子「っても高校生五人で旅行なんて危なくねぇか?」
ほむら「あら、高校生と言っても魔法少女じゃない」
杏子「そーだけどさ」
杏子「あんたらが中学の頃と比べて魔女もあまり見なくなったしよ」
杏子「それにまどかはどーするんだ?」
ほむら「私が守るわ」
杏子「だよなー」ケラケラ
杏子「そんな期待されてたら尚更マミの奴を旅行にいかせてやりたくなっちゃうじゃんか」
ほむら「奇遇ね、私もよ」
杏子「何かいい手はねぇかな」
ほむら「そうね…」
杏子「あ」
ほむら「え?」
杏子「キャンぷとかどうよ?」
ほむら「キャンプ?」
杏子「キャンプなら宿泊費もいらねぇし飯も安く済むだろ?」
ほむら「まぁ確かに交通費だけよね」
杏子「いいな、キャンプワクワクしてきた」
ほむら「そうね、まどか、杏子、巴さん、私で夜お話なんて楽しそう」
杏子「青いのも入れてやれよ」
ほむら「あの子は入れなくてもついてくるわ」
杏子「拒まないくせに」
ほむら「ふんっ」
杏子「素直じゃないやつ」プニプニ
ほむら「やめなひゃい」
杏子「ん?あれさやかじゃねえか?」
杏子「おーいさやかー!」
さやか「あれっ?杏子とほむらじゃん」
さやか「こんなとこで何してんの?」
ほむら「あなたのIQをどうにかして底上げする方法を考えていたの」
杏子「ほむらの笑顔の練習」
ほむら「ちょっ!」
さやか「笑顔?」
さやか「あー、確かにほむらって笑わないね」
ほむら「苦手なだけよ」
さやか「ほーれ、笑ってみ?」
ほむら「…」ゴスッ
さやか「あだぁっ!?」
ほむら「ごめんなさい手が勝手に」
杏子「足だったぞ」
ほむら「…」ゴスッ
さやか「いだっ!」
ほむら「今度は手よ」
さやか「どうすれば笑うかねぇ」
杏子「あ、そーだ、さっきの写真」
さやか「え?ほむらの?」
杏子「そうそうこれこれ」
さやか「どれどれ、うわ、こわ」
ほむら「嘘つきなさい」パシッ
ほむら「…」
ほむら「誰これ」
杏子「あんただよ」
ほむら「うそよ!私こんな仏頂面じゃないわよ!」
杏子「認めたな」
ほむら「何かいじくったでしょ!」
杏子「してないっつの」
さやか「まぁまぁ、ほむらが自覚したところで練習行ってみようよ」
杏子「そうだな」
ほむら「…」
ほむら「…こう?」ヒクッ
杏子「うおぉ…」
さやか「こわ」
ほむら「…こう?」ヒキッ
杏子「笑ってるってよりにやけてんな」
さやか「あはは」ケラケラ
ほむら「…」ピキッ
杏子「怒り笑いってやつだな」
さやか「こええ」
ほむら「わかんないわよ!」
杏子「あ、そーださやか、今度キャンプ行こうぜ」
さやか「へ?キャンプ?」
さやか「なんで急に?」
杏子「マミの奴を驚かせてやろうと思ってさ」
さやか「へー、あんたなりのサプライズってわけ?」
杏子「そんなに多ごとじゃないけどさ、ま、普段世話になってるからその例ってやつだよ」
さやか「あたしはいつでもオッケーだよ」
ほむら「チッ」
さやか「そこ、舌打ちしない」
さやか「まどかには伝えたの?」
ほむら「噂をすればまどかよ」
杏子「あんたスゲェな…あんな遠くからわかるのか」
さやか「あ、こっち来た」
ほむら「あぁ、可愛いわ」
杏子「こいつやべぇ」
まどか「皆何してるの?」
さやか「ほむらの笑顔の練習」
ほむら「もう!」
まどか「へ?笑顔?」
ほむら「私が仏頂面だっていうのよ」
杏子「だって事実だしなー」
さやか「なー」
まどか「ウェヒヒ、ほむらちゃんは仏頂面じゃなくてかっこいいんだよ」
ほむら「…まどか…!」
さやか「はー、まどかには適わないわ」
杏子「ほむ補正かかってるから仕方ないな」
まどか「え?キャンプ?」
さやか「そーそー、皆で行こうってなってさ」
まどか「いいよ、楽しそう!」
杏子「後はマミだけか」
さやか「どうする?ギリギリまで隠しておく?」
杏子「んー、それも考えたけどあいつ根っからのぼっち体質だからな」
杏子「四人で隠し事してるとティロられるかも」
まどか「そんなマミさんは酷くないよぉ」
杏子「さー、どうだか」
杏子「んじゃ、伝えるがてら茶でも飲みに行きますか」
さやか「おっ、いいね」
まどか「ウェヒヒ」
杏子「ほら、置いてくぞほむら」
ほむら「…え、ええ」
さやか「あー、あたし何飲もうかなー」
杏子「あたしは酸っぱいのは苦手だなー」
さやか「杏子の味覚はおこちゃまだからねー」
杏子「なんだと!」
さやか「あはは」
ほむら「…」
ピンポーン
マミ「はーい、ってみんな?どうしたの?」
杏子「ただいまー」
ピンポーン
マミ「はーい、ってみんな?どうしたの?」
杏子「ただいまー」
マミ「もう、佐倉さん、靴は並べてっていってるでしょう」
まどか「ウェヒヒ、すっかりお姉さんですね、マミさん」
杏子「おふくろって感じだよ」
さやか「あー、わかる」
ほむら「お邪魔するわね」
マミ「えっ?えっ?えっ?」
杏子「マミー、お腹減ったー」
マミ「あ、ちょっと待ってね、ケーキを出すわ」
マミ「で、どうしたの?みんな揃って」
さやか「いやー、杏子のやつがですねー」
杏子「なんであたしなんだよ!」
ほむら「あなたに日頃の恩返しがしたいから旅行に行こうと」
マミ「旅行って…それはお金が…」
さやか「そう!だからキャンプに行こうってなったんです!」
マミ「き、キャンプ?」
まどか「ウェヒヒ、楽しみだね、ほむらちゃん!」
マミ「さ、佐倉さん?」
杏子「…ほ、ほら、マミってさ、あんまり贅沢してねぇじゃん、金はあんのに」
杏子「だからよ、少しでも息抜きってことでよ」
杏子「金のかからないキャンプとかどうかなって思ったんだよ」
マミ「…まぁ…!」
杏子「な、なんだよ!」
マミ「ふふふ、贅沢してないなんて、そんなこと」
マミ「こんなに可愛い後輩達に恵まれているんだもの」
マミ「贅沢過ぎて神様に怒られてしまうわ」
さやか「流石マミさん、言うことが違う」
マミ「いいわね、キャンプ、とっても楽しそう」
杏子「じゃあ!」
マミ「迷惑じゃなければご一緒させてもらうわ」ニコッ
杏子「迷惑なもんかよ!あたし達のリーダーだろ、マミは!」
さやか「…」ニヤニヤ
マミ「…」アラアラ
杏子「…」ハッ!
杏子「さ、さやかてめぇ!なんだその笑いは!」
さやか「いやー、杏子にも優しいところがあるんだなーって」ニヤニヤ
杏子「ど、どういうことだてめぇ!おい!待てこら!」
さやか「はいはい、照れ隠さないー!」ケラケラ
マテコラ!ニガサネェゾ!
アハハー!ツカマエテミヨー!
モウフタリトモ!アブナイワヨ!
まどか「ウェヒヒ、とっても楽しそう、ね?ほむらちゃ…」
まどか「…!」
ほむらちゃんは笑わなかったんじゃないよね
笑えなかったんだよね
だって今のほむらちゃんは
昔のほむらちゃんじゃないから
弱いって言って切り捨てた
そんな笑顔のほむらちゃんとはもう
さよならしちゃったのかもね
でもね、それって弱さじゃないんだよ
ウェヒヒ、お帰り、ほむらちゃん
ほむら「そうね、とっても楽しそう」ニコッ
お帰り!笑顔のほむらちゃん!
おやすみマギカ
見てくれてありがマギカ
このSSまとめへのコメント
オチは感動だと…!!