女騎士「くっ、殺せ!」ゾンビ「これどうしよう……」(23)

女騎士「くっ殺くっ殺!!」

スケルトン「なあゾンビ、こいつって魔獣軍団のオークさんが言ってた」

ゾンビ「あの女騎士、だろうな……」

女騎士「体を辱めただけで心まで手に入れたなどと勘違いするなよ!」カチャカチャ

グール「鎧脱ごうとしてるぞ、誰か止めろよ」

さまよう鎧「いちおう捕虜にします?」

ゾンビ「素直に殺しちゃった方がよくね?」

スケルトン「今殺しちゃうと団長の魔力で私らの仲間入りだぞ」

グール「それは困る」

さまよう鎧「縛って捨て置いても結果は同じなのでしょうねえ……」

ゾンビ「連れ帰るしかないのか、はぁ」

女騎士「私はどうなってもいいから姫には手を出すな!」

スケルトン(姫様すでに撤退したあとだろ……なんで戦場に残ってるんだよ)

女騎士「貴様たち、私を縛り上げてどうするつもりだ!」キラキラ

ゾンビ「……」

さまよう鎧「ああ、女騎士の活き活きした目を見てゾンビが死んだ目に!」

グール「いや最初から死んだ目してるから」

スケルトン「というか、私たちを目の前にしてこの女は何を期待してるんだ?」

女騎士「腐れおちんぽや骨だけおちんぽや鎧おちんぽなんかに絶対負けたりしない!」キッ

スケルトン「チンコに骨なんてないぞ」

さまよう鎧「そもそも私は女なのですが」

ゾンビ「えっ、そうだったの!?」

さまよう鎧「古い時代の鎧なので意匠に性差が無く分かり辛いですが」

女騎士「その胸で女か……」

さまよう鎧「鎧に胸は関係ないでしょう!?」

さまよう鎧「それよりその防御する気の無い色々剥き出しの鎧はなんですか!!」

さまよう鎧「同じ鎧として非常に遺憾です!!」

スケルトン「まあまあ、抑えて抑えて」

女騎士「何を言うか、この鎧こそ女騎士の象徴、女騎士の誇りよ!!」

ゾンビ「どうして一番守るべき腹がむき出しで、胸も半分ぐらいしか覆えてないのかな?」

グール「脛当ては立派なのに急所の動脈がある太腿は剥き出しとかマジで意味分からん」

さまよう鎧「機能美という概念に真正面からケンカ売ってますよね」

女騎士「くっ、殺せ!」

スケルトン「嫌だよ、お前なんか仲間に加えたくないし」

ゾンビ「聖水とかかけたら蘇り防止できるんじゃないかな?」

グール「そんな俺たちアンデットに対する劇物を備蓄してるワケねえだろ」

女騎士「聖水プレイだと!?この変態どもめっ!!」

さまよう鎧「私頭痛くなってきた……」

スケルトン「空っぽの鎧のどこが痛くなってるんだ?」

グール「喉の肉が無いお前が普通に喋ってるのと同じだろ、察してやれよ」

ヴァンパイア「どうしたお前たち、こんなところで集まって」

スケルトン「団長、この捕虜が……」

女騎士(なんというイケメンッ!!!)ピキューン

女騎士「くっ、殺せ!!」キラキラ

ヴァンパイア「……なぜこのような期待に満ちた目で殺せなどと宣うのだ?」

グール「いや、それが実はですね……」

女騎士「いくら辱めを受けようと騎士の心は決して折れはしない!!」

ヴァンパイア「おいお前たち、まさか捕虜に手を出したりはしていないだろうな?」

ゾンビ「してませんしてません」

さまよう鎧「死体や霊体に肉欲なんてほとんど残ってないことは団長が一番理解しておいででしょう」

ヴァンパイア「ああ、そうだ」

ヴァンパイア「我ら不死軍団は、本能で生きる下等な魔獣軍団や」

ヴァンパイア「儀式と偽って姦淫に耽る妖魔軍団とは違うのだよ」

ヴァンパイア「故に安心するがいい、人族の美しき騎士よ」

女騎士「え?」

ヴァンパイア「貴女の貞操を、知恵ある人族の尊厳を穢そうとする輩は私が許しません」

ヴァンパイア「少し窮屈な思いをさせますが、しばらくの御辛抱を」

女騎士「ちょっ、あれ!?」

ヴァンパイア「お前たち、引き続き彼女を丁寧に扱うのだぞ」ポンッ

スケルトン「イエッサー」

さまよう鎧「了解しました」

女騎士「待て、待つのだそこのイケメン!!!」

ゾンビ「団長は既にコウモリに変身して帰ったあとだけど?」

女騎士「くっ、しかしまだチャンスは……」

さまよう鎧「何なのよこいつ、もしかして団長のこと狙ってるの?」

グール「やっぱり今のうちに殺すか?」

スケルトン「だから復活するって、しかも正式に仲間入りするから猶更性質が悪い」

ゾンビ「敵の軍勢を取り込む鉄壁の布陣がまさか逆に作用するとはなあ……」

さまよう鎧「殺した後に地面に埋めたりコンクリ漬けにすればいいのではないでしょうか?」

ゾンビ「埋められた程度じゃ結構楽に這い出てこれるぞ、ソースは俺」

スケルトン「コンクリ漬けも、生前の魔力量や団長の魔力との親和性によってはゴーレム化する危険も」

さまよう鎧「じゃあ燃やしましょう」

スケルトン「いや、骨が残れば私のようになるし、完全に燃やし尽くしても霊魂は残る」

スケルトン「そうなると何に憑依するか分かったもんじゃないから一層事態は深刻化するぞ」

グール「八方塞がりじゃねえか!!」

ゾンビ「殺したら負けとか、俺たちどうすりゃいいんだ……」

女騎士「くっ、殺せ!!」

ゾンビ「だから殺せないっていってるでしょ!?」

グール「ああもう鬱陶しい!!」

スケルトン「団長の交渉で引き渡すまで待つしかないでしょうねえ」

さまよう鎧「じゃあ私たち、しばらく監禁したこいつの世話する羽目になるの……?」

ゾンビ「……」

さまよう鎧「しっかりしてくださいゾンビ、目から光が消えてますよ!!」

グール「だから最初っから目に光とかねえよそいつ」

――

―――――

―――――――――



スケルトン「はいはーい、ご飯ですよ」

女騎士「ご飯よりおちんぽが欲しい」

スケルトン「団長お抱えのシェフが作ったから人間の口にも合うはずだよ」

女騎士「捕虜の扱いの是正を要求する!!早急におちんぽを用意しろ!!」

スケルトン「肉の焼き加減は血も滴るレアだけど、新鮮な肉だから安心していいぞ」

女騎士「おい、無視をするでない!!」

女騎士「性欲を満たさぬなどという精神的肉体的拷問は、解放後に軍法会議にかけさせてもらうぞ!!」

スケルトン「食器は次の食事のときに下げるからそのまま放置しといていいから、それじゃ」

女騎士「くっ、殺せ……殺せええええええええええええっ!!!」ガシャガシャ

グール「スケルトンの奴、上手くあしらうもんだなあ」

ゾンビ「あしらうって言うか、完全スルーだけどな」

グール「だってあいつ、ツッコミ入れた途端に」

グール「『やっとツッコんでくれたな!次はおちんぽをツッコむのだ!!』とか言ってくるし」

さまよう鎧「私もう、あの人間の世話は嫌です……」

ゾンビ「鎧ちゃん、気持ちは分かるが」

さまよう鎧「先ほど清潔な衣服を持って行ったとき、その……彼女が全裸になって……」

ゾンビ「ああ、もう説明しなくていいよ……そりゃ辛かったな」

さまよう鎧「うえぇ……私もう耐えられないよぉ……」グスグス

スケルトン「死霊に魔法も使わず精神的ダメージを与えるとは、恐ろしい人間ですね」

グール「あれ本当に人間なのか?」

ゾンビ「知り合いのサキュバスの方がよっぽど清楚なんだけど」

女騎士「……おい腐れおちんぽ」

ゾンビ「……」

女騎士「お前のことだぞ、腐れおちんぽ」

ゾンビ「そのチンコが本体みたいな呼び方止めてくれないかな」

女騎士「あのイケメンはもうここへはこないのか?」

ゾンビ「団長のことか?」

ゾンビ「忙しい方だからな、わざわざお前の様子なんか見に来ないだろ」

女騎士「では呼んでこい」

ゾンビ「なんで捕虜の癖にそんなに偉そうなの君!?」

女騎士「貴様の腐れおちんぽが役立たずだからいけないのだろうが!!」

ゾンビ「役立たずとは失礼な」

女騎士「ほお、それでは本当に役立たずではないか見せてみよ!!」カチャカチャ

ゾンビ「だから隙あらば鎧を脱ぎ捨てようとするなってば!!」

女騎士「ちっ」

女騎士「……それで、その団長とやらはどのような人物なのだ?」

ゾンビ「団長は吸血鬼の真祖の血脈を継ぐエリートヴァンパイアでさ」

女騎士「ほお」

ゾンビ「伝説級の能力は大抵持ってるし、魔力量も桁違いだから簡単な弱点ならある程度無効化できる」

女騎士「そういうのはいいから土地とか資産とかそっちの話を」

ゾンビ「なに玉の輿狙ってんの君!?」

女騎士「今まで磨いてきた女の武器、ここで使わずしていつ使う!?」

ゾンビ「それ磨いてきたんじゃなくて酷使して刃毀れしてるぞ」

女騎士「ついでにおちんぽのサイズとか精力とか」

ゾンビ「俺がそんなこと知ってるワケないでしょ!?」

ゾンビ「……まあ、何にしても君みたいなビッチは相手にされないだろうな」

女騎士「何を言う、私は処女だぞ」

ゾンビ「えっ!?」

女騎士「何を驚いている」

ゾンビ「え……えええっ!!!!!?」

ゾンビ「いやだって、魔獣軍団の砦に殴り込んでオークさん達が被害に遭ったって」

女騎士「それは別の女騎士だ」

ゾンビ「お前みたいな女騎士が他に何人もいるの!?」

女騎士「私も先輩もような立派な女騎士になろうとこうしてわざと捕らえられたのだが……」

ゾンビ「立派な女騎士の基準が分からない」

女騎士「まさか下級兵が不能者ばかりだったとはな……」

ゾンビ「取りあえず捕らえられたら凌辱されるだろうって考え、止めて貰える?」

女騎士「いろいろやり方はあるだろうが、貴様もゾンビならハラワタを自在に操って触手プレイとか」

ゾンビ「そんな特殊技能持ってないよ!?」

女騎士「あとガス状の霊体で全身包んでスライム姦的なあんなことやこんなこととか」

ゾンビ「君は俺たちにいったい何を諭そうとしてるんだッ!!?」

女騎士「まったく、視聴者の期待を裏切ってばかりだな貴様たちは」

ゾンビ「視聴者って何!?もう別の次元の話してるよねそれ!!!」

女騎士「オーク系とかワーム系みたいに、人間の女性を妊娠させるタイプの魔物は居ないのか!」

ゾンビ「いません」

ゾンビ「俺たち不死軍団だから、死体が蘇ったり魂を呼び戻したりで増えていく種族だから」

女騎士「でもなんかこう……あるだろ!?」

ゾンビ「ありあせん」

女騎士「くそっ、攻め込む戦場を間違えたか……」

女騎士「残る希望はあのイケメンヴァンパイアのみだな」

ゾンビ「止めてくれよ、あの人貴族のボンボンで世間擦れしてないんだから」

女騎士「そういえば魔獣軍団や妖魔軍団の所業にも業腹な様子だったな」

ゾンビ「あれもごく一部だけの話なんだけどね」

ゾンビ「団長は貴族やってるせいで種族差別的なところがナチュラルに入ってるところあるし……」

ゾンビ「基本的に生真面目でいい人ではあるんだけどねえ」

女騎士「ふっふっふ、では猶更堕とし甲斐があるというものよ!!」

ゾンビ「変なスイッチはいっちゃった!?」

ヴァンパイア「女騎士よ、起きているか?」

ゾンビ「団長!」

女騎士「……どうした、不死軍団の長よ」

ゾンビ(こいつ、淫乱キャラより真面目キャラの方が取り入り易いと考えて演技を……ッ!!)

ヴァンパイア「人間側の将軍と話がついてな」

ヴァンパイア「放棄された農村を我が領土とする代わりに、貴女を始めとした捕虜の解放が約束された」

ヴァンパイア「正式な調印はまだだが、この窮屈な生活もすぐに終わりを迎える」

女騎士「……ッ!!」

ゾンビ(ああ、やっとコイツの世話から解放される)

女騎士「待ってください!」

ゾンビ「えっ?」

女騎士「率いた兵を失い、領土も失い……」

女騎士「それでは私に何の大義も果たさぬまま、生き恥を晒せと言うのですか!!」

ゾンビ(うわあ、下心が覗けてる状態だと白々しい……)

ヴァンパイア「ではどうすると?」

女騎士「部下たちは本国へと送り返してやって欲しい」

女騎士「だが私はここに残る」

ヴァンパイア「それで貴女はここで何を成そうと?」

女騎士「そ、それは……」

ゾンビ(考えてなかったんかーいっ!!)

ヴァンパイア「よいか、我らと違い貴女たち人族の命は有限」

ヴァンパイア「恥を晒そうと、その短い人生を無駄にしてはならない」

ヴァンパイア「騎士としての忠義を尽くすなら、恥を忍んで本国へと舞い戻り再起すべきだ」

女騎士「……それで貴様に再び刃を向けようとも構わぬと?」

ヴァンパイア「よいよい、そのような気概と実力があるのならば、是非とも手ずから縊り殺し」

ヴァンパイア「この不死軍団の新たなる配下として、貴公の名を加えようぞ」

ゾンビ「えっ?」

女騎士「ふっ……それを聞いて安心した」

女騎士「覚えておけ不死の王よ、私は必ずこの地へと舞い戻る!」

ヴァンパイア「くっくっく……人族の騎士よ、その時を楽しみに待っているぞ」

ゾンビ(くそっ、台詞だけ見れば王道ファンタジーなのに、くそっ!!!)

~1ヶ月後~


スケルトン「団長……先ほどの戦で捉えた捕虜を連れて参りました」

ヴァンパイア「通せ」

ゾンビ「……嫌な予感しかしない」

姫騎士「あらホント、イケメンだわ」

エルフの女騎士「しかも後輩ちゃんの話だと性格イケメンでもあるんでしょ?」

女騎士「先輩方、彼は私の獲物だと何度も」

姫騎士「あらあら、この世界は実力主義でしてよ?」

エルフの女騎士「そうそう、最初に囚われた時に押し倒せなかった後輩ちゃんが悪いの」

女騎士「くっ……しかし私には彼との付き合いにおいて一日の長がある!」

姫騎士「それを言うならわたくしにはテクニックにおける一日の長、いや千日の長がありましてよ?」

エルフの女騎士「それじゃ、みなさんご一緒に!」



三人「「「くっ、殺せ!!!」」」

ヴァンパイア「……おい、こいつらは一体なにを言っているのだ?」

三人「「「ふんっ!!!」」」ベキベキブチッ

スケルトン「あっ、こいつら拘束を!?」

三人「「「くっ、殺せ!!!」」」ガバッ

ヴァンパイア「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!?」

ゾンビ「だ、団長おおおおおおおおおおおっ!!!」

エルフの女騎士「とにかく孕んじゃえば既成事実成立で資産ゲットよ!!」

女騎士「処女あげるから、処女あげるから分与は多めにして!!」

姫騎士「財産などには興味ありませんが、イケメンの殿方とあれば喰わない道理はありませんわ!!」

ヴァンパイア「いやあああああああああああああああああっ!!!」

さまよう鎧「」ガシャガシャン←気力を失って崩れ落ちる音

スケルトン「」カランカラン←精根尽き果てて崩れ落ちる音

グール「あっ、胃に穴が開いた」ゴフッ

ゾンビ「……ダメだこりゃ」


おしまい

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