渋谷凛「まゆの幸せを祈りたい」 (47)

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渋谷凛

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佐久間まゆ

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まゆ「Pさんと、うふふっ、キスをしてしまいました」

凛「ふぅん」

まゆ「これはもう、まゆの勝ちですよねぇ」

凛「プロデューサーのキスってミカンの味するよね」

まゆ「えっ!? えっと……えぇ、そうですね、柑橘系の、ええと」

凛「あれ? リンゴだったかな」

まゆ「えっ!? あ、ええと、そうでした、なんとなく、さわやかな……」

凛「……」

まゆ「……」

まゆ「どういうことですかぁ!?」ギュー

P「ネクタイを締め上げるな、死ぬ」

まゆ「まゆにはキスしてくれないのに、凛ちゃんとはするなんて……!」

P「いや、何の話だ」

まゆ「確かに凛ちゃんは可愛いですけど、まゆだって……」ギュー

P「苦しい苦しい」

まゆ「Pさんがまゆを抱きしめて、耳元で囁くんです……『愛してる』って」

凛「ふぅん」

まゆ「これはまゆだけですよね、まゆの勝ちですよねぇ」

凛「その後によく言うあの台詞がいい味出してるよね」

まゆ「えっ!? 台詞、って、え、はい、あの……」

凛「ほら、三千世界の……っていうやつ」

まゆ「あっ、ああ、あの、カラスが、はい、わかりますよ」

凛「三千世界のアザラシ集め、クッションにして寝てみたい、って」

まゆ「えっ!? あっ、えぇ、アザラシです、もちろんアザラシです、まゆのときもそれでした……」

凛「……」

まゆ「……」

まゆ「まゆには一度も言ってくれたことないのに!」ギュー

P「ネクタイを引っ張るな、死ぬ死ぬ」

まゆ「まゆにも、まゆにもアザラシのお話、してください」

P「えっ、何のお話?」

まゆ「まゆだってアザラシのクッションに寝たいです……!」ギュー

P「苦しいって」

まゆ「Pさんから、うふふっ、指輪を貰ってしまいました」

凛「ふぅん」

まゆ「うふふっ、家に大事に保管してありますので、まゆの勝ちですねぇ」

凛「あっ、あのとき一緒に選んだやつかな」

まゆ「えっ!?」

凛「あれそれなりの値段だったけど、二個買ってたんだ」

まゆ「えっ? えっ?」

凛「私のも見せるから、まゆのも今度、着けて見せてよ」

まゆ「あの、ええと……まゆうっかりさんなので、失くしてしまう、かもです」

凛「……」

まゆ「……」

まゆ「まゆにはポテリングしかくれなかったのに!」ギュー

P「ネクタイに何か恨みでもあんのかまゆ、死ぬってば」

まゆ「ポテリングで感動してたまゆが馬鹿みたいです……」

P「だから何の話なんだよ……」

まゆ「凛ちゃんばっかりずるいです、凛ちゃんばっかり贔屓して……!」ギュー

P「苦しいのにも慣れてきたな」

まゆ「Pさんのお家で手料理を振舞いました!」

凛「意外と調味料揃ってるよね」



まゆ「Pさんのお家にお泊りしました!」

凛「あっ、私の歯ブラシ置いてあるけど、使わないでね」



まゆ「Pさんのご両親にご挨拶をしてきました!」

凛「お父さん、陽気な人だったでしょ」



まゆ「お腹にPさんの赤ちゃんがいます!」

凛「私の方は女の子って言われたけど、まゆはどうだった?」



まゆ「Pさん!」

P「もうネクタイあげるから好きにしてくれ」

未央「最近しぶりんがままゆで遊んでるという噂が」

凛「うん、ちょっとからかってる」

未央「しぶりんも悪い女ですなー」

凛「だって、まゆがバレバレの嘘ついてくるから」

卯月「まゆちゃんワタワタしちゃってるから、早めにネタ晴らししてあげたほうがいいよ……」

凛「うん、まぁ、そのうちね」


数年の後



まゆ「突然呼び出してしまって、ごめんなさい」

凛「別に問題ないけど」

まゆ「……」

凛「……まゆがアイドル辞めて以来だから、半年以上ぶり、かな」

まゆ「はい……。凛ちゃんは、大学を出てからもアイドルを続けるんですか?」

凛「ん、とりあえずタレントとしての活動は続けるつもり」

まゆ「そうなんですね」

凛「……そういう話するのに呼んだの?」

まゆ「……」

まゆ「私、あの、今……」

凛「うん」

まゆ「……Pさんと、交際させてもらってます」

凛「……ふぅん」

まゆ「来年には、その……式を、挙げようって……」

凛「そっか」

まゆ「凛ちゃんには、私の口から言っておかなくちゃって、思って……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「まゆの勝ちだね」

まゆ「えっ?」

凛「ううん、なんでも」

凛「……」

凛「もしもし、プロデューサー? いきなりごめん、いま大丈夫かな」

凛「あのね……そのまま聞いて」

凛「……」

凛「……プロデューサーのこと、好きだよ」

凛「……ううん、一人の女性としての、好き」

凛「……」

凛「……うん」

凛「……」

凛「……うん…………だよね、ありがと」

凛「……まゆ、来てくれたんだ」

まゆ「すみません、お待たせしてしまいました」

凛「私もついさっき来たとこだから」

まゆ「凛ちゃんの方から呼んでもらえるなんて……何か、ありましたか?」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……プロデューサーに、告白した」

まゆ「えっ?」

凛「この前、プロデューサーに、好きって言った」

まゆ「……」

まゆ「あの、Pさんは……」

凛「うん、安心して、思いっきり振られたよ」

まゆ「……そう、ですか」

凛「長い付き合いだから、気持ちが誰に向いてるかって、分かってたし」

まゆ「……」

凛「ただ撃沈しにいっただけで、奪ってやろうとか、そういうつもりは全く無いから」

まゆ「……」

凛「こういう時期にこういう事するのは、まゆに悪いってのも、分かってたんだけど……」

まゆ「……」

凛「でも、ずっと大切にしてきた想いだったから、伝えるだけ伝えたくて」

まゆ「凛ちゃん……」

凛「ごめん、本当に」

まゆ「……いいんです」

凛「まゆから結婚のこと聞いたとき、分かってたとか言いながらやっぱりショックでさ」

まゆ「すみません……」

凛「動揺しちゃってて、言ってなかったから、いま言うね」

まゆ「……」

凛「おめでとう。幸せになるといいよ」

まゆ「……っ」

凛「何で泣きそうになってるの」

まゆ「……私、ずっと気がかりで」

凛「……」

まゆ「凛ちゃんも、Pさんの事、好きだったのにって……」

凛「うん、まあ……」

まゆ「凛ちゃん、私のこと、恨んでるんじゃないかって……」

凛「恨むわけないよ」

まゆ「でも……」

凛「ほら、泣かないで、まゆは悪くないから」

まゆ「……」

凛「プロデューサーはまゆを選んだ。私はその決定に従う」

まゆ「……」

凛「……改めて、おめでとう。本当に、心の底から、二人の幸せを祈ってる」

まゆ「……ありがとうございます」

凛「うん」

まゆ「……まゆは」

凛「ん?」

まゆ「まゆは、これからも……凛ちゃんとお友達で、いられますか……?」

凛「……当然」

まゆ「…………凛ちゃん、ありがとう、良かった……」

まゆ「また連絡しますね」

凛「うん、私もいきなり呼んだりとかあると思うから」

まゆ「はい、いつでも大歓迎です。では」










凛「……」

未央「行ったかな?」ヒョコッ

凛「うん……」

未央「……しぶりん」

卯月「うぁあああああん凛ちゃぁああん!」ダバー

未央「しまむーちょっと静かにして」

凛「私、ちゃんと出来てたかな」

未央「うん、完璧」

卯月「凛ちゃん、凛ちゃんが……うぁああん!」

未央「しまむー静かにして、人が見てるから」

凛「……私、自然に振舞えてた?」

未央「傍から見てた感じは大丈夫だったよー」

凛「ちゃんと、笑って、おめでとうって、言えてた……?」

未央「うん、しぶりん、頑張ったね」

凛「私、まゆと……」

未央「うん」

凛「これからも、まゆと、友達でいられるかな……」

未央「当ったり前だね! 未央ちゃんが保障します!」

凛「でも、いま私……結構酷い事とか、考えちゃってるよ」

未央「今はまだ仕方ないんだってば!」

凛「……仕方なくなんか」

未央「仕方ないの! 本気の本気で好きだったんだから!」

凛「……」

未央「それに、ままゆのために酷い考えとか隠して笑ってたじゃん!」

凛「……」

未央「それって凄く偉いことだよ、大統領だよ」

凛「……大統領では」

未央「うん、大統領ではないね! ごめん!」

未央「よし、じゃあ今から未央ちゃんハウスに向かうよ」

凛「……」

未央「しぶりん、それまで泣くの、我慢できる?」

凛「……うん」

未央「我慢できなかったらそれでもいいから。とりあえずタクシー!」

凛「……大丈夫」

未央「よしよーし! 流石しぶりん!」

凛「卯月が泣いてるの見たら、私には外でこれは無理だなって」

未央「ほら、しまむーの泣きっぷり見てしぶりん引いてるよ!」

卯月「だって、だっでぇ……えぐっ、ぐすん」

凛「卯月、ありがとう、私のために泣いてくれて」

卯月「うぁあああん凛ちゃぁあん!」ダバー

未央「ああもう好きなだけ泣くといいよしまむー!」ワシワシ


翌年・六月



ちひろ「ではケーキ入刀でーす!」

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ちひろ「夫婦になって始めての共同作業! この機会をお見逃しなく!」

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未央「いやー感動的だったね」

愛梨「あのケーキ、私が作りましたっ」

未央「えっ嘘でしょ」

愛梨「上から下まで全部食べられるんですよ」

未央「どれだけ大作なのかね」

かな子「試作品食べさせてもらったけど、全箇所おいしかったです」

卯月「……全部食べたわけじゃ、ないよね」

かな子「あっ、いくらなんでも一人じゃ無理だよ、菜帆ちゃんと二人でだよ」

未央「えっ嘘でしょ」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「凛ちゃん、蒼いドレス、似合ってる」

凛「まゆのウェディングドレス姿も、よく似合ってるよ」

まゆ「ありがとうございます」

凛「リボンのふりふりが、まゆっぽいね」

まゆ「うふふっ、オーダーメイドなんです」

凛「……」

まゆ「……」

まゆ「凛ちゃん」

凛「なに」

まゆ「ありがとう」

凛「……うん」

まゆ「まゆ、凛ちゃんのこと、大好きです」

凛「……うん」

まゆ「……凛ちゃんは」

凛「私も、まゆのこと、好きだよ」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……照れますね」

凛「ま、まゆが言わせたんでしょ」

まゆ「……うふふっ」

凛「……ふふ、もう、なんで笑うの」

まゆ「凛ちゃんだって、うふふっ」

まゆ「……一つだけ、謝らせて下さい」

凛「なに」

まゆ「昔、凛ちゃんとよく、勝ち負けを競っていましたよね」

凛「ああ、あったね、そんな事」

まゆ「Pさんとキスしたとか、泊まりに行ったとか」

凛「うん、言ってた言ってた。懐かしいね」

まゆ「あれ実は……全部、嘘だったんです、ごめんなさい……」

凛「……いや、それは知ってたよ」

まゆ「えっ!? ……あっ、凛ちゃん、ユッコちゃんにサイキックなんとかを教わってたから、それで……」

凛「ユッコは関係ないかな」

まゆ「あ、そうなんですか」

凛「って言うかユッコが勝手に延々と語ってただけで、別に教わってないよ」

まゆ「ユッコちゃん……」

凛「……まゆ」

まゆ「はい」

凛「久しぶりに私の格好良いところ、見たくない?」

まゆ「うふふっ、はい、見たいです、凛ちゃんの格好良いところ」

凛「じゃあ、よく見ててね」

まゆ「自分でハードル上げちゃうのが、凛ちゃんらしいです」

凛「……」

まゆ「……」

凛「プロデューサーとまゆが、末永く、いつまでも幸せでありますように!」

まゆ「……」

凛「……どうかな、悪くないでしょ」

まゆ「はい……格好良すぎて、涙でてきました……」

まゆ「……」

まゆ「Pさん」

まゆ「まゆは、Pさんのことを愛しています」

まゆ「まゆが必ず、Pさんを、世界で一番幸せな旦那様にしてみせます」

まゆ「だから」

まゆ「Pさんが、まゆを、世界で一番幸せなお嫁さんに、して下さい」

まゆ「……」

まゆ「世界で一番幸せな夫婦になりましょう」

まゆ「私の、大切な友達が」

まゆ「私たちの幸せを、祈ってくれていますので」

二次会

凛「では続きまして、エスパーユッコによる超面白サイキックです」

裕子「!!?」

以上です。

りんまゆは仲良しがいいです。

前半と後半で別のssにしたほうがいいのではってくらい空気違いますね。

HTML化の依頼を出して参ります。ご覧頂きましてありがとうございました。

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