卯月「えぇっ、凛ちゃんがソシャゲ!?」 (82)
未央「そうみたいなんだよねー。この前ちょっとケイタイ覗いてみたんだけどさ」
卯月「う、うん」
未央「あのしぶりんが、なんとあの話題のソシャゲ『アイドルマイスター』をやってたんだ!」
卯月「えっ、『アイドルの男の子たちをプロデュースする』っていうあの?」
未央「そうだよー!意外だよねー、ふふっ♪」
卯月「な、なんだか未央ちゃん楽しそう……」
--これは、このプロダクションにプロデューサーが来る前のお話--
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『本多未雄15歳。高校一年生ですっ! 元気に明るく、トップアイドル目指して頑張りまーっす! えへへ。今日からよろしくお願いしまーす♪』
凛(ふふっ、元気な子、嫌いじゃないよ)
『はじめまして、プロデューサーさん! 嶋村葉月、17歳です。俺、精一杯頑張りますから、一緒に夢叶えましょうね♪よろしくお願いしますっ!』
凛(……普通)
『ふーん、アンタが俺のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。俺は世田谷稟。今日からよろしくな。』
凛(うわ……何コイツ、態度悪すぎ)
凛「とりあえず、こいつは後回しっと……」ポチポチ
凛「まずは、葉月くんからやっていこうかな……普通が一番だよね」カチカチ
『プロデューサーさんのおかげで上手にできました!』親愛度UP!!
凛「ふふっ、どういたしまして」
凛(うまくいけば、次のお仕事で親愛度がMAXに……お願いっ)ポチッ
凛「……きたっ!」
『プロデューサーさんのおかげでがんばれました! これからもがんばりますので、よろしくお願いします!』
親愛度MAX!
凛「やった……葉月くん、すごくいい子」
凛「……さてと、それじゃ、いくよ!」
凛(自分自身と向き合う……大事なことだよね)
凛(この特訓が終われば、きっと、アイドルとしてもっと輝けるはずだから、頑張って……えいっ)ポチッ
『プロデューサーさん、嶋村葉月です!もう覚えてもらえました? 俺、もっともっと頑張りますから、一緒に夢叶えましょうね♪』
アイドルとして輝きだした!
凛「……」
凛「葉月くん、いや、葉月。カッコよくなったね。名前?そんなの、覚えたに決まってるじゃん」
凛「これからも、一緒に頑張ろうね、葉月!」
『今日は調子いいみたいです』
凛「そっか……ならもっとお仕事頑張れるよね」ポチッ
『はい!もっと頑張ります!』
凛「あっ、こたえてくれた……ふふっ」ポチッ
『皆楽しんでくれてるかな?』
凛「当然でしょ?葉月の笑顔で楽しくならない子なんていないから」ポチッ
『早く早く、プロデューサー!』
凛「ご、ごめん……」ポチッ
『いつもありがとうございますっ!プロデューサー!』親愛度UP!!
凛「気遣いもできるなんて、葉月は優しいね……」ポチッ
『プロデューサーのおかげでここまで頑張れました!これからも一緒に夢を目指して頑張りましょうね!絶対ですよっ!』
親愛度MAX!
凛「葉月……そんなことない、これは、葉月が一生懸命頑張った結果だよ」
凛「……」
凛「絶対……絶対だからね、葉月。これからも、一緒に頑張ろう!」
『アイドル嶋村葉月、絶好調です!プロデューサー!』
凛「ふぅ……葉月、すっごくいい子だったなぁ、たまに『少し頑張りすぎかな』って思うこともあったけど」フフッ
凛「……さて、次は本多未雄くんをプロデュースし」
未央「しーぶーりんっ♪」ガバッ
凛「未央っ!?」ササッ
未央「んー?どうしてケイタイ隠すの?……怪しいサイトでも見てたの?どれどれ、私にも見せてごらんなさいな~」ニヤニヤ
凛「み、見てないってば!ほら、あっち行ってて、忙しいんだから!」
未央「ちぇっ……しぶりんのケチ!」
未央(ま、ホントは後ろでずっと見てたから何してたかなんて知ってるんだけど……まさかあのしぶりんがねぇ)ニヤニヤ
凛「何、その顔……早く行ってよ!」
未央「はいはい、あんましのめりこんじゃダメだかんね~」スタスタ
凛「!?!?///」カアッ
『俺がトップアイドルになるまで、ちゃーんと面倒みてねっ♪えへへ~、これからも力を合わせて頑張ろーっ!!』
親愛度MAX!
凛「……ふぅ、いっちょあがりっと」
凛「さてと、それじゃ、未雄くんにも自分と向き合ってもらおうかな……えいっ」ポチッ
『わ~っ♪こんなカッコイイ衣装、ありがとうプロデューサー!! 俺、何だかやれそうな気がしてきたよー! えへへ、俺、これまで以上にいーっぱい頑張るから、これからもよろしくね!』
アイドルとして輝きだした!
凛「お、おぉ……」
凛(や、やばい、カッコよすぎる、正直キャラも立ってないし微妙な子だと思ってたけど、これは……)
凛「チャンビオン未雄……略して、ちゃんみお!」
凛「ちゃんみお!ちゃんみお!ふふっ、ふふふっ……」ポチポチポチポチ
未央「!?」ブルッ
未央「何……今の感覚……」
『ほら~、次いくよーっ!』
凛「お仕事終わったばっかなのに、さすがちゃんみお……ふふっ」ポチッ
『お疲れ様でした~!』
凛「うん、お疲れ、未雄」ポチッ
『えへへ、プロデューサー!どうだった?』
凛「それはきっと、未雄が一番よく分かってるんじゃないかな?」ポチッ
『バッチリだったね♪』
凛「ほら、わかってるじゃん」ポチッ
『プロデューサー。私たちってイイ感じだよね♪』親愛度UP!!
凛「うん。私も、そう思うよ」ポチッ
『ねぇプロデューサー。俺、今日はとーっても暇なんだ。だから~誰かさんと2人で、ご飯とか…食べに行きたいなぁ~♪』
親愛度MAX!
凛「えっ……こ、これって、もしかして、そのあの」
凛「で、デートの、お誘い……」
凛「……」
凛「そんなわけないよね、だって、私たちはプロデューサーとアイドル……」ポチッ
『プロデューサー、帰りに俺とデートしよっ♪』
凛「」フラッ
凛「ど、どこにいこっか。未雄の好きなところでいいよ……」
凛「私、未雄と一緒なら、どこに行っても、その、嬉しいし///」
卯月「あれ?凛ちゃん、未央ちゃんとどこかに行くの?」ヒョイ
凛「わひゃあ!う、卯月!?……もう、おどかさないで」ササッ
卯月「おどかしたつもりはないんだけど……そうだ!今未央ちゃんと話してたよね?どこかに行くなら私も一緒に……」
凛「あー、うん、これは違うの……そう、今度の舞台の練習」
卯月「そ、そうなの……?」
凛「嘘だと思うなら、未央に聞いてみればいいよ。だいたい、私達が卯月だけ仲間はずれにするわけないじゃん」
卯月「そう、だよね!舞台の練習、頑張ってね!」
凛「うん、ありがと」
卯月(このプロダクションに、舞台のオファーなんてあったかな……?)
凛「さて、ついにアンタの番ね、世田谷稟」
凛「アンタのそのムカつく態度、私が徹底的に叩き直してあげる……覚悟しなさい」
凛「ほら、まずはあいさつ回りから始めるから……無礼の無いようにね」
凛「はぁ……今日のところはこれで勘弁してあげるよ、お疲れ様」
『お疲れ様でした』
凛「……」ポチッ
『……………………なにか?』
凛(ほんと、愛想の無い子)
凛「はぁ……ちょっとは表情変えてみたらどうなの?」
凛「そんなんじゃ、アイドルとしてやっていけないよ」
凛「確かに、クールなカッコよさも魅力の1つではあるけど、もっといろんな表情を出さなきゃ」
凛「……まぁ、ちょっとずつでいいからさ」
『プロデューサー。……俺、もっと頑張るから』親愛度UP!
凛「……」ハッ
凛(もしかして、この子……)
『いつもありがとう。俺、愛想ないから、あんまり伝わらないかもしれないけど…プロデューサーには感謝してるよ』
親愛度MAX!
凛「やっぱり、そうだったんだ……」
凛「稟……アンタ、自分の感情を表に出すの、苦手なんだね」
凛「それに『愛想がない』んじゃなく、『愛想の振りまき方』を知らないだけなんだよ」
凛「そうとも知らずに、最初の印象だけで、アンタのプロデュースを最後にしちゃった」
凛「……」
凛「ごめんね、稟。プロデューサーなのに気付いてあげられなかった」
凛「さぁ、特訓だよ。自分と向き合えば、きっと、自分も知らない自分に会えるから。感謝の気持ちも、もっと上手に伝えられるようになるから」
凛「いくよ……稟!」ポチッ
『ふふっ、どう? こんな格好するの初めてだけど、ちょっと嬉しいかな、…ありがとう、プロデューサー』
アイドルとして輝きだした!
凛「あ、あぁ……」
凛「カッコイイ、カッコイイよ、世田谷稟!」
凛「それにその顔……なんだ、やっぱり笑顔も似合うじゃん」
凛「見つけたんだね、新しい自分」
凛「……よかった」ポチッ
『お疲れ様でした』
凛「言葉だけなら以前と変わらない……けど」ポチッ
『ありがとうございました』
凛「今のアンタには、その笑顔がある」ポチッ
『……まだまだいけるよ』
凛「当然、この程度でばててもらっちゃ困るよ」ポチッ
『次は、衣装手に入るといいね…プロデューサー』
凛「ふふっ、そこはアンタが頑張るところでしょ?さぁ、いくよ」ポチッ
『プロデューサー。ずっと俺と一緒にいてね』親愛度UP!!
凛「ふふっ、やっぱアンタ、感情表に出すのへたくそだね。そういうことは、タイミングを考えて言わないと」
凛「だけど、前に比べたら、ずっとよくなった」
凛「……いいよ、一緒にいてあげる」ポチッ
『……プロデューサーの隣にいると安心するんだ。ふふっ、これからも隣で俺のこと、見ててね』
親愛度MAX!
凛「言ったでしょ……一緒にいてあげるって」
凛「いつだって、アンタのこと、隣で見ててあげるから、だから」
凛「アンタも、私のこと、見てて、よね///」カアァ
『プロデューサー。ちゃんと見ててくれた?』
凛「うん。見てるよ、稟……」
--それから、しばらくして--
卯月「まさか、今日も、なの?」
未央「そうみたい。しぶりん……」
卯月「今日でもう、何日目だっけ?」
未央「わかんない……1ヶ月位経ってるんじゃないかな」
卯月「前にも何日か事務所に来ないときがあったよね」
未央「うん」
卯月「電話しても、ほとんど出ないし、出たとしても『Live中だから後にして』とか『フェスで負けちゃうから』とかわけわからないことばっかり」
未央「『邪魔』の一言で電話切られたときはさすがの私も傷ついたなー」
卯月「凜ちゃん……」
未央「しぶりん……」
>>28訂正
--それから、しばらくして--
卯月「まさか、今日も、なの?」
未央「そうみたい。しぶりん……」
卯月「今日でもう、何日目だっけ?」
未央「わかんない……1ヶ月位経ってるんじゃないかな」
卯月「前にも何日か事務所に来ないときがあったよね」
未央「うん」
卯月「電話しても、ほとんど出ないし、出たとしても『Live中だから後にして』とか『フェスで負けちゃうから』とかわけわからないことばっかり」
未央「『邪魔』の一言で電話切られたときはさすがの私も傷ついたなー」
卯月「凛ちゃん……」
未央「しぶりん……」
卯月「ねぇ、これから凛ちゃんの家に行ってみない?」
未央「うぇ、しぶりんの家に!?」
卯月「だって、ほっとけないよ!」
未央「あ、あのねしまむー、私としてはやめておいた方がいいと思うんだけど」
卯月「じゃあ未央ちゃんは、凛ちゃんを放っておけっていうの!?」
未央「そ、そうじゃないけど……」
卯月「なら決まりだね!いこっ」グィッ
未央「あぅっ(こうなったしまむーはもう誰にも止められない……まるで)」
未央(まるで、ソシャゲ―に大金をつぎ込む廃課金兵の如く、誰にも……)
未央「一応、止めはしたからね、何があっても気を落とさないでね、しまむー」
凛「あぁ、もうエナドリがないじゃん……ガチャ回そう……」ポチポチ
凛「はぁっ!?なんなのこれ、さっきから何回ガチャ回してると思ってんの?いいかげんSRでてもいいでしょ!?ふざけてんの!?」ポチポチ
凛「まぁいいや、今はLiveを優先して……」ポチポチ
ピンポーン
凛「……」ポチポチ
ピンポーン
凛「……」ポチポチ
ピンポーン
凛「あぁもう、鬱陶しい!!」バアアァァン
卯月「」ビクッ
未央「」ビクッ
卯月「ねぇ未央ちゃん、今の音は……」
未央「さ、さぁ……」
卯月「おうちの人はいないのかな……」
未央「呼んでみよっか……?」
卯月「あ、あのー、すいませーん、凛ちゃんに用があってきたんですけどー」
未央「……今のうちに帰りたい」
リンチャーン、イナイノー?
凛(この声……卯月か……)
『プロデューサー、俺、まだまだLiveしたりないです!』
凛「あぁ、ごめんね葉月、今エナドリ飲むから5秒待って」ポチポチ
シ、シブリーン、イルナラヘンジシテー、シナクテモイーケドー
凛(未央も来てるんだ……ちょっと意外かも)
『プロデューサー、早くLiveさせてよー!』
凛「……お待たせ。お詫びに未雄が全力でLive出来るように攻コス100%使ってあげるよ」ポチポチ
ピンポーン ピンポーン
凛「……」ポチポチ
凛「……」ポチポチ
リンチャーン、オネガイ、ヘンジシテー
凛「……」ポチポチ
リンチャーン、ミンナシンパイシテルヨー
凛「……」ポチポチ
リンチャーン、リンチャーン
凛「だあああぁぁもうっ、うるさいったらありゃしない!」
凛「こうなったら、時間がもったいないけど、びしっと言って帰ってもらうしかない!」スッ
凛「……待って、これはチャンスなのかも」
ガチャッ
卯月「!!」
未央「!!」
凛「……久しぶり」
卯月「凛ちゃん!」ガバッ
凛「……立ち話もなんだから、上がってよ」クルッ
卯月「うん!お邪魔しまーす……?」
卯月(なんで?凜ちゃんの髪、ちょっと痛んでる……)
未央(追い返されると思ってたのに、まさかあげてくれるなんて……嫌な予感がするよ)
>>35訂正
ガチャッ
卯月「!!」
未央「!!」
凛「……久しぶり」
卯月「凛ちゃん!」ガバッ
凛「……立ち話もなんだから、上がってよ」クルッ
卯月「うん!お邪魔しまーす……?」
卯月(なんで?凛ちゃんの髪、ちょっと痛んでる……)
未央(追い返されると思ってたのに、まさかあげてくれるなんて……嫌な予感がするよ)
凛「今日はありがとう、私のために来てくれたんだよね」
卯月「うん。最近事務所に全然顔出してくれないし、心配してたんだ!」
凛「あはは……ちょっと忙しかったんだ、ごめんね」
卯月「髪の毛のお手入れもできなくなるくらい、忙しいんだ……」ボソッ
凛「……」
未央「……」
卯月「ねぇ、凛ちゃん……私ね、手伝うよ!友達が苦労してるの、放っておけないもん!」
卯月「またみんなで一緒に、事務所でお話もしたいし、それに、お仕事だって!」
卯月「だからお願い、私にも手伝わせて!」
未央「卯月……」
凛「……それ、ほんと?」
凛「きっと、辛いよ?寝る間も惜しんでやらなきゃいけないし、同じことの繰り返しで嫌になるかもしれないし……それでも、本当に手伝ってくれるの?」
卯月「も、もちろん、任せて!」
凛「……未央は、どうする?」
未央「うぇあ、私は……」
凛「嫌なら、強制はしないよ?」
未央「それじゃ、ちょっと覗くだけ……」
凛「……」
凛「まぁ、いいや。私の部屋に案内するよ、二人とも」スッ
凛(これで、未央はともかく、卯月は確保……と)
凛「さぁ、どうぞ」ガチャ
卯月「えへへ、凛ちゃんの部屋、久しぶりに入るよ……って、え、なにこれ……パソコンがいっぱい?」
未央(やっぱり、こんなことだと思った……)
凛「さて、それじゃ卯月はそこの椅子に座って」
卯月「う、うん……なんか、机に3台もPCがあってすごいなぁ……私なんて1台使うのも精一杯なのに」ギィッ
凛「何言ってるの?今からそれ、全部卯月に使ってもらうんだよ?」
卯月「……へ?」
凛「ほら、早く電源つけて」
卯月「えっと、どれの電源をつければ」
凛「全部に決まってるじゃん」
卯月「ぜ、全部……だって、普通パソコンって一人一台」
凛「いいから」
未央(あちゃー、これはしまむー終わったかな……)
凛「はいこれ」スッ
卯月「なにこれ……アルファベットに数字?」
凛「上の英数字がID、下のがパスワードだよ」
卯月「ID?パスワード?」
凛「今からそれを使って『アイドルマイスター』のトップページでログインしてもらうけど、そのくらい説明いらないよね?」
卯月「あ、アイドルマイスターって……」
凛「丁度人手が欲しかったところなの。イベント中はサブアカ進められなくて困ってたんだ」
卯月「それじゃあ、凛ちゃんが『忙しい』理由って……」
凛「もちろん、アイドル達のプロデュースだけど」
卯月「」ポカーン
未央(し、しまむーが、口開けたまま固まっちゃったよ……)
卯月「……はっ!?」ブルッ
未央「あ、帰ってきた」
凛「とりあえず、起動したらすぐログインすること、いい?」
卯月「り、凛ちゃんは、何をするの?」
凛「私は、これ、かな」スッ
卯月「ケイタイ……?」
凛「そう、私はこれで、本アカを進めるから」
卯月「そ、それなら、慣れてる凜ちゃんがこっちをやってよ!私じゃパソコン3台なんて手におえないよ!?」
凛「卯月、例え話をしよっか?今ここにいる3人で焼き肉を食べにいったところを想像して」
卯月「……うん」
凛「きっと、優しい卯月が皆の分までお肉を焼いて、未央がせっせとそれを食べる」
卯月「うんうん」
未央「うんうん?」
凛「でも、未央だって、きっと『自分が本当に食べたいお肉』は自分で焼くはず……でしょ?」
卯月「そう、なのかな」
凛「そうだよ、それと同じこと」
卯月「???」
未央(しぶりん例え下手すぎ!それにさらっと私のこと食い意地張った奴って言ってるし!)
未央「あの、お言葉ですがしぶりん、きっともっと効率のいい方法があると思うんだけど……」
凛「効率?何言ってるの、未央」
未央「どうせやるならしぶりんも何台かパソコンやりながらケイタイやれば効率いいと思うんだけど」
凛「……はぁ、これだから困るんだ」
凛「いい?『アイドルマイスター』はゲームじゃない、私とアイドル達は強い絆で繋がってるんだから、ゲームなんかと一緒にしてほしくない」
凛「効率なんて考えるのは、サブアカで十分、本アカでは効率よりもアイドル達とのコミュニケーションを優先したいの」
凛「だから、私はケイタイでアイドルの子達との触れ合いを楽しむんだ」
凛「今ではほら、私のことを慕ってくれるアイドルが100人近くいるし、プロダクションには部下がこんなにいっぱい」
凛「これだけたくさんの触れ合いがあるのに、それを『ゲーム』だなんて、寝言は寝て言ってほしいな」
未央「……」
未央「へぇ、つまりしぶりんは、自分の楽しみのために私たちを利用するんだ」
凛「……だって、卯月が手伝ってくれるって言うから」
未央「だからって、大切な仲間を利用するだなんて、やっぱり『ゲーム』をやる人の考えは理解できないなぁ」
凛「……『ゲーム』じゃないって、言ってるでしょ」
未央「『ゲーム』だよ、ソシャゲって何の略?言ってみなよ!」
凛「……うるさい」
未央「しまむーもなんか言ってやんなよ!」
卯月「……」
凛「……」
卯月「……ごめん、凛ちゃん。凛ちゃんが忙しいって言うから、どんなことかと思ったけど、正直残念な気分」
卯月「こんなお遊びのために、お仕事もしないで家にこもって……おかしいよ。前の凛ちゃんはもっとお仕事にひたむきだった。それがどうして……」
凛「……うるさい」
卯月「ねぇ、凛ちゃん。明日、一緒に事務所に行こう。皆、心配してるんだよ?」
凛「……」
卯月「それに、社長が言ってたんだけどね、私達3人でユニットを組むって話が上がってきてるんだよ!」
未央「しまむー、その話は……!」
卯月「ファンの皆だって、皆凛ちゃんの帰りを待ってる……だから!」
凛「……」
卯月「ゲームなんてやめて、お仕事、しよ?」
凛「!!」ピクッ
卯月「ゲームならきっと、お仕事しながらでも」
凛「帰って」
卯月「……えっ」
凛「帰れっていってるの!早く出てってよ!」
卯月「追い出されちゃった……」
未央「まぁ、遅かれ早かれ、こうなってただろうから、しょうがないよ……」
卯月「やっぱり、私が『ゲームだ』なんて言っちゃたのがまずかったのかなぁ。気が動転してて、よく話を理解できてなかったんだけど、今にして思えば、凛ちゃんにとってあれは『ゲーム』じゃなかったんだよね」
未央「……いや、しぶりんにとっても、あれは『ゲーム』なんだと思うよ」
卯月「で、でも……凜ちゃんは違うって」
未央「私、思うんだ……あれが『ゲーム』だってことは、しぶりんが一番よく分かってる」
未央「でも、きっと、認めたくないだけなんだって……」
卯月「……よく、わかんない」
凛「……『ゲーム』か」
凛「……」
凛「違う、ゲームなんかじゃない……」
凛「私がかけてきたたくさんのお金と時間、それが全部ゲームだなんてこと、あるわけない……」
凛「……私は」
凛「私は、何がしたいんだろう……」
凛「……」
凛「あ、FEVER TIMEが終わってる……あの2人、絶対許さない」
凛「……」
-----------------------
------
---
-
『お疲れ様です、プロデューサー!』
凛「お疲れ様、葉月。今日のLive、すっごくよかったよ」
『ありがとうございます!きっとプロデューサーのおかげですよ!』
凛「ううん、葉月が頑張ったからうまくいったんだよ」
『ちょっと~、俺の頑張りは褒めてくれないの、プロデューサー?』
凛「あぁ、未雄の頑張りもしっかり見てたから、心配しないで」
『やったぁ♪それじゃあ、この後どこかに連れてってくれる?』
凛「そ、それは///バカなこと言ってる暇があったら次のLiveの準備して」
『ちぇ~、プロデューサーのケチ』
凛「はいはい……あなたも、お疲れ様、稟」
『……』
凛「……どうか、したの?」
『………………べつに』
凛「そう、なら、いいけど」
『……』
凛「……何か、言いたそうだね」
『……いいんですか』
凛「?」
『追いかけなくて、いいんですか』
凛「追いかける?誰を」
『決まってるじゃん、友達』
凛「……あぁ、いいの。あいつらは私の生きがいを『ゲーム』って言うような奴らだもん」
凛「それに、私はアンタたちのプロデューサーだもん、アンタたちの隣にいないと。それが私の幸せでもあるわけだし」
『本当に、それがプロデューサーのやりたいこと?』
凛「……当然、でしょ」
『違う』
凛「違わない」
『違うよ、プロデューサーのやりたいことは、これじゃない』
凛「違わないって言ってるじゃん。アンタに何が分かるの」
『分かるよ、凛』
凛「!!」
『俺には分かるよ、プロデューサーの、ホントの気持ち。だって、俺とプロデューサー、そっくりなんだもん』
『愛想のないとこも、感情表現がへたくそなとこも、そっくりだ』
凛「……」
『もしかして、プロデューサーはさ、アイドルである自分を、俺達に重ねちゃったりしたんじゃないかな』
凛「……」
『とりわけ俺みたいな、自分に似たような奴には特に、ね』
凛「……」
『だから、俺のこと、いつもひいきにしてくれてるんでしょ?』
凛「……」
『俺たちの活躍を、自分の活躍と重ねて……そりゃ、ドはまりするのも分かる気がするよ、プロデューサー。でもさ』
『そうなると、プロデューサーが本当にやりたいことって、おのずと見えてくるんじゃないかな?』
凛「……」ギリッ
凛「でも、もう遅いよ……私なんて、売れるわけない」
『やってみなくちゃわからないだろ?それに、プロデューサーの帰りを待ってくれてる人もいるって、卯月さんだって言ってたじゃないか』
凛「卯月……」
『正直、プロデューサーにはいつまでも俺達をプロデュースして欲しい……けど、それ以上に、後悔して欲しくないんだ』
凛「……」
『さて、俺が言えるのはこのくらい、かな……あとは、プロデューサー次第だよ』
凛「……」
『俺、次のLiveの準備があるから、またあとで』
凛「……うん、また、あとで」
---------------
-----
---
-
凛「……!!」ガバッ
凛「……夢、か」
凛「もう、こんな時間。FEVER TIMEはじまりそう。Liveの準備……」
凛「……」
凛「……」
凛「……」
凛「……」ポチポチ
==============================================================================
退 会 確 認
[[退会します]]
退会しません
==============================================================================
凛「……稟、ありがと」ポチッ
--翌日--
卯月「凛ちゃん……来てくれるかなぁ」
未央「さあねぇ、昨日の今日だし、確率は低いと思うけど……」
卯月「そんなぁ……」
ガチャ
凛「おはよう、ございます……」
卯月「凛ちゃん!!」
未央「しぶりん!!」
卯月「よかった……ほんとに、よかったよぉ」ギュウゥ
凛「ちょ、卯月、痛いよ……」
未央「まっさか、ホントに来るなんてね」
卯月「えっと、その、今日はあれは大丈夫なの……?」
凛「あれ?」
卯月「えっと、アイドルマイスター」ボソッ
凛「うん、大丈夫。皆のおかげで、私が本当にやりたいことが何かって気付けたから」
凛「それと、昨日は、ありがとう。二人がいなきゃ、私、きっとあのままだった」
凛「本当に、ありがとう……」
卯月「そうだ、聞いて凛ちゃん!なんと、今日から私たちにプロデューサーがつくことになってるんだ!」
凛「えっ、そうなの!?」
未央「そうだよ~、昨日しまむーが言ってたこと覚えてる?私達3人でユニットを組むことになってるって話」
卯月「そのユニットのプロデュースをしてくれるんだって!」
凛「そんな、聞いてないよ……」
未央「まぁ、そりゃあ言う前に私たち、部屋から追い出されちゃったしねぇ」
凛「……ごめん」
卯月「きっと、そろそろ来るよ、プロデューサーさん、楽しみだなぁ」
未央「第一印象でばっちりプロデューサーの心をつかんでやるんだから!」
凛「……」
卯月「どうしたの、凛ちゃん?」
凛「あ、ううん、なんでもないよ」
ガチャッ
卯月「あっ、来たよ、プロデューサーさん!」
未央「ホントだ!よーっし、いっちょやるかぁ!」
卯月「凛ちゃんも、早く早く!」グィッ
凛「う、うん……」
卯月「はじめまして、プロデューサーさん! 島村卯月、17歳です。私、精一杯頑張りますから、一緒に夢叶えましょうね♪よろしくお願いしますっ!」
モバP「こちらこそ、よろしく」
未央「本田未央15歳。高校一年生ですっ! 元気に明るく、トップアイドル目指して頑張りまーっす! えへへ。今日からよろしくお願いしまーす♪」
モバP「おう、よろしくな!」
凛「……」
卯月「凛ちゃん、黙ってないで挨拶しないと……」
未央「ふっふーん、しぶりんはシャイですからなぁ~」
凛(こ、ここは、できるだけ自然に、平静を装いつつ挨拶を……)
凛「……」
モバP「よ、よろしくな?」
凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。私は渋谷凛。今日からよろしくね」
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おわりです。
読んで下さった方々に感謝申し上げます!
皆様もソシャゲへの課金等にはご注意あれ!
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