時臣「EXAMに選ばれたのは私だ!」 (13)




クルスト「どうだね、君。私の研究の手伝いをしてみないか?」

時臣「……確かに、興味深い内容ですが」

クルスト「なに、少しの息抜き程度で構わんよ。研究所に来てくれれば、退屈しのぎにはなるじゃないか」

時臣「では、お言葉に甘えて……」


これが、全ての始まりだ。

魔術の家に生まれた私の生涯は、ここから大きく狂い始めたのだ。



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{第四次聖杯戦争 開戦前}
@遠坂の屋敷


凛「お父様、この絵は何?」

時臣「……!! 凛、これはお父さんの大事なお絵かきなんだ。よく見つけてくれたね」

凛「そうなんだー。でもこれ、何の絵なの?」

時臣「そうだな……青い悪魔、いや、死神とでも言うべきかな」

時臣「(失態だ……イフリートの設計図を、危うく外部に漏らすところだった)」

凛「ふーん……なんか、格好いいよね」

時臣「そうだね。お父さんもそう思うよ」


@ニュータイプ研究所


時臣「ニュータイプ……?」

クルスト「うむ。宇宙に進出した人類が、適応進化した新たなヒトの形だよ。遥かに発達した直感力と洞察力、並外れた動物的直感と空間認識能力を持ち、特にこれは、戦闘における有用性が余りにも強大だ。しかし、今のところニュータイプと呼ばれる人種は、ごく一部にしか見られないがな……」

時臣「なるほど……ところで博士は、新人類の出現をどう思っておられるのです?」

クルスト「……いつかは、ニュータイプそのものがこの世界を支配する新たな種となるだろう。ニュータイプが人類に代わる進化した存在であるのなら、進化に取り残された我々オールドタイプは、かつて、現人類に滅ぼされた旧人類のように、今度はニュータイプに駆逐される番だと思うのだ」

時臣「それは……いささか考え過ぎなのでは?」

クルスト「そんなことはない。私は、私の考えを信じるからこそ、ここまで研究を重ねてきたのだ。そして、その研究の成果を、ようやく物にすることができた」

時臣「何なのです? それは一体……」

クルスト「オールドタイプでも、ニュータイプを倒しうる力を与えるオペレーティング・システム、通称≪EXAMシステム≫だ」

{第四次聖杯戦争 開戦後}
@遠坂家の屋敷


綺礼「良いのですか? アーチャーを、ギルガメッシュをあのまま放っておくなど……」

時臣「……いいか、綺礼君。私はね、面倒が嫌いなんだ」

綺礼「……?」

時臣「あのような傲慢知己は、勝手に暴れさせておけばいい。その間に私は、着実な方法で他のサーヴァントを潰してみせる。君は手筈通り、事を進めてくれればいい」

綺礼「……師が、そう仰るのなら」

時臣「(必勝の策……いや、力は我が手中にある。この戦い、勝ったも同然だ!)」


{第四次聖杯戦争 3日目}
@遠坂家の屋敷


時臣「この本を凛にあげよう。ただしこれは、凛が大きくなって遠坂の魔導を受け継いだ時、初めて真価を出すものだ。それまでは、この本の最後のページだけは絶対にめくらないようにすること。わかったね?」

凛「わぁ……! お父様、ありがとう!」

時臣「……それでは、私はもう行くよ。凛、お母様をよろしく頼む」

凛「はい! 行ってらっしゃい、お父様!」

時臣「(……これで、EXAMに関する情報は全て凛に引き継がれた。ここからは後顧の憂いなく、戦いに臨めるだろう。いよいよ本番だ)」

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