男「会社が潰れて社長の親父も死んだ」(347)
男「借金だけが残ったな…」
秘書「力になれず申し訳ありません。」
男「ああ…。次の就職先は決まりましたか?」
秘書「はい〇〇社の方に」
男「そうですか…今までありがとうございました。」
秘書「では」
バタン
メイド「お茶をお持ちしました。」
男「ああ。ありがとう。」
メイド「明日までにはこの邸宅を引き払わなければならないそうです。」
男「こんな趣味の悪い豪邸のに買い手がついたのか。」
メイド「はい。」
男「……」
男「色々と悪いことをしたなあんたには…」
男「こんな時代に親父が借金のカタに大学を中退させてまで・・・」
男「ここにいる使用人はそういう人たちばかりだ。」
男「その報いが俺に来たんだ。」
メイド「…」
男「使用人たちにはそれなりの金は振り込んである。あんたもその金で大学に入り直すなり、いい相手を見つけるなりして」
男「人生をやり直してほしい。」
メイド「ぼっちゃんはどうされるのですか」
男「ぼっちゃんなんてやめてくれよ。」
男「俺は高校卒業まであと1年だけだから、卒業だけして働くよ。」
メイド「どこに行かれるのですか」
男「・・・わからないなぁ。今の私立も学費が馬鹿高いから編入しなきゃならんし・・・」
メイド「では私と一緒に」
男「無理するなよ。もう従わなくていいんだよ。俺も親父のカネカネうるさい生活に疲れた。」
男「一人でもひっそりと生きていけるさ。メイドも自由に生きてくれよ。」
メイド「私は自分のいs
男「最後に一つだけ仕事を頼んでいいか?」
メイド「・・・」
メイド「なんでしょうか」
男「この写真の子に」 ペラ
メイド「この子は」
男「どうやら親父と愛人との間の子供らしい。親父の机の引き出しにこの写真が入ってた。」
男「腹違いの妹だ。」
男「どうせ親父のことだ。養育費びた一文も送ってないんだろう。調べてこの子に金を送ってくれ。」
メイド「・・・・・・」
メイド「わかりました。失礼します。」
バタン
男「はあ・・・ようやく贅沢とは無縁の生活ができるな」
翌日
男「よし、荷物も整ったな・・・スーツケース2つで済むとはな」
コンコン ガチャ
メイド「失礼します。」
男「おお、そろそろ出ようと思ってた」
メイド「ぼっちゃんの妹様の件ですが、無事に済みました」
男「そうか・・・ありがとう・・・」
メイド「・・・」
男「・・・」
男「本当にありがとう。母親のいない俺にとってあんたは本当の姉みたいに・・・」
メイド「・・・滅相もございません」
邸宅正門
男「メイドの私服初めてみたな・・・」
メイド「私も久しぶりに着用しました。」
男「荷物はそれだけか?」
メイド「ぼっちゃんこそ」
男「・・・行くところは決まったのか?」
メイド「いいえ。まずは住居を。 ぼっちゃんはこれからどこへ」
男「今から高校に行って退学手続きをしてくる。あとは・・・。まあ昨日言ったとおり、わからないよ」
メイド「さいですか・・・」
ブロロロロ
男「お、来たな。」
メイド「・・・」
タクシー運転手「後ろあけますね~。 荷物お預かりします。」
ガチャン
男「すいません。よろしくお願いします。」
メイド「・・・」
男「よしっ、じゃあ。」
メイド「・・・はい」
男「・・・・ありがとう」
メイド「では」
バタン
男「〇〇高校まで」
運転手「はいわかりました~」
ブオオオオン
メイド「さて私も」
メイド「自由に生きていきましょう・・・。自由に・・・」
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
男父「そうは言われてもね~」
メイド父「どうか・・・!どうかお願いします・・・!!」
メイド「・・・」
男父「金を返せないなんて道理に反しますよ?」
メイド父「そ・・・そうだ!私の娘を!私の娘で帳消しにさせてくれないですか!!」
メイド(18)「・・・よろしくお願いします」
男父「恨むなら親父さんを恨んでくれよ。俺は好意で置いてやっているんだ。」
男(11)「・・・そんな言い方しなくても」
男父「口答えをするな。これからこいつがお前の身の回りを世話をしてくれるからなんでも言いつけなさい。」
男「・・・・よ、よろしくお願いします」
メイド「・・・」
男父「挨拶をしないか」
メイド「よろしくお願いします」
深夜にまた投下します
よろしくお願いします
使用人「あなたが新しく入ったメイドさんね?」
メイド「はいよろしくおねがいs
使用人「あなたも借金のカタに入れられたのね。くれぐれも迎えがくると思わないほうがいいわよ」
メイド「・・・」
使用人「ここにいる手伝いの女はみんな借金のカタに入れられた子達なの」
使用人「入ったからにはあの薄汚い親父の相手になるか、ガキの身の回りの世話か」
使用人「ほとんど飼い殺しのようなものだわ。あなたも運が悪いわね」
メイド「・・・」
使用人「さっそくだけどトイレ掃除をしてちょうだい」
メイド「・・・はい」
コンコン
男父「入れ」
メイド「失礼します。お食事のご用意ができました」
男父「入れと言っている」
メイド「・・・」
ツカツカツカ
グッ
メイド「いやっ!!」
男父「なかなか上玉だな。親父さんによく似てる」 ググググ
メイド「やめてください!・・・やめ・・・!」
男父「あいつには貧乏人時代さんざん馬鹿にされたからな・・・」
男父「この通り今の俺は大金持ちだ・・・!悪いようにはしない、俺の妾に
男「お父さん?何してるの?」
男父「・・・ちっ」 パッ
メイド「っ・・・!!はぁ・・・はぁ」
男「メイドさん・・・大丈夫?・・・」
男父「・・・食事の用意ができたそうだ。いくぞ」
男「う・・・うん」
メイド「・・・・・・」
男「お父さんなにしてt
男父「行くぞ!!!!」
男「はいっ・・・」ビクッ
ツカツカツカ
メイド「・・・・うっぐ・・・うっ・・・ひっく」 ポロポロ
ダイニングルーム
男父「すばらしいな」
シェフ「はい。秋ですので彩り豊かに筍や松茸、それに山菜を少々添えた献立となっております」
男父「ほう、では頂くとするか」
男「・・・・」
メイド「・・・・」
男「大丈夫?目が真っ赤だよ」
メイド「おかまいなく」
カチャカチャ
男父「美味いな。なあ、男」
男「うん」
男父「どうした学校で嫌な事でもあったのか」
男「ううん。たまにはお父さんの手料理が食べたいなあって」
男父「なに?」
男「僕たちがアパートに住んでるとき、お父さんいつもご飯を作ってくれたじゃんか」
男父「嫌なことを思い出させるな。あの貧乏暮らしで貧相な食事の何が良かったんだ」
男「・・・僕は貧乏暮らしでも
男父「馬鹿なことを言うんじゃない!!!!」ダン
メイド「・・・・」
男父「貧乏暮らしでもいいだと!?いいものか!!」
男父「俺が事業に失敗したらみんな!!みんなが手のひらを返した!!」
男父「成功した俺によってたかってた奴等があっという間に居なくなった!!」
男父「そしてどうしようもない時に借金を請うたときのあの蔑んだ目がお前にはわかるか!?」
男「お・・・お父さん・・・」
男父「結局は金だ!人は金でしかモノを見ていない!!」
男父「そうだろう!また俺がチャンスをものにして成功したら奴等は何もなかったように媚びへつらって俺の元にきやがった!!」
男父「だから俺は金をばら撒いてやった!そして返せなくなった奴等には復讐してやったんだ!!」
男父「それがここにいる使用人たちだ!!いい気分だ!!一番大切なものを奪ってやったんだ!!」
男「・・・」
男父「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
男父「はぁはぁ・・・いいか男・・・世の中、金は絶対に必要だ」
男父「そして巨額の富を得たものは何でもできる。何でもだ」
男「お父さん・・・」
男父「「言わば選ばれたんだ・・・だから男、神が与えてくれたこの権利は存分に使うことだ」
「はぁっ!!・・・ごほっ!!えふっ!!」
男父「はぁはぁ・・・気分が悪い・・・俺は部屋に戻る・・・料理は片付けておけ」
メイド「・・・はい」
男「・・・」
メイド「もう食べないのですか」
男「お父さんね、お母さんが居なくなってお金持ちなってからおかしくなっちゃったんだ・・・」
メイド「お母様はどうされたのですか」
男「ある日変な男の人とどっか消えちゃった」
メイド「・・・私の母も同じです」
男「そうなの?」
メイド「ええ」
メイド「私が6歳のころに、父と大喧嘩をして出ていきました」
メイド「理由も同じように男のことでした」
男「そうなんだ・・・」
メイド「ええ」
男「お姉さんは・・・なんでここに来たの?・・・」
メイド「さあ・・・。お金が無かったからでしょうか」
男「お金?」
メイド「あなたにはまだまだわからないことです」
男「お父さんはお金お金言うけどそんなに大切なものなの?」
メイド「・・・ある意味そうです」
メイド「・・・ですがある意味いらないものです」
男「???」
メイド「ふふふっ」 ニコリ
メイド「わからないでしょうね」
男「ぜんぜん分からない・・・お姉さん頭いいんだね」
メイド「それなりに良識はあると思います」
男「勉強で分からないとこがあったら教えてね?」
メイド「・・・」
メイド「ええ、かしこまりました」
男「僕の名前は男、お姉さんの名前は?」
メイド「メイドです。よろしくお願いします」
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
男(13)「はあ・・・」
メイド(20)「どうされましたか。さ、お勉強を始めましょう」
男「おとうs、親父はお前はエリートだの、選ばれた人間だの、二代目なんだからしっかりと成績を残さなきゃいけないだの・・・・」
男「俺に期待しすぎだよ。俺はそんな優秀な人間じゃねえよ・・・」
メイド「なにをおっしゃいますか。ゆくゆくはご主人様の地位を継ぐことになるのです。そんなことで愚痴をいってはいけません」
メイド「さあ、次はこの問題です」
男「わからん」
メイド「わかります。手をうごかして」
男「わからんわからんわからーん!!」 ガバッ
メイド「きゃっ!」
男「わからないよ・・・」 ギュウウウ
メイド「また甘えて・・・悪い癖ですよ」
男「知らねえよ・・・俺だって甘えたいときだってあるよ・・・こうしてると心地いいんだ・・・」
メイド「もう・・・」 ナデナデ
男「へへへ・・・」ギュウウウ
「・・・・・!!!!」
「・・・・・!!!っ・・・・!!!」
メイド(22)「? 喧嘩?」
ガチャ
男父「お前は何も分かってない!!!!」
男(15)「ああわからねえよ!!!!あんたの考えてることが!!!!」
男「金金金!!!毎晩女を侍らせ!!人を見下して!!ここの使用人もボロ雑巾みたいに!!!!」
男「なんでだ親父!!?なんでそんなに変わったんだ!!親父はそんな人間じゃねえだろ!!!」
男父「変わっただと?何がだ?俺の何が変わったんだ?ええ?」
物陰でメイドはただ二人の争いを見ていた
男「変わったよ!!金のことばかり考えすぎて頭がおかしくなってんだ!!」
男父「なんだと!?金ものことを考えて何が悪いんだ!?金があるからこの暮らしが出来るんだぞ!!?」
男父「お前を食わしてやってるのは俺だ!!一流のモノ、一流の教育、それをあたえてやっているのも俺だ!!」
男父「そして俺をコケにした屑どものゴミをここで働かせてやっているのも俺だ!!」
男父「使用人をぼろ雑巾みたいだと?当たり前だ!!屑どもが返済のかわりによこした奴隷どもだぞ!!?」
メイド「・・・・」 ギリッ
男父「奴隷をどう扱おうが俺の勝手だ!!犯そうが、捨てようが全部俺の勝手だ!!男!お前もいずれ分かる!」
男父「何でもすべて思い通りにいくこの快感が!!金こそ人生の全てだ!!」
男父「それが分からないか!?」
男「・・・・」
男父「なんだその目は・・・」
男父「なんなんだその目は・・・」
男「・・ん・・く・・」 ボソボソ
男父「なに?」
男「人間のクズが。お前が親で恥ずかしいぜ」
バキッ
男「うぐっ!!」
メイド「ぼっちゃん!!」
男父「フー・・・フー・・・」 ワナワナ
男父「なんだお前は・・・なんだお前はああああ!!!!」
メイド「・・・」キッ
男「うう・・・」
男父「男!!!!お前は俺への尊敬がないのか!!!!誰が育ててやったと思ってるんだ!!!!」
男父「メイドも俺を馬鹿にするのか!?はっはっは!!笑わせるな!!」
男父「お前は俺の奴隷だぞ!!お前は親父に売られたんだ!!たかだか50万が払えなくてなあ!!」
メイド「・・・っ」
男父「ここにいる女の使用人どもはみんなそうだ!!俺の慰み者でしか価値がn
バシン
男父「・・・!」
メイド「・・・・・・私たちは・・・・・私たちは」
男父「この野朗!!!!」 バキッ
メイド「ぁぐっ!」 ドサ
男父「この野朗!!この野朗!!」 ドカッ ドッ バキ
男「メイド!!」ガッ
男父「この野朗・・・!!」 ググググ
男「親父!!いい加減に・・・!」 ググググ
男父「奴隷のく・・・せ・・・に・・・ぐうっ・・・」
男父「っはあ・・・ぐううううっ・・・」
男「ど、どうした!」
男父「くるっ・・・苦しい・・・はあっ・・・っがはっ・・・!!」 ゼエゼエ
メイド「・・・いつっ、た、大変です・・・すぐに救急車を・・・・」
男「メイドは休んでろ!俺が呼んでくる!親父を見ててくれ! おーい!!誰か!!誰か!!!」
タッタッタッタ
男父「っはあ!!!はあ・・・ぐうううう・・・・」
メイド「・・・」
男父「助けてくれ・・・助けて・・・」
メイドは男の父親をひたすら見つめていた
ピーポーピーポーピー・・・・・
使用人「付き添わなくてよかったの?あんたが一番’’ご主人様’’のお気に入りだったのに」
メイド「ええ」
使用人「それにしてもいい気味ね。私たちをないがしろにした天罰だわね」
「そうよ。あんな変態死ねばいいのに」
「あいつが死んだらここから出れるかなあ」
「きっと出れるよ。私は出たら彼氏のもとに戻るの」
「待っててくれてるわよ」
メイド「・・・・・・」
男「ただいま・・・」
「「「「おかえりなさいまし」」」」
メイド「お帰りなさいまし。ご主人様のお身体は」
男「不摂生からくる高血圧で血管はボロボロ、高血糖で完全な糖尿病。それに心臓病だ。」
男「とどめは胆管癌だ。不摂生からくる癌らしい」
男「即日入院で人工透析を開始して・・・」
男「あとは死ぬのを待つのみらしい・・・」
メイド「・・・・・・さいですか」
ヒソヒソ クスクスクス
男「・・・・」
コンコン
メイド「失礼します」
男「おお、どうした」
メイド「大丈夫ですか」
男「ははっ、うん。大丈夫だよ」
男「さっき俺がみんな前で親父のことを言ったときみんな喜んでたな・・・ははは」
メイド「・・・・・・」
男「当たり前だ。今までのみんなの仕打ちを考えればさ」
男「当然だ。はやくみんな死んでほしいに決まってる」
メイド「・・・・・・」
男「・・・メイド」
メイド「はい」
男「人間て・・・金が全てなのかな・・・」
男「人間てあんなに変わるものなのかな・・・」
メイド「・・・・」
男「親父の秘書がさっき俺に会社のことを言ってきたんだ・・・」
男「この数年間会社は大赤字でハリボテ運営らしい・・・」
男「周りの会社からも見限られて誰も出資、助けてくれないらしい・・・」
男「もって数年。みんなが路頭に迷うようになる」
男「結局は金がぜん
メイド「私は」
男「え?」
メイド「私は・・・お金が足りなくても心が足りていれば・・・」
メイド「欲しいものが手に入らなくても・・・お腹がすいてても・・・愛情で心が満たされていれば・・・」
メイド「ただそれだけでいいと思っています」
男「そうかな・・・そうだといいなぁ・・・」
男「そうだと・・・」
男(18)「親父が死んだ」
ザワザワ ヒソヒソ
使用人「とうとうね」
メイド「・・・ええ」
男「そして会社もたたむことになった。この屋敷も売り払う」
男「親父の会社はここ数年大赤字らしく借金もそうとうしたらしい」
男「売り払った金で返済にあてることにした」
男「そしてその金で贖罪としてあんたたちにはそれなりの金振り込んでおく」
男「親父があんたたちにした仕打ち・・・本当に申し訳なかった・・・」
男「この屋敷もあと数ヶ月で引き払うことになる。各々適当に引き払ってくれ」
男「本当にごくろう。 以上だ」
スタスタスタ
使用人「ふう・・・自由ね・・・」
メイド「・・・」
使用人「自由ね・・・自由なのよね?・・・」ポロポロポロ
メイド「・・・」 ギュ
使用人「ううっ・・・うああああああ・・・」
メイド「・・・・・・」ギュウ
あなたはどこ行くか決めた?」
「とりあえずお母さんに会いにいく。全然連絡してなかったから」
「私はどこにいこうかなあ。誰もいないしなー」
ガヤガヤ
使用人「・・・取り乱してごめんね」
メイド「いいえ」
使用人「あなたはどこへ行くか決めたの?」
メイド「いや・・・あなたは」
使用人「私は子供の迎えに行くわ・・・」
メイド「子供?」
使用人「ええ、これでも人妻でね、主人は蒸発して子供と私で暮らしてたの」
使用人「どうやらぼっちゃんの父親に多額の借金してたみたいでね。ヤクザみたいな取立てがまた怖くて」
使用人「そしたら私があのクソ親父の妾になれば借金はちゃらにしてやるっていうから来たの」
使用人「そしたらさんざん抱かれて、結局はここから出れずにそのまま使用人てわけ」
使用人「何回も逃げようと思ったけどあのクソ親父、脅すのが上手くてね」
メイド「辛かったのね・・・」
使用人「そして子供がここのぼっちゃんと同じくらいの年齢だから、また見てるのが辛くて・・・」
使用人「今年で高校3年生のはずだわあ・・・まだ8歳くらいのときにわかれちゃったから・・・」
使用人「嫌われてたらどうしましょう・・・」
メイド「大丈夫・・・きっと大丈夫・・・」
使用人「ふふっ・・・ありがとう・・・あなたもこの先すてきなことがあるといいわね」
メイド「ありがとう」
シーン
メイド「・・・・・・」
男「広いなあ」
メイド「ぼっちゃん」
男「その呼び方やめてくれよ。ははは。階段に座ってどうしたんだよ」
メイド「いえ」
男「さっき使用人が出て行ったよ。唯一挨拶してくれた人だ。よいしょ」 スッ
男「あんな生き生きとした使用人さん初めてみたよ。あんなおっかない人が」
メイド「・・・」
男「みんな・・・やり直せるといいなあ・・・」
メイド「私もそう思います」
男「うん・・・」
ギュウ
メイド「・・・」
男「ごめんメイド・・・少し・・・このまま・・・」 ギュウウ
メイド「ええ・・・気の済むまで・・・」
男「うん・・・」
「今までありがとう」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
メイド「・・・・・・・」
メイドはふと空を見上げた
メイド「・・・・・・綺麗」
メイド「さてどこへいこうかしら」
ブオオオオン
男「・・・・・・」
タクシー運転手「♪~」
タクシー運転手「お兄さん何歳ですか?」
男「え?ああ、18です」
タクシー運転手「へーまだ18歳か!」
男「ええ、ははは」
タクシー運転手「18歳っていったらまだまだ青春これからだねえ!なんにも考えずに楽しみなよ!」
男「ええ、ありがとうございます」
タクシー運転手「いやあね?暗い顔して思い詰めてる様子だったからつい話しかけちゃったんだけども」
男「いえいえ!たいしたこと考えてなかったんで大丈夫ですよ」
タクシー運転手「あ!もしかして女のことかな?はっはっはっは!」
男「ははは・・・」
タクシー運転手「まいどー」 バタン
ブルルーン
男「さてと」
私立〇〇高等学校正門
ワイワイ ガヤガヤ
男「退学しにいくか」
職員室前
男「久しぶりに来たな、3週間ぶりだな」
友「男!男!」
男「おお!久しぶりだな!!」
友「おう!大丈夫か!親父さんは!」
男「・・・死んだよ」
友「えっ・・・マジか・・・」
男「ああ」
友「なんだ・・・その・・・悪いな」
男「いやいや、こっちも心配かけて悪いな」
友「じゃ、明日からまた通い始めるんだな!待ちわびたぜ!!なんせお前くらいしか友達が
男「俺学校辞めるんだ」
友「いな・・・い・・・?」
友「・・・本当かよ」
男「ああ」
友「なんで・・・俺になにも相談しねえんだよ・・・」
男「難しい問題だからなあ・・・」
友「なんだよ・・・別に今すぐ高校辞めて会社継がなくたっていいだろ・・・」
男「はははは・・・」
友「はははじゃねえよ!!俺たちは将来が約束されてるんだぜ?そんな急がなくても」
友「ここにいるやつらはみんな’’選ばれた’’んだぜ?」
友「もっと楽しくぱあっと一度しかない青春時代を一緒にすごそうぜ!?」
男「・・・・・・・・・・」
男「’’選ばれた’’か・・・」
男「お前はそう思うか?」
友「え?」
男「いや・・・なんでもない。とにかくもう辞めることに決めたんだ」
友「くっそー・・・俺も早く親父の会社継いで一人前になりてえなぁ・・・」
男「はははは。頑張れよ」
友「お前こそ。今度邪魔しにいってやるかな!!」
男「ああ」
先生「じゃあここにサインを」
男「はい」
先生「・・・災難だったね」
男「いや、こうなるのは覚悟してましたから」
先生「頼るところはあるのかね?」
男「特には」
先生「そうか・・・まあ気を落とさずしっかりやりなさい」
先生「まあ君は会社を継ぐことになるだろう。トップというものは責任重大だからな」
先生「そのプレッシャーに負けないように頑張れよ。エリートなんだからな!」
男「・・・はい」
ワイワイ ガヤガヤ
男「選ばれたエリート・・・か・・・」
男「・・・・・・へっ」
男「俺は選ばれなかったらしいな・・・良かったぜ」
男「この学校ともおさらばだ。さてと、働かなきゃな!まずはどこへ行くか!」
妹「・・・・・・・・・」
妹「おかしい・・・・・・・・残高が増えてる・・・・・・・」
妹「どこからなの?どこからの振り込むなの・・・・オトコ?・・・」
妹「ただいま!お母さんお母さん!」
妹母「あらお帰りなさいアルバイトご苦労様」ヨロッ
妹「ああ!寝てて寝てて!」
妹母「ごめんね・・・ご飯も用意しようとしたんだけど身体が痛くて・・・」
妹「そんなの大丈夫だって!今からお母さんの分も作るからね!」
妹母「はあ・・・」 スッ
妹「それよりお母さんね、すこしおかしいことがあったんだけど・・・」
妹「今日お給料を下ろして残高をみたらお金が増えてるんだけど・・・」
妹母「ええ?」
妹「それで振込み先を見たらね?苗字が〇〇で名前がオトコって書いてあるんだけど」
妹母「!・・・・」
妹「だれか知ってるの?なんだか怖くて・・・」
妹母「・・・・・・・・男父ね」
妹「え?」
妹母「そのお金は使わないようにしておきなさい。絶対に」
妹「う・・・うん。誰なの?」
妹母「・・・いずれ・・・いずれ話すわ」
「私は・・・・この子を一人で育てます・・・」
「・・・そうしてくれ。やはり愛人や連れ子は世間体が悪くなるからな」
「・・・・・愛してます」
「・・・・・それでも愛してます」
「ふっ、どうだか」
「・・・・」
アナウンス「北駅~。北駅~。北西駅行きはお乗換えです」
プルルルルルル プシュー
ヒュー ヒュー
男「おおお、寒いな・・・もう冬だな・・・」
男「思い切って北方面に繰り出したがこの時期は失敗だったか?」
男「今何時だ・・・・22時か・・・住まい探しは明日からだな・・・」
ヒュー
男「うおおお寒い!!」
男「宿を探そう!!」
宿主人「テレビみるときはこの横に100円いれてくださいね、トイレはこっち。お風呂は深夜1時までね」
宿主人「食事は~、3分くらいのところにコンビニありますからそこで適当にやってください」
宿主人「で、言い忘れてた料金は一泊素泊まり4千円ね!うちは食事はないから勘弁してください」
宿主人「じゃごゆっくり」 バタン
男「よいしょ・・・・・・・あ~!!」 ドサー
男「どっと疲れたな~・・・」
男「すぐに民宿が見つかって良かった、凍え死ぬかと思ったぜ・・・」
男「明日はここらで物件を探して、住むところを確保したあとに職探しとするか・・・」
男「え~っと、通帳通帳っと」 ガサガサ
男「あったあった・・・・・・・借金もあるからな・・・・この1ヶ月くらいで職にありつけるといいんだけどな・・・」
男「まあ、まずは風呂に入って、さっぱりしてからだ」
ガララララ
男「おっ、タイルの風呂なのか。風情があるっていうのか?」
男「おおさむっ・・・早く入るとするか・・・」 ブルル
キュッ
シャアアアアア
ワシャワシャ
男(・・・そういえばまだ貧乏のころ、よく親父と銭湯にいったっけか)
男(風呂上りに飲むフルーツ牛乳がおいしかったなあ・・・)
・・・
・・
・
カポーン
男父『こらっ!よく洗ってから入るんだ!』
男『はーい』
男『?お父さんお父さん。この電気風呂ってなに?』
男父『うん?ははは、入ってみれば分かるぞ』
ザブン ピリピリピリ
男『うわわわわっ!!』
男父『はっはっはっは』
男『おとうさーん、フルーツ牛乳飲んでいい?』
男父『なあにい?・・・今日だけだぞ!ほれ100円!』
男『やったあ!!お父さんありがとう!!』
男父『おう』
・・・
・・
・
シャアアアアア
男(・・・・・・・)
ザブン
男「あ~・・・生き返るなあ・・・」
男「・・・・・ふ~・・・・住まい探しに、職探し・・・・高校はどうするか・・・」
男「全日制は・・・・・無理だな。夜間しか通えないな。まあ、卒業さえすればいつでも」
男「俺はこれからずっと一人だ。なんのしがらみも無い。そう考えると気が楽だな」
男「頑張ろう」
夜
妹「・・・・・」 カキカキ
妹「ふわぁ~あ・・・うぅぅん・・・」ノビー」
妹「よし!宿題終わり!!明日のお弁当の支度しないと・・・って・・・静かにしないとお母さん起きちゃう・・・」
妹「それにしても、オトコって誰なんだろう・・・お母さんも話してくれないし・・・」
妹「私のお父さんと関係があるのかな?・・・」
妹「お父さんか・・・・どんな人か会ってみたいなあ・・・」
『お母さん・・・その人誰?・・・・』
『 男ごめんね・・・お母さん少しとおくへお出かけしなきゃいけないの。だからいい子にお留守番しててね?』
『 どこいくのお母さん!僕も連れて行ってよ!お母さん』
『行こう』 『ええ』
『お母さん!行かないでよ!!僕もつれてって!!お母さん!!お母さん!!』
男「うっぐ・・・・うぐっ・・・ひっ・・・」 ポロポロ
男「んあっ・・・」
男「夢か・・・」
宿主人「はいおつりね。毎度あり~」
男「どうも」
ガラガラガラ
チュンチュンチュン
男「嫌な夢を見たなぁ。それにしてもいい天気だ」
男「いくか」
男はどこかへと歩いていった。
3ヵ月後・・・
男「はあはあはあ・・・・」 ゼエゼエ
先輩「よおし!これで最後の荷物だな!男!そっちを持ってくれ!」
男「はい!よい・・・しょっと!!」 ググググ
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
先輩「はい、お疲れさん」 スッ
男「えっ、いいんですか」
先輩「いいよいいよ。たかがジュース一本くらいで遠慮するなって」
男「いただきます」 カシュ ゴクゴクゴクゴク
男「ぷはっ!おいしいですね!」
先輩「お前がここへ来てえ~っと・・・」
男「3ヶ月目ですね」
先輩「もうそんなに経つのか!いやあ、こんなちんけな引越し会社に新入りが入るなんて思いもしなかったわ!後輩ができてうれしいんだよ!」
男「ははっ、ありがとうございます」
先輩「おっ、もうこんな時間か!よしっ会社戻るか!トラック出すから後ろみててくれ」」
男「はい!」
ブオオオオオオン
先輩「~♪」
男(・・・・もう三ヶ月か)
男(・・・・一人暮らしにもだいぶ慣れてきたな)
男(・・・・・・・職場にもめぐまれた)
男(・・・・・・使用人達はうまくやっているだろうか?)
男(・・・・・・メイドもどうしてるかなあ)
会社オフィス
先「戻りましたー」
男「戻りました」
上司「おおお疲れさま。男もここにだいぶ慣れたか」
男「はい。まだまだわからないことだらけですが」
上司「大丈夫大丈夫お前がへました分はお前の先輩から給料引いておくから」
先「ちょっと・・・上司さん・・・」
上司「はっはっは。冗談だ冗談だ。もう上がってくれ。お疲れ様」
先「じゃあな!また明日」
男「失礼します」
男「夜もあまり冷えなくなってきたな。もう春もすぐそこか」
男「ふう、晩飯でも買って帰るか・・・」
スーパーマーケット
男『お父さん今日晩御飯なにー?』
男父『もやし炒めだ。今月も厳しいから我慢しなさい』
男『えええ、またもやしなの?たまには他のもの食べたいよ』
男父『・・・我慢だ。次に給料が入った時になにか食べに行こう。それまで我慢だ!』
男『本当!やったやったー』
イラッシャイマセー オアズカリシマース
ビュー ヒュオオオオ
男『ううう寒ーい!』
男父『本当に寒いな・・・』
男『あっ!お父さんのポケットの中あったかい!』ギュッ
男父『お前の手はちっちゃいな!』 ギュッ
男『えへへ・・・』
男父『・・・・・・』
男父『ごめんな・・・お父さん貧乏で・・・』
男『え?なんでー?』
男父『・・・もう少しの我慢だ・・・もしまた成功したら・・・好きなもんたくさん買ってやるからな?』
男『僕・・・このままでもいいよ?お父さんと二人でも楽しいから』
男父『・・・・・・そうか』
男『うん。本当はお母さんとも一緒がいいんだけど・・・』
男父『よいしょお!!』 ダキッ
男『うわあ!!お父さんだっこなんて恥ずかしいよ!!』
男父『うおっ!意外と重いな!!家まで全速力だ!!』 ダダダダダ
男『あはははははは!』
・・・・
・・・
・・
・
ガチャン バタン
男「ただいまーって誰もいねえよな」 ガサッ
男「さーってと、晩飯作るか」
男「おれっの、うでのみせどっころー♪ってか」
トン トン トン
男「慎重に・・・慎重に・・・」
サク
男「あだっ!!」
カタッカタッ ブシュウウウウ
男「ああああ!!鍋が!!」 ジュッ
男「あつぁーっ!!!!!」ガタン ドバア
男「ああああああ!!!!!」
男「ばかあああああ!!!!」
男「ううう・・・情けねえ・・・」フキフキ
・
・
・
・
・
男「くっそ・・・野菜炒めと味噌汁でこんなに苦戦するなんて・・・」
男「まあ、食えれば全てよし!」
男「いただきます!!」 パン
カチャカチャ モグモグ
男「この米・・・水が多すぎたなベッチャベチャだ・・・」 モグモグ
男「野菜炒めもしょっぺえ・・・」モグモグ
テレビ「それではつぎのニュースです」
テレビ「先日経営破綻した大手株式会社〇〇がライバルである株式会社××に」
男「・・・」ピク
テレビ「買収され合併されることになりました。このことによってどのような影響があるのでしょうか?今日のゲストは・・・
男「合併か・・・苦労して立ち上げた親父の会社も無くなっちまうんだな・・・」
男「これでよかったはずだ・・・俺は選ばれたエリートなんかじゃねえ・・・」
・
・
・
・
・
テレビ「買収され合併されることになりました。このことによってどのような影響があるのでしょうか?今日のゲストは・・・
妹「株式会社〇〇って・・・オトコって人と同じ苗字・・・」
妹「・・・まさかね、だってなんの関係もないし」
妹「ばっかみたい!ささ!ごはんの支度ぅ~♪」
妹「流されて流れ流れ~♪今はもう会えないけど~♪唯一つ胸の奥で~枯れない花がある~♪」ジュー
妹母「まあ、そんなに古い歌どこで覚えたの?」
妹「お母さん!?立って大丈夫なの!?」
妹母「ええ、ちょっと調子がよくなったから・・・いつもごめんね・・・本当は私が働かなきゃいけないのに・・・」
妹「そんなのお互い様でしょ~? 流されて~流れ流れ~♪」
妹「この歌よくお母さんが歌ってたんだよ?しょっちゅう歌ってるもんだから私も覚えちゃったの」
妹母「そうだったかしら?・・・」
妹「そうだよ~。なんかの思い出の歌なの?」
妹母「・・・・そうね」
・
・
・
・
・
ジャー カチャカチャ
男「流されて流れ流れ~♪今はもう会えないけd ツル バリーン
男「ああああもう!!また割っちまった!!3枚目だ!!」
男「家事ってのは大変だなあ・・・」
『流されて・・・流れ流れ・・・いい歌ですね』
『いい歌だろう?俺の子供を寝かしつけるときにとく歌ってな、これがまたよく寝てくれるんだ』
『私もその子と仲良くできるといいです』
『できるさ。まだまだ母親恋しい年頃だ。我慢させてることもたくさんあるからな・・・』
『この仕事が成功したらようやく安心できる。落ち着いたら・・・結婚しよう・・・』
『本当ですか?・・・』
『い、いやか?』
『・・・ふふっ・・・流されて♪流れ流れ♪』 ギュウウ
『おっと・・・』
『幸せになろう』
・
・
・
・
・
町の一角にある弁当屋
おばさん「いやー助かるわー!こんな美人さんがここで働いてくれるなんて!」
おばさん「ああ!バイト君バイト君新しくはいったメイドさん!」
バイト「はい?なんですk っ」
メイド「よろしくお願いします」
バイト「あっ、えっと、よよよよ、よろしくお願いします!!」
バイト「はははは、配達いってきます!!」ダダダダダ
おばさん「どうしたのよ・・・」
メイド「・・・」
おばさん「じゃあ、私がいろいろ教えてあげるから!こっちよ!」
メイド「はい」
メイド「・・・・・・」 テキパキテキパキ
おばさん「あなた随分と手際いいわね~!メニュー覚えるのも速そうでたすかるわ~!」
メイド「滅相もございません」
おばさん「あらやだそんなかしこまらなくてもいいのよ!前はどこで働いてたの?」
メイド「・・・・・」
おばさん「・・・まあ、どうでもいいわね!これからもよろしくね!」
メイド「・・・はい」 ニコリ
・
・
・
・
・
おばさん「じゃあまた明日ね!ありがとうね!」
メイド「では」ペコリ
バイト「もどりましt
メイド「・・・」
バイト「あっぁっぁ・・・」
メイド「・・・あの」
バイト「はい!!」
メイド「通れないのですが」
バイト「あ!・・・ごめんなさい!!」 スッ
おばさん「どうしたのよ・・・」
バイト「あはは・・・」
ガチャ バタン
メイド「ただいま・・・・・」
ガサッ
メイド「・・・・」
シーン
メイド「・・・・・はあ」
おばさん『もしよかったらこのお弁当食べてね!』
メイド「・・・・・・」ガサガサ
メイド「・・・・いただきます」
パクパク モグモグ
メイド「・・・・おいしい」
メイド「ごちそうさまでした」
メイド「人が作ってくれたものを食べたのはいつ以来かしら」
メイド「・・・・・・お風呂」
ジリリリリリリリ カチ
男「ふあ~ぁ・・・・ねむ・・・・おきるかぁ・・・」
男「朝飯は・・・・適当でいいか・・・・」
男「うわっ、すげえ寝癖・・・」
シャッ ガラッ
チュンチュン
男「おっ、今日もいい天気だ」
男「作業着はもった、よし!今日もがんばるかあ」
男「借金が俺を待ってるぜえ」
ガチャ
ガン!!!! 「へぶっ!!」
男「うお!!!なんだ!!!!」 バタン
女「いたたたた・・・・なんで急に開けるのよ!!こっちは急いでるのに!」
男「えっとすいません・・・」
女「もう!」 タッタッタッタッタッタ
男「あんな人住んでたんだな・・・なんか悪いことしたな・・・」
男「って俺も急がねえと!」
男「おはようございます!」
オハヨーウ ウィッス ウーッス
上司「おはようさん。今日もよろしく」
先輩「おっす!」
上司「で、今日の仕事はこの地域だ。ここは男と先と・・・
・
・
・
・
・
先輩「よーっし。ひとまず休憩にしよう!」
男「はあはあはあ・・・・」ゼエゼエ
同僚「先輩・・・なんでそんなぴんぴんしてるんすか・・・」 ゼエゼエゼエ
先輩「鍛錬あるのみだ!あと慣れだ!」
男「はっはっは・・・俺も鍛錬が足りないんですかね・・・」
同僚「うぜえ・・・」
パクパク モグモグ
先輩「そういやあ男はさあ」 モグモグ
男「はい?」
先輩「お前どこ出身なんだ?高校もよお」
男「ああ・・・」
同僚「そういえば全然話さないよな自分のこと」
先輩「高校はどこなんだ?こいつは結構いいとこの坊ちゃんなんだぜ」
同僚「いやあ・・・へっへっへっへ」
男(・・・・・・・)
男「いや、高校は普通のところですよ」
先輩「中退したのか?」
男「はい、親父が死んで借金もあったんでそれを返すために働き始めたんです」
同僚「へえ~。苦労人て奴か」
先輩「じゃあ、お袋と二人暮らしか」
男「母親はいません。今は一人です」
同僚「なんだ片親かよ」
男「・・・・まあ」
同僚「いいねえ苦労人てのは、俺も苦労っての?してみたいよはははは」
男「・・・・・」
先輩「おい同」
同僚「なんすか?」
先輩「なんだその言い方は」
同僚「なんすか何か変なこといったっすか?」
男「先輩いいんですよ。」
同僚「ちっ」
男「それに苦労なんてするもんじゃないぜ?」
先輩「・・・・」
・
・
・
・
・
同僚「おつかれ~っす」
先輩「あいつの言うこと気にすんなよ?悪気があっていってないのがアレだけどよ」
男「いや、気にしてませんよ。お疲れ様でした。失礼します」
先輩「どうだ男?何か食いにいかねえか?おごるぜ?」
男「本当ですか!」
先輩「おう!」
先輩「なんでも食べたいものでいいぞ!」
男「はい!」
先輩「って言ってもこの町はなにも無いんだよなあ・・・」
男「じゃあ、あの中華料理屋は・・・」
先輩「あそこか!あそこはなかなか美味いぞ!よく一人でふらっと寄ってくんだよ!」
先輩「でもあそこでいいのか?」
男「はい・・・ちょっと懐かしくて」
イラッシャーイ
先輩「さーて何食うか」
男「こんな感じだったな・・・」
先輩「どうした?」
男「ああ、昔親父とよくこういう中華料理屋に来てたんで懐かしくて」
先輩「そうか、ほれほれ何でも食え」
男「はい!」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
男『久しぶりに来たねー!』
男父『たまの贅沢だからな』
男『なに食べようかな~』
男父『・・・・好きなの食え』
男『じゃあこの五目ラーメン!』
男父『餃子はいいのか?』
男『じゃあ、餃子も!』
男父『おう、すいませーん!五目ラーメンと餃子!あとビール中ビン一本ね!』
アイヨー
男父『ふう・・・どうだ学校は楽しいか?』
男『うん!えっとねこの前ね!・・・・・・
店員『はいお待たせしました~』
男『わあ、おいしそー!』
男父『美味そうだな』
男『あれえ?お父さんは何も食べないの?』
男父『うん?・・・ああ・・・お父さんお昼ご飯たべすぎたからまだ腹が減ってないんだよ』
男『そうなの?せっかくのきゅーりょーびなのに』
男父『はははは・・・』
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
店員「はい、先にビールですね~」
先輩「どうだ一杯やるか?ってそうかお前まだ未成年か・・・」
男「いやまだ飲んだこと無いんで一杯だけ」
先輩「そうか?ほれ」
コポコポコポ
男「じゃあ」
先輩「乾杯」
ゴク グビグビグビ
先輩「っぶはー!うめえなあ」
男「・・・・うぉえ」
先輩「はっはっはっはっは!まじいか?俺も最初はそうだったよ!」
男「こんなのが美味いなんて・・・」
先輩「慣れだよ慣れ、鍛錬だ!」 ビシッ
男「そうなんですかねえ・・・」
店員「はい五目ラーメン、天津飯大盛り、餃子二枚ですね~」
先輩「おおきたきた」
男「じゃあ、いただきます」
ガツガツ ズルズル グビグビ
先輩「男」
男「あっち、はい?」ズルズルー
先輩「お前もいいとこのボンボンだったんだろ?」
男「!」
男「・・・・・・・・・わかりますか」
先輩「なんとなくな!」
男「・・・・」
先輩「仕草、言葉遣い、服装、そこからみてお前の育ちがいいってのは分かるよ」
先輩「あと、その腕時計」
男「これですか・・・」
先輩「ああ、そんな上等な腕時計つけてりゃ嫌でも分かるさ」
男「・・・ごめんなさい」
先輩「いやいや!責めてるんじゃねえんだよ!同僚の野朗があんまり自分がボンボンだってこと言うからよ!お前があそこでビシッと言っとけば
あいつも本物がきて黙ると思ったもんだから・・・」
男「俺・・・本当は〇〇高校出身なんです」
先輩「名門だな・・・・しかも超がつくほどの」
男「この前倒産した〇〇って会社知ってますか?」
先輩「ああ、××に買収された・・・」
男「俺はそこの社長の息子なんです」
先輩「・・・・・こりゃ驚いたな」
先輩「・・・そこの御曹司がいくら倒産したからってこんな所で働く必要ないくらいの金はあるんじゃないのか?」
男「いや・・・いろいろあって借金だけが残りました」
男「それに・・・金がありすぎるせいでいろいろと嫌なこともあったので・・・」
『結局は金だ!人は金でしかモノを見ていない!!』
先輩「そうか・・・まあ深くは聞かねえよ・・・人生いろいろだな・・・」
男「・・・・・・」
先輩「人生いろいろ・・・」
男「人生・・・」
先輩「俺はよ」
男「?・・・」
先輩「俺は・・・間違ってたらチンピラだっかもしれねえんだ」
男「先輩がですか?」
先輩「ああ。生まれは貧乏でよ、ただの貧乏ならいいんだが俺の親父ってのはまたどうしようもねえ放蕩者でな」
男「・・・・」
先輩「博打はやるわ、酒癖は悪い、女は連れ込む、まあ絵に描いたような駄目男よ」
先輩「酒をあおれば誰これかまわず蹴る殴る。その度お袋が俺を必死でかばってくれてな・・・」
先輩「そんなお袋も親父に耐えかねてどっかに消えたよ」
先輩「借金もあってよ、学校から帰ると借金取りが待ち構えてたりしてな」
先輩「借金取りと親父が言い争うのもしょっちゅうでよ、その度にぶん殴られた」
先輩「それで家にいるのがたまらなく嫌でなぁ・・・だから俺は毎日親父が寝るまで外をぶらぶらしてる毎日だったよ」
先輩「本屋で立ち読みしたりしてな、公園にいったりしてな・・・夜になるとお袋恋しくてよく泣きながら歩いたよ」
男「・・・・」
先輩「・・・・なにを話してるんだろうな俺はすまんなわすれてく
男「続けてください」
先輩「・・・・」
男「続けてください」
先輩「・・・・・・・そんな毎日を過ごしてるとな、不思議と似たもの同士で集まるんだよ」
先輩「いわゆるワルって奴だな・・・恥ずかしい話だがよ・・・いろいろやったよ・・・」
先輩「喧嘩にカツアゲに博打・・・」
男「・・・」
先輩「警察につかまる奴らもいてな・・・無知な俺らは逆に箔がつくなんてほざいてたよ」
先輩「本当に・・・滅茶苦茶でな・・・」
先輩「そんな生活が中学卒業ぐらいの年まで続いた・・・中学は卒業してない・・・」
先輩「15になってからはつるんでる奴らのつてでドカタを始めて・・・」
先輩「入った金は全部博打遊びに使ったりしてさ・・・」
先輩「心も荒んで・・・毎日訳もわからずイライラしてたな・・・」
先輩「そんな毎日を何年も送ってたらさ・・・・」
先輩「俺の人生・・・このまま過ぎていくのかな・・・このままでいいのかな・・・・」
先輩「なーんてよ・・・考えるようになったんだよ・・・」
男「・・・・・」
先輩「ある日家に帰ったとき・・・ふと本棚にあった小学校の時の国語の教科書が何故か目に留まってさ」
先輩「手にとって読んでみたらこれがよぉ、漢字がろくに読めねんだよ。笑っちまうよな」
先輩「ちょうどお前ぐらいの年だよ、何故か急に自分自身が恥ずかしくなってよ」
先輩「俺は字も読めないのか、字もろくに書けないのかってな・・・」
先輩「それで生まれて初めて・・・勉強がしたいって思うようになったんだ」
先輩「お前ぐらいの年になってさ・・・」
先輩「でもどうしたらいいかわかんなくて・・・周りの奴に勉強したいっていっても大笑いされて・・・」
先輩「そしたら現場のおじさんが夜間の中学校のことを教えてくれて・・・中学にまた入りなおしたんだ」
男「・・・」
先輩「ひらがなからやり直したよ・・・算数は足し算からやり直した・・・でも楽しくてな」
先輩「文字が書ける、読める。当たり前のことが出来るようになるのが・・・楽しかった・・・」
先輩「夜間中学が終わって、俺はまだ学びたくて定時制にも入った」
先輩「本が読めるようになって、それがうれしくて教科書に載ってる本を片っ端から読み漁ったよ」
先輩「知識が増えるにつれて気づくのは俺の無知さ・・・俺がしてきたことの愚かさ・・・浅はかさ・・・」
先輩「だから俺はいままでの俺と向かいあって、男とはなんなのか、人間とは何なのか」
先輩「生涯学んでいきたいんだよ」
「・・・・」
先輩「もしあの時、教科書をとってなかったら今の俺は無かったな・・・金溜めて大学にもいきたいと思ってる・・・」
先輩「まあ・・・なんだ・・・」
男「はい」
先輩「生まれ、天分とかは選べねえけどよ」
先輩「頑張ろうぜ。お互いさ」
男「はい!」
男「ごちそうさまでした」
先輩「おう!じゃ、また明日よろしくな!じゃあな!」
男「無知無学だった人があそこまでになるまでどんな苦労があったんだろう・・・」
男「男とは、人間とは何なのか・・・か・・・」
男「帰るか・・・」
男「流されて~流れ流れ~♪今はもうあ・・・誰だ・・・?」
ガチャガチャ
女「あれえ?なんで開かないのよー・・・」ガチャガチャ
男「朝の人か・・・あのー」
女「はい?こんばんわ・・・」
男「何してるんですか?」
女「えっと部屋の鍵が開かないんですよ・・・なんでだろー・・・」
女「JAF呼んだほうがいいのかなー・・・」
男(JAF?それ車のトラブルのときだろ・・・)「いやその部屋」
男「俺の部屋なんですけど」
女「」
男「はい」
女「」 サー
女「ごめんなさい!ごめんなさい!!本当にごめんなさい!!!!」ペコペコペコペコ
男「いえいえいえいえ・・・こっちも朝はすいませんでした」
女「うう・・・失礼しました・・・」
ガチャ バタン
男「・・・・面白い人だな」
男「えーっと・・・収入がこれで・・・食費が・・・光熱費は・・・」 ブツブツ
男「でー・・・返済にこれだけまわすから・・・生活費はーっと」ブツブツ
カタカタカタ タン タン
男「んー・・・なかなか厳しいな・・・もっと切り詰めなきゃだめよーだめだめ」
男「汎用性高いな」
ピンポーン
男「誰だ?」
女「こんばんわー」
男「あれ?どうしたんですか?」
女「さっきは本当にごめんなさい・・・」
男「ああ、気にしないでください」
女「そのお詫びにいっては何ですけどもし良かったら・・・」
男「これは?」
女「いもの煮っ転がしです。いやですk
男「いただきます!!!!」
女「ひっ」
男(野菜炒めしか作れない俺にとってはとんでもないご馳走だ!!)
男(しかもかなりの量!!しばらくこれで食えるぞ!!!!)
女「あ・・・じゃあ」
男「ありがとうございます!!」
女「お鍋はいつでもいいので・・・」
男「はい!!」
女(すごくうれしそう)
女(気に入ってくれるといいな・・・)
・
・
・
・
・
男「いもの煮っ転がしか・・・」
男「おいしそうだ!よし!いただきます!」
バクッ
男「うん!うん!・・・うん・・・・うん?」
男「ヴぉっ」
男「かっ・・・!っ・・・・!!かっ・・・!!!!」
男(なんて辛さだ!!塩の入れすぎだ!!)
男「かっ・・・辛すぎて・・・手が・・・震える・・・」 プルプル
男「みっ・・・水・・・水!!」
ジャー ゴクゴクゴクゴク
男「ぶはぁっ!!・・・はぁはぁはぁ・・・」
男「ど・・・どうするかこの料理・・・」
男「・・・・・・いや」
男「たまたま焦げた部分を食べただけかもしれないな」
男「もう一個食ってみよう・・・」
男「・・・・・・」オソルオソル
パク
男「・・・・・うん!」
男「ヴぉえっ」
男「駄目だ!!・・・・これは本気の奴だ・・・!!」
男「くっそ!!・・・どうする・・・捨てるか!?・・・いやでもせっかく作ってくれたんだ・・・」
男「どうすれば・・・」
・
・
・
・
女「うぇっ!からあい!!分量間違えたー!」
女「隣の人にあげたのどうしよう・・・捨ててくれたらいいけど・・・」
女「悪いことしたなぁ・・・」
翌朝
男「ひ・・・一皿分は・・・食ったぞ・・・」ゲソッ
男「今日も・・・頑張るか・・・」ゲッソリ
男「残りのタッパー分はどうすれば・・・」ガチャ
女「あっ」
男「あっ]
女(昨日の料理のこと謝らなきゃ・・・)
男(昨日の料理のことはなんて言えば・・・)
男&女「あの」
男&女「どうぞどうぞ」
男「・・・」
女「どうぞ・・・」
男(嘘でも美味かったというのが・・・男・・・か?)
男「昨日の料理」
男「おいしかったです」
女「うそっ」
男「えっ」
女「えっ」
女(嘘でしょ?///おいしかったのかな?///)
女「ほ・・・本当ですか?」
男「えっ?は、はい!」
男(本当に死ぬかと思ったけどな・・・)
女「よかったー!私不安で不安で!」
女「もしよかったらこれからも料理をお裾分けしますね!///」
男「えっ」
女「それじゃ!」 タッタッタッタ
男「」
男「こ・・・これからも・・・?」 タラー
男「あの料理をか?・・・」 ダラダラ
男「はは・・・はははははは」
男「・・・・引っ越すか?はははは」
男「はぁ・・・仕事がんばるか・・・」
妹母「はぁはぁ・・・ごほっ!!ごほっ!!・・・えふっ!」
妹「大丈夫?・・・」 サスサス
妹母「だいじょう・・・ごほっ!!大丈夫よ・・・早く学校行かないと遅刻するわよ」
妹「ううん・・・今日は休む!お母さんが心配だし・・・」
妹母「私は大丈夫よ・・・だから行きなさい?少しでも休むと勉強が遅れちゃうわよ?」
妹「・・・お母さん。私やっぱり学校行かないで働く。そうし
妹母「妹」 スッ
妹母「これはお母さんのお願いよ。学校だけは卒業してちょうだい?」 ナデナデ
妹「・・・」
妹母「ね?」
妹「・・・・・うん」 コクリ
妹母「ごめんね。私の身体が弱いから、あなたに迷惑ばかしかけて・・・」ナデナデ
妹「それは言わない約束でしょ?・・・」
妹「はぁ・・・お母さん大丈夫かな・・・」
妹「生まれつき心臓が弱いから・・・」
妹「私もアルバイトを増やしてお金を稼がなきゃ!」
妹「だけど薬代も掛かるし・・・やっぱりあのお金に手をつけなきゃやっていけなさそうなのよね・・・」
妹「でもお母さんは絶対使うなって言ってるし・・・」
妹友「妹ー!おっはよー!」
妹「!お、おはよー」
妹友「どうしたの朝から暗い顔して」
妹「なんでもない!それより昨日バイトでさー・・・・」
妹母「・・・・はあ」
妹母「私の病気にも困ったものね・・・子供に迷惑ばかり・・・」
妹母「ごほっ!!・・・はぁ・・・はぁ・・・」
妹母「やっぱり男父さんのお金に頼らなきゃいけないのかしら・・・」
妹母「でも・・・私は決めたじゃない・・・あの人に頼らないって・・・」
妹母「なんで・・・なんで・・・あんなに変わってしまったの?」
妹母「なぜ・・・」
妹母「う・・・・」ズキン
妹母「はぁはぁ・・・苦しい・・・」
妹母「男父さん・・・・・」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
『えっ?やめるんですか?』
『ああ。いつまでもここに居たんじゃ事業に集中できないからな・・・』
『男くんは・・・』
『あいつの為だ・・・今度こそは俺もこのチャンスを逃がさん・・・』
『もうちょっと待っててくれるか?まだこの事業は軌道に乗っていない。落ち着けるのも先の話だ』
『待ちますわ・・・・そしたら男くんの面倒は私が』
『いや・・・まだ会わせない方がいいと思ってる・・・まだ母親が帰ってくると信じてるからな・・・』
『時期が来たら話をしてお前と会わせようと思ってるんだ・・・それもこの事業が落ち着いてからだ・・・』
『ええ・・・わかりました・・・』
『・・・・』
『どうかしたんですか?』
『いや・・・この事業がようやく上手く行き出してな・・・利益も出るようになったよ』
『それはうれしいことです』
『ああ・・・それでな・・・急に昔の仲間から連絡が来たりしてな・・・』
『少し都合が良すぎないかなんて思ったりしててな・・・』
『大丈夫ですか?・・・少し疲れているんじゃ・・・』
『ああ・・・大丈夫だよ・・・前までの俺は優しすぎたんだ』
『何をいってるんですか・・・そのままのあなたが・・・』
『いいや・・・ビジネスは弱肉強食だ。残酷になれる奴が勝つんだ。俺も今までの失敗でそれがわかった』
『俺は・・・残酷になるぞ・・・』
『・・・・そんな』
『大丈夫だ・・・お前のため・・・男のためだ・・・』
『そんな・・・なんでですか?・・・』
『すまない。俺は男と二人で生きて行く』
『約束したじゃないですか・・・幸せになろうって・・・』
『ああ、確かにした・・・だが・・・』
『お前も俺の財産目当てなんだろう?』
『なんてこと言うんですか!私は・・・本当に・・・本当に・・・あなたを愛してるんですよ?』
『俺の周りに集まってきた奴らもそういう都合のいい言葉で迫ってきたよ』
『お前はやる奴だと思った。さすがはお前だ。そんなことをいいながらたかる気マンマンだ』
『俺の妻もそうだった。出て行ったのは貧乏な俺に愛想を尽かしたからだ』
『わかるだろう?みんなざいさn
ギュウ
『・・・』
『私は・・・私は・・・事業とかお金とか・・・そんなことわかりません・・・』
『あなたのことも・・・裏切りませんよ?・・・・』
『・・・そうか』
『手切れ金だ。これだけあれば足りるだろう』
『・・・・』
『俺も露出をするようになったんでな。隠れて交際するのにも周りがうるさいからな』
『子供ができました』
『・・・・』
『ですがあなたの頼りにはなりません』
『このお金もお返しします』
『私は・・・・この子を一人で育てます・・・』
『・・・そうしてくれ。やはり愛人や連れ子は世間体が悪くなるからな』
『・・・・・愛してます』
『・・・・・それでも愛してます』
『ふっ、どうだか』
『さよなら・・・』
『おい』
『・・・』ピタッ
『もし生まれたら・・・知らせてくれないか・・・』
『・・・・ええ』
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
妹母「・・・ごほっ!!・・・・」
バタッ
妹母「あなた・・・どこにいるんですか・・・」
妹母「会いたい・・・男くんも・・・私の子供と・・・」
妹母「仲良く・・・みん・・・で・・・家族・・・に」
・
・
・
・
・
・
医師「ご遺体は安置所に移さなくてはいけません。だれかご家族の方は」
妹「居ません」
医師「お母様のご両親や、お父様は・・・・」
妹「居ません。お父さんも見たことがありません」
医師「・・・あとでにしましょう。今はゆっくりしていてください」
妹「はい」
妹「・・・・・」
妹「お母さん・・・早すぎるよ・・・」
妹「もうすぐ誕生日だからプレゼント買うためにアルバイト頑張ったのに・・・」
妹「・・・うう・・・ひっく・・・私寂しがりやなの知ってるでしょ?・・・」 ポロポロ
妹「置いていかないでよ・・・」ポロポロ
妹「うああああん・・・・・」ポロポロ
医師「ではまた後で」
妹「ありがとうございました」
妹(結局お母さんの口からお父さんのことはなにも聞くことはなかった)
妹(振り込まれてたお金もやっぱりお父さんと関係があるのかも・・・)
妹(私は・・・やっぱりお父さんと会ってみたい・・・)
妹(お父さんがどんな人なのか・・・お母さんと何があったのか知りたい・・・)
妹(・・・あのお金も返さなきゃいけないし・・・探そう・・・)
妹(お父さんを)
・
・
・
・
・
男「お疲れ様です」
先輩「おう!また明日よろしくなー!」
男「ふう・・・今日も仕事が終わったなぁ・・・」
子「おかあさーん今日晩御飯なにー?」
母「お魚よー」
子「えー!お肉がいーいー!」
母「わがまま言わないの!」
男「はは・・・」
男「家族か・・・いいな・・・
男「家族・・・俺の母親はどんな人だったかな?」
男「小さいころだったから忘れちまったな・・・」
男「・・・・・・」
男(6歳の時に俺を置いて他の男一緒に出ていったんだよな・・・)
男(必死に俺は母親にしがみついて・・・振り払われたっけなぁ)
男(・・・今思えば浮気だったんだな)
男(そのおかげで散々、母親がいないってことに泣いたよ)
男(まぁ、それも昔の話。今や母を恋しいとは思わん)
男(むしろ俺を捨てた母親が憎い・・・)
男(色恋ごときで簡単に子供を、夫を捨てられるのか?・・・)
男(わからねえなあ・・・)
男「ちっ・・・何故だか腹が立ってくるな・・・」
アパート
男「さぁて今日の晩飯は何にするか・・・な?・・・」
女「あ!こんばんわ!」
男「どうも・・・そ・・・それは?」
女「ああ、これ・・・また作ってきたんです!!今日は肉じゃがです!」
男(くそ!いつか来るとは思っていたが、こんな短いスパンなのか!)
女「ぜひ食べてください!!」 ズイ
男「うっ・・・」
女「?」ニコ
男「いただきます・・・」
女「感想も・・・聞かせてくださいね!///じゃ!///」
タタタ バタン
男「もうすぐ死ぬかもしれんな・・・」
男「・・・・・」
男「い・・・いただきます・・・さあ、食うぞ・・・。食うぞ!!食うぞ!!」
スッ
男「あー・・・」 プルプル
バクッ
男「おっ?・・・」
男「かっ」
・
・
・
・
・
女「あんなしょっぱい煮っ転がしをおいしいっていうから思いっきり味付けしちゃった」
女「気に入ってくれるといいなー」
ジャー ゴクゴクゴクゴク
男「ぶはっ!!はぁ・・・はぁ・・・なんてこった・・・差し入れはうれしいがこんなに不味いとはな・・・」
男「なんとかしてあの人の差し入れを断わらなきゃ俺が死んじまう・・・気持ちはすごくうれしいんだが・・・」
男「正直にいうしかないのか・・・」
・
・
・
・
・
・
ガチャッ
メイド「ただいま」 バタン
メイド「・・・はあ、今日は何を作って食べようかしら」
パカッ
メイド「・・・野菜炒めでいっか」
ジュワアアアア ジャッジャッジャ
メイド「・・・・」
おばさん『いやあ、あなたが来てからこの弁当屋も大繁盛よ!前まで見向きもされなかったのに!』
おばさん『美人だからあなた目当てでくるお客さんも多いのよ!本当に助かるわあ!』
おばさん『本当に何をやっていたの?』
メイド「・・・・」 サッサ
メイド「完成」
メイド「いただきます」
カチャカチャ
モクモクモク
チャッチャッチャ
メイド「野菜炒め・・・ぼっちゃんの大好物・・・」
メイド「元気にしているでしょうか・・・ちゃんと食べているでしょうか・・・」
メイド「はぁ・・・」
・
・
・
・
テレビ「それでは正解のVTRです!」
ピッ
メイド「つまらない番組ばかり・・・」
男『人生をやり直してほしい』
メイド「人生・・・やりなおすってどういうことでしょうか?」
メイド「仕事も見つかって、住むところもみつかって・・・お金もありますが・・・」
男『今までありがとう』
メイド「・・・私は・・・・何が欲しいの?」
翌朝
メイド「おはようございます」
おばさん「あら!おはよう!今日もよろしくねー」
メイド「はい」
バイト「おはようございます!!」
メイド「おはようございます」
バイト「っ・・・///」 ペコ
おばさん「おはよう!」
バイト「あっ、あっ、お、おはようございます!」
おばさん「どうしたのよ朝から・・・」
バイト「いやぁ・・・」
・
・
・
・
おばさん「はぁー!ようやく完成した!はいこれ〇〇工務店さん達が注文したお弁当ね!」
バイト「うわ・・・結構多いですね・・・」
おばさん「そうねえ・・・バイクでは無理だから車での配達になるわね・・・メイドちゃん!」
メイド「はい」
おばさん「悪いんだけどバイトくんと一緒に配達にいってくれないかしら?一人だと大変そうだから」
メイド「かしこまりました」ペコリ
バイト(・・・随分と丁寧だなぁ)
バイト「じゃ、じゃあいきましょう!」
メイド「はい」
ブルン ブルルルルル ブオオオーン
バイト(メイドさんと一緒に配達に行けるなんてラッキーだなぁ///)
バイト(こんな美人さんがこんな弁当屋に来るなんて・・・) チラ
メイド「・・・」
バイト(本当に綺麗だなぁ・・・)ボーッ
メイド「前をみていないと事故を起こしますよ」
バイト「えっ!あっ、すいません!!」
バイト(まずい・・・見とれてた・・・)
ブオオオーン
バイト(なんか・・・喋りかけようかな・・・)
バイト「メイドさんは・・・前はどこかで働いてたんですか?」
メイド「・・・ええ」
バイト「なにやってたんですか?」
メイド「・・・それがなにかあなたに関係あるのでしょうか」
バイト「えっ、いや、少し気になって・・・あまり知らなかったから・・・」
メイド「さいですか」
バイト「僕は大学生なんですけどメイドさんも学生ですか?」
メイド「いえ」
バイト「そ、そうですか。じゃあ専門ですね」
メイド「大学を中退した身です」
バイト「あっ・・・すいません・・・」
バイト(そうか・・・中退なのか・・・いろいろ苦労してそうだなぁ)
バイト(これを気に仲良くなりたいけど・・・)
バイト「ひ、一人暮らしですか?」
メイド「はい」
バイト「あ、俺もです!自炊って大変ですよね!なかなか上手く料理とかつくれなくて」
メイド「そうですか」
バイト「は、はい・・・」
バイト(冷たい・・・)
ブオオーン
キキー
バイト「つきました・・・」
工務店社長「ああどうもね!・・・って」
メイド「お買い上げありがとうございます」
工務店社長「っへー!こんなべっぴんさんが入ったんか!うらやましいねー!私の古女房もこのくらいのかわ
メイド「滅相もございません」
妻「あなた」
工務店社長「うっ」
ヒュバッ
バイト「お待たせしましたー!」 ガサガサ
妻「ああこっちですよ」
工務店社長「フリッカージャブか・・・」 ダラダラ
メイド「お強い方でございますね」
ガヤガヤ ムシャムシャ モグモグ
工務店社長「これで全員に回ったか」
妻「はいこれおばさんにお礼の品物ね!」
メイド「ありがとうございます」
妻「新しく入ったんだってねぇ、おばさんが弁当屋小町だって自慢してたわよ」
妻「私も昔は美人でねー。色んな男が迫ってきてうっとうしいでしょう?」
メイド「いえいえ」
工務店社長「・・・よく言うよ」 ボソッ
妻「あなた」 クビギュルン
工務店社長「ひっ」
ガシッ ギャリッ ギギギギギ
アアアアアアアアアア
バイト「うおっ、ビクトル式腕ひしぎ逆十字固めだ」
メイド「もどりましょう」
妻「あ!ごめんなさいねバタバタしちゃって!またよろしくね!」ギギギギギ
工務店社長「ギブ!ギブ!折れるから!逆パカしちゃうから!」
メイド「仲睦まじいご夫婦ですね」
バイト「そ、そうですかね?」
ブルン ブオオオーン
バイト「ふう・・・大変でしたね・・・」
メイド「そうですね」
バイト(・・・・)
バイト「メイドさんここにきて何ヶ月くらいですか?」
メイド「・・・約半年くらいでしょうか」
バイト「もうそんなに立ちますか、早いですよねー」
バイト(ちょっとアピールしてみようかな?)
バイト「僕も政治系のサークル入っててディベートとかで本当に忙しいんですよ」
ペチャクチャ ペラペラ
メイド(・・・今日は空が綺麗ね)
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
ベランダ
男『・・・・・・』
メイド『ぼっちゃん。今日は寒いですからお身体に障りますよ』
男『ああ・・・』
メイド『さっきまたご主人様と喧嘩されていましたね』
男『うん・・・色んなことでな・・・』
男『親父が入院して久しぶりに帰ってきたからさ・・・俺が健康に気を使って」
男『貧乏だったころによく食ってた野菜炒めを作ったんだ。そしたらこんな惨めな飯なんか出すなっていうからさ・・・そっから喧嘩だよ』
メイド『野菜炒めですか』
男『ああ・・・昔親父がよく作ってくれてな、ちょっと金に余裕があると肉が入ってて、無いと肉なしなんだよ』
男『本当に困ってるとそれがもやし炒めに変わるんだよ。はははは・・・なつかしいなぁ・・・』
男『もやし炒めが出てくると、俺も幼心に我慢しなきゃ!と思ってわがままは言えなくてさ・・・』
メイド『・・・』
男『親父の気持ちも分かるよ・・・なんせ苦労したのは親父自身だから・・・』
メイド『・・・』
男『母親に逃げられて、地位を失い、トラックの運転手とビルの夜間清掃をしながらここまで這い上がってきたんだ』
メイド『そんな過去が・・・』
男『ああ・・・あの時は明日の食い物にも困るくらいだったんだ・・・俺はそれを間近で見てきたんだ・・・』
男『家賃が払えない時、金を人から借りる時、頭を下げた姿を・・・泣き言も一切言わず・・・』
男『信じられないかもしれないが親父はあんな人じゃなかったんだぜ?・・・それが・・・』
メイド『・・・』
男『・・・』
メイド『・・・』
男『都会だと光が多くて星が見えないな・・・本当はこの空も星で埋め尽くされているんだよな・・・』
男『親父も欲が多すぎて自分が見えなくなったのかもな・・・』
メイド『辛かったですね・・・』
男『ん?・・・ああ、親父は本当にくろ
メイド『ぼっちゃんもです』
男『・・・俺か?』
メイド『はい』
男『俺は・・・辛くなかったよ・・・まあ着るもの食うものには困ったことはあるが』
メイド『本当ですか?』
メイド『子供は親しか頼る人は居ません。親が苦しめばその子供も苦しみます』
メイド『そして見えていない所で子供は傷つき、一人で噛締めます。そしてそれを決して外に出したりしません、ましてや一緒に苦しんでいる親には』
メイド『私は辛かったです。苦しむ父の姿見ることが、わけのわからない切なさ、怒りが』
男『メイド・・・』
男『・・・』
男『辛かったさ・・・』
メイド『・・・泣いてもいいんですよ?吐き出してもいいんですよ?』
男『・・・』
メイド『そのまま・・・一人で傷ついていたら・・・壊れてしまいますよ?・・・』
男『・・・辛いといってどうなる』
メイド『・・・』
男『メイド・・・あんたのように辛い思いをしているのは俺だけじゃない』
男『それに俺は ''男'' だから・・・だから・・・人前で無くなんてできない・・・』
メイド『ぼっちゃん・・・』ポロポロ
男『ははは・・・お前が泣いてどうするんだよ』
メイド『う・・・うううう・・・』 ポロポロ
男『・・・』 ナデナデ
メイド『・・・』
男『ありがとう・・・ほら寒いから・・・中へ入ろうぜ』
メイド『はい・・・』
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
バイト「・・・なんですよ笑っちゃいますよね!」
メイド「・・・・」
バイト「き・・・聞いてない・・・」
メイド「空が綺麗です」
バイト「え?」
メイド「空が」
バイト「あ、ああ・・・そうですか」
バイト(なんか食事に誘えそうにないな・・・)
ブオオオーン
・
・
・
・
・
男「あーあー!汚男さん大丈夫ですか!」
汚い身なりの男「ふひゅー!ふひゅー!だだだだ大丈夫です」
先輩「あちゃー・・・こりゃとんでもない奴を派遣によこされたな・・・」
同僚「髪はボサボサ、無精ひげに服も汚ぇ・・・まともに喋れねえしまず臭え・・・」
先輩「こらっ、そんなこと言うんじゃねえよ。あいつなりに一生懸命なんだからよ」
同僚「へっ、出たよ偽善者」 スタスタスタ
先輩「・・・偽善者か」
男「このタンスを3階に運ぶんですが、汚男さん!大丈夫ですか・・・?」
汚男「はい!多分・・・」
男「じゃ、そっち持ってください、せーの!」
汚男「んぎぃぃぃぃぃ」 プルプルプルプル
男「だ・・・めですね・・・せんぱーい!!」
先輩「よしきた!!」
汚男「すすすすすいません!!」
先輩「おう!あっちいって休んでろ!慣れだ慣れ!」
イクゾ!! セーノ!!
汚男「・・・・・はぁ」
先輩「ふー、よし次だ次!」
男「はぁはぁ・・・本当に・・・なんでそんな体力が・・・」
先輩「慣れだ!!」
男「本当に・・・頭が下がるぜ・・・」
先輩「さーってと・・・うん?」
汚男「・・・・・」プルプル
同僚「おい何とか言えよ。おい」 ガッ
同僚「おめーみてえの見てると腹が立ってくるんだよ。いたわお前みてえな奴」
汚男「・・・・くっ」プルプル
同僚「くっせーし、とろいし、役立たず。何し来たんだよおい」ゲシッ
汚男「うっ・・・ぐひぃ・・・」 ポロポロ
同僚「ぎゃはは泣くなよ!!」
ガッ
先輩「おいおい何やってんだ」
同僚「はぁ?」
汚男「うぐっ・・・えっぐ・・・」ポロポロ
先輩「その年で弱いものいじめか?情けねえ」
同僚「なんすかこのこの手、気安く触るんじゃえよ」
先輩「おいおい、俺は喧嘩してえんじゃねえよ」
同僚「じゃ、なんだよ。やんのか?ああ!!!?」
男「ちょっ・・・なんだなんだ?」
先輩「説教だ説教。おめえ少しは恥ずかしく思え」
同僚「んだこらぁああああ!!!」
先輩「落ち着けよ」 ガシ
ググググググググググ
同僚「いっ!!・・・・なんだよなめんじゃねえ・・ぞ」
同僚「くっそ!!」 バッ
同僚「やっちまうぞ!!こらぁ!!!!」
先輩「 」 ギロッ
同僚「」 ビクッ
先輩「なあ、落ち着こうぜ?」 ポン
同僚「ぐっ・・・クソが!」 スタスタスタ
男「大丈夫ですか?」
先輩「うん?・・・・ああ・・・・それよりこいつだ」
汚男「ぐひっ・・・うぐう・・・・」
汚男「・・・・はぁ」
男「落ち着きました?」
先輩「・・・・やれやれ」
汚男「ぼぼぼく・・・人に助けてもらったのははは初めてで・・・」
先輩「なんだお前も訳ありか」
汚男「えっ?わわわわ訳ありって・・・」
先輩「あー・・・」 チラッ
男「・・・」チラッ
男「まあ・・・そういうことです」
汚男「? ? ?」
・
・
・
・
男「・・・」
先輩「ふーむ・・・まぁ、いじめられてひきこもっていつのまに28歳ってことか」
汚男「は、はい・・・」
汚男「かかか彼女もできたことないし、女の子にももてたこともないし・・・どうすれば」
先輩「ヒゲ剃れ、服買え、風呂は毎日入れ!!あと痩せろ!!」
汚男「ええ・・・」
・
・
・
・
男「・・・」
先輩「ふーむ・・・まぁ、いじめられてひきこもっていつのまに28歳ってことか」
汚男「は、はい・・・」
汚男「かかか彼女もできたことないし、女の子にももてたこともないし・・・どうすれば」
先輩「ヒゲ剃れ、服買え、風呂は毎日入れ!!あと痩せろ!!」
汚男「ええ・・・」
先輩「ええ?じゃない当たり前だ!女はともかく人と接するのにも最低限決まりはあるんだぞ!」
先輩「清潔!!それだけ!!!!見ろお前の身なりを!!」
汚男「」 プ~ン
男「・・・・うん」
汚男「うぐっ・・・ぐひい・・・」ポロポロ
先輩「泣くやつがいるかばか!いじめてるんじゃねえんだ!今いったのは当たり前のことだぞ!」
先輩「明日までに俺がいったこと全部やってこい!!じゃねえとクビだ!!」
汚男「ぐひい・・・はははは、はい・・・」ポロポロ
汚男「おおおお、お疲れ様でした」
先輩「やってこいよ!あ!そうだ!あと髪を切れ!いいな!」
汚男「ははははい!」 タタタタ
先輩「ったく」
男「はははは、すっきりするといいですね」
先輩「まあ、あいつは見込みはあると思う」
男「なぜですか?」
先輩「ああいう奴らはたくさんいるからな・・・その中でなんとかしたいと思って思い切って出てくるのは少ないだろう」
先輩「チンピラも根暗も立ち直るのは一握りさ・・・俺はラッキーだ・・・あいつもその一握りであって欲しいな」
先輩「残念だが、人はどうしても外面に目が行くからな・・・手荒だが実際にやらせてみせて気づかせるしかない」
先輩「最低限身なりが整えば自信をもてるようになるだろう」
男「立ち直るといいですね・・・」
先輩「ま、そういうことだ。お疲れさん」
男「お疲れ様です」
男「身なりか・・・まぁ、汚いのは嫌だわな」
男「~♪」
トントン
男「うん?」
女「こんばんわ!」
男「ああ、こんばんわ」
女「この前の肉じゃがどうでした?」
男「えっ」ビク
男「ああ、すいません中々お鍋を返せなくて・・・」(どうする俺!?素直に言うか!?言わないと俺の命に関わるぞ!!)
女「いえいえ!大丈夫です!!」ニコ
男「・・・・」
女「どうでした?」
男「」
女「?」
男「おいしかったです・・・・」
女「!」 パァァァ!!
女(やっぱりうんとしょっぱいのが好きなんだ!///)
男(嘘は身を滅ぼすってか・・・よくいったもんだぜ・・・)
女「そうですか!うれしいです!また持っていきますね///」
男「そっすか・・・」 ズーン
女「あっそうだ・・・お名前聞いていいですか?」
男「えっ?ああ、男です」
女「私、女っていいます!よろしくお願いします!」 ニコ
男「」 ドキッ
男(綺麗に笑う人だな・・・)
男「・・・・・・」
女「あ、あの」
男「!・・・ああ、なんですか」
女「何をされてるんですか?」
男「俺は引越しの会社で働いてます。女さんは?」
女「私は大学生です!今年大学生になりました!」
男「じゃあ、俺の一つ上ですね」
女「ええ!そうは見えないですね!」
・
・
・
・
アパート
男「これ鍋です」
女「はい!じゃあ、おやすみなさい」
男「はい」
ガチャ バタン
男「ただいま・・・」
男「・・・へへっ、こんど飯を作りに来てくれるのか」テレ
男「はっ!!」
男「飯が不味いことを忘れてた!・・・」
男「次こそ・・・次こそしっかり言おう・・・」
:
:
:
:
妹「この写真は?」 ピラッ
妹「お母さんが写ってる・・・隣の男の人は・・・もしかして」
妹「お父さん?・・・」
妹「他にもある・・・」 ピラッ
妹「お母さんと写ってた男の人だ・・・それとこの男の子は?」
妹「ん?裏に何か書いてある・・・」
妹「〇〇年〇月××日 〇〇さんと息子と二人で・・・」
妹「!?」
妹「これって・・・口座に振り込んできた人と同じ苗字だよね・・・」
妹「お母さんがこの写真を持ってるって事は・・・・」
妹「この人たちは!・・・私の」
妹「家族・・・!」
・
・
・
・
カチャカチャ モグモグ
男「うん・・・少しは飯つくりが増しになってきたか?」
男「野菜炒めしかつくれねえけどな」
男「それにしても」ピラッ
男「膨大な借金だよなぁ・・・」
男「約1千万・・・」
男「秘書が弁護士を通してなんとか借金の額は削ってくれたが・・・」
男「俺が返す分だけで1千万以上・・・ヤクザからじゃないだけでも幸いか・・・」
翌朝
男「ふぁ~あ、おはようございます」
先輩「おうおはようさん」
汚「おおおおお、おはようございます」 サッパリ
男「あっ」
先輩「おっ」
男「髪切ってきたんですね」
先輩「ちゃんとやってきたな!!いいぞ!!」
汚「は、はひ!!」
先輩「さーて今日も食い扶持稼ぎに勤しむか!乗れ乗れーい!」
男「行きましょう!」
同僚「ちっ」
汚「は、は、は、はい・・・」
ブルン
ブオオオオ
男「・・・・・・・」
先輩「~♪」
汚「自分・・・く、臭くないっすか?」ズイ
同僚「なんだよいきなり!」
汚「大丈夫っすか?・・・」 ズイズイ
同僚「だ、大丈夫だよ来んなこっち!!」
ブオオオオン
男(今月の給料はどのくらい返済に回すか・・・食費はまあ俺が食わなければ済むからいいか・・・)
先輩「・・・・どうしたよ」
男「え?ああいやなんでもないです!」
先輩「そうか?」
男「はい・・・」
男(いけねえいけねえ・・・顔に出てたか・・・)
汚「本当に臭くないっすか・・・」 ガッ
同僚「本当だって!!掴むな!!寄るな!!」
・
・
・
・
先輩「さてと今日の仕事はおわりっと!」
男「・・・ふう」
汚「お、お、お、お疲れ様です!・・・」
同僚「はぁ・・・なんか汚男につきまとわれっぱしだった・・・」 ドヨーン
同僚「お疲れさんです・・・」
汚「お、お、お、お、お疲れ様です・・・」
先輩「おう!」 男「お疲れ様です」
同僚「・・・・お前なんでついて来るんだよ」
汚「えっいやっ帰り道こっちなんで・・・」オドオド
同僚「・・・はぁ」
汚「す、す、す、すいません・・・」
同僚「いいよ帰ろうぜ・・・」
汚「は、はひ!!」
同僚「うぜえ・・・」
男「はぁ・・・」
先輩「だいぶ疲れてんな」
男「そう見えますか・・・」
先輩「ああだいぶな」
男「そうですか・・・」
先輩「・・・・」
男「・・・じゃあ俺こっちなんで」
先輩「おう、身体に気をつけろよ!」
男「はい!・・・」
先輩「・・・借金があるっつってたな・・・だいぶ頭悩ましてるな」
先輩「帰るか・・・」
先輩(男の奴、あの年で借金とはな・・・)
先輩(金は無いと心が荒む、意地汚くなる、金はあるならあるだけいいもんだ)
先輩(俺は金持ちじゃねえからそこらへんはわからんが・・・)
先輩(金を借りる貸すってのは気分はよくねえもんだ)
先輩(だからそうなんだろう金はあるだけあったほうがいいかもしれない)
先輩(だが贅沢は敵だ、世の中金じゃねえとも言う)
先輩(人間て複雑だよな・・・おじさん・・・)
先輩(おじさんどうしてんのかなぁ)
先輩(俺が初めて現場で働いたときだったなおじさんとあったのは)
・・・・
・・・
・・
・
先輩「っへー、これがゲンバって奴かよ」
先友「おうよ!ここは結構ワリがいいからよ、稼いでパチンコで倍にしようぜ!」
現場監督「おい~っす、おめえか先友のダチってのは」
先友「はい!こいつっす!」
先輩「どもっす・・・」
現場監督「よくみりゃいいガタイしてんじゃねえか!じゃさっそく今日から頼むぞ!」
先輩「うぃっす」
先友「あのカントク怒らすと怖えからヘマやらかすなよ」ボソボソ
先輩「あぁ?んなもんぶん殴ってやるよ」
先友「マジで洒落になんねーから!気をつけろよ!このまえ新人が角材でぶったたかれて辞めたんだからよ!」
先輩「っへ!そいつはただの根性な
現場監督「おい!!突っ立ってねえで早くこっちかおい馬鹿たれ!!」
先友「ほら!さっそくだ!行くぞ!」ダダダダ
先輩「ちっ、そんなビクんなよな・・・」テクテク
先友「す、すいません!!」
先輩「すいませんす」
現場監督「はっはっは!!あんま舐めた態度とってるとやっちまうからな!気をつけろよ!」
・
・
・
・
・
先輩「くっそ!!重ええええ!!」ググググ
先輩「あっ」 グラッ
ガシャァァァン
先輩「いってぇ・・・」
先友(あんの馬鹿・・・さっそくやらかしやがった・・・)
おじさん「あーあーあ、こんな重いもんガキに運ばせてまったく監督は馬鹿だから・・・」 ガシャッ
現場監督「何してんだ馬鹿野朗!!てめえか!!あいつのダチの!!」
おじさん「いやーすんません、重くて重くて・・・」
現場監督「お前じゃねえ!!こいつだ!!」
先輩「くっそ・・・すいまs
おじさん「いやいや・・・俺がやっちゃったんですよ」
先輩(はぁ?・・・なんだこのおっさん)
おじさん「いやーすんません気をつけますんで」
現場監督「ちっ、・・・・気をつけろよ」
おじさん「はい」
おじさん「さてと」 ガシャ テクテク
先輩「おいおっさん・・・おい!おい!おいったら!」
先輩「なんだあいつ・・・かばったつもりかよ・・・ガキ扱いしやがって」
先輩「ふうー・・・労働ってのは疲れるもんだな・・・」
先友「でも金がもらえるんだ。どうやって使っても何もいわれねえんだからよ!いいもんだよな!」
先輩「それもそうだな!!たくさん稼いで好きにやっちまうか!!」
現場監督「おっーし、よう!お前らほら!今日の食い扶持だ!!」
先友&先輩「おお!」
先友「よっしゃあ!増やしにいくか!!」
先輩「へっへっへっ全部スるなよ!!」
おじさん「なんだお前ら。パチンコにいくんか」
先友「なんだよおっさん・・・また説教たれんのかよ・・・」
先輩「てめえはさっき俺の・・・」
おじさん「やめとけやめとけ、お前ら馬鹿だからどうせ全部使っちまうんだ。食いもんが買えなくなるぞ」
先輩(なんなんだよこのおっさんは・・・) ヒソヒソ
先友(名前はわからねえけどおっさんって呼んでる。説教たれんのが好きな変なおっさんだよ・・・) ヒソヒソ
おじさん「ほら今日は帰った帰った!博打なんてやるもんじゃねえ!」 スッ
先輩「さわんじゃねえ!!」ガッ
おじさん「・・・」
先輩「てめえらも酒や博打くらいやんだろが!説教なんていらねえんだよ!」
ポカッ
先輩「あだっ!!」
おじさん「馬鹿!お前らの年は勉強するって決まってんだ!帰って勉強して寝ろ!」
先輩「いたた・・・そんなの誰が決めたんだよ!」
おじさん「んなもん相場で決まってるんだ」
先友「まあまあおっさん・・・今日は帰るからさ、もういいだろ?」
おじさん「ったく、お前も勉強してんのか!」
先友「してるしてる!ほらいこうぜ!」 ダッ
先輩「このクソ親父!」 ベーッ
おじさん「馬鹿たれが」
ーーーこうして彼らは博打と酒をあおる日々を過ごしていった。
先輩「今日はだいぶ稼いだな!おい!」
先友「ダチ集めてぱーっとやろうぜ!!」
先輩「おう!!」
・
・
先友「うーっ・・・二日酔いだ・・・ガンガンする・・・」
先輩「うおえっぷ・・・」
現場監督「こらー!!何ちんたらやってんだよ!!ボケ!!」
・
・
・
おじさん「なーんだお前らまたパチンコか」
先輩「おうよおじさん!どうせ止めても無駄だぜ!」 ベーッ
おじさん「おい!」 ガッ
先輩「離せよ!どうせ若いときを無駄にすんなよってことだろ?知ってるよ!」
そしてある日
先輩「今日は天気がわりいな・・・」
先友「あ?・・・ああ・・・ちっ」 イライラ
先輩「なんだよまたいったのかよ」
先友「そういうお前もいったんだろうがよ」
先輩「・・・ああ」
先友「あーあ、あの店最近出しやがらねえ!おかげでスッカラカンだぜ!!」
先輩「ああ・・・」
先友「あーあ!!クソ!!イライラすんなもう・・・」
先輩「ああ・・・俺もだよ・・・別にパチンコに負けたからじゃねえんだ・・・なんかさ・・・」
先友「なに馬鹿なこと言ってんだよ。負けたからイライラしてるに決まってんだろ」
先輩「そうかな・・・」
先友「ああそうだよ」
先輩(違うんだよ・・・なんていったらいいかな・・・なんかとにかく違うんだ)
先輩(イライラするんだ・・・なぜか・・・なんでだ?)
おじさん「ようお前ら馬鹿がそろってイライラ、イライラしてどうした!」
先友「ちっ、なんだよおっさんまた説教垂れに来たのかよ」
おじさん「そうだ!」
先輩「今日は何聞かせてくれるんだよおじさん」
おじさん「なんだいやに楽しみそうだな!」
先輩「・・・ああ楽しみだよ」
先友「あぁ!?なんだよお前」
先友「お前頭でも打ったのか?こんなおっさんの話なんてどこがおもしろいんだよ」
先輩「さあな・・・だけどおもしろいと俺は思うぜ?」
先輩「なぁおじさん今日はどんな説教してくれんだよ」
おじさん「なんか今日はやりにくいな・・・」
先輩「へへっ」
おじさん「そうさな・・・お前ら今までまったく勉強してないだろう」
先友「まーたその話かよ・・・どうせ勉強はお前の将来の為になるってんだろ?知ってんだよ」
先輩「・・・」
おじさん「そうだ。わかってるじゃないか!才子は才ならず愚は愚ならずってな?」
先友「あーはいはい・・・おっさん・・・俺たちは馬鹿なんだよ」
先友「馬鹿だからここにいるんだよ・・・。馬鹿だから隅に追いやられてここにいるんだよ」
先友「馬鹿だから・・・馬鹿だからさ・・・そんな上等なこと言われても・・・俺は何もできねんだよ」
先友「おっさんもそんなインテリなこといっててもさ・・・所詮俺達ドカタと一緒だぜ?滑稽だぜ・・・」
おじさん「・・・・なにもいえんな」
先友「そろそろ昼休憩も終わるぜ、ほら行こうぜ」
先輩「あ、ああ・・・」
おじさん「・・・・」
先輩「あ、おじさん!」
おじさん「!」
先輩「そのさっきのサイシはサイならずって奴!今度意味教えてくれよ!」
おじさん「・・・おう!」
トリップ忘れてた・・・
先輩(不思議とおじさんの説教を聴いてるとイライラが収まるんだ)
先輩(何故かはわからねえ・・・先友の言うように馬鹿だからか言葉にしていえねえけど)
先輩(不思議とな・・・・)
先友「あーあおっさんはつまらねえ説教も、この仕事も何もかもつまらねえな・・・」
先輩「・・・」
先友「よう、今日は久しぶりにダチを集めて遊ばねえか」
先輩「ああ・・・」
先友「よっしゃ決まりだな!」
先輩(また酒をあおって二日酔いかな・・・)
現場監督「よう、先友!今日はデキが悪かったから給料は減らしたからな!」
先友「はぁ?」
現場監督「なんだ文句あんのか」
先友「いや・・・」
先輩「・・・気にすんなよ、俺の分も分けてやるからよ」
先友「ふざけんな!俺は乞食じゃねえぞ!!」
先輩「そんなつもりじゃねえよ」
先友「・・・ごめんな」
先輩「いいよ」
先輩「ほら、今日はダチと集まるんだろ。行こうぜ」
先友「ああ・・・」
その夜
ダチ1「久しぶりだな!おい!」
ダチ2「なんでえ汚い作業着で!」
先輩「そういうおめえらはべらぼうな格好してんじゃねえか」
先友「なにやって食ってるんだよ?」
ダチ1「俺達か?これよ」 スッ
先輩「ヤーさんか・・・」
ダチ2「おうよ、親父はこええけど羽振りはいいし女もだけるんだぜ?」
先友「本当かよ!!」
・
・
・
・
先友「お前も行こうぜ?子分になれば俺たちもあいつらみたいに・・・」
先輩「俺はいいよ。第一ヤクザなんてろくな死に方しねえよ」
ダチ1「なにいってんだ!俺達みてえのが這い上がるにはこのくらいしかねえんだぞ!?」
ダチ2「ほらすぐそこが俺たちの組の事務所だからよ。俺が話しつけてやるよ」
先友「よっしゃあ!これからはあんな肉体労働しなくても金が稼げるんだな!」
先輩「お、おい先友・・・本気で行くのか?」
先友「当たり前だろ!今の仕事にはこりごりしてんだ!だからお前もさ!」
先輩「先友・・・」
「こらぁ!!!!!!」
先輩「!!」
おじさん「お前らこんな夜遅くなにしてんだ!!!!!」 ヒック
先友「まーたおっさんかよ・・・」
ダチ1「なんだおっさん?こっちは立て込んでるんであっち行ってくれませんかね?」
おじさん「ばかたれ!」
ポカッ
ダチ1「いてっ!何だこのやろ!!」
おじさん「おめえらみてえなガキがこんな時間にうろちょろするんじゃない!!いいか!?・・・!!・・・!!」
先輩「おじさん・・・」
先友「あいつ頭おかしいからほっといて行こう!早く組に案内してくれ!!」
ダチ1「いてて・・・覚えてろよ!」スタスタ
ダチ2「なんだあいつ」スタスタ
先友「おい!俺はもうあしたから仕事場にはいかねえからよ!!お前も気が変わったらこいよ!!」
先輩「あ!おい!」
おじさん「あっ!こんにゃろ説教の途中で・・・」 ヒック
先輩「おじさん・・・って酒臭!!なんだよ!酒は飲むなって俺達にいっててあんたは飲んでるじゃねえか!」
おじさん「馬鹿野朗!俺は大人だからいいんだ!」
先輩「なんだそれ!ずるいじゃねえか!」
おじさん「ほら!家に帰って勉強して寝ろ!送ってくから!」
スタスタスタスタ
おじさん「・・・・」
先輩「・・・・なあおじさん」
おじさん「ん?」
先輩「この前言ってたさ・・・なんだっけ?サイシは?グならず?」
おじさん「才子は才ならず 愚は愚ならず。」
先輩「そうだ!それだ。それってどういう意味なんだ?」
おじさん「これはな、頭がいい奴はその才能に溺れて努力をしないが馬鹿は自分の馬鹿さを知ることでそれなりに努力をする。」
先輩「・・・」
おじさん「だからお前みたいなまだガキのころは馬鹿な方が自分の馬鹿さ、愚かさ知れるからいいってことよ」
おじさん「才能がある奴は溺れて馬鹿になる。だけど馬鹿は馬鹿なりに人物になるってこった」
先輩「へぇ・・・」
おじさん「まぁ、馬鹿は馬鹿で終わるのがだいたいだけどな・・・」
おじさん「ただお前らには馬鹿は馬鹿なりにやるべきことをやってほしいだけだ・・・それが勉強ってことよ」
おじさん「なのにお前らはピアスなんかしやがって!このこの!」 グイグイ
先輩「いてて!ばかばか!!ひっぱんな!ちぎれる!!」
おじさん「勉強をすれば教養がつく、世界が広がってくるぞ!」
先輩「勉強ね・・・おじさんは偉そうに言ってるけど前は何をしてたんだよ?」
おじさん「俺は水産事業者だ」
先輩「え?」
おじさん「水産っていってな、魚の関係の仕事をしてたんだよ」
おじさん「大学を出て会社に入って世界中を飛び回ってたんだが・・・」
おじさん「俺がしくじってな・・・会社に見捨てられて一文無しでドカタだよ」
おじさん「まぁ、諸行はすべて無常。今までが上手く行き過ぎたんだよ」
おじさん「今はこんなんだが今の自分は勉強をしてこなかったら無かったと思ってる」
おじさん「そんなところにお前みたいなガキが入ってきたからさ、こんな所で燻ってるよりも勉強して世界に飛び立ってほしいと感じたから」
おじさん「お前らに何かしら為になればと思ったんだが・・・駄目だ、俺も所詮同じドカタだから」
先輩「へぇそうだったのか・・・」
おじさん「俺もこんなところで燻ってないぞ!」
先輩「どういうことだよ」
おじさん「俺もここで数年働いてるが、昔のつてで新しい仕事が決まりそうでな」
おじさん「また外国で仕事をするんだ」
先輩「・・・じゃあいなくなっちまうのかよ」
おじさん「そうだ!一期一会だ!」
先輩「・・・・」
先輩「ここが俺んちだよ・・・ありがとう・・・」
おじさん「おう!勉強しろよ!」
ガチャ
先輩「クソ親父はいないか・・・どこかで野垂れ死んだか?ったく、酒ビンばかりじゃねえか」
先輩「ふぅ~・・・」 ドサッ
先輩「・・・・」 チラッ
先輩「そういや・・・うちにも一応本棚なんてあったんだな」
先輩「・・・」スッ
先輩「うわ・・・ほこりかぶってやがる・・・これは国語か・・・」
パラッ
先輩「えっと・・・なんて読むんだ?スーほーの白い・・・」パラッ
先輩「ええっと・・・は猫?である。名マエはまだ・・・はは・・・」
先輩「これ・・・小学4年の教科書だよな?」
先輩「これは・・・」 スッ パラパラ
先輩「やっばいな・・・ろくによめないなぁ・・・」
先輩「おかあさん!これなんてよ・・・」
先輩「って・・・母ちゃんなんてとっくにいねえじゃねえかよ・・・」
先輩「・・・・わかんなかったらよく母ちゃんに聞いてたっけな」
先輩「・・・」ジワッ
先輩「・・・」ポロポロ
先輩「あれ?おかしいな・・・」ポロポロ
先輩「なんで・・・ヒック・・・泣くんだろ・・・エッグ・・・」 グシグシ
先輩「恥ずかしいな・・・ヒッグ・・・何もわからねえや・・・母ちゃん・・・」ポロポロ
先輩「泣くっ・・・泣く奴があるかよっひっ・・・馬鹿・・・」グシグシ ポロポロ
数日後
昼休憩
先輩(そういえば最近おじさんみないな・・・)
現場監督「よう!お前先友がどうしてるかしらねえか!」
先輩「俺もわからないんです。何も聞いてません。」
先輩「そういえばおじさんはどうしたんですか?」
現場監督「あ?ああ、あいつなら今日辞めるぞ」
先輩「えっ・・・」
現場監督「何でも外国に行くとかなんとかいってたな。あいつもここは長かったけどなぁ」
現場監督「で、お前さっきからなに読んでるんだよ?」
先輩「教科書です・・・」
現場監督「教科書ぉ!?はっはっはっは!今更勉強か!」
先輩「・・・」ムッ
現場監督「ばかだなぁ!やったってこんなのクソの役にもたたねえのに」 バッ
先輩「あっ!」
現場監督「なになに?我輩は猫である?なんだルビが振ってあるじゃねえか!お前こんなのも読めないのか!はっはっはっは!!」
おじさん「返せ!!!!」
現場監督「ん?」
先輩「あっ・・・」
現場監督「よう来たか」
おじさん「それを返せ!!!!」
現場監督「なんだよからかっただけじゃねえk
おじさん「やろうとしてる奴を馬鹿にするんじゃない!!!!それを返せ!!!!」
先輩「おじさん・・・」
現場監督「なんだよ・・・ちっ、ほらよ」 バサッ
先輩「おっと・・・」
おじさん「退職手続きの書類だ」 スッ
現場監督「へっもともとお前は気に入らなかったんだ。さっさと帰れ!ほら!休憩は終わりだ!!ほらほら!!」
先輩「あっ、おじさん!ありがとよ!えっとえっと・・・」
おじさん「大丈夫だ。仕事が終わるまで待っててやる」
先輩「!!・・・約束だぞ!!待ってろよ!!」ダダダ
・
・
・
先輩「・・・」
おじさん「何も言わないで悪かったな。今日でお別れだ」
先輩「おじさん」
おじさん「ん?」
先輩「俺、言われたとおり勉強してみるよ。ほら今日から教科書も読み始めたんだ」
おじさん「・・・そうか、お前学校へはいつまで通ってたんだ?」
先輩「えっ?・・・中学からろくに通ってねえよ」
おじさん「そうか・・・よし」
おじさん「・・・」
先輩(ここが中学校か・・・)
教師「お待たせしました。えーっと入学希望の子だね?」
先輩「は、はい!」
教師「そしてあなたは」
おじさん「職場の上司です。同伴で来ました」
教師「わかりました。・・・君はどうして入りたいと思ったのかな?」
先輩「えっと・・・べ、勉強がしたいから・・・」
・
・
・
・
おじさん「よかったな、中学だから授業料も取られない。思う存分学べよ」
先輩「・・・ありがとう」
おじさん「ああ。じゃあここまでだ。俺は明日の朝には日本を発つ」
先輩「外国にいくのかよ・・・」
おじさん「いったろ?いつまでも燻ってないって!・・・少年よ大志を抱けってな!」
先輩「なんだそれ!」
おじさん「それを学ぶんだろ!・・・じゃあな。頑張れよ」
先輩「・・・うん」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・
・
先輩「ふわぁーあ・・・疲れたなぁ・・・・」
先輩「明日からも仕事頑張るか・・・金も溜めて早く大学ってのにも行かなきゃならんからな
先輩「♪~」
・
・
・
・
男「あっ」
女「こんばんわ!」
男「どうしたんですか?」
女「前に約束したじゃないですか!ご飯作りですよ!」 ガサッ
男「ほんとうで!!!!・・・」 ハッ
男(忘れてた!!!!!料理の腕が壊滅的なことを!!!!!)
女「~♪」 カチャカチャ
男「・・・・」
男(どうする!!はっきり言うか!?それとも死ぬか!?)チラッ
女「~♪」 グツグツ
男「あ、あの~。女さん?」
女「はい!」
男「こ、献立はなんですかね・・・?」
女「肉じゃがです!!」 ジョキジョキ
男「そ、それは」
女「塩です!!」 ザザー
男(あああああああああああ!!!!!)
女「この前あんなに作ったのに残さず食べてくれましたから張りきっちゃいます!!
」
男「は・・・ははははは」 ピクピク
男(塩を袋まるまる入れた肉じゃがを食ってみろ・・・本当に死ぬぞ・・・)
女「もうちょっとで出来ますから待っててくださいね!」
男「た、楽しみです・・・」
男(正直に・・・正直に言わなきゃ・・・命が・・・)
女「?」ニコ
男(言えん・・・)
女「はいどうぞ!!」コト
男「・・・・」ズーン
女「どうしました?」
男「おいしそうですね・・・」
女「本当ですか!さあさあどうぞ!」
男(えええい!!!!食うしかねえ!!!!!)
男「いただきます!!」 ガッ
女(なんで汗かいてるんだろう?)
男「くっ・・・!!」 プルプル
女(何をためらってるんだろう?)
男「・・・」 アーン
男「あーっ・・・・」 プルプル
女「ど、どうしたんですか?」
男「いや食べるのがもったいないと・・・」
女「ええ?ふふっ、面白い人ですね!」
男「ちょっと待って深呼吸を・・・」フーフー
男「いただきます!!!!!」 クワッ
バクッ
このSSまとめへのコメント
はやく、はやく続きが読みたい。
メイドさん、なによりこの主人公さんのこれからの人生。
出来ればこの二人が再会できるよう・・・。
続きはよ!!!はよはよはよ!!
メイドさんと幸せになるって設定よね??
良作
続きいついついつ〜!?
先輩の過去話いらね〜。
いい話やったー
続きが見たいです。