モバＰ「今度のイベントで、インターネット企画としてアイドルの私物オークションをやるって話はしただろ？」

笑美「あぁ、アレなぁ。ウチもなんかオモロい商品考えなアカンねんけど、なんっか今ひとつ思い付かんくてなぁ……」

モバＰ「それがお前だけじゃ無いんだよ」

笑美「へぇ？どうゆうこと？」

モバＰ「他のアイドルの出品教えた方が早いだろう……」

モバＰ「えー、前川みく、『今日のお弁当に入ってた鮭』」

笑美「どないして送んねん！」

モバＰ「宮本フレデリカ、『投げキッス』」

笑美「どないして送んねん！！」

モバＰ「櫻井桃華、『コンビニエンスストア ポ〇ラ』」

笑美「どないして送んねん！！！」

笑美「ほんで最後のはオークションに出すモンの域超えてるやろ！最近〇プラ見ぃひんと思たら櫻井家が持っとったんかい！」

モバＰ「最後のは俺のアドリブだ」

笑美「アドリブかい！」

モバＰ「……でもまぁ、大体こんな風に、全員が何かしらボケようとしてくる」

笑美「Ｐはんもえぇツッコミしてくれるからなぁ」

モバＰ「さすがに俺も疲れた。だから笑美を呼んで、今日事務所にくるアイドルの出品にツッコんでいってもらおうと思ってな」

笑美「そうゆうことかいな……」

モバＰ「頼めるか？」

笑美「面白そうやん！任せとき！」

ｶﾞﾁｬ

成宮由愛「おはようございます…」

『オークション出品ツッコミ係代理 難波笑美』

笑美「………」

由愛「……？」

由愛「あの、プロデューサーさん…」

モバＰ「あぁ、由愛」

由愛「おはようございます…」

モバＰ「もうツッコミは貰ったか？」

由愛「はい…？」

モバＰ「貰ってないなら笑美の所へ行ってきなさい。行けば分かるから」

由愛「は、はぁ……？」

由愛「あの……笑美さん…」

笑美「『オークション出品ツッコミ係』代理、難波の笑美チャンや」

笑美「由愛ちゃん、自分がオークションに何出品したんか、言うてみぃ」

由愛「えと……もっと小さい時に欲しかった絵の道具を買ってみたんですけど…あまりに使い勝手が違って……」

笑美「今の水彩画セットでエエから、その絵の道具を売りに出そうと？」

由愛「はい……あ、でも、コレも便利なんですよ……」

由愛「ここのスポンジに水を染み込ませるだけなので……バケツを倒す心配もいりませんし……」

笑美「ほうほう」

由愛「カラーブロックを入れ替えるだけで……自分の好きな配置に出来ます……ほら……」ｽｯ

笑美「ん……？」

由愛「大きな虹も……お馬さんも……ご覧の様にスーイスイ……」

笑美「レインボーアートデラ〇クスや！！！」

笑美「レイ〇ボーアートデラックスやんけソレ！！！」

由愛「垂れない…跳ねない…手に付かな～い……」

笑美「もうエエっちゅうねん！紹介まんまパクりやん！！」

由愛「あ……これだけじゃありません……」

笑美「えぇ？６色同時に描けちゃうメガブラシやろ？」

由愛「いえ……」


由愛「私が普段使ってる方のセットで描いた……風景画を……」

笑美「ほなもうソレだけでエエやん！！」

笑美「せめて同封の商品くらいレインボーア〇トデラックスで描けや！当て付けか！！」

由愛「紹介文には〇インボーアートデラックスで描いたって書こうと……」

笑美「立派な詐欺や！！！」


笑美「……とにかくコレは認められへんで。風景画だけの出品にしとき」

由愛「はい…ありがとうございました」

ｶﾞﾁｬ

片桐早苗「おはよー……あら、笑美ちゃん」

笑美「早苗はん。あなた今度のオークションに何出品しはったんですか」

早苗「あぁあれ？」

早苗「木刀とー……」

笑美「木刀ひーとーつー」

早苗「木刀とー……」

笑美「木刀ふーたーつー」

早苗「木刀」

笑美「木刀ばっかやん！」

早苗「あとは」

笑美「あとは？」

早苗「木で出来た刀と……ウッドソード」

笑美「５本とも木刀や！！！」

笑美「マニアか！！」

早苗「小中高の修学旅行で買ったのと、大学の時の友達と行った旅行、あとこないだのロケ地でも買ったから５本」

笑美「全旅行で木刀買うとるでこの人！学習能力無いんか！！」

早苗「いや、いつか必要になるかなーってね？」

笑美「その結果がオークション出品かい！」

笑美「明らかに押し付けやん！」

笑美「ていうか由愛ちゃんと言い早苗はんと言い、オークションを体の良い廃品回収みたいに扱うんやめぇや！」

早苗「いやいやそんなつもりは無いわよ～？」

笑美「……ほなせめてサインの一つでも施したらどうなん」

早苗「あ、それなら大丈夫。ほらここに」

笑美「ほ？」

早苗「『金比羅』」

笑美「観光地の焼き印の話しとるんとちゃうねん！！！」

笑美「アンタ『金比羅 早苗』なんか！？ちゃうやろ！！」

早苗「すごいのよ金比羅の木刀は！うどん打ちの麺棒にもなるんだから！」

笑美「ならへんわ！それお土産モン屋さんが上手いこと言うてるだけや！！」

早苗「なったわよ！」

笑美「やったことあるんかい！！」

笑美「もっとこうさぁ～……早苗はんらしさというか……ファンが『片桐早苗ファンとして』欲しくなるようなモンの方がエエんとちゃいます？」

早苗「そうは言ってもねぇ、アタシ別に表立った趣味がある訳でも無いし……マッサージなんかも出品出来ないし……」

笑美「いやそこは趣味に拘わらんでも、早苗はんならではな感じが出せたら」

早苗「そうねぇ……やっぱり警察関連かなぁ？」

笑美「いくら元婦警や言うたて、拳銃だの手錠だの出す訳にいきませんやろ？」

早苗「もちろん。ほとんど返しちゃったし。あとはまぁ、腕っぷし？」

笑美「それこそどないして出品しますねん」

早苗「いやほら、武道に関係した物でも良いじゃない？」

笑美「あー……まぁ」

早苗「と言っても、道具もろくなの持ってる訳じゃ無いけどね。武道関係で持ってる物と言えば……」

早苗「……木刀とか」

笑美「結局そこ行き着くんかい！薄々感ずいとったわ！！」

ｶﾞﾁｬ

龍崎薫「おはようございまーっ！」

笑美「おはようさん。薫ちゃん」

薫「あれっ？笑美ちゃん何してるのー？」

笑美「今度のオークションに皆が何を出したんか聞いてんねんで」

薫「あー！そうなんだー！」

笑美「薫ちゃんは何出そうと思ったん？」

薫「えっとねー」


薫「おくば！」
笑美「奥歯！！？」

笑美「ちょ、どうゆうことそれ？」

薫「ほあ、ほほーっ（ほら、ここーっ）」ｱｰﾝ

笑美「あーホンマや。下の歯ぁ抜けてるやん」

薫「せんせぇがね！『何かもう使わない物とかファンの皆にあげても良いものがあったら頂戴』って言ってる時にね！スポーン！って抜けたのー！」

笑美「使わない物の発生が旬過ぎやろ！産地直送か！！」

笑美「あと歯ぁスポーンはあまりに軽快過ぎやろ！子供特有の表現やろうからあんまりツッコまんとくけど！」

笑美「ちょっとＰはん！Ｐはーん！これはお手挙げや！」

モバＰ「なんだよ。おぉ、薫、おはよう」

薫「おはようございまー！」

笑美「ちょっと言うたって。奥歯はアカンで」

笑美「売れへんし。売れたら売れたで大問題やし」

モバＰ「あのな、薫。ここに書いてあるだろ？『衛生上問題のある商品の出品は出来ません』って。だから残念だけど、奥歯は駄目だ」

薫「そっかー……」

笑美「なんや、そんな利用規約みたいなのあんねや」

モバＰ「大した事書いてないけどな。食べ物やピアス、下着なんかも同じ理由でアウト」

笑美「下着なんか誰が出品すんねん」

薫「えーっと、えーっと、じゃあコレは？」

モバＰ「んー？おっ、ビーズ細工か」

薫「お母さんに教えてもらって一緒に作ったんだけど、あんまり上手くいかなくて……今度はもっと上手作るよ！だからコレあげるー！」

モバＰ「そうかそうか」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

薫「えへへー」

モバＰ「にしても……なんだコレは。ハンマーヘッドシャークか？」

笑美「ビーズで撞木鮫作る女子小学生がどこにおんねん」

薫「違うよせんせぇ！それはカタツムリ！」

笑美「予想の斜め上や！！」

笑美「青のビーズふんだんに使いすぎやろ！どの辺がカタツムリやねん！」

モバＰ「おいおい笑美、子供の発想なんだからそこはツッコんじゃいかん」

笑美「そ、そうやな、ごめん」

モバＰ「とにかく、出品はこのビーズアクセサリーに変更って事で良いんだな？」

薫「はーい！」

モバＰ「じゃあ笑美、また何かあったら呼んでくれ」

笑美「はーい。どうもありがとさん」

モバＰ「お安い御容だよ」

笑美「ほな薫ちゃん、軒下に歯ぁ投げに行こか？」

薫「あ！聞いた事ある！次の歯が丈夫になるようにっておまじないでしょ！」

笑美「よう知っとるなぁ。えらいえらい」

薫「えへへぇ」

笑美「ほんで、その現物の歯はどこなん？」

薫「え？せんせぇが『これはいけない』って言いながら鞄に入れてたよ？」

笑美「おいゴラＰはぁん！！何が『お安い御容赦だよ(ｷﾘｯ』じゃワレェ！！！」

ｶﾞﾁｬ

姫川友紀「おっはよー！」

笑美「おはようさん。ユッキ」

友紀「あれー？笑美ちゃん何してんのー？」

笑美「友紀はん、今度のオークションに何出品しようとしてます？」

友紀「あぁ、あれ？あたしはサインボールだよー！」

笑美「あれ、意外」

笑美「あぁゆうのってサインしてくれた選手の気持ち考えろってよく言われるやん」

友紀「いやいや選手じゃないよー。このあたしが選手のサインボール手放す訳無いじゃん！」

笑美「え？じゃあ……」

友紀「ほら、あたしのサインボールだよー！」

笑美「えぇ……？いやまぁ、イメージとしては良いんやろうけど、ユッキ野球選手でも何でも……」

友紀「何言ってんの！野球アイドルなんだからこれぐらいはしなくちゃ！」

笑美「うーん、関係あるっちゃあるんかなぁ？」



笑美「……ん？もう一個あるやん。これは？」

友紀「これもサインボール。ウチの父さんの」

笑美「関っ係あらへん！！」

笑美「誰がアイドルの父親のサインボール欲しがんねん！」

友紀「へへへ、実はあたしもそう思ってた」

笑美「ならやめぇや！何で持ってきたん！」

友紀「いやぁ、久しぶりに親子で呑んだら何かもう楽しくってさぁ」

笑美「微笑ましいエピソードやとは思うけど、オークションの商品を酔うた勢いで決めんのどうかと思うで！？」

笑美「これは片方でエエと思うで？」

友紀「そう？ならコッチだけだね」ｽｯ

笑美「何で自分のサインボールなおしてん！片方って聞いて親父さんの方残すんかい！！」

友紀「『あの姫川友紀の父親のサインボール』！」

笑美「ちょっと価値ありげに言うても無駄やで！？」

ｶﾞﾁｬ

多田李衣菜「老～婆の迷信♪手のひらに卍字♪」

笑美「……」

李衣菜「ﾄﾞｩﾙﾙﾙ ﾙ↑ﾙﾙ」

李衣菜「ﾁｬｯﾁｬｯﾁｬｯﾁｬｯﾁｬｯﾁｬｯﾁｬｯﾁｬｯ」

笑美「お楽しみのトコ申し訳ないんやけど、それロックなん？」

李衣菜「難しい質問だね……」

笑美「……まぁええわ。だりーな、オークションに何出したんか聞くで」

李衣菜「あー、それ悩んでるんだよねー」

李衣菜「家探したらいらない物結構あってさー」

笑美「ええやん。例えば？」

李衣菜「大きなのっぽの古時計とか」

笑美「どうゆう事やねん。みんなのうた？ＣＤ？」

李衣菜「いや、ほんとに古い時計」

笑美「現物かいな」

笑美「そんなん勝手に売って良いん？お爺ちゃんの大事な物とかやったらどないするん」

李衣菜「その爺ちゃんが『ファッキンニードレス』って」

笑美「『糞いらねぇ』！？お爺ちゃんえらいパンクやな！？」

李衣菜「でも何かロックじゃないんだよねー」

笑美「またそれかいな」

李衣菜「後はまぁ、ハーレーとか」

笑美「それ売って良いん！？」

李衣菜「うん。爺ちゃんが好きにしろって」

笑美「お爺ちゃんハードボイルドやな！？あと『好きにしろ』ってそう言う意味ちゃうやろ絶対！！」

李衣菜「なんか話によると、世界で10台、日本には2台しか無いんだってそのハーレー」

笑美「バイク詳し無いけど何か幻のやつやんそれ！！」

笑美「こんなん言うたらアレやけど、それだりーなの私物って価値付けんでも十分売れるんちゃうん！？」

李衣菜「なんか良く分かんないけど、竹〇力に付けられた傷とかもあるんだって」

笑美「何そのごっついエピソード！？」

李衣菜「傷のトコにサインくれたから許したって」

笑美「どんだけバイクの希少価値上げたら気ぃ済むねん！」

笑美「はっきり言うわ。それ多田李衣菜の看板より価値あるで」

李衣菜「でもそんな物を敢えて売るってロックじゃない？」

笑美「全然ロックちゃう。悪いこと言わんからそれは大事に置いとき」

李衣菜「そっかー」

笑美「他には？」

李衣菜「空手の県大会優勝した時のトロフィーとか」

笑美「もうそれ絶対だりーなのんとちゃうやん！誰のトロフィーやねん！」

李衣菜「爺ちゃん」

笑美「せやろな！！分かってた！！なんでそんなお爺ちゃんの大事なモンばっか売ろうとすんねん！！」

李衣菜「だって爺ちゃんが『ペーパーウェイトにもなりゃしねぇぜ』って……」

笑美「もうお爺ちゃんロックとかじゃなくてただの価値観おかしい人やん！！」

笑美「て言うかアイドルの私物オークションやのにさっきからお爺ちゃんの私物ばっかやな自分！！」

李衣菜「いやぁ、ロックかなって」

笑美「ロックちゃう！！」


笑美「こないだちょっとカッコ良かったやん！」

笑美「なんでそんなんに戻ってもうたん！！」

李衣菜「そ、そんなんって……」

笑美「だりーなよりお爺ちゃんの方がよっぽどロックやん！！」

李衣菜「はっ！なら！お爺ちゃんをオークションに出せば……！」

笑美「もうええわ！」