エルメス「でも、森にでも行けばいっぱいいるよね」
キノ「それが普通の昆虫とは違うんだって」
キノ「折角この国に行く船が見つかったんだ。ものの試しに見てみたくなったんだよ」
エルメス「物好きだなぁ。でもどうするの? この国、だいぶ技術が遅れてるよ」
エルメス「キノの大好きなシャワーも無いんじゃない?」
キノ「それは仕方がない。それに着いたら誰もいない国に比べれば、まだまだマシだよ」
エルメス「でもほんと不思議な国だよね。広大な土地の所々に人が住んでるなんてさ」
キノ「うん、船頭さんも言っていたけど、基本的にこの国は他の国と交流がないんだって」
キノ「だから独自の文化が発展しているんだろうね」
エルメス「他の国が襲いかかってこないのも不思議だよねー」
キノ「ここから近い国の殆どが、他国を侵略する気がないみたいだし……立地に恵まれているんだよ」
エルメス「でも遠くから船で来る国もあるんじゃない? キノだって船で来ているんだし」
キノ「どうなのかな。この国の話はあまり遠くには伝わっていないみたいだし」
キノ「旅人の間でも知られていないからね。船頭さんのように極々一部の人が、密かに交易をしているぐらいなのかもしれない」
エルメス「ならキノは運がいいよね。なにせ偶然この国に行く船と居合わせて」
エルメス「話を聞くどころか乗せてまでくれたんだもの」
キノ「うん、本当に運がいい。これも日頃の行いがいいからかな?」
エルメス「例えば?」
キノ「諦めずにエルメスが朝、自分で起きるように言い聞かせている。駄目でもちゃんと、手が痛くなっても起こしている」
エルメス「それは良い行いとは言えないんじゃないかなー」
キノ「じゃあもう言わなくていいんだ。つまり明日からは自分で起きてくれるんだね?」
エルメス「いやーキノは立派だね! 一日一膳を心がけてて! それじゃあ今後もよろしく! 起こすのも!」
キノ「それにしてもお腹空いたなぁ……」
エルメス「ちょっとキノ? だったら停めてしっかり休憩を取る!」
キノ「昨日入国してからまだこの国の物を食べていない。もう少し、もう少し行けば……」
エルメス「あーもーそれで倒れたらどうするのさ。いつも言っているけど、モトラドの運転だってエネルギー使うんだよ」
キノ「じゃあこの坂を越えて何も見えなかったらにするよ」
エルメス「りょーかい」
キノ「……ボクは本当に運がいいかもしれない」
エルメス「びっくりだね。集落の外にお店があるなんて」
キノ「うん、旗みたいなのも出しているし、民家って訳じゃ無さそうだ」
エルメス「これで雑貨屋だったらどうする?」
キノ「それは……諦めるしかないかな」
エルメス「まーこんな所でそんな店出さないだろうし、ここを通る人向けのお店だろうから食べる事はできるだろうけどもね」
ババババババ
ギンコ(妙な音……地鳴りか?)
店員「あらまあ……怖いわねぇ。何の音かしら?」
ギンコ「この音、この辺りで聞いたことは?」
店員「ないわよぉこんな音。あら、近づいてきているのかしら?」
ギンコ「……」
店員「いやだわぁ……何かしら」
キノ「……」ドドド ドルン
ギンコ「……」
店員「おやまあ……」
キノ「すみません、こちらで食事はできますか?」
店員「え? ああ、ええ……ごめんなさいねぇ。お団子とかしかないのよ」
キノ「そうですか……ではそのお団子をいただいてもいいでしょうか?」
店員「分かったわ、そちらに掛けていて頂戴」
ギンコ「……」
キノ「今日は、ボクは旅人のキノ。こっちはモトラドのエルメスです」
エルメス「どうもねー」
ギンコ「へぇ、喋れるのか。俺は蟲師のギンコってもんだ」
ギンコ「俺も旅をしちゃいるが、初めて見るもんだな。一体なんなんだそいつは」
キノ「モトラドは液体の燃料で動く二輪車です」
ギンコ「油か何かか?」
エルメス「油じゃ全然ダメだね。キノ、やっぱりこの国で燃料は手に入らないみたいだよ」
ギンコ「にしても驚いたな。お前さん達、よほど遠くから来たんだろう」
ギンコ「そんな金属の塊が爆音上げて動くなんぞ、聞いた事もありゃしない」
エルメス「だろうねー」
キノ「あの失礼でしたら先に謝っておきます。あなたはこの国の人なんですか?」
ギンコ「あ? ああ、この髪と目の事か。俺にはある時期以前の記憶がなくてね」
ギンコ「恐らく生まれつきなのだろうが、詳しい事は分からんよ」
エルメス「へー訳ありってやつか」
ギンコ「その訳すら知らんがな」
ギンコ「お前さん達は、どうやってここまで来たんだ?」
キノ「船で来ました、この国は鎖国、他の国との交流を断絶しているんですね?」
ギンコ「そもそもここは村や里ごとで独立しているからな」
ギンコ「個々の村にそこまで遠くに行く舟もないってのが理由かねぇ」
ギンコ「しかし、やはり他所から船が来ているのか」
キノ「やはり、とは?」
ギンコ「知り合いに妙な物を収集する者がいてね。どうにも奇怪な物があったりするのだが」
ギンコ「外から持ち込まれたもんってんなら、合点がいくもんだ」
ギンコ「しかしその船もよほど頻度が少ないのだろう」
キノ「はい。話ですと数年に一本という話でした」
エルメス「お陰でキノも三日のルールを破らないといけないもんねー。何度目だっけ?」
ギンコ「一体何の事だそりゃ?」
エルメス「キノは一つの国に三日滞在するって決めてるんだよ」
キノ「船の出港に合わせないといけないので、十日の滞在になりました」
キノ「けど……燃料が補給できないとなると、ずっとエルメスを走らせるわけにはいかないなぁ」
エルメス「どうすんのさ。港に戻ってのんびりするの?」
キノ「目的のものが見れたらそれでもいいかな」
キノ「ギンコさん、さきほど蟲師と言いましたけども、蟲について詳しいんですか?」
ギンコ「ああ、それを生業にしているもんだからな。なんだ? 蟲患いでここまで来たのか?」
キノ「いえ、その蟲というものを見てみたかったんです。どちらに行けば見えるのでしょうか?」
ギンコ「そりゃまた物好きなこったな」
ギンコ「だが……今、お前さんの目の前に浮いているものは見えるか?」
キノ「え? いいえ……」
エルメス「同じく何もー」
ギンコ「だとしたら、残念ながらお前さんには蟲が見えんようだな」
キノ「あの……蟲とはなんですか? 昆虫の類じゃないんですか?」
ギンコ「蟲ってのは昆虫や爬虫類とは一線を引く。生きているとも死んでいるとも言えない」
ギンコ「生命の原生体に近いもの達の事だ」
エルメス「幽霊みたいだね」
ギンコ「幽霊ともまた違うが、一部の正体は蟲だという話もあるな」
キノ「蟲が見えるかどうかは先天性のものなんですか?」
ギンコ「必ずそうとも言い切れんね」
ギンコ「蟲を見るには五感だけでは足らない。それを補うものを俺達は妖質と呼んでいる」
ギンコ「生き物ならどれも持っているが、必ずしも必要とされ続けるものではない」
ギンコ「仮に蟲が見えていても、ある時から見えなくなる事もあるという」
ギンコ「逆に急に見える事もあるそうだが、そう多いわけでないからな」
キノ「そうですか……何か別に見る方法は無いんですか?」
ギンコ「あるにはあるが、十日で行ける距離ではないな」
エルメス「残念だったね、キノ」
キノ「こればっかりは仕方がないよ」
エルメス「アンちゃんはどこに行く途中なのさ?」
ギンコ「今のところは特別用事はねえな。だもんである所に顔を出そうと思ってんだ」
エルメス「キノ、どうせ燃料を温存しなくちゃいけないし、アンちゃんについていったら?」
エルメス「見れなくても蟲の話は聞けるんじゃない? どう? アンちゃんも退屈しないんじゃない?」
ギンコ「俺は構わんが、キノは他に目的はないのか?」
キノ「うーん……ギンコさんが迷惑でないようでしたら、お願いします」
ギンコ「そうかい。じゃあ数日の間だろうが、よろしく頼む」
数日後
ギンコ「……と、いうもの達がいる」
キノ「へえ、ヌシですか。ボクが今まで旅した中では聞いた事がないですね」
エルメス「そもそも光脈筋っていうのがこの国にしか流れていないのかもね」
ギンコ「それはどうかね。光脈は移動し続けている」
ギンコ「ここの外ってのがどんなもんか分からんが、広大すぎて光脈筋に当たる事がないのやもしれんな」
キノ「今度探してみようかな……エルメス、大丈夫?」
エルメス「普段だったら押されて移動なんてゴメンだけど、アンちゃんの話が聞けるから我慢してるー」
ギンコ「にしても変わったもんだな。蟲にも喋るものはいたりするが、エルメスってのは生き物なんかね?」
エルメス「モトラドが生物なわけないよ。モトラドはモトラドでしかないんだから」
ギンコ「俺にゃあ、蟲よりもお前さんの方が、よっぽどけったいに思えるんだがね」
ギンコ「今日はここら辺にするかね」フー
エルメス「そういやアンちゃん煙草好きだね。早死にするよ」
ギンコ「こいつは蟲煙草といって、蟲を散らす効果がある」
ギンコ「俺は体質で蟲を寄せちまうんだ。半年も一つところに住めば、そこを蟲の巣窟にしてしまう」
ギンコ「こいつが無けりゃ、旅すらままならんよ」
キノ「もしかして旅をしているのは、体質が原因ですか?」
ギンコ「まあ性分にも合っているんだがね」
ホーホー
キノ「……」
キノ「!」ガバッ
エルメス「キノ? 周りに誰も居ないよ」
ギンコ「ん……どうした?」
キノ「い、いえ……今何だか、凄い明かりが見えたような」
ギンコ「……」
ギンコ「キノ、目を瞑ってみろ」
キノ「え? はい……」
ギンコ「目の前が真っ暗になるが、それでもまだちらつくものが見えるだろう」
キノ「はい」
ギンコ「それを、もう一回瞼を閉じるようにしてみろ。それさえも見えない本当の闇が見えるはずだ」
キノ「……」
キノ「……ん?」ォォ
光脈「」ォォォォ
キノ「うわぁっ!」バッ
ギンコ「初めてで見えたか。大したもんだ」
ギンコ「今見えたのが光脈、蟲の姿になる前とも死んだ後とも言われるものだ」
キノ「さっき見えたのは……」
ギンコ「恐らく光脈だろうな」
エルメス「えーいいなーキノ」
ギンコ「だがキノ、あまり長く光脈を見ていると目を失う事になる」
ギンコ「まあ、ここを出た後、光脈を探すにゃ使えるだろうが、十分に気をつけてくれ」
キノ「あ……ありがとうございます」
ギンコ「また光脈が見えてもそう怯える事は無い。ゆっくり眠れ」
翌朝
キノ「……」バッ カチャ
キノ「……」バッ カチャ
ギンコ「ふぁぁ……相変わらず早いな」
キノ「お早うございます」
エルメス「……」
ギンコ「相変わらず寝ているのが分かり易いな」
キノ「ええ……本当に」
……
ギンコ「もうじき里に出る頃だろうが、キノはどうするつもりだ?」
キノ「そうですね、明日の昼から戻るようにすれば間に合います」
ギンコ「そうかい。早けりゃ今日中に着くだろうし、そこでゆっくりしていってくれ」
エルメス「でもこの先も結構な坂道だけど大丈夫?」
ギンコ「そこまで荒れた道じゃねえから押していけるだろう」
ギンコ「だが、確か周りは勾配がきつい坂になっていたな。転ばんよう気をつけてくれ」
キノ「分かりました」
キノ「ふう……ふう……」
エルメス「アンちゃんここ結構きつくない? というか道が荒れてるじゃん」
ギンコ「そういえば、少し前に嵐があったな……その影響か」
ギンコ「しかしここまで被害が出ていたとは。すまんな」
キノ「いえ、何とかなりそうです」
エルメス「キノ、ちゃんと帰りの事も考えてる?」
キノ「大丈夫だよエルメス。最悪、転がしていけばいい」
エルメス「キノ? 押していくって意味だよね? そうだよねキノ?」
キノ「冗談だよエルメス。そんな事し」ズルッ
キノ「わっ!」ズザザザ
エルメス「わぁっ!」ガシャン
ギンコ「キノ!」
エルメス「キノ? 大丈夫? 大丈夫なら早く起こしてほしいな」
ギンコ「……いや、こいつは面倒な事になったぞ」
エルメス「え?」
ギンコ「キノが斜面を転げ落ちていった」
エルメス「あちゃー。でもまあキノなら大丈夫かな」
ギンコ「とは言え怪我をしてるやもしれんし、ここで待っている訳にいかんだろ」
ギンコ「お前さんの立たせ方も分からんし、悪いがもうしばらくそのままでいてくれ。じゃ、ちょいと様子を見てくる」
エルメス「え、嘘。ちょっと? 説明するから起こし、ちょっと?!」
ギンコ「キノー! 何処だ!」
ギンコ「妙だな。この辺りのはずだが……あれは」
虫こぶ状の木「」モゾ
ギンコ「……。エルメス!」
「キノ見つかったー?」
ギンコ「いや、まだだ!」
ギンコ(やはりここはキノが落ちたところの真下あたりか……こいつは本当に厄介な事になったな)ガタタ
ギンコ(次の里で食料を分けて貰えんかったら厳しい事になるが……止むを得んか)
虚穴
キノ「う……つつ」ムク
キノ「ああ、もう……足を滑らせるなんて」
キノ「……ここは? あれ?」
キノ「うわ! どうなっているんだ? 何も見えない」
キノ「広い空間みたいだし声が響く……」
キノ「ギンコさん! 近くにいませんか? エルメス! 誰かいますか?!」
キノ「……」チャキ
キノ「……」ダァンッ
キノ「……」ァァンァァァァンァァァ...
キノ「随分と先が長そうだな……」
キノ「ここは一体……あれは光?」
キノ「とすると暗くて見えないだけか……」
キノ「……」
キノ「……」ツカツカ
ギンコ「……」パララ
ギンコ(やはり鎖も何も打たれていない……長居はしたくないな)
ギンコ「キノー! 何処だ! いたら返事をしてくれー!」
ギンコ「くそ……何処にいるんだ」
エルメス「あー……暇」
鳥「……」パサ
エルメス「ちょっとーここは止まり木じゃないんだけど」
鳥「!」パサササ
エルメス「まったく倒れてるモトラドにまで止まらなくてもいいじゃんか」
キノ「……」
ギンコ「! キノ、無事か?」
キノ「……ギンコ、さん」
ギンコ「すぐにここを出るぞ」
キノ「あれが蟲、ですか?」
蟲「」フヨヨヨ
ギンコ「ああ、そうだ」
ギンコ「ここは虚穴という場所だ。光脈筋の木にウロという蟲が沸くと虫こぶ状になり」
ギンコ「こうした虚穴に繋がる……だがここにある無数の穴の殆どが何処かの密室に繋がっているだけだ」
ギンコ「ここに長居して記憶を失ったものもいると聞く。早くここから出るぞ」
キノ「太陽の光……」
ギンコ「やれやれ……だいぶ意識がしっかりしてきたようだな」
キノ「あの、ボクは一体どうなっていたんですか?」
キノ「思い返してみても、はっきりと思い出せないと言うか……」
ギンコ「お前さんは大量の蟲に充てられちまっていたんだ」
ギンコ「まあ、軽症であったがね。しかし、あのままいたら何れ、人から見られることの無いあちら側に」
ギンコ「蟲の側にいっちまっていただろうな」
キノ「蟲とはなんなのでしょうか……」
ギンコ「さっき話したとおりだ。この世を構成しているものの一つ、それ以下でもそれ以上でもない」
ギンコ「不幸中の幸いとは言え、見たかったものが見れてよかったな」
ギンコ「だからこそ、そこで止めておけ。変に深入りすると手痛い目にあうぞ」
キノ「ご忠告、ありがとうございます。そうしておきます」
キノ「ところで……虚穴の地面に落ちていたのは何ですか?」
ギンコ「なにただの干し飯だ。流石に印も無い中、ここを出入りする気にはならんよ」
エルメス「お、キノ。無事そうでなにより。早く起こしてくれないかなー」
キノ「ごめんねエルメス」
エルメス「結構時間かかったけどどうだったのさ?」
ギンコ「まあ、想定外ではあったが無事に、といったところかね」
キノ「そうだエルメス。エルメスに見せて上げられないのは残念だけど、ボクも蟲が見えたよ」
エルメス「えーなにそれずるーい! アンちゃん、どうにかできないの?」
ギンコ「流石にこの斜面でお前さんを運ぶのは無理だな。悪いが諦めてくれ」
ギンコ「まあキノから土産話でも聞いてくれ」
ギンコ「しかし結構時間を食っちまったな……こりゃ明日の昼までにはここを越えられんぞ」
エルメス「だってさキノ」
キノ「すみませんでした」
ギンコ「俺も急いでいる訳じゃないから構わんが、キノはどうする?」
キノ「そうですね、ボク達は港に戻ろうと思います」
エルメス「ふーん。ま、いいけどね」
ギンコ「そうかい。それじゃあここまでだな」
キノ「この数日間、とても楽しかったです。ありがとうございました」
ギンコ「ああ、こちらもだ。キノもエルメスも達者でやってくれ」
エルメス「アンちゃんもねー」
キノ「それじゃあ失礼します」ドルン
エルメス「ばいばーい」ドドドド
ギンコ「おう」
エルメス「結局美味しい物、食べ損ねたね」
キノ「そうだね。でもいいものが見れた。とてもいいものだ」
エルメス「ねー実際の蟲ってどんなだったのさ。やっぱりアンちゃんの巻物みたいな感じ?」
キノ「そうだなー……形はああいったものなんだけど、フワフワ浮いていて淡く光っているんだ」
キノ「絵に描いた昆虫としてのホタルと、夜に見るホタルの違い、みたいな感じかな」
エルメス「ふーん」
エルメス「キノ、またここに来たい?」
キノ「うーん、どうかな」
キノ「蟲は面白かったけど、何か補給できるわけじゃないからね。携帯食料もまったく別物だし」
キノ「何よりホテルがないしベッドもない」
エルメス「言うと思った。じゃあ次の国はホテルがあってベッドもある国だね」
キノ「それと美味しい物がたくさん食べられる国がいいかな」
エルメス「どうでもいいけど、整備の方もお願いだよ? 盛大に倒されもしたしさー」
キノ「それじゃあ腕のいい整備士がいる国も探さないとだね」
エルメス「変わった国だねー」キノ「蟲っていうのもいるらしいしね」 終
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