魔王「さて、そろそろ本気を出すか。」(281)
状況によっては安価。
かなり長くなりそう。
書き溜めとかしてない。始める。
魔王(前の勇者に世界征服の邪魔をされて500年。復活して100年。)
魔王(国力も今までにないほど安定している。軍備の増強も完璧。)
魔王(そして何より、アレを手に入れたからな。)
魔王(魔界の氷マグマの奥深くに隠されていた魔剣、グラム。)
魔王(俺の力に影響があるのは言うまでもないだろうが、それよりも
大きな物は、グラムを手に入れた事での兵士の士気。)
魔王(負ける気がせんな。前の勇者には色々あってつい手を抜いてしまったが……)
魔王(今回は違う。顔も知らぬ。ただの憎き勇者。手を抜く理由は無い。
今度こそ全力で叩き潰して、人間を滅ぼす。)
魔王(まずは作戦を立てねば。)
魔王「大臣!」
魔大臣「はっ。お呼びでしょうか、陛下。」
魔王「魔界四公を全て集合させろ。遊びは終わりだ。今度こそ人間を滅ぼす。」
魔大臣「!ははっ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
???「フフフ………」クチュクチュ
魔女「はああぁぁぁ………」ビクンビクン
???「どうした?嫌に大人しくなったな。さっきまでの威勢はどうした?」ピタッ
魔女「そ、そのような事を言わずに……ど、どうか、お情けを………」
???「フフ、だらしない顔をして、情けない雌犬だ。
そんなに俺に犯して欲しいのか?そうまでして、
この俺が欲しいか?」
魔女「ほ、欲しゅうございます……ですから、どうか、どうか………」
???「仕方ないな。行くぞ」
魔大臣「魔龍騎殿!!」バン
魔龍騎「…………は?」
魔大臣「魔王陛下からのお達しにござる。人間を滅ぼす為に、集え、と。」
魔龍騎「チッ、分かった。三分で行くと陛下には伝えろ。」
魔大臣「遅れは万死に値する事、努々お忘れ無きよう……」ボワァン
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???「………」グビ
???「………」グビグビ
???「……魔大臣か。」
魔大臣「いかにも。魔将軍殿、人間を滅ぼす為に我が元へ集え、と。
陛下からのお達しにござる。至急魔王楼閣にお集まり下され。」ボワァン
魔将軍「うむ。殿には良い酒と肴を持って参上すると伝えよ。」
魔大臣「……遅参に見合う手土産をお持ち下され。」ボワァン
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魔大臣「魔僧正殿。」
魔僧正「言葉は無用。あい分かったと伝えられよ。」
魔大臣「話が早くて助かりますな。では。」ボワァン
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魔王「……来たか。」
魔龍騎「陛下。ご機嫌、麗しゅうございます。」
魔王「うむ。元気なようで何よりだな。お前から魔女の香水の匂いがする。」
魔龍騎「これはこれは。陛下に隠し事は出来ませんな。つい先程まで抱いていた所です。」
魔王「フフフ、若いな。その若さを時折羨ましく、また頼もしく思うよ。」
魔僧正「陛下。」
魔王「おう、魔僧正。久しぶりだ。」
魔僧正「やはり、本気で…人間を滅ぼすのですか?」
魔王「それをこれから話す所だ。まあ、まずは座れ。ずっと床に正座では辛かろう。」
魔僧正「はっ。」
魔大臣「魔将軍殿は陛下への酒と肴を持っていくとの事でございます。」
魔王「フッ、奴の事だ。酒に人間の生首でも持ってくるのだろう。」
魔僧正「陛下、やはり、私は人間と戦争をするのは反対です。」
魔大臣「僧正殿。」
魔僧正「戦をすれば死ぬのは民。そして、悲しむのも民です。それは」
魔龍騎「相変わらずアンタはそんな甘い事言ってんのかよ。僧正さん。」
魔僧正「龍騎、お前は分かって居ないのだろう。戦をして得るもの、そして失うもの。
戦を知らずに吼えるのは簡単だ。威勢だけは魔界一のお前だからな。」
魔龍騎「何ぃ…!?」
魔王「まあ、待て。話は魔将軍が来てからでも遅くはあるまい。
まずは食事でもどうだ。皆腹が減っているだろう。」
魔王「俺が復活して100年、お前たちには会えず仕舞いだったが、
何をしていた?さぞかし暇だったんだろう?」
魔龍騎「え、ええ。まあ。軍備の増強もそこそこに……」カチャカチャ
魔王「軍備に関しては大臣に一任していた筈だが、それは、お前私有の軍か?」ハグハグ
魔龍騎「はっ。私の育てた龍騎兵団、必ずや陛下のお役に立つ事でございましょう。」
魔王「僧正はどうだ?」カチャカチャ
魔僧正「私は魔界を旅しておりました。書類仕事を部下に任せ、悟りを開くため
未開の地を旅しておりました。」
魔王「お前は大臣に次いで生真面目な奴だと思って居たが、考えを改めねばな。」ハハハ
魔大臣「魔将軍殿が到着されました。」
魔将軍「殿、ご機嫌麗しく、何よりにございます。」
魔王「おう。そう堅くなるな。待ってろ。今お前の分の食事を用意する。
中央領土の果荒地で育った白面牛のステーキだ。旨いぞ?」
魔将軍「はっ。その前に遅参の手土産を持って参りました。」
魔王「フッ。毎度の事だが、お前は必ず遅れて来て何かを持ってくるな。」
魔将軍「こちらが我が領土にて取れました血葡萄酒、そして肴にこれを……」
魔王「………若いな。この顔立ちはかなり人間としては若い。
齢は、20と言った所か。そしてこの肌の色は人間界の
”トウヨウ”の人種。極東の国の王子か。」
魔将軍「いかにも。極東の国の士気が上がっているとの事でしたので。」
魔王「王子が討ち取られれば士気も下がろうな。ご苦労。」
魔将軍「いえ。とんでもございません。」
魔王「さて、席についてくれ。食事だ。本題に入るのはそれからで良い。」
魔龍騎「このまま人間界への攻撃の話をしてもよろしいのでは?」
魔王「まあ、待て。将軍も一息つきたいだろうし、
俺も領土で取れた白面牛のステーキを
皆に味わって貰いたい。」
魔大臣「僧正殿の分は……?」
魔僧正「私は断食中であります故、非常に僭越ながら、ご遠慮させて頂きます。」
魔龍騎「陛下の用意してくださった食事を無下にするとは。」
魔王「まあまあ。俺はそんな強い芯を持った僧正が好きなのだ。
もし僧正がここで変に空気を読んで晩餐に参加するような
奴なら、俺は初めからここに呼んでは居ないさ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「さて、皆食事も終わった所で、本題に入るとしよう。
今日皆に集まって貰ったのは他でもない、
人間界への攻撃、ひいては人間滅亡についての事だ。」
魔将軍「……」
魔龍騎「異議はございません。人間を滅ぼす事は我々魔界の悲願でもあります。
陛下がやると仰るのに我々が意見する余地などは……」
魔僧正「私は反対です。」
魔大臣「………」
魔王「僧正、お前は先程から人間への攻撃に否定的だな。
それが何故だか、理由を教えてくれるか。」
魔僧正「私は、人界と魔界は共存出来ると考えます。」
魔王「ほう。共存、か。」
魔龍騎「甘ったれた考えだ。」ボソッ
魔王「そういうな、龍騎。僧正、続けてくれ。」
魔僧正「確かに人間は我々魔族を殺そうとします。子供の頃から
魔物は汚れた悪しき物と説き、刷り込みます。」
魔将軍「………」
魔僧正「しかし、一部には魔族と人間の共存が叶っている地もございます。
人界にもいくつか村があり、また魔界にも人間が住んでいる村は
存在致します。」
魔王「なるほど、確かに共存は不可能では無いようです。」
魔僧正「はっ。これを広げれば、きっと人間とも」
魔王「だが、駄目だ。」
魔僧正「何故……」
魔王「僧正、お前の考えを否定はしない。お前の言うような村も、
出来ればこれ以上の事はない。だが、一つの村で共存を
目指す事と、一つの世界で共存を目指すのは訳が違う。」
魔龍騎「アンタの言ってる事は、所詮は理想論でしかない、って事だよ。」
魔王「そうは言っていない。理想無くして実現は無いからな。」
魔僧正「……………」
魔王「だが、共存の道を模索した所で、血が流れずに済むかと言えば、そうではない。
共存と平和が成ったとしてもまたすぐにそれを壊す者が現れる事もあり得る。」
魔僧正「……………」
魔王「僧正、分かってくれるか。」
魔僧正「納得は出来兼ねます。しかし、陛下の仰っている事が正しい事も
承知しております。ならば陛下に仕えている私がどうこうと
言えた事はございません。」
魔王「うむ。すまない。」
魔王「それで、人界への進攻の事だが、まずどうやって人界へ進むか。」
魔龍騎「移動手段、と言う事ですね。」
魔大臣「それについてはご安心を。陛下が復活を成される以前より
用意をしておりました、”羅業門”が、一昨年完成致しました。」
魔将軍「ほう。」
魔王「成る程。大臣、よくやってくれた。これで進攻の手段は決まった。
次は、進攻してからの話か。先陣を切るもの。門を守るもの、
足場を固めるもの、戦場を撹乱させるもの。どうする?」
魔龍騎「一番槍は、私にお任せ下さい。」
魔王「やはり、先陣はお前か。」
魔龍騎「はっ。私の手塩に掛けて育てた龍騎兵団の威を、陛下にお見せしたく。」
魔王「だそうだ。どうだ?前回の戦争では将軍が特攻していたが。」
魔将軍「構いませぬ。されば我が軍は進攻の足掛かりをより強固な物と致しましょう。」
魔王「僧正、大臣。お前達はどうする?」
魔僧正「我が軍は、門の守りを固めましょう。」
魔大臣「されば我が軍は戦況の撹乱を。」
魔王「うむ。俺は勇者を相手にしよう。」
魔龍騎「陛下お一人で、ですか?」
魔王「ああ。多くて勇者達の仲間は勇者含め四人。手こずる事は
無いだろう。万が一があれば一度拠点に戻れば良い。」
魔将軍「うむ。魔僧正は陣営確保に勤めよ。先陣は魔龍騎の龍騎兵団、
続くのは我が鬼牙魔団。魔大臣の呪老師団は我が軍に続け。
その後鶴翼の陣を鬼牙、呪老の団で展開、門からの道を
広げる形で殿の出陣を援護する。」
魔王「うむ。進攻日時は上一弦の月、初めの日だ。」
大臣龍騎将軍僧正「はっ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
忍「報告致します。極東王国の王子が何者かに暗殺され死亡。
犯人は中東国に拠点を置くアサシン達では無いかと言う
噂が極東、及び東洋全体に広がっています。」
僧侶「なんと。」
魔法使い「極東の王子は勇者様とも親交のあった方それが………勇者様、如何なさいますか。」
勇者「……中東国は今回の一件については?」
忍「何のコメントもしていません。中東国民すらも自国に犯人が居るのでは、と
疑っており、噂では中東の憲兵達が密かにもう犯人探しを始めているとか。」
勇者「そうか。因みにどんな殺され方を?」
忍「首をすっぱりと斬られていました。頭が残っておらず、
身体だけが血塗れで残っていたようです。」
勇者「恐らく犯人は中東には、いや、人界には居ないだろう。」
魔法使い「それは、何故ですか?」
僧侶「中東のアサシンは首を断って殺し、それを持ち去ります。
また近年中東と極東の中州は関係が悪くなっていました。
根拠は充分過ぎる程ありますが。」
勇者「そこだ。そんな殺し方をすればすぐ疑われるのは中東国。
それを一番分かっている連中がそんな事をする筈は無い。
犯人は恐らく魔族だ。理由は分からんがな。」
魔法使い「成る程。彼らなら人界をある程度自由に行き来出来ますからね。」
勇者「うむ。そして、奴らによって人間が殺されたと言う事は」
僧侶「戦になるかも知れない……」
忍「まさか。」
勇者「あり得ない話では無い。我らの先祖が魔王を倒して500年。
まだ魔王が復活していない等と言う訳はない。恐らくこれで
東洋全体が混乱するだろう。これが魔王の手先の仕業なら、
一月後にはもう奴らは進攻してくるぞ。」
僧侶「………」
魔法使い「……次の町へ、急ぎましょう。」
魔法使い「次の町では確か占いが盛んなのだとか。」
勇者「どんな占いがあるんだ?」
僧侶「ジャンルは関係ないそうです。その後の運命、恋愛運、災いを避けるためのまじない、
その手の類いは何でもやってくれるそうです。」
勇者「何でも屋か。占い限定の。なら、魔王がいつ頃攻めてくるか、聞いてみるか。
忍、お前は長期間の情報収集で疲れてるだろう。少し馬車で休め。」
忍「はっ。ありがとうございます。」
勇者「さて、少しペースを上げるぞ。なるべく急いだ方が良い。
今この瞬間に魔王が攻めてきてもおかしくはないからな。」
僧侶「はい。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
勇者「ここがこの町で一番の占い屋らしいが。」
僧侶「生憎と、閉まっていますね。」
勇者「かまわん。開けよう。」ガチャ
僧侶「え?」
魔法使い「この世の命運が掛かっているのだ。多少強引な事をしたとて
許されぬ理由は無いさ。何より、勇者様のする事だからな。」
占い師「何だね!?君達は!?勝手に入ったりして!」
勇者「悪いな。こちらの業界では良くある事なんだ。」
占い師「何ぃ!?」
魔法使い「他にも、家の箪笥をガチャガチャやったり、壺を勝手に割ったり、
その中身を勝手に失敬したりするのも良くある事だ。」
占い師「つまり、君達は、盗賊か!?」
勇者「違うな。勇者一行だ。盗賊上がりなら二人ほど居るがな。」
魔法使い「懐かしいですね。」
忍「私としては、忘れたいのですがね。」
占い師「そんなバカな。勇者様がそんな事を……」
勇者「全ては世界を救うためだ。アンタ、占い師なら俺らの素性とか、全部解るんだろ。
胡散臭いと思うなら、確かめてみな。」
占い師「ムッ………………確かに本当に本物だ。神に祝福されし者よ。」
勇者「それで、緊急の用なんだが、仕事を頼めるか。」
占い師「魔王の事かね。」
勇者「知ってるのか。」
占い師「私は占い師だ。極東の王子が殺された事も、殺したのが人外の者である事も、
魔王が近々攻めて来る事も分かっている。流石に頭が痛くなるがね。」
勇者「魔王が攻めて来る正確な日、分かるか?」
占い師「四日後だ。四日後の昼。日が沈み始める前の黄昏時に、
奴らは夜を呼び込むかの様にやってくるだろう。」
僧侶「想像以上に早いですね。」
魔法使い「一週間後位かとてっきり……」
勇者「もう手段を選んでいる暇は無いな。忍、何とか情報を各国の王に伝えられるか。」
忍「金雇いの忍や、傭兵、用心棒の知り合いはいくらでも居ます。
まずは手紙を書いてそれを送らせましょう。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「よし、時間だ。始めよう。」
魔大臣「はっ。門を開けましょう。」
魔龍騎「羅業門、開門せよ!!」
魔族「うおおおおおお!!!」ドドドド
魔物「おおおおおああ!!!」ザザザザ
魔将軍「しかし、人間界と魔界を繋ぐ門をあっさりと作るとは、
流石は魔大臣、と言った所か。」
魔僧正「……」
魔将軍「魔僧正は門を囲み羅業門防衛に当たれ。攻め役は我らが受け持つ。」
魔龍騎「先鋒、龍騎兵団、行くぞ!!」ゴオオォォォ
魔将軍「遅れるな!鬼牙魔団、呪老死団、進めえぇ!!」ガガガガガ
魔王「ふっ、頼もしい奴らよ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
兵士「…………」
国王「…………」
勇者「…………」
魔法使い「…………」
僧侶「…………」
忍「…………」
極東国王「勇者殿。」
勇者「…何か?」
極東「本当にこの草原に魔族が……?」
勇者「確かです。一見ただの広い草原ですが、ここを中心に洋亜細亜は繋がっています。
西に行けば洋、東に行けば極東方面、南に行けばすぐ中東です。」
中東国王「なるほど。進攻の足掛かりにするにはこれ以上無いほどの地ですな。」
勇者「そんな事より、兵には敵の攻撃をなるべく受けないようにと伝えて下さい。」
中東「はあ、しかし、何故。」
勇者「予言では、人間が魔物によって魔物にされるとの事なので。」
極東「なっ…!?それは、一体、どういう……」
勇者「!…来ます!!」
魔法使い「何だ……!あの巨大な門は……」
勇者「恐らくあれから敵が出てくるんだろう。気を付けろよ。」
ガ ッ チ ャ ッ
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ド ド ド ド ド ォ ォ ォ ォ
勇者「来た!」
国王「全軍進めえ!!魔族を何としてでもここで食い止めるのだ!!」
兵士「うおおおおおぉぉぉぉ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「龍騎!大臣!将軍!雑魚は纏めて任せる!俺は勇者を始末しに行く!」
魔龍騎「はっ。」
魔大臣「畏まりました。」
魔将軍「ご武運を。」
勇者「うむ。お前たちもな。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔法使い「戦闘が始まったようです。」
僧侶「既に各国の王達も戦線で指揮を執り始めています。」
忍「我らも行かねば。いつまでも後方で見ては居られません。」
勇者「ああ。出来れば俺もそうしたい所何だが………」
魔法使い「?」
勇者「後ろに妖しげな御仁が居てね。動くに動けないんだよ。」
僧侶「!」バッ
魔法使い「!?」バッ
忍「……」クルッ
魔王「気配を消していたと言うのに気付くか。やはり、流石は勇者。と言った所かね。」
勇者「何者だ?ただのものでは無いだろうが。」
魔王「お前たちの予想で最も最悪…お前たちに都合の悪いもの、それが正解だ。」
魔法使い「魔王……!」ギリッ
魔王「まあ、バレてしまったのなら仕方ない。遊んでやる。」
僧侶「……」チャキ
魔王「と、言いたい所だが、こちらもお前たちと遊んでやれる程暇じゃない。」
勇者「!(助かった……のか?)」
魔王「遊びではなく、本気で行かせて貰おう。」
勇者「ふっ、遊んでいる暇は無いので、これにて御免、って訳にはいかんか。」
魔王「そうガッカリするなよ。お前たちが恐怖を感じる間もなく殺してやるから。
それが、同じ争いあう運命の元に生まれた者としての、せめてもの情けだ。」
忍「舐めた口を……」
魔王「まずは俺を囲むと良い。十字の中心に俺が立つようにな。
そして、同時に俺に飛び掛かるんだ。そこの魔術師は
呪文をぶつけてきても良いぞ。」
僧侶「完全にバカにされている。」
勇者「構わんさ。敵がハンデをくれると言うなら利用するのが最善の手だ。囲うぞ。」
魔王「準備は出来たようだな。では、来ると良い。」
勇者「てゃあああああああああ!!!」ブン
魔法使い「はああああああああああ……!!」バン
僧侶「やああああああ!!」カーン
忍「しゃああああああああ!!」シャッ
ズ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ
魔†法/使//い
僧#侶
刃*心
勇者「クッ………」ドクドクドクドク
魔王「チッ…一匹討ち損じたか。」チャキ
勇者「バカな……いつの間に抜刀を……!?」ゴフッ
魔王「お前のその高そうな宝剣の柄から先を粉々にしてからの直後だ。」
勇者「!?」カチャ
勇者「化け物め……」
魔王「気付くのが遅すぎる。歴然とした力の差にすら気付けぬとは、
今回の勇者はよほど不作と見える。可哀想に、人間よ。」
勇者「クソ……」
魔王「さて、すまなかったな。恐怖を感じる間もなく殺す、と言う約束を破ってしまって。
今すぐ殺してやる。一番屈辱的な殺され方は……そうだな……串刺しが良いか。」
勇者「ッ!やめ…」
魔王「よっ。」ガシッ ブン
勇者「うあっ…」フワアアァァ
魔王「………」
ッ ガ ッ ッ ザ ッ ッ ッ ク ッ ッ ッ ッ リ
勇・者
魔王「…このままだと剣が使えないじゃないか。抜かないと。」ブスリ
ブ ッ ッ シ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア
魔王「さて、帰るか。」クルッ
魔王「あ、しまった。俺とした事が。首尾を持っていかねば。」クルリ
ズ バ ッ ド ロ リ
魔王「勇者の首を取って持って帰るのは歴代魔王の中で俺が初めてか。」クルッ
魔王「大臣達がどんな顔をするのか。楽しみだな。」スタスタ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
兵士「うわあぁぁ!!また敵兵の数が増えたぞ!!逃げろぉ!!」ダダダダ
魔大臣「ふん。妖術等であっさりと騙される。簡単な生き物よ。」
魔王「大臣。」
魔大臣「はっ!?陛下!ご無事で!?」
魔王「ああ。口ほどにも無かったよ。そら。」ポイッ
魔大臣「これは…勇者の?」ムンズ
魔王「ああ。これを奴らの総大将に見せてくる。」
魔大臣「はっ。くれぐれもお怪我のなきよう……」
魔王「分かってるさ。」シャッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
極東「怯むな!進め!」
中東「まさか本当に味方の兵士が魔族にされるとは……」
北米国王「くっ!強い!」
南米国王「魔物がここまでの強さとは……」
海洋国王「化け物め……」
欧州国王「逃げるべきか……」
魔王「やあ。各国王の方々。」
国王「!?」
魔王「そう怯えないでくれ。俺はお前達にこれを見せに
来ただけだ。お前達をどうこうする気はない。」
国王「なっ!?それは!?」
魔王「勇者の首だ。……じゃあ、俺は味方の陣に戻ってやるべき事があるんでな。」シャッ
国王「……」ボーゼン
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「戻ったぞ。」
魔僧正「陛下、勇者の首を獲ったとは、真でございますか?」
魔王「ああ。これだ。」
魔僧正「……………」
魔王「そんな顔をするな。ただ敵の首を獲っただけだ。これは戦争だからな。分かるだろ?」
魔僧正「承知しております。」
魔大臣「おお、陛下!よくぞご無事で!」
魔王「ああ。まあ、当然だろう。お前も本陣に戻って来てたのか。」
魔大臣「撹乱も充分かと存じ、本陣の守りを固めるべきかと。」
魔王「うむ。その判断は正しいだろう。俺は将軍と龍騎の所へ行ってくる。
守りを頼んだぞ。。まあ、今更どうなる事も無いだろうと思うが。」シャッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔龍騎「チッ、殺すのは容易いと言うのに滅ぼすのに手こずるとはどういう事だ……!」
魔将軍「それが人間のしぶとさよ。ここは我等が前線へ進み
敵を蹴散らし、士気を上げるのが得策か。」
魔王「その必要は無いぞ。」シャッ
魔龍騎「!?陛下!?」
魔将軍「殿!それは……」
魔王「ふっ、勇者の首よ。これを敵兵共に見せ付ければ、敵の戦意は根刮ぎ削れよう。」バッ
魔王「皆!これを見よ!」
兵士「!?魔王!」
魔族「陛下!?何故!?」
兵士「待て…あれは……」ザワ...ザワ...
魔王「つい先刻、勇者の首は我が物となった!愚俗なる人間!無駄な抵抗は止めよ!
既にお前達の希望の光は我が剣の鋒の元に散ったのだ!我が元に下れ!」
魔将軍「畳み掛けるなら今よ!」
魔龍騎「愚かなる人間共よ!皆剣を捨て跪け!」
兵士「あ、ああ……そんな……勇者様が……」カランカラン ガクッ
魔王「よし。これで良い。後は任せた。俺は大臣と話をしてくる。」シャッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「よし、大臣。」シャッ
魔大臣「ぬぉっ!?おお、陛下、お早い御帰還で。」
魔王「たった今人間に勝利宣言と降伏勧告をしてきた。恐らく九割の兵士は剣を捨て、
降伏するだろう。お前はそれを確認次第、奴らに油を浴びせて火を放て。」
魔大臣「はっ。我が呪老師団にお任せあれ。」サッ
魔王「早めに龍騎達と合流しておけ。火を放つ際、必要ならば龍騎から龍騎兵団を
借りると良い。龍の吐く炎は便利だからな。それと、将軍と鬼牙魔団には
敵兵が逃げる事の無いよう、拘束するように伝えよ。念には念をだ。」
魔大臣「はっ。それでは。」ボワァン
魔王「うむ……そろそろ頃合いか……僧正。留守は任せる。」
魔僧正「はっ。」
魔王「頼むぞ。」シャッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「大臣。準備は出来たか。」
魔大臣「おお、何も陛下自ら来られずとも……首尾は上々で御座います。
鉄の鎖で縛られた敵総大将を含む敵軍、上空には油の入った
桶を持つ龍騎兵団が待機しております。合図一つでいつでも。
それと、捕虜を三人程捕らえました。男が一人、女が二人に御座います。」
魔王「捕虜は俺が直々に後で相手をしよう。さあ、早く人間が焼かれる様を見せてくれ。」
魔大臣「はっ。魔龍騎殿、合図を。」
魔龍騎「うむ。……点火!!」バッ
バ ッ シ ャ ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ
ボ ッ ボ ワ ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ
兵士「うぎゃあああああああああああ!!」ガタガタ
国王「ひいいいいいいいゃあああああ!!」ジタバタ
魔王「クヒヒヒヒ……いいザマだ…気分が良い……」ニヤリ
魔将軍「火の勢いを強めよ!油を再度撒け!」
バ ッ シ ャ ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ
ボ ワ ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ
兵士「ああぁぁぁぁ!!あぁぁ…………」
国王「」ピクリピクリ
魔王「全員死んだのを確認後帰還する。凱旋だ。」
魔龍騎「残りの人間はよろしいのですか?」
魔王「兵無き人間等後でどうにでも出来るさ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「さて、戦もパレードも終わった。宴も終わった。大臣。捕虜を。」
魔大臣「はっ。どれに致しますか。」
魔王「まずは男の捕虜だ。連れてこい。」
魔大臣「はっ。」
戦士「くっ、魔王!」
魔王「先に言っておく。これは拷問だ。そして俺は面倒が嫌いだ。質問に答えない、
あるいは返答が遅い場合、指を一本ずつ折っていく。良いな。」
戦士「………」
魔王「ふん。まず……そうだな…先の戦で六人の国王を殺した。残りの国王は何人だ?」
戦士「0だ。極東、中東、北米、南米、欧州、海洋の六公王達だ。」
魔王「そうか。一番大きな国は何処だ?」
戦士「………中東だ。」
魔大臣「つまらん嘘を。規模も軍力も産業も極東が最も大きいのは一目瞭然だ。」
魔王「そう言えば、お前の母国は極東だったか。」
戦士「チッ…」
魔王「死ね。」ズバッ
魔大臣「殺して良かったのですか?」
魔王「あれ以上の収穫は無いだろう。次に女。」
魔大臣「踊り子と女戦士が居ます。」
魔王「女戦士を呼べ。」
魔大臣「はっ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
女戦士「………」
魔王「五つ質問をしたが……今までの話、全て本当か?嘘は無いか?」
女戦士「はい。」
魔大臣「部下の調査報告とも合致します。」
魔王「拷問にも掛けて居ないと言うのにアッサリと口を割ったな。」
女戦士「命が惜しいので。」
魔王「ほう……面白い奴だ。では我が軍の兵となれ。さもなくば死ね。…っと、言ったら?」
女戦士「仰せの通りに。」
魔王「ほう。人間はその体の脆弱さ故に魔界では生きられん。大臣に体を変えて貰うと良い。
大臣、この女を地下の牢獄で魔族の体へと変えてやれ。」
魔大臣「はっ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔大臣「しばし待つがよい。」カチャカチャガチャガチャ
女戦士「その炎は?」
魔大臣「人を魔族に変える呪いの炎だ。」
女戦士「とか言いつつ、本当は焼き殺す気なのでは?」
魔王「それは困るな。」シャッ
女戦士「陛下。」
魔王「陛下…か。フッ、もうすっかり心は魔族か。」
女戦士「死にたくは無いので。」
魔大臣「安心せい。これはそなたを殺しはせん。古来から火と呪いと言うものは
非常に強い繋がりがあってな。これは肌を焼きはするが、殺しはせんよ。」
魔王「だそうだ。」
魔大臣「もっとも、多少記憶を失ったり、性格が変わったりだとかはあるだろうがなぁ。」カチカチ
女戦士「ならば、早く始めましょう。」
魔大臣「うむ。用意も整ったからな。服を脱ぎ、その炎の中に入れ。」
女戦士「……」スルッ パサッ
女戦士「………」ツカツカ
グボオオオオオオォォォォォォォォォォ
魔王「どうした。さっさと飛び込め。」
女戦士「……はい。」バッ
ガアアアァァァボオオオォォォ
女戦士「うっ!」
女戦士「くっ!」バチッ
女戦士「くううぅぅぅっ!」バチバチ
女戦士「あ、ああああああ!」バチンバチン
女戦「あ、うううううう!」バチッバチッ
女「はあああああああ!」バチバチバチ
魔「ふああああああ!」バチバチバチバチ
魔剣「くうあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」バチンバチンバチンバチン
魔剣姫「はあ……はあ……」バチッバチッバチッバチッ
魔剣姫「……」
魔王「どうだった?炎に焼かれた感想は?」
魔剣姫「熱いと言うより、痛いです。」
魔王「まあ、感覚としては全身にタトゥーを入れてるような物なのだろうしな。」
魔剣姫「……ところで、魔族の女は、皆褐色の肌になるのですか?」
魔大臣「いや、蒼白な肌や、僅かに紅潮した色が殆どだ。」
魔王「褐色の女は中々珍しいな。」
魔剣姫「私は、これからどうすれば。」
魔王「……そうだな……とりあえずは、俺の側近として働いて貰おうか。
と言っても仕事等殆ど無いだろうがな。」
魔剣姫「分かりました。」
魔大臣「踊り子はもう既に謁見の間に通してあります。」
魔王「うむ。何を聞けば良いやら……」
魔王「………以上だな?」
踊り子「はい。」
魔大臣「魔剣姫との証言との食い違いも見られません。」
魔王「ふ…ん。どうしたものか。」
魔大臣「殺すよりは何かに利用した方が得かと。」
魔王「そうだな…………人の踊り子よ。死ぬか、この俺の奴隷となるか、どちらにする?」
踊り子「どちらでも。お気の召すがままに。」
魔王「では、今後は我が下で働いて貰おうか。」
魔王「大臣、連れていけ。俺は疲れた。寝る。捕虜に関しては任せる。
起きた後に使い方は考える。それまでの処置は一任するぞ。」
魔大臣「はっ。では、連れていくぞ。」
衛兵A「はっ。…ほら、進め。」ドン
衛兵B「モタモタするんじゃあない。」ゲシ
踊り子「……!」キッ
衛兵B「あぁ?何か文句があるのか?」ドカッ
衛兵A「おい、止せ。さっさと連れていくぞ。」
魔王「………」スー スー
衛兵A「入れ。」ドン
踊り子「……これは?」
魔大臣「そなたを魔界の障気に耐えられる体にするものだ。」
踊り子「……」
魔大臣「入るか死ぬか、どちらかよ。因みにこの炎は、痛みはあれど、死にはせんよ。」
踊り子「……」ツカツカ.........
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
極東国王(何とか逃げ延びる事は出来たが……)
極東(またすぐ奴らは攻めこんでくるのだろう……)
極東(どうする?勝てるか?奴らに。)
極東(進行を止めるには、魔王の首を獲り、敵兵を一人残さず殺すしかない。
それが出来ねば、どれだけ頭数を減らそうと結局魔界から増援が来る。)
極東(しかし出来るか……今この世界に兵士は居ない……皆先の戦で殺された。)
極東(例え兵力差がどうにかなったとしても、魔王を殺せる者など……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
門番「なんだ貴様は。何者だ。」チャキ
???「極東陛下にお目通りを願う。この国、いや、この世界の為に。」
門番「怪しい奴らめ。帰れ。陛下はお前らの様な妙な輩に構ってなど居れんわ。」
???「参ったな。」
???「どうする?」
????「決まってんだろ。押し通るんだよ。」チャキ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
極東「…!何者だ!?」
???「祓魔師、と申します。」
極東「祓魔師?」
祓魔師「はい。そして、殺し屋、召喚師、賞金稼ぎです。」
殺し屋「……」
召喚師「どーも。」
賞金稼ぎ「挨拶に来てやったぜ。」
極東「何の用だ。」
賞金稼ぎ「何の用、ねえ……」
祓魔師「陛下、我々はもう全てを知っています。」
召喚師「先日魔界軍とこの世界の国全ての連合軍が戦をした事、1日で負けた事、
勇者一行が魔王に殺された事、またすぐ奴らがこちらに攻めてくる事。」
殺し屋「そして、次に奴らが攻め込んでくれば、今度こそ人類は滅ぶかも知れない事。」
極東「…………」
賞金稼ぎ「俺達は魔王を倒す。死にたくなければ俺達の
言う通りにしろ。用と言う用はそれだけだ。」
祓魔師「君は相変わらず口が悪いな。」
殺し屋「だが、要するにそう言う事だな。」
極東「倒せる……のか?あの魔王を…勇者すら殺したあの者を……」
賞金稼ぎ「余裕だな。今奴の亡骸をどう辱しめてやろうか考えている所だ。
と、言いたい所だが……まあ、楽には行かねえだろうさ。」
召喚師「しかし、勇者一行より勝算があるのは確かです。」
賞金稼ぎ「時間が無い。魔王をここに呼び寄せる必要がある。
まずは出来る限りの人間をこの国に集めてくれ。」
極東「そ、そんな事をして、攻められては人類は滅びてしまう……」
殺し屋「我々が魔王を討てなくても滅びる。」
祓魔師「陛下。チャンスは一度きりです。その一度で確実に魔王を呼び寄せ……」
賞金稼ぎ「奴を完全に殺す必要がある。」
極東「世界の命運を、お主ら四人に掛けると言うことか………」
賞金稼ぎ「嫌なら別に良いさ。アンタらで勝手にやって勝手に世界滅亡を待っててくれ。」
祓魔師「君は本当に口が悪いな。しかし陛下、彼の言う通りこれしか方法はありません。
我々以外に魔王を討てる人間は……恐らくですが、居ませんので。」
極東「分かった。君達に全てを掛ける。……王宮付きの司祭と
三賢者を連れていきなさい。戦力にはなる筈だ。」
賞金稼ぎ「アンタが司祭ね。で、アンタが破壊の賢者、アンタが
調和の賢者。で最後が創造の賢者さんね。」
三賢者「いかにも。」
司祭「よろしく。」
祓魔師「まず、民のまとめだとかの内政は陛下に任せ、我々は門にて物見をする。」
召喚師「東西南北の各門に二人ずつか。」
賞金稼ぎ「魔王を発見次第、発見者二人は俺特製の信号弾を発射。」
祓魔師「残りの六人はそれに急いで合流する。」
殺し屋「まあ、無理ではないか。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「大臣。済んだか。」
魔大臣「ええ。」
魔娼婦「………」ツカツカ
魔王「今度は肌が青白いな。ヴァンパイア系か。」
魔大臣「陛下と同タイプですな。」
魔娼婦「陛下。私にも何かお役目を。」
魔王「ふむ。取り敢えずはお前も側近だな。」
魔娼婦「はい。」
魔王「暇潰しも終わったし、酒の味にもそろそろ飽きてきた所だ。そろそろ行くか。」
魔大臣「行く……とは?」
魔王「決まってんだろ……狩りの時間が来たって事だよ。」
魔王「将軍、大臣、僧正にはここで残っていて貰う。」
魔龍騎「と、言う事は、私は、陛下の供を許された、と言う事でしょうか!?」
魔王「お前とお前の率いる龍騎兵団の実力、あてにしているぞ。」
魔龍騎「は、ははーっ!!」バッ
魔王「龍騎達は残った雑魚を処理していてくれ。剣姫と娼婦は俺の供をしろ。」
魔剣姫「はい。」
魔娼婦「喜んで。」
魔龍騎「露払いはお任せ下さい。」
魔王「ああ。頼む。俺は大将首を狙わせて貰う。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔龍騎「兵の準備、整いました。」
魔王「そうか。よし、では…………羅業門、開門!!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ゴ ゴ オ オ オ オ オ オ オ オ
魔龍騎「突撃!突撃いぃ!!」
魔王「さて、我々も、ボチボチ行くぞ。」
魔剣姫「はっ。」
魔娼婦「はい。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
破壊の賢者「来ましたぞ。」
賞金稼ぎ「やはり魔力の集まりやすい北から来たか。さて、信号弾、信号弾。」バァン
破壊「魔王……お前は私が壊してくれよう……」
賞金稼ぎ「威勢が良いのは結構だが、油断はするなよ。ボーッとしてると
あっという間に首狩られるぞ。勇者のようにな。」
破壊「ふふふ、私をなめてもらっては困る。他の二人は知らんが私は賢者の中でも
ずば抜けて魔力が高い。魔力の弱い女子供程度なら息を吹き掛けるだけで
あっさりと殺せるほどだ。」
賞金稼ぎ「そうかい。ソイツは結構。あんたのそのとんでもない息が
魔王にも通じるよう祈っとくとするよ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
祓魔師「!?早い!もう魔王が来たのか!?」
司祭「やはり北からですね。」
祓魔師「魔族にとって都合が良いからだろう。急ぐぞ!」ダダッ
司祭「はい。」タタタ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
殺し屋「来たか……」
創造「行きましょう。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
召喚師「来ました!」
調和「予定より遥かに早い……しかしそれも詮なき事。魔王……世界を
乱さんとする悪しきものの元凶。今日ここで葬ってくれよう。」
召喚師「急ぎましょう。遅れる訳には行きません。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
破壊「魔王は門の前で立ち止まって居ます。恐らく我々への挑発かと。」
賞金稼ぎ「そうか。ソイツは良い時間稼ぎ……」チラッ
魔王「…………」ジー
賞金稼ぎ「……野郎……ずっとこっち見てやがるぜ……」ニヤッ
破壊「うって出ますか。」
賞金稼ぎ「いや、危険過ぎる。奴等の到着を待とう。」
魔王「……奴ら、あまり強そうには見えんな……」
魔剣姫「そうですね。」
魔王「俺は少し下がり目の位置に居るから、お前が相手を
してみてくれないか。厳しくなったなら俺が入る。」
魔娼婦「私は……?」
魔王「俺に付いていれば良い。お前の能力もまだ未知数だからな。」
魔娼婦「分かりました。」
祓魔師「すまない。遅くなった。」タタッ
賞金稼ぎ「遅すぎだ。作戦の意味がなくなる所だ。」
召喚師「魔王は?」
殺し屋「向こうに立っているアイツだ。邪気に溢れている。」
賞金稼ぎ「十分以上前からアレだよ。全く、騎士道精神って奴なのか?」
祓魔師「なめられた物だ。我々も。」
司祭「急ぎましょう。今も民は魔の者に殺されています。」
賞金稼ぎ「分かってるっつーの。”コイツ”の威力、見せてやるぜ。」チャカ
破壊「?それは?」
賞金稼ぎ「散弾銃って奴だ。ま、もっとも普通の奴はこんな小さく無いがな。
一つ作るのに大体…五百万は掛かったか。高い買い物だったぜ。」
調和「そんな片手で撃てるほどの散弾銃は聞いた事がありません。」
創造「一千万掛けて作った兵器ですか。そんな玩具で魔王が倒せるとは思えませんが。」
賞金稼ぎ「そう言うなよ。世界を一千万で救えるってのは、安い買い物だろ?」
殺し屋「何かが来る。」
祓魔師「魔王か?」
召喚師「いえ、女です。」
魔剣姫「八人……か。」
賞金稼ぎ「随分な美人さんだな。こんな良い女が魔王の使いとは、俄には信じ難いぜ。」
魔剣姫「魔王陛下を討とうとしてるのね。貴方達は。」
賞金稼ぎ「……まあ、さっきまで魔王を殺そうと躍起になってた
ところなんだが、今は目の前の美人に夢中かな。」
魔剣姫「持ち上げた所で、貴方たちの運命は変わらないわ。」
祓魔師「つまり、君の目的は我々が魔王の元に行かぬ為の足止め、と言う事かな?」
魔剣姫「話が早いわね。」
祓魔師「そうか。やはり君の目的はそうか。」
魔剣姫「?そうよ。何?」
祓魔師「ならば……」ヒュッ
ガ キ ン
祓魔師「君の目的に我々が合わせる必要は無いな。」キリキリ
魔剣姫「せっかちなのね。もしかして、私と二人っきりになりたいの?」ギリギリ
祓魔師「生憎だが、三人だ。」
賞金稼ぎ「司祭以外は走れ!俺は魔王を討つぞ!」ダッ
魔剣姫「待て!」クルッ
祓魔師「余所見してて良いのか!」ブン
魔剣姫「クッ……」サッ
祓魔師「君は私達二人で充分だ。女性に刃を向けるのは心苦しいがね。」チャキ
賞金稼ぎ(死ぬなよ……祓魔師。)
魔王「ほう。魔剣姫の奴、取り残しを作ったか。」
魔娼婦「と言うか、取り残しを相手にしてるのでは。」
魔王「しかし、よく見れば六人皆良い顔をしている。殺意に満ちた顔だ。」
賞金稼ぎ「アンタが魔王様かい。」
魔王「いかにも。魔王だ。」
召喚師「速やかに人界より退け。また、二度とその姿を見せるな。さもなくば……」
ズ バ ッ
調/和 ゴロン
魔王「次に戯れ言を吐けば半身を切り離され土に転がるのはそこの老人では無いぞ。」
召喚師「クッ……出でよ!ガルム、フェンリル、リントヴルム!」
ガルム「……」
フェンリル「……」
リントヴルム「フシュウゥゥゥ……」
魔王「そんな仔犬二匹と蜥蜴一匹で俺を止められるとでも?」
召喚師「これを食らってもまだ言えるか!?食らえ!」
ガルム「ガアアアアア!」ボオオオオオ
フェンリル「グオオオオオ!」ボオオオオオ
リントヴルム「シャアアアアア!」ボオオオオオ
魔王「………」
召喚師「避ける素振りすら見せない…だと………」
破壊「我々も呪文を放ちましょうぞ。」シャラーン
創造「食らうがいい!」ドォオォオン
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
カ キ イ イ イ ィ ィ ィ ン
魔剣姫「なかなか、上手いのね。」
祓魔師「そういう君もかなりのやり手じゃないか。ただの魔族とは思えない。
魔王には惜しい逸材だと、私は思うよ。」
魔剣姫「お上手ね。」
司祭「はっ!」バン
魔剣姫「何?急に後ろから不意討ちなんて?ジェラシー?」サッ
司祭「クッ……」
祓魔師(コイツ…強い……)
魔剣姫「先に行っちゃった六人って、貴方より強いの?」
祓魔師「……まあ、上手の者も居ればそうでない者も居るな。」
魔剣姫「へえ……」
祓魔師「それがどうしたんだ?」
魔剣姫「陛下を退屈させないかな、って。」
祓魔師「ほお……つくづくなめられた者だね。」
魔剣姫「そんなに怒らないでよ。実際、陛下を楽しませるだけの実力があるかどうか、
それを試すために私がこうして前に出たんだから。まあ、こういう形に
なるとは思いもよらなかったけど。」
祓魔師「そうか……」
魔剣姫「さあ、陛下から頂いたこの剣で、貴方達に引導を
渡してあげる。唸れ!レーヴァテイン!」ゴバッ
祓魔師「断ち切れ、祓御霊……!」ズバッ
ズ ゥ ド オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ン
.
勝ったのは
祓魔師&司祭?それとも魔剣姫?
>>94
圧倒的な力の差で魔剣姫の勝ち。
祓魔師「……クッ……」
魔剣姫「………………」バッ
司祭「ぅあっ!?」
祓魔師「司祭!?」
魔剣姫「動かない事。刀を捨てて兜を外して、ゆっくり両手を上げなさい。」チャキ
祓魔師「急に卑怯な手になったじゃないか……」ガシャンガシャ
魔剣姫「飽きたのよ。はい。そのままゆっくりこっちへ。少しでも
変な真似をすればこの司祭さんの命は無いからね。」
祓魔師「…………」ツカツカ
魔剣姫「ストップ。そのまま動かないで。」
祓魔師「…………」ピタッ
魔剣姫「目を閉じて。」
祓魔師「なんだか恐ろしいな。」スッ
魔剣姫「動かないでね?目は閉じたまま。」
ズ バ ッ ズ バ ッ
司|祭
祓/魔師
魔剣姫「悪く思わないでね。お互い、生きるためよ。」テクテク
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「……終わりか?」ハァ
召喚師「そ、そんな……最高位の召喚獣を三体も出したのに………」
魔王「一代前の勇者のパーティーに召喚使いの奴が居たが、さっきのより
骨のあるデカイのを四体ほど出していたと思うぞ。」
殺し屋「………終わりか…………」
賞金稼ぎ「ま、有利では無いだろうな。」
殺し屋「魔王と、どこまでやりあえると、お前は踏んでいる?」
賞金稼ぎ「サシ、って事か?そりゃ、奴さん、底無しだからな。
そんな事は解らんが、時間位は稼げるんじゃねーの?」
殺し屋「二人でならどうだ。」
賞金稼ぎ「お前と二人、か……解んねえな。だが、やるかやらないか、なんて話は不毛だ。
やらなきゃ人類もろとも死ぬ訳だ。魔王に殺されたとしても、一緒だろう。」
殺し屋「お前が吹っ切れたなら良い。隙を見て行くぞ。」
賞金稼ぎ(この野郎、よく喋ると思ったらわざと………)フッ
魔王「全く、お前達には拍子抜けだな。てっきりもう少し出来ると思ったんだが。」
破壊「私に……壊せぬ物など………ある筈が無い…………」
魔王「壊せぬ物など無い、か。相変わらず愚かだな、人間よ。」フフフ
破壊「何ィ…………」
魔王「その身一つ壊す力すら持てずに全ての物を壊せ」
ガ キ ャ ア ア ァ ァ ァ ァ ン
.
魔王「不意討ちは、もっと上手くやるものだ。」キリキリ
殺し屋「ぬぅ……」キリキリ
賞金稼ぎ「全く同意だな。せめて不意討ち位上手くやって欲しいもんだ。」バァン
魔王「おっと。」ヒョイ
殺し屋「シャアァッ!」ブン
魔王「ほぉう。」ヒャッ
殺し屋「はああぁっ!」ブン ブン ブン バッ
魔王「やれやれ……」シャシャシャ ヒョイ
殺し屋「ぬぅん!」ブゥン
魔王「そろそろこちらからも行かせて貰おう。」ガシッ ブン
賞金稼ぎ(そこだ。)バン
魔王「!?」ヒョ ガッ
召喚師(当たった…)
魔王「クッ……」ツー
賞金稼ぎ「おや、魔王殿、腕から血が出ておりますぞ?何故ですかな?この中で魔王殿に
傷を付けれる物が居るとは思えませぬ……ハッ!まさか、自傷行為!?」
魔王「己……!!」
賞金稼ぎ(よし、プライドの高そうなコイツに傷を付けて煽れば絶対キレると思ったぜ。)
殺し屋「はあぁ!」ブン
魔王「……」ガシッ
賞金稼ぎ「隙有り。」バン
魔王「ぬぅ!?」ガッ
賞金稼ぎ「隙だらけだぜ、魔王。」
魔王「このォ……!!」
賞金稼ぎ「掛かって来いよ。もうお前の動きには慣れた。もうどの位置で
どこを狙えばテメエに当たるか位は余裕で分かってるんだぜ。」バン
魔王「死ね。」ガキン
賞金稼ぎ「お、やっと剣抜いてくれたじゃねえか。本気になった?」バン
魔王「黙れ。」ガキン バッ
ガ キ イ イ ィ ィ ィ ィ ン
.
賞金稼ぎ「クッ……うおぉ……強え……」ギリギリ
魔王「やってみるか?貴様のその弩が、どこまでもつか。」ギリギリ
賞金稼ぎ「お断りしとくぜ。」バン
魔王「!?」ヒョイ
賞金稼ぎ「驚いた?二つ持ってんの。」バン
魔王「ふん。だが……」ブン
賞金稼ぎ「当たらなきゃ関係ない、そう思ってんだろ?」ヒョイ バン
魔王「当たらぬ矢に何の恐怖もあるまい。」ヒョイ
賞金稼ぎ「ま、もう当たってんだけどな、二度も!!」バン バン バン ババババン
魔王「……」シャッ
賞金稼ぎ「!?消えた!?」
ド オ ォ ッ ガ ア ァ ッ
.
賞金稼ぎ「うっ!」ゴフッ バタッ
魔王「………」
殺し屋「クッ……」ダッ
魔王「……」ガシッ ドカッ ドカッ
殺し屋「うぐっ!」バタッ
破壊「ひぃぇっ……」
魔王「……」
破壊「ああああああああ!!!」ダダダダダッ
召喚師「敵に背を向けて……」
魔剣姫「……逃げる気?」ザザザザシュ
破#壊
魔王「戻ったか。剣姫。」
魔剣姫「遅くなりました。陛下。」
魔王「そんな事はない。よくやってくれた。と、言いたい所だが、流石にな。」
魔娼婦「失態等と言う言葉では済みませんね。」
魔王「まあ、良いさ。ここはもうお前に任せたぞ。俺はもう飽きた。」
魔娼婦「龍騎様の所へ?」
魔王「ああ。お前も来るか?」
魔娼婦「いいえ。私はここで。」
魔王「そうか。じゃあ俺だ」
賞金稼ぎ(クソが……なめやがって……)チャカ
バン ババン
魔王「!?」クルッ
魔娼婦「残念だったわね。」ニヤ
賞金稼ぎ「クソっ!バリアか!」チャカ
ガッ ガチャガチャ
賞金稼ぎ「ぁ……」(ジャムりやがった………)
魔剣姫「ハッ!」ザン
賞金/稼ぎ
魔王「助かったぞ、娼婦。まさか、お前にそんな力があったとはな。
コイツにとどめを刺さなかったのは俺の油断だ。」
魔剣姫「では、残りの始末はお任せを。」
魔王「ああ。」シャッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔龍騎「徹底的に殺せ!手は抜くな!やらなければやられるぞ!」
魔王「おう、龍騎。流石に気合いが入ってるな。」シャッ
魔龍騎「! 陛下!城に向かっているのでは……?」
魔王「それが、少々飽きたのでな。それでどうだ、調子は。」
魔龍騎「地上の人間の六、七割は駆逐しました。馬を使って上手く逃げてる者などが
捕まえられておりませんが、それも時間の問題かと思われます。」
魔王「そうか。その調子で頼む。ここの全指揮権をお前に任せる。」
魔龍騎「はっ!しかし、陛下はどちらへ……?」
魔王「俺は」
魔大臣「陛下!!魔王陛下!!!」バタバタ
魔王「大臣?何故ここに?何を慌てている?」
魔大臣「魔……殿が……」
魔王「何だって?」
魔大臣「ま、魔僧正殿が!謀叛でございます!!」
魔王「な、に……」
魔龍騎「な……」
魔大臣「城の地下牢へ向かって居るようです!」
魔王「地下牢だとォ……!!」ビキビキ
魔龍騎「あの、魔僧正が……」
魔王「許さんぞ、あの坊主……」シャッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔将軍「僧正殿、愚かな事は止めよ。我らは殿の恩恵により今日までを生きてこられた。
その主君を裏切ってまで一体何をしようと言うのか。」
魔僧正「将軍殿、貴方は純粋な方だ。ただ戦は民の為と信じ、武は主君の為と信じ、
今日までを闘い、生き抜いてきた。私には……そんな生き方は出来ない。」
魔将軍「だからと言って何故このような地下牢に」
魔王「将軍、言葉を語る必要はない。」シャッ
魔将軍「殿。」
魔僧正「…………」
魔王「残念だよ、僧正。お前には期待していたのにな。」
魔僧正「私には…………私には、陛下が殺戮を楽しんでいるようにしか見えません。
私の前では、人間と共存出来るならそうすると言っておきながら、
兵士達に油を被せ、火を浴びせ掛け、人々が苦しむその様を見て笑う。
本当は、陛下は………人間を殺したくて仕方がないのではないですか。」
魔王「ああ。そうだ。だったらなんだ。人間は滅ぼすべき生き物。それだけだ。」
魔僧正「私に……嘘を吐いたのですか。」
魔王「ああ。そうだな。」
魔僧正「…………」
魔王「お前が何故ここに来たかは分かっている。この広い正方形型の地下牢…………
昔は大罪人をここに縛り付け、飯も与えず飢え死にさせたりもしたものだが、
この地形は、大召喚の魔方陣を描くのにうってつけだからだろう。」
魔僧正「ええ。」
魔王「何を召喚すると言うんだ?召喚してどうすると言うんだ?」
魔僧正「神を。」
魔王「魔界神、か。それを召喚してどうする。」
魔僧正「貴方を、斬る。」
魔王「…………ほう。だが、出来るか?俺はお前を全力で殺しに掛かるぞ?
俺がお前を殺すのと、お前が魔界神を召喚するの、どちらが早い?」
魔僧正「…………」スルリ チャキ
魔王「良い刀、だな。それで俺に勝てるとでも?」
魔僧正「時間さえ稼げれば良い……」
魔王「果たして、稼げるか?お前に。その、時間を。」
魔僧正「主よ!貴方の黒き祝福がこの命と剣に宿り、この者を討ち滅ぼさん事を!」
・・・・・・オヌシノ声ハ聞コエテイタ。我ニ付キ従ウト言ウノナラ、
今一度我ガ力、オヌシニ分ケ与エヨウ。ソノ魔ノ力ニ我ノ祝福ヲ・・・・・・
魔僧正「お、おおおおおオオオオオ!!!」ビカッ
魔王「面倒な事になってきたな。」
魔将軍「殿、微力ながら、助太刀いたしまする。」
魔王「要らん。俺一人で十分だ。」
魔僧正「随分な自信ですね。昔はその自信にカリスマ性を感じて惹かれたものですが、
今ではその余裕がこれ以上無いほどに腹立たしい。」
魔王「来いよ、僧正。」
魔僧正「…………魔王オオオォォォォォォ!!!」ダッ ブン
ガ キ ン
.
魔王「どうした?その程度で俺を止められるのか?」ギリギリ
魔僧正「クッ、そんな籠手ごときでぇ……」ギリギリ
魔王「今度は此方からだ!」シャッ
魔僧正(消えた!?後ろか!)クルッ
魔王「残念、上だ。」ザクッ
魔僧正「かはっ。」ガクッ
魔将軍「殿、剣をお使い下され!」
魔王「要らん。これしきの坊主、籠手で充分だ。」
魔僧正「何故、殺さないのですか。」
魔王「お前が本気で俺を殺しにかかってないからだ。」
魔僧正「!そんな事は」
魔王「じゃあ何故先程から手加減をしている?魔界神から受け取った力は
そんな物では無いだろう。そして何より、何故ここに来るまで
誰にも気付かれない方法を取らなかった?本当は、気づいて
欲しかったんじゃ無いのか?」
魔僧正「…………その通りです。私は」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
魔王「チッ、時間切れか。」チャキ
魔将軍「殿、ここは某が承ります。殿は」
魔王「駄目だ。魔界の神はお前一人でどうにかなる相手ではない。」
魔将軍「しかし」
魔王「もうこれ以上部下の数を減らしたくはない。分かるな?」
魔将軍「……はっ。」
ビ ィ ッ カ ァ ッ
魔界神「魔僧正、と言ったか。」
魔僧正「はっ。」
魔界神「よくぞ我を召喚した。褒美をやろう。望みを一つ、言うが良い。」
魔僧正「人界と魔界の共存。それこそが私の望みです。」
魔界神「そうか。容易な事よ。私に」
魔王「なあ、将軍。」ボソ
魔将軍「如何致した、殿。」ボソ
魔王「あの魔界神、ちょっと小さくないか。」ボソボソ
魔将軍「某も思っておりました。」ボソ
魔王「あれは精々盛っても156cm程だろう。」ボソ
魔界神「聞こえて、居るぞ。」
魔王「おお、聞こえていたか。」
魔界神「ああ。しっかりとな。156cmではない。161cmだ。」
魔王「そうか。まあ、そんな事はどうでもいい。」
魔王「お前の企みは分かっているぞ。俺を討って人界を横取りしようってんだろ。」
魔界神「フッ。」
魔王「何がおかしいのかな?坊 っ ち ゃ ん。」
魔界神「横取り、等と筋違いも良い所だ。我は魔界の神。統べる者が居たとて
その領地が神である我の物である事にはなんら変わりはない。」
魔王「ほう。ようするに、お前の物は俺の物、俺の物は俺の物、と。」
魔界神「我は神。そなたは魔の仔。それが運命よ。」
魔王「ま、良いさ。神だと言うのなら、力づくで奪ってみるんだな。その方が神らしい。」
魔界神「だから……やってやるさ!」シャッ
魔王「フン。」シャッ
ズ ガ ア ア ァ ァ ン
.
魔界神「グラムか……」ギリギリ
魔王「ああ。氷マグマから掘り出した甲斐あって、良い働きをする。」ギリギリ
魔界神「ではその氷マグマにグラムを埋め込んだのは誰だと思う?」ギリギリ ガキン
魔王「例えそれがお前だったとしてもお前に所有権はない。剣に宿る閃光は
最早俺に完全なる忠誠を誓っている。残念ながらコイツの主人は俺だ。」ドカッ
魔界神「ウグッ!」サッ
魔王(チッ、急所は外したか。身長が低すぎるだけに急所の位置が分かりにくい。)チャキ
魔界神「まあ、欲しければくれてやる。今さらそんな棒切れに用はない。」チャキ
魔王「その剣で充分、と?」
魔界神「これはただの剣ではない。」
魔界神「かつて人界の全てを手にした覇王、アーサーの魂を
サルベージして埋め込んだ最強の魔剣だ。」
魔王「そうか。それは良かったな。」シャッ
魔界神「!」ハッ
魔王「そら。」ザグリ
魔界神「ゥグハァッ!」バタリ
魔王「自慢やら何やらをべらべらと喋るからこうなる。」ズブッ
魔界神「クッ、だが」
魔王「お前の言いたい事は分かっている。召喚されたばかりだから本調子じゃない、
そう言い訳をしたいんだろう?それで構わんさ。何も俺に不都合はない。」
魔界神「それだけじゃない!」
魔王「何だ?今のお前は本体ではなく幻影のような物で、今のお前が消えた所で
本体のお前に何の痛手も無い事はとっくに分かっているぞ?どうした?」
魔界神「っ!」プルプル
魔王「いつでも掛かって来い。本調子じゃなかったとは言え、魔神界のトップが
これなら何度攻めても同じ事だ。全く、魔界の神が聞いて呆れるな。」
魔界神「神に刃を向けて、ただで済むと思っては居まいな!?」ギロッ
魔王「ありきたりなセリフだな。ボキャブラリーの少ない奴だ。」ズバッ
魔界神「グアハァッ!」ガクッ
フ シ ュ ウ ウ ウ ゥ ゥ ゥ
魔僧正「消えた……?」ガクッ
魔王「おっと、忘れてた。」ズバズバッ
魔僧正「ガハッ!……」バタリ
魔王「どんな形、理由であれ、謀叛は謀叛。死罪だ。」クルッ
魔王(本調子では無かったとはいえ、人間よりも弱い神とは、笑えるな。)フッ
魔将軍「殿!お怪我は!?」
魔王「全く無しだな。」
魔大臣「陛下!」
魔龍騎「魔王陛下!」
魔剣姫「陛下!」
魔娼婦「魔王様!」
魔王「皆、ご苦労。第二魔界の塵掃除は終わったようだな。」
魔剣姫「はい。」
魔龍騎「はっ。」
魔王「うむ。ならば、そうだな。龍騎、大臣、剣姫は数日の内に第二魔界に
複数の城、拠点を設立せよ。必要物資はこちらから好きに持って行け。」
魔剣姫「私は、建城、建築、用兵、何一つ知識がありません。」
魔王「大臣に聞くと良い。大臣、コイツの教育を頼む。」
魔大臣「ははーっ!」
魔王「とは言え、皆よくやってくれた。今宵は宴だ。好きに飲み、好きに食え。」
魔大臣「用意をして参ります。」
魔王「ああ。頼む。」
魔龍騎「陛下、言われていた捕虜の件ですが。」
魔王「おお。何人捕らえられた?」
魔龍騎「五人程。」ニヤリ
魔王「ほぉう……よくやってくれた。」ニヤリ
魔龍騎「皆魔族になるには充分な素質を持っております。」
魔王「うむ。それらも宴が終わってからゆっくりと見るか。」
とりあえずこれで第一章、と言うか人間界攻略編は終わり。
世界観、キャラ、人種等の設定について質問とかあれば、答えられる限りで。
明日の夜中まで待とうかな。
乙
捕虜以外の人間はもういないの?
>>127
居ない。更に言うと、捕虜も魔族にするか拒否すれば殺すので
実質人間は居なくなったと考えて良い。
支援とか乙レスしてくれた人達ありがとう。
中途半端なタイミングでの返レスに萎える人も
居るらしいからしてなかったけど、やる気出た。
それじゃ、設定とかの質問は次の投下まで受付。
明日からは何個かスピンオフ的な内容を入れて第二章に行く。
誰かのエピソードも読みたいとかあればそれも書く。
今から投下開始。
質問は一旦締め切り。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔大臣「陛下!!生まれたようですぞ!!」
先代魔王「おお!生まれたか!ガッハッハ!!」ダダダ
魔将軍「主よ!こちらが御子に!」
魔王子「ギャアアアアアアアアア!!グアアアアアアアアア!!」ジタバタ
魔将軍「む、若き殿よ、如何した。もしや、某の腕が頼りないと?
ご安心を。この魔将軍、命に代えても若をお守りしますぞ。」ギュウウゥゥゥ
魔王子「ぐ、グウゥゥ……」ピクピク
魔大臣「いや、魔将軍殿の腕が苦しいのでは?今にも若が死にそうなお顔を……」
先代「ガッハッハ!!どぉれ、魔将軍よ、儂にも抱かせろ!」
魔王子「………」ジー
先代「おうおう、坊主。どうした?父じゃぞ?」ダキッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔将軍「若!城内をそのように走られては、危のうございます!」
魔王子(齢5)「ならば将軍、俺を捕まえてみろ!」ダダダダダ
魔将軍「ぬぅ!ならばこの魔将軍、若相手とて、手心は加えませんぞ!」ダダダダダ
魔大臣「魔将軍殿!貴方が走られるのこそ一番危険ですぞ!」ダダダダダ
先代「何じゃ何じゃ!良く分からんが、皆が走っておるのなら、
儂も走ろうかのう!!待たんか!儂を置いてくなー!!」ダダダダダ
魔王子「掛かったな!」ポチ
魔将軍「こ、これは、落としあ……ぬおおおお!!!」ドスン
魔大臣「若!いつの間に床に落とし穴など……」ピタ
先代「ん?上から……魔大じ」
魔大臣「む?」クルッ
ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ン
魔王子「お、大臣に当たってしまったか。タライは最初に落とし穴に掛かった
人間に当たるように、上手く仕込んで置いた筈なのだがなあ……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子(齢10)「将軍、暇か?」
魔将軍「おお、若。如何した。」
魔王子「剣の稽古を付けてくれんか。大臣に聞いても用兵や軍略を学ばんかと
しつこくて、最近は剣の稽古を全く付けてくれんのだ。」
魔将軍「なるほど。某で務まるのならば。」
魔王子「おう。俺も人間に負けぬよう強くなりたいのだ。」
魔将軍「うむ。その心意気や良し。ならば、厳しく参りましょうぞ。」
魔王子「頼む。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
不良1「分からねえ奴だな!その竜の仔を寄越せってんだ!」
少年「何度言っても答えは同じだ!コイツを渡す事は出来ない!」
不良2「生意気なガキだな!」
不良3「コイツ確かスラムに一人で住んでるガキだぜ!」
不良4「ああ、コイツが。」
不良1「これが最後だ。その竜の仔を渡せ。でなけりゃ、分かるな。」チャキ
少年「刃物を持ち出しても同じだ!帰れ!」
不良1「コイツ!」ブン
魔王子「おっと。」ガシ
不良1「なんだこのガキ!コイツの知り合いか。」
魔王子「いや、爪の垢程も知らん。」
不良2「じゃあ邪魔すんじゃねえ!」
魔王子「俺は今のやり取りを見ていて、お前達が酷く気に入らん。
とりあえずコイツの竜の仔を奪うのは諦めて貰うぞ。」
不良3「つくづく何なんだこのガキ!」
不良2「英雄気取りか!」
不良1「お前、名前は。」
魔王子「生憎お前達のような盗人の雛鳥みたいな連中に名を名乗る口は持ち合わせてない。」
不良4「ふざけたガキだなぁ!」
不良1「邪魔するならお前も同じ目だぞ!」
魔王子「やってみろ。」ニヤリ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子「たまたま俺が護身用に木剣を腰に差していた。それがお前達の不運だ。」
不良1「い、いてえ……」
不良2「お、おい。行こうぜ……」
魔王子「誰が逃げて良いと言った。」
不良3「ぅ……」
魔王子「冗談だ。鬱陶しいから失せろ。」
魔王子「ふぅ……あのバカ共め、次は容赦せん。」
少年「え、っと、あの、ありがとうございました。それで、御名前は、なんと?」
魔王子「俺か?魔王子だ。」
少年「え?魔王子?」
魔王子「ああ。少し城を抜け出して散歩をしていた所だったんだ。」
少年「ナイフを持った不良達をすぐに成敗するなんて、普通の子供じゃないと
思って居ましたが……まさか、王族の人だったなんて……」
魔王子「ん、まあ、な。所で、お前の名前は?」
少年「あ、俺、じゃない、私は少年と申します。」
魔王子「そうか。普通に喋って良いぞ。あと、さっきの話を聞いてたんだが。」
少年「はい。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔将軍「川に泳ぎに行くと言われ、一人で城下のスラムまで行かれるとは…………」
魔大臣「最寄りの川に着くまで、飛龍でも十分は掛かると言うのに、
それを信じてしまう魔将軍殿にも責任はありますがな。」
魔王子「嘘を吐いて城下に言ったのはすまないと思っている。」
魔将軍「それはまだ良いでしょう。」
魔大臣「良くはありませんがの。それよりも。」
魔将軍「その少年は?」
魔王子「その事で話があるんだが、父上はいらっしゃるか。」
魔大臣「晩酌だと申され、自室に。」
魔王子「分かった。行くぞ。」スタスタ
少年「は、はい。」スタスタ
魔将軍「………どう思う。」
魔大臣「若の事ですな。」
魔将軍「うむ。」
魔大臣「とても齢10とは思えぬ思考や立ち居振舞い、仰り様。まさしくアレは………」
魔将軍「神童、よな。我が主に初めてお会いしたのは某が齢29の時。主は齢12。
それでもあのような話し方や行動は全く……似ても似つかぬ姿。」
魔大臣「齢5にして二段構えの罠を仕掛けられたり。」
魔将軍「しかもただの罠ではない。衝撃によって等ではなく、純粋な魔力が
引き金となるコントローラーまで作られていた。子供の悪戯ではない。」
魔大臣「行く末が楽しみですな。」
魔将軍「しかし、明晰が過ぎると言うのも、な。主は若とは正反対故…………」
魔大臣「まさか。魔将軍殿がそのような事を仰られるとは、珍しい。」
魔将軍「杞憂であればそれで良い。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
先代「魔大臣!すぐにこの小僧の住む場所を作ってやってくれ!」
魔大臣「陛下!?しかし、何故に?」
魔王子「こいつは親も居なくて、スラムでずっと一人で暮らしているのだ。」
魔大臣「しかし、スラムで一人で暮らしている人間は大勢居ます。」
魔王子「コイツは特別だ。俺が気に入ったんだ。父の許可も降りたぞ。」
魔大臣「……分かり申した。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子(齢12)「少年、居るか?」
少年「ああ、魔王子。今開けるよ。」ガチャ
魔王子「また城を抜け出してきた。」
少年「またかよ。と言うか、ここに来る時はいっつもだよな。」
魔王子「別荘のような物だな。」
少年「え~!何だよそれ!」クス
魔王子「文句があるのか?」ニヤリ
少年「あるわけないだろ。」ニヤリ
魔王子「そうか。」フッ
少年「こうして生きていられるのは住む所を作って金を支援してくれるよう
魔王様に言ってくれた魔王子のお陰だからな。
それに、お前が来てくれるの、嬉しいし。」
魔王子「気にするな。俺がタメ口で話し合えるのはお前位のものなのだからな。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子(齢16)「何!?また人間だと?」
魔大臣「はい。今度は中央北の門付近に魔方陣が出来、人間が
現れたそうです。また、それにより数人の人間が
侵入してきたそうですが、未だ捕まってはおりません。」
魔王子「調査隊は何をやっている……いや、そもそも調査隊の人数が少なすぎるのだ。
何故父上はこの状況に平然としていられるのだ。今に人間が襲ってきても
そうおかしくはないと言うのに……父上がどこにいらっしゃるか、分かるか?」
魔大臣「お、恐らく晩酌ではないかと……」
魔王子「まだ昼間の時刻だぞ!?…………いや、分かった。すまない。」
魔大臣「い、いえ。」
魔王子「俺は父上の所に行ってくる。お前は下がって良いぞ。」
魔大臣「はっ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子「父上。いらっしゃるか。」
先代「ガッハッハ!坊主!来たか!どうじゃ、一杯。」
魔王子「酒よりも、大事な話があります。」
先代「何じゃ何じゃ。もしや、妾が欲しくなったか?ガッハッハ!!」
魔王子「最近、人間がこの魔界に侵入してくる事が、多くなりましたな。」
先代「……お、おう。まあな。だが、大した事はない。お前が心配する事はないぞ。」
魔王子「まだ事態が飲み込めておられないのですか。中央北の門付近で現れた
魔方陣から数名の人間が侵入し、未だ捕まって居ない。それはつまり、
いつ数名の人間がこの城に潜入して我々を襲ってもおかしくない、
そう言う事なのです。父上、すぐに調査隊の人間を増員して下さい。」
先代「何を言っている。人間が必ず魔族を襲うとは限らんだろう。」
魔王子「現に民は入ってきた人間に襲われているのです!!」
先代「……お前の言いたい事は分かった。考えておこう。」
魔王子「……………………分かりました。失礼します。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子(齢26)「おう。久し振りだな。」
狩人「ああ。久し振りだな。忙しかったのか?」
魔王子「まあな。人間には悩まされるばかりだ。」
狩人「そうか。まあ、龍に乗って狩りをしてるだけの人間に言われたくは
無いかも知れんが、無理はするなよ。適度に肩の力抜くのも大事さ。」
魔王子「そう……だな。そうすれば誰かさんのように
女を妻取って子供も作って幸せになれるか。」
狩人「フッ。そうだよ。男は隙を作るのが肝心なんだ。」
魔王子「分かったように言ってくれる。だが、正直羨ましいな。子供が居る、と言うのは。
聞けば、もう飛龍に乗せる訓練や、弓の使い方を教えてるんだって?」
狩人「まあな。英才教育、って奴だ。」
魔王子「あまり厳しくし過ぎると、嫌われるぞ?」
狩人「大丈夫さ。アイツには才能がある。もう龍の仔を馬の様に駆ってるんだからさ。」
魔王子「幸せそうだな。本当に。」
狩人「ああ、幸せさ。……そうだ、夕飯、食べていけよ。時間あるなら。」
魔王子「それじゃ、是非ご馳走になろうかな。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
先代「おう、坊主。帰ったか!」
魔王子「父上。また、一人、人間に民が殺されました。」
先代「…っ。そ、そうか。では、その人間を」
魔王子「犯人の人間は既に私が斬りました。」
先代「そ、そうかそうか!ガッハッハ!よくやっ」
魔王子「笑い事ではない!」バン
魔大臣「わ、若、落ち着いて下され。」
魔王子「もう何人の民が死んだとお思いですか!人間が魔界に侵入して、
真っ先に襲われるのは剣を帯びた我々ではない!丸腰の民なのです!」
先代「し、しかしだな……そんなすぐ調査隊や警備兵を増強しろ、と言っても……」
伝令兵「報告申し上げます!東門北付近の灯台の地下に隠されていた地下牢に
巨大な魔方陣を発見!既に人間は侵入してきてると推測されます!」
魔王子「ひ……東門北に…巨大な魔方陣…だと……」
物見兵「報告致します!東門北に火の手が!人間の仕業と思われます!!」
魔王子「な……何故事前に防げなかった!!この無能が!!」クルッ
物見兵「ひぃ!?」
魔将軍「若!どちらへ!?」
魔王子「城下町だ!馬は借りる!」バサッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子(無事で居てくれ……)
飛龍「クオオォォォン……」バサッバサッバサッ
魔王子(あ、あれは……アイツの飛龍じゃ……人が乗っていた……
だが、小さかった……頼むから……無事で居ろよ……)パカラパカラ
魔王子「!!アレは!?」
人間戦士(男)「なんだ?コイツ、金も何も持っちゃ居ねえ。」
人間戦士(女)「雌の方もよ。人型だから何か持ってると思ったんだけど。」
人間男「そうだ、魔物の内臓や肝って高く売れるんじゃないか?」ザシュグチャ
人間女「そうね……スライムの内臓とか、よく高く売ってるの
見掛けるし、人型なら尚高いかも知れないわね!」グチャグチャ
魔王子「…………」
人間女「キャッ!?」
人間男「なんだ!?まだ居たのか!?」
魔王子「…………」ギラリ
人間男「ちくしょう、俺はもう疲れ」
ズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッ
魔王子「………………」チラッ
<肉塊(狩人)>
「それで、お名前は、なんと?」
「王族の方だったなんて………」
「え~!何だよそれ!」
「それに、お前が来てくれるの、嬉しいし。」
「無理はするなよ。適度に肩の力抜くのも大事さ。」
「ああ、幸せさ。」
「ああ、幸せさ。」
「幸せさ。」
「幸せさ。」
「シアワセサ」
「シ ア ワ セ サ」
「シ ア ワ セ サ」
魔王子「ウッウッ!ウオオオエエエェェ!!」ビチャビチャ
魔王子「オッオッグッ!グオオオエエエェェェ!!」ビチャビチャビチャ
魔王子「ハッ、ウグッウッウオオオエエエェェ!!!」ビチャビチャビチャビチャ
魔王子「……ゆ、許して……くれ………」ドサッ
魔王子「お前だけが………俺にとって………」ポロポロ ガクッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔大臣「東門北の森で血の海の中から兵が発見しました。
今はベッドでぐっすりと眠られています。」
先代「そうか!良かった良かった!何よりじゃ!人間も殺したようじゃしのう!
これでようやく儂は安心して酒を飲む事が出来ると言うわけじゃ!」
魔将軍「若の部屋へは……?」
先代「起こす事もあるまい!それよりも、酒じゃ酒!」スタスタ
魔将軍「……主よ……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子「!」パチッ
魔王子「………2の時か。」
魔将軍「若。いらっしゃるか。」ガラッ
魔王子「どうした。」
魔将軍「某、若に話して居らぬ事がございまする。」
魔王子「……話せ。」
魔将軍「はっ。して、この書は話の後に読まれるよう。」スッ
魔王子「これは?」
魔将軍「古い歴史書。この国の古き歴史を刻んで書にござる。」
魔王子「分かった…話せ……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王子「起きろ。」ゲシッ
先代「グオッ!?何奴!?…何じゃ、坊主か。3の時じゃぞ!?今頃何の用じゃ。」
魔王子「そら。」ガシャッ
先代「これは……」
魔王子「貴様の愛刀だ。」
先代「坊主……?」
魔王子「剣を抜け。」
先代「どうしたと言うのじゃ!」
魔王子「黙って剣を抜け!」
先代「……」チャキ
魔王子「全て分かったぞ。貴様が人間に甘い理由が。」
先代「……」
魔王子「まさか、よりにもよってあの穢らわしい生き物と目合い、
この俺を作ったとはな……本当に、吐き気がする……」
先代「そ、それを……誰から……」
魔王子「今さらそんな事はどうでも良い。俺はこの血を浄めたくて仕方がない。」
先代「…………」
魔王子「古い歴史書を読んだ。そしてある呪いを俺は見つけたぞ。」
先代「……………」
魔王子「親殺しの呪いだ。親と刃を交え、自らその親を斬った時、血は魔の神に呪われ、
永遠に死を迎える事のない、不死身の体になることが出来ると言う。」
先代「………………」
魔王子「もう良いだろう。これ以上の説明は不要だ。」
先代「…………………」
魔王子「貴様とて死にたくは無いだろう。来い。やらねば貴様がやられるぞ。」
先代「儂はこの国を守らねばならぬ。」ブン
魔王子「フン。」ブン
ズ ッ バ ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ
魔王子「毎日酒を浴びるように飲んでおいて何が国だ。笑わせる。」
先代「な……ぜ………」バタッ
魔王子「フン。毎日酒を飲む日々を送っている貴様が、日々鍛練し
人間を斬っているこの俺に勝てる訳が無かろうが。」チャキン
魔将軍「終わったのですな。」
魔王子「終わった?何が。」
魔将軍「は…?」
魔王子「何も終わった事等ない。消えるべきものが消えるべくして消え、
新たな歴史が始まろうとしている。俺が玉座に座っている限り、
あの下卑た生き物共の好きにはさせん。俺が終わらせる。必ず。」
魔王子(それが、償いになるのだから。)
魔将軍「いかが致しましょう。」
魔王子「まずは民を集められるだけ集めろ。大臣を起こし、説明をしろ。
後は俺が全て納める。あの無能が消えた事を言えば良いだけだ。」
魔将軍「お任せ下され、殿。」
魔王「ああ。」ニヤリ
とりあえず魔王が魔王となるまでのエピソードはここまで。
もっと書ける事は(魔龍騎が狩人の血族だとか)あったんだけど、
それだとまたあれもこれもって足して長くなるので、ここまで。
質問とか、次に書くエピソードのリクエストとかもあれば。
各キャラのスペック
身長、体重含めて
想像に任せるってのならそれでもいいと思うけど
>>163
>身長、体重含めて
やめてください死んでしまいます。
身長くらいなら、結構高い、とか、全キャラで一番高い、
とかで表せるし、まあ、体重も重さ順に並べる位なら出来るかな。
魔王
現在登場しているキャラの中で最強の能力を持つ。
メインの使用武器は剣。愛剣はグラム。その他、投げナイフ、クナイ等の投擲武器や、
槍、弓や錫杖等も使う事があるが、剣に比べて使用頻度は極端に低い。
戦闘スタイルとしては、剣を使いつつ体術を織り交ぜるスタイル。
戦闘中ゲシッだのドムッだの言ってる効果音は蹴りや掌底。
歴代魔王との比較は、歴代の魔王が顔真っ赤にして歯を食いしばって両手で
持ち上げるのが精一杯の物を片手で投げられる位、と言えば大体分かると思ふ。
肩に少し掛かる位の銀髪。ほんの少しゆるくウェーブが掛かっている。
背は高い。しかし体重は平均より少し重い程度。痩せ型。
筋肉は衣服の上からだと分かりにくい。しかしガチで力めば
フルパワーフリーザ様の二倍くらいの力瘤が現れる。
普段は優しい。見た目も相まって正に優男。
キレたり焦ったり、要するに冷静じゃない時は口調が荒くなる。
自分に逆らう相手には容赦しない。しかし部下の反対意見等には真面目に耳を傾ける。
自分の仲間や部下、身内を攻撃した時点でそれがどんなに大きな相手でも敵。
全力で叩き潰そうとする。魔界や人界、それ以外の世界にも様々な神が居るが、
総じて魔王の事を良く思っては居ない。しかし、何かしても返り討ちにあったり
痛い目を見そうなのでちょっとビビってる。実際そこらの神位なら
剣一振りで殺せる位の実力がある。原初のモデルはパズドラのヴァンパイアロード。
魔龍騎
当代きっての操龍能力を持つ青年騎士。その能力は一族の血によるものが大きい。
得意とする武器は剣、槍、斧。また実際の戦闘では飛龍との連携攻撃を主に用いる。
飛竜の吐く炎は人間の作った容易に鉄や鋼を溶かし、木を無に帰す。
常に飛竜に跨がって戦う為、先陣を切る事が多い。魔王が復活したのと
ほぼ同時期に生まれた為、今回の人類滅亡の戦いが実質的な初陣となる。
髪型に拘りがあり、自慢である金髪のウルフを崩さない為に戦いや鍛練の時に兜を被らない。
背は平均より少し高い程度で、体重も平均的である。痩せ型。
戦闘では飛竜に跨がり闘う為分かりづらいが、そこそこの筋肉がついている。
これは魔王に仕官した際、魔将軍にしごかれた為。
父親から飛竜を授けられる際、一族の話を聞かされており、以来魔王に絶対的な
忠誠を誓っている。その為魔王への反対意見や反逆を企てる者を何より憎んでおり、
小規模なテロが起こった際一人で鎮圧に赴き、殲滅と言う手段で鎮圧した。
また、意見や思想の相違か、仕官直後から魔僧正とは犬猿と言われる程仲が悪かった。
原初のモデルはガンダム種死のシン・アスカ。
魔将軍
先代魔王が王位に就くと同時に将軍の位を与えられた熟練の将。
純粋な腕力だけならば全キャラ中最強。魔王が腕力や体力を魔力で増幅するのに
対して魔将軍は腕力や体力を魔力で強化する。
メインで使う武器はハルバードとハンマーが合体した物。先端に巨大な戟の刃が
付いており、尾部にハンマーがついている。これを殆ど純粋な腕力のみで振り回す為、
当たり所によっては一撃で死ぬ。
黒髪の前髪無しのオールバック。白髪は見つけた瞬間必ず抜く。
が、あまりにも急いで素早く抜くために、他の黒い髪も数本間違って抜く。
背は現在登場したキャラの中で最も高い。体重もかなりの重量級。体型は筋肉質。
筋肉は衣服の上からでも十分確認でき、中でも上半身の筋肉が発達している。
普段はあまり喋らないが戦術、戦法の話と戦闘指示の際には驚く程饒舌になる。
魔龍騎と同じく魔王に絶対的な忠誠を誓っている。腕より弁が立つ者や、
弱いにも関わらず居丈高な態度を取る者を嫌う、武人然とした男。
原初のモデルは戦国無双の本多忠勝。
魔大臣
魔界の内政の殆どを受け持つ。将と言うより臣。
現存する全ての呪文を使える他、自ら編み出した呪文や、古代呪文等も扱う。
こと魔力に関しては右に出るもの無し。若き日は剣を振るい呪文を扱う
魔法戦士だった。年をとるに連れて腕力は弱まり、比例するように魔力は
大きくなっていった。今は常に杖を持っている。それは呪文の威力を補正する為でもあり、
腰が弱くなり始めたからでもある。しかし目は衰え知らずで、弓を扱う事もある。
魔界の住人は本来20~40後半までの姿で居る時期が長く、老人の姿になり始めたと言う事は
死が近い、と言う事でもある。長く老人の姿で生きているのは、死呪四法の一つ、
既老不死の呪いを受けた証でもある(魔王の行った親殺しの呪いは不老不死の呪い)。
頭部は禿げており、頭頂部は陽の光を反射し煌めいている。残った髪と言えば
白髪が僅かに後頭部を守るばかり。身長も体重も登場キャラ中(子供を除く)最も低く、
筋肉はその存在を主張する気すら全く見せない。
常に政治や国力の事で頭は一杯だが、戦の作戦等の議事にもしっかり参加する。
驚いたり、悲しんだり、怒ったり、等のマイナスよりの感情は表に出さない事が多いが
魔王絡みの事になると一変、驚く事の方が多くなったりもする。
誰にでも分け隔てなく接する仏爺だが、目上の人間への態度や言葉遣いが
出来てない人間にはあまり良い顔をしない(実力がある人間を除く)。
原初のモデルはドラクエIVのブライ。
魔剣姫
生き残る為に魔大臣の開発した呪炎の魔方陣で魔族になった元人間の女。
使用する武器は剣、弓。レーヴァテインは魔王から贈られた物。
人間時代には兵士養成学校で訓練を積んでおり、剣と弓は必修科目だった。
また、その名残からか、闘い方は型にはまった動きが多い。また、反応が早い事も
相まってかなり隙の少ない闘い方を取っている。また、戦っている最中の閃きも
ずば抜けており、戦士時代にそれで危機を脱した事も少なくはない。
背中に届く程の銀髪。ただし魔王とは違い、あまり色のツヤはない濁った銀。
背丈は女性としては高く、平均男性と並ぶ程。しかし体重は少女漫画のキャラの如く軽い。
魔族の中でも珍しいとされる、褐色の肌を持つデーモン族(魔王、魔龍騎、魔大臣は色白の
ヴァンプス族、魔将軍はやや赤黒い肌を持つオーガ族)。動きやすくする為に
露出の多い装備をしており、そこからはしなやかに付いた程よい筋肉が見える。
魔力を扱う能力が無い訳では無いが、元人間、しかも魔法を使わない戦士だった為に、
まだ魔力の扱いには慣れていない。
常に極めて冷静沈着。また、自分が生き残る為になら何でもすると言う覚悟があり、
現に自分以外の人間が殆ど焼き殺されたのを目の当たりにして捕虜になった際は、
一切の躊躇無く人界に見切りを付け魔族になり魔王に従う事を選んだ。
モデルとなったキャラクターは特になし。
魔娼婦
捕虜として連れて来られ、尋問される際に魔王に一目惚れし、魔族になった元踊り子。
その為、本来は他人にあまり心を開かず、喋る事も少ないが、魔王にはよく喋る。
特定の武器を持たず、また得意な物もない。護身に短剣を持つ程度である。
その能力は未だ見せていない面が多い。バリアを張る等、魔力系の能力を持つようである。
また、魔族になってそう月日が経っていないのにも関わらずバリアを張る等、
こと魔力の扱いに関しては天性の才能があるようにも見える。
僅かに肩に掛かる紫の髪は外にハネている。
背は女性の中でもかなり低い、が巨乳。体重も平均より遥かに低い。だが巨乳。
筋肉は最低限にしか付いていない。恐らく人間時代に舞台で
踊るために付いた物だと思われる。オーガ族であるが、肌はヴァンプ族と見紛う程白い。
魔剣姫以上に肌を露出した服装をしており、それによる体の防護性は0である。
モデルとなったキャラクターは特になし。
魔僧正
魔界での第二次反乱鎮圧戦にて魔王の護衛を務め、その性格から僧正の位を与えられた男。
元々回復がメインである為、武器は使用せず、素手で戦う。
常に目を閉じている。滅多に開く事はない。しかし見えている。
本人は心の目を開いていると言うがその言葉を理解出来る者は誰一人居なかった。
実際薄目を開けていたりするのではなくガチで目を閉じているのでたまに段差等で転ぶ。
髪は白く非常に長い。普段は背中で束ねている。身長は平均程度。体重は平均より少し軽い。
ゆったりとした僧服で分かりづらいが筋肉はそこそこある。
普段は無口で冷静。争い事、賭け事を極端に嫌う。争いを止める為に
やや無理やりな手段を取ることもある。また、好戦的な者を強く嫌う。
その為、魔龍騎とは仲がかなり悪い。だが、お互いにそれを表に出しはしない。
原初のモデルは戦国無双の明智光秀。巨乳ではない。
なんか文句言ってる奴も居るから話投下するわ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「暇だな。」
魔娼婦「暇ですね。」
魔剣姫「暇です。」
魔大臣「確かに、やることはありませんな。」
魔王「うむ。良いことを思い付いた。皆を広間に集めよ。」
魔大臣「はっ。全員、でございますか?」
魔王「うむ。魔軍師、魔鞭嬢、魔天使も含めて全員だ。何処に居るかは知らんが。」
魔大臣「承知致しました。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「揃ったか。」
魔将軍「はっ。」
魔龍騎「只今戻りました。」
魔軍師「……」
魔鞭嬢「……」
魔天使「それで、何の用だ?魔王よ。」
魔王「ああ。少し暇なのでな。かといって鍛練ばかりでは肉体、精神共に疲れるだろう。
それでな、少し余興も兼ねて模擬戦闘、と言う奴をやってみようと思うのだ。」
魔将軍「模擬戦闘?」
魔王「ああ。」
魔剣姫「陛下も参戦なさるのですか?」
魔娼婦「正直、勝てる気がしませんわね。」
魔王「いや、俺は参加しない。俺を除いたここにいる8名でやってもらう。」
魔龍騎「なるほど。それならば中々良い模擬戦闘になりそうですね。」
魔王「人数分けはどうしたものか……」
>>184
1.4対4
2.2対2対2対2
いきなり安価とは驚いた………
とりあえず1で
魔王「とりあえず最初は4対4だな。」
魔剣姫「紅白戦、ですね。」
魔王「うむ。ではチーム分けをするぞ。」
魔娼婦「分け方は如何にしましょう?」
魔王「とりっこにするか?」
魔龍騎「それでは残された者が可哀想です。グーチーパーにしましょう。」
魔大臣「2チームですから、グーチーですな。」
魔軍師(魔族とは言え、やり取りは殆ど人間と変わらんな……
むしろ普通の人間より幼いやり取りなような気もする。)
魔王「ではグーチーか。」
魔将軍「うぬ!某、グーチーには賛同致しかねる!グーチーでは両軍の兵力に
差が付きすぎる可能性が高まります故、とりっこにて両軍の組合を
決めるよう、殿にはお願い申し上げまする。」
魔龍騎「魔将軍殿には分からないでしょうね!最後に残された者の屈辱が!最後の一人に
なってじゃんけんで負けたチームのリーダーに、「うわっ、お前かよ……」的な
顔をされる時の絶望が、苦しみが、羞恥が、屈辱が!」
魔娼婦「貴方、とりっこにトラウマでもあるの?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「話が纏まらなくなったので、俺が決める事にした。」
魔将軍「…………」
魔龍騎「…………」
魔王「紅組、魔将軍、魔剣姫、魔娼婦、魔鞭嬢。
白組、魔大臣、魔龍騎、魔軍師、魔天使。以上だ。」
魔大臣(魔将軍殿……美女三人に囲まれるとは、羨ましい。)
魔龍騎(魔将軍殿、ズルいなぁ……)
魔軍師(俺なら紅白戦そっちのけで4Pにもつれ込むなぁ。)
魔娼婦「何やら男性お三方から、邪念が感じられますわ。」
三人(!?)
魔王「?」
魔娼婦「お耳を拝借致しますと……」コショコショ
魔王「ああ……魔天使も女だろう。」
魔天使「私は魔界の神よりの使い。性別等と言う物は存在しない。」
魔剣姫「組分けも終わった事ですし。」
魔王「ああ。丁度俺の作った亜空間が完成した所だ。」
魔大臣「なんと。殿自らの手で亜空間を。一体どれ程の魔力を…………」
魔王「三日あれば程なく回復する程だ。大した事はない。」
魔龍騎「どのような地になっているのですか。」
魔王「荒れ地と砂漠の中間、と言った所か。クレーターや岩場等の凹凸を多く作ったからな。
岩陰に隠れたり、罠で穴に落としたり、戦いようはいくらでもあるだろうな。」
魔大臣「ほぉ……」ニタァ
魔軍師「へぇ……」ニヤリ
魔王「ではお前たちを亜空間へ飛ばすぞ。」
魔娼婦「陛下も亜空間へ?」
魔王「いや、俺はここにいる。アレを使えばお前たちの姿が中継して観られるんだ。」
魔将軍「板……大きい……」
魔軍師「黒板……?」
魔王「あれにお前たちの姿が写映し出されるんだ。4K解像度だ。」
魔将軍「4けー……かい……?某、何の事か分かりませぬ。」
魔王「飛ばすぞ。」バアアアァァァッ
魔将軍「……」シャッ
魔龍騎「……」シャッ
魔大臣「……」シャッ
魔剣姫「……」シャッ
魔娼婦「……」シャッ
魔軍師「……」シャッ
魔鞭嬢「……」シャッ
魔天使「……」シャッ
白~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔軍師「おお、……ここが……かなり広い………」
魔大臣「それにあまりにも現実的な世界………」
魔龍騎「この岩……どこからどう見ても本物だぞ……感触も間違いない………」
魔軍師「流石に生物は居ないな。」
魔天使「当然だ。それが可能になった時初めてその存在は神になるのだからな。
あんな青二才に使えて良い業では無い。数百年しか生きていない小僧が。」
魔王[聴こえているぞ。]
魔天使「!?」
魔王[ルール説明を忘れていた。これはコスト制とする。武器や馬、飛龍を得るのに
それぞれコストを消費する。双方総コストは50000。相手の攻撃を食らうと
ダメージが蓄積し、いずれは戦闘不能になる。それの復活に掛かるコストが
一人1000だ。また基地や罠、兵器の設置等にもコストが掛かる。兵器は
壊れても修理出来るが、修理にも500のコストと数分の時間が掛かるため、
計画的に利用しないと、無駄遣いで終わるぞ。物が欲しい場合は、空に向かって
叫べば俺が勝手に配置してやろう。その分俺の魔力が飛んでいく訳だが。]
魔軍師「……なるほど……」
魔大臣「……難しいのぉ……」
魔龍騎「さっぱり分からん。」
魔天使「お前は黙って飛竜に乗っていた方が良いのではないか?」
魔軍師「まあ、大体の策は……」
魔大臣「決まったな。」
紅~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔娼婦「だってさ。」
魔鞭嬢「難しいね。」
魔剣姫「何だこの厚紙は。」
魔将軍「武器や兵器のリストのようだな。」
魔娼婦「料亭のお品書きみたいね。」
魔王[また、両組は東西に別れている。東からは西へ、西からは東へ風が吹いており、
中央でぶつかるように強風が吹いている。追い風に走っていけば、いずれは
相手にぶつかる、と言うことだな。また、双方の拠点より奥の場所は無風に
なっている為、通り過ぎた事にはすぐ気づく筈だが、迷わないよう注意しろ。]
魔剣姫「まあ、ただでさえ砂が舞って視界が悪いしね。」
魔鞭嬢「でも、この砂、目に入らないようになってるよ。」
魔将軍「砂は視界を悪くする為の物であり、それ以上の効果は与えない、か。」
魔娼婦「まあ、大体作戦は決まったわね。」
魔鞭嬢「ええ。男には負けたくないからね。この模擬戦、本気で勝ちに行くよ。」
白~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
残コスト:14000
内訳:拠点(城15000、飛竜10000、兵器&罠10000、武装1000)
魔龍騎「大丈夫か?こんなにコストを使って。」
魔天使「10000もする飛竜に跨がっといて何を言ってるんだお前は。」
魔軍師「大丈夫ですよ。この戦い、戦略を用いて籠城した方の勝ちです。」
魔大臣「うむ。恐らく魔剣姫殿と魔将軍殿が居る以上、相手は攻めざるを得まい。
そして我々は兵器と罠で敵を出迎え討てば良い。我々はまず戦闘不能に
ならぬ事を第一にすれば良い。」
魔龍騎「そうなのか!?」
魔軍師「復活コストは1000。修理コストは500。それが例えどんな堅い兵器でも。
一度戦闘不能になるくらいなら兵器を盾にした方が得、って事です。」
魔龍騎「なるほど。」
魔大臣「まずは落とし穴に敵を落とし、高所から兵器で射掛ける。」
魔龍騎「しかし、兵器に任せると暇では?」
魔軍師「恐らく敵が突撃をするのであれば門を破壊する衝車や、移動迫撃砲等を
持ってくる筈です。魔龍騎殿はそれを飛竜の炎で破壊して下さい。」
魔天使「私は何をすれば良い?」
魔大臣「魔天使殿、空は飛べますな?」
魔天使「当たり前だ。この背中の羽は飾りではない。」
魔大臣「では、その能力を最大限に生かして敵を引き付けて下され。
敵が守勢に入る場合もございます故、この役が不可欠ですぞ。」
魔天使「うむ。」
紅~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
残コスト:20000
内訳:(兵器20000、武装8000、馬2000)
魔鞭嬢「重要なのは移動迫撃砲、移動砲台、衝車だね。」
魔娼婦「ええ。相手はある程度拠点を固めるだろうから、衝車で門を壊して中に入る。」
魔鞭嬢「そこからはゲリラ戦術だね。一人ずつ確実に倒していく、と。」
魔将軍「武装が人数より多いのは何故だ?」
魔娼婦「戦闘不能になると武装は全部外れるから。その為の予備よ。」
魔鞭嬢「まあ、迫撃砲や砲台がやられたらすぐに修理するよ。
修理って言っても、多分数秒で治ると思うからね。」
魔剣姫「じゃあ、行きましょう。」
魔将軍「馬は乗らぬのか。」
魔鞭嬢「それは復活した時用よ。復活地点はここだから。」
紅~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔将軍「むっ。風向きが変わった。」
魔剣姫「拠点が近いみたい。」
魔鞭嬢「砲台や衝車の準備も万全だよ。」
魔娼婦「慌てないで。まずはゆっくりよ。走ってはダメ。敵に悟られないように
コッソリと近づいて行くの。……それにしても……あの拠点、まるで城ね。」
魔鞭嬢「あそこまで大きくするなんて……」
魔剣姫「そこかしこにある固定砲台も、迂闊に近付かない方が良いわね。」
白~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔天使「敵が来た。見えるぞ。かなりの数の衝車と移動砲台だ。」
魔大臣「筋書き通りですな。では魔天使殿。クレータートラップまで、
あの者達を引き付けて下され。また、移動砲台にはご注意を。」
魔天使「ああ。砲撃に当たるなと言う事だろう?簡単だ。余りに容易い。」
魔軍師「恐らく敵は城内に侵入し我々に直接攻撃を仕掛けてくるつもりでしょう。」
魔龍騎「ほぉ。」
魔軍師「ですがそうは行きません。魔龍騎殿、敵が罠に掛かり次第、衝車、迫撃砲、砲台の
優先順位で破壊していって下さい。くれぐれも砲撃は喰らわないように。防御、
回避を何より最優先して下さい。この戦い、損害を出さずに勝つ事が勝利です。」
魔龍騎「フッ。分かった。任せろ。」
魔大臣「さて、ワシも魔龍騎殿の手伝いをしようかのう。」
魔軍師「では俺はここで、砲台の標的操作でもしていますか。」
魔天使「……」バサッ
魔剣姫「!敵か!?」
魔天使「ま、まさかこんなに数があるとは……ちっ!」バサバサッ
魔将軍「おのれ、逃がすか!」ダダッ
魔鞭嬢「追うよ!」ダッ
魔剣姫「クッ!」ダッ
魔娼婦(何故北東の方向へ……風向きを見ても拠点の方向と
若干ズレてるのは誰でもすぐに分かるはず…………)ダッ
魔天使(もうすぐの筈だ………)バサバサッ
魔将軍「おのれ!敵に背を向けるとは、恥を知らぬか!」
魔天使「フン……」バサッ
魔将軍「正々堂ど」ガラガラドンガラッ
魔将軍「ヌオオオオオォォォォォォォォッッ!!」ヒュウウウウウン
魔剣姫「!?」ヒュウウウウウン
魔鞭嬢「あっ!?」ヒュウウウウウン
魔娼婦「あ!っと!」ピタッ
魔軍師「よし、一人外れたが、作戦はほぼ完璧に成功した!魔龍騎、
魔大臣両名は衝車破壊を最優先!魔天使は城に帰還せよ!」
魔龍騎「任せろ!」ボオオォォォッッ
魔大臣「とりゃとりゃとりゃっ!」バンバンバンバババン
魔軍師「砲台一斉射撃!!罠に引っ掛かった敵を破壊せよ!!」ドドドドドドドドドドドドン
魔娼婦「キャアアアアァァァァァァァァッ!!」バアアアァァァン
魔剣姫「ッアアアアアアアアアアア!!」ドドドドド
魔将軍「ヌウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」ドドドドド
魔鞭嬢「ッックウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」ドドドドド
魔龍騎「全兵器の破壊、完了した。」
魔軍師「了解。ご苦労様です。それにしても、あっさり片付きましたね。」
魔龍騎「やはり高所からの攻撃が効いたのか。」
魔大臣「まだ敵は倒しきっておりませんぞ。油断大敵。」
魔軍師「そうでした。一斉射撃!敵の息の根を止めろ!!」ドドドドドドドドン
魔天使「砲撃を受けているのに中々奴らしぶといな。」
魔軍師「恐らく、最大限の武装をしているのでしょう。」ドドドドドドドドン
魔龍騎「対魔法装甲、対砲撃装甲、追加装甲、か。」
魔軍師「ええ。全て着けたしたら、かなりの堅牢さです。」ドドドドドドドドン
魔天使「少なくとも1対1でやっても勝ち目は無かっただろうな。」
魔軍師「敵の作戦も全く無謀と言うわけではありませんでしたね。」ドドドドドドドドン
魔大臣「しかし、もう少し策を練るべきじゃったな。」
魔軍師「俺なら罠対策に、様子見用の自律自走砲位は使いますね。」ドドドドドドドドン
魔天使「最初に数発砲弾を撃ち込んで罠を作動させるのもアリだな。」
魔娼婦「うっぐっ………っくっ……うああああああああ!!」ドドドドド
魔将軍「ぬおおおおおおおおおおおお!!」ドドドドド
魔鞭嬢「きゃああああああああ!!」ドドドドド
魔剣姫「ああああああああああああ!!」ドドドドド
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔龍騎「やっと来たな。いつまでやるんだ?」
魔軍師「兵器の数から推すに、これが最後です。」ドドドドドドドドン
魔大臣「それにしても、よく諦めずにここまで来るものよ。」
魔軍師「馬もいったり来たり、頑張って走ってますよね。」ドドドドドドドドン
魔天使「そこか。着目点は。根性的な所を褒めてやれよ。少しは。」
魔軍師「そうですね。あ、もうすぐ戦闘不能っぽいです。」ドドドドドドドドン
魔龍騎「そろそろ終わりか。よかったよかった。退屈しかけてた所だ。」
ド ド ド ド ド ド ド ド ン
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔将軍「」シャッ
魔龍騎「……」シャッ
魔大臣「……」シャッ
魔剣姫「」シャッ
魔娼婦「」シャッ
魔軍師「……」シャッ
魔鞭嬢「」シャッ
魔天使「……」シャッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王「さて、と。まずは皆、ご苦労。」
魔龍騎「はっ!」
魔大臣「ははぁっ!」
魔軍師「はっ。」
魔天使「ふん。」
魔王「それで、だ。俺は訓練、模擬戦としてあの戦場を作った訳だ。」
魔軍師「はあ。」
魔王「途中からのあれは何だ?もはや虐殺ゲームになっていたが。」
魔軍師「…………?」
魔龍騎「魔軍師が、<ちょっと何言ってるかわからないです>的な顔をしている………」
魔天使「(・ω・)? こんな感じか。」
魔王「まあ、コスト調整を誤った俺にも責任はあるが。アイツらを見ろ。」ヒョイ
魔将軍「」
魔剣姫「」
魔娼婦「」
魔鞭嬢「」
魔大臣「生気が全く感じられませんな。」
魔龍騎「っていうか玉座を前にしてうつ伏せ、って礼節も何もあった物ではないな。」
魔王「その状態にさせたのは他でもないお前達何だがな。生きてるのか、アレ。」
魔天使「一応、生のオーラは出ている。」
魔王「一応……?」
魔王「今回の目的は戦闘能力の向上だ。その細かい設定や状況判断のために
コストを設けたのであって、あんな恐ろしい絵面を見るためではない。」
魔天使「少し楽しかったぞ。」
魔大臣「確かに。少し娯楽的な快楽が。」
魔王「…………昔、人界に入って、ファシストと言う者を見た。」
魔軍師「はぁ。」
魔王「彼らは一部の人間を集め、収容所に入れて、虐殺を繰り返していた。
ある時は毒ガスを部屋に撒いて殺し、またある時は壁に向かって立たせ、
後ろから背中を弩で撃ち抜いて殺したりもしていた。」
魔龍騎「ほぉ。」
魔王「お前達の姿は、それにそっくりだった。」
魔王「とにかく、次回からはもう少し訓練効率も頭に入れて戦え。以上だ。」
魔軍師「はっ。」
魔王「お前達も、いつまで寝ている。」
魔天使「玉座の間で四人もの部下が寝ている現在の心境は、どうだ?」
魔王「お前が言うな。誰のせいでこんなザマになってると思っている。」
魔将軍「む、ぐ………はっ!?と、殿!お見苦しい姿をお見せしました!」
魔王「全くだ。見たくはなかったな。先代から王家を支えてきた歴戦の将のそんな姿は。」
魔将軍「申し訳ありませぬ!!」ガン
魔剣姫「……」ムクリ
魔娼婦「ふぁ~ぁ……」ムクリ
魔鞭嬢「……ここは……?」ムクッ
魔王「お前達、マイペースにも度があるぞ……」
魔剣姫「陛下!もう一度やらせて下さい!」
魔娼婦「私からもお願い致しますわ。」
魔鞭嬢「魔王様、頼みます。」
魔王「そうは言ってもな。明後日には龍騎、大臣、それに剣姫は第二魔界の建国に
遠征へ向かって貰いたいと思ってるんだが……明日、もう一戦やるのか?」
魔剣姫「勿論、把握しております。」
魔娼婦「ですから。」
魔鞭嬢「今からもう一戦お願いします。」
男達「!?」
魔王「今からもう一戦か……」
魔娼婦「ダ…メ…ですか?」
魔王「そんな目で見られても困る。俺は構わんが、
コイツらはもう十分疲れてるのではないか。」
魔鞭嬢「そうなのですか?」ギロッ
魔将軍「某はまだ戦えますぞ。」
魔娼婦「………」チラッ
魔龍騎「お、俺もまだイケそうな気がします。」
魔大臣「老いぼれにはちと厳し………」
魔剣姫「植毛……」ボソッ
魔大臣「と、思いきや体中から力が溢れてきましたぞ。」
魔軍師「……まだやれますが。」ハァ
魔天使「何やら逆らい難い流れだな。」
魔王「今度は2対2対2対2でやるか。コスト制ではなく純粋な戦闘でな。」
魔剣姫「ありがとうございます。」
魔王「組分けはまた俺がやろう。
魔将軍、魔鞭嬢がA組、魔龍騎、魔娼婦がB組、
魔大臣、魔剣姫がC組、魔軍師、魔天使がD組だ。」
魔王「バトルロイヤル制で良いな。そして、どちらか一方がやられた時点でその組は
負けとする。協力やコンビネーションも重要だからな。連携をしっかりしろ、
と言う事だ。まあ、今更その程度の事はどうと言う事はないはずだ…………」
魔剣姫「老人……足を引っ張ればそのずんぐりとした脚と首を斬るからな。」
魔大臣「は、ははは……魔剣姫殿も悪い冗談を。……して、植毛の件は穏便に……」
魔鞭嬢「今度こそ勝つ!男になんて負けないよ!」
魔将軍「魔鞭嬢殿!連携が重要……聞いて居られるか!?」
魔龍騎「それで、魔娼婦。このあと、食事でも一緒にどうかな?」
魔娼婦「ゴメンなさい。この後魔王様と一緒に食事をする誘いをする予定があるの。」
魔王「聞いているか。お前達。」
魔王「まあ、良い。今からで良いか?」
魔娼婦「ええ。是非。」
魔王「ステージは変わらんぞ。東西南北にそれぞれ配置する。全員にこれを配る。」
魔剣姫「これは……石?」
魔王「それに自分の現在位置が示されるようになるからな。では、飛ばすぞ。」バアアアァァァッ
魔将軍「……」シャッ
魔鞭嬢「……」シャッ
魔龍騎「……」シャッ
魔娼婦「……」シャッ
魔大臣「……」シャッ
魔剣姫「……」シャッ
魔軍師「……」シャッ
魔天使「……」シャッ
A~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔将軍「む?」
魔鞭嬢「着いたね。って言うか、時間帯は夜なのかい。」
魔将軍「石の上の部分に小さな緑の光……これが現在地か。」
魔鞭嬢「東西南北って魔王様は言ってたから、アタシらは北みたいだね。どうする?」
魔将軍「迷う事等ありますまい。真っ直ぐ進むべし。」ズカズカ
魔鞭嬢「ま、それしかなさそうだね。」
B~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔娼婦「あら、暗い……」
魔龍騎「暗い方が戦闘には向いている。特に襲撃にはな。」
魔娼婦「私達は……東に居るのですね。」
魔龍騎「そのようだ。」
魔娼婦「どう致しましょう。」
魔龍騎「まずはここで待っていよう。敵が来たら戦う。」
魔娼婦「はい。」
C~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔大臣「ふむ。」
魔剣姫「ここのようね。座標で見るに私達の位置は……」
魔大臣「西、ですな。」
魔剣姫「敵は東南北……」
魔大臣「どう攻めましょうかの。」
魔剣姫「まずは北に向かいましょう。ひっそりと気取られぬように。」
魔大臣「襲撃、ですな。」
D~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔天使「……」バサッバサッスタッ
魔軍師「さて、と。」
魔天使「石によると我々の位置は、南か。」
魔軍師「ええ。Dの我々が南と言う事はAの魔将軍殿達は北の可能性が高い。」
魔天使「あの二人とは正直戦いたくないな。」
魔軍師「ええ。まずは後ろに下がりましょう。正面から向きあっても勝ち目はありません。」
魔天使「そうだな。あの二人なら正面から来るだろう。行動は読みやすい。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔将軍「むぅ……」
魔鞭嬢「中心部に来たけど、居ないね。」
魔将軍「前進する事を躊躇うか……ならばこちらから参ろうぞ。」
魔鞭嬢「じゃあ、とりあえずこのままみ…!?」
魔将軍「如何した?」
魔鞭嬢「石に赤い点が……東。」
魔将軍「東……こちらか!」ダダ
魔鞭嬢「気が早いね。」タッ
魔娼婦「来ましたわ。」
魔龍騎「魔将軍殿かな。」
魔将軍「龍騎か。」
魔鞭嬢「やっと見つけたよ。魔将軍さん、魔龍騎は、アタシとやらせてくれないかい。」
魔将軍「むぅ。構わんが。」
魔鞭嬢「恩に着るよ。」
魔龍騎「俺は女とて容赦はせんぞ?愛した女とて刃を向ければ斬る男だ。」
魔鞭嬢「そうかい。まあ、やってみれば良いさ。お得意の飛竜無しでどこまで出来るか。」
魔龍騎「ふん。」ダッ ブン
魔鞭嬢「……」サッ
魔龍騎「この!」ブン ブン ブブン
魔鞭嬢「……」サッ サッ ヒョイ サッ
魔龍騎「逃げてばかりか?」
魔鞭嬢「まさか。今度はこっちの番だ、よ!」シュッ
魔龍騎「うおっ!?」バチン
魔龍騎「う、うぐぅ……」ギチギチ
魔鞭嬢「どうだい?意外と痛いだろ?鞭って。こうして籠手の隙間に鞭を絡ませて
締め付ければ、このままアンタの腕を千切り取れる。こんな風にやればね。」ギュゥ
魔龍騎「くぅおお……」ビリビリ
魔娼婦「そこら辺にしてあげれば?」パチン
魔鞭嬢「なっ!?」パッ
魔龍騎「はぁ、はぁ。助かったぞ、娼婦。」
魔娼婦「弱い男は嫌い。格好の悪い所は見せないで欲しいの。」
魔龍騎「クッ、すまん……」
魔将軍「女人に刃を向けるのは気が進まんが……」ブン
魔娼婦「あら。」キン
魔将軍「むっ、障壁か。」ガキン
魔娼婦「年上を相手にするのは得意よ?フフフ……」
魔将軍「言葉は無用。参る。」ブン ブブン ブン ブォン
魔娼婦「あら、せっかちですのね。」ササササッ カキン
魔鞭嬢「はぁっ!」ブン
魔龍騎「そう何度も!」サッ ブン
魔鞭嬢「おっと!」サッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔天使「おい、あまりにも暇だぞ。」
魔軍師「そうですね。暇潰しにしりとりでもしますか。」
魔天使「しりとり?なんだそれは。」
魔軍師「相手の尻を先に揉んだ方が勝ちです。上手く尻を
取られず、相手の尻を取る事が重要なのです。」
魔王[おい、軍師。嘘を吐くな。嘘を。]
魔天使「その声は、魔王か。」
魔王[ああ。お前たち、訓練をしろ。これは戦う為の模擬戦だぞ。]
魔軍師「はあ。」
魔王[そちらに大臣達が向かっている。上手く迎撃しろ。]
魔天使「面倒臭い。」ボソッ
魔王[聞こえているからな。]
魔天使はなんで魔王のもとにいるのよ
魔王の声はいわゆる天の声じゃね
訓練空間を外部からモニターしてんだろ
>>235
そういうこと聞いてるんじゃないと思うぞ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔剣姫「!」チャキ
魔大臣「如何しましたかな?魔剣姫殿。」
魔剣姫「無駄だ。大人しく出て来た方が身のためだぞ。」
魔天使「チッ……」
魔軍師「まあ、バレてしまっては仕方ないですね。」
魔剣姫「待ち伏せか。」
魔天使「いや。」
魔軍師「サボっていたのを魔王様に咎められまして。」
魔剣姫「そうか。」
魔大臣「では、参りましょうぞ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔将軍「バカな……某の攻撃が、全く……」
魔龍騎「クッ……何故……刃が届かない……」
魔鞭嬢「全く、どうして男ってのはこう情けないかねえ。」
魔娼婦「全く同意しますわ。」
魔鞭嬢「さて、それじゃ……」
魔娼婦「決着は女同士で付けて差し上げましょう。」
魔鞭嬢「ハッ!」ブン
魔娼婦「……」サッ バァン
魔鞭嬢「おっとぉ!」サッ
魔娼婦「今の呪文をかわすなんて、中々、身軽ですのね。」
魔鞭嬢「なめんじゃないよ!」ブブン ブン ヒャオ
魔娼婦「フフフ……」キキキキン ブゥン ドォン
魔鞭嬢「しまっ……」バァァァン
魔娼婦「とどめ!」ゴゴゴゴ
魔鞭嬢「くそっ!」バッ
魔娼婦「はあ!」ドドドドドン バァン
魔鞭嬢「ぐああああ!」ババババァァァァン
魔娼婦「……流石に、今のを食らった以上、これ以上の戦闘は不可能でしょう。」
魔鞭嬢「うぐ、く、っそ……」ガクッ バタン
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔剣姫「やあ!」ブン
魔天使「ふっ!」ガキン
魔剣姫「んっぬぅぅぅ……」ギリギリ
魔天使「くっぅぅ…」キリキリ
魔剣姫「はあっ!」ガキン
魔天使「やあ!」ブン
魔剣姫「しまっ…」ザクッ
魔大臣「魔剣姫殿!」
魔軍師「余所見はしない方が身のためです!」バアアァァン
魔大臣「ぬおっ!?」サッ
魔軍師「そこだ!」バン バババン
魔大臣「ああぐぁっ!」ガガガン ズドン
魔剣姫「しまった!」
魔天使「そこ!」ザクッ
魔王[AとCはパートナー戦闘不可能につき、敗北。こちら側に召喚する。
また、残り2チームなので、戦闘が円滑に進むよう、
石に双方の位置をマッピングする。]
魔剣姫「くっ……」シャッ
魔大臣「ぬぅ……」シャッ
魔将軍「むぅ……」シャッ
魔鞭嬢「ちっ……」シャッ
魔龍騎「場所は……すぐだな。」
魔娼婦「行きましょうか。」
魔龍騎「なんか、無いのか。ワープとか、瞬間移動とか。」
魔娼婦「脚力強化呪文ならば。」
魔龍騎「それを使おう。」
魔娼婦「分かりましたわ。」ブゥゥン
魔龍騎「え、俺には?」
魔娼婦「お得意の飛龍でもお呼びになればよろしいのでは?」
魔龍騎「いやここ異空間だから飛龍呼べないし。」
魔娼婦「さあ、参りましょう。」タタタタ
魔天使「凄い勢いで片方が来たぞ。どうやってこんなスピード出してるんだ。」
魔軍師「魔龍騎殿が飛龍を呼んだのでは?」
魔天使「飛龍にしては遅いし、そもそも飛龍は呼べないはず。」
魔軍師「と言うか飛龍を呼んだのなら二人で乗れば良いですしね。」
魔天使「ああ。っと。来たな。」
魔娼婦「あら、お久しぶりですわね。」
魔軍師「ええ、数時間ぶりでしょうか。」
魔娼婦「フフフ。」
魔天使「と言うか、お前が来たのか。魔龍騎はどうした。そもそもどうやってあんな速度で?」
魔娼婦「呪文を使っただけですわ。」
魔軍師「いや、魔龍騎殿にも使ってあげれば良いのでは……」
魔娼婦「立ち話をしに来たのでもありませんわ。そろそろ……参ります。」
魔天使「……ほう、二対一とは、いい度胸だな……」チャキ
魔軍師「……」
魔龍騎「待ってくれ。」
魔天使「遅いぞ。どれだけ待ったと思っている。無能が。」
魔軍師「無茶な……」
魔娼婦「今度こそ、始められますわね。」
魔龍騎「行くぞ。」チャキ
魔軍師「負けはしませんよ。」サッ
魔天使「来るがいい。」チャキ
魔龍騎「はあ!」ブン ブブン
魔天使「やぁ!」ガキン キン キン
魔娼婦「ふっ!」ドオォン ドオォン
魔軍師「やっ!」バァン バァン バァン
魔娼婦「うあっ!」
魔龍騎「魔娼婦!」
魔天使「隙あり!」ズバッ
魔龍騎「グハッ!」フラッ
魔天使「よし!」
魔軍師「まだです!」
魔娼婦「仕方の無い人……」ブゥゥン ブゥゥン
魔龍騎「す、すまない……」
魔天使「回復呪文……」
魔軍師「流石に一筋縄では行きませんね。」
魔軍師「一度後ろに下がります。魔天使殿は、少し時間を稼いで下さい。」
魔天使「構わんが……何をするつもりだ?」
魔軍師「全魔力を一気に放出します。バリアも利かない程の威力です。
食らえば流石にもう立てはしないでしょう。それを当てる隙を作って下さい。」
魔天使「……分かった。先ずは魔力を込めろ。放出出来る状態にまずはせねばならんからな。」
魔龍騎「何をコソコソ話している!行くぞ!」ダッ
魔天使「来い!」ダッ
魔軍師「……」サッ
魔娼婦「魔軍師殿が下がった……?」
魔娼婦「嫌な予感……追わねば……」タッ
魔天使「行かせんぞ!」ブン
魔娼婦「っ!」カキン
魔龍騎「この!」ブン
魔天使「くっ!」ガキン
魔娼婦「つあっ!」バァン
魔天使「ふっ!」サッ ブン
魔龍騎「うぉっ!」ガキン
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魔王「魔天使がここまでとは……嬉しい誤算と言う奴か。」
魔王「名は知らんが、アイツを贈ってくれた神には、感謝せねばな。」
魔軍師「もう、結構です。魔天使、殿。」ビリビリ
魔天使「よし。」サササッ
魔龍騎「な、なんだ、あれは……」
魔娼婦「純粋な魔力の塊……」
魔龍騎「まずい!」
魔娼婦「くっ!利くかどうか……」ガキイイィィィン
魔龍騎「そうだ、バリアか!」
魔娼婦「最大魔力ですが、防ぎきれるかどうか……」
魔軍師「喰らえ!!」ズガアアアアァァァァァァン
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魔王「皆、ご苦労。龍騎、娼婦は座ったままでも構わん。しばらく立てまい。」
魔龍騎「い、いえ……」フラフラ
魔娼婦「わ、私も……」グッ フラフラ クラッ
魔王「おっと。」ガシッ
魔龍騎「魔娼婦!?」
魔王「眠っているだけだ。」
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魔娼婦「……」パチッ
魔王「起きたか。」スパー
魔娼婦「ここは……?」
魔王「部屋に鍵が掛かってたんでな。煙管臭いベッドですまないが。」
魔娼婦「申し訳ありません……寝床を占領してしまって……」
魔王「構わん。」
魔娼婦「他の方々は……」
魔王「先程ようやく龍騎と大臣、剣姫が人間…いや、第二魔界に出てな。
とりあえずは城を建てさせている所だ。拠点が必要だからな。」
魔娼婦「建城……」
魔王「建城と言っても元々あった城を魔族の為に改装するだけだ。」
魔娼婦「私は何をすれば……」
魔王「しばらく……数年はやる事も無いだろう。暇潰しに本でも読みたければ
俺の書斎に入っていても構わん。これはその鍵だ。」チャリン
魔娼婦「ありがとうございます。」
魔王「ところで、お前の部屋の鍵はどこにあるんだ?部屋に入れなかったんだが。」
魔娼婦「ここですわ。」スッ
魔王「なるほど。見つからんわけだ。まさか胸元などに入る訳は無いと思っていた。」
魔娼婦「フフ……」
魔王「では、俺は行くぞ。病み上がりだ。あまり無茶はするな。」スタスタ
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魔王「城も建ち、国力も安定してきたな。そろそろ様子を見に行くか?」
魔娼婦「お供致します。」
魔将軍「殿!失礼致します。」
魔王「どうした?」
魔将軍「第二魔界にエルフと見られる一族の軍が終結。魔龍騎達が襲われている模様。」
魔王「ほぅ……あれだけの兵力を預けたのだから、流石にやられはせんだろうが……
エルフの軍勢とは、中々面白そうだ。俺も見に行くとしよう。すぐに着替える。」
魔将軍「はっ!」
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魔龍騎「敵将は確認していない。つまりは烏合の衆。」
魔大臣「我々が三人とも出ずとも良いでしょう。」
魔剣姫「誰が行くか………」
魔王「俺に行かせてくれないか。」シャッ
魔龍騎「ふぇっ!?」
魔娼婦「随分と可愛らしい声ですこと。」シャッ
魔龍騎「い、一体何故……」
魔王「耳の尖った異人種とやらを拝みに来た。ここは俺に遊ばせてくれないか。」
魔大臣「はあ……構いませんが。」
魔王「兵は要らん。お前達は進めていた作業を続けろ。」
魔剣姫「分かりました。」
魔王「よし。では、少し、行ってくる。」シャッ
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魔娼婦「お帰りなさいませ。」
魔王「ああ。」
魔大臣「して、エルフは……」
魔王「とりあえず全員の首を切り落としておいた。あのままだと死体の腐臭が酷くなる。
大臣でも、龍騎でも構わん。呪文か飛竜の炎で焼き払っておいてくれ。」
魔龍騎「承ります。」
魔王「うむ。」
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???「やはり、流石だな魔王。しかし……今のは全て幻影。しかも将一人居ない。
これが本当にただの単なる挨拶である事に、果たして気付けるか、魔王?
さあ、私を楽しませてくれ。ゆっくりと刺客はお前の元に向かうぞ。
死神のように、な…もうゲームは始まった…さあ、どうする。魔界の王よ。」
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魔大臣「死体の処理、全て完了致しました。」
魔王「ああ。ご苦労。さて、今回の件で妖精族……エルフが敵になったのは間違い無いだろう。
元々我らの軍力に恐れをなして自分達の魔力で作った異界に逃げ込んだ一族だったが…
何故今頃になって我らに刃向かおう等と、愚かしい事を思い付いたのだろうな……?」
魔龍騎「我々の手で、必ずや、一匹残らず滅ぼしてみせましょう。」
魔王「うむ。そうなれば、もう一人……魔天使を連れて来よう。」
魔娼婦「魔天使殿を?」
魔王「他人との関わりは猿よりも下手な奴だが武腕は確かだ。」
魔剣姫「直ぐに次の軍が来るでしょう。」
魔龍騎「ああ。今回の軍、兵は全て幻、幻影だった。だが、次こそ間違いなく……」
魔王「ほう、まさか、皆気付いて居たとはな。」
魔剣姫「魔娼婦が。」
魔王「そうか。流石だな、娼婦よ。さて、次こそ本物の兵士を将が率いて来るだろう。
剣姫、次の戦いではお前が兵を率いてエルフの軍を退けてみせろ。出来るな?」
魔剣姫「私が……ですか。」
魔王「そうだ。この数年、兵も扱わず寝ていた訳ではあるまい?その成果を俺に見せてみろ。」
魔剣姫「……分かりました。」
魔王「いざとなれば俺や龍騎、大臣も居る。心配するな。」
魔剣姫「はい……」
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精族長「ふふふ……愚かな魔族共よ……先日の幻影遊びで慢心しているに違いない……
今度も同じような兵と思って油断しておろう……行くぞ!エルフの戦士達よ!」
妖精族「オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
魔剣姫「皆、良く聞いて欲しい。前回陛下が正しく一網打尽にした敵は、
創られた幻影だった事が分かった。今度こそ、本物のエルフの
軍勢が襲ってくるだろう。だが、恐れる事はない。魔界より
こちらに来てからの訓練は決して無駄ではない。皆、恐れるな!」
魔族「ウオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
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???「そろそろ精族長の軍が人界に着いた頃だろう。」
妖精「水晶に写しましょうか。」
???「いや、それは後にしよう。楽しみは取っておきたい……」
妖精「畏まりました。」ササッ
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魔剣姫「来た!行くぞ!全軍、進めぇ!!」
魔族「ウオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」ダダダダダ
精族長「行くぞ!魔を滅すのだ!行け行け!」
妖精族「オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」ドドドドド
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魔王「さて、剣姫一人でどこまで出来るか……」
魔大臣「初めから危機に陥れば助けるおつもりで…?」
魔王「まあな。勿論、一人で出来るならそれ以上の事は
ないが、いざとなれば俺が助けてやろう、とな。」
魔龍騎「今後は魔剣姫を将軍枠として使うおつもりですか?」
魔王「ああ。一目見た時から片鱗は見せていた。…カリスマ性、と言うのか。
無論それだけではないが、アイツは充分に出来ると俺は信頼している。」
魔娼婦「まあ。少し嫉妬してしまいますわ。」
魔龍騎「っ。」ムッ
魔大臣「……??」
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