女神「あなたの性格は、いっぴきおおかみです」八幡「知ってた」 (59)


王様「おお勇者よ、よくぞ参った。そなたに頼みたいことがあるのじゃー」

八幡「そういう持って回ったセリフ回しとかどうでもいいから。とりあえず、そのカイゼル髭は取りなさい小町」

王様(小町)「ノリが悪いよお兄ちゃーん」



 今日も『始まりの町』の周りでスライムを凹る仕事が始まるわ。と意気込んでいた17の誕生日
 誰も祝う人が居ない実家で目を覚ました俺は、母に急かされて城へと赴いた
 そこで迎えてくれたのは妹であり国王の天使小町
 どこかおかしい気もするが、これがこの国のデフォルトなので今更ながら気にする国民など居ないのである


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小町「お兄ちゃんももう17なんだし、そろそろ魔王退治いっとく?」

八幡「もう行ってんじゃねーかよ。俺なんかよりはずっと頼りになりそうな勇者葉山様がよ」


 本当は去年の内に旅立つはずだったのだが、まさかの勇者として覚醒したのが2人だった去年。旅の仲間を用意しておくはずの王国側の手違いと、俺と一緒に旅立つのにはちょっと…と及び腰であったルイーダの酒場メンバーの総意によって俺の旅立ちは見送られる結末となった
 そんな諸々を無視して独り(1人、と書くよりもカッコよく見える不思議。しかしボッチ度は上昇する矛盾)旅立っても良かったのだが、帰る手段も持たずに監視者もつけずに国から出国させる、それって実質国外追放じゃね?という国王のツッコミで思い留まらせられる
 いや、小町以外はけっこう乗り気だったように見えたけどな
 働かずに食う飯は旨いか?とでも問いたいのだろう、国の奴らは

 でも働きたくないでござる!
 勇者って実際出来ることが戦闘以外無いんだよ!しかもほぼワンマンプレイだから国の兵士さんらとの連携も難しいってボッチを推奨しすぎじゃねこの設定!?
 それなのにほぼ万能性能発揮して『稀代の勇者』とか持て囃されている葉山様は流石だよな
 同年代の俺が翳んで視えなくなるレベルだよ
 勇者八幡?だれそれ?って今頃冒険開始一週間もせずに通わなくなった教会でも言ってるよ


小町「でもレベル上げ兼害獣駆除作業はもういいと思うよ? おおがらす やバブルスライムとかじんめんちょうの被害も最近はめっきり減って来たし」

八幡「…なんで知ってんだよ」

小町「一年通してお兄ちゃんの動向を探る監視員からのご報告ー。1日から2日で行って戻ってこられる程度の距離を往復しながらモンスター退治していたお兄ちゃんは、そろそろ他の大陸に行ってもいいと思うな」


 ち、ちげーし
 単にやることねーからそこらの雑魚でレベルをぷちぷち上げてただけだし



八幡「って言っても、そもそも魔王退治は葉山が行ってんじゃねーか。俺が国外に出る必要性なんて無いだろ?」

小町「それなんだけどねー、なんかここ半年くらい監視員からの報告が無いの。ポルトガで船に乗った、て処までは報告が来たんだけど、その先がとんと」

八幡「なんだそりゃ」


 臆病風に吹かれた?
 いや、そんな奴なら端っから魔王退治なんて出て行かないよな
 旅しているうちに精神状態が変わった、と仮定しても、仲間がいる状態で其処まで己をさらけ出せる程アイツのメンタルは弱くねーだろ
 まあアイツの事なんて俺詳しいわけじゃねーんですけどね(笑


八幡「まあ葉山は今はいーや。えーと、どっちにしろ俺だけが出ていくのも問題なんじゃなかったっけ? 監視員兼仲間みたいな奴が居ないんだろ?」

小町「その点ならだいじょーぶ! ルイーダの酒場に行ってみてよ、この1年で小町が厳選したメンバーがそろっているよ!」


いろは「あっ、遅いですよ先輩っ! これから一緒なんですから、時間を守るくらいはきちんとお願いしますねっ」

川崎「……ん、よろしく」

めぐり「よろしくね八幡君♪」





八幡「おいどういうわけだちょっと屋上来いよ小町」


小町「女の人ばっかりで嬉しいでしょ?」

八幡「一番きつい厳選じゃねーか!何なの?お前俺の事嫌いなの!?」


 ぼっち舐めんな!
 女子との会話すらハードモードなのに、これから一緒の旅をするとか難易度が既にナイトメア振り切ってるじゃねーか!


川崎「…ちょっと、その反応は無いんじゃないの?」

いろは「まあ先輩ですからねー、薄々は気づいてましたけど」

めぐり「でもいきなり置いていくのは酷いと思うなー」


 ひい!着いてきていた!?
 い、いやまて、丁度いいから此処で問い質しておきたい事実もある!


八幡「と、とりあえず、他に聞きたいこともあるんだよ。川崎、お前職業は?」

川崎「ん、盗賊だけど。アンタの事視てたのも私だから、今更レベルが足りません、じゃ言い訳にはならないからね」



 こいつだったのかよ監視者って
 旅になんて出ずに家族を守れよ!



八幡「じゃ、じゃあ次、城巡先輩は、」

めぐり「めぐりんでいいよ?」

八幡「…城巡先輩は、職業は?」

めぐり「つれないなぁ…。僧侶だよ☆」



 そんなことはしったこっちゃありませんが、職種については把握しています
 冒険()序盤にはお世話になりましたもんね。解毒してもらったり、麻痺って気が付いたら膝枕をされていたこともありましたっけ
 でも貴女僧侶っつうかシスターじゃないっすか
 あそこの教会、これから神父さん一人で切り盛りするんすか?


八幡「…で、一色、お前は?」

いろは「勇者です!」

八幡「可笑しいだろ!?」



 こいつが一番おかしいよ!
 勇者2人のパーティは規約違反じゃねーの?
 俺(勇者)じゃなくて他の奴をパーティに入れてやれよ!



小町「大丈夫だよ、お兄ちゃんの勇者資格を剥奪すれば規約の穴を抜けられるよ?」

八幡「穴を抜ける必要はねーだろ!」

小町「でも町の人からしたらお兄ちゃん働きもせずに一年ぶらぶらしていただけのニートだから、正直認識上は遊び人って名乗っても問題ないんじゃないかな」

八幡「俺遊び人だったの!? 勇者の格好しているのに!?」

小町「そう考えると凄い道化だね!」

八幡「上手い事言ったつもりかっ!」



 実の妹(と国民、こっちはどうでもいい)から遊び人どころかニート認定されていたでござる
 死にたいorz


いろは「まあまあ先輩、元勇者ならではの指南役としてわたしの旅に同行できるんですから、ここはわたしの可愛さに免じてひとつ」

八幡「…何をどう免じるんだよ。遊び人になっちまったんだから実質レベル1じゃねーか…」

いろは「…『いつ』から、遊び人認定されていると錯覚していた…?」

八幡「なん、だと…?」



 え、レベル1じゃねーの?
 今言い渡されたんだからやり直しだよね?
 そうだと言ってくれ小町!


小町「お兄ちゃんの次のレベルは32です!もう立派なニートだよっ!」

八幡「」



 うわあああああああ…!

プリキュア観るからここまで
適当に駄弁ってて


「はぁああああっ!」


 気合一閃。このパーティの中で唯一そういう仕草が必要なわたしが、剣でこうもりおとこを両断します
 私のレベルじゃ当然攻撃翌力は全然足りないのだけど、其処は先輩の補助によって助かってました
 パーティには攻撃魔法を扱える人が先輩しかいないので、あらかじめ相手にダメージを与えておく手段を取るには最初のターンは待機ばかり。しかし、そこをクリアできれば近づいて攻撃できるので、その点の信頼くらいはしていますよー。むしろ信頼できなきゃそもそも一緒の旅なんても出来ないけど


「一色!」


 先輩の叫びに、上空に逃した一匹が急襲を掛けてきたことに気づく
 しかし、そこはあらかじめ教えてもらっていた通り、体幹の流れに逆らわずに、そのまま身を屈めて伏せる姿勢へ
 その頭の上を、先輩の『攻撃』が通り過ぎて行った


「大丈夫か」


 ――猫のぬいぐるみが返り血の着いたトゲ付きバットを抱え、カッコつけて言った
 正直、腹筋が崩壊します


_ _ _
_ _
_


八幡「…なんかおかしいと思ったんだよ、いつまで経っても雷撃系覚えないし、ベギラマ覚えてから習得率が皆無だとは思っていたけど、職種変わっていたんなら早めに教えておいてくれよ…」

小町「はーい、それじゃあ旅立つに能って皆様にプレゼントがありまーす。さぁその宝箱を開けるがよい☆」


 王様はドン☆と四つの宝箱をわたしたちの前に揃えて、厳かに言います
 ところで、なんか部屋の隅っこで蹲っている元勇者な先輩は放置ですか?
 まあわたしたちも気にする気は無いけどー


めぐり「わ、マジカルスカートだ~」

川崎「へぇ、毒針か。有り難く使わせてもらうね」


 なんか普通に良いものを送られているみたいだった
 こういうときって、国庫から捻り出したにしては雀の涙なはした金なのがテンプレじゃないんですか?


小町「勇者葉山パーティの要らなかったものを揃えてみたのです。報告の度に帰ってきては自分たちは使わないから、って置いていったものを有効に転用ってことで~」

いろは「なんだか申し訳ないですねー、わたしたちまだ成果を上げているってわけでもないのに」

小町「そこはそれ、お兄ちゃんの一年の蓄えを換金した成果だと思ってくれたら構いませんよ~」


 先輩の懐が平然と握られていました
 実の妹でもさすがは王様。国民の金をおいそれと使おうとしないとは、政治家の鑑ですねェ…



八幡「ちょ、何勝手してくれちゃってんの!?」

小町「文句言う前に選んでよ。早くしないと無くなっちゃうよ?」

八幡「実質もう選択肢なんて無いようなもんだろうが!?」


 確かに
 残る宝箱はあと二つ
 えーと、とりあえず右で!


いろは「…ん? ぬいぐるみ…?」

小町「おー、勇者いろはは当たりを引きましたねー」


 あー、確かに、守備力はそれなりにありそうだけど…
 …なんか、臭う…
 考えてみたら、転用ってことは葉山先輩のパーティの誰かが、既に使用した可能性もあるわけで…


いろは「…先輩の方はなんでした?」


 そっちの方が良かったら変えてもらおう。使い古しの着ぐるみとか、着たくはないし
 そう思って見てみれば、先輩は先輩で碌でもないモノを引き当てたらしい


八幡「…………エスカリボルグ?」


 なにそれ


 宝箱からトゲ付きの…バット?を引きずり出して、高く掲げてみる
 判断が付かない、これはどっちがハズレなんだろう…?


八幡「おお…、コレすげぇ。攻撃翌力が+255ってなった」


 カンストしてるじゃないですかヤッター!
 ちょっと羨ましそうに思わず先輩を見ていると、めぐり先輩がはっとして、


めぐり「はっ、八幡くん! 今すぐそれを手放して!」

八幡「え!? なんすか!? ひょっとして呪われて…!?」


 そういえばめぐり先輩は僧侶だった
 なるほど、葉山先輩らが置いていった理由はそれなのか
 …と、思っていたのだけど、


めぐり「キミがそれを手にしていると、鬼灯さんにしか見えないよ…っ!」

八幡「何の話っすか!?」


 ……そういえば新刊の挿絵もそんな感じでしたもんね
 云われてみれば、トゲ付きのバットっつうか金棒ですし、和装にしたら違和感が無くって笑うしかないと言うか


 『でんどんでんどんでんどんでんどん でんでん  はちまん は のろわれ て しまった !』


 ん?


めぐり「あと呪われてもいるね」

八幡「それ早く言って!?」


 データの消える音楽が流れたと思ったら手遅れだった
 いやあああああ…、ってなりますよねー。あれ


川崎「…比企谷、何処に不調が出てる? よっぽど酷いんなら今すぐに解呪して貰おうよ」

八幡「そうだな。攻撃翌力はもったいないけど、変なアクションが働いたら目も当てらんねぇし…」


 呪われた装備は解呪しちゃったら一緒に破棄されちゃうんですよねー
 カンストな攻撃翌力はもったいないなぁ…


八幡「…あれ、でも今の所ステータスに異常は無いな…」

川崎「戦闘中に発揮するタイプ?」

八幡「あー、突然麻痺ったり、混乱したり、かな。それだと今は判別つかねぇ…どうするかな…」


 …サキサキさんとぼそぼそと相談してますけど、そういうのってもっと私たちにも頼るべきじゃないですかね?
 なんか2人の世界が展開中なのが、面白くないっていうかー…


小町「あのー、その『呪い』小町分かったかもしれません」


 と、王様らしくない威厳が弱っちゃっている様子で、おずおずと手を上げる先輩の妹さん
 一応、アイテムを餞別した自分の所為でもあるから、ちょっとだけ負い目があるのかもしれませんね
 というか、今わかったと言いました?

≫34こう?


 それに気づくや、


八幡「マジかっ!? どんな状態異常だ!?」


 と、食い入る先輩ですが、


小町「…んー、やっぱり。いろはさん、お兄ちゃん今喋りましたよね?」


 もはや私たちの呼び方も完全に砕けてしまっているのは置いといて、なんか変なことを尋ねる妹さん
 …って、まさか、


八幡「…声が、届いてない、のか…?」



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 まあそういうわけで、
 無言でバットを振り回して圧倒する目の腐った男なんて、正直不審者以外の何者でもございません
 せめてもの折衷案として、ぬいぐるみで装備を固めて、マスコットキャラの立ち位置をプレゼントした次第です
 キャラクター名は“ヒッキー君”ですね
 幸いにも、パーティ内だけならば言葉が通じるみたいですので、良い装備が出てくる地域まではこのままということになりました

 そうしてわたし用の餞別は無くなってしまったのですが、
 そこは先輩から直接のお下がり


 『いろは は はがねのつるぎ を もらった !』


いろは「…ところでこの剣、ロマリアのお店にも置いてなかったのですけど…。…先輩はどうやって手に入れたんですか?」

八幡(ねこ)「…Ama●onって便利だよな」


 …………通販!?

ここまで
書き溜め型なんで纏めて放流するスタイル
遅れてごめんね

プリキュア観てたと思ったらトップをねらえになっていた…
何を言ってるかわからねーと思うが俺が一番わからね以下略

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年11月21日 (金) 02:14:03   ID: vKI5p6EJ

ドラクエ3と俺ガイル好きだから続き楽しみです!

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