ユウシャ「この旅も最後か…」妖精「ええ」 (114)

先に断っておくと、この話はとあるゲームの話の展開、登場人物の台詞をパクっています。
そのゲーム自体はシナリオ重視ではなくアクション重視のゲームであるとの個人的な判断のもとでのパクりなのですが、もし「やめろ」という意見が多く出た場合は即刻中止します。あとタイトルは適当です。

ここにいるのはとある理由で世界を救うために旅をしている、一人の若者と一匹の妖精である。


ユウシャ「…このあたりのはずなんだが…」

妖精「ええ、だんだんとチカラを強く感じるようになってきたし、かなり近いと思うわ…。」

ユウシャ「…この『フルーフ村』が最後になるのか…あの出来事から二年…時間はかかったが、ようやくだ…」

──────【二年前】王都


兵士「国王様!ブロク村から国王様宛に手紙が届きました!」

国王「ブロク村?随分遠い村だな。内容は?」

兵士「では読み上げます!

『国王様、お久しぶりです。ブロク村村長のデストロです。
突然お手紙を出させて頂いたのには訳があります。丁度この手紙を書いている8時間前くらいのことでしょうか、村に突如として黒いマントを羽織った男が現れました。

現場を目撃した村人の証言によりますと、その黒マントの男は突然近くにいた村人を拘束すると、その村人の耳元で“何か”を囁いたそうです。そして他の村人が拘束されていた村人を助けようと黒マントの男に近づいた瞬間、男は拘束を解き、近くにあった森の中へと走って姿を消したとのことです。

私自身も知らせを聞き、すぐに駆けつけたのですが、皆何が起こったのか分からない様子でした。そして、何かを囁かれた村人の様子がおかしいことに気がつきます。その村人は目が虚ろになり、無表情でうつむきながら謎の声を出し始めたのです。

その場に居合わせた他の村人は様子がおかしい彼を正気に戻そうとしました。しかし、何を試しても彼は言葉とも唸り声ともとれない謎の声を発するばかりで、話しかけても反応はありません。

様々な手を尽くしましたが、現状我々がその村人を正気に戻すことは出来ておらず、村の医者でも対処ができないため、王都の助けを頂きたく手紙を送らせて頂きました。国王様、どうかよろしくお願い致します。』

…以上です。」

国王「ふむ…なにか精神的に異常をきたしているかもしれんな…。万が一ということもあるだろう。すぐに精神科医や専門家、それと手紙に書かれていた男が万が一現れた時の為に部隊を村へ派遣してくれ。」

兵士「了解しました!すぐ手配致します!」

その後…

──────【二年前、王都に手紙が届いてから二日後】ブロク村“跡地”


部隊長「な…何なのだ…これはッ…!」


隊員「隊長…じ、自分…9年間にわたり様々な地を訪れましたが…このような凄惨な状況に遭遇したのは…は、初めてであります…!」


部隊長「…信じられん…“壊滅”している…!!」

隊員「部隊長!…ど…どう致しますか!?」

部隊長「…と、とにかくだ、全員で手分けして生存者を探すぞ!!」

隊員達「「「はっ!!」」」

つまらない

>>7
すまんな、こういうの初めてなんだ

───────【二年前、部隊によるブロク村生存者の捜索から三日後】王都


部隊長「では…村の調査結果の報告です。ブロク村では建造物はすべて倒壊しており、生存者はなし。まさに“壊滅状態”でした。そして村の地形はある一点を中心に地面が抉れ、全体がクレーターのようになってしまっていました…。原因は不明です。」

国王「待て、“ある一点”…とは何だ?」

部隊長「…それが…非常に奇妙なのですが、クレーターの中央部分に…『異様なまでにやせ細って骸骨のようになっている村人の死体』があったのです。証拠はありませんが、おそらくは…」

国王「手紙に書かれていた村人か…ふむ、調査の方、御苦労だった。あとは解析班の写真の解析から何か情報が得られるのを待とう。ゆっくり休んでくれ。」

部隊長「では、失礼致しました。」ガチャ

だが、この事件はこれだけでは終わらなかった。約半月後、なんと壊滅した村からそう遠くはない別の村に全く同じことが起き、その村もブロク村と同じように壊滅したのだった。そして驚くことに、二番目に壊滅した村からこれまた近くの村でも同じことが起き、壊滅した。同じくその次の村も、またその次も。

こうして、ブロク村の事件から数えて5つ目までの村は村人を含め全て壊滅してしまった。この時代の連絡手段はまだ手紙しかなく、初期段階では情報伝達の遅れによって黒マントの男の存在を知らない村がほとんどだったのだ。だが、それからは王国から多くの村へ黒マントの男への注意を促す手紙が届き、村人だけは避難させるなどの対策もとることができた。しかし、男から何かを囁かれた村人は仕方なく村に取り残されることとなり、結果として事件が起こるたびに必ず1人犠牲者が出てしまっていた。


後々の王都の調査から分かったことだが、この壊滅現象は複数の村で同時に起こることはなく、必ず一か所ずつでしか起きなかった。

そしてこの現象が起こった村すべてに必ず黒マントの男が出没していたということも判明した。


これらのことから推測されることは、村に出没した黒マントの男がこの出来事の犯人だということ。そして黒マントの男は何か“魔術”のようなものを使えるのではないかということ。それも、人間を一人生贄にして発動させ、村一つを壊滅させられる程の威力のもの。

一刻も早く男を追跡したかったが、王都は今までに壊滅してしまった村の調査と復興の援助などに人員を取られて黒マントの男の追跡が十分にできず、その正体を掴めずにいた。

そこで、王都は若くして王都随一の剣の使い手である一人の兵士に黒マントの男の追跡を依頼した。それが今まさにここにいる“ユウシャ”である。これがきっかけとなってユウシャは旅に出たのであった。

面白い まとめさん赤で

詳しいことは省くが、この旅の途中でユウシャは一匹の妖精と出会い、互いの目的の一致から共に旅をすることとなった。

妖精には特殊な能力があり、それは邪悪な魂を持つ者から発せられるオーラを感じ取ることができるというもの。追跡中に稀に感知できる黒マントの男のものとみられるオーラからはやはり魔術のようなチカラも感じ取れるらしい。また、妖精によると相手もこちらのオーラを感じ取ることが出来ているらしい。何となく、そんな感じがするんだとか。

ユウシャと妖精はこの能力を駆使して各地を転々としながら黒マントの男を追跡し、そして男の行動を読んで先回りして立ち寄った幾つかの村ではユウシャが村に入ることで威圧となり、男を逃がしてしまう代わりに壊滅を食い止めることができていた。


そして今回、黒マントの男が入ったとみられる村を王都の応援部隊に知らせて包囲を依頼。そして村の壊滅が起こる前に見事包囲は成功し、黒マントの男がその村に留まらざるを得ない状況を作り上げた。


時刻は夜。今、ユウシャと妖精は王都と応援部隊からの情報を頼りに、黒マントの男がいるとされるフルーフ村の近辺まで来ていた。

>>14
ありがとな、良かったら見てってくれ

ユウシャ「ついにこの旅も終わりが近づいて来たな…」

妖精「…そうね」




──────フルーフ村入り口前


応援部隊長「ユウシャ様!お待ちしておりました!」

ユウシャ「現在の状況は?」

応援部隊長「今現在、村に特に目立った異変は見られません。ですが…それも時間の問題かと…」

ユウシャ「いや、そうとも限らない。おそらくほぼ確実にヤツはこの包囲網には気づいている。移動方法が宙に浮くだとか瞬間移動などではないことは、ヤツが村を壊滅させた後、そこから近い村へ向かうことからほぼ確定している。きっとヤツは移動関連の魔術は使えず、地上を伝って移動する必要があるんだ。これだけの人数で包囲されている今、この村から出るのは難しいだろう。それにもしあの魔術を使ったとしたら、村から脱出しないと自分も被害を受けるだろうからな。」

応援部隊長「…それもそうですね。流石はユウシャ様です。しかし、ヤツの魔術とやらは村を滅ぼすもののみとは限りません。村人たちに被害が出ないうちに、一刻も早くヤツを倒さねばならないでしょう。」

ユウシャ「もっともだ。だが今は夜。今すぐ行っても危険だ。夜が明けたら単独で村に潜入してみる。応援は必要ないぞ。」

応援部隊長「…ユウシャ様…御立派になられましたな…。私達はユウシャ様を信じ、このまま包囲を続けます。この後も、今までに壊滅した村にいた調査部隊の者たちがこの場に包囲を固めるべく駆けつけるそうです。なので御心配なく。」

ユウシャ「ああ、任せたぞ。では夜が明けたらすぐに行ってくる。」

応援部隊長「どうか御無事で…」


ユウシャは応援部隊のテントを借りて夜を過ごした。そして夜が明け、ユウシャたちは村へと入って行く。

──────フルーフ村


ユウシャ「随分と平和な雰囲気の村だ…こんなに平和だと逆に不気味に感じるな…」

妖精「(なっ…!?嘘…!何よコレ…!!)」

ユウシャ「どうだ、妖精。チカラは感じ取れてるか?」

妖精「これ…ものすごいチカラよ…!強すぎて村の何処から発せられているのか全く分からないわ…!」

ユウシャ「なっ…何だと!?それじゃあ…」

妖精「…ごめんなさい、発している人物の特定はできそうにないわ。」

ユウシャ「そうか…まあそいつが村にいることが分かれば大丈夫だ。あまり気にするな。それなら村人たちに色々と話を聞いて回ろう。」


ユウシャたちは入り口のすぐ近くに村の役場を発見した。


ユウシャ「手始めにここからだ。村長なら何か手がかりを知っているかもしれない。」

──────村役場


ユウシャ「失礼、急に訪ねてすみません。村長はいらっしゃいますか?」

村人「あなたは…?」

ユウシャ「私は王都からの依頼でここに来た、ユウシャというものです。村長にお会いしたいのですが…」

村人「あぁ!あのユウシャさんですか!?お会いできて光栄です。村長ならこの奥にいますよ。呼んできましょうか?」

ユウシャ「いや、それだけ分かれば十分です。ありがとう。」


狭い廊下を抜けて奥の部屋の扉へ辿り着いたユウシャ。ノックをして中へ入る。

コンコン

ユウシャ「失礼します。」ガチャ

村長「…おお!これはこれはユウシャ様、あなたの御活躍はよく耳にします。はて、今日はどういった用件ですかな?」

ユウシャ「あなたに聞きたいことがあってやって来ました。早速ですが単刀直入に聞きます。昨日か一昨日あたり、この村に何か異変はありませんでしたか?」

村長「これはまた随分とお急ぎのようですね。…ええ、おっしゃる通り、たしかに奇妙なことがありました。昨日のことです。黒いマントを羽織った不気味な男が村に現れました。」

ユウシャ&妖精「(!!!)」

村長「その時は特に疑いもせずただの旅人だと思っていました。ですがその翌日、つまりは今日の朝のことです。村の北にある丘の上に突如として巨大な城のようなものできていたのです。それまでは何もなかったというのに…」

ユウシャ「そっ…それは本当ですか!?たった一晩で城が!?」

村長「ええ。そしてここ数日で村を訪れた人間はあの不気味な男ただ一人なので、奴が城の件になにか関わっているんではないかと思っているんですが…」

ユウシャ「…恐らくそうでしょう。決まりですね。私はその城にいるであろう、黒いマントを羽織った男を倒すためにここにやってきました。」

そう言った瞬間、村長の顔は明るくなった。



村長「本当ですか!?いやあ~、とてもありがたい!私達もどうやってそいつを倒そうか考えていたところなのですよ!ユウシャ様がいらっしゃればもう安心だ。お願いしましたよ!フフフッ…」

ユウシャ「任せて下さい。必ず倒して帰ってきます。」

村長「そうだ!ならこの村にある市場で装備などを整えて行かれてはいかがでしょうか?珍しいものも各種取り寄せていますし、きっと気に入って頂けると思いますよ。」

ユウシャ「それは是非とも寄って行きたいですね。市場の場所を教えて下さい。」

ユウシャは村長からこの村のことを聞いた。
村は他の村に比べてとても大きく、一本の川で南と北に分けられている。
市場があるのは南と北に一つづつ、それぞれ広場のようなところだという。
北へ行くには川にかかる橋を渡らなければならず、橋を渡ったところには小規模ではあるが森があるそうだ。
そして黒マントの男の城があるのも北側。
これらのことからユウシャが考えたのはまず初めに南の市場へ向かい、その後橋を渡り、森を抜けて北の市場へ行き、装備を整えた上で黒マントの男の城へ乗り込む、といった具合だ。

──────南の市場


ユウシャ「ここでも一応村人から話を聞いておこうか。」

妖精「つくづく思うけど、あなたって本当に几帳面よね。」

ユウシャ「情報は多いに越したことはないからな。それに、この村に城以外にも怪しいものが増えているところがあるかもしれない。」



市場は人で溢れかえっており、皆が幸せそうに会話していて、良い印象の市場だった。

ユウシャ「こんにちは。ちょっとお話を伺ってもよろしいですか?」

女性「ん?あら、かわいいボウヤ♥︎…食べちゃいたいくらいに」

ユウシャ「あ…えっと…何でもないです!す、すみませんでしたっ!!」スタタタタタタ

妖精(ちょっとユウシャ、あの人何?かなりヤバいんじゃないの?捕まらなくて良かったわね…)

ユウシャ(なかったことにしよう…何もなかったんだ…次いこう…)

─────南の市場、別の場所


ユウシャ「すみません、ちょっとお時間大丈夫ですか?」

男性「はい、大丈夫ですよ。」ニッコリ

ユウシャ「(マトモな人だ…よかった)私は王都からの依頼を受けてこの村にやって来たユウシャというものです。この村にここ数日の間にできた怪しいものや、その他、何か変わっている場所などあったら教えて頂きたいのですが」

男性「…変わっている場所ですか」


男性の顔から笑みが消えた。


男性「…ええ、ありますね。この村の最北端の、海に面している場所に石碑のようなものがあります。ですが、その石碑には絶対に近寄ってはいけません。石碑を壊すと大いなる災いが訪れると言われています。ですから、絶対に近寄ってはいけません。絶対ですよ!?いいですね!!?」

ユウシャ「は…はい、分かりました…ご協力感謝します。ではこれで…」

男性「絶対ですよーッ!!?」

ユウシャ「…」

ユウシャが少し歩いた後



妖精「…ねぇ、いまの男の人さぁ…」

ユウシャ「ああ、明らかに途中から様子が変だったな。石碑のことは知れてよかったかもしれないが、あんなに必死で近づくなと警告してくるなんて…」

妖精「…何かおかしいよね」

ユウシャ「…まあ、そういう性格なのかもしれない。次だ。あそこにいる人に聞いてみよう。」



ユウシャ達は緑色の髪をした、若い女性に近づいていった。

ユウシャ「あの…」

女性「あ…」

ユウシャ「すみません、少しお話を伺っても…」

女性「えっと…その…ごめん…ちょっと失礼するね…」タタタタタ…




ユウシャ「…」

妖精「…なにボーっと突っ立ってんのよ!」ペチペチ

ユウシャ「いや…なんか悪いことしちゃったかなーって…」

妖精「…もう!あのくらいで気にかけるなんて、そんな豆腐メンタルじゃこの先もたないわよ!ただ恥ずかしがってただけだって!ほら、もう聞き込みは十分でしょ?買うもの買って北へ向かいましょう!」

食料等を買って市場を出たユウシャ達。北へ進み、そのまま橋を渡って森に差し掛かった時のこと…



──────橋の近くの森内部


ユウシャ「小規模と聞いていたけど、結構思っていたより大きいな…植物が太陽光を遮って薄暗いのも気味が悪い…」

妖精「こんなところあんまり長居したくないわ…早く抜けましょう…」

ユウシャ「ああ…」



ユウシャ「(…ん?向こうの奥の方…何だあれは…棒…?いや…)」



その時だった。


???「きゃぁッ!!」

ユウシャ「…この声はさっきの!?まさかヤツが…!?」

妖精「あっちから聞こえたわ!何があったか分からないけどとにかく急ぎましょう!」


ユウシャたちは悲鳴の聞こえた方へ向かう。


タッタッタッタッタ…


ユウシャ「あれは!?」



そこにいたのは南の市場で逃げられた(?)若い女性と、なんと…


妖精「ウソ、魔物よ!?なんでこんな村の中にいるの!?」


『魔物』だった。

女性「やめてっ!こっちに来ないでっ!!」

妖精「ユウシャ!!」

ユウシャ「(分かってる!)おい!今助けるぞ!!」

魔物「…ンヴゥン??何だァ、お前はァ……今イイとこロだッタのにヨォ…邪魔シヤガって…!コロしテばらバらにしてヤル!!」

ユウシャ「やれるもんならやってみろ!」

威勢良く倒しにかかる魔物。だが、ユウシャの剣の腕前は王都随一。当然魔物は敵うわけもなくズタズタにやられてしまった。


魔物「グッ…うァ…!」ドサッ

ユウシャ「…」

女性「…ふぅ、助かった~…ホントもうダメかと思ったよ。誰かは知らないけど、助けてくれてありがとね。」

ユウシャ「これくらいどうってことないさ…それより」

女性「って、あれ…あなたはさっき村にいた…」

ユウシャ「…ああ、その通り。さっきは急に話しかけたりしてすまなかったな。大丈夫か?」

女性「うん。あの時は素っ気なくてゴメンね。村の人以外と話すなんて久々でさ…緊張しちゃって思わず逃げちゃったってワケなの。」

ユウシャ「そうか…よかったぁ…」ホッ…

妖精「(…)」

アンジュ「あっ、自己紹介がまだだったね。あたしの名前はアンジュっていうの。南の市場辺りで楽しく暮らしているわ。…あなたの名前は?」

ユウシャ「俺?俺はユウシャっていうんだ。」

アンジュ「…へぇ、ユウシャ…随分ユーモラスな名前ねぇ…」

ユウシャ「そ…そうか…」

アンジュ「だけどとっても素敵な名前!ユウシャさんっ、改めてよろしくね♫」

ユウシャ「こ…こちらこそ、よろしくな…」

アンジュ「さて、あたしを助けてくれたユウシャさんに何かお礼をしないとね…」

ユウシャ「お礼だなんてそんな…」


妖精「(なに遠慮してるのよ!もしかしたら運良く北の市場まで案内してくれることになるかもしれないんだから素直にしてれば良いのよ!)」イライラ

ユウシャ「(…何かお前さっきから機嫌悪くないか…?)」

妖精「(…!き、気のせいよ!…ほら、あの子何か言ってるわよ!)」

アンジュ「…そうだ!あたしがこの村の名スポットを案内してあげるっ!この村の名所からうれしハズカシヒミツスポットまで、あたしがレクチャーするわ♫」

ユウシャ「えっ」

アンジュ「こんなカワイイあたしとデートできるなんて、あんたも幸せモンだね~、このっ このっ♩」

ユウシャ「」

アンジュ「はい、決まりっ!まず初めに南の市場を案内してあげるねっ!それじゃ、南の市場へ向かうわよ~!あたしは先に行って待ってるからね~!ホントに待ってるんだから、絶対来てよね~!」タッタッタッタッタ…




ユウシャ「…南の市場?…南?」

妖精「…」

もうパクったゲームが何か気付いてる人もいると思います

ユウシャ「…素直にしとけって言ったのはどこの誰でしたっけ?妖精ちゃん。」

妖精「う…うるさいっ!いいからあの子を追うわよ!」

ユウシャ「仕方ない、一人で放っておくわけにもいかないし戻るか…」

妖精「『まず初めに』って言ってたから、多分北にもささっと連れて行ってくれるはずよ…きっとね…」

ユウシャ「…お前の予想は当てにならない」

──────南の市場


ユウシャ「おっ、あれかな。おーい!」

アンジュ「あっ、ホントに来てくれたんだ!フフッ、嬉しいなぁ♫」

ユウシャ「当たり前だろ。わざわざ戻ってきたんだから、ちゃんと北の方も案内してくれよ?」

アンジュ「うん!それじゃ、この市場を案内してあげるね!まずは説明からかな~?」

アンジュ「オホンっ、ここは村長さんが身寄りのない人のために作った市場なの。この市場で売買してる人たちは全て行き場を失っていた人たちってワケ。」

ユウシャ「へぇ…」

アンジュ「村長さんにはみんな感謝しているわ。あたしたちに人としての生活と幸せな日常を下さったのだから…」

ユウシャ「…(“人として”か…アンジュや南に住んでいる人たちは以前、どれだけ苦しい生活を強いられていたのだろうか…想像を絶するほど酷かったのだろうな…)」

アンジュ「だからみんな出来るだけ村長さんのお役に立てるようにがんばっているの。はいっ!この市場の話はおしまいっ!なかなかいい話だったでしょ?」

ユウシャ「ああ。大変だったんだな…」

アンジュ「…ところで、ユウシャさんはどうしてこの村に来たの?」

ユウシャ「そういえばまだ言ってなかったか。俺は王都からの依頼を受け、この村に侵入した黒いマントを羽織った男を倒すためにこの村に来たんだ。今はそいつを探している。」

アンジュ「えっ、黒マントの男を探していたの!?しかも王都の依頼で!?だからさっきからソワソワしてたのねっ!」

ユウシャ&妖精 「(…!?)」

アンジュ「分かったわ!次に案内する場所は、ズバリ黒マントの男の城ねっ!詳しくは北の橋でしてあげるっ!遅れたらバツゲームよぉ♩」タッタッタッタッタ…

妖精「…ユウシャ、何であの子…」

ユウシャ「ああ…なぜ黒マントの男の事を知っていたんだ…それに城へ案内するって…」

妖精「…どうする?」

ユウシャ「どうするって…とりあえず追いかけよう。北の橋は周りが開けていて見晴らしが良かったし、何かに襲われそうになってもすぐに気づけるだろう。それに…」

妖精「…それに?」

ユウシャ「…いや、何でもない。行こう。」

妖精「…」

──────北の橋


アンジュ「おっ、時間通りだね。感心感心っ♩」

ユウシャ「待たせるのは悪いからな。」

アンジュ「それにしても、あなたがウワサのユウシャ様だったなんてね~。通りであたしをスパッと助けちゃうワケだ~」

ユウシャ「(ウワサの…?)」

アンジュ「…さて、それじゃこの付近のことと黒マントの男の城の場所を教えてあげるね~」

アンジュ「黒マントの男の城はあっちに見える丘の上のあの建物よ。なんかいかにもって場所にあるね。」

アンジュ「まだ準備ができてないなら、北の市場に寄ってみるのもアリかもね。」

アンジュ「それと、丘に向かう途中にも道があるけど…今は気にする必要ないわ。」

アンジュ「それじゃ、黒マントの男を倒しに行こうかっ!あたしも後ろで応援してるからね♩」

ユウシャ「…ああ。ただ、まずはアンジュが言ってくれたように北の市場で装備を整えたいんだ。寄って行こう。」

アンジュ「寄っていくの!?わ~、楽しみ♫北の市場なんてあんまり行かないからなぁ~」

──────北の市場


ユウシャ「ここは南の市場よりだいぶ大きいな…防具屋はどこだろう…」

アンジュ「ユウシャ!この看板に向こうって書いてあるよっ!行こう行こう!」

ユウシャ「おい、待てって!痛たたたた!引っ張るなって!」

アンジュ「いそげーいそげー♩」

タッタッタッタッタ…


妖精「(…フフッ、まだ知り合って間もないのに、まるで恋人同士みたい。アンジュもユウシャも幸せそうだわ…)」

──────防具屋前

ユウシャ「ここか…アンジュはこういうところ興味あるのか?」

アンジュ「う~~ん、ユウシャと一緒に見たいかもなんだけど、向こうにも行きたいお店見つけたんだよね~…ここは行きたいところがありすぎてさ…」

ユウシャ「別に好きにしてて良いからな。俺は時間かかるかもしれないから待たせても悪いし。」

アンジュ「…うん!じゃあ向こうのお店見てくるね~!フフッ♫」

ユウシャ「ふぅ」

妖精「あんまりレディを待たせちゃダメよ、ユウシャ。」

ユウシャ「分かってるって。黒マントの男の城にも早く行かなきゃならないし、手早く済ますよ。あと、アンジュが1人だと心配だ。妖精、お前見張りに行ってくれないか?」

妖精「別に構わないけど、万が一のことがあったらあんたを呼びに来るから、いつでも駆けつけられる心構えでいなさいよ!」

ユウシャ「了解した。じゃあ頼んだぞ。」

──────防具屋


店主「おっ、いらっしゃい!」

ユウシャ「こんにちは。いきなりで申し訳ないのですが、この店の1番オススメの防具は何ですか?」

店主「おう!それだったら、この“ホーリーガーディアン”っていう鎧がオススメでっせ!重いのがちと難点だが、硬度に関しては一級品よ!イエティの攻撃でも傷ひとつ付かない程だ!」

ユウシャ「ふむ。ではそれを頂きます。あと、そっちのガントレットも見せてください。」

店主「あいよ!このガントレットはこの大陸の南の方の洞窟に生息するリザードの牙を………」

ユウシャと店主は幾つかの防具について話し、そして最後にグリーブ(靴装備のこと)の話題になった。



ユウシャ「では、グリーブのオススメは?」

店主「へいっ!こちら!グリーブだったらこの“グレートホース”がオススメよぅ!見た目によらず軽くて歩き心地も良いですぜ!」

ユウシャ「ふむ…これも良いグリーブですが、もっと丈夫で強度に優れたものはありませんか?」

店主「あー…えっと…そうだな…いや、うちの店ではやっぱこの“グレートホース”が…」

ユウシャ「そうですか…。では、グリーブはこのままで大丈夫です。色々な防具の相談をして下さってありがとうございました。」


店を出ようとしたユウシャ、そこへ…

店主「…まっ、待ってくだせぇ!若ぇ人!」

ユウシャ「…?」

店主「じ…実は有るんです…これよりもっとすげぇグリーブが…」

ユウシャ「本当ですか!?店頭に並べておいて下さったらいいのに。是非とも見させてくださいよ。」

店主「あー、有ることには有るんですが…ちょっとした“曲者”でして…」

ユウシャ「…曲者?」

店主「ええ、そこで少し待っててくだせぇ…」

店主は店の奥に入って行き、厳重そうな鍵がいくつもかかった箱を持って来た。



店主「こいつなんですがね、名は“バトルグリーブ”と言いまして…グリーブとしての性能は恐ろしいほど良く、履くと物凄く力がみなぎってくるんですが…」


店主「えっとですね…信じて頂けないと思うんですが…このグリーブ、“呪い”がかかっているんです…」


ユウシャ「これは…確かに素晴らしいですが…“呪い”とは…?」

店主「…こいつを履くと、戦う時に逃げられなくなるんです…どういうことかよく分からねえと思いますんで、例をあげましょう。例えばあんたがこのバトルグリーブを履いて敵に出くわしたとしますね。そうするとあんたを含めて人間なら誰しも、『自分にとって害となり得る存在』には最初、脳が本能的に『戦おう』と考えちまうんです。その後は人によって『逃げなきゃ』だとか『敵わない』『助けを呼ぼう』だとか、理性が加わって様々に変化しますがね。するとですね、このバトルグリーブがまるでその本能的な戦いの意思を読み取ったかのようにして呪いが発動し、その敵を倒すまでバトルグリーブが脱げず、そのうえ強制的に持ち主であるあんたを相手の方まで歩かせて、身体を操って戦わせるんです…。これだけならまだ何とかなるかもしれないんですがね、自分よりも実力が上の相手だとかに出くわした時なんかがヤバいんですよ。逃げたくてもバトルグリーブに操られるんで逃げられず、しまいにゃやられちまいますぜ…。」

ユウシャ「なんだ、そんなことでしたか。」

店主「なっ…!?」



店主の説明を聞いた後も、ユウシャの顔は自信に満ち溢れていた。


ユウシャ「その程度の事なら一切問題ありません。私は負けませんし、たとえ強敵に出会ったとしても死ぬ気はさらさらありませんので。そのバトルグリーブ、頂きます。」

店主「(…!?この男…この自信…)」

店主「…分かった。そこまでの自信があるなら安心だ。料金はタダでいい、俺からのサービスだ。受け取ってくれ。」

ユウシャ「ありがたく使わせて頂きます。」

店主「…あんたのためにもう一度言っておくが、そのグリーブを装備したが最後…あんたの戦いに逃げるという選択はなくなるんだからな!」

ユウシャ「…私は逃げも隠れもやられもしない。私に期待してる人たちを失望させるようなことを、したくはないですから。」

店主「…どんな事情があるのか知らねぇけどよ
………達者でな。」

ユウシャ「…ありがとうございました。ではこれで。」



ユウシャは防具屋を出た。そして覚悟を決め、バトルグリーブを装備する。

ユウシャ「(このグリーブ…履いただけですごいチカラが湧いてくる…!今なら何にだって勝てそうな気分だ!これなら黒マントの男も…!)」テクテク



アンジュ「おっ?意外と早かったね♩」

ユウシャ「そうか?そっちこそ早かったんじゃないか?」

アンジュ「…あたしはあまり見るものも無いし、『待たせるのは悪いからな。』でしょ?ふふっ♫」

ユウシャ「…そうか、そういやそうだったな。ありがとう。じゃあいよいよだ、黒マントの男を倒しに行く。」

アンジュ「うん!頑張って♩」



ユウシャたちは黒マントの男がいるであろう城の前まで到達した。

──────黒マントの男(?)の城門前

ユウシャ「正面から一気に突入するつもりだけど、敵がいたら一気に駆け抜けるよ。ザコに構っていてもキリが無いし。あとアンジュ、何があっても俺のそばにいれば大丈夫だからな。」

アンジュ「大丈夫!あたしケンカ強いから! ふっ!はっ!ほあちゃー!」

ユウシャ「(…なんというか…本当に大丈夫か…? まあ、そばにいてくれた方が安全っちゃ安全だからな。)」





妖精「(ねえ、私さっきから空気じゃない?)」

ユウシャ「(さっきはアンジュの見張りありがとな。でも仕方ないだろ。俺以外の人には見えないんだし。)」

妖精「(…)」

──────城内


ユウシャ「な…なんだ…これは…!?」


ユウシャ達が見たものは


アンジュ「…うひゃー」


城の最上階まで続いていそうな────



─────“螺旋階段”だった。

ユウシャ「…」



~~~~回想~~~~
村長「───ですがその翌日、つまりは今日の朝のことです。村の北にある丘の上に突如として “巨大な” 城のようなものできていたのです。────」
~~~~~~~~~~



アンジュ「…」

ユウシャ「…見た感じ、いきなり襲ってくるってことはなさそうだが…周りに魔物の気配もないし…だけどこれは…どこまであるんだ…」

アンジュ「…だっ、大丈夫でしょ!何とかなるって!」

ユウシャ「何とかなるって言ったって…これも時間稼ぎのつもりか…?……いや、まてよ…さっき手に入れたこいつがあれば…」

アンジュ「えっ?何その靴、買い換えたの?」

ユウシャ「ああ、それとこの靴を履いてると、不思議とチカラが湧いてくるんだ。これなら……よっと!」

アンジュ「へー…って、ちょっ、ちょっと!なになに!?」



ユウシャはアンジュをいわゆる『お姫様抱っこ』で抱きかかえた。

ユウシャ「よし、行こう。」テクテク

アンジュ「ええっ!?ほ、本気!?よし行こうじゃなくて、っちょ、お、重く…ないの…?///」

ユウシャ「大丈夫だよ…///そ…そんなことよりほら、螺旋の段から段へ飛ばして登るからしっかりつかまっててね!!」タッタッタッタ

アンジュ「は…恥ずかし…///」



こうしてユウシャ達はなんとか城の最上階に到達した。

ユウシャ「ずいぶんと時間かかっちゃったけど、何とかここまで来れたな。アンジュ、大丈夫か?」

アンジュ「あたしはおかげさまで平気だけどさ、ユウシャ…疲れてないの?」

ユウシャ「不思議なことに全く疲れてないよ。」

アンジュ「その靴すごいねっ!パワフル靴だねっ!!」

ユウシャ「お…おう…」

─────最上階《幻想の間》扉前

ユウシャ「さて、この扉の向こうに黒マントの男がいるわけだが…」


ユウシャ「(おーい、妖精、頼みがある。)」

妖精「(…なあに?)」

ユウシャ「(俺が黒マントの男と戦ってる間、アンジュには隠れててもらうけど、万が一にも何か起きたら大変だ。だからお前はまたアンジュについていてくれないか?そしてもし何か危なそうだったらすぐに俺に伝えてくれ。頼む。)」

妖精「(おっけー!任せといて!こういうのは得意なのよ♫)」

ユウシャ「(ありがとう。じゃあ頼んだぞ。)」


アンジュ「…?ユウシャ?」

ユウシャ「ああ、ごめん。少し考え事してた。行くよ。それと、中に入ったら危ないからすぐに近くの物陰に隠れてくれ。」

アンジュ「おっけー♫頑張ってねっ!」

ユウシャ「よし…」






ユウシャはゆっくりと扉を開けた。








─────最上階《幻想の間》


扉の奥には黒いローブで顔ごと全身を隠している人型の影が一つ。
壁にかかって燃えている松明の光に薄く照らされながら佇んでいた。




ユウシャ「ようやく会えたな。俺は王都から依頼を受けてお前を倒しに来た。一応言っておくが、既にお前は王都の部隊に村ごと包囲されている。もうここまでだ。大人しく俺にやられるんだな。」スタスタ

黒マントの男?「あの戦いからどれほど経っただろうか…?」

ユウシャ「…?何を言っt…」スタスタ

黒マントの男?「我々の女神は眠り、魔の者達は撤退を余儀無くされた。だが、この屈辱も今日で終わる。」

ユウシャ「おい、さっきから何を…」スタスタ

黒マントの男?「世界は滅び、時は失われるだろう。貴様達と一緒にな。」

ユウシャ「…」スタスタ

黒マントの男?「さあ始めようか、最期の宴を!いざ、参る!!!うおおおおおおおおおお!!」ダダダダダダ

男は剣をやたらめったら振り回しながらユウシャに突っ込む。



ユウシャ「…ハァッ!!」



ユウシャの剣が男を斬り裂いた。それもあっけなく。



ユウシャ「…なっ!?」

黒マントの男?「グブハァッ!限りなき致命傷…!!」

ユウシャ「…」

黒マントの男?「あぁ…実に愚かだな…私も…貴様もッ…!!」バタッ



ユウシャ「…(もう身体が自由に動かせる…バトルグリーブの呪いが切れたのか…?…ってことは…倒した…?)」



ユウシャ「………は?」

アンジュがユウシャの方へ走ってくる。



アンジュ「さすがユウシャさんっ!黒マントの男をこんなあっさりと倒すなんて!これでこの村も平和になるわ!本当にありがとねっ!」

ユウシャ「いや、それほどでも…っていうか…なんかさ…」

アンジュ「じゃあとりあえず下に行こう!こんな薄暗くて気味が悪いところ、とっととおさらばよっ!」

ユウシャ「そ…そうだな…うん…」



ユウシャはアンジュを抱えて長い螺旋階段をこれまた螺旋の段飛ばしで飛び降りていった。ちなみに脚へのダメージはない。



ユウシャ「それにしても長い階段だ…」

アンジュ「よーし、早速二人でお祝いだ~♫ 場所は…北の市場でどうかしら?いつもみたいに先に行って待ってるね~! ユウシャさん、思いっきり楽しもうねっ!じゃあまた後でっ!」スタタタタタタタタタ



ユウシャ「あっ、アンジュ!」



ユウシャ「…いっちゃったか…」

──────黒マントの男(?)の城門前

ユウシャ「…」

妖精「…ねえ、ユウシャ。」

ユウシャ「どうした?」

妖精「実はね、まだ黒マントの男のオーラを感じてるの…」

ユウシャ「…やはりか…そんな気はしていたが…」

妖精「恐らくさっきの男はニセモノ…本物は別の場所に居るんだと思う…」

ユウシャ「…」

妖精「…ちょっと言いづらいコトなんだけど、アンジュに近づくのはやめた方がいいと思うわ。…私も悪い人には思えないんだけど、ユウシャに何か隠してる気がするの。」

ユウシャ「…」

妖精「…きっと、ユウシャを騙そうとしていると思うの…」

ユウシャ「…」

妖精「…それでも、会いにいくの?」

ユウシャ「…待たせるのは悪いからな。もちろんだ。」

妖精「…フフッ、ユウシャらしいわね。でも忘れないでね…」

妖精「あなたはこの村を護らなければならないコトを。」

──────北の市場

ユウシャ「…待たせたね。」

アンジュ「フフッ、待ってたよユウシャさん、お疲れ様!」

ユウシャ「ありがとう。あいつを倒せたのもアンジュの応援のおかげだよ。」

アンジュ「そうだね♫私ちゃんと物陰から応援してたんだから!それと、動いたらお腹すいたね~。なんか食べよっか?」

ユウシャ「あ…あぁ、そうだな…」

アンジュ「ねぇ、あれを見て!あたし買ってくるね!」スタタタ

店長「へいらっしゃい!美味しいスープがあるよー!」

アンジュ「すいませーん、二つくださ~い!」

店長「あいよ!まいどありっ!」




アンジュ「はい、おまたせっ。ささっ、あったかいうちに食べよっ!」

ユウシャ「…ありがとう。」

アンジュ「…ん~、おいし~!いきかえるわ~♫こんな楽しい食事、あたし初めてかも~」

ユウシャ「…」

アンジュ「本当に人間ってステキねぇ~」

ユウシャ「…」

アンジュ「…って、あれ?あなたは食べないの?」

ユウシャ「…」

アンジュ「…どうしたの、悲しいカオしてさ。何かイヤなことでもあったの?」

ユウシャ「いや…別に何も…」

アンジュ「…」

ユウシャ「…」

アンジュ「…ん~、そうだわ!次はあたしのとっておきの場所に連れて行ってあげる♩そこに着けばきっと気分も良くなるハズよっ!」




アンジュ「今度は“北の石碑”前に集合!石碑へは丘に向かう途中にある脇道を進めば着くわ!まってるからね~」スタタタタタ

ユウシャ「…なあ、妖精。確か北の石碑のことって南の市場の人から聞いたよな?」

妖精「…あの様子が変だった男の人でしょ?」

ユウシャ「そうだ…あの人の言ってた通りなら“絶対に近寄ってはいけない”はずだ。あとは“壊すと災いが起こる”と言われている…」

妖精「…私はもう口出ししないわ。これはユウシャの問題よ。どうするの?追うの?追わないの?」

ユウシャ「…追うさ。」

村人A「…なあ、今の人さ、独り言みたいだったけど『南の市場』って言ってたよな?しばらく南には行ってないんだけど、新しくできたのか?」

村人B「南の市場?なんだそりゃ。俺は昨日南に行ったばかりだが、市場なんてなかったぞ?第一、正面から魔物に侵入された時に被害を抑えるために、村役場と防衛設備以外は川より北にしか建てないハズだ。聞き間違いじゃないのか?」

村人A「そうか…いや、確かに聞こえた気がしたんだが…気のせいかな…」

ユウシャ達は北の市場から城のある丘に向かう途中にある脇道を進んで行った。すると見えてきたのはとてもきれいな海。そしてアンジュの姿。





──────北の石碑前

アンジュ「…」

ユウシャ「…」

アンジュ「フフッ、とっておきの場所へようこそ。」

ユウシャ「…海か…」

アンジュ「そう。あたしはね、ここから見る景色が一番好きなんだ~」







アンジュ「なんていったって、あたしが“人間”として初めて見た景色だからねっ!」

ユウシャ「!!!」

アンジュ「あの時の感動は忘れられないなぁ~」

アンジュ「ねぇ、ユウシャさんも綺麗だと思うでしょ?」

ユウシャ「…アンジュ…お前…」

アンジュ「…」

ユウシャ「…」

アンジュ「…フフッ、またそんな悲しいカオしちゃって…」

ユウシャ「…アンジュ…」

アンジュ「…やっぱりあなたは本当に“勇者”なのね」

ユウシャ「…」

アンジュ「…ここはあたし達の夢が始まった場所なの…」

アンジュ「肉体を失った者達が、人間の身体と生活を手に入れた場所なの…」



アンジュ「あなた達が今まで捜してきた『黒いマントを羽織った男』、ラモール様の呪術によってね。」

ユウシャ「…!!!」

アンジュ「だけどその夢もどうやら終わりみたい…きっと“勇者”がラモール様の呪いを解いてしまうのだろうから…」

アンジュ「ん~、たった1日足らずだったけど人としての生活は楽しかったな~♫」

アンジュ「ユウシャさんが“勇者”で本当に良かったと思うわ♫」

アンジュ「もはや未練もないし、名所ツアーも最後にしましょう!」

アンジュ「橋の近くの森に来てっ!あなたに真実を伝えるからさ。」

アンジュ「ずっと待ってるからねっ!」スタタタタタ…






妖精「…」

ユウシャ「アンジュ…君は…」

──────橋の近くの森内部

ユウシャ「(…今朝はここでアンジュが魔物に襲われてたんだよな…ん?あれは…)」


ユウシャが見つけたのはアンジュの姿、そして…


ユウシャ「あれは…あの刺さっていたものは剣だったのか…」



今朝、アンジュの悲鳴が聴こえる直前にユウシャが見つけて気に掛けていた『地面に刺さった謎の物』の正体、それはボロボロに錆び付いた『剣』だった。

アンジュ「フフッ、その剣…やっぱり気になっちゃう?」

ユウシャ「これは…?」

アンジュ「それはかつて“勇者の剣(つるぎ)”って呼ばれていたモノみたい。もうすっかり錆びちゃって使い物にならないみたいだけど…“真の勇者”が現れたとき、再び剣は力を取り戻すって言われているわ。」

ユウシャ「“真の勇者”か…」

アンジュ「あなたにならそれができるかもね。試しに抜いてみる?」

ユウシャ「…」


ユウシャが剣を引っ張ると、思いのほか簡単に引き抜くことができた。


ユウシャ「なんだこれ…刀身まで錆びてボロボロじゃないか…」

アンジュ「ありゃりゃ、それじゃラモール様には勝てそうもないわね♫」

ユウシャ「…」

アンジュ「…」


アンジュ「うすうす気付いているとは思うけど…」




アンジュ「あたしや南の市場のみんなは、ラモール様に人間の姿にしてもらったモンスターなの。」




ユウシャ「…!」

アンジュ「あたしがあなたに近づいたのも、ラモール様のニセモノしかいないウソの城を教えたのも…」

アンジュ「全ては、ラモール様が村を滅ぼす呪術の発動に必要な時間を稼ぐためだったってワケね。」

ユウシャ「(…今までヤツ自身が何もしてこなかったのはそのせいか…)」

アンジュ「本当はずっと騙し続けるつもりだった…」

ユウシャ「…」

アンジュ「だって人間になってからの生活はとても楽しいものだったから…」




アンジュ「だけど、あなたのかなしいカオを見たらあたしも思っちゃったんだよねぇ…」

ユウシャ「……?」


アンジュ「こんなステキな人が護ろうとしてる世界の村を、次々に壊滅させるなんてとんでもないってさ♫」


ユウシャ「!!」

アンジュ「ラモール様には悪いんだけど、この気持ちにウソはつけなかったわ。」

ユウシャ「…アンジュ…」

アンジュ「騙しちゃってゴメンねっ。付き合ってくれてありがとう!こんな風に思えるようになったのは、きっと“勇者”があなただったからだと思うよっ。」

ユウシャ「(“勇者”…)」

アンジュ「…さて、そろそろお別れの時間ね…」

アンジュ「北の石碑を壊せば、呪いが解けてラモールの城が姿を現すと思うわ。」

アンジュ「今ならまだ間に合うハズよ。この村…いえ、この世界のために頑張ってきてね…」

ユウシャ「…ああ…行ってくる…!!」








アンジュ「(あぁ…これでこの村は滅びずに済むのね…)」


アンジュ「(…ユウシャさんといた時…すごく楽しかったなぁ~…どうしてこんな出会い方になっちゃったんだろう…)」


アンジュ「(…北の石碑が壊れて…ラモールがユウシャさんに倒されたら…モンスターのあたしは…どうすればいいんだろう…)」



アンジュ「(…結局、モンスターは人間と仲良くできないのかなぁ~…)」






アンジュ「(…そんなの…そんなのやだよっ…!)」



アンジュ「(…ユウシャさんっ…!)」

アンジュ「…まって!!」


ユウシャ「…!!」




アンジュ「えっと…あのさっ…」



アンジュ「あたしたちの出会いはウソから始まったけど…」


ユウシャ「…」


アンジュ「一緒にいた時間は楽しかったし、あなたを好きだって気持ちは本当なのっ。」


ユウシャ「…」


アンジュ「だから…あたしの姿が変わってしまっても…」


ユウシャ「…うん」


アンジュ「お互いの言葉が通じ合わなくなったとしてもさ…!」


ユウシャ「…うん…!」


アンジュ「あたしのこと…ずっと友達だと思っていてくれないかな…?」





ユウシャ「…ああ…当たり前だ…!」


アンジュ「…そっか、ありがとね。フフッ、嬉しいなぁ~♫」


アンジュ「あたし、信じているからねっ。」


アンジュ「あなたがこの村を守ってくれるってっ。」


アンジュ「離れていても、ずっと、あなたはあたしの友達だって…ね!」


ユウシャ「…うん…!」


アンジュ「もう大丈夫っ。本当にありがとうっ!」


ユウシャ「…くっ…!!」

ユウシャは涙を堪え、走って北の石碑へ向かった。この村の、この世界の“勇者”としての使命を果たすために。





──────北の石碑前

ユウシャ「…これを…これを壊せば…ラモールの呪いは解けるだろう…!…だが…だがッ…!それでも…!」


妖精「…ユウシャ、あなたは…」


ユウシャ「…」


ユウシャ「…ああ、分かってる。」



ユウシャはついに石碑を壊した。

ユウシャ「…これで…いいんだな…」

妖精「…」




その瞬間、轟音と共に地響きが起こった。



ユウシャ「なっ…!何だ!?」

妖精「…!ユウシャ!あれ!!」

ユウシャ「どうした!?何が………なっ…!?」



ニセモノのラモールがいた城が跡形もなく崩れていた。



ユウシャ「…用済みってことか…!本物のラモールはどこに…!」




その時。


???「フフフッ、時間は十分に稼げました!しかし、呪いを解くとは愚かなものです。そのまま世界の破滅を待っていれば、真の恐怖を知らずに済んだものを…」

ユウシャ「なんだ…!?この声は…!直接脳内に…!!」

妖精「ユウシャ!この声のオーラ…!ラモールよ!!」

ラモール「大正解!そうです、私がラモールです。そしてオーラを感じ取ることができるということは…懐かしい。あの時に滅ぼしたハズの妖精の生き残りですか…」

妖精「…くっ…!」

ユウシャ「妖精…お前…!」

ラモール「そんな昔話はどうでも良いのです…話は変わりますが、勇者よ。私は今どこに居ると思いますか?フフフッ、実を言うと私、さっきまで“村長”だったのですがね…。」

ユウシャ「…まさか」

ラモール「そのまさか!私は今、村役場に居ます!どうせなら真実を教えてあげましょう。私は昨日この村に潜入した後、真っ先に村長を殺し、呪術で姿を変えて村長になりすましました。」

ユウシャ「(!!あの時俺が村長だと思って話していたのは実はこいつだったってわけかッ…!クッ…!)」

ラモール「フフッ、呪術というのは便利なものです。その後も呪術で北の丘に城を造り、さらに南には市場を作り、この村付近にいたモンスターを集めて人間の姿に変える呪いをかけ、普通に生活するよう言いました。その際に『北の石碑を壊すな』と伝えたのが間違いでしたね。あの石碑はこの村全体の呪術を保持するのに必要なものだったのですが…まさか人間もどきになって喜んでいたあのモンスター共から裏切り者がでるとは。さすがにちょっと想定外でしたね、フフフッ!」

ユウシャ「て…めぇ…!」

ラモール「私は今、村役場にいます。さあ、来なさい勇者よ。何故私が“ラモール”という名なのか、それを体で教えてあげましょう!!」

ユウシャ「…この…ふざけやがってッ!!言われなくても行ってやる!!」ダダダダダダ


ラモール「(フフフッ…パワーを貯め終えた今の私に怖いものはありません…正面から徹底的に捻り潰すまでです!)」

ユウシャは北の石碑から南の村役場まで走った。ひたすら走った。
途中で何回か魔物が襲ってきたが、ユウシャはひたすらに斬り捨てた。




そして──────

──────南の市場(?)



ユウシャ達は南の市場に到着したが、
そこにあったのははボロボロに壊れている市場の残骸と────────


ユウシャ「!!こっ、これは!!」

ラモールの使い「…グォォ!」

妖精「もしかして、このモンスターは南の市場にいた人たちなのっ!!?呪いが解けたから、もう私たちを騙す必要もないってことね…」

ユウシャ「クソッ…」スタスタ

妖精「こうなったら正面突破よっ!」




???「…アァ……ウァ?」




妖精「…?あのモンスターだけ様子がおかしいわね」

そのモンスターは1体だけ何故だかその場から動かなかった



妖精「…まさかっ…ユウシャ!ダメっ!あのモンスターはきっと…!!」




そのモンスターは、泣いていた。



ユウシャ「…嘘だ」スタスタ




妖精「…あなたの気持ちも分かるけど、認めるしかないわよ!あのモンスターは…」




ユウシャ「違う…!やめてくれ…違うんだ…!」スタスタ




妖精「…?ユウシャ…?なぜ剣を構えているの…!?」

─────人生でこれほど後悔したことはなかった。


なぜ自分はこんなものを手に入れてしまったのか、と。


なぜあれだけ恐ろしい説明を受けておきながら手にしてしまったのか、と。


“バトルグリーブ”



ユウシャ「あああああああああ!!!やめろォォ!!!止まれッ!止まれェェェェ!!」タッタッタッタッタ

ユウシャは次々襲ってくる『南の市場の村人だったモンスター』を斬り倒し、そして…





緑色の髪のモンスターへ。





ユウシャ「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!!!!」




ザシュッ





ラモールの使い?「…ガァ!」



ラモールの使い?「……………ググッ」






ラモールの使い?「ウォ…ツギィ…」



ユウシャ「…ぁ」

妖精「…ウソ…」



その時、ユウシャと妖精の身体が黒い煙に包まれた。



ユウシャ「…うっ」

妖精「し、しまったっ!コレは…!…動けない…!」


ラモール「隙を見せましたね、勇者よ!これでもう私の邪魔をできるものはいない…この村、いや、この世界の終わりです…フフフッ…」スタスタスタ




ラモールはユウシャに近寄ると、何かを囁いた。


ユウシャは、“勇者”は、敗北したのだ。




僅か数ヶ月後、世界は壊滅した。

------------------------------------------

──────北の市場 防具屋

店長「…俺もその方が良いと思います…すいませんね、こんな物騒なモノを見せちまって。」

ユウシャ「そんな気になさらないで下さい。それに私はその靴の“呪い”とやらに頼らずとも、きっと戦いに勝ってみせます。」

店主「…どんな事情があるのか知らねぇけどよ、達者でな。」

ユウシャ「ありがとうございました。ではこれで。」


------------------------------------------


──────城内


ユウシャ「…見た感じ、いきなり襲ってくるってことはなさそうだが…周りに魔物の気配もないし…だけどこれは…どこまであるんだ…」

アンジュ「…だっ、大丈夫でしょ!何とかなるって!」

ユウシャ「何とかなるって言ったって…これも時間稼ぎのつもりか…?仕方ない…上がるしかないか…アンジュはここで待っていてくれ。」

アンジュ「うーーーん…しょうがないのかなーー……」

途方に暮れていたユウシャ。仕方なく階段を登り始めたが…


アンジュ「あっ!!!」

ユウシャ「ん?」

アンジュ「この奥に何かあるよ!!来て!!」

もともと1階は広く、入ってすぐに階段が目がいってあまり探索をしていなかったのだが、アンジュが発見したものは────

ユウシャ「『魔術式超高速昇降機』…」

アンジュ「んーっと…なにそれ!?」

ユウシャ「俺にもさっぱr…」

妖精「(あーーー!!ユウシャ!!私これ知ってるわよ!!)」

ユウシャ「…いや、アンジュ、ちょっと考え事させてくれ。」

アンジュ「???」

ユウシャ「(妖精、これは何の装置なんだ?)」

妖精「(これは魔術を使った装置なんだけどね、なんと!上下方向に速く移動できる装置なの!しかも私が知ってるのより高度な術式が使われてるし、きっとすごい速さで上にあがれるはずよ!ただ…)」

ユウシャ「(ただ…?)」

妖精「(…トラップが仕掛けられてるかも…)」

ユウシャ「(…ああ…どうにかなるのか?)」

妖精「(もし発動したら私が術式の弱点の箇所を教えるから、そこにあんたの剣を突き刺して。それできっと大丈夫なハズよ。)」

ユウシャ「(…了解した。)」

ユウシャ「アンジュ」

アンジュ「はひ!?な…なに?」

ユウシャ「(そんなに驚かなくても…)どうやらコレを使えば上にあがれそうだぞ!」

アンジュ「本当!?」

ユウシャ「ただ、何かトラップがあるかもしれない。先に俺が入って確かめてみるから、合図があるまで待っててくれ。」

アンジュ「そ…そう?私はないと思うんだけどなー…」

ユウシャ「だといいんだけどな…よし、入るか…」

────魔術式超高速昇降機内部

ユウシャ「…どうだ?妖精…」

妖精「…何の対策もとってないのかしら…トラップは1つもなさそうよ…」

ユウシャ「えっ…」

─────城内

ユウシャ「アンジュ、入ってきていいぞー」

アンジュ「はーい!ところでトラップあった?」

ユウシャ「…いや、アンジュの予想通り1つも仕掛けられてなかったよ。」

アンジュ「…やっぱりっ!あたしの予想大的中ですねっ!」



ユウシャ達は魔術式超高速昇降機で一気に最上階まで到達した。




─────最上階《幻想の間》


扉の奥には黒いローブで顔ごと全身を隠している人型の影が一つ。
壁にかかって燃えている松明の光に薄く照らされながら佇んでいた。


ユウシャ「ようやく会えたな。俺は王都から依頼を受けてお前を倒しに来た。一応言っておくが、既にお前は王都の部隊に村ごと包囲されている。もうここまでだ。大人しく俺にやられるんだな。」スタスタ

黒マントの男?「(!?!?!?な…何だと!?いくら何でも早すぎるぞ!?あの階段は奴らに全く意味を成さなかったのか!?どんな脚力してるんだよアイツは!!?!?!?と…とにかく今は演技をしなくては…!)あ…あの戦いからどれほど経っただろうか…?」

------------------------------------------


──────南の市場(?)



ユウシャ達は南の市場に到着したが、
そこにあったのははボロボロに壊れている市場の残骸と────────


ユウシャ「!!こっ、これは!!」

ラモールの使い「…グォォ!」

妖精「もしかして、このモンスターは南の市場にいた人たちなのっ!!?呪いが解けたから、もう私たちを騙す必要もないってことね…」

ユウシャ「クソッ…」

妖精「こうなったら正面突破よっ!」




???「…アァ……ウァ?」




妖精「…?あのモンスターだけ様子がおかしいわね」




そのモンスターは1体だけ何故だかその場から動かなかった



妖精「まさかっ…ユウシャ!ダメっ!あのモンスターはきっと…!!」



そのモンスターは、泣いていた。



ユウシャ「…はッ!ふんッ!」



ユウシャは次々襲ってくる『南の市場の村人だったモンスター』を斬り倒し、そして…





緑色の髪のモンスターの前で立ち止まった。


ユウシャ「…やあ。」

モンスター「…アゥ…ウァ」

モンスター「…ウゥ…アァ」

妖精「…そうよね。倒せるワケないわよね。ずっと友達でいるって約束したんだもんね…」

ユウシャ「…友達だもんな。」


その時だった


妖精「…!?ねぇ、錆びた剣がっ…!」

ユウシャ「こ…これは…!?」


ユウシャが北の森で引き抜いた錆びた剣が眩い光を放ち、ユウシャを包み込んだ。そして──────




──────光の中

ユウシャ「…うっ…これは…!」

アンジュ「…ユウシャさん、あたしが見える?」

ユウシャ「ア…アンジュ…!その姿…!」

アンジュ「私の肉体は勇者の剣の力でボロボロに崩れ去ったわ。今は魂としてあなたに話しかけてるの…この人間の姿であなたの前に出てこられたのは、きっと神さまのお陰だね♪」

ユウシャ「はははっ…本当にアンジュなんだな…」

アンジュ「ユウシャさん…あたしがモンスターに戻ってしまっても、あなたは信じてくれたんですね…本当にありがとう…あなたに出会えて本当に良かった」

ユウシャ「何言ってんだ!そんなの当たり前だろ!!」

アンジュ「勇者の剣もあなたが“真の勇者”だって認めてくれたみたいね。凄い力を感じるわ…これならラモールにも勝てるはず…フフッ、もうちょっと話していたいけど、勇者の剣が許してくれないみたい♪」

ユウシャ「…そうか…じゃあもう…」

アンジュ「…うん。今度こそほんとにお別れみたいね…」

ユウシャ「…」

アンジュ「…だけど、あたしはいつでもあなたの事を想っているよっ!だってあなたは、あたしの友達なんだからねっ♪」

ユウシャ「!!!」

アンジュ「たとえ遠く離れていても、ずっと応援してるからっ!!ユウシャさ~ん!本当にありがと~!!」



『錆びた剣』は、『勇者の剣』となった

妖精「…あっ!ユウシャ!……あれ…!?アンジュは!?」


ユウシャ「アンジュならもう大丈夫だ。しっかりと見届けてきたよ。」


妖精「…そう。なら良かった…。それにその剣…それがその剣の真の姿なのね…」


ユウシャ「ああ。そしてまだ俺にはこの剣でやらなきゃいけない事がある。」

──────村役場 跡地

ラモール「…フフフッ、来ましたね!ユウシャよ!!」

ユウシャ「…」

ラモール「どうでしたか、私が見せた呪いの幻想は?お楽しみ頂けたのなら光栄なのですが…フフフッ、アナタがどう足掻こうと、この村の壊滅は免れられませんよ…何故ならこの私こそ、この世界を支配する存在!ラモールなのでs…………」


ユウシャの剣は、既にラモールを断ち切っていた。


“一撃”、である。



ラモール「………ば…馬鹿な…ガ…ハッ…!」


ユウシャ「…終わりだ。」




The end.

以上です。見てくださった方がいらっしゃるか分かりませんが、ありがとうございました。

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