仁奈(5)「あすとろのーと」 (24)


どーしてパパはいつもかえってきやがらないのです?


仁奈。
パパはね…… 今、遠いお空の上にいるのよ――




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・アイドルマスターシンデレラガールズ 市原仁奈の少し昔の話
・短編


 [ある休日] 

仁奈「パパはどうしていつもいないのでやがりますか?きょうみたいにずっといてほしいのでごぜーます!」

仁奈父「ゴメンな、パパはお仕事があるからなかなか帰ってこれないんだ」

仁奈「おしごと?でも、ほかのこのおとーさんたちはまいにちおしごとからかえってきやがりますよ」

父「えっと、それはだな……」



母「仁奈、パパはね…… 一年の半分くらいは、宇宙に行っているのよ」

仁奈「うちゅー? うちゅーにいってなにをしてやがるのですか?」

父「うーん、そうだな……、いつか皆が宇宙にいけるようになるための準備をしているんだ」

仁奈「なら、うちゅーにいないときは……」

父「もう半分はよその国にいるからなー。宇宙に行くための訓練をしたり、一緒に行く人たちと過ごしたりするんだ。
  だから、あんまり帰ってこれないんだ」


母「でも、いつもテレビでパパをみてるでしょ?パパはいなくなるわけじゃないから、大丈夫よ」

父「そうだぞー。年に一度はこうして家でゆっくりできるしなー。
  ……いつも寂しくさせてゴメンな、仁奈」

仁奈「でも、こうしてときどきかえってきていっしょにいられるから、そんなにはさびしくないのでごぜーます」

母「そうねえ…… あ、ほらパパがテレビに映ってるわよ」



 (TVのレポーター)『ということで、先日地球に無事帰還した日本人宇宙飛行士の市原さんのインタビューの様子をお伝えしました。
           市原さんは、次回の長期任務までの2ヶ月ほどは日本での講演活動や休暇に充てるそうです』



母「いつ見ても、宇宙服姿は見慣れないわねぇ」

父「そうだな。着てるとまるでこっちが宇宙人なんじゃないかって気になってくる」

仁奈「どうして、てれびでみるパパはときどきぶくぶくふとってやがるのです?」

父「あー…… あれはなー、着ぐるみなんだ」

仁奈「きぐるみ?」

父「そうだ、宇宙人の着ぐるみだぞ。
  あれをきて、宇宙人の気持ちになりきらないと、宇宙を泳げないんだ」


仁奈「うちゅーじんのきもち……」

父「宇宙人になりきることに慣れてたら、いつ宇宙人にあっても大丈夫だからな」

仁奈「おお……!」

母「今度、仁奈にも何か着ぐるみを買ってあげましょうか?」

父「そうだな、仁奈ぐらいのサイズなら売ってるだろう」

仁奈「!! になもうちゅーじんになりたいでごぜーます!」

父「はっはっは、宇宙人はまだ仁奈には早いかな。
  まずは地球のいきものになりきれるようにならないと」


仁奈「パパはうちゅーじんになりきるまえにちきゅーのいきものをますたーしやがりましたか?」

父「そうだぞ。
   パパは泳ぐのが得意だろう?
  あれはな、海の生き物をマスターしたからなんだ。
  パパは走るのが早いだろう?それに、一日中仁奈をおぶって走り回っても平気だ。
  これは、陸の生き物の気持ちになって訓練したおかげなんだ」

仁奈「それじゃあ、パパはおそらもとべるのでやがりますか?」

父「あー、いやー、空は飛べないなぁ。
  鳥の気持ちも学んだけど、パパがマスターしたのはペンギンのキモチだからなー」

仁奈「ぺんぎん?」

父「ああ、ペンギンは空を飛べないんだよ。泳ぐの得意だけどな。
  それに可愛いぞ」

仁奈「ほかの、おそらをとんでるとりのきもちは?」

父「さすがに、翼がないから空を飛べる鳥の気持ちはマスターできなかったなあ。
  でもな、一生懸命やったおかげで、口笛と歌はうまくなったぞ」

〈口笛〉
クワイ河マーチ(戦場に架ける橋): http://youtu.be/AjgEKng8rYs



父「……っと、こんな感じにな。どうだ?」

仁奈「わあ……!!」

父「だから仁奈、おまえもいろんな物の気持ちになって、一生懸命いろんなことを学べば、
  パパみたいになれるぞ、きっと」

仁奈「なりたーい!
   でも、どうやってまなべばいいのでやがりますか?よーちえんではおしえてくれねーです……」

父「そうだなー。まずは、しっかり調べてじっくり観察すること」

仁奈「かんさつ?」

父「そうだ。図鑑をしっかり読んで勉強するのも大事だし、動物園なんかで実際に動いてる姿を見るのも大事だよ」


仁奈「どーぶつえんでみたなかでは…… こあらがいちばんかわいかったでごぜーます」

父「そうかそうか。コアラもいいよな。
  なあ仁奈、コアラって何処にいるのか知ってるかい?」

仁奈「ずかんだと、おーすとらりあにしかいないって……」

父「そうだな。コアラはオーストラリアにしかいないんだ。
  あそこは広いぞー。日本の何倍も大きな国でなー」

母「宇宙からでも見えるぐらいおっきな岩があるのよね?」

父「そうそう、エアーズ・ロックって言ってな、『地球のへそ』って言われてる変な形のおっきな岩があるんだ。
  出来たらいつか連れてってやるぞー」

仁奈「おへそ?ちきゅうにも、おへそ?」

父「まあ、パパのおへそも仁奈のおへそもからだのまんなかにあるだろ?そんな感じだよ」

母「そうねー、『世界の真ん中で~』なんて映画もあったかしら」


仁奈「もしかして、パパはおーすとらりあでおしごとしてやがるのです?」

父「いやー、オーストラリアには何度かしか行ったことがないな。
  訓練したり、宇宙に飛んだりするのはアメリカかな。
  あの国はあんまり宇宙に関する技術が発展してないからなぁ」

仁奈「なるほど…… うーん」
 
母「どうかしたの、仁奈?」

仁奈「こあらのおはなししてたら、なんだかまたこあらをみたくなったですよ……」

父「そうかい、じゃあ明日は皆でいつもの動物園に行こうか」

仁奈「わーい!」

母「あら、いつも動物園っていうのはどうかしら?確かにあなたも仁奈も動物園が好きだけれど……」




 (TVのレポーター)『ではまた明日。明日のお天気情報は、○○水族館からお伝えいたします~』


母「……ねえ、たまには水族館なんてどうかしら?」

仁奈「すいぞくかん?」

父「そうだな……なあ仁奈、明日は、水族館にしないかい?」

母「そうしましょうよ。動物園は毎年行ってるのだし、来週もパパはいるからいつでもいけるわ」


仁奈「すいぞくかんにはどんなどーぶつがいやがりますか?」

父「水族館にはね、仁奈。海のいきものがいっぱい居るんだ。お魚さんや、イルカや、くじらや……ペンギンもいーっぱい居るぞ」

仁奈「ぺんぎん!ぺんぎんのきもちになりにいくでごぜーます!」

母「ええ、そうしましょうね。じゃあパパ、調べておいてね」

父「ああ。レンタカーも手配しておくよ」


仁奈「たのしみで……ふわぁ」

父「あー……もうおねむの時間か」

母「そうねぇ、パパが家にいるからって大はしゃぎでお昼寝もしてないから。
  晩御飯までゆっくり寝ておいで」

仁奈「パパ……」

父「仁奈、大丈夫。パパは消えていなくなったりしないからね。安心して、ゆっくりお休み」

母「……。パパも、一緒に寝てきてあげて。久しぶりに会ったから、きっと不安なのよ」

父「そうだな。じゃあ、二階のベッドで寝てくるよ。夜になったら起こしに来てな」

母「ええ」


仁奈「パパと……いっしょ……」

父「そうだぞー、ずっと一緒だぞー仁奈」

仁奈「ずっと……」

父「……。
  
  なあ仁奈、宇宙っていうのはなー、とぉーっても広いんだぞ。
  地球の何倍も、この目で見える世界の何万倍も何億倍も、ずーっと広くてな。
  本当に…… 迷子になってしまいそうだよ。
  ずーっと漂って、そのまま、かえって来られなくなりそうなときだってある。
  
  でもな。パパはなんとかやっていけてるよ、いつだってここに帰って来れるんだ。
  ……どうしてだと思う?
  
  仁奈が、ママが。
  パパにとっての世界の中心が、ここにあるからだよ」

仁奈「……むぅ」

父「寝ちゃった、か。
  お休み、仁奈」

〈fin〉


終了。
仁奈ちゃんは難しい

きぐるみを着る理由が「パパとおそろいだから」とかどうでしょう

初期Rで 「仁奈のパパは仕事で海外に行ってやがります…」と言われたっきりどんな仕事なのかわからず、
アニメで仁奈パパについての描写が有るかどうかは不明ですが、
個人的にはこんな感じだったらいいなと幸せな妄想をしてます
プラネテスとまじかるストロベリィを読んで書いたので現実の宇宙飛行士さんとは違うかもですが

忙しくて書けなかった間にちひろさんの話を一本エタらせてしまったので時間を見つけてなんとかアニバまでに書きたいです





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