暦「どうだ?」
忍「いや、どうだとか言われてもな…」
暦「確かに、今の戦場ヶ原も充分魅力的ではある」
忍「まあ、お前様はなじられなれとるからの」
暦「人を真性のmみたいに言うなよ」
忍「違うのか?」
暦「いや、僕はmでもある、が正しい」
忍「…そうか」
忍「して、どうするのじゃ?」
暦「そう難しいことはしないよ」
暦「戦場ヶ原が毒舌を発揮した時にはデコピン、デレた時には頭を撫でる」
暦「こんな感じだ」
忍「それ、お前様の判断によるじゃろ」
暦「まあ、出来るだけ公平にするつもりさ」
忍「あとデコピンなんじゃな」
暦「本当はビンタとか思ったんだけど、怖いし、嫌われたくないし」
忍「…なら、やらなければ良いのに」
暦「ん?」
忍「なんでもない」
暦「ま、これでもっと僕に優しい戦場ヶ原になってくれないかなぁ、と」
忍「そんな感じに調教するのじゃな」
暦「それだと人聞きがわるいだろ?だから戦場ヶ原育成計画なんだよ」
忍「…ま、好きにすればよかろ」
忍「儂はとび森に忙しい」
暦「どこでそんなものを手にいれたんだよ?」
忍「妹御が飽きたって儂にくれたのじゃ」
暦「僕の知らないところで充分過ぎるほどに打ち解けるなよ!」
忍「別にいいじゃろ、そのくらい」
暦「じゃあ、協力してくれないのか?」
忍「…主様が死にかけでもすれば、蘇生くらいしてやるかの」スッ
暦「あっ…」
暦「まあ、死ぬ心配がないのは救いかな」
暦「よし、早速戦場ヶ原に会いに行こうか」
火憐「あれ?兄ちゃんどこか行くの?」
暦「ちょっと、戦いにな」
火憐「ふーん、お土産買ってきてくれんの?」
暦「お前、僕の話半分も聞いていないだろ」
~図書館~
ひたぎ「あら、阿良々木くん」
暦「言いにくくないか?それ」
ひたぎ「そうね、次からは気をつけましょう」
ひたぎ「さ、お勉強の時間よ」
暦「あ、うん」
ひたぎ「どうかしたの?」
暦「今日は隣で勉強してもいいか?」
ひたぎ「?構わないけれど」
暦「それじゃ、失礼」ズイッ
ひたぎ「変な阿良々木くんね」
暦「そんなことないさ」
ひたぎ「どう?終わった?」
暦「いや、もう少しかかりそうだ」
ひたぎ「ふぅん、まあ気長に待ちましょう」ペラッ
暦「…」ガリガリ
ひたぎ「…」ペラッ
暦(…こういう時に限って、戦場ヶ原がわりとまともな反応しか返してこないなんて…)
暦(この前なんて、愚図で鈍間な阿良々木くんを待っている私、ああなんて健気…)
暦(とか、わけの分からない難癖をつけ続けていたのに…)
暦(何故だ…)
ひたぎ(…どうしよう、阿良々木くんが隣にいるわ)
ひたぎ(私、臭くないかしら)スン
ひたぎ(大丈夫みたいね、しっかり綺麗にしてきたもの)
ひたぎ(阿良々木くんは、いつも良い匂いがするのよね)スン
ひたぎ(ダメよ戦場ヶ原ひたぎ、平常心でいなくては)
ひたぎ(今日は阿良々木くんのお勉強をみてあげなければならないのだから)
ひたぎ(私がノックアウトされるのは、避けなければ…)
ひたぎ(…ああ、真剣な顔の阿良々木くん、超カッコイイ)
ひたぎ(近いわ、近すぎよ、思わず頬ずりしてしまいそう…)
暦(これは、少し冒険をする必要があるかもしれないな)
暦(安直だけれど、消しゴムをおとしてみようか)コロッ
暦「あ、ごめん戦場ヶ原、消しゴムを落としちゃったよ」スッ
ひたぎ「いいわ、私が取って…」スッ
暦&ひたぎ「あ…」ピト
ひたぎ「ご、ごめんなさい」バッ
暦「え?あ、うん、大丈夫だけれど」
暦「どうしたんだ、戦場ヶ原」
暦「体調が優れないなら、勉強は僕一人でも…」
ひたぎ「大丈夫よ、少し取り乱してしまっただけだから」ドキドキ
ひたぎ(どうして?今日はいつもよりずっと、阿良々木くんを意識してしまうわ…)
ひたぎ(なぜ?身体が熱い…)
暦(何だろう、今日の戦場ヶ原は大人しい)
暦(毒も吐かないし、まるで普通の女の子だ)
暦(というか、付き合い始めの頃より甘酸っぱいこの空気は一体何なんだ?)
暦(戦場ヶ原、俯いてると清楚な雰囲気が際立つなぁ…)
暦(もともとお嬢様路線だったわけだし)
暦(うん、いつもこういう感じでいてくれればなぁ…)
暦「ま、そういうなら僕は勉強を続けることにするよ」
ひたぎ「ええ、そうして頂戴」
暦「…」
ひたぎ「…」
暦&ひたぎ(…気まずい…っ!?)
暦(なんだか、戦場ヶ原がこっちを見ているような…?)
ひたぎ(そういえば、最近勉強の話しかしていないわね)
ひたぎ(時期的に仕方のない事だけれど、クリスマスくらいは…)
ひたぎ(そうよね、私ももう少し素直になってみてもいいのかもしれないわね)
注:時系列は本編と関係しません、呼び方等は統一したまま進めます。
ひたぎ(…しかし、本当に調子が悪いのかしら…)
ひたぎ(心なしか、頭もぼんやりして…)
暦「…ん?戦場ヶ原?」
ひたぎ「あら、らぎくん?」
暦「おいおい、本当に大丈夫なのか?」
ひたぎ「…ええ」
ひたぎ「少し、眠い、だけだから…」クラッ
暦「お、おい!」ガシッ
暦「戦場ヶ原!?」
忍「お前様、あまり騒ぐでない」
暦「忍!どうしてこんな時間に…」
忍「ついさっき、怪異の気配を感じてな」
忍「あまりの近さに起こされてしまった」ふぁぁ
暦「ってことは…」
忍「ああ、今その娘の中に、新しい怪異の存在を感じる」
忍「だが、かなり内部に潜伏しておるようじゃな、どんなものなのかは現状分からん」
暦「いつもならご都合主義めくらいは言いたいところだけれど」
暦「とりあえず、戦場ヶ原は大丈夫なのか?」
忍「それは、まずお前様が確認すべきことじゃ」
忍「脈拍、呼吸、体温、何か異常はないか?」
暦「い、今確かめる…」サッ
暦「…とりあえず、目立った異常はないみたいだ」
忍「ならば、今すぐその娘がどうこうなるわけではあるまい」
忍「意識を失っただけじゃ、安心するのじゃな」
暦「そうか…」ホッ
忍「…まったく、その娘のことになると、すぐに取り乱しおって…」
忍「お前様にも、なにもないようじゃな」
暦「僕?ああ、ぴんぴんしているよ」
忍「なら良い、儂は待機している」
暦「え?行っちゃうのか?」
忍「ちゃんと起きて待っている」
忍「主様はその娘が起きるのを待っておれ」スッ
暦「あっ…」
暦「戦場ヶ原が起きるまで?」
ひたぎ「…」スゥスゥ
暦「本当に、眠っているだけなんだろうか」
暦「戦場ヶ原の中にいる怪異は、一体なんなんだろう…」
ひたぎ「…」スゥ
ここまで。
また明日。
ひたぎ「…あら…」
ひたぎ「ここは…」
暦「あ、目が覚めたのか!」
暦「大丈夫か?戦場ヶ原」
ひたぎ「あなた…」
ひたぎ「誰?」
暦「は?」
ひたぎ「何故、私の名前を知っているの?」
暦「僕のことを、覚えていないのか?」
ひたぎ「覚えるも何も、初対面じゃないのかしら」
暦「そんな…」
暦「…なるほど」
暦「どうやら、交友関係は全部忘れてしまったようだな」
暦「それに、家族のことも思い出せない、と」
ひたぎ「困ったわ」フンッ
暦「…本当に困っているなら、そう悠々と漫画本を読まないでくれよ」
ひたぎ「久々に読んだら面白いわね、ボー○ボ」
暦「なんで今更読み直すんだよ!このタイミングで読み直すんだよ!」
ひたぎ「心を落ち着けようかと思って」
暦「落ち着くのか?」
ひたぎ「鼻がムズムズしてきたわ」
暦「…そうか」
ひたぎ「今なら使えるかもしれないわね…」
暦「もし使ったら、一週間は口をきかないからな!」
ひたぎ「それで、これから私はどうすればいいのかしら?」
暦「僕にそれを聞くのか?」
ひたぎ「ええ、あなたしか頼れないんだもの」
暦「え?」ドキッ
ひたぎ「…ふふ、いいわね、そういう反応」
ひたぎ「記憶を失う前の私が、あなたと付き合っていたという話、信じてもいいかもしれないわ」
暦「…信じていなかったのか?」
ひたぎ「何事も疑ってかかるのは大切よ」
暦「どこの刑事なんだよ、お前」
ひたぎ「…うっ」ズキッ
暦「お、おい、まさかまた…」
ひたぎ「…大丈夫、かな」
ひたぎ「記憶はなくなっていないみたい」
暦「ほっ、それならいいんだけれど」
ひたぎ「心配してくれるの?」
暦「当然だろ?僕の彼女になにか起こっているんだ」
暦「心配しないわけがない」
ひたぎ「そ、そう…」モジモジ
暦「ん?」
暦(なんだ?反応が変じゃないか?)
ひたぎ「…そんなに、見ないでちょうだい」////
暦(やっぱり、何か変だ!!)
暦「戦場ヶ原?一体どうしたんだよ?」
ひたぎ「どうもしていないわ」
ひたぎ「ただ、なんとなく落ち着かないだけよ」
暦「そ、そうか」
暦(絶対うそだな、僕でもわかるほどの)
暦(でも、本当にどうしたんだろう)
暦(忍が出てこない以上、身の危険が伴うようなものではないみたいだけれど)
暦(これが、怪異の能力か?)
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