少女「ここから出たいか?」 (27)

少女「ここから出たいか?」

少女「そんな顔するなよ、ここから出たいか?」

少女「ふふふ、そうだね、簡単じゃあ、ない」

少女「だってそれは困難なことだもんな」

少女「疲れるよなぁ」

少女「しんどいよなぁ」

少女「じゃあまずは他の事でも考えようか?」

少女「どうしようか」

少女「じゃあ正義についてでも考えよう」

少女「え?真面目すぎるって?」

少女「だからと言って君の好きなアニメについて語らうのもいただけない」

少女「だって私はそんなに詳しくないからな」

少女「どうしようか」

少女「じゃあ君がそんなことになったいきさつとかどうかな?」

少女「ふんふん、君はそこそこ裕福な家庭に生まれ育ったのか」

少女「幼稚園時代は友達も多かったようだね」

少女「あれ?女の子の友達も多いじゃあないか」

少女「へぇ、この頃が君の全盛期かな?」

少女「あはは、怒るなよ、冗談さ」

少女「さてさて、次は小学生か」

少女「ふーん、幼稚園の頃と違っていうほど目立ててはいないね」

少女「あはは、いるよねぇこういうやつ」

少女「俗に言う餓鬼大将ってやつかい?」

少女「標的にされたくはないもんね」

少女「君も馬鹿じゃないからな、大人しくなったわけだ」

少女「そして中学生と…」

少女「うわぁ」

少女「ひどいねこれ」

少女「これがイジメってやつか」

少女「いやまぁ私も知識としては知ってるよ」

少女「だけどここまでとはねぇ」

少女「へぇ…トカゲを無理矢理食べさせられるねぇ」

少女「まぁ食料として食べられないこともないけどこの場合は意味合いが違うよね」

少女「それで不登校か」

少女「将来有望だねぇ、君」

少女「ま、その将来が今なんだけど(笑)」

少女「あらら、高校は出てないのか」

少女「あは、きついねぇそれ」

少女「今時中卒で仕事就くなら底辺土方くらいしかないよ」

少女「ま、君にそんな根性ないもんな」

少女「なるほどね、そこそこ君については分かったよ」

少女「じゃ、再度問おう」

少女「ここから出たいか?」

少女「黙るなよぉ」

少女「確かに閉じ込めてるよね」

少女「君は『私』に閉じ込められてる」

少女「だけどどうかな?」

少女「ここには君の望むものはある程度揃ってるよ」

少女「食事、趣味、睡眠、場所、時間」

少女「どれも充実した人間には書かせないものだよね」

少女「唯一君が気に入らないのは私だけだ」

少女「睨むなってば」

少女「そうだね、私の顔は腹が立つかもね」

少女「でも目を逸らすなよ」

少女「私は誰でもない、君なんだ」

少女「嘘だよ、私だって君なんてゴメンだ」

少女「どうかな?」

少女「ここで一生終えてみない?」

少女「だって考えても見なよ」

少女「君みたいな社会不適合者でさ」

少女「ニートで学歴もなくて」

少女「挙句生きる気力もないと来た」

少女「苦労はしないで快楽だけを求める」

少女「クソじゃん(笑)」

少女「君の人生ってなんなのさ」

少女「君がこの先できる事なんて何もなくてさ」

少女「生きてても死んだような人生過ごしてさ」
 
少女「死んでも誰にも気付かれない」

少女「そんな風に生きるくらいなら」

少女「いっそずっとここにいればいい」

少女「…それは嫌かい?」 
 
少女「理由を聞かせて欲しいな」

少女「なになに?いつか頑張るから」

少女「そして結果を残す?」

少女「…なにそれ」

少女「いつかっていつさ?」

少女「頑張るって何を?」

少女「どういう結果?」

少女「具体性のない目標ほど人を腐らせるものはないよ」

少女「君は確かに本気で思うんだろうね」

少女「明日こそは、明日こそはってさ」

少年「結果次の日に起きる時間は夕方」

少年「それで君はまた思うんだ」

少年「明日こそはってさ」  

少年「何回決意したんだろうね」

少年「そして折れる度に思うんだ」

少年「もしかして自分はずっとこのままなのかもってね」

少年「僕は何度でもいうよ」

少年「君はきっと本気で思っても、本気で行動はしないさ」

何と言うことだすっかり忘れてた

少年「さぁ、どうなんだろうね」

少年「君は本当にここから出たいと思っているんだろうか」

少年「僕はね、君ではないけれど」

少年「でも君と言ってもおかしくない」

少年「あはぁ、何言ってもわかんないよね」

少年「そうだよね、君はそう言う奴だよ」

少年「何を言っても変わらない」

少年「何をいっても気づきやしないんだ」

老人「だからかな」

老人「君は自分で壁を作ったんだよ」

老人「わしの拒絶するための壁を心に作ったんだ」

男「束の間の幸せはどうだった?」

男「今まで生きてきてどうだった?」

女「いつになったら出られるんだろうね」

女「そうだね、本当は分かってる」

女「出たいよね」

女「だけど出ることなんてできない」

女「いや、それも違うかな」

女「出るのが怖いんだよね」

女「人と接することが」

女「怖くて怖くてたまらないんだよね」

女「私は所詮妄想の産物」

女「あなたの中でしか生きることのできない存在」

女「・・・・どうして私が生まれたの?」

女「そうよね、それはきっと素敵なこと」

女「私はあなたをこの部屋から出すために生まれたの」

女「ニートのあなたがこの部屋から出ることを願って生まれたの」

女「ま、悪く言えばただの現実逃避」

女「ほら、形だって自由自在」

女「ねぇ?ここから出たい?」

女「ううん、そんなこと聞いてないのよ」

女「ただあなたのことを聞いてるの」

女「・・・・」

女「そう」

少女「やはりお前はそう答えるか」

少女「一人では怖いと」

少女「だったらこうしよう」

少女「ここから出たいか?」

少女「いいや」






少女「ここから出ようよ」

男「・・・・うぅん・・・・」

男「・・・・はぁ・・・・変な夢見た・・・・」

男「・・・・だいたいうっせぇんだよな、夢の癖に働けだの、外へ出ろだの」

男「あー、オレの嫁ちゃんスレにでも・・・・」

ここから出ようよ

男「・・・・んー」

男「・・・・そうだなぁ」

男「・・・・たまにはハローワークにでも行ってみるか」

男「・・・・一人じゃない・・・・かもしれねぇし、な」

ニートが些細なきっかけで一歩を踏み出すとお話
なお現実は違う
あばよ

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