ことり・花陽「意識し始めた日」 (54)

みんなと練習をした後、私とことりちゃんは2人で歌の練習をしています。
ひとしきり声合わせをした後、いまは少し休憩中です!

メロディーを聞きながら歌詞の確認をしていると
目の前のことりちゃんが何かの袋を差し出していました。

ことり「花陽ちゃん、これ♪」

花陽「えっと…これ、お菓子の袋?中身は…マカロン?」

ことり「よかったらどうぞ♪」

花陽「ありがとう~♪…ってなんか…かたくない?」

ことり「ふふふ、実はこれ…入浴剤なの~」

花陽「そういえば…前にことりちゃんが間違えてたって穂乃果ちゃんが話してたね」

ことり「そ、それはぁ…。だってほらっ、見てっ!」

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花陽「わぁっ…本物そっくり。これは私も間違えちゃいそう!」

ことり「ね~っ!す~っごくリアルなの!」

よく出来てるなぁ~って2人で関心しちゃいましたっ!
だって見た目でも、香りでも楽しませてくれるから♪

花陽「ふぁぁ~…甘くていい匂いがするよぉ!」

ことり「お風呂の時に入れて、体をゆ~っくり癒してね♪」

花陽「今からお風呂が楽しみになってきたよ♪」

ことり「気持ち良く入れるように、もうちょっと練習…頑張ろうね!」

花陽「うんっ♪」


ふふっ、喜んでくれて嬉しいなぁ~♪
私、花陽ちゃんと何かをすることが結構あるから
最近は距離がグッと縮まった気がします!

ことり「今日の練習はここまでにしよっか」

花陽「そうだね、ちょっと暗くなってきちゃったし」

ことり「最近は日が落ちるの早いからね~。真っ暗になる前に帰ろっ!」

頷く私に反応して帰りの準備をはじめることりちゃん。
夕焼けに染まることりちゃんはなんだかとってもステキ…
私なんかが一緒でいいのかなって恐縮してしまいます!

ことり「荷物をまとめて傘も持ったし、準備バッチリ~♪」

ことり「花陽ちゃんは準備できた?」

花陽「はっ、ちょ、ちょっと待ってぇ!今すぐ支度するからっ!」

ことり「そんなに慌てなくてもいいよ」

花陽「う、うんっ!」

と言いつつアタフタしている花陽ちゃんが可愛くって、ついニコニコしちゃう♪
ずっと眺めていたいなぁって思いながら、ジーっと花陽ちゃんを見つめちゃっています♪

花陽「ごっ、ごめんね!遅くなって…」

ことり「えへへ~」

花陽「ど、どうかしたの?」

ことり「ううんっ、ただ花陽ちゃんが可愛いなぁって思ってね♪」

花陽「へっ!?あ、その……よくわからないけど、ありが…とう?」

頭の中にハテナマークが浮かんでそうな顔をされちゃったけど
そんな所も可愛いって最近気づいちゃいました!
一緒だと花陽ちゃんのいろんな所に気付けていいよねっ♪

花陽「日が落ちるの、早くなったね~」

ことり「そうだね、まだこんな時間なのにもう薄暗くなってきてる」

もう完全に秋なんだなぁ~ってことりちゃんとお話しながら歩いていたんだけど
暗くなっている理由は季節のせいだけじゃなかったみたいです。

ことり「ねえ、空が…」

花陽「雨雲が出てきてる…」

ことり「もしかしたらひと雨来るかも……あっ!」

話していたらポツポツと雨が降ってきて地面に点々を作っていき…
そしてあっという間に私たちを濡らしていきます。

ことり「やっぱり…降ってきたね」

花陽「たっ、大変!急いで帰らなきゃ…」

ことり「安心して♪私の傘に入れてあげる!」

ことり「ほらっ!一緒に入ろ?」

花陽「ほんとぉ?で、でも、私が入ったら…カバンとか…ちょっと濡れちゃうかもしれないよ…?」

ことり「そんなの気にしなくていいの!さぁ、入って♪」

花陽「…おっ、おじゃまします!」

ついことりちゃんの傘に入れてもらっちゃったけど…

これってよく考えたらこれ相合傘だよねっ!?
ど、どうしよう!?意識したら余計に…


ことり「ふふっ、それじゃあ肩が濡れちゃうよ?もっとそばにおいで♪」

花陽「で、でも…」

ことり「ほ~ら♪」

花陽「ぁぅぅ…」

私の肩に雨が当たっていることに気付いたことりちゃんは
私の身体を引き寄せて…それに傘まで私の方に向けてくれて…
そんなことしたら自分の方が濡れちゃうのに…

優しいなぁ、ことりちゃん…

ことり「ごめんね。もう少し大きい傘持ってくれば良かったなぁ~…」

花陽「ううんっ、平気だよ!私の方こそ傘持ってなくて…」

花陽「ことりちゃんに窮屈な思いをさせて……」

ことり「そんな…。それに花陽ちゃんを濡らすなんて出来ないよ」

ことり「風邪引いちゃうし、凛ちゃんもみんなも心配しちゃうからねっ!」

ことり「花陽ちゃん、雨に当たってない?」

花陽「こ、ことりちゃん…大丈夫だよ?少し濡れたって……」

花陽「私よりことりちゃんの方が……」

ことり「私の家はもうすぐだから気にしないで」

ことり「…なんて、少し先輩風吹かせすぎちゃったかな?」

花陽「……ありがとう♪」

自分より私のことを優先してくれるのが嬉しい。
ほんの少しだけ…ことりちゃんに寄り添っちゃっても、いいかな?
なんだか、そんな気分…

ことり(花陽ちゃん、やっと近づいてくれた♪)

ことり(これで濡れる心配は無いかな?)


ことり「ふふっ♪」

花陽「?」

ことり「…っ!」

い、今…!わたし、なんか……?
ほんのり赤くなってる花陽ちゃんの表情を見た時?…その後に目が合った時?
えっ~と…とにかく、たった今!

気のせい……かな?

………

花陽「ことりちゃん、雨が降ってから…ちょっと冷えるね」

確かに、温度が下がってきてるって思ってたけど…
花陽ちゃんとくっついているから、気にしてなかったな~

………

そうだよね…くっついているんだよね…
花陽ちゃんと…

どうしよう?
そう思ったら、なんだか……

あっ、あれは…


ことり「花陽ちゃん、あれ……見て!」

花陽「えっ?」

ことりちゃんが指さした先にはダンボールに入ったねこさん達が……
全身濡れていて、寒さに震えてて…
可哀想……

ことり「この子達、震えてる…。こんなに濡れて…」

花陽「拭いてあげなきゃ、タオル…っと……あっ、あった!」

花陽「ごめんね、綺麗なタオルじゃなくて……」

花陽「雨、止んでほしいねぇ…」

ダンボールの中の子達が寒くないように
カバンの中のタオル、掛けてあげよう。
しとしと降るこの雨はいつ止むのかな…?

ことり「あっ、天気予報見ると、夜には上がるみたい!」

花陽「よっ、良かった…。一日中じゃなくて…」

ことり「うん…。でも、それまでは……」

どうしよう…
私たちも雨が止むまでここにいるわけにはいかないし…
このままだと、私たちもずぶ濡れ…

ことり「花陽ちゃん、私の家まで走れる?」

花陽「えっ?」

ことり「ごめんね。傘、ここに置いていくから……」

ことり「ここからなら私の家が近いの…だから、行こっ!」

ねこさん達に自分のタオルを巻いたことりちゃんは
傘が雨を凌いでる事を確認して、私の手を掴んで足早に歩き出します。

徐々にペースを上げることりちゃんに置いていかれないように…ついていかなきゃ。

ことり「はぁっ…はぁっ…」

ことり「はっ、花陽ちゃん…大丈夫?」

花陽「…うっ、うん…大丈夫、だよ…」

ことり「…ふふっ、良かった…♪」

ことり「あそこが、私の家だから…安心して?」

花陽「…あ、ありがとう…」

でも、こんな濡れた状態でお家に上がらせてもらうのは…
なんだか気が引けちゃうよぉ…

…やっぱり、このまま帰ろうかな?

どうしようかな…

ことり「とうちゃく~♪だけど濡れちゃったねぇ~…」

ことり「さあ上がって。お風呂入ってあったまろ?」

花陽「でも…」

ことり「遠慮しないで。ほ~ら、早くっ!」

花陽「……おじゃましますっ!」

ことり「はーい♪」

ことり「お風呂沸かしてっと」

ことり「代わりの着替え、用意してくるね」

花陽「はっ、はい!わかりました!」

お世話になるのって……緊張しちゃうなぁ…
お風呂も着替えも用意して貰えるなんて……
なんだか申し訳ない気持ちになってしまいます。

とりあえず、このままだと風邪引いちゃうし…
濡れた制服やスカートはハンガーを借りて…
タイツはカゴの中に置かせてもらおうかな

花陽「わぁ…けっこう濡れちゃってるなぁ……」

花陽「大丈夫なのはワイシャツくらい…」

ことり「おまたせっ♪」

ことり「……」

ことり「……ふむふむ」

花陽「えっと……どうしたの?」

ことり「今の花陽ちゃん……なんていうか…」

花陽「??」

ことり「こういう方向性もありかも!」

花陽「方向性?」

ことり「ううんっ、気にしないで」


花陽ちゃんの衣装はもう少し攻めてる感じのものでもいいかも…?
うんっ!考えてみよっと!

さて、花陽ちゃんも着替えたことだし
こっちのお部屋で温かい飲み物でもどうぞ♪

私はその間に濡らしちゃった床の掃除をして、っと。

よしっ、これでバッチリ!
お風呂はどうかな?
どれどれ…
もうちょっとだね。

ことり「う~ん、どうしよっか?」

ことり「そうだ!ふふふっ♪」

入浴剤、どれにしようかな~?
花陽ちゃんにあげたのと同じマカロンの入浴剤、どの香りがいいかな~?

って選んでる間に
ピッピーッ、お風呂が沸きましたーって。

ことり「花陽ちゃーん、お風呂が沸きました~♪」

ことり「こっちにおいでー!」

花陽「は、はーい…!」

ことり「はいこれ、どうぞっ♪」

花陽「何度見ても本物そっくりだねっ!」

ことり「入るときに入れてみて。きっとリラックス出来るから♪」

花陽「あ、ありがとうございます!」


こ、こんなにお世話になっちゃっていいのかな?
やっぱり…落ち着かない…かも。

ことり「それじゃあごゆっくり♪またあとでね♪」

そう言い残して、ことりちゃんは私の制服を持って行っちゃいました。
1人残った私、手の中にはマカロンの入浴剤。



えへへっ♪

ことり「制服の水分は取ったし、あとはエアコンの風にあてて…」

ことり「私のはともかく花陽ちゃんのは早く乾かしてあげなきゃ!」


花陽ちゃん、そろそろ入ったかな?

う~ん…何してようかな~。
お腹すいてるかもしれないし、スープでも作ってあげようかな?
それとも……

ことり「…えへへっ」


花陽「どんな感じかな~?」

そっとお湯に落としてみると
たくさんの泡と一緒に広がる甘い香り。

花陽「わぁ~!すてき♪」

身体を洗って早く入ろっ!
石鹸は…っと。あっ、あった♪

花陽「…ふぅっ」

今日のことりちゃん、すっごく優しい
いつも優しいんだけど、今日は特に……わたしにだけ?

…そんなわけないよね、ことりちゃんはみんなに優しいから。

でも、もしそうだったら…
わたしにだけ特に優しかったら…



…あれっ?いま私、わらってた?

もしかして…ことりちゃんのこと…意識してる…のかも?

花陽「…」

ことり(失礼しま~す♪)

花陽「…」

ことり(あれ?気付いてない?…じゃあ)

花陽「…」

花陽「…っ!!」

ことり「花陽ちゃん、背中洗ってあげる!」

花陽「ぴゃっ!?へっ??ことりちゃん?!」

花陽「えっ、何で??あれっ?いつの間に?!」

ことり「だっ、大丈夫…?」

花陽「ご、ごめんなさい!本当に驚いちゃって…」

ことり「そっか。驚かせてごめんね…」

ことり「お詫びとして…」

花陽ちゃんの後ろ、洗っちゃいます♪

花陽「ひゃわっ!」

ことり「綺麗な背中だね~」

花陽「そ、そう?」

ことり「よいしょ、よいしょ…。くすぐったくない?」

花陽「気持ち良いよぉ~♪」

良かった~、喜んでくれてるみたい♪
でも、背中だけじゃすぐ終わっちゃう。

う~ん、少し前の方もしてあげたほうがいいかな?


花陽「ひあぁっ!?ぃやっ!ことりちゃん!おっ、お腹はだめぇ~!」

ことり「わぁっ!だ、ダメ?」

花陽「は、恥ずかしい…から…」

ことり「…」

花陽「む、無言で揉まないでぇ!」

ことり「あっ、あははっ。つい…っね?」

花陽「あうぅ~っ!」

花陽「さ、先にお風呂に入りますっ!」

ことり「や~ん、逃げないで~♪」

花陽「ことりちゃんの頼みでもこれだけはだ~めっ!」

花陽ちゃん、ぷくーって頬を膨らませて先に湯船に入っちゃった。
ふふふっ、でも怒った顔も…カワイイ~っ♪

私も早く入らなきゃ、せっかくだし一緒に、ねっ!
だから、いつもよりちょっと急ぎのペースで身体を洗っていたら
背中を撫でられてる感じがして

花陽「ことりちゃん…」

洗うの手伝ってくれるのかな?
って…お腹弄られてる!?

ことり「や、やぁーーーーっ!!あはははっ…!」

花陽「…さっきのお礼だよっ♪」

ことり「ひっ…ぁははっ…」

花陽「やっ、やりすぎちゃった!?あのっ…私もことりちゃんの背中、洗ってもいい?」

ことり「ぁはっ…ぉ、お願いします…」


ご、ごめんなさい…

でもことりちゃんってやっぱり、スタイルいいなぁ~。
それに、白くて綺麗な肌…ていねいに洗わないとキズがついちゃいそう…

花陽(ていねいに…ていねいに…)

ことり「花陽ちゃん、上手だねぇ♪」

花陽「そ、そう?えへへへっ♪」

花陽「よく凛ちゃんにしてあげてるからかな?」

ことり「仲良しさんだねぇ~♪」

花陽「うんっ!」


ってことは凛ちゃんとはよく一緒に入ってるんだ

……

そっかぁ~、いいなあ凛ちゃん…

???

また…
今のって………?


花陽「これで後ろはキレイになったよ♪」

花陽「ことりちゃん、早くお風呂に入ろう?」

ことり「う、うん…」

花陽「いい気持ちだね~♪香りもいいしすっごく落ち着くね♪」

ことり「喜んでくれて良かった♪」

ことり「そうだ。ねっ、ちょっとでいいからこっちに寄って♪」

花陽「へっ?こ、こう?…ってまたぁ!」

ことり「こ、今度は揉まないよっ!」

ことり「ただ、こうしたいなぁ…って思ったの」

ことりちゃんの柔らかい感触を背中に感じる…
それに、私のお腹辺りに手を回して…
これって後ろから抱きしめられてる、よねっ?

花陽「……~~っ!」

どうしよう、どうしようっ…!
こんなの絶対ドキドキしちゃうよぉ…!!

ことり「…あのね」

ことり「凛ちゃんは花陽ちゃんの事、かよちんって呼んでるよね?」

ことり「だから私も花陽ちゃんの事をかよちゃんって呼んでもいい、かな?」

自信無さそうな声でことりちゃんはそう言って、抱きしめる力をちょっとだけ強めてきました。
どうしてなんだろう?
…断られるって思ったのかな?

花陽「…いいよ!」

だから安心して?
って言葉にするより、ことりちゃんの手を撫でてあげました。
その方が、きっと正しいかなって

ことり「…ありがとう、かよちゃん♪」

花陽「だ、だからお腹はダメだってばぁ!」

ことり「えへへっ♪悪気は無いんだよ♪」

花陽「さ、触るならせめて別の場所に…」

ことり「えっ!でも……この体勢だと…その~……」

花陽「えっ?…あぁっ!!」

花陽「ま、待って!ち、違うよ!そういうつもりじゃ…!!」

ことり「…いきますっ!」

花陽「!」

ことり(大きくて…柔らか~い♪)

花陽「あぁっ…あぅぅ~…」

花陽「だ、誰かたすけてぇ~!」

ことり「楽しかったね~♪」

花陽「す、すっごくつかれちゃったよ…」

花陽「ことりちゃん、ずっと触ってくるんだもん…」

ことり「えへへっ♪さわり心地が良くってつい♪」

花陽「も、もぅ…っ!」

ことり「でも私たち、結構入ってたみたい。ほらっ、もうこんな時間!」

花陽「そ、そんなに入ってたなんて…!時間が経つのって早いね!」

ことり「外も暗くなってるだろうし…今日は泊まってく?」

花陽「で、でも…いいの…?」

ことり「うんっ♪」

ことり「夜にかよちゃんを一人で帰すなんてちょっと心配だしね」

花陽「ありがとう!」

花陽「でも、今日はことりちゃんにお世話になってばっかり」

ことり「えへへっ♪ことりがもーっとかよちゃんのお世話しちゃうぞっ♪…なんてね♪」

ことり「髪、乾かそっか♪かよちゃん、おいで♪」


かよちゃんの濡れた髪から私と同じシャンプーの香りがする。
今日は、お揃いの髪の匂い。
自分と同じなのに…なにか、違うの。
かよちゃんの髪の匂いは…

ことり「…うん、いい感じ!」

花陽「気持ちよかったよぉ♪じゃあ私もことりちゃんの髪を乾かしてあげるね♪」

ことり「お願いしま~す♪」

花陽「わぁっ…ことりちゃんって髪も綺麗…」

ことり「そっ、そんなことないよ?」

ことり「花陽ちゃんの髪だって、さらさらでいいにおいだったよ」

花陽「わっ、私のなんか…」

花陽「でも…ことりちゃんがそう言ってくれると…自信持てちゃうよ!」

ことり「私も花陽ちゃんが綺麗って言ってくれて嬉しいよ♪」

花陽「えへへへっ♪」

花陽「…うんっ!櫛通りもさらさら!」

花陽「どうかな?」

ことり「うん、バッチリ!」

花陽「ふふっ、いつもより頑張っちゃったよ!」

って頭をなでなでしながら言ってくれるの。

花陽「あっ!ご、ごめんね!いつまでも…」

なでなで、終わっちゃった。
なんて思ってると

ぐううぅぅぅ

えっと……

ことり「…お腹すいちゃったね」

花陽「へっ!?えっと……そ、そうだね~…」

ことり「私のお部屋で待ってて。何か作ってくるね!」

花陽「は、はい!」

花陽(今の…聞こえてないよね?)

花陽(こ、こんな時に鳴るなんて…)

花陽(あぅぅ…恥ずかしい…)

帰ってきていた理事長、ことりちゃんのお母さんにあいさつをしてから
ことりちゃんのお部屋で待機中です。


花陽「お母さんにメールもしたし…お天気はどうかな?」

花陽「あっ、雨上がってる♪」

良かったね、ねこさん達♪
綺麗なお月様も出てるし、一安心です!


ことり「かよちゃん、おまたせ♪」

花陽「おにぎりだぁ~♪」

ことり「かよちゃんがお腹すかせてると思って簡単なものになっちゃったけど…」

花陽「ううんっ!私、おにぎり大好きですから!それにスープも美味しそう♪」

ことり「そう言ってもらえて嬉しいな♪じゃあ食べよっ♪」

花陽「いただきますっ!」

花陽「(もぐもぐ)…ことりちゃんのおにぎり、美味しいです♪♪」

ことり「おにぎりの事でかよちゃんに褒められるなんて光栄ですっ♪」

花陽「あっ、こんぶ~♪私、こんぶのおにぎり大好きなの♪」

ことり「喜んでくれて嬉しいな♪」

花陽「スープもごはんに合ってて、とまりません♪」

ことり「良かった♪すっごくお腹すいてそうな音だったもんね?」

花陽「ぅぐ!…けほっ、けほっ…も、もしかして聞こえてたの?」

ことり「あっ!…その、うん…。ごめんね…」

花陽「はぅぅ…ことりちゃんに聞かれるなんて…」

ことり「き、気にしないで?かわいい音だったし、ねっ?」

花陽「で、でもぉ…」

ことり「……あっ、かよちゃん。口元が」

花陽「へっ?」

花陽「へっ?」

ことり「少し汚れちゃってるよ、ふふふっ♪」

ことり「拭いてあげる♪」

ことり「…うん、いつものかよちゃん!」

花陽「うぅっ、すみません…」

ことり「あっ、ちょっとごめんね……うんっ、ペタペタしてないし、大丈夫だね!」

花陽(…ふ、拭かれたところ、さ、触られちゃった!!)

うぁ~、顔赤くなってないかな?!
顔が熱を帯びている感じがー!!

花陽「あ、ありがとう…」

ことり「どういたしまして♪」


………

花陽「お腹いっぱいで横になると眠くなっちゃうね」

ことり「まだちょっと早いんだけどついウトウト~~って…」

目を閉じちゃったことりちゃん。

……

あれ?本当に寝ちゃってる??

花陽「ことりちゃん、眠いの?」

ことり「……はっ!う、ううん、平気!テ、テレビに集中してただけだよー!」

そんなとろ~んとした目で言われても…
疲れてるだろうし、無理しないで休んでほしいな。

こんな時は…!

花陽「ことりちゃん、ちょっとうつ伏せになって」

ことり「はーい。これでいい?」

花陽「うん!えっと…失礼します!」

私の腰にまたがったかよちゃんは、私の背中に手を置いて
えっと…とか、んしょっ!って押したり揉んだり。

わかったぁ、マッサージしてくれてるんだぁ♪

花陽「あのっ!ことりちゃん……その…重くない?」

ことり「うんっ♪全然平気だよ!」

花陽「ほっ…」

ほっとしたかよちゃんは、自分の体を倒して私に密着して
そして耳元で。

花陽「今日もお疲れさまです…!いろいろしてくれて…ありがとう♪」

こ、こんな状態でそんな……反則だよぉ!
絶対赤くなってる顔を見られるのが恥ずかしくて、枕で隠していると…

背中にはかよちゃんのマッサージ。
腰にはかよちゃんのちょうどいい重みとぬくもり。

こうしてると……なんだか…

……

ことり「…すぅ…すぅ……」

花陽「…ことりちゃん?寝ちゃった?」

うつ伏せのまま気持ちよさそうに寝息を立てることりちゃん。
喜んでくれたかな?

花陽「私もこの番組が終わったら寝ちゃおうかな!」

でも、その前に

花陽「ことりちゃんの体勢、変えてあげなきゃ」

起こさないようにそっと、正面に向けてっと。
可愛い寝顔♪
見とれちゃうな~♪


花陽(今なら、ことりちゃんが起きるまで…)


…ことりちゃんの寝顔を見ていられる。

花陽「……少し…だけ」

触っても、いいかな?
手を伸ばして頬に触れてみる。

花陽(だ、だめだぁー!)

触っていると、胸の奥が熱くなって…落ち着かない!
けど、出来るならもう一回だけ…触りたい。

花陽「ぐっすり眠ってるんだけど……」

ごめんね、もう一回だけ。
そう思ってことりちゃんの頬に触れていたんだけど…

ことり「ん~~…」

花陽「ひっ!」

ね、寝返りかぁ…ビックリしちゃった…
って指が!!ことりちゃんの唇に…!

花陽(ごめんなさい!そんなつもりはっ…!)

花陽(…)

花陽(今日の私、いつもと違う…)

どうしてもことりちゃんを意識してしまっている…
もう寝よう。

このままだとずっと…

花陽「…私」

って考えてる時、その指を自分の口に当てている事に気付いて…

花陽(…)

花陽(…もしかして…そうなのかな……やっぱり…)

テレビと電気を消し、ベッドに入り込むと隣にはかわいい寝息を立てていることりちゃん。
ベッドや掛け布団からはことりちゃんのにおい…
それに反応して、心の音がすごく鳴り響いているような感覚の私。

きっとこれは。

花陽(……ことりちゃんのことを…)

花陽「…そうだ、お風呂の時のお返ししなきゃ」

っていっても、少し抱きしめさせてもらうだけ。
今晩だけ、抱き枕になってもらいます!

花陽(…でも…こうすると余計に…)

花陽「そっ、それでも!おやすみなさい。ことりちゃん♪」

この思いは、多分私の…片思いかも知れない。
けど、だから…ことりちゃんも同じ気持ちを持ってくれたら…嬉しいな…
そんな夢…みたいなぁ……

……

花陽「……」

ことり「朝だよ~♪」

花陽「んぅ~?」

可愛い寝顔でぐっすり眠ってる…
もう少し寝かせてあげたいけど
花陽ちゃんも一回帰って準備しなきゃだしね!
ここは心を鬼にしてっ!

ことり「ちゅんちゅん♪」

なんて、花陽ちゃんの耳元で鳥さんの鳴き真似をしながらほっぺをツンツンって
早く起きないともっとつっついちゃうぞ~♪

花陽「ふにゃっ?」

あっ、起きたぁ!
良かったぁ、ちゃんと起こせて♪

けど…
本当はもうちょっとしてたかったんだけどな~。

ことり「花陽ちゃん、おはよっ♪」

花陽「おはよぉ~」


そうだ、ことりちゃんのお家に泊まったんだっけ。


花陽「ことりちゃん、起きるの早いね」

ことり「昨日は早寝しちゃったから」

ことり「それに、花陽ちゃんを起こしてあげないとって思ってね!」

ことり「一回帰るでしょ?」

花陽「うん、予備の制服に着替えなきゃ」

ことり「せっかく花陽ちゃんと一緒に登校出来ると思ったのになぁ~…」

花陽「ご、ごめんなさい!」

ことり「えっ?あっ、困らせるつもりは無かったの!」

ことり「ごめんね、花陽ちゃん」

ことりちゃん、起きてから私の事をかよちゃんって呼んでくれないなぁ…

……

どうして、呼んでくれないの?
それ以外は、いつものことりちゃんと変わりないのに…

昨日だけって…事だったのかな…?


ことり「じゃあまた、学校でね」

花陽「うんっ、昨日はありがとうございました!」

花陽「それでは、おじゃましました♪」

お母さんに制服のクリーニングを頼まなきゃ。
あと、お弁当作ってくれてるかな?

玄関を出て、お家に帰ってからの事を考えていると……
ことりちゃんが私の手を掴んで

ことり「まっ、待って!」

って……なんだろう?

ことり「あ、あのね……」

花陽「?」

ことり「今度…その…ねっ……お休みの日とかに、一緒に……」

あっ、これって……
すっごく緊張する…けどたまらなく、嬉しいの。
ことりちゃんが、こうして言葉にして言ってくれることが……

ことり「だから、えっと……」

ことり「うんっ!また、お泊りしようね♪かよちゃん♪」

……

またお泊りしようねーって言うだけだったのに…全然声が出なかった。
今だってなんか…力いっぱい走った後?
みたいな感覚…??


ことり「まさか……」


ことり「考えすぎ、だよね?」

ことり「わたし…」

ことり「…準備、しなきゃ…」

学校前の、こんな早朝に自分のお家に帰るって…なんだか不思議な気分。
昨日の事やさっきの事を思い出しながら歩いていると
ついスキップしそうになっちゃいます♪

きっと、ことりちゃんもそうだからまた誘ってくれたんだろうなぁ~♪
でも、どうしてあんなにもじもじしてたのかな…?

……もしかして…ことりちゃんも…?

……


花陽「昨日のねこさん達は無事かな?」

帰宅してお母さんにいろいろ頼み事をして
身支度をしてゆっくり朝ごはん!
っていきたいところだけど…

かよちゃんを見送った後、準備もすぐ終わっちゃって
のんびりテレビを見ていたんだけど…

それでも少し早めに登校することに決めた私は
昨日のネコさん達を見に行くことにしました!
雨は夜にはもう上がっていたとはいえ、やっぱり心配だから…
お弁当のおかず、わけてあげよっ♪

あれっ?

ことり「傘も、ダンボールも無くなっちゃってる…」

夜のうちに片付けられちゃったのかな…?
その場所には何も残っていなくて、ネコさん達もどこにもいません。

きっと、大丈夫だったんだよね?

しばらくこの場所で立ち止まっていると
後ろから……何か…見られているような…??

ことり「だれっ!?」

振り向くと、足元の小さなそれらは勢いよく走り去って行っちゃいました。

ことり「昨日の子たち、だよね?」


ビックリさせちゃったかな?
でも元気そうだった。
えへへっ、良かったぁ♪

あの子たちが走り去って行ったと同時に

きゃっ!ちょっ、ちょっと待ってぇ~~…

って。
そっと見てみると、ネコさん達が走っていった方向を眺めて、優しく微笑む彼女がいて…
その顔を見ていると、わたし…

ずっと……見ていたくって……

……

ことり「にゃんっ♪」

花陽「はわっ!」

ことり「さっきぶりだね♪」

花陽「あっ、ことりちゃんも来てたんだね!」

ことり「そうなの、けど逃げられちゃって」

花陽「ねこさん達、走って行っちゃったもんね…」

花陽「ごはん、持ってきたんだけど……」

ことり「でも、無事でよかったよね♪」

花陽「ふふっ、あの様子なら…きっと大丈夫だよねっ!」

ことり「うんっ!」

ことり「…私たちも行こっか、かよちゃん♪」

花陽「うんっ♪ことりちゃん♪」

かよちゃんの笑顔…素敵だなぁ
いつも見てるのに…今日は、違う…
かよちゃんといると胸が苦しくなるようなこの感覚。

今はまだ少しだけ、だけどその内もっと……??

多分、昨日から…
私はかよちゃんに惹かれはじめているのかもしれない。


それならいつか、もっともっとかよちゃんと仲良くなれるといいなあ~♡

これでおわりです!

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