アスカ「賭けをしましょう」(65)

アスカ「シンジ、起きてる?」

シンジ「…なんだよ、アスカ。こんな時間に…」

アスカ「なんか寝付けないのよ、まだ12時にもなってないわ、アンタも小学生みたいに寝てんじゃないわよ」

シンジ「明日も学校だよ…?」

アスカ「そうねぇ…何がいいかしら」

シンジ (聞いちゃいねー)

アスカ「賭けをしましょう」

シンジ「賭け…?」

アスカ「ちょっとした暇潰しよ、いいでしょ、アンタどうせ暇なんだから」

シンジ「暇っていうかこれから寝るんだけど…」

アスカ「いいの!じゃあ賭けるもの決めるわよ」

シンジ「…ウン」

アスカ「負けた方が恥ずかしい話を一つ」

シンジ「えーっ」

アスカ「勝負は冷蔵庫でね!」

シンジ「…どうやるの?」

アスカ「私が冷蔵庫の扉を少しだけ開けて底から腕を入れるわ、そこで私が掴んでいるのがミサトのビールかそれ以外かを当てるのよ」

シンジ「よくそんな事思いつくね…」

アスカ「」ガバッ

アスカ「」シュッ

アスカ「掴んだわ!隙間から覗き込んじゃダメよ!さあ当てて」

シンジ (冷蔵庫は僕の管理下にあると言っていい、この家の台所事情は僕が回してるようなものだし)

シンジ (今日ミサトさんが晩酌で空けたビールは2、3本だ。冷蔵庫の中にはまだ残りのビールが入っているはず)

シンジ (今日夕飯の支度で冷蔵庫を開けた時には八缶入りのケースが丸々一つあったんだから…)

シンジ (パックになってる厚紙を破いてバラしているはずだから、恐らく扉裏の飲料ポケットに残りのビールは並べてあるはずだ…)

シンジ (でもアスカは肩まで腕を突っ込んでいる、アレは扉の裏にあるものを掴む体勢じゃない…)

シンジ (と言うことはアスカは今『ビールを掴んでいない!』)

アスカ「早くしなさいよ」

シンジ (でもズボラなミサトさんの事だ、厚紙パックを剥がさないでそのまま冷蔵庫の真ん中に放置しているかもしれない)

シンジ (…意外に迷うな)

アスカ「」イライラ

シンジ「…ねぇ、アスカ、一ついいかな」

アスカ「何よ、単純なゲームでしょ、早くしなさいよ」

シンジ「うん、でもせっかくやるんだからさ、遊びといえど楽しいものにしたいんだ」

アスカ「ふーん、意外とやる気ね、で、どうするの?」

シンジ「負けた方は恥ずかしい話を教室でしない?」

アスカ「何…?アンタそういう趣味?皆がいる前で恥をかきたいっての?」

シンジ「僕が負けるとは限らないじゃないか」

アスカ「ま、いいわ。早くしなさいよ」

シンジ「アスカ、本当に恥ずかしい話じゃないとダメだからね?」

アスカ「…」

シンジ「みんながからかうような話じゃなきゃ…」

アスカ「シンジ、私に喧嘩売ってんの?」

シンジ「ゲームだろ?リスクを上げてるだけじゃないか」

アスカ「じゃ、いいわ。アンタの言う事聞いてあげるから、私が勝ったら教室で恥ずかしい話プラス、ラーメンおごりね」

シンジ「僕の要求を聞くのと、僕が負けた時のリスクを上げるのは等価なの?」

アスカ「そーよ当然じゃない、生意気に注文つけてきたんだからさ」

シンジ「わかった、いいよ」

アスカ (あら、意外とカンタンに受け入れたわね…)

シンジ「じゃ、始めようか」

アスカ「始める?アンタがスパッと答えればいい話じゃない」

シンジ「真剣勝負の方がおもしろいだろ?そこでさ、部屋を調べるのはアリかな」

アスカ「はぁ?アンタルール聞いてたでしょ!?私が今冷蔵庫の中で掴んでるのがビールかそれ以外かって話よ!」

シンジ「でもアスカが前もって冷蔵庫のビールを他の場所に隠してるとしたら?」

シンジ「僕が一番冷蔵庫の中を把握してるんだから、それくらいはやりかねないよね?」

アスカ「…ただの遊びよ?何言ってるの?」

シンジ「それに僕の知らない間に、ミサトさんビール買ってきてるかもしれないし」

アスカ「部屋を調べるのはナシよ、そんな時間かけてらんないわ」

シンジ「じゃ、アスカの要望を聞くから、その代わり僕が勝ったらミサトさんにも恥ずかしい話するんだよ?」

アスカ「…アンタ私を怒らせたいの」

シンジ「なんでそうなるんだよ、部屋調べるのは諦めるからさ、その代わりアスカが僕にやったようにアスカが負けた時のリスクを上乗せさせてよ」

アスカ「…もういいわ、シラけた」

シンジ「冷蔵庫から手を抜いたら君の負けだよ、アスカ」

アスカ「」ピクッ

シンジ「わざわざ人の事起こしてまで始めたんだら、ここて逃げたらそれこそ身勝手な小学生だよね」

アスカ「わかってたけど、本当に女々しい奴ね」

シンジ「ガサツで身勝手なアスカと良い勝負じゃない」

アスカ「アンタそれ以上言ったら、更に罰ゲーム追加するわよ…?」

シンジ「げろげろゲルマンげろげろピ~♩」

アスカ「!!!」

シンジ「…言ったよ?アスカ。ねぇ次はどんなリスクを僕に負わせるのかな?」

アスカ「…いいわ…!そんなに言うなら追加してやろうじゃない。恥ずかしい話なんてもうどうでもいい、アンタが負けたらその顔腫れるまでビンタしてやるから」

シンジ「いいよ?」

アスカ「言ったわね!?無抵抗よ!?無抵抗で腫れるまで…」

シンジ「じゃ僕からもアスカに対する罰ゲームを清算していいかな」

アスカ「頭痛くなってきたわ…アンタこんなに引き下がって何がしたいの?」

シンジ「アスカが負けたら爪を一枚剥いでよ」

アスカ「なっ…」

シンジ「どうしたの?顔が腫れるまで、つまり内出血するまでビンタと、一枚爪を剥ぐ、そんなに不公平じゃないと思うけど?」

アスカ「アンタ…どうしたのよ…?」

シンジ「なに?今さらやめる?やめるんだったらそっちの負けって事で爪を…」

アスカ「…!!ミ、ミサト呼ぶわよ!それ以上おかしな事言ったら!」

シンジ「ミサトさんに泣きつくのはアリなの?じゃ僕もアスカに無理矢理起こされてゲームに付き合わされた挙句、内出血するまでビンタされそうだって言ってもいいね?」

アスカ「どうしちゃったのよ…もういいから、やめなさいよ」

シンジ「わかった、僕が負けたら一日君の言う事を聞こう」

アスカ「だからもう言いって」

シンジ「君が死ねって言えば死ぬよ」

アスカ「そんな事言わないわよ!」

シンジ「その代わり君が負けたら坊主にしてもらおう、爪を剥ぐのはイヤそうだし」

アスカ「私女よ…?」

シンジ「なに?これだけ譲歩してもまだ足りないの?僕は事実上命をかけてるんだよ?」

アスカ「シンジぃ…」

シンジ「泣いたら負けとみなすよ」

アスカ「」ビクッ

シンジ「十代で大卒のユーロ空軍出身エリートパイロットは今までママゴトで任務にあたっていたのかな?」

アスカ「」

シンジ「命かけてると思って必死でやって来たのは僕らだけだったのかな?」

アスカ「こんな馬鹿な事に命を賭ける必要はないわ…」

シンジ「君が今も大事に持ってる人形知ってるよ」

アスカ「!」

シンジ「君がゲームを降りるならアレを引き裂いてゴミにしよう」

アスカ「アンタ…いいわ、もうアンタを家族とみなさない」

シンジ「家族?僕のこと家族だと思ってた上であんな態度だったの?じゃ家族である僕よりあの人形の方が大事なんだ」

アスカ「アンタに何がわかんのよっ…!」

シンジ「僕が勝ったら君の人形を壊して捨てるって事で、アスカが勝ったらどうする?坊主で良いの?」

アスカ「いらないわ、アンタをぶん殴ってでもまともに戻してやる」

シンジ「殴るだけで良いんだね、ハイハイ」

アスカ (シンジ…)

シンジ「じゃあ始めよう」

アスカ「ちょっと待って」

シンジ「なに?」

アスカ「ゲームをもっと楽しくする方法があるわ」

シンジ「なに?」

アスカ「私が今冷蔵庫に突っ込んでいるのは左手、右手は自由。この右手で一つ冷蔵庫の物を出す度に、アンタは一つ後ろに遠ざかる」

シンジ「?」

アスカ「その代わり出す物がビール以外なくなった時点で私の負けよ」

シンジ「ふんふん」

アスカ「で、アンタは10分払うごとに一歩私に近づける。私の背後に立って冷蔵庫の中を確認できるまで近づけたらアンタの勝ちだし、その前にアンタが私の左手のモノを言い当ててもアンタの勝ち」

シンジ「10分は長くない?」

アスカ「数歩で私の隣に立てる距離なんだから、それくらいいいでしょ」

シンジ「時間稼ぎしてミサトさんが起きてくるのを待つのかな?」

アスカ「ちがうわ…、朝が来るまでにアンタの目を覚まさせるのよ」

シンジ「アスカが勝つには時が経つのを待つしかないじゃないか…君がそれでいいって言うなら良いけど」

アスカ「降りるなら今よ…?」

シンジ「何言ってるんだよ、僕にとってはなんにも怖いことないじゃないか。負けた時のリスクもなければ、君に不利なルールだ。僕が当てずっぽうで君の左手の物を言い当てたらどうするの?」

アスカ「そんな事しないわね…これだけしつこく私を追い詰めたんだから、何か意図があるんでしょ。それにアンタに遊びといえどイチかバチかを決める勇気はないわ」

シンジ「言うね…いいよ、やろう」

アスカ「」ポイポイポイ

シンジ「…11、12」

アスカ「つまみやソーセージ諸々12種出したわ、キッチンから離れるように12歩下がって」

シンジ「これで僕はあと2時間強で君の後ろに立てる事になる」

アスカ「まだあるわよ、冷蔵庫の中」

シンジ「って言ってもせいぜいあと10種くらいでしょう?君が稼げる時間は全部で4時間くらいじゃない?

アスカ「…食べかけのおやつもさっき入れて置いた」

シンジ「どうだか、冷蔵庫の中を管理してる僕の見立てはそこまで間違ってないと思うけど」

アスカ「やっぱりアンタが負けた時のリスク、付けさせてもらうわ」

シンジ「どうぞ」

アスカ「私の事抱きしめて、『こんな事してゴメン』ってちゃんと謝って」

シンジ「…僕にそんな事されて嬉しいの?こんなに色々言われたのに?変態?」

アスカ「…なんとでも言えばいいわ、日本人はいやらしい事にしか思い至らないんでしょうけど、ハグは大事な意味があんのよ」

シンジ「じゃ、そのリスクを認めるから、アスカ負けたら人形と同じようにズタズタにしちゃうから」

アスカ「…」

ーー2時間経過ーー

アスカ「」zzz

シンジ「…」

シンジ「」スタスタ

アスカ「」

シンジ「」スタ

アスカ「」ビクッ

アスカ「来ないで!」ポイポイ

シンジ「4個…ずいぶん小出しにして来たね」

アスカ「…まだあるわよ」

シンジ「せっかく後ちょっとで包丁に手が届いたのに」

アスカ「…ッ!」

シンジ「戻るよ、4歩で40分ね」

シンジ「…意外と小さいね、アスカの背中って」

シンジ「冷蔵庫に入れっぱなしの左手、冷たいんじゃないの?それとももう冷蔵庫の中がぬるくなっちゃってるかな」

アスカ「」ポイ…ポイ

シンジ「また2歩下がる…はいはい」

シンジ「アスカこのままだとジリ貧だよ?どうせミサトさんも起きて来ないよ、今頃晩酌の酔いで気持ち良く寝てる、朝まで起きないだろうね」

シンジ「どんなに多く見積もっても冷蔵庫の中身は朝までもたない」

シンジ「もういっそ当てずっぽうで言っちゃおうか…?」

アスカ「」ビクッ

シンジ「肩に力入ってるよアスカ…ここからでも分かる」

シンジ「僕はやるよ?アスカの左手にビールがあってもなくても、さっき決めた通りに」

アスカ「なんで…?」

シンジ「なんで?アスカが言い出したことじゃない」

アスカ「私の事そんなに嫌いだったの?」

シンジ「アスカは僕のこと好きだったの?」

アスカ「今のアンタはイヤ」

シンジ「朝が来たってもうこれまで通りにはいられないね、僕ら」

シンジ「僕が勝ったらアスカ死んじゃうし、アスカが勝っても僕らもう元通りにはならないね。

アスカ (どうして…?どうしてこんな事になったの?)

アスカ (確かに私の狙いは朝が来るかミサトが起きるのを待つこと、でもその前にこの馬鹿を説得しなきゃいけないのに…)

アスカ (バカシンジの弱みを握ってでもこんな事やめさせなきゃ…)

シンジ「」

シンジ「さて…アスカの左手はビールを掴んでいるか掴んでいないか…」

アスカ「アンタ」

シンジ「何?」

アスカ「もし私が負けて私とあの子をズタズタにしたら、アンタはどうすんのよ」

シンジ「さあ?っていうか人形を『あの子』?」

アスカ「さあ?じゃないわ、ミサトや三馬鹿トリオの二人やエコヒイキなんかにはどう説明すんのよ」

シンジ「必要ないよ、僕らは相入れない存在だからね」

アスカ「何言ってんの…?」

シンジ「アスカが勝っても僕は君の前からいなくなるよ」

アスカ「…そんなに言うなら、最初から私の事嫌いって言えばいいじゃない、イヤな事あったらイヤって言えばいいじゃない」

アスカ「なんでこんな事になるまで何も言わないのよ、溜め込むからアンタの考えてる事はいつも伝わんないのよ」

シンジ「…アスカは溜め込まないの?」

アスカ「アンタも知っての通りよ」

シンジ「嘘、本当のところは僕より隠してる」

シンジ「他人が君の本当のところを知ったらどう思うだろうね」

アスカ「…あんた、本当に心底私が憎いのね」

アスカ「…ねぇ、私がアンタの前から消えるから、アンタはちゃんといつも通りの生活に戻りなさいよ」

シンジ「まだ言う、もう戻れないよ」

アスカ「私を殺したら、アンタもめちゃくちゃになっちゃうわ」

シンジ「いずれそうなる事だよ」

アスカ「元に、戻って」

シンジ「戻る事はないよ、時間は戻らない」

アスカ「じゃあ私が死ねばいいのね?」

シンジ「ちがうな…おっと、そうこうしている内にもう40分経った」スタスタ

シンジ「これであと二歩で君の後ろに立てる」

シンジ「包丁も持っておかなきゃ」スラッ

アスカ「…」

シンジ「もうちょっとだね、アスカ…」

アスカ「…」

シンジ「アスカ、もう冷蔵庫の中身出さないの?それとももうビールしかない?」

アスカ「」コトッ

シンジ「ビ…じゃない、ジュース?」

アスカ「アンタの」

シンジ「何それ」

アスカ「アンタが好きなスイカソーダよ」

シンジ「…それで?それで和解しようって?」

アスカ「一歩下がって」

シンジ「ハイハイ、あと30分」

アスカ「昨日私がアンタの柴漬け食べちゃったから」

シンジ「へぇ」

アスカ「だから買ってきた」

アスカ「冷蔵庫にこっそり入れといてアンタが見つけて飲めばいいって」

シンジ「なんだかよく分からないな、そのジュースを恩着せがましく僕に見せつけて、懐柔しようっての?」

アスカ「アンタ、勘違いしるわ、私アンタの事嫌ってなんかいないわ」

アスカ「今まで悪かったわね」

シンジ「負けを認めたと思って良いのかな」

アスカ「…」

アスカ (ママ…私がんばったのに、こんな形でママのところに行くことになるなんて)

シンジ「そうだ、アスカが悪いと思ってるんなら、ミサトさんでもいいよ」

アスカ「…っ!!」

シンジ「アスカがミサトさんを殺すならアスカを許すよ」

アスカ「そんなのシンジじゃないわ…そんなの、シンジじゃない」ぽろぽろ

シンジ「泣いても無駄だよ、じゃアスカ、ミサトさんは殺さないんだ、僕も手伝ってあげるけど?」

アスカ「アンタとだけは、死んでもイヤ…」

シンジ「自分の命を差し出すんだね」

アスカ「アンタが私のモノにならないなら、もう私何もいらない」

アスカ「冷蔵庫の中、ビールだけよ」

シンジ「アスカ!アスカ!」

ミサト「ダメよシンジくん!」

シンジ「でもアスカが…!」

リツコ『ミサト!状況は!?』

ミサト「アスカの体が宙に浮いてるわ…それに変な光が…部屋が歪んで見える」

リツコ『どういう経緯でそんな状況になったの!?』

ミサト「シンジ君が急に騒ぎ出して…私も飛び起きて」

シンジ「アスカと一緒に冷蔵庫の前でふざけてたんです!そしたらアスカが急に倒れて…」

シンジ “でもズボラなミサトさんの事だ、厚紙パックを剥がさないでそのまま冷蔵庫の真ん中に放置してるかもしれない”

シンジ “意外に迷うな”

アスカ “ ”

シンジ “う~ん意外に難しいね、アスカ”

アスカ “…” バタッ

シンジ “……!?アスカ!?”

アスカ “ ” ゴゴゴゴゴ…

シンジ “ひ、光が…アスカ!アスカ!”

シンジ「アスカぁッ!」ダッ

ミサト「シンジ君待って!」

シンジ「ぐ…あああああ!!」バリバリィッ

ミサト「シンジくん!」

リツコ『ミサト!ミサト!何が起こってるの!?」

ミサト「シンジ君がアスカに触れたら、シンジ君まで宙に浮いて…苦しみ始めてるわ!!どうしたらいいの!?リツコ!?」

リツコ「光…?まさか使徒?ジオフロントに辿り着く前にアスカに寄生したとでもいうの?」

リツコ「精神感応タイプならあり得るか…」

ミサト『ぐ…父どころか二人の命まで奪うつもり…?』

リツコ「ミサト!?あんた、早まらないで!」

ミサト『ッッ…!』ゴオーッ

リツコ「ミサト!」

シンジ (アレ…ここは…いつものリビング。ミサトさんは?アスカは?)

シンジ (キッチンから声…?)

シンジ「…!アスカッ!」

アスカ「…えっ、シンジ…シンジ!?」

アスカ「えっ、だって目の前に…キャア!!」

???「リリン…リリンハワタシヲコロサナカッタ、キズツイタハズナノニ、ナゼ?」

シンジ「お前…アスカに何をした!?」

???「ココロノフカクマデキタ、モウモドレナイ」

シンジ「うわっ、空間が歪む…」

シンジ「ここから出なきゃ!!ミサトさんのところに!アスカッ!」

アスカ「…」

シンジ「アスカ…?どうしちゃったんだよ!ここから出なきゃ、部屋ごと崩れてきてるよ!?」

アスカ「私…私アンタにキツイことばかり言ったわ…」ギュッ

シンジ「なんだよ…そんなのいつもの事じゃないか!アスカ!そんなジュースの缶いいから早くこっちに来て!」

アスカ「ダメよ…私アンタを傷つけるわ」

???「ダカラココデキエル」

シンジ「ちがう!!」

アスカ「!」

シンジ「アスカは…うるさいけどアスカしかいないんだ!ここで消えるとか言うな!!」

アスカ「でもっ…」ギュゥッ

シンジ「来いっ!!」

ゴゴゴゴゴ……

>>44

すみません、間違えました汗

食い下がってです。

リツコ「ミサト!?お願い、返事をして!!」

ミサト『リツコ…』

リツコ「無事なの!?二人は!?」

ミサト『なんだか分からないけど、光が止んだわ。アスカもシンジ君も外傷はなさそう…』

リツコ「今からそちらに人を向かわせるわ、念のためアナタは部屋を出て。今の出来事が使徒によるものだったなら、そこにいるのは危険だわ」

ミサト『私が今からネルフへ向かうわ、二人とも私の車に乗せて行く』

リツコ「ミサト!ここは慎重に…切れたわね」

リツコ (使徒は人間に接触を図ろうとしている?進化しているというの?)

アスカ「」パチッ

アスカ「…知らない天井ね」

アスカ「シンジ?」

シンジ「」スースー

アスカ「…私たち助かったのかしら、シンジ、横にいるのは本当にシンジなの?」

シンジ「」スースー

アスカ「二人仲良くノックアウトとはね…」

アスカ (病院はイヤね、嫌な事ばかり思い出す)

アスカ「」のそのそ

アスカ「…アホみたいに寝息たてて」

アスカ「アンタが助けてくれたのよね?」

アスカ「私を追い詰めてきたアイツはなんだったのかしら」

アスカ「もう…あんな事…ないわよね?」

アスカ「シンジは私のこと…」

シンジ「ウ~ン」もそもそ

アスカ「!」

シンジ「あれ…アスカ?」

アスカ「何よ…」

シンジ「!そうだ、アスカ!大丈夫!?あの後なにが…僕は…」

アスカ「わかんないわ、でも私たちが寝ている間に終わったみたいよ」

シンジ「そっか…アスカは大丈夫なの?」

アスカ「なんとかね」

シンジ「…」

アスカ「…」

シンジ (病室って静かだな…)

シンジ・アスカ「ねぇ」

シンジ・アスカ「」

アスカ「賭けをしましょう」

シンジ「なんだよ、やめてよ、もう」

アスカ「私がアンタを好きかどうか」

シンジ「…何を言って」

アスカ「どっちに賭けるの?」

シンジ「僕は…」

アスカ「シンジ」

アスカ「ここには二人しかいないわ」

トウジ「おっ、今日はヤケに静かやないかお二人さん。夫婦喧嘩とおりこして倦怠期か?」

アスカ「うっさいわね。シンジ、これあんたの分よ」

シンジ「あ、ありがとう…」

ケンスケ「あれ?碇がいつも作ってるんじゃないの?弁当」

シンジ「いや、最近アスカが自分でやるって言い出してさ」

トウジ「それでセンセの分も作って来るっちゅーわけや、こらいよいよかなわんで」

トウジ「」チラ

アスカ「ヒカリ~一緒に食べよ」

ヒカリ「うん、あっ、アスカのお弁当美味しそう」

アスカ・ヒカリ「」キャイキャイ

トウジ (なんや最近のれんに腕押しやな、からかってもつまらんで)

ヒカリ (鈴原こっち見てる…もしかしてアスカみたいに私にお弁当作ってきて欲しいとか…?///)

レイ「ぽかぽかしない…」

>53

どうもありがとう、こんなんでも読んでくれて嬉しい。

もうちょっとだけ続くんじゃ。

前半からは想像できない展開だったな

>>55

どうもです、1は気分がよく変わる性格だからかも。

tv『今週水曜日の午前九時半頃、第三新東京市南部で夫が妻を殺害した事件で…』

アスカ「ねぇシンジ、今日のご飯何?」

シンジ「うん…今日はどうしようかな…蕎麦とか」

アスカ「なによ、やけにアッサリね」

シンジ「なんか今日調子悪いんだ…お腹ゆるくて」

アスカ「あんたバカァ?だったらあんただけお粥にでも…」

アスカ「…まあいいわ」

シンジ「えっ?」

アスカ「…夕飯私が作るわ、あんたはお粥が良いのね?リゾットみたいなやつ」

シンジ「あ…ありがとう、アスカ…」

アスカ「どういたしましてよ」フン

アスカ「…シンジ」

シンジ「ん?」

アスカ「人を…嫌いになったことある?」

シンジ「…あるよ」

アスカ「好きだった人を嫌いになったこと…ある?」

シンジ「…あると思う」

アスカ「…私のことは…」

シンジ「あの時言った通りだよ」

アスカ「これから私を嫌いになることって、あるかしら」

シンジ「わかんないけど…それはアスカにも言えることだろ?」

アスカ「とうしたら、ずっと変わらずにいられるかしら」

tv『…動機については、妻の交友関係からの浮気を疑ったものと見られ…』

シンジ「…変わってもいいんじゃないかな」

アスカ「シンジは変わってもいいのね?」

アスカ「私が変わっても?」

シンジ「アスカらしくない、いつになく弱気じゃないか」

シンジ「まあ、しおらしく変わってくれるっていうんなら、それも悪くないけどさ」ニコ

アスカ「なによ…今日は言うわね」

シンジ「…心配しすぎだよ」

アスカ「…約束してくれる?」

シンジ「なに?」

シンジ「僕が変わらないってこと?」

アスカ「ちがうわ」

アスカ「私を嫌いになっても…ちゃんと話してね、シンジ」

おわり

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