俺「けいおん部!?」 (13)
―――午後四時。
少し過ぎた頃だろうか。
傾きかけた陽が窓から差し込むその場所に、
俺(主人公、とでも言えばいいのだろうか)は立っていた。
場所は渡り廊下、階段を上がってすぐの音楽室前。
なぜこのような自分に微塵も関係のない場所に立っているのか、なんて自分が一番わからない。
しかし俺がこうしてここにいるのには理由がある。
それは少し前のことだ。
俺が私立桜が丘高校に入学してそれなりの日が経った。
初々しい、というか、まぁそれなりに新鮮な校内は、
入学したての新入生達がうふんあはん騒いでるせいもあり非常に(うざいくらい)活気がある。
そんなところで俺は一人、教室で一枚の紙を見て悩まされていた。
「部活……入部届け……」
誰にも見られていないな、よし。
フヒヒ、おっといけねぇ声に出しちまったぜ。
独り言とはさすがにキモすぎる、しかもにやけるな俺のバカ、ただでさえぼっちなのに(ry
高校に入れば誰もが一度は耳にするであろう「部活動」というもの。
まぁ入らないなら入らないで避けて通れる道ではあるが、
地味に生きてきた俺だからこそこの高校生活だけでも
青春(笑)充実(笑)しておきたい、っていうものがあって中学時代(ry
しかし、とは言っても問題があるのだ。
その問題とは何か。
それは一番重要であろう、何の部活をやるかである。
部活部活言っても、たくさんの種類がある。
極端に分けて運動部、文化部、といったとこだろう。
正直体を動かすのがとても嫌だ。
だるい、汗をかきたくない、働きたくない、社会に出たくないでござる。
とまぁずば抜けて何かできる、何か熱中できる、
ってものが運動部にはないので却下、死亡、チュドーン。
さて、このまま消去法で行くとなると文化部になるのだが、文化部ってなんですか。
真っ先に思い浮かぶものといえば、文芸部だとか美術部だとか、
これまた集中力のいる陰気臭さそうなものばかりである。
しかも俺に似合うか、って言ったら絶対と言っていいほど似合わないだろうな。
あぁ、しかし改めて思うが俺ってつまらない人間なんだな。
15年生きてきて経験値ゼロとかどこの無理ゲーだよ、不平等でござる。
もういっそ「俺たちには帰る家がある(キリッ」部でも入ろうか。
はぁ……。
こうしてニートが出来上がっていくんだな、何もしたくない、無気力人間、廃人……。
おいおい、部活に入らないぐらいでニート呼ばわりするんじゃないよまったく。
なんだろうな……。
部活動なんて入らないで普通に生きようかな。
いや、それも俺の道なんだ。
なんて思えば苦でもあるまい、悟りを開き自らのぼっち道を切り拓くのもまた良しだ。
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