勇者「魔王も倒したし、会社を作ろうと思う。」 (45)

僧侶「会社?」

勇者「そうだ!お前は秘書な!」

戦士「ちょっ!ちょっと待て!勇者、お前はこれからも勇者としての仕事がたんまりあるんだぞ?第一、王様が許すわけなかろう!」

勇者「そんなの知らん!もう役目は果たしたんだ!いい加減好きなことやらせろ!」

戦士「し、しかしだな!おい魔法使い!お前も何か言ってやれ!」

魔法使い「ん~~?い~んじゃな~い?」

戦士「なっ!?」

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勇者「よく言った魔法使い!お前は、会計部長にしてやろう!」

魔法使い「やった~。」

戦士「だから待てって!」

勇者「なんだ?さっきからうるさいぞ営業係長補佐。」

戦士「何で俺も入ってんだ!しかもそれ平社員だろ!」

勇者「夢は王国連合一部上場だ!付いてこい!皆の者!」

僧侶「は~い♡」

魔法使い「あ~い。」

戦士「もう知らんぞ・・・。」

その後、勇者一行は王国に戻り国王に報告。

国王と戦士の必死の説得も虚しく遂に勇者は会社を起こすことになった。

勇者の家(木造平屋建)


勇者「さて・・・。」

僧侶「良かったですね、勇者様。国王様が会社設立を許してくださって。」

戦士「許したんじゃない、諦められたんだ。くそぅ・・・俺の出世が・・・。」シクシク

魔法使い「ま~ま~。勇者の会社で出世したらい~じゃん~。」ヘラヘラ

戦士「うるさい!」シクシク

勇者「よし!とりあえず会社名を決めよう!ちなみに株式会社な。」

僧侶「う~ん・・・。」

魔法使い「いざ決めるとなると~・・・。」

勇者「難しいな・・・。」

戦士「・・・・こういう時はまず会社理念から決めるのだ・・・。」

勇者「おっ!乗り気になってきたか!」

戦士「うるさいっ!こうなったら大会社にしてたんまり儲けさせて貰う!」

魔法使い「理念ねぇ~。」

僧侶「会社を通して私達が何をしたいか、ですかね。」

戦士「決めろ、勇者。お前が社長だろ?ただこれは一度決めたら付け足すことは出来ても無くす事は許さん。」

勇者「そういうものか。」

戦士「それが社長の責任だ。ぶれると社員が困る。」

勇者「そうだな・・・ふ~む。」

戦士「大事なことだ。じっくり考えるといい。それまで俺達は街に戻っている。」

僧侶「えっ?私は・・・。」

魔法使い「い~からい~から~行くよ~僧侶ちゃん。」

戦士「まとまったら呼べ。じゃあな。」スタスタ

勇者「お、おう。」

勇者「う~ん・・・理念かぁ~・・・。」

道中


僧侶「どうして帰っちゃうんですか?一緒に考えてあげましょうよ!」

魔法使い「・・・・・。」

戦士「僧侶、気持ちは分かる。しかし、会社というものはこうでなくてはならんのだ。」

僧侶「わかんないです・・・。」

戦士「奴を今助ける事は簡単だ。しかし商売の世界は甘くない。我々がいつまでも助ければ奴は成長せんのだ。」

戦士「魔王討伐とはまた違う、過酷で恐ろしい道なのだ。社長であるならば、強くなってもらわねば。」

僧侶「・・・・・・。」

魔法使い「僧侶ちゃ~ん、私達もやる事いっぱいあるよ~?」

僧侶「え?」

魔法使い「まず市場調査だよ~。今のトレンドとか~、人々の思考とか~、あと経済も三年は遡って調べないとね~。」

僧侶「? ? ?」

魔法使い「魔王が倒れたし景気はこれからどんどん良くなるから~国の政策にも精通してないと~。」

戦士「そういうことだ。これから俺達はその情報を集めに行く。それぞれ得意分野があると思うから各々で調べてくれ。」

僧侶「わかりました。じゃあ勇者様の為にどんな会社があったらいいか街の人に聞いてみます!」

魔法使い「じゃあ私は~、魔法薬の需要と~、世界の流通について調べてみるよ~。」

戦士「俺は会社設立に必要な手続きや、書類を準備する。では始めよう。」

魔法使い「りょ~か~い。」

僧侶「行ってきます!」

勇者の家


勇者「ふ~む。難しいな。利益を出すのは勿論だけど・・・」

勇者「俺が世界に出来ること・・・。」

勇者「勇者である俺が出来る事、したい事・・・・。」

勇者「ん?勇者?」

勇者「これだ!!」

夕方  勇者の家

ガチャ

僧侶「勇者様ぁ~!只今帰りましたぁ~!」ガシィ!

勇者「どわぁ!抱きつくな!秘書!」

魔法使い「色々調べて来たよ~。」

戦士「それで?出来たのか?理念は。」

勇者「ああ!バッチリだ!」

勇者「俺達の会社は人々に愛と勇気と強さを与える会社だ!そしてその想いは、人から人に伝わり、やがて世界に広がる!」

僧侶「愛と、勇気と、強さ・・・・・。」

魔法使い「それって~・・・。」

戦士「・・・・・勇者か。」

勇者「そう!我社、株式会社ブレイブメーカーは関わる人々を勇者にする!勇者創造企業だ!!」

僧侶「・・・・・。」

魔法使い「・・・・・。」

戦士「・・・・・。」

勇者「・・・・・だ、ダメか?」

僧侶「す・・・。」

勇者「す?」

僧侶「すばらs」
戦士「素晴らしい!」

魔法使い「い~んじゃな~い?本物がするんだから説得力あるし~、何よりわかりやすいし~。」

僧侶「そ、そうでs」
戦士「うむ!会社名はちと直球だが、理念はわかりやすく、そして簡潔にした方が良いのだ!」

勇者「そ、そうかな。あはは。」

僧侶「・・・・・・。」

勇者「ん?どうした僧侶。」

僧侶「」ギロッ!

戦士「な、何だ!?」

僧侶「勇者様!!」

勇者「は、はい!」

僧侶「私、勇者様と会社のために頑張ります!!」

勇者「お、おお。よろしく・・・。」

魔法使い「あはは~~。」

僧侶「むっふー!」

戦士「ともかく、社名と理念は決まった。次は業種だが・・・。」

魔法使い「え~とね~、とりあえず資本金は魔王討伐の報奨金100,000ゴールド(以下G)だね~。」

僧侶「そんなに沢山!?」

戦士「ところがそうでもない。会社設立するとまず登記や手続きに25000Gがかかる。」

勇者「そんなにかかるのか。」

戦士「そして毎月社員の人件費、水道光熱費、社会保険料の固定費。物を売るならその仕入れ費用、在庫を置く倉庫も必要になる。」

僧侶「わ、私はお給料はいりません。勇者様の傍に居れるだけで・・・。」

戦士「僧侶、さっきも言ったろう?それでは駄目なのだ。今は良いかもしれんが、社員が増えたときに胸を張れないのは勇者になるのだぞ?」

魔法使い「そ~だね~。私も働く以上はも貰いたいし~。」

勇者「心配するな、僧侶。必ず成功させてみせるから給料は受け取ってくれ。」

僧侶「勇者様がそうおっしゃるなら・・・。」

戦士「まあ、とりあえずの運転資金は75,000Gということになる。その中から出来ることを探っていこう。」

魔法使い「それでね~。今世界は魔物が減って各地に旅行するのがブームみたい~。特に人気なのが海の国への旅行だよ~。」

僧侶「あそこは常夏だし、前行った時も良い所でしたね。」

勇者「よし!じゃあ、とりあえずは旅行代理店を開こう!社員はここにいる4人だ!」

戦士「それでは俺は役所に届けを出してくる。丁度良い季節だからひょっとするかもな。」

勇者「では、株式会社ブレイブメーカー、出航だ!!」

3人「おー!!」

支出 登記代 25000G 

残り 75,000G

仕事Ⅰ 旅行代理店


次の日 勇者の家 兼 事務所


戦士「登記は終わったぞ。」

勇者「よし。そしたら昨日話したとおり、戦士は広告と営業、魔法使いはプランの組立、僧侶は俺と現地調査だ。」

魔法使い「りょ~か~い。」

戦士「あくまで調査だからな。遊びじゃないぞ。」

勇者「わかってるって!戦士も頼むぞ!」

戦士「はぁ、王国一の剣士も落ちぶれたものだ・・・。」ガックリ

魔法使い「にゃはは~。まあまあ~やってみれば楽しいって~。」

戦士「うう、父上の墓前になんと報告してよいものか・・・。僧侶!勇者をしっかり見張っとくんだぞ!」

僧侶「勇者様と旅行・・・・えへ・・・えへへへへへへへへ。」デレーッ

魔法使い「こりゃ~こっちの方が問題かもね~。」

海の国 リゾー島


僧侶「わぁぁぁ!」

勇者「ここが世界一の観光地、リゾー島か。」

僧侶「人がいっぱいいますね~。皆さん主に船で来られているようです。中には3日かけて来る人もいらっしゃるようです。」

勇者「ふ~ん。おっ見ろ僧侶!」

僧侶「何ですか!?美味しい店でも見つけました?」

若いギャル達「キャイキャイ♫」

勇者「あの体つき・・・。まさしくボンキュッボン!!」

僧侶「・・・・・・勇者様・・・・・。」

勇者「ん?」

僧侶「短い間でしたがお世話になりました。今日付で退職させて頂きます。」

勇者「へ?」

僧侶「今日の給与は時給換算で振り込みをお願いします。では失礼します。」スタスタ

勇者「お・・・おい・・・・。」


社員 残り3名

夕方 事務所


戦士「馬鹿か?」

勇者「すいません。軽いジョークのつもりだったんだけど・・・。」

魔法使い「さっき郵送で辞表が来たよ~。内容も問題無しだし~受理しますか~?」

戦士「はぁ。とりあえず保留だ。勇者よ、社長の言動にはいつも責任が付いて回る。言った言わないが取り返しがつかなくなる事もあるんだぞ?」

勇者「反省してます。」

戦士「とりあえず僧侶に謝ってきてくれ。次に進めん。」

勇者「次?」

魔法使い「戦士ってばもうお客さん捕まえてきたんだよ~。今月下旬から1週間のプランで~。」

勇者「なにぃ!!」

戦士「ふん。ちょろいものだ。ぼやっとしていると社長を下ろすぞ。」

勇者「すげえなお前。」

戦士「いいから僧侶の所に行け!」

勇者「お、おう!」

戦士「まったく・・・。」


その後、勇者は僧侶に土下座し、何とか事なきを経た。


社員 4名  

出張費 3000G
広告費 1500G
事務経費 500G

残り 70000G

月下旬 事務所 早朝

勇者「いよいよ今日だな。」

僧侶「わわわ。緊張します。」

戦士「最初の客だ。失礼の無いようにな。」

魔法使い「あ~来たよ~。」

家族「ワイワイ♫」

勇者「ようこそお越し下さいました。社長の勇者です。」

父親「これはこれは、本当に勇者様が会社をされているとは、正直ここに来るまで半信半疑でしたよ。」

母親「ええ。こんな町外れまで来たかいがありましたわ。」

子供1「疲れた~。」

子供2「虫に刺された~。」

父親「これ、お前達!すいません。勇者様の前だというのに。」

勇者「気になされないで下さい。では一度事務所の方に。」

父親「事務所・・・・?」

勇者「ああ。こちらです。」ギィ

父親「これはまた・・・風情ある建物ですな。」

勇者「ありがとうございます。ではどうぞ。」

魔法使い「いらっしゃいませ~。まずはこちらの書類に記入をお願いしま~す。」

魔法使い「身元保証書と健康調査表を各名様分、それと~有事の保険登録にリゾー島の入国書類をお書き下さ~い。」

父親「これは・・・・・随分多いですな。」

勇者「すみません。皆様の安全も兼ねておりますので。」

父親「そんなそんな!直ぐに書きますね。」サラサラ

30分後

魔法使い「これで手続き完了で~す。」

父親「ふぅ。」

勇者「ご苦労様です。では良い旅行を。」

父親「え?」

勇者「テレポート!」

パシュン!

リゾー島


パシュン!


父親「わぁっ!」

母親「きゃぁ!」

子供1・2「着いたー。」

???「よ、ようこそー/////。」

父親「ん?」

僧侶「ようこそ常夏の島リゾー島へー//////。皆さんを自由の世界に誘いましょー//////。」(棒読み)

戦士「旅行中は俺が皆の安全を守る。宜しく頼む。」

僧侶「私はー皆さんのガイドをするー、僧侶でーす。」(棒読み)

父親「は、はぁ・・・。」

勇者「それでは良い旅を!」パシュン!

事務所 

パシュン!

魔法使い「あ~、おかえりなさ~い。どうだった~?」

勇者「上出来だ。驚いていたよ。」

魔法使い「そ~ですか~。良かったねぇ~。」

勇者「後はあの二人が上手くやってくれるだろう。」

月末


パシュン!

勇者「お帰りなさいませ。」

父親「・・・・・・。」

母親「・・・・・・。」

子供1・2「もう着いちゃったー。」

僧侶「お疲れ様でしたー」(棒読み)

戦士「良き旅であった。」

父親「代金は?」

勇者「えっ?・・・皆さんで12000Gになります・・・。」

父親「取るもんはしっかり取られるんですね。」

勇者「えっ?」

父親「何でもありません。帰ります。」

勇者「あっ。今お茶を・・・。」

父親「要りません。」

勇者「あ、あの・・・何かお気に触りましたでしょうか?」

父親「・・・・・・。」

母親「あなた達ね・・・。」

父親「おいっ!」

母親「いいじゃないの。私たちは客よ?」

勇者「何か、ありましたか?」

母親「ありましたか?じゃないですよ!あなた達本当に商売する気あるんですか!?」

勇者「え?」

母親「まずこんなボロっちい民家まで来させていきなり旅行気分は台無し。そこから移動呪文で移動時の楽しみは台無し。」

勇者「あ・・・・。」

母親「旅行は着くまでに色んな想像をするのが楽しいのでしょう!?着いたら着いたで緊張してダンマリのガイドと荷物も持たないそこの戦士さん。」

僧侶「えっ・・・あっ・・・。」

戦士「む・・・ぅ・・・。」

母親「そんな人達に一日中付きまとわれてバカンスに来ているのに癒されやしない!」

母親「挙句に帰ってきたら良い旅だった?ふざけんじゃないわよ!」

勇者「・・・・・申し訳・・・・・ありません・・・・。」

母親「勇者様、そのお金は夫が2年かけて貯めたお金です。休みもせずに、時には病気になりながら家族の為に必死になって稼いだお金です。」

勇者「・・・・・・・・・・・・。」

母親「我々庶民には大金なんです!勇者様の会社だというから信用したのに、がっかりでした!!」

勇者「お金は・・・・・お返し致します。」

父親「それは出来ません。私達も客として堂々としていたいのです。」

勇者「しかし!!」

父親「失礼します。」スタスタ

勇者「あ・・・・・。」

ガシャン チャリン チャリン

収入 12000G
旅行原価 10000G

残り 72000G

その夜 事務所


僧侶「・・・・・・。」

戦士「・・・・・・。」

勇者「・・・・・・。」

魔法使い「お茶が入ったよ~。」

勇者「ああ・・・・ありがとう・・・。」

魔法使い「も~。暗いよ~みんな~。」

僧侶「だって、初仕事なのに・・・こんな・・・。」

魔法使い「初仕事だからでしょ~。うまくいくわけないじゃ~ん。」

戦士「なに?」

魔法使い「今後の課題が沢山出たしさ~、そっちに目を向けようよ~。なかなかあそこまで言ってくれるお客さんいないと思うよ~?」

勇者「そう、だな・・・。その通りだ!俺達は走り出したばかりじゃないか!もっと前を向こう!」

僧侶「勇者様・・・。」

戦士「しかし、課題が多すぎてとても手をつけれんな。俺たちには経験もスキルも無さすぎる。」

勇者「そうだな。う~ん・・・よし!!」

僧侶「勇者様?」

勇者「みんなで修行だ!!」

戦士「は?」

王国内 高級ホテル『リッツ・ホールトン』


支配人「いいですか?お客様の要望はもちろん、その一歩先のサービスを目指すのです!」

勇者「はい!」

僧侶「はい!」

魔法使い「は~い。」

戦士「・・・はい。」

支配人「お客様と接する時は笑顔!いいですね!」

勇者「はい!」ニコッ

僧侶「はい!」ニコッ

魔法使い「は~い。」ニヤ~

戦士「・・・はい。」ヒクッ

支配人「まだまだぎこちないですね・・・。とりあえずサービスアシスタントから始めましょう。」

僧侶「サービスアシスタント?」

戦士「見習いの事だ。」

支配人「見習いといっても学ぶことはたくさんあります。精進してください。」

僧侶「は、はい!」

支配人「では、それぞれ持ち場に解散!」

勇者「頑張ります!」

正面玄関

男ホテルマン「もうじきお客様が到着されます。私の動きを良く見ていて下さい。」

戦士「・・・わかった。」

男ホテルマン「大事なのはお客様が何を望んでいるかを敏感に察知することです。あっ、来られましたね。」

キキーッ

男ホテルマン「」スッ ガチャッ

戦士(即座にドアの前に・・・無駄のない、美しい動きだ。)

紳士「やぁ、出迎えありがとう!久しぶりだけど、相変わらず対応がいいね!」

戦士(常連なのか・・・。)

男ホテルマン「これは紳士様、10年ぶりにおいで頂き誠にありがとうございます。」スッ

戦士(なっ!?10年ぶりだと・・・?この男そんな前の客の顔を覚えていたというのか?)

紳士「いやいや、今日を楽しみにしていたんだ。宜しく頼むよ。」

男ホテルマン「はい。心より奉仕させて頂きます。あれ?」

紳士「?」

男ホテルマン「・・・いえ。こちらにどうぞ。温かいコーヒーをお召し上がり下さい。」

紳士「おぉ!ここのコーヒーは美味かった。今でも覚えているよ。」

男ホテルマン「恐れ入ります。どうぞ。」

紳士「ああ。ありがとう。」スタスタ

男ホテルマン「戦士さん。こちらのコートをサービス室へ。」

戦士「え?」

男ホテルマン「肩口の所がほつれています。治しましょう。」

戦士(こんな糸が少し出ているだけで・・・。)

男ホテルマン「不思議ですか?」

戦士「あ・・・はい。コートを治すと言えば、評価も貰えるのでは?」

男ホテルマン「ふふ。私たちは評価が欲しいのでは無いのです。欲しいのは・・・わかりますね?」

戦士「お客様の満足・・・。」

男ホテルマン「その通りです。そしてそれが『リッツ・ホールトン』なのです。」

戦士「・・・・・何という・・・!」

受付


受付嬢「では魔法使いさん、一緒に頑張りましょう!」

魔法使い「は~い。よろしくね~。」

受付嬢「ふふ。面白い人。でもお客様にはその可愛い話し方は控えましょうね。」ニコッ

魔法使い「う~ん・・・出来るかな~。」

受付嬢「大丈夫ですよ!頑張りましょう!」

魔法使い「は~い。じゃなくて、はい。」

受付嬢「うふふ。」

レストラン


支配人「では、僧侶さん。あのお客様のお皿を下げて来て下さい。」

僧侶「は、はい!」

支配人「緊張しすぎです。もっと力を抜いて。」

僧侶「は、はい。」

支配人「そうです。親しい友人、家族や恋人に接するようなリラックスが必要です。」

僧侶「はい。」

支配人「貴方はとても優しい方に見えます。きっと良いサービスが出来ると思いますよ。」

僧侶「あ・・・ありがとう・・・ございます。」

支配人「さぁ、行って下さい。まずは慣れることです。」

僧侶「はい!」

支配人「ふふふ。」

客室

ベッドメーカー「あの、勇者様。ここにしわが・・・。」

勇者「え?・・・ほんとだ・・・。」

ベッドメーカー「えっと、ベッドメイクには力は要りません。少しのコツと、後は観察力です。」

勇者「観察力・・・。」

ベッドメーカー「はい。お客様の視点になって、汚れや歪みがないか、じっくり観察です。」

勇者「なるほど、お客様の視点になって・・・。」メモメモ

ベッドメーカー「では、次の部屋に・・・あっ。」

勇者「へ?」

ベッドメーカー「もしもし?505号室ですがカーペットに染みがあります。至急替えを手配して下さい。」

勇者(この小さな染みを見つけたのか。)

ベッドメーカー「それと、こちらのお客様は小さい頃海の国に住まれていたようですので部屋の飾りも貝殻などの海のものに少し変えましょう。」

勇者「! そんなことまで!」

ベッドメーカー「えっと・・・それが『リッツ・ホールトン』なんです。」ニコッ

その後、勇者達はみっちり1ヶ月修行に励んだ。

固定費もろもろ 30000G

ホテル賃金 29000G

残り71000G

今日は以上です。

ありがとうございました。

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