唯「え…ギー太…?」 (180)
『唯の家・唯の部屋』
チュンチュン……
唯「……すー……すー……うぅ~ん……ギー太ぁ~……」サスサス
ムニムニ
唯「……?柔らかい?」ムクリ
?「すかー……」
唯「……し、知らない人が隣で寝てる……!?」
唯「あ、あの、どちら様ですか~……?」ユサユサ
?「……ん~、ん、今日の唯は随分と寝ぼけてるな……。
どちら様って、俺はギー太に決まってるじゃ……ん?んん?」ガバッ
唯「…………」
ギ「…………」
唯ギ「……え?」
みたいなね
唯「ほ、本当に、ギー太なの?」
ギ「そのはずなんだが……ど、どうして俺、人間になってるんだ……?」
唯「私が知りたいよぉ……」
ギ「……と、とりあえず、ベッドから起きてから考え……と、ととっ!?」ズルッ
唯「ひゃあっ!?」バタン
ギ「ぐ……う、うまく身体を動かせない……って、う、うわぁっ!?ごめん!///」ガバァッ
唯「う、うん……///だ、大丈夫……///」ドキドキ
ガチャッ
憂「朝だよ、お姉ちゃ────」
唯ギ「あ」
憂「」
ギー太俺「いやー俺もびっくりしちゃったよ?」
唯「ギー太が喋った!?」
ギー太俺「ほらしっかりとギターはついてるからね?」ボロン
唯「おっきぃ///」
俺「しゃぶれよ」
憂「お、お姉ちゃん押し倒して何しようとしてたんですかこの強姦魔ーっ!」グギギギギギ
ギ「痛たたたたた!!」
憂「というか、何でお姉ちゃんの服着てるんですかこのドスケベクソ野郎ーっ!」バキバキバキ
ギ「い、いや、これは昨夜に唯が着せたやつでだな、俺だって不本意だこんな格好!
と、とにかく誤解なんだ!落ち着いてくれ憂ちゃん!」
憂「な、なんで私の名前まで知ってるんですかこの極悪腐れ外道ーっ!」ベキョベキョベキョ
ギ「ぎゃーっ!!」
唯「憂、落ち着いて!ギー太なんだよ、その人!」
憂「な、何言ってるのお姉ちゃん!?ギー太はギターでしょ!?」
唯「そ、そうなんだけど、朝起きたらギー太が人間になってて……」
憂「え……ど、どういう事?」
ギ「ぐぅ……とりあえず、俺を解放してくれませんか……」ピクピク
俺「俺のギターさっさとしゃぶって音色奏でろやゴラァ!」ギィン
唯「ひんっ!」
俺「何がひんっ!だゴラァ!?さっさとしゃぶらんかいワレ」ズボッ
唯「んぐっ!?」
俺「あー俺のギター唯たんの口まんこで音出るよー」ドピュッ
俺「音じゃなくて精子でちゃったw」
>>8
>俺「しゃぶれよ」はただのスレチだから気にするな
>>10
スレチでもなんでもねえよ
ギー太俺って書いてあるだろ
続きはよ
唯「ギー太、なんで正座してるの?」
ギ「ふ、雰囲気的に……」ビクビク
憂「……ギターケースが空っぽだ。まさか本当に、この人がギー太なの、お姉ちゃん?」
唯「た、たぶん……」
ギ「俺達もまだ状況を理解してなくて、何が何だか……」
憂「……とりあえず、お父さんの服を貸しますので、まずは着替えてください。
何だか、凄まじく不快です」
ギ「あ、は、はい。むしろありがたいです」
唯「えぇ~、似合ってるのに」
憂ギ「どこが!?」キッ
唯「うぅにゅ……」ショボーン
憂「……わかりました。お姉ちゃんがあなたをギー太だと言うのなら、一応信じておきます。
だからといって、またお姉ちゃんに手出そうとしたら許しませんからね!」ギロッ バタン
ギ「は、はい」
唯「それにしても、何でギー太が人間になっちゃったんだろうね?」
ギ「うーん……思い当たる節がない……」
唯「とりあえず、私学校行かなくちゃだから、これからの事は歩きながらでも考えよっか」
ギ「……そう、だな。じゃあ、えっと、俺、外出て待ってるから」
唯「ふぇ?なんで?」
ギ「え、いや、なんでって……だ、だって……///」
唯「……あ、そ、そうだね、着替えなくちゃ、私///
す、すぐ着替えるから待っててね、ギー太」
ギ「お、お気遣いなく」ガチャ バタン
唯「う、うぅ、ギー太と話してると思うと、なんだかドキドキしちゃうな///」
>唯「うぅにゅ……」
唯可愛い
『通学路』
ギ「ギターケースは持ってこなくてもよかったんじゃないか?」
唯「今まで担いで登校するのが当たり前だったから、無いと何だか落ち着かなくて……」モグモグ
ギ「そうか……って、何食べてんの」
唯「食パンっ!」フンスッ
ギ「……唯、俺は君に担がれてたギターの頃から常々思っていたが、
歩きながら食べるのは行儀が良くないぞ」
唯「でもでも、お家で食べてたらギー太待たせちゃうし……」モグモグ
ギ「む……そうだな、今日は俺のせいだし、仕方ないか。
じゃあ、今度から気をつけるんだぞ?」
唯「うんっ」モグモグ
はい
ギ(……今までは俺が一方的に思ったりしてた事を、人間になったことで、
唯に伝えることが出来た……)
ギ(人間になってしまったのは驚いたけど、
唯と会話が出来るようになった点は嬉しいな……な、なんて///)
唯「ギー太?」モグモグ ゴクン
ギ「あ、ご、ごめん。
……って、唯。ほっぺに食べカス付いてる」
唯「ほぇ?」
唯「俺くん!」
俺「んちゅうう!!」
ブッチュウ
唯「んぅ!?」
俺「れろれろれろれ~」
唯「んっ…ん…れろ」
俺「ちゅうっちゅうちゅっぱ」
唯「んっちゅ、はぁれろ…」
俺「れろちゅっちゅ」
唯「ふぁあぁ…」
『通学路・唯の少し後ろ付近』
タッタッタ
紬「りっちゃん、澪ちゃん、おはよう」
律「うぃーす」
澪「おっす、ムギ」
律「……お、前に見えるの唯じゃないか?」
澪「え?あ、本当だ。唯、と──、だ、誰だ、あの男の人は?」
紬「男の人……?」ピクッ
唯「え?どこ、どこ?」ペタペタ
ギ「あーはいはい、取ってあげるから、じっとしてて」
唯「え、だ、大丈夫だよぉ」
澪「お、おい、なんか、唯嫌がってないか……!?」
律「まさか、あの男に襲われてるんじゃ……!」
ムギがwww反応しているwww
ギ「唯、じっとしててくれ」
唯「い、いいよぉ、自分で取れるから(ギ、ギー太の顔が近いよぉ///)」
ダダダダダッ!
律「どおぉぉおりゃあぁぁぁっ!!」ドゴーン!
唯「ひゃっ!?」
男「おごぅっ!?」ズテーン
律「よぅし、確保ぉっ!観念しろ、この強姦魔めーっ!」グギギギギギ
男「痛だだだだだっ!?」ボキュボキュボキュ
唯「りっちゃん!?」
澪「唯、だ、大丈夫か!?」
唯「澪ちゃん!?」
律「ムギ、警察に通報だ!」
紬「はいっ!」
ギ「ち、ちょっと待、ぁぁあだだだだだだ!!た、助けてー!」ベキベキベキ
唯「ち、違うんだよ、皆!その人、ギー太なんだよ!」
律澪紬「……え?」
ギ「……ぐぅっ……そんなに俺は人を襲いそうな人相してるのか……」ギギギ
律「あー、えっと、さっきはいきなりひどい事してごめんな、ギー太」
ギ「あぁ、いやいや、、いいよいいよ。
どうせ、疑われるような俺が悪いんだ、うん……」ズーン
律(予想以上にショックを受けてる……)
澪(えらい僻み様だ……)
唯「ギ、ギー太は悪くないよっ。元はと言えば、私が行儀がお行儀悪かったのが
いけないんだから。
だから元気出して!ね?」
ギ「……うん。慰めてくれてありがとう、唯」
唯「う、うん……///」
律(何このバカップルオーラ)
澪(見てるこっちが恥ずかしい……///)
紬(恥じらう唯ちゃん、新鮮で可愛いわ……)ハァハァ
擬人化ギー太は、「うみねこのなく頃に」のさくたろうで脳内再生
律「で、なんでギー太が人間になっちまったんだ?」
唯「さぁ?」
ギ「朝、起きた時にはもう人間になってたもので……」
紬「昨日、何か変わった事があったり、とか?」
唯「んーと……部活終わって、皆と別れて、お家帰って、ゴロゴロして、憂の作ったご飯食べて、アイス食べて、歯磨きして、ゴロゴロして、ギー太弾いて、お風呂入って、ギー太に服着せて、お布団入って……」
律(変わった事何も無い上に、唯の駄目生活っぷりまで知らされるとは……)
唯「……あ、そういえば、ゴロゴロしてた時にテレビで週間占いやっててね、私の運勢一位だったよ!」フンスッ
律「うわーどーでもいー」
唯「でねでね、『最高にツイてる一週間!一週間の間、願い事が一つ叶うかも!』って言われたんだ~!」
律「へー……」
澪「…………」
紬「…………」
ギ「…………」
律澪紬ギ「……それだぁーっ!!」
唯「ふぇ?」
律「つまり、占いで願いが叶うと言われた唯は、無意識に心の片隅にあった『ギー太が人間になったらいいな』という願いを叶えてしまった、と……」
澪「『願いが叶う』と言われたからって、色々と飛躍し過ぎだろう……」
ギ「すいません……何せ、極端な子ですから……」
唯「むー、何さ!皆してそんな顔して!」プンプン
紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ。でも良かったじゃない、唯ちゃんのお願い事が叶って」
唯「うん!ギー太も、嬉しい?」
ギ「え?ま、まぁ、こうして唯と喋れるようになったのは、その、う、嬉しい、かな……?」
唯「えへへ~。私のギー太の愛の力が、この結果をもたらしたんだよ、りっちゃん!」フンスッ
ギ「…………///」
唯「……じ、自分で言って恥ずかしくなってきちゃった……///」プシュー
律(やはりバカップルか……)
澪(み、見ていられない……///)
紬(照れてる唯ちゃん、マジ可愛い……)ハァハァ
律「で、ギー太が人間になっちまったのはとにかく、どうすんだよ、これから?」
ギ「えーと、それを通学中にでも考えようかと思ってたところで……」
澪「というか、今のギー太じゃ校内に入れなくないか?」
ギ「だよなぁ……」
唯「じゃあ、生徒の格好に変装すればいいんじゃないかなぁ?」
ギ「変装のための衣装が無いし、そもそも女子校だし、バレたらそれこそ変質者じゃないか……」
紬「……今は良い案も浮かばないし、今後の事は放課後に考えたほうがいいんじゃないかしら?」
ギ「そうだな……」
唯「じゃあ、放課後まで音楽室にいればいいんじゃない?」
ギ「えっ」
澪「いや、確かに、音楽室は授業で使う事は無いだろうけど……」
律「ま、念のため立入禁止の張り紙でも貼って鍵もかけときゃいんじゃね?」
ギ「え?え?決まりなのか?」
紬「いいんじゃないかしら?今の時間なら生徒も少ないし、忍び込みやすいかも」
ギ「いやちょっと待て、皆はそれでいいのか?」
唯「じゃ、決定~!ほら、ギー太行こ!」ギュッ
ギ「うわっとと!?べ、別に走らなくてもいいだろう!?」タタタ……
律「唯の奴、随分嬉しそうな顔で……」
澪「まぁ、曲がりなりにも願いが叶ったわけだしな……」
紬(……ギー太を駆使すれば、普段見れない唯ちゃんが見れる……?)
百合は好きだけどノーマルも好きな俺は普通に楽しめる。
『学校・音楽室』
唯「りっちゃん隊長、こちら平沢唯二等兵!ただ今、ギー太を連れて音楽室に侵入することに成功しました!」
律「うむ!こちらも立ち入り禁止の張紙作成が完了した!今から取り付けの作業に向かう!」
紬「あ、えっとえっと、私も任務に同行しま~す」
澪「普通に作業出来んのか、お前ら……」
ギ「……なぁ、やっぱりまずいんじゃないか?誰かにでも見つかったら……」
唯「大丈夫だよぉ、ギー太。ムギちゃんが持ってきたお菓子やティーパックもあるし、日当たりも良いからお昼寝には最適だよ!」
ギ「そんな心配は微塵もしてないんだが……」
久々に乗っ取ってくれてありがたい
律「大丈夫だって。今日は授業で音楽室は使わないし」
紬「カーテンかけて内側から鍵を掛ければ、きっと大丈夫よ」
ギ「……まぁ、君達が決めたことは曲げない性格なのは知ってたけどさ……」ハァ
唯「それじゃ、もうチャイム鳴っちゃうから行くね、ギー太」
ギ「……ん。授業頑張れな」
唯「うんっ!」
律「また放課後来るからなー」
ガチャ バタン
ギ「……しかし、不安だ……」
『学校・音楽室』
ギ「……暇だ」
ギ(ギターの頃は曖昧とした記憶だったから、時間の経過も早かったしな……)
ギ「……それにしても、音楽室って広かったんだな」
ギ「……ちょっと、音楽室内でも見て回るか」
ギ「このソファに、いつもよっ掛けられてたんだよな、俺」
ギ「相変わらず高そうな食器だ……」
ギ「このスッポン……名前、トンちゃんだっけ」
ギ「たしか、ここが唯の席か……」
ギ「…………」ストン
ギ「……座って何がしたいんだ、俺は……///」
ギ「……寝て過ごすかな」
『学校・音楽室前』
梓「…………」スタスタ
梓「…………?」ピタッ
梓「……『関係者以外立入禁止』?」
梓「この字、律先輩?」
ガチャッ
梓「……?鍵かかってる……」
梓「まだ先輩達来てないのかな……」
梓「……職員室で鍵取ってこないと」
ガチャン ギィ……
梓「今日は私が一番乗りか」
梓「……ん?誰かいる……?」
ギ「すかー……」
梓「……!?ゆ、唯先輩の席で、知らない男の人が寝てる……!?」
梓「ど、どうしよう……だ、誰か呼んでこないと!」ダッ
コケッ
梓「あぅっ」ビターン
ギ「ん……ん~、唯か?」ムクリ
梓「いたた……」
ギ「……あれ、あずにゃんか?」
梓「ひっ!?」ビクッ
梓(な、なんで私のあだ名を……!?)
ギ「どうした、転んだのか?大丈夫?」スタスタ
梓「ひぃぃっ!?」ビクビクッ
梓(ち、近づいてくるよぅ!?ど、どうしようどうしよう!?)
ギ「ほら、起きれるか?」スッ
梓「い……い、嫌ぁぁぁぁっ!!」ポカッ
ギ「あたっ」
ギ「ひどいなぁ、いきなり殴りかかる、なん、て……ぇ……?」フラッ……
バターン!
梓「あ、あれ……?」
『学校・音楽室付近』
律「ったく、さわちゃんホームルーム長すぎだっての」
唯「ギー太待たせちゃってるね」
澪「梓も待ってるだろうな……」
唯律澪紬「……あれ?」
澪「……そういえば、誰か梓にギー太の事教えたか……?」
紬「う、ううん……」
律「やっべ……放課後に言えばいいと思って伝えてなかった……」
『い……い、嫌ぁぁぁぁっ!!』
唯「あ!あずにゃんの声だ!」
律「やべ、最悪の展開!?」
澪「騒ぎになる前に急ぐぞ!」ダッ
『学校・音楽室』
タタタッ バンッ
唯「ギー太!」
澪「梓、それにはわけが────?」
梓「あ……み、皆さん……」
ギ「…………」シーン
唯「ギー太っ!?」ダッ
梓「え、ギー太?」
唯「ギー太!ギー太!目を覚まして!」
ギ「う……唯、か……ごめん、俺、もう限界みたいだ……」
説明しよう!
朝から何やかんやで様々な肉体的ダメージを受けていたギー太は、
もはや梓の弱パンチ一発でも致命的ダメージを受けるほどボロボロだったのだ!
ギ「友達を、大事にするんだぞ、唯……最後に、唯の顔を見れて、よかっ、た……」ガクッ
唯「ギー太ぁぁぁぁっ!!」
~完~
今まで御愛読ありがとうございました!
名無し先生の次回作にご期待ください!
律「とまぁ、茶番はここまでにしといてだな」
唯「そうだね」
ギ「相当ダメージ負ってるのは本当なんだがな」
梓「この人がギー太って……ど、どういう事ですか?」
澪「えぇと、話すと長いんだが……」
────
梓「そ、そんな占いの結果なんかでギー太が人間になるわけが……!」
ギ「極端な子ですから……」
梓「あぁ、そうでしたね……」
唯「あずにゃんまでそんな顔して!ひどい!」
紬「でも、梓ちゃんは何で叫んでたの?」
梓「そ、そうでした!この人……ギー太、さん?があたしに近づいてきて、
襲われると思って……」
律「何ぃ!?ギー太、梓に手出そうとしたのか!?」
唯「ギー太、私よりあずにゃんの方がいいの……?」ウルッ
ギ「違う!誤解だ!俺は転んだあずにゃんを起こそうとして手を差し出しただけで……」
梓「あ、あずにゃんって呼ばないでくださいっ!///」
ギ「え、あ、ごめん。いつも唯がそう呼んでるもんだから、つい……」
唯「そうだよね、あずにゃんの方が私よりギター上手いし、ちっちゃくて可愛いし、
ギー太が惹かれるのもしょうがないよね……」ショボン……
ギ「だから誤解だって言ってるじゃないか!いつまで引きずってるんだよ!?」
律(これが俗に言う痴話喧嘩ってやつか……?)
澪(ギー太は振り回されるタイプだな……)
紬(嫉妬する唯ちゃん、べらんめぇ可愛い……)ハァハァ
ギ「いいかい、唯?
確かに唯はテスト明けは俺の弾き方忘れるし、メンテナンスもずぼらだし、
時々床に落っことされて痛い思いもしてきた。
だが俺は、唯以外の誰かに弾かれたいと思ったことはない。本当だ」
唯「ギ、ギー太……信じていいの?」
ギ「もちろん」
唯「ううぅ……ギー太ぁ~!」ギュッ
ギ「うわ!?ま、待て、抱き着いていいとは言ってないぞ!?///」
律(はいはいご馳走様)
澪(暑苦しい……///)
紬(涙目の唯ちゃんマジ天使)ハァハァ
梓(……抱き着かれるのは、いつも私の役目なのに……)
梓「でも、ギー太さんが人間になっちゃったら、バントはどうするんですか?」
律「まぁ、その辺りを話し合うために、皆ここに集まったわけで」
紬「私、考えたんだけど……」
澪「え?」
紬「唯ちゃんが願ったからギー太は人間になったのよね?
だったら、逆にギー太がギターに戻るように唯ちゃんが願ってみたらいいんじゃないかしら?」
ギ「そんな安直な……」
律「まぁ、やってみないよりはマシか」
唯「うん、じゃあやってみる。ん~、ギー太~、ギターに戻れ、ギターに戻れ……」
ピカッ
ギ「お?おぉ?」キュピーン
ボフーン
唯「出来たー!」
律澪紬梓「出来たー!?」ガビーン!
ボフーン
唯「戻ったー」
ギ「……まさか本当に出来てしまうとは……」
律「いくら何でも、物事には限度があるだろうに……」
ギ「ほら、極端な子だし……」
澪「何というご都合主義な言葉なんだ、極端な子ってのは」
紬「でも、これで問題は解決じゃない?ギー太が元に戻りたい時だけ唯ちゃんが願えばいいんだから」
ギ「朝悩んでた時間は何だったんだ……」
梓「じゃあ、そろそろ練習を────」
律「よぅし、ギー太の問題も解決したし、お茶にしようぜー!」
唯「いぇーい!」
ワイワイ
梓「…………」
ギ「……あずにゃ、梓ちゃんも大変だね」
梓(楽器に同情された……)
唯「そういえばギー太、ケーキ食べれる?」
ギ「あー……そもそも、食べるという概念がよくわからないんだが……」
律「元々楽器は飲み食いなんかしないしな」
紬「今は人間なんだし、きっと大丈夫よ。はい、ケーキとお茶」
ギ「あ、すまん。いただきます」
ググッ ポロッ
ギ「…………」
グググッ ポロッ ガシャーン!
ギ「ああっ!?」
澪「フォークがまったく扱えてない……」
律「……そりゃあ、元ギターだしな」
唯「しょうがないなぁ、ギー太は。じゃあ、私が食べさせてあげるよ!はい、あーん」
ギ「い、いや、大丈夫だから」
唯「いいからいいから。ほら、あーん」
ギ「う……あ、あーん……///」モグモグ
唯「美味しい?」
ギ「あ、あぁ」
ギ(正直、美味いって概念もまだよくわかってないけど、黙っておこう)
唯「じゃあ、次はギー太の番!」
ギ「え!?」
澪(おい、ギー太がフォーク使えないから唯が食べさせたんじゃないのか?)
律(面白そうだから黙っとこうぜ)
唯「ほら、早くー。あーん」
ギ「ぬぅ……ふん!」グサッ
澪(ケーキ刺した!?)
ギ「あ、あーん……!」プルプル
律(頑張ってる頑張ってる)
カプッ
唯「んー、美味しー」モグモグ
ギ「はぁ、はぁ……それは、よかった……」
澪(唯のために、ぎこちないながらもフォークを克服した……)
律(漢だな、ギー太)
紬(そろそろ我慢できない)
梓(……昨日までは、私が食べさせてもらってたりしてたのに……)
唯「んー、やっぱりムギちゃんの持ってくるケーキはおいしいね!ね、あずにゃん?」
梓「そうですねっ」モグモグ
ギ「…………あー、ほら、唯。梓ちゃんがこのケーキ食べたがってるから、次は梓ちゃんにしてあげて」
梓「!?」
唯「ふぇ?そうなの、あずにゃん?」
梓「な、何をいきなり……!ま、まぁ、唯先輩がどうしてもと言うなら食べますけど……」
唯「じゃあ、あーん」
梓「あーん……///」モグモグ
律(楽器のくせに気が利くな)
澪(憂ちゃんと和といい、唯の近くにいると気配りが上達するのかな……)
紬(ギー太△)
ガチャッ
さわ子「ケーキ、ケーキ♪」
唯「あ、さわちゃん先生」
ギ「っ!?」ガタッ
さ「今日のケーキは何かしら~……と?そちらの男の子はどちら様?」
律「ギー太です」
さ「」
さ「あ、えっと、ごめんなさい。よく聞こえなかったわ。澪ちゃん、この子誰?」
澪「ギー太です」
さ「」
唯「────てな事があって、ギー太が人間になったんです!」
さ「ふ~ん……不思議な事もあるのね……」
律「さわちゃん、ずいぶんあっさり信じるな……」
さ「あら、嘘なの?」
律「いや、事実だけど……」
ギ「…………」ガタガタ
さ(……それにしても、中々イケる顔だわ……)
ギ「…………」ガタガタ
さ「……ねぇ、ギー太、君?さっきからどうしてそんな遠くにいるの?」
ギ「……え、えっと……」
さ「しかも何で震えてるの?」スタスタ
ギ「ひっ!?」ズサササッ
さ「…………」スタスタ
ギ「…………」ズサササッ
さ「なんで逃げるのよー!?」ドタドタ
ぎ「うぉわーっ!?」ドタドタ
律「二人して机の周り走り回って何してんだ」
さ「私が何したって言うのよ!まったく、失礼しちゃうわね!」プンプン
ギ「す、すいません……前に、さわ子先生にされた事が軽くトラウマで……」ガタガタ
律「あぁ、そういえばさわちゃんに歯ギターとかされてたな、ギー太……」
さ「私だって好きでやったんじゃないわよ!」
ギ「す、少しずつ克服するつもりなんで、今はそっとさせてください……」ガタガタ
????????
澪「ふぅ、今日はこんなもんで終わりにするか」
唯「ギー太~、人間になれ~人間になれ~」
ボフーン
唯「ギー太、今日の私の演奏どうだった?」
ギ「んー、何かうまく指動いてなかった気がする」
唯「あれー?」
律「楽器本人から助言貰えるとか、貴重だよなー」
紬「的確なアドバイスが貰えるわけだし、これで唯ちゃんの腕前はもっと上達するわね」
唯「全部、ギー太が人間になったおかげだね!」
ギ「元はと言えば、唯が願ったからなんだけどな」
梓「それじゃ、帰りましょうか」
『帰り道』
唯「ギー太、重くない?」
ギ「平気だよ」
唯「ギターケースぐらい、私持つよぉ」
ギ「唯、いつも重いって愚痴ってたじゃないか。
せっかく人間になったんだ、自分の荷物ぐらい自分で持つよ」
律「ギー太って、楽器のくせに紳士だよな」
ギ「え?」
律「いやー、だって元が元がギターだったってのに、人並み以上に気が利くし」
ギ「いや、まぁ、ギターだったころから唯の危なっかしさにはハラハラさせられてたし」
澪「唯の危なっかしさは、ギターの気遣いの能力まで上げるのか……」
梓「ギターの介護本能までくすぐるレベルのダメ人間なんですか、唯先輩は」
唯「うわ~ん!皆がイジめるよ~!」
ギ「あーよしよし、ごめんごめん」ナデナデ
紬(くっ……ここにビデオカメラが無いのが悔やまれるわ……)
唯「じゃあ皆、また明日ねー」
律「うーぃ」
澪「じゃあな」
紬「ごきげんよう」
梓「さよーなら」
ギ「……唯、そっちは帰り道じゃないぞ?」
唯「コンビニ寄ってアイスでも買おうかな、なんて……」
ギ「……まったく。買うのはいいけど、食べるのはちゃんと晩ご飯の後にするんだぞ?」
唯「は~い。アイス、アイス~」トテテ
ギ「危ないから小走りするんじゃありません」
唯「ぶー。ギー太、口うるさい小姑みたい」
ギ「それほど危なっかしいんだよ、唯は」
『唯の家・玄関』
唯「ただいま~」
ギ「た、ただいま」
憂「おかえり、お姉ちゃん。
……それと、ギー太、さん」
ギ「は、はい……どうも」
唯「どうして敬語なの?」
ギ「いや、朝の件の流れで……なんか……」
『唯の家・リビング』
────
憂「……それじゃあ、ギー太さんはいつでも元に戻れるんだ?」
唯「うん。それで、せっかくだからギー太も人間のままで一緒に暮らしたいなって思うんだけど……」
憂「……お父さんとお母さんが帰ってきた時はギターに戻ってもらって、それ以外は人間のままでいいんじゃないかな?」
唯「やったー!」
ギ「え、いいの?いや、いいんですか?」
憂「お姉ちゃんが望んでるなら。もちろん、部屋は空き部屋使ってもらうつもりですよ?」
ギ「あ、は、はい、それはもちろん承知です」
憂「……それと、敬語使わなくていいですよ。
朝の件は、事故として受け止めますから」
ギ「あ、はい、うん……よろしく、憂ちゃん」
憂「あ、でも、今度お姉ちゃんに手出したりしたら命無いと思ってくださいね?^^」
ギ「わ、わかった」ガタガタ
憂「晩御飯もうすぐ出来るから、もうちょっと待っててね」
唯「うん」
ギ「唯、手に持ってるアイスしまってきなさい」
唯「え?や、やだな、食べないよぉ~」
ギ「そんな事言って、今にもふた開けようとしてる体勢じゃないか」
憂「今アイス食べたら晩御飯食べれなくなっちゃうよ?」
唯「う……わ、わかったよぉ、しまってくるって」トテテ
唯(憂が二人になった気分だなぁ……でも、考え様によってはギー太が二人になった気分でもある?ん?あれ?)
ギ「唯ー、早くしまわないとアイス溶けちゃうぞー」
憂「どうぞ、召し上がれ」
唯「いただきまーす」
ギ「すまない、俺の分まで」
憂「大丈夫です、ちゃんと三人分の具材で作ってましたから」
唯「おいひ~よ、憂」
憂「お姉ちゃん、ほっぺにご飯粒付いてる」フキフキ
唯「ふへぇ~」
ギ「……い、いただきます」ググッ
ポロッ
ギ「…………」
憂「……ギー太さん、箸が使いにくいんでしたら、スプーン用意しますよ?」
ギ「い、いや、お気遣いなく!箸ぐらい、何のこれしき……」ググッ
ポロッ
ギ「…………」
憂「……スプーン、持ってきますね?」
ギ「……お願いします」
唯「ギー太、箸はね、こう持つんだよ!」フンスッ
ギ「くっ……唯に作法を教わる日が来るとは……」
憂(何だか、お姉ちゃんが二人になったみたい……)
唯憂ギ「ごちそうさまでした」
唯「おいしかったよー、憂」
憂「うん。ギー太さんは、どうでした?」
ギ「ん……まだ味覚というものはよくわからないけど……
この満足感は、『美味しかった』って事なんだと思う」
憂「そうですか、よかったです」
ギ「……人間って、確か一日の終わりは風呂に入るんだよな?」
唯「ふぇ?」
ギ「……俺、入って大丈夫なんだろうか?水被ったりして、元に戻った時に錆びてたりしない?」
憂「ど、どうなんでしょう……」
唯「大丈夫だよぉ、きっと。ケーキやご飯だって普通に食べれたんだし、影響はないと思うよ?」
ギ「そ、そうか……いや、しかし、うーん……」
憂(お風呂入るだけなのに、こんなに悩む人初めて見た……でも、元がギターだからしょうがないのかも)
唯「あ、じゃあ、私が一緒に入ってあげるよ!」
ギ「」
憂「」
ギ「わかった、唯、大丈夫だ、風呂は俺一人で入る」
唯「でも、シャンプーとか目にしみたら痛いよ?」
ギ「大丈夫。耐えれるから」
唯「えぇ~、でも……」
ギ「頼む、唯。早く発言を撤回してくれ。
でないと、シャンプーが目にしみる痛みを知らないまま俺はスクラップにされる」
唯「?」
憂「^^」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
『唯の家・唯の部屋』
唯「~~♪」ジャカジャカ
唯「……あ、いけない、そろそろ寝なきゃ」
唯「ん~、人間にな~れ人間にな~れ……」
ボワーン
唯「ギー太、まだ目が赤いよ?大丈夫?」
ギ「……うん、大丈夫。死ぬよりは、ね」
唯「明日も早いから、早く寝なきゃね」
ギ「あぁ。それじゃ、俺は憂ちゃんが用意してくれた部屋に戻るよ」
唯「うん、おやすみギー太」
ガチャ バタン
唯「目覚ましセットして、と」
カチッ
唯「……いつもギー太が隣で寝てたから、今日はなんだか淋しいな……」モゾモゾ
『唯の家・ギー太の部屋』
ギ「……寝る、ってどうやるんだ?」
ギ「普段は意識してなかったからなぁ……」
ギ「横になっていれば、そのうち……」ゴロン
ギ「うーん……なぜ寝れない?」
ギ「あ、まぶた閉じないといけないのか」
ギ「ぐっ、明かりが眩しい……これは消す必要があるが……ど、どうやって消すんだ……?」
『唯の家・憂の部屋』
憂(お姉ちゃんの願いで、ギー太さんが人間に、かぁ……)
憂(性格は悪くないみたいだけど……)
憂(でも、男の人は魅力的な女の人を見ると理性が利かなくなるって
お父さんが隠してた本に書いてあったし、ギー太さんがお姉ちゃんを襲う可能性もある)
憂(お姉ちゃんは、私が守らないと!)
よくじつ!
『唯の家・ギー太の部屋』
ギ「すかー……ん、んー……」ゴロン
フニッ
ギ「……?」パチリ
唯「すぴー……」
ギ「何だ、唯か……」
ギ「……何で唯がいるの!?」ガバッ
唯「んー……ん、ギー太おはよ」ムニャムニャ
ギ「おはよ、じゃなくて!いつの間に俺の布団に潜り込んで……!」
唯「ん~、なんだか淋しくて、夜の内に、つい……」
ギ「と、とにかく、急いで部屋に戻るんだ!俺が憂ちゃんに殺される!」
ガチャッ
憂「ギー太さん、朝ですよー」
ギ「あ」
憂「」
ギ(さよなら現世)
『唯の家・リビング』
ギ「憂ちゃんのおかげで、新体操選手レベルの身体の柔らかさを手に入れました
」
憂「何でしたら、スライムも真っ青なレベルまでしてあげましょうか?^^」
ギ「いえいえ、お気遣いだけで十分です」
唯「また敬語になってる」
憂「お姉ちゃんもお姉ちゃんだよ。淋しいからってギー太さんの布団に潜り込むなんて」
唯「前に憂の布団に潜り込んだ時は怒らなかったのに……」
憂「私達姉妹ならともかく、ギー太さんは男の人なんだよ?
いくら他人じゃない間柄だからって、男女の同衾はモラル的に駄目っ」
唯「ちぇー」
ギ「俺も憂さんの意見に同意です。モラルはもちろん、命が惜しいので」
『通学路』
ギ「なぁ、家で俺をギターに戻しとくべきじゃないのか?」
唯「えぇー、せっかくギー太と喋れるようになったんだよ?そんなのつまんないよぉ~」
ギ「うーん……」
唯「大丈夫だよぉ、学校の近くの隠れでギターに戻せば、誰にもばれないよ」
ギ「……はぁ、唯は強引だな……」
ストックが尽きたんで
以降は書き込みが遅くなります
ご了承ください
byギー太
念の為に言っておくと私はスレ主ではありません
ストックとは>>69以降のことです
和「唯~」タッタッタ
唯「あ、和ちゃん」
ギ「え……?」
唯「珍しいね、朝の通学路で和ちゃんと会うなんて」
和「そうかしら?通学路が違うわけじゃないじゃない」
唯「そっか」
ギ「…………」
和「……?そちらの人、唯の知り合い?」
唯「うん、ギー太だよ」
和「え」
唯「……てな感じで、ギー太は人間になったのです!」フンスッ
和「…………」ジーッ
ギ(あれは疑ってる目だな。そりゃ信じられるわけないよな普通)
和「……やっぱり、寝泊りは唯の家で?」
唯「うん」
和「憂ちゃんは容認してるの?」
唯「うん。一緒の部屋で寝ちゃだめ、とかは言われたけど」
和「そう、なの……」
和「…………」ジーッ
ギ(うう、せめて俺にも何か質問してくれた方が、まだ気が楽なんだが……)
ギ「……唯。そこの道に入るぞ」
唯「ふぇ?」
ギ「和ちゃんも、来てくれないか」
和「……何のつもり?口封じ?」
ギ「そ、そんな物騒な。安心してくれ、俺がギー太だという証拠を見せたいだけだ」
和「……?」
『通学路・脇道』
ギ「唯、悪いが俺をギターに戻してくれないか?」
唯「え、でも学校までまだあるよ」
ギ「悪いが我慢してくれ。今は和ちゃんに確かな証拠を見せて、安心させてあげたい」
ギ(ていうか、じゃないと和ちゃんに通報されかねん)
唯「……そうだね。うん、わかった」
和「何?え?」
唯「和ちゃーん、見ててねー。うーん、ギー太~、ギターになれ~……」
キュピーン ボフーン
和「!?」
唯「はい、ギー太がギターになったよー!これで信じてもらえるかな?」
和「」
唯「……あれ?和ちゃん?」
『別の通学路』
律「なぁなぁ、ギー太ってギターの頃の記憶あるんだよな?」
澪「はぁ?何をいきなり……」
律「て事は、だ。ギー太は唯の着替えを目撃したことがある……!」
澪「な……!?///」
律「それだけじゃない。唯の柔肌の触感とか……あ、私がギー太を弾いたときの事も、もしや記憶が……!」
澪「り、律っ!なんてこと考えてるんだ!」
律「いやー、考え出すと面白くなってさー」
紬「りっちゃん、ちなみに今の妄想、まだ続きがあるならぜひ聞きたいのだけれど……」
律「ん、えーとだな……って、どわぁっ!?ムギ、いつの間に!?」
澪「しかも手帳取り出して何してるんだ」
紬「今のりっちゃんの妄想、ネタになると思って」
澪「何の!?」
律「……っと、噂をすれば、前にいるのは唯だな」
澪「あ、本当だ」
紬「隣は……ギー太くん、誰か担いでない?」
澪「あれは……和、か?」
律「……っと、噂をすれば、前にいるのは唯だな」
澪「あ、本当だ」
紬「隣は……ギー太くん、誰か担いでない?」
澪「あれは……和、か?」
律「おーい、唯ー、ギー太ー」
唯「あ、りっちゃん、みんなー。おはよー」
ギ「お、はよう」
澪「和、どうかしたのか」
ギ「いや、それがだなぁ……通学路の途中で会って、俺の正体を怪しまれたものだから、
唯に俺をギターに戻してもらったんだが……」
紬「まさか、ショックで気絶しちゃった、とか?」
ギ「うん、まさにそれ」
唯「びっくりしたんだよー。呼んでも返事してくれないし、かと思えばいきなり倒れちゃうし……
私じゃ和ちゃん抱えられないから、ギー太に手伝ってもらったんだ」
律「あの和が気絶か……」
澪「無理もないとは思うが……いきなり人間がギターになったら、私も気絶しそうだ……」
紬「和ちゃんの気絶……珍しいわ」パシャッ
律「写真撮るな」
紬「あ、ご、ごめんなさい、無意識に」
和「……う」
唯「あ、和ちゃん、大丈夫?」
和「……唯?あれ、私何して……?」
ギ「立てるか?」
和「え?えぇ、大丈夫」
ストン
和「……あぁ、思い出したわ。ギー太、さん、だったわね」
ギ「すまない、急だったから混乱させたかもな」
和「いいえ、いいわ。あなたがギー太だという確認もできたし。
その……おぶってくれて、ありがとう」
ギ「あぁ、いや」
唯「…………」ムーッ
律(……おっと、これは一波乱来るか?)
ギ「……どうした、唯?」
唯「次、私おんぶ」
ギ「は?」
唯「私もギー太に抱っこされたい」
ギ「いや、待て待て、何をいきなり……唯は元気じゃないか」
唯「うーん、何だかクラクラしてきたよ~、頭痛が痛いよ~」
ギ「……わかったわかった。おぶえばいいんだろ?
少しだけだぞ?」
唯「わーい!」キャッキャッ
紬「…………」ガサガサ
澪「今度はビデオカメラか」
紬「えへっ」
────
ほうかご!
『学校・音楽室』
律「……とまぁ、そんな事があったんだよ」
梓「そんな事があったんですか」
ギ「あれは恥ずかしかった……」
律「なんかいろんな生徒に見られてたし、噂になっちゃうかもな」
唯「えへへ~」
ギ「喜ぶ所じゃない」
ギ「あ。唯、言っとくが、これ以上、誰かに俺のことを言いふらすの禁止な」
唯「えー?」
律「考えても見ろ、唯。これ以上部外者にギー太が知られたら、
『ギターが人間になった!?』てな感じでギー太は囃し立てられ、
白衣着たこわーいおじさんが『元ギター人間の体の構造が知りたい』なんて言ってきて、
ギー太は解剖されて、血がブシャーッ!」
ギ澪「ぎゃーっ!!」
唯「だ、駄目だよ!ギー太を解剖だなんて!」
律「だろ?じゃ、ギー太の正体はこれ以上広げないほうがいい」
唯「うん、わかった!ギー太、私が守ってあげるからね!」
ギ「あ、あぁ……」ブルブル
澪「怖くない怖くない怖くない怖くない……」ガタガタ
律(澪が怖がるのはともかく、ギー太も怖い話には耐性が無い様だな……)
唯「ちょっとトイレ行ってくるね」パタパタ
律(……さーて、ちょっと暇だしギー太でもからかって遊ぶか)
律「……んで、ギー太さんや、君はどうなんだい?」ズイズイ
ギ「は?何が?」
律「ヒッヒッヒ。ギー太的には、唯のどこに魅力を感じてるのかなー?」
ギ「ぅえ!?///」
紬「あ、ちょっと気になる」
澪(新しい歌詞のネタになるかも……)
律「さぁさぁ、白状しちゃいなさいって」
ギ「え……ぅ、あ、や、優しい所とか、少し抜けてる所とか」
律「んー、そうじゃなくて、もっと具体的に、身体の部位で答えてよ」
梓(太もも一択ですよjk)
ギ「ぬ……や、やっぱり、ギターの時によく触れる部分だから、手とか…………ふ、太もも、とか……///」
律「ほーほー」ニヤニヤ
澪(楽器は太ももに魅力を感じる、か)
紬(唯ちゃんの太ももの良さを理解してるなんて……こいつ、出来る……!)
梓(ギー太さんとはいいコーラが飲めそうです)
────
律「そういや、ギー太の服って誰のなんだ?」
唯「私のお父さんの」
律「あぁ、どうりでサイズ微妙に合ってないなーと……」
澪「人間になったからには、自分用の普段着とか持っといた方がいいんじゃないか?」
さ「話は聞かせてもらったわ!」
ギ「ぉわーっ!?」ガタンッ バタン!
律「さわちゃん、いつの間に」
さ「つまり、ギー太くんの服に困っているのね?服なら私に任せなさい!」
ギ(嫌な予感しかしない……!)
さ「さぁ、この衣装達の中から好きな物を選びなさい!」
ギ「案の定だー!」ガビーン!
ギ「ていうか、服は服でもコスプレ物だし、そもそも女物だし!」
さ「安心なさい、サイズは取り揃ってるわ!」
ギ「そういう問題じゃなくて!」
さ「化粧道具だって完備してるわよ!」
ギ「もはや服関係ねー!」
律「まぁまぁギー太、こうなった時のさわちゃんは止まらないのは知ってるだろう?
大人しく捕まっとけって」ガシッ
ギ「なんでりっちゃんが俺を捕まえるんだ!?」
律「いやー、面白そうだし」
ギ「唯、助けて!」
唯「ギー太、この服なんか似合うんじゃないかなぁ?」
ギ「しまった、唯はいつも俺に着せる立場だった!」
さ「皆、準備室借りるわね。さ、ギー太くん、観念なさ~い!」グイッ
ギ「うわああぁあっ!!」
ガチャン
律「あぁ、これでまた、ギー太のさわちゃんに対するトラウマが増えちまったな……」
澪「犯行の手助けしたくせに、他人事のように……」
律「澪だって助けなかったじゃねーかよー」
澪「だって、巻き込まれたくないし……」
唯「わくわく!」
梓「ムギ先輩、動く気配ゼロですね」
紬「うん、女装は別に興味ないし」
梓「え?」
紬「何でもない」
ガチャッ
さ「皆、ギー太の着替えが終わったわよ」
ギ「死にてぇ」キラキラ
唯律澪梓「おぉ~」
紬(ぐふっ……!?な、何て事、この私が野郎の女装姿なんかを見て胸ときめかすなんて……!?)ボタボタ
唯「ギー太可愛い!」
律「いや、可愛いというより、姐御的なビューティーっぽさだな」
澪「背の高さも合重なって、より壮麗な雰囲気が出ているな……」
梓「足も綺麗です……」
さ「私の目に狂いはなかったわね!」
紬(ギー太……恐ろしい子っ!)
ギ「超死にてぇ」キラキラ
律「で、本題に戻るけど、ギー太も自分の服の一着や二着ぐらい持っとくべきなんじゃね?」
ギ「どうでもいい。死にてぇ」
梓「すっかりヘソを曲げてしまって……」
唯「じゃあ、今度の日曜は皆でギー太の服でも買いに行こっかな」
澪「と言っても、服代の出費は結構大きいぞ?唯、お金あるのか?」
唯「んー、実はあんまり……」
紬「それじゃあ、私達でお金出し合いましょう」
唯「え?でも、皆に悪いよぉ」
紬「いいのよ。いつもギー太には唯ちゃんを通してお世話になってるんだから」
紬(それに私は、最近いろんな意味でお世話になってるし)
律「そうだな!よぅし、皆でギー太をコーディネートしてやろうぜ!コードだけに!」
澪「まったく上手いこと言えてないからな、それ」
ギ「あー、地球爆発しねぇかな」
梓(あぁ、またバンド練習が遠退いていく……)
にちよう!
『商店街・ファッションセンターしま○ら』
澪「よし、入ろうか」
ギ「…………」ジーッ
律「ギー太が警戒している」
唯「大丈夫だよギー太、普通の服買いに来ただけだから」
ギ「ほ、本当だろうな?また変なコスプレ服着せるつもりじゃないだろうな?」
梓「よほど嫌だったんですね……」
紬(似合ってたのに……)
『ファッションセンターしま○ら・店内』
唯「ほら、普通の服ばかりでしょ?」
ギ「……そうだな、どうやら危険はないようだ」ホッ
律「んじゃ、まぁ皆の金を合わせれば、二、三着ぐらい買えるだろ」
梓「ギー太さんは、どういう服が好みですか?」
ギ「どういう服、というかオシャレそのものがよくわからないし、皆のオススメで選んでくれないか?」
律「おいおい、いいのかぁ?私達に任せたら、この前みたいにコスプレっぽい服選んできちゃうぞぉ?」
ギ「ひっ!?」
澪「おい、律!」
律「へへっ、冗談だよ。じゃ、皆でギー太の服選びといくか!」
紬(冗談だったんだ……)
律「まずは、こんなもんか」ドッサリ
ギ「こ、こんなに買うのか?」
澪「まずは試着だよ。サイズが合わなかったりとか、着てみてからいまいちだと気付く時もあるからな」
梓「向こうに試着室があるので、そちらで着替えてみてください」
唯「唯お姉ちゃんが連れて行ってあげるねっ」フンスッ
ギ「弟になった覚えないんだが」
『ファッションセンターしま○ら・試着室付近』
唯「ギー太、着替えたー?」
ギ「あぁ」
シャーッ
律「お、いいじゃん」
唯「ギー太、かっくいー!」
ギ「これが、かっこいい、のか?」
梓「無難にTシャツとジーンズの組み合わせですけど、下手に凝るよりいいでしょう」
澪「私たちも、男物の服に詳しいわけじゃないしな」
唯「ギー太、次はこの服着てみてよ!」
律「その次これな!」
紬「その次、これ着てみてね!」
ギ「うわわ!?」ドサドサ
梓「皆さん、楽しんでますね……」
澪「あんまりハメ外さなければいいけど……」
ギ「紬ちゃん、君が持ってきた服、明らかにスカートなんだけど」
紬「あら?」
店員「ありがとうございましたー」
律「いやー、買ったなー」
唯「ギー太、一つぐらい持つよ?」
ギ「いや、俺が買ってもらったものなんだから、俺が持つよ。
それにしても、こんなに買ってもらっちゃってよかったのか?」
律「安心しろよ。セール品だし、しま○らだからそんな高くないよ」
澪「ギー太も軽音部の一員なんだ、遠慮無く受け取ってくれ」
紬「そうよ」
梓(ムギ先輩、終始女物の服しか選んでなかったですけどね)
ギ「えー……じゃあ、ありがたく着させてもらいます」
律「さて、時間も余ったし、商店街でアイスでも食ってくか」
唯「わーい、アイス~」
『商店街アイス屋近くのベンチ』
律「しっかし、ギー太が人間になって五日か。早いもんだよな」
澪「唯とはともかく、憂ちゃんとは仲良くやれてるのか?」
ギ「まぁ……時々逆エビ固めとかコブラツイストとかキャメルクラッチとか食らうけど、
それを除けば円満、かな」
梓「なぜにそんなプロレス技なんか……」
ギ「えーと、主に唯関連の件で怒られた時とかに」
唯「この前は、一緒にお布団入ってただけで怒られたよね」
律澪紬梓「」
澪「い、いいい、一緒に布団っ!?///」
紬「あらあらまぁまぁ///」
梓「……!!///」
律「す、進んでるんだな、お前ら///」
ギ「ま、待て、誤解だ!///
唯が夜中に寂しいからって言って布団に潜り込んできただけで、やましいことは何もやってない!
そうだよな、唯!?」
唯「うん」
ギ「ま、まったく、何で唯は重要な箇所を省いた発言をするかな……」
唯「……でも私、ギー太にならやましい事されても……///」ボソッ
律紬梓ギ「!!///」
澪「……!!
は、はぁ~……///」プシュー バタン
律「うぉっ!?いかん、澪がオーバーヒートした!」
ギ「だからそういう発言を安易にするなって言ってるんだぁぁぁーっ!!///」
ギ「だ、大体な、唯には恥じらいが足りないぞ!ま、まったく、はしたない!///」
唯「はしたない!?」ガーン
ギ「そうだ!もっと高校生相応のモラルというものをわきまえてだな????????」
唯「で、でも、こんな事、ギー太以外には言わないもん!」
ギ「ぬぐっ……いや、だっから、もう……!///」カーッ
律「……ギー太はいつも唯に振り回されてばかりだな」
紬「やっぱり、楽器と演奏者の上下関係というものは覆すことができないのかしら……」
澪「お、おぉう……///」プシュー
梓「澪先輩、大丈夫ですか?」
『帰り道』
律「じゃあな、唯、ギー太」
澪「また明日、学校でな、二人とも」
紬「ギー太くん、明日、服の感想聞かせてね」
梓「さよならです」
唯「ばいば~い」
ギ「皆、今日はありがとう。また明日」
????????
唯「服いっぱいだね~、ギー太」
ギ「申し訳ないぐらいにな。自分で金を持っていれば……」
唯「しょうがないよ。ギー太はギターなんだから、お金持ってないのは当たり前だし」
ギ「……働こうかな……」
よくじつ!
『唯の家、ギー太の部屋』
チュンチュン……
ギ「……ん、ん~ぁ、ふわ~……」
ギ「……よし、唯は忍び込んできてないようだ」ムクリ
ギ「よいしょ????????っとと?」ヨロッ
ギ「む……妙に身体が動かしづらいような……?
まだ寝ぼけてんのかな?」
『唯の家・玄関』
唯ギ「行ってきまーす」
憂「行ってらっしゃーい」
────
唯「ふんふふ~ん♪君を見てると~、いつもハートドキドキ~♪」
ギ「機嫌良いな、唯」
唯「え?そうかな?」
ギ「鼻歌歌ってるし」
唯「ん~、えへへ~」ニコッ
ギ「?」
唯「ね、ギー太。手つなご?」
ギ「え!?な、なんでさ///」
唯「つなぎたいから」
ギ「い……いや、でも、恥か」
唯「駄目?」
ギ「く……反則だろうその目……!」
唯「ふふ~ん♪」
ギ「…………///」
唯「……私、ね」
ギ「え?」
唯「ギー太が人間になったあの朝、嬉しさより、怖さの方が強かったんだ」
ギ「え……?」
唯「ギー太やみんなのおかげで、私は、私が頑張れることを見つけた。皆には、すっごい感謝してる。
もちろん、ギー太にも」
唯「でも、ギー太はギターだから、感謝の言葉を言っても、伝わってるのかわからなかった」
唯「ギターの腕だってぜんぜん上達しないし、もしかしてギー太は私なんかより、あずにゃんとか、もっとギターをうまく弾ける人のギー太になりたいんじゃないかって、
考えたこともあった」
唯「そんなこと考えると、どんどん怖くなってきてね」
唯「私がギー太に接してる時、皆から『私とギー太が恋人みたい』何て言われた事もあるけど、
違うんだ」
唯「ギー太に嫌われてると思うと怖くて、一方的に接してただけなんだ」
唯「だから、怖かった。ギー太が人間になった時、私は拒絶されるんじゃないかって」
ギ「唯……」
唯「でも、ギー太は私を拒絶しなかった。あずにゃんよりも、私がいいって言ってくれた。
……それが、すごく嬉しかった」
唯「だから、私、これからも頑張るよ。しっかりできるかわからないけど、
軽音部の一員として、ギー太のギタリストとして、大学受験生として。
……だから、これからも一緒にいようね、ギー太」
ギ「……あぁ」ニコッ
唯「……え、えへへ。///
こ、こんな事言うつもりじゃなかったんだけどな。
ただ、ありがとって言いたかっただけなんだけど……///」
ギ「ハハハ」
唯「わ、笑わないでよぉ///」ポカポカ
ギ「いてて」
律「おうおう、朝から見せ付けてくれますねー、お二人さん」
ギ「いぃっ!?///」
唯「りっちゃん!?///」
澪「お、おはよう……///」
紬「うふふ」
梓「…………」ムッスー
唯「み、みんなも……」
ギ「い、いつから……!」
律「いやー、手つないで語り合ってたもんだから、声かけづらくて」
ギ「最初からいたのか……///」
紬「二人とも、お幸せにね」ウィーン
澪「おいカメラ止めろ」
唯「え、えへへ……あー、えっと、手、はなそっか、ギー太?///」
ギ「あ、そ、そうだな、ハ、ハハ///」
律「えー、私らは別にかまわんぞー?」
ギ「う、うるさいな!」
梓「唯先輩、今度は私と手を組みませんか」
唯「ん?いいよ?」
梓「…………えへ」ピコピコ
紬「二人とも、お幸せにね」ウィーン
澪「見境無いのかお前は」
『通学路・脇道』
唯「じゃ、ギー太、また放課後まで我慢してね」
ギ「あぁ」
唯「うーん……」キュピーン
ギ(……あれ?なんだ、この感覚は……?)
ギ(いつもと違う……身体が……重くなって……)
ボフーン
唯(……あれ、なんだろう?いつもよりすんなりギー太がギターになったような……)
ほうかご!
『学校・音楽室』
律「さーて、練習の前に、お茶だな」
梓「まったく、仕方ないですね」
紬「用意するわね」
唯「ギー太を人間に戻さないと」
唯「ギー太~……人間にな~れ~……」
唯「ん~……」
唯「…………」
唯「……あ、れ?」
澪「どうしたんだ?」
唯「……戻らない、よ?」
唯「ギー太、人間に、人間に戻って……!」グググ
律「な、何だ、どうしたんだ?」
梓「人間に戻らないって、どういうことですか?」
紬「さぁ……」
唯「戻って、戻って、戻って……!!」ググググググ
キュピーン
唯律澪紬梓「!!」
ボフーン
ギ「……う、うぅ……」
律「も、戻った!」
紬「で、でも、何だかギー太くんの顔色が……」
ギ「…………」バタッ
梓「ギ、ギー太さん!?」
唯「……ギー、太……よかっ、た……」パタン
澪「唯!?」
ガチャッ
さ「唯ちゃんとギー太君が倒れたって聞いたけど、大丈夫?」
律「さわちゃん……」
和「唯!」
憂「お姉ちゃん!」
澪「二人も来たのか」
唯「すー……すー……」
紬「唯ちゃんのほうは、軽い貧血なんで、安心してください」
憂「よ、よかった……」
和「それで、ギー太さんの方は……」
梓「そ、それが……」
ギ「……ぐ、うぅ……」
紬「意識はあるんですが、何だか辛そうな顔してて、汗も止まらなくて……」
憂「まさか、何かの病気とか……?」
律「保健室から体温計借りてきたんだけど、熱はないみたいなんだ」
さ「一体……?」
唯「……ギー太……」ヨロヨロ
律「唯!?」
澪「もう歩いて大丈夫なのか?」
唯「うん、なんとか。ごめんねみんな、心配かけて」
唯「ギー太、大丈夫……?」
ギ「……唯、か」
ギ「少しは楽になってきたんだが……何だか、身体が重くて思うように動かなくて……」
和「何が原因なのかしら……?」
紬「…………」
梓「……ムギ先輩?」
紬「……心当たりが、一つあるわ」
唯「え……?」
紬「唯ちゃん、ギー太が人間になったきっかけの占い、思い出してもらえる?」
唯「占い……?」
『最高にツイてる一週間!一週間の間、願い事が一つ叶うかも!』
唯「…………」
澪「ま、まさか……」
憂「ギー太さんが人間になって、今日で6日目……」
律「じ、じゃあ、その一週間が過ぎたら、ギー太はギターに戻っちまうって事か……?」
梓「そんな……!」
紬「あくまで、仮説よ。でも、今の状況を考えると一番信憑性が高いわ」
和「ゆ、唯……」
唯「……ギー太が、ギターに戻っちゃう……?」
さ「……たとえば、今から『ギー太がずっと人間になれますように』なんて願ってみたら……」
律「すでに願い事は『一つ』叶っちまってるからな……たぶん、駄目だろうな」
唯「…………」
ギ「唯……」ムクリ
澪「おい、無理して起き上がらないほうが」
ギ「いや、だいぶ楽になった。いきなり倒れてすまなかった」
ギ「唯……顔上げてくれ」
唯「……ね、ギー太」
ギ「え?」
唯「お願いがあるんだけど、いいかな?」
ギ「……お願い?」
唯「最後に、私と、デート、して?」
唯「ギー太呼んだー?」
ギー太「呼んだで!それじゃさっそくスケベしてくれや唯ちゃん!」
唯「いいよ!」
ギー太「ほれ!唯ちゃんの股間のムール貝ちゃん!元気!元k・・・・ってこれちんぽちゃんやないかい!!」
唯「実は私ふたなりなんだよ~みんなには秘密だよ~」
ギー太「ガハハ!わかったで!そのかわり激しいスケベ頼むで!」
唯「はーい!それじゃあ入れるよ!アナルに、、ね!」
ギー太「わしが受けかいな!ア、アナルはダメじゃ!アナルだけは勘弁してくれ!」
唯「ペグを外して、、と。じゃあいくよ!」
ギー太「アナルは、あ、ああ、あああ!あああ!?」
唯「弦が緩んできたねー」
ズブブ
ギー太「あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」
まちなか!
『商店街・アイス屋近くのベンチ』
唯「おいひ~よ~♪」
ギ「デートって言っといて、昨日と変わらないじゃないか」
唯「え~、アイスは毎日食べてもおいしいんだよぉ?」
ギ「本当に唯はアイスが好きだな」
唯「えへへ~」
ギ「さて、次はどこに行くか」
唯「えーとね……」
『商店街・アクセサリーショップ』
唯「見て見てー!これ可愛いー!」
ギ「おー……うわ、高っ」
唯「え?うわー、ホントだ……これ買ったらお小遣いが無くなっちゃうね……」
ギ「……ごめんなぁ、俺が甲斐性無しなばかりに……」ズーン
唯「えへへ、ギー太変な顔」
ギ「……そこは慰めの言葉かけるべきだろうに」
『商店街・楽器屋』
唯「私とギー太が初めて会った場所だね」
ギ「いきなり見つめられた時は結構あせったけどな」
唯「一目惚れって、ああいうときの心境を言うんだろうねー」
ギ「その割には、最初はあんまり大事にされてなかったような気が……。
メンテナンスも弦錆びるまでやってなかったし」
唯「うぅー、だって知らなかったんだもん!」
『商店街・マ○ク』
唯「おいひ~」
ギ「……唯のデートプランは食べてばかりだな」
唯「だって、デートなんてしたことないし……」
ギ「色気より食い気だからなー、唯は」
唯「えーひどいよー」
ギ「まぁまぁ。そこが唯の魅力だよ」
唯「えへー」
ギ「ほら、唯、ケチャップ付いてる」フキフキ
唯「んー」
『商店街はずれ・公園のベンチ』
ギ「……暗くなってきたな」
唯「うん……」
ギ「そろそろ帰らないと、憂ちゃんが心配するな」
唯「うん……」
ギ「……なんか、指の感覚無くなってきた、な。
俺も、そろそろ限界、かもな」
唯「…………」
ギ「……唯?」
唯「……やっぱり、やだよ」
ギ「…………」
唯「なんで、なんでギターに戻っちゃうの?せっかく、お話できるようになったのに。」ポロ
唯「一緒に合宿とか、プールとか、クリスマスとか、初詣とか、
ギー太とやってないこと、いっぱいあるんだよ?」ポロポロ
唯「服だって、まだ着てないのがいっぱいあるのに……なの、に……うっ……なんで……」ポロポロ
ギ「…………」
ギ「……本来なら、俺は唯と会話なんてできないまま、道具として使われていく運命だった」
ギ「でも、唯が俺が人間になってほしいと願った。だから、俺は人間になって、
唯とこうして話したり、お互いの意見を言い合えたりした」
ギ「俺が一時でも人間になれたのが、そもそも奇跡だったんだ」
ギ「その奇跡が叶っただけで、十分に、俺は幸せだ」
唯「う、うぅっ……ギー太ぁっ……」グスッ
ギ「……別に、離れ離れになるわけじゃないだろう?
ずっと、いつまでも、唯が俺を大事にしてくれるかぎり、一緒にいれるさ」
ギ「…………会話ができなくなるのは、さびしいけど、な」グスッ
ギ「……ほら、最後ぐらい、お互い笑おう?最後見た顔が泣き顔なんて、俺はやだよ」
唯「……うんっ」ズズッ
唯「ギー太…………私、ギー太が好きだよ。大好きだよっ!」
ギ「……俺も、唯が好きだよ。
楽器と演奏者が相思相愛なんて、世界中探しても俺達ぐらいだろうな」
唯「世界に誇れる、自慢のカップルだねっ!」
ギ「ハハハ、そうだな」
唯「私、もっともっと頑張って、ギー太の事、上手に弾いてあげるからね!」
ギ「あぁ、頑張れよ」
唯「それでそれで……ギー太の事、武道館、に、連れてって、あげ、るから、ね!」ポロ ポロ
ギ「あぁ、楽しみにしてる」
唯「……うぐっ、えぐっ……ごめんね、最後まで、泣き虫で……」ポロ ポロ
ギ「……そこが結いの魅力だよ。そんな唯が、俺は、好きだよ」ポロ
唯「ぐすっ……これからも、よろしくね、ギー太」ニコッ
ギ「……あぁ、よろしくな、唯」ニッ
『唯の家・玄関』
唯「ただいまー」
憂「……お姉ちゃん……おかえり。
……ギー太さん、戻っちゃったんだね……」
唯「……うん」
憂「……念のため、三人分の晩御飯用意してたんだけど、無駄になっちゃったね」
唯「じゃあ、私が二人分食べるよ!」フンスッ
憂「……クスッ。お姉ちゃんたら食い意地張ってるんだから。
それじゃ、手洗ったらご飯にしよっか」
唯「うん!」
『唯の家・唯の部屋』
唯「~♪」ジャカジャカ
唯「……あ、もうこんな時間」
唯「そろそろ、寝なきゃね」
唯「……今日は、一緒に寝よっか、ギー太」
唯「えへへ、ギー太と寝るの、久しぶりだね」モゾモゾ
唯「…………」ポロ
唯「え、えへへ、ごめんねギー太、未練がましくって」
唯「……やっぱり、いつまでギー太と、喋って、触れ合って、一緒に登校とか、したかったな……」
唯「……おやすみ、ギー太」
よくじつ!
『唯の家・唯の部屋』
チュンチュン……
唯「……すー……すー……うぅ~ん……ギー太ぁ~……」サスサス
ムニムニ
唯「……ふぇ?」ムクリ
?「すかー……」
唯「…………!?」
唯「ギ、ギー太……?」ユサユサ
?「……ん~、ん、まったく唯ったら……。
俺はギターに戻った……ん?んん?」ガバッ
唯「…………」
ギ「…………」
唯ギ「……え?」
ギ「な、なんで……!?
ど、どうして俺、人間になってるんだ……!?」
唯「…………」フルフル
ギ「……と、とりあえず、ベッドから起きてから考え????????」
唯「ギー太ぁ~っ!!」ガバッ
ギ「うおうぃっ!?///」
唯「ギー太だ!ギー太だ!ギー太が人間に戻ったよー!」スリスリ
ギ「いや、待て、唯、やめ、こら!///」
ガチャッ
憂「お姉ちゃん、どうした、の────」
ギ「あ」
憂「」
ギ(すまん唯、一緒に武道館行けそうにない)
『学校・教室』
律「……テレビの星座占い、だと?」
唯「うんー。なんか、諦めかけてた夢が叶うとか何とか」
澪「それで、『ギー太といつまでも一緒に喋って触れ合いたい』という願いが叶った……」
和「……唯らしいわ」
紬「愛の力、ね……」ホゥ……
律「つーか、どんだけ極端なんだお前はー!あたし達の心配した時間を返せー!」
唯「キャー!あはは、やめてよー!」キャッキャッ
澪「人騒がせな……」
和「でもよかったわ。唯が元気そうで」
紬(よかった……高かった広角レンズカメラが無駄にならなくて)
ほうかご!
『学校・音楽室』
梓「……結局、私達は心配損だったわけですか」
ギ「……言葉もありません」
律「つーかなんだ、その怪我」
ギ「何も聞かないでくれ。どうやら、帰ったら続きがあると言ってた。
何も思い出したくない」
澪(また憂ちゃんに関節技を……)
唯「えへへー、ギー太ぁ~」
梓「…………」ゴゴゴゴゴゴゴ
ギ「……唯、人の目を考えてくれ」
ギ(特にあずにゃ、梓ちゃんとか)
紬「……唯ちゃん、梓ちゃんもスリスリしたいって」
梓「なっ!?///」
唯「えぇ~?あずにゃんやきもち~?もう~可愛いな~」スリスリ
梓「にゃっ!?唯先輩、くっつきすぎです!///」
紬「うふふ」パシャシャシャシャシャシャ
澪「連続シャッターとな」
律「まったく……さて、それじゃあ、そろそろ練習????????」
さ「の前に、人に心配かけたギー太くんに罰ゲームが必要じゃない?」
ギ「!!!!」ガタンッ
唯「あ、さわちゃん」
さ「うふふ、ギー太くんのために取り繕った服があるのよ。
仕方ないから澪ちゃんにでも着させようと思ってたけど、
本人がいるなら着てもらうべきよね」
ギ「ひ、ひぃっ……」
澪「…………」ガシッ
ギ「なっ!?み、澪ちゃん!?何の真似だ!」
澪「すまん。だが、お前が着てくれないと私が被害に遭うんだ。
ここは私のために、犠牲になってくれ」
ギ「ぐ……ぐぐっ……ゆ、唯!」
唯「ヒラヒラいっぱいで可愛いねぇ」
さ「でしょう?自信作よ」
ギ「うわもう駄目だこの所持者!」
紬「…………」イソイソ
梓(ムギ先輩が机にどんどん撮影機材を積み重ねていく……)
『帰り道』
ギ「もしかしたら、ギターのままの方が安息がある分、幸せだったのかもしれない」
唯「え~。私は嬉しいよ?ギー太とまた、こうやって話すことができて」
ギ「……いや、まぁ、それは俺も嬉しい、けど……///」
唯「……ギー太、手、つなご?」
ギ「……ん」ギュッ
唯「……ギー太の手、あったかい」
ギ「……そりゃあ、人間、だからな」
唯「……ギー太、昨日、ギターに戻る前の会話、覚えてるよね?」
ギ「え、あー……あ、あぁ///」
ギ(思い出したら恥かしくなってきた……///)
唯「私、ギー太が好きだよ。ギー太の返事、もう一度聞きたいな」
ギ「う……///わ、わかった。
……お、俺も、ゆ、唯が、す、すす、す、き、だ//////」
唯「……♪」ニコッ
グイッ
ギ「うぉ?」
チュッ
ギ「」
ギ「…………ッッッッッ!!!!!????」
唯「えへへ~///」パタパタ
ギ「ゆ、唯、おま、お前、今、何を……!?///」
唯「え~、もう一回~?しょうがないな~///」
ギ「いやいやいやいや!!///」
唯「……えへへっ」
唯「ギー太!これからも、よろしくね!」
おしまい
見返すと文字化け酷いな…
特殊記号を把握しとかないと
おまけ
『唯の家・リビング』
憂「じゃあギー太さん、朝の続きをしましょうか^^」
ギ「あー、まだ引きづるんですね、それ」
憂「だって、一括でやったら死んじゃいますもん^^
ギー太さん死んじゃったらお姉ちゃん悲しむし、分割払いで清算していかないと」
ギ「徳政令とかきかないですかね」
憂「残念ながら^^」
ギ「……そうですか」
その後、唯のせいでさらに借金が増えていきつつも、
二週間をかけて生産を済ませたギー太であった
おしまい
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