海未「陽が消える時」 (90)

鬱系です。
残虐な描写は少ないですが、苦手な方はブラウザバック推奨です。

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海未「凛!!またズレてますよ!!」

凛「はいにゃー!!」

いつもと変わらない練習。

海未「穂乃果!!手が逆です!!」

穂乃果「はい!!」

何度注意しても起きるミス。

ミスが起きるのは人間だからしょうがないのです。

ですが、起こしてはならないミスを起こすと関係のない人達もその人のことをとても責めます。

関係ないのに何故関わるんですかね。

海未「………」

ことり「海未ちゃん、大丈夫?」

海未「大丈夫ですよ」

ことり「そ、そう…無理しないでね」

友人からの心配も心を抉る。

私はただ皆がちゃんとできるようになって欲しいだけなんです。

もちろん怒りたくなんかないのです。

怒りたくもないのに怒らないといけないというのはなかなか辛いものです。

嫌われてないでしょうか、私は。

嫌われているか好かれているか…

これは対象の人物に直接聞かないとわからないものです。

本当の答えがちゃんと返ってくるかはまた別ですけどね。

海未「真姫」

真姫「な、何よ突然」

海未「私の事、好きですか」

真姫「は…はぁ!?いみわかんないわよ!!」

海未「……嫌いですか」ボソッ

真姫「と、とにかく私は海未のことをその友達としては…好きよ……ああもう変なこと言わせないでよ!!」

海未「………ありがとうございます」

真姫「……どうしたんだろ」

真姫の言葉は本物だと感じました。

単純で分かりやすくて私の気持ちは少し軽くなりました。
いえ、バカになんてしてないですよ。


海未「全体的にテンポが遅れてますよ!!」

また今日も同じように怒る私。

海未「お疲れ様です、15分休憩にしましょう」

皆はしっかり私の言葉を受け止めてくれているようです。

凛「やめようよにこちゃん!!」

ですが、中には耐えきれず反発する人もいるのです。

にこ「うるさいわね、私だって怒られてばっかじゃムカつくのよ!!」

海未「…………」

このように。

にこ「海未、あんた人に文句をつけてばっかだけどあんたは出来るの?」

海未「当然じゃないですか」

にこ「………」

海未「出来ない人間が指導をするわけないじゃないですか」

にこ「ならやって見せなさいよ、あんたいつも口だけじゃない」

穂乃果「にこちゃん!!」

幼馴染みの二人には流石に知られています。

海未「いいのです、穂乃果」

私の陰が。

ことり「海未ちゃん……」



私は陰ながら努力をしメンバーを支えたい。

穂乃果が太陽なら私は月。

ことりが山なら私は水。

常に裏側に、常に支えに。

私は陽の差す表には出たくないのです。

海未「一通り振り付けを踊ればいいんですよね」

陰で努力をしてることを悟られたくない。

にこ「そうよ」

皆は表で努力をしているから、私はそれを支えたい。

海未「…………」

皆の努力を見守りたいだけなのに。

絵里「流石海未、息切れ一つ起こしてないわね」

海未「そんなことないです」

褒められたいのでありません。

花陽「すごいなぁ…」

讃えられたいわけでもありません。

にこ「…ごめん」

褒めてあげたいのです。

海未「にこも謝らなくていいのです、見本を見せてからの方が皆はやりやすかったですよね」

私に陽が差すと、別の誰かに差される陽が消えてしまうのです。

海未「悪いのは私なんです、気にしないでください」

誰かの成長を消してしまうのです。

海未「すみませんでした」

褒めれない自分なんて殺したいです。

ことり「謝ることないよ!!私たちがしっかりしてないから悪いんだよ……」

また悲しませてしまった

海未「いえ私が悪いのです」

また悲しませて

穂乃果「海未ちゃんは悪くないよ!!」

また

海未「私が悪いのです」

陽を消してしまう




希「海未ちゃん」

海未「………どうしました?」

希「ちょっとうちと内緒話しよ?」

海未「………」

希「ねぇ海未ちゃん、全てを一人で抱えることないよ?」

支えるべき人に心配をかけてしまった

希「うちも昔海未ちゃんみたいに一人で支えようとしたんや」

悟られてる

希「けどみんなを頼っていいってことをみんなが教えてくれたんよ?」

私の陰に日が差してる

まずい

希「うちのこともう少し頼って欲しいなぁ」

陰の私に陽が一つ射し込まれている

希「うちだって海未ちゃんの友達なんよ?」

一本の陽が八つになったとき私はどうなるのだろうか

希「……海未ちゃん?」

その時、私は月にも水にもなれない。

希「どしたん…そんなきつく抑えられたら苦しいよ…」

海未「………」

私の存在が消えてしまう

希「落ち……着いて………」

その前に

希「……………」

射し込む陽を消さないと

海未「……」

消えた?

希「……ふぅ……ちょっと危なかったなぁ」

消えていない ?

希「大丈夫やで、うちは海未ちゃんの支えるものを一緒にいつでも支えてあげるよ」

さらに陽が強くなってしまった

希「だから一人で苦しまないで」

深い闇で消さないと

海未「苦しませたりしませんから」

希「えっ?」

海未「大丈夫です」



まずは一つ、陽が消えました。

今日はここまで。
よろしくお願いします。

更新します

私にとっての太陽はひとつのみ。

私にとっての山もひとつのみ。

この二つを支えるだけだったのに。

私には荷が重過ぎました。
だから昔に戻しましょう。
戻るだけですから。

穂乃果「海未ちゃん遅いなぁ…」

絵里「確かに遅いわね…」

凛「確かトイレの方に行ったよね?だったら凛が見に行ってくるにゃ!!」

花陽「あっ!!待ってぇぇ!!……いっちゃった」

真姫「まったく…」

にこ「…………」

凛「だっからねあげるよ元気~♪」

『その声は…凛ですか?』

凛「んー?海未ちゃん?どこにいるの?」

凛(わかった!!かくれんぼだ!!)

凛「どこかにゃー?」

『トイレの…個室にいます』

凛「えっ?……あれ?トイレ真っ暗だ…」

『もう……誰もいないんですか……?』

凛「でんきは……っと…」

カチっと音と共に照明がつく。
点滅する照明はどことなく不気味だ。

凛「海未ちゃ……」

名前を呼ぼうと口を開いた瞬間気付いてしまった。

すべての扉に細い長方形型の傷ができ、一部は壊されていた。

まるで誰かが暴れていたような跡だった。

凛「なにこれ…海未ちゃん!?大丈夫!?」

『助けてください…助けて…助けて』

一番奥の個室、声はこの辺りから聞こえる。

凛「開けるよ…?」

恐る恐るドアノブに手を掛け、ゆっくりと捻る。

キィーっという金属音がトイレに響く。

扉の先には目を閉じ、衣服の乱れた希ちゃんがいた。

凛「希…ちゃん?」

返事はない、状況が理解できない。

なんで希ちゃんはこんな姿に?

海未ちゃんはどこに?どうしてこうなってるの?

『凛…』

凛「海未ちゃん!!どこ!?」

混乱している私に追い討ちをかけるように突然視界が真っ暗になった。

凛「誰かいるの!?誰が消したの!?」

大声をあげてから気付いてしまった。
もしこの停電がこのトイレをこんな状況にした犯人の仕業だったらと。

どうしよう、この個室に隠れる?
でもまだこの空間には海未ちゃんがいる。
どうしたらいいの?どうすれば?

海未「凛…私です」

凛「えっ?」

海未「ひとまず隠れましょう…見つかるとまずいです」

わたし達は希ちゃんのいた個室の反対側奥の個室に入った。
ここに海未ちゃんは隠れていたらしい。

海未「電気がついていたら私が動いたことがバレてしまいますから…」

海未ちゃんの言い分からするとやっぱり怪しい人が侵入しているみたい…

暗闇に目が慣れてくると海未ちゃんの異変に気付けた。
海未ちゃんは体の至る所に細長いあざができていた。

凛「その怪我…どうしたの?」

海未「男に襲われたんですよ…希が私をかばい、私は別の個室に隠れたんです」

海未「そして不審者は…私を見失っていたのか、すべてのトイレの扉を殴り始めたんです」

凛「だからあんなに…」

凛「ってことはその不審者は何か鈍器を持ってるってこと?」

海未「いえ…私が襲われた時は何も持っていませんでしたよ」

凛「そうなんだ…?」

凛「その不審者の身長とか体格はわかる?みんなに伝えないと大変な事になっちゃうよ」

海未「……男の人で身長は170cmほどだったと思います、体格は平均的でしょうか…」


…おかしい。
記憶違いでなかったら扉には明らかに棒状のもので殴った形跡がいくつもあった。
もし素手で殴っていたなら円形の凹みがあるはず。

海未ちゃんのあざもおかしい。
素手で殴られたりしたのなら腕の側面に縦のあざなんて出来るはずがない。

もう一つおかしいところがある。
海未ちゃんがこんなに怪我だらけなのに、海未ちゃんをかばった希ちゃんは怪我1つなかった。
犯人が希ちゃんだけを殴らないなんておかしい。

考えたくもないことが頭をよぎる。

海未「凛」

凛「は、はい!?」

海未「ずっと私に背中を向けて何か考え事ですか?」

凛「う、うん…まぁそんなところかな?あはは…」

表情を隠すように背中をまた向ける。
まずい、私が気付いてしまったことに気付いたかもしれない

海未「凛」

また呼ばれた、ゆっくりと振り向く。

凛「どうしたの…!?」

口の中に細長く生暖かいものが突然入ってくる。

喉の奥を刺激され、胃の中のものが逆流してくる。

凛「んぐっ!?」

海未「大声を出すようならこのまま舌を引きちぎりますよ」

何を言っているのか理解できなかった
私を殺す気なの?

喉に当たる海未ちゃんの指は私の嗚咽を生み出す。
止まる事のない吐き気とゾワッとする悪寒に涙が溢れる。

海未「抵抗はしないでください、傷付けたくないんです」

傷付けたくない?
こんなことをしているのに?
いつもの海未ちゃんなら自分の行動の異常さに気付くよね!?
なんで………

ミスをしたら厳しく叱るけど、どこか優しさを感じさせてくれる海未ちゃん。
私はそんないつもの海未ちゃんが大好きだった。



あぁ…なんだ…

いつもの海未ちゃんじゃないからこんなことになってるんだ。


海未「わかってしまったようですね」

海未「やっぱり凛はいい子です」

口から手が抜かれる。
苦しみから解放され、胃の中のものを戻してしまう。
頭上には視線を感じていた。

凛「…ゲッホ……いい子?」

海未「前々から思っていました。」

海未「何度も注意して何度も怒り何度も指導したにも関わらず凛は私を慕ってくれました」

海未「そんな凛が私は大好きでした」

凛「じゃあ…なんでこんなことを…」

海未「あなたが私を照らしてしまうからです」

凛「…照らす?」

何を言ってるの…?意味がわからないよ

海未「詳しく話してもきっと無駄です」

海未「結局私は陰なんですから、陽の裏側にいないといけないんです」

かげ?ひ?何を言ってるの?

海未「簡単な話、凛には消えてもらわないといけないんです」

海未「最後に少しだけ話をしましょうか、私に何かききたいですか?」


凛「…希ちゃんをあんな風にしたのはやったのは海未ちゃんなの?」

海未「……ええ、そうですよ」


――

希に呼び出された所は見ていましたよね?
その時に私は希の陽を消したんです。
そしてその後……

海未「ひとまずこれを隠さないといけませんね……」

海未(幸いにも今日は私たちしか生徒はいませんし、不審者が侵入したことにしましょう)

海未(そうなると衣服を少し脱がせた方がいいですかね?)

海未(……ひとまずトイレの個室に入れておきましょう)

海未「さてと」

海未(無傷で不審者に襲われたというのも変な話です)

海未(扉にでも頭を打ち付けますか)

扉は木製。
強く打ち付けても扉が凹むだけかもしれませんが、やらないことには始まりません。

私は扉に両手をつけ勢い良く頭を打ち付ける。

頭が砕けるような衝撃、鼓膜の震え。
我ながらなかなかの頭突きですね。

海未(ですが…血は出ないものですね)

海未(少し視界がぐらつきますがまだ立って入れますし何の問題もないでしょう)

海未(…体にあざを作りますか)

掃除用具入れの中にはアルミ製のモップがありました。
持ち手の部分のみを利用しました。

海未(自分の体を棒で殴るのはなかなか難しいですね……)

勢いをつけて振りかぶる、脇腹にあたる棒は抉るような痛みを与えた

唇を噛み、悲鳴をこらえる。

間髪入れずにふともも、腕、体など届くところに棒を叩きつける。
唇からは血が流れている、痛みを堪えるために強く噛みすぎたのでしょう。

海未(犯人が振り回したように見せるなら周りも傷つけますか…)

海未(ついでに私が頭を打ち付けた跡も消さないといけませんね…)

扉を棒で殴る、これは犯人が暴れたように見せるカモフラージュなので雑に済ませました。



海未(あとは誰かが来るのを待つだけですね…)

海未(はぁ…この体でアイドルはもう無理でしょうね)



――

凛「…………」

海未「と、いったような感じですね」

海未「最初の演技どうでした?私としてはなかなか上手くいったのですが…」

凛「……ふざけないで」

凛「なんでこんなことをしたのかまだわからないけど、悩んでたならなんで凛達を頼ってくれなかったの!?」

海未「………」

凛「そんなに頼りにならないかな…」

海未「お話はもう終わりです」

凛「えっ…?」

海未「凛には大事な役があるんですよ、大事な役が…」

今日はここまで。かなり遅れると思います

携帯逝きそうなのであるだけ書いちゃいます

私は凛と海未、2人のやり取りを聞いてしまった。
非常に危険な状況だということもすぐにわかった。

凛を助けるか、皆に海未の事を皆に伝えに行くか…
まずこのことをいきなり皆に伝えても信じてはもらえないわね。

でも凛を助けるっていったってどうすればいいのよ……

考えるのよ矢澤にこ!!
あなたは部長なんだから……
ぐぬぬぬぬぬ…………

海未は皆を騙す気なのね…
だったら…だったらぁ…




…よし!!
これなら妨げくらいにはなるわね!!

…たぶん。

にこ「みんな大変よ!!」

花陽「どうしたのにこちゃん!?」

絵里「そんなに血相を変えて…」

にこ「学校に不審者がいるわ!!」

ことり「不審者…?」

にこ「ええ、きっと私達を狙って入ってきたのよ…武器持っていたし早くここから逃げるわよ!!」

にこ(海未…あんたの作戦を利用させてもらうわよ)

穂乃果「でも、海未ちゃん達がまだ!!」

にこ「その海未達から聞いたことよ!!先に逃げてるから私達も早く行くわよ!!」

真姫「それもそうだけど、先に警察に連絡したら?」

にこ(………警察をよんだら間違いなく海未は捕まる、μ’sとしての活動も出来なくなる)

にこ(さらに穂乃果達が成し遂げた廃校の阻止も無意味になるわね…)

にこ(……)

にこ「それは私が後でしておくから先に逃げるわよ、警察を呼んでる最中に不審者が現れたら意味ないじゃない!!」

真姫「そ、そうね……」

絵里「その不審者って何処の辺りにいたの?」

にこ「ここの反対側だから…東側って言ってたわよ」

花陽「すぐに逃げないと……」

ことり「………」

穂乃果「ことりちゃん…心配なんだね」

ことり「うん…なんともないといいけど…」

「みんな待って!!」

にこ「えっ?」

「東側はダメだよ!!」

花陽「凛ちゃん…?」

屋上の出入り口には、さっきまで海未に捕まっていた凛がいた。
怪我だらけで所々出血をしてる…
おそらく海未に暴行を受けたせいだ。


凛「不審者は今東側にいるの!!」

凛「だから…西側を…つかって…」

ことり「凛ちゃん大丈夫!?」

凛「うん、凛はへーき…早く逃げないと…」

穂乃果「でもその怪我じゃ…」

凛「大丈夫だよ!!早く行くよ!!」

にこ「………」

ここまで、来週辺りに携帯を変えたらすぐ続き書きますね!

今更ミスに気付いたから訂正します

>>50


絵里「その不審者って何処の辺りにいたの?」

にこ「ここの反対側だから…西側って言ってたわよ」

花陽「すぐに逃げないと……」

ことり「………」

穂乃果「ことりちゃん…心配なんだね」

ことり「うん…なんともないといいけど…」


が正しいです、すみません

最近暗めの話になるとすぐ>>55みたいなの沸くな

更新来週になりそうです、すみません。

>>58
自分の好きなキャラクターが悲惨な目にあって悲しくないファンはいませんからしょうがないですよ。
怒りの矛先は作者に向けるしかありませんし…

>>59
気持ちはわかるが終わるまで煽らんほうが

>>61
煽ってないですよ、そういう風に見えたならすみません。

廊下を駆ける足音は西側へと続く。
陰で少女は笑う。

海未「ふふふ…凛はやっぱり凛ですね…」

一言放つと足音の方とは逆へ歩みを進める。

走り出す少女から笑みは消えていた。

凛「早く逃げないと…!!」

花陽「走ったら見つかっちゃうよ凛ちゃん…」

真姫「といっても…遅かったら追いつかれるかもしれないじゃない」

花陽「そ、そうだね…」

にこ「……」

絵里「………」

ことり「ねぇ、絵里ちゃん」

絵里「…ん?どうしたのことり?」

ことり「希ちゃんならきっと大丈夫だよ!」

絵里「…ええ、そうね」

絵里「海未もきっと希といっしょのはずだから、希が大丈夫なら海未も大丈夫よ!」

ことり「そうだよね!」

穂乃果「海未ちゃん…」

凛「………」

花陽「……どうしたの凛ちゃん?」

凛「え?」

花陽「なんだか…落ち着かない様子というか…」

凛「そ、そりゃそうだよ!追われてるかもしれないんだから!でも大丈夫だよ、早く逃げよう?」

花陽「う、うん?」

真姫(……なにか隠してるわね)

花陽「玄関まではもうすぐだね…」

凛「…よかった」

花陽「どうしたの?」

凛「誰もいない…よかったよぉ…」

真姫「ねぇ凛」

凛「なっなに!?」

真姫「あなた何か隠してるでしょ?」

凛「そ、そんなことないよ!!凛はいつも通り……」

凛は一点見つめたまま固まった。

花陽「凛ちゃん…?どうしたの?」

凛「なんで?」

真姫「どうしたのよ?」



凛「……なんで…いるの?」

「なんとか合流できたなぁ」

絵里「…のぞ…み?」

希「そーやでえりち、親友の顔忘れたん?」

絵里「希!!」

希「どしたん?そんな子供っぽくなっちゃって~」

絵里「だって心配で…うぅ…」

希「よしよし…えりちは心配症やなぁ…」

ことり「ねぇ海未ちゃんは!?」

希「海未ちゃんは…ひとまず無事やで」

穂乃果「そっか、無事なんだね…よかった…」

凛「………」

真姫「再会出来たのはいいけど…まだここには不審者がいるのよ、早く出ましょ?」

絵里「そうね、その通りよ…」

にこ(おかしいわよ…希が最後に一緒にいた相手は海未のはず)

にこ(海未に捕まっていた凛があれだけ怪我をしていたのになんで希はほぼ無傷なのよ…)

希「なにか考えごとでもしとるん?」

にこ「えっ?」

希「…皆で脱出して仲良くまたここに来れるとええなぁ」

にこ「…どういうことよ」

希「…ただの独り言やで?」

-玄関-

にこ「まぁこんな事だろうとは思ってたわよ…」

穂乃果「…一筋縄ではいかないよね」

絵里「内側から鍵は開けれるはずなのに何で開かないのよ…」

凛(先回りして扉をあかなくしたんだ…)

希「……」

ことり「どうしよう…このままじゃ…」

「あ、あの……」

突然後ろから聞こえた声。

「…何かあったのですか?」

その声はとても冷静で鋭く、耳に突き刺さるような声。

凛「海未ちゃん……」

海未「扉が開かない?本当ですか?」

絵里「ええそうなの…内側から施錠できるタイプなのに何故か…」

すると海未ちゃんはスライド式扉の下、レール部分を指さす。

海未「ここを見てください」

海未「鈍器のような物で殴られ歪んでしまっています、これがあかない理由の一つではないでしょうか?」

穂乃果「本当だ…でも誰がこんなことを…」

真姫「そうね…誰がやったかまではわからないけど、レールを歪ませただけなら力づくで開ければ開きそうよ?ほかにも何かあるんじゃないの?」

花陽「まさか…外から開かないように溶接してあるとか?」

海未「流石にそれだと物音でわたし達が気付くと思いますよ」

にこ「てかあんた、今までどこで何をしていたのよ」

希「……」

海未「私ですか?…私は色々とやる事があったのでそれをしていただけですよ」

にこ「やる事ねぇ…」

海未「…? なにかありました?」

にこ「別に、なんでもないわよ」

海未「ひとまずここで留まっていてもなんですし、数人かで別れてどこかに身を潜めませんか?」

絵里「でも皆が離れるのはあまり得策ではないと思うわよ?」

海未「ですがこの人数でまとまって行動も中々危険ですよ」

にこ(まずい、海未は私達をバラバラにして一人ずつ確実に仕留める気だ…)

にこ(今ここで海未の化けの皮を剥がすしかない…!!!)

にこ「あれ?海未は不審者について知ってるの?」

海未「ええ、もちろん」

海未「どこにいるかは検討がつきませんが…」

今まで変わることのなかった海未の表情が一瞬ニヤリと笑って見えた。

直ぐにその表情の意味が私にはわかった。

真姫「ねぇにこちゃん、今の質問…なんか変じゃない?」

穂乃果「うん、おかしいよ!だってにこちゃんは海未ちゃんから不審者についてきいたんでしょ?」

海未「へぇ…そうなんですか」

海未「私は不審者を見かけてから希としか会ってないのですが…?」

にこ「…」

希「にこっち…」

海未「まさかとは思いますが」





「にこは不審者となにか繋がりがあるんじゃないですか?」


その言葉に場の空気が凍りついた。

にこ「は?」

真姫「確かにさっきも階段を下りたとき少し挙動不審だったわね…」

にこ「いや…それは…」

ことり「にこちゃん…」

凛「………」

花陽「………」

その場全員の疑いが私に向けられる。

穂乃果「………」

待ちなさいよ!!!
ここには海未による被害者がいるじゃない!?
そうよ、凛と希に話させればいいだけよ!!!

にこ「凛、正直に言いなさいよ」

凛「え?」

にこ「あなた不審者が誰かわかってるのよね!今ここにいることも!」

真姫「え?」

海未「それは…自白と受け取ってもよろしいのでしょうか?」

にこ「あんたは黙ってなさい!こっちを見ないで!」

海未「は、はぁ…?」

海未はくるりとこちらに背を向ける。
私は凛の耳元に顔をよせ、周りに聞こえないように話しをする。

にこ「ほら凛、正直に言いなさいよ…」

凛「え?え?凛どうしたらいいかわかんないよ…」

にこ「"不審者"を指差すだけでいいのよ、声に出さなくても皆気付けるでしょ?」

凛「え?……

にこ「ほらはやく!」

凛「で、でもそれじゃ…」

にこ「みんな命がかかってるのよ!?」

凛「わ、わかったよ…」

凛を囲むように全員で輪になる。

中心でゆっくりと凛は手をあげ胸の位置で止める。

震える手の指を伸ばした先にいたのは







私だった。

今回はここまでです、年内に更新できたらします。

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