後輩「もうすぐバレンタインですね」(10)

後輩「先輩は誰かに貰う予定ありますか?」

男「いや、母さんを除けばないな」

後輩「ですよねー♪」

男「まあ今年は後輩がいるからな」

後輩「えっ」

男「え?」

後輩(なん、だと……)

後輩(先輩が今年もチョコ一個しか貰えなくて凹んでるところに私が颯爽と本命チョコをあげて

『後輩……俺にはお前だけだ』

……ってなる作戦が)

後輩(最初から貰えると思っていたなんてっ!)

男「く、くれないのか? 一緒に登下校する仲なのに……」

後輩「いや、えーと、あのー……」

後輩「ご、ごめんなさーい!」ダッ

男「あっ」

男「マジかよ……今年もチョコ一個か……」

ーーーーーー

男「はあ……」

友「どうした、朝から浮かない顔だな」

男「友か……いや、今年もチョコ一個が確定しただけだよ」

友「後輩ちゃんからは無いのか?」

男「無いみたいだ……今日そんな話をしたら謝られた」

友「あらら」

男「今年はチョコを貰えない男共を見下せると思ってたのに……」

友「まあ、今年もモテない者達で集まって仲良くやろうぜ」

男「……」パシッ

友「いてっ」

男「気安く触るな!」

友「ど、どうしたんだよ急に」

男「俺は知っている……貴様が去年三人もの女の子からチョコを貰っていたのをなあ!」

友「ぎくっ」

クラスメイト共『何だとぉ?』ギロッ

男「裏切り者め……」

クラスメイト共『裏切り者めぇ……』

友「お、落ち着け! ほら今年は女の子いっぱい入って来たし! お前らも貰えるって!」

男「戯言を……」

クラスメイト共『戯言をぉ……』

友「ひいぃ……」

新米女教師「はーい授業始めますよおっと♪」ガラガラ

男「チッ」

クラスメイト共『チッ』

友「助かった……新米ちゃん、あんた女神やでえ……」

新米女教師「んー? 訳の分からないこと言ってないでさっさと席についてねー♪」

友「はーい」

ーーーーーー

後輩「うーん……参ったなあ」テクテク

後輩「あ、でもこれで先輩はチョコ貰えないと思ってるだろうし結果オーライ?」

モブa子「でさー……」

モブb子「あはは」

モブa子「あ、そういえばb子は誰かにチョコあげる予定あるの?」

モブb子「私はねー、男くんにあげようと思ってるんだ」

後輩(本日二度目のなん、だと……)

モブa子「そうなの? いがーい」

モブb子「男くんはね、顔が凄く良いわけじゃないけどとっても優しいんだよ」

モブa子「へー」

後輩(うんうん……じゃなくて!)

後輩(これは由々しき事態……まずい、非常にまずい!)

後輩(このままでは先輩に『お前だけだ……』と言われるどころかモブに先輩を取られる!)

後輩(……いや、待てよ?)

後輩(ポっと出のモブから貰うチョコと仲の良い後輩から貰うチョコは天と地の差! 月とスッポン!)

後輩(しかも私のは本命……)

後輩(大丈夫だ、問題ない)

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