怜・竜華「重ねあう心」 (58)

怜「ん・・・」

怜(朝、か)もぞもぞ

3年の夏
私たちはインターハイのために東京のホテルに泊まっていた

怜(竜華は・・・どこ行ったんやろ?)

寝返りをうち、横を向いて竜華の姿を探す

昨夜、私は初めて竜華と寝た


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怜(トイレでも行っとるんか?)

寝た、と言うても
文字通りただ隣で眠っただけ
竜華はなんか柔らかかったし、いい匂いがした

身体をふれ合わせて眠ったが、身体が重なり合う事はついぞ無かった

身体を重ね合わなかった
それでも、心は重なり合うんやろか?

ガチャ

竜華「あ、怜。起きたんか?」

怜「おはよう竜華」

竜華「おはよ」

怜「・・・。」
竜華「・・・。」

なんとなく気まずく見つめ合う

めっちゃ照れくさいわ、これ

竜華「せ、せや!朝ごはん食べに行かへん?ホテルのビュッフェやで!」

怜「え、ええなあ!」

顔を合わせずに、ぱたぱたと着替えを済ませて顔を洗う
ごはん食べながらいつも通り話せば、この照れくささもさめるやろ

竜華と共にホテルのレストランへと歩く

竜華「他に誰もおらんなあ」

そう言えば時計をまだ見てへんかった

私たちはそうとう早起きしたらしく、レストランにはまだ他の宿泊客は居なかった

怜「えっと、何食べよか?」

二人きりだと思ったら、なんだかまた緊張してきてしまった

竜華「うーん、とりあえずトーストやな。あとはスクランブルエッグとか」

怜「ホテルの朝食の定番やな。私もトーストにするわ」

竜華「ええっと、パンはこっちやな。バターロールもあるけど、怜どうする?」

怜「食パンの方がええな。カロリー的に」

竜華「せやな」

よし、今ふつうに話せてる

いつも通り、いつも通り

竜華「それじゃあ食パンを・・・あれ?」

怜「どないしたん竜華?」

竜華「こ、この食パン、なんかおかしない!?」

怜「えっ、どこ!?」ガタッ
怜「うわぁっ!ホンマやーーっ!!」

竜華「これっ!この食パン・・・薄っぺらいで!!」

怜「嘘やろ・・・!?こ、この食パン・・・!!」


怜「6枚切りやぁあああああああ!!!!!!」

竜華「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!

竜華「なっ、なんで食パンが6枚切りなんや!?」

怜「どっひゃあ!!なんで6枚切りのうっすいパンが存在すんねん!」

竜華「うち、6枚切りなんて初めて見たで!!」

怜「せやで!食パンは・・・食パンはぁ・・・」

怜「5枚切りやないとアカンやろぉおおおおおおお!!!」

竜華「どっひゃぁああああ!!」ドンガラガッシャーン!

怜「6枚切りなんてうっすいパンじゃふわっふわせんやろ!?」

竜華「せやで!食パン言うたら5枚切り以上や!厚切りやないと食感もなんも無いやん!!」

怜「カルチャーショックや・・・なんで東京の食パンは5枚切りやないねん・・・」

竜華「東京はおっそろしい所やな怜!」

怜「ホンマやな竜華」

怜「そもそも6枚切りの食パンなんてどないして食べるんや!?」

竜華「わからんわ・・・想像もつかへんで!」

怜「くっ、まさか東京に来て最初にして最大の難関がこんなとこに待ち受けているなんてな」

竜華「ど、どないする怜!?」

怜「・・・食べるで」

竜華「えっ・・・!?」

怜「私、このパン食べてみるでぇええええええええ!!!」

怜「6枚切りパン、食べたるでぇええぇええええ!!!!」

竜華「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!

竜華「アカン!アカンで怜ぃいいいいい!!!」

竜華「そんな!そんな食べ方もわからずに!!!」

竜華「6枚切りの食パンなんて食べたら、死んでまうやんかぁあああああああ!!!!」

怜「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!

怜「だったら!だったら竜華!!この6枚切りどないして食べるんや!?」

怜「5枚切りと違ごうて、このペラいパンどうすんねやぁああああああ!!!?」

竜華「待ってや怜!これ、これ見て怜!」

怜「どれや!?」

竜華「これや!ベーコンや!」

怜「ベーコン?」

竜華「それに、薄切りのトマト、レタスに、スライスチーズもあるで!」

怜「こ、これってまさか!?」

竜華「せや!これはきっと・・・」

怜「サンドイッチにするんか!?」

竜華「そうやと思う!!」

怜「そんなまさか!?そ、そないな発想が・・・!?」

竜華「せやけど、間違いないで!!」

怜「ああ、せやで!ホンマや!これきっとサンドイッチするんやで!!」

怜「こんな事思いつくなんて・・・竜華天才ちゃうか!?」

竜華「照れるで怜///」

怜「なるほど。6枚切りの食パンもただ薄っぺらく切ってあるわけやないんやな」

竜華「せやな。うち、食パンは5枚切りやないとアカン思っとったけど、6枚切りなんて食べ方があったんやな」

怜「ホンマやで。あえて薄っぺらく切って、サンドイッチとして2枚重ねて食べるんか」

竜華「これが東京流の食パンの食べ方・・・」

怜・竜華「重ねあう心や・・・!!」

怜「せや竜華!だから、だから私はこの6枚切りを食べるんや!!」

竜華「うちもや!うちも怜といっしょに、サンドイッチして食べるで!」

怜「そんならいっしょに作ってみよか竜華!?」

竜華「そうしよか怜?おんなじの食べような!」

怜「ええな。私、トマトはさみたい!」

竜華「そんならレタスとベーコンもはさんでBLTにしよか」

怜「よっしゃできたで竜華っ!」

竜華「そんなら、二人でいっしょに食べよか?」

怜「ええなそれ。二人で一口ずつ食べよか」

竜華「自分で言っておいてやけど、なんか照れるわ」

怜「ええやん別に。竜華から食べてええで」

竜華「それじゃあ。いただきます」ぱくっ

竜華「ふむ・・・」もぐもぐ

怜「どや竜華?6枚切りのパン、おいしいかー?」

竜華「怜・・・やっぱり6枚切りの食パンは・・・」もそもそ

怜「えっ?」

竜華「パンぱっさぱさやーーっ!!!」

怜「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!

竜華「やっぱりアカンかったんやーー!!パンは、パンは、6枚切りやのうて!!」

竜華「5枚切りやないとぱっさぱさなんやぁあああ!!!」

怜「どっひゃあ!!」

怜「やっぱり6枚切りはパンぱっさぱさなんか!?」

怜「どんなに重ね合わせても、5枚切りみたいにふわっふわせえへんのか!!?」

竜華「う、うぐっ、がふっ!口の中の水分が・・・全部持っていかれるもたいやわ・・・!!」ぱっさぱさー

怜「竜華ぁーーっ!!しっかりしいや!!」ぎゅっ

竜華「ぅ・・・怜は、アカンで・・・6枚切りの食パンなんて・・・食べたら・・・」がくっ

怜「竜華っ!竜華ぁ!!」ゆさゆさ

竜華「うちの犠牲を・・・無駄にせんといて・・・や・・・」

怜「犠牲とか言うたらアカン!水や!今お水持ってくるから・・・!!」

竜華「怜・・・行かんといて・・・っ」ぎゅっ

怜「竜華!?」

竜華「ははっ、最期は・・・膝枕も出来んで、堪忍な、怜・・・」

怜「そんなっ!そんなアカンで竜華ぁ!」ポロポロ

竜華「怜は・・・ふわっふわの5枚切りパンを・・・食べるんや・・・で・・・」ぱたり

怜「竜華・・・?」

竜華「」

怜「うわぁああああああ!!!」

怜「そんな!!アホな!!」

怜「竜華が、竜華がーーっ!!」

怜「6枚切りの食パンがぱっさぱさ過ぎて死んでもうたぁああああああ!!!」うわぁーん

竜華「」

怜「竜華ぁあああああああああああ!!!」うわぁーん

ドンドンドンドンドン!

怜「セーラ!起きてや!!大変なんや!!セーラぁ!!」

ドンドンドンドンドン!

怜「セーラぁああ!!このドア開けてやセーラぁ!!」

ガチャ

セーラ「・・・どないしたんや怜、こんな朝早よから・・・」ぼけー

怜「大変なんやセーラ!!!」

怜「竜華が・・・竜華が・・・」ぐすっ

セーラ「竜華がどないしたんや!?」

怜「竜華が6枚切りの食パンがぱっさぱさ過ぎて死んでしもたんやぁあああああああ!!!」

セーラ「どっひゃあああ!!!」ドンガラガッシャーン!

セーラ「ろ、ろ、6枚切り!?」

セーラ「そんなけったいなモンが存在しとるんか!?」

怜「そうなんや!!東京の食パンは・・・全部6枚切りなんや!?」

セーラ「そんなアホな・・・!!食パン言うたら普通ふわっふわの5枚切りやんか!!」

怜「ホンマなんや!東京の食パンはみんな薄っぺらい6枚切りしか無いんや!!」

怜「そんで・・・その薄っぺらいぱっさぱさの6枚切りパンを食べた竜華は・・・」ぐすっ

怜「ぱっさぱさになって死んでもうたんやぁああああああああ!!!」うわぁーん

セーラ「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!

セーラ「うわぁああん竜華ぁーーっ!!」

セーラ「こうしちゃおれへんで怜!俺も現場を確認するわ!!」

セーラ「このまま食堂に乗りこんで・・・竜華の弔い合戦や!!!」バサッ(学ランを羽織る)

怜「そんなセーラ・・・!何をする気や!?」

セーラ「弔い合戦言うたら決まてるやろ!!!」

セーラ「食堂にある、竜華を殺した憎っくき6枚切りパンを・・・」

セーラ「全部食べ尽くしたるんやぁああああああああ!!!」

怜「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!

怜「ホンマにやるんかセーラ!?あ、アカンて!そんな事したらセーラまで・・・!」

セーラ「止めんなや怜ぃ!俺はやったるでぇえええ!!」

セーラ「どっひゃあぁああああああ!!!」┣¨┣¨┣¨┣¨・・・

怜「セーラぁ!」

【レストラン】


セーラ「ここか食堂は!!」ダッ

竜華「」

セーラ「ううっ、竜華!こないにぱっさぱさになってしもて・・・!」ぐすっ

セーラ「仇は取ったるからなぁあああ!!!見とけやぁああああ!!!!!」

セーラ「うおおおおおお!!!どこや6枚切りぃいいい!!!」ドンガラガッシャーン!

セーラ「こ、これが6枚切りの食パンか!!?」

セーラ「な、なんてぺらっぺらなんや!!5枚切りとはえらい違いやで!!」

怜「セーラ!!」

セーラ「怜、見ておいてや!!俺から竜華への手向けや・・・!!」がぶっ

怜「あああっ!アカンでセーラぁああああ!!!」

セーラ「どっひゃあああああああ!!!」ばくばくばくばく

怜「セーラぁああああ!!!」

セーラ「ううっ、がふっ!!?」びくんっ

怜「セーラ・・・?」

セーラ「こ、これが6枚切りの力か・・・こ、こんなに、ぱっさぱさなんか・・・!?」

怜「セーラ!?」

セーラ「口の中の水分が・・・持ってかれ・・・」がくっ

怜「うわぁああああ!!!セーラぁああああああああ!!!」

泉「あれ?皆さん早いですね・・・もう朝ごはんですか?」

泉「って、えっ?先輩・・・?」

怜「泉ぃ!水や!!急いで水持ってくるんや!」

泉「どないしたんですか園城寺先輩!?」

怜「セーラが・・・セーラが6枚切りの食パンを食べて・・・!!」

怜「ぱっさぱさになってしもたんやぁああああああ!!!」

泉「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!

泉「大丈夫ですかせんぱぁあああい!!い、い、今すぐお水お持ちします!!」

セーラ「行かんでええ・・・泉・・・」

泉「先輩?」
怜「セーラ?」

セーラ「俺は・・・もう、アカンみたいや・・・」

怜「セーラぁ!」
泉「そんな!!そないな事言わんといてください先輩!」

セーラ「全身が・・・ぱっさぱさなんや・・・」ぱっさぱさー

セーラ「泉・・・お前が、俺に代わって・・・」

セーラ「仇を・・・6枚切りの食パンを、食べ尽くすんや・・・」

泉「はい、はいっ!わかりました先輩!!」

セーラ「竜華・・・俺も今、いくからな・・・」バタッ

怜「セーラ・・・?」

セーラ「」

怜「うわぁあああああん!!セーラぁあああああ!!!」うわぁーん

泉「せんぱあああああああいい!!!」うわぁーん

怜「セーラが、セーラが!!!」

怜「6枚切りパンがぱっさぱさ過ぎて死んでもうたぁあああああああ!!!」うわぁーん

泉「うわぁああああああ6枚切りめえええええええ!!!」ばくばくばくばく

怜「泉ぃーっ!!」

泉「ぱっさぱさやぁーー!」ドンガラガッシャーン!

泉「」ばたっ

怜「うわぁーん!!!泉までぱっさぱさして死んでもうたぁああああああああ!!!」

怜「竜華と!セーラと!!泉が!!!」

怜「6枚切りの食パン食べて、ぱっさぱさになって死んでもうたぁあああああああああ!!!」うわぁーん

竜華「」
セーラ「」
泉「」

ぱっさぱさー

怜「どないすればいいんやーーっ!!?」

怜「こんな時、どないすればいいんやぁあああああっ!!?」

怜「ふだん、私が死んでる時に!!!」

怜「みんなどないしてたんやぁああああああ!!??」

怜「どっひゃああああ!!!」ドンガラガッシャーン!!!

怜「どうすればいいのかまったくわからへん!!」

怜「わからへんけど、わからへんけど!!!ここは!!!」

怜「困った時のフナQ頼みやぁあああああ!!!」

怜「どっひゃあぁあああああ!!!」ドンガラガッシャーン!

ドンドンドンドンドン!

怜「フナQ!起きとるか!!?大変なんやフナQ!!起きてや!!!」

ドンドンドンドンドンドン!!

怜「フナQぅうううう!!ここ開け・・・


「じゃかぁしいわあ!!今ドア開けるから待っとけやボケゴルぁ!!!」

怜「ひっ!」ビクッ

怜(せやった・・・フナQ寝起き悪いんやった・・・)ビクビク

ガチャ

怜「・・・。」ドキドキ

フナQ「今日の死因はなんですか?また園城寺先輩が・・・って、あれ?」

フナQ「園城寺先輩!?」

怜「せやねん!私やねん!!大変なんやフナQ!!」

フナQ「ど、どないしましたか園城寺先輩!?」

怜「それが・・・それがな・・・!6枚切りの食パンを食べたせいで・・・」ぐすっ

怜「竜華とセーラと泉が!!ぱっさぱさになって死んでもうたんやぁああああああ!!!!」

フナQ「どっひゃああああ!!!」ドンガラガッシャーン!

フナQ「お、お、お、園城寺やなくて!!」

フナQ「江口先輩たちが死んでしもたんですかぁあああああ!!?」

怜「せやぁあああああああああ!!!!!」うわぁーん

フナQ「どっっひゃあああああああああ!!!!」ドンガラガッシャァアアアーン!

怜「フナQぅうーっ!!」

フナQ「そんな・・・まさか園城寺先輩が生きてるのに、江口、先輩が・・・」がくっ

怜「フナQ・・・?」

フナQ「」

怜「う、うわあ!!」

怜「フナQが、フナQが!!」

怜「ドンガラし慣れてないのにドンガラして死んでもうたぁあああああ!!!」

怜「どっひゃあ!!!!!」ドンガラガッシャーン!

竜華「」
セーラ「」
泉「」
フナQ「」

怜「うわぁーん!みんな死んでもうたーー!!」

怜「どないしたらいいんやーーっ!!?」

怜「みんな、みんな・・・」

怜「いつもどうやって私を生き返らせてたんやぁあああああああああ!!!!」ドンガラガッシャーン!


この後どうやって全員が生き返ったかは永遠の謎です


おしまい!

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