男「何だこれ、魚か?」2 (129)
前スレが不覚にも落ちてしまったので、一応次スレという形でたてました
今のところ月1、もしくは1ヶ月半に1回ペースですがそれだとdat落ちしてしまうようなので、更新ペースを考えることにします
稚拙な文章ですが、なにとぞ楽しんで読んでいただければと思います
書き溜めせずに書いているのでところどころ矛盾があるかと思いますが、気にせず。。。
一応前スレです↓
男「何だこれ、魚か?」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1391399671
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1412602977
さかなかー
>>2
スレタイは魚って書いてありますが実際は人魚とくだらん雑談を繰り広げるSSです。
終わらせ方が分からなかったので途中から無理やりシリアスにしてますが…
期待
前のも読んでたよー
>>4
ありがとうございます
できるだけ楽しんでいただけるように頑張ります
>>5
ありがたやありがたや。。。
やっぱり読んでくれる人がいると創作意欲が湧きますね!
今日(火曜)の夜、更新できたら更新します
すいません、色々ゴタゴタがあって更新できませんでした
金曜の日中か日曜になりそうです
どっちも予定入ってしまって更新できませんでした
今日、明日と予定あるので木曜更新します
では更新していきます
ーー10分後ーー
イルネ「結構ついてきてるね」
イルモネ「何だかんだでスピード落としてあげてますからね」
イルネ「ていうか、疲れて全力なんか出せないもんね」
イルモネ「ほんとそれですよ。あ、あそこで休みません?」
イルネ「あ、いい岩場あったねー」
サメザー「早い、早いから…」
イルネ「えっ」
イルモネ「全然手抜いてたんですが」
サメザー「ありえねぇ」
イルネ「あー、先は長いね」
イルモネ「終わりが無いようなものですよ」
サメザー「今何してんだ?」
イルネ「敬語使おうね、敬語」
サメザー「あ…すいません」
イルモネ「今は各地で暴れてる反発派の鎮圧にあたってます」
サメザー「鎮圧って…そんなことできn…できるんですか?」
イルネ「私達が直接鎮圧するわけじゃないよ?けど、次期王女が来るだけで色々影響力があるしね」
サメザー「次期って、今の時点で王女みたいなもんなんじゃないですか?」
イルモネ「海底の王政も知らないんですか…」
サメザー「そりゃ王家じゃないし」
イルモネ「王家とか関係無く教えられたと思うんですけどね」
サメザー「知らないものは仕方ないだろ」
イルモネ「はぁ…」
イルネ「いいじゃんイルモネ。知らないなら教えてあげればいいし」
イルモネ「じゃあお姉様が教えてあげてくださいね」
イルネ「あ、私なんだ」
サメザー「実はイルモネも知らないじゃねーの?」
イルモネ「そんなことありません!」
イルネ「まぁまぁ」
イルモネ「うー」
イルネ「サメザーくんだっけ。君もそんな煽るような態度やめなよ」
サメザー「…」
イルネ「イルモネのこと好きなのは分かるけど、そんな態度じゃ意味ないよ」
イルモネ「ちょ」
サメザー「え」
イルネ「うふふ」
イルモネ「うふふじゃないですよ」
サメザー「あの、俺が悪かったんで」
イルモネ「何謝ってんですか。私のこと嫌いみたいなニュアンスですし」
サメザー「誰がそこまで言ったんだよ」
イルモネ「ニュアンスがそうだって言ってるでしょうが」
イルネ「もういいじゃんどっちも。私も悪かったしさ」
イルモネ「はぁ…」
サメザー「いやほんとすいませんでした」
イルモネ「もうどうでもいいですから説明してあげてくださいよ」
イルネ「え、何を?」
イルモネ「王政についてですよ。知らないなんてほんとにおかしいんですけどね…」
サメザー「もういいだろ」
イルネ「まあまあまあ。せっかくだし教えとくよ」
サメザー「…じゃあ」
イルネ「海底の王政っていうのはね、まず絶対的な権力者が1人いるの。それが王」
サメザー「今の王サマだろ?」
イルネ「そうそう。で、王の下に何人かの都街長って言われる人魚がいるの。魚人もいるけど」
サメザー「とまちちょう?」
イルネ「私達が住んでるのは王都アトランティカ。そこを治めるのが都街長」
サメザー「あれ、そんな奴がいたら王サマはいらないんじゃないのか」
イルモネ「王の下に都街長がいるって言いましたよね…」
サメザー「ああ、あくまで王サマがトップなんだな」
イルネ「そう」
サメザー「アトランティカで一番偉いのは都街長なんだよな。なら王サマはどこに住んでるんだ?」
イルネ「王は王家だから、宮殿に住んでるだよ」
サメザー「確かに、でかい建物があるな」
イルネ「で、各地に大きい集落というか、街がたくさんあるの」
サメザー「で、それぞれを治めるのが」
イルネ「都街長ってわけね」
サメザー「あーそういう感じなのか」
イルネ「でね、王はいっつも何をしてると思う?」
サメザー「いや知らねえよそんなの」
イルネ「敬語」
サメザー「はい」
イルネ「基本的には派兵状況の把握の為の見回り、指揮、都街長との話し合いとかだね」
サメザー「毎日そんなのやってn…やってるんですか?」
イルネ「地味かもしれないけど、それがあるから今まで平和だったんだよ」
サメザー「へぇー…」
イルモネ「今反発派のせいで大変な状況ですけどね」
イルネ「そういやさ、ほぼ毎日各地を回ってたら反発派がいるとか分かりそうなもんだよね」
イルモネ「悟られないようにしてるんじゃないですか?」
イルネ「意外と身近にいるかもって感じなのかねー」
サメザー「…」
イルネ「ありえないんじゃない?そんなのいたらすぐわかるだろうし」
イルモネ「そうなんですかねー」
サメザー「なあ」
イルモネ「なんですか?」
サメザー「そろそろ行こうぜ」
イルネ「確かに、もう十分休憩したしね」
イルモネ「行きましょうか」
サメザー「…」
イルネ「次どこ行こっか」
イルモネ「今マップ開きますね」
イルネ「あ、ここ近いじゃん」
イルモネ「パパッと行って、手伝っていきましょうか」
サメザー「そこまでどれくらいの距離なんだ?」
イルネ「さっき会った場所からこの岩場までの距離より短いよ」
サメザー「あー、そうなんだ…」
イルネ「け・い・ご!」
イルモネ「もういいんじゃないですか?」
イルネ「いーや、絶対直させる」
イルモネ「母親じゃあるまいし…私と一緒にいる時よりよっぽどお姉様してますよ」
イルネ「えー、そうかな」
イルモネ「まあいいですけど…」
イルネ「早く行かなくちゃね」
サメザー(いつまで話してるんだ…)
イルモネ「今度はどれだけいるんですかね…」
イルネ「さっき行った所だと凄い狙われたしね」
イルモネ「それを逆手に取って思うように動いてくれて楽しかったですけどね」
イルネ「私は怖かったけどね!」
サメザー「それを楽しんでるお前は…」
イルモネ「変人だって言いたいですか!?」
サメザー「何でムキになってんだ」
イルネ「やっぱお似合いなんじゃない?」
イルモネ「あああもう、サメザーくんは私に話しかけないでください」
サメザー「いやいいけど、たまには話しかけてくれよ」
イルモネ「何でですか」
サメザー「ちょっとは話したいだろ」
イルモネ「話したくないです!」
イルネ「あはは、凄いお似合いだよー!」
イルモネ「お姉様まで…もういいです!」
イルネ「あーほら怒ったじゃん、謝って謝って」
サメザー「何で俺なんですか」
イルネ「君がおちょくるからじゃん」
サメザー「いや、俺だけじゃないような…」
今回はここまでです
話がゆ~ったり進む上に更新が遅いから完結するのがいつか分からない状況です
かと言って話をポンポン進めるとゴチャゴチャになっちゃうので、
木曜日に更新します。
投下していきます
ーー男宅ーー
男「…」
女「…」
男「…」
女「…ねえ」
男「…」
女「ねえってば」
男「なんだよ」
女「どうするの?」
男「過去の事件の詳細が分からないからな。元の目的を果たそうと思う」
女「目的って?」
男「4人目が今どこにいるかだな」
女「そっか、忘れてたね」
男「4人目の位置を探るに当たって、1つ疑問があるんだよ」
女「何?」
男「何で今回の犠牲者は全員あの事件が起きた島の付近にいたのか」
女「そういえばそうだよね」
男「もしかしたら4人目もあの島の近くにいるんじゃないか?」
女「可能性はあるけど…それが誰かも分からない状況だもんね」
男「そうなんだよな…人物さえ特定できればコネで何とかなるんだけど」
女「もしくは、なぜ犠牲者3人が島の付近に居たかが分かればいいんだけどね」
男「そっちを解明できてもかなり真相に近づきそうだな」
女「単純に、『あの時の4人でまた集まろう』みたいなノリかもよ」
男「俺もそれは思ったな。それか…」
女「それか?」
男「シャチの人魚に意図的に集合させられたか」
女「それはさすがに無いんじゃないの?」
男「無いとも言い切れないだろ。方法までは何とも言えないけどさ」
女「説得力無いねー」
男「…いや」
女「?」
男「女の説だとちょっとおかしいことになるな」
女「え、何で?」
男「あの4人だけで相談してあの島に集まったなら、シャチの人魚はそれを知りようが無いだろ?」
女「そうとも言い切れないんじゃない?」
男「何でだよ」
女「もしシャチの人魚に配下が居たとして、その人魚に常に4人の動向を調べさせればいいんだし」
男「それも無いだろ。普段は陸にいる人間をどうやって監視するんだ?」
女「あう」
男「シャチの人魚が何で犠牲者の位置を知ってたってのも、俺の説で全部納得が行くだろ」
女「でも、どうやったらそんなことできるの?」
男「あー…それはだな」
女「ほら、思い浮かばないんじゃん」
男「…まあ、何か方法があるんだよ」
女「アバウトだねー」
男「…こんなことしてる間にもシャチの人魚は動いてるんだ。よく考えるぞ」
女「って言われても…」
男「予想でも当たることはあるだろ。闇雲にミリスに動いてもらうよりマシだ」
女「うーん…」
男「…」
女「…」
男「…」
女「あ、ねえ」
男「ん?」
女「過去の事件を探る方でもいいんだよね」
男「そうだけど…何かアテがあるのか?」
女「イルネちゃん達に調べてもらえばいいんじゃない?」
男「イルネ?何であいつらが出てくるんだ」
女「海底で過去にそれほどの事件があったんだから、海底でも記録として残されてるはずだよ」
男「あー…確かに」
女「じゃあ、さっそく」
男「でも、それで人物名なんて細かい所まで探れるのか?」
女「あ」
男「…可能性は無くはないけどさ」
女「じゃあ、賭けてみようよ。予想よりかはだいぶマシでしょ?」
男「まあ、そうだな」ピッ
女「上手く行くといいけどね…」
男「もしもし、ドジョニス?」
ドジョニス『どうした』
男「イルネ達に過去に起きた誘拐事件について、調べてもらえるよう頼んでくれ」
ドジョニス『分かった』ピッ
女「相変わらずサッパリした会話だね」
男「これくらい簡略されてる方が早く済むだろ」
女「まあね」
ピリリリリリリ
男「ん?」
女「誰?」
男「イルネ?」ピッ
イルネ『もしもし?電波届いてる?』
男「ああ、今海上近くなのか?」
イルネ『割とその辺かな。で、何だっけ?』
男「過去の誘拐事件について調べてほしいんだよ。犯人の名前が知りたい」
イルネ『…あー、ごめん。今はそんな暇無いんだ』
男「何かあったのか?」
イルネ『暴動を鎮める手伝いをしてるよ』
男「暴動の…?」
イルネ『うん。マイプリンセスには悪いけどね…』
男「どういうことだよ」
イルネ『…』
男「…いや、やっぱいい。何か理由があるんだよな」
イルネ『大したことじゃないよ。けど、私達はこっちを済ませなきゃ』
男「分かってる。けど」
イルネ『うん、終わったらすぐマイプリンセスの所に行くよ』
男「…頼むぞ」
イルネ『うん。もうちょっとだから』
男「…」
イルネ『ごめん、急ぐから。もう切るね』ピッ
男「…」
女「…話、聞こえてたよ。どうしよう?」
男「…さあ。どうするかな」
女「…」
男「裏切られたとは思ってないけど…裏切られた気分だな」
女「…ね」
男「…ん」
女「私はさ、もうこのままでもいいと思うよ?」
男「…何だよ、このままって」
女「何もできないならさ、もう成り行きを見守るしかないじゃん」
男「…まあ、一理ある、かな」
女「ね、男、疲れてるでしょ?」
男「…そうかも」
女「一緒に寝ようよ。私も疲れちゃったし」
男「…」
女「今思えばさ、私達付き合ってるのにそれらしいことあんまししてこなかったよね」
男「…ごめん」
女「男が悪いって言ってるんじゃないよ?」
男「…」
女「私も…ほら、その」
男「悪かった、って?」
女「うん。それ。一理ある!」
男「…真似すんなよ」
女「えへ」
男「…ははっ」
女「あ、男久しぶりに笑ったね」
男「…まあ、確かに、疲れたかな…」
女「ね、無理は良くないよ?」
男「…そうだな」
女「うん、じゃあさ」
男「…」
女「…」
男「…何で黙るんだよ」
女「…ほら」クイッ
男「何だ、引っ張るなよ」
女「一緒に寝ようよ」
男「…どうしたんだお前」
女「ねえ」
男「…」
女「寝ようよ…」
男「…」
女「…ねえ」
男「………」
女「…寝てるの?」
男「…すまん」
女「…そう」
男「…」
女「…ごめん」
男「いや、お前が謝ることじゃないだろ」
女「うん…」
男「ありがとう、元気出たよ」
女「…」
男「よし、行くか」
女「え?」
男「やることが無い訳じゃない。まだやれる」
女「これ以上、何をするの?」
男「俺あの島に行く」
女「えぇっ!」
男「これしかないだろ」
女「びっくりだよ…」
男「俺としたことが、約束を破るとこだったな」
女「…」
男「…危険だし、お前はここにいてほしいけど…」
女「やだ。行くよ」
男「分かってるよ。契約もあるしな」
今回はここまでです
お久しぶりです
0時以降に更新します
すいません、寝落ちしちゃいました…
今日の23時頃更新します
どうも
遅れましたが更新します
ーー一方その頃ーー
ミリス「…」
ミリス「…落ち着こう…」
ミリス「取り乱したらダメだ」
ミリス「今シャチを捕らえるのに一番近い位置にいるのは私なんだ」
ミリス「チャンスはあるかもしれない」
ミリス「油断して逃したら悔やんでも悔やみきれないからな…」
ミリス「3人目はあの船か」
ミリス「…」
ミリス「…あまり考えたくない」
ミリス「…悲しいな」
ミリス「何でこんなことになったのか…」
ミリス「悲しむくらいなら頼まなければ良かったな」
ーーとある船上ーー
男「間に合うか…」
女「何で船なんかあるの…」
男「色んなコネがあるって言っただろ」
女「そんじょそこらの若者が用意できる代物じゃないんだけど…」
男「まあ、その辺の説明は割愛するよ。あんまり言いたくないしな」
女「ならそんなに詮索しないけど…」
男「まずはミリスの所に向かう」
女「でも、あの辺警察がいるんじゃ?」
男「警察がカバーしてる範囲外でミリスを呼べばいい」
女「ミリスちゃんに持ち場離れてもらっていいの?」
男「ほんの少しだけだから大丈夫だろ。3人目は船の中みたいだし」
女「その隙を突かれてもおかしくないけどね…」
男「その可能性は無くも無いけど…」
女「普通に電話でいいんじゃ?」
男「まあ電話でいいけど…ちょっとな」
女「ちょっとって、何かあったの?」
男「この前あいつ電話してる時誰かに殴られて気絶してたろ?」
女「あー…」
男「あいつの後をつく奴がいるんじゃないかと思うとさ」
女「んー…」
男「イルネ達がこっちに合流してくれるまで、俺達で頑張らないとな」
女「…まだ信用してるの?」
男「あいつらにも何か事情があるんだろ」
女「だとしても、こんな状況で裏切るなんて…」
男「俺達が言えたことじゃないだろ…」
女「う」
男「もうそろそろかな…おーい」
船長「はい」
男「ここらで止めてくれ」
船長「分かりました」
女「おー…それっぽい」
男「それっぽいって何だよ…とりあえず電話するぞ」ピッ
ミリス『…なんだ』
男「今お前の近くにいるぞ。船の近くにいるか?」
ミリス『近く?一体何をしてるんだ…』
男「色々あってな」
ミリス『何を意味の分からないことを…とっとと戻れ!』
男「そう怒るなよ。戻ってもやれることがないんだ」
ミリス『こんな所にいたらもっとやることがないだろう…』
男「それは後から考えるよ。とりあえずこっちに来てくれ」
ミリス『…時間の無駄だ。いつシャチが来るか分からない』
男「…じゃあ電話で済ますよ。ただ背後には気をつけてくれよ」
ミリス『あれは油断しただけだ』
男「…イルネから話は聞いたのか?」
ミリス『?いや、聞いてないが』
男「あいつらはあいつらでやることがあるらしい。こっちの手伝いは一切できないみたいだ」
ミリス『暴動か?』
男「ああ。あいつらが王家であることを考えると仕方ないけどな…」
ミリス『イルネの意思なら何も言わないが…』
男「とりあえず、俺達は島を目指す」
ミリス『あの島に…?』
男「今思えばあの島が結構怪しいんだよ。過去の事件と言い被害者がいた場所と言い」
ミリス『確かにそうだが…』
男「もしかしたら、4人目がいるかもしれないしな」
ミリス『…』
男「陸上ばっかりは人魚であるお前には調べようがないだろ」
ミリス『…まあ、そうだな』
男「とりあえずそれだけだ」
ミリス『…』
男「何か分かったら連絡する」
ミリス『…ああ』
男「じゃあ」
ミリス『無茶はするなよ」
男「え?ああ」
ミリス『…』ピッ
女「ねえ」
男「ん?」
女「あの島に行くって言ったけど、どうやって入るの?」
男「どうやってって…普通に」
女「でも、警察がいるんでしょ?」
男「コネがあるって言っただろ?」
女「裏技みたいな感じなの?」
男「まあ、そんじょそこらの奴が使えるものじゃないな」
ーー海底ーー
イルネ「離せっての!」
???「あー無理無理。親方の命令だし」
イルネ「くそっ!」
???「王家ともいえど、油断して捕まったらただの女だな」
イルネ「ううう…」
???「もう一匹を逃したのは残念だけど…」
イルネ「何でこんなことするの…?」
???「何でって…別に俺はねえ…」
イルネ「…あなたの意思じゃないの?」
???「親方の命令だって言ったじゃん。親方が最終的に何をしたいのかまでは知らないけどさ」
イルネ「あなた達は一体なんなの…」
???「強いて言うなら反発派の一味」
イルネ「反発派の…」
???「親方は反発派のボスなんだぜ」
イルネ「ボス…?反発派に?」
???「あら、反発派にボスがいるって知らなかったのか」
イルネ「ただの極悪集団だと思ってた…」
???「そんなことも知らずに制圧して回ってたんだ?ご苦労さん」
イルネ「くうぅ…」
???「まあボスは滅多に海底の集落に姿を現さないから仕方ないか」
イルネ「…」
???「知ってた?反発派の殆どはボスの見た目すら知らないまま、命令に従ってるんだぜ」
イルネ「…何なのそいつは」
???「本人が言うには、王家のはぐれものだってさ」
イルネ「王家の!?」
???「そうらしいな。王家の闇とも言われてるけど」
イルネ「そんなの、聞いたことない…」
???「まあ、王家でもほんとに一部しか知らないんだろうな」
イルネ「誰なの、そいつは」
???「さすがにそこまでは言えないな。お喋りが好きな俺でもねぇ」
イルネ「…」
???「…まあ、お前どうせ死ぬだろうし教えてあげてもいいけどさ」
イルネ「その前に」
???「ん?」
イルネ「敬語使おうね?」
今回はここまでです
明日というか今日更新したい
結局更新できず10日も経っちゃいました。。。
ーー海中ーー
イルモネ(どうしましょう、どうしましょう…)
イルモネ(まさかお姉様が捕まるなんて)
イルモネ(私だけでもと逃がしてくれましたけど…)
イルモネ(早く、早く助けないと)
イルモネ(まずは…)
イルモネ(ドジョニスさんに連絡しましょう)ピッ
ドジョニス『どうした?』
イルモネ「あの、お姉様が…」
ドジョニス『何かあったのか』
イルモネ「あの…サメザーくんに…捕まっちゃって…」
ドジョニス『サメザー?』
イルモネ「私の友達…知り合いです」
ドジョニス『友達がなぜイルネを捕らえるんだ?』
イルモネ「理由までは分かりません。お姉様は私だけでもと…」
ドジョニス『そうか…とりあえず、ミリスに伝えておこう』
イルモネ「ありがとうございます…」ピッ
イルモネ「はぁ…」
イルモネ「お姉様…大丈夫なのでしょうか…」
イルモネ「…しかし…」
イルモネ「ミリスさんやお兄さんは協力してくれるのでしょうか…」
イルモネ「…」
イルモネ「…私達から裏切ったようなものですし、やっぱり無理ですよね…」
ーー例の島ーー
男「結構広いんだな…」
女「ていうか、あっさり入れたことにびっくりだよ」
男「ここに最後の一人がいればいいんだけどな」
女「いるのかな?」
男「さっき軽く警察に話を聞いたけど、『あの事件』が関わってるってことでろくなこと聞き出せなかったよ」
女「でも入れてくれるんだね」
男「自力で探せってことかね」
女「薄情だね」
男「そんなもんさ」
女「私が警察なら少しくらい情報流すのに」
男「いや、それアウトだから…あ」
女「?」
男「俺の妹からのメッセージだけ伝えられた」
女「何で警察経由で…」
男「俺がそういうコネを持ってるって所から察してくれ」
女「全く繋がりが見えないよ」
男「んー…俺の母さんはさ、心配性なんだよ」
女「へぇ」
男「俺が家を出てから、ずっと動向をチェックしてるらしいんだ」
女「窮屈だね」
男「まあな…で、妹がその流れに乗っかってメッセージを伝えた感じかな」
女「どんなメッセージ?」
男「要約すると『死なないでー』って感じ」
女「何か、質素というか、味気ないというか」
男「あいつ、言葉を文にするのとことん苦手だしな」
女「あー、分かる」
ピリリリリリリ
男「ん?」
女「電話?」
男「ミリスだ…もしもし」ピッ
ミリス『男。大変だ』
男「何かあったのか」
ミリス『イルネが捕らわれたらしい』
男「イルネが…?」
ミリス『ああ、助けに行かないと』
男「待てよ。こっちの問題もあるだろ」
ミリス『…あまり言いたくないが、私はイルネの方が大事なんだ』
男「けど、海底には兵がいるだろ?」
ミリス『今はまだ暴徒の鎮圧中だろう』
男「次期王女だぞ?暴徒なんか構ってる暇ねえだろ」
ミリス『それが…その』
男「?」
ミリス『大勢の暴徒を前に、背を向けてイルネを探すとなると…』
男「街や兵に支障が出ると」
ミリス『そういうことだ。それは望ましくないとのことで、今は捜索されていない』
男「…言いたくないけど、最低だな。いや、最低どころじゃねえよ」
ミリス『…王の決定だ。反対できる者がいるはずもない』
男「…」
ミリス『…今は、王だけがイルネを捜している状態だ。イルモネはもう保護されてる』
男「…はぁ」
ミリス『兵の中には、イルネが死んでもイルモネがいるということで納得してる者もいる』
男「…」
ミリス『もちろん納得してない者もいるだろう。だが』
男「分かったよ」
ミリス『…』
男「行ってこいよ。イルネを助けてやれ」
ミリス『…すまん』
男「いいさ。俺もイルネが死んだら悲しいしな」
ミリス『すぐ戻ってくるから』
男「その前に。犯人は分かっているのか?」
ミリス『…サメザーだ』
男「サメザーって、あの服を盗んだ?」
ミリス『ああ。奴も反発派の一員らしい』
男「…思いっきり殴ってやれ。そんですぐ戻って来い」
ミリス『ああ、必ず』
男「じゃあな。死ぬなよ?」
ミリス『死なないさ。約束もあるんだ』ピッ
女「イルネちゃん…捕まったの?」
男「どうもそうらしいな」
女「ミリスちゃんは?」
男「助けに行くって。つくづくいい奴だよな」
女「…どうするの」
男「さあ。元々俺たちにできることは限られてるしな」
女「…」
男「…けど、ミリスがいない間に犯人が来たらもうチャンスは無いかもしれない」
女「けど、もう待ち伏せなんてできないよ?」
男「…一応、イルモネがいるけど」
女「イルモネちゃんは…」
男「ああ。イルネやイルモネじゃ返り討ちに遭うだろうな」
女「ひたすらミリスちゃんを待つしかないね」
男「ミリスが来るまでに、犯人が来ないことを祈るだけだな」
とりあえずあと10回以内に終わらせたい
10回以内と言ってもパパッと終わらせるつもりなので5回以内が理想なんですが
そんなわけで今日の夜更新したい
いつも通り遅れましたが更新します
ーー海中ーー
ミリス「イルモネ、今どの辺だ」
イルモネ『えっ、ソドム集落のあたりです』
ミリス「ソドムか…すまんが5分ほど待っててくれ」
イルモネ『…来てくれるんですか』
ミリス「行かない理由が無いだろう。友達だ」
イルモネ『でも、私達は』
ミリス「別にどうでもいい。そっちにはそっちの都合があったんだろ?」
イルモネ『…そうですが…』
ミリス「ならいいだろう。私は何も言わないさ」
イルモネ『…すいません…』
ミリス「謝らなくていい。謝ることじゃない」
イルモネ『…すいません』
ミリス「謝らなくていいと言ってるだろうが。私を怒らせたいなら別だが」
イルモネ『…』
ミリス「…いや、ここで怒るのはお門違いか」
イルモネ『罰はいくらでも受けます』
ミリス「罰?何の罰だ」
イルモネ『え、えっと』
ミリス「…罰なんて言葉を気安く使うな」
イルモネ『…はい』
ミリス「…」
イルモネ『…』
ミリス「…そう言えば、最初の被害者に残されていたメッセージ…」
イルモネ『…天罰、ですか』
ミリス「天罰っていうのは、時の如く天からの罰だ」
イルモネ『神様からの罰、ですか』
ミリス「ああ。天罰なんてものは誰が下す訳でも無い」
イルモネ『…』
ミリス「…すまん、独り言だ。もうすぐ着く」
イルモネ『え、あ…はい』
ーー島にてーー
男「…」
女「…な、なんか変な小屋があるね」
男「一応…家なのか?」
女「寝るくらいはできるんじゃない?」
男「床とか無いだろ…」
女「もしかしたらあそこにいるかもよ」
男「というより、あーいうとこにいなかったらどこにいるんだって感じだな」
女「とりあえず訪ねてみようよ」
男「何か怖いな」
女「化物が出てくる訳でもないしさ」
男「まあそうだけど…」
女「ほら、行った行った」
男「お前はここで待ってろよ」
女「え、分かってるよ?」
男「…行ってくる」
女「うん」
ーーーーーーーーーーーーーー
男(…これ、ドアなのかな)
男(大きい板が立てかけてあるだけだし)
男(…っていうか、こんな無人島のどこからこんな板調達したんだろ)
男「…すいませーん」コンコン
???「はい」
男「うわっ、えっと…」
???「警察かい?」
男「いや、違いますよ」
???「…何か用なのかな」
男「あ、はい」
???「そうか…まあ中に入ってくれ」ズズズ
男(あ…この板スライドして開けるんだ…)
???「何も無いけどな」
男「…あの」
???「さっそく本題かい?」
男「はい」
???「直球だな。まず名乗るくらいしような」
男「あ…僕は男って言います」
ウェンダー「俺はウェンダーって言うんだ。よろしく」スッ
男「…よろしくお願いします」ギュッ
ウェンダー「で、何の用なんだ?」
男「…あまり言われなくても分かると思いますが…」
ウェンダー「…例の事件か」
男「はい。マークさんも狙われています」
ウェンダー「[ピーーー]順にこだわりは無いだろうからな…危険だな」
男「犯人に心当たりは?」
ウェンダー「あるっちゃあるが、無いようなものだ」
男「…一応、聞かせてください」
ウェンダー「…私が過去は知っているのか?」
男「…人魚、ですね」
ウェンダー「ああ」
男「…人魚が犯人と?」
ウェンダー「だろうな。数年遅れの復讐だろう」
男「…」
ウェンダー「犯人が人魚まではわかるさ。…不特定多数の人魚というところまではな」
男「…今回の事件は全てたった一匹の人魚の犯行です」
ウェンダー「…知ったような口ぶりだな。なぜそこまで分かる?」
男「…」
ウェンダー「答えられないか」
男「…そう、ですね」
ウェンダー「いいさ。そこまで知ろうとは思わない。知る意味も無いからな」
男「一つ、質問があります」
ウェンダー「何だ?」
男「…なぜ、今になってまたこの島に?」
ウェンダー「…」
男「ここまでの被害者は、全員この島を目指しています」
ウェンダー「…んー」ボリボリ
男「…何か、目的が?」
ウェンダー「…答えられない、な」
男「…分かりました」
ウェンダー「…」
男「…最後に、一つだけ」
ウェンダー「なんだ」
男「僕は、あなたが助かってほしいとは思っていません。あなたは仮にも犯罪者だ」
ウェンダー「なら、なぜこの事件に首を突っ込む?」
男「…友達のためです」
ウェンダー「…若いな」
男「正義とかじゃないですよ」
ウェンダー「なら、お前のしていることは偽善だ」
男「そうですよ。でも、それでいい。偽善が約束を守ってくれるから」
ウェンダー「…約束、ねえ」
男「…約束は、破りたくありません。絆を裏切ることになる」
ウェンダー「俺には絆なんてもう存在しないがな」
男「…大人だから、ですか?」
ウェンダー「…いや、お前とは分かり合えないってことだろうな」
男「…」
ーーーーーーーーーーーーーー
女「どうだった?」
男「…あいつは、自分が狙われてることを分かってる」
女「じゃあ、大丈夫かな」
男「ああ。マークも、同じような考えのはずだ」
女「良かった」
男「けど、このままじゃ事態は進展しない。結局犯人はまだ捕まってない。姿すら見えてないんだ」
女「…そうだね」
男「あいつらが生き残る為には、人魚が来れない陸上で住まうことだ」
女「それなら人魚は絶対に殺せないからね」
男「けど、今回は特殊なケースだ」
女「?」
男「目的は分からないけど、被害者の3人とあの男…ウェンダーはこの島にもう一度集まる予定だった」
女「過去に、事件を起こした4人がまたこの島に?」
男「ああ。そして犯人もそれを知っていた。だからこその完璧なタイミングでの暴動だ」
女「…」
男「ウェンダーとマークはもう事態の深刻さを察知してる。下手に動きはしないだろ」
女「だといいけどね」
男「あの2人がこのまま陸に籠城してくれれば犯人はもう狙いようがない」
女「そのうち暴動も鎮まって事件解決だね」
男「…と行きたい所だけど、ここまで狡猾な手口だと…」
女「暴動が鎮まってもまだ終わらない?」
男「可能性は高い。いくつか手を打ってくるはずだ」
女「…例えば?」
男「暴動が終わるまでに、ウェンダーとマークが島から出ようとする」
女「それはさすがに無理なんじゃ…」
男「…それか」
女「?」
男「暴動が終わったあとに、王が動けないようにする」
女「え、王が動けないようにって…」
男「そのまんまさ。今回の暴動の主目的は、兵を使えなくすることにある」
女「人間でいうところの警察みたいな?」
男「そう。兵を抑えておけば犯人は動き放題だ」
女「だから暴動を…」
男「暴動が鎮まっても、王が動けない状況になれば変わりはないさ」
女「でも、そんな状況ありえるの?」
男「ありえる」
女「えっ」
男「イルネとイルモネ…あいつらだ」
女「えっ、何で何で?」
男「あの2人は次期王女だ。その2人のうちどちらかがさらわれたってなると…」
女「そっか、王は兵力を全屈指してでも取り戻すね」
男「ああ。だから解決の道は犯人を捕らえるか…」
女「捕らえるか?」
男「ウェンダーとマークに死んでもらうしかない」
今日はここまでです
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何時になるか分かりません
もしかしたら3時とかになるかもです
投下していきます
ーー???ーー
イルネ「早く解放して」
サメザー「って言われて解放できるほど、こっちも余裕は無いんだよ」
イルネ「そんなのどうでもいい」
サメザー「そりゃそっちの都合が都合だしな。でもこっちの都合もあるんだよ」
イルネ「早く解放しろ!」
サメザー「何だ、怒ったらキャラ変わるのか?」
イルネ「うるさい!」
サメザー「俺たちは間違ったことをしちゃいるけど、今は間違ったこと言ってねえよ。怒られる筋合いじゃない」
イルネ「ううぅ…」
サメザー「とりあえず落ち着け。俺はお前を捕らえてどうこうしようってんじゃないんだ」
イルネ「…じゃあ、何するつもり?」
サメザー「さあ…?」
イルネ「…じゃあ、せめてボスの名前を教えて」
サメザー「うーん…」
イルネ「言えない訳じゃないでしょう」
サメザー「いや、普通言えないと思うけど…」
イルネ「あと、敬語使おうね」
サメザー「こんな状況で敬語もクソも無いだろ」
イルネ「あるよ」
サメザー「まあ従う義理も無いし断るけど」
イルネ「早く。教えて」
サメザー「ほんと勝手だな…捕まってる自覚あるのか」
イルネ「あるよ」
サメザー「うーん…まあいいかな」
イルネ「…」
サメザー「ボスの名前はな」
ミリス「見つけたぞ」
サメザー「うぇ!?」
イルモネ「お姉様!」
イルネ「イルモネ!マイプリンセスも!」
サメザー「何でここが分かったんだ?」
ミリス「イルネの携帯を探知した」
イルモネ「王家の技術です!」
サメザー「うわちゃー、そんなの知らなかったな」
イルネ「さあ。早く解放して」
サメザー「さすがに逃げ切れないか…分かったよ」カチャカチャ
イルネ「ふぅ…」
イルモネ「お姉様!」
イルネ「ありがとう、イルモネ。すぐマイプリンセスを呼んでくれたんだね」
イルモネ「はい!」
イルネ「…ありがとう、あんな事言ったのに」
ミリス「イルネまで同じ事を言うか…別に気にしていないよ」
イルネ「うん、でも」
ミリス「ほんとそっくりな姉妹だな。私がいいって言ってるんだ。大丈夫だよ」
イルネ「う、うん…」
ミリス「さて」
サメザー「あ、俺?」
ミリス「お前以外にいないだろう」
サメザー「分かったよ、降参する。これ以上何も抵抗しないよ」
ミリス「それもあるが…なぜイルネを捕まえたんだ?」
サメザー「あんたをここへ呼ぶ為だよ」
ミリス「私を…?」
サメザー「意外に鈍感だな。まだ分からない?」
ミリス「…まさか」
サメザー「頑張れば間に合うかもよ?」
ミリス「くそっ!」ビュン
イルモネ「あ、ミリスさん!」
サメザー「じゃ、俺もおいとましようかな」
イルネ「待って、その前に」
サメザー「?」
イルネ「結局、ボスの名前は何なの?」
サメザー「ミレース」
イルネ「ミレース…聞いたことないね」
イルモネ「シャチをもじった訳でもないですし」
イルネ「ミレース…ミレース…」
イルモネ「…あの」
サメザー「ん?」
イルモネ「もしかして、ミリスさんの血縁の方ではないでしょうか?」
イルネ「えええ?」
ーー島ーー
男「ミリスが行ってから20分か…」
女「大丈夫かな?」
男「ミリスなら大丈夫だろ。心配ない」
女「まあ、そうだね」
男「犯人もさすがに出て来れないか」
女「さすがに、標的が陸の上だとね…」
男「何か手を打ってくるかと思ってたけど、大丈夫かな」
ドォン!!!
女「ふぇ?」
男「爆発音がした!」
ウェンダー「おい、何事だ」
男「分かりません、急に何か爆発したような音が…」
ウェンダー「行ってみるぞ」
男「待ってください!」
ウェンダー「なんだ」
男「あなたは命を狙われている。もし迎えば、そこに犯人がいる可能性もある!」
ウェンダー「そうだが…」
男「仲間を思う気持ちも分かります。でも、ここは俺が行きます」
女「男…」
男「ウェンダーさんはここにいてください。陸の上なら絶対に安全です」
ウェンダー「…そうか。すまない」
男「いえ、大丈夫です。僕もこれ以上死者を出したくないので」
ウェンダー「…若いな」
男「女、お前もここにいろ」
女「え、私も行くよ」
男「ダメだ。お前までかばいきれない」
女「…お荷物ってこと?」
男「…」
女「…分かったよ。ここにいる」
男「ごめん」
女「いいよ。けど」
男「ん?」
女「死なないでね、絶対」
男「約束は絶対破らない。知ってるだろ」
ーーーーーーーーーーーーーー
男「…ひどい…」
男「なんだこれ、船が爆発したのか…?」
男「…救命ボートがジャングルまで飛ばされてる…間違いないな」
男「砂浜に船が乗り上げて、その後爆発したのか」
男「…ケガ人は、いないのか…?」
男「!」
警察官「う…うぅ…」
男「大丈夫ですか!?」
警察官「あ…あぁ…助けか…?」
男「すぐに他の船を呼びます!」
警察官「無理だ…全部、沈められた」
男「…全部…」
警察官「いきなり、だったよ…後方の船が沈んだと思ったら、もうこの船は砂浜に飛ばされてた」
男「飛ばされたって…人為的に?」
警察官「だろうな…船が故障したわけでもない」
男(シャチの仕業…?)
警察官「あぁ…ここで死ぬのか…」
男「!まだ諦めないで!」
警察官「無理だ…見ろ、この血を…」
男「…」
警察官「死ぬ時は、あっけないもんだな…」
男「お名前を、教えてくれますか」
警察官「…俺の名前を聞いて…どうするんだ…?」
男「家族へ遺言を伝えます」
警察官「…そうか…優しいな」
男「…」
警察官「鳥羽…太一郎だ」
男「鳥羽…太一郎…」カキカキ
警察官「お袋に…産んでくれてありがとうと…」
男「…」カキカキ
警察官「…あとは…いい…」
男「…それだけで、いいんですか」
警察官「……ああ…」
男「…ゆっくり、眠って下さい」
警察官「…ありがとう…」
男「…」スッ
警察官「…」
男(ここまで来ると…マークさんも、もう…)
男「…」
男「おい!!!」
男「出てこいよ。俺と話をしろ!」
男「俺と腹を割って話せ!てめぇの姿を見せろ!」
ザバッ
男「お前か」
???「猛々しいな。元気なものじゃないか」
今回はここまでです
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ーー海底ーー
イルネ「マイプリンセスの血縁って…兄妹とか?」
イルモネ「さあ…ミレースさんとやらがいくつなのか分からないので」
サメザー「25」
イルモネ「じゃあ、兄妹ですかね」
イルネ「でも何で血が繋がってると思うの?」
イルモネ「名前が似てますから。ミリスさんと、ミレースさん」
サメザー「名前って…それだけで?」
イルネ「海底での名前の重みを知らないの?」
サメザー「え」
イルモネ「名前は家系と血縁を表しています。大体の人は名前で何の魚か分かりますよね?」
サメザー「あー…確かに」
イルネ「兄弟とか姉妹だと、名前を似せる決まりもあるんだよ。親子は別らしいけど」
イルモネ「けど、必ず一部分は一緒ですね」
サメザー「知らなかった」
イルモネ「まだまだ勉強不足ですね」
サメザー「本なんか読みたくないからな」
イルモネ「面白いですよ?知らないことばっかりです」
サメザー「あーあー、分かった分かった」
イルモネ「あなたとは一生分かり合える気がしませんね」
サメザー「こっちのセリフ」
イルネ「今更なんだけど」
イルモネ「はい?」
イルネ「マイプリンセスって、何の魚なんだろう」
イルモネ「さあ…未だに謎ですね」
サメザー「深海魚なんじゃないのか?」
イルネ「確かに深海魚には、まだ私達が知らないようなの一杯いるけど…」
イルモネ「深海魚って、もっとグロテスクですよね」
イルネ「そう。それ」
イルモネ「でも…ミリスさんの尾ひれ、どこかで見たことあるような気がするんですけど」
サメザー「どことなく、俺と似てないか?」
イルネ「…否定できないのが悔しい」
イルモネ「じゃあ、サメの一種なんですかね?」
イルネ「あんなサメ見たことないよ…」
サメザー「新種かもしれないだろ」
イルネ「そんな簡単に新種は見つからないよ!」
イルモネ「お姉様、どうどう」
サメザー「じゃあ、あとは異種交配しかないだろ」
イルモネ「異種交配…」
イルネ「異種交配って、禁忌じゃん」
サメザー「でも、それしかない」
イルモネ「異種交配だと、異形の生物が生まれる訳ありません。ミリスさんが異形ですか?」
イルネ「そうだよ!マイプリンセスは綺麗なの!」
サメザー「でも、それってただの言い伝えだろ」
イルモネ「う」
サメザー「実際に異生物が生まれるかどうかなんて分からないし」
イルネ「うう」
サメザー「ほんとは、ミリスみたいに普通の人魚が生まれるだけなんじゃないのか」
イルモネ「…返す言葉も無い…」
イルネ「けど、それが正解かは分からないじゃん!」
サメザー「けど、これが一番有力だろ?」
イルネ「…返す言葉も無い…」
サメザー「まあ、問題は何との異種交配かってことだけど」
イルネ「…」
イルモネ「…あるとしたら、まずサメ」
サメザー「それは間違いないだろうな」
イルネ「もう片方は?」
イルモネ「…さあ」
イルネ「…分からないなら分からないでいっか」
サメザー「いやいや、気になるだろ」
イルネ「別に、マイプリンセスが何の人魚が知ったところで意味ないからね」
イルモネ「…そうですね、確かに」
サメザー「あーあー、美しい友情だね」
イルネ「友情じゃない、愛情だよ!」
サメザー「真顔で言うなよ…」
イルネ「イルモネ、そろそろ行こう!」
イルモネ「あ、はい!」
ーー島ーー
男「誰のせいだ。猛々しいのは」
ミレース「俺のせいか?」
男「お前以外いないだろ。関係無い人間まで殺しやがって」
ミレース「それは…ああ、すまない」
男「そんなもんで済むか!」
ミレース「標的が見つからなくてな…片っ端から潰していったらこうなった」
男「てめえ」
ミレース「で、俺に何の用なんだ?」
男(…落ち着け、今は時間を稼ぐ)
男「何で人間を狙う?」
ミレース「復讐…いや、天罰だな」
男「天罰…あの事件が関係しているのか?」
ミレース「何だ、知っているのか」
男「少しくらいならな」
ミレース「悲しい事件だったな。王女様が殺されるとは」
男「あんまり悲しそうじゃないな」
ミレース「前王女は俺の血縁じゃない。正直どうでもいいさ」
男「じゃあ、復讐する理由なんて」
ミレース「あるさ」
男「…関係者に、親しい人魚が?」
ミレース「親しいなんてもんじゃない。兄妹だ」
男「兄弟…」
ミレース「…俺の妹は、卑劣な人間共にさらわれた」
男「…人質になった人魚か」
ミレース「そうだ。さぞかしショックだったんだろう。それまでの記憶を失くしてた」
男(記憶喪失…)
ミレース「俺もショックだったさ。あんなに好きだった妹が、急に妹じゃなく感じた」
男「記憶を失くしたら、別人に感じるかもな…」
ミレース「そこで復讐を誓った」
男「…で、この計画か」
ミレース「あと一人だ。何としてもあぶり出す」
男「ダメだ」
ミレース「なぜだ?あんな愚劣な人間を生かす必要は無い。今回も企みがあってこの島に集まったようだからな」
男「それでも、ダメだ」
ミレース「分からない人間だな。あいつらの味方なのか?」
男「違う」
ミレース「ならなぜかばうんだ?」
男「約束だから」
ミレース「約束…」
男「あいつとの約束だしな」
ミレース「…そうか」
男「お前ら人魚の存在を危険視されない為にも、ここは退いてくれ。頼む」
ミレース「…聞けないな」
男「…」
ミレース「俺には俺の目的がある」
男(まだか…)
ミレース「妹の為にも」
男(ミリス…)
ミレース「…また会おう」
ザバッ
男「ミリス!」
ミリス「止まれ!」
ミレース「………ミリス………?」
ミリス「お前が全ての元凶か!」
ミレース「ミリス…なのか?」
ミリス「な…何だ」
男「ミリス!離れろ!」
ミリス「くっ!」
ミレース「…ミリス。俺を覚えていないか?」
ミリス「誰だ…お前は」
男「…お前、まさか」
ミレース「ミリス」
ミリス「何だ…なんなんだ?」
男「まさか、お前の妹って」
ミレース「ミリス…久しぶりだな」
ミリス「…どういうことだ?」
男「お前は…そいつの妹らしい」
ミリス「私が…こいつの?」
ミレース「…記憶は…失くしたままか」
ミリス「…記憶…」
ミレース「覚えていないか。13年前のあの事件を」
ミリス「じゅう…さんねん…まえ…」
男「ミリス…」
ミリス「うぐっ」
今回はここまでです
今日更新します
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男「おい、大丈夫か?」
ミリス「うぐっ…」
男「ミリス!」
ミリス「あああああああああ」ガクガク
男「お前!何かしたな!?」
ミレース「話しただけだ。お前も見ていただろう?」
男「くそ…ミリス!」
ミリス「ああ、あああああ、あああああああ!!!」
男「おい!」
ミレース「…」
ミリス「…っはぁ…はあ…」
男「だ、大丈夫か…」
ミリス「…すまない、混乱した」
男「混乱って…」
ミリス「…少しだけ、思い出した」
男「思い出したって…何を?」
ミリス「13年前…私は…」
ミレース「俺が殺した男たちに誘拐された」
男「誘拐?」
ミレース「13年前の事件、知らないのか?」
男「…アバウトにしか…」
ミレース「…隠す必要も無い。教えてやろう」
男「…」
ミレース「13年前、女王と仲の良かったとある人魚が子供を引き連れて地上へ視察に行った」
男「子供って…それがミリス?」
ミレース「そうだ。そこで、ミリスは母が目を話したすきにはぐれてしまう」
ミリス「ううぅ…」
ミレース「…ミリスは陸に上がったらしい。陸というより、この島だな」
男「そうなのか」
ミリス「…ああ…」
ミレース「そこで人間に捕まった。人間も興味本位だったんだろうがな」
男「…」
ミレース「…何をされたかまでは知らん。知りたくもないがな」
男「…同感だ」
ミリス「うぐっ!…うう…」
男「ミリス、大丈夫か?」
ミリス「…大丈夫だ」
ミレース「…ミリスを見つけた母は、人間と交渉した」
男「交渉、か」
ミレース「人間はミリスと引き換えに財宝を要求した」
男「…よくあるパターンだな」
ミレース「海底と言えど、財宝など簡単に持っていない。そこで母は女王に相談した」
男「そっか、仲良かったんだったな」
ミレース「女王はこれを承諾した。財宝を引き渡す役目も女王が請け負った」
男「…つくづく優しい人魚だな、前女王は」
ミレース「しかし…人間は交渉に応じなかった」
男「は?」
ミレース「財宝を受け取った後、女王とその護衛を銃で撃った」
男「…クソ野郎だな」
ミレース「護衛は一人を残して全員死んだ。女王も瀕死だった」
男「…」
ミレース「王が駆けつけたのは少し後だ」
男「…で、ミリスを助けたのは」
ミレース「…俺だ」
ミリス「…」
ミレース「かなり痛手を負ったがな」
男「その生々しい銃痕は…」
ミレース「その時に撃たれたものだ。よく生きてたよ」
男「…」
ミレース「その後は、何とか逃げた。俺は死んだものと思われていて、その場に置いてかれたがな」
男「…で、まだ生きていて…」
ミレース「こうして今、天罰を与えているのさ」
男「…ちょっと質問いいか」
ミレース「何だ?」
男「…お前、一応ミリスの兄なんだよな」
ミレース「ああ」
男「…血の繋がりはあるのか?」
ミレース「…ある」
男「ミリス、知ってたか?」
ミリス「母が、たまにそれっぽい事を口走ることがある。『あの子がいたら』って」
ミレース「母さん…ミリスが記憶を失くしたのを皮切りに、俺をいないものと思うようにしてるのか」
男「お前とミリスが兄妹って…見た目が全然違うだろ」
ミレース「…かなり複雑な事情があるのさ」
男「?」
ザバッ
イルネ「マイプリンセス!」
イルモネ「ミリスさん!お兄さんも!」
ミリス「イルネ!イルモネも!」
男「久々だな。全員集合するの」
イルモネ「お姉さんが欠けてますよ」
男「…あ、女忘れてた」
ミレース「イルカ…王家か?」
イルネ「!」
イルモネ「あなたが元凶ですか!」
ミレース「男と言ったか。1つだけ教えておこう」
男「?」
ミレース「あの2人…あの2人とも、俺の血縁だ」
男「んなっ」
イルネ「?」
ミリス「何て言ったんだ?」
ミレース「…さて、俺はまだ捕まるつもりは無い。まだ事が済んでないからな」
イルモネ「そうはいきませんよ?」
ミレース「あのクズ共を始末するまでは、死ぬ訳にはいかなくてな」
イルネ「…捕まえても、[ピーーー]訳じゃないよ?」
ミレース「そうもいかない。王に見つかれば消されるだろうな」
男「王に…?」
ミレース「俺は禁忌の証なのさ」
ミリス「…ミレース」
ミレース「…ミリス、もう少しだ。もう少しであのクズに天罰を」
ウェンダー「おいおいおいおい、クズとは言い過ぎだろ」
男「ウェンダーさん!?…と、女?」
女「…ごめん、捕まっちゃった」
ウェンダー「おい、喋るな」ドゴッ
女「うっ!」
男「てめぇ!」
イルネ「何?あの人、誰?」
ミレース「ウェンダー…俺の標的だ」
イルネ「…やらせないよ!」
ミレース「…この状況でもか?」
イルネ「う…」
男「女を離せ」
ウェンダー「おっと、動くなよ?」
女「うっ」
イルモネ「ナイフ…」
ミリス「卑怯者が…」ギリッ
ウェンダー「俺は取引をしたいだけさ」
男「取引…」
ウェンダー「俺はこいつを引き渡す。代わりに、その男の人魚に死んでもらって…」
ミレース「…いい度胸だな」
ウェンダー「あと、その女の人魚を1匹もらおうか」
男「…」
ミリス「…分かった。私がそちらへ行こう」
男「ミリス!」
イルネ「ちょっと、マイプリンセス…冗談やめてよ」
ミリス「冗談じゃないさ」
ミレース「ダメだ。それだけは許さん」
ミリス「…たとえ兄だとしても、聞けないこともある」
イルモネ「…兄?」
イルネ「イルモネの予想、当たってたね」
ミレース「お前が行くまでもない。あいつを殺せば済む話だ」
ミリス「…それは許さない」
ミレース「お前があちらへ行っても、必ず奴は殺す」
男「…」
ウェンダー「さあ、どうするんだ?」
ミレース「男…あいつをもう少しこっちへ近づけろ」
男「…うるせえ」
ミレース「何?」
男「お前にあいつは殺させない」
ミレース「…手段を選べる状況か?」
男「…女がピンチなんだ。ならそれを助けるのは俺だろうが!」
イルモネ「…お兄さん」
今回はここまでです
ウェンダー「粋がるなよ、ガキが」
男「…」
ウェンダー「お前の彼女だろ?こいつ」
女「男ぉ…」
ウェンダー「おいおい、死なせてもいいのかよ」
男「ミレース」
ミレース「何だ?」
男「あいつが女を殺したら、即座にあいつ殺してくれ」
ミレース「断る」
男「んな」
ミレース「あいつは私の標的だ。お前に指図されて殺すのは復讐にならない」
男「ああそうかよ。じゃあミリス」
ミリス「ん?」
男「ミレースがあいつ殺そうとしたら、お前が止めてくれ」
ミレース「…」
男「さすがに実の妹は殺せないだろ?」
ミレース「考えたな」
てす
こっちはほとんど放置していつ落ちてもおかしくないんですよね…
オチまでは考えてあるのであと少しなんですけど。。。
また明日から頑張ります
こっちとあっち、ダブルで更新します
とりあえずこっちから
男「お前があいつを殺していいのは」
ミレース「ウェンダーを女を殺した時だけか?甘ちゃんだな」
男「何とでも言え」
ミレース「あんな男の命を尊重する必要があるのか?死に値する人間だ」
男「分かってる」
ミレース「生きて罪を償わせよう、という訳か」
男「それが一番いい。このまま死なれたら、ミリスが一番可哀想だ」
ミリス「私が?」
男「ウェンダー」
ウェンダー「やっと話し終わったか」
男「女を解放しろ」
ウェンダー「それに俺が応じるとでも?平和ボケもたいしたもんだな」
男「お前が女を解放しなけりゃ、こいつがお前を[ピーーー]」
ミレース「…」
男「お前に人質は誰一人として渡さない」
ウェンダー「おい、お前の彼氏あんなこと言ってるぞ?」
女「…お、男…」
男「…すまん」
女「!」
ウェンダー「…薄情なガキだな」
男「…」
ウェンダー「結局は彼女よりそっちの女人魚の方が大切なんだろ?」
男「…ミレース」ボソッ
ミレース「?」
ウェンダー「どういう経緯があったか知らんが、この女はもう飽きたって訳だ」
女「嘘…嘘だよね…」
男「…ボソボソ」
ミレース「…」
ウェンダー「お前も可哀想な女だな。俺が可愛がってやろうか?ん?」
女「男…男ぉ…」
男「いけるか?」
ミレース「…とことん甘い考えだな」
男「あいつが最終的に死ぬのは間違いないだろ」
ミレース「…」
ウェンダー「あん?誰が死ぬって?」
男「お前」
ウェンダー「じゃあ、この女も道連れだ」
女「う…うぅ…」
男「…女」
女「男!助けて!助けてよ!」
男「…すまん。やっぱり、俺はミリスの方が大切だ」
ミリス「んなっ」
イルネ「ちょっ」
女「…」
男「…すまん」
イルモネ「…お兄さん、サイテーですね」
男「何とでも言え」
ミリス「…見損なったな」
女「…男、それほんと?」
男「…今までありがとうな」
女「っ…」
イルモネ「…私、もうここにいたくないです」
イルネ「…おっさん!」
ウェンダー「おお、仲間割れか?」
女「のけ!」ドスッ
ウェンダー「っだあ!」
女「うああああ!」ダッ
男「ミレース!」
ウェンダー「こんの…ぐあっ!」
ミレース「動くなよ、お前の力如きじゃ俺を振りほどけない」
女「うううう!」ガッ
男「…っぐ…」
イルネ「おっさん!?」
ミリス「イルネ、黙って見てよう」
イルネ「いやいや、首締められてるんだよ!?死んじゃうよ!?」
ミリス「いいから!」
男「…げほっ、おかえり、女…」
女「…今さら、よくそんなセリフ吐けたね?」グググ
男「…げほっ、げほっ」
女「…許さないよ。絶対」
男「…うっ」
ミリス(…血の気が引いている…)
女「…男は、絶対に約束守る人だったのに」
男「…お、女…」
女「…最後に、一言だけ言わせてあげる」
男「…っ、つう」パンパン
女「ああ、苦しかった?少しだけ離してあげる」パッ
男「はっ…はあ…げほっ、うぷっ…」
女「苦しい?苦しいよね?」
男「…ああ、苦しい…」
女「私もさっきそれくらい苦しかったよ。死んじゃいそうなほどに」
男「…げほっ」
女「でも、男を許さないって気持ちが私を動かしたんだよ。あのまま死ぬって思ってた?」
男「…いや、思って、ない…」
女「でも本心出ちゃったね。今まで隠してたつもりだったの?」
男「隠してなんか、ない」
女「へえ、そんな素振り見えなかったけど」
男「…俺はいつだって、お前が好きだ」
女「…それは、命乞い?」
男「違う。本心だ」
女「信じられないよ。さっき真逆のこと言ってたよね?」
男「…あれは、嘘だ」
女「ふざけないで」ガッ
男「…ぐっ」
女「のらりくらりと…」
男「…俺は、約束破ったことあったか?」
女「…さっきまでは、無かった」
男「さっきも、約束は破ってない。あれは嘘だからな」
女「信じられないって言ったよね」
ミレース「…女とやら」
女「…何、あんたも男の味方?」
ミレース「男が私に耳打ちしたのを覚えているか?」
女「ああ…何か言ってたね。何?『妹さんをください』って?」
ミレース「…男は、お前がウェンダーを振りほどいてお前の元に行くことを分かってた」
女「…は?」
男「お前が、あんなこと言われて諦める訳ないだろ?」
女「…」
男「お前なら、絶対俺の元に来てくれると思ったんだよ」
女「…何それ」
ミレース「あの嘘をつくことで、男はお前を焚きつけたんだ」
女「…じゃあ、なに?私の性格を利用して?」
男「俺のチンケな頭じゃこの策が精一杯だったんだよ」
女「…」
男「そもそもな」グイッ
女「な、なに?」
男「俺がお前を見捨てる訳ないだろうが」
女「でも、でも」
男「…何回好きだって言えばいいんだよ」
女「…」
男「こんな形でしか助けられなかったのは俺の不甲斐なさだ」
女「…『女がピンチなんだ。ならそれを助けるのは俺だろうが』」
男「かっこいいこと言ったけど、結局嘘だったな。あれ」
女「…馬鹿!」
男「おー、よしよし」
女「子供扱いすんな!ナデナデすんな!」
男「ごめんな、こんな頼りない彼氏で」
女「うぅう…」
男「でも、約束は絶対守るから。約束だけは絶対破らないからな」
女「…もう、あんな嘘つかないで」
男「おう。それも約束だ」
女「…ほんとに、ほんとに死にたくなっちゃったから」
男「…ごめんな」
女「…ううん、もう許すよ。納得いかないけど、男だから許す」
男「ははっ、彼氏特権だな」
女「今回だけだから!」
男「おう、こんな嘘もうつかないから今回だけでいいな」
女「…やっぱり、男大好きだな」
男「こんなこと、人生で一度だけだ。だからこんなひどい嘘も約束も今回きりだ」
今回はここまでです
男が何もしてない希ガス
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