先輩「もうすぐバレンタインデーですね」 男 「そうですね」(53)

先輩「男君は…」

男 「はい」

先輩「いえ、何でもありません」

男 「そんな中途半端な」

先輩「仕事中にするには少しプライベート過ぎる内容かと」

男 「二人しかいない生徒会の作業程度でそんなこと気にしなくても」

先輩「確かにそうですが…」

男 「?」

先輩「いえ…やはり何でもありません」

男 「そうですか…」

先輩「はい」

男 「……」

先輩「……」

男 「あ、先輩」

先輩「はい?」

男 「何でもないです」

先輩「……」

男 「……」

先輩「意趣返しですか?」

男 「…すいません、つい出来心で」

先輩「で、どうでした?」

男 「思ったよりいたたまれない空気になって反省しているところです」

先輩「次から気を付けてください」

男 「はい…」

・・・

先輩「今日はそろそろ帰りましょう」

男 「はい、お疲れ様でした」

先輩「お疲れ様です」

男 「あっ、先輩」

先輩「なんですか?」

男 「えっと…」

先輩「また何でもないなら怒りますよ?」

男 「違いますよ!」

先輩「なら良かったです」

男 「先輩が怒るとどうなるのか気になりますが…」

先輩「ただ喋らなくなるだけですよ」

男 「それっていつもとあんまり変わらな…あ、もしかして知らない内に怒らせたりしてました…?」

先輩「さぁどうでしょう?」ニコ

男 「すいませんでした!」

先輩「冗談ですよ」

男 「やめてくださいよ!本気で焦りましたよ!」

先輩「男君は私が怒ると困るんですか?」

男 「そりゃ誰が相手でも怒らせて嬉しい人はいませんよ」

先輩「誰が相手でも…ですか」ボソッ

男 「何か言いました?」

先輩「いえ…では、そろそろ話を戻してくれないと怒るかもしれませんよ?」

男 「あーそうでした」

先輩「それで、何か?」

男 「いや、さっきの話ですが」


先輩「さっきの?」

男 「バレンタインって」

先輩「!」

男 「先輩は誰かに作る予定とか…あるんですか?」

先輩「なぜそんなことを?」

男 「いや、えっと…」

先輩「……」


男 「もし作る予定があるなら、ついでに俺の分もお願いできないかなー…とか」

先輩「なるほど」

男 「すいません、あつかましかったですね」

先輩「心配しなくても元々そのつもりですよ」

男 「えっ」

先輩「むしろ毎日顔を合わす相手に作らないほど薄情な人間だと思われていたんですか?」

男 「いや、そういうわけじゃないですけどっ!」


先輩「ふふ…冗談ですよ」

男 「先輩の冗談はわかりにくくて本気で焦るからやめてください!」

先輩「それよりも」

男 「?」

先輩「男君は私に貰って大丈夫なんですか?

男 「ん?どういう意味です?」

先輩「顔も広いですし貰いすぎて食べられない、なんてことにならないかと」


男 「そんな心配ができればどれだけ良かったことか…」

先輩「……」

男 「あれ?なんか…怒ってます?」

先輩「いえ、そんなことないですよ」

男 「そうですか…」


先輩「では、恋人に咎められたりの心配は?」

男 「それこそそんな心配したかったです!」

先輩「……」

男 「…今度は複雑そうな表情ですね」

先輩「それだけ表情が読み取れるのにどうして冗談をいちいち真に受けるんですか…」

男 「確信は持てないからですよ…先輩はあまり喋らないから表情から読み取るように意識はしてますが」

先輩「なるほど」

男 「はい」


先輩「では、恋人はいないと?」

男 「はい…そうですね…」

先輩「なるほど」

男 「悲しくなるので確認しないでくださいよ…」

先輩「すみません」

男 「先輩はたまに嬉々として傷をえぐってきますね…」

先輩「そんなつもりはないのですが」


先輩「そんなつもりはないのですが」

男 「わかりにくいですが少し嬉しそうでしたよ」

先輩「気のせいですよ」

男 「でも」

先輩「気のせいです」

男 「はい…」

先輩「はい」


男 「そういえば」

先輩「?」

男 「先輩こそ彼氏とか大丈夫なんですか?」

先輩「そんな相手がいるように見えましたか?」

男 「いないんですね」

先輩「なるほど、少し気持ちがわかった気がします」

男 「あれ…?」

・・・
先輩「では、気をつけて」

男 「あぁ、もう別れ道でしたか」

先輩「はい」

男 「先輩も、気をつけて帰ってください」

先輩「はい」

男 「バレンタイン、楽しみにしてます」

先輩「…はい」

・・・

先輩「……プレッシャーですね…」

あと4日

あと3日


先輩「ところで男君」

男 「はい?」

先輩「男君は何か食べられないものはありますか?」

男 「唐突ですね」

先輩「食べられないものを渡してもしょうがないでしょう?」

男 「あーなるほど」

先輩「何かありますか?」

男 「特にないですよ、何でも食べますよ」

先輩「そうですか」

ある程度書きためてるんですがせっかくなんでリアルタイムに合わせて更新するか迷い中…

どっちがいいですかねー

とりあえず続き書いてきます



あと2日

先輩「男君」

男 「どうしたんですか?」

先輩「男君は好き嫌いがないんですか?」

男 「あれ、昨日言いませんでしたっけ?」

先輩「昨日は食べられないものがないかと聞いてしまったので嫌いなものは答えにくかったのではないかと」

男 「あー、嫌いなものも特にないですよ」


先輩「そうですか…」

男 「あーでも」

先輩「はい」

男 「強いて言えばチョコ系より生クリームとか白い系の方が好きですね」

先輩「なるほど」

男 「小さい頃食べたチョコレートケーキが苦くてその印象が未だに残ってるんですよね」

先輩「そうなんですか…わかりました」


あと1日

先輩「……」

男 「先輩?」

先輩「なんでしょう」

男 「いや、何か思いつめた表情をしてたので気になって」

先輩「そんな顔してましたか?」

男 「割と深刻そうでしたよ」

先輩「そうですか」

男 「何か出来ることあれば言ってくださいね」

先輩「ありがとうございます」

男 「はい」


当日

先輩「男君」

男 「?」

先輩「今日はバレンタインデーですね?」

男 「はい」

先輩「私は男君にあげる約束でしたよね?」

男 「そうですね」


先輩「怒らないで聞いてください」

男 「?」

先輩「……」

男 「えーと…怒らないから言ってください」

先輩「では…」

男 「……」

先輩「今日は何も渡せません」


男 「あー…」

先輩「その…ですね…」

男 「はい」

先輩「怒ってますか?」

男 「いや」

先輩「じゃあ……呆れてますか?」

男 「いや、怒ったり呆れたりはしてませんよ」


先輩「私は男君と違って表情を読み取るのは苦手なようです…」

男 「あー、この顔はあれです、がっかりした顔ですよ」

先輩「なるほど……すみません」

男 「いや…何か理由があるんですよね?」

先輩「まぁ…はい、そうですね」

男 「聞かせてもらえますか?」


先輩「……」

男 「……」

先輩「…言わないとだめですか?」

男 「できれば」

先輩「……」


男 「言いにくいんですか?」

先輩「少し…」

男 「そうですか…」

先輩「……」

男 「……」


先輩「でも、言わないといけませんね」

男 「いや無理にとは言いませんよ」

先輩「いえ、言わせてください、さすがにこのままでは申し訳な

いです」

男 「そうですか」

先輩「実はですね…」

男 「はい」


先輩「私は料理が苦手なんです」

男 「あれ?でもいつも自分でお弁当作ってきてましたよね?」

先輩「あれは長い歳月を経て食べられるようになった数少ない努

力の結晶を並べているだけです」

男 「それでも十分な気がするんですが…」

先輩「私の作ったもの、見たことありますよね?」

男 「はい、何度か」


先輩「では、あのウインナーも見ましたよね?」

男 「あー、あの可愛らしいたこのやつ」

先輩「はい」

男 「それがどうかしたんですか?」

先輩「私は…その…」

男 「はい」

先輩「たこさんウインナーしか作れません」


男 「?」

先輩「普通のウインナーを焼こうとすると焦げます」

男 「何でですかっ?」

先輩「つまり練習したものでなければ簡単なものでも作れないん

です」

男 「それでお菓子作りを失敗したと…?」

先輩「はい…」


男 「でもそれなら事前に練習したりしますよね?先輩なら」

先輩「もちろん、練習はしましたよ」

男 「でも駄目だったと?」

先輩「いえ…それがですね…」

男 「はい」


先輩「急遽作るものを変更したんです」

男 「なんでまた?」

先輩「……」

男 「あれ、またなんか怒らせました…?」

先輩「いえ…これは仕方ないですね…」

男 「?」


先輩「当初作る予定だったものが諸事情により変更を余儀なくさ

れました」

男 「何作ろうとしてたんですか?」

先輩「…チョコレートケーキです」

男 「あー…」

先輩「……」


男 「もしかして…俺のせいですか?」

先輩「そうとも言えます」

男 「すいません」

先輩「いえ、結局作れなかった私の問題です」

男 「でも、俺のことなんか気にしなくても」

先輩「……」

男 「え…あれ?ごめんなさい…?」


先輩「まぁ男君は私のなんていらなかったでしょうけど」

男 「そんなことないですよっ」

先輩「その紙袋を見る限り十分かと思うんですが?」

男 「いや、確かに予想外にいろんな人からもらいましたけど」

先輩「だから言ったでしょう…」


男 「最近は顔がわかる相手なら誰でも配る勢いなんですねー、

びっくりしましたよ」

先輩「男君は鋭かったり鈍かったりわからない人ですね…」

男 「?」

先輩「私の分がないのはちょうど良かったかもしれませんね」

男 「そんなことないですよ!」

先輩「それだけもらっておいてまだ足りないと…?」

男 「いや、そういうわけじゃなく…」


先輩「そもそもそれを全部食べきれるんですか?」

男 「そりゃ義理とはいえ作ってもらったものですし一つ一つ感

謝して食べますよ」

先輩「……」ピクッ

男 「今日の先輩はいつもより表情豊かですね」

先輩「そうですか?」

男 「はい」

先輩「……」


男 「ところで」

先輩「何でしょう?」

男 「結局作ってきてはもらえないんですか?」

先輩「昨日の段階では遅れてでも作る気ではいましたが」

男 「はい」

先輩「その量をみる限り必要ないなと」

男 「そんなことないですって!」

先輩「とはいえ男君が要らないと言っても持ってきますけどね」

男 「……」


男 「何故そんな回りくどい言い方を…」

先輩「ちょっとした嫌がらせです」

男 「なんでまた…」

先輩「たまにそういう気分になるんですよ」

男 「そうですか…」

先輩「はい」

男 「でもまぁ、最終的に作ってきてくれるなら嬉しいです」


先輩「間に合いはしませんでしたが約束ですしね」

男 「楽しみにしてます!」

先輩「ですが」

男 「?」

先輩「先ほども言ったように私は練習したものしか作れません」

男 「あー」


先輩「と、いうわけなので男君には申し訳ありませんが渡すもの

は」

男 「大丈夫ですよ、先輩が作った物なら」

先輩「そう…ですか」

男 「はい」

先輩「では、明日には必ず」

男 「期待してます」

先輩「…わかりました」

今気づきました、ほんとだ
メモ帳からコピペしてるんで折り返されてたんですね・・・

これ以降は気をつけますorz
指摘ありがとうございました!

インフルで更新がおいつかず・・・ほぼ完結まで書いてはいるのでしばしお待ちを・・・
完治して完結させたら投下します・・

インフルに二度かかるという奇跡的不健康さのせいでホワイトデーにも間に合わずorz

完結はさせます、かならず

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