某大名「何、ケラが竜になったとな?」(81)


  <夜、晴天>


―――某国、某城、天守閣―――


侍女「姫様、ほら、星が綺麗で御座いますよ」

とある姫「はぁ、確かにそうね…」

侍女「姫様...、気分が晴れませんか…?」

とある姫「何かもっと面白い事って無いかしら...?」

 キラッ

侍女「…あっ!流れ星!」

とある姫「本当だわ。...何か起こらないかしら…」


―――‐‐、‐‐、‐‐‐―――



―――とある国、タタラ場―――


 ゴオオォォ  ゴオオォォ

村下(主)「だいぶ火が衰えてきたな」

村下(副)「そうですね、そろそろ解体ですか?」

村下(主)「そうだな...。よし、炉を解体するぞ!」

一同『へい!』


  [たたら吹き製鉄。その技術責任者を村下と呼ぶ]

  [たたら吹き製鉄は土で炉を作り、その中に炭と砂鉄を入れ、

   三日三晩火を絶やさず、砂鉄と炭を継ぎ足して、

   不純物を流れさして、破損してくる炉を修復し、

   最後に砂鉄と炭を入れてから火が衰えるのを待って炉を解体する]



一同『せいのっ!せいのっ!』

 ドサッ  ドサッ

村下(主)「鉧が見えてきたな」

村下(副)「...今回の鉧は何ていうかなかなかの面構えって感じですね…」


  [炉を解体して出てくるのは今まで装入してきた砂鉄と炭で育った鉄の塊、

   金偏に母と書いて"ケラ"という。砂鉄約10tと炭約12tで約2.5tの鉧が出来る]

  [炉から出したばかりの鉧はまだ熱が残っていて真っ赤である]


村下(主)「確かに蹲った竜の様だな」

村下(副)「今にも動き出しそうですね」

 ぐぐぐっ

一同『えっ!?』

村下(副)「鉧が動いた!?」

 ググッ  ブウンッ!

作業員「わわっ!」

村下(主)「ありゃ尻尾か!?」

村下(副)「みたいですね、体を伸ばしているみたいですよ!」

村下(主)「危ないから皆下がれ!」

 グググッ  ドンッドンッドンッドンッ

村下(副)「今度は足!?」

 ドシドシドシドシドシドシドシドシ…

村下(副)「行っちゃった…」

村下(主)「……」

一同『……』


―――‐‐‐‐、‐‐‐‐―――



―――某国、某城、謁見の間―――


某大名「何、鉧が竜になったとな?」

使者「はっ、信じられぬかもしれませぬが真の事で御座います」

某大名「う~む、何故その様な事が...」

使者「近所の巫女の話によりますと、天狗の仕業らしいのですが...」

某大名「ふむ、天狗の仕業か。そういえば我が国でも目撃したと言う者が居ったな」

使者「それで、玉鋼の納期を伸ばしてほしいのですが」

某大名「何?」

使者「今回の件で鉧が無くなり、納めるべき玉鋼が無い為、

   代りを用意するまで待ってもらいたいのですが...」

某大名「よし分かった。その代り遅れた分は埋め合わせをしてもらうからな」

使者「はっ!」


―――‐‐、‐‐、‐‐‐‐―――



―――とある国、とある城、大広間―――


使者「…という訳で延滞分を渡す代わりに、

   玉鋼の納期を延長してもらう事が出来ました」

とある殿「そうか、分かった。使者の役目、ご苦労であった」

使者「はっ」

とある殿「さて、早速逃げたケラを捕まえに行くぞ!」

一同『はっ!!』

使者「してそのケラは何処に行ったか分かったのですか?」

とある殿「うむ、忍頭」

忍頭「はっ、すでに手の者が追跡、更に逃げた先から知らせて来た者が御座います。

   ケラの居所は分かっております。さっ、前に出なさい」

鉱夫「へいっ!」

使者「おや、お前さんは...」

鉱夫「隠し鉱山で働いている鉱夫です」

使者「という事は」

とある殿「ケラが逃げた先は隠し鉱山だ」

使者「それは面倒ですね」

 ざわっ ざわっ どよどよ


忍頭「状況を話してくれ」

鉱夫「へい、小休止の為に皆が鉱山から出ている時にですね、

   突然ドシドシと音が聞こえて来ると思ったら、その、

   ケラの竜というか何というか、確か駝竜って言ってる奴がいましたね。

   そいつが現れまして、皆がびっくりしている内に鉱山の中に入って行きました」

とある殿「そういう訳で、場所は秘密の隠し鉱山の為、

     ここに居る者だけでケラを捕まえに行く!」

一同『はっ!』

小性(太刀番中)「あの~、私も行くのでしょうか?」

とある殿「当然だ。そして城代はお前だ!留守を頼むぞ!」

使者改め城代「ははっ!」

とある殿「では、者共行くぞ!!」

一同『おおー!!!』


―――‐‐‐‐、----、---―――



―――とある国、山中―――


 ザッザッザッザッザッザッ…

 パカ ポコ パカ ポコ …

忍頭「ほれ、この通りくっきり足跡が残っております」

槍頭「確かに。これなら追跡は容易ですね」

とある殿「鉧(ケラ)は重さ約六百貫~七百貫あるから簡単に足跡がつくんだろうな」

口取り「重さ七百貫って、かなりの重量じゃないですか!?」

小性「七百貫って分り易く言うとどんな重さなんでしょうか?」

小者「だいたい大人三十五人~四十人分位の重さかな?」

忍乙「それは重てぇな」

若党「この人数で大丈夫なんでしょうか?相手は竜なんでしょう?」

中間「重くても竜でも確か七尺位の大きさでしょう」

小者「という事はその長巻よりちょっと大きい位だな」

忍甲「そうすると逆に人数が多い気がするな」

とある殿「そんな事は無い。運ぶのに人数が居るからな。

     更に言うと先に鉧(ケラ)を捜索しに行った忍が隠し鉱山にいる筈だ」

鉱夫「いやー、頼もしいな」

忍頭「少し不安だがな。そうだ殿」

とある殿「何だ?」

忍頭「隠し鉱山に続くこの足跡を消して行きましょう」

とある殿「そうだったな、皆の者!忍達の指示に従って足跡を消す様に!」

一同『はっ!!』


―――‐‐‐‐、--―――



―――とある国、隠し鉱山入口―――


 ザッザッザッザッザッザッ

 パカ ポコ パカ ポコ

忍丙「お待ちしてました」

鉱山頭領「よく来て下さいました」

とある殿「ここは重要な所だからな放っておいたりはしないさ。して状況は?」

鉱山頭領「はい、こちらの忍の方が薪や炭や葉っぱを鉱山に入れ火を点けて、

     燻り出て来ないかやってましたがまだ出て来ておりません」

忍頭「お前、そんな事やってたのか」

忍丙「いや、皆が来る前にとっ捕まえてやろうと思いまして...」

忍頭「逃げられたらどうするんだ?」

忍丙「だいたいこの鉱山の中は狭くはないが入り組んでんだよ。

   燻り出して外で皆で取り囲んだ方がいい」

とある殿「でもまぁ当初の予定通り、鉱山の中に入って鉧(ケラ)を捕まえよう。

     よいしょっと。馬はここに置いて行くからな」

口取り「はい分りました」

鉱山頭領「殿も一緒に中に入るのですか?」

とある殿「ああ、そうだ」

鉱山頭領「そうですか。鉱山の中なんですが、入り組んでおり、

     奴がどこに潜んでいるのか分かっておりません...」

とある殿「うむ、何人か入口に残して他の者が手分けして鉧(ケラ)を探す。

     見付けたら皆を呼ぶという作戦で行く。

     鉱山の中はそんなには狭くないが入り組んでいる為、

     我々と入れ違いに鉧(ケラ)が出て来るかもしれぬ。

     槍頭、中間、若党、入口は任せたぞ!」

槍頭・中間・若党「「「はっ!お任せを!」」」

とある殿「他の者は鉱山の中に行くぞ!」

一同『おおー!!』


―――‐‐‐‐、‐‐‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山内、入口付近―――


 ザッザッザッザッザッザッ…

小性「…何か臭うね」

忍乙「おまけに煤けてるぜ」

小者「火を点けたって言ってたからな、その所為だろ」

忍頭「足跡が分らんな...」

忍丙「…」

 ザッザッザッザッザッザッ

忍頭「...分かれ道か」

とある殿「手分けして探すか。見付けたら大声を出して知らせてくれ」

一同『はっ!!』

―――‐‐‐‐‐、‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山内―――


  <忍甲・忍乙>


 ザッザッザッザッザッザッ…

忍乙「……今思ったんだけど」

忍甲「何だ?」

忍乙「ケラを見付けても持って帰れるんですかね?」

忍甲「...代八車を使えば良いんじゃね?」

忍乙「大人三十五人分の重さって言ってなかったっけ?」

忍甲「う~ん...、そうだ、その場でケラを割りゃ楽に運べる筈だ」

忍乙「あ、そっか、その手があったか。

   俺は新しくケラを作った方が楽かなと思ったんだよ」

忍甲「おいおい、そっちの方が大変だろうが。

   ケラ一つ作るのにだいたい三百五十人分~四百人分位の

   重さの量の砂鉄と炭を用意しなけりゃならん」

忍乙「そういやかなりの量の木が必要でしたっけ」

忍甲「それに村下は三日三晩高殿の村下座に泊まり込んで炉を見続けなくちゃならん。

   タタラ踏むのも疲れるし、皆仕事し終わったばかりなんだから休まないと」

忍乙「そうでしたね、すみません」

忍甲「分りゃいいんだ。さ、行くぞ」

忍乙「はい」

 ザッザッザッザッザッザッ…

―――‐‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山内―――


  <忍頭・忍丙>

 ザッザッザッザッザッザッ…

忍丙「…なぁお頭」

忍頭「何だ?」

忍丙「もうあの国に玉鋼納めなくてもいいんじゃないですか?」

忍頭「何だと?」

忍丙「今回は玉鋼はありません、渡せません。って

   ごり押ししても文句言われないんじゃないんですか?」

忍頭「…天守閣に自由に登れるのは基本的にその城の主のみ」

忍丙「?、いきなり何ですか?」

忍頭「うちの姫様はその大名から城の天守閣に自由に登っても良いと言われている」

忍丙「へぇ、それで?」

忍頭「つまり我が国とあの国との関係的に約束通りに玉鋼を納めるべきなんだよ」

忍丙「そうですか。(良く分かんねぇや)」

 ザッザッザッザッザッザッ…

―――‐‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山入口―――


槍頭「…暇だな...」

口取り「そうですね」

若党「のんびり待ちましょうよ」

中間「そうですよ」

鉱山頭領「そういやお前、殿に失礼は無かったか?」

鉱夫「はい、多分失礼は無かったかと」

鉱山頭領「そうか...」

鉱夫「まぁ、失礼といえば名前をご存知無いって事ですかね」

鉱山頭領「なにぃ名前を知らないだと!?......まぁそれは別に大丈夫かな」

鉱夫「えっ!?そうなんですか?」

槍頭「上の人の名を呼ぶのは基本は失礼だからな」

鉱夫「えっ?」

若党「地位の高い人が名を呼び合うのは、

   親しい相手か敵同士が場合がほとんどなんだよね」

鉱夫「へぇ~、じゃぁ上の人の名前を知らなくても大丈夫って事ですね」

中間「だから税を納める相手、城主が変わったのに気にしない民が多いんだよな…」

槍頭「うむ、公的な場でむやみに名を呼ぶのは駄目だな。戦する相手なら名を呼ぶ」

鉱夫「それじゃぁ、地位が高い人達は私的な場で親しい相手か、

   憎い相手の場合位しか名を呼ばないという事ですか」

槍頭「そういう事だ。あと、手柄とか報告される時だな」

鉱夫「へぇ~、じゃぁ普段はなんて呼んでいるんですか?」

鉱山頭領「そりゃぁ役職名とかで呼ぶに決まってるだろ」

槍頭「その通り、肩書きで呼び合う。

肩書きが無い場合はしょうがないから名で呼ぶが」

鉱夫「そういやここでは頭領の事は頭領と呼んでたっけ」

中間「ついでに言うと役職名は国によって名は同じでも定義が違ってたりするんだ」

若党「それは初耳ですよ。定義が違うって...」

口取り「長さや重さも使っている名前は同じでも国によって違ってたりするよ」

若党「そうなんですか...」

鉱夫「でもまぁこの国からよその国に行く事は無さそうだからそれは別にいいや」

―――‐‐‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山内―――


  <とある殿・小性・小者>


 ザッザッザッザッザッザッ……

小性「……そういえば竜蛇の類は鉄気を嫌うって聞いた事があるぞ」

小者「それ、聞いた事があるよ」

とある殿「私も知っておる。それで?」

小性「えーと、それでですね、何で奴はここへ逃げ込んだのかなと...」

小者「本物の竜って訳じゃないし、それにここは鉄の鉱山って訳でもないし」

小性「え?」

とある殿「ここは秘密の鉱山だ、ここで見聞きした事は外に喋るなよ」

小者「はい、心得てます」

小性「はぁ、はい分りました...」

小性「(あの、どういう事なんですか?)」

小者「(ぶっちゃけると砂鉄はどこででも採れる。

    鉄専門の鉱山なんてそんなに重要じゃないんだ)」

小性「(そうなのか!?)」

小者「(ああ。鉄を得るのに必要なのは鉄の鉱山ではなく大量の木が重要なんだよ)」

小性「(...そういえば山を禿げにするしないで揉めた話を聞いた事があるな)」

小者「(それでだ、この秘密にされている隠し鉱山はおそらく)」

とある殿「先程の話で」

小性・小者「「は、はい!?」」

とある殿「ケラがここに来たのはここがケラの生まれ故郷だからじゃないかな?」

小者「生まれ故郷、ですか?」

とある殿「ああそうだ。ここから採れた砂鉄を使ってあのケラは作られたからな」

小者「そうなんですか」

小性「じゃぁ故郷に帰って来たんですね」

とある殿「そうだな…」

 ザッザッザッザッザッ…



 ザッザッザッザッザッ… グルル...

小性「む、奥に何か居る!」

小者「ケラか!?」

とある殿「もう少し近付いてケラと分ったら皆を呼ぼう」

小性・小者「「はっ!!」」

 ザッザッザッザッ グルルルッ

小性「...あれが逃げたケラかな?」

小者「実は自分はケラって見た事無いんだよね。良く分からないや」

とある殿「...ケラは駝竜の様だったと話していたが、

     あれは見た感じ表面はケラっぽいが…」


 グルルルルッ! ゴゴゴゴゴゴッゴッゴッゴッ

小性「うわわ」

小者「こいつは!」

 ドシゴンッ! ドシゴンッ!

小者「こっちに来るぞ!」

とある殿「一旦退却!全員外に出るぞ!!」

小性・小者「「はいっ!!」」

 タッタッタッタッ…

 ゴッ ゴンッ ゴンッゴッ ドシゴンッ! ドシゴンッ!

―――‐‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山内―――


  <忍甲・忍乙>


忍甲「うん?何か聞こえた?」

忍乙「確かに何か」

  「ケラヲミツケタゾー!」

忍甲「お、ケラを見付けたみたいだな」

忍乙「ちょっと待って」

 ドゴンッ! ドゴンッ!

  「タイキャクー!ミンナイッタンソトヘー!」

忍乙「なんか緊急事態が起こってるみたいだな」

忍甲「うーむ、とりあえず出口に向かうぞ!」

忍乙「はい」

 タッタッタッタッ…

 ゴンッ ゴッ ゴゴゴゴ…

―――‐‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山内―――


  <忍頭・忍丙>


忍頭「…ちょっと振動してないか?」

忍丙「...ですね。揺れてますね」

 ドゴンッ! ドゴンッ!

忍頭・忍丙「うん?」

  「タイキャクー!」

忍頭「退却か」

忍丙「どうしたんでしょうかね?」

  「ケラヲミツケタゾー!」

忍丙「あ、ケラを見付けたみたいですよ」

忍頭「しかし退却だ」

 ドゴンッ! ドゴンッ! ドシンッ!

  「タイキャクー!ミンナイッタンソトヘー!」

忍丙「何か不味い事が起きたみたいですね」

忍頭「だな。急ぐぞ」

忍丙「はいはい」

 ゴゴゴゴゴ…


―――‐‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山内、入口付近―――


 タッタッタッタッタッタッ…

小性「あ、」

忍乙「お、」

忍丙「よっ」

とある殿「皆来たか!」

忍頭「はっ、その様で」

とある殿「良し!」

忍甲「いったいどうしたので?」

とある殿「うむ、実は」

 ドシゴンッ! ドシゴンッ!

小者「奴が来た!」

忍甲「何だありゃ!」

とある殿「ケラだ!」

忍乙「聞いてたよりでかい!?」

 ゴゴゴゴ パラパラ

小性「あ、天井にひびが」

忍頭「いかん!鉱道が振動で崩れて始めている!」

とある殿「とにかく脱出するぞ!」

一同『はっ!!』

 タッタッタッタッタッタッ…

 ドシゴンッ! ドシゴンッ!

 ゴゴゴゴ パラパラ


―――‐‐‐‐‐、‐‐‐‐―――



―――隠し鉱山入口―――


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

鉱夫達『うわわわ…』

口取り「ど、どうしましょう!」

槍頭「落ち着け!」

 ドゴンッ! ドゴンッ!

若党「何か足音みたいなのがします!」

中間「こっちに近付いて来ているみたいだな...」

槍頭「く、何が起こっても即応出来る様に!」

一同『応!!』


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 タッタッタッタッタッタッ

小性「やった!外だ!」

忍乙「日の光が目にしみるぜ!」

鉱夫「おお皆さんご無事で」

槍頭「お前達!中で何が」

とある殿「槍頭!」

槍頭「殿!何で御座いましょう!」

とある殿「急いで出口から出て来るケラを迎え撃つ!出口を囲む様に列を!」

槍頭「はっ!」

とある殿「皆急げ!」スウ チャキン

一同『はっ!!』バッ スチャ チャキ カチャ


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 タッタッタッ ザザンッ!

忍丙「(隊列ってこんな感じかな?)」

小者「(皆、得物が違うからこんな感じで良いんじゃないかな)」

口取り「(なぁ、鉱山の中で何が)」

 ドシゴンッ! ドシゴンッ!  ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

とある殿「出て来るぞ!」

若党「何だあいつは...!」

中間「聞いてたよりでかい...!」

 ゴロゴロゴロゴロゴロ…

小性「あ、入口が崩れた...」


 ガラガラガラガラ ガラッ

一同『……』

忍頭「完全に塞がりましたね...」

とある殿「うむ、我々が出た後、ケラが出て来る前に塞がって丁度良い時であったな」

槍頭「ところで殿、あのケラ?ですがなにやら聞くよりも大きかった様ですが...」

小性「それはあれですよ、ほら、

   男子三日会わざれば刮目して見よってやつじゃないですか?」

小者「それしちゃぁ育ち過ぎだろ」

とある殿「…ケラが大きくなるには砂鉄と炭が必要だ...」

忍甲「て事は...」

忍乙「お前、どんだけ炭を放り込んだんだよ!?」

忍丙「そんなに放り込んだ覚えは無いよ...」


 ドゴンッ!

一同『!!』

 ドゴンッ!  ドゴンッ!

とある殿「奴め、出て来る気か!皆、詮索は後回しで、

     今、目の前の事に気を引き締めてかかれ!」

一同『応!!』

 ドゴンッ!  ドゴンッ!  ドッバアァーンッ!!

小性「うわわっ」

とある殿「ちょっと退避しろ!」

鉱夫達『うわー!!』


 ガラガラ ガラン ゴロゴロ ゴトン

  ドシゴンッ!  ドシゴンッ!  ググググッ

忍甲「出て来た...!」

小者「でかい...」

口取り「鯨並みにでかいぞ...」

 バグンッ!

一同『口!?』

 『グオオオオォォォォンッッ!!』

若党「吠えた!」

小性「さしずめ、産声みたいなものかな」

忍丙「そうかな?」

 バザッ! バザッ! ググググッ!

とある殿「あれは翼か!」

忍丙「竜に翼は無いんじゃないのかな?」

若党「翼ある竜は居ますよ。蛇が蛟になって蛟が竜になって竜が」

 ドンッ! バザバザッ!

一同『飛んだ!!?!』

忍甲「あ、落ちる」

 バザバザッ! ズドオォンンン

中間「翼は見掛けだけか」

若党「何か跳んだ高さも低い感じですね」

 ググググッ! ドンッ! バザバザッ!

槍頭「また跳んだぞ!」

小者「また落ちるみたいですね」

 バザバザッ! ズドオォンンン

小性「羽ばたき無意味ですね」

忍頭「...奴が行こうとしている先はもしや」

忍甲「町の方か!」

忍丙「正確にはタタラ場の方かな」

とある殿「とにかく!直ぐに奴を追う!行くぞ!!」

一同『はっ!!』

 タッタッ…

忍頭「先に行って報せて来ます」

とある殿「頼む!」

忍頭「はっ。お前らも行くぞ」

忍甲乙丙「「「はっ」」」

 スタタタタタタタタ…

とある殿「馬!」

口取り「はいここに」

とある殿「よいしょっと。はっ!」

 パカポコパカポコパカポコ…

槍頭「我らも遅れず行くぞ!」

残った一同『おおー!!』

 タッタッタッタッタッタッ……


―――‐‐‐‐‐‐―――



―――とある国、とある城、天守閣―――


城代「はっはっはっ、やっぱり天守閣からの眺めは良いのう」

城代腹心「いいんですかね、天守閣に登っちゃって」

城代「?、何を言っている?」

城代腹心「天守閣に自由に登れるのは基本的にその城の主のみですよ」

城代「俺が登っても別に良いじゃん」

城代腹心「まあ良いでしょうがね」

城代「うむ、問題は特に無い筈だしな」


城代腹心「おや?山の方で何かが...?」

城代「うん?何処だ?」

城代腹心「ほら、あそこ」

城代「あっちの方角は...(隠し鉱山の方角か)」

城代腹心「あ、また何か...、かなり大きなものが跳んで移動しているみたいですね」

城代「良く見えないな。何なんだ?」

城代腹心「見た感じだと翼が生えた竜みたいですね」

城代「竜に翼は無いんじゃないかな?」

城代腹心「翼生えた竜はいますよ。応竜ってやつが」

城代「おうりゅう?」

城代腹心「はい。まず、蝮が五百年生きて蛟になり、蛟が千年生きて竜になり、

     竜が五百年生きて角竜となり、角竜が千年生きて応竜となります」

城代「なんか凄いな...」

城代腹心「蝮が三千年で立派な手足と角と翼を備える訳ですよ。

     あ、だいぶ近付いて来ましたね」

城代「何、あ!本当だ、確かに何か近付いて来ているみたいだな。

   ...そういえば逃げたケラは駝竜っぽいとかいう話だったな」

城代腹心「ケラにしちゃ大きくなってるみたいですよ」

城代「う~む、育ったのかな?」

城代腹心「そうですね。...目的地はタタラ場ですかね?」

城代「だとすると鮭みたいだな」

城代腹心「海に行った時に見た鯨並みにでかいですけどね」

城代「何!?クジラ並みだと!?」

城代腹心「はい、そしてそれが徐々に近付いて来ます」

城代「そいつはやばくないか!?非常呼集だ!お前も弓頭として仕事しろ!」

城代腹心改め弓頭「はい、分りました」

城代「あ、そうだ、非常事態ゆえに悠長に足並み揃えて行く事はせず、

   準備が整った者から直ぐに奴が来る方角の町はずれへ!」

弓頭「はっ」


―――‐‐‐‐、‐‐‐‐、‐‐‐―――



―――とある国、城下町はずれ―――


 ワーワー! イソゲ! ワーワー! イソゲー!

若侍「た、ただ今付きました!」

城代「応、御苦労」

槍(短)侍「おい若いの、そういう時は着到って言うんだよ」

槍(長)侍「だから今のはただ今着到って感じだな」

弓侍「名前も一緒に言うのも良いかもな」


城代「…だいぶ駆け付けて来たな」

弓頭「相手も接近して来ましたけどね。...おや、向うから来るのは」

 スタタタタタタタタ

城代「忍頭と忍達じゃないか」

忍頭「ふう、ただ今戻りました」

忍丙「はぁ、報せなくても準備しているじゃん」

城代「とりあえず何があったんだ?」

忍頭「はっ、現在こちらに近付いて来ている奴はケラが成長したもので御座います」

城代「やはりか」

忍頭「そしてほぼ真っすぐにタタラ場を目指して移動している模様です」

城代「そうか分かった。そういえば町に避難指示を出すのが未だだったな、

   伝令!町に避難指示を出せ!避難場所は城で!!」

伝令「はっ!」

 タッタッタッタッ…   パカポコパカポコ…

城代「うん?あれは...」

弓頭「今度こっちに来るのは殿ですね」

とある殿「おお、迎撃の用意をすでにしていたか!」

城代「兄上!」

とある殿「城代御苦労!今戻った!」

城代「兄上が戻ったので以後の指揮は兄上がどうぞ!」

とある殿「うむ!」

弓頭「短い城主代行でしたね」

城代改め殿弟「まぁいいさ」

弓頭「そうだ、奴を止める為、奴の弱点か何か知りませんか?」

忍頭「さぁ...」

忍甲「そういえば未だ全然奴と戦ってませんね」

とある殿「そうだったな」

忍乙「ところでのんびりしている暇は無さそうですよ」

 バザバザッ! ズドオンンン

忍頭「いよいよ奴が近いぞ」

殿弟「その様だな」

槍(短)侍「腕が鳴るな!」

槍(長)侍「そうだな!」

弓頭「そうですか。...矢に唾でも付けときますかね」

弓侍「お、それは良い考えですね」

若侍「?、それで倒せるんでしょうか?」

殿弟「大ムカデ退治の話を知らないのか?」

忍頭「他にもでかい怪物を退治する話で土蜘蛛退治の話もある」

忍甲「更に身の丈が五丈もある鬼を退治出来ると豪語する三人組の話もあったな」

とある殿「古くはヤマタノオロチも退治されたしな」

若侍「そう言われるとなんだか倒せそうな気がします」

弓頭(…全部真っ当に戦って無い気がするな)

忍乙「というか普通にやっても倒せるんでしょうかね?」

忍丙「とりあえず首を落とせば良いんじゃないですか?」

とある殿「良し、とりあえずそれで行こう!」

一同『おおーー!!』



忍頭「来た...!」

とある殿「隊列組め!」

 バザバザッ! ズドオオンンン

一同『』

 『グオオオオォォォォンッッ!!』

とある殿「弓!!」

弓頭「弓引け」スッ

弓兵一同『は、はいっ!』ペッ ギュ

弓頭「放て」

 ヒュヒュンヒュンヒュヒュン

 カキキンカキンカカキン

若侍「!弾かれてる!」

 『フンッ!』


弓頭「しかし傷はちょっと付いたな」

忍頭「ケラの表面は鉄よりも石っころに近いからな」

若侍「石っころなんですか!?」

とある殿「それでも職人が鍛えれば立派な鉄になる!」

殿弟「矢で傷付くって事は希望が持てるな」

弓侍「しかし唾付けても刺さりませんでしたよ!」

弓頭「お前矢に唾付けたのか?」

弓侍「あれ?付けるんじゃなかったんですか?」

 『グオオオオォォォォンッッ!!』

 ググググッ!

忍頭「あの感じ、跳び上がるつもりか!」

とある殿「いかん!跳ばせるな!突撃!!」

一同『お、おおー!』

 パカポコパカポコ タッタッタッタッ

 ドンッ! バザバザッ!

とある殿「しまった!一撃入れる前に跳ばれた!」

殿弟「不味い!町の方に...!」

 バザバザッ! ズンガラガッシャアァン

忍丙「落ちたのは金屋町らへんですかね」

とある殿「くっ、急いで駆け付けるぞ!」

殿弟「応!」

 パカポコパカポコ……

弓頭「我らも殿達に続け―!!」

一同『お、おおー!』

 タッタッタッタッ……

弓頭「おや?」

 タッタッタッタッ

遅れて来た人達『はぁ、はぁ、』

弓頭「槍頭と殿の家来達じゃないか」

槍頭「はぁ、はぁ、じょ状況は?」

弓頭「これから町に入ったケラ、というか竜を追かける所だ」


―――‐‐‐‐、‐‐‐‐‐‐―――



―――とある国、城下町、金屋町―――


 パカポコパカポコ……

とある殿「お、あそこの家に突っ込んでいるな」

殿弟「派手に壊れているな。住人は避難済みかな」

とある殿「しかしこんなに動き回るんだったら何が何でも狭い鉱山内で

     仕留めるべく、工夫しておけば良かった」

 グググッ ガラッ

殿弟「!、巨体が瓦礫に嵌まって動き辛いのかな?」

とある殿「しかし奴は岩等の土砂を払う程の力を持っている、油断はするな」

殿弟「応!…それじゃ他の者達を待つか...」


 タッタッタッタッ……

殿弟「来た!。お~いこっちだ!早く来い!!」

 ガララッ ズシンッ! ズシンッ!

殿弟「うおっ、出て来た!」

とある殿「ハッ!!」

 パカポコ…

殿弟「あ、兄貴!?」

とある殿「せいっ!!」シュンッ! ガキィンッ

弓侍「あ!殿が竜の前足に一撃入れた!」


 『グオオオオォォォォンッッ!!』

弓頭「お、切り傷が付いたな」

中間「職人が鍛えた鋼と出来たての鉄は天地の差があるからな!」


とある殿「く、皮が切れた程度か!」

殿弟「それでも!」

槍頭「殿に続けぇー!」

一同『おおー!!』

 ググググッ!

弓頭「また跳ばれるか」

 ヒュッ! ヒュッ! ジャラッ ジャラッ

 シュタッ!

とある殿「む、忍頭か!」

忍頭「はっ、縄や鎖等の縛るものを持って来ました」

とある殿「うむ、でかした!」

忍頭「早速奴にこの鎖等を掛けております」

忍甲「それっ」

忍乙「よっと」

忍丙「せいや」

 ヒュンヒュンヒュン ヒュッ!  ジャラジャラッ!

忍頭「縄や鎖を抑えるのを誰か手伝ってくれ」

弓頭「おい、手伝うぞ」

弓兵一同『はっ!』

口取り「手伝います!」

小者「自分も!」

とある殿「今の内に畳み掛けるぞ!」

一同『おおー!!』

槍頭「おりゃ!」ヒュッ! ガッ!

若侍「刺さった!」

槍(長)侍「はっ!」ヒュッ! ガッ!

槍(短)侍「おりゃ!」ヒュッ! ガッ!

 『グオオン!!』

中間「何の!」ヒュッ! ガッ!

若党「てりゃ!」ヒュッ! ガッ!

 『グオオオンン!!』



 ワーワー ヤートー ガッ ガキン 

忍丙「あんまり効いて無さそう」

 グウゥン!!

縄・鎖を引いている一同『うわっ!?』

忍頭「しっかり腰を落として抑えろ!」

殿弟「ここはやはり首を狙う!おいそこの」

忍丙「はい、台になります」ガシッ

忍丙「どうぞ」

殿弟「行くぞ!」ダッ!

忍丙「せいやっ!」グィッ

殿弟「とうっ!」バシュッ! ガキンッ!

一同『やった!!』


弓頭「首に刃は届いたが切断までには至って無い...!」

 『グオンッ!』

殿弟「ちぃっ!やっぱケラの中の方は質の高い鉄か!」

とある殿「ちゃんと鍛えられた鋼ならば!俺も行くぞ!」ッダッ!

忍丙「!、せいやっ!」グィッ

とある殿「とうっ!」バシュンッ!

 ガキィンッ!  『』グラッ

とある殿「どうだっ!」

弓頭「未だ首の皮一枚で繋がって」

 グググググッ

一同『!?!』



 『グオオオオオォォォンンン』

 パキッ パキキッ

 ボオオォォンッ!

一同『うわっ!?』

 バラバラバラ……


小性「粉々に砕けた...」

槍頭「やったな...!奴を倒したぞ!」

一同『お、おおおーー!!!』

とある殿「……とりあえず散らばった鉄を集めるぞ」

一同『はっ!!』


 ワイワイ ガヤガヤ……

忍頭「むっ?」

 バザバザ……


―――‐‐‐‐、‐‐‐、‐‐‐―――



  <後日>


―――某国、某城、謁見の間―――


使者「......と云う訳で約束通り玉鋼、用意が出来ました」

某大名「うむ、早かったな。それにしっかり割増になっているな」

使者「は、両国の関係を思えば当然の事」

使者(それに凄い量の玉鋼が手に入っちゃったしな...)

某大名「うむ、御苦労であった」

使者「はっ」


某大名「…しかし見てみたかったな、その竜を......」

―――‐‐、‐‐、‐‐‐‐―――



―――某国、某城、庭―――


とある姫「......へぇ、そんな事が有ったのですか」

侍女「はい」

とある姫「他には何か有って?」

侍女「ええと、(忍頭からのこの連絡、姫様に話して良いかな?)」

 バザバザ  ガシャン

侍女「何奴!」

 「キュー...」

とある姫「あら?変わった鳥ね」

侍女「鳥って、この鳥は鉄で出来てる様ですよ?ってまさかこの鳥...」

とある姫「ほら、こっち来なさい」

 「キュー」

侍女「って姫様なにしてるんですか!?」

とある姫「なにってこの鳥かわいいじゃない」

侍女「確かにかわいいですけど......」

とある姫「私この鳥を飼いたいわ」

侍女「ええ!?…まあ問題無いでしょう。多分......」

 「キュー」


―――‐‐、‐‐、‐―――

とりあえずこれにて一件落着



おまけ

―――とある国、神社―――


職人「…貴方がこの神社の巫女様ですか?」

巫女「はい、私が巫女ですが何か御用ですか?」

職人「はい、私が作り上げた物に名前を付けて欲しいのですが...」

巫女「名前、ですか?それはどんな物ですか?」

職人「はい、それはこの前手に入れた"特殊な鉄"を使って作った、

   巨大な甲冑みたいな物です!!」

巫女「?良く分かりませんが...」

職人「つまり!、常人の三倍から四倍近い大きさの人型で中に人が乗り、

   自由自在に動き回れる!、そんな物です!!」

巫女「でもそんなに大きな甲冑だったら着たら身動きが出来なくなるのでは?」

職人「その辺は大丈夫!。こいつは先程も言った通り"特殊な鉄"を使ってますので

   人が入ったらその中の人の気合で自ら動くのです!!」

巫女「それは凄いですね」

職人「それで巫女様!!」

巫女「はい何でしょう?」

職人「貴方様の噂は聞いております!何でも未来を見た事が有るとか無いとか」

巫女「まぁそうですけど...」

職人「そんな巫女様にぜひ!これにカッコイイ名前を付けて貰いたいのですが!!」

巫女「…分りました」

職人「おお、では!!」

巫女「実は話を聞いている最中にすでに名前が浮かんでいたのですよ」

職人「なんと!!」

巫女「はい、その名も」

職人「その名も...?」


巫女「"着ぐるみ"」


職人「……え?」

巫女「私は噂通り未来を垣間見た事が有ります。

   その時に貴方の話に聞いた様な物を見た覚えが有ります。

   更にそう言った物に対する名称も存在しておりそれが

   "着ぐるみ"という名なのです!」

職人「え?、いや、もっとこう、カッコイイ名が有るんじゃないんですか?」

巫女「いえ、この着ぐるみという名称は相応しいですよ」

職人「いや、でも、着ぐるみって...」

巫女「私が見た未来では確かに巨大な武者鎧に人が乗って動かしております。

   そしてそれは着ぐるみと呼ぶのがしっくりくるのです」

職人「でも、でも、」

巫女「着ぐるみ。うん、やはりぴったりの名でしょう!あれも着ぐるみに見えましたしね!」

職人「でもっ!着ぐるみって無いですよ~~!!!」


―――‐‐‐‐、‐‐―――



―――とある国、とある城、とある一室―――


忍頭「殿、新兵器を作っていた職人が失踪しました」

とある殿「何!?では新兵器は!?」

忍頭「新兵器の巨大人型兵器は職人の家に放置されたままで御座います」

とある殿「なら一安心だな...。ところで新兵器の格好良い名は決まったか?」

忍頭「いえ、未だ決まっておりません」

とある殿「そうか...」

忍頭「しかし作り手がいなくなり巨大人型兵器の開発は滞るでしょうな」

とある殿「うむ、誰か「俺が代わりに作る!」と名乗りを上げる者は居らんかな?」

忍頭「その内現れるかもしれませんね」

とある殿「そうだな。...あの兵器が戦場で活躍する所を見てみたいものだ......」


―――‐‐‐‐、‐‐‐‐、‐‐‐‐‐―――

おまけ終わり


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