灼「個人戦は見学して行くから……」 (1000)


灼「ま、東京で遊ぶにしてもほどほどによろしく」


晴絵「信用してるけど、問題起こさないようにね」



「「「「はーい」」」」



前スレ:晴絵「個人戦は見学していくからね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405084782/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1412412627

咲SS

・阿知賀キャラ+他校キャラ

・短いのをちょこちょこ投下するスタイル

・のんびりゆっくり

・安価は出しませんが、リクは常時受け付け中。全て拾って書けたものから投下します

引き続きよろしくお願いします

シロを見つけて世話をしていたら塞さんに出会って、部長同士のトークへ

リクエストってこんな感じ?

立て乙
今リクのストックってどんな感じ?

>>4今まではキャラだけ挙げていただいてこちらで料理していました。まあ、あまりにも難解な状況設定でなければ対応できると思いますし、どうしても無理だったらぺっこりんします

>>7現在のストック状況は
玉子
姫子(+穏乃)
はやりん+すこやん
優希
靖子

になります。見落としはない…はずです
見落としていても全部拾うつもりではあるので再度言ってもらえれば問題ないかと

今日は用事ができてしまったので、明日以降前スレ埋めてからこちらで投下しようと思います
どうぞよろしくお願いします

松実姉妹に咲ちゃんが加わる

チカちゃん好きなんで誓子で

なるかちゃんとユキちゃん

説明が足りなかったようで不要な混乱を招きましたね…失礼しました

ここは【阿知賀スレ】です
時間軸は基本的に【インターハイ団体戦終了後、個人戦開始前】を想定しています
リクに関しましては>>14のような形でしたら指定通りに玄+宥+咲で書きますし、>>15のようにキャラ名だけでしたらこちらがチカちゃんと阿知賀から一人、もしくは複数人選んで好き勝手書きます

今から前スレに埋めネタ投下してきます。少し余るはずですので投下後埋めていただければ幸いです

レジェすこが名前で呼び合うエピソードとかあれば
壁ドンあればなおよし

昨晩は前スレの埋め立てありがとうございました
新スレ投下0のままなのもアレなので、前スレ>>1000から、短いですが一本投下します


穏乃「やっぱり……薄墨さんと国広さんの服って素敵ですよね!」

一「もう……急にどうしたの? 褒めても鳩とかトランプしか出ないよ?」

初美「うわっ!? い、今どこから鳩出したんですかー? 一はすごいですねー……マジシャンでご飯食べていけるんじゃないですかー?」

一「まあ一時期そういう手伝いみたいなこともしてたけど……それで、本題は?」

穏乃「その……ちょっと、お二人の服、着てみたいなって……ダメですか?」

初美「……実は、私も一やちゃんや穏乃ちゃんの服には興味があったんですよねー」

一「実はボクも……その、一回交換してみようか? ボクたちなら体型も近いしいけるよね?」

穏乃「本当ですか!? やったぁ!」


――――――


穏乃「巫女服!」

一「似合ってるよ、高鴨さん!」

初美「着心地はどうですかー?」

穏乃「最高です! ……憧の家が神社で、前にお手伝いに行ったときに巫女服着たことがあるんですけど……やっぱり薄墨さんのものが一番ですね! 悪く言うわけじゃないですけど、憧のとこのは……なんというか、普通で」

一「巴さんみたいにキチッとしてるのも凛としていいと思うけど、やっぱり薄墨さんみたいな着こなしがオシャレの最先端だよね」

初美「うちはド田舎の更に山奥でオシャレとかみんな疎いんですよー……二人に出会えただけでも東京に出てきた甲斐がありましたねー」

穏乃「国広さんはどうですか? 私のジャージ」

一「うん、すごくいいよ! ジャージだけで山に登るなんて危ないと思ってたけど、これなら行けるんじゃないかって気がしてくるから不思議だね」

初美「実は形から入っちゃうタイプでしたかー? それでも穏乃ちゃんのジャージは機能性に優れてるし、素材もいいですからねー」

穏乃「かなりこだわってますよ! パジャマ用とか部屋着用で全部違いますし……今日はちょうどよそ行き用の一番オシャレなジャージだったのでよかったです!」

一「薄墨さんはどうですか?」

初美「最高の気分ですよー! 一ちゃんの服、とってもかわいいですからねー……この手枷、私がつけちゃってよかったんですかー? 大事なものなんじゃ……」

一「いいんです……二人は、透華と同じくらいボクにとって大切な友達だから……」

穏乃「国広さん……!」

初美「えへへ……照れちゃいますねー……でも、やっぱりこの手枷がファッションポイントですからねー」

穏乃「服自体はすっごくかわいいのに、この手枷の攻めに攻めてるところがアクセントになって! 国広さんが傑出したセンスの持ち主だってわかりますよね!」

一「えへへ……透華と出逢ってからかな、ボクのファッションがより完成に近づいたのは……」

初美「龍門渕さんともいい友人になれるかもしれませんねー!」





透華「くしゅん!」

智紀「風邪?」

純「なんか、ヤバい流れを感じる……」


――――――

初美「おぉ……すごいですよ穏乃ちゃんのジャージ! こんなに動きやすいんですねー!」

一「ボクもさっき着て気づいたんだけど、本当にいいやつだよね……機能性とかっこよさを兼ね備えたオシャレジャージだよ!」

穏乃「その、よかったら私がいいジャージ見繕ってお二人にプレゼントしますよ!」

初美「ええっ! いいんですかー!?」

一「本当に……!? すっごくうれしいよ!」

穏乃「任せてください! とびっきりオシャレなやつを……あ、お二人の環境を考えたら私が着てるやつよりフォーマルな方がいいんですかね?」

一「高鴨さんが選んでくれるなら心配は要らないと思うしお任せしちゃおうかな」

初美「お願いしますよー! 穏乃ちゃんはそういう細かいところにも気を遣えるのが素敵ですねー」

穏乃「……そ、その、ところで……私、どうですかね? 国広さんの……こういうかわいい服って、私あんまり着ないから似合わないんじゃないかって……」

一「バッチリ似合ってるよ? もっと自信を持ちなよ!」

初美「一ちゃんの言う通り! 手枷のアグレッシブなところはアクティブな穏乃ちゃんにむしろマッチしてますよー?」

一「うんうん、ボクも妬けちゃうぐらいに似合ってる!」

穏乃「そ、そうですか? ……えへへ、憧もこういう服のかわいさに気づいてくれればいいのになー」

一「新子さんすっごくかわいいのに……その、センスは結構普通の普通って感じなのがもったいないよね……」

初美「身近な友人に理解されないのは辛いですよねー……私も霞ちゃんたちに少しずつ布教していきましょうかねー」

一「ボクはすっかりメロメロだけどね……巫女服なんてはじめて着るけどこんなにいいものなんですね」

穏乃「っていうか、国広さん……ちょっとそれセクシーすぎますよ!」

初美「これはマズいですねー……一ちゃんは私より身長もありますし……肩のラインとかちょっと犯罪的ですよー」

穏乃「初美さんが着ててもかなりやばかったですけど……着なれてないところから来る気恥ずかしさが相まって……国広さん、かなりえっちいことになってますよ」

一「えぇ!? ちょ、ちょっと……そんなに言われたらボクもかなり恥ずかしくなってくるんだけど……」


コンコン


一「あれっ? お客さんかな? どうぞー」

ハギヨシ「国広さん、透華お嬢様が……!? ……あ、あー……おや、お客様がいらしてましたか」

初美「お邪魔してますよー」

穏乃「こんにちは!」

一「透華が? ……なにかお仕事ですか?」

ハギヨシ「い、いえ、少し時間ができたのでお茶でもどうかというお話で……」

一「その、薄墨さんや高鴨さんも一緒して大丈夫ですか?」

ハギヨシ「それは、はい……大丈夫です」


一「……萩原さん、どうかしましたか? なんだか様子が……」

初美「……もしかして、一ちゃんがセクシー過ぎて困っちゃってるんじゃないですかー?」

一「……えぇ!? そ、そんな、違いますよね!?」

ハギヨシ「……ええ、まあ、なんというか、目のやり場に困ってしまいますね……」

一「ふぇ!?」

穏乃「国広さんさすがです!」

初美「どうですかー? 普段と違う一ちゃんの巫女服姿は?」

ハギヨシ「はい……えー……く、国広さんほどの素敵な女性でしたらなにを着られても素敵ですよ」

一「も、もうっ! 萩原さんったら、からかわないでくださいよぉ!」

穏乃「きゃー!! 国広さん口説かれてますよ!」

初美「やーん!! 一ちゃんのえっちー!」

一「~~っ! ほ、ほら、透華のとこ行くよっ! お茶とかお菓子とか出すからっ!」

初美「そんなに照れなくてもいいんですよー?」

穏乃「それじゃあ、失礼しまーす!」

ハギヨシ「ええ、どうも……」



一「あ、こんにちはー」

穏乃「こんにちは!」

初美「こんにちはですよー」

京太郎「こん……っ!? に、ちはっ!」



京太郎「……は、ハギヨシさん……こ、こんにちは」

ハギヨシ「こんにちは……大丈夫ですか?」

京太郎「……あの人たち、心臓に悪いんですよ! 特に彼女もいない高校生男子には!」

ハギヨシ「……須賀くんとしては、どう思いますか? その……アレは」

京太郎「直視できませんね、いろんな意味で。 ……正直見たいんですけどガン見するのもアレですし……つーか、あんなにいろいろ見えそうなのにまるで見えないのはどういうことなんですかね!?」

ハギヨシ「それは私に言われましても……」

京太郎「……そういうハギヨシさんこそ、どう思ってるんです? 男ならなんとも思わないってことはないでしょう!?」

ハギヨシ「ええ、まあ……それはいろいろと思うところはありますが……その、女性に服について聞かれるじゃないですか?」

京太郎「……はい」

ハギヨシ「普通、褒めますよね?」

京太郎「……そうですね。 彼女いないし、女の子の服とかよくわかりませんけど……褒めなきゃいけないことぐらいはわかりますよ」




ハギヨシ「なんとか誤魔化しましたが……褒め方がわからない衣服というのは、はじめてでしたね」



カン!



ハギヨシさんですらどうすればいいのかわからない模様
大沼プロはさすがに脈絡なさ過ぎて無理でした。なんか混ざっててもそれはそれで違和感ないですけど

はやりん多いのはシノハユ効果もあるんですかね?次回以降二回続けてはやりん関係消化しようと思います


>>26すこやんで壁ドンって

すこやん「こーこちゃんうるさいよ!」ドン!

的なもともとの方の意味の用法が先に出てきて困る

純君もファッションセンスは少しズレてると思う
何あのポルナレフみたいな服

>>40友人が「なんでイケメンはギガンテスみたいな服着てんの?」って言ったときはお茶吹いた

なんかマウスパッド出るらしいですね…買ったことないしあまり興味もないんですけど、姫様/霞さん/宥ねえ/あこちゃーだとか
……あこちゃーのはマウスパッドっていうかPADですね!アニメで過剰に盛られた子たちはだいたい普通サイズで考えてるんですけどみなさんはどう思われてるんでしょうか?

投下します。はやりんでー



正直、アレはないって思ってたけど……


テレビで見るのと、本人に会うのとで全然印象が変わった



晴絵「あーこー? 今暇?」

憧「んー? 面倒な用事?」

晴絵「もうちょいでお客さん来るんだけどさ、ちょっと出なきゃいけなくなっちゃって……お迎えしといてくんない?」

憧「えー? めんどいからパスで」

晴絵「いやほんと、下から部屋に通しておいてくれるだけでいいからさ! ジュース代くらいやるから頼むよ!」

憧「んー……誰が来んの? 私も知ってる人?」

晴絵「あ、そこは大丈夫! 絶対知ってるから!」

憧「はぁ……仕方ないなぁ」

晴絵「さんきゅ! あっちには伝えとくからよろしく!」

憧「はいはい……って100円ぽっち? もうちょっと弾んでよ!」

晴絵「大丈夫大丈夫! 十分お釣りはくるから!」

憧「はぁ!? ……ったくもう……つーか誰が来るのかぐらい言っときなさいよ……」

昔っからハルエはそそっかしい

吉野に戻ってきて、私たちの監督になって……そういうところは結構収まったのかと思っていたけど、ふとしたときにこうして現れる

ハルエはお姉ちゃんと10年以上の付き合いになるのだから、私ともそれぐらいの付き合いになるわけで……少しは落ち着いたらいいのにね

……っていうか、昔みたいな感覚でおこづかい貰っちゃったけど教師と生徒でそういうのはいいのかな?

うん……まぁ、100円ぽっちだしどうでもいいか

憧「あー……とりあえず、下で待ってればいいのかな?」

誰が来るのかは知らないけど……まぁ、知り合いらしいし顔を見ればわかるだろう


憧「……で、いつ来るんだろ」

結構すぐ来るみたいな話だったけど、どれくらい待てばいいんだろうか

というか、ハルエはすぐ戻ってくるのだろうか

ハルエに用事で来るなんて、どこの誰だろう?

……大会中、しょっちゅう会ってたみたいだし熊倉さんとか?

勧誘を断ったのは知ってるけど……ハルエはプロになるって明言してるし、可能性はあるよね?

後は……この前千里山と練習試合した時に、愛宕監督からも勧誘されてたみたいだけど……個人戦残ってるし、生徒を放置して……ってのはないか

いや、単純に友達が訪ねてくる場合も……いや、ハルエに東京の友達とかいないか

……あ、み、三尋木プロ、とか?

この間来てた時の……あ、あれは、誤解、だったって主張してるけど……もしかしたら……

「あのー」

いやいや、女同士だし……さすがに……いやでもハルエに彼氏いたとか聞いたことないし……

「新子憧ちゃんだよね?」

じ、実はやっぱりそういう趣味だったとか……いや、いつになっても彼氏できないからやけになって……

「すみませーん」

そ、それで……き、禁断の関係になってしまった可能性がなきにしもあらずかもしれなくもない可能性が……

「憧ちゃん?」

憧「ふきゅ!?」

「ごめんね? 驚かせちゃったかな?」

憧「え、あ! いえ、すみません! ちょっと考え事を……ハルエ、じゃなくって、赤土先生のお客様って……」

「うん、憧ちゃんが待ってるから部屋にあがってて、って言われてるんだけど……」

憧「あ、それじゃあ案内しますね」

「ありがとう」

あー、急に話しかけられたから驚いちゃった

っていうか、全然知り合いじゃないじゃない! 私の知り合いにはこんなアニメみたいな声で喋る胸のでかい美人の知り合いは……

憧「って! ちょ、は、はや」

はやり「しっ! お忍びだから、大声出しちゃダメだぞ☆」


――――――

憧「ど、どうぞ」

はやり「お邪魔しまーす」

な、なんではやりんが!? いや、はやりんっていうか瑞原プロっていうべき!? ハルエ、友達ってガチだったんだ……正直ちょっと話盛ってると思ってた

憧「……あ、あの、ハルエとは……どこで?」

はやり「んー? 赤土さんとは10年前のインターハイで知り合って……それからもたまーに連絡とってたんだ☆」

憧「そ、そうなんですか……」

10年前のインターハイ……いまだに鮮明に覚えている

ハルエは30年連続で県大会を制していた晩成高校を破ったヒーローで、チームメイトのお姉ちゃんは私の自慢で憧れでもあった

お姉ちゃんが東京に行く時には一緒に行くって駄々こねたっけ

2回戦までは悠々と突破して……準決勝、ハルエが……野依プロと、はやりんと、小鍛治プロの3人と卓を囲んで……まぁ、ボロボロにされちゃったんだよね

お姉ちゃんや他の人たちも頑張ったけど、結局取り返しきれずにそこで敗退……思い出して楽しい話でもないし、これはもういいだろう

はやりん……瑞原プロは朝酌女子の先鋒で、現在も売りにしている素早い手作りと堅実な守備は当時からレベルが高くて……テレビで見てる分にはすごく嫌な敵だったからよく覚えてる

……っていうか、私はどうすればいいんだ

そりゃ、アイドルであり、麻雀のトッププロでもある瑞原はやりだ……当然知ってるけど別に知り合いとかじゃないし結構気まずいんだけど……

会話の中で星飛ばされるこっちの身にもなってほしい……正直キツいって

はやり「憧ちゃんは……」

憧「はい!?」

はやり「新子望さんの妹さんなんだよね?」

憧「あ、はい! そうです!」


憧「……その、お姉ちゃんとも?」

お姉ちゃんからは特にはやりんがどう、とかって話は聞いたことないけど……

はやり「あ、違うの……阿知賀の人とは赤土さんとしか連絡は取ってなかったから……まあ、それも頻繁ではなかったけど」

はやり「……大会の対局を見てて、懐かしいなって思って……たぶん、赤土さんと、新子さん……望さんから麻雀のお勉強したんだよね?」

憧「は、はい……そうですけど」

はやり「やっぱり! 阿知賀の子はみんなそれぞれ赤土さんの打ち方の面影があるなーって思ってたんだけど……憧ちゃんは打ち回しとか、どちらかというとお姉さんに似てるなって!」

憧「……お姉ちゃんとは直接打ってないですよね?」

はやり「それはそうだけど……やっぱり仲間と打つ選手だしちゃんとチェックぐらいしてたよ? 憧ちゃんもそうでしょ?」

憧「それは、まあ……」

……それにしても10年前でしょ? その間プロとして対局も相当こなしてるはずだし、アイドルとしての活動もしてるはずだ

……なんか、正直ふざけてる……いや、ふざけてるんじゃなくてそういうキャラ付けか

なんにしても、瑞原はやり……結構すごい人?

いや、そりゃあトッププロだしすごいに決まってるんだけど……二足のわらじとか、ちょっと気に食わないというか……キャラ付けもちょっと苦手だし……

憧「…………」

はやり「……?」

あー……なんか腹立ってきた

麻雀強い上に美人とか……胸もでかいし、10年前のデータ入ってるところ見ると当然頭の方も良さそうだし……胸もでかいし!

つーかテレビで見るより全然かわいいな!? アイタタタって思ってたけどこれなら許されるんじゃないの!? というか許されてるから人気なのか!?

っていうか! ほんっとに! ハルエはハルエでちゃんと瑞原はやりが来るって言っときなさいよ! 心の準備できてないし、気の利いた話とか特に浮かばないんですけど!


はやり「そういえば、お姉さんは元気? 今も麻雀打ったりしてるの?」

憧「えっ、と……お姉ちゃんは……実家が神社なので、そっちのお手伝いをしてます。 麻雀は……最近はあんまり」

はやり「そっかぁ……とってもいい雀士だったのに残念だね……実家といえば、はやりの実家はケーキ屋さんなんだっ☆ 子供の頃は私もお手伝いして、いろいろお店にお菓子出したりもしてたんだけど……憧ちゃんも実家のお手伝いとかするの? 神社だとお祓いとかするのかな?」

憧「あ、いえ……そういう専門的なのはあまり……年末年始とかは巫女装束着たりして手伝いますけど、やることは普通のアルバイトと変わりませんね」

はやり「ああ、お祓いとか難しそうだもんねぇ」

実家がケーキ屋さんって……小さい女の子の将来なりたいものランキング上位総ナメって感じ? ケーキ屋さんでアイドルで……しかも麻雀トッププロ!ついでに美人で胸もでかい!

……正直羨ましいんですけど

っていうか小学生の頃からお菓子つくって店に出してたってスペック高すぎない? 天は二物を与えずって言うけど、普通の人間が与えられなかった分余計にもらってんじゃないの?

あ、どうでもいいけど昔はケーキ屋さんって毎日おなかいっぱいケーキ食べれるものだと思ってたけど実際どうなんだろ?

……でも、毎日食べれるって言われたらそれはそれで売れないケーキ屋みたいで嫌ね

はやり「……あ、松実さんのおうちが旅館なんだってね! はやりのお友だちにも実家が旅館の子がいてね? 地元に戻ったらそこの温泉とかお邪魔してるんだー」

憧「いいですよね、温泉!」

はやり「お風呂は命の洗濯って言うぐらいだしね☆……それに、お肌にもすっごくよくって……」

憧「それ! 気になってたんですけどはや……瑞原プロ、すっごいお肌綺麗ですよね!? 」

30手前とは思えないぐらい

憧「お手入れとか……」

はやり「呼びやすい方でいいよ? うーん、温泉効果もあるけどやっぱり普段からちゃんと……って、憧ちゃんはまだ16でしょ? そんなに気にしなくても平気だと思うよ?」

憧「いえ! ここは将来のためにも……瑞原プロみたいに綺麗なままでいたいですし!」

はやり「もう、照れちゃうなぁ……えっとね、はやりは……」

……ふむふむ、なるほど……とりあえずあとで松実館の温泉が効くかどうか玄か宥ねえに聞くとして……って懐柔されてる!?

くそぅ……でも瑞原プロいい人っぽい……いや、そういうキャラだからこういう感じなのかな?

ずっと笑顔だけど……その下の表情が全然読めない……


晴絵「ただいま!すみません、瑞原さんお待たせしました」

はやり「はるえちゃん、おかえりっ☆ この前ぶりだねっ!」

憧「ハルエ! ちょっとどこ行ってたのよ! 誰が来るかぐらい言っておいてよ!」

晴絵「あはは、驚いたろ?」

憧「当然でしょ! 瑞原はやりなんて大物が来るとは思わないわよ!」

はやり「私は憧ちゃんとお話しできてよかったな☆」

憧「あ、ありがとうございます……」

晴絵「時間、まだ大丈夫ですよね?」

はやり「今日はすこやちゃんがラジオの収録日って言ってたから、まだ余裕あると思うよ~」

晴絵「ですよね……それじゃあ……いつまでそこにつっ立ってんだ? 入っていいぞ和?」

憧「あ、和来てるの?」

晴絵「……ぐ、偶然そこで会ってな」

……ああ、和迎えに行ってたのか

はやりんのファンだったらしいし……にしても嘘つくならもう少しうまくやりなさいよ

和「あ、あのっ……こ、こんにちはっ! ははは、原村和れふっ!」

……ダメだこりゃ

こんなに緊張してる和はじめて見るなぁ……噛み噛みだし、顔真っ赤……麻雀打ってるときよりもすごいし

憧「……和、少し落ち着きなよ」

和「な、なな、何を言ってるんですか穏乃、わわわ私は冷静ですよ!」

晴絵「……それ、憧だぞ」

和「はわっ!?」

うん、ダメだこりゃ


はやり「こんにちはっ! 和ちゃん☆」

和「はわわわわわわ……は、はやりんが私を△※☆○×」

憧「……和、ちょっとマジで落ち着きなさいって」

晴絵「あっはは……深呼吸して、深呼吸」

和「は、はい……すー……はー……し、失礼しました」

はやり「気にしないでっ☆ はやり、和ちゃんのインターハイの試合も見てたよ~」

和「ほ、本当ですかっ!?」

はやり「清澄ははやりも注目してたからねっ☆ 去年大活躍の龍門渕を破っての出場だったし……和ちゃんの綺麗なデジタル打ちはスタイルがはやりにも似てたから大注目だったよっ☆」

和「あ、わわ、私、昔からファンで、牌のおねえさんの番組で麻雀も覚えて、その、あの」

はやり「はやりの番組見ててくれたの? うれしいなっ☆ ありがとう、和ちゃん!」

和「い、いえっ! その、私はそれで、はやりんと、瑞原プロ、両方のファンで……」

はやり「本当に? それじゃあ、よかったら今度のライブに遊びに来てよっ☆」

和「はぇ!?」

はやり「インターハイ終わったあとになっちゃうけど、横浜でおっきなライブするんだ☆」

和「え、で、でででも、いいんですか!? そ、そんな……」

はやり「お近づきの印だよっ☆ チケットははるえちゃん経由で渡せばいいかな?」

和「は、はいっ!!」

晴絵「……瑞原さん、なかなか……やりますね」

はやり「はやや? なんのことかな? えっと、和ちゃん! たぶん二枚ぐらいならなんとか準備できると思うから、お友だちと一緒に来てね☆」

和「あああ、ありがとうございますっ!!」

はやり「なんだったら、試合の方でも大歓迎だよっ☆ 和ちゃんだったらチームに入ってもらいたいくらいだからねっ☆」

和「わ、私が、ハートビーツにですか!?」

はやり「もちろん、将来的な話になるし高校の間の戦績も影響すると思うけど……和ちゃんははやりイチオシだからね☆」


憧「……和、大丈夫?」

和「わ、私……もう死んでもいいです……」

憧「いやいや……死んだらだめっしょ」

晴絵「高1のうちから勧誘なんて、気が早いんじゃないですか?」

はやり「はやっ? はやりは思ったことを言っただけだよ? あ、もちろん、憧ちゃんだって大歓迎だぞっ☆ プロ志望だったらはやりが推薦してもいいからねっ」

憧「ほ、ほんとですか!?」

……正直、社交辞令だろうとは思うけど……トッププロにこういうこと言われちゃうと、さすがにうれしいな……

晴絵「瑞原さん……勘弁してくださいよ……」

はやり「えへへ……はるえちゃんも大宮に来てくれるとうれしいんだけどなぁ」

……よく考えたらハルエって、実は猛烈な勧誘受けてる?

熊倉さんや愛宕元プロ、瑞原プロにまで……

憧「……ねね、和」

和「はやっ!?」

憧「……うつってるわよ? あのさ、実際のとこプロとか考えてる?」

和「だってはやりんに、瑞原プロに勧誘されましたよ!?」

憧「落ち着いて! 結構マジな話だから! ……実際さ、和はインターミドル王者で今年もインハイ団体戦優勝して、これから個人戦もあるわけじゃん? エリート中のエリートじゃん」

和「……そうですね、選択肢の1つではあります」

憧「選択肢の1つ、かぁ」


和「まだ高校1年生ですしね……他にもなりたいものはありますし……なんにせよ、麻雀は好きですから続けていきたいとは思っていますが」

憧「そっか……」

和「そういう憧はどうなんですか? 高校1年目からインターハイに出場して、団体戦上位入賞してるじゃないですか。 瑞原プロにも評価されてるようですし全然チャンスはあるのでは?」

はやり「準決勝の解説で咏ちゃんも憧ちゃんが阿知賀で一番上手いって言ってたし、関係者でも評価してる人は多いと思うよ?」

晴絵「憧は他のみんなより癖がないし、望に似て鳴きからの加速とか変化とか上手だからねー」

憧「……そんなに言われるとちょっと照れるんですけど……まあ、どうだろう……麻雀好きだし、プロになりたいって思ったこともあるけど……やっぱりまだわかんないかなぁ……将来とか、実感がわかないし……」

晴絵「……ま、高1じゃそんなもんだよなぁ」

憧「インハイ優勝目指して頑張って、麻雀へのモチベも高いし……プロになれるもんならなりたいけど……うーん」

和「高校もあと2年間ありますし、ゆっくり考えてもいいんじゃないですか?」

晴絵「私もゆっくり考えていいと思うぞ? まあ、私みたいにぐだぐだ足踏みし続けるのはもったいないと思うけどね……無駄な時間だったとは思ってないけど、さ」

はやり「うん……それでも夢とか、目標っていうのは持った方がいいと思うな……憧ちゃんがインターハイに向けていっぱい頑張ったみたいに、そういうのがあれば頑張れるでしょ? 小さなことからコツコツと、ね?」

和「私は、とりあえず個人戦ですね」

晴絵「目標は優勝かな?」

和「ええ……もちろん、目標は高く持つべきです」

はやり「その意気だよ! 和ちゃん☆」

憧「……そういうとこ強いなぁ、和は」

麻雀の方と違って、和は結構熱いやつだ

……私はこういう時にどうするのが一番利口か、とかそういうことばっかり考えちゃうし……

しずみたいにもっとまっすぐに考えられれば簡単なんだろうけど

私は……どうなりたいんだろう?


和「その、参考までにお聞きしたいのですが……お二人が、私たちぐらいの時は……」

晴絵「んー……私はそれこそプロ雀士が夢だったかな……あの後、いろいろあったけど結局こうして戻ってきちゃったし……やっぱり麻雀好きだよ、私は」

はやり「ふふっ……その夢ももう少しで叶うしね! はるるん☆はやりんでコンビ組もっ?」

晴絵「いや、もし大宮に行くことになったとしてもそれは勘弁してほしいんですけど……」

和「コンビを組むならはやりん☆はるるんの方がいいと思います!」

憧「そこはどうでもいいっしょ……」

和「なに言ってるんですか! 名前は重要ですよ! 赤土先生は優れた雀士であり指導者ですが、アイドルとしては知名度も実力もはやりんの方が断然上です!」

晴絵「……そりゃ私はアイドルじゃないし」

和「それなら当然はやりんの名前が先に来るべきで……」

……こういうとき、アイドルのファンってめんどくさいわね

晴絵「そ、そんなことより! 瑞原さんはどうだったんですか? 将来の夢ってやつは」

はやり「はやり? はやりはね……子供の頃からずっと尊敬してて、憧れてる人がいるんだ……だから、今もその人が目標」

憧「……どんな人なんですか?」

はやり「……すごい人でね? かっこよくて、かわいくて、キレイで……」

和「はやりんよりもですか!?」

はやり「うん、はやりよりもぜーんぜん! ……自分が大変な時にも、みんなのことを楽しませるために……みんなに笑顔になってもらうために、いっぱい、いっぱい頑張って……」

はやり「……はやりは、小学校2年生の頃、おばあちゃんが病気で大変だった時にその人に出会って……たくさん、本当にたくさん元気をもらったんだ」


和「……そんな素敵な人がいるんですね」

はやり「うん! 本当に素敵な人で……はやりも、ああいう人になりたいって思ったんだ」

晴絵「……瑞原さんは、もう夢を叶えたんですね」

はやり「……まだまだだよ、はやりの中のあの人はもっともっと輝いてるから」

はやり「でも……そうだなぁ、ああいう人になるために、って小2の時に立てた目標が牌のおねえさんだったから……なりたいお仕事につく、って意味では夢は叶えたかも」

憧「……牌のお姉さんで、満足してないんですか? プロ雀士としても、アイドルとしても大人気で……大成功してるじゃないですか」

はやり「さっきも言ったでしょ? 牌のおねえさんは夢を叶えるための目標で……はやりの夢は、あの人みたいに……みんなの笑顔のために頑張れる人になることだから」

はやり「まだまだ満足なんてできないよ……あの人みたいに、最後の最後まで……限界まで頑張って、より多くの、もっとたくさんの人に……元気に、笑顔になってもらいたいから!」



晴絵「…………」

和「…………」

憧「…………」

はやり「あ、あれ? はやり、変なこと言った?」

和「……い、一生はやりんについていきます!!」

はやり「はやっ!?」

晴絵「……あんまり立派なことを言われると、教育者としての立場がなくなっちゃうんだけどなぁ」

はやり「え、え? ……そんな、はるえちゃんを目標に頑張ってる子もいっぱいいるでしょ?」


和「ね? ね? 憧! やっぱりはやりんすごいでしょう!? かっこいいでしょう!!」

憧「う……ま、まぁ……そう、かも……」

……く、悔しい……はやりん、ちょっと、ファンになっちゃうかも……

今更アイドルになりたいとは思わないけど、こういう……ちゃんとした自分の考えをもって頑張る人はすっごくかっこいいと思う

憧「……ね、和」

和「なんですか?」

憧「……さ、さっき言ってたはやりんのコンサートって」

和「……残念ですがダメですよ。 染谷先輩と今度は一緒に、ってこの間約束しましたから」

憧「ぐぬぬ……けち」

……この間は興味なかったから、はやりんの話で盛り上がってたのスルーしてたけど……そんな約束をするほど盛り上がってたのか

和「……その、はやりんも目の前にいることだし頼んでみては」

憧「そ、そんな厚かましいことできるわけないでしょ」

はやり「はやっ? 憧ちゃんも興味持ってくれた? それなら頑張ってチケット用意するよ☆ はるえちゃんに渡しておくから!」

憧「え、え!? そんな、いいんですか!?」

はやり「まかせてっ☆」

晴絵「すみません瑞原さん……今日は私が出しますから」

はやり「はや? そんなの気にしなくていいのに……」

和「くっ……は、はやりん! た、たいへん厚かましいことだとは思いますが、よ、よろしかったらサインいただけないでしょうか!?」

はやり「お安いご用だよっ☆ 和ちゃんへ……はいっ」

和「ありがとうございます! あ、あのこちらは染谷先輩に……」

はやり「染谷まこちゃんだねっ☆ ……はい、どうぞ! 今日は会えなくて残念だったなぁ……」

和「なにぶん急な話で染谷先輩は外出してて……でも、ありがとうございますっ! ほんとうにうれしいです!!」

晴絵「……憧ももらってきたら?」

憧「……ま、まあせっかくだし、もらっといてもいいかもね」

晴絵「もう、素直になりゃいいのに……」


――――――

晴絵「あ……瑞原さん、小鍛治さんから連絡来ましたよ」

はやり「はやっ? もうそんな時間? ……ごめんね、憧ちゃん、和ちゃん、名残惜しいけどそろそろ行かなきゃ……」

和「そうですか……い、いえ! 今日はありがとうございました! ライブも必ず行きますから!」

憧「あ、ありがとうございました……」

はやり「今日は二人に会えてよかったな☆ また会おうねっ☆」

晴絵「じゃあ、ちょっと出てくるから……よろしくね、憧」

憧「また夜遊び? この間みたいなのは勘弁してよ?」

晴絵「う……さすがにもうやんないって! 2度目はないってわかってるから!」

はやり「なにかあったの?」

晴絵「あーいや、まあ、ちょっと……憧! 余計なこと言うなって!」

憧「はいはーい……」

和「…………」

はやり「…………」

晴絵「どうかしましたか?」

はやり「はやりは、みんなに笑顔になってもらいたいから……このままじゃ、帰れないかな?」

憧「え……」

和「あぅ……」

はやり「そんなに残念そうな顔されちゃあね……えっと……それじゃあ」

そうして、はやりんがポケットから取り出したのは……

和「……雀牌、ですか?」

はやり「うん……はやりの、原点」

憧「原点……?」

はやり「見ててね……ほらっ」

憧「……あっ!」

和「……わぁっ!」

はやりんが手に持った「白」の牌に「中」の字が浮かび上がる





はやり「また会えるから、 元気出せっ☆」




カン!


シノハユ大好きです。単行本派の人もはやり1まで入ってたしなんとなくわかりますよね…?
次は大人回で…

あ、ユキちゃん誕生日です! ゆきたんイェイ~
一昨日祝い忘れましたがいくのんも誕生日でした。いくたんイェイ~
……いくのん天使派です。二日連続お弁当箱にカレー入ってるいくのんもかわいいよ!

乙ーはやりんキツ…くない!

はやりんのサインとか豊音が泣いて欲しがりそう

おつ、このはやりはキツくないです。

しかし、……その前の服交換はハギヨシさんでも困るならどうすらいいんだ……とりあえず普通のファッションはすぐには無理だしワンクッションおいて布地を増やす方向で和を投入してみたり?
フリフリな服なら憧も一応着れるだろうし。

でも純君ってすげぇよ
純君の服アコチャーとかが着てもコスプレしてるようにしか見えねーもん絶対


ここのはやりん見てると慕達原作では何してるか一層気になるな
あとリクなんですけどオシャレ戦争に淡参戦できないかな

はやりんはきつくないよ!かわいいよ!

>>61はやりんと出会った瞬間テンション上がって泣きそう
>>63標準おもちが着れば割と普通のフリフリっぽいですよね。ここまで文字打ってから普通どころじゃなくフリフリなことに気づいた。毒されてますね…
>>65やっぱりイケメンだから許されるんだ!イケメンってすごい!
>>66本当に気になるけど、もう慕ちゃん死んでなければいいです…
戦争に関しては参加キャラいくらでも募集してます。>>2にあるように常時受け付けていますので、見たいキャラとかいたら書き得だと思ってガンガン書いてってもらえればこちらもうれしいです

投下は早ければ明日、遅くても連休のうちには来れるようにと思ってます


把握
ユキは、はやりんのことどう思っているんだろう

由暉子は【迫り来る怒濤の火力】とかのが好きそう

お洒落戦争だと灼に共感しそうなイメージの咲さん、某SSを読んだからだろうか?

難しそうな組み合わせだけどと池田と灼の絡みが見たいですww

>>69アイドルのはやりんにはあまり興味なさそうな印象…爽がの打倒はやりん!を真に受けてる気はします。Whirlwindとかは好きそう
>>70†Grand Master†一択な気もしますね。称号がいかにも最強っぽくて
>>71気になります。ここの咲だと灼に消極的賛成ですかね…あまり服とか興味なさそう。服買うお金あったら本とかに使いたい人なイメージ
>>72華菜ちゃんかわいいよね!

投下します



いい友人を持って、幸せだ


……ただ、親しき仲にも礼儀あり……言っていいことと悪いことがあるよね



はやり「憧ちゃんも和ちゃんも、いい子だね!」

晴絵「自慢の教え子たちですよ……それにしてもすみません、瑞原さんのライブのチケットってすごい値段するらしいじゃないですか……」

はやり「はるえちゃんは気にしなくていいんだよ? はやりが新しいお友だちにプレゼントしたかっただけだから☆」

晴絵「……本当に、ありがとうございます……和も憧も、すごく喜んでましたから」

はやり「えへへ……憧ちゃんは最初……なんていうか、すごく警戒? してたみたいだから……ちゃんとお話しして、仲良くなれてよかったな」

晴絵「憧は……流行りには敏感だけど、アイドルとかあまり興味ないから瑞原さんに会わせても問題は起きないと思ったんですけど……あの様子じゃ、今後ドハマりしますね」

はやり「そうかな?」

晴絵「まず間違いなく……瑞原さん、かっこよかったですもん」

はやり「……えへへ、そっか! 和ちゃんや憧ちゃんが頑張ってるみたいに、はやりもこの調子で頑張るよ!」

晴絵「……私も、頑張らなきゃ……教え子たち、吉野のみんな……いろんな人たちが、応援してくれてる」

はやり「ふふっ……そうだね! ハートビーツではやりと一緒に打とっ☆」

晴絵「あぁ、いや、そこら辺は……その……あ! あそこ」

はやり「はやっ? あ、すこやちゃんとりさちゃんだー!」

理沙「こんばんは!」

健夜「ごめんね? 結構待たせちゃったよね……」

はやり「お仕事お疲れさまっ☆ はるえちゃんと、その生徒さんたちとおしゃべりしてたから全然気にしてないよ~」

晴絵「今日は野依さんゲストで行ったんでしたっけ? 大丈夫でした?」

理沙「……まあまあ!」

健夜「こーこちゃんが絡むからかなり大変だったけどね……」

恒子「でもほら、私が盛り上げないとなんかむっつりしたまま終わっちゃいそうだったし?」

健夜「それはまあ……ってどうしてこーこちゃんがいるの!?」

恒子「付いてきちゃった!」


はやり「あ、福与アナはじめまして! 瑞原はやりですっ☆ はややっ☆」

恒子「はじめまして! スーパーアナウンサー福与恒子ですっ☆」

健夜「自己紹介ぐらいちゃんとしてよ!?」

晴絵「こーこちゃん……相変わらずで」

恒子「いぇーい! ハルちゃん久しぶり! 元気?」

晴絵「元気ですよー」

理沙「……っ!!」

恒子「野依プロもお疲れ様でした!」

健夜「あーもう! こーこちゃんあんまりぐいぐい行かないで! 理沙ちゃん怯えてるよ!?」

理沙「こ、怖くないっ!」

恒子「マジで!? よっしゃー! じゃあ飲みに行こうぜ!」

理沙「!?」

健夜「ちょ、こーこちゃん!」

晴絵「まあ、いいじゃないですか……もともとそのつもりだったんですし」

はやり「みんなで行った方が楽しいぞっ☆」

理沙「行く!」

健夜「……じゃあ、こーこちゃんはあんまり羽目を外さないでよ」

恒子「まかせてよ! さぁさぁこっちだ!」

健夜「なんで当然のように仕切ってるの!?」


―――――――

理沙「飲む!」

晴絵「野依さんそんなにお酒好きでした?」

理沙「みんなと!」

晴絵「……そうですね、この間は結局打つ方メインでしたし……たまにはいいかもしれませんね」

はやり「はやり、こういう所はじめて!」

恒子「ですよね! 物珍しいんじゃないかと思って!」

健夜「ここ、普通の飲み屋だよ!?」

恒子「みんな顔売れてるからなかなか来れないんじゃないかと思って……」

健夜「ただでさえ来れないのになんで集まってる時に来ちゃうのさ!?」

「小鍛治プロ様ー」

恒子「はーい!」

健夜「だからなんでプロって書くの!?」

恒子「大丈夫大丈夫! 騒がしいから誰も気づかないって!」

健夜「店員さんたちすごいヒソヒソ話してるよ!?」

恒子「え、マジで? なんでだろ……」

健夜「小鍛治プロで受け付けするからだよ!!」




恒子「よーし、みんなに行き渡りましたね? じゃあ、乾杯の音頭を……お願いします! 野依プロ!」

理沙「……っ!? ……!!」

はやり「大丈夫だよっ☆ 落ち着いて、りさちゃん!」

理沙「か、乾杯!」

「「「「乾杯!」」」」


恒子「はやりんもビールとか飲むんですね!」

はやり「最初の1杯くらいはね……みんなに言っちゃ嫌だぞっ☆」

健夜「っていうかプライベートな集まりなんだからあんまりネタにしたりしないでよ? 録音とかカメラ回してたりとかしないよね?」

恒子「あ、うん、大丈夫大丈夫……すこやんならともかく、瑞原プロや野依プロもいるんだしそんなことしないよ?」

健夜「それなら私にもしないでよ!」

晴絵「今日は戒能プロは……」

理沙「お仕事!」

晴絵「残念ですね……昨年の新人王やら実力も認められてますし、人気もあるから忙しいんですかねー」

恒子「ハルちゃん、そんなこと言ったらダメだよ! ここにいるのが人気なくて暇な人たちみたいじゃん!」

健夜「はやりちゃんも理沙ちゃんも大人気だよ!? ……まあ、私はわりと暇だけど……っていうか、理沙ちゃんは今日私たちのとこ来てくれたから今空いてるのもわかるけど、はやりちゃんは平気なの?」

はやり「はやりはお昼過ぎまで雑誌の取材とかあったけど……そのあとははるえちゃんのところ行くって言ってお休みもらっちゃった☆」

恒子「へぇ……そんな、遊びに行ってきますーみたいなので休みもらえるんですか?」

はやり「うーん……つまり、それだけハートビーツがはるえちゃんを欲しがってるってことかな☆」


晴絵「う……」

理沙「ズルい! うちも!」

恒子「お? もしかしてハルちゃん大人気?」

健夜「赤土さん……もともと学生の時から評価されてたし、日本リーグでも活躍してたから……今回の阿知賀決勝進出もあってかなり評価されてるみたいだけど……」

恒子「ありゃ? すこやんはつくばに勧誘しないの?」

健夜「結局は赤土さんが決めることだし……事情もあるだろうから」

はやり「だーめっ☆ はるえちゃんはハートビーツではやりとコンビ組むのー」

晴絵「あ、いや、アイドル活動はさすがに……」

理沙「ふ、福岡!」

晴絵「いやいや、そりゃエバーグリーンズ居ましたけど……その縁で押しきるのはさすがにきついんじゃ……」

理沙「明太子!」

晴絵「いや、契約金に明太子上乗せって……」

はやり「それじゃあはやりは……えっと、はやりのグッズでよければ……」

晴絵「ファンクラブに入会するわけじゃないんですよ!?」

健夜「……そういえば、この前会場で少し話したんだけど……愛宕元プロも赤土さん狙ってるみたいだよ?」

晴絵「あ、この前練習試合組んだときに声かけられましたね」

はやり「えぇー……雅枝さんってことは関西の方もはるえちゃん狙ってるの? たしかに関西圏だけど……」

理沙「……!!」


恒子「へぇ……ハルちゃんって結構マジですごいんだ」

晴絵「い、いやそんな……」

健夜「謙遜しなくても、現状が証明してるよ?」

理沙「すごい!」

はやり「そうそう! ……それに、はやりは単純にはるえちゃんと一緒に打ちたいって思ってるしね☆」

晴絵「……ありがとうございます」

恒子「……でさ、実際ハルちゃんはどこのチーム行きたいの?」

晴絵「えっ」

健夜「ちょ……!?」

理沙「!?」

はやり「!?」

晴絵「あ、あー……それは、えー……」

……こーこちゃん、そういうのはマジで勘弁してくれないだろうか

はやり「…………」

理沙「…………」

……二人ともすごい期待の目でこっち見てるんだけど!

こ、小鍛治さんは……

健夜「あー……えー……」

……目に見えておろおろしてる! あ、見て見ぬふりしてお酒飲み始めた! 助けてよ!


……二人とも、たいへんな時期に声をかけてくれたし、恩義も友情もある

だけど……こればかりは、私自身の道にも関わることだししっかり考えないといけない

晴絵「……正直なところ、打てればどこでもうれしいってのはあるんですけど……」

はやり「…………」

理沙「…………」

あ、二人ともめっちゃ目をキラキラさせてる……きまずっ! 言いづらっ!

晴絵「……あー、ビール! もういっちょ!」

恒子「お、いくかー! 私も飲むー!」

健夜「あ、じゃあ私も……」

はやり「えっと、はやりは……理沙ちゃんはどうする?」

理沙「飲む!」

健夜「おつまみとか……」

理沙「からあげ!」

はやり「はやりはサラダが食べたいな☆」

健夜「適当に選ぶよ?」

はやり「すこやちゃんにおまかせっ☆」

恒子「野依プロってからあげにレモンかける派ですか? かけない派ですか?」

理沙「かける!」

恒子「えっ? かけるんですか?」

理沙「……か、かけない!」

恒子「ええっ!? か、かけないんですか!?」

理沙「……か、かけ……かけ……っ!!」

健夜「こーこちゃん! 理沙ちゃんいじめないでよ!!」


はやり「……それで? はるえちゃんはどうするつもりなの? その……」

理沙「心配!」

健夜「……赤土さんは実力あるし、放っておいても平気だとは思うけど……やっぱり環境が変わるといろいろと変わるから……」

はやり「側にいられればなにかとフォローできると思うし……」

恒子「なんだかんだ言ってみんなハルちゃんの心配してるんですねぇ」

……もともと戦う相手として出会ったみんなが、こうして私の心配をして、手を貸そうとしてくれている

あの準決勝でなにもかも失った、一時期はそんな風にも感じていたけど……こうして、いい友人がたくさんできたんだな……

晴絵「……ありがとうございます、ほんとに」

理沙「気にしない!」

はやり「そうそう! 友達なんだから、ね?」

健夜「なにか……伝手があるなら教えてくれるだけでも、少し安心できるからさ」

晴絵「そうですね……はい、その……また、熊倉さんが声をかけてくれてるんです。 大会中に一回断っちゃったんですけど……それでも、一緒にどうかって」

はやり「あぁ……」

恒子「……誰?」

理沙「熊倉トシ!」

健夜「んー……かなりすごい人だよ。 細かいこと言ってもわかんないだろうけど……まあ、麻雀強くて、スカウトとか監督とかもそこかしこでやって……今年はインハイでも岩手代表の宮守女子で監督やってたよ」

恒子「……すこやんのすごい版?」

健夜「……いろいろ間違ってるけど、そんな感じでいいんじゃないかな?」

恒子「地上最強のすこやんのすごい版とか宇宙最強!? やべぇビッグバンで宇宙が滅ぶ!!」

健夜「なにわけわかんないこと言ってるの!?」


はやり「でも、そっか……熊倉さんなら安心だね……エバーグリーンズの時も熊倉さんの紹介だったよね?」

晴絵「はい……今までかなりお世話になっちゃってますし……まあ無下にはできませんし、まかせても確実だなって思いますから」

理沙「……再就職?」

健夜「まあ、やり手だし引く手あまたなんじゃないかな? それでも宮守が二回戦敗退したのは痛いかも……あ」

恒子「どうしたの?」

健夜「いや、熊倉さん……もしかしたら新しく……チーム組むのかも」

はやり「あー……あり得るかもね」

理沙「プロリーグ!」

晴絵「いや、さすがに新リーグ作るのはないんじゃないですか? ……あーいや、でもたしかに熊倉さんならそれくらいやるかも……」

健夜「協会の方でそういう話出てないの? 私は地方リーグに籠ってるからそこら辺はあんまり……」

はやり「はやりも忙しくてお偉いさんたちとはあまりお話しできなくって……りさちゃんは?」

理沙「わからない!」

健夜「そっかぁ……でも、やっぱりありそうだよね? 赤土さんなら集客力あるし、顔にできるもん」

晴絵「いや、実際そこまでないでしょう? 過大評価しすぎですって……」

理沙「晩成!」

はやり「うん、今の上の人たちってやっぱりあの頃のイメージも強いから……創立以来30年連続出場の晩成を倒した! って奈良県外でも実質レジェンドだよ?」

晴絵「レジェンドは勘弁してくださいって……」

はやり「よーく覚えてるよ? 晩成のデータは集まってたけど、阿知賀ははるえちゃんとか新子さんとか1年生部員もいて……対策たてるの大変だったんだもん」

恒子「まあつまり、ハルちゃんの入るチームは心配いらないってことですよね! じゃあ、あとは嫁入り先の心配だね!」

晴絵「へぁ!?」

健夜「…………」

理沙「!?!?!?!?」

はやり「あー……」


こーこちゃん怖いよ!!

なんでそんなあからさまに危険なところにぶっこむかな!?

恒子「で? で? ハルちゃんどうなの? あてはあるの?」

晴絵「え……いや、その……」

くそっ! 学生気分か! 回りよく見て話せよ!さっきまでいい雰囲気だったのにお通夜ムードだぞ!

晴絵「……私は今は特にそういうのはないよ?」

恒子「へぇー……じゃあ、のよ」

晴絵「こーこちゃんは!? こーこちゃんはそういうのないの!?」

だから怖いよ! 振るな! 回りに振るな!

恒子「え? 私? 私は今仕事楽しいししばらくいいかな~……モテるけど!」

一言余計なんだよ! あ、酔ってんのか!? いや、この子はいつもこんなんだった!

健夜「…………」

理沙「…………!!」

はやり「こーこちゃんかわいいもんね~」

恒子「いやあ、そんな、はやりんほどじゃないっすよ~……で、どうです? はやりんは彼氏とか!」

こらこらこらこら! やめろ! 空気読め!胃が痛い……

はやり「はやっ? はやり? はやりはね……」




はやり「はやりはみんなのはやりだからねっ☆」




恒子「いやーそうですよね! すみません変なこと聞いちゃって!」

はやり「気にしないでっ☆」

晴絵「あはは……そうですよね、瑞原さんははやりんですもんね……」

あー怖かった

嵐は去った……

健夜「……まあ、いつまでもそんなこと言ってられないけどね」

晴絵「!?」

はやり「はやっ?」

理沙「アラフォー!」

健夜「アラサーだよ!! 同い年でしょ!?」

なんでダメージ受ける側のあんたらが噛みつくんだよ!

ってこの数瞬の間にどれだけ飲んだんだよ! 目が据わってるよ!怖いよ!

健夜「はやりちゃんだっていつまでアイドルやれるかわからないんだし……」

理沙「結婚! 出産!」

恒子「まぁあまりのんびりもしてられないのかもね~」

晴絵「…………」

よし、逃げよう!

これ、あれだわ……絶対めんどくさい感じになる。 つーかすでになってる。 ヤバい


晴絵「えー……私ちょっと」

はやり「はるえちゃん!」

晴絵「はいっ!?」

はやり「はやりだってね……わかってるんだよ? でも、牌のおねえさんやめたくないし……まだまだ真深さんみたいに……」

まふか? なんか聞いたことあるような……誰だっけなぁ……

はやり「でも、小学校の頃にはちょっとしたミニライブとかやらせてもらってたし……アイドルの卵みたいな? アイドルは恋愛しちゃいけないから……はやりだって、はやりだって素敵な恋をしてお嫁さんとかにもなりたかったけど……」

あ、なんかスイッチ入った……

晴絵「って! 泣かないでくださいよ!」

はやり「だってぇ……」

あーくそ! やっぱりこの話題は地雷じゃないか! こーこちゃん恨むぞ!

健夜「……理沙ちゃんもそのあがり症治さないと彼氏できないよ?」

理沙「余計なお世話! すこやん!」

健夜「わ、私は……ほら、モテるし……」

恒子「お年寄りと子どもにね!」

健夜「うぐぅ……」

……これ、収まりつくのか? なんとか平和に解決を……


晴絵「で、でも! 実際茨城の方で麻雀イベントあるとだいたい小鍛治さんが子どもに囲まれてる画像ネットに出回りますよね! 大人気で羨ましいですよ!」

恒子「逆光源氏計画とかしたらダメだよ?」

健夜「しないよ! っていうかこーこちゃんが散々ネタにするせいでお年寄りのファンの方からすごい心配されてるんだけど!? 小学生にあと10年経ってもフリーだったら嫁にもらってやるよ! とか言われる気持ちわかる!?」

理沙「10年独り身!」

健夜「うるさいよ!」

恒子「……いっそ、マジで10年待ったら?」

健夜「大丈夫だよ! なんとかなるよ! なんとかするよ!」

はやり「すこやちゃんなら大丈夫だよ~……はやりと違って障害もないし……」

健夜「障害ないのにフリーなんだよ!!」

理沙「ヤバい!」

健夜「人のこと言えないでしょ!?」

理沙「……ヤバい」

健夜「……うん、ヤバいよ……ほんと……お母さんもけっこう急かしてくるし……」

理沙「……どうしよう」

健夜「どうしようね……ははは……」

うわぁ……すごい勢いで酔いが覚めてる……ガチ凹み突入してるよ……

これ、なに言っても平和的解決は無理だわ……


……もう、仕方ないな

晴絵「……飲みましょう! せっかく集まったんだし、楽しく飲みましょう!」

もう全員酔いつぶしてうやむやにしよう!

恒子「そうだよ! みんな暗いぞ! 楽しく飲まなきゃ!」

誰のせいでこうなったんだよ!?

理沙「……飲む!!」

健夜「……そうだね、せっかくみんながいるんだし、楽しく飲まなきゃもったいないもんね」

はやり「かんぱーい☆」







当然のように真っ先に潰された

そういうところがかわいげないんじゃないですかね……?


カン!

大人たち。シノハユはいつこの子たちまでたどり着くんだろうか

実際晴絵はどうかな、実力はともかく市場評価は高いとは思えんが


そうやってすぐ逃げるから独身なんだよ…
つーか男子にもプロはいるはずだからそういうところから狙っていけばいいんじゃないですかね

>>92
最大限に良く考えても、一部のプロが注目している知る人ぞ知るプレイヤーとかじゃないかなぁ

>>93
男性プロなんて弱い輩とじゃアラフォー遺伝子の無駄使いだろ
せめて大沼おじいちゃんくらいじゃないと

おつー 今回も面白かったです
個人戦前だし団体戦時お世話になった荒川さんたちに恩返しする所みたいです

>>92>>94ハルちゃん評価妄想とか書いてみたものの長いので省略。とりあえずハルちゃんと実際に打って評価も心配もしてる友人たちの中での会話なので業界内での評価とはまた少しズレていると思っていただければ…
>>93若手の男性プロとか一人でも出てくれればいろいろと捗るんですけどねー
>>95弱いと決まったわけじゃないから…泉ちゃんの潜在能力が超高い可能性もあるし(小声)泉が十全に実力を発揮したわけでもないですし、男子の実力が実際見えなすぎる…

時間が取れたのでもう一本投下してみる所存ー






苦労人、って立ち位置になるのだろうか


……私としてはそれよりも気になるところがあるんだけど、ね



東京の町並みは、地元と違ってビルも多いし、なんとなく落ち着かない

物珍しくて、ちょっとキョロキョロしちゃったり……田舎者丸出しかなー、とも思う

そう思うと、特に誰かに見られているわけでもないのになんとなく恥ずかしくなって……だんだん脇道に逸れてみたり、緑のある公園なんかに引き寄せられてみたり……なんにせよ町を見て回るのも楽しいけど、ふらふらと散歩してみるのもなんだかんだ楽しかったりするのだ

灼「……あ」

たまには――咲のように――木陰のベンチでちょっと読書でも、なんて思っていたが……先客だ

ベンチを目一杯使って……なんと言えばいいのか、おかしな言葉になるが……全力でだらけている

……これは、大丈夫なのかな?

白望「…………」

灼「…………」

白望「…………」

灼「……し、死んでる…………」

白望「……生きてるよ」

あ、生きてた


灼「……ども」

白望「あー……どうも」

灼「…………」

白望「…………」

灼「……隣、いいですか?」

白望「…………ん」

灼「…………」

……ちっとも動かないけど、これは断られたのだろうか?

白望「……だるくて動けない……手ぇかして……」

灼「……ん」

胡桃さんに聞いた通り……相当のめんどくさがりのようだ

介護が必要って言ってたのはこういうことか

灼「……じゃ、隣失礼します」

白望「んー……」


灼「…………」

白望「…………」

咲から借りた本は、面白い

本ばっかり読んでる、なんて言ってたけど……どうやら趣味も合うみたいでよかった

白望「……あ」

灼「…………どうしました?」

白望「……鷺森さん? だよね?」

灼「はい」

白望「……ちょっと前に、ドラの……松実、玄さん? に会って……」

灼「はぁ」

白望「……あー……だるい……」

……途中で切られると気になるんだけど

灼「……お茶飲みます?」

ペットボトルを取り出して、渡してみる

白望「飲ませて―……」

灼「……ん」

……これは友人でも要介護人物扱いしたくなる気持ちもわかる


白望「ありがと……」

灼「いえ……それで?」

白望「うん……玄さんと胸を触らせてあげる約束をしたんだけど」

灼「すみませんでしたっ!」

……何をやってるんだ玄は

他校の人にまでおもちおもち言ってるのか

というかなんでそんな約束をするに至ったのか

白望「……ちょっとお世話になっちゃって……それでなにか返そうと思ったら胸触りたいって」

灼「……本当にすみません、放っておいていいんで」

白望「……いや、むしろコスパいいんじゃないかと思って」

灼「……えっ?」

白望「すごく快適だった……別に女同士だし、減るもんじゃないし……」

灼「え、本気ですか?」

白望「なんかさ、もう……胸ぐらい触らせてあげるからうちで主婦でもしてくれないかな……あー、東京いる間だけでいいから雇いたい。 一時間一揉みとかで……」

灼「…………時給安」

白望「……相場がわからなくて」

灼「……それはたしかに」


白望「あー……松実さんほしいな……一家に一台松実玄……胸を触らせるとよろこんで働く家政婦ロボ……」

灼「……大丈夫ですか?」

白望「ちょっとだるい……」

灼「いつものことですよね?」

白望「うん」

……とりあえず、2度と玄と接触させてはいけない人だ

そもそも玄自体がもともと世話焼きなのに、そんなアホらしい報酬を与えたら本気でよろこんで働くことだろう

……もしかしたら岩手に引っ越すとか言い出すかもしれない

というか、小瀬川さんも相当ダメだ。 ダメな人だ。

胡桃さんは、やるときはやるやつだ……なんて言ってたけど本当に大丈夫なんだろうか

試合ではたしかに稼ぎ頭だったみたいだけど……

「あー! シロ、やっと見つけた!」

特徴的なお団子頭が見える。あれはたしか宮守女子の……

白望「……あ、塞」

灼「……ども」

塞「シロが人と話してる!?」

……そこから驚くのか

塞「あ、すみません……臼沢です! えっと……」

灼「阿知賀女子の鷺森灼です」

塞「ああ、最近胡桃やエイちゃんが世話になってる……すみません、シロまで……なにか変なこと言われてません? だるいとかなんとか……」

灼「胸触らせてあげるから私の世話してって」

塞「新手の痴女!?」


塞「すみません! ほんと、ちょっと変な子なんで! 気にしないでください!」

灼「あ、いや……お互い様なので……すみません」

白望「塞……なんか買ってきて」

塞「はぁ!? なに言ってんの!?」

白望「……シュークリーム食べたい」

塞「いやいや! 意味わかんないし!」

白望「そこのコンビニのでいいから……」

塞「自分で買ってきなよ!?」

白望「シュークリーム分が不足気味で……だるいから無理……」

塞「そんな栄養分聞いたことないよ!? ったくもう……ちょっと待っててよ?」

灼「……買いに行っちゃうんだ」

白望「……塞はほら、優しいから……?」

……いいように使われてるだけに見えなくもないんですが

まあ、そういう立ち位置の人なんだろうな


塞「ほら、買ってきたよ!」

白望「……ありがと」

塞「じゃ、自分で立って帰ってね! ほら、さっさと行く!」

白望「え……なんで……?」

塞「シュークリーム分足りたから立てるでしょ!」

白望「……なに言ってるの? シュークリーム分とか……だるい」

塞「……腹立つなぁもう!」

灼「なにかお急ぎで……?」

塞「いや、じゃんけん負けたシロが買い出しに行ったまま二時間ほど行方不明で……連絡もつかずみんな心配してて」

灼「え……」

白望「あー……ごめん、だるくて携帯見れなかった……」

……本気でダメな人か

もうそれこそ玄でも誰でもいいから付けておいた方がいい気がしてきた

塞「すみません、ほんと……シロの相手するの大変だったでしょう?」

灼「いや……変な子の相手するのは慣れてますし……臼沢さんの方が大変そうで」

塞「私もそれこそ慣れてるんで……面倒なことはだいたい押し付けられてますし……部長だのなんだのとか」

灼「ああ……インハイ出るときとか、部長挨拶みたいなの私もやりましたけど……ああいうのけっこう大変で……」

塞「そうなんですよね! まあたしかにシロには任せらんないかなーとは思うんだけど……って、鷺森さん2年生じゃなかったっけ?」

灼「しっかりしてるように見えるから……って」

塞「あはは! 3年生は……松実宥さん? でしたっけ? たしかにまったりした感じに見えますけど……上がいるのに部長って気まずくないんですか?」

灼「うちはチーム自体もともとほぼ身内なんでそんなには……」

塞「あー……なるほどね」


塞「部の予算とか大変じゃなかった? うち元々3人の部活だったから全然お金なくって……」

灼「わかります……うちも実質今年立ち上げたんで……赤土先生が走り回ってなんとかしてくれたんですけど」

塞「うちもうちも! 熊倉先生がどこからか準備してきてさー」

……こういう、部長ならではの苦労、というのだろうか

みんなで憧の家でバイトしたりと予算の水増しに努力はしたけど……大勢の前でスピーチしたりとか、そういうのは苦手で大変だったから……理解してくれる人がいるというのはうれしい

白望「塞、お茶……」

塞「あーもう! ほら、さっき買ってきたから! 自分で飲んでよ?」

白望「だるい……」

塞「いや、ほんとごめんね? シロは本気で介護必要なレベルでヤバいから……」

白望「鷺森さん……けっこう本気で松実さんほしいんだけど……」

灼「あー……いや、それは……」

塞「アホなこと言って迷惑かけないの! ……さっきから、どうしたの? なにか付いてる?」

白望「お団子が……」

塞「うるさいよ!」

灼「……お団子が」

塞「まさかのお団子!? そこで合ってたの!?」

灼「お団子、かわいいですね」

塞「はぇ!?」

白望「……聞いてた通り、独特のセンス」


灼「……どうかしました?」

塞「あ、いや! お団子かわいいとか、はじめて言われたから!」

灼「……こんなにかわいいのに……」

白望「……あ、お団子食べたいかも」

塞「これは食べれないよ!?」

白望「買ってきてー……」

塞「自分で行け!」

灼「かわいい……」

塞「あ、あんまりかわいいかわいい言わないでよ! ちょっと恥ずい!」

白望「たまにしか言われないんだから言われとけば……?」

塞「大きなお世話だよ!」

灼「そういえば……アレ、カッコいいやつ……」

塞「……モノクル?」

灼「そう、それ……今日はつけてないんですか?」

塞「アレは熊倉先生にもらったやつで……基本的には打つときだけ……」

灼「へぇ……」

白望「……モノクル、かっこいいと思ってたんだ」

塞「ん? なんか言った?」

白望「……別に」


灼「モノクル……オンリーワンで素敵です」

塞「そ、そうかな? ちょっと変じゃない? 他につけてる子いないし……」

灼「その尖った感じがいいです」

塞「そ、そう? イケてる?」

灼「お団子と相まって超素敵です」

塞「そう? そうかな? へへへ……」

白望「……イケてる? って……」

塞「いや、ド田舎から来てるし? 服とかあまりお洒落なのも売ってないから個性で勝負かなーと思ってたんだけど……そっか! イケてるか!」

白望「……鷺森さんのセンスもかなり尖ってると思うんだけど」

塞「よーし、ちょっと自信出てきた!」

白望「あ……聞いてない……だるい」

塞「胡桃とか、あからさまにモノクルとかなくない? みたいな顔で見てたけど、アリだったんだ!」

白望「……お団子ダサいとか、モノクルは正直ないとか、言いづらいし……」

灼「私は全然アリだと思います……刀とか王冠よりも……主張しすぎず、お洒落な感じで」

塞「刀や王冠と比べられるのは微妙な気分なんだけど!?」

白望「……まあ、たしかにそこら辺にくらべれば……」


塞「胡桃とか、こっちいる間に服買っとこう、ってけっこう出掛けてるみたいなんだけどさ……」

灼「ああ……うちの憧……中堅の新子憧と一緒によく出掛けてますよ」

塞「なんか誘ってくれなくて……まあこっちでできた友達と遊びいきたいのはわかるけど……ちょっと寂しいというか……」

灼「ああ……臼沢さん、ちょっと警戒されてるから……」

塞「警戒!? なんで!?なにが!?」

灼「……引き込まれる要素があるとかなんとか」

塞「……?」

灼「でも、そうですね……北海道の岩館揺杏……友達なんですけど、服とか作ってくれたり……」

塞「ああ! 胡桃とエイちゃんが言ってたよ! 腕はいいけど仕事選ばなすぎるとかなんとか……よく意味がわからなかったんだけど」

灼「……派閥が」

塞「派閥!?」

白望「なんかだるそう……」

灼「まあ、頼んだらなにかしら作ってくれると思いますよ」

塞「そっか……でも、やっぱり関係も遠いし、急に頼むのも気が引けるからさ……よかったら、今から服見に行かない?」

灼「あ、いいですね」

白望「……だるい」

塞「行かないの?」

白望「……行く」


――――――

塞「やっぱり東京の方はお店も多いねー……目移りしちゃうよ」

灼「私も……吉野の方はこんなにごちゃごちゃしてなかったし……」

塞「あはは、ごちゃごちゃって」

白望「じゃあ、私こっちで靴見てるから……」

塞「早速休んでる!?」

灼「……ブレないですね、小瀬川さん」

白望「ん……だるい……」

塞「あ、ねね、鷺森さん! これとかどうかな? かわいくない?」

灼「ん……どれですか?」






灼「あ、服のセンスはまともなんですね」


塞「服のセンスはってどういうこと!?」


カン!


塞さんって日和見る限り普通の感覚で服とか買いに行ってる感じするけど「かかってくるがいいよ…!」とか、ところどころで見せるかっこいいポーズとか、中2臭すごい。小物はそういうの好きそう。私だけの○○、みたいな……そんなところが好きです

塞さんはエロい以外にもたくさんかわいいところあると思うよ!

次回はまだかかりますが準決大将戦面子からあわあわお洒落戦争参加の予定で
そういえば、姫子の中の人がプロ雀士になったそうですね…ニュースサイトで阿知賀編ヒロイン鶴田姫子の声優がーって紹介されてて姫子がメインヒロインだったことを知りました。ビビクン!

本日10/14は越谷の花子ちゃんが誕生日です!はなたんイェイ~
蝉丸ルール連載再開はよ!

忙しかった(言い訳)
一週間開いてしまいましたが、とりあえず投下します



互いに力を認めあい、友情が生まれる……うん、青春だね!



穏乃「あ、清水谷さん! こんにちは!」

竜華「へ? あー! 穏乃ちゃんやん! こんにちはー! 竜華でええって言うたやん! 友達やろ?」

穏乃「これは、失礼しました! 竜華さんは今日はお一人なんですか?」

竜華「あー……セーラと浩子が一緒におったんやけど……ちょっとはぐれてもうてなぁ」

穏乃「もしかして迷子ですか? なーんて……」

竜華「……いや、ちょっとおいしそうなにおいに釣られてフラフラして、かわいい服に釣られてフラフラして……気づいたら一人になってん」

穏乃「はぁ……竜華さんでもそんなことあるんですね……私もけっこうやっちゃうんでけど! いつも憧から電話来るまではぐれたことに気づかないんですけどね!」

竜華「あ! そっか、携帯……ホテルに置いてきてもうた」

穏乃「……ああ、ありますよね! 私も携帯は携帯しろ! ってしょっちゅう怒られちゃって……一回戻った方がいいんじゃないですか?」

竜華「……ここ、どこやろ?」

穏乃「……もしかして、竜華さんって」

竜華「あ、いや! 普段はもっとしっかりしてるんやで!? 今日はほら、たまたま! な?」

穏乃「たまたまですか! そんな日もありますよね!」

千里山で部長やってる竜華さんでも私みたいにうっかりすることがあるんだなー

穏乃「あ、私がセーラさんに連絡してみましょうか? きっと竜華さんのこと探してると思いますし……」

竜華「ホンマに? 助かるわー!ありがと穏乃ちゃん!」


セーラ『おう、高鴨! どしたん?』

穏乃「江口さん、こんにちは! 今竜華さんと会って……」

セーラ『竜華一緒なんか!……竜華のアホが迷惑かけてすまんなぁ……あいつ、こういうのしょっちゅうなんや』

穏乃「そうなんですか?」

竜華「ちょ、穏乃ちゃんに変なこと吹き込まんといて! 今日のはたまたま、偶然やん!」

セーラ『しっかりしとるように見えて結構抜けとるんや……だいたい俺か浩子がフォローして……』

穏乃「そうなんですかぁ」

竜華「セーラ! やめて! うちのかっこいいお姉さんイメージを崩さんといて!」

セーラ『元からないもんは崩れようがないやろ……ん? なんや浩子……ああ、そっか……なぁ、今どこにおるん? 竜華迎えに行った方がええんやろ?』

穏乃「えっと……ここどこですかね?」

セーラ『って高鴨も迷子なんかい!』

穏乃「いやぁ、その……こう、走りたくなるじゃないですか?」

セーラ『うん』

穏乃「走るじゃないですか?」

セーラ『うん』

穏乃「気づいたら迷ってました!」

セーラ『そりゃ仕方ないなぁ』

竜華「それがええならうちのだってしゃあないやん……」

セーラ『高鴨のは可愛いげあるけど竜華のはただのアホやん……小学生レベルやで?』

竜華「えぇー? おかしない? セーラが穏乃ちゃん好きなだけやろ……」

セーラ『それはまあ、そうやなぁ』

竜華「否定しないん!?」


セーラ『ま、ええわ……なんか目印になるもんとかないんか?』

穏乃「えっと……特に目立つものは……コンビニ?」

セーラ『……店の名前わかるか?って、浩子が……なんとか店とか書いてあるやろ?』

穏乃「あ、はい! えっと……」

セーラ『ん、今浩子が調べとるから迎えに行くわ……用事とかなかったか? 忙しかったら竜華置いてってええで?』

穏乃「あ、全然大丈夫です! 竜華さんと一緒にいます!」

セーラ『ん、高鴨は元気いっぱいでええな! じゃ、またあとでな!』

穏乃「はい! すみません、よろしくお願いします!」

竜華「むー……それじゃあ、とりあえずセーラと浩子来てくれるまで待とっか?」

穏乃「はい! ……どうかしましたか?」

竜華「だって……セーラ、いかにもうちがアホみたいな言い方だったやん……そりゃあ、たまに……極稀に今日みたいなこともあるけど!」

竜華さん、ずいぶんと気にしてるなぁ……私にはしっかりしたお姉さんに見えるけど

穏乃「えっと、ちょっと失敗したぐらい気にしなくても平気ですよ! 竜華さんはしっかりしてて頼りになるお姉さんって感じですし!」

竜華「……ホンマにそう思う?」

穏乃「はい!」

竜華「んふふ……もう、穏乃ちゃんはかわいいなぁ! なでてもええ?」

穏乃「もう撫でてるじゃないですか……ふふふ」

竜華「穏乃ちゃんはうちの後輩たちと違って元気で素直なところがええなぁ……あ、後輩たちがかわいくないって意味じゃないで? 穏乃ちゃんがかわいいって話な?」


穏乃「そ、そうですか? なんか、あんまりかわいいかわいい言われると恥ずかしいんですけど……」

竜華「ほら、泉なんかは……小賢しいっていうか、小生意気な? いじり倒したくなるかわいさなんやけど……穏乃ちゃんは素直にかわいがりたい感じ?」

穏乃「そういうものなんですか……?」

竜華「そう! あ、お姉さんが奢ったげるで! ジュースでもアイスでも!」

穏乃「え、でもそんな、悪いですし……」

竜華「ええからええから! さっき助けてもらったしお礼ってことで!」

穏乃「……それじゃあ、ありがたくいただきますね!」

竜華「それじゃあ、コンビニに突撃や! 出発進行ー!」

穏乃「おー!」

竜華「…………?」

穏乃「…………?」

竜華「……んん?」

穏乃「……あ、竜華さん、その自動ドアスイッチ押すやつです」

竜華「……わ、わかってるんよ? ボケ、ボケやから!」

……さっきから見てると、もしかしたら本当に竜華さんはちょっと抜けてるのかもしれない

セーラさんが言ってたように、そういうところをみんなでフォローすることで千里山はうまく回ってるのかもしれないなぁ


竜華「あ」

淡「あ」

穏乃「あ、大星さんこんにちわ!」

淡「あ、シズノ! なに? 千里山と仲良かったの?」

穏乃「今日は偶然会ったんですけど、仲良しですよ!」

竜華「っていうか大星ちゃん、千里山は学校の名前なんやけど……」

淡「ん? えっと、なんだっけ? 清水寺とかそんな感じの……」

竜華「惜しい! 字は近いけどなぁ」

淡「え、ほんとに? えっと、えっと……あ、思い出した! シミズヤ リューカだ!」

竜華「あちゃー残念! シミズダニって読むんやで!」

淡「えーそうなの!? だってメンバー表とかカナふってないんだもん!」

竜華「そういやそやったなぁ……じゃあ残念賞や! なんか奢ったるで!」

淡「やったー! シミズダニいいやつじゃん!」

穏乃「大星さん、先輩にはちゃんと敬語を……」

竜華「ええって! うちはそういうの気にしないし! ほら、一緒に打った仲やん? うちは穏乃ちゃんとも仲良しだし、大星ちゃんとも仲良くしたいなぁ」

淡「んふ? 淡ちゃんと仲良くしたいの? んん?」

竜華「もちろんや! 大星ちゃんかわええし、麻雀も強いし……」

淡「んふふ、仕方ないなあ! まあ? シミズダニは私やテルーほどじゃないけど? 結構やる方だったし? 仲良くしてあげてもいいけど!」

……大星さん、相変わらずの上から目線だなぁ

竜華さんがそういうとこにうるさくない人でよかった……

竜華「うれしいなぁ……淡ちゃんって呼んでもええ?」

淡「まあいいよ、許してあげる!私もリューカって呼ぶけど!」


穏乃「……大星さん、いくら竜華さんが優しくってもあんまり……」

竜華「穏乃ちゃんは真面目やなぁ……ええんよ? その方が仲良しな感じやん!」

淡「ねえねえリューカ! 私ダッツ食べたい! イチゴのやつ!」

穏乃「……大星さん、もう少し遠慮とか」

竜華「うん、ええよええよ! ほら、うち頼りになるお姉さんだから! 財布の方も頼りにしたってー!」

……竜華さん、なんというか汚名挽回したいのかな? 気にしなくていいのに……あれ、汚名返上? どっちだっけ?

淡「シズノは何にするの?」

穏乃「え? えー……それじゃあ、これで」

手に取ったのは国民的アイスキャンディー……一番安いやつだ

淡「せっかくリューカが奢ってくれるのにそんな安物でいいの?」

竜華「遠慮しなくてもええんよ?」

穏乃「えと、これ好きですし……ほら、運試し的な? 当たりが出たらもう一本とか、得した気分になりますし……」

淡「……私もそれにする!」

竜華「え? ダッツはいいんか? 」

淡「うん! 私もシズノと同じやつね! どっちが当たり引くか勝負だから! もちろん私が勝つけど!」

穏乃「いや、そんな毎回当たりが出るわけでは……」

竜華「じゃあうちもー! みんなお揃いでめっちゃ仲良しチームやん!」

淡「仲良しでも勝負の話はまた別だから! 実力で言ったら高校100年生のこの私のツモ運に勝てるかな!」

竜華「えー? 高校100年生とかめっちゃくちゃ強そうやんか……!」

二人とも一気にテンション上がったなぁ……

なんかノリ遅れたというか……大星さんの発言が危なっかしくてつい冷静になってしまった

「あの……」

穏乃「はい?」


姫子「あんまり騒ぐと迷惑になりますよ?」

穏乃「鶴田さん!? ……あ、こんにちわ、すみません、ちょっと盛り上がっちゃって……」

竜華「……すみませんつい」

淡「あ、新道寺じゃん! なにやってんの?」

姫子「なにって、そりゃコンビニに買い物以外の用事はなかよ」

竜華「そらそやな……ふふ、なんや今日は準決の面子と縁があるなぁ……鶴田さん、よかったらうちが奢るで?」

姫子「え、それはさすがに……」

淡「遠慮すんなよしんどーじ! せっかくリューカが奢るって言ってんだし先輩の顔立てなよ!」

姫子「……あんたは先輩に対する口の聞き方ぐらいちゃんとした方がよか」

穏乃「すみません……よく言い聞かせときますんで……」

竜華「穏乃ちゃんが淡ちゃんの教育すんのもおかしいやん」

淡「つーかさ、私敬語とか苦手なんだよねー」

穏乃「……敬語、普段使わないんですか?」

竜華「弘世……さん、とかそういうの厳しそうに見えるけど……」

淡「なんかもう……諦めたんじゃない? テルーとかたかみーは何も言わないし……亦野先輩がちゃんとしろって言うから亦野先輩には敬語使うけど」

姫子「それで亦野だけ先輩呼び……?」

穏乃「亦野さん大変だなぁ……敬語は将来的にも必要ですよ?」

淡「それ亦野先輩にも言われたー……まぁでも? たぶん亦野先輩もかわいい淡ちゃんのお世話ができて喜んでるんじゃないかな!」

竜華「淡ちゃんは自信満々やなぁ」

淡「高校100年生だからね!」


――――――

姫子「すみません、結局奢ってもらってしまって……」

竜華「気にせんでー? それに、穏乃ちゃんと淡ちゃんに奢るのに姫子ちゃんに奢らんのもなんかいじめっぽいやん」

姫子「……ひ、姫子ちゃんて」

竜華「あ、嫌やった?」

姫子「そがんなことなかです……ばってんついこの間まで敵同士でしたし……」

竜華「だからこそや!」

姫子「!?」

竜華「夏のインターハイ! 全力で戦ったあとは健闘を称えて握手! 友情が芽生える! まさに青春やん!」

穏乃「青春! 河原で太陽を背に喧嘩する感じのアレですね!」

淡「えー……私痛いのは嫌なんだけど……」

竜華「あ、中学ん時にセーラが洋榎ちゃんとそれやってめっちゃ怒られてたわ」

姫子「……関西のエースって……あー、愉快ですね」

竜華「それ聞いたら二人とも喜ぶわ!」

穏乃「……いや、今のは褒められてないんじゃ」

淡「ねぇ、もうその話はいいから早くアイスちょーだい!」

竜華「あ、ごめんなー……はい、穏乃ちゃんと姫子ちゃんも」

穏乃「ごちそうさまです!」

姫子「ありがとうございます」

淡「いい? 当たり出た人が勝ちだから!」

姫子「……なんの勝負なんですか?」

竜華「……ツモ運?」

淡「んー……おいしいー!」


淡「あ、はずれた……」

穏乃「私もはずれです」

竜華「……うちもはずれやー……姫子ちゃんは?」

姫子「あ、当たりです」

淡「え、マジで!?」

穏乃「あ、本当だ! すごいです!」

姫子「あー……たぶん、この前ぶちょーが当たり引いたけんね」

竜華「麻雀以外もリンクしとるん!?」

姫子「あはは、冗談です……さすがにそこまでは」

淡「むー……とは言っても所詮はアイスだし! 麻雀は私が勝ったんだから調子乗んないでよね!」

穏乃「あっ」

竜華「ちょ、淡ちゃん!?」

姫子「……は?」

……大星さんに悪気がないのはわかってるけど、なんでこう……もう少し言っていいことと悪いことぐらい考えてから口にしてほしいんだけど

あぁー……鶴田さんすごく怖い顔してるし

それこそ、所詮アイスなんだから負けず嫌い発揮しなくてもいいんじゃないかなぁ……


姫子「……そっちこそ、あまり度が過ぎるとそのうち痛い目見っぞ?」

淡「……あーごめんね? さっきも言ったけど私敬語とか苦手なんだよね……そもそも私より弱いやつに敬語使う意味がわかんないし」

姫子「はぁ? たった一回勝ったぐらいで……」

淡「残念だけどインハイってさぁ? 一回勝負なんだよねぇ~」

姫子「このっ……!」

竜華「まぁ! まあまあ! 姫子ちゃんもちょっと落ち着いて!な?」

穏乃「大星さんも! 煽らないでください!」

淡「はいはーい」

姫子「……大星、ちゃんと敬語ば使え」

淡「は? 話聞いてなかったの? 私あんたに敬語使う気ないから」

姫子「……準決で高鴨に負けたん忘れたか? ちゃんと敬語ば使え」

穏乃「えっ」

淡「……はぁ?」

鶴田さん巻き込まないでください……

穏乃「い、いや私は大星さんと同い年ですし……」

淡「そもそも! 私、決勝でシズノに勝ってるし! って言うかぁ、負け犬に指図されたくないんですけど?」

姫子「はっ! そういうあんたも長野の宮永にやられた負け犬やろーが」

淡「……こ、個人戦で勝つし! まだ終わってないから!」

姫子「さっきインハイは一回勝負って言ってたんは誰でしたっけねぇ? 負けました(笑) おしまい(笑)」

淡「……むー!」


竜華「こら! 二人とも喧嘩はやめて! 仲良く、仲良くしよ!」

穏乃「そ、そうですよ! 町中で喧嘩はまずいですよ!せめて河原で! 夕暮れ時に!」

竜華「いや、喧嘩自体を止めなきゃあかんやろ!」

穏乃「え、友情が芽生えるなら……」

竜華「暴力事件で出場停止とかになったらまずいやん!」

穏乃「……それもそうですね!」

淡「……もうっ、シズノって結構アホなんじゃないの?」

姫子「ふふ、あんたが言えたことじゃなかね」

淡「なによー!」

穏乃「……あれ? 喧嘩はいいんですか?」

竜華「喧嘩させたいん!?」

姫子「高鴨さん見てたら馬鹿らしくなってきたわ……まあ、私もわざわざこいつのレベルに合わせることなかね」

淡「むっ! それじゃあなんか私がレベル低いみたいじゃん!」

姫子「……大星のレベルに合わせるの大変やけん、やめとくわ」

淡「んふふ、まぁヒメコには厳しいかもね! 私は高校100年生だし!」

姫子「……子どんば相手にしてると思えばよかね」

竜華「ほら、落ち着くと淡ちゃんかわええやろ?」

姫子「……まあ、見方ば変えれば」

淡「よしっ! じゃあ個人戦で私がヒメコに負けたらちゃんとさん付けして敬語で喋るから!せいぜい頑張ってね!」

姫子「……やっぱりちかっと苛つくなぁ」


誠子「あ、淡! やっと見つけた!」

淡「うげっ」

誠子「いつまでサボってんだよ……弘世先輩怒ってるぞ? みなさんこんにちは! すみません、うちの淡がご迷惑を……」

淡「むぅ……なんで迷惑かけた前提なんですかー? 何もしてないってば!」

穏乃「こんにちは! お疲れさまです!」

姫子「なにもしとらんは嘘やろもん……お世話係大変ですね」

竜華「こんにちはー! なに? 淡ちゃんおサボり中やったん?」

淡「だってー……宿にいると菫先輩が練習しろ練習しろってうるさくてさー」

誠子「個人戦選手なんだから当然だろ! ほら、帰るぞ!」

淡「えー……じゃあみんなまたね! 今度東京案内してあげる!」

誠子「お前が案内できるのなんて何もない白糸台ぐらいだろ……じゃあ、すみませんでした、苦情は私が受け付けますので……」

穏乃「練習頑張ってくださいね、大星さん!」

淡「まあ練習なんてしなくても楽勝だけどね! あとでメールするねー!」

竜華「あ、あとで穏乃ちゃんに聞いてメールしてもええ?」

淡「いいよー! リューカはまあまあやる方だから!」

誠子「こら、淡! ちゃんとさん付けして敬語使え! すみません清水谷さん!」

竜華「うちは気にしとらんから……」

誠子「すみません、ほんとすみません! ほら、淡!」

淡「あっ! 引っ張らないでよ!」



姫子「……亦野が気の毒で苦情もなんも言えんやった」

穏乃「……苦労してそうですね、亦野さん」


姫子「……そろそろ私も帰ります。 うちも練習ありますし」

竜華「えー……姫子ちゃんも帰ってまうん? 寂しいなぁ」

姫子「すぐに会えますよ……個人戦では、負けませんからね」

竜華「ふふ、そりゃあこっちの台詞でもあるで? ……それに、宮永照に個人戦三連覇されるんも悔しいしなぁ」

穏乃「応援してます!」

姫子「ああ……阿知賀は参加しとらんんだっけ?」

竜華「個人戦エントリーしてれば阿知賀のみんなはいいとこ行けたと思うんやけど……まあ、そこら辺は個別の事情もあるしなぁ」

穏乃「今年の個人戦は見学していきますから……来年に向けての勉強だと思ってます。 こうして見てるとやっぱり個人戦も楽しそうですから」

竜華「穏乃ちゃんはまだ一年生やからねぇ……あと二回もインハイ出れるなんて羨ましいわー」

姫子「清水谷さんの腕ならプロ入り確実ですし、まだまだこれからじゃないですか」

竜華「でもやっぱりインハイだからってのはあるやん?」

穏乃「青春ですね!」

竜華「そう! 高校生活最大の大会やし、いい思い出作っとかんとなー」

姫子「そうですね……今のメンバーでの最後の大会になりますから……」

竜華「ふふっ……姫子ちゃんと打つの楽しみにしとるで? 白水さんにもよろしくな」

姫子「はい……それと、先程はお見苦しいとこば……失礼しました」

竜華「んー……まあ、アレは淡ちゃんがちょっと失礼やったからなぁ」

穏乃「大星さん、悪気はないんですよ……?」

姫子「うん、もう気にしとらんから……大星にしっかり敬語使わせるためにも負けられん」

竜華「あはは! まあ、亦野さんがきっちり敬語仕込むよりは早そうやなぁ」

穏乃「……大星さん、亦野さんにもしっかり敬語使えてませんでしたよ? いろいろ心配なんですけど……」

竜華「白糸台じゃかなり可愛がられとるんやろなぁ……敬語は高校三年間のうちに身に付くんやない?」

姫子「私は亦野の方が心配ですけどね」

穏乃「……それはたしかに」


セーラ「高鴨ー! 竜華ー! 来たでー!」

浩子「あら、新道寺の……すみません、うちの清水谷がお世話になったみたいで」

姫子「あ、どうも……」

竜華「セーラ、浩子! 待ってたで!」

穏乃「セーラさん、舟久保さん、こんにちは! 助かりました!」

セーラ「すまんなぁ、竜華の迷子に巻き込んでしもうて……」

姫子「迷子? 清水谷さんがですか?」

竜華「ちょ、セーラ! 言いふらさんでもええやん!」

姫子「意外ですね……清水谷さんしっかりしてそうなのに」

竜華「あ、いや! 今日はたまたまやから!」

セーラ「それ今日何回言ったん?」

竜華「……そ、それほど言っとらんよ?」

浩子「どうでした?」

穏乃「……まあ、結構聞きましたね」

竜華「穏乃ちゃんまで! うー……もう、あまりいじめんといて……」

姫子「ふふ……あ、清水谷さん、これ……当たり棒、
お返しします……あいがとございました」

竜華「え? 気にせんでええのに……」

セーラ「お、当たりやん! いらんなら俺が貰うでー」

竜華「あっ」

セーラ「そや、高鴨も一本奢ったろか?」

穏乃「え、でも……さっき竜華さんにも奢っていただきましたし……」

セーラ「気にすんなって! あ、じゃあ勝負や! 当たり引いた方が勝ちな!」



姫子「……発想が大星と同じレベル……」

浩子「……すみません、ガキなもんで」


カン!

いろいろ反省。とりあえずペースはできるだけ戻していきたいです
2スレ目入ってから松実姉妹喋ってないことに気づいてしまったんですが次回も淡でよいのでしょうか…?


というか阿知賀以前のキャラがいなくてワロス
ということでシズところたんの服談義はよ

描写的には一番仲いい気がするあの二人

淡と他の上級生の間でトラブルになる前に亦野さんが方々に頭下げて口利かせてなんとかなってる
のを淡がなんとなく察してる
みたいなことを考えてる

>>149淡は一番好きな人が照で一番好きな先輩は亦野さんなイメージ。何が違うと言われると困りますが
>>151亦野さんは確実に頭下げてると思います。>>1の中の淡は全く気付いてませんけど
というかネタ出てこない時にひっそりとこの系統の淡ネタで書き溜めてたり…当分完成する気配は無いですけど

以前の宣言通りとりあえず次回は淡で…遅くとも金曜には。しばらく週に1,2本のゆったりペースになると思いますがよろしくお願いします

よしたんイェイ~
美子って普通にかわいいと思うんですがどうなんでしょう?日和の美子とか超美少女

投下します



知らないことは素直に知らないって言おう



憧「この雑誌の中からならどれ?」

灼「……こういうのは、あまり似合わないんじゃないかな?」

揺杏「いやいや! 灼かわいいし、たまには流行りの服とか着てみても似合うって! いいから選んでくれよーしっかり似せたの作るからさ、マジで」

灼「……じゃあ、このスカートとか」

揺杏「うん、いいんじゃね?」

憧「いいと思う! っていうか灼さん、実はセンスよくなってきたんじゃない?」

灼「そう? ……最近ずっと憧と揺杏が服の話してるし、服自体作ってるの見てるからかな?」

揺杏「ほうほう……どうすんの? 宗旨がえしちゃうかー?」

灼「宗旨がえって……私は今まで通り着たいもの着るよ」

憧「えー? もったいないなぁ……」

灼「……たまには、いいかなって思うけど。 それに……」

憧「それに?」

灼「……憧と揺杏に任せてれば、間違いないし……」


揺杏「へへ、まあ任せとけってー! しっかりお洒落さんデビューさせてやっからさー」

灼「いた……背中叩かないでよ」

揺杏「んへへ、わりぃわりぃ」

岩館さん、うれしそうだ

そりゃあ、間違いないとまで言われたらうれしいよね

私もすごくうれしいし

灼「あ、でもさ」

憧「んー? どうかした?」

灼「私よりも穏乃の方に……」

憧「あー……うん、まあ……ね?」

揺杏「ダメだったかー」

憧「はい……ファッション誌とか見せても全然……」

灼「……なんかさ、私でよければ付き合うから……そろそろ諦めても」

憧「いや! このままだとしずが一緒に外歩けないレベルの服装になっちゃう可能性もあるし! せめて……多少なりとも更正させないと……!」

揺杏「憧ちゃんはもう意地ですなぁ」

灼「それでもだんだんハードル下げていってるのがまた悲し……」

憧「それは……ほら、一歩ずつやっていこう、的な?」

この前はやりんも目標を立てて、小さなことからコツコツと! って言ってたし……別に諦めてる訳じゃない、うん


ガチャ

淡「どーん! シズノ! 遊びに来たよー!!」

憧「!?」

揺杏「うぉ!?」

灼「……いらっしゃい?」

淡「あれ? シズノは?」

灼「今出掛けてるけど……」

淡「そうなの? 待ってていい?」

憧「いいけど……白糸台の大星淡、さん? なんで?」

淡「そうでーす! ちょっと遊びに来たんだけど……シズノいないのかー」

憧「どうやってここを……?」

淡「この前ホテルと部屋聞いたから遊びに来たの!」

憧「はぁ……そうですか」

淡「っていうかあんた誰だっけ?」

憧「あん……っ! あ、阿知賀の中堅の新子憧ですけど?」

淡「あぁ……たかみーと打ってた子かぁ。 そういえばこんなんだった気が……」

憧「こ、こんなん……?」

なんだこの子……失礼千万だな

部屋入るときはノックぐらいしなさいよ

つーかしずと連絡取ってから来なさいよ


揺杏「またまた……面白そうなのが来たね」

うわ、岩館さんまたにやにやして……変なこと始めなきゃいいけど

淡「あれ? 阿知賀にこんな人いたっけ?」

揺杏「ん? 私は有珠山の中堅の岩館揺杏だよ」

淡「有珠山? ああ……大将のシシハラ? アレは面白そうだったけど後は雑魚だったから覚えてなかった!」

揺杏「あっはっは! マジで? 酷くね?」

淡「だって強いならともかく、弱いやつなんて覚える価値なくない?」

揺杏「あはは!」

うわ、ありゃキツい……岩館さんよく笑えるな……

揺杏「あは、は……はっきり言われるとさ、やっぱり、こう……なぁ?」

灼「……ドンマイ」

揺杏「……もっと優しくして!」

灼「よしよし、いいこいいこ」

揺杏「くっそー……悔しいけど言い返せない……」

うん、やっぱりキツいよね

ガチ凹みしてる岩舘さんはじめて見た……なんか仕掛けるつもりだったんだろうけど仕掛ける前にやられてるし……


淡「あ、そっちの人は覚えてるよ? 亦野先輩と打ってたあららとかこららとかそんな感じの名前の……」

どんな名前だ

先生に言いつけるのか

灼「……鷺森灼です」

淡「惜しい! アラタか! あ、でもこれは覚えてるよ? ボーリング部なんだよね?」

灼「……いや、麻雀部だけど」

淡「あれ? おかしいなぁ……」

灼「麻雀部以外の人がインハイ出てる方がおかしいと思……」

憧「そもそもボウリング部とか聞いたことないんだけど」

淡「んー? じゃあ工事現場でバイトしてるんだっけ?」

憧「ボーリングじゃなくてボウリングだよ!?」

灼「実家がボウリング場で……」

淡「あ、ボールの方か! なんかおかしいと思ったんだよねー」

灼「大星さんもおかしいね」

淡「まあ、それほどでもあるけど!」

憧「……今のは皮肉なんじゃ」

揺杏「でも……たしかに面白おかしい奴だね、こいつは」

淡「そーいうユアンこそ面白いね! いつまでアラタに引っ付いてんの? 甘えんぼさん?」

揺杏「ん、おう……さっき心にひどい傷を負って……」

淡「え、大丈夫!? 失恋とか!?」

揺杏「……うん、まあ、そのうち復活するからそっとしといて」

淡「わかった! お大事にね!」

憧「……この子、天然物?」

灼「ぽいね」


淡「ところで三人は何してたの? ユアンの残念会?」

あ、なんか勘違いしたまま話が進んでる

揺杏「んにゃ、特になにも……雑誌見ながらだべってただけー」

淡「ふーん……あ、この帽子かわいいじゃん! こういうのほしいんだよねー」

灼「帽子?」

淡「そー! ちょっと前に前髪失敗しちゃってさー……隠すのに帽子を使うって案が出てー」

憧「失敗って……自分でやったの? ちゃんと美容院行きなさいよ……」

淡「ちょっと整えるだけのつもりだったの! とにかくそれから帽子もいいかなってなってー、ちょっと集めようかなーって」

憧「へー……っていうこっちの方がよくない? それより似合うって」

淡「そう?」

灼「私はそれもいいと思……」

揺杏「つっても結局全体のコーデ次第っしょ……つーか大星髪綺麗だねー」

淡「えへ、すごいっしょ!」

揺杏「いじっていい?」

淡「丁重に扱いたまえ!」

揺杏「へいへい、かしこまりました~」

憧「……岩館さん復活早いですね」

揺杏「……まあ、くよくよしてても仕方ないしなー」

淡「そうそう! 早く新しい恋を見つけよう!」

揺杏「ん? ああ、そうだねー」

あ、否定するのめんどくさくなってるな

……まあ特に困らないしいいか


淡「あ、私おかし買ってきたからあげるね!」

揺杏「お、気が利くねぇ」

淡「好きなの食べて!」

憧「うわ……ちょっと買いすぎじゃない?」

コンビニのビニール一杯におかしが……しかも二袋も

淡「そう? うちは毎日これくらい食べてるよ?」

灼「……ああ、照さんすごいおかし食べるもんね」

憧「チャンピオンが?」

淡「テルーと知り合いなの?」

灼「前にちょっと……」

憧「え、チャンピオンと顔見知りだったんだ!? 灼さんそういう面白そうなことは教えてくれてもいいじゃん」

灼「……照さんってすごいおかし食べるんだよ」

憧「うん、ごめん……それ聞いてもあまり話広がらなかったわ」

灼「でしょ?」

揺杏「へぇ……チャンピオンって食いしん坊キャラなんだ?」

淡「うちはとにもかくにもおかしがないと……」

憧「意外と白糸台って緩いのねー」


揺杏「はい、三つ編み完成ー」

淡「どう? かわいい?」

灼「かわいらし……」

憧「案外オーソドックスにきましたね」

揺杏「今日は小道具もあるから……ほい、大星これ」

淡「眼鏡?」

揺杏「灼にかけさせようと思って持ってきたんだけどさー……はい、大星! 今から委員長キャラね! 知的な台詞!」

淡「え? えっと……X=2!」

灼「……それ知的?」

淡「ぽ、ポーツマス条約!」

憧「……頭悪そう」

揺杏「ごめん」

淡「心から申し訳なさそうな顔しないでよ!」

灼「大星さんってバカなの?」

うぉ、相変わらずズバッといくな

というか失礼なんじゃないの? いや、失礼なのは大星さんもだけど

淡「バカじゃないよ! 高校100年生級の頭脳だよ!」

あ、バカだこの子

揺杏「大星ってバカだろ?」

言っちゃった

淡「バカじゃないもん! 中間試験もギリギリ赤点は取らなかったし!」


憧「ギリギリって……やっぱりバカじゃん」

淡「赤点取ってないから! むしろギリギリ取らない程度に勉強することで勉強する時間を最低限にしてるから超頭いいよ!」

灼「……ものは言い様」

揺杏「んー……一理ある気もしちゃうけど」

憧「まあ、勉強嫌いな人の言い分ねー」

淡「むー……そういうみんなはどうなの!」

灼「憧は偏差値70前後あるよ」

揺杏「えっ……マジで? やっべぇなにそれ」

憧「ん……もともと晩成いくつもりで勉強してたし……」

揺杏「あぁ……そういやあそこ進学校でも有名だったね」

憧「灼さんも普通に優等生だよね」

揺杏「そういやこの前夏休みの宿題してたな……真面目だよねー」

灼「……まとめてやるよりは毎日やる方が楽だし」

淡「私はいつも夏休み終わってから誰かに手伝ってもらったり写させてもらうけどなー」

憧「いやいや……自分でやらなきゃ意味ないでしょ」

淡「ほら、自分の労力を最低限にする頭脳プレーだから!」

揺杏「ほんと、ものは言い様だなー」

淡「そういうユアンは!? 勉強できなそうだけど!」

揺杏「し、失礼な……まあできるってほどじゃないけどさー」

灼「要領は良さそうだよね」

揺杏「そそ……授業はほどほどに聞いて、先生にごますって、試験前に一夜漬けして7割前後点取ってー」

憧「5段評価で3と4いっぱい、みたいな?」

揺杏「Exactly! ま、そんくらいの立ち回りが無難っしょ」


淡「い、いぐ……?」

灼「その通り、ってこと」

憧「……大丈夫なの? ある程度勉強しとかないと大変よ?」

淡「ぶー……じゃあアコが教えてよ! 頭いいんでしょー?」

憧「別にいいけど……私は厳しいわよ?」

淡「じゃあいいやー」

憧「ちょっと!?」

揺杏「私も勉強あんま好きじゃないから気持ちはわかるけどねー」

灼「勉強しないよりはした方がいいと思うよ?」

揺杏「うん、だから最低限はやってるけどね……まあ高校出たら服飾系行こうと思ってんだけど……」

憧「あー……まあ、好きなことなら勉強するのもあんまり苦になりませんしね」

淡「え? 服飾って、ユアン服とか作るの?」

揺杏「そ、今は趣味だけど……どうせなら趣味で食っていきたいし……うちの副将の改造制服とかー」

憧「あ、岩館さんに作ってもらった服ありますよ? ほら、こっちのワンピースとか……」

淡「え、イケてんじゃん! ユアンにも特技とかあったんだ!」

揺杏「……言い方とかさ、もう少しさ」

淡「えっと……? あ、麻雀下手くそだけどこの腕があれば人生なんとかなるよ!」

揺杏「……あらたー」

灼「よしよし」

憧「……あのさ、その調子だと今後大変よ?」

淡「?」


穏乃「ただいまー!」

一「こんにちは」

初美「お邪魔しますよー」

灼「いらっしゃ」

淡「シズノ! お帰りー!」

憧「お客さんだよー」

穏乃「……大星さん? 髪と眼鏡で一瞬わかりませんでした!」

淡「えへ、ユアンにやってもらったの! かわいい?」

穏乃「かわいいです! ……あの、練習大丈夫なんですか? また怒られちゃいますよ?」

淡「ほ……本当にヤバくなる前に亦野先輩からメール来るし……」

憧「練習サボり?」

灼「あらら」

淡「いーじゃん! たまには息抜きも必要なの!」

穏乃「……もしかしてそうやって毎日息抜きしてるんじゃ」

淡「……な、なんのことかな?」

初美「おやおや、サボリはいけませんよー?」

一「大星さん、せっかく個人戦出れるんだから全力を尽くさないともったいないよ?」

淡「……永水の小四喜と、そっちの変なかっこの人は?」

初美「私は小四喜じゃなくて薄墨初美ですよー?」

一「あ、ボクは龍門渕の国広一です……って、変な格好ってなにさ」

穏乃「こういう服が流行ってるんですよ?」

淡「えっ」


……まあ、流行ってるよね。しずと、国広さんと薄墨さんの三人の間で

……頭痛い

淡「い、いやいや……そんなまさか」

こっち見んな

うん……コメントしづらいのよね、その人たち本気だし……

揺杏「流行ってるよ」

淡「えっ」

憧「えっ」

揺杏「……超局地的に」

灼「……揺杏、くすぐったい」

揺杏「ん、ごめん……」

これは……岩館さんなりの仕返しなんだろうか

っていうかいつまで灼さんにくっついてんだろう……まあ、ダメージでかいのはわかるけど

一「変な格好は心外だなぁ……」

初美「一ちゃんのセンスの良さは抜群ですよー?」

穏乃「たしかに最先端なファッションですけどね! 知らないんですか?」

淡「……し、知ってるに決まってんじゃん! 高校100年生の私が流行に乗り遅れてるわけないし? ちょ、ちょっとしたジョークってやつ?」

憧「えっ」

揺杏「!?」

灼「……あーあ」


穏乃「ほんとですか!?」

初美「流石は白糸台の新エースですねー」

淡「ま、まぁね?」

一「こういう服なかなか売ってなくて困るよねー……東京来てから岩館さんが超安価で何着も作ってくれてるからすっごく助かっててさ……」

淡「え、ユアンこういう服も作るの……?」

揺杏「……普段はさっき見せたみたいな正統派? 作るけど……ほら! 将来のため? これも勉強かなって! ほら、ここに一たちに作ってきたのあるから着てみなよ! つーか着ろよ!」

淡「えっ」

揺杏「大丈夫大丈夫! 大星かわいいから似合うって!」



憧「うわぁ……いい笑顔……」

灼「……揺杏が元気になってなにより」

憧「あはは……」



淡「で、でも……」

初美「大丈夫ですよー! 自信を持ってください!」

穏乃「そうですよ! 大星さんなら全然似合いますって!」

一「恥ずかしがらなくても、ボクは大星さんならなに着ても似合うって思うな」

淡「……まぁね!私そういうとこあるから!」



憧「の、乗せられてる……」

揺杏「……楽しくなってきた!」

灼「……憧的にはアリなの?」

憧「あ、いや……なんか唖然としてたら出ていくタイミング逃しちゃって……」

揺杏「面白いからいいっしょ!」


――――――

淡「どう?」

穏乃「素敵です!」

初美「かわいいですよー」

一「似合ってるよ!」

揺杏「あっはは! さいこー! マジやべぇ!」

淡「んふ、やっぱり?」

憧「……あぁ……なんか、もう……」

灼「……大星さんはそのうち帰ってくるんじゃない? 」

憧「……だよね?」

揺杏「よかったらそれやるからさ、そのまま着てってよ!」

淡「ほんとに? ありがとー!」

憧「……帰ってくるよね?」

灼「……たぶんね」

一「着心地はどう?」

淡「すーすーする!」

憧「……だろうね」

淡「……うん!なんか、これはこれでイケてる気がしてきた!」

憧「ふきゅ!?」

揺杏「大星がかわいいからね! 当然だね!」

淡「だよねー!」

憧「ちょっと! 煽らないでくださいよ!」

揺杏「いやいや、ねぇ?」

灼「いや、私に振られても……」


淡「あ、ハジメの手枷ってさー」

一「あ、いいでしょこれ」

初美「素敵なアクセサリーですよねー」

淡「……そうかも!」

憧「……思ってた以上にアホの子だった」

揺杏「なんかさ、みんなで話し合わせてれば「バカには見えない服」とか着ちゃいそうだよなー」

灼「それはさすがに……」

淡「それでさ、私は……あ」

穏乃「どうしました?」

淡「ちょっと待って……亦野先輩だ! 帰らなきゃ! 菫先輩怒ってるって!」

灼「まあ、サボリはダメだよ」

穏乃「また来てくださいね!」

淡「うん!それじゃあまた来るから! あ、ユアン眼鏡返すね?」

揺杏「あ、それも持ってっていいよー 結構似合ってるし」

淡「やったー! テルーたちに見せてくるね!」

揺杏「おう!あ、写真撮らせてー」

淡「かわいく撮ってね!」

揺杏「まかせろ!」



憧「……なんかさ、このまま地味に勢力広げてくんじゃないかと思うと怖いんだけど」

灼「さすがに無いと思うよ……うん」


カン!



尭深「どうぞ、お茶です」

菫「ありがとう……淡は?」

誠子「そろそろ帰ってくると思うんですけど……ありがと尭深」

照「おかしは?」

尭深「羊羮を……」

照「……うん、おいしい」

淡「ただいまー!」

菫「淡、遅いぞ……ぶっ!? なんて格好してるんだ!?」

淡「あ、これ? あのねーユアンがやってくれたの! 三つ編みと眼鏡! かわいいでしょ?」

照「かわいい」

尭深「……か、髪型いじったのはいいかもね」

誠子「め、眼鏡も意外と似合う……な?」

菫「ユアン? ……ってそこじゃない! 服の方だ!」

淡「え、こういうのが流行ってるんだよ? 知らないの?」

菫「えっ」

尭深「えっ」

照「私の流行りは和菓子」

誠子「今はおかしの話ではなくて……」

淡「え? もしかして菫先輩知らないの? おっくれてるー!」

菫「……し、知らないわけないだろ」

尭深「えっ」

誠子「ちょ」

照「あ、お饅頭とかない?」

誠子「え? あ、たしかこっちに……」

照「お茶おかわり」

尭深「……どうぞ」

照「ありがとう」


菫「あ、アレだろ? 地方の方で流行ってる……」

淡「そーなの! 長野とか鹿児島とか……」

菫「そうなのか!?」

淡「え? 知ってるんじゃないの?」

菫「……し、知ってるぞ? うん……知ってる知ってる」

尭深「弘世先輩……」

照「菫の悪いところだね」

誠子「あーもう……流行ってるわけないだろ? お前今の自分の姿を見てどう思うんだよ?」

淡「いつも通りかわいいなーって」

誠子「…………」

尭深「…………」

菫「…………」

照「おせんべい取って」

誠子「あ、どうぞ」

淡「……あれ!? もしかしてやっぱりこの服変!?」



もいっこカン!


次こそはおそらく松実姉妹出てくるはず…

お疲れさまさまです

美子かわいいよね

>>182困り顔かわいいです。二回戦と準決で打ち筋を変えて早和了に徹して堅実に稼いだ、ぐらいしか描写ないですけど大切な大会で、しかもあの点差で普段と違うスタイルに変えて細かく刻むっていうのはSS対策もあるんでしょうけどやっぱり後ろを信頼していないとできないと思うんですよね。新道寺は哩姫子以外も絆は強いんじゃないかと思います…全部妄想だけど!

月曜辺りには投下したいんですけど予定は未定です…水木辺りまでかかるかも
咲さん誕生日だしなんかやりたいけど時間が…咲キャラ多すぎて気づくと誰かしらの誕生日通り過ぎてます…間に合わなそうだなぁ


慕ちゃんの口調移っちゃうリチャがかわいすぎるんですが!一瞬悠彗ちゃんが質リチャしたのかと思って焦ったけど慕リチャだった。そういえば普通の方でしたね…つか質屋の服装チャラいな
日和は破れたスカートから覗く智美ちゃんの太ももがせくしーでした

ネタバレ気味でアレですが自分は
悠彗...「質屋と耕介」の2人の意
閑無...悠彗の発言を、「慕と耕介」の2人の意にとる
杏果...悠彗(と閑無)の意図を察しつつあえて突っ込まずあの表情
と解釈しています

投下待ってます

うわああああああああなんかスマホで書き溜めてたデータ消えたああああ!一日遅れでもさきたんイェイ~したかったのに…メゲるわ…
普段スマホのメールで書き溜めてそのままPCに送って投下してるんですけど事故防止のためにもなにか文章書く用のアプリとか使った方がいいんでしょうか…?
とりあえず週末までに書き直して松実姉妹+咲さん投下しに来ます…内容的には>>14ですね。灼ちゃん出てきちゃいますけど

>>185最初それで読んでたんですけど、それだと杏果ちゃんも…ってことに気づいてしまったので歳の差を考えろよ…orちゃんと話聞けよ…の表情だと思うことにしました。会話内容的には慕リチャですし…まあ、どっちにも取れる描写がされてるんですけどね
前回のお父さんの普通の方ね、発言から父親がオタク、あるいは母親が腐属性だと思うので悠彗ちゃんは一年間で染まった可能性がありますけど…まあ、叔父か…は確実に叔父×姪もありだな、って顔でしたね
関係ないけどシノハユ連載開始辺りから広告バナーで見るようになった「大好きなおじさんと…」ってやつが慕リチャステマにしか見えない

やっとこさ投下に来ました。書き直しって思ってた以上に精神削られる…
ハロウィンも 優希「Trick or TACOS!」とか書きたかったなぁ…



みんなで仲良くできたらいいのにね



玄「今日もいい天気だね、お姉ちゃん」

宥「うん、あったかいね~」

今日は玄ちゃんと一緒に原村さん……和ちゃんのところへお邪魔することになっている

憧ちゃんや穏乃ちゃんも、頻繁に清澄の宿舎に出向いているようで……長い時間離れていた分を取り戻すかのようにお話ししたり、麻雀を打ったりしているみたいだ

玄ちゃんも楽しそうだし、私も新しいお友だちと交流する場を持てることがとても嬉しい

玄「あ、お姉ちゃん……あそこ……」

宥「え? あ、灼ちゃんと……宮永さん、かな?」

少し先の木陰に灼ちゃんと宮永さんが互いの背に寄りかかりながら読書している姿が見える

玄「灼ちゃーん」

玄ちゃんが声をかけながらパタパタとふたりに駆け寄って行く……灼ちゃんもこちらに気づいたようで手元の本から顔を上げた

灼「玄……と、宥さん」

宥「ごめんね? 邪魔しちゃったかな?」

灼「いえ、大丈夫です」

玄「こんにちは、宮永さん! お外で読書ですか?」

咲「こんにちは。 今日は天気もいいですから……」

宥「お外でのんびりするのもいいよね~」

灼「麻雀部って基本インドアですし……たまには」

玄「……やってることはインドアのままだよ?」

灼「……外で走り回るって柄でもないし」

咲「私もあまり得意じゃないかなぁ……」


咲「そういえば、お二人は今日も……?」

玄「うん、和ちゃんのところ」

咲「いつもありがとうございます……個人戦、頑張りますから」

宥「こっちも好きでやってることだし……私たちの練習にもなるから」

玄「宮永さんは今日は練習とかいいの?」

咲「あまり根を詰めすぎても良くないからって、部長が……だから、お昼頃まではここでゆっくりしてることが多いんです」

宥「たしかに、ずっと頑張ってても疲れちゃうもんね」

咲「それに、慣れない宿の部屋に居るよりも、こういうちょっとした木陰とかの方が落ち着くんです……長野でも外で本を読んだり、お昼寝することが多かったですし」

玄「それはわかるかも……地元は山ばっかりだし、こっちでの生活はビルに囲まれててなんとなく落ち着かないよね」

灼「多少自然がないと落ち着かない……」

宥「それは凄くわかるなあ」

まあ、私はおうちのおこたが一番落ち着くかなぁ

咲「それに、ここに居ると灼ちゃんも来てくれますし……」

灼「…………」

あ、ちょっと照れてる?

玄「仲良しなんだねぇ」

灼「……心配だし。 いろいろ」

咲「ふふっ……ありがと。 でも、そんなに心配してくれなくても大丈夫だよ? 」


灼ちゃんと宮永さんはこの短い間に随分と仲良くなっているようだ……二人とも落ち着いた雰囲気の子だし、相性がいいというのもあるんだろう

……心配というのは、たぶんチャンピオンの――お姉さんのことだろう

清澄のみんなと交流をしているうちになんとなく話は聞こえてきた……どうも喧嘩中、らしい

咲「仲がいいと言えば……」

宥「?」

咲「松実さん……宥さんと玄さん、すごく仲がいいですよね。 羨ましいです」

玄「えへへ……そうかな?」

咲「うちは……その、喧嘩してますから」

玄「あぅ……」

灼「……咲」

咲「ほら……もう公然の秘密状態だし、あんまりうじうじしてても、ね?」

灼「ん……そっか」

……私は玄ちゃんと喧嘩をした記憶がほとんどないから、こういうときに何を言えばいいのかわからない

ただ、玄ちゃんと喧嘩をしていつものようにお話しできなくなったりしたら……宮永さんは、きっと辛くて悲しい思いをしているよね?

咲「団体戦の時、ちょっと顔も会わせたんですけど……ほとんど話もできなくて……」

咲「……個人戦で頑張れば、お姉ちゃんと直接打つチャンスもありますから……そこで、ちゃんと今の私のこと見てもらえたらいいんですけど……」

灼「……不安?」

咲「……うん。 ずっとちゃんとした会話もしてないし……」

玄「……それなら、いっぱい練習しよう? 私たちもお手伝いするから! ね、お姉ちゃん!」

宥「え、うん! それはもちろん!」

咲「……ありがとうございます!」


玄「それじゃあさっそく……」

咲「はい、宿の方に……」

玄「私をお姉ちゃんだと思って!」

灼「……そっち?」

玄「え、違うの!?」

咲「……練習って言うから麻雀かと」

玄「そっちかぁ! いや、そっちももちろん手伝うよ!? ほら、お姉ちゃんとお話しする練習も必要かと思って!」

宥「くろちゃー……」

玄「お、お姉ちゃん……私なにか変なこと言ったかなぁ……?」

うーん……まあ、イメージトレーニングは大事かもしれないけど……

例えば、私が玄ちゃんと喧嘩したとして……仲直りするための練習として灼ちゃんや穏乃ちゃんに妹になってもらうとする

……やっぱり少し違う気がするなぁ

玄ちゃんは玄ちゃんだし、灼ちゃんは灼ちゃんで穏乃ちゃんは穏乃ちゃんだ

姉妹って代わりの利くものじゃないからなぁ……

宥「……ちょっと、違うかも……?」

玄「うぅ……ごめんね? 宮永さん……」

咲「あはは……いえ、それじゃあせっかくですから……お願い、します?」

宥「……いいの?」

咲「たしかに、顔合わせてすぐにちゃんと話せるとも思えないんです……それに玄さん……お姉ちゃんに少し似てますし」

玄「えぇ!?」


……玄ちゃんとチャンピオンのイメージがまったく繋がらないんだけども……

玄ちゃんも驚いてるし……灼ちゃんがなんとなく納得したような表情なのが気になるところだ

灼ちゃんはしっかりしてるし、私よりももっと色々なことが見えているのかもしれない

玄「その、私とチャンピオンが!? 全然だよ!」

咲「そうですか?」

玄「だってチャンピオンはこう……雑誌とかだとにこにこしててかわいらしい感じだけど試合中はキリッとかっこよくて……あとちょっと怖……あ、ちがくて、えーと、その……」

咲「そういうところもありますけど……私が接していたお姉ちゃんはもっと玄さんみたいに……えーと、なんと言いますか……」

灼「……間の抜けた」

咲「そう! そんな感じで……」

玄「ふたりとも!?」

灼「咲は玄のこと間抜けだと思ってたんだ……」

咲「え、あ!? 思ってないよ! 灼ちゃんが言ったんでしょ!?」

灼「冗談だったのに……」

咲「いや、同意したのは玄さんと言うよりお姉ちゃんが間の抜けた感じと言うか……ちょっと間違えただけで!」

玄「お姉ちゃーん……」

宥「だ、大丈夫だよ? 玄ちゃんはしっかりしてるもん、ね?」

咲「そうですよ、和ちゃんもいっぱいお世話になったって言ってましたし!」

灼「頼りにしてる……ちょっと抜けてるけど」

玄「本当に? よしっ! 私頑張るからね!」


玄「じゃあ、気を取り直して……どうぞ!」

咲「え? えーと……お、おはよう、お姉ちゃん……?」

玄「おはよう、宮永さん!」

灼「ストップ」

玄「あれ?」

灼「……妹を呼ぶのに名字にさん付けはおかしい」

玄「あ、そうか……じゃあ、咲ちゃん?」

宥「その方が自然かも~」

灼「呼び捨てでも……」

玄「……咲!」

咲「……なぁに? お姉ちゃん」

玄「んー……やっぱり咲ちゃんで行きます」

灼「了解……じゃあ、玄はこっち立ってて。 咲がこっちから……」

咲「はーい」

玄「おまかせあれ!」

……あれ? 灼ちゃんノってきた?

灼「はい、スタート」

咲「……おはよう、お姉ちゃん」

玄「おはよう、咲ちゃん! 今日もいい天気だね!」

咲「そうで……そうだね。 こんな日は外にでも行きま……行かない?」

灼「ストップ」

咲「え?」

灼「敬語混じりがぎこちな……もっと玄を本当の姉だと思って……距離感を詰めて行こう」

咲「遠かった?」

灼「本当の姉妹と言うより……親が再婚して急に出来た姉が思ったより積極的で戸惑ってる感じだった」

咲「なにその絶妙に微妙な表現……」

うーん……灼ちゃん、最近変わったなぁ

東京でいろんな人と知り合って影響を受けてるんだろうか? ……北海道の岩館さんとか


灼「じゃあ、そのまま出かけた感じで……」

咲「えっと、それじゃあ……行こっか? お姉ちゃん」

玄「うん! 咲ちゃんとお出かけできてうれしいなっ!」

咲「あっ……」

灼「ストップストップ」

玄「どうしたの?」

灼「玄、なにしてるの?」

玄「え? お出かけするから咲ちゃんと手をつなごうかと……」

灼「……ちょっと積極的過ぎるかな」

玄「え、でも私がお姉ちゃんとお出かけするときは……」

咲「手、つなぐんですか?」

宥「え……えっと、うん」

……変、なのかな?

灼「……想定だと、喧嘩したあとだからもうちょっとよそよそしい感じというか……」

玄「えぇ? ……うん、わかった……頑張るね!」

咲「ふふ……でも、玄さんと宥さん、本当に羨ましいです……お姉ちゃんと手をつないで出かけたのなんていつだったかなぁ……」

うちは特に仲が良い姉妹だという自覚はあるけど、よそは手をつないだりしないのかな?

私たちはそもそも学校も一緒だから1日のほとんど玄ちゃんと一緒に過ごすし……うーん……


咲「お姉ちゃん、今日は良い天気だし一緒にお出かけしない?」

玄「えー……おう、焼きそばパン買ってこい! ダッシュでな!」

灼「いやいやいや」

咲「それはかなり間違ってますよ……?」

玄「うぅ……よそよそしくなんてできないよぉ……」

灼「……宥さん、お姉さん役お願いします」

宥「えっ!? 私……?」

灼「玄はちょっと向いてなさそうなので……演技できないタイプだし……」

宥「あぁ……それはたしかに、玄ちゃん嘘つけないしねぇ」

玄「面目ないです……」

咲「そんな……お姉ちゃんと仲直りしたあとのイメージ掴むのに役立ちましたから!」

玄「そう? 役に立てたなら良かった!」

……私の中のチャンピオンのイメージと玄ちゃんがやっぱり結び付かないんだよなぁ……宮永さんの優しさなのか、チャンピオンが本当はそういう人なのか……

灼「それじゃあ宥さん、ギリギリの距離感を保って……ちょっと気まずい感じで……」

宥「うぅん……わかりました……」


咲「お姉ちゃん、今日は良い天気だし一緒にお出かけしない?」

宥「え……」

咲「……嫌、だった?」

宥「嫌、じゃ……ない、けど……」

咲「あ、その……」

宥「…………」

咲「…………えっと」

宥「あ…………」

咲「な、なに!?」

宥「あ……別に……」

咲「……そっか」

宥「うん……」

咲「…………」

宥「…………」


灼「待って待って」

宥「え?」

灼「宥さんちょっと気まずい距離感がリアルすぎて……」

咲「あ、あう……」

あ、宮永さん涙目になってる……

玄「お姉ちゃんあったかくないよぉ……」

宥「え、演技だよ! 演技!」

というか、単に口べたでうまく言葉が出てこなかっただけなんだけど……


灼「ちょっと無理そうだね……」

宥「ごめんね……」

玄「申し訳ありません……」

咲「え、いや、そんな!」

玄「……っていうかさ、灼ちゃんがやってみたら? お姉ちゃん役」

灼「……私、一人っ子だし……」

宥「こう、妹がいたらーって思って」

灼「……咲が妹だったら?」

宥「うん」

灼「…………」

咲「……どう?」

灼「それならかわいがりたいし、気まずい感じは辛いかな」

咲「か、かわいがりたいって……」

灼「こう……ねぇ?」

玄「うん」

宥「だよねぇ」

咲「……どういうことなの?」

玄「咲ちゃんかわいい!」

灼「かわいいと思……」

宥「あったかーい」

咲「か、からかわないでくださいよっ!」


まあなんだかんだやってみたものの……お姉さんと喧嘩して傷ついてるのに、わざわざ上塗りになるかもしれないことをするのはちょっと……ってところだろうか

実際、宮永さんはおとなしい子だし頭とか撫でてあげたくなるところはあるかな……お話ししてると控えめな笑顔を見せてくれるのがちょっとうれしい

灼「成果は見込めなそうだし……麻雀の特訓の方にしよっか?」

玄「そっちならきっと力になれるよ!」

咲「それじゃあ、和ちゃんたちと一緒に……お願いしてもいいですか?」

玄「おまかせあれ!」

宥「うん、頑張ろうね」

灼「それじゃあ、行こ……」

玄「あ、待って! せっかくだから……手、つないで行こう?」

咲「え……」

玄「やっぱり、仲良しのイメージたくさん持ってた方がいいよ! それに、私は咲ちゃんとも仲良くしたいから……ね?」

咲「ふふっ……ありがとうございます、玄さん」

玄「ほら、お姉ちゃんも!」

宥「う、うん! それじゃあ宮永さ……咲ちゃん、よろしくね!」

咲「……宥さんも、ありがとうございます! えへへ……うれしいです」

宥「灼ちゃん……そっちの手、ちょうだい?」

灼「……4人も並んで歩いたら迷惑に」

玄「灼ちゃん、照れなくてもいいんだよ?」

咲「そうだよ。 一緒に行くんだから、みんなで……ね?」

灼「……よろしく」

宥「ふふっ……あったかい、ね」

灼「……はい」

玄「そうだね!」

咲「あったかい、ですね」


――――――

咲「ただいまー」

玄「お邪魔しまーす」

和「咲さん、おかえりなさい。 玄さんに宥さんも……あ、鷺森さんもいらしたんですね。 こんにちは」

灼「ども……」

宥「こんにちは」

咲「灼ちゃんと一緒にいたところで玄さんと宥さんに会って……」

和「そうですか……ところで、なぜみなさんで手を……?」

玄「仲良しだから!」

和「……そうですか」

優希「んー? 仲良しが羨ましいなら私と手をつなぐか? のどちゃん!」

和「な、べ、別に羨ましくなんかないですよ!」

宥「和ちゃんも仲良しだし一緒に手ぇつなごっか?」

和「い、いや、別にその……わ、私はですね……」

久「待ちなさい!」

和「部長!?」

久「私に良い考えがあるわ!」




その後、清澄に阿知賀、風越や龍門渕の人たちまで集まってみんなで花いちもんめ大会をした

懐かしい遊びにみんな思わず盛り上がり……結局1日みんなで遊んでしまった

咲「あの、麻雀は……」

宥「ふふふ……たまにはいいんじゃない? みんなで一緒に……あったかいねぇ」

咲「……そうですね」

宥「……きっと、お姉さんとも……」

咲「……ありがとうございます、宥さん」


カン!

投下内容に関係ありませんが絹ちゃんフィギュア化おめ!

咲全国編がプレメモに参戦するという事で書下ろしイラストが結構出てきてますね。カードゲームは好きなんですがブシロード系列は触ったことないんだよなぁ…宮守がメイドだったり絹ちゃんが…阪神?だったり。興味ある方は画像だけでも探してみてはいかがでしょうか?(宣伝)
清澄一押しはまこ先輩なんですけど書下ろしの部長かわいすぎる件
ひさたん近いの気づけたし今度こそ間に合いたい…!

2日の羊先輩誕生日に間に合わなかったのはなんもかんも政治が悪い

阿知賀はハルちゃん以外は本当に小さいですよねー
咲さんも平均より少し小さいのに準決大将卓では一番背が高いですし不思議な感じ…イメージよりちっちゃい末原ちゃんかわいい

次回はハルちゃん+久保コーチ+カツ丼さんか優希で予定中です
優希に関しては誰とでも行けそうなので相手の要望等あれば参考までにお聞きしたいです…よろしくお願いします

優希だったらやっぱり小さい頃の憧と似てることに関するネタをみたいです

じきにすこたん終わっていずたんイェイ~ですね!
本編でちょくちょく出てくる解説の千里山トリオほんと好き。つーかガンマンメグかっこよすぎてテンション上がりますわマジで

投下はすみません、ひさたんに合わせて12日夜から13日辺りを予定してます。今度こそ大丈夫なはず…
>>211-213まとめていけると思うのでこれで。ありがとうございました!

今週ののどちゃんビーチクギリギリやったなw
待っとるでー

今日はむりそうか?

>>216カラーの時は毎度描きたいもん描いてますよねー 国広くんとマホをカラーで描きたくてタイミング合わせに行ってんじゃないかと疑うレベル

それにしてもメグは遊戯王言われすぎでしょう!思ったけど!アニメのインフェルニティガンマン超かっこよかったけど!
遊戯王クロスはわりと見ますし咲-Saki-満足編episode of sideCとか早く書かないと確実に被りますよね…

投下します。タコス。



今日は和たちが遊びに来ます



そしてそして、和と言えばフリフリのフワフワだ

センスの違いはあるものの、マイノリティな自分の趣味を貫く和と私たちには通じるところがあるはず……

そこら辺、1度しっかり話をしたかったんだよね!

穏乃「あ……のどかーっ! 片岡さーん!」

和「おはようございます、穏乃」

優希「どーもっ! 高鴨さん、優希でかまわんじょ?」

穏乃「そう? えへへ、まあちょっと他人行儀かなー? とは思ってたんだけど……それじゃあ改めて、よろしくね! 優希! 私も呼びやすいように呼んでくれていいよっ!」

優希「それじゃあよろしく頼むじぇ!しずちゃん! タコス食うか?」

穏乃「ありがとっ! いただきます!」

和「すみません、朝早くからお邪魔してしまって……それで、今日は……」

穏乃「今日は紹介したい人たちがいるんだ! それに、ちょっと相談もあって……」

和「紹介したい人……?」

優希「相談って……私が聞いても平気なのか?」

穏乃「全然平気! 優希にも協力してもらいたいな! こっちも作戦がなかなか……」

優希「作戦?」

和「しかし……穏乃たちは個人戦にはエントリーしていないのでは?」

穏乃「まあ、色々大変なんだよ……」

和「はあ……?」


初美「お、来ましたねー」

一「原村さん、片岡さん、こんにちは」

揺杏「あら、今日は制服かー……残念、噂のフリフリ見てみたかったのに」

和「国広さん、こんにちは……それに、永水の薄墨さんと有珠山の岩館さん……?」

優希「こんにちはっ! ……それにしてもどういう組み合わせだ?」

穏乃「ふふふ……私たちにはね、学校や年齢を越えた共通点があるんだよ!」

揺杏「……ん? ちょっと待って、一緒にしないでほしいんだけど……」

優希「共通点? むむむ……」

うん、たしかに端から見ると私たちに共通点はないかもしれない……しかし、私たちは熱い絆で結ばれているんだ!

優希「……わかった! 平坦な胸が共通点だな!」

穏乃「それはまあそうだけど違うよ!」

揺杏「ほっとけ! そんなんタコスちゃんもたいしてかわらねーだろうがよー」

優希「タコスちゃんとは照れるじぇ……」

揺杏「照れる要素がわからねぇ!」

初美「……わ、私は片岡さんよりはありますし?」

一「あはは……それは五十歩百歩って言うんじゃ……?」

初美「むー! いいんですよ! 私は貧乳界一の巨乳なんですよー!」

和「それは言葉がおかしいのでは……」

初美「くっ……原村さん! いくらあなたが巨大なものをお持ちだといっても私の霞ちゃんにはかないませんからね!?」

和「え、いや、別に張り合う気はないのですが……」


穏乃「まあ、ぶっちゃけると私最近オシャレに目覚めたんだよね」

和「……? いつものジャージじゃないですか」

穏乃「なに言ってんの和!? 和たち来るから今日は特にいいジャージを着てるのに!」

和「は、はあ……そうなんですか」

穏乃「初美さんと一さんはその同志ってわけ!」

優希「言われてみればみんな……その、個性的な、ファッションだじぇ」

和「しかし、岩館さんは……?」

揺杏「あ、私は違うから。 オブザーバー? いや、これは灼か……えーと、やっぱり衣装係?」

和「ということは服を……?」

揺杏「そ!うちのユキの改造制服とか私が作ったんだぜ」

和「……あれ、すごくかわいかったです!」

揺杏「だろだろ? それでさ……」



穏乃「ありゃ、和が岩館さんと盛り上がってる……」

優希「こっちはこっちで盛り上がればいいじぇ!」

穏乃「そうだね! でさ、その事でちょっと悩みというか……」

優希「ああ、さっき言ってた相談だな? 私でよければ聞くじぇ!」

穏乃「……憧が」

優希「新子憧ちゃん? 中堅の?」

穏乃「私に変な……というか、普通の服を執拗にすすめてくるんだよね! 私は私のオシャレをしてるのに!」


優希「……おお?」

一「新子さん、すっごくかわいいんだけどね……価値観の相違と言うか」

初美「正直なところ、センス合わなすぎるんですよー」

穏乃「どうすればいいのかなーって……憧は親友だしこれからも一緒だけど……そこだけはどうしても合わなくって……」

優希「ふむふむ……それなら簡単だじぇ!」

穏乃「そうだよね、やっぱり……ええっ!? か、簡単なの!?」

優希「憧ちゃんはしずちゃんを勧誘してくるんだろ? それなら反対にしずちゃんが考えるいい服を憧ちゃんに着せて、その良さを分かってもらえばいいんだじぇ!」

穏乃「!!」

初美「おお……片岡さん、天才的ですねー!」

一「なるほど……あっちから来るからどう受けるかばっかり考えてたからね……こっちから攻めるっていうのは考えてなかったよ」

穏乃「ありがとう優希! 優希に相談してよかった!」

優希「友達のためだ! 気にするな!」

がっしりと握手! 友情! 素晴らしいよね!

私だって憧といろんなことを共有できたらうれしいし……待ってるだけじゃダメなんだ! こっちからもっと歩み寄らなきゃ!

揺杏「ねーねー穏乃、すっげぇ面白そうな話題で盛り上がってるとこ悪いんだけどさー」

穏乃「はい? どうかしましたか、岩館さん?」

揺杏「原村の私服の写真とか持ってない? 話聞いてだいたいわかったんだけど……やっぱり実際にどんな感じなのか確認したくって」

一「ああ、原村さんにも服作るんだ」

穏乃「あ、ちょっと待ってくださいね……昔のでよければ携帯に……どうぞ!」


和「あ、懐かしいですね……小学校の頃の写真ですか」

揺杏「……なんだこの乳、小学生? マジで?」

和「なっ……! む、胸は関係ないでしょう!?」

一「服を作るなら関係はあるんじゃ……うわ、でかっ!?」

初美「こ、こんな……霞ちゃんも小学校の頃は普通だったのに……」

揺杏「マジやべぇ……腹立つなー……って、タコスも昔から友達だったの?」

優希「違うじょ?」

揺杏「でもこれ……一緒に写ってんの」

穏乃「あ、それ憧です」

揺杏「うっそぉ!? え、は!? マジで!?」

一「えぇ!? どう見ても片岡さんだよ!?」

初美「どうなってるんですかー!?」

和「前にも同じような反応がありましたね……」

優希「むむ……ちょっと納得いかないじょ……」

揺杏「え、いやいやいや……マジか!? あっはは!ウケるんだけど! 二、三年したらタコスも憧ちゃんみたいになんじゃね?」

優希「ふむ……しかし憧ちゃんみたいになるとすると今の私のかわいさが失われてしまうじぇ」

揺杏「自分で言うか?」

一「まあ、たしかに片岡さんと新子さんはタイプが違うと思うけど……」

揺杏「ん? ……ちょっと待て! ヤバい……とんでもないことに気づいてしまった……!!」

穏乃「岩館さん……?」


揺杏「タコスは穏乃たちの手伝いしてくれるんだよな?」

優希「もちろんだじぇ! しずちゃんはもう親友だしな!」

穏乃「ねー!」

揺杏「くっふふ……よし、ちょっと準備してくるから待ってろ! ヤバい想像しただけで……テンション上がってきたぁ!!」

岩館さん、急に元気になったなあ……準備っていったい何を……?

優希「ところで、1つ疑問があるのだが……」

穏乃「ん? なに、優希?」

優希「具体的に……しずちゃんや国広さん、薄墨さんはどんな感じの服を憧ちゃんにすすめるつもりなんだ?」

初美「お、興味がありますかー?」

一「かなりハイセンスだから片岡さんも驚いちゃうかも」

穏乃「こっちに今まで岩館さんが作ってくれたのがあるから……はい、こんな感じかな!」

優希「えっ?」

穏乃「え?」

優希「ちょ、ちょっとタンマ」

穏乃「?」

優希「……あれ? それは……え? それが衣装ですか?」

穏乃「なんで敬語?」

初美「そうですよー?」

一「すごいでしょ?」

優希「……そ、想像以上の……憧ちゃんに謝った方がいいのか……?」


――――――

ホテルの廊下を歩いていると、大きな紙袋を抱えた揺杏が目に入る

灼「揺杏? なにしてるの? 走ると危な……」

揺杏「いや、今さ! 清澄の原村とタコスが来てんだけど……ふっふふ! 灼も来いって! とんでもないものを見せてやるぜ!」

あ、悪い顔……またろくでもないことをしなきゃいいんだけど

灼「ま、挨拶ぐらいはしたいし……」

揺杏「いっひひ! ひゃっほう!」

灼「うるさ……」

揺杏「ごめんね! 今テンション超高いわ! ただいまー!」

優希「お、おかえりなさい……」

揺杏「お? その顔は気づいちゃったね? 想像以上にヤバいことに気づいちゃったね?」

優希「うん……これは、すごいじょ……」

揺杏「つかさ、一とは知り合いだったんだろ? 気づかなかったの?」

優希「まさか、アレをそのまますすめてく感じだとは思ってもみなかったじょ……」

揺杏「あはは! 普通はそうだよな! しっかぁし! 1度口に出したからには待ったなしだぞ! さあ『協力』しろ! 灼も手伝って!」

灼「ん……了解。 いらっしゃい」

和「こんにちは、灼さん……お邪魔してます」

優希「ど、どうも……」

穏乃「岩館さん、私たちは……」

揺杏「ちょっと待ってて! 原村と遊んでてよ!」

和「いったいゆーきに何を……」

揺杏「大丈夫! さきっちょだけ! さきっちょだけだから!」

和「は? さきっちょ……?」

灼「それダメなやつじゃ……」

揺杏「穏乃、制服貸して!」

穏乃「え? はい、どうぞ……」

揺杏「じゃあタコスはとりあえずそれ着て!」

優希「じょ? わかったじぇ」

灼「私は?」

揺杏「え? えー……じゃあ、タコスの脱いだ制服たたんであげて」

灼「……特にやることはないと」


引っ張って来られたわりには特に仕事は無いらしい

とりあえず状況ぐらい教えてほしいんだけど……

灼「あ……これ」

優希「む? その子はのどちゃんにもらったセアミィだ!」

灼「かわいらし……」

優希「だろー? おねーさんもセアミィみたいなの好きなのか?」

お姉さん……そんな呼ばれ方したのははじめてだ

……ちょっといいかも

灼「……好き。 かわいいね、この子……試合の時も一緒だったよね?」

優希「大事な友達だからな! いつも一緒なのだ!」

えっへん、と胸を張る片岡さん

……一瞬、セアミィの方も同じような動きをしたように見えたけど……いや、さすがに気のせいだろう

優希「あ、おねーさんにもお近づきのしるしだじぇ……タコスどうぞ!」

灼「ありがと、片岡さん」

優希「もっとフレンドリーでかまわんっ!」

灼「……ありがと、優希。 えっと……アメちゃんでよければ」

優希「おぉ! やったじぇ! ありがとうおねーさん!」

……お姉さん。

いい……いいな、うん

灼「かわいらし……」

優希「よく言われるじぇ!」

……撫でてもいいかな? 撫でよう、うん

優希「……えへへ、くすぐったいじょ」


揺杏「お、着替えたな? 灼、タコス撫でてないでこれ付けてやって」

灼「……タコスを撫でるって字面おかしいよね」

揺杏「はいはい……優希撫でてないでさ、よろしく」

灼「……ヅラ?」

揺杏「せめてウィッグって言おうぜそこはさー」

灼「つい……じゃ、動かないでね」

優希「りょーかいだじぇ!」

灼「…………!?」

優希「じょ?」

灼「……憧?」

優希「優希だじぇ?」

灼「いや、わかってるけど……」

阿知賀の制服を着て、揺杏の用意したウィッグを付けた優希は……ちょっと背は低いけど憧と瓜二つだ

揺杏「驚いたろ? 見てよこれ、さっき穏乃にもらった画像」

灼「……穏乃と原村さんと、優希?」

揺杏「憧ちゃんなんだってよ! マジやべぇよな!」

灼「……驚いた」

……本当に驚いた。 世の中に3人はそっくりな人がいる、なんて言うけど……まさしくそんな感じだ

揺杏「驚くのは、まだ早い! ここからが楽しいんだぜ?」

揺杏「カモン! 穏乃! 本番に向けて練習の時間だ!」


――――――

憧「あー! ヤバい! 和たちもう来ちゃってるよね?」

巴さんや胡桃さんたちと女子会してたら時間が経つのが早くて……気づいたら和と片岡さんが来ると言っていた時間を大幅にオーバーしてしまった

憧「ただいまっ! ごめんね、和っ!」



穏乃「憧、一回でいいからこの服着てみてよ!」

憧?「はぁ!? そんな変な服この私が着るわけないでしょ!?」


……ん? わ、私……!?


穏乃「そんなこと言わないでよ! 憧がすすめる服私も一回着てみるから! それでいいでしょ!? 」

憧?「えっ……いや、でも……」

穏乃「ね? お願い!」

憧?「……しずがそこまで言うなら仕方ないわね。 一回だけよ?」

穏乃「やったぁ!」


え? なに? なにが起こってるわけ?


和「あ、憧……お邪魔してます」

憧「和? え、どういうこと!? なんで私がいるの!?」

和「いや、あれは……」

灼「憧、ちょっと部屋出て……見ない方がいいと思……」

憧「灼さん、その……だって、私? みたいなのがいたんだけど!?」

話をしている間に、私によく似た誰かが洗面所の方に引っ込んでいく

一「あ、帰ってきちゃったか……このままだと作戦が……」

初美「いえいえ、シミュレーションを重ねたんですから今ので行けるはずですよー」

揺杏「しっかし今んとこ完璧な演技だぜ? 指導の甲斐があった……! 説得に苦労したけどこれはその労力の倍以上の結果が出る!」

憧「ちょ、また岩館さんの差し金!? なんなんですかあれ!」

揺杏「いいからいいから……ほら、来るぞ!」


憧?「……着たけど、どう?」

憧「なっ……!?」

そこにふたたび表れた私……によく似ただれかさん

先ほどまで阿知賀の制服を着ていたはずだが……今着ているのは……





普段、国広さんが身に付けているような布切れだ





憧「いっ……いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


揺杏「よし、決め台詞!」

憧?「か、勘違いしないでよ! 別にしずのために着たんじゃないんだからね!!」



揺杏「うっはははははは!! 憧ちゃんが、は、一の服着てるぅぅぅ! あは、あははははははは!! うひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

憧「ああぁぁぁぁぁぁぁ!! なに!? なにしてんの!? ちょ、揺杏! あんたねぇぇぇぇぇえ!!」

揺杏「おいおい、一応私年うぐぇ!? ちょ、ストップストップ! 襟首掴まないで! 伸びちゃうから!!」

一「やっぱり新子さんが着ても似合うねこれ」

初美「素材がいいですからねー……まあ、今実際に着てるのは優希ちゃんですけど」

穏乃「完璧! これで行ける!」

憧「似合わないし絶対着ないしどこも完璧じゃないから!! ……って、優希ちゃん? 片岡さんなの!?」

優希「すまん憧ちゃん……いろいろあって断れなかったじょ……」

憧「いや、なんで私の……仮装? してんのよ!?」

優希「ほんといろいろあって……」

灼「ごめん憧……止められなかった」

憧「灼さん……」

灼「その、ゆ……優希が、あ、憧……ぶふっ! げほっ! げほっごほっ! く、くくっ……」

憧「灼さんの裏切り者ぉ! 和も、なんで止めなかったのよ!?」

和「……い、岩館さんが私好みの服を無料で作ってくださると」

憧「物に釣られてんじゃないわよ!」

優希「お、落ち着いて……」

憧「あんたはちょっとこっち来なさい!!」

優希「うぇ!?」


片岡さんの手を引いて部屋を出る

ほっといたら私があの布切れを着たかのような状況のまま岩館さんにいろいろ変なことさせられたりしていたに違いない

……考えただけで恐ろしい

岩館さん……いや、呼び捨てで充分だ。 もはやさん付けに値しないぞあいつ畜生この野郎……後でどうしてやろうか……

優希「あ、あの……憧ちゃん……?」

憧「ちょっと、ほんと、なにしてんの!? 私がその布切れ身にまとってるみたいな……なに!? ほんと……ああもう!」

優希「本当に申し訳ない……でも、私だってこれを着る時点でかなりのダメージを受けてることを理解してほしいじぇ……」

憧「あっ」

優希「……着替えてきてもいい?」

憧「うん、ごめん……ってストップ!」

優希「じょ?」

憧「今戻ったら捕まるんじゃ……」

優希「あっ」

憧「…………」

優希「…………」



灼「憧、優希」

憧「!」

優希「!」


灼「これ、優希の制服」

優希「お、おねーさん……!」

憧「灼さん! 助かったぁ……」

灼「ん……これ、私の部屋の鍵。 着替えに使って」

憧「さーんきゅ! やっぱり灼さん頼りになるわ……」

さっき笑ったのは忘れてあげよう、うん

優希「あ、のどちゃんは……?」

灼「いま揺杏が採寸してる……今日はおもちゃがいっぱいあって楽しいとかなんとか言ってたし、しばらく避難してれば大丈夫だと思……」

憧「北海道人ほんと調子のせたらダメだわ……揺杏と獅子原さんしか知らないけど」

灼「……呼び捨て?」

憧「さん付けなんてもったいないよ、あんなやつ!」

灼「そんなプンスコしなくても……呼び捨てにしたいならそう言えば別に許してくれると思うけど。 仲いいんだし」

憧「べ、別にそういうんじゃなくって……怒ってるの! 私は!」

灼「素直じゃないね……ほら、甘えていいよ」

憧「しないってば!」

優希「おねーさーん」

灼「いいこいいこ」

……なんかいつの間にか仲よくなってるし

灼さんも珍しくデレデレしちゃって……

まあ片岡さんってなんかしずに似て元気で人懐っこい感じだし、かわいがりたい気持ちはわからなくもないけど


灼「憧もほら……おねーさんとお呼び?」

憧「だからしないってば!」

あ、お姉さんって呼ばれてうれしいのか。 かわいいとこあるじゃん

憧「…………」

灼「……撫でないでよ。 どちらかと言うと撫でたい気分なんだけど」

憧「いや、つい……」

優希「存分に撫でていいじょ?」

灼「よしよし」

憧「……なんか私が撫でられてるみたいで見てて違和感が……」

灼「じゃあほら、実際に撫でてあげるから」

憧「私はいいって!」

……ちょっと恥ずかしいし

憧「と、とにかく! 優希は早く着替えてよ! いろいろマズいから!」

優希「む……それはたしかにそうだな! さすがにこの服装は恥ずかしいじょ……」

灼「……それじゃ、またあとでね」

優希「うん! 時間があったら打とうじぇ!」


――――――

晴絵「ぅあ~~~~」

玄「どうですか、赤土先生?」

晴絵「きもちいぃよ~~私もう松実館に住むわ~~」

宥「さ、さすがにそれは……」

先生にはお世話になってるし、今は労りのマッサージ中だ

晴絵「あ、そこの牌譜……野依さんのやつ取ってー」

宥「あ、はい……どうぞ」

晴絵「ありがとー……あーほんと快適だわ~~松実館に住めないなら二人ともうちで家政婦でもやってよ~~」

玄「私はおうちのお手伝いしないと……でも、宿泊ならサービスしますよっ! 赤土先生にはお世話になってますし今ならこちらのサービスに、お値段はこのくらいで……」

晴絵「玄は商魂逞しいねぇ……ってけっこうなサービス料金だな!? ぬぬ……10分の距離に自宅がなけりゃ通いたいレベルだぞ」

玄「かなりお勉強させていただきました! えー、お食事のランクが……」

宿の売り込みや交渉だって今のうちから練習しておいて損はないよね……なんてやっていると部屋の扉が開く

憧「ありゃ? 鍵開いてる……」

晴絵「ん? どうかしたか憧ー……が、二人? 」

宥「あ、あったかくなさそうな格好だね……?」

憧?「いろいろありまして……着替えさせてもらってもいいですか?」

玄「あ……その声は、優希ちゃん?」

優希「あ、はい! お邪魔してるじぇ!」


玄「あ、もう和ちゃんたち来てたんだ……全然気づかなかったよ」

憧「……なにやってたの?」

玄「今日は赤土先生感謝デーなの!」

晴絵「いやーもう最近忙しいから身体中ガチガチで……」

憧「はぁ……ばばくさ」

晴絵「ほんっとそれやめてくれよ……私、望と同い年だからな!?」

憧「お姉ちゃんはハルエと違ってしっかりしてるし……」

晴絵「……シスコンめ」

憧「は!? 違うし!!」

宥「仲良しはいいことだよ~?」

優希「憧ちゃんはお姉さんがいるのかー」

部屋の隅でささっと着替えた優希ちゃんが会話に参加する

玄「望さんっていってね? 赤土先生のチームメイトだったんだ」

宥「優しくて頼りになるんだよ~……私たちもいっぱいお世話になっちゃったもんね」

優希「へぇ……私は一人っ子だから羨ましいじぇ」

憧「そこにおねーさんキャラいるし適当に妹になっちゃえば?」

玄「!」

宥「!」

晴絵「また適当なこと言って……」

憧「今日はもう体力使い果たしたっつーか……頭回んない……」


宥「お、おいで~」

優希「……えへ、それじゃあちょっと失礼するじょ」

玄「あっ! お姉ちゃんずるいよ! 私も! 私もお姉さんできるから!」

憧「玄は妹じゃん」

晴絵「玄はクラブ時代から最年長としてあんたたち相手にちゃんとお姉さんしてたし、いいんじゃないの?」

玄「そうだよ! 憧ちゃんだって私がお世話したんだから!」

憧「はいはい……ちょっとばかし頼りなかったけどね。 玄はけっこう抜けてるし」

玄「えぇ……?」

そんなことないと思うんだけどなぁ……

宥「はぐはぐ、ぎゅ~……あったかーい」

優希「……あったかい通り越して暑いじょ」

あ、お姉ちゃんうれしそう……

晴絵「っていうかさー」

玄「なんですか?」

晴絵「こうして見ると、やっぱり片岡さんって昔の憧に似てるよな」

憧「……そう? どっちかと言うと私よりもしずに似てない?」

晴絵「中身はそうかもね。 でもほら、見た目なんか完全にさ……さっきのもそのウィッグとかで身長と声以外は憧だったし」

優希「のどちゃんに初めて会ったときに、前の友達にちょっとずつ似てるって言われたじょ……それがきっかけで仲良くなったんだけど」

宥「へぇ……そうなんだ」

優希「だから、しずちゃんと憧ちゃんには感謝だな! おかげで親友ができたじょ!」

憧「そっか……和がねぇ……」

ん? ってことは……


玄「じゃあ、私やお姉ちゃんとも仲良くなれるね!」

宥「え?」

玄「だって私もお姉ちゃんも、穏乃ちゃんと憧ちゃんのこと大好きだもん! 優希ちゃんとも仲良くなれるよ!」

優希「……ふふふっ、これは盲点だったじょ! 玄おねーさんの言うとおりだじぇ!」

憧「ったく、また恥ずかしいこと言って……」

優希「憧ちゃんは私と仲良くするの嫌かー?」

憧「……そんなわけないでしょ」

晴絵「いつの間にか名前で呼んでるしな。 憧にしちゃ珍しいことに」

憧「よ、余計なこと言わなくてもいいでしょ!」

優希「ふっふーん? 憧ちゃんは実は既に私の魅力にメロメロか?」

憧「べ、別に、私はそういうんじゃなくって……!」

晴絵「憧はほんと素直じゃないなぁ……昔はそれこそしずや片岡さんみたいに素直ないい子だったのに……」

憧「……ハルエ、それはさすがにババくさい」

晴絵「ぐっ……そ、そんなことないよな? な?」

玄「あ、私お茶淹れてくるよ!」

宥「あはは……」

晴絵「……仕方ないだろ! あんたたちのことは昔から知ってるし、つい……」

憧「つい昔話しちゃうのがババくさいの!」


晴絵「ぐぬぬ……大丈夫、私はまだ全然若いし! ほら、片岡さん……いや、優希! 晴絵おねーさんに甘えてもいいぞ!」

憧「付き合わなくていいよ?」

優希「え、えっと……?」

晴絵「ほらほら、おねーさんが麻雀教えてやるぞー? 私の指導があれば来年のインハイだって……」

優希「おぉう! それはとっても魅力的だじぇ!」

憧「こらこらこらこら!!」

晴絵「なんだよ? 今いいとこ……」

憧「他校の生徒本気で強化してどうすんのよ!?」

晴絵「大丈夫大丈夫、来年にはお前らだってもっと強くなってるし……ライバルは強い方が燃えるだろ?」

玄「穏乃ちゃんもライバルが強い方がいいって言ってたよ?」

憧「いや、まあ……はぁ……玄まで熱血に感染しないでよ……」

宥「あったかい?」

晴絵「熱い、じゃないか?」

優希「熱血なら清澄の熱血担当、優希ちゃんにおまかせだじぇ!」

宥「あったかい!」

優希「おう! 熱いじぇ!」


やっぱり、優希ちゃんは穏乃ちゃんと憧ちゃん……二人にちょっとずつ似てるからかな? こうして話しててもいつもの感じと変わらないなぁ

玄「……ね、せっかくだし、やっぱり打ちませんか?」

憧「まあ、麻雀部だし……異論はないけど」

晴絵「あいよー……んじゃ、牌用意するから……」

優希「あ、隣にも集まってるし声かけないと……」

宥「あ、それじゃあ私が灼ちゃんたち呼んでくるよ」

憧「捕まっても困るし優希はおとなしくしてなさいよ」

優希「……それもそうだな」

玄「? それじゃあお姉ちゃん、よろしくね」

お姉ちゃんが部屋を出ようとすると、ちょうど外から声がかかる

穏乃「すみませーん、憧いますか?」

憧「ん? しず?」

宥「あ、今開けるよー」

憧「あっ……宥ねえ、ちょ、タンマ!」

宥「え?」

憧ちゃんがお姉ちゃんを制止したけど……なんでだろう? 穏乃ちゃんと何かあったのかな?

とにかく、残念ながら間に合わなかったみたいで穏乃ちゃんが元気に部屋に入ってくる

穏乃「……憧!」

憧「な、なに?」


穏乃「この服着てみてよ! 一回だけでいいから!」

憧「だーかーら! それで説得は無理だって言ったでしょ!?」

穏乃「そんな……優希からもなんとか言ってやってよ!」

優希「えっ」

憧「優希! わかってるでしょ!?」

優希「え、あー……そのぉ……」

……いきなり、なにが始まったんだろう? なんだか優希ちゃん困ってるし……

優希「……あ! タコスぢからが切れちゃったじょ! ちょっとタコス買ってくるじぇ! 玄おねーさんも一緒に行こっ!」

玄「え? あ、うん!」

憧「ちょ、逃げないでよ!?」

穏乃「優希!? ……そうか、これは自分の力で成し遂げないと意味がないという優希からのメッセージ……! さぁ、憧!観念してこの服を着るんだ!」

憧「だから着ないってば! なにがあっても!! 絶対!!」

穏乃ちゃんと憧ちゃんの口論を背に優希ちゃんに手を引かれて部屋を飛び出す……扉の前で岩館さんがニヤニヤしてたけど放っといていいのかな……?


玄「あ、あの……いいの? 穏乃ちゃんと憧ちゃん……?」

優希「むむ……どちらにも義理があるからな……私も着せられたから憧ちゃんも、ってちょっと思ったけど割りと本気で嫌がってるっぽいし……」

玄「それなら、憧ちゃんについてあげた方が……」

優希「でも、しずちゃんは憧ちゃんが本当の本気で嫌がったらなにもしないと思うじょ?」

玄「それは、まぁ、そうだね」

優希「あの二人とは出会って日も浅いけど、どんな子かはわかってるつもりだじょ? のどちゃんの友達だしなー」

……優希ちゃん、人柄は穏乃ちゃんに、見た目は憧ちゃんに似てるなーと思ってたけど……中身の方もけっこう憧ちゃんに似てるのかもしれない

義理堅くて、ちゃんと回りを見て動ける子なんだな……憧ちゃんに比べたら、断然甘え上手だと思うけど

優希「あ、そう言えば……」

玄「どうしたの?」

優希「私、今日はずっとしずちゃんや憧ちゃんに似てるって言われ続けてたから……他のみんなのこと考えてみたんですけど……玄おねーさんとのどちゃんのそっくりなところ見つけたじぇ?」

玄「えっ? 本当に? なんだろう……?」

優希「優しくて、友達思いで……でも、これは写真を見たときに気づいたんだけどな?」

玄「なになに?」



優希「年のわりに胸がデカイ!」

玄「えぇっ!?」


優希「あはは! なーんて、冗談……」

玄「そんな、私のなんて全然! 和ちゃんの大変素晴らしいおもちと比べたら! そもそもおもちと言うのは……」

優希「……振るネタを間違えたじょ」

玄「優希ちゃん! ちゃんと聞いてるの!? おもちはね……」


カン!

全員となると思ったより難しかった。困った時のおもちである…反省ですね

>>217ひさたんイェイ~言いたくてのんびりしてました!さーせん!
結局余裕あったので…11/13には早いですが一足先にひさたんイェイ~。

次回はハルちゃんと長野大人勢予定です。最近忙しくてペース落ちてますがよろしくお願いします…来週の金曜辺り目標で

時間ないのに書きたいものばっかり増えて困る。清澄とかシノハユとか龍門渕とか…たまには恋愛ものとかも挑戦したいけど咲は男少ないし女子同士だとどうしても重くなりそうで怖い

男女恋愛だと京ちゃんばっかでマンネリ気味だしなぁ
そんな俺は>>1の書くリチャシノ読んでみたい

>>249京ちゃんは好きだけど清澄以外の組み合わせは個人的に少し抵抗あるんですよね…でもいくら船Qとか書きたくても男子キャラがいないという事実はどうにもならなくて…自己投影するタイプでもないから男×みたいなのは書いても楽しくないし…

シノリチャ大好きだけどほのぼの家族系にしかならなそうで…ハロウィンにシノハユですごい短いの投下したんですけど、その程度の感じで
本気で恋愛にするなら、健気にリチャを支えつつも「おじさんのことは、好きになっちゃいけないのに……」って陰で悩んで、泣いて…で、そのうちリチャが「慕も手ぇかからなくなってきたし嫁さんでも探すかー」とか言ってるのを慕が「おじさんの幸せのためだから……」って涙を隠して笑顔で応援するのが理想のシノリチャ
リチャが慕との生活で女性へのハードル上がりすぎてて婚活うまくいかなければ完璧
…いや、幸せになってほしいけど姪に手を出すリチャも想像できないっていうアレです…

あーあのハロウィンのやつ書いたの>>1だったのか
面白かったからまたあんな感じのやつ書いてほしいな

無理に恋愛話にしなくても友情ものでも良いと思…
咲は元々麻雀&友情漫画だし

>>251シノハユは好きなんでまた挑戦したいですね
>>252恋愛書きたいのはなんつーか趣味なんで…無理にやるならそれこそ京太郎で書いちゃうんですけど。一応ここもほのぼの友情スレのつもりですし…
正直テニプリと遊戯王を足して2で割った作品ぐらいの気持ちで読んでたんでネット上のiPS的なキャラ付けは衝撃を受けましたね…アニメ一期見て納得しちゃいましたけど

京タコ少ないんでまた書いてほしいです

そういえばここでは久ほとんど出番ない?
リクOKなら指導者なしで清澄をひっぱてきた久に来年度が心配でいろいろ聞く灼をリクしたいです

>>254京タコは好きですしまたそのうち書きます!次のイベントだとクリスマスとか…?なんにせよ現在なかなか時間取れないので予定は未定ですが
>>255常時受け付け中!いろいろ言ってもらえればその分こちらも妄想が捗るし大歓迎です!問題はいつ書くかわからないとこですけど…まあ気長に待っていただければ幸いです。なんか部長って頼りになるカッコいい系で書いたことないし頑張ります

とりあえず立先生ブログで大天使いくのんのシノハユ登場が示唆されてテンション上がってます!もう善野さん毒殺したとか言われないで済むんですね!やったー!
あとまだ全然書けてないんですけど次回分に>>72の華菜ちゃん+灼もぶっこめそうなので一応予告だけ

立先生が燃料投下してくれるから十年ぐらい余裕で待てる気がする件
遅くなりましたが投下」します


10年前
健夜(土浦女子)はやり(朝酌)3年生―理沙(新道寺)2年生―晴絵(阿知賀)1年生―咏、靖子中学3年生―戒能良子10才※善野3年生―郁乃2年生(姫松?)

7年前
咏(妙香寺)、靖子(弓振)3年生
風越女子、長野県大会優勝

6-3年前
インカレで活躍(大岡山)

4年前
健夜8冠保持→9冠

3年前
晴絵、熊倉トシにスカウトされる(博多へ)
久、インターミドル棄権(上埜→竹井)


2年前
実業団でプレイ(富山)
風越女子、長野県大会六連覇
美穂子インハイ参加

1年前
プロ入り(佐久)
※プロアマ交流戦に参加、アマ枠から天江衣が参加(優勝)
龍門渕、長野県大会優勝
冬、エバーグリーンズ解体―晴絵(博多→阿知賀女子監督/教師)

一巻→雑誌記事から
まくり率の記録は※年経った……
学生時代……2度優※……

→まくり率の記録保持者、数年にわたって維持中?
→インカレで2度の優勝? 別大会の可能性も

日和二巻大人3→海外で麻雀。国際大会?

七巻→貴子と会議
九巻→靖子+貴子、健夜+郁乃と遭遇
→10年前時点で知り合い?(晴絵の話題)
貴子も郁乃を知ってる(過去にインハイ会場で遭遇か)※郁乃(17/18)靖子貴子(15/16)?

慕=はやり=健夜=一美=28>理沙=郁乃=27>晴絵=26>咏=靖子=25(≧貴子?)

プロ麻雀カード(表記の年齢は8月時点)
健夜s1→永生七冠、東風フリー銀、元世界ランク二位
咏s2→日本代表の先鋒、金手賞、打点王
はやりs4→現役アイドル
戒能s7→新人王
靖子s23
大沼123→往年のスタープレイヤー、現在シニアリーグでプレイ
≠収録No?

インカレと実業団で活躍後プロに。
チームが負けてる時に大将としてオーダーされることが多い。

コピペミスですすみません
個人的に時系列等纏めようとしただけで推測も相当混じってるのであまりお気になさらず…


美穂子「ツモ、2000・4000でお願いね」

穏乃「うわっ……うーん、これでまた福路さんのトップですね」

まこ「ふむ……ある程度見えてはいるんじゃが……やはり卓をコントロールされてまうのう」

灼「さすが長野個人戦1位……」

華菜「うちのキャプテンの強さ、思い知ったか!」

優希「イケダ! なんでお前が偉そうにするんだ!」

華菜「キャプテンが謙虚な分あたしが誇ってちょうどいいし! あと上級生には敬語使え?」

本日も長野県代表の個人戦に向けての調整に参加中……子どもたちが自発的に他校の生徒と交流を持って、実力者との実践訓練を行えるというのは大きい

……来年は私もいるかわからないし、人脈は広く持ってた方が安心できるしね

特に、風越は長野県の伝統ある名門校で奈良で言えば――歴史に差があるとはいえ――晩成の位置にある高校だ

正直、私も監督1年目だしインハイの監督兼引率として不安もあったし相談できる大人が多くなるっていうのは助かるものだ

貴子「今日はありがとうございます、赤土監督」

晴絵「久保コーチ、こちらこそ……うちは個人戦出る生徒もいないし、みんな打ちたくて仕方がないんですよ……名門風越に相手していただけるのは本当にありがたいです」

貴子「まあ、生徒たちがいつの間にか仲良くなってたって感じで……他校の生徒と打つならこっちに一声かけてもらわないと……っと、失礼」

晴絵「……いや、全くもってその通りですよね」

信用してたけど、なんかあったら保護者として責任とらなきゃいけないわけだし……準決前はナーバスになりすぎてたよなぁ……

すっかりみんなのこと放置しちゃって……三箇牧の荒川憩や九州赤山の藤原利仙とかと打ってたらしいけど……まあ過ぎたことだ。 次から気を付けよう、うん

貴子「とはいえ、清澄の子達と宿が一緒なのは大きいですね……練習相手には困りませんからし、阿知賀のみんなとも交流する機会を持てたみたいですし。 ただ、あちらの顧問の方があまり……その、放任主義なのもあって、こちらからいろいろ口を出しすぎてるような気も……」

……大変そうだな、久保コーチ

っていうか私清澄の顧問の先生見たことないんだけど……竹井さんと久保コーチに挨拶したらそれでオッケーみたいに言われたけど本当に平気なのか……?


靖子「よう、邪魔するぞ」

貴子「あ、お疲れさまです……今日はお客さんいるんでしっかりしてくださいよ」

晴絵「藤田プロ……阿知賀女子監督の赤土晴絵です。 よろしくお願いします」

靖子「赤土さん? 失礼、佐久の藤田です。 ……こちらこそ、よろしく」

藤田靖子……大差のついた試合をその打牌で何度も逆転勝利に導き"Reversal Queen"――「まくりの女王」と呼ばれている、佐久フェレッターズのプロ雀士だ

……なんだかんだ未練があったこともあってインカレでの活躍も目にしているし、私がエバーグリーンズで打ってたときには対戦の可能性もあったからチームメイトと牌譜のチェックもしたっけ

まあ私は先鋒オーダーが多かったし、彼女は大将戦で真価を発揮するタイプな上に一年しか実業団でプレイしてなかったから結局卓で出会うことはなかったけれど

貴子「すみません、それでは私は一旦席を外して……」

靖子「あ、ちょっと待っ」

穏乃「わぁ! 藤田プロだ!!」

晴絵「うぉ!? ……しず、急に大声出すなよ」

穏乃「あ、すみません……つい……」

靖子「お、なんだ? 高鴨、私のファンか?」

穏乃「はい! 藤田プロの試合いつも見てます! ってなんで私の……」

靖子「そりゃインハイぐらい見てるって……阿知賀は決勝進出校だし注目されてるぞ? それに赤土さんのチームだし……」

……ん? 藤田プロ、私のこと知ってたのか? そりゃ実業団で打ってたけど……そこまで気にかけられるほどの成績ではなかった気がするんだよなぁ……

穏乃「ありがとうございます! あ、あの……よかったらこちらのカードにサインいただいても……」

靖子「もちろん、かまわないよ」

穏乃「やったー! ありがとうございます!」

憧「……しず、カード持ち歩くほど藤田プロのファンだったの?」

穏乃「さっき買ってきたせんべいでツモった!」

憧「あぁ……」


華菜「ん? それハズレじゃないのか?文堂がいらないって……」

穏乃「いやいや! アタリですよアタリ! 冗談キツいですよ池田さん!」

靖子「……サインぐらいいくらでも書いてやるぞ! 私はもともと高鴨には注目してたしな!」

穏乃「え……本当ですか!?」

本当かよ……つーかうれしそうだな、おい

……うん、まあ私もプロ麻雀カードで妙に出るってことでいろいろ言われてネタにされてるの知ってるけど……

靖子「決勝、準決勝共に良かったが、私が特に注目したのは二回戦……よく最後まで諦めずに打った」

穏乃「そんな……当然のことじゃないですか」

靖子「その当然が、難しい」

……それは、よくわかる

私は、一回折れちゃったしね

靖子「土壇場では諦めない気持ちが牌を、勝利を引き込むのさ……良いまくりだった」

穏乃「……はい! ありがとうございます!!」

靖子「心が強いやつは勝負どころで強い……私は小手先の技巧で戦うやつより高鴨みたいなガッツのある雀士の方が好きだよ。 ほら……そこの、こいつがかわいがってる「かわいがってねーし!!」 ……はいはい、怒鳴るなって」

灼「……かわいがられてるんだ?」

華菜「かわいがられてねーし!!」

美穂子「ふふ……華菜は期待されてるものね?」

……似た者師弟ってやつか?


貴子「……ったくもう……で? なんなんです?」

靖子「あぁ、いや……赤土さんと少し話したかったからさ。 一緒にどうです?」

晴絵「私は構いませんけど……」

貴子「いや、一緒にって……」

靖子「まあいいじゃないか。 時間はあるんだし赤土さんと話させてくれよ」

貴子「しかしですね……こっちは仕事ですよ?」

晴絵「仕事、ですか?」

靖子「インハイが終わると……ね」

晴絵「ああ……なるほど。 つまり……」

国麻やらなんやらが始まるって話だ

藤田プロと久保コーチ……藤田プロは学生時代に国際戦も経験しているし、逆転率かなんかの記録も持っていたはずだ

風越女子は長野県で名門校として名を馳せ、近年では龍門渕に敗れるまで県大会六連覇している。 久保コーチも風越のOGらしいし、年齢も……たぶん私や藤田プロと同じくらいかな? 恐らくこの風越時代のメンバーなのだろう。 実績もあるのだから二人が選抜を任されるのも納得だ

……あ、すぐそこに生徒たちがいるし選抜がどうとか言ったらマズイか?

晴絵「えー、担当なんですか? その……長野の?」

靖子「ええ……赤土さんは選考に関わったり……は、ないですかね? 奈良は……」

晴絵「麻雀関連はほとんど晩成関係者ですからね……今年結果は出ましたけど、私は代表の選考には関わらないと思いますよ」

貴子「代表が決まれば指導者として呼ばれるんじゃないですか? 阿知賀の子達も選ばれないってことは無いでしょうし」

晴絵「んー……地元はともかく、晩成の人間にはあまりいい印象持たれてないからなんとも……」

靖子「ま、そこら辺は難しいですよねぇ……」

貴子「とりあえず、話の続きは隣の部屋でしましょう……おい、しばらく外すけどしっかりやっとけよ」

美穂子「はい、お疲れさまです」

晴絵「頼むよ、灼」

灼「ん……りょーかい」


――――――

靖子「で、ぶっちゃけ赤土さんから見てどうです? 長野の子達」

晴絵「え、それ聞いちゃいます? 口出ししていいんですか?」

靖子「ま、参考までに? 赤土さんの意見聞いてみたいだけですから。 久……清澄の竹井から、阿知賀の生徒は長野の団体決勝進出校とはみんな打ってるって聞いてますけど……」

晴絵「なんか気づいたら仲良くなってたみたいで……団体戦は清澄だけだし、個人戦も清澄と龍門渕の分しかチェックしてませんよ?」

貴子「うちはスルーですか……」

晴絵「いや、清澄は団体戦ありましたし! 龍門渕とは夏前に練習試合組んでたんで! そういうんじゃないですから!」

貴子「冗談ですよ。 阿知賀は個人戦出てないから福路のチェックも必要ないですしね……」

晴絵「それでも圧倒的でしたね、福路さんは……団体決勝の先鋒戦序盤、東場の片岡を押さえ込んだ井上が卓を支配しているように見えましたが、その井上の作った流れに潜んでしっかりと場をコントロールしていましたね」

靖子「観察力に優れて、回りの動きをコントロールするのも上手い。 個人戦のスコアも圧倒的だったし……まあほぼ確定だろう」

晴絵「安定して良い結果を出せる選手ですよね。 そういう点では和を推したいですけど」

貴子「原村は攻めも守りもきっちりしてますからね。 ムラなく実力を発揮してくれるのは大きいです」

靖子「はじめて見たときはまだまだだったが……もはやほぼ完璧なデジタルだからな。 デジタル打ちなら私は龍門渕透華を使いたいけど」

晴絵「ああ……龍門渕さんはデジタルとしては少しムラがありますけど派手で魅せる打牌をしますね。 一回の和了りで一気に流れを持ってく力強さがあります」

靖子「……ま、あいつはそれだけじゃないんですけどね」

晴絵「……去年のインハイ準決勝のアレですか?」

靖子「ノーコメントで」

……ま、詳細は明かしてもらえませんよね


貴子「龍門渕からは天江衣は固いですし、龍門渕透華も候補ですかね……井上なんかは試してみても良いと思いますけど」

晴絵「沢村や国広もレベル高いですけど、やっぱり井上みたいに武器があるやつが欲しくなりますよね」

靖子「あ、そういや今日は衣来てないの?」

貴子「来てませんよ。 彼女たちはもう1つ宿取ってるみたいですし観光とかしてるんじゃないですか?」

靖子「ちっ……残念」

晴絵「なにか用でもあったんですか?」

靖子「いや、別に。 衣かわいいじゃないですか」

晴絵「……そうですね」

靖子「あー……衣で遊びたかったなぁ……あーいう子どもがほしい……」

……藤田プロ、けっこう変な人だな

たしかにかわいかったけど、麻雀の方は全くもってかわいげのない打ち手だし

貴子「はぁ……相手もいないのになに言ってんですか……とりあえず清澄の5人は全員使ってみたいんですけど人数的にそうもいかないのが」

靖子「早いとこいい男捕まえないと小鍛治ルート一直線か……辛いなぁ……」

貴子「え、そっちに反応しちゃうんですか? 選考の話したいんですけど」

靖子「こっちは切実なんだよ! プロ雀士になったせいで今から回りに結婚せっつかれてるんだぞ!? あーもう、さっさと小鍛治さん結婚してくんないかなぁ……」

晴絵「あはは……小鍛治さん、ネタにされて大変ですよね……」

靖子「いや、ほんとシャレになりませんよ? 赤土さんもこっち来るなら覚悟しといた方がいいです……カードの撮影も来ますよ?」

貴子「ネタにされるだけいいじゃないですか。 プロになってそう長くもないのに、カードのお陰で藤田プロけっこう知名度ありますし」

靖子「それはそうだけどそういう問題じゃないんだよ!」


靖子「つーかカードに体重載せんのやめてくんねーかなマジで」

晴絵「う……たしかにそれは嫌だ……」

靖子「瑞原プロとか小鍛治さんとかヤバい細いですからね……比べられる方の気持ちを考えてほしいですよ……それに私はカツ丼食べなきゃだし」

貴子「いや、あんたカツ丼大好きじゃないですか」

靖子「そりゃそうだけどキャラ的なのもあるじゃん? 解説中にカツ丼かっこみ続けるのけっこう大変なのよ?」

晴絵「食べながら解説はキツいですね……」

靖子「お陰で豪快にカツ丼食べながら音を全く立てずに喋るという謎のスキルが身に付きましたけど」

貴子「いや凄いけど本当にどうでもいいです。 で、清澄なんですけどやっぱり宮永は使いたいんですよ」

靖子「冷たいやつだな……まああいつは使わない理由もないだろ。 んー……竹井久は清澄の最多得点プレイヤーだし、悪待ちの嫌らしい攻めもあるな。 相手が研究してくればしてくるほど逆手にとった攻めも組めるし面白いと思うぞ?」

晴絵「私は片岡とか好きですけどね。 火力と速度、両方で戦えるし南場の失速もかなり改善してきてます……県大会からインハイまでの伸び率は随一ですし、育てたくなる子です」

貴子「好みで言えば染谷とか使ってみたいですね。 準決勝では臨海の郝に苦戦してましたが、決勝ではしっかり対応してましたし……地区大会最多和了の岩手のウィッシュアートを完封してます。あの子も打てば打つだけ伸びてますよ」

靖子「……どいつも捨てるのは惜しいんだよな……鶴賀の東横や加治木も良かったし」

晴絵「噂の消える1年生ですか……直接打ってはいませんがすごかったですね。 個人戦では龍門渕を抜いて6位でしたし」

貴子「とは言え、やはりどこまで通用するか……代表クラスになるとさすがに看破されると思うんですよね」

靖子「まあ、奇策の類いになるのかな……手札にあれば使いどころは出てくるだろうが」

貴子「そういえば、千曲東の棟居と南浦プロのお孫さんはどうだったんです?」


晴絵「ああ、あの南浦数絵選手って南浦プロのお孫さんだったんですか? 通りで……」

貴子「ああ、個人戦の牌譜見てましたか。 まあ、珍しい名字にあの打ち筋ですから気づきますよね」

靖子「両方けっこういけると思うが、清澄の子らの成長を見ると少し霞むな……南浦さんは県大会では片岡以上の爆発力を見せたが……」

貴子「全国を見る限り片岡はかなり立ち回りよくなりましたからね」

晴絵「その二人に関しては私はなんとも言えませんね……というか、風越からはどうなんです? 久保コーチ的には」

貴子「そう、ですね……」

久保コーチが少々険しい顔で考え込む

まあ、自分の教え子だと見る目もその分厳しくなるところはあるだろう

貴子「……福路は決まりです。 文句も出ないでしょう」

晴絵「まあ、福路さんは決定でしょうね。 私でも選びますよ」

靖子「……それだけか? 私は、池田はアリだと思うぞ?」

貴子「……去年、今年と大将戦で大敗してますし」

晴絵「それでもアリなんじゃないですか? さっき藤田プロも言ってましたけど、天江や宮永を相手に最後まで諦めずに打ったガッツは買いだと思いますけど」

貴子「そりゃあ、まあ……でも、結果は出てませんから。 他に結果を出してる選手もいる以上、教え子だからって特別扱いできませんよ」

靖子「はぁ……教え子だから使えない、じゃあそれこそ特別扱いだろ? あんま意地になるなよ」

貴子「…………」

靖子「東京つれてきたのも全国を間近で見させてなんか掴ませたいって期待の表れだろ? こっちだってお前があいつに期待してんのはわかってんだからさ……」

晴絵「私は久保コーチの気持ちもわかりますけどね……私が選考任されたとしたら灼や穏乃たちを選ぶのに慎重にならざるを得ないですし……でも、単純に成績で見ても個人戦11位と染谷や片岡よりもいいですし、最初から弾かなくてもいいんじゃないですか?」

貴子「ふん……ま、とりあえず候補には残しといてやりますかね」

靖子「ほんと素直じゃないねぇ」

貴子「ほっとけ!」


晴絵「ふふ……でも、私なんか特に生徒たちに思い入れありますしほんとにわかりますよ? 憧なんか私が高校生の時から……あの子が小学校通い始める頃から知ってますからね」

貴子「付き合い長いですね……妹みたいなもんですか」

靖子「ああ……赤土さんのチームメイトにいましたね、新子さん。 その妹さんですか?」

晴絵「あれ? 知ってるんですか?」

靖子「10年前のインハイ、見に来てたんで……小鍛治さんとはけっこう長いんですよ」

晴絵「あ、そういう……」

靖子「小鍛治さんから直撃とったときはマジでびびりましたよ……いろんな意味で」

晴絵「あれは……本気でトラウマになりましたよ。 しばらく牌握れなくなりましたし」

それで私を気にかけてたのか……実際小鍛治さんの持ってる記録は人間離れしてるし、あの一撃を評価してくれてる人は多いみたいだ

熊倉さんがスカウトに来たのもそれがあってのことだろうし……

靖子「……もしかして、インカレで会わなかったのはアレが原因ですか」

晴絵「……ええ、まあ……大学通ってた頃はリハビリ兼ねて子どもたち相手に麻雀教室やってたんです。 憧だけじゃなくて玄やしず、和も生徒で」

貴子「うわ……1年受け持つだけでも情が移るってのに……生徒たちかわいいでしょう? それにしても、赤土さん優秀ですね。 インハイ出てる生徒の多いこと多いこと」

晴絵「あはは……たまたまですよ、たまたま」

靖子「たまたまでインハイは行けませんって」

貴子「……指導とか、どうしてます? 正直、最近ちょっと自信ないんですよね……」

晴絵「久保コーチが?」

靖子「へぇ……」


貴子「色々悩んでるんですよ……2年連続で県大会逃してますし」

靖子「いや、まあ仕方ないところもあるだろ? 初見の衣や宮永はさすがに厳しいって」

晴絵「天江衣は今年は個人戦に出なかったみたいですけど、福路さんは1位で突破してますし……」

貴子「……その、福路なんですけどね」

晴絵「え?」

靖子「……問題のある生徒には見えないが」

貴子「いや、あいつは凄いやつですよ。 部内でもトップの実力を持ちながら雑事も率先してこなして……後輩のみんなに、もっと麻雀を楽しんでもらおうって……優しいやつです」

晴絵「高校生でそれができるのは凄いことですよね……」

……私は正直ちょっと調子乗ってたし

靖子「……そこか」

貴子「……風越は私が通ってた頃から体育会系で、実力ある上級生が雑用をしたりすることはなかったんです。 指導も実力主義で厳しいものでしたし……私も、そういうやり方でしかできないんですよね……」

晴絵「……部の方針に合わないと?」

貴子「なんと言うか……福路が行動で部を変えていったんですよね。 今の1年2年は福路を見てますし、 私の通ってた頃みたいなやり方は合わないんじゃないかと……」

靖子「まあ、急にやり方変えるのも難しいよな……」

晴絵「うーん……そういう点で言うと、生徒たちは私以外の指導者についたことないから……憧は中学で他の先生についたんだろうけどもともと私の下で麻雀やってたしなぁ……」

貴子「私の頃からほんと厳しくて……私自身生徒に手をあげたこともありますし……」

晴絵「マジですか!? 私は怖くてできませんよ……」

最近、体罰だのなんだのそういうの厳しいし……いや、あの子達を殴るような事態にはならないだろうけど……

靖子「なんつーか……熱血指導だなぁ……」

貴子「まあ、それ自体はほんっと反省してるんですけど……」


貴子「普段は……麻雀に関わらない部分では、生徒たちと結構うまく付き合えてると思うんですけどね……」

晴絵「……まあ、その手をあげたってのが問題になってるわけでもないみたいですし、生徒たちともちゃんと信頼関係は築けてるんじゃないですか?」

靖子「厳しいのも、ちゃんとお前が生徒のことを思ってるのが伝わってるんだろ……たぶん」

貴子「そうなんですかね……」

晴絵「少しずつ変えてけばいいんじゃないですか?」

靖子「厳しさってのはある程度必要だと思うぞ? 緩くするってのも違うと思うし……」

貴子「……そうですね。 とりあえずうちは来年が勝負の年になりますし、少しでも改善していかないと……」

晴絵「龍門渕はフルメンバーですし、清澄も竹井が抜けるだけですもんね……」

……県内にあんなのが二校もあるとか辛いよなぁ……奈良はほとんど晩成に人が集中するから晩成さえ抜ければ後は……ってところあるし

靖子「ま、風越も福路が抜けるとはいえスタメン四人残るしな……その穴がでかいのは事実だが」

貴子「池田や文堂みたいに1年からレギュラー張ってるやつもいますし、あいつらをどこまで伸ばせるかですかね……文堂は経験不足がたたって竹井に喰われちゃいましたし……できるだけ試合組んでそこら辺も埋めてかないと……」

靖子「頑張れよ。 これ以上結果だせないとクビもありえるぞ?」

貴子「シャレにならないんで勘弁してください……学校も生徒も好きですし続けたいんですよ、この仕事」

貴子「……とりあえず、池田たちには全国も経験させてやりたいですし」

靖子「……やっぱりかわいがってんじゃねーか」

貴子「かわいがってねーし!!」

晴絵「ふふ……照れなくてもいいじゃないですか。私だって生徒たちがかわいいてすよ?」

貴子「……私は、赤土さんと違って生徒たちに好かれてませんし」

靖子「あっはは! なに? お前厳しくしてるのそんなに気にしてんの?結構かわいいとこあんじゃん!」

貴子「あーもう! うっせーな! 」


――――――

華菜「あれ、キャプテン? どこ行くんですか?」

美穂子「お茶でも淹れてこようかと思って……」

華菜「そんなの私が行きますから! キャプテンはゆっくりしててください!」

玄「あ、それじゃあ私も……」

灼「あ、私が行くよ……今打ってないし、いつも玄に任せちゃってるし」

玄「そう? ごめんね?」

灼「ん……こちらこそ、いつもありがと……」

華菜「私一人でも平気だぞ?」

灼「結構人数いるし手伝うよ」

華菜「ふむ……それじゃあ、お言葉に甘えるし」

美穂子「えっと……ありがとう華菜、鷺森さん……よろしくお願いします」

華菜「まかされたし!」

灼「いってきま……」


華菜「まったく……キャプテンはもっと自分のこと考えて行動してほしいんだけどな」

灼「福路さん、優しいよね」

華菜「それでも、私とみはるんはキャプテンのサポートのために来てるんだからあまり気を遣わせると本末転倒だし!」

灼「でも、福路さんは回りの世話を焼くのも好きみたいだし、世話されるのも仕事のうちでいいと思……」

華菜「それはそうかもしれないけど……キャプテンは個人戦があるのに、練習も私たちにいっぱい打ってほしいって打たせてくれるからさ……ありがたいけど、やっぱり私としてはキャプテンにはいい結果出してほしいし」

灼「ん……その気持ちはわかるよ」

私だって、お世話になったし同郷でもある小走さんには頑張ってほしい

もちろん咲や原村さん、福路さんに荒川さんたち……いろんな人たちに頑張ってほしいけど……みんながみんな一番になれるわけじゃないから応援も難しいところだ

華菜「……まあ、私も東京まで出てきた以上手ぶらで帰りたくはないし、いつも打ってくれる鷺森たちにも感謝してるし」

灼「……こちらこそ試合前にお世話になったし、池田さんたちと打つのは勉強になるから……」

華菜「そう言ってもらえると助かるし……長野で私が相手にするのは宮永や衣だからな。 全国レベルの特殊な雀士と打っておくのは大事なことだ」

灼「……池田さんも大変だよね。 地区大会で咲と天江さんと打たなきゃいけないなんて……勝ち抜くのは厳しいでしょ?」

華菜「ああ……悔しいけど、今は私じゃあの二人には及ばないからな……」

華菜「だけど、現状あいつらと渡り合えるとしたら私だけだし! コーチもキャプテンもその役目を私に期待してるはずだし! 応えなきゃ女が廃るってもんだ!」

灼「……うん、そうだね」

周囲にかけられる期待はプレッシャーにもなるけど、頑張ろうって気持ちもたくさんくれる

ハルちゃんに部長を任されたこと、壮行会、晩成との試合……全部、力になった


華菜「……あ、そういえばさ」

灼「なに?」

華菜「鷺森って2年だけど部長だったよな?」

灼「うん」

華菜「風越とはやっぱり違うと思うけど……どんな感じだ? ほら、来年は私がキャプテンだし」

……凄い自信だな。 まあ、そうなりそうだけど

灼「……責任ある立場だしプレッシャーもある。 でも、それ以上に期待と信頼を感じた……頑張ろうって、思えたよ」

華菜「そっか……そうだよな、うん」

……池田さんにも思うところはあるみたいだ

私も……本当だったら優勝したかったけれど、ハルちゃんと一緒に準決勝の舞台を越えて……前に進む決意を固めてくれたことは嬉しかった。 私を部長に選んでくれたハルちゃんの気持ちには応えられたかな、とも思う

華菜「……そのネクタイ、大事なものなのか?」

灼「え?」

華菜「阿知賀でネクタイなの鷺森だけだし、今も大事そうに握りしめてるから」

灼「…………」

ちょっと、はずかし……


灼「えと……これは、ハ……赤土監督が10年前にインハイ出たときに着けてたもので……」

華菜「へぇ……じゃあ、今年は恩師の無念を晴らしたってところか」

灼「ん……まあ、そんな感じかな……優勝できなかったのは残念だけど、これと一緒に決勝まで行けてよかったとは思ってる」

華菜「好きなんだな、あの監督のこと」

灼「……赤土監督は元々地元のヒーローだったし、玄たちは監督の開いてた麻雀教室通ってたし……そうだね、みんなに好かれてるよ」

華菜「いい監督なんだな……うちのコーチももう少し怒鳴らなくなればいいんだけど」

灼「……苦手なの?」

華菜「いや? めちゃくちゃ……特に私に厳しいけど、その分期待されてるってことだろ? それに、うちはキャプテンが優しすぎるから今ぐらいで調度いいんじゃないかな……あ、給湯室そこだな」

灼「ん……お湯沸かすよ」

華菜「よろしくー……えーと、藤田プロが来てるから17人か……やっぱり鷺森に来てもらってよかったし」

灼「気にしなくてい……」

華菜「おう……まあ、やっぱり勝負は来年かな。 風越は団体戦での出場は2年前が最後になるからな……」

灼「激戦区だもんね。 清澄と龍門渕、鶴賀のみんなもいるし……」

華菜「それでも時代のせいにはしたくないしな……私だって、まだまだやれるし! 衣にも、宮永にも負けない、負けたくない……一回ぐらい、自分の力で全国に行きたいしな」

灼「……インハイは、やっぱり特別だもんね」

華菜「ああ! 麻雀好きだし、今後も続けていきたいしな……インハイで活躍できればプロへの道も見えるし、進学するにしても推薦や特待も見えるし……夢だけじゃ食ってけないから、ちゃんと結果も出したいとこだし」

灼「……実は、いろいろ考えてる?」

華菜「当然! 華菜ちゃんそこまでバカじゃないし!」

灼「ちょっと意外……」

華菜「失礼な……」


灼「ん……お茶、用意できたよ」

華菜「んじゃ持ってくか……それにしてもみんな私をなんだと思ってるんだか……3人の妹を持つ身としてしっかり考えてるんだぞ?」

灼「……回りのみんなにもバカだと思われてるんだ……」

華菜「傷つくからはっきり言うなし! たしかに勉強は苦手だけどさぁ……」

灼「ふふ……でも、池田さん結構回りが見えてるみたいだし……キャプテンとかも向いてるかもね」

華菜「んふふ……まあな! 次代の風越を担えるのは華菜ちゃんだけだし!」

灼「……その調子乗りやすいところは直した方がいいと思……」

華菜「前向きなのは大事なことだぞ? 鷺森ももっと元気出せよー」

灼「……いぇーい」

華菜「……それが精一杯の元気なら申し訳ないことをしたし……」

灼「まあ、キャラじゃないというか……」

華菜「鷺森は意外と面白いやつだよな……コーチ! お茶淹れてきたし! 入っていいですか?」

池田さんが扉をノックすると、部屋の中からガタガタと少々慌てたような音が聞こえる

貴子「……入っていいぞ」

華菜「失礼するし!」


灼「お茶です。 どうぞ……」

晴絵「ありがとな、灼」

貴子「すまんな……」

華菜「……どうかしたし?」

靖子「くく……いや、こいつらさっきから生徒自慢大会だったから」

灼「……生徒自慢?」

華菜「は? コーチが?」

晴絵「……その、たいしたことじゃないから、気にしなくていいぞ?」

貴子「別にそんなんじゃねぇぞ? ちょっと部の話とかしてただけで……」

靖子「ネクタイとか……」

晴絵「あ、いや! ほんとたいした話じゃないから! 気にしなくていいぞ! マジで!」

灼「……ん」

……ハルちゃん、このネクタイのことやっぱり気にしてたんだ

私としては、モチベーションに繋がったんだけど……

華菜「まあ、私に任せとくし! 来年はちゃんと部員全員で全国に連れて来てやるし!」

貴子「……口だけで終わらすなよ、池田……お前には期待してるんだ。 しっかり頼むぞ」

華菜「……!? コーチ、急に素直になると気持ち悪いし……風邪とかひいてませんか?」

貴子「……池田ァ!! あんま調子乗ってんじゃねぇぞ! てめぇなんかまだまだなんだからな!」

華菜「にゃ!? ふん……その分コーチが指導するべきだし! 来年こそは結果出してやるし!」

靖子「……お前らほんと似た者同士と言うかなんと言うか……」

「「似てねーし!!」」

灼「……やっぱりそっくり」

晴絵「師弟関係だと似るもんなのかねぇ……」

灼「……私も、頑張るから」

晴絵「ふふ……灼なら来年もしっかり決めてくれるって、信じてるよ」

灼「ん……まかせて」


カン!

素直に分けとけばよかったかなと思ったり
コーチとカツ丼さんに関しては経歴や人間関係について推測が相当量あるのであまり真に受けないでいただければ…
というか、メモ書きとか晒しちゃって恥ずかしい限りですが公式情報と食い違いあったら指摘していただきたい所存…


池田には頑張って欲しいな(来年モンブチが全員3年生という事実から目を逸らしつつ)

>>278正直来年度は龍門渕が長野代表濃厚ですよね…フルメンバーで三年とか勝てる気がしない…

シノハユが面白すぎてヤバいんですがどうしたらいいのか
ネタバレ避けるので大したこと言えませんがとりあえず「朝酌に寮がある」って耕介消滅フラグじゃないよね…?いや、たとえ慕ちゃんが寮に入ることになっても毎日電話とかしてそうだけど

電話の内容は毎日ちゃんとご飯食べてるかとかトマトも食べようとか完全にオカン

来年度の長野は鶴賀が心配だ
下手したら部員足りずに団体でれないだろ

>>281慕ちゃんの方が保護者っぽいのがいい
>>282大人気競技なのになぜか部員不足の学校が多いという…風越や千里山のような名門に人が集まってるんですかねー

次は流れ的に導入楽なので>>255久と灼で…その後は有珠山消化していきましょうかね
のんびり更新になってしまいますが今後ともよろしくお願いします

シノハユの最新話が面白くてつい何度も読み返してしまう…
今晩は咲らじ特別編もあることですし新情報が期待されますね
投下します



部長という立場の重さは、十分に理解している……つもりだ



部を率いる上級生として責任のある立場なのは当然として、インハイ出場に際しての各種行事への出席などなど……

なにより、阿知賀女子では伝説となっている赤土晴絵の後継として大きな期待が寄せられるポジションになる

団体戦終了まで色々あったけど、ここまではよくできていたと思う

問題は秋以降、そして来年だ

まず第1に、宥さんが引退したら人数が足りなくて団体戦に参加できなくなる

大会参加の時点でつまづくというのはなかなかの問題だ

私は阿知賀女子麻雀部に五人目として加入したから勧誘とかに関してはあまり考えたことないし……

華菜「どうした鷺森? 扉開けてくれないと中入れないし」

灼「あ、ごめ……ちょっと考え事してた……」

池田さんにみんなのお茶持たせちゃってるのに、なにをボケッと……こんなんじゃ先が思いやられる……

華菜「キャプテン! お茶淹れてきました!」

美穂子「ありがとう華菜、鷺森さん」

玄「ごめんね、灼ちゃん。 任せちゃって……」

灼「気にしなくていいのに……こちらこそいつもありがと……あ、そっちの湯気すごいのが宥さんの」

宥「ありがとう灼ちゃん……ぽかぽかあったかーい」

華菜「……なんて熱湯淹れてんのかと思ったら飲むのか……てっきり罰ゲーム用かなんかだと思ってたし」

灼「宥さんはほら、特別だから……」


先ほど、池田さんと話して……次期キャプテンとして、既に自分のことだけでなくチームのことも考えているのではないかと思った

部長ってどんな感じだ? なんてわざわざ聞くってことは、やつぱりチームを引っ張っていく覚悟もできてるんだろうし清澄や龍門渕、鶴賀のみんなを倒すために力をつけていくための方策も考え始めているんだろう

名門校ともなるとやっぱりそこら辺の気持ちも違うのかな……

ハルちゃんもプロ行きの準備を始めているようだから……プロ入りの話がスムーズに進めば、早ければ冬ごろから私が部の舵取りをすることになるはずだ

灼「…………」

……少しはなにか考えておかないと……インハイに出たことだし、晩成に行くには……その、学力の足りない子とかも少し流れてきてくれるといいんだけど……

学校にも麻雀打てる子はいるだろうし、そういうとこから勧誘してくのもアリか……いきなり同じレベルで打てる子はいないだろうけど練習すれば来年の夏には間に合うかもしれないし……

あ、ハルちゃん目当てで入ってくる子もいるんだろうな……阿知賀のレジェンドは人気者だし……今年中にプロ入り決まったら監督も続けられないよね? そういう子を引き留められるかどうかも……

華菜「……鷺森?」

灼「……ん?」

華菜「いや、ん? じゃなくって、打たないのか?」

灼「……今、注意力散漫だし休憩しとく……」

華菜「そうか? ……悩みごとなら聞くぞ? さっきちょっと話聞いてもらったし」

灼「ん……いや、部長とかキャプテンとか話したでしょ? その事で……うちは秋には団体の人数も足りなくなっちゃうし……」

華菜「ふむ……うちは人数多いしなぁ……竹井にでも相談してみたらどうだ? 清澄も少人数だし、なんかヒントもらえるかもしれないぞ?」

灼「……なるほど」

華菜「ほら、今ならあっちで暇そうにしてるし」

灼「?」

池田さんの指差す先に目を向けると……


ヒュッ

バシィッ!!

久「ツモッ!」

穏乃「すごいです! カッコいい!!」

久「こう……ツモる時に盲牌したらそのまま指で弾きあげて……」

穏乃「ふむふむ………」

憧「そんなのメモしなくていいから! 竹井さんもしずに変なこと教えないでください! すぐに真似したがるんで!」

久「高鴨さんは無邪気でかわいいわねぇ」

穏乃「えへ、そうですか? っていうか憧はなんで怒ってるのさ? 必殺技っぽくてカッコいいよ?」

憧「あんたもさ、もう小学生じゃないんだから……」

京太郎「つか俺盲牌とかできないんですけど……」

久「まあ普通に打つ分には問題ないしいいんじゃない? 須賀くんはそれよりも牌効率とか定石を覚えなきゃねー」

京太郎「う……でも和レベルで牌効率とか無理っすよ?」

久「それは私も無理! あ、新子さんならできるんじゃない? 偏差値70とか聞いたけど……」

憧「うーん……頑張ればできなくはないと思いますけど、あのスピードじゃ無理ですね。 正確さもかなり落ちると思いますし……」

京太郎「へ、へんさちななじゅう……頭の方は似ても似つかないようだな」

優希「なにを失礼な! それより盲牌とな? ……よし、京太郎! これがなにか分かったら褒美をやるじょ?」

京太郎「ん……なんだこれ? えー……ちょっと待って……い、一索?」

優希「残念! それは『夏』だじょ!」

京太郎「花牌とか分かるか! つか混ぜんな!」

優希「ハズレはハズレだ! さあ、外したからにはタコスを献上しろ!」

京太郎「へいへい……今作ってくるから少し待ってろ」


灼「…………」

華菜「あいつら遊んでていいのか?」

灼「……まあ、うちは大会も終わってるし少しくらいなら……」

華菜「ふふん、全国3位は余裕だな? 来年はうちが長野代表で出てくるし、油断してると喰っちまうぞ? それじゃあ、私はあっちの卓入ってくるし! あとでな、灼!」

灼「……! ん、またあとで、華菜」

華菜「おうっ! ……よっしゃ宮永、県大会の雪辱戦だし! 今日こそ勝たせてもらうぞ!」

咲「あ、池田さん……よろしくお願いします」

華菜「……なにニコニコしてんだ?」

咲「え? その……池田さんと打つの楽しいですから……」

華菜「……毎回勝ってりゃそりゃ面白いだろうな」

咲「ふぇ!? いや、その、そういうことでは……」

華菜「はは、冗談だからそんな慌てんなし! よし、あと二人誰か……」

……東京に来てから、麻雀を通していろんな人と繋がってることを強く感じるようになった

阿知賀のみんなともそうだし、いろんな学校の人たちと知り合えた……咲も、長野で戦った池田さん……華菜とも仲良くしてるみたいだし、個人戦ではきっと照さんとも……

灼「……とりあえず、本題に移らなきゃ」

時間は有限。 竹井さんとはあまり話したことないけど……穏乃や憧と遊んでるみたいだし、邪険にはされないだろう


灼「……竹井さん」

久「あら、鷺森さん? 私にご用事?」

灼「はい。 少し話が……」

久「え、あ、私が自分からやりはじめたんじゃないわよ? 高鴨さんが見せてって言うから……」

穏乃「うぇ!? その、だ、大丈夫ですよ? 学校の牌とか、試合ではやりませんよ?」

憧「悪いことだと思ってるんなら最初からやらないの!」

灼「……いや、その話ではなくて」

久「え……じゃあなに? 私特に悪いことしてないわよ!? たぶん!」

灼「……普段、そんなに叱られるようなことばっかしてるんですか?」

久「……そんなことないわよ?」

灼「……私、そんな怖い顔してますか?」

久「そんなことないわよ?」

優希「ただの部長の被害妄想だじぇ……こないだRoof-top――染谷先輩のとこの雀荘でもやっちゃって怒られてたし……」

久「ちょっと、恥ずかしいから言わないでよ!」

憧「でも、たしかに灼さんはちょっと無愛想かもねー……笑ってればかわいいのに」

灼「…………」

憧「なぁに照れてんのー?」

灼「……別に、照れてな……」


……自分がからかわれると弱いくせに、憧はすぐに、こう……にやにやしちゃって……

憧「灼さんかーわーいーいー」

灼「……むぅ」

後輩にからかわれっぱなしなのもなんとなく悔しいし……

まあ、今は別に用事があるわけだし……今度揺杏でも呼んで徹底的にからかってやろう

灼「……少し相談というか」

久「え? 私に?」

灼「はい……いいですか?」

久「いいけど……なに? 恋の悩み?」

憧「うそっ!? 相手は!?」

穏乃「奈良の人じゃないですよねっ!? 東京であった人ですか!?」

灼「え……いや、違……」

玄「えぇ!? 灼ちゃん好きな人できたの!?」

宥「あっかーいお話?」

灼「いや、だから……そういうのでは……」

久「そういう話ならまかせときなさい! そういうの得意だから!」

灼「その、話を……」

優希「……染谷せんぱーい、ちょっとお願いしまーす」


まこ「……あのな、あんたはいつもいつも人の話を茶化してばっかで……」

久「……はい、すみません……」

まこ「適当に煽って場を乱して……」

久「反省してます……」

……ずいぶんと堂に入ったお説教だな

優希「部長の悪い癖だじぇ……普段なら楽しいんだけど真面目な話をするときには困りもんだじょ」

灼「……いつものことなの?」

優希「染谷先輩のお説教まででワンセットだじぇ」

……竹井さんに相談して平気なのかな?

優希「あ、真面目モードなら安心だじょ? 頼りになる先輩だじぇ」

灼「ん、そっか……優希が言うなら大丈夫そうだね」

優希「部長が真面目に言うことなら間違いないじょ! おねーさんの悩みもビシッと解決してくれるはずだじぇ!」

久「そうそう! 私にまかせて!」

まこ「……ほんとに反省しとるんかのう」

……なんとなく不安だけど、信頼も篤いようだし大丈夫かな?

憧「じゃあ結局コイバナじゃないの?」

灼「じゃないよ」

玄「それは残念だね……」

灼「コイバナなら憧があるし」

憧「ふきゅ!?」


玄「そうだったの!?」

穏乃「ほほう? それは気になりますなぁ」

憧「え、違……なんもないから! ちょっと灼さん!?」

灼「憧はきっと話してくれないから揺杏にでも聞くといいよ」

穏乃「わかりました!」

憧「ちょ! ちょ!」

灼「……さっきの仕返し」

憧「灼さん!」

灼「大丈夫だよ。 ちょっと面白おかしく話を盛ったりするかもしれないけどたぶん本当の事しか話さないよおそらくきっと」

憧「不安しかない!?」

宥「あ、憧ちゃん? 恥ずかしがらなくても相談ならのるよ?」

憧「だからそういうのじゃないんだってば!」


……とりあえず、みんなの気が逸れたところで本題に入ろうかな

部長の私が不安でいっぱいなんて、憧や穏乃に知られたら心配かけちゃうだろうし……ちょっとかっこわるいし

……まあ、先輩として少しぐらい見栄とか、そういうのがあるのは仕方ないよね、うん

久「どっか外出る?」

灼「……いえ、ここでいいです。 みんな話しながら打ったりしてるし、わざわざまた注目集めるのも……」

久「そか。 窓際の方行こっか?」

灼「……はい。 ども」

……気を遣える人ではあるみたいだ

なんというか……普段会うときはニコニコ笑って清澄のみんなとふざけ倒してるからそういうイメージが強いんだけど……

最後のインハイで優勝したんだし……なんというか、ちょっとウキウキ状態になるのも仕方ないかな

久「で? どんな話? 真面目な感じ?」

灼「けっこう真面目な感じで……あ、あまり堅苦しいのもアレなんで7:3ぐらいで……」

久「そう? ふふ、鷺森さん面白いのね」

灼「……そうですか?」

久「真面目な相談なのに3割ふざけていいんでしょ? 普通言わないわよそんなこと」

……言われてみればその通りだけども

灼「……いや、別にふざけていいとは言ってないんですけど」

久「それもそっか! まあふざけるつもりはないわよ? それに年下の子の相談に乗るとかお姉さんっぽくて素敵じゃない?」

灼「……それは、ちょっとわかります」

一人っ子だし、正直憧れる……優希が「おねーさん」って呼ぶのかなりグッと来たし

実際のところ、穏乃と憧がかわいくて仕方ないんだよね……柄じゃないし、表に出さないけども

まあ、私も後輩にお姉さんぶりたい気持ちはよくわかるのだ

咲に聞いた話では、竹井さんも麻雀部に長いこと一人だったらしいし……下の子にお節介焼きたいんだろう


灼「部活のことなんですが」

久「うんうん」

灼「……宥さんが引退すると四人になってしまいますし……なんというか、そういうことで……」

……もうちょっと考えをまとめてから話しかければよかったかな

久「あら、そんなの全然なんとかなるわよ! うちなんて4月に和と優希が入ってくるまで卓も囲めなかったしねー」

灼「勧誘とかは……?」

久「勧誘……」

灼「……?」

久「……ごめんなさい。 大口叩いたけどうちも勧誘はうまくいかなかったわ……」

灼「……それはどうも、すみませんでした」

久「……だいたい、麻雀やりたい子は風越とかに行っちゃうからね……奈良だと晩成かしら?」

灼「そうですね」

久「はぁ……ほんと、嫌になっちゃうわ……みんながみんな名門校行けるわけじゃないっつーの」

灼「おっしゃる通りで」

久「麻雀打つのにもまこの雀荘行かなきゃだったし……だいたいうちは顧問もなんもしてくれないし……」

灼「はあ……そうですか」

……なんで相談しに来たのに愚痴聞いてるんだろ


久「あ、ごめんごめん……私の話はどうでもいいのよ……それで、なんだっけ?」

灼「ん……まあ、いろいろ考えちゃって……今年はたまたまうまくいったけど、来年はそううまくいかないでしょうし……」

久「鷺森さんは真面目ねぇ……あまり気負わなくてもいいと思うわよ? うちと違って優秀な指導者もいることだし」

灼「……いつまでも、頼りっぱなしじゃいられないので」

久「へぇ……?」

……ハルちゃんにはプロ入りして、また昔みたいに卓上でカッコいいところを見せてほしいし、ハルちゃん自身既にそのつもりなんだと思う

私がしっかりして、ハルちゃんがいなくてもできるってところを見せておかないと……

ハルちゃんに心残りがあるような状態で送り出したくないし、私だってあの凛とした背中を追いかけていきたいのだ

久「んー……あのね、人の上に立つってのは大変なことだけど……自分一人でなんでもできるようにならなくてもいいと思うわよ?」

灼「…………」

久「私だってまこにいろいろ頼ってるし、力仕事は須賀くんにお願いするし……ね?」

玄「はいっ! だから、灼ちゃんも私やみんなに頼っていいんだよ?」

灼「玄……聞いてたの?」

玄「灼ちゃん、難しい顔してたから心配で……ごめんね?」

灼「ん……気にしてないよ」

後ろから抱き締めてくる玄の体温はあったかいけど、2つの柔らかい感触は少しだけ恨めしい


玄「……私もね、少し考えてたんだ」

灼「え?」

玄「灼ちゃんはしっかりしてるし、なんでもできちゃうから……部のこととか全部まかせちゃってたし……」

灼「玄……そんなこと」

玄「ううん、やっぱりもっと協力できたかなって……だから、灼ちゃんが大変なら私がお手伝いするから!」

……玄は、こういうときに気持ちを真っ直ぐに伝えてくる

言葉にされなくても……仲間なんだから、友達なんだから頼っていいんだよ? そんな風に考えているのを全身で表現してくるから……私でもわかる

具体的に言うと、背中にくっついてる玄がだんだんと体重をかけてきて……思いっきり抱き締められてるからよくわかるのだ

……ちょっと恥ずかしいけど、とってもううれしい

少しあったかい気持ちになって……体の前に回された玄の腕を軽く掴んでみる

灼「……ありがと」

……やっぱり恥ずかしくって、ちょっと声は小さかったけれども

久「あら」

灼「……なんですか?」

久「新子さんが言ってた通りだなって」

灼「?」

久「笑顔がかわいい!」

灼「……ども」

玄「えへへ、かわいいですよー? うちの部長さんはー」

灼「重……」

玄「あ、ごめんね灼ちゃん」

久「照れちゃってまぁ」

灼「……別に、照れてな……」


玄「ふふ……とにかく! これからはもっともっと灼ちゃんと一緒に頑張っちゃうからね!」

灼「……うん、よろしく。 頼りにしてる」

玄「おまかせあれ! それじゃあ、早速お手伝いすることはあるかな?」

灼「え、と……」

急に言われても……

あ……玄、すっごく目をキラキラと輝かせて……そんなに期待されても

これは、あれか

なんでもいいから用事を言い付けた方がいいのか

灼「……えーと」

玄「うん!」

灼「……プリンが食べたい」

玄「わかった! 買ってくるね!」

灼「あと、オレンジジュース」

久「あ、ガム買ってきて」

玄「はいっ!」

灼「ダッシュでな!」

玄「いってきます!」


灼「……なんで玄をパシってんですか?」

久「いや、つい? っていうか鷺森さんも悪ノリしてたじゃないのよ」

灼「つい……いや、それでも売ってるものを頼んだだけ……お金も渡しますし……」

久「その発想ちょっと怖いんだけど……っていうか松実さんって、どんなあり得ないもの頼んでも見つけるまで帰ってこなそうよね……」

灼「真夜中になってから、泣きながら『ごめんね、見つからなかったよ……』って帰ってきそうで……」

久「……松実さんはあまりからかわない方がよさそうね」

灼「純粋なんで。 玄と穏乃はなんでも信じちゃうんで手加減してやってください……」

久「……私をなんだと思ってるわけ?」

灼「さあ……咲にいろいろ聞いてるんで」

久「……咲は私をなんだと思ってるのかしら」

灼「ご想像におまかせします……ただ私の印象としては」

久「印象としては?」

灼「信頼されてるんだな……と」

久「……そうかしら?」

灼「なに照れてるんですか?」

久「べ、別に照れてないし……」

灼「……竹井さんもけっこうかわいいんだ。 頼りになるかっこいい先輩だって聞いてたけど」

久「え、ちょっと、咲、そんな風に言ってたの……?」

灼「……照れちゃって、かわいー」

久「……なかなか言ってくれるじゃないのよ」


灼「まあ、言われっぱなしっていうのも……」

久「……いい性格してるわね」

灼「竹井さんほどでは……」

久「……そう言われると、たしかに……」

灼「…………」

……認めるのか

まあいい、深く突っ込むのも怖いし……結局やり込められる気もするし

灼「……ありがとうございました。 話、聞いていただいて」

久「いえいえ……たいしたアドバイスもできずにすみませんね」

灼「いえ……いろいろ気づけたので、助かりました」

久「そっか……ま、頼れる仲間もいることだし? 今後はまずそっちとお話しすることね」

灼「そうですね……そうします」

久「よしっ! それじゃあ解決したところで一局打ちましょうか?」

灼「……例のアレは無しで」

久「えぇ? なんでよ……鷺森さんもあるじゃない、必殺ツモ」

灼「え……」

久「ツモったときに下からボーリングみたいに……」

……意識してやってたわけじゃないんだけど、言われてみると恥ずかしいな

とりあえず、ここは適当に誤魔化しとこう

灼「ん、と……必殺技はここぞという時に出してこそ光ると思……」

久「ふむ……一理あるわ」


久「ま、私も怒られるのは嫌だし封印しときましょうかね」

灼「よろしく……穏乃が真似すると憧も怒るし……」

久「二人して保護者みたいねぇ」

灼「後輩の面倒見るのも先輩の仕事……」

久「ふふ、その通りね。 咲と和の個人戦も残ってることだし私もしっかりしなきゃ」

よっこいしょ、と一声かけて竹井さんが立ち上がる

灼「……それ、ちょっと年寄くさいですよ」

久「……さっきから思ってたんだけど、結構はっきり言うわよね」

灼「性分なもんで……」

久「ふふ……ま、鷺森さん面白いから気にしてないけど」

華菜「灼ー? こっち空いてるから話終わったなら入ってくんないかー?」

咲「部長もよかったら……」

久「はいはーい、今行くわ……それじゃ、今後ともよろしくね」

パチリとこちらにウィンクをする――そういう仕草が似合うのはちょっと大人っぽくて羨ましいかな

灼「言われずとも……」

清澄のみんなは私にとっても友だちだし、来年も全国で会いたいと思ってる

今年は負けてしまったけど、チーム力は拮抗していると思うし……両校とも若いチームだ。 差はそこまでないはず……

私の先を行く人はたくさんいるけれど……立ち止まるわけにはいかない

久「あら? なんだかやる気満々?」

灼「……私にも目標はありますし、負けてられないので」

とりあえず、遠い目標までの長い道……まずは今年の優勝チーム、清澄を作ったこの人を越えなきゃね

灼「……こちらこそ、よろしく」


カン!

次回は>>15>>16で…阿知賀側未定ですので希望等ありましたらお聞きしたい所存…


買い物に出かけたクロチャーのその後が見たい

vitaで全国編やったー!夏は遠いけど待つのなんて今更だしそんなに気にならないなー

>>303クロチャーお買い物もできない子だと思われてる…?玄、はじめてのおつかい投下します


灼ちゃんはしっかりものだ

今まで、私がなにかお手伝いできたことは少なかったと思う

小さなこととはいえ、灼ちゃんの力になれることがうれしいのです

玄「灼ちゃんにプリンとオレンジジュース、竹井さんにガム……」

それにしても、灼ちゃんがチームのことでそこまで悩んでいたとは思わなかった

やっぱり部長をやっていると私にはないプレッシャーもあるんだろうし……だから同じ部長に就いてる竹井さんに相談したんだろうけど……

玄「……私、やっぱり頼りにならないのかなぁ……」

同学年の友だちとしては、最初に相談してほしかったんだけど……

大会でも全国1戦目はともかく、2回戦からは園城寺さんやチャンピオンにいっぱい削られちゃってエースとしての働きができなかったし……

……もしかしたら、あまり信頼されてないのかも……

玄「いやいや! そんな、まさか……」

そんなことで……あ、いや、麻雀部である以上そんなことではないけど……もし、灼ちゃんに役に立たない子だと思われてるとしたら……

玄「…………」

本当なら、大会で信頼を取り返したいんだけど……

それでも次の大会が秋以降になる以上、他のことで少しでも巻き返しとかないと……

玄「あ、灼ちゃんに嫌われちゃう……?」


ダメだ、それは絶対にダメだ……!

まず、このおつかいを百点満点で……いや、百二十点取って信頼を取り戻さないと……!

気合いを入れてコンビニに足を踏み入れる

ダッシュで、って言われてるしできるだけ早く戻らないと……!

まずは、オレンジジュースだ……正面のパックのジュースを手にとって買い物かごに入れ……ん? ちょっと待てよ……

玄「灼ちゃんは、どのメーカーのジュースが好きなんだろう……?」

ただオレンジジュースと言われたからって適当に買って帰るのは素人の仕事だ

灼ちゃんが真に求めている物を持ち帰ってより良い評価をいただかないと……

灼ちゃんが普段飲んでるのは……

玄「……私が淹れたお茶だ」

部活の時間だとみんなでお茶飲んでるし……食堂でお昼食べるときはお水だし……

玄「ど、どうしよう……」

電話して聞いてみる……のはダメだ

恐らく灼ちゃんは竹井さんとのお話も一段落したはずだし、一局打っているはず……つまり、ここで私が電話したら練習の流れも途切れちゃうだろうし迷惑になる

それに、一人でおつかいもできないダメな子だと思われてしまう可能性もあるし……

玄「……三種類ぐらい買っていけば間違いないよね……?」


お次はプリンだ

ジュースを選ぶのに時間をかけちゃったし急がないと……

まあ、プリンなら悩むところもないし……

玄「……!?」

普通のプリン、焼きプリン、生クリームが乗っているものにモンブランが乗っているものまで……

玄「ど、どれを買っていけば……」

灼ちゃんの好みに合うのは……

玄「うぅ……灼ちゃん普段あまりお菓子とか食べてないしわからないよぉ……」

灼ちゃんはしっかりきっちり。 部室で間食をとることはほとんどない

穏乃ちゃんがお菓子を持ってきてみんなで食べたりとか、そういうのはあるけど……

……お、お姉ちゃんに電話して……

玄「……いや、それもダメ!」

お姉ちゃんに電話したらたぶんお姉ちゃんは灼ちゃんにどれが好きなのか聞くだろうし、そしたら私はやっぱり一人でおつかいもできないダメな子だ

しかも、高2にもなってお姉ちゃんに頼らないとなにもできないダメな子だと思われる危険性もあるし……こうなったら!

玄「……全部買っていこう」


最後に、竹井さんに頼まれたガムだ

プリンを選ぶのにもかなり時間かけちゃったし、早く買って帰らないと!

……この場合、灼ちゃんのおつかいのついでに竹井さんに頼まれたもので、灼ちゃんと直接関係性はなく重要性が低いと考えられるけど、それは違う

竹井さんは清澄の部長で、今回灼ちゃんが相談相手に選んだ人だ

灼ちゃんは竹井さんを頼ったわけだから、つまり竹井さんのお世話になっているのだ

転じて、灼ちゃんの率いる麻雀部の一員としてお礼をするのは当然のことである

そして灼ちゃんは竹井さんから部長としてのお仕事についてヒントをもらいたいはずだから、
私がここでいい働きをすると竹井さんは私に……ひいては灼ちゃんにいい印象を持ち、結果として灼ちゃんのためになる

つまり、私は灼ちゃんに嫌われずに済む!

玄「よし! ここで挽回しなきゃ……!?」

な、なんかいっぱいある……!?

私、普段ガムとか噛まないんだけど……緑のとか黒いのとか……ブルーベリーにライムミント……? 他にもたくさん……

竹井さんの好みなんて知ってるわけないよぉ……

玄「の、和ちゃんに電話して……」

でも、ここで電話しちゃったら今まで一人で頑張った意味がなくなっちゃうし……

むむむ……こうなったら仕方がないし……

玄「……5、6種類買っていけばひとつぐらい当たりがあるよね……?」


コンビニの袋を持って一生懸命に走る

結局、悩んでいるうちに予定より大幅に時間が経ってしまった

急がないと……ダッシュで行かないと……!

玄「あうぅ……走りにくいよぉ……」

最初の想定以上に買ったために、荷物が意外と重くなってしまって走るのも少し大変だ

ホテルまでやっとのことでたどり着くも、エレベーターは全部上に行ってしまったところだ

玄「そんな、これ以上時間をかけたらみんなに嫌われて……」




灼『玄……買い物ひとつにこんなに時間がかかるなんて……もうおしゃべりしてあげないんだから』

穏乃『玄さん、幻滅しました……もうおかし分けてあげませんから!』

憧『がっかりだわ……これからはお昼ご飯も別々で食べるからね』

宥『玄ちゃんあったかくない……』





玄「そんなの嫌だよぉ……」

玄「……こうなったら、階段で行くしか!」


階段を一段飛ばしでぴょんぴょんとかけ上がる

玄「急がなきゃ……急がなきゃ……!」

……というか、竹井さんにもお買い物を頼まれている以上、和ちゃんたち清澄のみんなにも嫌われちゃうかも……

玄「急いで……っきゃあ!」

焦りのあまり、階段につまずいて転んでしまう

玄「いったぁ……って、荷物!」

中身を確認すると、ガムとジュースは無事だったけれど……複数個のプリンは衝撃で中身が少し崩れてしまっている

玄「ど、どうしよう……」


――――――

灼「ツモ、1000・2000の一本場で1100・2100……よろしく」

華菜「むぅ、競り負けたか……ほらよ」

久「あら……素直に悪待ちした方がよかったかしら」

咲「……よく考えたら素直に悪待ちって、言葉おかしいですよ?」

華菜「よく考えなくてもおかしいぞ?」

久「それもそうね……ねぇ鷺森さん、松実さん……玄さん少し遅くない? 何かあったのかしら?」

灼「ん……そういえば……時間かかるようなもの頼んでないと思うんですけど……」



玄「た、ただいま……」

久「あら、噂をすればね……大丈夫? 遅かったじゃない」

玄「え……」

灼「玄、ありが「ご、ごめんなさいっ!」え?」

玄「お、遅くなってごめんなさい!! あ、灼ちゃん……その、プリンも落としちゃって……」

灼「ん……別に平気だよ。 食べられないわけじゃないし……って、なんで泣いてるの!? 」

玄「う、うぇ……あ、あ゛ら゛た゛ち゛ゃ゛ん゛!!」

灼「は、はい」

玄「わ、私のこと嫌いにならないでぇぇぇ!!」

灼「え、いや、なんの話……?」

玄「わ、私、簡単なおつかいも時間かかっちゃうし、プリンも落としちゃうし……」

灼「気にしなくていい……っていうか、なんでこんなにたくさん……?」

久「あら、ガムもいっぱい……」

玄「その、どれがいいのかなって……考えたんだけどわからなくって……」

灼「そんな、適当でよかったのに……」

玄「でも、灼ちゃんに喜んでほしくて……私、最近役立たずだし……」

灼「そんなことないと思うけど……」


玄「う、うぅ……あ、灼ちゃん……」

灼「え、ちょ……お、落ち着いて……」

久「ふむ……鷺森さん! 今必要な台詞はこれよ! 気持ちを込めて読み上げて!」

灼「竹井さん……ありがとうございます……!」

久「さん、はいっ」

灼「……く、玄のことなんて全然好きじゃないんだからねっ!」

玄「ひぅ……や、やっぱり嫌われて……」

灼「え、あ、違……」

華菜「灼も少し落ち着けって」

咲「部長もまた変に茶化さないでくださいよ……」

優希「今のは『大好き』って意味だじょ?」

玄「優希ちゃん……そうなの?」

優希「私は専門家だから間違いないじぇ!」

京太郎「なんの専門家だよ……ほら、タコス作ってきたぞ」

優希「おぅ! 大儀であった!」

京太郎「取り込み中みたいだからあっちで食べようねー」

優希「はーい」


玄「灼ちゃん……」

灼「その、なにがどうなって私が玄を嫌うって話になったのかはわからないけど……そんなことはないから」

玄「ほ、本当に……?」

灼「信じられない?」

玄「そ、そんなことないよっ!」

灼「うん、ならいいけど」

玄「…………」

灼「……さっきも言ったけど、頼りにしてるから……その、もっと自信を持ってほし……」

玄「……うん」

灼「来年は私たちが最上級生だし、まかせられるところは玄にもいろいろお願いするから」

玄「うん」

灼「玄は阿知賀のエースだから、信頼してる」

玄「うん!」

灼「じゃ、一緒にプリン食べよ? 玄がいっぱい買ってきてくれたし」

玄「あ、ごめんね? 買いすぎちゃって……」

灼「みんなで食べればいいから、気にしないで」

玄「いろいろあったから悩んじゃって……次からは灼ちゃんが好きなの買ってくるから」

灼「ん、私も次からはちゃんとなにがいいのか言うから……」

玄「灼ちゃんは、なにが好きなの?」

灼「……黒ごまプリン?」

玄「黒ごま……」



玄「ごめんね、売ってなかったよぉ……」


灼「!? いや、だから泣かないでほし……」


カン!

玄はなにか余計なこと考えると片っ端から裏目るイメージ
しっかり者だけどうっかり者のイメージもあるなぁ

すごく眠い…出番の分散は次回も有珠山にしてバランスが取れたらいいなと思いつつ、投下



玄、2回目のおつかい



灼「……私も一緒に行くよ?」

玄「一人で大丈夫だよ? 心配しないで!」

灼「いや、玄一人にまかせるのも悪いし……ハルちゃんに入ってもらえば面子も足りるから……」

玄「赤土先生に見ててもらった方が効率も上がるから……飲み物とアイスだけならそんなに重くもならないし」

憧「平気って言ってるしいいんじゃない? 今たまたま空いてるのが玄なんだし、今度は別の誰かが行けばいいじゃん? それに言い出したら聞かないしさ」

灼「ん……それじゃあ、よろしく」

玄「うん! すぐに戻ってくるから待っててね!」

穏乃「すみません、よろしくお願いします!」

宥「玄ちゃん、いってらっしゃい」

玄「いってきます!」

晴絵「はい玄。 おつりはとっといていいから」

玄「すみません、ありがとうございます」

憧「あ、なんなら私が行ってきてもいいけど」

穏乃「いや、ここは一番足の早い私が……」

灼「現金な……」

晴絵「現金だけに?」

宥「あったかくない……」


そんなこんなで2回目のおつかいです

前回、少し失敗してしまったのでこれはいわばリベンジなのです

玄「今回はちゃんとなにがいいのか聞いてきたし、大丈夫!」

灼ちゃんはそこまで気にしてないみたいだけど、私としてはやっぱり気になるし……

今度こそ……そう! 汚名返上するんだ!

再び、コンビニに足を踏み入れる……今度こそ失敗しないよ!

玄「まずは……きゃあ!」

扉が開いた瞬間、すれ違った人の買い物袋とぶつかってしまう

……なんか、このコンビニと相性悪いのかなぁ

玄「す、すみません! ごめんなさい! 拾います!」

「こちらこそすみません! ちょっと荷物が多すぎて……あら?」

玄「あ、その制服……岩館さんと同じ……」

誓子「あ、阿知賀のエース!? す、すみません! いつもうちの部員がすみません!」

玄「え、あ、いや! こちらこそご迷惑をおかけしているみたいで……」


――――――

誓子「ふぅ……荷物、拾っていただいちゃってすみません。 あらためてまして、有珠山高校の桧森誓子です」

玄「いえ、私がぶつかっちゃったのが悪かったので……阿知賀の松実玄です、よろしくお願いします」

誓子「こちらこそ、よろしくお願いします」

玄「それにしても、その荷物……どうしたんですか? すごい量ですけど……」

桧森さんの手にはパンパンに膨らんだビニール袋が4つ……いや、5つかな? 部活みんなの分にしても尋常じゃない量の買い物だ

誓子「あー……その、恥ずかしながら罰ゲームで……私が成績最下位だったから3日分のおかしと飲み物を一人で買い出しに……」

玄「麻雀ですか」

でも、罰ゲームかぁ……少しそういうのがあった方が練習自体のモチベーションも上がったりするのかな?

うちは大会終わっちゃって多少燃え尽き気味だし……灼ちゃんや赤土先生に提案してみようかな

誓子「あ、いえ……その、バトルドームです」

玄「……バトルドーム?」

誓子「爽がどっかから『掘り出し物だ!』 とか言って買ってきて……昔CMとかしてた……」

玄「ああ、あの……」


揺杏『ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!』

爽『超!エキサイティン!!』


玄「……なんだかすごく鮮明にイメージできました」

誓子「……なんかすみません」


玄「それより、荷物少し持ちますよ? その量を一人じゃ危ないです」

誓子「え、でも……」

玄「いつもみんなが岩館さんにお世話になってるみたいですから」

誓子「……むしろ迷惑かけてません? 最近変な服……というか、布切れを縫い合わせた服とは認めたくないなにかを作ってるし……」

玄「うーん……実は、私自身はあまりお話ししたことなくって……」

よくわからないけど、憧ちゃんに『巻き込まれるからあまり関わらない方がいい』って言われてるんだよね……

それでも、憧ちゃんも穏乃ちゃんも素敵な服を作ってもらったって喜んでたし……

玄「いえ、やっぱり迷惑になんてなってません! たくさんお世話になってます!」

誓子「そ、そう……なのかな? 揺杏、しょっちゅう遊びに行ってるから不安で……」

玄「いえいえ、よろしかったら皆さんで遊びに来てください!」

誓子「あは……ありがとうございます」

玄「さ、それじゃあ行きましょう! 宿泊先、どちらですか?」

誓子「え、あ、荷物……すみません、そこの道を右に……」


玄「それにしても……」

誓子「はい?」

玄「なんというか……随分と、あー……チャレンジメニューですね」

袋の中身は明らかにイロモノのおかしやジュースでいっぱいだ

誓子「ああ……半分ぐらいは罰ゲーム用なの」

玄「罰ゲーム……」

誓子「うち、なにやるにもそんな感じで……」

玄「罰ゲームが強さの秘密?」

誓子「いや、どちらかと言うと退屈な日常のスパイス的な……すっかり習慣になっちゃって」

玄「そういうものですか」

誓子「何やるにしてもお遊び気分と言うか……爽も揺杏も昔からあまり変わらなくって」

はぁ、とため息をひとつ……言ってるわりには笑顔だし別にそれが嫌というわけでもないんだろう

玄「岩館さんや獅子原さんとは長いんですか?」

誓子「幼馴染みってやつかな……小学校で一回別れて高校でまた合流したんだけどね


玄「うちと似た感じですかね? 私にとってはチームの構成はお姉ちゃんと幼馴染みで……憧ちゃんは中学で別れてまた高校で合流でしたから」

誓子「地域で固まってる感じかぁ……うちは、なるかとは小学校からの付き合いでユキは高校からの知り合いだけど」

玄「あ、でもこっちも灼ちゃんと憧ちゃん穏乃とゃんは面識なかったし……地域の区分け違うと近所でもあまり顔会わせなかったりしますから」

誓子「あ、わかるわかる。 顔は知ってるんだけど小学校上がってから名前知った子とかいたなぁ……」


しばらく田舎トークで盛り上がっていると、桧森さんの足が止まる

どうやら、目の前のホテルに宿泊しているようだ

誓子「松実さん、よかったら上がってって? 荷物持ってもらっちゃったし、なにかお礼させてよ」

玄「え、でも……いいんですか?」

誓子「阿知賀の子には普段揺杏かまってもらってるみたいだし、ね?」

他人の好意は無下にしちゃいけない、ってお母さんも言ってたし……ここは、お言葉に甘えようかな

玄「それじゃあ、少しだけ……」

誓子「どうぞどうぞ、いろいろあるから遊んでってね!」



誓子「帰ったよ、開けてー」

二人とも両手が塞がっているため、桧森さんがこつこつとつま先でドアをノックしながら声をかけると、しばらくしてから扉が開く

成香「ちかちゃん、おかえりなさい」

誓子「ただいま……お客さん来てるよー」

玄「こんにちは、お邪魔します」

成香「あ、どうも……」

揺杏「あれ? 玄ちゃんじゃん」

爽「ちーす」

由暉子「どうも、はじめまして」

成香「ってああ!! ちょ、止めてくださいよ!」

爽「バトルドームがバトル中に止まるわけないだろ!」

由暉子「戦いは非情です」

揺杏「ボールを成香のゴールにシュゥゥゥーッ!!」

爽「超! エキサイティン!」


成香「ちょ、これはノーゲームですよね!? ねぇ!? 」

揺杏「いやいや、普通に罰ゲームっしょ」

由暉子「ルールですから」

爽「ほら、罰ゲームくじ引いて!」

成香「えぇ……そんな、ちかちゃんもなんとか言ってくださいよ」

誓子「えー……成香が開けてくれないと、私も松実さんも外で立ちっぱだったわけだしさ、こう、少し……」

爽「はぁ……仕方ないなぁ……じゃあチカに免じてバトルドームの罰ゲームは無しで」

成香「まあ、それが妥当ですよ」

爽「代わりに玄ちゃんにくじ引いてもらって成香が罰ゲームな!」

成香「は!? どうしてですか!?」

爽「成香がすぐに扉を開けないから荷物持ってくれた玄ちゃんを待たせちゃっただろ!」

揺杏「そーだそーだー」

成香「意味不明で怖いです……」

玄「え? この箱の中から引けばいいんですか?」

由暉子「1枚お願いします」

成香「引かなくていいですから!」

誓子「あはは……」


爽「あれ? つか玄ちゃんはどうしてここにいんの?」

誓子「え? 今さら? たまたま会って荷物持ってくれたのよ」

玄「すごい量だったので……」

爽「そっかそっか! まぁおかしとジュースぐらいしか出ないけど遊んでってよ! どれに挑戦する?」

成香「飲み物をすすめるのに挑戦という単語が選ばれるのは怖いです……」

由暉子「お客様に罰ゲーム用の飲み物を出すのはどうかと思いますが」

玄「……それでは、このつぶつぶドリアンジュースを」

誓子「む、無理しなくていいからね? やめといた方がいいと思うよ?」

揺杏「どうする? バトルドーム続ける? なんか他のやる?」

爽「玄ちゃん来たことだしみんなで遊べるやつやるか! 人生ゲームとか!」

誓子「せめてトランプとかにしよう!? 何時間遊ぶ気なのよ……」

爽「じゃあトランプにするかー」

由暉子「また大富豪ですか?」

揺杏「6人だしその辺が無難かな? とりあえずローカルルール確認してからな」

成香「どうしてわざわざ?」

爽「こないだ揺杏について遊びに行ったときには北海道から鹿児島までいて大変だったんだよ」

誓子「地域差あるって言うからね……」

由暉子「松実さんは普段どのようなルールで遊んでますか?」

玄「えーと、8切りに11バック、スペ3……」

爽「あ! もう面倒だしいっそ特殊ルール廃止しね?」

玄「ああ、そういう手がありましたか」

誓子「そうすると貧民層勝ち上がるの辛くない?」

成香「革命だけ残しておくとか……」

爽「成香レボリューション!」

揺杏「レボッてるね!」

成香「なにか知らないけどやめてください!」


爽「9ダブルで」

由暉子「いきなり9ですか……パスで」

玄「えっと、10出します!」

誓子「うーん……私もパスで」

成香「11バックで……」

揺杏「バックしないぞ? パス」

爽「Aダブル! 出る?」

由暉子「パスします」

玄「うわ……パスです」

誓子「そっち二人は?」

成香「ありません……つい忘れちゃいますね、特殊ルール無しって」

揺杏「なー……思ったよりムズいぞ……パスね」

爽「しゃ! じゃあ革命して3出してあがり……」

成香「あ、革命返します」

爽「えっ」

玄「おぉ……」

誓子「なるかすごーい」

由暉子「……本内先輩レボッてますね」

揺杏「成香レボリューション!」

成香「だからやめてください! 恥ずかしいですから!」

由暉子「カッコいいのに……」

誓子「……ふむ、爽はラスト1枚3かぁ……」

玄「罰ゲームは逃れられそうですね……」

爽「え、ちょ、マジで?」


――――――

揺杏「罰ゲーム!」

誓子「わーわー」

由暉子「1枚どうぞ」

爽「くっ……」

成香「頑張ってくださいね」

爽「成香のどや顔うっぜぇーわマジで」

玄「どんな罰ゲームが入ってるんですか?」

誓子「激辛スナックとかヤバ気なジュースとか、あとはさっきみたいな買い出しとか? それと最近は……」



爽「……『試作品その4、ジャージ(背面に大きくたぬきをプリント)試着』」

揺杏「大当たり~!! はいこれ! 着て!」

由暉子「……えっと、ほら、たぬきさんかわいいですし」

成香「早く着替えてきてくださいよ」

爽「成香調子乗んなよ! 畜生! 次のゲームでは絶対私が勝つからな!」



誓子「大量の謎衣服の試着が……」

玄「えぇ……しかもなんか見たことある組み合わせで複雑なんですけど……」

誓子「余計なインスピレーションもらってきてるみたいで……」

揺杏「そんな、毒電波なんてチカセンひどいっすよー」

誓子「そこまで言ってないよ!?」

玄「でも、たしかにたぬきさんはかわいいですねー」

揺杏「なー」

由暉子「ジャージはともかくたぬきさんはかわいいです」

揺杏「うーん……ジャージ本体も結構頑張ったんだけどなぁ……裏地にもちっちゃくたぬきさん入れたり……」

誓子「……松実さんは天然なのね……ユキも。 揺杏はふざけてるだけ。 私がおかしいわけじゃないはず、うん。 私はいたって普通の女子高生……」


爽「なぁ揺杏」

揺杏「お、着た? どう?」

爽「ジャージ、上しかないんだけどいいのか?」

揺杏「うん、仕様だから。 あ! でもそれ以外脱いでね?」

爽「えっ」

揺杏「仕様だから。 ファッションだから」

爽「……マジですか?」

揺杏「流行ってるよ、ごく一部で」

爽「それ流行ってるって言わなくね?」

揺杏「いやいや、私東京着てから3人は見てるし」

由暉子「へぇ、それじゃあ本当に流行ってるんですね」

成香「……東京怖いです」

爽「……いやいや、揺杏の証言だけじゃあ信憑性が」

揺杏「玄ちゃんも見たことあるっしょ?」

玄「あ、うん。 見慣れてると言うかなんというか……」

誓子「……高鴨さんと?」

玄「薄墨さんと国広さんです」

爽「揺杏が服卸してるヤバ気な三人衆じゃねぇか!」

玄「ヤバ気な三人衆って……」

揺杏「うっせ! 罰ゲームだろ! 早く着替えろ!」

成香「そうですよ。 早く着替えてきてくれないと次のゲームできないじゃないですか」

爽「成香鼻につくな!? 大富豪になったからって調子に乗って……」

成香「いいから大貧民はさっさと罰ゲームやってくださいよ」

爽「……ゴメン」

誓子「なるかが勝った!?」

由暉子「本当にレボッてますね」

成香「それ気に入ったんですか!?」


爽「じゃじゃーん! 着替えてきたぞ? どうだ?」

揺杏「お、案外似合うかも」

玄「かわいいですよ!」

誓子「かわ……いい、のかな? うん、かわいいんじゃない……?」

由暉子「たぬきさんはかわいいですよ」

成香「次はなにします?」

爽「開き直って出てきてみたら反応微妙ってどういうことだよ!?」

揺杏「私と玄ちゃんは見慣れてるし?」

玄「たぬきさんかわいいですよ?」

由暉子「はい、たぬきさんはかわいいです」

爽「 つかユキもさっきからたぬきさんの話しかしてねぇし! 成香にいたっては無視か! もう一回大貧民でお願いします!」

誓子「特殊ルール無しだしカード交換も無しでいいよね?」

由暉子「戦力差出すぎるのでそれでいいと思います」

揺杏「貧民の誓子先輩が言ったのが気になるけど……で、着心地はどうよ?」

爽「あ、それは普通にいいわ……部屋着にしたいくらい」

揺杏「じゃあ普通に穏乃に回しても大丈夫かな……もう少し改良して……あ、悪い電話だ、カード先に配っといてー」

玄「おまかせあれ!」


成香「松実さん手際いいですね」

玄「えへへ、意外と器用なんですよー?」

爽「つか貧民のチカが配れよー」

誓子「あ、そっか……ごめんね松実さん」

玄「いいですよ、これぐらい……ジュースもいただいちゃいましたし」

由暉子「え、つぶつぶドリアンジュース飲んだんですか?」

玄「おいしかったです!」

誓子「……おいしいんだ、アレ」

成香「私はアレ飲まされたとき一服盛られたかと思いましたけど……」

玄「えー? けっこういけますよ、これ」

ふふ、楽しいな……最近は麻雀ばっかりだったからトランプとかそういう遊びも久しぶりだし……

帰ったらたまにはみんなを誘って……



揺杏「もしもし? 灼? え? ちょっと落ち着いて……」

玄「ん?」

揺杏「玄ちゃんが買い物から帰ってこない?」

玄「あっ」

揺杏「携帯も持たずに? 二時間近く経ってる?」

玄「…………」

誓子「……もしかして松実さん、買い出し途中だった?」

玄「は、はい……」



揺杏「え、うん、今うちの宿舎に……」



誓子「すみません、私が連れてってしまいまして……」


玄「灼ちゃんごめんねぇ……」


灼「いや、無事ならよかったんだけど……」


カン!

おやすみなさい。次回頑張ります

乙ー
レボってるっていいな今度使おうw

ところで爽の上半身ジャージオンリーの参考画像はよ

中の人はツンデレの専門家だけどタコス自身は…

>>343閑無レボリューション!シノハユ面白いから読もうぜ!
>>344性格的に押せ押せな子だからイメージしづらいっすね…優希のこと考えてたら京タコとか清澄書きたくなって困る

最新話いろいろ情報も出てきましたが最近の読んでるとやっぱりメグ削られるフラグ立ちまくりで凹みます。にしてもほんとメグかわいい
宥「さすがにちょっと暑くて」←!?!?!?!?!?

ちょっと忙しいのでしばらく間空くかもしれませんし、ふらっと投下しに来るかもしれません。よろしくお願いします…

金曜夜と土曜の空き時間を使えば全然投下しに来れたでござる


誓子「本当にすみませんでした!」

玄「ご、ごめんね灼ちゃん……お買い物の途中なのに桧森さんに着いていっちゃって……」

誓子「その、荷物持ってもらっちゃって、そのまま上がってってくださいって! 引き留めたのは私なので!」

灼「いえ、玄だったら荷物持つの手伝うって言うのもわかりますし……なにもなかったなら、よかったです」

揺杏「灼が電話先で超慌ててたからビックリしたわー……ちょっと泣いてたし」

灼「な、泣いてな……!」

玄「し、心配かけてごめんねぇ! 灼ちゃん!」

灼「あ、暑いから、抱きつかないでほし……」

穏乃「いやぁ、でもほんと無事でよかったです! 外のコンビニまで見に行ったけどいなかったし連絡もつかないし……」

晴絵「携帯はちゃんと携帯してくれよー?」

玄「はぁい……」


憧「なんもなくてよかったね、宥ねえ」

宥「うん、すごく心配しちゃったよ……」

玄ちゃん、おうちではとってもしっかりものなのにお外に出るとちょっとうっかりさんなんだよね……

……もしかして、私がしっかりしてない分玄ちゃんがおうちではしっかりしてくれてるのかなぁ?

宥「…………」

憧「ん? どしたの?」

宥「私、お姉ちゃんだし……もっとちゃんとできるように頑張るね」

憧「ん? うん……あのさ、玄が帰ってこなかった理由って別にあると思うよ?」

宥「え?」

憧「ほら、あれ」



爽「せっかく来たし遊ぼうぜ! バトルドーム持ってきたから!」

穏乃「うわ! 実物はじめて見た!」

玄「実は私もちょっと気になってたんですよね……」

由暉子「個人戦あるのに遊んでばっかりでいいんですか?」

爽「息抜きも大事!」

晴絵「うん、それもそうだな」

揺杏「しゃあ! 監督の許可もらったし阿知賀のみんなも遊ぼーぜ!」

誓子「私たち毎日遊んでるでしょ……」

灼「……大変そうですね」

揺杏「誓子先輩もノリノリで遊んでるから同情することないよ?」

誓子「ちょ、やめてよ揺杏!」

爽「一人だけ真面目ぶんなよなー……だいたい一番負けず嫌いなのチカだし」

成香「なんだかんだで一番熱くなってるのはちかちゃんですね」


宥「……んん?」

憧「だから、ほら……真屋さん」

宥「え、もしかして……」

憧「玄の好きなものといえば……」

宥「ええ……? さ、さすがにそんなことはないんじゃないかな……?」

つまり、憧ちゃんが言いたいのは……玄ちゃんは大きなおっぱいが好きだから、真屋さんのおっぱいに惹かれてお買い物も忘れて遊んでいた、ってことだ

宥「玄ちゃんはその、さすがに、もう少し分別のある子だと思うんだけど……」

憧「いやいや……だって玄だよ?」

……この一言にすごく説得力を感じちゃってる現状は玄ちゃんが悪いのか玄ちゃんを信じてあげられない私が悪いのか……

憧「くっそ……玄のやつ……でかけりゃいいってもんじゃないでしょ……っていうか私だってまだ成長期だし……まだまだこれから……」

憧ちゃんもなんか変なスイッチ入っちゃってるし……

成香「どうかしましたか?」

宥「ひゃあ!?」

成香「あ、すみません……驚かせてしまいましたか?」

由暉子「こちらを見ていたようだったので気になって……」

宥「い、いえ……大丈夫です。 なんでもないです」


……こうして見てみると

由暉子「……?」

うん、大きい

和ちゃんと同じぐらいあるんじゃないかなぁ……

由暉子「……ああ、真屋由暉子です。 本日は急にお邪魔してしまって申し訳ありません」

宥「あ、いえいえ……こちらこそ、その……玄ちゃんがご迷惑をおかけしていませんか?」

成香「迷惑だなんて……ちかちゃんがお世話になりました」

憧「嘘でしょ!?」

由暉子「え?」

憧「ほ、本当に大丈夫!? 玄にいやらしい目で身体中舐めるように見られたり触られたりしてない!?」

由暉子「してませんけど……」

憧「どういうことよ!?」

宥「なにもしてないのに怒るのは理不尽なんじゃ……」

憧「だって玄だよ!?」

宥「う、うん……ごめんなさい」


玄「……さっきから憧ちゃん酷くないかな? 私をなんだと思ってるの……?」

憧「あ、玄……そりゃ、残念な変態だと思ってるけど……」

玄「えぇ!? 私そんな風に思われてたの!?」

憧「その一点に関しては当然でしょ! あ、真屋さんあまり玄に近づかないでね……汚されるわよ?」

由暉子「え、はぁ……わかりました」

玄「ちょ、憧ちゃん!? 私本当になにもしてないよ!? そりゃちょっと横目でチラチラ見たりはしてたけど! お世話になって部屋まで上げてもらったのに失礼なことするわけないよ!!」

憧「……巴さんのとこに遊びに行ったとき」

玄「石戸さんは別格でしょ!? 他と一緒にしないでよ!!」

成香「なんでキレてるんですか……意味不明で怖いです……」

宥「くろちゃん……」

玄「むぅ……だいたい嘘つきの憧ちゃんに言われたくないなっ」

憧「はぁ? 私がいつ嘘ついたって言うのよ!?」

玄「その胸パッ「わー! きゃーっ!! ああぁぁぁぁ!!!」


宥「あ、憧ちゃん落ち着いて……」

憧「な、ななな、なにを言ってんのよ!?」

玄「私の目を以てすればお見通しだよ! だいたいアニメとか最新話とか盛りすぎ「わー! わーっ!!」

宥「あ、あの、メタな発言は控えて……」

成香「その、さっきからなにを……」

宥「あ、あのね? 玄ちゃんはおっぱいが大好きなの」

成香「……は?」

宥「玄ちゃんはおっぱいが大好きなの」

成香「えぇ……?」

由暉子「なるほど……まぁ、たしかに私は胸ちょっと大きいですけど……」

憧「ちょっと!? それがちょっとですって!?」

由暉子「え、あ、すみません……」

揺杏「まあまあ、憧ちゃんはそんなに気にしなくてもいいんじゃないの?」

憧「あ、揺杏……」

揺杏「呼び捨て継続かよ!? まぁいいけどさぁ……」


憧「どういうことよ?」

揺杏「憧ちゃん普通にスタイルいいし、胸なんかでかくたって着れる服が狭まるしたいしていいことないって!」

憧「私もそうやって自分を誤魔化してるけど……やっぱりちょっと羨ましいじゃん……」

成香「揺杏ちゃんもぺったんですしね……」

揺杏「なんで慰めてるのに傷を負わなきゃいけないの!? つか成香に言われたくねぇんだけど!」

由暉子「大きくてもいいことなんてありませんよ? ねぇ?」

宥「う、うん……たぶん?」

憧「大きい人が言っていい台詞じゃないの!」

玄「っていうか大きい方がいいに決まってるよ!」

憧「あんたは黙ってなさい!」

成香「ユキちゃんも松実さん姉妹も素敵に育ってますからね……少し羨ましいです」

揺杏「まぁ? 意中の相手が巨乳好きとかならでかい方がいいかもしれないけどさぁ」

憧「ふきゅ!?」

宥「憧ちゃんやっぱり好きな人いるの!?」

玄「そういえばこの前灼ちゃんが岩館さんに聞けって……」

揺杏「ほほぅ?」

憧「ちょ、違う! 違うから! 余計なこと言わないでよ!? 勘違いしないでよ!?」


由暉子「コイバナですか……興味深いです」

成香「うちはそういう浮いた話ないですからね」

揺杏「でも地区大会の時チカセンナンパされてなかった?」

誓子「あれは道聞かれただけだって!」

爽「隙あり!」

穏乃「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!」

誓子「ちょ、卑怯者っ!」

晴絵「これ結構面白いな……おっ、くっ! いけっ!」

穏乃「超!エキサイティン!」

灼「ハルちゃんがんばれー」


憧「……ハルエまで一緒になって遊んでるし」

揺杏「もしもし? 一? イケメンいる? うんそう、かわってー」

憧「ふきゅ!?」

宥「井上さん……?」

玄「なんで?」

憧「し、ししし、知らないわよっ!!」

成香「どちら様ですか?」

宥「長野の龍門渕高校の先鋒の方で……」

揺杏「あーうん、そう……この前番号聞かなかったからさー……うん、じゃあ一に聞いとくわ……でさ、純って結構胸あるじゃん? いや、服の問題で……」


憧「…………」

玄「どうしたの? 黙っちゃって……」

憧「べ、べつに!? なんでもないけど!?」

……憧ちゃん、さっきから落ち着きないなぁ

憧「あ、その……そう! 打ちませんか!? 私たちもともと練習中だったし! 真屋さんと本内さんが良ければですけど!」

由暉子「私は依存ありませんが」

成香「阿知賀の方を相手取るとなると力が足りないかもしれませんが……」

宥「それじゃあ、そっちの卓に行こっか?」

成香「ちかちゃんと爽さんは……」

由暉子「遊んでますし、ほっといていいんじゃないですか?」



爽「うげ、ドーム止まったぞ!? 頼む、チカ!」

誓子「えぇ? そんなこと言われても……」

穏乃「叩けば直るんじゃないですか?」

晴絵「よっしゃまかせろ!」

灼「壊れたら大変だしやめた方がいいと思……」


成香「……ほっときましょうか」

玄「あ、真屋さん……」

由暉子「近づかないでくれますか? 汚されたくないので」

玄「そんなことしないよ!?」

憧「顔に出てんのよ、いやらしさが」

玄「むむ……憧ちゃんだってかなりわかりやすい方だと思うけど……」


宥「……憧ちゃんってさ」

憧「ん? なぁに宥ねえ?」

宥「井上さんのこと好きなの?」

憧「ふきゅ!? ばばばばばか言わないでよ!? そりゃあ? かっこいいし? 背も高いし? 麻雀も上手だし? 好みのタイプっちゃタイプかもしれなくもないかもしれないけど!? 井上さん女の子だし!! そういうんじゃないから!!」

憧ちゃんわかりやすいなぁ……

由暉子「同性愛は宗教的にアウトなんですが……」

成香「禁断の恋ってやつですか?……漫画みたいで素敵です! 応援しますよ!」

憧「だから違いますってば! Loveじゃないし!Likeだから! 友情だから!」

玄「憧れ的な?」

憧「う、あ、ま、まあ? 言葉にするならそれが近くもないかもしれなくもないわね」

成香「こんがらがってきました……」



揺杏「え? マジで!? あっはは! 超ウケるんだけど! うん、うん……よくあることなのかよ!? あは、まぁ純はイケメンだからなー」

純『俺は女だ!』

揺杏「うっお……声でけぇよばーか!」



宥「……岩館さんも盛り上がってるみたいだしはじめよっか?」

由暉子「そうですね……よろしくお願いします」


憧「ロン! タンピンドラ1で3900!」

成香「わわっ……張ってましたか」

由暉子「さすがに速いですね」

宥「憧ちゃん速攻得意だからね」

麻雀を打ち始めたのはいい

赤土先生たちが盛り上がってるのもいい

岩館さんが電話盛り上がってるのもいい

私の後ろに玄ちゃんが立ってるのもいいんだけど……

玄「おもち……石戸さん……和ちゃん……真屋さん……」

……なんか、ぶつぶつと呟いて……え、うん、玄ちゃんごめんなさい。 ちょっと怖い

憧「玄、声に出てるよ」

玄「はわっ!?」

由暉子「なんですか、おもちって?」

玄「おもちっていうのはね!!」

憧「はいストップ! 真屋さんもいちいち突っ込まなくていいから!」

宥「くろちゃん……」

さすがにいろいろと心配になってくるなぁ……やっぱり私もしっかりしないと……

玄「大丈夫! お姉ちゃんのおもちも上位ランクで……」

宥「その話はわりとどうでもいいよ、玄ちゃん」

玄「そんな!? お、お姉ちゃん……」


揺杏「うす、はーい、じゃねー」

成香「あ、電話終わったんですか?」

揺杏「うん。 あ、純は別に胸の大きさとかどうでもいいってさ! よかったね!」

憧「へ、へぇ? まあべつにどうでもいいけど!?」

玄「どうでもいいってことはないでしょう!?」

揺杏「玄ちゃん近い、怖い」

由暉子「……本格的に近づかない方がよさそうですね」

成香「松実さん……玄さん、こっち来てからだいぶ印象変わりました……」

宥「えっと、たまに変になっちゃうけど……しっかりしたいい子なんだよ?」

憧「うん、正直フォローしきれないと思う……ホームになると気が緩むんでしょ。 メッキが剥がれたわね」

玄「憧ちゃんこそ嘘の詰まったその偽物のむ「はい! この話はやめ! だいたい玄はそんな話ばっかりしてるのがおかしいの!!」

玄「……よそではしてないよ?」

憧「お客さんいるのにしてたら同じでしょ!?」

宥「……岩館さん」

揺杏「へ? なんすか?」

宥「井上さんになんて聞いたの? その、普通あまり女の子に聞くことじゃないよね……?」

揺杏「いや……普通に? 巨乳好きかって……」

由暉子「やっぱりどう考えても女性に聞くことじゃないですよね」

玄「井上さんもどうでもいいなんておかしいよ!」

憧「あんたはあんたでおかしいの!」


揺杏「でもさ、純も言ってたけどやっぱり胸は一定のサイズ以上はいらないと思うんだよね!」

玄「そんなこと……」

宥「玄ちゃん、今岩館さんがお話ししてるからいい子にしようね」

玄「はーい……」

揺杏「肩凝りひどいらしいし、服は限られてくるだろうし、運動も大変っぽいし!」

憧「全部伝聞や予想なのが悲しいわね……」

成香「ないものはないですから仕方ありません」

揺杏「同じグループのやつが突っ込むなって! 実際どうなのユキ?」

由暉子「ええ、まあそんな感じですね。 岩館先輩が作ってくださる衣装は着やすくて助かります」

成香「私はあの改造制服はちょっとやりすぎだと思いますけど……着替えも大変そうですし」

由暉子「そうですね……獅子原先輩がそこら中触ってきますし……」

揺杏「ぶっちゃけセクハラだからねアレ? 嫌なら言っていいのよ?」

玄「……あの!」

揺杏「ん?」

玄「触るっていうのは具体的に「玄! あんたマジでちょっと黙ってなさい! ほんと恥ずかしいから!!」

宥「す、すみません玄ちゃんが……」

由暉子「いえ、別に……具体的に言うとまあ胸とかですが」

玄「真屋さんあっちでちょっとお着替えしましょう!! 私がお手伝いしますから!!」

憧「玄!!」

成香「必死すぎて怖いです……」

揺杏「玄ちゃんって面白い子だったんだねー」

宥「…………すみません、お恥ずかしい……」

やっぱり、私がしっかりしないと……


カン!

おもちについてのフォローも兼ねて。くろちゃーお外ではしっかりしてると思うよたぶん。きっと…
あと最近のあこちゃーは盛りすぎですわ。きつくない程度のものの持ち主のはずだろ!

乙です
憧ちゃんはもちろん、最近盛り過ぎなキャラが増えてる気がする
なんもかんもりつべ先生がお肉盛りたい病にかかったのが悪い

まふたんイェイ~
シノハユで真深さん出てきてはやりんもすごい好きなキャラになっただけに何も用意出来なかったのは悔しい…

>>365りつ先生自重できないから仕方ないね…副将戦は毎度毎度楽しそうで…個人的にはやっぱりもう少し控えめな方が好きなんであこちゃーも阿知賀の頃のが好きです
というか久々に咲キャラソートとかやってみたら上位30人ぐらい見てもおもちもちって5人もいなかった気がする…そんなことより一回に一時間近くかかったことに驚きましたが

次回は>>141、何人出るかはわかりませんが龍門渕回で

DCD一挙見つつ投下。やっぱりてつをかっこいいですね



揺杏「遊びに行こーぜ!」

灼「ん……いいよ」



揺杏「一に会いに行くんだけど、一緒に来る?」

穏乃「行きます!」



揺杏「純とこ行ってくるわー」

憧「つ、ついてってあげないこともないわよ!?」


揺杏「でさ……」

岩館さんが不満げに口先を尖らす

揺杏「なーんで玄ちゃんとおねーさん誘っちゃダメなのさ……」

憧「……結果が目に見えてるから」

穏乃「結果って?」

憧「揺杏が面白がって玄けしかけて迷惑かけるのわかってるから」

揺杏「信用ねーなー」

灼「むしろ信頼されてると思……」

揺杏「もっといい意味で信頼してほしーんだけど?」

憧「普段の行いを省みてよね……国広さんとか薄墨さんとかしずに……」

穏乃「素敵な服、たくさんもらっちゃってるよ?」

憧「…………」

揺杏「あっはは! そーだろそーだろ」

灼「……憧」

憧「……大丈夫、まだ頑張れる……きっとしずをまともな道に……」

……この話に関しては、残念なことにどうしても憧とは感性が合わない

憧ももう少しこう、なんというか……私の自主性? というものを尊重してほしいんだけど


穏乃「あ、そこですよ! 国広さんたちの宿!」

揺杏「お、さんきゅー」

憧「つーか場所知らなかったのね……」

揺杏「だっていつも灼んとこで会ってるからさー」

灼「清澄や風越も同じ宿」

揺杏「風越? ああ、個人戦の人がいるんだっけ? つか清澄と宿一緒なのか……」

穏乃「龍門渕は清澄の応援で東京出てきましたから」

灼「嫌?」

揺杏「少し……つか私と打った竹井? 絶っ対!いやーなやつだよね」

憧「打ち筋は最低に性格悪いけどいい人よ?」

揺杏「そーなん? でもやっぱ顔合わせたくねーな……あの結果だったし……」

灼「ん……ま、なにかあれば守ってあげる」

揺杏「はは、じゃあ頼りにさせてもらおうかなー」

穏乃「さすが灼さん頼りになる!」

憧「いや、そもそも竹井さんと会ったとしても戦ったりしないから……」


穏乃「あ、萩原さんこんにちは!」

ハギヨシ「おや……高鴨さん、新子さん、鷺森さん、こんにちは。 私、龍門渕家で執事をしております、萩原です。 どうぞよろしくお願いいたします」

揺杏「え、あ、北海道の岩館です……」

ハギヨシ「ああ、国広さんからお噂はかねがね……かねがね……」

穏乃「萩原さん……?」

ハギヨシ「……失礼、少し頭痛が」

穏乃「大丈夫ですか!? 少しお休みした方が……」

灼「いや、そゆのじゃないと思……」

憧「……ちょっと、謝んなさいよ」

揺杏「あはは……さーせん」

ハギヨシ「い、いえ……その、私が口出しすることではないのは重々承知しているのですが……もう少し、手心というか……」

揺杏「……それは私よりあっちの人たちに言ってほしいかなー」

なんの話だろう? 岩館さんが意味ありげにこっちを見たのと、憧まで一緒に頭を抱えているのが気になるけど……


揺杏「それにしても……」

ハギヨシ「……? 私が、なにか?」

揺杏「いや、玄ちゃんが言ってたんですよ。 龍門渕に超かっこいい執事さんがいるってー」

ハギヨシ「……そ、それは、その……ええ、光栄です」

揺杏「いやでもイケメンっすねマジで。 背も高いし……190くらいあります?」

ハギヨシ「そうですね……187です」

揺杏「あ、服とかどうっすか? 玄ちゃんリクではやっぱりカボチャパンツに白タイツの王子さまフォームが……」

ハギヨシ「あ、いえ、私はその……あくまで執事ですので……王子さまなどそんな……」



灼「……玄って萩原さんみたいな人がタイプなの?」

穏乃「そうなんですかね? でも萩原さんカッコいいですよね! 細身だけど引き締まった身体してますし……」

憧「え、なんでそんなのわかるの!? つーか玄は萩原さんがねぇ……やっぱり揺杏けしかける気満々だったじゃないのよ……」

灼「……憧的にはどうなの? 萩原さん」

憧「素敵だと思うけど……ちょっと完璧過ぎるというか、大人過ぎるというか……」

揺杏「憧ちゃんはもうちょっとワイルドな感じが好きだもんな……純みたいな」

憧「ふきゅ!?」

穏乃「あ、たしかに憧って井上さん好きそうだよねー……なんというか、少女漫画のヒーロー系?」

灼「ああ……その、不器用だけど実は優しい不良系的な?」

ハギヨシ「たしかに少々不器用な方ですね……決して不良ではありませんよ?」

穏乃「それはもちろんわかってますよ! あ、それにスラッとした長い足の引き締まった筋肉とかほれぼれしちゃいますよね!」

憧「ふきゅ!?」

揺杏「穏乃は筋肉フェチかー」

穏乃「フェチっていうか……ほら、私も鍛えてますから! ちょっと気になるっていうか!」


ハギヨシ「……そういえば、本日はどのようなご用事で? よろしければ私が案内させていただきますが……」

穏乃「あ、大丈夫です! 一さんと井上さんに会いに来たんですけど、お部屋にいらっしゃいますか?」

ハギヨシ「はい、先ほど一局打ち始めたところですので……」

灼「ありがとうございます。 私たちで行けるので、萩原さんのご用事の方を……」

ハギヨシ「これは、どうもお気遣いを……それでは、失礼いたしますね」

揺杏「今度カボチャパンツ作ってくるんで!」

ハギヨシ「え、いや、それは……できれば遠慮したいのですが……」

揺杏「そしたら写メ撮らせてくださいねー!」

ハギヨシ「いえ、ですから……」

揺杏「よっしゃ! じゃあ一と純のとこ行くかー!」

穏乃「あ! 待ってくださいよー!」

憧「ちょ、待ちなさいよ!」

灼「……よく言って聞かせておきますので」

ハギヨシ「……申し訳ありません、よろしくお願いします」

灼「いえ、失礼しました……それでは」



憧「……あんたねぇ」

揺杏「まあいいじゃん! 執事さん怒ってなかったし?」

憧「そういう問題じゃないでしょ……」

穏乃「でも萩原さんってなんでもできちゃうイメージあるし、服もなんでも着こなしちゃったりして」

灼「カボチャパンツが似合うかも、って思わされる辺り凄……」

揺杏「イケメンってすごいよなー」

憧「まあ、カボチャパンツはイケメンにしか……しかも、だいぶ限られたイケメンにしか許されないでしょ」

穏乃「それもそうだよね……あ、それじゃあイケメンと言えば井上さんは?」

憧「ふきゅ」

揺杏「お、穏乃ナイスな発言」

灼「……どうなの? 憧的には」

憧「え、いや、王子さまとか普通に憧れる気持ちはあるけどそれでもさすがにカボチャパンツはどうかと思うしあぁでも白馬がついてくるとなるとまたポイントが……」

……そんなに悩む質問したかな? 憧ってたまによくわからないなぁ

揺杏「……で? どうよ?」

憧「……さすがに、ギリで無しかな」

灼「ギリギリなんだ……」

揺杏「憧ちゃんがわからなくなってきたわ……」

憧「こう、乙女的葛藤がいろいろとあるのよ」

穏乃「井上さん女の子だけどね」

憧「知ってるわよ! 別に、どうって聞かれたから答えただけでしょ!!」

揺杏「つーかイケメンと言えば、で穏乃が純の名前挙げたんじゃん。 たしかにイケメンだけど他にいなかったわけ?」

穏乃「他に? えーと……」

正直、あまり男の人の知り合いとか少ないしテレビとかもあまり見ないから芸能人とかも知らないんだけど……

穏乃「あ、セーラさんとか?」

灼「江口さんも女の子……」

揺杏「メンズの名前が挙がらねぇ」


――――――

純「お」

憧「こ、こんにちは!」

揺杏「ちーす」

純「うち? 清澄?」

灼「りゅーもんの方で」

穏乃「荷物、持ちましょうか?」

純「いいよ、たいした量じゃねーし……部屋こっちな」

揺杏「買い出し?」

純「ん、うち五人だし一人余るからな」

穏乃「袋パンパンですけど、なに買ったんですか?」

純「やっすい駄菓子とかを大量にな……透華と衣が食べてみたいって言うからさ」

灼「そういえば、お金持ちのお嬢様だもんね」

純「けっこう感覚ズレてる……いや、それは金持ちとか関係なく透華の個性か……」


純「帰ったぞー」

智紀「お帰りお父さん」

純「オレは女だっつの! ……これ菓子な、あと客」

穏乃「お邪魔します!」

一「高鴨さん! それにみんな、いらっしゃい」

揺杏「どもども、これ頼まれてたやつなー」

一「いつもありがとう、岩館さん」

衣「衣たちのところに来るとは珍しいな! 今日はののかはいいのか?」

穏乃「今日は一さんや衣さんたちに会いに来たので!」

衣「おお、それは「ようこそいらっしゃいましたわ!! 本日は存分におもてなしさせていただきますわ!!」……トーカも喜んでいるぞ!」

憧「……龍門渕さん、どうしたんですか?」

智紀「原村さんより優先されて嬉しい」

一「透華、原村さんをライバル視してるから……」

純「最近ただのファンなんじゃねぇかと思ってんだけどな……」

灼「憎さ余って?」

揺杏「ちょーかわいい、って感じ?」


透華「ハギヨシ!」

ハギヨシ「ここに」

「「「「!?」」」」

透華「お客様にお茶の用意を……」

ハギヨシ「かしこまりました」

揺杏「え、いや、ちょ!?」

純「どうした?」

揺杏「いやいや! 執事さん! どこから!? つかさっき外に……どうなってんの!?」

智紀「萩原さんだから」

一「萩原さんだからね」

揺杏「えぇ……?」

灼「執事ってすごい」

穏乃「かっこいいですよね、アレ! 瞬間移動?」

憧「びっくりした……アレはああいうものだから、深く考えない方がいいわよ?」

揺杏「……おう、とりあえず考えてもわからないことはわかった」


衣「そういえば以前顔は合わせたような気がするが、こうして話をするのははじめてだったな?」

揺杏「岩館揺杏っす。 よろしくー」

衣「天江衣だ! よろしく頼むぞ! 一から話は聞いているぞ、ゆあん」

揺杏「あ、マジ? よかったら衣にもなんか作ってこようか?」

衣「おお、本当か? 感謝感激! 恐悦至極だ!」

透華「むっ! それでは私とどちらがより衣に相応しい衣服を用意できるか勝負ですわ!」

揺杏「えっ」

衣「トーカも服をプレゼントしてくれるのか?」

透華「ええ! 心配なさらずとも私、こう見えて裁縫の方も嗜んでおりますのよ!」

揺杏「そこじゃなくて!」

灼「なんで勝負……?」

穏乃「いいじゃないですか、勝負の方が燃えますし!」

智紀「気にしないで……透華はすぐに勝負とかしたがるから」

純「ほっといていいぞ?」

透華「その扱いはなんなんですの!? 衣にプレゼントを贈るとなれば、私が負けるわけにはいきませんわ! 衣への愛では私の方が勝っているに違いありませんし!」

揺杏「いやいや! 愛もなにも私ほぼ初対面! つーか勝負するにしても私が服作ってもおじょーさまの財力には敵わないっていうか!」

透華「ふむ……たしかに、勝負する以上条件は揃えなければいけませんわね……それでは素材はこちらの方で用意いたしますので……」

一「はい、待って! ストップストップ!」

憧「少し落ち着いて……揺杏もその材料費浮いてラッキー、みたいな顔やめる!」


衣「……トーカたちはなにをやっているんだ?」

智紀「ちょっとほっとけば落ち着くと思うから」

穏乃「あ、それじゃあ岩館さんに作ってもらう天江さんの服について相談しておきましょうよ! どんなリクエストも応えてくれると思いますよ!」

衣「ふむ、察するにしずのもユアンにいろいろと作ってもらっているのだな!」

灼「正統派お洒落からイロモノまでなんでもござれ……」

穏乃「天江さんはどんな服がお好みですか?」

衣「そうだな……」

智紀「でも、衣の服まだたくさんある……少し前に大掃除してクローゼット整理したときも結局ほとんど服は残しちゃったし……」

衣「うるさいぞ智紀! 衣の身長はまだ伸びる! 去年の服も着れるからって……!」

智紀「言ってない言ってない」

穏乃「あぁ……私も身長伸び悩んでて……やっぱり筋トレしちゃったのが悪かったのかなぁ……」

灼「筋肉つけると伸びないって言うよね」

衣「衣は筋トレしてないぞ?」

智紀「……うん」

衣「哀れみの眼差しを向けるな!」

智紀「あ、ごめん……そんな、涙目にならなくても」

灼「……バスケとか、良いって聞くけど」

衣「籠球か! そういえば純が好きだったな……今度一緒にやってみようか……」

灼「天江さんが?」

智紀「純とバスケ……?」



衣『とーどーかーなーいー!』

純『はっはっは』



衣「こら! やめろ! なに考えてるのかわかるぞ!!」

智紀「ぴょんぴょん跳ねる衣……」

灼「かわいらし……」

穏乃「し、失礼ですよ二人とも……」

衣「しずのもちょっと笑ってるだろう!?」


衣「と、とにかく! 衣は大人っぽい服が! お姉さんらしい服がほしいぞ! 衣はもう十七なんだ! 小学生じゃない!」

穏乃「誰もそこまで言ってませんよ! 落ち着いてください!」

灼「お姉さんスタイル……いい」

智紀「衣のお姉さんスタイル……服に着られてる感じがとってもいい……」

衣「ぐうぅぅぅ!!」

穏乃「ちょ、二人とも! いい加減にしてくださいよ! 天江さん泣いてるじゃないですか!」

衣「泣いてない!! 衣はお姉さんなんだからこの程度で泣くわけがないだろう!!」

穏乃「す、すみません……」

智紀「その、かわいい系でもいいと思うけど……前に萩原さんが作ってくれたエビフライのやつとかかわいかったし……」

灼「……エビフライ?」

衣「純がデザインしたのをハギヨシが作ってくれたんだ! あれはなかなかよかったが、異常に暑いのだけは欠点だったな」

灼「……井上さんのデザインって」

智紀「ああ、萩原さんが解読したから……」

穏乃「解読って……」

一「いやぁ、アレに限らず純くんのイラストは難解すぎて……」

穏乃「あ、国広さん……そっち、どうなりましたか?」

一「今勝負してるよ」

灼「え、裁縫はじめちゃったの?」

一「いや……適当に矛先逸らして、いろいろとうやむやにして……」


憧「じゃあ、井上さん次は……」

純「よーし……どうだ!」

透華「!?」

揺杏「!?」

純「…………」

透華「……ひ、ヒントを」

揺杏「わかんねーよ! 純のイラストとか解読班必須だろ!」

純「うるせーよ! どうせへたくそだよ!」

憧「…………っ!」



一「純くんのイラスト当てクイズで勝負してるよ」

智紀「なにがどうしてそうなった?」

灼「……憧は助手? なんか、震えてるけど」

穏乃「見た感じ、笑いを堪えてるわけではないみたいですけど……」

一「なんか、そんなところもかわいくていいってさ」

智紀「……悶えてるの?」

灼「恋は盲目……」

憧「違うから!!」

穏乃「憧、耳いいなぁ……」


ハギヨシ「お茶とケーキ、用意して参りました……」

透華「ああハギヨシ、ご苦労様」

ハギヨシ「おや、それは……蟹ですか?」

純「正解! ほら、やっぱりわかるやつにはわかるんだよ!」

透華「ああ! さっきのがイルカでしたし海の生き物シリーズでしたのね!」

揺杏「つーか蟹とかハサミとか付いてて特徴的だろ! もっとわかるように描けよ!」

純「うっせ! これでも全力なんだよ! 頑張ってるんだよ! ほらヨッシー! これ、こっちは!?」

ハギヨシ「えー……右が狸で左が猪でしょうか?」

純「当たり! ほら! わかるじゃん! オレの絵だってまだセーフだって!」

憧「井上さんかわいぃ……」



灼「井上さんの絵、相変わらずだね……」

智紀「あれはあれで面白いからアリじゃないかな」

衣「ハギヨシが解読してくれるしな! 純は純で必死で描くものだからなかなか面白いぞ」

穏乃「まあ、あれはもう一種才能じゃないですかね!」


衣「ところで、もう勝負はいいだろうトーカ! ハギヨシも来てくれたことだしお茶にしよう!」

透華「あ、ええ……そうですわね」

揺杏「これ以上続けても0対0で勝負にならないしなー」

純「なんだよ! 当てられる人もいるってわかっただろ! な、新子!」

憧「は、はぃ……」

純「なに笑ってんだよ!」

憧「わ、笑ってるないですよ! 井上さん……か、かわいくって……」

純「な、なんだよかわいいって!」



衣「ゆあんゆあん!」

揺杏「お、どんな服ほしいか決まったかー?」

衣「うん! 衣はな、お姉さんらしく! 年相応に見える服を所望するぞ!」

揺杏「……ほほう?」

衣「大人っぽいやつだ! 大人っぽいやつ!」

揺杏「ふむふむ……」

衣「そう! 綺麗なお姉さんに見えるような服だ!」

揺杏「…………な、なるほどね?」

灼「大人っぽいの大人っぽいのって言っちゃう辺り……ね」

智紀「うん……背伸びした感じがまた……」

灼「かわいらし……」

智紀「うん、かわいいよね……」

衣「聞こえてるからな!? ゆあんも笑うな!! しずのもなんとか言ってくれ!」

穏乃「え? えーと……」



穏乃「大丈夫です! 天江さんかわいいですよ!」


衣「そうじゃなくって!!」


穏乃「えと、身長伸びなくても逆にかわいさに拍車がかかるというか!」


衣「慰めるなの言葉はいらん! そこでもなく!!」


穏乃「その……大丈夫です! これから成長期来るかもしれないですし!」


衣「大人っぽいと言え!!」


カン!

こんなところで。
龍門渕すごい好きなんでもっといろいろ挑戦してみたい…

あわたんイェイ~
一応淡ってか白糸台ネタの書き溜めあったんですけど案の定間に合いませんでしたね…

今週うまいこと切り抜けられれば時間が取れるようになるはずなので、そしたら更新ペース上がると思います
現在ストックの半分が咲ちゃんという俺得だけど確実にネタなくなる状況なのでキャラ名挙げてっていただけると助かります…

阿知賀勢からイケメン認定されてなかった京ちゃんわろた

穏乃と咲の二人でインドアとアウトドアの良さを伝え合うとか

原作であった雑誌の女子選手の人気ランキングに入り取材を受けるとか見てみたいです

シチュが思いつかないけどちゃちゃのん見たいです

>>395京ちゃん三枚目だから仕方ないね…

年内には何とか投下できるようにしたいです。ここは設定的にいつまでも夏なんでクリスマスも年末年始も特別なことはしませんが間に合えば清澄やシノハユ辺りで別に投下するかも

有珠山日和!シノハユ!多忙で落ち込んだテンションを上げるには十分でしたね。今週中に投下目指します。>>396の雑誌ネタを絡めて…取材とかよくわからんのでちょいアレな感じになるかもですが

慕ちゃんと耕介のあの感じはこっちの妄想とすごく一致しててヤバい。あとハルちゃんがかっこよすぎる。シノハユ楽しすぎる

灼、末原、菫のファッションセンスを何とかするための話し合い

>>410阿知ポで弘世様はファッションセンス以上の何かを失いましたね。おもちとか

思ってたよりも時間取れない…投下します


晴絵「雑誌の方からさ、また取材したいって話来てんだけど、どうする?」

穏乃「インターハイの前に来たところですか?」

灼「必要なら……」

憧「……私はパスしたいんだけど、めんどいし」

玄「松実館の宣伝とかしても平気かなぁ?」

宥「やり過ぎなければ、平気なんじゃないかなぁ……?」

晴絵「まあ、やりたくなければ別に断ってもいいんだけどさ。 一応奈良代表は準決勝進出だって初だったわけだし、私とか和とか……そこら辺もネタとしておいしいと思ってるらしいのよ。 ある程度は有名税というか、そういうもんだと思って割りきってもらえると助かるんだけど……」

穏乃「私は構いませんよ! 赤土先生や小走さんたちもやってたんですよね?」

玄「大丈夫です! 頑張ります!」

宥「まあ、少し質問に答えるぐらいなら……」

灼「……どする? 嫌なら、なんとかするけど」

憧「……ま、いいわよ。 みんなそこそこやる気あるみたいだし」

晴絵「うん、悪いな。 雑誌社の方に連絡とってくるから、日程決まったらまた伝えるよ」


玄「お姉ちゃん! ここでアピールしておけば松実館の売り上げアップ間違いなしだよ!」

宥「その、インターハイの取材であって……」

穏乃「あ、気合入れてみたけどインハイに前来たときは私ほとんどやることなかったんだった!」

灼「今回は穏乃も結構いろいろ聞かれると思うよ。 準決で一位抜けしたのもあるし、決勝の大将戦もすごかったから……」

憧「……そうね。 しずはけっこう注目されてるんじゃない?」

穏乃「……憧、大丈夫? それともけっこう本気で取材嫌?」

憧「んー……なんというか……ねぇ?」

灼「ねぇ? と言われても……」

玄「憧ちゃん、あそこの雑誌自体はけっこう読んでたよね? 嫌いってわけじゃないんでしょ?」

憧「いや、去年とかはさ? 来年のライバルたちが載ってるんだーって思ったら読んでて楽しかったんだけどさ……」

宥「情報収集だーって、いろんな雑誌読んだもんね」

憧「……ここ、なんかさ……インハイ参加選手の人気投票とかやってんじゃん? 端から見てる分には楽しいけど……」

穏乃「麻雀では一位のチャンピオンもそっちだとまた違ったもんね……強ければいいってもんじゃないんだねー」

憧「うん、まあ……それでさ」

灼「……自分の順位が気に入らな……?」

憧「違うっつの!」

灼「冗談だってば……」

憧「なんか、キモくない? 知らない人たちにそんな、投票されたりなんだりって……」

玄「そう? 私は別に、応援してもらえてるんだなって思うけど……」

宥「応援してもらえるなら、うれしいよね」

憧「むー……こっちは真面目に麻雀やってんのになんかそんな……見世物にされんのとちょっとさー」

灼「ん……でもまあ、例えばプロになればそういうのもついて回るよ?」

憧「まだ高校生だし……っていうかこれさ……結局見た目の好みじゃないの!? 不快なんだけど!」


灼「あー……なるほど」

穏乃「うーん……でもさ、そこは雑誌の方も商売なんだし、読んでる人もかわいい子の方が好きってなるのは仕方ないんじゃないの?」

宥「穏乃ちゃん、そういうところは意外とドライというか、大人というか……」

宥「それでも、麻雀の腕だって反映されてるでしょ? 特集とかだって個人戦の有力選手とか……」

憧「でもさ、今年のだって例えばチャンピオンより鹿老渡の佐々野さんが大きく取り上げられてたし……なんというか、正当に評価されてない気がする! あ、別に佐々野さんが下手くそとかそういう意味じゃないけどね?」

穏乃「そういうもんかなぁ……?」

憧「うちだってさ! 写真載ってたけどしずと宥姉写ってなかったし! 灼さんも軽く見切れかけてたし! おかしいじゃん!」

灼「……それで怒ってるの?」

穏乃「私は全然気にならなかったけどなあ……むしろそういうのに写るのもなんか恥ずかしいし」

玄「憧ちゃん優しいねー」

宥「あったかいねー」

憧「な、なによ……べ、別に! そういうんじゃないし!」


穏乃「ま、私はあんまり気にしてないし……せっかくいい成績だしたんだしさ、記念だと思って、ね?」

灼「……将来プロを目指すとしたら、いい記事書いてもらえれば有利になるかも……記者さんとのコネにもなる?」

宥「去年までは晩成の人たちも取材受けてたんだし……」

玄「実家の宣伝も……」

灼「玄、気持ちはわかるけどほどほどにね……」

憧「……そんなにみんなで言わなくても大丈夫だって。 決まったことだしちゃんとやるわよ」

穏乃「……ねぇねぇ、取材ってどんなこと聞かれるのかな? この前はほとんど玄さんと灼さんにまかせちゃったし、よくわからないんだけど!」

憧「えぇ……? どうせたいしたこと聞かれないっしょ。 しずは大将戦のことじゃない?」

灼「だれも個人戦エントリーしてないし、そこら辺も聞かれるかも?」

宥「個人戦といえば、対戦した視点からの結果予想とか?」

玄「さっきの話だと赤土先生や和ちゃんのことも聞かれるんじゃないかな?」

穏乃「なるほど……わ、私作法とか大丈夫かな? 敬語とかは平気だと思うんですけど……」

憧「……とりあえず取材の時は制服着てね」

穏乃「……はーい」

玄「あ! そんなに心配なら、取材とか経験ある人のところに聞きに行けばいいんじゃないかな?」

穏乃「なるほど! さすが玄さんです! その発想はありませんでした!」

宥「えっと、それじゃあ……」

灼「とりあえず、近場から……」


晴絵「へ? 取材とかどうするか?」

穏乃「あまり経験ないから緊張しちゃって……」

晴絵「あーそっか……適当でいいんじゃないか? 聞かれたことに普通に答えればいいと思うぞ?」

憧「適当ってハルエあんたねぇ……」

晴絵「あ、いや! 別に雑にやれってことじゃないからな!? んー……私は小学生の時からちょこちょこあったからなぁ……」

玄「そうなんですか?」

晴絵「小四の時はじめて全国大会に出て、その時少し記事になって……インターミドルやインハイまであったからな。 最近は実業団でも打ってたし……まあ、すぐに慣れるよ。 勝ってりゃ機会は増えるしな」

灼「さすがハルちゃん……」

晴絵「おう、まぁな!」

宥「あまり、緊張とかしなくてもいいんですかね……?」

晴絵「いいよいいよ、素直に答えとけば……あ、明らかに言っちゃダメなこととかは言うなよ?」

玄「例えばどんなことですか?」

晴絵「ん? えーと……」

灼「赤土監督は優秀な雀士であり指導者でもありましたが、普段はどのような?」

憧「プリントは配り忘れるし板書は間違えるし教師としては落第点でーす」

晴絵「そう! そういうやつ……ってこら! 私そこまで酷くないだろ!?」

穏乃「……大丈夫です! 赤土先生には本当に助けられました!」

宥「対策もたくさん考えてもらって……」

晴絵「……二人とも少し考えなかったか? まあいいや、心配なら私よりも他の知り合いに聞いてみたらどうだ? 私のインハイも10年前だし、一回しか出てないしな……」

玄「そうですか……やっぱり今とは違うんですかね?」

穏乃「それじゃあ、ちょっと出掛けてきます!」


やえ「……で、私のとこ来たわけ?」

穏乃「同郷の先輩ですし、ちょっとアドバイスいただけないかな、って!」

玄「こんにちは! お邪魔してすみません……」

灼「急にごめ……忙しいよね?」

やえ「……別に、構わないわよ。 あんたたちが県代表なんだかんね? 変な記事書かれたらこっちだって恥ずかしいの!」

憧「……小走さんも素直じゃないですよねぇ」

宥「憧ちゃんがそれ言うんだ……」

やえ「新子も余計なこと言ってんじゃないわよ! ったく……でも、私とあんたらじゃ立場も違うでしょ?」

玄「立場、ですか?」

やえ「まずは、学校ね。 晩成と阿知賀じゃ前提が全然違うでしょ? 例えば、大会前だったら『優勝にかける思いは?』みたいなこと聞かれるわよね? 私だったら晩成の出場歴に対して、未だに県人未踏だった準決勝とか、そういうところに触れるわけだけど……」

穏乃「うちだと、赤土先生の話とかが出てきましたね」

やえ「そういうこと。 他にもいろいろ違うでしょ? 団体戦の後だとそこら辺の結果を踏まえて個人戦への意気込みとか、そういう話になるのが定番だったけど……あんたたちは個人戦出てないもんね」

宥「は、はい……すみません」

やえ「あ……べ、別に怒ってないわよ! そんなにびくびくしなくてもいいでしょ!?」

宥「ご、ごめんなさぃ……」

やえ「う……こ、こっちこそ大声だして悪かったわ。 ……その、あとはやっぱり赤土監督とか……長野の原村? WEEKLY麻雀TODAYの記事は読んだけど仲いいんでしょ? そこら辺はやっぱり聞かれると思うわよ。 マスコミってそういうの好きだしね」

憧「因縁の対決! みたいなやつですよね……近所だと愛宕さんと江口さんとかもけっこう記事になってましたし」

やえ「あいつら揃うとうっさいから同卓したくないのよね……ま、打つ分にはいい相手だけど。 ……っていうかどこの取材が来るのよ? 原村の記事書いてたWEEKLY麻雀TODAY?」

灼「いや……大会前に注目選手とか抜き出して、ランキングとかとる……」

やえ「……ああ、あそこね」


玄「……嫌そうな顔しますね?」

やえ「あんま好きじゃないのよ。 こっちは真面目に麻雀やってんのに……人気投票とかなめてんの? って話! 結局アイドル作りたいだけで麻雀の腕を評価してるわけじゃないのよ!」

穏乃「……憧と同じこと言ってる」

憧「ふん……やっぱりそういうことなんじゃないの?」

やえ「……とは言っても、ひとつの指標になるのは確かなのよね……プロ雀士だって実力があるのは大前提だけど、集客率も求められるわけだし……」

灼「……順位を取れればプロ入りで有利?」

やえ「多少はそういうとこもあると思うわよ? そういうとこだけ考えるなら赤土監督のこと絡めていい話な感じで作ってもいいんじゃない? 私はそういうの好きじゃないけど」

灼「……やらないよ。 ハルちゃんのこと変に書かれるのも嫌だし……」

やえ「ま、私も素直に答えるのが一番だと思うけどね……あ、あとプライベートなことも少し聞かれるかもだけど嫌なら答えなくてもいいからね!」

穏乃「プライベートなこと?」

やえ「普段何してるとか……仕方ないんだけど、麻雀の話しなさいっての!」

憧「ほんとですよね! 麻雀やってんのはそんな話するためじゃないっつーの!」

玄「普段は実家のお手伝いしてます、って言うのはアリだよね?」

灼「本当のことだしいいんじゃない?」

玄「……ちょっとさりげない宣伝するために話詰めとこうか」

灼「うん、こう……実家の手伝いをしながら頑張る系女子として……」

やえ「……実家が商売してるとそんなもんなの?」

宥「え、はい……まあ……」

やえ「……ま、いいんじゃないの? そういうつもりなら名前売るには絶好の機会でもあるんだし……」


やえ「あ、それにあんたたちは公式戦出場経験あんのも新子だけでしょ? インハイはそういうの多いけどチームでとなるとそんなにないしなにか言われんじゃない?」

穏乃「それも赤土先生のお陰ですね!」

灼「やったー! ハルちゃんかっこいー!」

やえ「……たまにあんたがわかんなくなるわ……やっぱり凄いわね、阿知賀のレジェンド」

憧「ハルエ、その呼ばれ方はもう流石に……って感じみたいですけど……」

宥「このままプロになったりしたら一生言われるんだろうねー」

灼「玄も麻雀続けると言われ続けるよ。 ドラゴンロード……」

玄「それは……ちょっぴり恥ずかしいなぁ」

憧「松実館継ぐならあんま関係ないっしょ」

穏乃「それに大丈夫ですよ! かっこいいですから!」

玄「えへへ……そうかな?」

やえ「……まあ、あんたがいいなら別にいいけど……阿知賀は若いチームだし、今後は取材とかの機会も増えていくでしょうから少しずつ慣れてけばいいんじゃない? 来年はうちがインハイ出るけどね」

灼「……来年も、負けないよ」

穏乃「県大会はとりあえず晩成、って状況は変えてみせますから!」

やえ「ふふ……県大会は抜けて当然の晩成だからね。 プレッシャーってのは元からあったけど、あんたたちが出てきたお陰で今まで以上に部の気が引き締まって来たからね……そこは感謝してなくもないわよ」

憧「ライバルがいた方が力も入りますからね。 うちのが格下とはいえ、切磋琢磨していける関係にはなりたいんで」

やえ「そのあんたたちが全国決勝まで行ってんだから、こっちだって負けてらんないわよ。 私自身はもうあんたらと公式戦で打つ機会がないのは残念だけど、個人戦はあんたらに恥ずかしくない結果を出して見せるから期待してなさいよね!」

宥「応援してます」

玄「頑張ってください!」


――――――

穏乃「って話をしてきてね? やっぱり小走さんは頼りになるなー……さすがは晩成の部長って感じ?」

優希「なるほど……それで、のどちゃんのところに?」

憧「そ、小走さんが知り合いなら聞いてきたら? って……和ってインターミドルのチャンピオンだし、けっこう経験あるでしょ?」

和「ええ、まあ……でも私はあまりそういうのは意識したことありませんからアドバイスできるかと言うと……」

玄「そうなの?」

和「いつも聞かれたことに答えているだけですし……」

宥「へぇ……でも、なんだか和ちゃんっぽいかな」

灼「……部長だと、話すこともあったんじゃないですか?」

久「うちはもともと和が名前売れてるからねー……取材はほとんど和に来てたから」

まこ「それに、意外と緊張しいじゃからのう……たいしたこと喋れてなかったわ」

久「ちょっと、余計なこと言わないでよ!」

玄「それは……ほんとに意外ですねぇ」

久「雑誌の取材とかはじめてだったんだもん……」

まこ「県大会後は、咲んとこにも来とったな」

灼「……天江さんを倒して、注目された?」

優希「咲ちゃん全然話せてなかったけどな! それにしても私のところにほとんど来なかったのは解せぬ事態だが……」

穏乃「……そういえば、宮永さんは?」

和「須賀くんと外出してるんです。 咲さんが本を買いに行きたいと言っていたので……」

まこ「一人で行かせると帰ってこれなくなるんでな」

憧「ああ……」

玄「一緒に行かなかったんだ?」

和「なんでも、龍門渕さんが用事があるとおっしゃっていたので……」

透華「失礼いたしますわ!」

優希「噂をすれば、だじぇ」


衣「衣も来たぞ! 咲はいないのか?」

まこ「すまんのう、外出中じゃ」

久「いらっしゃい」

純「邪魔するぜ……お、阿知賀のメンバーもいんのか」

憧「こんにちはー」

優希「今日はどうしたんですか?」

透華「大切な用事がございまして……」

宥「……外した方がいいですか?」

智紀「……そんなに深刻にとらなくていい」

一「どっちかと言うとくだらない用事だから……」

透華「原村和!」

和「は、はいっ!」

透華「勝負ですわ!」

穏乃「勝負ですか!」

久「あーはいはい、いつものやつね」

優希「いつものやつだじぇ」

純「な?」

灼「……暇なんだね」

智紀「うん」


透華「ふっ、今日はひと味違いましてよ? 今日はバスケットボールで勝負ですわ!」

和「バスケ……ですか?」

一「衣がやりたいって言うからさ」

智紀「ちょっとやってみようかという話になり……」

衣「ののかと遊びに来たんだ!」

和「そうですか……しかしその、やったことがないのですが」

透華「お気になさらず! 私も未経験でしてよ!」

純「わりぃな、こういうやつなんだよ」

優希「とりあえずやってみるか!」

穏乃「私もいいですか? 最近麻雀漬けで運動不足気味で……」

透華「構いませんわ。 さぁ、近くの公園にゴールが設置されているのを確認済みですわ! 行きますわよ!」

和「か、構いませんがルールの方が……」

純「行く途中で教えてやるよ。 つーか透華もルール知らねぇし」

憧「……よくそれで勝負しに行く流れになりましたね」

智紀「原村さんと遊びたいだけだから」

一「透華も衣も原村さん大好きだからねー」

玄「仲よしですよねえ」

透華「智紀、一! 何を言ってますの!? 私、原村和のことなど別に好きじゃないですからねっ!」

灼「……今日はこの手のパターンよく見ますね」

宥「流行ってるのかなぁ……」


一「っていうか大丈夫だった? ボクたち急に来ちゃったし、なにかお話し中だったんじゃない?」

穏乃「今度、雑誌の取材が来るんですよ……あまり慣れてないからどんな感じなのかなって……」

透華「そんなの、簡単なことではないですか」

穏乃「え?」

透華「世の中目立ってナンボでしてよ! なにを聞かれても堂々と返せばよろしい! 来年は団体戦と個人戦の両方で優勝する、ぐらい言ってしまいなさい!」

穏乃「おお……龍門渕さんカッコいい……!」

透華「ふっ、褒めてもたいしたものは出ませんわよ? ハギヨシ、皆さんになにかお飲み物を……」

ハギヨシ「かしこまりました、お嬢様」

玄「あ、萩原さん……」

まこ「……もはやどこから出てきたのか、とかも気にならなくなったのう」

憧「慣れって怖いですね……」

透華「それでは、目立つための方法を私が道中教授して差し上げます! 皆さん、出発しますわよ!」

久「……あ、私たちも行く流れ?」

智紀「無理にとは言わないけど……」

久「んー……今日はパス! まこー、腰揉んでー」

まこ「あんたは年寄りか……ほいじゃあそこに横になってな」

優希「私は行くじょ! のどちゃんを一人で戦わせるわけにはいかんからな!」

和「心強いです、ゆーき!」

衣「とーかには衣がついているぞ!」

透華「私たちの力を合わせれば敗北などあり得ませんわ!」

穏乃「おお……熱血スポーツ物の空気!」

一「とりあえずルール覚えるところからだけどね」


―――――――

憧「にしても、どうして急にバスケなんですか?」

一「この前話したときに、バスケは身長を伸ばすのにいいって話が出たでしょ?」

玄「それで天江さんが? 身長なんてそんなに気にしなくても……」

智紀「例えば、ここに胸を大きくする方法が……」

玄「憧ちゃん! ちょっと試してみようよ!! 大きくなったら触らせてよ!!」

憧「大きなお世話よ!! アホ玄!!」

智紀「まあそういうことで」

宥「なんか違う気もするけど……」



純「智紀、ちょっと端末貸してくれ!
口で言ってもあんま伝わんねぇ…… 」

透華「純の説明が分かりにくいんです!」

穏乃「細かいところはやりながら覚えればいいんですよ!」

和「それにしてもけっこう大きいんですね、ボール……」

優希「最初からボールを二個抱えてるのどちゃんは少し不利かも……」

透華「くっ……勝ったと思わないことです! 勝負はこれからですわよ!?」

和「二人ともどこ見て言ってるんですか!」

智紀「……わかった。 今行く」

憧「あれですよね? なんか、ダブルドリブルとか、トラベリングとか、そういう……」

純「うん、まぁ……とりあえずみんなで遊べりゃいいんだよな?」

衣「それはそうだが、背が伸びなきゃダメだ!」

純「無茶いうなよ……」



一「お父さん役も大変だなぁ」

灼「……ね、国広さん」

一「なぁに?」

灼「さっき、龍門渕さんが言ってたことだけど……去年、あんな感じだったの?」

一「ああ、取材の話?」

灼「ん」

一「そうだなぁ……」


一「長野は去年まで風越が五連覇中だったし、龍門渕も去年までのメンバーが一人もいない状態での優勝だったから県内でもすごく注目されてたんだよ」

玄「うちが晩成を倒したのと似たような状況だったんですね」

一「そう。 だから取材とかもけっこう来てさ……透華はもともと目立ちたがり屋だし、派手なのが好きだから、大きなこといっぱい言ってたよ」

灼「ビッグマウス?」

一「そうだね。 それでも透華は口にしたら大抵のことはやり遂げるし、そのための努力も惜しまないからボクたちみんなついていくんだけど。 ……まあ、去年は結局負けちゃったけどね」

宥「それでも、天江さんが同時に三校トバしたり、準決勝で敗退したのに歴代最多得点でMVPでしたよね?」

一「まあ、かなり派手に目立ったよね……今年雪辱して優勝のつもりだったんだけど……まあやられたらやられたで、前向きに努力できるのも透華のいいところだよ」

玄「べた惚れですねぇ」

一「へへ……まあね。 まあ透華はそんな感じだけど、透華と鷺森さんだと同じ部長でもやっぱり違うからね。 参考になるのかな?」

灼「ん……ありがと、参考になった。私はたぶんやらないけど……」

一「あはは、だよねー」

玄「私は、来年こそは先鋒としてしっかり稼げるように頑張るよ!」

一「うん、そういう意気込みを出してく感じでいいんじゃないかな」

宥「頑張って、玄ちゃん!」

灼「頼りにしてる」

玄「おまかせあれ!」


透華「……ああ、見えてきましたわ。 あそこの公園です」

優希「よしっ! 一番乗りはもらったじぇ!」

穏乃「あっ! 負けないよ優希!」

衣「むっ! 衣も行くぞ!」

透華「勝負事なら敗北の二文字はあり得ませんわ! 純、行きなさい!」

純「オレが走るのかよ!? くそっ……!」

憧「まったく、しずも優希も子どもなんだから……」

一「うわ、みんな足速いなぁ」

智紀「同時に走り出したのに置いてかれる衣……かわいい」

灼「ほんと天江さんかわいい……ウサギドラちゃんに並ぶレベル……」

憧「……灼さんの感性ってやっぱりちょっとわかんない」

和「……追い付けませんし、のんびりでいいですよね? ルールも覚えないと……」

宥「難しそう……私は見学でいいかなぁ」

玄「穏乃ちゃんもやるみたいだし、私は少しやってみようかなぁ……」


穏乃「いぇいっ! 一番乗りっ! ……あ」

セーラ「お、高鴨! また会ったな!」

竜華「穏乃ちゃんや! よくよく縁があるなぁ」

穏乃「千里山のみなさん! こんにちは! 」

優希「むぅ……まさか私がスピードで負けるとは……お? えっと、たしか大阪の……」

泉「あ、長野の一年エース……」

怜「めっちゃおいしそうにタコス食べる子や」

浩子「清澄の片岡ですね。 どうも、北大阪の千里山です」

優希「これはどうもご丁寧に……」

衣「純! なにをやってるんだ! 透華に申し訳がたたんぞ!」

純「お前を抱えてるから遅れたんだよ!……お」

セーラ「ん? 天江衣と……」


純「千里山の男女!」
セーラ「龍門渕の男女!」


純「オレは女だ!」
セーラ「俺は女や!」


泉「……息ぴったりですね」

竜華「早速仲よくなったみたいやなー」

怜「あれは仲いいんか?」

浩子「清水谷部長の目ってわりと節穴ですよね」


純「……なんだよ、個人戦あるんじゃねぇのか? 練習もしないで余裕だな? 準決敗退のわりにはよ」

セーラ「うちらかて息抜きに散歩ぐらいするわ。そっちこそ東京まで観光か? 県大会で敗退したやつらは暇そうで羨ましいわ」

純「あ?」

セーラ「なんや? やんのか?」

竜華「セーラ楽しそうやなー」

泉「いやいやいやいや! 一触即発ですやん!」

怜「いくらセーラでも大会中に問題起こしたりせぇへんよ」

純「……去年は千里山とは結局当たらずじまいだったからな……ここで決着つけてやる」

セーラ「はっ! お前らが臨海にやられたんが当たらんかった原因やろ……まあええわ。 去年のオーダーなら先鋒やったんも俺やからな……叩き潰してやるわ!」

純「よし……バスケで勝負だ!」

セーラ「なんでやねん! 麻雀やないんか!!」

純「いや、オレらバスケしに来たから……」

セーラ「じゃあみんなちょっと手ぇ貸してや」

泉「あれ? やっぱり仲いい? ……別に構いませんけど」

怜「ウチ、病弱やから……」

竜華「私ルールよくわからんし……」

浩子「スポーツは守備範囲の外ですわ」

セーラ「ええ……じゃあ高鴨こっちチームな! 3on3や!」

穏乃「あ、はい!」

純「ちょ、待てよ!それってこっちオレとタコス娘と衣ってことか!?」

優希「こら、ノッポ! どういう意味だ!?」

純「そのまんまの意味だよ! そもそも衣だってルールわかってんのか!?」

衣「バスケをすると背が伸びる!」

純「それはルールじゃねぇよ!」


憧「うわ、また人増えてる……」

透華「あら、あの制服に学ランの……千里山女子ですわね」

和「去年の全国二位でしたか……憧や玄さんが対戦したところですね」

泉「お、ちょうどいいじゃないですか! 仲間が来たんなら普通に試合できるやないですか! 勝負や原村!」

和「え? わ、私ですか!?」

透華「お待ちなさい! 原村和と勝負するのは私が先でしてよ!」

智紀「原村さんモテモテだね」

灼「人気者だね」

透華「どうしてもというのなら純をバスケで倒してからになさいな!」

泉「あんたが戦うんやないんか!?」

透華「ルールもまだ完璧ではないですし……」

泉「なんであんたらバスケしようと思ったん!? 麻雀せぇや!」

玄「言われちゃいましたねー」

一「返す言葉もないよねー」

宥「泉ちゃんこんにちはー」

泉「あ、宥さんこんにちは……やなくて!」

セーラ「どうなん? みんな運動できんの?」

透華「これからルールを覚えるので……」

和「少し待っていただかないと……」

智紀「ルールはともかく運動は……」

一「ボクは大丈夫だけど……」

憧「私もいけますよ。 ここ来るまででルールも覚えたんで」

玄「えっと、少しやってみたいかなって……」

灼「数あわせでいいなら……」


セーラ「な、高鴨……みんなどんな感じなん?」

穏乃「国広さんはわからないですけど、憧はけっこう動けますよ。 小学生の頃とか一緒に山を走り回ってましたし……玄さんと灼さんは……平均ぐらいですかね?」

セーラ「ふーん……よし、とりあえず憧ちゃんこっちな! 高鴨もおるし!」

純「な、おい! きたねぇぞ! 新子はオレんだ! こっち来い!」

憧「ふきゅ」

一「おぉ、大胆発言……」

純「国広くんもこっちな! 龍門渕だし!」

一「ん、まあいいけど……」

セーラ「ちっ! じゃあ玄ちゃんと鷺森はよろしく頼むで!」

玄「は、はいっ!」

灼「っていうかどういう状況?」

セーラ「バスケで勝負や!」
純「バスケで勝負だ!」

灼「それは知ってた」

竜華「どーもー! 龍門渕さん、千里山の清水谷です! よろしくなー!」

透華「はじめまして! 龍門渕透華と愉快な仲間たちですわ!」

智紀「……愉快な仲間Aです。 いぇーい」

怜「愉快な子がおる!」

浩子「そもそも龍門渕さんが愉快ですよね」


――――――

竜華「へぇ……それでバスケなん?」

宥「もともとは雑誌の取材どうしようって話だったんですけど……いつの間にか」

浩子「聞かれたことだけちゃんと答えておけば大丈夫ですよ」

怜「でも気持ちはわかるなぁ……私も名門千里山で三軍からいきなりエースやったし、最初はなに聞かれてるんかもようわからんかったもん」

竜華「ちょっと自慢入っとるやん」

透華「せっかくエースになったのですから堂々としてればよかったのでは?」

浩子「注目度的には阿知賀は高鴨さんですかね? 大将戦は評価されてると思います……宥さん個人の大会成績すごくよかったですけど、プロ入りとか考えないんですか?」

宥「私はあまり……家のこともありますし」

浩子「そうですか……まあ、心配なら私が予想される質問リストアップしてお渡ししますよ」

宥「わぁ……ありがとうございます。 そんなこともできちゃうんですね」

竜華「浩子のデータは完璧やで!」

智紀「……それじゃあ、私も」

透華「智紀! やるからにはあちらよりも素晴らしいものを準備なさい!」

和「そんなになんでも対抗しなくても……」



純「っらあ!」

灼「おお……ダンクってやつ?」

憧「か、かっこいい……」

泉「ちょ、あいつでかすぎですって! 身長差どうにもなりませんよ!?」

純「はっ! どうだ!」

セーラ「ビビんな!あんなん派手なだけや! ……玄ちゃんこっち!」

玄「わわっ………えいっ!」

セーラ「ナイスパス! っだぁ!」

純「スリーポイント!?」

セーラ「あんなん気にすることないわ……俺がその倍点取ったるで!」

穏乃「セーラさんカッコいい!」

衣「優希! 衣にボールをよこせ! 」

優希「まかせるじぇ!」

純「あ、おい!」

衣「たぁっ!!」

泉「へぶぉ!?」

衣「顔面セーフか?」

純「それはドッジボールだよ!」

一「ストップストップ! ゲーム止めて!」


宥「泉ちゃん大丈夫? 」

和「ティッシュ使ってください……鼻血出てますよ?」

泉「あ、ども……」

衣「…………ごめんなさい」

泉「いや、えっと……その、よくある勘違いですから! 気にしないでください!」

怜「いや、そんな勘違いそうは起こらんやろ」

純「悪気はないんだよ……すまねぇな」

一「うちの子が」

衣「こどもじゃない!衣だ!」

純「繋げんなよ! 産んでねーよ!」

一「純くんはお父さんだもんね」

純「そこじゃねーよ!」

一「あはは、今ならお母さん枠が空いてるよ、新子さん」

憧「ふきゅ」

竜華「でも純くんめっちゃかっこええやん! あんなん惚れてまうわー! セーラもあれやって見してー」

セーラ「俺の背じゃダンクは無理やなぁ」

怜「2mくらい跳べんの?」

セーラ「さすがにちょっと難しいわな」

和「……ちょっと?」

浩子「猿かなんかなんですかね?」

セーラ「誰が猿や誰が!」

浩子「その身体能力を褒めてるんですよ」

セーラ「お、そうか!」

穏乃「セーラさんのスリーポイントも井上さんのダンクも凄かったです!」

セーラ「まぁな! ちまちま点取るよりスリー決める方が好きやねん」

純「目立ってナンボらしいからな。 魅せプレイ自体は嫌いじゃねぇし」

透華「その通り! 純、私にもあれを教えてくださいな!」

純「……とりあえず2m跳べるようになるか、あと20cmほど身長を伸ばしてだな」

透華「いきなり無茶を言わないでくださいな!」

純「お前がだいぶ無茶言ってんだよ!」

衣「透華! バスケをすると身長が伸びるらしいぞ!」

透華「ではやはりバスケの練習を! 帰ったらバスケ部に殴り込みですわ!」

智紀「……いちいち他の部活動潰さなくていいと思う」

一「そもそも今の実力じゃ勝てないって」


セーラ「そういや、取材がどうとか聞こえたけど……」

浩子「バスケしながらよく聞き取れましたね」

穏乃「今度うちにも来るんです。 どうしようかなって」

竜華「うちではセーラが一番取材慣れしとるんやない? 去年は二年生エースで注目の的だったんやで!」

セーラ「でもやっぱり俺と高鴨じゃ違うやろ……うーん、そうやなぁ……」

怜「ほら、ここでいいこと言うと株上がるで」

浩子「江口先輩ならきっといいアドバイスしてくれるんやろなー」

セーラ「あ、参考にするなら同じぽっと出の1年の方がええんやないか? この前一緒におった白糸台の大星とかチャンピオンと一緒に取材もかなり来とるやろうし!」

穏乃「なるほど! ちょっと電話して聞いてみます!」

怜「ってボケないんかい!」

竜華「なんで真面目になるん?」

浩子「がっかりですわ」

セーラ「真面目に答えてええとこやろ!?」

優希「本場は厳しいじょ……」

泉「私があそこでボケんかったらもう非難轟々ですわ」

宥「大変なんだねぇ」

透華「それでは私たちも……!」

智紀「ぶっつけで漫才はキツい」

一「そこは張り合わなくていいよ、透華」

穏乃「あ、もしもし? 大星さん、今大丈夫ですか?」

衣「白糸台の大将だったな? 奴もなかなかの奇幻な手合いであったが、人物の方は如何様なんだ?」

憧「アホです」

竜華「めっちゃかわいいで!」

灼「アホだけどかわいいですよ」

衣「なるほど、よくわかった!」

一「透華に似た感じかな?」

憧「あー」

透華「ちょっと!? 失礼じゃありませんこと!?」


穏乃「はい、いえ……ありがとうございます! また遊びに来てください! ダメですよ? 練習サボったら……はい、それでは!」

憧「あ、大星さんなんだって?」

穏乃「なんかね、弘世さんと亦野さんに『お前は秘密兵器だからあまり喋るな』って言われてたんだって! さすが王者白糸台って感じ?」

竜華「へー……そういうのも考えるんやな。 うちの監督はそういうことせーへんけど」

透華「わざわざ裏側に引っ込むなんてもったいないですわね……」

衣「なるほど、理由こそ違えど衣も取材拒否はしていたが……」

憧「……ああ、そういう……」

灼「……ああ、はい……なるほど……」

智紀「…………それってアホだから喋らせてもらえなかっ」

灼「やめてあげよう」

カン!


雑誌の取材までいかなかった。ネタがまとまればいつか…

日和で公式におバカだとかイタイだとか有珠山は愉快ですね
年末年始で時間あったら衣主人公に据えたダイ大クロススレ建てたい…時間がない…

レジェンドも10年前準決いってなかったっけ?

>>439ごめんなさい書きながらどっかで間違えてそのままミスってましたわ

今更ですがあけましておめでとうございます。年末年始となかなか時間が取れなかったのでこのままのんやり進行で行くと思いますが今後もよろしくお願いします
次回は咲ちゃん関係で来るかと思います

本編が進むたびにメグがくっそかわいいんだけど失点フラグばかり積み重なって辛い

投下します


東京の町並みは、私たちの地元よりもよほど入り組んでいる

だから見慣れない道に入っていったり、適当に歩いていれば多少は道に迷うということもあるかもしれないけど……

咲「うぅ……ここ、どこですか……?」

憧「……そこの道、ひとつ隣に入ったところが清澄の宿だと思うんですけど」

……東京に来てから一週間以上は経っているだろうに、どうしてこの距離で迷うのだろうか

咲「あ、ありがとうございます……助かりました!」

憧「……宮永さんって、方向音痴?」

咲「ち、違いますよ! 今日はたまたま……ちょっと道を間違えただけというか……」

……方向音痴の人ってみんなそういう気がするんだけど

咲「……あ、その! 私、灼ちゃんの忘れ物届けようと思って、阿知賀の宿に行こうと思ってたんですけど……一人じゃ……」

憧「……やっぱり迷子なんですか?」

咲「きょ、今日だけですよ?」

これ絶対常習犯よね……

憧「うーん……案内してあげたいけど、ちょっと今から用事があって……」

咲「……そうなんですか」

あ、そんなシュンとされるとなんか申し訳ないな……

でも、今日は巴さんと胡桃さんとショッピングの予定だ

私としてはかなり大切な予定なのでキャンセルはしたくないし……


咲「あうぅ……」

……あーもう! これほっといたら罪悪感ヤバいんだけど!

よくよく考えたら私が預かっとくとか、次会うときに渡せばいいじゃんとか、いろいろあるんだけど……

まず、私は宮永さんの所属する清澄には和という親友がいる。 優希だってこの間仲良くなった。 それなのに、同じ一年生の宮永さんだけさん付け+敬語とか……なんか感じ悪くない?

しずは……なんというか、元気だし敬語も嫌味のない感じでそもそもフレンドリーだけど……

私は、ちょっとそこら辺の……友達の友達的距離感うまく処理できないというか……中学の時なんかも初瀬に『変な敬語とかやめなよ』ってしょっちゅう言われてた気がするし

……昔はそういうのなく自然と友達作ってたのになぁ

あ、でも和の時はしずが『友達になろうよっ!』なんて言ってたっけ

……いやいや、無理! 高校生にもなって? 『宮永さん、友達になってください!』とか無理! 恥ずかしいしなんか友達いない子みたいじゃん!

っていうか、私はそれほど悪くないわよね!? 宮永さんだって敬語だし! 私だってあっちがタメ口だったら……あ、いや、それでも急にタメ口はやっぱりハードル高い気も……

咲「あの、新子さん……?」

憧「ふきゅ」

咲「ふきゅ?」

ああぁぁぁもう! 変な声出た! もうっ! もうっ! 恥ずかしいっ!

……よし! もう恥かきついでだ、もう宮永さんも誘って連れてっちゃおう! 一緒に買い物でもしてれば仲良くなれるだろうし、とりあえず名前で呼び会えるぐらいの仲までの進展を目指そう!

憧「さ、さ、ささ……宮永さん!」

咲「は、はいっ!?」

あ、へたれちゃった……

憧「私、これからこっちで知り合った友達とお買い物に行くんです……行くんだけど、それからでよかったら案内しま……するから!」

咲「本当ですか? ありがとうございますっ! それじゃあ、ここで待ってるので……」

憧「なんでそうなるのよ!?」

咲「あう……」

憧「あ、ごめんなさい……えっと、だから……よかったら一緒にどう……かな?」

咲「え……でも、お邪魔になっちゃうんじゃ……」

憧「大丈夫大丈夫! みんないい人だから! 行きましょ!」

咲「わわっ」


――――――

憧「というわけで、清澄の宮永咲ちゃんでーす!」

咲「あ、その……どうも……」

巴「……こんにちは」

胡桃「……よ、よろしく」

あれ? なんか変な感じ……ってこのふたり清澄に負けてインハイ終わったんじゃん! そりゃあ気まずくもなるってーの!

ああもう私のバカバカ! どうしよう……どうにかしないと……

咲「え、えと……清澄の宮永咲です……そちらは、永水女子の次鋒の狩宿さん?」

巴「あ、うん……えっと、巴でいいよ。 咲ちゃんって呼んでもいいかな?」

咲「あ、はい……よろしくお願いします、巴さん」

ん?

咲「それと、宮守女子の鹿倉胡桃ちゃん」

胡桃「胡桃ちゃん!? 私3年生だから! 先輩だよ!?」

咲「あ……すみません、小さくてかわいらしいからつい……」

胡桃「ちっちゃいって言わないの!」

咲「ご、ごめんなさい……胡桃さん」

胡桃「よし! それじゃあ私も咲ちゃんって呼ぶからね?」

あれれ?

胡桃「なんだか毒気抜かれちゃったよ……咲ちゃん、団体戦で当たった時すっごくヤバげだったし……」

巴「あの時は怖かったよねー」

咲「そ、そんな、酷いですよぉ……私だってあの試合は……」

……なんかすごい打ち解けてんだけど

咲「あ、新子さんそういえば……」

憧「なんでよ!?」

咲「ふぇ!?」


咲「な、なにがですか……?」

憧「なんで『新子さん』!?」

咲「え? ……新子さんですよね?」

憧「そりゃ新子さんだけども!」

咲「それじゃあ、新子さんじゃないですか」

憧「そうなんだけどね!? じゃあ灼さんは!?」

咲「え? なんで灼ちゃん?」

憧「灼さんは灼ちゃんじゃん!」

咲「? だって、灼ちゃんは灼ちゃんですよ?」

憧「灼さんは灼ちゃんだけども!」

胡桃「……憧ちゃん、麻雀は器用なのにね」

巴「ふふ……そういうとこ、かわいいと思うけど」

憧「ちょっと! ふたりとも笑わないでくださいよ! こっちは真面目なんですから!」

胡桃「はいはい」

巴「ごめんね?」


憧「とにかく! もっとこう……あるでしょ!?」

咲「え? え?」

憧「その……さ、さ……宮永さんはさ?」

咲「は、はい」

憧「……私に恨みでもあるわけ!?」

咲「えぇ!? う、恨みなんて、そんな……」

憧「でも、なんか……私にだけ距離あるし!」

咲「そ、そんなことないですよぅ……」

巴「憧ちゃん、一回落ち着いて? ね?」

胡桃「……さっきの流れでスッと呼んじゃえばよかったのに」

憧「なんかタイミング難しくて……」

胡桃「いやすごく簡単なタイミングあったと思うんだけど……」

巴「もう、照れくさいのはわかるけど咲ちゃんに当たったらダメだよ?」

憧「う……ごめんなさい」

巴「私に謝っても仕方ないでしょ? はい、頑張って!」

憧「あ……う……その、宮永さん?」

咲「は、はいぃ……」

胡桃「あーあ、憧ちゃんがあんまり怒鳴るから怯えてるじゃん」

巴「大丈夫だよ、怖くないよー」

憧「だから茶化さないで……ってごめん! 私がちょっとから回ってたというか、その……」


憧「な! 名前で!」

咲「……名前で?」

憧「わ、私たち同い年だし、和や優希とは普通に話してるのになんか変というか……敬語だってよそよそしい感じしちゃうし……その……」

咲「……うん! わかったよ、憧ちゃん」

憧「……私も、咲って呼ぶからね?」

咲「もちろんだよ! ……でもよかったよ、憧ちゃんわたしのこと苦手なのかと思ってたから……」

憧「え!? うそ、なんで!?」

咲「たまに、私の方見て難しい顔してたから……」

胡桃「やっぱり、憧ちゃんが余計なこと考えてうじうじしてたのがよくなかったんだよ。 しまいには逆ギレするし……」

憧「ぐむ……それは、ほんとに私が悪いですけど……」

巴「気持ちはわかるけどね……呼び方とか、敬語とか、変えるタイミング難しいし……」

咲「そうですよね……私も、県大会終わるまで和ちゃんのこと原村さん、って呼んでたし……」

憧「そうなの? 意外ね、仲いいのに……」

咲「私、部活に入ったのも少し遅めのタイミングだったし……最初の頃はいろいろあってむしろちょっと険悪だったから、ほんと仲良くなれてよかったよ」

憧「嘘ぉ!? 和と!? そんなこともあるんだ……」

胡桃「途中参加だとけっこう大変だよねー……うちもエイちゃんと豊音は冬ぐらいからの付き合いだし……あ、大変だったのは人間関係よりもエイちゃんの日本語特訓だった……」

巴「宮守は3人幼馴染みだったっけ?」

胡桃「うん! シロと塞とは小学生からの腐れ縁でねー」

憧「巴さんのところも長いんですよね?」

巴「うん、私たちもだいたい小学生から……それでも、修行して本家にお呼ばれする形だったから集まった時期にはけっこう差があるんだけどね」

咲「巫女さんって大変なんですね……」

憧「……巫女だからってみんながみんなそういうわけじゃないのよ?」


とりあえず、よかった

さっき決めた目標はすんなりと達成することができた

……にしても私、ちょっとテンパりすぎでしょ……まさか、毎度毎度距離感考えてたのを誤解されてるとは思わなかった

……普通にしてれば大丈夫なのよ、うん

変な思考に嵌まらなければ……自分で言うのもなんだけど頭の回転もいいし、要領もいい方だ。 普通に仲よくやれるはず……

巴「霞ちゃんが入ってきたのが一番最後でね? 最初の頃はけっこう人見知りして大変だったの」

咲「え? 石戸さんがですか?」

巴「霞ちゃん、ハッちゃんと元々仲がよかったから……神境に来た頃はずっとはっちゃんの後ろについて回ってて」

胡桃「……全然想像つかないんだけど」

巴「あの頃はハッちゃんが一番背も高かったし、一番お姉さんしてたから……たしかに、今の霞ちゃんとはっちゃん知ってると想像つかないかも」

咲「石戸さん、あんなに大人っぽいのに……」

巴「中身は意外と……ね。 ふふ、こんな話したら霞ちゃんに怒られちゃうかな」

胡桃「むしろ怒ってる霞ちゃんもいまいち想像つかないよ……」

咲「全部笑って許してくれそうですよね」

巴「霞ちゃん、けっこう普通の子なんだけどなぁ……前に玄ちゃんたちが遊びに来たときなんか……」

憧「え……灼さんから少し話聞きましたけど、やっぱり玄が迷惑かけたんですよね!? すみません!」

巴「ふふ……そうじゃなくってね? 霞ちゃん、玄ちゃんとハッちゃんがあんまり仲よくしてるからやきもち妬いて大変だったの」

憧「えぇ!? 石戸さんがですか!?」

……玄が着替え中の石戸さんに飛び掛かったとか、そんなんばっか聞いてたけど……いったい何が起きてたんだろうか


胡桃「霞ちゃんにもそういうことあるんだね……」

咲「意外です……」

巴「大人っぽく見えても同年代の女の子だから、普通にしてあげてね」

憧「むむ……石戸さんのイメージが……」

巴「ふふふ……あ、ごめんね? お買い物に行く予定だったのに話し込んじゃって……そろそろ行こっか?」

胡桃「あ、そうだね! 移動しながらでも話はできるし」

憧「行きますかー」

咲「それじゃあ、お供しますね……ところで今日はなにを?」

憧「んーとね、適当にぶらぶらして……」

胡桃「服とか見て……」

巴「なにか甘いものでも食べて解散?」

咲「まあ、そういうものですよね」

胡桃「うん、そういうもんだ!」

憧「女子高生だからねー」

巴「……普段山奥で暮らしてるし、女子高生っぽいことできるだけで私は楽しいよ……」

胡桃「……修行とかって、そんなに大変なの?」

巴「慣れてるしいいんだけどね……こう、人里に出てくるといろいろと顕著に感じるというか……」

咲「……憧ちゃんのおうち、神社だって聞いたけど……」

憧「私はそういうのしてないってば……巴さんのとこが特殊なの!」

咲「そうなんだ……」

巴「そうなんだよね……」


憧「あ、そういえば咲……今日は制服みたいだけど……」

咲「あ、うん……楽だし……」

憧「ちょっとーそれどうなの? おしゃれしようよ、女子高生!」

咲「私、あまりそういうの得意じゃなくって……」

胡桃「ほほう? これはこれは……今日は咲ちゃんを着せ替え人形で決まりだね!」

憧「んっふっふ……かわいい服、たくさん選んであげちゃうわよ?」

巴「ふたりとも、あまりやりすぎちゃダメだよ? 咲ちゃん、普段はどんな服着てるの?」

憧「……あ!?」

巴「え?」

胡桃「どうしたの?」

憧「こ、このパターンは……!」



初美『このハイセンスな着こなしが……』

一『いつになったらボクたちのセンスに時代が追いついてくるのかな?』

穏乃『そうですよね! やっぱり薄墨さんも国広さんも最高ですよ!』



憧「……咲! 大丈夫!?汚染されてない!?」

咲「お、汚染!?」

胡桃「……憧ちゃん、かなりのトラウマになってるよね」

巴「ハッちゃんが……本当にごめんね、憧ちゃん……」


咲「私は普通に、その……パーカーとジーンズで適当に……」

憧「よかった……変な影響は受けてな……ってちょっと! もう少し気を遣った方がいいって! せっかくかわいいんだから!」

胡桃「うん、まあもったいないね……女子高生やってられるのも3年間しかないんだし」

巴「清澄の子たちと服買いに行ったりしないの?」

咲「みんなと行ったときも同じようなこと言われたんですけど……」

憧「けど?」

咲「……和ちゃんのすすめてくれる服、ちょっとフリフリ過ぎて私には合わないというか……」

憧「……ああ」

和もかなりマイノリティで偏った趣味だったわね、そういえば

灼さんは最近揺杏と話したりしてるうちに改善の兆しも見えてきてるし、和も少し矯正……いや、でも和はあれが似合っちゃうんだよなぁ……スタンスも基本的に灼さんと同じで、みんな自分の好きな服着ればいい、って感じみたいだしあまり口出ししない方がいいんだろうか

巴「フリフリ……」

胡桃「あれ? 実は着てみたかったりする?」

巴「う……まあ、人生で一回くらいは……なんというかうちって基本和服だし、そういうのってないから……いや、似合わないと思うけど……」

憧「そんな予防線張らなくたって大丈夫ですよ! 探してみましょう?」

胡桃「そうそう! 巴ちゃんならちゃんとしたの見つかるって! その点私はいいと思ったのがあってもサイズがなかったりするのしょっちゅうだし……店員さんに話しかけると子供服売り場に連れてかれたり……」

咲「あっ……そっか、胡桃さん……」

胡桃「納得しない! ちゃんと突っ込んで! 惨めになるから!」

咲「す、すみませんっ! 気をつけます!」

憧「……気にしてるならネタにしなければいいのに」

巴「ネタにしないとやってられない……っていうのもあると思うけどね」


憧「まあ、咲の服はこれからなんとかするとして! 身だしなみももう少し気を遣いなよ……共学でしょ? 男子部員もいるんだしさ……ほら、髪も跳ねてるし」

咲「そこは寝癖じゃなくってそういう癖っ毛で……」

巴「そっか、清澄は共学なんだ……男子部員? その子も大会に出てるの?」

咲「あ、はい……京ちゃんへたっぴだから県予選で負けちゃいましたけど」

胡桃「京ちゃん!? え、親しすぎない!? 」

咲「いや、付き合いが長いだけで……」

巴「つ、付き合って長い!?」

咲「違いますってば! もう、女子校の人ってこういう話題好きすぎるよ……」

憧「そりゃあ気にもなるでしょ。 そういう話題身近にないんだもん……実際どうなのよ? この前遊びに行ったとき、二人で出掛けてたって聞いてるけど?」

胡桃「男の子と二人でって……デートじゃん! リア充爆発!」

咲「迷子になるから付き添ってもらっただけですってば!」

憧「やっぱり方向音痴……」

咲「あう」

巴「どんな子なの?」

咲「実は巴さん興味津々ですよね……別に、普通のバカでスケベな男子高校生ですよ?」

胡桃「その言い様……かなり親しくないと言えないんじゃ!?」

咲「あれ? これ何言ってもいじられるやつですか?」

胡桃「当然!」


憧「この前少し話したけど……身長はけっこうあったよね? 井上さんぐらい?」

巴「井上さん?」

胡桃「あ、巴ちゃん会ったことないっけ? 一ちゃんのとこの……龍門渕の先鋒の」

巴「ああ……去年大暴れしてたから覚えてるよ」

咲「そうですね、180ちょっとだと思います……あ、でも京ちゃんよりも井上さんの方がよっぽどかっこいいと思いますよ?」

憧「それは知ってるけど」

胡桃「いやいや……純くん一応女の子だし」

憧「女の子でもかっこいいじゃないですか! っていうか外見の条件だけでもハンサムだし背も高いしだいたい揃ってるじゃないですか!」

胡桃「なんで急に饒舌に!? あ、もしかして……」

憧「ちちち違いますよ女の子同士で好きとかそういうのあるわけないじゃないですかちょっとなんていうかファンっていうかほんとそういうんじゃないですからいやマジで」

胡桃「まだ何も言ってないよ!? っていうかわざとなの!? ギャグなの!? 分かりやす過ぎるよ!」

巴「えーと……私は応援するから……」

憧「いやいやいやいやほんとそういうんじゃなくってそりゃあ男だったら好きになってたかもしれないけどそもそも女の子だし遠距離とか大変だろうしああでも会えない時間が愛を育むなんてこともあるのかもしれないけど……」

胡桃「うるさいそこ! 憧ちゃんちょっと落ち着いてよ!」

咲「井上さん、龍門渕さんと一緒によく遊びに来るから憧ちゃんも遊びに来なよ」

憧「行く行く! 全然行く!……あ、咲に会いにね!? 和と優希もいるし! 咲に会いに行くから! 個人戦前だし? 咲にも和にも……福路さんにもお世話になったし? いい結果出してほしいし?」

咲「え? えへへ……ありがとっ! 待ってるね」

胡桃「咲ちゃん騙されてるよ!?」

巴「憧ちゃんもそんな必死に言い訳しなくても……」


胡桃「突っ込みどころが多すぎ! ……そもそもなんの話だっけ?」

巴「えーと? 咲ちゃんの……」

咲「あ! あそこのお店ちょっと素敵じゃないですか? 一回入ってみましょうよ!」

憧「そうね! ちょっと喉も渇いてきたし少し休みましょう!」

胡桃「一人であれだけ喋れば喉も渇くよね……まさか純くんにお熱だったとは……」

憧「もういいじゃないですか! っていうかそもそも咲の彼氏の話ですよ!」

胡桃「ああ、そういえばそうだったね」

咲「彼氏違います! なんで話逸らせたのに戻しちゃうの!?」

憧「私が変に突っ込まれるじゃん! 友達なんだから一緒に犠牲になってよ!」

胡桃「憧ちゃんが勝手に喋ってたけど!?」

咲「酷いよ憧ちゃん! 友達を助けようって気はないの!?」

胡桃「今咲ちゃんも憧ちゃんを犠牲に助かろうとしてたよね!?」

巴「ふふ、ふたりともすっかり仲よくなったね」

胡桃「思いっきり喧嘩してるけど!?」

憧「あ、胡桃さん喉渇きません?」

胡桃「カラカラだよ! なんでみんな突っ込み放棄するの!?」

巴「胡桃ちゃんが全部やってくれるし……」

咲「むしろまかせた方がいいのかと……」

胡桃「変な気を遣わないで!? むしろ分担してよ! 疲れるから!」


咲「それじゃあ、突っ込みはまかせてください」

憧「ここから胡桃さんは突っ込み禁止で」

巴「のんびりしてていいからね」

胡桃「よし、まかせたよ!」

憧「かわりにボケの方をお願いしますね」

胡桃「え? ちょっと、急に言われても……」

咲「とりあえず、お店に入りましょうよ」

巴「席についてから考えてくれればいいから」

胡桃「え、なんかけっこう本気のネタを練っとけってこと!? 無茶ぶりにも程があるよ!」

咲「適当でいいですよ、適当で……」

憧「巴さん、なにかひとつ……」

巴「え!? えっと、眼鏡眼鏡……」

胡桃「かけてるよ!?」

咲「あ、胡桃さん突っ込み禁止なのに……」

憧「じゃあここは胡桃さんの奢りで」

胡桃「うぇ!? ちょっと憧ちゃん!?」

咲「ありがとうございます鹿倉先輩!」

憧「ごちそうさまです鹿倉先輩!」

胡桃「……もう! 今回だけだからね?」

巴「……胡桃ちゃん、うれしそうだね」


――――――

憧「そのパフェおいしい?」

咲「うん! 一口どうぞ?」

憧「えへへっ、ありがと咲! 私のケーキもあげるね!」

咲「ありがとう憧ちゃん、おいしいよっ」

胡桃「……ふたりとも意外と容赦ないよね」

巴「ドリンクとあわせて……けっこうなことになってるよね」

咲「だって胡桃さん……最高だから……」

憧「そうそう! 胡桃さんみたいに頼りになる先輩がいるからですよ!」

胡桃「もう! もう! その手が通じるのはこの一回だけだからね!? 次は無いからね!?」

巴「胡桃ちゃん顔すごく緩んでるよ……」

憧「すごいいい笑顔してますけど」

胡桃「だって後輩とかいないし、ちょっと……回りに比べると本当にちょっとだけ! 身長が、心なしか……心なしか! 低めだからよく子ども扱いされるし……」

咲「でも、胡桃ちゃんかわいいですよ? 身長なんて……」

胡桃「ちゃん付けしないの! 私先輩だから!」


咲「すみません、つい……私、衣ちゃんにもよく同じことで怒られて……」

憧「またちゃん付けしてるし……あ、クリーム付いてるよ」

咲「え? あ……ごめんね、憧ちゃん。 ありがとう……」

巴「咲ちゃん、意外とちゃっかりしてると思ったらやっぱりどこか抜けてるなぁ」

咲「あはは……私、甘いものけっこう好きで……昔からお姉ちゃんがいっぱい食べるからあまり自分では食べなかったから、機会があるときにたくさん食べようかなって」

胡桃「機会って……いやまあ出すけどね!? 私、先輩だし! 頼りになるお姉さんキャラだし!」

巴「胡桃ちゃん、それ自分で言うことじゃないと思うんだけど……」

咲「でも、清澄はけっこうゆるいから胡桃さんみたいにビシッとした先輩かっこいいと思いますよ?」

胡桃「……本当に?」

咲「はい! ね、憧ちゃん?」

憧「うん、それはわかるな。 玄も宥ねえもほわほわしてるし、灼さんもキチッとしてるけどビシバシ来るタイプじゃないし……」

胡桃「よし! ふたりとももっと頼んでいいよ! 先輩の奢りだから! 頼りにしてね!」

咲「わーい! ありがとうございます!」

憧「やったぁ! 胡桃さん器が大きい!」

胡桃「大きいよ! もっと言って! あ、巴ちゃんは自分の分出してね?」

巴「微妙に小さ……いや、いいんだけど……同級生だもんね、うん」


憧「それじゃあこのあとの服も胡桃さんに……」

胡桃「いやいや! ちょっと勘弁してよ! さすがに無理!」

憧「あはは、冗談ですよ冗談!」

咲「ここで出してもらう分、今度は私が……」

胡桃「無理しないで!? 服って相当するよ!?」

咲「……そうなんですか?」

憧「普段買わないの!?」

咲「私、お小遣いってほとんど本買うのに使っちゃうし……服はあまり……着れるのを適当に……」

巴「読書熱心なのはいいことだけど……」

憧「そのままじゃダメ! 絶対ダメ! 私がしっかり教育してあげるわ!」

咲「きょ、教育?」

憧「そう! しっかり! 女の子らしく! おしゃれできるように!」

胡桃「……それなら先に穏乃ちゃんを」

憧「……手の届く範囲から! しずは、その……あー……まだなんとかなるもん……」

巴「あ、ほら泣かない泣かない……」

咲「高鴨さんがどうかしたの?」

憧「あやしい団体に洗脳されて……」

咲「えぇ!? それ、大丈夫なの!?」

巴「だいたいあってるけどちょっと違うから……」

胡桃「まあ、ちょっとね……服がね……」

憧「灼さんはともかく、揺杏が煽るから……!」

咲「あ、そういえば……」

憧「ん? なに?」


咲「灼ちゃんが忘れてった物、その……岩館さん? と新しい服を作る資料にするって言ってたんですけど……意味がよくわからなくって」

憧「う……嫌な予感が……」

巴「い、いや……その、アレな感じのやつとは限らないし……」

胡桃「灼ちゃんが絡んでるってことは、アレだよね? ちょっと変なアレだよね?」

咲「木彫りの熊と……」

胡桃「熊!?」

咲「不思議な生き物図鑑」

巴「子ども向けの本? ……いや、何に使うの?」

咲「あとは、なんか綺麗な石」

憧「ああ、石……石!?」

胡桃「それは本気で何に使うのかわからないよ!?」

咲「灼ちゃんってたまに不思議なとこあるよね……どんな服ができるのか想像もつかないよ」

巴「大抵の人は想像つかないと思うよ……」

胡桃「灼ちゃんもこういうとこ謎のセンスだよね……」

憧「頭痛い……揺杏のやつ、今度はなにする気なのよ……」


巴「こうして考えると……灼ちゃん、回りの子の着る服には干渉しないけど、揺杏ちゃんの暴走の原因になってるよね」

胡桃「なんだかんだ灼ちゃんと揺杏ちゃんで回してるからね……」

咲「え? え? 状況が飲み込めないんですけど……」

憧「咲は知らなくて……知らない方がいいよ。 影響されたら困るし……私が守ってあげるからね」

咲「えと、ありがとう……?」

憧「灼さん……最近普通のかわいい服も着てくれるようになったんだけど……やっぱり手の届く範囲から……」

巴「憧ちゃん……? 大丈夫?」

憧「やっぱり! 咲やしずよりもまずは、灼さんを正しい道に……!」

胡桃「……灼ちゃんはけっこう強敵だと思うんだけど」

憧「意外と頑固で意思固いんですよね……どうやって説得しようか……」

咲「……説得? そういえば、灼ちゃんと胡桃さんってふたりともちょっと座敷童子っぽいとことか似てますしなに思い付くんじゃないですか?」

憧「それだ! 胡桃さんお願いします!」

巴「咲ちゃんけっこう言うよね……」

胡桃「うるさいそこ!」

カン!

次回も咲ちゃんで。
阿知賀BDBOXに向けて少しづつ一期復習し始めたんですけど優希がかわいすぎて楽しい。あと染谷先輩は天使。
原作から変わって純くんが県二回戦、先鋒でトバしてますけど流石にかっこよすぎる。
「今日打つのは俺だけだ……!」は俺が歩だったら間違いなく惚れる

咲は阿知賀の子みんなと相性良さそうだな
他にも決勝戦(清澄臨海進出だとして)の一年生大将四人の絡みとか見てみたい

>>471ここは便宜上団体順位は上から清澄、白糸台、阿知賀、臨海になってます。姫松勝ち抜け少し期待してますけど…ここでまた末原ちゃん大量失点とかしたら泣く
投下しますね


灼「あ、おか……」

憧「ただいま……ちょっといい? 話が……」

揺杏「あ、憧ちゃんお邪魔してるよん……おねーさん方もお揃いで……あ、そっちのは……」

咲「こ、こんにちは……宮永咲です……」

揺杏「し、知ってます……」

胡桃「なんで敬語? ビビってんの?」

揺杏「ビビってねーし! ちょっと準決思い出しただけだし!」

胡桃「それがビビってんの!」

巴「わからなくもないけど……咲ちゃんは怖くないよー」



灼「いらっしゃい、咲……珍しい組み合わせで来たね?」

咲「うん、灼ちゃんに会いに行こうと思ったら迷子になっちゃって……憧ちゃんに助けてもらっちゃった。 胡桃さんにもごちそうになっちゃって……」

灼「そか……よかったね。 お礼はちゃんと言った?」

咲「もう、大丈夫だよ! 子どもじゃないんだから……」

灼「ふふ……ごめんごめん」

憧「…………」

灼「……どしたの?」

憧「……いや、別に」


……なんか灼さんと咲、めっちゃ仲よくない?

呼び方とか、いろいろ悩んでたのがアホらしくなってくるわ……

咲「それでね……これ、灼ちゃんこの前置いてっちゃったから……」

灼「あ……ありがと。 そっか、咲のとこに……」

憧「あ! それ!」

灼「?」

憧「……何に使うの?」

灼「服」

憧「……熊は?」

灼「かっこいい」

揺杏「森の熊さんTシャツ作ろうと思ってさー」

胡桃「そんなかわいい感じしないよ!? 熊さんリアルすぎるよ!?」

巴「この、不思議な生き物図鑑は?」

揺杏「それね、変なのいろいろ載ってておもしれーの」

灼「二人で人気投票して上位3種がTシャツに……」

憧「二人で人気投票!?」

胡桃「とんだ出来レースだよ!?」

憧「っていうか、じゃあこれ! この石はなに!?」

灼「それはただ綺麗な形だから拾っただけ」

胡桃「小学生!?」

灼「穏乃にあげたら喜ぶかと思って……」

巴「えぇ……?」

憧「普通に宝物にしそうで嫌なんだけど……」


穏乃「呼びましたっ?」

憧「きゃ!?」

咲「お邪魔してます」

巴「こんにちは、穏乃ちゃん」

穏乃「こんにちは! 宮永さん、こっちに来るの珍しいですね! 和と優希は一緒じゃないんですか?」

咲「今日は憧ちゃんに連れてきてもらって……」

憧「咲、迷子になってたから……」

穏乃「……あれ? なんかふたりとも仲良くなってる? ずるい! 私も咲って呼んでいい?」

咲「うん、それじゃあ私も穏乃ちゃんって呼ぶよ」

穏乃「もちろん! いやあ、なんか和と優希とは普通に呼びあってるのにちょっと距離あるかなーって思ってたんだけどさー」

胡桃「やっぱり憧ちゃんが悪かったんじゃないの?」

憧「……もういいじゃないですか」

巴「ふふ、拗ねない拗ねない」

灼「あ……穏乃、これいる?」

穏乃「わぁ! 綺麗な石! もらっていいんですか?」

灼「どぞ」

穏乃「ありがとうございます! 飾っておきます!」

胡桃「ほしいんだ!?」

穏乃「だってこれ、すごく綺麗な形してますよ? 見てください! このフォルムを!」

胡桃「……ごめんよくわかんない」


憧「あんたまたそんなん集めて……」

穏乃「いやーほら、中学時代とか一人で山登る時間多かったからさ……こう、綺麗なの見つけるとついつい持ち帰っちゃって……」

憧「あのさ、小学生男子じゃないんだから……」

穏乃「でもさ、この石だって長い時間をかけて自然の中で形作られてきたんだよ? 山も石も人生みたいなものなんじゃないかな!」

灼「なるほど」

巴「あー」

胡桃「わかるの!? わかっちゃうの!?」

揺杏「穏乃はおもしれーなー」

憧「ごめんしず、意味わかんない」

穏乃「あれ?」

咲「一人で登山ってすごいね……そんな簡単にできるものなの?」

穏乃「いけるいける! 私なんてジャージ1枚で登ってたし!」

胡桃「危険だよ!?」

穏乃「このジャージがあれば大丈夫です! なんなら咲にも一着……」

憧「それは絶対にダメ!」

穏乃「えー」

咲「うーん……私、あんまりアウトドアなことってしないんだけど……」

穏乃「……そっかあ」


穏乃「でもね! 山、いいよ! すごく!」

揺杏「お、引かないねぇ」

胡桃「実際どう? 住処にしてる巴ちゃん的には」

巴「住処って……うん、まあ私にしても昔から身近なものだし……ほら、最近流行ってる? パワースポット的なところもあるからね。 実際に特別な力の溜まる場所っていうのは存在していて……」

揺杏「本職の人が語り始めるとそれっぽく聞こえるのな?」

灼「そだね……咲も、よく外で本読んでるでしょ? 自然に囲まれて過ごすのもいいと思……」

咲「ん……それもそうだね。 長野もけっこう田舎だけど山に登ろうとは思わなかったなあ……」

穏乃「今度一緒にどう? 吉野の山なら案内するよ!」

咲「ふふ、ありがとう……いつか遊びに行くよ。 どうせなら観光地とかも案内してくれるとうれしいんだけど」

憧「そこら辺はしずに期待しても無駄だって……そこら辺は私が……」

灼「私たちの地元、なにもないけどね……娯楽施設はうちの鷺森レーンぐらいで……」

胡桃「そこ! 宣伝しない!」

巴「奈良まで行ってボウリングするのもどうなの?」

灼「……宿泊は松実館がおすすめ」

胡桃「だから宣伝しないの!」

穏乃「うち、お土産屋もやってるから!」

胡桃「うるさいそこ!!」

揺杏「胡桃ちゃんお茶どーぞ」

胡桃「あ、ありがと……ってちゃん付けしない!」

揺杏「ごめんね、胡桃」

胡桃「ただ外せばいいってもんじゃないよ!?先輩にはさん付けする!」

揺杏「さーせん」

胡桃「へらへらしないの! 反省して!」

巴「胡桃ちゃん、少しギア下げてもいいんだよ……?」


憧「もう……しずは事あるごとに山、山って……」

揺杏「山に焼きもち妬くなよなー」

憧「違うっつの!」

穏乃「いいよ、山……全身で自然を感じて自分と向き合い、見つめ直す……」

巴「……穏乃ちゃん、ちょっと才能あるかも。 よかったら一回鹿児島に……」

憧「巴さん!?」

穏乃「あ、でも全国の山を登って回るのもいいかもしれませんね!」

灼「長期の休みとかに旅行するのはいいかも……今年はインハイもあるし無理そうだけど」

胡桃「そもそも旅費もけっこうかかるよ?」

穏乃「走ってけば節約になりますし!」

咲「それはさすがに無理じゃないかな……?」

穏乃「あは、さすがに冗談だって! 自転車ぐらい使うよー」

憧「それも危ないからやめなさい! 女の子なんだから!」

揺杏「もっとおしとやかにしろってさー」

穏乃「でも、私そういうの苦手で……」

憧「外を走り回るのもいいけどさ、咲を見習ってたまには本でも読んだら?」

穏乃「本かあ……」


灼「なにかおすすめとか……」

咲「えっと、私は普段読むのは海外のミステリーが多いんだけど………」

穏乃「か、海外の? ミステリー?」

揺杏「……さっそくダメそうだけど?」

憧「う……もっと簡単そうなのは……?」

咲「……童話とか意外とおもしろいよ?」

胡桃「急にレベル落ちたよ!?」

巴「味わい深いよね」

灼「子ども向け絵本とかもけっこういける」

穏乃「懐かしいなあ……家に帰ったら久しぶりに探して読んでみようかなあ」

憧「……思ってたのと違うんだけど」

揺杏「あ、今調べたら山岳図鑑とかもあるのね」

穏乃「ほんとですか!?」

憧「それはもっと違うから!」

穏乃「うん……まあ、山はやっぱり自分の目で見て登ってみないと!」

揺杏「じゃあ今度この図鑑買ってきて登る山決めようぜ!」

穏乃「いいですね! そうしましょうか!」

憧「だからそれじゃあいつもと同じじゃん!」


灼「まあ、穏乃は言うほどおバカさんでもないし……きっかけとして、読書の入り口になればいいんじゃないかな」

憧「そうは言っても……しず、このままじゃあの格好で日本中練り歩きかねないし……」

巴「心配はそっちかあ」

憧「いや、まあ心配といえば全部心配なんですけど……」

咲「? 憧ちゃんは心配性だね」

揺杏「そんなに心配なら私が穏乃の旅装整えてやるよ!」

憧「心配事増やさないでよ!」

灼「こう見えて揺杏はなかなかいい服を作る」

憧「知ってるけど! 知ってるけど……! でも、このニヤついた笑顔! 絶対ろくなことしないじゃん!」

揺杏「信用ないなー」

胡桃「当然でしょ!」

憧「お世話になってるけどトラウマも植え付けられてるんだからね!?」

揺杏「大丈夫だって、穏乃のリクエストを尊重するだけでちゃんとしたの作るし……」

憧「そこ! そこが心配なの! センスいいんだから! 変なのはちゃんと止めてよ!」

揺杏「安全性には配慮してるぞ? それに、穏乃に何かあったら灼にも申し訳たたないしなー」

灼「揺杏はしっかりちゃっかりしてるから、そういう点では心配してないよ」

揺杏「灼……!」

灼「揺杏……!」

憧「わかってて言ってるでしょ!? そういう茶番もいらないから! っていうか灼さん! さっきも言いかけたけど、ちょっと話があるんだけど!」

灼「話? 私に?」


揺杏「愛の告白?」

憧「どうしてそうなるのよ!?」

咲「そうですよ、憧ちゃんが好きなのは」

憧「あーもう! 咲も余計なこと言わないの!」

灼「私は憧のこと好きだよ」

憧「ふきゅ」

穏乃「あ、私も私も!」

巴「憧ちゃん人気者だね」

胡桃「どっちを選ぶの?」

憧「え!? いや、選ぶとか別にそういう話じゃ……」

揺杏「二股なんてサイテーだぞ!」

憧「ちょっと揺杏は黙っててくれる!?」

灼「酷い! 昨晩はあんなに……」

憧「なにもしてないでしょ!」

穏乃「私、昨晩は灼さんとオセロしてたよ!」

憧「そっちがふたりで遊んでたの!?」

灼「白熱したいい戦いだった」

穏乃「またやりましょうね!」

灼「じゃあ今度は将棋とか……」

憧「ちょっと! 話があるって言ってるじゃん!」


灼「ごめん、つい……」

揺杏「憧ちゃんからかい甲斐があってなあ」

憧「もう……それで、話なんだけど」

揺杏「なになに? 愛の告白?」

灼「私も憧のこと」

憧「それはもういいってば!!」

胡桃「揺杏ちゃん絡むとほんと話進まないね」

穏乃「ねえ咲、長野の山ってどんな感じ?」

咲「うーん、吉野の山を知らないからなんとも言えないけど……私が子どもの頃に登ったところは嶺の上に綺麗な花が咲いてて……」

巴「いいなあ、私のところはそういう場所選んでるんだろうけど険しい山道が多くて……」

胡桃「私もド田舎だから回り全部山みたいなとこあるけどわざわざ入って行かないし……」

揺杏「灼ポテチ取ってー」

灼「ん……割り箸使う?」

揺杏「ちょーだーい」

憧「なんで! みんなで! 好き勝手話すのよ!!」

揺杏「そんなに怒るなよ、かわいい顔が台無しだぞ?」

憧「うっさいばかぁ!」

巴「あはは、ごめんごめん」

灼「いいこいいこ」

憧「もう! もう!」


灼「ちゃんと聞くから……なんの話?」

憧「……あのさ」

揺杏「わかったぞ! もしかして愛の」

胡桃「うるさいそこ!」

揺杏「ごめんなさーい」

憧「……はぁ」

灼「……休憩挟む?」

憧「ん、大丈夫……それでさ」

穏乃「憧、憧! 咲が今度読みやすそうな本見繕ってくれるって! そしたらね、私のおすすめの山に一緒に登って頂上で読むの!」

咲「山のてっぺんなら空気もきれいだしきっと気持ちいいよね」

憧「へぇ……それちょっと楽しそうかも」

穏乃「おとなしく本を読んだりってあまり得意じゃないけどさ、咲が選んでくれるんならやっぱりちゃんと読もうって思うじゃん?」

咲「えへへ、そう言ってくれるとうれしいな……穏乃ちゃんが好きそうなの探してくるよ」

穏乃「うん! 私も、楽しく登れそうな山を見繕っておくから!」

憧「ちょっとふたりで盛り上がらないでよ! 私も行くってば!」

穏乃「そうだね! 和とか玄さんとか、みんなも誘ってさ……灼さんも! どうですか?」

灼「うん、行くよ……楽しそうだし、山って登ったことないから……いつも穏乃が登ってる山、見てみたいしね」

穏乃「はい!」

咲「私もお弁当とか用意するよ」


憧「うん、しずもちょっとそういう……文化的な? 方向にも興味持ってくれるとね……」

灼「……そだね」

憧「……あ! 忘れるとこだった……それでさ、灼さん」

灼「ん」

揺杏「ねーねー憧ちゃん」

憧「揺杏うるさい! 今忙しいの! あっち行ってて!」

揺杏「なんでさ! 穏乃は怒んなかったのに!」

憧「あんたわざと邪魔してるでしょ!?」

揺杏「ぶーぶー贔屓だ贔屓ー」

胡桃「ほら、こっち来る!」

揺杏「はーい……灼取られちゃったからおねーさんがた遊んでよ」

巴「はいはい」

胡桃「仕方ないなあ……この胡桃おねーさんが相手してあげる!」

揺杏「ありがとねー」

胡桃「撫でないの! 年上を敬う!」

揺杏「すみません先輩!」

胡桃「よし!」


憧「……あのね」

灼「うん」

憧「ふ、服」

灼「服?」

憧「その……だからね? 灼さん、最近かなり……良くなってきたと思うの」

灼「そう? ふふ……憧と揺杏のお蔭だね」

憧「ありがと……でさ、その……」

……やっぱりちょっと言いづらいな

なんかつい勢いで来ちゃったけど、実際問題灼さんはそこまで悪くない……気がするし

灼「……話はわかった」

憧「え?」

灼「言いにくそうにしてるし……でも、私はウサギドラちゃんやレオナルドを捨てることはできない」

憧「……うん」

……話だけ聞いてるとなに言ってんのって感じだけど、個人の趣味の問題だ。 やっぱり口出しするべきじゃなかったよなあ……

灼「憧だって、鳴き麻雀のスタイルを捨てろって言われたら無理だと思うし」

憧「ちょっと待ってそれはおかしい」


憧「え? 麻雀のスタイル並べちゃうの? なんか違くない?」

灼「え? 似たようなものじゃないの?」

憧「絶対違うでしょ! もっと私の服のこととか言われると思ったのに!」

灼「……憧には国広さんの服を着るのとか無理だと思うし」

憧「うん、それは絶対無理」

揺杏「あ、この前憧ちゃんに一の服着せたときの写メあるよー」

憧「それ私じゃなくて優希でしょ!? っていうか消しなさいよ! なにされるかわかったもんじゃないわ!」

揺杏「大丈夫だよ! 拡散したりしないし!」

咲「優希ちゃん、あの服着たんですか?」

揺杏「おう! 適当に言いくるめて着せた! ほら、こうして見ると憧ちゃんそっくりだろ?」

咲「わー……これは言われないと憧ちゃんだと思いますね」

巴「うわ、ほんと憧ちゃんそっくり……」

胡桃「一瞬本気でビックリしたよ……憧ちゃんもいつかこうなっちゃうのかな……」

憧「なりませんよ!胡桃さんなに言ってるんですか! 揺杏もそれ消して! 消しなさい!」

揺杏「ちぇー」

穏乃「似合ってるのに……」

憧「似合ってない! 絶対!」

穏乃「はぁ……」

憧「なによそのため息!?」


穏乃「憧はさ、気づいてないんだよ……自分の魅力に」

憧「はぁ!?」

穏乃「国広さんみたいな服を着ればもっと」

憧「バカ言わないでよ! こっちの台詞! しずだってもっとちゃんとした服着てしっかりおしゃれすれば……」

胡桃「ふたりともちょっと落ち着く!」

巴「どこまでやっても平行線だと思うんだけど……」

咲「あの……気になってたんだけど」

灼「なに?」

咲「憧ちゃんと穏乃ちゃん、普段すごい仲いいのに……さっきからどうしたの?」

灼「……ふたりとも譲れないものがあるんだよ」

揺杏「ちなみに、咲ちゃんはファッションとかどう? こだわりはある?」

咲「私はあんまり……普通に着られれば……お金はほとんど本買うのに使っちゃいますから。 さっき、憧ちゃんたちとお買い物したのは楽しかったですけど」

揺杏「なるほどなー……ま、趣味の比重が大きいと高校生の手持ちじゃな」

咲「そろそろちゃんとしなきゃなーとは思うんですけど……」

灼「……私もひとつ、聞いてもいい?」

咲「なぁに?」


灼「……その、咲の鞄に付いてるかわいいのって……」

咲「ああ、これ? 和ちゃんと交換したやつで……プターハとカモーネっていうのだったんだけど」

灼「へぇ……」

揺杏「……それ、かわいいか? 正直ちょっとキモくね?」

咲「そこがいいんですよ」

灼「かわいらし……」

咲「そんなこと言ったらさ、私も気になってたんだけど……灼ちゃんのシャツのうさぎさんって」

灼「これはウサギドラちゃん。 かわいいでしょ?」

咲「うん」

揺杏「へぁ!?」

咲「そんなの初めて見たよ。 どこの子なの?」

灼「大阪で運命の出会いを果たして……」

咲「大阪かあ……大きい町はやっぱり違うねー」

揺杏「え!? マジで!? え!?」

咲「え?」

灼「どこもおかしくはない」

揺杏「お、おう……」


憧「だいたいしずは……!」

穏乃「憧だって……!」

胡桃「……もうほっといてゆっくりしようか」

巴「賢明だと思うよ……」

揺杏「……憧ちゃんたちは聞いてない、と」

灼「清澄は原村さんのエトペンとか優希のセアミィとか、かわいい子が多いよね」

咲「ねー……私もなにか持とうかなあ」

灼「ウサギドラちゃんでよろしく、揺杏」

咲「いいんですか?」

揺杏「……あっはっは! 咲ちゃん、私ら親友な? 揺杏でいいよ!」

咲「え? いわ……じゃなくって、ゆ、揺杏さん?」

揺杏「そ! 灼の親友は私の親友だから! お安いご用よ! いやー面白い子が増えて私も面白くなってきた!」

咲「わ、私なにか面白いこと言いましたか?」

灼「ふふ……やっぱり咲とは長い付き合いになりそ……」

咲「それは、私もそうなったらいいなって思ってるけど……」

揺杏「え? つーかマジであれ、ウサギドラでいいの? もっと他にもあるんじゃないの?」

咲「私、この子好きですよ?」

揺杏「そっか!」

灼「……揺杏、楽しそうだね」

揺杏「おう! マジやべぇ!」


カン!

プターハとカモーネってキモイですよね!(褒め言葉)
エトペンも不気味とかクソみたいとか言われてるしのどっちも咲ちゃんも少し趣味が特殊説


揺杏はもう完全に阿知賀麻雀部員だな

>>495灼の一発目が揺杏だったから付き合い長いですね…たぶん他校で登場率トップですね

立先生がまた面白いこと言ってますね。オカルトチックでなんというか元ネタ相当引っ張って来てるから神境のことはむしろ納得って感じですけど

次回は前スレで挙がった玉子ちゃん放置してたので他の王者たちと一緒に
早ければ日付変わった辺りに、遅くても明日夜には…ペース上げていきたいです

寝る前に投下しますー



王者とは、どのようなものであるのか



灼「ごめ……待った?」

やえ「別に……私も今来たところよ。 じゃあ行きましょうか」

灼「ん……なんか、デートみたいなやりとり……」

やえ「ただ私も今来たって言っただけでしょ!」

灼「ふたりで出掛ければデートだって憧が言ってた」

やえ「新子のアホめ……! だいたい、デートって言うと、なんか……恥ずかしいでしょ!」

灼「デートしたことないの?」

まあ、私もないけど

やえ「共学だからってみんながみんな彼氏いるなんて思わないでよ! だいたいうちは進学校だし麻雀部までやってるとそんな遊んでる時間ないの!」

灼「……男子部員は?」

やえ「……うっさい! とにかく、今日はただの情報交換! そんなんじゃないんだかんね!」

灼「そんな必死にならなくても……」

やえ「ああもう、わかったわよ! じゃあデートでもなんでもいいから! さっさと行くわよ!」

灼「はーい……」


今日は、やえさんとデートだ

東京に来る前に壮行試合を組んでもらったこともあるし、こちらとしても恩は返したい

個人戦前にインターハイの情報提供……当然、名門校である晩成は情報面でのバックアップはしっかりしているし、やえさんも中継映像や牌譜はチェック済みではあるが、実際に勝負の場に立たないとわからないこともある――例えば、長野県大会では団体戦で鶴賀の東横さんが「消えて」龍門渕さんから複数回の直撃を取り、個人戦でも事前知識があった沢村さんも振り込んでいた

また、去年に引き続き個人戦に参加する選手も多いしやえさんも対戦経験のある選手は多いけれど、一年も経てば一気に伸びる打ち手だって大勢いる

そこら辺の以前までの情報とのギャップを埋めたり、卓外からはわからない情報を提供するのが目的になる

やえ「灼、お昼は?」

灼「まだだよ」

やえ「んじゃ、どっか入りましょうか……なんか食べたいもんある? いくつかいいとこ知ってるから案内するわよ」

灼「……東京、詳しいんだ?」

やえ「小学生の頃から毎年来てるかんね……会場周辺ならそこそこ詳しいわよ」

灼「……麻雀の大会?」

やえ「ん」

灼「さすが……」

やえ「たいしたことないわよ……何回出たって結局優勝経験はないし……出場回数を自慢したってどうしようもないでしょ」

灼「……すごいことだし、少しくらい誇ってもいいと思……」

やえ「ん……そんなこと言ったらあんたたちこそもっと自慢したら? うちらも王者晩成ったって決勝まで行ったことはないのよ?」

灼「……でも、負けちゃったから」

やえ「ま、そういうことよ」

灼「……そか」


やえ「私にとってもインハイは今年が最後だかんね……王者晩成なんて言われるからには、エースとして、部長としてちゃんと結果出したいかんね……そんでさ」

灼「なに?」

やえ「王者といえば、団体は長野の清澄が持ってったとはいえここ三年の全国王者……宮永照がやっぱり最有力でしょ? 松実はかなりやられてたけど、あんたから見てどう?」

灼「ん……やっぱり凄かった。 麻雀も、食欲も」

やえ「食欲!? なんの話してんのよ!」

灼「ちょっと会う機会があって……」

やえ「あー……とにかく! あいつは連続和了とそれに連動した打点上昇、それに加えた洞察力、対応力の高さが大きな武器になってて隙もほとんどないでしょ? 正直、今の私じゃ単独で突破するのは厳しいし、宮永はマークもキツいからあいつの試合は準決で松実が千里山の園城寺や新道寺の花田と組んだみたいな形になることが多くなると思うんだけど……」

灼「……玄、サポートに気づいてなかったけどね」

やえ「はぁ!? あいつほんと鈍いわね……県予選で稼ぎ負けたのほんっとに悔しいわ……」

灼「あと、照さんの隙ができる瞬間だけど……」

やえ「えっ!? 灼、なにか気づいたの!?」

灼「おかしを食べてるときは隙だらけだよ」

やえ「だからなんの話をしてんのよ!?」

灼「あと、おかしが切れたときとか……」

やえ「対局中は食べられないっしょ!? ふざけてんの!?」

灼「だいぶ根詰めてるみたいだからリラックスさせてあげようかと……」

やえ「気遣いはうれしいけど今はそういうのいらないかんね!?」

灼「ん……りょーかい」


やえ「……宮永ってさ」

灼「うん」

やえ「マスコミ対応と対局中と、けっこう差があるじゃない?」

灼「うん……会って話したときはイメージと全然違くて驚いた」

やえ「……どんな感じだったのよ?」

灼「……やっぱり気になるの?」

やえ「べ、別に! わざわざあんたが話そうとしてたから聞いてやろうかと思っただけよ! それに中途半端に話聞いたら気になるでしょ!? それに人となりだって打牌の傾向を探る材料になんだかんね!」

灼「ふふ……ありがとね。 ……偶然コンビニで会ったんだけどね?」

やえ「へぇ……二連覇中のチャンピオンが部の買い出しなんかすんのね」

灼「やえさんだってしてるくせに……それで、大量のおかしを買い込んだ上に半分くらいはその場で食べた」

やえ「えっ」

灼「縁あって私もご相伴に預かりましたが……途中で練習がはじまっている旨の電話が来るまでずっと食べてて……」

やえ「え、練習忘れてまでおかし食ってたの!? どうなってんのよインハイチャンピオン……」

灼「それでも食べ足りなそうだったし……そう、ちょうどあんな、感じ、で……」

やえ「は?」


ちょうど視線の先、喫茶店のショーケースに張りついた女子高生……言うまでもなく、インターハイチャンピオン――宮永照だ

照「…………」



やえ「……あれ、マジで宮永じゃないの?」

灼「……みたい」

やえ「……なにやってんの、あれ」

灼「……ケーキ、おいしそ」

やえ「……そんな顔してるわね」

照「……!」

あ、気づかれたかな?

やえ「……ちょっと、こっち来るんだけど」

灼「……挨拶ぐらいしてこっか?」

やえ「できれば仲間だと思われたくないんだけど……」

照「待って。 違う」

やえ「あー! 今日もいい天気ね! 行くわよ灼!」

照「小走さん! やえ! 小走やえ! 奇遇だね!」

やえ「大声で名前呼ぶんじゃないわよ!」

……大声で返事したら完全に仲間だと思われると思うんだけど


照「違う、誤解。 ショーケースのケーキに釣られて立ち止まっていたわけじゃない」

やえ「がっつり張りついてたじゃないのよ!」

照「……団体戦も不本意な結果ながら終わったことだし、慰労の意味も込めてチームメイトを誘うお店を探していたことにした。 一人じゃ入りづらいから一緒に入って。 ケーキおいしそう」

やえ「もう途中から言い訳すら放棄してんじゃないのよ! 舐めてんの!?」

灼「……照さん、ども」

照「久しぶり、灼……あ、百円返すね。 ありがとう」

灼「いえ、お気になさらず……」

やえ「百円?」

照「おかしを買うのに足りなくて……居合わせた灼に借りた」

灼「それが出会いだった」

やえ「初対面で金借りてんじゃないわよ! おかしを諦めなさいよ!」

照「?」

やえ「なに不思議そうな顔してんのよ!?」

照「ふふっ……小走さん、面白い」

やえ「あんたの方がよっぽど面白いっつーの!!」

灼「まあまあ、落ち着いて……二人は知り合い?」

やえ「知り合いってほどじゃないけど……」

照「ここ二年、いろんな大会で打ってるから」

灼「なるほど」


やえ「それにしても……」

照「?」

やえ「ったく……インハイ王者のあんたがそんなんで恥ずかしくないの? もっと堂々としてなさいよ!」

照「……奈良県で同世代の頂点に君臨し続けている小走さんの方が王者歴は上」

やえ「嫌味!? あんたはその同世代の高校生の頂点でしょ!」

照「嫌味なんて、そんなつもりじゃ……小走さんは小学生時代から安定して好成績を出し続けている。 素直にすごいと思うし、尊敬してる」

やえ「……な、なによいきなり」

照「私と違って人望もあって後輩にも慕われてるみたいだし羨ましい」

やえ「ほ、褒めたってなんも出ないかんね!? つーかチャンピオンのあんたが人望ないわけないっしょ!?」

照「虎姫の仲間とは仲がいいけど……他のみんなはチャンピオンだのインハイ王者だのって距離を感じるというか……」

灼「ああ……やっぱりそういうのはあるんですね」

照「どこでも特別扱いされている気がする……私は、話すのもあまり得意じゃないから……なんというか、誤解されていると思う。 私だって普通の女子高校生。 ケーキだって食べたい。 だから一緒にお店に入って」

やえ「真面目な話してたんじゃないの!?」

灼「いつも通りで安心した」

照「それほどでもない」

やえ「いい加減にしなさいよ! 一人でも入れるでしょ!?」

照「私も以前はそうしていた。 でも……」

灼「……でも?」


照「……話せば長くなる」

やえ「はぁ……まあ一応聞いてあげるから、さっさと話しなさいよ」

照「一人でああいうところにいると友達いないみたいじゃない?」

やえ「短っ!? しかもしょうもなっ!?」

灼「……照さんだったら、お洒落なカフェで一人で読書、とかも絵になると思……」

照「……前に淡とこういうお店に入ったことがある。 そしたら、淡が本を読んでる人を見て……」

淡『ああいう人って友達いないのかな? 根暗っぽくてキモいよねー』

照「……って。 しかも大声で」

灼「……淡ちゃんっていちいちアレですよね」

やえ「大星ってアホなのね」

照「違う。 淡はちょっとアレだけどかわいい子」

やえ「全然違くないじゃないのよ」

灼「かわいい>アホ。 これ大事」

やえ「アホはアホでしょ」

照「……ほんとだ」

灼「認めちゃうんだ」

照「でもかわいいよ」

灼「そうですね」

やえ「……大星はアホだから気にしなくていいわ。 さっさと入ってきなさいよ」

照「……折角だから一緒に入らない? ひとりは寂しい」

やえ「……あんた意外とめんどくさいわね」


やえ「王者たるもの孤独にも打ち勝たなきゃいけないのよ」

照「……友達も多くて後輩にも慕われてるくせに」

やえ「な、なによ! 文句あんの!?」

照「ずるい」

やえ「ずるいってなによ!?」

照「奈良県王者は人に好かれてインハイ王者は距離を置かれるのはおかしい。 ずるい」

やえ「やっぱりちょっとバカにしてんでしょ!?」

照「違う、誤解。 こうなったら王者同士仲良くするべき」

やえ「なにがこうなったらよ!?」

照「ここで会ったのもなにかの縁。 私の友達になって一緒にケーキを食べるべき」

やえ「あんたケーキ食べたいだけじゃないの!?」

灼「でもおいしそうだよ、やえさん」

やえ「……ほんとね」

照「じゃあ行こうか」

やえ「あ、いや! 行かないわよ!」

照「……なんで?」

やえ「あんたとは敵同士でしょ! 王者たるもの馴れ合わないの!」

照「……灼とは仲良し」

やえ「う……灼とはもう敵じゃないからいいのよ」


やえ「だいたい情けないとは思わないの!? 高校生一万人の頂点たるあんたが! 一人じゃ寂しくてお店にも入れませーん、なんて!」

照「やえだって灼と一緒」

やえ「そりゃあそうだけど……ってなにこっそり呼び捨てにしてんのよ!」

照「もう友達だから」

やえ「勝手に友達にならないでよ! もう王者らしくお供でも連れてくればいいでしょ!」

照「菫にはいるけど私にはいない。 やえ、意地悪しないで。 灼も説得して」

灼「ん……ん?」

やえ「……ちょっと待った」

照「! 一緒に入る気になった?」

やえ「いや……弘世、お供いるの?」

照「? うん、白糸台には弘世様ファンクラブがあるよ。 それじゃあ中に……」

やえ「いやいやいや! え? 弘世……え?」

灼「……弘世さん大人気?」

照「うん。 私よりよほど……」

やえ「ちょ、チャンピオンはあんたでしょ!? なんで弘世が王様気取りなのよ!?」

照「菫は面倒見もいいし、かっこいいらしい。 遠くから見てる分には」

やえ「……あんたけっこう厳しいわね」

照「それほどでもない」

灼「照さんも真似してみたらお供ができるかも……」

照「……私はお供よりもお友達が」

やえ「それでいいんじゃない? とりあえず王者らしく……」

照「いや、だから……」

灼「とりあえず、形から入ってみます……?」

照「え……?」

灼「あそこ……」


やえ「……埼玉代表、越谷副将の宇津木玉子ね」

灼「……王冠風の帽子。 カッコいい」

照「カッコいい……?」

玉子「む……私の名を呼んだか?」

灼「……呼びました。宇津木さん、お久しぶりです」

玉子「阿知賀の鷺森……それに、晩成の小走やえと……み、宮永照!? な、何用であるか!? 私は因縁をつけられるようなことは……」

やえ「なにビビってんのよ!? まだなにも言ってないでしょ!」

照「王様……意外と小心者?」

玉子「む! わ、私を愚弄するのであるか!? い、いくらチャンピオンでも……ゆ、許さ、ない……」

灼「……へへっ、こいつビビってますぜ! 姐御!」

照「!?」

玉子「ひぃっ!? ノ、ノォォォォである! お金はたいして持ってないのである!」

やえ「灼! 変なボケ挟むんじゃないわよ! 本気でビビってんじゃないの!」

照「誤解、カツアゲじゃない……です」

玉子「……そ、そうか。 では、いったい……?」

灼「その王冠はまさしく王者の証」

玉子「む?」

照「……私は王様にならないといけないらしい。 どうか王族としての心得をご教授いただきたい」

玉子「え、いや……これはファッションであって別に王族というわけでは……」

照「!?」

やえ「……ただの悪ふざけだから気にしなくていいわよ、宇津木」


照「……王様じゃないの?」

玉子「ふむ……私は、越谷女子麻雀部の部長を任されているのである。 いうなればこれもひとつの王であるな」

照「やっぱり王様……!?」

やえ「……そんなこと言ったら私も灼も王様だっつの」

照「灼もやえも王様……!? い、今までの非礼、お許しください……!」

灼「……照さん落ち着いて。 王様じゃないです」

やえ「あんたほんとはバカなの? それともバカにしてんの?」

照「バカじゃないしバカにもしてない。 真面目なのが私のいいところ」

玉子「うむ、真面目なのはいいことである」

照「そんなに褒められると照れる」

やえ「……灼、こいつらなんとかして」

灼「……これは上様、ご冗談を」

やえ「誰が上様よ!」

灼「……実際先輩二人相手にそれは無理。 それにあの二人は天然物」

やえ「そんなこと言ったら私も先輩……いや、いいんだけど……」

照「こうして見るとその帽子、なかなかカッコいい……」

玉子「これがわかるとは流石はチャンピオン、いいセンスをしているのである」

照「これからみんなでケーキを食べる。 よかったら一緒にどう?」

玉子「よきに~」


やえ「……ってちょっと宮永! あんたまた勝手に……」

照「照でいい」

やえ「入るなんて言ってないでしょ! あんた意外と……」

照「照でいい」

やえ「だいたい宇津木が来たんだから私たちがいなくても別にあんたたちで……」

照「照でいい」

やえ「……あーもう! 照! これでいいんでしょ! これで!」

照「うん、これでぐっと友達らしくなった」

灼「やったね照さん」

玉子「大変めでたいのである! おめでとうチャンピオン!」

照「照でいい」

玉子「おお……では私のことも玉子と呼ぶとよいぞ!」

照「よろしく玉子。 ではいざケーキを……」

やえ「…………」

照「……いい?」

やえ「……ふん、好きにしなさいよ!どうせ言ったって聞かないでしょ!」

照「やった。 みんなでケーキ……!」

灼「もっと素直に言えばいいのに……」

やえ「うっさいわね!」


――――――

やえ「……で?どれ食べるのよ」

照「悩む。 どれもおいしそう……」

玉子「照の言う通りであるな……悩ましいのである」

灼「食べたいのを食べるのがいいと思……」

照「灼……よし、決めた」

玉子「そうか! それでは早速注文するのである!」

灼「……すみません、オーダー……」

照「ケーキ、ここからここまで、全部」

やえ「はぁ!? 照、あんたちょっと……」

照「以上です……店員さん、この人は気にしないで……! 早く……!」

玉子「やえはなかなかの暴れん坊であるなあ」

やえ「いやどう考えても照がおかしいでしょ!? 全部って……全部って……!」

灼「やえさん、騒ぐと回りに迷惑に……」

やえ「あ…………その、悪かったわね」

照「気にしないで。 私は気にしてない……灼も玉子も、みんな私が頼んだのを適当につまむといい。 なくなる前に」

玉子「よきに~」

やえ「ってなくなるほど食べるつもりなわけ!?」

照「?」

やえ「だから不思議そうな顔してんじゃないわよ!」

灼「照さんはほんと食べるよ」

玉子「照は胃袋もチャンピオンであるなあ」

照「甘いものは別腹」

やえ「別腹もなにも甘いものしか食べてないでしょ」

照「……ほんとだ。 やえは頭いい」

灼「晩成は偏差値70越えの進学校だから……」

玉子「さすがであるなあ」

やえ「そういう問題じゃないでしょ! ……あんたらと話してると頭痛いわ……」


やえ「はぁ……で? 一応聞いとくけど、かなり頼んでたけど手持ちあんの?」

照「え?」

やえ「ここ、店の雰囲気もいいし味もいいけど……結構するわよ」

照「…………」

玉子「すごい汗であるぞ? 大丈夫であるか?」

照「……灼、メニュー取ってもらえる?」

灼「ん……どぞ」

照「…………」

やえ「……まさかとは思うけど、足りないの?」

照「……こっちのケーキもおいしそうだった。 追加で注文を……」

やえ「ちょっと!」

照「あ……ごめん、取り乱した。 値段は……値段……!?」

灼「……だいじょぶ?」

照「……お、思ったよりも高い」

玉子「値が張るということは味もいいのである! やえが入店経験もあるようなので安心である!」

照「……玉子、天才。 元気出た」

やえ「いや、元気出たって出すもん出せなきゃ出るとこ出られてインハイも出れないんだけど」

照「!?」

玉子「ノォォォォである! それはまずいのである!」


照「……みんなを友人と見込んで頼みがある」

玉子「うむ! 友人の頼みとあれば聞き入れるのである!」

灼「あ、はい……いいですよ」

やえ「……もうわかったけど、なによ?」



照「……お金貸してください」


やえ「……ほんと、こんなんが全国王者でいいのかしら」


カン!

奈良とインハイの王者が強すぎて埼玉の王者が霞む事案…そのうち再挑戦できれば
劒谷はアニメで回想もらったけど越谷のいじりどころって蝉丸ルールぐらいしか追加されてないし辛い


王者の集いいいなwここに東海王者も加わえよう

「エトピリカになりたかったペンギン」めっちゃ気になるんですが。最近下書きとぬり絵多くてちょっと寂しい…

次回は土日どっちかで来れれば…再挑戦もしたいし>>520の前振りも兼ねて>>97の荒川さんと愉快な仲間たちでー

毎度毎度遅い時間になっちゃうのは何とかしたい…投下します



人に優しくされた分、人に優しくなりなさいって、お母さんが言っていた



私が優しくしてもらった分、回りの人に優しくなれれば……きっとその回りの人たちもまた回りの人に優しくなれる

そうすれば、みんなあったかい気持ちになれるって思って……今日、またここに来たんだけど……

憩「いやぁ今度はこっちの練習に付き合ってもらっちゃって……ほんと、助かりますーぅ」

穏乃「いえ、こちらもお世話になったので! 声をかけていただければいつでもお手伝いします!」

玄「私たちが練習相手になれるのなら、まかせてください!」

宥「…………」

憩「……宥さん、どうかしましたか?」

宥「あ、いえ……なんでもないです」

……荒川さんは、いつも通り……に、見える

利仙「……そこの神代小蒔の牌譜、取っていただけますか?」

絃「……どうぞ」

……ふたりとも、ちょっと怖い顔だ

灼「ロン、3900です」

藍子「うげ……はいよ」

憧「はや……灼さん、今日調子いい?」

灼「ん……わりと」

もこ「…………」

藍子「う……わかってるよ! たしかに今の振込みは避けられたし……」

……対木さんが何を喋っているのかはわからないけど、こっちも少しピリピリしている

個人戦本番を前にして、みんな緊張感が高まってきているみたいだ


団体戦のあとに、一度練習にも参加したけど……その時はこんなにピリピリしてなかったんだけどなぁ

憩「……そろそろ、お昼休憩にしますーぅ?」

穏乃「え、でも……」

憩「そりゃあ、ウチらは順番に打ってるけど……阿知賀さんともこちゃんは打ちっぱなしで大変でしょう?」

玄「でも、個人戦まで時間が……」

憩「大丈夫ですよーぅ。 ウチらは実践経験も豊富ですし……みんなでこわーい顔してちゃあ練習だって進みませんよーぅ」

……荒川さん、気づいてたんだ

優しい人だし、きっと普段からチームメイトの様子にも気を配っているんだろう

絃「……まあ、根を詰めすぎてもいけませんね。 私は賛成ですよ」

利仙「……そうですね。 休憩にいたしましょう……みなさんに負担を強いるわけにもいきませんし」

もこ「…………」

藍子「はいはい、わかったわかった……それじゃあ休憩ってことで! ありがとね、憧ちゃん、灼ちゃん」

憧「いえ、こちらこそ勉強になります」

灼「また一緒に打つ機会ができてうれしいです」

……対木さん、いつもなにを喋っているんだろう? 百鬼さんの受け答えからしてたぶん……一旦休憩しよう、とか無理しないで……とかそんなことを言ってるんだと思うけど


絃「こればかりは仕方がないですが、卓を囲むにはやはり人数が不足しますね……」

利仙「個人戦参加者同士は対局できませんからね……まあ、練習相手に困ってここに集まっているのですから……」

もこ「…………」

藍子「ん、まあもこの言う通りなんだよね……個人戦出てなくて私たちの相手できる人となると上位校の団体メンバー借りるとかしかないからなあ」

憧「個人戦に参加する選手がいる高校からはさすがに協力もしてもらえないでしょうしね……」

藍子「憩ちゃんの伝で千里山とか姫松の人借りられないの? 二条とか真瀬とかさー」

憩「いくら大阪三校で交流があるっていってもさすがに無理ですよーぅ」

藍子「ですよね……」

穏乃「竜華さんも愛宕さんも、全然気にせず来てくれそうな気もしますけど……」

利仙「たしかに、そういうお人柄ですね……しかし……」

絃「お二人とも、個人戦の代表選手ですしね」

穏乃「あ、そっかあ……」

玄「……とりあえず、ご飯にしましょう! お弁当作ってきたのでよろしかったら!」

絃「これはどうも……」

灼「……食べる?」

もこ「…………」

灼「ん」

もこ「…………」

灼「それはよかった」

藍子「お、もこちょっとなれてきた? 会話できてんじゃん」


……なんの話をしているんだろう? すっごく気になるなあ……

宥「……百鬼さんも、灼ちゃんもすごいですね」

藍子「え? ああ……もこはちょっとばかり人と話すのが苦手なだけですから」

宥「はぁ……? そうなんですか」

もこ「…………」

藍子「こら! そんなこと言ったら失礼だろ? すみません宥さん……」

宥「え? いや……灼ちゃん、なんて?」

灼「ん……えと、宥さんも大変な寒がりだそうで難儀してますね……って」

宥「……いえ、それほどでも……?」

……どこが失礼だったんだろう?

藍子「……マイルドに翻訳してくれてありがとね」

灼「ん……対木さん、悪気無さそうだし」

もこ「…………」

灼「それほどでもない」

宥「……えっと、対木さん? なんか……ごめんなさい?」

もこ「…………」

藍子「あ! こらまた……!」

灼「……気にしてません。 こちらこそ失礼しました……って」

藍子「あ、そう! 意訳するとそんな感じですから!」

……いったい、どんなことを言われてるんだろうか


藍子「えー……あ! それにしても、おいしいねこれ……玄ちゃんが?」

玄「はい! 松実館の次期女将として修行中ですから! 」

藍子「へぇ……それじゃあ、宥さんも?」

宥「あ、いや……私は……その、あまり……」

憧「宥ねえは……ほら、松実館のマスコット枠?」

宥「マ、マスコット……?」

もこ「…………」

藍子「もこ!」

宥「……ねえ、対木さんすっごく気になるんだけど……」

灼「……いい子ですよ、たぶん」

宥「疑問系なの!? ほんとになに言われてるの……?」

憩「あー……そういえば、話は戻りますけど……清水谷さんや愛宕のお姉ちゃんとか……千里山や姫松とも最近仲良しさんらしいですねぇ?」

穏乃「はい! とても良くしてもらってます!」

絃「彼女たちとも打ちましたか?」

玄「はい、何度か……」

利仙「羨ましいですね……私も個人戦が待ち遠しいです。 強敵との戦い、それに団体戦の……神代小蒔への雪辱……!」

憩「もう、利仙さんまた怖い顔になってますよーぅ?」

利仙「おっと……失礼いたしました。 試合前になるとつい……」

藍子「気持ちはわかりますけどね」

絃「団体戦で破れたチームメイトのためにもいい結果を出したいものです」


もこ「…………」

穏乃「……そりゃあ、対木さんの言う通りですけど……まだ試合前ですし、そんな今から……」

宥「……な、なに?」

灼「……えー、ここにいるみんなも個人戦ではライバル同士になりますね……というようなことを……」

憧「……なんで灼さんもしずもわかるの?」

玄「話についていけないよぉ……」

もこ「…………」

絃「……たしかに、ライバルが回りにいる以上ここでの練習も十全に力を出しきることができるとは言えませんが……」

憧「会話してる!?」

玄「もしかして私たちが悪いの!?」

宥「つ、つまり……?」

灼「……全員手の内を隠しながら打っても効果は薄い……的な?」

藍子「……もこ、そんなことばっかり言うから誤解されるんだぞ? せっかくみんな練習相手になってくれてるのに……」

もこ「…………」

憩「まあまあ、もちろん友人相手とはいっても大会では全力で打ちますし……ほら、ウチだって千里や姫松と仲いいけどちゃんとやってますよーぅ?」

もこ「…………」

憩「……はい?」

穏乃「わわ……灼さん、ちょっとやばいですよ……!?」

玄「え? え?」

憧「……なにが起きてるのか全然わからないんですけど」

灼「……修羅場?」


もこ「…………」

憩「……もう、もこちゃんったら……東海王者になった程度でちょっと調子乗りすぎですよーぅ」

藍子「……ちょっと憩ちゃん……なに? それってうちら東海地方の雀士バカにしてんの?」

憩「えー? そんなことないですよーぅ? でも麻雀はじめて五ヶ月の人が王者の地区なんて……ねぇ?」



宥「ちょ、ちょっと……!? なんか、すごくあったかくない雰囲気に……!」

絃「みんな交流があったとはいえ、もともとはライバル同士ですから……ちょっとした小競り合いなんていつものことです。 そのうち収まりますよ」

利仙「普段だったら一局打って解決なのですが……大会前ですし仕方がありません。 止めるとしましょうか……お三方、阿知賀の皆さんが驚いてますよ? ここは私に免じて矛をおさめて……」

藍子「利仙さんは関係ないんだし黙っててくださいよ……ここで黙ったら東海地方の雀士全員が侮辱されたことになるんで……」

利仙「まあまあ、そう言わずに……」

藍子「だいたい、利仙さんだって去年から神代みたいなぽっと出に負けっぱなしで恥ずかしくないんですか?」

利仙「……あら? なにが言いたいのでしょうか?」

藍子「腕落ちたんじゃないですか? 今本気で打ったら私の方が強いですよ」

利仙「……うふふ、百鬼さんも少し教育が必要なようですね……?」

玄「り、利仙さん!?」

憧「なんでこうみんな……」

灼「みんなそれぞれの地区のトッププレイヤーだし、プライドが高いのは当然……だけどね」

絃「……はぁ」

穏乃「し、霜崎さん……なんとかなりませんか……?」

絃「……では、一応挑戦してみますが……」


絃「……利仙さん、止めに入ったあなたまで一緒になってどうするんですか? いったん深呼吸して……」

利仙「田舎者は黙ってなさいな」

絃「……千葉は首都東京に隣接していますよ? 山奥から出てきたあなたが地理に疎いのは仕方ありませんが……」

利仙「うふふ」

絃「ふふふふ……」



宥「あわわわ……」

玄「こ、怖いよ……おねえちゃん……」

憧「……もう! みんないちいちレベル低い煽りに反応しないでくださいよ! くだらない言い合いは止めて……」

藍子「レベル低くてすみませーん」

利仙「目上の人間に指図するとは……」

絃「新子さんは私たちより上なんでしょうね……」

憩「いやあ、さすが団体戦決勝進出校ともなると格が違いますよーぅ」

もこ「…………」

憧「え、いや……その……」

灼「憧、おいで」

憧「うぅ……灼さん、宥ねえー……」

灼「よしよし、泣かない泣かない」

宥「あ、憧ちゃん……大丈夫?」

憧「こわかったよぅ……」


もこ「…………」

藍子「うん、どうやら決着をつけるしかないな……」

利仙「ふっ……いいでしょう。 完膚なきまでに叩きのめして差し上げます!」

憩「皆さんには悪いですけど、やる前から勝負はわかってますけどねー」

絃「……いざ、卓に」

玄「ちょ、ダメですよ! 個人戦の選手は対局したら……」

憩「玄ちゃんたちが黙ってればわかりませんよーぅ」

絃「秘密の特訓だと思っていただければ……」

玄「でも、大会規約に……」

利仙「悲しき雀士の性……私たちは卓上でしかわかりあえないのです!」

玄「さっきまでみんなで仲良くやれてたじゃないですかぁ……」

もこ「…………」

藍子「席決めの前にどの順番で卓につくか決めないと……」

宥「あの、やめておいた方が……」

穏乃「そうですよ! ちゃんと話し合えば解決します! みんな友達じゃないですか!」


利仙「友人である前にライバルなのです! 神代小蒔の前に血祭りにしてあげます!」

絃「ふふ……あまり大きなことを言うとあとで恥をかきますよ……」

憩「本戦で当たる前に戦意喪失させてあげますよーぅ」

藍子「私だって……東海雀士の力を見せてあげますよ……!」

穏乃「いやいやいや! 話を聞いて……」

もこ「…………」

穏乃「……でも! みんな友達で、麻雀が好きで……! 喧嘩しに来たんじゃないでしょう!」

もこ「…………」

穏乃「大会ですよ!? 打ったあとは互いを称え合って! ……やるな、お前……!」

灼「へっ……そっちこそ……!」

穏乃「……ってなるのが理想じゃないですか!」



憧「……なんで息ぴったりなの?」

灼「妬いてる?」

憧「……別に! 私には宥ねえがいるし!」

宥「え? うん、あったかいよー」

玄「……えっと、えっと……お、おねえちゃん……」

灼「……別に、仲間はずれとかじゃないから」

玄「灼ちゃんありがとう……」


もこ「…………」

穏乃「おおむねそんな感じですよ! 私たち、団体戦以降かなり友達増えましたし!」

もこ「…………」

穏乃「……?」

灼「……みんなにいい顔するな、ってところかな」

穏乃「なるほど! ありがとうございます!」

宥「……?」

灼「たぶん、蝙蝠がわからなかったのかと」

憧「……もしかして、けっこうキツいこと言われてる?」

灼「ちょっと」

玄「ちょっと?」

灼「……かなり?」

憧「……いろんな学校の人たちと打ったりしてるのがアウトなの?」

灼「だいたい合ってる」

玄「憧ちゃんわかるんだ……」

宥「すごいねー」

憧「まあ、しずが喋ってることはわかるし……たしかにいろんなとこと絡んでるし気になる人は気になるかあ……」

灼「対木さん、選手じゃないけど百鬼さんの応援で来てるわけだしね……」


穏乃「そりゃあ、いろんな人の応援してますけど……仕方ないじゃないですか! みんな友達です! 戦友です! 昨日の敵は今日の友ですよ!」

もこ「…………」

穏乃「たしかに頂点に立つ人は一人な以上綺麗事かもしれないですけど……私はみんなに頑張ってもらいたいです、応援したいです! もし、対木さんが大会に出てたとしたって同じように応援しましたよ! 友達ですから!」

もこ「…………!」

穏乃「え?」

もこ「……! ……!?」

穏乃「ちょ、え? なんですか?」

藍子「……照れてるんだよ、それ。 友達少ないからうれしかったんだろ」

もこ「…………!」

藍子「はいはい、ごめんごめん」

もこ「…………!」

穏乃「でもほら! この前はあまり意志疎通できなかったですけど、今回はたくさんお話できてるじゃないですか! 完全に友達ですよ!」

もこ「…………!!」

穏乃「えー? 猿は酷いって! 友達らしく名前で呼んでよ! 私ももこって呼ぶからさ!」

藍子「……ふふ、やめにしましょっか? くだらないことで喧嘩するの」

絃「……そうですね、大人げなかったです」

利仙「ええ……それに、高鴨さんのお陰で大切なことに気がつけました」

憩「……ウチら友達ですもんね」

穏乃「みなさん……!」


灼「……おさまった?」

憧「大会前だから多少ギスギスしちゃうのもわかるけど……ほんとに怖かった……」

玄「でも、仲直りできてよかったよ……」

宥「穏乃ちゃんはすごいね……この場を納めちゃうなんて……」



絃「はい、友人同士で潰し合っても意味はありません……」

利仙「頂点に立つ者は一人。 ならば倒すべき相手は……」

藍子「そう、敵は今大会最有力の宮永照だ!」

穏乃「……あれ?」

憩「とはいえ、宮永照はヒトじゃないですからねーぇ」

藍子「ほんと気に入ってんね、それ」

絃「ふふ、去年二位の憩さんが言うのはどうなんですか?」

利仙「それだけの相手だということです……今年こそは必ずやかの者を……」

憩「三連覇なんてさせませんよーぅ」


憧「……あの人たち、ほんっとに好戦的というかなんというか」

宥「……それでも、仲良しの方があったかいよ?」

玄「そうだね! 仲良しが一番だよ!」

灼「…………」

憧「……どうしたの? 複雑そうな顔して」

灼「……いや、照さん友達だから……ちょっと、こう……」

玄「ああ……それは、たしかに……」

憧「共通の敵がいると結束って深まるのよね……」


藍子「あ、穏乃ちゃんさー」

穏乃「あ、はい! なんですか?」

藍子「今度さ、もこどっか連れてってやってよ。 ほっとくとなかなか外出ようとしないからさー」

穏乃「まかせてください! 山とかどう?」

もこ「…………」

穏乃「いやいや! けっこう楽しいって! いいよ! 山!」

憧「しず! 山ってそんなに気軽に女子高生が遊びに行く場所じゃないから……」

もこ「…………」

灼「……もこ」

もこ「……!?……!!」

灼「……私も、友達」

もこ「…………!!」

灼「……甘いものとか好き?」

もこ「…………」

灼「今度、一緒に食べ行こ?」

もこ「…………」

灼「ん……」


玄「丸く収まったみたいでよかったね、おねえちゃん!」

宥「うん……そうだね」

穏乃ちゃんと灼ちゃんのふたりで、対木さんの方は落ち着いたみたいだ。 遊びに行く約束もできた……のかな? たぶんできたんだろうし、これからも仲良くやっていけるといいなあ

……荒川さんたち、ちょっと怖い盛り上がり方してるけど大丈夫かなあ?

憩「よぉし! そうとなったら練習の続き、始めましょうかーぁ?」

利仙「ええ、宮永照をはじめとした強敵との戦いに備えて鍛練に励むべきでしょう」

絃「玄さん、お弁当ありがとうございました。 とてもおいしかったです」

玄「あ、そんな! お口にあったならよかったです!」

藍子「ほんと、御馳走様……さて、それじゃあ始めますか! 今年のインハイこそ宮永照を倒して……」

憩「ウチが全国一位に……」
利仙「私が頂点に……」
絃「優勝旗を私が……」
藍子「私が全国優勝……」


「「「「…………」」」」


絃「ちょっと卓についていただけますか?」

藍子「覚悟してくださいよ?」

利仙「誰が最強なのか教えてあげます……!」

憩「全国二位の力は伊達じゃないですよーぅ」



宥「あったかくない……」

穏乃「もうやめてください!」


カン!

※仲良しです

来週というか今週少々忙しいので少し間空くかもしれないです


センターのニュースとか見てて三年生の進路の話とか見てみたくなった
でもインハイ期間中に進路の話ってのもなんか変だよな

>>545これ思われちゃう以上子ども主導でも大人付けないとダメですよね
>>545インハイの時期に進路のお話となるとプロ入りの話なんかはする子もいるかもしれませんね。プロのシステムってあまりはっきりしてないしちょっと考えてはみます

シノハユ最新話に露子さんと松実姉妹が出てましたね。今後本編キャラ登場の機会も増えそうだし楽しみです
一週間ぶりになってしまいましたが投下します



藍子「それじゃあ、よろくね!」


穏乃「まかせてください!」


もこ「…………」


灼「……行こうか」



灼「どこ行く?」

穏乃「山!」

もこ「!」

穏乃「おお、川もいいね!」

もこ「…………!!」

灼「……ボケ潰しちゃダメだよ」

穏乃「なんだ、冗談かー」

もこ「…………」

百鬼さんに、もこを預けられた

「たまには私なしで外出させないと」なんて言ってたけど……普段はどうしてるんだろう?

……まあ、今はネット環境さえ整えば家で麻雀も打てるし、東海大会の時は百鬼さんが引きずって行ったんだろう

百鬼さんがもこは人に慣れてないって言ってたけど……もこも、冗談を言えるぐらいには慣れてきてくれてるのだろうか? それなら喜ばしいことだ

穏乃「じゃあさ、どこか行きたいところとかある?」

もこ「…………」

灼「ん……とりあえず適当にブラブラして、なにか食べて……!」

穏乃「灼さん?」

灼「ごめ、電話……」

……照さん? どうしたんだろう、珍しい


灼「もしもし……」

照『助けて』

灼「はい?」

照『やえと連絡がつかなくなった。 何かあったに違いない』

灼「……ちょっと、順を追って話していただけますか……?」

照『さっきまでメールをしていたのに返信が来なくなった。 電話も通じない。 私も玉子も困っている』

灼「あ、玉子さんも一緒なんですか」

照『またケーキを食べに行こうかと思って。 灼もどう? この前の店で待ってる』

灼「……今、穏乃……うちの大将の高鴨と、東海王者の対木もこさんが一緒にいるんですけど連れていってもいいですか?」

照『……覚王山の対木さん? 彼女は個人戦には参加していなかったと思うけど……』

灼「静岡の百鬼さんの応援で東京に出てきてて……」

照『なるほど、歓迎する』

灼「ありがとうございます……ところで照さん、練習の方は……?」

照『さっき抜け出そうとした淡が捕まって菫に説教されてる。 その隙に抜けてきた』

灼「……それは、ダメなんじゃ」

照『誠子に言っておいたから大丈夫』

灼「…………」

……亦野さんはちっとも大丈夫じゃない気がするけど


照『それじゃあ、待ってる。 連絡がつくようならやえも連れて来てほしい』

灼「ん……わかりました。 それでは」

もこ「…………」

灼「宮永照さん。 ケーキ食べに行こうって」

穏乃「チャンピオンの宮永さんですか!」

もこ「…………!」

灼「……それはそれ、これはこれ、ってことで」

もこ「…………!!」

灼「でも、おいしいケーキが食べられる」

もこ「…………………」

穏乃「なんだかんだ言ってももこも普通の女子高生って感じだねえ」

もこ「…………!」

穏乃「あはは! ごめんごめん!」

灼「話もまとまったところで、ちょっとやえさんに電話するから……」

穏乃「小走さんも誘うんですか?」

灼「共通の友人。連れてくるように頼まれて……もしもし? 今だいじょぶ?」

やえ『……大丈夫よ、ちょっと休憩しようと思ってたとこだから』

普通に繋がった、けど……

灼「……なんだか、お疲れの様子で」

やえ『個人戦に向けて牌譜とかのデータ整理してたんだけど……照がアホみたいにメール送りつけてきてね。 ケーキとかの画像添付して、本文無しで』

灼「………はあ、それは……大変ですね」

やえ『あんまり鬱陶しいんで一旦着拒してやったわよ!』

……照さん、やっぱりちょっと……うん、アレだな


やえ『で? どしたの?』

灼「……照さんが、ケーキ食べに行くからやえさんも連れて来てほしい、と……」

やえ『…………ねえ』

灼「はい」

やえ『やっぱりあいつバカよね?』

灼「……不器用なだけ」

いや、私もちょっと思ったけど

やえ『…………はぁ』

……まあ、ため息をつきたくなる気持ちもわからなくはない

灼「あ……あと、今日は穏乃ともう一人……覚王山の対木もこさんが一緒なので」

やえ『へえ? 面白い人脈持ってるわね……麻雀はじめて五ヶ月で東海王者になったって聞いてるわ』

灼「……やっぱり、けっこう名前売れてる?」

やえ『そりゃあ、話題性も……力もあるもの。 個人戦には出てないのよね? 今後公式戦で打つ機会もないだろうし時間があれば打ってみたいわね』

灼「ん……もこ、話すのよりも打つ方が得意そうだし……」

やえ『どういうことよそれ……?』

灼「会えばわかる……とりあえず、そっちの宿通り道だし迎えに行く」

やえ『ん、出る準備しとくわ』


――――――

やえ「奈良県、晩成高校の小走やえよ。 よろしくね、対木さん」

もこ「…………」

灼「……もこ?」

無事やえさんに引き合わすことができた、と思ったんだけど……

もこ「…………」

私の背中の陰に隠れてしまった

灼「……どしたの?」

もこ「…………!」

灼「やえさん、ちょっとキツく見えるかもしれないけど……ツッコミ気質で軽度のツンデレなだけだから、怖くないよ」

やえ「ちょっと! なによその説明!」

もこ「…………」

灼「……私たちとはじめて会ったときは平気だったでしょ?」

もこ「…………!」

……百鬼さんがいないとダメなのか

威勢のいいこと言ってるわりには……いや、かわいいんだけどね?

穏乃「大丈夫だよ! もこ、頑張って!」

もこ「…………」

灼「ふふ……ほら」

もこ「…………!」

やえ「……うん、よろしく……?」


穏乃「やったねもこ!」

もこ「…………」

とりあえず、ひと安心かな?

やえ「……ね、ちょっと」

灼「?」

やえ「あの子、大丈夫なの?」

灼「ああいう子です。 かわいいでしょ?」

やえ「……うん、まあ……挨拶はもっとちゃんとできた方がいいと思うけど」

もこ「…………!」

穏乃「もう、そんなこといっちゃダメだよ? 小走さんはもこのこと心配して言ってくれてるんだから……」

やえ「……なに言ったのよ、あいつ」

灼「……たいしたことじゃないので」

もこ「…………!!」

やえ「なによ、言いたいことあんならはっきり言いなさいよ!」

もこ「…………」

やえ「ちょっと! 今舌打ちしたでしょ!? 聞こえてんのよ!?」

もこ「…………」

灼「今、謝ってましたよ」

やえ「『チッ、さーせん』みたいなのでしょ!? 態度悪いわねこいつ!」

穏乃「正解ですよ! よかったねもこ、仲良くなれそうだよ!」

やえ「どこをどう判断したらそうなんのよ!?」


……ちょっと相性悪かったかな?

やえさん、面倒見いいしむしろ合う方かと思ったんだけど……引き合わせ方が悪かったかなぁ

……まあ、一緒においしいものでも食べればなんとかなるか

照さんともそれがきっかけだったし

もこ「…………」

やえ「ちょっと! 髪引っ張んないでよ! セットすんの大変なんだから!」

穏乃「綺麗に巻いてるから気になるんですよ! 素敵ですもん!」

やえ「だからって引っ張っていいことにはなんないの! だいたいあんたもそのリボンなんなのよ! 前見えてんの!?」

もこ「…………!」

穏乃「小走さん、もこのこと心配してくれてるよ?」

やえ「べ、別にそんなんじゃないわよ! ちょっと気になっただけで……! ファッションにしてもそういう風にしてると視力落ちるかもしんないし……」

もこ「…………?」

穏乃「うん、いい人だよ!」

やえ「だ、だから……!」

……穏乃に任せておけばほっといても平気そうだな

灼「……照さんと玉子さん待ってるし、そろそろ行くよ」

穏乃「はーい!」

もこ「…………」

やえ「あ、ちょっと! 待ちなさいよ!」


――――――

玉子「お、ようやくお出ましであるな」

照「待ってた」

灼「すみません、お待た……すごい量食べてるみたいですけど」

照「……灼たちが来る前にたくさん食べておくことで、ここから食欲を抑えて話すことに集中できるという高度な戦術」

玉子「さすが、インハイ王者は戦術面も高レベルであるな!」

灼「……ま、いっか」

やえ「ちょっと照! なんだったのよさっきの!」

照「やえ、連絡が途切れたから心配した」

やえ「心配もなにも……! ……あーもう! いたずらじゃないのよね? 何がしたかったのよ?」

照「やえ、真面目だし……普通に誘っても断られるかと思って。 美味しそうなケーキの画像をたくさん見たらやえも食べたくなってここに来てくれると思った」

玉子「この作戦はドはまりしたようであるな! さすがである!」

照「それほどでもない」

やえ「…………次からは普通に誘いなさい」

照「誘ったら来てくれるの?」

やえ「三回に一回ぐらいはね」

照「二回に一回は来てほしい」

玉子「友人は大切にした方がよいぞ?」

やえ「あー……考えとくわ」

灼「……怒らないの?」

やえ「言うだけ無駄でしょ」

灼「……そだね」


穏乃「こんにちは! 高鴨穏乃です!」

玉子「おお、団体戦ぶりであるなぁ……我が校を破った阿知賀がいい成績を出してくれて鼻が高いのである」

もこ「…………!」

照「……よろしくね」

もこ「…………」

照「ふたりとも好きなだけ食べるといい」

穏乃「え? でも……」

玉子「今日は私が出すのである! 照と灼、それに穏乃の団体戦祝いと、やえの激励、それにもこの東海王者祝いってことでよいぞ!」

照「遠慮はいらない」

もこ「…………!!」

穏乃「……ありがとうございます! ご馳走になります!」

照「どれもおいしい。おすすめ」



玉子「……照がまったく遠慮しないので多少は手加減してほしいのである」

やえ「自分の分は自分で出すわよ。 借りは作りたくないし……特にお金はね」

灼「穏乃は結構しっかりしてるから心配いらな……私も、後で出しますから」

玉子「うう……面目ないのである……」

やえ「気にしないでよ、当然のことでしょ」

灼「先輩は立てるもの……」


もこ「…………」

照「おいしい?」

もこ「…………!」

照「対木さんとは趣味が合う。 ほら、こっちもどうぞ」

もこ「…………!」

やえ「……照とはすんなり馴染んだわね」

灼「波長が合う?」

やえ「かもね。 両方変人だし」

灼「……もこがすぐに照さんになついて悔し……?」

やえ「べっつに! そんな、違うわよ!」

穏乃「その帽子、かっこいいですよね!」

玉子「む、これの良さがわかるのであるか?」

穏乃「素敵です! 王冠なんて超個性的ですし!」

玉子「越谷の部長になったときに被りはじめたものでな……」

灼「……形から入るタイプ?」

玉子「うむ、その通りである。 部を預かる立場として形から気持ちを作っていこうと思ったのであるが……これがなかなかしっくり来て……」

穏乃「私もなにか個性的でかっこいいアクセサリーとか探そうかなあ」

やえ「……わざわざ探さなくてもあんたら十分個性的よ? もこだって結構なフリフリだし……」

もこ「…………」

照「……やえも十分個性的な髪型してる」

やえ「うっさいわね、あんたは寝癖ぐらい直しなさいよ」

照「これは寝癖じゃない。 頑固な癖毛。 どうしても跳ねちゃう」

玉子「気になるなら照も帽子を被ってみるのはどうであろう?」

照「なるほど、そんな手が……」


もこ「…………!」

照「なるほど……私は、結構そういうところは無頓着だから……」

……もこ、照さんとは意外とうまくやれてるみたい?

この間のこともあったし、もっと敵視してるのかと思ったけど……

もこ「?」

灼「……なんでもないよ?」

もこ「…………?」

灼「うん、まあ……」

もこ「…………」

灼「……その考え方はどうかと思うけど」

照「うん、それは危ない。 当然私は悪い人じゃないから大丈夫だけど。 食べ物をくれる人がみんないい人なわけではない。 私にも経験がある」

やえ「経験があるってマズいでしょ!? 大丈夫だったの!?」

照「ある日、菫がおかしをくれるというから部室に行ったら……」

やえ「あ、その話いいわ。 パスで」

照「そんな……とっておきのお話なのに……」

やえ「つーか弘世は悪い人なわけ?」

照「いい人だよ?」

やえ「じゃあたいしたことなかったんでしょ」

照「そんなことはない。 後輩……誠子や尭深におかしをたかるなってたくさん怒られた。 一週間ほど部室でおかしを食べることを禁止された私は……」

やえ「……白糸台って部室でおかし食べたりしてんのね。 うちじゃ考えられないわ」

照「!?」


照「……晩成の部員じゃなくてよかった」

やえ「……それはちょっとムカつくんだけど」

照「あ……ごめん、そういうつもりじゃ……」

穏乃「でも、やっぱり晩成って厳しいんですね」

灼「うちは練習こそ厳しいけど基本は緩いしね……」

玉子「のびのびと打てる環境なのであろうなあ」

灼「ん、そんな感じ」

穏乃「赤土先生はこども麻雀クラブの時からそういう雰囲気作りでした!」

玉子「雰囲気作りは大切であるな! わが校も今年こそは全国大会初戦突破、そして優勝を目指してチーム作りを……していたのであるが……」

穏乃「……す、すみません」

玉子「二回戦は私自身も大失点で……うう……不甲斐ないのである……」

灼「あれは、森垣さんが大暴れだったし……仕方な……」

やえ「……そういえば、もこは麻雀覚えたてでしょ? 短期間で東海王者なんて、すごい指導者がついてたとかあったのかしら?」

もこ「…………」

照「百鬼さんに教わったの? へえ……」

玉子「百鬼というと、后土学園の百鬼藍子であるか? 教える方も上手なのであるか……羨ましい限りであるな」

穏乃「もこに麻雀の才能もあったんだろうけどね!」

もこ「…………」

穏乃「へへ、照れんなよー」

もこ「…………!!」


照「実際、対木さんは麻雀をはじめて五ヶ月で東海王者になったという実績がある。 多少の運も絡むとはいえこれはすごいこと」

もこ「…………!」

照「お世辞じゃない。 こう見えて人をみる目には自信がある」

やえ「……まあ、麻雀に関してはたしかだと思うけど」

照「……やえにほめられた!」

玉子「これは珍しいのである!」

灼「傘持って来てな……」

やえ「なによ! せっかくほめてやったのに! 言っとくけどあんた麻雀以外はてんでダメなんだかんね! 調子乗らないでよ!?」

照「この短い付き合いで私のことをそこまで見てるなんて……」

玉子「やえ、さては照のこと大好きであるな?」

照「そんな……照れる」

やえ「言ってないでしょ!? もじもじしないでよ! だいたい、あんたがポンコツなのは話したらすぐわかったっつーの!」

穏乃「そうなんですか!? 私、宮永さんやっぱりかっこいいなーって思ってました!」

照「……私、実はかっこいいキャラだった?」

玉子「王者の風格がにじみ出ているのである!」

灼「黙って表情作るとかっこいいですよ」

照「……キリッ!」

穏乃「凛々しい!」

玉子「かっこいいのである!」

やえ「……ちょっと、なんとかしてよ」

灼「なんとかできるとでも……?」

やえ「……はぁ」


もこ「…………」

照「あ、ごめんね……やえにほめられてちょっと浮かれた」

玉子「照もやえのこと大好きであるな?」

照「ばれたか」

やえ「…………」

照「照れてる?」

灼「照れてますね」

やえ「うっさい! 照れてない!」

もこ「…………!」

照「ごめんごめん……でも、直接打ってはいないけど……わかるよ?」

やえ「……牌譜なんかのデータだけでも非凡さは感じられるわ」

穏乃「っていうか、顔を会わせたらわかりますよね! あ、こいつはヤバいな……みたいな人は」

玉子「たしかに……臨海の辻垣内とか見るからにヤバかったのである……目があったら殺られる、的な……」

やえ「……それ、ちょっと違うでしょ」

照「ふふ……まあ、対木さんとは公式戦では打てないだろうから、残念だね」

もこ「………………?」

照「……それは違う。 大会で対戦することになっても、敵ってわけじゃない」


もこ「…………」

灼「東海大会で打った百鬼さんは、敵?」

もこ「……!!」

照「まあ、そういうことかな。 あまり固く考えなくていいんだよ? 大会に参加している人、きっとみんな麻雀が好きなんだし……仲良くなれればそれが一番いい。 卓上ではどうしても勝ち負けが生まれるけど……それはそれ、これはこれ。卓上のことは卓外には持ち込まない」

やえ「ふん……きれい事言っちゃって……あんた、インハイ二連覇してるからみんなにその首狙われてんだかんね? 敵は敵よ」

照「……そんなこと言っても、ここに来てる時点で説得力ない」

玉子「ほんと素直じゃないのである」

やえ「~~~~っ!」

灼「言うだけ墓穴だと思……」

穏乃「でもほら、この前言ったじゃん! やっぱり戦いのあとには友情が芽生えるんだよ! 昨日の敵は今日の友、王道だよ!」

もこ「…………?」

穏乃「そう! 拳と拳をぶつけ合い……あ、痛っ! な、なに?」

もこ「…………?」

灼「……いま、物理的に戦わなくていいんだよ」

もこ「…………」

穏乃「気にしてないよ、私の言い方も悪かったっていうか……」

玉子「もこは存外素直であるなあ……」


照「……やっぱり、戦うといっても暴力はよくない」

玉子「それは、当然であるな」

照「とはいえ、ここでは麻雀は打てないし……私とやえは対局できない」

やえ「……インハイ前だかんね」

照「そこで私は、みんなで、今ここで行える戦いを思い付きました」

もこ「…………?」

照「玉子、いいかな?」

玉子「私であるか? よきにー」

照「それでは、第一回スイーツ大食い大会を開催します」

玉子「!?」

穏乃「なるほど! その手がありましたか!」

もこ「…………!」

玉子「ちょ、ちょっと待つのである! そんなことするほどの手持ちは……!」

穏乃「勝負はね、手加減しないで全力で戦うのが真の友情だよ!」

もこ「…………!」

玉子「あ、いや、だから……ってやえ! 灼! どこにいくのであるか!?」

やえ「……お金おろしてくるわ」

灼「……必ず戻りますので」

玉子「帰ってくるのであるな!? ちょ、えっ? ほんとに帰ってきてくれるのであるな!?」

照「店員さん、メニューのここからここまで人数分お願いします」

玉子「ノォォォォである~~!!」


カン!

もこちゃんみたいにインパクト強いキャラは掘り下げが待ち遠しいです。個人戦出てないから4,5年かかる気がするけど

しのたんイェイ~まであと数日…間に合わない…きょうたんイェイ~なら一週間あるし間に合うか…?忙しくなると書きたいものだけは増えていく不思議


もこちゃんは地元の星なので今後の活躍に期待してる


このポンコツ照なら咲ともすぐ仲直りできるんじゃないか?w

>>571私は地元横浜なんでシノハユでキャラ増えそうなんで楽しみです
>>573照さんはほら、オンオフきっちりしててずっとオフなだけだから…

立先生のとこ更新来てましたが特に真新しい感じはなかったですね。綾ちゃん一瞬タマちゃんかと思った(あぐり感)

次はたぶん>>471一年大将組で。なるべく早く来れるようにします

遅くなった言い訳もできない。土日には必ず…
バレンタイン、清澄とか龍門渕とかなんか書きたかったけど間に合わなそうなので諦めたんですけど、やっぱりなにかしらやりたいので…

1 穏乃「日本ではチョコを渡すんですよ!」 ダヴァン「私はラーメンの方が好きでスネ」 ネリー「ネリーはお金がいいな!」

2 憧「いや別にチョコって言っても友チョコ的なアレで特別気合入ってるとかそんなことは」 一「……直接渡したら?」 透華「派手な演出が必要なのでは?」

3 白望「チョコよりも身の回りの世話をしてほしい……」玄「おまかせあれ!」胡桃「そこ! 甘やかさないっ!」

4 灼「チョコです」 照「ひとつだけ?」 やえ「ちょっとは遠慮しなさいよ!」

5 竜華「いぇーい! ハッピーバレンタイーン!」宥「あったかくしすぎてチョコ溶けちゃった……」 泉「どういうことです……?」

6 恒子「今日はバレンタインだーっ!!」健夜「……わっかんねー」晴絵「……知らんし」

遅れるかもしれないけどどれかやります


全部いこう

>>1の一番書きたい話が読みたい

>>584わりとなんでも書きたいんですけどね。それこそ時間があれば>>577これですね。バレンタインって何日過ぎまで許されるんだろうか…
投下します


淡「淡ちゃんですけどー!」

バーンと扉が開いて、飛び込んでくる影がひとつ……といっても、大声で名乗ったから誰かはすぐにわかったんだけど

穏乃「あ、大星さん……いらっしゃい」

灼「……ども」

淡「あれ? ふたりだけ? アコとかいないの?」

穏乃「今日はみんなお出かけなんです。 私もこれから咲……清澄の宮永さんとお買い物で……」

灼「私も、ともきーと天江さんで遊びに……」

穏乃「灼さん、最近沢村さんと仲いいですよねー」

灼「ん……ともきー、変なゲームとかいろいろ知ってて面白いよ。 あと天江さんかわいい」

淡「ちょっと!私がいるのに別の話題で盛り上がらないでよ!」

穏乃「あ、すみません……というか、大星さん来る前に連絡してくださいって言ったじゃないですか……入れ違いにならなくてよかったですけど」

淡「ありゃ? そうだっけ? でもほら、うちはいつ抜け出せるかわからなくてさー」

灼「……また、練習抜け出してきたの?」

淡「この前テルーがふらふらーって遊びに行っちゃって菫先輩に説教されてんの! 今しかない! って思ってー」

灼「……照さん、この前大星さんが抜け出そうとして叱られてる隙に抜けてきたって言ってたけど……」

穏乃「……白糸台大丈夫なんですかね?」

淡「内緒話しないでよー! なんの話ー?」

穏乃「……あの、大丈夫なんですか? 抜けてきちゃって」

淡「亦野先輩に言っといたから大丈夫!」

穏乃「……亦野さん、心労で倒れるんじゃないですか?」

灼「照さんと同じことしてるし……先輩後輩ってやっぱり似るのかな……? というか、何度も同じ手で逃げられる弘世さんもちょっと……」

淡「菫先輩、ちょっと足りてないから!」

灼「……お前が言うな?」

穏乃「あはは……」


灼「そういえば……渋谷さんとか、なにも言わないの?」

淡「たかみー? たかみーはね、『誠子ちゃんがいいって言ったらいいよ』って。 だから亦野先輩に出掛けてくるねって言えば大丈夫だよ!」

灼「……丸投げ?」

穏乃「亦野さん、止めきれないんだろうなぁ……」

淡「とにかく大丈夫だから! 遊び行くなら私も一緒に行ってあげる! シズノ、うれしいでしょ?」

穏乃「え、まあ……はい、そうですね!」

淡「んふふ、そうでしょそうでしょ!」

穏乃「咲に連絡しないと……」

灼「咲、電話持ってないよ……まあ、大丈夫だとは思うけど」

穏乃「和に電話すれば連絡つくかなぁ……?」

淡「別に大丈夫でしょ! っていうか置いてかれたら私が暇じゃん!」

穏乃「えぇー……いや、それはそうなんでしょうけど……」

淡「いいから行こうよ! サキだって私と会えたら喜ぶし!」

穏乃「あ、咲と仲いいんですか?」

淡「え? 大将戦で打っただけだけど?」

穏乃「……どこからその自信が」

淡「っていうかさ! 私、団体で少しだけ、ほんとに少しだけだけど! サキにやられたの超悔しいんだよね! 負けてないけど! 個人戦で勝つけど! 百回倒すけど!」

穏乃「は、はぁ……?」

淡「とりあえず試合前に宣戦布告しなきゃだから! 百回倒すって!」

穏乃「えーと……」

灼「……咲、意外と人見知りしないし、知らない仲でもないんだから平気だと思……とりあえず行ってみたら?」

穏乃「……そうですね! 灼さんは……」

灼「んー……約束の時間までもう少しあるから」

穏乃「そうですか! すみません、それじゃあ鍵とかお願いします!」

灼「ん、いってら……」

穏乃「いってきます!」

淡「ばいばい!」


淡「ねーねー」

穏乃「なんですか?」

淡「サキとどこ行くの? 雀荘? そうしよっか! さっそくリベンジ……」

穏乃「個人戦選手同士で対局したらダメですよ!」

淡「? 別に打ってもバレなきゃいいじゃん」

穏乃「……いやいや、そういう問題じゃないですから」

淡「なんでー? 打ーちーたーいー! サキを倒して私の勝ちって言わないと気がすまないんだけど!」

どうしてこう……個人戦の参加選手って好戦的なのかなぁ? そりゃあ私だって打ちたい気持ちは全然わかるけど……

気が合いそうだし、大会終わったら荒川さんたちでも紹介してあげようか……たぶんかわいがってもらえるだろうし

あ、もこと合わないかな? いや、なんだかんだで一回打てば大丈夫かなー

淡「じゃあさ、今日はなにすんの?」

穏乃「ああ、咲に本を選んでもらうんですよ。 たまには読書もいいかなーって」

淡「えー? 私、本とか嫌いなんだけど! テルーがいっつも読んでるの見せてもらったけど意味わかんなかったし!」

穏乃「そういえば、宮永さんは難しそうな本持ってましたね」

淡「こーしょーなぶんがく? とか、そういうの向いてないんだよね!」

穏乃「まあ、私もあんまり難しいのは……あとは、そのうち山に遊びに行こうって話してるんでその準備というか、道具の下見ですかねー」

淡「えっ! 遊びに行くの!? 私聞いてないんだけど!」

穏乃「えっ……いや、それは……すみません?」

淡「そういうのは誘ってよね! 私も遊び行きたいし! っていうか山? 楽しいの?」

穏乃「楽しいですよ! 山、最高ですよ!」

淡「そーいう所はあまり行かないんだけどさ、この前亦野先輩の渓流釣り? たかみーと一緒についてったけどけっこう楽しかったよ!」

穏乃「へぇ……亦野さん、卓外でも釣りされるんですね」

淡「あのね、魚! 超おいしかった! 釣った魚持って帰って食べたんだけどね、もう、ほんっとすごかった!」

穏乃「自分たちで釣った魚だと余計にですよねー」

淡「また食べたいなぁ……」

……あれ? 外で遊んだ話じゃなくっておいしいお魚食べた話になってる?


淡「最初はね、釣り堀に連れてってもらったの! いきなりちゃんとしたの連れてって飽きられても困るからーって」

穏乃「ああ……」

たしかに、大星さんを山とか川とか海とかに連れてって飽きられたら大変だろうな……その、騒がしいし

淡「餌にさ、イクラとか使ってんの! 超勿体ないよね! まあなんかうじゃうじゃしてる虫触るのも嫌なんだけどさー」

穏乃「苦手な人だとそうですよね……私はけっこう虫とか平気なんですけど」

淡「そうなの? 変なの……あ、でもねでもね! そこのお魚もおいしかった! 亦野先輩がぽいぽいって釣り上げたのをね、たかみーと一緒にいっぱい食べたんだよ!」

穏乃「亦野さん、釣り上手なんですね」

淡「うん! すごいの! 魔法みたいに魚がかかってさー……もう、麻雀より上手なんじゃないかってくらい!」

穏乃「……へ、へぇ……」

……コメントしづらいんだけど

普通だったらすごい釣りが上手って話になるんだけど……大星さんが言うと、なんか……バカにしてるんじゃないかって気も……いや、別に悪意があるわけじゃないし、亦野さんのことかなり好きっぽいからそんなことはないか

淡「ほんと楽しくてさー……あとで3人で遊びに行ったの菫先輩にバレちゃった時はちょっと焦ったね! しばらく拗ねちゃってめんどくさいのなんのって!」

穏乃「弘世さんが?」

淡「そーなの! けっこう根に持つタイプでさー……ことあるごとに『いいんだ、どうせ私なんか遊び行くのにも誘ってもらえないし……』とか言っていじけてもーたいへん!」

穏乃「それはまた意外な……あ、宮永さんは? 平気だったんですか?」

淡「たかみーがおいしいお茶菓子渡したからなにも言われなかった!」

穏乃「……それは、納得ですね」

宮永照さん、会って話してみるとだいぶ印象と違ったもんなあ……インハイ王者、カッコよかったけど!


淡「あ、そういえば、サキはどこにいるの? 待ち合わせは?」

穏乃「ああ、すぐそこなんですけど……清澄の宿まで迎えに行くんです。 咲、ちょっと方向音痴だから」

淡「へぇ……私は道に迷ったりしないし、これで1勝ね!」

穏乃「勝ちにカウントしちゃうんですか」

淡「なんであれ勝ちは勝ちだから! 私なんか大会で遠征の時とか遊び行くときは亦野先輩や菫先輩が前もって地図とか作ってくれるから迷わないもん!」

穏乃「…………」

いや、それ結局回りの人に手間かけちゃってるし……

穏乃「……あ、咲」

淡「うそっ!? どこどこ? ……いた! おーい!サキー!」

咲「……あ、穏乃ちゃ……あれ? 大星さん?」

淡「サキ! ちょっと! あんまり調子乗らないでよね!」

咲「え? え?」

淡「この前! 団体戦ではちょっとだけそっちのがよかったけど! 個人戦は私が勝つから!」

咲「う、うん……?」

淡「っていうか! 秋も冬も春も! 私が勝つから実質的な勝者は私だから!」

咲「え、その……はい……」

淡「そんでそんで! 来年も再来年も打って私が勝つから! だから私の方がすごいから!」

咲「そうなんだ……?」

淡「そーなの! 私の実力は高校100年生級だから! すごいでしょ!」

咲「す、すごいです」

淡「でしょー!」

咲「……し、穏乃ちゃん……?」

穏乃「……お、おはよう咲! いい天気だね!」

咲「……うん、風が気持ちいいね」


淡「なに天気の話しとかしてんの? お年寄りじゃないんだからさー」

咲「う、うん……ごめんね……?」

あ、咲すごい困ってる……視線で助けを求めてきてるのがよくわかる……んだけど、正直勢いに乗った大星さんって止めようが無いというか……

穏乃「いやあ……咲、ごめんね?」

咲「いや、別に全然いいんだけど……その、ねえ?」

淡「? どうしたの? シズノなんかしたの?」

穏乃「なんかしたというか……」

咲「あ、本当に大丈夫だから! ちょっとびっくりしただけだから!」

淡「サキを驚かそうと思って! サプライズ登場的な?」

穏乃「いや、偶然……」

淡「あ、サキ! 麻雀しよ! 麻雀! 個人戦の前哨戦ね!」

咲「え、個人戦の選手の対局は禁止されて……」

淡「バレないバレない! 大丈夫だよ! みんなやってるって!」

咲「え……そうだったの?」

穏乃「そんなわけないよ! ダメですって大星さん!」

淡「シズノは堅物だなぁ……菫先輩みたい」

穏乃「いやいや! みんな言いますよ! 罰則規定とかちゃんと見てませんけどバレたらたぶん出場停止処分とか受けちゃいますよ!? 」

淡「むー……それはちょっと嫌だなぁ」

穏乃「ちょっとって……それに、学校のみなさんにも迷惑が……」

咲「あー……とりあえず、予定の買い物に」

淡「あ、本とか見に行くんでしょ? テルーもよく読んでるけどやっぱり姉妹って似るんだねー」

咲「え……あぁ、うん……」

……今、少し喧嘩しちゃってるって聞いてるけど、大星さんそこまで知らないのかな?

咲も困ってるみたいだし、助けないと!


穏乃「あ、あの! 大星さんちょっと……!」

淡「っていうかさ、姉妹なのになんで会いに来たりしないの?」

咲「そ、それは……いろいろあって……」

穏乃「大星さん!」

淡「なに? シズノだってさ、会って話したら良いと思わない? 会わない方が不自然じゃない?」

穏乃「う……んと、まぁ……そう言われると……」

そうなんだけど、そういうことではなくて……

淡「だよねー! サキも今度遊びに来なよ! お客さんでも来ないと遊べないし!」

咲「あ……うん、じゃあ……インハイが、終わったら……」

淡「えー? いいじゃん個人戦前でも! 練習休みにしてもらうからさ! テルーもきっと喜ぶよ!」

咲「…………そうかな」

淡「そうだよ! あ、そしたら私と妹勝負ね!」

咲「い、妹勝負?」

淡「私、虎姫では愛され妹キャラとしてかわいがられてるから! みんな私のこと大好きだし!」

咲「そ、そうなんだ……」

淡「とーぜんじゃん! 私ってかわいい上に麻雀も強いし!」

穏乃「自分で言っちゃいますか……」

淡「事実だからね!」

なんか、もう……亦野さんや弘世さんの苦労がちょっとわかった

咲も微妙な表情してるし……

うーん……この前チャンピオンと会ったことは言わない方がいいかな? 灼さんはここら辺どうしてるんだろう……


とりあえず、このままだとずっと大星さんのペースに圧倒されたままだ

移動してみればなにか別の話をするきっかけも掴めるかもしれないし……

穏乃「ねぇ、そろそろお買い物行こっ? 私、憧にもバカだと思われてるっぽいしちゃんと本も読めるとこ見せて見返さないとっ!」

咲「あ……うん、そうだね。 こっちの書店は大きいし、きっといい本見つかるよ」

淡「……なるほど」

穏乃「え?」

淡「私も! 私もなんか読む!」

穏乃「どうしたんですか? あまり、乗り気じゃなかったと思ったんですけど……」

淡「私も菫先輩とかになんかバカだと思われてるみたいでさー」

咲「…………」

穏乃「…………」

……突っ込み待ちかな?

淡「だから、難しい本読んで知的なところを見せつける! なんかオススメない?」

咲「え、えーと……どういうのが好きなの?」

淡「本読まないからわかんない!」

咲「えっ……と、それじゃあ読みやすそうなのをいくつか……」

淡「いや、難しいのがいい! 菫先輩でも読めないようなやつ!」

咲「えぇ……? そんなの買って読めるの?」

淡「わかんないけど! 簡単なの読んでたらまたバカにされそうだし!」

穏乃「中身わかんないのに読んでも意味がないんじゃ……?」


咲「……そういえば、ここから近い書店ってどこだっけ? この前京ちゃんに連れてってもらったんだけど……ここら辺じゃなかったかなぁ……」

穏乃「え? 私わかんないよ? 咲がこの前買いに行ったって聞いてたから……咲、方向音痴だったね……」

咲「あはは……ごめんね」

淡「んーとね……たぶんあっち! この前テルーの買い物についてったから、間違いないはず!」

穏乃「本当てすか?」

淡「任せて! 東京なんて庭みたいなものだから!」

咲「ありがとう大星さん……助かったよ」

淡「ふふん、今回も私の勝ちだね!」

咲「今回も? 勝ち?」

穏乃「……あまり、気にしなくていいんじゃないかな? ほら、龍門渕さんみたいなものだから……」

咲「ああ……なんでも勝負なんだね」

淡「ふふーん♪ 勝った勝った~♪」

咲「……なんか、ここまで勝ち誇られるとちょっと悔しい気も……」

穏乃「うん、それはわかるかな……なんであれ負けると悔しいし!」

淡「さあ、私についてきて! チーム淡ちゃん行くよー!」

咲「おー!」

穏乃「おー!」

……なんか、気づいたらまた大星さんが仕切ってるなぁ……まあいっか。 楽しそうだし


――――――

穏乃「…………」

咲「…………」

淡「…………」

咲「……ちょっと、お腹減ってきたね」

穏乃「……そうだね」

淡「……うん」

咲「…………ここ、どこ?」

淡「…………えーと」

穏乃「……迷っちゃいましたね」

淡「迷ってないし! ちょっと遠回りしてるだけだし!」

咲「……けっこう歩いた気がするけど」

淡「いやー楽しい時間はあっという間っていうし? たまには町中歩くのもいいね! うん!」

穏乃「別に怒ってませんし、強がらなくても……」

淡「そんなんじゃないもん! この淡ちゃんが迷子になるはずないし! 高校100年生だよ?」

咲「……それは、若干信頼度が下がるというか」

淡「え? なんで?」

咲「だって……ねぇ?」

穏乃「ちょ、咲……私に振らないでよ」

淡「むー……とりあえず、こっち!」

咲「大丈夫なの?」

淡「私の勘がこっちだって言ってるから!」

穏乃「ここまで勘に任せてきたんだからその方がヤバいんじゃ……」

淡「大丈夫! まかして!」

咲「なんでこの流れで自信満々なの……?」

淡「高校100年生だから!」

咲「……そっかー」


大星さんが人混みをかき分けて勢いよく駆け出す……って、見失ったら合流できないんじゃ……


淡「ふぎゃ!」


穏乃「ふぎゃ?」

咲「え? どうしたの?」

淡「いったぁ……ちょっと! 前見て歩いてよ!」

ダヴァン「……あなたが後ろからぶつかって来たんでスガ」

ネリー「言いがかりだよ! 訴訟して慰謝料ふんだくるよ!」

穏乃「あ、メグさん! ネリーさん!」

ダヴァン「シズノ! こんにチハ! ……おや、清澄の方の宮永さんに……こっちのはよく見たら白糸台の大星さんでスネ」

咲「あ、はじめまして……じゃないですけど、宮永咲です」

ネリー「どうも! うーん……選手間トラブルってなったらサトハに迷惑かかっちゃうかな? 訴訟はやめとこっか」

淡「外国人? ってことは臨海の……えっと、でかいのとちっさいのじゃん! こんなとこでなにやってんの?」

ダヴァン「ラーメン食べてまシタ。 メグと呼んでくれるとうれしいデス、大星サン」

ネリー「メグは奢ってくれるから好きだよ! っていうか対局した相手の名前ぐらい覚えなよ!」

淡「私、自分より弱いやつの名前は覚えないからさー」

ネリー「……メグ、こいつやっちゃっていいかな?」

ダヴァン「ハハハ、ジョークですよジョーク……ネ?」

淡「へ? なにが?」

ダヴァン「アー……ネリー、ここは大人になってくだサイ。 問題起こして国に返されたりしたら最悪デス」

咲「ごめんね、ネリーちゃん……大星さん悪気はなくって……」

ネリー「悪気ないとか性質悪いよ! ちょっと1回勝ったぐらいで調子乗って……!」

淡「ごめんね? インハイって1回勝負だから!」

ネリー「……ムカつく! コイツなんなの!? っていうかアンタ、ネリーもだけど……サキに負けてるでしょ!」

淡「……個人戦で勝つから! 実質私の勝ちだから!」

ネリー「1回勝負じゃなかったの? ネリー日本語勉強したから知ってるよ! 負け犬の遠吠えってやつだね!」

淡「……むきーっ! なんなのコイツ! ちょームカつくんだけど!」

咲「大星さん落ち着いて……ほら、犬ってかわいいですし……」

穏乃「……すみませんメグさん、連れがご迷惑を……」

ダヴァン「イエ、こちらこそどうもすみまセン……」


淡「こうなったら麻雀で勝負だ! どっちが上かはっきりさせてやるんだから!」

ネリー「む……言っとくけど、大会の時と違って最初から全力全開で行くからね! ネリー負けないよ! 団体戦のリベンジするよ! シズノとサキも入ってね!」

穏乃「ネリーさん、個人戦の選手は大会規定で対局できないから……」

ネリー「ネリーは留学生だから個人戦出れないよ? 稼ぎ場所少なくて残念だよ……」

咲「あ、その……私と大星さんが引っ掛かっちゃうので……」

ネリー「あ、そっか……じゃあメグ入ってよ! それで四人ね!」

淡「私は構わないけど? 二人同時にトバしてやるから!」

ダヴァン「フム……大変魅力的な案デス。 大星さんと決闘もしてみたいのでスガ……」

淡「デュエル? ゆーぎおー?」

ダヴァン「大星さんなら満足させてくれそうでスネ……ではなクテ、サトハに呼び出されているのデス。 すぐに戻らないとシメられてしまいマス」

ネリー「そうだったの? ネリーも帰った方がいい?」

ダヴァン「イエ、大丈夫でスヨ。 せっかくですから遊んで来てくだサイ。 たまには休息も必要デス」

ネリー「ん、ありがとメグ! それじゃあシズノとサキと遊んでくるよ!」

ダヴァン「エエ、それでは失礼しマス……シズノ、またラーメン食べに行きまショウ」

穏乃「はい、メグさん!」

咲「よろしくね、ネリーちゃん」

ネリー「よろしくね! 負けたのは最悪だったけど、大将戦楽しかったよ!」

淡「ちょっと! なんでこの淡ちゃんを無視してるわけ!?」

ネリー「ふん、身の程知らずがよく言うよ……」

淡「……は? マジであんま調子乗らないでよね……またボロボロにしてやるんだから!」

ネリー「……いいよ、遊んであげる! ボコボコにされても泣かないでよ?」


穏乃「……一触即発だぁ」

咲「え、なんかそのわりに穏乃ちゃん落ち着いてるね?」

穏乃「大星さんといると毎回こんな感じな気がして……」

鶴田さんの時とかもっと殺伐としてたしなあ……

咲「……お姉ちゃん、大変なんだろうなぁ」

穏乃「…………そうだね」

チャンピオンはかわいがるだけかわいがって、お世話の方は亦野さんに丸投げされているらしいことは言わない方がいいかな……

淡「ほら、シズノ! サキ! 雀荘行くよ!」

穏乃「あ、はい……じゃなくって! いや、行きませんよ?」

淡「えっ? なんで?」

穏乃「だから! 咲と大星さん同卓できないじゃないですか! っていうか買い物行く途中ですし!」

ネリー「……もしかして忙しかった? ごめんね?」

咲「大丈夫だよ。 とりあえず本屋さんに行くんだけど……一緒に行く?」

ネリー「せっかくだしついていこうかな! ネリーお金ないからなにも買わないけど!」

淡「けっ! 貧乏留学生……」

ネリー「ネリーは日本にお金稼ぎに来てるからね。 無駄遣いはできないよ」

淡「…………大変なの?」

ネリー「……まあ、それなりにね」


淡「……なんか、ごめんね」

穏乃「!?」

咲「!?」

ネリー「……いいよ? 別に……事情なんて人それぞれだし……特に、うちはみんないろいろあるからね」



穏乃「……大星さんが謝ったよ、咲!」

咲「私も驚いたよ……あれ? 穏乃ちゃんうれしそうだね?」

穏乃「なんか……大星さんがさっき言ってたけどさ」

咲「うん」

穏乃「こう……手のかかる妹が、成長したところを目の当たりにした気分かな」

咲「はぁ……なるほど」

こう、桜子たち子ども麻雀クラブのメンバーは付き合いも長いし、やっぱり妹みたいなものだからいろいろあって……綾ちゃんやよし子の卒業式とか泣けたし、もう中学生かーって感慨深かったし……

咲「……でも、同い年だよ?」

穏乃「でも……なんか、そういうのあるじゃん?」

咲「んー……わからなくもない、かなぁ」

穏乃「まあ、咲はもともと妹だし、かわいがられる側だからね……灼さんとか、咲のことすごいかわいいみたいだし」

咲「灼ちゃんが? ……なんか、恥ずかしいなあ……でも、穏乃ちゃんだってどっちかと言うとかわいがられる側じゃないの? 憧ちゃんとか、玄さんとか……」

穏乃「ん? ……言われてみるとそうかも……でも、私意外と地元の子どもたちのお姉ちゃんしてたし! けっこうそういうところもあるんだよ?」

咲「ああ……穏乃ちゃんけっこうしっかりしてるよね。 納得かも」

穏乃「……えへへ、そうかな?」


ネリー「シズノは挨拶もハキハキとして元気もよくっていい、ってサトハも褒めてたよ?」

穏乃「わぁ、ほんとですか? うれしいなぁ」

辻垣内さん、礼儀とかすごいしっかりしてる人だし……そういう人に認められるとやっぱりうれしいよね

淡「あ、亦野先輩もね! シズノのこと褒めてたよ! お前と違ってしっかりしてるなって言ってた!」

咲「……あの、大星さんそれは……」

淡「ん? なに?」

ネリー「……むしろアワイがしっかりしてないって言われてるよ?」

淡「そうなの?」

穏乃「……そういう一面もある、かな?」

淡「……たぶん気のせいだよ! 私がしっかりしてるのに、それ以上のシズノを褒めたんだよ!」

穏乃「……なるほど?」

ネリー「……なんだっけ、えーと……おめでたいやつ?」

咲「え、えーと……まあ、そういう言葉もあるよね」

淡「めでたいめでたい! よかったねシズノ! 高校100年生の私よりしっかりしてるとか超すごいじゃん!」

穏乃「うーん……そんなに褒められると照れるんだけど……」

ネリー「……ネリーはアワイの方が心配だよ」

淡「え? なんで? 私よりネリーの方が大変じゃん」

ネリー「……まぁね。 個人戦も出れないから秋の選抜大会とかで頑張るしかないかなー」


淡「……やっぱり活躍の度合いで変わるの?」

ネリー「ん? まあそうだねー……明華なんかけっこう評価もらってたみたいだしかなり稼いだんじゃないかな?」

咲「……なんか、プロみたいだね?」

ネリー「まあ、みんなプロ意識みたいなのは持ってるよ? っていうか明華もハオも日本の外でもう結果出してるしね! ネリーも将来的にも麻雀でバリバリ稼いでく予定だし……」

淡「……そっかー」

穏乃「話を聞いてると、もうプロみたいなものなんですかね?」

ネリー「うん、そうだね! ネリーはまだ一年生だからシズノとも、サキともアワイとも何回も打つと思うから……ネリーのこと思うなら手加減してくれてもいいよ?」

穏乃「それは真の友情じゃないですよ! 打つときは全力です!」

咲「……そうだね。 これから何回も打つなら、尚更適当なことはできないかな……」

ネリー「……まあ、全力勝負の方が面白いしね! できればそっちは公式戦以外で消化して本番は手を抜いてほしいんだけど……」

咲「もう、ネリーちゃんってば……」

ネリー「あはは!」

穏乃「対局の時は……あれ? 」

淡「…………」

穏乃「大星さん? どうかしましたか?」

淡「……ごめんね、ネリー!」

ネリー「え?」


穏乃「ど、どうしたんですか? なんか、さっきかららしくないですよ?」

咲「うん……なんというか、不気味というか……」

淡「だって、私のせいでネリーは……」

ネリー「え? え? どうしたの?」


淡「だって、ネリーはこれから3年は私に負け続けるんだよ!?」


咲「えっ」

穏乃「えっ」

ネリー「……は?」

淡「だってだって、今年の団体戦で既にわかってることだけど私はネリーより強いじゃん? で、ふたりとも大将なんだよ?」

ネリー「……ちょっと、なに言ってんのかわかんないんだけど?」

淡「だから! ネリーは貧乏なのに最強の私にボコボコにされ続けるんだよ? お金全然もらえなくなっちゃう!」

咲「えっ、え? あれ?」

穏乃「……もしかして、さっきのごめんって……?」

淡「うん……だってネリーは私に負けたせいで貧乏なんでしょ? 私に勝てるわけないから3年は貧乏のままだよ?」

ネリー「……こ、この……!」



淡「ネリー……」


憐れみの表情を浮かべた大星さんが、ネリーさんの肩にポン、と手を置いた



淡「ごめんね? 強くてさ!」


ネリー「ああああ!! コイツやっぱり超ムカつく!!」


咲「…………お姉ちゃん、大星さんの面倒見きれてるのかな……?」


穏乃(……大星さんとチャンピオンのお世話してる亦野さんには胃薬でも贈った方がいいかな)


カン!

臨海外人部隊のお金ってどんなかんじの制度になってんだろうか…名目上は奨学金とかになってんですかね?
とりあえずバレンタイン準備に入ります。多そうなとこから順に投下出来たらいいなー


この4人だと穏乃が一番しっかりしてるように感じるw

>>607しずはクロチャーとかの上の子がいなければお姉さんしなきゃ!ってなる子だと思ってます。あわあわの下っ子感が強すぎるのもありますけど

とりあえずさっそく間に合ってないけど宮守で


晴絵「週末さ、ちょっと空けるからみんなで練習しといてー」

憧「え!?」

晴絵「……え? なんでそんな驚いてんの?」

憧「だ、だって週末って、バレンタイン……」

玄「ええ!? 赤土先生、恋人できたんですか!?」

灼「おめでと……」

宥「おめでとうございます!」

穏乃「やったぁ! おめでとうございます!」

晴絵「…………お、おう」

憧「嘘、マジ!? お、お姉ちゃんに連絡しないと……」

晴絵「あ、いや待て待て待て! 望には、違っ……仕事! 仕事だから! 違います! プロ入りとかそこら辺の調整で岩手の方まで行くだけだから!」

憧「ふきゅ!? く、熊倉さんと……」

晴絵「んなわけないだろ!」

穏乃「ってことは、宮守の方まで?」

晴絵「うん、熊倉さん今はあそこで教員やってるからね」

宥「岩手……あったかくなさそう……」

灼「あったかくないというか、すごい寒いと思……」

穏乃「胡桃さんやエイスリンさん、元気にしてるかなあ……」

憧「あ、この前メール来たけどみんな受験も終わったらしいよー」

玄「……あの、赤土先生」

晴絵「ん? どうした玄?」

玄「……一緒について行ったりしても、いいですか?」


――――――

豊音「わー! わー! 阿知賀のみんなだ! また会えてちょーうれしいよー!!」

玄「姉帯さん! お久しぶりです!」

白望「いらっしゃい……」

灼「お邪魔しま……」

塞「いやー、なんかほんと久しぶりだね……宥さん炬燵どうぞ」

宥「さ、さささ寒い……あ、ああ、ぁりがとうございます……」

胡桃「大丈夫なの!? お茶とか入れるよ? 塞が」

塞「私が!? まあいいけど……」

エイスリン「マタアエテウレシイデス!」

穏乃「私もです!エイスリンさん!」

憧「……部室、炬燵あるんですね」

胡桃「シロの持ち込みで……」

憧「私物なんだ!? あ、胡桃さん! みなさんも! お受験お疲れさまです!」

塞「ほんと、無事に終わってよかったよ……こっちに来てるってことは、宥さんも……」

宥「はぃ……な、なんとか……」

豊音「おめでとうございます! ほんとよかったよー!」


トシ「それじゃあ、私らはあっちで話してるからね」

晴絵「一応練習試合の体で宿代とか落としてるから……しっかりやっといてよ?」

灼「ん……」

塞「でも、ほんと久々の麻雀だね……最近は勉強勉強で……はい、お茶」

宥「あ、ありがとうございます……」

白望「マットと牌出してー……」

玄「え? こっちに卓が……」

白望「ダルくて炬燵から出られない……」

胡桃「ちょっと! 迷惑かけない!」

宥「寒くて炬燵から出られない……」

胡桃「えっ、あー……うん」

憧「……宥ねえも動けませんし、二卓は囲めるんですからいいじゃないですか?」

豊音「シロー! マットと牌出したよー!」

白望「ありがと……」

エイスリン「タク、フタリヅツ?」

穏乃「そうですね!ひとりづつ余るからそこは休憩で……」

塞「……じゃーんけーん!」


胡桃「案の定負けたね、塞」

白望「ズルしようとするから……」

塞「……うるさいなあ」

玄「それじゃあ、手が空いたので……私、チョコ作ってきたんですよ! バレンタインですから!」

豊音「もらっていいの? ちょーうれしいよー! 私たちもね、ちゃんと用意しといたんだー!」

エイスリン「チョコ! オイシイヨ?」

白望「チョコよりも身の回りの世話をしてほしい……」

玄「おまかせあれ!」

胡桃「そこ! 甘やかさないっ!」

玄「でも、私の得意分野ですよ?」

憧「玄、下手したら麻雀よりも世話焼き歴長いからねー」

塞「へ? どういうこと?」

宥「くろちゃー……」

玄「あ、お姉ちゃん寒い? 上着かける? あったかーいお茶もあるよ?」

塞「……なるほど」

灼「宥さん、昔からあの調子ですから……」


――――――

胡桃「じゃ、打とっか……シロ! 牌積んで!」

灼「手積みとか久々……」

宥「昔は一緒にうちでやったねー」

白望「ダルい……」

玄「主流は自動卓ですからね! 私が積みますよ!」

胡桃「玄ちゃん! シロをあまり甘やかしたらダメ! なにもしなくなっちゃうから!」

白望「喉渇いた……」

玄「お茶どうぞ!」

胡桃「玄ちゃん! だからほっといていいから!」

白望「お腹すいた……」

玄「持ってきたチョコでよければ……あ、胡桃さんもどうぞ」

胡桃「あ、ありがと……」

白望「ダルいから食べさせてー……」

玄「はい、あーんしてくださいねー」

胡桃「シロの介護、そこまでしなくていいから!」

宥「くろちゃー私も……」

玄「うん! お姉ちゃんもあーんして!」

胡桃「えぇ……?」


灼「胡桃さん、気にしない方向で……冬場はいつもこんな感じなんで」

胡桃「……いや、ちょっとマズいでしょこれは……ダメ人間製造機だよ」

玄「あ、灼ちゃんもどうぞ! あーん」

灼「え……いや、私は……」

玄「?」

灼「自分で食べれ……」

玄「ふぇ……灼ちゃ……」

灼「……あーん」

玄「……えへへ、おいしい?」

灼「……おいし」

宥「おいしーよくろちゃー」

白望「うん、いける……」

胡桃「いや、うん……おいしいけどさ」

白望「玄ちゃん、もいっこ」

玄「どうぞ! お好きなだけ食べてくださいね!」



塞「……私もあーんとかした方がいい?」

憧「いや無理に玄に合わせなくても……」

豊音「してして! 私もチョコ食べたいよー!」

エイスリン「サエ! アーン!」

塞「……あーん」

穏乃「憧も食べる?」

憧「い、いいわよ、恥ずかしいし!」


白望「ん」

玄「はい、おしぼり用意してありますよ!」

白望「あー……」

玄「肩こりですか? マッサージしますよ!」

胡桃「こらっ! 玄ちゃんシロは……なんでそれでわかるの!?」

白望「玄ちゃんうちにお嫁に来てよ……」

玄「私、 松実館継がないとですから……あ、よかったら卒業旅行とか奈良でどうですか? ご宿泊には是非とも松実館をば! お安くしますよ!」

白望「商売上手な若女将……」

玄「こちらに資料が……料金プランは……」

白望「ふむふむ……」

胡桃「ちょ、対局中に商売始めないでよ!」

白望「……さえー、ちょっと、これなんだけど……」

塞「え? なに? 奈良?」

玄「ここから更にお勉強させていただいて……」

塞「え、マジで? 胡桃、これならかなりお得じゃない?」

胡桃「え? あ、これならたしかに……」

エイスリン「ナラ! ダイブツデスネ?」

豊音「わぁ! すごいすごい! 私、奈良行ったことないよー! 行きたい行きたい!」

穏乃「案内しますから是非! お土産もうちで買ってってくださいよ!」

胡桃「すっかりビジネスの場だね!?」

灼「……いいボウリング場なら紹介できると思」

胡桃「わざわざ奈良まで行ってボウリングしないよ!?」


灼「…………」

憧「ほ、ほら! 鷺森レーンは地域密着的なとこあるし! 地元の人向けって言うか!」

玄「私、鷺森レーン大好きだよ!」

穏乃「またみんなで遊びにいきますから!」

宥「わ、私の卒業祝は鷺森レーンでやってほしいなっ!」

灼「……みんな、ありがと」

胡桃「……ご、ごめんね?」

灼「いえ、やっぱり観光の人にはあまりウケが……」

豊音「私、ボウリングやってみたいよ?」

憧「やったことないんですか?」

白望「ここら辺もあんまり遊ぶとこないし……」

塞「まだあんま考えてなかったし……卒業旅行奈良でいいかな?」

エイスリン「ニホンブンカ! キョウミシンシンデス!」

豊音「ちょー楽しみだよー!」

胡桃「それじゃあ細かい日程決めたら玄ちゃんに連絡して……」

玄「おまかせあれ!」

白望「玄ちゃんできるね……」

宥「頼りになる、私にはできすぎた妹です……」


胡桃「っていうかそれロン! 8000!」

白望「あー……はい」

胡桃「あんまり気ぃ抜かないの! しっかりする!」

白望「玄ちゃんと炬燵が強すぎて無理……」

宥「炬燵も玄ちゃんもあったかいですよねー」

灼「部室に炬燵は実際ヤバい……」

宥「私も持ち込んじゃえばよかったかな……」

玄「ふふ、帰ったら持ち込んじゃおっか? あ、お茶二杯目いりますか?」

白望「ありがと……ねぇ玄ちゃん」

玄「なんですか?」

白望「……やっぱりうちにお嫁に来ない? それが無理なら住み込みで働くとか………」

玄「えへへ、お気持ちはうれしいですけど私には松実館が……」

白望「ほら、胸とか好きなだけ触っていいし」

玄「はぅあ!?」

胡桃「変態か! この痴女! 見損なったよ!」

玄「……ど、ど、ど、どうしようおねぇちゃん……」

胡桃「なんで悩むの!?」

宥「えっと……玄ちゃんと離れるの寂しいし、小瀬川さんがうちに来るというのは……」

胡桃「そういう話なの!?」

白望「んー……悩むけど、宿泊費がさすがに……」


玄「あ! それじゃあ小瀬川さんがうちで住み込みで働くというのはどうでしょう?」

白望「えー……働きたくない……」

胡桃「ニート!? 働くそこ!」

白望「だって楽がしたいのに玄ちゃんのとこまで行って働くんじゃ本末転倒だし……」

灼「……玄のヒモ的存在として生活すれば」

白望「!! それ天職かも!」

胡桃「ヒモは職業じゃないよ!? どちらかと言うと寄生虫だよ! あと急にテンション上げるのやめて! びっくりするよ!?」

宥「私と一緒に炬燵に入るお仕事をするとか……」

胡桃「働いてないよ!?」

白望「それじゃあ将来的には松実館に住まわせてもらうということで……」

玄「おまかせあれ!」

胡桃「なに言っちゃってんの!? 玄ちゃんも宥ちゃんも止めてよ!?」

灼「多少は働かないと……」

白望「体で返す」

胡桃「だから何言ってんの!?破廉恥だよ!?」

白望「……働いて返すって意味だけど?」

胡桃「え、あ……う……」

灼「真っ赤」

胡桃「う、うるさいそこ!」

玄「…………はぁ」

胡桃「玄ちゃんも露骨にガッカリしない!」

白望「じゃあ路頭に迷ったら松実館行くから。 宿泊費は労働か玄ちゃんにおっぱいで返すということで……」

玄「やったぁ!!」

胡桃「誰かこの子たちなんとかして!!」

カン!

バレンタイン要素?舞台が夏の東京じゃなくなるから……
いつもの半分ぐらいの量で量産できればこの調子でやってくので……三日ぐらいまでなら過ぎてもギリギリバレンタインって言えますかね?

一年かけてバレンタインやってる某スレもあるから問題ない


バレンタインに受験終わってるとかこいつら国公立受けないのか

>>621一年もかけてバレンタインやったら人間関係もチョコもドロドロぐちゃぐちゃになりそうで怖い。私だったらネタも持ちませんわ…
>>622普通に麻雀強い私立行くイメージ持ってました…

投下。白糸台とやえさん


やえ「あんた、今週末暇?」

放課後、校門の前に晩成の制服……目立ちに目立ってるけど意に介する様子はない……晩成の部長だし、そういうのは慣れてるのかな

灼「……どうせ私は彼氏もいないしバレンタインに予定もないですけど」

やえ「別にそんなこと言ってないでしょ!?」

灼「……あ、やえさんにバレンタインデートのお誘いを受けてる……?」

やえ「違うわよ!! もう……とりあえず場所変えるわよ! ついてきなさい!」

灼「え……でも、噂とかされたら恥ずかしいし……」

やえ「なんの噂よ!?」

憧「あ、小走さん! ……なんか校門に晩成の人がいるってめっちゃ目立ってますよ?」

やえ「あら、新子じゃない。 偶然ね」

憧「あはは、偶然もなにも……灼さんの待ち伏せですか? 灼さん、小走さんと付き合ってるの?」

灼「ほら、噂されてる」

やえ「新子! あんたねぇ……!」

憧「ちょ、冗談じゃないですか! そんなに怒らなくても……」

やえ「……ま、いいわ。 で? どうなの?」

灼「……暇だけど、どして?」

やえ「東京行くのよ。 照に会いに……」

灼「バレンタインデート?」

憧「え? 宮永照と? こりゃまた意外な組み合わせで……」

やえ「違うっつーの! 進路の話とかで……」

憧「あ、そっか……小走さんは宮永照と……」

灼「……同じチームに所属が決まってたね」


やえ「ん……まぁね」

小走やえ。 奈良県の強豪、晩成高校エースで部長。 幼少期から公式大会でも多くの結果を残している……高校卒業後、プロ入りが決定している

灼「チーム決まってすぐ、照さんから電話来ましたよ」

やえ「は? なんであんたに行ったわけ?」

灼「……電話帳、小走と鷺森で一個間違えてかけたみたいです」

やえ「……相変わらずの間抜けっぷりね」

灼「すっごい喜んでましたよ」

やえ「……それは、私のとこにも電話来たし、わかってるけど……」

憧「小走さんもうれしそうですね?」

やえ「べ、別にそんなっ…………まあ、知り合いと一緒で少し安心したとこはあるけどね」

憧「デレた」

灼「デレたね」

やえ「うっさいわよ! ……とりあえず東京行くから、照も会いたがってるし、声かけて暇そうなら一緒に行こうかと思って……」

灼「ん……行きたいけど、どうなるか……憧は?」

憧「え? 私? うーん……東京は行きたいけど、宮永照……さん、あまり話したこともないし……」

やえ「……予定としては、まあそこら辺の話をしつつ、虎姫のやつらとも会って打ったりする予定だけど…… 」

憧「あ、それは普通に魅力的な……」

灼「……もう、みんなに声かけてこっか」


――――――

照「やえ!」

やえ「照……直接会うのは久しぶりね。 弘世も元気そうね」

照「会いたかった。 灼も。 阿知賀のみんなもよく来てくれた」

菫「わざわざ奈良からすまないな。 学校の方にも対外試合扱いで立ち入りの許可ももらっている」

灼「ども……今日はよろしくお願いします」

玄「こんにちは! お久しぶりです!」

照「松実さん……インハイの団体戦以来?」

憧「こっちはテレビや雑誌でよく見かけますけどねー」

穏乃「今のうちにサインとかもらっといた方がいいですかね?」

照「そんな……菫じゃあるまいし、まだサインの練習とかしてない」

菫「おい」

宥「……練習してるんですか?」

やえ「気の早いやつ……麻雀の練習しなさいよ」

菫「し、してないっ! ただ、プロになればそういうのも必要になるとは思っているがだな……!」

穏乃「今からファンのことも考えてるなんてプロ意識の高さの表れですね!」

菫「む……まあ、そういう言い方もできないことはないと思うぞ? うん」

照「高鴨さん、あまり菫のことは褒めなくていい。 調子に乗る」

菫「お前には言われたくないぞ、照」

やえ「……どっちもどっちでしょ」


玄「そういえば、渋谷さんとか他の虎姫の方は……」

菫「ああ、学校で待たせている。 出迎えにぞろぞろ来ても迷惑だろうしな」

照「淡が自分も行くってゴネて大変だった」

憧「……連れてきたら大星さんひとりで大騒ぎして大変だったでしょうしね」

照「淡を注意する菫が一緒になって騒ぐから困る」

菫「おい! なんだその言いぐさは! お前だってここに来るだけでおいしそうなお店が……とか言ってあっちにフラフラこっちにフラフラと手間かけさせておいて……!」

照「今日はバレンタイン。 おいしそうなチョコが町中に溢れ帰っている。 私は悪くない」

やえ「……もういいから騒いでないでさっさと案内してよ」

菫「あ、ああ……すまない、では行こうか」

照「チョコ食べたい」

菫「帰ってからにしろ!」

灼「……バレンタインですし、チョコ用意して来ましたけど……」

照「灼……!」

菫「一応、こちらでも用意はしているが……部室に普段から買い置きしているものなんだ。 すまないな」

宥「いえ、そんな、お気になさらず……」

憧「……白糸台って厳しそうなのにおかしの買い置きとかしてるんですね」

菫「……うちのエース様とその後継がな……」

照「とにもかくにもおかしがないと……」

やえ「……あんたはブレないわね」

照「……褒めてる?」

穏乃「褒められてますね!」

照「褒められた!」

やえ「呆れてんのよ!」


――――――

誠子「お疲れ様サマです! 本日は奈良からご足労いただきありがとうございます!」

灼「こちらこそ、急にすみません……」

淡「おっそーい! 私を待たせるなんてどういうつもりよ! 早く打とっ!」

菫「私たちは小走と話があるから阿知賀の方たちと打っててくれ」

淡「えー! テルーと打てないの? 久しぶりなのに!」

照「まあ、すぐ終わるから先に始めてて」

やえ「悪いわね、大星」

淡「むー……なによ! この片側ドリル! あんたなんか知らないもん! あっち行け!」

誠子「こら淡! なに失礼なこと言ってんだ! すみません小走さん!」

やえ「……いや、話には聞いてたし……あんたも大変ね」

淡「私より弱いくせにテルーと同じチームとか調子に乗らないでよね! ばーかばーか!」

誠子「淡、いい加減にしろって!」

尭深「淡ちゃん、宮永先輩が卒業しちゃうの寂しいんですよ。 だから……」

やえ「……妬いてんの? まあいいわよ、気にしてないから。 つーかレベル低すぎて怒る気にもならないと言うか……」

穏乃「大星さん! ダメですよ小走さんだってすごい人なんですから……ほら、麻雀なら私でよければお相手しますし……」

淡「シズノ! ……ふふん、なに? 私と打ちたいんだ? まあ、どうしてもって言うなら相手してあげないこともないけど!」

穏乃「打ちたいなー! いや、ほんとに! 是非とも! ……憧、玄さん」

玄「え? 私でいいの? えへへ、大星さんと打ってみたいってずっと思ってたんだー」

憧「……打ちたいなー。 大星さんみたいな実力者と打てばきっと勉強になるだろうなー」

淡「んふ、それほどでもあるけど! ほら、こっち卓あるから! 座って座って!」

誠子「……ありがとう、高鴨さん」

穏乃「いえいえ、実際打ちたいですし!」

憧「お疲れ様です……」

誠子「あー、うん……あれでもかわいい後輩だからね」


菫「……やっぱり、部は亦野にしか任せられんな」

照「うん、菫にしては珍しくいい人選だったと思うよ」

菫「一言余計だ」

宥「誠子ちゃんが新部長なの? 白糸台の部長なんてすごいねー」

誠子「あ、いえ……なんというか、ちょっと荷が重い感じもするんですけど……仕方ないと言うか」

灼「……仕方ない?」

菫「亦野以外だと淡がどうにもならん……その亦野でも止めきれないんだが」

誠子「虎姫以外の部員の言うことほとんど聞かないんですよ……私は尭深の方が向いてるんじゃないかと思うんですけど……」

尭深「誠子ちゃんの方がいいよ。 私、淡ちゃん制御する自信ないし……部のお手伝いはいくらでもするから」

照「いっそ誠子は淡係に専念して実務は尭深に任せちゃえばいい」

誠子「いやいや!そういうわけにもいかないですよ……」

やえ「淡係って……手のかかるのがいると大変ね」

菫「その点晩成はきっちりしてるし安心だろう? 新部長は巽か?」

やえ「ええ、由華に任せたわ。 ま、強力なライバルもいるから少し心配だけどね」

宥「ふふ……うちはしっかりものの部長さんがいますから、来年もきっと頑張ってくれると思いますよ」

灼「……頑張ります」


照「それじゃあやえ、今後のスケジュールだけど……」

やえ「ちょくちょくこっち出てくるのよね……完全に越してくるのは三月中頃になると思うんだけど……」

照「二月中は私の家に泊まっていい。母さんにも話してある」

やえ「……チームの方で宿取ってくれるって聞いてるけど?」

照「……私が寂しいから」

やえ「……まあ、いいけど。 あんたのとこはどんな感じ?」

菫「来週、はやりんのライブに関係者席を用意していただいている」

やえ「……ハートビーツは楽しそうね」

菫「はやりんのライに特等席が用意されるなんて……ハートビーツに取ってもらえてよかった。 感激だ」

灼「……もしかして、弘世さんも瑞原プロみたいな……?」

菫「……私は、あまり歌やダンスに自信はないのだが……チームの方針ならば……!」

照「やりたいらしい」

やえ「アイドルじゃなくて麻雀頑張りなさいよ」

菫「な、私は別に……! 麻雀プロになるわけで、アイドルになるわけじゃない! はやりんのファンだとか、そういうのはまた別の話だ!」

尭深「どうも、遅くなりまして……粗茶ですが」

宥「ありがとうございます……あったかくて、おいしいです」

淡「あーっ!!」

憧「ふきゅ」

尭深「!?」


尭深「……どうしたの、淡ちゃん?」

対局中の大星さんの唐突な叫び声に驚いたらしい憧が、顔を真っ赤にして俯いてるのが見える

穏乃と玄はいつも通りほわほわしてるけど

淡「前から思ってたんだけどさ、ソチャってなーに?」

尭深「え……粗末なお茶……?」

淡「お客さんに粗末なお茶なんて出したら失礼じゃないの?」

尭深「……これは、謙った日本語的な言葉と言うか……」

誠子「つまらないものですが……って本当につまらないものを渡すわけじゃないだろ? そういうやつで……」

淡「なんで物を渡すときにつまらないものとか言うの? つまらないものなんて渡されたら嫌じゃない?」

誠子「いや、だから……」

灼「大星さん、バレンタインチョコあげる」

淡「やったー! ありがとアラタっ!!」

誠子「……すみません、何度も何度も」

灼「……適当に誤魔化した方が楽っぽいですよね」

菫「いちいち構ってやるからなついてるんだろうけどな」

照「…………チョコ」

灼「あ、これはどうもすみません……今出しますので」


灼「どうぞ、チョコです」

照「……ひとつだけ?」

やえ「ちょっとは遠慮しなさいよ!」

照「???」

やえ「だからなにがそんなに不思議なのよ!?」

照「やえは?」

やえ「はぁ?」

照「チョコ、くれないの?」

やえ「……なんで私があんたにチョコ渡さなきゃいけないのよ」

照「……くれないの?」

やえ「……そういうあんたはなんもないわけ?」

照「……わたしは、もらうの専門というか……」

菫「昨日、一応準備したんだがな……照と淡がつまみ食いしてほとんど……」

照「菫!」

やえ「あんたは、ほんっと……」

照「違う、誤解。 やえや灼にちゃんとおいしいものを用意したかった。 味見をしてたら思いの外うまくできていて……つい、食べすぎただけで……」

やえ「誤解でもなんでもないじゃないのよ!」


誠子「一応少しは残ってたんですけどね……完成品は長野の妹さんのとこに送っちゃいましたから……」

照「……ごめんね」

灼「それでよかったと思……咲も、きっと喜んでます」

やえ「……へこまないでよ、気持ち悪い。 ほら、チョコあげるから」

照「あ……やえ……!」

やえ「ふん、勘違いしないでよ? 灼が持ってくって言うから、なんも用意してないと悪いと思っただけだかんね!」

菫「……あれか、小走はツンデレってやつか」

宥「素直じゃないんですよねぇ」

やえ「うっさい! 弘世も宥もちょっと黙ってて!」

照「それじゃあ、市販品で悪いけど……誠子、チョコ出してきてもらえる?」

誠子「はい! この前宮永先輩が買ってきた袋でいいんですよね? 尭深、お茶の方頼むよ」

尭深「うん」

宥「あ、私もチョコ持ってきてますから……誠子ちゃんや尭深ちゃんもよかったら……」

誠子「あ、すみません宥さん! うれしいです!」

尭深「ふふ……ありがとうございます」


照「おいしい」

やえ「そりゃよかったわね」

灼「もう少し用意してきた方がよかったかな……」

照「大丈夫。 もらってばかりじゃ悪いし……」

やえ「……表情と言葉が一致してないわよ」

菫「……プロになって一番心配だったのは照なんだがな。 実力は心配ないだろうが普段が普段で……小走がついてくれるなら安心だ」

やえ「こいつの世話、押し付けないでよ」

菫「と言っても私は所属が違うから仕方あるまい……頼んだぞ」

やえ「はぁ……ま、ちょっとぐらいならね」

誠子「……宮永先輩? これでいいんですよね?」

照「うん。 ありがとう誠子」

誠子「い、いえ……でも、これって……」

照「じゃあ、菫、やえ、灼、宥さんも……チョコどうぞ」

宥「ありがとうございます~」

灼「あり……」

やえ「……ちょっと、これ」

菫「照!? こ、これは……」


照「きのことたけのこ、どっちがいい?」


やえ「……ちょっと弘世、どういうつもり?」

菫「そういう小走、お前こそ……失望したぞ」


灼「……火種が」

誠子「胃が痛い……」


カン!

弘世様からはハートビーツ魂を感じる。なんでネタキャライメージこんなに濃ゆいんだろうか

乙です
>>623
一年かけてってのは、毎月一回くらいしか投下がなく量も少ないので、一年近くかかった上に、結局完結出来なかったスレだと思う

実はネタキャラと言えば哩かと思っていたが思わぬ伏兵がいた(狙撃手だけに)
菫、哩、レジェンドの一見しっかり者、実はちょっと抜けてる対談を是非

>>638>>634一年以上かかったとしてもモチベ切らさないのはすごいですね。完結せずにスレ落ちるのが一番寂しいですし…ここもできるだけ長く続けたいものです

>>642さすがにバレンタインと言うには厳しくなってきたし次回これで行ってみましょうかね!哩さんは日和でポンコツ確定してるけど弘世様はほんとなんなんですかね。これも愛ですかね

龍門渕で投下


憧「おはよー……って、電話中?」

穏乃「おはよっ! ……ああ、今憧が部室に……はい、そうなんですよ……」

朝練のために部室に来てみれば、珍しくしずが電話中だ

玄や宥ねえ、灼さんはこれから部室に来るわけだし……敬語だから和や咲でもない

それでもって、しずがこんな朝早くから電話をするような仲の相手というと……

穏乃「……はい、そうですね国広さん!」

憧「……やっぱり」

しずはインターハイの後も国広さん、薄墨さんとは連絡を密にしているようで……新しい服がどうとか、ちょくちょく不穏な会話が聞こえる

穏乃「はい……はい、それじゃあ週末に届くようにチョコ送ります!」

憧「……チョコ?」

穏乃「う? ……ほら、週末バレンタインでしょ? せっかくだから贈ろうかと思って!」

憧「チョコを、贈る……」

穏乃「え? あ、はい……憧、国広さん!」

憧「え、あ、うん……もしもし? かわりました」

一『純くんは甘いのもビターでもなんでも好きだよ』

憧「ふきゅ」

憧「……べ、別にまだ何も言ってないじゃないですか!!」

一『あはは! 久しぶり新子さん、元気そうだね』

憧「元気って、そりゃあ、元気ですけど……」

一『この時期は純くんも元気でさ、毎年毎年たくさんチョコもらえるから間食費浮くって……まだまだ色気より食い気って感じだから、安心していいよ』

憧「あ、ああ、安心もなにも! べべべ、別になにも気にしてないですけど!」

一『……新子さんってさ、なんか……色恋沙汰絡むとてんでだよね。 普段はしっかりちゃっかりしてるのに……ま、ボクはそういうとこかわいいと思うけど』

憧「いいい色恋ってなんですか!? ほんと! 違いますから! っていうか国広さんには言われたくないんですけど!」

一『え? ボク、どこか変だったかなぁ?』

服装だよ! ……とは言えないし、言っても聞く耳持たないんだよね……普通にしっかりした人なのに、いったいなにが彼女をああしたのか……


一『あ、透華……うん、今阿知賀の新子さんと……あ! そうだ、新子さん……今週末ってそっちのみんな暇かな?』

憧「え? ええ……大丈夫だと、思いますけど……」

一『練習試合、しない?』

憧「……はい?」

一『ボクらがそっちまで行くからさ……あ、松実さんちの旅館って部屋空いてたりする? そしたら泊まりがけでそっちに……』

憧「ちょ、ちょっと待ってください! 急に言われても……っていうか、そちらの方は大丈夫なんですか?」

一『まかせてよ……透華、阿知賀が勝負『挑まれた勝負からは逃げませんわ!!』……聞こえた?』

憧「あ、はい……ちょっと、練習試合はハルエに聞いて……松実館の方は玄に聞いてみないと……」

一『宥さんより玄さんの方に聞いた方がいいのかな? ちょっと電話してみるよ』

憧「……あの、国広さん?」

一『なぁに?』

憧「その、どうして急に……」

一『だってボク、新子さんのこと応援してるし』

憧「ふきゅ」

一『それに高鴨さんにも久しぶりに会いたいしね! みんな元気? 高鴨さんと鷺森さんとはちょくちょくお話しするんだけど……』

憧「え、あ、それはもう……っていうか! 応援って! 応援ってなんですか!?」

一『わかってるくせに照れちゃってもう……あ、高鴨さんにかわってもらっていい? まだ少し話があってさ』

憧「わかりましたよ、もう! ……しず!」

穏乃「はーい! ……どしたの憧?」

憧「なんでもない!」


――――――

晴絵「練習試合? 龍門渕と? かまわないよ。 っていうか願ったりかなったりだろ……うちは宥が抜けちゃうから対外試合組むのも大変だったし……」

玄「さっき国広さんから私のところにも電話来ましたよ! 松実館に金曜の夜から二泊でお部屋を取ってくださいましたので……」

晴絵「土日は密度の濃い練習ができそうだね……いや、1日観光に当てたりするのかな? まあ私から了承の旨伝えとくよ。 電話してくるから練習始めといてー」

憧「はーい」

穏乃「やったぁ! えへへ、うれしいなっ! 国広さんや天江さんたちに会うの久しぶりだもんねっ!」

灼「うん……楽しみだね。 宥さん、お茶淹れました」

宥「ありがとう灼ちゃん……あったかーい」

玄「あ、ごめんね灼ちゃん……私のお仕事なのに……」

灼「別に玄の仕事ってわけじゃ……それに、お客さん取ったじゃない。 お疲れ様、若女将」

玄「え? えへへ、ありがとうっ!」

穏乃「あ、私もうちのおかしとか売り込まないと……」

憧「……みんな商魂逞しいわねー」

玄「あ……憧ちゃん! そういえば、折り入ってお話があるのですが!」

憧「え? なによ、改まって?」

玄「その、龍門渕の人たちが来るの……バレンタインでしょ? チョコとか、準備したいなーって」

憧「え!? え、あ、うん……まあ、そうね! ……わ、私あまり自信無いんだけど……」

……どうしよう、お姉ちゃんに相談して……いや、絶対からかわれるしやっぱり玄に頼……るのも、なんとなく不安というか……

穏乃「私も! 私も準備したいです!」

灼「いつつ?」

玄「萩原さんも来るから、6つだよ!」

灼「……そっちが本命?」

玄「えー? そんな、えへへ、ちがうよー」

宥「みんなで準備しよっかー」

……まあ、みんなでやるなら平気かな?


――――――

透華「来ましたわ!」

衣「衣もきたぞーっ!」

玄「お待ちしておりました! お部屋に案内しますね!」

純「へぇ、こりゃなかなか……」

一「純くんは外国暮らし長いしちょっと新鮮かな?」

智紀「靴脱がないとダメだよ」

純「知ってるよ! ここ数年お前らと一緒だったろうが!」

宥「お荷物、お持ちします……」

透華「構いませんわ……ハギヨシ!」

ハギヨシ「承知いたしました」

宥「あ、その……」

ハギヨシ「申し訳ございません、お仕事を奪ってしまって……しかし、これも私の職務でして……それに、女性にこのような大きな荷物をお持ちいただくのも……」

玄「おもち?」

ハギヨシ「はい?」

玄「あ、いえ! なんでもありません! 失礼しました! お部屋は……まあ、貸しきりということなのでお好きなお部屋を使っていただいて構わないんですけど……」

透華「では、私たちは一番大きな部屋を! ハギヨシに最も上等な部屋を案内して差し上げてくださいな」

玄「おまかせあれ!」

ハギヨシ「お嬢様、しかし……」

透華「男女で部屋分けです。 ハギヨシ、あなたもその荷物を運んだら自由にして構いませんわ。 いつも働き詰めですもの……」

ハギヨシ「ですが、私の立場では……」

透華「命じねばいけませんか?」

ハギヨシ「……お気遣い、痛み入ります」

玄「……では、萩原さんはこちらに……お姉ちゃん、みなさんの案内をお願いします!」

宥「うん……では、こちらにどうぞ」


純「ヨッシーはさ、ちょっと固すぎるよな……もっと力抜いていいと思うけど」

一「透華も衣もそういうところあるよね」

智紀「似た者主従」

透華「そうですか? 私はかなり柔軟なつもりですが……」

衣「透華は存外頑固だろう? ……ところで、しずのたちはいないのか?」

宥「龍門渕さんが貸しきりにしてみんなの分もお部屋を取る形にしていただいてますから……奥のお部屋で待ってますよ」

衣「そうか! はやくはやく! 遊びたい!」

純「その前に風呂にしようぜ……そろそろ子どもはおねむの時間だろ?」

衣「子どもじゃない! 衣だ!」

宥「ふふ……うちは、お風呂も自信がありますよー」

智紀「へぇ……じゃあお父さん、衣のお風呂お願いね」

衣「衣はお風呂ぐらいひとりで入れるぞ!」

純「誰がお父さんだ!」

一「純くんでしょ」

純「オレは女だっつの!」

透華「まあ、麻雀は一息ついてからでもよろしいでしょう。 ところで……」

宥「お夕飯なら、お声をかけていただければいつでも……」

透華「いえ、枕投げはいつ頃始めるのがよろしいのでしょうか?」

宥「……えっと」

一「やるのは決定なんだ?」

純「枕投げは自然発生的なものだろ……まあ、タイミング図るなら飯食ってからにしてくれよ? 楽しみにしてんだから」


――――――

穏乃「こんばんはっ! お久しぶりです!」

一「高鴨さん! えへへ、会いたかったよ」

穏乃「私もですっ!」

衣「衣もっ! 衣も来てるぞっ!」

ぴょんぴょん跳び跳ねながら手を合わせているしずと国広さん……に飛び込む天江さん……うん、なんか相変わらずな感じ?

灼「久しぶり……相変わらずかわいいね」

智紀「うん、衣はかわいいね」

沢村さんは灼さんと和んでる……まあ、ここのふたりもいつも通りな感じよね

透華「始める前に枕は集めておいた方がよろしいでしょうか?」

宥「ええっと……他の部屋からも出してきましょうか?」

純「開戦してから集める方が熱いだろ」

……ああ、枕投げかな? ……相変わらず戦いに積極的な……

純「お」

憧「ふきゅ」

……また変な声出ちゃった。 恥ずかしい。 死にたい

純「おう、久しぶり」

憧「……お久しぶりです井上さん。 龍門渕さんも」

透華「お久しぶりです新子さん、お元気そうでなによりですわ」

よし、とりあえず挨拶はちゃんとできた……最近気づいたけど、私あがりやすいみたいだし上出来じゃないかしらね……普通に、いつも通りに落ち着いて会話すればいいのよ

憧「……あ、えっと、玄と萩原さんは?」

透華「玄さんにはハギヨシの案内をしていただいてますわ。 荷物もまかせておりますし……」

純「そのうち戻ってくると思うぜ……あ、新子さー」

憧「な、なんですか?」

純「風呂ってどこ?」

憧「ふきゅ」


憧「ふ、ふふ、風呂って、あの風呂ですか?」

純「……風呂ってそんなにいろいろあったか?」

憧「え、あ、その、大浴場が部屋を出てそこの角の先に……」

純「サンキュ! 衣、風呂いくぞー」

衣「だーかーらー! ひとりでも大丈夫だと言っているだろう!」

一「大浴場にひとりってけっこう寂しいよ?」

智紀「それに、水場はよく出るって言うよね」

衣「……な、なにが出るんだ?」

智紀「そりゃあ……ふふふ」

衣「……お、おい! 純、一緒に入ってあげるぞ! 衣はお姉さんだからな!」

純「はいはい」

灼「かわいい」

智紀「かわいいね」

穏乃「松実館にそういうのはいないと思いますけど……」

透華「まったく……あまり衣をいじめないでくださいな」

純「あ、せっかくだし一緒に入るか?」

憧「ふきゅ」

一「せっかくの大浴場だしねー……あ、もう済ませちゃった?」

穏乃「まだです! ご一緒していいんですか?」

智紀「大勢の方が楽しい」

灼「大勢なら怖くないしね」

衣「衣は怖がってない!!」

憧「い、いいいいやいやいやいやマズいですよそれは!」

純「は? なにが?」

一「ああ、男性がひとりいるからね」

純「いやいや、ヨッシーは男風呂に入るだろ? あ、もしかしてここ混浴?」

宥「いえ、当館は混浴は……」

純「? じゃあ誰が…………あ、おい! オレは女だって言ってるだろ!」

智紀「突っ込みが遅い」

一「純くん素で考えないでよ」

純「別にこれネタとかじゃねぇからな!」


純「腹立つなぁもう……おらっ!」

憧「きゃっ……い、井上さん!? な、ななななにを」

ちちちち近いって言うか手ぇ大きいけど指とか意外と細くて綺麗だなーじゃなくてえっとなんていうかなんていうかふきゅう

純「逃がさねーぞ! 一緒に風呂行こーぜ!」

穏乃「憧は照れ屋だなあ……別に恥ずかしがることないじゃん!」

純「そうそう、もう知らない仲でもないんだし裸の付き合いしようぜ」

憧「ふきゅ」

ははははだかのってそれはそういうアレコレがあったりいやでもまだ高校生だしちょっと早いって言うか心の準備をする時間がほしいって言うかえっとえっと……

憧「いいい、一緒にお風呂なんて、ま、間違いがあったらどうするんですかぁ!!」

純「……間違い?」

一「あのさ、純くん……いきなり肩抱いたりした新子さんには刺激が強すぎるからさ、そうだなあ……手を繋ぐとか、そういうところから……」

憧「国広さんもなに言ってるんですか!?」

灼「憧が一番言ってることおかしいから」

智紀「かわいいね」

宥「憧ちゃんは自慢のあわいい後輩ですよ~」

透華「ほら、いつまでも騒いでないで早く行きますわよ! 夕食に麻雀に枕投げ! やることはたくさんありますわ!」

純「よっしゃ! 行くぞ高鴨、新子!」

穏乃「はい!」

憧「え、あの、その……き、着替え取ってきます!!」

穏乃「あ! ちょっと憧!」

一「はぁ……純くんはもうちょっと女の子の扱い方をさ……」

智紀「モテるのにもったいない」

純「女にモテてどうすんだよ!」

衣「いつも食べ物を貢がれているだろう?」

純「……そういやそうだな」


憧「はー……はー……あー、緊張したぁ……」

いや、ちょっと自分でも思うけどテンパりすぎでしょ……身体的接触がなければもっと冷静になれるんだけど……

玄「あれ? 憧ちゃん顔真っ赤だけどどうしたの? みんなは?」

憧「あ、玄……えー、その、萩原さんは?」

玄「今、奥のお部屋に案内しました! チョコも渡してきたよっ!」

憧「あ……チョコ、渡したんだ?」

玄「えへへ、お父さんや従業員のみなさん以外の男の人にチョコ渡すのなんて初めてだったからすごく緊張しちゃった」

憧「どうだった!? なんて言ってた!? 脈ありそう!?」

玄「憧ちゃん急に元気になったね……えっと、普通に受け取ってもらえたよ? 『 ありがとうございます、うれしいです』って」

憧「ちょっと、ダメじゃん! 告んなかったの!?」

玄「こ、告るって……その、そういうのじゃなくって……萩原さん、素敵な人だなぁって思うけど、憧れっていうか、そういうので……」

顔を真っ赤にしてゴニョゴニョとなにやら言い分けをしているけど、つまりは失敗したってことよね……

憧「はぁ……玄、あんたかわいいんだし胸もあるし「わ、私の胸なんて全然「ふざけんな! 十二分にあるでしょうが!「ご、ごめんなさい……」

憧「……とにかく、せっかく武器もたくさん持ってるんだからガンガン攻めなきゃ! 物語の絵本じゃないんだから待ってたって王子様は迎えに来てくれないのよ?」

玄「う、うん…………あの! あのさ……」

憧「なに?」

玄「それじゃあ、憧ちゃんは告白するの?」

憧「ふきゅ」

玄「…………」

憧「……べ、別に私はそういうんじゃなくって! そりゃあ、かっこいいと思うけど! えっと、憧れっていうか……」

玄「私と同じこと言ってるよ?」

憧「…………」

玄「?」

憧「……もう! いいでしょ別に!」

玄「逆ギレしちゃうの!?」


憧「っていうか、井上さん女の子だから!」

玄「それは知ってるけど……ちょっと大きいチョコ用意してたじゃない」

憧「そ、それは……体も大きいし! よく食べるみたいだから! 質量比合わせただけだから!」

玄「それはさすがにキツいんじゃ……」

一「どうしたの? 大声出しちゃってさ」

透華「なにかありましたか?」

憧「あ……国広さんに龍門渕さん……その、別に……」

玄「憧ちゃんのチョコのお話を……」

憧「ちょっと、違うでしょ!? 」

一「ああ、どんなの用意したの? ボクたちもちゃんとみんなに持ってきたけど……」

透華「この私自ら厨房に立って腕を振るいましたのよ? 素晴らしいものが準備できましたわ!」

憧「え、えっと……とりあえず、部屋の方に置いてあるんですけど……」

一「作戦練る? 純くん先にお風呂の方行っちゃってるしチャンスかも」

透華「それともチョコの出来で勝負いたしますか?」

憧「勝負はひとまず置いといて……」

玄「じゃあ、憧ちゃんの告白の作戦会議だね!」

憧「玄!」

玄「つーんっ」

あ、拗ねてる……告白しないへたれ扱いしたの怒ってるな


――――――

憧「それじゃあ……こちら、国広さんと龍門渕さんに……こっちが沢村さんと天江さんにで……これが、井上さんの分」

一「明らかにひとつだけ大きいね」

憧「……気のせいじゃないですかね!」

玄「さっき大きく作ったって言ってたじゃない……」

憧「……じゃあ、そういうことで! チョコ渡しといてください!」

透華「あら、せっかく気合を入れて作ったのによろしいんですの?」

憧「いや別にチョコって言っても友チョコ的なアレで特別気合入ってるとかそんなことは」

一「……直接渡したら?」

透華「渡すにしても派手な演出が必要なのでは? 普通に渡したところで印象には残りませんわよ?」

憧「……それはいったいどういう……?」

一「まあほら、純くんモテるから」

透華「チョコの数で勝負しても負けっぱなしですわ! この私が敗北を重ねるなど……!」

一「透華落ち着いてよ……ここまでハギヨシさんの運転で来たけど、道中のおかし全部純くんの戦利品だったからね……純くんでもひとりで食べきれないぐらいはもらってたから」

憧「……井上さん、そんなにモテるんですか?」

一「龍門渕一のイケメンだからね。 うちはこれでも……というか、まんまお金持ちのお嬢様校だし純くんみたいなタイプいないから」

透華「純は完全に男子枠ですからね……なにより私たち麻雀部においても花形のエースポジションですから……この時期は私よりもほんのちょっとばかり目立ちに目立ってましてよ」

玄「へぇ……すごいんですね」

一「うん。 だから、普通に渡すとこうなるよ」


憧『い、いいい井上さん、ちょ、チョコでしゅ! どど、どぞう!』

純『おっ、サンキュー』

一「純くん、貰い慣れてるしこんな感じで……」

憧「ちょ、なんで私そんなに噛み噛みなんですか! もっと普通に渡せますよ!」

透華「では、新子さんはどのような想定を?」

憧「そ、それは……」



憧「そ、そそ、それは別にアレですよ! こう、渡して、おお、終わりですよ!」

透華「なにを動揺してますの?」

一「……新子さん、ちょっと想像力逞しすぎるんじゃないかな? どこまで進んじゃったのさ」

玄「て、手を握ったりしちゃうぐらいですかね?」

一「……玄さんは……うん、それでいいと思うよ」

玄「?」

一「まあ、せめて自分で渡しなよ。 せっかく純くん連れてきたんだしさ」

透華「ああ、それが目的でしたの?」

憧「ちがっ! その、えと、龍門渕さんと勝負するのが主目的ですから!」

透華「ほほう? 私に挑むとはいい度胸ですわ! 正々堂々めっためたにしてさしあげましてよ!」

一「新子さんそれは悪手……とりあえず勝負はあとにしてさ、チョコの渡し方だけでも……」

透華「なんならちゃちゃっと場所やエキストラもも整えましてよ?」

憧「へ?」

一「透華、別に撮影とかしないしスポットライトとかも準備しなくていいから。 不自然だから」

透華「普通ではつまらないですわ! もっとこう、爆発とか……」

憧「いやいや! 普通でいいです! っていうかあとで改めてみんなと一緒に渡しますから!」

玄「みんな一緒の時でいいの?」

憧「……その、一対一だと絶対テンパるからフォローしてください……」

一「……まあ、サイズ的に特別感はあるしいいかあ」


――――――

憧「…………」

一「……さ、とりあえずお風呂も済ませたしご飯のあとで……どうしたの?」

憧「む、むね」

一「うん?」

憧「井上さんに、負けた……」

一「あはは、純くんかなり着痩せするからね」

憧「ちょっと、女として負けた気分なんですよ……」

純「だからオレは女だって! 別に負けてもいいだろうが!」

憧「うひゃあ!? い、井上さん!?」

純「つーかオレの方が体もでかいし仕方ないんじゃね? それに……」

憧「それに?」

純「新子、かわいいじゃん」

憧「ふきゅ」

一「……純くん、そうやって女の子コマすのやめなよ。 新子さんの心臓にも悪いし」

純「コマすってなんだよ!? ……で? 飯のあとになんだって?」

一「え? えっと……」

憧「あ、あの! その、バレンタインのチョコを用意してきたので! よ、よかったら受け取ってもらえませんか?」

純「お、マジで? サンキュー新子!」

一「……純くん、ひとりで食べきれないほどもらったわりにはうれしそうだね?」

純「だってアレ、こっち来るまでにほとんどみんなで食べちまったじゃねぇか。 手作りは日持ちしねぇから仕方ないけどさ、ほんとだったらアレ全部オレのだったんだぜ? それに新子はそういうの上手そうだし」

憧「いや、そんな、ふ、普通ですよ! あはは……」

一「……実際のところどうなの?」

憧「う……実は、あんまり……結局玄やお姉ちゃんに頼ってなんとか……」

一「……大事なのは気持ちだからね。 自信もって!」

憧「は、はい……危なそうだったらフォローしてくださいね」

一「まかせてよ!」


――――――

透華「ご馳走さまでした……たいへん美味でしたわ」

玄「えへへ、ありがとうございます!」

宥「お膳の方、お下げしますね~」

ハギヨシ「それでは、お手伝いを……」

玄「もう! ダメですよ、萩原さんはお客様なんですからゆっくりしててくださらないと!」

衣「休息も仕事のうちだぞ?」

ハギヨシ「……失礼いたしました」

純「萩原さん、仕事中毒気味なんじゃないすか?」

智紀「打つ?」

灼「ん……玄、卓と牌って昔と同じとこ?」

玄「うん! あ、いいよ、私が出してくるから!」

穏乃「玄さんお仕事で忙しいじゃないですか、それぐらいまかせてくださいよ!」

一「あ、その前にさ、新子さんが……」

憧「その、ちょっと早いですけど……バレンタインのチョコを用意してるので、デザートにでも……」

衣「わーい! あこもチョコをくれるのか?」

憧「は、はい! みなさんもどうぞ!」

透華「ありがとうございます……では、私たちからも準備してありますので……」

智紀「どうぞ」

灼「ありがと……はい、これ」

智紀「ありがとう」

穏乃「私もみなさんに……どうぞ!」

衣「しずの! 感謝感激だ!」

一「ありがとう、これボクからも……」


憧「い、いいい井上さん、ちょ、チョコでしゅ! どど、どぞう!」

純「おっ、サンキュー」

一「予想通りの噛みっぷりに驚きだよ……」

衣「……なあ、ちょっと疑問があるんだが」

憧「は、はい?」

衣「なんだか、純のものだけ妙に大きくないか?」

憧「え、あは、そんな、き、気のせいじゃないですかね!?」

純「いやーこれは愛の違いだろ。 わりぃな衣」

憧「ふきゅ」

衣「むむ……どうして純ばっかり……!」

智紀「大丈夫。 衣はかわいいから」

灼「はい。 天江さんはかわいいので」

衣「こら! 撫でるな! 子ども扱いするな!!」

一「……大丈夫?」

憧「ぜ、ぜぜん大丈夫ですよ!?」

一「……うん、たしかにいつも通りっちゃいつも通りだね」

純「お! チョコケーキか! うまそうじゃん!」

憧「あ、はい! ちょっと? ケーキとか焼いてみたくなったりして! 頑張ってみました!」

純「そりゃあでかくもなるよな……あ、わりぃ松実! フォークとか出してもらえるか?」

「「はーい」」

玄「あ、お姉ちゃんは休んでても……」

宥「でも、玄ちゃんに任せきりっていうのも……」

純「あー……わりぃ、別にどっちでもいいんだけどよ……」

一「……ふむ」


一「純くん」

純「ん?」

一「やっぱりね、松実さんはふたりいるんだし下の名前で呼んだ方が混乱もなくていいと思うんだ」

純「ん……まあ、そうだな」

一「というわけで……はい!」

純「え? あー……玄?」

玄「はいっ!」

純「宥……さん?」

宥「はーい」

一「じゃあ次、こっちね」

憧「えっ!? わ、私ですか?」

純「いや、新子は松実じゃないだろ」

一「いいじゃん別に、けっこう付き合いも長いんだし、ね?」

憧「つ、つつ付き合って長い!?」

一「いや新子さん純くんと付き合ってないでしょ」

純「……言うわりには国広くんだって名字+さんじゃん」

一「そう言われると……じゃあ、憧ちゃん?」

憧「はい、えっと……は、一さん?」

一「えーっと、し、穏乃ちゃーん!」

穏乃「はいっ! え? あ、その……く、国広さん……じゃなくって、一さん! どうかしましたか?」

一「……なんか、改めてやるとちょっと照れくさいなあ」

穏乃「あはは……そうですね」

一「……じゃあ、はい! 純くん!」

純「なんでこう仕切り直し! みたいな感じに……やりにくいじゃんか。 な? 憧」

憧「ふきゅ」


純「ん? どうした?」

憧「いいいいいや! べ、別になんにも!」

一「ほら、憧ちゃんもさ」

いやいやだってちょっと急に名前呼びとかハードル高いって言うかやっばいびっくりしたって言うか憧って呼ばれちゃったうわああああああああ

灼「衣ちゃん」

智紀「衣ちゃん」

衣「ちゃん付けするな! というか智紀はいつも呼び捨てだっただろ!! 灼だってちっこいのに!!」

灼「衣ちゃんかわいい」

智紀「かーわーいーいー」

衣「うがーっ! 衣を愚弄するのか!」

宥「……そういえば、萩原さんって下のお名前は……?」

透華「ハギヨシはハギヨシですわよ?」

ハギヨシ「ハギヨシです」

宥「はぁ……? えっと、松実宥です?」

……あ、なんか落ち着いてきたわ、うん……なんかもうアレだな。 なんでもいっか

憧「えー……その、じゅ、純……さん」

純「別に呼び捨てでいいぞ? つーかこの際敬語もいいって。 年もひとつしかかわらねぇしさ」

憧「……じゅ、純!」

純「おう!」

一「やったね!」

憧「は、はい……ありがとうございます……」


玄「フォークお持ちしました! ……どうしたの? なんか、疲れてるみたいだけど」

憧「いや、だって……インハイよりもよっぽど緊張した……」

玄「?」

純「悪いな……じゃ、いただきます!」

憧「……ど、どう……ですか?」

純「はは、ぎこちねぇな……うん、うまい!」

憧「よかったぁ……」

純「っておい、味見とかしなかったのかよ?」

憧「いや、その……失敗したらと思って、材料多目に用意して一番きれいにできたのを……味も、どういうのがいいのかわかんなかったし……」

純「ん、ちょっと甘さ控えめだけどかなり好みだわ……ほら」

憧「……はい?」

純「いや、ほんとうまいからさ。 せっかく作ったのに食べないんじゃもったいないだろ? 憧も食えよ」

憧「え、あ、じゃあ、もう一個フォークを」

純「気にすんなよこれくらい……ほら」

憧「ふきゅ」

おおお落ち着くのよ! これは、アレね? あーんってやつね? ま、まあ? この程度のイベントこなせないと今後これ以上のアレコレが来たときに困るっていうかいやまあこれ以上とか別にアレだけど! 別にないけど!

玄「憧ちゃんのチョコケーキ、けっこう大きかったし最初からフォークいくつか持ってくればよかったね……」

一「いや、玄さんファインプレーだよ?」

憧「そ、それじゃあ、いただきます!」

純「ほら……な? うまいだろ?」

憧「はい……その、思ったよりも、うまくできて、ます」

純「な? マジでうまいってこれ! もう毎日食べたいくらいだぜ」

憧「ま、毎日!?」


ま、ままま毎日ってこれアレじゃん! 『毎朝オレに味噌汁を作ってくれ』的なアレよね!? プププ、プロポーズされたぁぁぁ!! お姉ちゃん! 玄! 手伝ってくれてありがとううわぁぁぁぁあい!!

一「……ちょっと? 憧ちゃーん? もしもーし?」

玄「……聞こえてなさそうですね」

えっと、えっと……あ、アレだ! こ、ここ、告白しなきゃ! 玄に偉そうなこといった手前私からなにもしないのもアレだし! 私は玄と違ってへたれじゃないとこ見せてやるんだから!

憧「じゅ、純さん!!」

純「んー? どうした? もう一口食べるか?」



憧「つ、つつ、付き合ってください!」



純「いいけど?」



憧「ふきゅ」

一「いいの!?」

玄「嘘ぉ!?」

純「どこまで?」

一「定番の返しありがとうございます!」

純「え? 国広くんなんでキレてんの?」

憧「あわ、あわわわわわわ……」

玄「あ、ちょっと憧ちゃん? 憧ちゃーん?」

憧「ふきゅう……」

玄「憧ちゃぁぁぁぁん!!」





透華「このあと滅茶苦茶枕投げしましたわっ!!」


穏乃「超楽しかった!!」



カン!

今個人的に龍門渕来てます。来月はともきーとハギヨシさんバースデーだしなにか頑張ろうかしら

イベント枠今回スルーすることになってしまったしず宥ねえハルちゃんは今後優先的にイベント回します。三月ってなにかありましたっけ?もしかして四月バカまでなにもないです?


3月はひな祭りとか

乙ーハギ玄ええぞ~

卒業式は必然的に宥姉がメインになるしホワイトデーでは三十路編も読みたいね

乙乙、憧ちゃん可愛すぎ
3月はあと玄ちゃんの誕生日くらい?

イベントってわけじゃないけど吉野は3月下旬が一番賑やかな時期だな
お花見しなくちゃ

ほんと今さらバレンタインの話しますけど個人的に咲キャラチョコ数No1は純くん本命なんですよね。セーラは男前だけど乙女モード搭載してるしセーラ自身がフランクでも立場的に後輩たち萎縮しそうだし、弘世様の方が本気でモテてそうだけど親衛隊あれだけしっかりしてると抜け駆け禁止令出てそう。あとは中学から高校にかけてのハルちゃん超モテてそうですね
男子勢は京ちゃんはクラスの女子みんなに義理チョコもらうタイプで一太は後輩にモテそうなイメージ。ハギヨシさんは御屋敷のメイドさんたちからチョコたくさんもらってるだろうなー。リチャは学生時代にナナさんのお友達にかわいがられてそう

>>665恒子「十年前に雛人形片づけておけばよかったのにね!」健夜「うるさいよ!」晴絵(帰りたい) とりあえずこんな感じですかね?

>>667ハルちゃんは26だから…

>>669そういえば玄の誕生日が箱特典でSOA化もされますね。
改めて確認したらホワイトデー=望さん誕生日で翌日が玄ちゃん、玉子18日やえさん20日とグループまとまってるし、卒業シーズンだからなんだかんだいろいろできそうです

>>670普段花見とかしないから気づかなかった

シノハユ単行本が出るたびに複数冊買ってしまう現象。なんもかんも毎回特典強いのが悪い
読むたび読むたびニヤニヤワクワクが止まらないんですがどうすればいいのか。リチャが慕ちゃんが嫌がるまでハグして撫でる話を書くしかないのか

ぶちょーと弘世様回


はやり「……というわけで、はい! これあげる☆」

晴絵「……なんですか、これ?」

はやり「流れでわからなかった? ハートビーツとの契約書だよ☆」

晴絵「いやいや、そんな、急に契約とかできませんって……っていうか瑞原さんが決めちゃっていいんですか?」

はやり「はるえちゃんのことは一任されてるから☆」

……さすがトッププロでチームの顔なだけあって権限も大きいんだなー……じゃなくって

晴絵「……一応聞いときますけど、マジなんですよね?」

はやり「……はやりは、はるえちゃんと一緒に打ちたいと思ってるよ。 この間バーで打ったときに改めてそう思ったから……チームの上の方ともしっかり話はしてるから、考えてもらえるかな?」

晴絵「……少し、時間をいただけますか? すごいありがたい話ですけど……」

はやり「うん、わかってるよ。 大事なことだからね……あ、契約してくれるならアイドル活動の方も一緒に……」

晴絵「そっちはさすがに柄じゃないですよ……飲み物取ってきますけど、なにがいいですか?」

はやり「んー……はやりはオレンジジュースで☆」

晴絵「了解です」

……瑞原さん、すごい忙しいはずなんだけど……なんで真っ昼間から私とファミレスで真面目な話してんだろう?

インハイ会場の近くのファミレスは大会関係者も 多く、ここはこの時期麻雀プロの客が多いことでも有名らしい……前に小鍛治さんとこーこちゃんとも来たっけな

それに、参加校の生徒も多いようで奥の方の席には……白糸台のチーム虎姫らしき5人組が見える。 外でミーティングかなんかだろうか?

淡「飲み物とってきたよー!」

誠子「お、ありが……え?」

菫「おい! なんだこの色は!?」

淡「えっとね、ジュース三種類ぐらいにホットコーヒーとタバスコと……」

……遊びに来たのかな?


尭深「…………!」

あ、目があった

尭深「…………」

軽く会釈されたので、こちらも返しておく。 対戦校の監督だし顔を覚えられていても不思議ではないか……

宮永照がその隣でわき目もふらずパフェを食べているのが印象深い……同じ器が三つ四つ転がっているけど、アレはもしかしてひとりで食べたんだろうか……

はやり「はるえちゃん?」

晴絵「っと、すみません……あっちに、ほら」

はやり「んー? ……あ、白糸台の……」

晴絵「団体戦の優勝は逃しましたけど、もう気持ちは切り替えられてるみたいですね……私は、十年もかかって……やっと……」

はやり「……もう、暗くならないでよ! はるえちゃんは次の一歩を踏み出すときなんだから、忘れろなんて言わないけどくよくよしちゃダメだぞ?」

晴絵「……そうですね。 私も、これからですから」

はやり「そうそう! 元気だして☆ それじゃあ、はやりはそろそろ次のお仕事に向かわないと……」

晴絵「やっぱり忙しいんじゃないですか……いいんですか? 私なんかと会ってて」

はやり「私なんか、なんて言ったらダーメ! はやりは昔みたいに自信満々で堂々としてるはるえちゃんが好きだよ?」

晴絵「……すみません、つい……ちゃんと、気持ち作ってかないとですね」

はやり「そうそう! あ、はやりはこの時期はインハイの解説もお仕事もらってるし、他のは雑誌の取材とか……普段よりも軽めにしてもらってるから。 それにしばらく対局もないし……」

晴絵「比較的楽なんですか?」

はやり「うん。 比較的、ね……それでもインハイの解説だと普段あまり会えないすこやちゃんにも会えるし、今年ははるえちゃんにも会えたしね☆」

晴絵「小鍛治さん、ここ数年地方リーグに籠りきりですもんね……タイトル戦とか復帰しないんでしょうか」

はやり「はやりはそろそろ帰ってくるんじゃないかと思ってるんだけどね~」

晴絵「……そんなの、わかるんですか?」

はやり「この前久しぶりに打って、なんとなく……もしかしたら」

晴絵「もしかしたら?」

はやり「はるえちゃんを待ってたのかも」

晴絵「え?」

はやり「なーんてね☆」


……小鍛治さんが、私を?

晴絵「……さすがに、買い被りすぎですよ」

はやり「それでも……はやりや、りさちゃんだけじゃ呼び戻せなかったから」

……こんなに寂しそうに笑う瑞原さんは、はじめて見たな

はやり「それに、はるえちゃんだけじゃない。 新しい風も吹いてきてる……今年の風は特別激しいからね」

瑞原さんの視線の先には、奥の席の宮永照に弘世菫……卒業後は確実にプロ入りするであろう
……ん? 宮永さんさっきパフェ食べてなかったか? ちょっと目を離した間に大量のパンケーキが積まれてるんだけど……

はやり「……っと、そろそろ行かないと」

晴絵「ああ、すみません引き留めてしまって……出ましょうか」

はやり「うん……ごめんね、こっちの都合で……」

晴絵「いえ、こちらこそ忙しいのに時間取っていただいて……」



誠子「○×※△☆!!」



はやり「はやっ!?」

晴絵「なんだなんだ!?」

今、真っ青な顔でお手洗いに駆け込んでいったの虎姫の亦野さんじゃ……

尭深「誠子ちゃん……無理して飲まなくても……」

淡「ど、どうしよう……亦野先輩大丈夫かな?」

照「これに懲りたら食べ物で遊ばないこと。 ……すみません、このいちごのショートケーキとチーズケーキ……あと抹茶アイス追加で」

菫「照、そろそろ食べ過ぎ……って今、『はやっ』って……!?」

はやり「あ」

晴絵「……バレましたかね?」

はやり「はや~……失敗失敗……」

一応、帽子と眼鏡で変装こそしているもののこれではバレても仕方がない……

……というか、30手前でテヘペロ☆ って……しかもかわいいってどうなってんだ? この人……


菫「ちょ……淡、どけっ!」

淡「ふぎっ!? なにすんのー!? 痛いじゃん!」

壁側の席についていた弘世さんが通路側の大星さんを押し退けて通路に出ようとして、大星さんが反撃して……

菫「うおっ!?」

淡「きゃっ!?」

どんがらがっしゃーん……ってやつ? 揉み合ってふたりが倒れて、ついでに食器をいくつか巻き込んで……割れてはいないみたいだけど、危ないなぁ

対面の席についてた渋谷さんは涼しい顔してお茶啜ってるし、宮永さんは我関せずとばかりにスイーツを貪っている……どうなってんだこの子たちは?

はやり「はやっ!? 大丈夫!?」

晴絵「って、瑞原さん!?……あぁもう、大丈夫か?」

真っ先に動いたのは、瑞原さん

サッと駆け寄って、いろいろ混ざったドリンクであっただろう液体を頭から被った大星さんにハンカチを差し出している

まあ、放っておくわけにもいかないし瑞原さんに続いてハンカチ……は今宿で洗濯中だったな……とりあえず、そこらの布巾を適当に引っ掴んで彼女たちに投げ渡す

晴絵「……時間大丈夫なんですか? 逃げちゃえばいいのに……」

はやり「逃げたりしないよ? あの人だったら、ファンの子に見つかったって逃げたりしないもん……はやりも、みんなの笑顔のために頑張ってるんだから!」

菫「はや……ではなく、み、瑞原プロ……!」

はやり「こんにちはっ! すみれちゃん大丈夫?」

菫「はい、すみま……は、はやりん! わ、私のことを……!?」

はやり「えへへ、すみれちゃん、注目選手だしはやりのイベントにもけっこう顔出してくれるから……」

菫「か、感激です!」

晴絵「……瑞原さん、大人気ですしイベントとかすごい人数来るんじゃないですか? 来た人の顔とか覚えられるんですか……?」

はやり「はやりはできるだけ覚えるようにしてるけど……? 人の顔覚えるの得意だし!」

晴絵「はぁ……なるほど」

淡「あーもう、びしょびしょじゃん! 菫先輩のアホ! 最悪!」

菫「ん? ああ、すまなかった。 ついな」

淡「ついじゃないでしょ! もう! このオバサンのどこがいいのさ!」

菫「あ゛!?」

晴絵「オバ……っ!」

はやり「はや~?」


尭深「失礼だよ、淡ちゃん。 ごめんなさいして?」

淡「なんでー? アラフォーはオバサンでしょ?」

菫「淡、黙らないと捻り潰すぞ?」

淡「怖いよ!?」

照「はやりんはアラサーだよ。 ……あ、こんにちは。 お世話になってます、赤土監督」

晴絵「どうも……あれ、お世話したっけ?」

照「……あ、灼に、ちょっと……」

晴絵「……世話したんじゃなくって世話されたの?」

照「…………!? あ、まあ……その……灼、しっかりしてますよね」

晴絵「……うん、そうだね」

灼が宮永照の世話……? これまた意外な……あ、また食べ始めた……灼のやつ餌付けでもしたのかな?

それに、意外と言えば……

淡「ねーねーオバサンさぁ、いい年して恥ずかしくないの? 正直キツいよ?」

菫「はやりんはキツくないだろ! いい加減にしろ!」

はやり「すみれちゃん、いいよ? はやり、気にしてないから☆」

……弘世さん、瑞原さんの……はやりんのファンなのか……こう、イメージと違うと言うか

いや、それを言ったらこっちの宮永照だってイメージとは全然……

照「尭深」

尭深「お茶でいいですか?」

照「うん、ありがとう」

淡「私カルピスがいい!」

尭深「コップちょうだい?」

淡「はい! ダッシュでな!」

尭深「行ってきます」

……虎姫、全体的に……うん、どうなってんだ?


誠子「あぁ……気持ち、悪……」

……フラフラと亦野さんが帰ってくる。 やっぱり少し顔色が悪い

晴絵「大丈夫か?」

誠子「はい、なんとか……って、ああ……阿知賀の赤土監督……すみません、うちの部員が、ご迷惑を……」

晴絵「そんなの気にしないで……座ってた方がいいよ」

誠子「すみません……」

淡「亦野先輩……大丈夫? ごめんね?」

誠子「うぷ……いいよ、大丈夫だから……」

淡「そう? あ、ねぇねぇ! 菫先輩ってこっちのオバサンのファンなんだって! 意外だよねー」

菫「淡、命が惜しくないようだな」

誠子「……は? なんの話……え、あの……は、はや……瑞原プロ?」

はやり「はいっ☆ ……今さらだけど、一応お忍びだから………」

誠子「あ、はい……ってこら! 淡! お前、瑞原プロになんて失礼なことを……!」

淡「別に嘘は言ってな……うにゃ!?」

誠子「ちゃんと謝れ! このアホ娘~!」

淡「いひゃいいひゃい!」

菫「そうだ。 謝るか死か、ふたつにひとつだ」

誠子「殺す気ですか!?」

はやり「仲良しさんだね~」

晴絵「……そうですね」

うわー……柔らかそうな頬っぺただな、気持ち良さそう……

つーかさっきから弘世さん怖いな……まあ、はやりんのファンならオバサンだのキツいだのは禁句だろうけど……

……やっぱ二十も半ばを過ぎたらオバサンなのかな……憧にもババ臭いだのなんだの言われるし……辛すぎる。 よく動じないでいられるな瑞原さん……

はやり「? なぁに?」

晴絵「あ、いえ……なにも」

はやり「ならいいけど……」


――――――

菫「先程から後輩が失礼なことを……申し訳ありません」

はやり「はやりは気にしてないから……そんなにかしこまらなくてもいいよっ☆」

晴絵「……なぜこの配置に」

気づけば、店の奥に陣取っていた虎姫のみんな……その一つ手前の席に移って弘世菫と相対している

背後の虎姫メンバーも気になるけど、瑞原さん時間平気なのか? というか私なんで混ざってるんだ?

菫「赤土監督も……」

晴絵「はい!?」

菫「チームメイトが迷惑をかけてしまって、すみません……阿知賀の選手にも照や淡がお世話になっているようですし……」

晴絵「あー……気にしなくていいよ。 うちの子たちこそお世話になってるみたいで……」

私もなんだかんだで忙しいし、みんながそれぞれで友達作ってるみたいでなによりだ……問題も起こしてはいなさそうだし

……私がいなくなる前に生徒たちの間だけでもパイプ作っとかないと今後大変だろうしなぁ……

菫「それにしても、このような所で会えるとは……幸運でした。 お時間もいただいてしまって……」

はやり「すみれちゃんインターハイも頑張ってたし、はやりからのご褒美だよっ☆」

菫「……あ、ありがとうございますっ!」

いいこいいこ~、なんて瑞原さんが弘世さんの頭を撫でてる……顔真っ赤にして俯いてる弘世さんは年齢より少し子どもっぽく見えるくらいだけど……まあ、憧れのはやりんが目の前に……ってところだもんな。 感動するのはわかる

……わかるんだけど

誠子「このような所って……弘世先輩が絶対にここがいいって言ってたんですよね? 珍しく外でミーティングしようなんて言って……」

尭深「インハイの関係者がよく利用するって有名だし……もしかして最初からはやりんとのエンカウント狙いだったんじゃ……」

淡「変な趣味してるよねー」

照「なんでもいいよ。 おいしいものが食べられれば」

……やっぱり後ろの虎姫気になるなあ


菫「先日のライブは……」

菫「次の東京での……」

菫「新曲のリリースが……」

……なんかすごい勢いで喋ってるけど、私は雀士瑞原はやりはともかく、アイドルはやりんのことはあまり知らないしなぁ

……弘世さん、もっとクールな子だと思ってたから意外だな……はやりんのファン層は私が思っていたよりも広いらしい

いや、むしろ瑞原さんの牌のお姉さんになった時期を考えると今の高校生ぐらいが直撃世代なんだろうか……?

誠子「あの、すみません」

はやり「はやっ?」

誠子「私、今瑞原プロのカード持ってるんですけど……サインとかいただけますか?」

はやり「いいよっ☆」

菫「……おい! 亦野! これ、今シーズンのプロ麻雀せんべいのはやりんのレアカードじゃないか!」

誠子「え? ああ、はい……」

淡「持ち歩くなんて、亦野先輩も……?」

誠子「ああ、これはこの間当たってそのまま財布の中に……」

菫「はやりん引いたのになんで言わないんだよ!?」

誠子「普通わざわざ言いませんよ!? 私先輩がはやりんのファンなの知らなかったんですよ!」

はやり「喧嘩しちゃダメだよっ☆」

菫「すみませんっ! ……ところで、よろしければ私もサインを……」

はやり「まかせてっ☆ どこにすればいいかな?」

菫「えっと、あー……なにか……くっ……! こうなったら制服の背中にでも……!」

誠子「なに言ってるんですか!? ダメですよそんな……なんならこのカードあげますから!」

菫「亦野……! ありがとう……来年の部長はお前にまかせるぞ!」

誠子「マジ泣き!? っていうかそういう贈り物じゃないですからね!? 賄賂みたいな扱いにしないでくださいよ!!」


はやり「すみれちゃんへ……はい! これでこのカードは世界に一枚だけの、すみれちゃんだけのカードだよっ☆」

菫「はやりんから……世界に一枚の、私だけの……?」

菫「……もう死んでもいい」

誠子「弘世先輩!? しっかりしてくださいよ!」

尭深「いくら突っ込んでも疲れるだけだよ誠子ちゃん……」

淡「ねーねー……今日は個人戦のミーティングだったんじゃないのー?」

誠子「淡が飽きてまともなこと言ってる!?」

はやり「はや~……忙しいのに邪魔しちゃってごめんね? はやりもそろそろ次のお仕事に行かないと……」

菫「あ……そうなんですか……」

うわ、あからさまに落ち込んでる……どんだけはやりん好きなんだ……

照「すみません瑞原プロ、ご迷惑をおかけして……」

はやり「迷惑だなんて思ってないよっ☆ てるちゃんもすみれちゃんもあわいちゃんも、個人戦頑張ってね☆」

菫「はいっ! ……ああ、はやりんに応援してもらえるなんて……今年は照も倒して優勝できる気がしてきた……」

淡「今年はテルーが優勝してその次は私だもん! 菫先輩は三番目指して頑張ってね!」

照「……てるちゃん」

誠子「……どうかしましたか?」

照「ちょっと、かわいい……かも」

尭深「……てるちゃんって呼びましょうか?」

照「……やっぱりちょっと恥ずかしいから、今まで通りでいい」

尭深「わかりました」

はやり「それじゃあ、またねっ☆」

菫「はいっ! 今度のライブも、対局も絶対に応援いきますっ!」

晴絵「それじゃあ私も……」

淡「あっ! しんどーじだっ!」

姫子「げっ」


ちょうど立ち上がったところで入り口に視線をやると、大星さんの言う通り福岡代表、新道寺女子のメンバーが……うわ、鶴田さん凄く嫌そうな顔してる……

姫子「……店ば変えましょうぶちょー」

淡「ヒメコー! なにやってんのー? 早くこっち来なよ!」

美子「姫子、大星さんと仲良くなりよったと?」

煌「大変すばらです! 行きましょうか!」

姫子「…………」

仁美「なんもかんも政治が悪い」

姫子「……そうですね」

哩「……あ、あそこに居るのは……!」

……瑞原さん、帽子と眼鏡だけじゃ変装になってないんじゃないか? ちょっと顔を隠したって町中を歩けば人が振り返るぐらいの美人だし……

晴絵「……瑞原さん、早く帰った方が」

哩「ハルちゃん!」

晴絵「おう!」

晴絵「……え!? 私!?」

美子「ハルちゃん? エバーグリーンズの?」

仁美「今は阿知賀女子の監督さんやね」

美子「あぁ、それで……」

はやり「ごめんね、はるえちゃん……はやり、そろそろほんとに時間危ないから先に行くね?」

晴絵「え、瑞原さんちょっと……」

はやり「ファンサービスも大事だよ? プロになるなら尚更ねっ☆」

晴絵「そりゃ、言ってることはわかりますけど……」

哩「は、ハルちゃ……っふぎゃ!」

姫子「大丈夫ですかぶちょー!?」

今なにもないとこでこけたぞ……? あれか、なんかこけなきゃいけない決まりでもあるのか……? ちらと視線をやると、弘世さんはいまだにうっとりしている……はやりんとの夢の時間の余韻に浸っているようだ


――――――

菫「……どうして私の隣に座るんだ」

哩「……ひ、ひとりだと緊張すっから」

晴絵「……えーと」

哩「あっ! はい! えー、その、あー……」

姫子「ぶちょー! まずは挨拶せんとですよ!」

哩「こ、こんにちは!」

晴絵「こ、こんにちは」

哩「…………ひ、姫子」

姫子「頑張ってくださいぶちょー! 元気でいい挨拶でした!」

哩「そうか……そうか……!」

裏側の席から一生懸命耳打ちしてる鶴田さんがとても気になるところだけど……なんだろう、これは……白水さんは、私のことをハルちゃんと呼んだしエバーグリーンズ時代のファンかなんかだろうか?

煌「はじめまして、赤土監督! 私、新道寺女子の花田煌と申します! 和が以前お世話になっていたと聞いております!」

晴絵「ああ、花田さんよろしくね。 和とは……?」

煌「中学時代は長野に住んでいて、和は後輩だったんです! すばらっ!」

晴絵「へぇ、そうなんだ……和も顔が広いなぁ」

煌「それは赤土監督もでしょう? 高校時代は小鍛治プロや野依プロ、瑞原プロと対局されていますし、今出ていかれたのも瑞原プロですよね?」

美子「え? さっきのはやりんだったと?」

菫「ああ。 はやりん超かわいかったぞ」

仁美「弘世、あんたはやりんのファンなんか……そーゆうん興味なかタイプだと思っとった」

煌「それに、去年までは博多エバーグリーンズでも打っておられましたし! 私たち、地元のチームでしたしOGの方もいらっしゃったので応援していたんですよ! ね? 白水部長?」

哩「え? あ、は、はい! そそ、そうです!」

……花田さんナイスフォローと思いきや、白水さんガチガチで全然喋れないじゃないか……なんか、私そんなに活躍できてたかな? 心残りの多い対局も多かっただけに申し訳ない気が……

姫子「ぶちょー! 一回深呼吸して落ち着いてください! お茶も取ってきましたから!」

哩「う、うん……すまんな姫っ……おああー!?」

ガシャン! ビシャッ!

煌「すばっ!? だ、大丈夫ですか白水部長!?」

晴絵「濡れてないか? ほら、これで拭いて……」

哩「す、すみません……」


菫「なんだ、白水……以外と落ち着きのないやつだな」

……君がそれを言うのか? さっきまで瑞原さんを前に浮かれ放題だったじゃないか……

哩「……私はハルちゃんのファンやけん、ちょっとぐらい緊張しても仕方なかよ」

晴絵「……福岡だし、やっぱりエバーグリーンズ時代の?」

哩「はい……とは言っても私は元々佐賀出身なんですけど」

美子「哩ちゃん越境入学やったから、外から来たハルちゃんになんとなく自分ば重ねとったんですよ」

仁美「こぎゃんでもうちのエースたい。 優秀な雀士なんも同じやったからね」

哩「余計なことば言わんでよ!」

美子「うちらもエバーグリーンズファンやったんやし、哩ちゃんばっかりこすいちゃ」

哩「うぅ……ひ、姫子からもなんとか言って……」



淡「ヒメコ! 今日はこんなとこでなにしてんの? 練習しなくていいの? 私より弱いのに……」

姫子「大星……あんたは相変わらず可愛いげなかね」

煌「姫子!? 女の子の顔としてちょっとすばらくないことになってますよ!? 落ち着いてください!」

誠子「ごめん! ほんっとごめん! おい、淡! 私にはともかく他校の人に生意気な口を聞くなって!」



哩「……えっと、その……」

美子「落ち着いて話せばよかよ? 誰も急かしとらんから」

菫「平常心を保てないようでは大事な局面でしくじるぞ、白水」

だからそれを君が言うのか……?

哩「と、とりあえず! 握手とかしてもらってもよかやろか?」

晴絵「もちろん、それくらいならいくらでも……」

哩「ありがとうございます! 三日は手ば洗いせん!」

晴絵「それはダメだろ……」


哩「おぉ……ハルちゃんと握手……!」

菫「気持ちはわからなくもないがな……私もはやりんにいいこいいこしていただいたし、一週間は髪を洗わずに……」

照「勘弁して。 汚いよ」

菫「汚いわけないだろ! はやりんが触れたんだぞ!? むしろ浄化されただろ!」

淡「菫先輩ってバカなの?」

菫「お前にだけは言われたくない!」

美子「……握手、うちもよかやろか?」

晴絵「うん、当然だよ」

仁美「そいじゃあ、私も……エバーグリーンズの解体、残念でした。 なんもかんも経営不振が悪い」

晴絵「あればっかりはなぁ……私ももっといい成績出せてたらよかったかもしれないけど……」

哩「そぎゃんこと……! ハルちゃん来てくれてエバーグリーンズ盛り上がったけん……」

美子「日本リーグのプレーオフまで行けたんも、ハルちゃんのおかげたい」

晴絵「……福岡の人に、そんなに歓迎されてたとは思わなかったなぁ」

仁美「私らん新道寺のOGに野依プロもおるけん、十年前のインターハイの試合もよう知っとーから……」

菫「小鍛治プロが準決の解説や、ラジオの方でも話題にしていたな……私も、はやりんが打っているし確認しているが」

哩「……弘世」

菫「どうした?」

哩「お、おまえがはやりんって言うたびに笑いそうになるけん……か、勘弁してくれんか……?」

晴絵「ぶふっ」

仁美「げほっげほっ!」

美子「…………っ!」

菫「何がおかしい!? はやりんははやりんだろう!? 赤土監督まで!」

哩「やめろって言うとるやろーが! 堅物のあんたが真面目な顔ではやりん連呼するだけで面白かよ!?」

晴絵「い、いや……うん、ぺ、別に? 瑞原さんのファン層広いのは……し、知ってるし……」

菫「だったらなぜ笑うんですか!?」


哩「と、とにかく! 新道寺の部員は現在トッププロの理沙先輩すら勝ちきれなかった小鍛治プロに一太刀浴びせたんはよう知っとーばい」

美子「よそは知らんけど、ハルちゃんのエバーグリーンズ参入は新道寺女子の人間は歓迎してたとばい」

菫「……野依プロの敵扱いじゃないのか?」

仁美「私らそがんに心の狭くなかね。 むしろ赤土晴絵ゆう名プレイヤーば獲得したんに優勝ば前にチームが解散したんがほんなごと残念たい」

晴絵「あんまり褒められるのもなんだか照れくさいなあ……」

菫「……まあ、はやりん「ぶはっ! げほっ!」いちいち笑うな白水! ……ああもう! 瑞原プロや野依プロたちの世代は小鍛治プロがあまりにも強すぎた……みなトッププロと呼ばれる実力があるにも関わらずな」

哩「……ひ、弘世」

菫「……今度はなんだ?」

哩「い、今さらキメ顔してカッコつけても決まらんけん……くくっ……」

菫「黙ってろ!このアホ!」

晴絵「白水さん、そ、それは言っちゃ……ぷふっ」

姫子「弘世! うちのぶちょーば大星みたいな扱いするんは許さんぞ!」

淡「ちょっとそれどういう意味!? っていうかヒメコも敬語使えてないじゃん! 私に散々言ったくせに!」

誠子「淡! 静かにしてろって! 弘世先輩たちが話してるんだから邪魔するな! 鶴田も、ごめん!」

煌「姫子も落ち着いてください! 少しあちらでお話ししましょう? ほら、見てください!」

姫子「ん?」

照「?」

煌「宮永さんたちが食べてるケーキやらアイスやら……すばっ!? ちょっと食べ過ぎでは!?」

照「それほどでもない」

煌「そ、そうですか……えっと、ほら! おいしそうですし!」

照「おいしいよ! おいで!」

煌「ぶはっ!?」

照「……どうしたの?」

煌「いや、すみません……ちょっと、思い出して……けほっけほっ」

尭深「お茶、どうぞ」

煌「すばらっ! ありがとうございます、助かります……」


菫「んんっ……とにかくだな」

哩「だから咳払いしても誤魔化せんって……ぶほっげほっ!」

菫「いつまで笑ってんだ! いい加減にしろ!」

晴絵「そ、そうだよ白水さん……さすがに弘世さんに失礼……ぶっ」

菫「赤土監督!!」

晴絵「ご、ごめん……いやでも、白水さんがいつまでも笑ってるから……っふふ」

哩「ハルちゃん酷かよ……なにも、わ、私のせいにせんでも……っふふふふ」

菫「こ、このっ……」

美子「す、すまんね弘世さん……哩ちゃんも悪気はなかとよ……っ!」

菫「笑いながら謝るな!」

仁美「なんもかんも弘世が悪い」

菫「どこも悪くないだろ!」

淡「菫先輩頭悪いよね」

菫「だからお前が言うな! お前だけは言うな!!」

誠子「淡はいちいちちょっかい出すな! あぁもう、ほら、口元クリームついてるぞ」

淡「うそっ? 取って取ってー」

誠子「ったく……」

尭深「お疲れさま、誠子ちゃん」

誠子「尭深もなんかしてくれよ……」

姫子「大星、あんたおとなしくできんのか?」

淡「ヒメコに言われたくないですぅー」

尭深「……今から最後まで黙っていられた人の勝ち。 スタート」

淡「! ………………」

姫子「……扱いやすいやっちゃなー」

淡「あ! ヒメコ喋ったー! ヒメコの負けー!」

姫子「あんたも喋っとーが!」

淡「あ! ほんとだ!しまった!」

尭深「…………」

誠子「……案は悪くなかったと思うよ」

煌「……姫子と大星さんは仲良しですねぇ」

誠子「たぶん違うよ!?」


菫「……で、なんの話だったか……」

仁美「忘れたんか?」

哩「頭が……くふっ……わ、悪い……」

菫「覚えてるよ!白水お前ほんとちょっと黙れよ! 話が進まないんだよ!」

哩「ダメ……もう、弘世の顔見るだけで……ふっふふ」

菫「…………」

美子「ごめん、哩ちゃんちょっと笑い上戸やけん……」

菫「……もういい! とにかく、小鍛治プロがあまりに強いのから、野依プロと並んで小鍛治プロと戦っていた赤土監督も歓迎されたということだろう?」

仁美「まあそんな感じやね」

哩「あ……そんな話やったっけ? ……くふっふっ……」

菫「……おい、こいつひっぱたいてもいいか?」

美子「……悦ぶだけだからよした方がよか」

菫「悦ぶ!?」

哩「変なキャラ付けせんでくれんか!? そ、そんなことよりハルちゃんの……」

晴絵「ふ……ふふっ……げほっ!」

菫「なんでまだ笑ってるんですか!?」

晴絵「ご、ごめ……なんかツボった……くっ……ふふ……」

菫「なにがそんなに面白いんですか!? 私はなにもしてないでしょう!?」

晴絵「いや……もう、私のなかでは弘世さんが……瑞原さんの曲を歌って踊ってるよ……」

哩「ぶはっ!? げぇっほげほっ!」

仁美「汚っ!? ちょ、お茶吹かんでよ!」

照「菫、はやりんの曲は一通り振り付で歌えますけどね」

晴絵「マジで!?」

哩「っ……! くふふっ……!」


菫「おい、照!」

照「カラオケとかよく付き合わされますし」

美子「ふたりで行くと?」

照「うん。 それで菫のはやりんリサイタル」

晴絵「……っ! ふはっ……」

哩「げほっ! …………ぶふっ!」

照「菫がこう……『はやっ☆』って」

哩「あっははははははははは!! あはっ……げほっげほっ! ひ、弘世っふっふふふふふ」

菫「うるさい! なにが悪い!? 言ってみろ、ええ!?」

哩「え? うふっ……けほっ……ち、ちかーとばっかいやって見せてよ……っふふふふ……くっ……!」

菫「……………………」

菫「はやっ☆」

哩「あはははははははははは!ひー……ひっひひひ……ふふっ、ふ……!」

晴絵「う、ウィンクできてないぞ……? げほっ……くふっ……」

菫「苦手なんですよ、ウィンク」

哩「ほ、本気で残念がってる……!」

美子「……っ…………っ!」

仁美「……ひ、弘世、わざとやろ……?」

菫「なんだよ! やれって言ったのそっちだろ!?」

哩「か、カラオケ……カラオケ行こう、弘世、今すぐ……!」

晴絵「い、いいね……行こうか……私が奢ってやるよ……っふふふ」

哩「さすがハルちゃん! 太っ腹やね!」

誠子「ちょ、かなり興味ありますけどうちは個人戦に向けてのミーティングが……」

菫「はやりんの素晴らしさを伝えるためにも私がしくじるわけにはいかないな……!」

誠子「あ、ノリノリですか……そうですか……」


――――――

菫「はややーっ☆」

晴絵「あはは! あははははは!いいぞーっ!」

煌「すばらっ! すばらですよ、弘世さん!」

尭深「弘世様ーっ!」

淡「弘世様ーっ!! きゃー!!」

哩「あははははは! ひっ……ひひ、弘世様!? あは、あははははは!」

誠子「親衛隊ごっこはやめろって!」

姫子「……し、親衛隊?」

照「白糸台には弘世様ファンクラブが存在する」

美子「どげんゆうこつなん……?」

仁美「わ、笑いすぎて腹が……!」

照「入会には厳格な審査を要するらしい。 よく知らないけど」

哩「ファンクラブ!? あ、あんなのに!? あは、あはははははははははは! ぅえっ、げほっごほっ! あは、あはは!」

菫「はーやーやーっ☆」

晴絵「っふふ、だ、ダンス……キレッキレじゃないか……!」

照「菫の十八番なんですよ、この曲」

哩「ふ、ふふ、ふひっ……ひ、弘世様ーっ! あは、あはは! あはははは!」



その後も弘世さん……いや、弘世様の妙にレベルの高いパフォーマンスで大いに盛り上がり、新道寺と白糸台の生徒たちと交流を深めた

……なんでうちの生徒一人もいないんだろう


――――――

晴絵「ただいまー」

灼「おかえり……先にみんなで夕飯済ませちゃったよ? 連絡したけど繋がらないし……」

晴絵「あ、ごめん……ちょっと、その……盛り上がっちゃって……」

憧「瑞原プロとは十年来の付き合いだし盛り上がるのもわかるけどさー……」

晴絵「あー……いや、それともちょっと違って……」

穏乃「瑞原プロと会ってたんじゃないんですか?」

晴絵「会って話してたんだけど……その……」

灼「……また変なことしてたんじゃ」

晴絵「……そんなことないよ、うん」

宥「……なんの間ですか?」

憧「ハルエは前科あるからね~」

晴絵「前科とか言うなよ!」

玄「ああ、前に三尋木プロ連れ込んだんでしたっけ?」

晴絵「憧! 広めんなって言ったろ!?」

憧「ごめんねー? で、なにしてたの?」

晴絵「その、新道寺の子たちに会って……」

穏乃「鶴田さんたちですか?」

晴絵「ほら、私福岡の実業団にいただろ? それでちょっと話を……」

憧「こりゃあ浮気ですよ奥さん」

灼「若い娘たちに囲まれて浮かれてたのね!」

晴絵「なんだよそのノリは!?」


晴絵「ん……? ほら、白水さんからメール! ただの挨拶で別に変なこと書いてないだろ?」

灼「……連絡先交換したんだ」

晴絵「いや、ほんと意気投合して……ほら、新道寺と練習試合とか組めるかもじゃん?」

憧「どれどれ……」

哩『本日はいろいろとありがとうございました。 エバーグリーンズは解散してしまいましたが、ハルちゃんのファンであることには変わりありません。 今後も応援しています』

灼「……ハルちゃんって」

晴絵「エバーグリーンズの時もそう呼ばれてたから! 別になんもないから!」

穏乃「あれ? なんか動画添付されてますよ?」

晴絵「あっ! しず、それは……!」



菫『はややーっ☆』



穏乃「ぶふっ!?」

憧「ちょ、なにこれ!? 白糸台の弘世菫だよね!?」

灼「っ……!?」

宥「…………ふ、ふふっ」

玄「み、みんな、笑っちゃ悪いよ!」

憧「だ、だってこれ……ほら」

菫『はやー☆』

玄「ぶはっ!?」

……いや、これは逆にいろいろ誤魔化せるんじゃ……? うん、他校の生徒と遊んでて連絡するのも忘れてたなんてさすがにうっかりで済ますにはちょっとな……

よし! このまま、弘世様パワーでうやむやにしよう!


灼「ハルちゃん」

晴絵「ん?」

灼「……白糸台と新道寺の子たちとカラオケで豪遊してきたの?」

あ、誤魔化せなかった

晴絵「な、なんのことだ?」

灼「いや、ハルちゃん映ってるし」

晴絵『あはは、弘世様ーっ!』

哩『弘世様素敵ばい! あっははははは!』

憧「ひ、弘世様って……弘世様って……!」

穏乃「なにこれ……なにこれ……お腹痛い……」

晴絵「……いや、うん、話の流れでカラオケに……」

灼「連絡も忘れるほど楽しんでたんだ……夕方には帰ってくるって言ってたのに……」

宥「……みんな心配してたんですよ?」

晴絵「…………」

菫『はやっ☆』

灼「!? げほっげほっ!」

宥「ちょ……や、やめてくださいよ赤土先生!」

玄「くくっ……ちょっとこれは、破壊力が……」

灼「……ハルちゃん!」

晴絵「ごめんっ! ほんと悪気はなかったんだって! だってこれ……ヤバイだろ!? しかもクオリティ超高いし!」

憧「いやハルエが逆ギレしちゃダメでしょ」


灼「もう離婚よ!」

晴絵「離婚!?」

灼「実家に帰らさせていただきま……」

晴絵「実家に!?」

灼「玄、今日からしばらく玄と一緒に寝るから」

玄「え? ほんとうに? やったぁ!」

晴絵「玄たちの部屋かよ!?」

宥「お泊まり会だね~」

憧「あ、じゃあ私も行く!」

穏乃「私も私も!」

晴絵「えぇ……? じゃあ私も……」

灼「ハルちゃんはダメ」

晴絵「仲間はずれかよ!? 寂しいだろ!?」

憧「他校の生徒と浮気するからでしょ? しばらく反省しなさい!」

晴絵「ほんとごめんって! 反省してるから! な?」

灼「……これからは、遅くなるときはちゃんと連絡いれて。 心配するから……」

晴絵「ん、ごめんな灼」

憧「ファンの女の子連れ込んだりもしないでよ?」

晴絵「しないよ!」

憧「信用できないなぁ……ね?」

穏乃「あはは……前科持ちは信頼落ちるみたいですよ? 先生」

晴絵「…………」


菫『はややっ☆』



灼「!? げほっごほっ!」

憧「だ、だからやめてってば! ちっとも反省してないでしょ!?」


カン!

弘世様はどこに行くのか

久保コーチお誕生日おめでとうございます。たかたんイェイ~
立先生のブログ更新でこーこちゃんと同学年だという情報がでましたね。学生時代からコーチとして顔出したりしてたのかなー

二重に書き込むとは。
どうやら真のポンコツは俺だったようだ

>>705ポンコツ萌える
新道寺にも触れたし、いろいろあって方言超かわいいって最近改めて思いました。
イチオシは染谷先輩だから完全な方言っ子じゃないですけど

次回はひな祭りで来ます。前回から少々間空きますけどよろしくお願いします

投下します。ひな祭りで、ハルちゃんふくすこ新子姉妹


晴絵「ごちそうさまー」

望「お粗末様でした」

憧「ハルエさ、ちゃんと独り立ちしなよ……」

晴絵「たまに飯食いに来るぐらいいいじゃんかよー」

憧「はぁ……うちのお父さんもお母さんもハルエに甘いからこうやってさぁ……」

望「うちらの親世代にはハルちゃん大人気だからねー……晴絵の両親はいろいろ思うところがあるみたいだけど」

晴絵「ぐっ」

憧「……どういうこと?」

望「プロ入り決まっておばさんたちも喜んでたけどさ……嫁入り先はいまだ決まらないもんねー」

晴絵「……そ、それは望だって」

望「彼氏できないのと作らないのは違うのよね」

憧「お姉ちゃんモテるもん、ハルエと違って」

晴絵「わ、私だってそれなりに……」

望「まあ、たしかにね」

憧「お年寄りと、子どもと、女の子にはモテるのよね」

晴絵「……はぁ」

憧「ハルエもさ、麻雀ばっかりじゃなくて少しはそっち方面も頑張んなさいよ。 もうアラフォーになるんだから」

晴絵「アラサーだよ! ……やめてよそれ! 辛いから! 26だから! 若いから!」

望「……うちのかわいい妹さんはそのへんどうなの?」

憧「ぅえ!?」


望「バレンタインの準備、手伝ったのになんの報告もないしさあ」

憧「あ、それは……ちゃんと渡したけど!?」

晴絵「相手女の子だけどね」

憧「なんで知ってんのよ!? ハルエいなかったじゃん!」

晴絵「それギャグ? 憧は分かりやすすぎんだよ」

望「はぁ……あんたもまたそんな……まあそんなことやってられんのもその時期ぐらいだしねぇ……で?」

憧「で?」

望「相手、どんな子?」

憧「ふきゅ」

晴絵「普通にカッコいい系でさ……インハイとかチェックしてる? 去年の長野の先鋒の子で……」

望「へぇ、龍門渕の子? 映像探しとこ」

憧「ちょっとぉ!」

望「あの頃の晴絵とどっちがモテるのかしらねー」

晴絵「あっちのがモテるだろ。 なんたって憧が惚れるくらいだし」

憧「ちょ、ちょっと! 違っ……違うもん! ほ、惚れっ……そういうんじゃないから!」

望「照れなくてもいいのにぃ」

憧「うぅ……もういいから! ほっといてよ、お姉ちゃん!」

望「あーもう、かわいいなあ憧は」

憧「な、撫でないでよっ! ばか! もう私高校生なんだからっ!」

望「またまたぁ、嬉しいくせに」

晴絵「いちゃいちゃすんなよ……あ、悪い電話来たからちょっと外すわ」

望「はいはーい」


晴絵「もしもし?」

恒子『やっほー! ハルちゃん元気?』

晴絵「ああ、こーこちゃん……どうしたの? 珍しいね」

恒子『今どこ?』

晴絵「どこって……友だちの家だけど……」

恒子『じゃあ行くから場所教えてー』

晴絵「はぁ!?」

恒子『仕事ですこやんと一緒に奈良来ててさー』

晴絵「え、いやいや……」

恒子『っていうか今阿知賀女子の前なんだよね! さすがに夜中の学校誰もいなくて怖いわー! 入ったらマズいよね?』

晴絵「そりゃそうでしょ! 学校の近くの神社に居るからさ.とりあえずこっち来なよ……そしたらうちまで案内するからさ」

恒子『やったぜ! すこやん、ハルちゃんとこ行っていいって!』

健夜『こーこちゃんがアポ取ってるって言ってたから付いてきたのにどうなっ『あっ! じゃあ今から行くから! 待っててね!』

晴絵「ちょ、こーこちゃ…………切れた」

逃げたか……小鍛治さんも小鍛治さんでこーこちゃんにまかせるのは危ないとか思わないんだろうか

とりあえず、望に声かけとかないと……

晴絵「……望ー! ちょっと……」


――――――

恒子「こんばんはーっ!」

健夜「こーこちゃんもう遅いんだから静かにしなよ! すみません、お邪魔します……」

望「どうぞ……はじめまして福与アナ、新子望です。 小鍛治さんはお久しぶりです」

健夜「新子さん……なんか、懐かしいですね」

恒子「こーこちゃんでいいっすよ! 望さん? 新子って……」

晴絵「ああ、うちの生徒の姉でね……憧? なに隠れてんの?」

憧「いや、お邪魔じゃないかと……こんばんは」

健夜「ごめんね、遅くに……」

恒子「とりあえず飲もうぜ!」

健夜「いきなりなに言ってるの!?」

晴絵「仕事で来てるんじゃないの……?」

恒子「でも、さっきコンビニでお酒買っちゃったし……」

望「あはは、まあいいよ! あがってあがって!」

憧「いいの? お姉ちゃん……」

望「いいよいいよ。 昔話に花も咲くでしょ」

健夜「ほんとに、ごめんね……」

憧「でも、小鍛治プロだよ……?」

健夜「えっ」

憧「十年前に地元のヒーロー、ハルエをボッコボコにしたせいでここらじゃわりと嫌われ者の……」

健夜「えぇ!?」

恒子「すこやん嫌われてんだー」

憧「石とか投げられませんでした?」

健夜「い、いや、大丈夫だけど……えぇ……?」

晴絵「憧ー? あんまり人をからかうもんじゃないぞー?」

健夜「なんだ、冗談かぁ……」

憧「まあ……半分くらいは」

健夜「投石があり得るの!?」

望「大丈夫、言うほど嫌われちゃいませんよ」

恒子「それに普通に歩いてる分にはすこやんオーラないしバレないって!」

健夜「余計なお世話だよ!」


恒子「お、でっかいひな人形!」

望「季節感は大事にしたいから……ここ、近所の子どもたちもけっこう遊びに来るしね」

恒子「すこやんも十年前にちゃんとひな人形片付けておけば結婚できてたかもしれないのにね!」

健夜「うるさいよ!」

晴絵「ほんと、その話題置きに来るのやめようよ……余計なダメージ負うから……」

恒子「ハルちゃんもちょっとヤバめ?」

晴絵「…………ほっといてくれよ」

望「いつまでもそんな調子だと婚期逃すわよー?」

晴絵「だ、大丈夫だよ! たぶん! なんとかなるよ!」

健夜「……私もお母さんにずっとそう言ってるなあ……」

晴絵「小鍛治さんまで、やめてくださいよ!」

恒子「お、望さんは余裕ありって感じ? 彼氏いるの?」

望「ん? いないわよ?」

憧「お姉ちゃんならその気になればすぐに彼氏ぐらいできるもん」

恒子「お? えっと……憧ちゃんだっけ? 意外にもシスコン?」

憧「ふきゅ!?」

憧「……な、ち、違います! 別に、普通ですよ普通!」

恒子「なんだよー! 照れんなよ! 別にお姉ちゃん好きなぐらい普通だって! ね?」

健夜「え? うん……仲がいい方がいいと思うけど……」

望「憧は照れ屋だからねー」

憧「照れてないし!」

恒子「じゃあじゃあ、望さんは?」

望「そんなの、大好きに決まってんじゃない! かわいい妹だもんねー?」

憧「う、うっさい! からかわないでよ!」


健夜「……はぁ」

晴絵「……はぁ」

健夜「……ね」

晴絵「……はい」

健夜「……私さ、そんなに言うほど気にしてないと言うか、焦ってないけどさ」

晴絵「うん」

健夜「こう、親とか、こーこちゃんとかさ……あんまり言われるとさ」

晴絵「わかります」

健夜「そりゃあ、そろそろ30目前だけどさ……別に結婚してない人なんていくらでもいるわけだし」

晴絵「同期だって一人の子の方が多いですし……」

健夜「だからほんとさ、回りがそんなにプレッシャーかけなくていいと思うんだよね」

晴絵「こっちのペースでやった方がね、うまくいきますよね」

健夜「だよね!」

望「相手もいないのになにがうまく行くんだか……」

恒子「傷の舐め合いなんてしたって仕方がないぞ! ほら、憧ちゃんもなんか言ってやれ!」

憧「え!? わ、私がですか!?」

恒子「憧ちゃんぐらいかわいければ彼氏の1人や2人どころか3人4人ぐらいいるっしょ? 年齢=いない歴の寂しいおばさんたちに一言言ってやれ!」

憧「えっ……いや……」

健夜「こーこちゃん! さすがに怒るよ!?」

晴絵「こーこちゃんが私らの年齢になったときに自分が辛い思いするからね!?」


憧「えっと……そのぉ……」

恒子「……もしかして憧ちゃん彼氏いない?」

憧「……い、いますけど!? 彼氏ぐらい……ふ、普通はいるでしょ!」

恒子「だよねー! 女子高生ともなれば普通は彼氏ぐらいいるよなー!」

健夜「いちいち煽るのやめてよ! 憧ちゃんはかわいいから、そりゃあ彼氏ぐらいいるだろうけど……」

憧「ま、まあ? 一応? いますけど!?」

晴絵「あーあー……引っ込みつかなくなるぞ……」

望「変に意地張っちゃって……かわいいんだから、もう」

晴絵「……望は憧好きすぎ」

望「十も離れてるとかわいくて仕方ないのよ……あんただって玄ちゃん宥ちゃんが生まれたぐらいからの付き合いだしわかんでしょ?」

晴絵「……まあねえ」

恒子「で? 彼氏はどんな子なの?」

憧「えっ!?」

恒子「いいじゃーん! 教えてよー! ほら、すこやんの婚活の参考にするからさ!」

健夜「しないよ! ……しないよ!!」

恒子「なぜ二回言ったのか?」

健夜「……私のことはいいから! で、どうなの?」

憧「小鍛治プロまで!? え、えー……その、あー……」

恒子「……もしかしてエア彼氏?」

憧「ふきゅ」

晴絵「ぷっ」

憧「そ、そそそそそんなわけないじゃないですか! 実在してますよ!」

恒子「じゃあ言ってみろよー! どんなやつなんだよー!」

健夜「そーだそーだ! 言ってみろー!」

望「テンション高いなぁ……」

晴絵「こーこちゃんはいつも通りだけど……小鍛治さん酔ってるのか? 珍しい……いや、この話題になるといつもこんな感じか……」

望「なんだかんだ言ってやっぱり気にしてんのねぇ……」


憧「そりゃあ、その……普通に、カッコいい系ですよ」

健夜「普通にじゃわかんないよー」

恒子「そーだ! 詳細なプロフィールをよこせー!」

晴絵「……ちょっと飲みすぎじゃないの?」

望「いいんじゃない? 楽しそうだし、テンパる憧もかわいいし……ほら、乾杯」

晴絵「……うーぃ」

憧「……み、見た目はカッコいいですよ!? 年はひとつ上で身長は180、ちょっと不器用で鈍いですけど優しいところもあって……あ、料理とかもけっこうするんです!食べる方が好きみたいですけど! それに麻雀も全国区の腕で……」

健夜「のろけないでよ! 私へのあてつけなの!?」

晴絵「そんな無茶苦茶な……」

恒子「つーか嘘でしょー? そんないい男いるわけねーし! すこやんの妄想じゃないんだからさー」

憧「いますー! いるんですー!」

健夜「ちょっとこーこちゃんどういう意味!?」

望「……どこまで事実でどこまでが希望でどこからが妄想なの?」

晴絵「だいたい事実かな……? まあ男じゃなくて女だし、付き合ってもいないけどね」

恒子「じゃあ写真見せろ写真! ふたりで写ってるのぐらいあるんだろー?」

憧「あ、ありますよ! ……ほら!」

恒子「どれどれ……うわ、イケメンなのはマジだ!」

健夜「……ん? どっかで見たことあるような……?」

望「去年のインハイに出てたらしいから会場で見たんじゃないですかね」

健夜「あぁ……そうなのかな……? 男子の会場はあまり行ってないんだけど……」

晴絵「つーかふたりで写真とか撮れたんだ? 憧のあがり方見てると絶対無理だと思ったのに……」

憧「……国広さんに頼んで、なんとか……こう……ね?」


晴絵「まあ、いろいろ言ってみたところでさ」

憧「うん」

晴絵「付き合ってないよな」

憧「うぐっ」

恒子「え!? なんだ、彼氏は嘘かよー! ってまさか憧ちゃん片思い?」

憧「ぅ……そうですよ! 悪いか! ちょっと見栄張っただけじゃないですか!こーこちゃんがあんまり言うから!」

健夜「わかる! わかるよその気持ち!」

晴絵「うん、まあ……多少はわかっちゃうな」

望「別に彼氏いないぐらいどうにでもなる問題でしょうに……」

健夜「私にとっては違うの!」

晴絵「そりゃあ望は親にも心配されてないしプレッシャーないから楽だろうけどさ!」

望「そんなに怒んないでよ……」

恒子「えー? でも憧ちゃんなら告れば余裕でオーケーもらえるっしょ?」

憧「……バレンタインに勢い余って告白して……」

恒子「勢い余って?」

望「……マジ? 頑張ったわねー」

健夜「フラれたの!?」

晴絵「ちょっと、嬉しそうにするのはどうなんですかね」

憧「付き合ってって言ったら『いいよ、どこまで?』って……」

恒子「いやいや! 今どきそんなやついねーよ!」

健夜「憧ちゃんに付き合って、って言われてその返しができる男の子ってすごいね……」

晴絵「……相手が女の子だからね」

望「変な男に引っ掛かるよりは安心できるんだけどねぇ……」


恒子「もう、アレだな! ヤッちまうしかねーな!」

憧「ふきゅ!? や、やや、ヤるって、それは……どういう……?」

恒子「そりゃあそのまんまの意味よ! ほら、すこやんと違って若いし! 色仕掛けでイチコロよ!」

憧「ふきゅ」

健夜「私はまだ若いよ! ……若いよ! 二十代だよ!」

晴絵「そこは自信持ってくださいよ小鍛治さん! 大丈夫ですよ! まだ二十代ですし……大丈夫、大丈夫! 私だって、まだ、全然……!」

望「ちょっとこーこちゃん、人の妹に変なこと吹き込まないでよ……変にそっちに振りきっちゃっても困るし……」

恒子「いーじゃんいーじゃん! 何事も経験っすよ望さん! あ、憧ちゃんもお酒飲む?」

憧「え? あ、じゃあ、少しだけ……」

望「ダメに決まってんでしょ! こーこちゃんも未成年にお酒すすめないで!」

晴絵「まあまあ、望もそんなに怒んなくても……ちょっとぐらいいいじゃん」

望「あんた教師でしょ!? もしかしなくても酔ってるな!?」

憧「お姉ちゃんは過保護すぎ! 私だってもう高校生なんだから……」

望「目の前で道を外しそうになってたら止めるっつーの! だいたい、ほっとかれたらほっとかれたで寂しいくせに……」

憧「……別に寂しくないもん!」

晴絵「強がっちゃってまあ……」

憧「強がってないってば!」

望「なによー……じゃあ一緒にお風呂も一緒に寝るのも無しにするぞー?」

晴絵「ぶはっ!?」

恒子「え!? それマジで!?」

健夜「……さすがに高校生にもなってそれは」

憧「嘘ですよ!! してませんって!! お姉ちゃんも酔ってんでしょ!?」

望「あはは、そうだっけ? 憧は昔っからお姉ちゃんお姉ちゃんって私の後ろをついて回って……」

憧「昔! 昔の話でしょ!」


恒子「あっはっは! いつまでやってたの、それ?」

望「んー……と、中学「嘘つかないでよ!せいぜい小学校の前半ぐらいまででしょ!?」

晴絵「あはは、たしかに高校生ぐらいの時に泊まりに来てさ、憧挟んで川の字で寝たこととかあったよねー」

健夜「……仲いいんだね」

恒子「そんなに羨ましがらなくてもさ、ほら、すこやんには私がいるじゃん! 男はいないけど!」

健夜「いちいち余計なこと言わないと喋れないの!?」

望「ほら憧、お姉ちゃんの膝の上空いてるぞー? ハグしてあげるからこっちおいでー」

憧「…………ん」

恒子「あ、そこは行くんだ」

憧「ふん……お姉ちゃんがどうしてもって言うから、仕方なくですから!」

健夜「……やっぱり好きなんじゃん」

憧「酔っぱらいの相手するのがめんどくさいだけですから! 適当に付き合ってあげた方が早いですし!」

望「はいはい、ありがとねー」

憧「むー……お姉ちゃん、お酒臭い」

望「ごめんねあこー……あ、ちょっと胸大きくなった?」

憧「え、ほんと!? ……って揉まないでよ! ばか! 酔っぱらい!」

健夜「……はぁ」

晴絵「だからいちゃいちゃすんなって……」

恒子「君ら姉妹がね、いちゃいちゃするとね……こっちの寂しいふたりがだんだんやさぐれるからさ」

望「ふふん、羨ましいかー? 憧なんて昔はお姉ちゃんと結婚するって「それはさすがに言ってないから!!」あれ? そうだっけ? 言ってなかった?」

憧「言ってないもん! ぜーったい言ってない!」


健夜「あー……」

晴絵「どうしたんです?」

健夜「……結婚したい」

恒子「おっ? とうとう本音が出たね?」

健夜「結婚さえしてしまえばこの……なんとも言えない感覚や余計なプレッシャーから逃れられる気がする……」

晴絵「……いちいちネタにされるのも、親からのプレッシャーもほんと辛いですよね……」

憧「……あてがあるんですか?」

健夜「……ないね。 赤土さんは?」

晴絵「……ないです」

恒子「……てきとーに男見繕って紹介してあげよっか?」

健夜「……こーこちゃんに紹介してもらってもね」

晴絵「なんか、変なのばっか連れてきそうで……」

恒子「私をなんだと思っているのか」

健夜「だってこーこちゃんだし」

晴絵「こーこちゃんですもんね」

恒子「うわ、納得いかねー……酷いと思いません? 望さん」

望「日頃の行いじゃないのー?」

憧「ハルエも小鍛治プロも、あまり贅沢言える立場でもないんじゃないですか?」

健夜「言っていいことと悪いことがあるよ!?」

晴絵「小鍛治さん、男性のプロ雀士とか繋がりないんですか? ちょっと前まで世界戦とかいろんな大会出てたじゃないですか」

健夜「知ってる人はけっこういるけど……なんか、いまいち距離置かれてるというか……」

望「たぶん、小鍛治さん強すぎるからですよ……男ってプライド高いから」

晴絵「ああ……小鍛治さん、男女混合の大会でもけっこう容赦なく勝ってましたからねー」

恒子「すこやん地上最強だから引かれてるのかー……まあ、そもそもすこやんの物言いにも問題あると思うけどね。 けっこう辛辣だし」

健夜「そんなつもりはないんだけど……そういえば、コンビ打ちの大会やらテレビの企画やら来ても男性とは組んだことないなぁ……はやりちゃんとか理沙ちゃんとばっか組んでた気がする……」


健夜「……なんかさ」

恒子「今度はどしたの?」

健夜「ひな人形が憎い」

憧「なに言ってるんですか……」

晴絵「わかる」

望「わかっちゃうのかー」

恒子「ちゃんと片付けないから……」

健夜「片付けてるよ! 昔からずっと! お母さんが! ……毎年毎年『ちゃんとひな人形片付けてるのに男友達の1人も紹介してくれないのはどうしてかねー』って言われるのが辛いんだよ!」

恒子「片付けてるなら結婚できないのは単純にすこやんが悪いよね」

健夜「うるさいよ!」

望「そもそもちゃんと片付けないと婚期逃すってのも迷信でしょ?」

晴絵「え、やっぱり私らが悪いの?」

憧「結婚となるといろいろ問題もあるだろうけどさ、相手すらいないんだから本人が悪いんじゃないの?」

健夜「……キツい! さっきから物言いがキツいよ! 私泣くよ!?」

晴絵「発言にはもっと気を遣えよ! デリケートな問題なんだぞ!?」

憧「ご、ごめんなさい……」

恒子「いーや、憧ちゃんよく言った! そろそろ現実見て真面目に男捕まえなきゃダメだ!」

望「ま、ふたりとも見た目だって悪くないんだしちゃんと身だしなみ気をつけてさ、お洒落にしてれば男の方から寄ってくるわよ」

晴絵「いや、身だしなみとか最低限整えるのは当然だけどさ……がっつりお洒落して流行がどうだとか、そういうのちょっと面倒ですよね」

健夜「麻雀で忙しいし……流行のチェックより牌譜のチェックだよね」

晴絵「ですよねー」

憧「あ、これやっぱりこの人たちが悪いわ」

恒子「もうアレなんだろうね。 麻雀のことしか頭にないんだろうね……」

望「手遅れになってから焦ってもどうしようもないのよ?」


晴絵「うー……うるさい! 男よりも麻雀だ! 栄光と挫折……いろいろあったけど、とうとう子どもの頃からの夢が叶ってプロ雀士になれるんだ! そんなこと気にしてられっか!」

健夜「そうだよ! 男なんか……男なんかいなくたってなー……私たちには麻雀があるんだ!」

晴絵「さすが小鍛治さんいいこと言った! 麻雀最高!」

健夜「赤土さんの夢に乾杯! さあ飲んで飲んで! 輝かしい麻雀の、プロの世界が待ってるよ!」

憧「……いくら酔ってるにしてもさ、女として終わってるでしょ」

恒子「うわぁ……すこやん、結婚するより全タイトル戦総ナメにする方が簡単なんじゃないの?」

健夜「そりゃそうでしょ。 なに言ってるのこーこちゃん」

恒子「えっ」

健夜「えっ?」

晴絵「小鍛治さんこそなに言ってるんですか!? 私が……私がねぇ、プロになるからには、かんたんにタイトルせーはとか、させませんからね! 」

健夜「ふふ……言ってくれるね赤土さん……わた、私が……すっごくつよいのわすれたわけじゃ、ないでしょー!?」

恒子「もう呂律回ってないし……よし! 私がすこやんとハルちゃんが結婚できるようにおまじないをしてやるぞ!」

健夜「!?」

晴絵「!?」

恒子「おらっ! くらえっ! 嫁は外ー!」

健夜「いたっ!? やめてよ!」

晴絵「なんだこれ!? ひなあられ!?」

望「そのイベント先月終わってるから」

憧「人の家でおかしばらまかないでくださいよ!」


恒子「ごめんごめん……でもほら、すこやんとハルちゃんのためだから!」

健夜「こーこちゃん……!」

晴絵「なんだ、こーこちゃんっていいやつじゃん!」

恒子「気づくの遅いぜハルちゃん!」

健夜「持つべきものはともだちだね! ほら、こーこちゃんも飲んで飲んで!」

恒子「うす! あざーっす! ハルちゃんもどうぞ!」

晴絵「さんきゅーこーこちゃん! でさ、えーと……あれ? なんのはなしだっけ?」

健夜「麻雀、麻雀のはなしだよ!」

晴絵「そうだ! えーと、よし! わたし、3年……いや、2年でタイトルホルダーになるんで! トップの座を賭けて、うちましょうね!」

健夜「うん! じゃあ、わたしは今年のうちにタイトルの2つ3つとっちゃうから!」

恒子「あ!ふたりが打つときはわたしがじっきょーするー!」

憧「もう結婚の話忘れてる……」

望「忘れるために飲んでるからね」

憧「……こーこちゃんは?」

望「楽しければいいんでしょ」

憧「……ハルエも、小鍛治プロもさ」

望「うん」

憧「とうぶん結婚できそうにないね」

望「そうねー」



望「……ね、憧」

憧「なに?」

望「……あんな風になっちゃダメよ?」

憧「……うん」


カン!

実際問題、男か麻雀かってなったらこのふたりは間違いなく麻雀とると思います

今さら気づいたけどこういう行事こそシノハユでなんかしら準備しとけばよかったなー

おつー
こーこちゃんは男慣れしてそうだな

追いついた乙乙
ハルちゃんかわいい

>>730普通にバラエティ向きだし売れっ子女子アナで活躍した挙げ句30前後で普通に結婚して「すこやんまだ結婚しないの?」とか言ってそう
>>732いらっしゃいまし!のんやり進行ですのでまったりお付き合いください

ユニフォーム姿の絹ちゃんかわいかったですね! 順調に失点するメグに涙を隠せません…

いろいろ書き溜めしてたら時間かかってるので次回は火曜水曜辺りに来られたらって感じです。すみません
>>410っぽい感じになるかと

す、末原ちゃんは本当は強いし高速和了モードもあるし…
とはいえ爽とネリーが新規で入ってくるし活躍はすれど流石に勝ちの目が薄そうなのは仕方ないですかね

投下します。なぜか普段の倍ぐらいの量になってしまった…



改造とか、変身とか、そういうやつのお話



照さんに、呼び出された

これ自体は最近は特に珍しいことでもない

一緒におかしを食べようだとか、主にそんな理由で呼び出されては時にやえさんや玉子さん、もこなんかも交えたりして談笑することは多くなっている

最近お気に入りのスイーツや麻雀の話をしたりして……その合間にこっそりと咲のことを聞かれたりもする

……こっそりしているつもりなのだろうが、まったく隠せていない。 話題の転換が不自然すぎて咲のことを気にしているのがまるわかりだ。 ……はやく和解できればいいんだけど、こればっかりは余計なことをして拗れさせたくはない。 ふたりのペースでなんとかしていけばいいだろう

……今日は、相談があると言われた……もしかしたら姉妹仲の改善のために動くつもりなのかもしれない

咲のためにも、照さんのためにも……頼られれば、ちゃんとふたりの仲介をしたいと思っている。 ふたり次第とはいえ、引き合わせることぐらいはできる

小走りでいつものカフェに向かう……今日は、私しか呼び出されていないようだしあまり待たせても悪い

……どうでもいいが――いや、よくはないんだけど――照さんと会うようになってから外食費用が異常に嵩む

節制しないといけないと思っても、あれだけおいしそうに目の前でもりもり食べられるとつい我慢ができなくて……おばあちゃんたちに東京のおみやげも買って帰りたいし、お小遣いの使い方には気をつけないと……


――――――

照「灼」

灼「ども……お待たせしました?」

照「まだふたつめ」

もぐもぐとケーキを食べながら……たぶん、今来たところだと言いたいんだろうが、いろいろとおかしい

照「……そういえば、この前はハルちゃん……じゃなくて、赤土監督にお世話になった」

灼「……ああ、はい。 らしいですね……赤土かん……ハルちゃんに聞きました。 新道寺の方たちも一緒だったとか」

照「うん。 お陰で友だちが増えた。 白水さんたちとはたくさん対局したことがあったけど、あまり話す機会はなかったし……」

灼「よかったですね」

照「うん。 それに、赤土監督とも仲良くなった。 ハルちゃん照ちゃんの仲」

灼「マジか」

照「マジです」

ハルちゃんほんとなにやってんだろ……

照「……それで、相談なんだけど」

灼「あ、はい……私が協力できることならなんでも手伝いますから」

照「ありがとう……その、ね?」

灼「はい」

照「菫が……どうしたの?」

灼「い……いや、別に、なんでもな……」

……弘世様思い出しちゃった


ま、まあ弘世様のことは置いておいて……

とりあえず、咲のことではないらしい……そんなに構えて来ることもなかったかな

照「菫が「げほっげほっ!」……大丈夫?」

灼「ちょ、お茶が……げほっ! ……気にせずに、どぞ……」

置いとくもなにも弘世様の話だった

……白水さんから流出してきた例の動画のせいで、阿知賀ではすっかり弘世様で定着してしまった。 いや、歌が下手だったとかそういうわけではなく……イメージとの差が大きかったというか

試合中の凛々しい表情からはイメージのつかないほどのいい笑顔ではやりんの歌をキレッキレのダンスと共に披露してる姿は……

灼「く……くふっ……」

照「あ、灼……? 本当に大丈夫なの……? お腹いたいの?」

灼「……す、すみません……お腹はたしかに、ちょっと痛いですけど……そういうのじゃないので……」

灼「それで……ひ、弘世……さんが、なにか?」

照「無理しないで? ……菫、はやりんのファンなんだけど」

灼「…………は、はい。 存じております……」

照「変な敬語やめてよ……まあ、それで…………」

灼「……どうしました?」

照「……そのタヌキのTシャツかわいいね」

灼「ありがとうございます」

照「…………」

あ、微妙な表情……これは、あれか。 服の話かな

灼「……弘世、さんの服装になにか問題が?」

照「!? ……よくわかったね。 超能力?」

灼「いや、照さんがわかりやすいだけだと思……」


灼「まあ、私に相談するのは不安かもしれないけど……何人か頼りになる子を紹介できるので」

照「あ、いや……タヌキはかわいいと思う。 本当に!」

灼「……無理にフォローしてくれなくてもズレた趣味なのは自覚しているので……」

照「……けっこう似合ってるから、いいんじゃないかな」

灼「ありがと……さ、本題どぞ」

照「あー……はやりん、かわいいよね」

灼「ええ……えぇ? もしかして……」

照「いや、菫は、着てみたいらしいけど、自分には似合わないから……って、フリフリフワフワの服は避けている。 自分のイメージも大切にしたいみたいだし……」

灼「え……この間のアレは……?」

照「アレ? ……もしかして、知ってるの?」

灼「……白水さんからハルちゃんにメールが来て、それに動画が……その、見ちゃって、すみません」

照「あ、いや……あのときは、はやりん本人に出会って菫もテンション吹っ切れてて……はやりんのファンなのも、もともと白糸台でも私しか知らなかったから……みんな口止めされてたけど」

灼「……ちなみに照さんは……?」

照「はやりん? 好きだよ。菫の影響も多分にあるけど……かわいいし、歌もいいと思う。 雀士としての実力も高い。 参考にさせてもらってる」

灼「なるほど」

まあ、私たち辺りの年代だとはやりん直撃世代だし……ちょっと下の子たちになるとまた違うんだろうけど

はやりんファンってうちにはいないし、私もそこまで詳しくはない……玄のは少し違うやつだし

……そういえば原村さんと染谷さんがはやりん好きだなんて話をちょっと前にしていたし、少し前にハルちゃんつながりで憧がはやりんと会って……少しイメージ変わったって言ってたな。 ハルちゃんの友人でもあるし、話のネタにもなりそうだからちょっと曲とか聞いてみてもいいのかもしれない

灼「ん……つまり、弘世様の服装が……あれ? フリフリの衣装で踊り狂ってるわけじゃないなら、あまり気にしなくてもいいのでは……?」


照「弘世様定着しちゃったの? ……まあ、そうなんだけど……その、普段も……ね」

灼「……個性的な感じで?」

照「うん……というか、ぶっちゃけダサいかな」

灼「言っちゃいますか」

照「私もそこまで気にかける方じゃないけど……菫は、なんか……ズレてる、正直。 普通にしようとしてもはやりん感捨てきれないというか……」

灼「まあ、ズレてることに関しては私はなにも言えませんけど」

照「……なんか、ごめん」

灼「いえ、お気になさらず」

話をいくら聞いたとしても……個人的には、別に着たい服着てるならそっとしといてもいいんじゃないかと思うんだけど……まあ、一緒に行動するときにあんまりアレだとやっぱり嫌なんだろうか

……あれ、もしかして私も憧たちに迷惑かけてるんだろうか……?

…………うん、少し自重しよう。 憧と揺杏のお陰でだいぶ矯正されてきてるはずだし……残念だけど、レオナルドやうさギドラちゃんは地元をひとりで歩くときとか以外はできるだけ封印する方向で……

……部屋着にするにはもったいないと思うんだけどな、うさギドラちゃん……

照「とにかく、普段は寮住まいで麻雀部も忙しいし外出時は制服のことが多いけど……」

灼「ふむ……あ、関係ないけど白糸台の制服かわいいですよね」

照「私もそう思う」

灼「似合ってます」

照「……照れる」

灼「かわいらし……」

照「……ほんとはもっと言ってほしいけど、恥ずかしいからやめて」

灼「照さんかわい……」

照「……ん!」

灼「……なんですか?」

ケーキを突き刺したフォークをぐいぐいと顔に押しつけられている……いや、ほっぺたにクリームべたべた付いちゃってるんだけど……

照「食べて」

灼「いや、あの……」

照「ほら!」

なんだ、これは……照れ隠しなのかな? とりあえず、顔が生クリームでべちょべちょになる前に――もう手遅れっぽいけど、いただいておこう

照「おいしい?」

灼「おいし……」

照「よし」


灼「……とりあえず、力になれそうな子たちを呼び出すので、電話してきます」

照「うん、ありがとう……電話ならここでしても」

灼「いや……その、顔べたべたなので……先にお手洗いで顔洗ってきます」

照「……ごめん」

灼「だいじょぶですから……ちょっと待っててください」

照「わかった…………すみません、追加のオーダーを……」

……戻ってくる頃にはテーブルの上がまたスイーツ類で埋まってそうだ

――――――

顔を洗って、ちょっと考えてからいったん店から出る。 照さん放置して電話するのもちょっと申し訳ないし、今ならちょうどケーキを貪っている頃だろう。 ひとりの方が気兼ねなく食べられるはずだ

灼「……もしもし? 今だいじょぶ? 力を借りたいんだけど……」

揺杏『まかせろ! ……で、真面目な話? 面白い話? ふざけた話?』

灼「ん……真面目な話だけど面白い案件かな。 たぶんある程度ふざけられるやつ」

揺杏『得意分野だな! よっしゃじゃあ今から『おい! 面白い話なら私も混ぜてくれよ!』爽うっさい!』

爽『いいだろー別にさ~ねぇ灼さーん』

灼「……爽ってさ、はやりん好き?」

爽『はやりん? はやりんは私の倒すべき敵だ! ユキを使って打倒はやりんを企ててるぞ! 揺杏の作った強化スーツと私の地獄の特訓で「揺杏単独でよろしく」

揺杏『うーす』

爽『えっ? なんで!? はやりんそんなに大事なの!? いや、ほんとは好きだから!目標です!尊敬してま「ばいばい」ちょ、待っ』

灼「…………」

弘世様がはやりんの大ファンみたいだし、変に拗れて面倒になったら嫌だしね

灼「……もしもし? 憧? ファッション系の問題で頼りたいんだけど……」

憧『マジ? 行く行く! まかせてよっ!』

灼「地図メールしとく……揺杏も呼んでるから」

憧『はいはーい』

……持つべきものは友だちだね。 ふたりとも話が早くて助かります


携帯をスカートのポケットにしまったところで、後ろから声をかけられる

絹恵「鷺森さんですよね? こんにちは!」

灼「あ……ども、こんにちは。 愛宕さん、上重さん」

漫「どうも……おひとりですか?」

灼「いえ、中に友人が……そちらはおふたりで?」

絹恵「赤阪監督が今日は二年組はオフでええよー、言うんで出てきたんです。 お姉ちゃんたちが個人戦の準備してるのに申し訳ないですけど……」

漫「あ、よかったらご一緒させてもろてもええですか? 出てきたものの、うちらこの辺まったく土地勘なくて……」

灼「ん……いいですよ。 おふたりなら連れも喜ぶと思います」

照さんも麻雀の話ができるし、愛宕さん……お姉さんの方とは個人戦などで何度も対戦しているはずだ。 話題はいくらでもあるだろう

絹恵「すみません、あつかましいことを……」

灼「気にしないでほし……友だちじゃないですか」

絹恵「……ふふ、おおきに!」

漫「助かりますわ……ところで、お連れさんって阿知賀の?」

灼「いえ……ほら、あそこ……赤い髪の」

絹恵「え? お姉ちゃん?」

漫「主将は末原先輩と真瀬先輩とホテルにいるやん……」

灼「まあ、お姉ちゃんですけど……」

照「?」

絹恵「ぅえ!? 鷺森さんのお姉さんだったん!?」

灼「え? それは違……」

照「……お姉ちゃんって呼んでもいいよ?」

灼「それはちょっと恥ずかし……」

漫「っていうか宮永照やんか! なんでチャンピオンがこんなとこにおるん!?」

照「ここのケーキがおいしくておいしくて……」

灼「いくつめ?」

照「いつつめ」

漫「食べすぎや!」


そういえば、最近慣れちゃって特に疑問も持ってなかってけど宮永照と私ってはたから見たら意味不明な組み合わせだな……そりゃあ驚くか

絹恵「あはは……まさかのチャンピオンやったね……」

漫「何事なんです……?」

灼「まあ、友人で……」

照「えっと、姫松の……愛宕さんと上重さん。 あってるよね?」

絹恵「あ、はい! どうも、絹恵です! うちのお姉ちゃんが毎度大会でお世話になってます!」

照「いえ、こちらこそ……」

漫「こ、こんにちは……上重漫です……」

照「……怖がらなくても、取って食べたりしないよ?」

灼「主食はスイーツだから安心して」

漫「そういう食べるなん!?」

絹恵「あはは、漫ちゃんこないだちょっと太った言うてなかった?」

照「…………ほほう」

漫「いや! うちは食べてもおいしくないですよ!?」

照「冗談ですので」

灼「……照さんも、ちょっと毎日おかし食べすぎなんじゃ」

照「……太ってないもん」

灼「なにも泣かなくても」


照「……まあ、どうぞ。 お座りください」

漫「えぇ……ほんまにええんですか?」

照「怖くないよ。 座って」

灼「真顔でそれ言うとちょっと怖いです、照さん」

照「……怖くないよ。座って?」

絹恵「あんまりいい笑顔で言われてもちょっと怖いっていうか……」

照「……私はどうすれば」

灼「……見ての通りあまり怖い人ではないです」

漫「……みたいですね」

絹恵「じゃあ、すみません。お言葉に甘えさせていただきます……」

照「どうぞどうぞ……あ、これよかったら食べて。 おいしいよ」

漫「いやいや、食べかけ渡されても……」

絹恵「新しく注文するんで、お気遣いなく……」

照「……そう」

灼「……落ち込まなくてもいいですよ。 なんなら私が食べるので」

照「……あーん」

灼「いただきます」

絹恵「……随分と仲良いんですね?」

照「うん」

灼「照さん、命と同じぐらいおかしを大切にしているから……おかしをくれるのは友情の証」

絹恵「……もしかして、その、私たちと……友だちに……?」

照「まあ、そういう気持ち」

漫「いや、おかしと命が同格なのはおかしくないですかね!?」

照「……おかしだけに?」

漫「くだらんこと言わんでくださいよ!?」

照「さすが本場関西人……できる……!」

灼「かなりのやり手……!」

漫「なんなんです!? いじめなん!?」


絹恵「ふふ、そういうことならいただきます! 宮永さんとお友だちになれるなんてうれしいです!」

照「……ありがとう、愛宕さん……だとお姉さんと紛らわしいし、名前で呼んでもいいかな?」

絹恵「もちろんですよ!」

照「じゃあ……絹ちゃん。 私のことも照ちゃんでいいよ」

絹恵「……さ、さすがにちゃん付けは」

照「そう……じゃあ、漫ちゃんはどう? 照ちゃんで」

漫「今自然に名前で呼びましたね……お望みなら、照ちゃんて呼びますけど」

照「マジでか」

灼「こいつは驚いた」

漫「え!? 呼んじゃダメなん!?」

照「いや、お母さんぐらいしか照ちゃんって呼ばないから新鮮で……」

絹恵「照ちゃんって呼ばれてはるんですか」

灼「照ちゃんって呼び方、かわいいですよね」

照「うん。 でもはっきり言われると照れる」

漫「照だけに?」

照「?」

灼「?」

漫「さっき照ちゃんが言うたんやん!! なんで不思議そうな顔してるんや!? やっぱいじめなんですか!?」


漫「え? こわっ! ほんま怖いわこの人ら……」

灼「ほら、照さんはちょっとばかり天然だから」

照「私は天然じゃないよ?」

絹恵「照さん、天然の人ってみんなそういうんですよ?」

漫「ちょっと待って……え、なに? 鷺森はわざとなん?」

灼「?」

漫「そんな、え? みたいな顔されてもこっちがそういう気分なんですけど!?」

灼「前に姫松と練習試合組んだときに上重さんのポジションは把握してるから……安心して」

漫「やっぱりわざとやんな!? 安心できひんわ!」

絹恵「えー? でも漫ちゃんいじられっぱでおいしいやん!」

漫「おいしいんかこれ……?」

照「おいしいよ。 食べる?」

漫「ケーキの話じゃないんですよ!」

照「じゃあケーキの話をしよう」

絹恵「あ、じゃあ照さんのおすすめとかどれですか?」

照「ここはクリーム類の出来がとってもいいよ」

灼「素直にいちごのショートとかにすると味のよさがよくわかると思」

絹恵「じゃあ私はショートケーキとコーヒーを……漫ちゃんは?」

漫「……なんかもう、まかせるわ」

照「! まかせて!」

漫「……え? なんで照ちゃんそんなやる気満々なん?」

灼「……命と同じぐらい大切なおかしを巻かされるのは最上級の信頼の証」

照「漫ちゃんのために頑張る……!」

絹恵「愛されてんなぁ、漫ちゃん」

漫「……照ちゃんって、白糸台の宮永照やんな?」

灼「……普段のかわいい照さんとインハイチャンピオン宮永照は別人だから」

照「……かわいいとか言われると照れる。 もっと言って」

灼「照さんかわいい」

照「どうも」

絹恵「……照さん、ほんまイメージ変わるわぁ」

漫「……うち、もうつっこまんで」


灼「……ところで、照さん」

照「なに?」

灼「さっきの……本題の方なんですけど、心当たりのふたりは来てくれるそうなので」

照「本当に? ありがとう。 助かる」

絹恵「あ、なにかお話中でしたか?」

照「うちの菫がはやりんのファンなんだけど」

漫「……え? 菫って、弘世菫ですよね?」

絹恵「また意外なところが……」

灼「照さん、それは内緒だったんじゃ……」

照「……! 菫に怒られる……」

絹恵「あ、そんな! 言いふらしたりしませんから! 誰だってそういう秘密みたいなんはありますし……ね、漫ちゃん」

漫「いや、うちは特にないけど」

照「…………」

灼「おい」

漫「え? ……あ、あります! 秘密ぐらいね、ありますよね!」

照「だよね。 私もはやりん好きだし」

灼「それ、秘密にしてないですよね?」

照「……そうだった」

絹恵「けっこう多いですよね、はやりん好きな人……姫松にもけっこうおるし……」

照「私も将来ははやりんみたいに」

漫「え、照ちゃんアイドルになりたいんですか!?」

照「……いや、立派なプロ雀士になりたいと……」

漫「あ、そっち……」

絹恵「はやりんはアイドルイメージ強いですからねぇ」


照「目標とか、好きなプロとか……」

灼「ハルちゃん」

照「あー」

絹恵「ハルちゃん?」

照「阿知賀のOGで監督さん」

漫「ああ、レジェンドとかなんとかいう……」

灼「上重さんは?」

漫「大沼プロとか……」

灼「渋いね」

漫「うち、近所のおっちゃんたちが集まってよく話してんの聞いて育ってん」

絹恵「漫ちゃんち、お好み焼き屋さんなんですよ」

照「……お腹減ってきた」

漫「今言われてもお好み焼き出てきませんよ!?」

絹恵「……まだ食べられるんですか?」

照「甘いもの以外は別腹」

漫「普通甘いものが別腹やろ!?」

灼「照さんの主食はスイーツだから……」

照「必然的に甘いもの以外が別腹枠になる……絹ちゃんは?」

絹恵「え? えーと……その……」

灼「……言いにくい? マイナーな人だとか?」

絹恵「いやぁ、有名なんやけど……その……」

絹恵「……う、うちのお母さんなんやけど……」

照「あー」

灼「なるほど」

漫「絹ちゃんのお母さん、かっこええもんなぁ」

絹恵「えっへへ……自慢の母親なんや」


絹恵「あー……言ってもうた……なんや、恥ずかしいなぁ」

灼「別に恥ずかしがることもないと思うけど……小さい頃からカッコいいところ見てると、やっぱり憧れると思……」

照「10年前のハルちゃんもすごかったらしいね」

漫「愛宕プロもとんでもなかったもんなぁ」

灼「私も関西圏だし、愛宕プロすごかったのもよく知ってる。 人気者だもんね」

絹恵「……やめや、やめ! 言っちゃったけどやっぱ恥ずいわ! 元の話に戻りましょ! 弘世さんがどうされたんです!?」

照「ふふふ……いやまあ、菫の服のセンスがアレだからなんとかしたいって話を」

漫「え、その相談を鷺森に?」

灼「……タヌキさんかわいいでしょ?」

絹恵「かわええけど……かわええけどなぁ」

漫「正直ないと思うわ」

灼「うん、知ってた」

照「そっち方面に強い人を呼んでくれたらしいから、そっちにも相談してみる」

漫「……なあ」

絹恵「どうしたん?」

漫「センスが酷いと言えば、ほら……な?」

絹恵「んー?」

漫「……いや、正直なところ末原先輩もかなりアレやない?」

絹恵「あ、末原先輩に言いつけたろ」

漫「ちょ! 絹ちゃんそれはないやろ!?」

照「末原さんも?」

灼「……私からは、なんとも」

漫「なんか、スパッツとかダブルリボンとか……意味わからんやろ!?」

絹恵「私、けっこう末原先輩のファッション好きやけどなぁ」

漫「えぇ!? 絹ちゃんもセンスズレてるんやないの!?」

照「絹ちゃんの眼鏡とか、お洒落だと思うけど」

絹恵「ありがとうございます! ……いや、末原先輩普段しっかりしてて凛々しくて頼りになるのに……なんか、ちょっとそういうとこ残念というか……かわええやんな?」

漫「なんやそれ……あ! 絹ちゃんも末原先輩のこと残念とか言うとるやん! 言いつけたろ!」

絹恵「えー? おあいこやん! 内緒にしとこって!」


漫「正直はじめて見たときボケかなんかかと思ったけど、いきなり先輩にツッコミとか入れられんし……誰もツッコまんし……」

灼「スカート履き忘れただけかも……」

照「うっかりさんだね」

漫「そんなやつはおらんやろ!?」

絹恵「ぐいぐいツッコんどるやん……」

漫「つーかなんでリボン前後に付けとるん? 予備のやつも付けてもうたん!?」

照「ふたつのリボンでお得感が……」

灼「お得感は大事だね」

漫「リボンふたつ付けてなんの得をしとるんや!?」

絹恵「あ、でも私アレ好きやで! ジャージ羽織るやつ!」

漫「いやアレもダッサイやん……」

絹恵「それがええんやん! キリッとした顔で決めてるけどそれジャージやろ! みたいな……ほんま末原先輩かわええわー」

漫「絹ちゃんの趣味はようわからんわ……っていうかなに? 実は末原先輩のこと好きなん?」

絹恵「そらそうやろ! そもそもお姉ちゃん繋がりでわりと付き合い長いねん……たまにふたりで帰ったりするし」

漫「ふたりで!? なんやそれ超仲ええやんな!?」

灼「……洋榎さんと一緒に帰ったりしないの?」

玄と宥さんはいつも一緒だからなんとなく違和感……まあ、あそこは仲良すぎるか

絹恵「ああ、お姉ちゃん人気者やからいっつも誰かとあっち行ったりこっち行ったりでな……遅くまで部室残ってたりするとよく末原先輩と一緒になるんよ」

照「末原さん、研究熱心だし努力家だもんね」

漫「はぁ……そういうもんかぁ」

絹恵「漫ちゃん、しょっちゅうお姉ちゃんが部員つれておうちに突撃しとるからなぁ……部室出るのけっこう早いもんね」

漫「いやぁ、毎度ご愛顧ありがたいんですけどね……あんまり値引きとかサービス迫られると商売的にちょっとキツいっちゅうか……」

絹恵「……漫ちゃん堪忍な」

照「……いいな。私もケーキ屋やってる友だちとか欲しい」

漫「普段からそれだけ食べれば十分やろ……」


灼「……あ、来た」

照「来た?」

灼「ふたりとも、こっち」

揺杏「ちーす! ……なんかすごい面子ですね?」

憧「こんにちはー……まさかこんな大所帯だとは」

灼「憧、揺杏……来てくれてありがと」

照「こんにちは」

絹恵「どうもです」

漫「新子さんと……北海道の中堅?」

揺杏「……えっと……ねぇ灼、なんかインハイチャンピオンとかいるんだけど……」

灼「いつも通りで平気だよ」

揺杏「あ、そう? 岩館っす、よろしくー」

憧「あんたはほんとに……で、早速ですけど今日はいったい……?」

照「うちの菫の「げっほげほ! ……ごほっ!」……新子さん大丈夫?」

憧「し……失礼しました……」

揺杏「どしたの?」

憧「い、いや……ちょっとね……」

漫「照ちゃんとこの弘世……さんと、うちの末原先輩の服装をなんとかしたいっちゅう話なんですわ」

絹恵「えー……末原先輩は今のままでいいと思うんやけど……」

揺杏「……灼、あのデコの人って姫松の先鋒だよね? チャンピオンをちゃん付けとかなんかやっべー感じの人だったり?」

灼「照さんがちゃん付けでいいって言ったから……」

揺杏「ふーん……あ、じゃあ照ちゃんさー」

照「!?」

揺杏「あ、ダメっすかすみません調子乗りましたごめんなさい……」

照「あ、違う。 下の子でそんなに気安いのって淡ぐらいだから驚いて……」

揺杏「……大星と同じ枠って」

憧「あんたは似たようなもんでしょ」


照「そのまま照ちゃんでいい。 揺杏」

揺杏「うっす、あざーす……で? どんな感じでヤバイの?」

照「センスないの」

漫「ダサいんすわ」

憧「……けっこう容赦なく言うけどそんなにアレなんですか?」

照「……これは去年の水着の写真」※阿知ポ参照

憧「ぶほっ! げほっ! ……あ、あの、なんで弘世様は剣を持って」

照「……間違えた。 これは尭深が編集したネタ画像……まあ、ポーズからツッコミどころ満載だけど」

揺杏「白糸台意外と暇なの? つーか弘世様ってなによ……」

憧「あ……しまった、つい……」

灼「白糸台にある弘世さんのファンクラブの人たちにそう呼ばれてるらしくて……」

絹恵「ファンクラブ!?」

漫「そんなのあるんすか!?」

揺杏「なんで灼も憧ちゃんもそんなの知ってんのさ?」

憧「それは、その……ね?」

灼「まあ、いろいろあって……」

照「……この際、説明も面倒だし……協力してもらう以上少しぐらい……」

憧「え、ちょっと……いいんですか?」

照「この動画が流出した。 菫に関する状況もある程度察していただけると助かる」

絹恵「はぁ……?」

漫「それじゃあ、見せていただきましょうかね」

揺杏「面白い?」

灼「見ればわかる」


――――――

菫『はやや~☆』

淡『きゃー! 弘世様素敵ー!!』

晴絵『あはははは! 弘世様ー! いいぞー!』

哩『あっはははは!!ひっ……ひひっ……弘世様ーっ!』

絹恵「くっ……っふふ……」

漫「あははははは! なんやこれ!? つーかどういう面子やこれ!?」

揺杏「ちょ、あら、灼! なにこれ!? ふひっ……ひひははっ! ……ひー……はっ、げほっ!」

灼「だいじょぶ?」

揺杏「だいじょばねーよ!? おかしくって腹痛いわ!」

照「お腹痛くなるほど食べたの?」

揺杏「おかし食ってねーよ!?」

絹恵「ひ、弘世様、ほんとにはやりんのファンなんですね……正直ギャグかと……ふふっ」

憧「……何度見てもヤバいわね、これ……回りで笑い続ける人たちのせいで余計になんか、クルわ……」

灼「それを言ったら、最初みんな笑ってるのに途中から本気で盛り上がってるのが……」

漫「いやでも、これはクオリティ高いですわ……弘世様ヤバいですね……ダンスも歌も引くレベルで完璧やないですか」

照「菫、本当にはやりん大好きで……」

揺杏「あー……マジやべぇ……つかはやりんがどうこう言ってたのってこれかぁ」

灼「問題の弘世様がコレだから、場が荒れないようにと思って」

揺杏「弘世様が大いに荒らしてるけどね? 予想外のとこからユキのライバルが出てきたぜ……」


憧「えー、とにかく! 弘世様はいったん置いておくとして……末原さんは?」

漫「何回か会っとるしなんとなくわかるやろ?」

絹恵「私は末原先輩のあの感じ好きなんやけどなあ……」

揺杏「……つーかデコちゃんさあ」

漫「誰がデコや誰が!?」

揺杏「あんたしかいないっしょ……過剰に反応するってことは自覚してんだろー?」

灼「……いちいち煽らない」

揺杏「あ、ごめんごめん……いやさ、デコちゃん人のこと言えないっしょ?」

漫「いや、うち今日制服やし特に変なもんも身に付けてないやろ!?」

揺杏「でもデコに落書きしたまま外出するのはちょっと……」

漫「ぅええ!? 嘘!? マジで!?」

揺杏「あ、そういうファッションじゃないんだ」

漫「そんなファッションあるか!? 聞いたことないわ!」

揺杏「最近奇抜な格好の子多いから……麻痺してんのかなぁ」

憧「さすがにそれはマズいって」

漫「絹ちゃんも教えてくれてもよかったやんか!」

絹恵「いやぁ、まさか気づいてないとは……」

照「かわいいよ。 ちょっと間抜けな感じで」

漫「照ちゃんバカにしとるやろ!?」


漫「うー……とりあえずコレ、落としてきますわ……」

憧「お疲れさまです……」

揺杏「でさ、とりあえず私は弘世様と末原さん の衣装を用意すればいいわけ?」

灼「とりあえずそんな感じで……?」

照「うん、よろしく……揺杏が買ってくるの?」

揺杏「まさか! 趣味でね、縫うんすよー」

憧「絹恵さんと打った真屋さんの改造制服とか揺杏が縫ったんですよ……私たちもけっこう服作ってもらっちゃってて」

絹恵「それはすごいなぁ……被服の勉強しとるん?」

揺杏「今んとこほとんど独学だけど、ちゃんと勉強しようとは思ってんのよねー……あ、弘世様はだいたいわかったからさ、末原さんのこと教えてよ。 準決の大将戦見てたぐらいでよく知らないからさー」

絹恵「そうやなぁ……なんて言えばええんやろ……あ、コレ私のお気に入りの写真なんやけど」

揺杏「……ふふっ……なんでこの人ジャージ羽織ってんの? 一瞬カッコいいかと思ったけどよく見たら笑うってこんなん」

憧「……なんか、変に似合ってますね」

灼「……もうこのままでもいいんじゃない?」

絹恵「ですよね! 末原先輩はこのちょっとダサいのがいいっていうか!」

揺杏「歪んだ愛情だなあ……おキヌちゃんは末原さんをどうしたいのよ?」

絹恵「おキヌて……いやまあええけど……まあ、末原先輩は今のままでも十分面白いし、かわええと思ってますよ」

憧「……面白がってるんですか」

照「何事も楽しいのが一番……よし、次は」

灼「照さん、そろそろ食べすぎなんじゃ……」

照「…………あらた」

灼「……すみません、泣かれるぐらいなら食べてもらった方がいいです」

照「……ふふ、一緒に食べよ?」

灼「はい、みんなで一緒に」

照「うん」


漫「ども、すみません席はずしてもうて……話進みました?」

揺杏「私はなんとなくイメージできてきてるかなー……ね、デコちゃんは末原さんどうしたいの?」

漫「だからデコデコ言うのやめーや! ……私としては身近な先輩ですし? 末原先輩にはちゃんとしてほしいんですけど……」

憧「……意見が割れましたー」

漫「へ?」

揺杏「じゃあ普通にお洒落なのと、お洒落に見えてよく見ると実はダサい、みたいな2パターン準備しよっかなー」

照「……そんなの準備できるの?」

揺杏「お洒落なのは普通に準備すればいいからなー……ダサい方はけっこうマジで考えないと……」

絹恵「よろしく頼むわ、揺杏ちゃん!」

漫「わざわざダサいの用意せんでもええやんか!?」

灼「愛宕さんが外せないって」

絹恵「もう、鷺森さんも絹って呼んでくれてかまへんよ?」

灼「それじゃあ遠慮なく絹ちゃんで……」

漫「いやいや! 絹ちゃんは末原先輩をどうしたいねん!?」

絹恵「あはは、それさっきも聞かれたわー」

漫「別に笑うところじゃないで!?」

憧「うーん……まとめると、素敵な弘世様と、お洒落な末原さん+ダサ原先輩の2パターンを準備するとして……」

漫「ぶふっ! ……ダサ原先輩て……アカンやろ!」

絹恵「あはは! 漫ちゃんも笑とるやんかー」

灼「……憧的にダサいの用意するのはアリなんだ?」

憧「お洒落なのだけでいいと思うけど……用意するアホがノリノリなんだもん」

揺杏「アホとか言うなよ……ひでぇなー憧ちゃんは……ちゅーするぞこのやろー!」

憧「はぁ!? なな、なに言ってんの!?」

揺杏「冗談に決まってんじゃん。 動揺しすぎー」

憧「こ、このっ……!」

揺杏「とにかくさ、私はダサ原先輩用のデザインをいろいろ考えないとだから憧ちゃんは弘世様のためにいろいろ考えてよ」

憧「むー……わかったわよ!」

灼「弘世様はカッコいい感じの方が似合いそうだけど、好み的にははやりん……」

漫「……さっきの見たけど、やっぱり弘世とはやりんがいまいち結びつかんなぁ」


灼「……ほら」

菫『はやっ☆』

漫「ぶっ!? ……けほっ……やめーや!」

憧「灼さんもハルエみたいなことしないでよ……」

照「やっぱりこの菫輝いてるね」

絹恵「めっちゃいい笑顔してはりますからねー」

憧「あ、それともうひとつ!」

揺杏「なに? なんかあったっけ?」

憧「ファッションっていうのはね……他人が横からいろいろ言ってもなかなか意識が変わらないものなんですよ……変わらないんですよ! 畜生!」

絹恵「え? 急にどうしたん?」

灼「阿知賀でもいろいろあって……」

揺杏「実感籠ってると言葉の重みが違いますなぁ」

憧「まぁね……でも! 頼られたからには今度こそ! 灼さんはだいぶよくなってきてるし! ゆくゆくはしずだって!」

漫「……よくなってる? 鷺森が?」

灼「……今日は、たまたまだから」

照「灼、この前会ったときはお洒落な格好してたよ?」

絹恵「……まあ、好きな服着るのは楽しいですからねー」

憧「……あの! 弘世様と末原さんに直接会えませんかね!? やっぱり直接話してしっかり説得して、いろんな服を見て、着てってしないとダメなんじゃないかと!」

絹恵「なるほどなぁ……でもうち、今日は3年生は練習中なんよ」

漫「とりあえず連絡だけしてみますかねー」

揺杏「照ちゃんのとこはー?」

照「……抜け出してきたから、怒られる」

揺杏「チャンピオンともあろうものがサボりかよー……大星と同じレベルじゃん」

照「誠子がなんとかしてくれてるはずだけど……とりあえず呼び出してみる」

憧「お願いします、宮永さん」

照「……もっとこう、フレンドリーに接してくれるとうれしい」

憧「…………えと」

灼「照さんでも照ちゃんでもナンシーでも好きに呼べばいいと思」

憧「ナンシー!?」

照「……へ、へろー」

憧「ぎこちない! いや、じゃあ照さんで……」


――――――

照「……菫?」

菫『おい! お前今どこにいるんだ!? サボるなって何度も言っただろうが!』

照「……その、えっと…………」

灼「……はやりんが」

照「はやりんが」

菫『はやりん!? はやりんがどうした!?』

照「その、私……今、この間言ったカフェにいるからすぐに来て」

菫『わかった! すぐに行く! 待ってろ!』

照「…………来るって」

憧「よっし!」

揺杏「……生弘世様か」

漫「絶対笑う自信あるわ……」

絹恵「アカン……正直もうおもろいわ……」

照「……菫、怒らないかな?」

灼「怒るんじゃないですかね」

照「やっぱり?」

灼「……まあ、なにも嘘は言ってませんし」

照「……うん、そうだね」


菫「照!」

灼「早……!?」

菫「はやりん!?」

灼「いや、言ってな……」

照「菫、早かったね」

菫「ああ。 で、はやりんは?」

照「…………」

憧「こ、こんにちは」

絹恵「どうもです」

揺杏「すげぇ! 生弘世様だ!」

漫「くくっ……だからやめぇって!」

菫「…………」

菫「どうも、弘世だ。 うちの照が世話になったようだな」

揺杏「取り繕えてないからな!?」

漫「は、腹痛い……!」

絹恵「ふ、ふふっ……そんな、キリッとされても……!」

菫「……おい、照! どういうことだ!?」

照「……それは、菫が『はやりんは!?』とか言いながら飛び込んでくるから……」

菫「くっ……それはそうだが……で、はやりんは?」

照「…………いないけど」

菫「貴様ァ!」

揺杏「くくくっ……マジギレとか……っ!」

憧「…………あ、灼さん、ちょっと、お手洗い行ってくる……!」

灼「ふっ、ふふ……逃げないでここで笑ってよ……」

菫「とにかく、なんの集まりだこれは!? 私はなんで呼ばれたんだ!? あと笑うな! なにがおかしい!?」

揺杏「全部だよ! どこから拾ってけばいいんだよ!?」

絹恵「面白いとこしかないですわ……ふ、ふふっ……くっくくく……」

菫「なんだよ!? なんなんだよ!? 失礼なやつらだな!」


――――――

菫「……つまり、この間の動画が流出したと?」

漫「というか、さっき照ちゃんに見せられましたわ」

菫「……個人戦が終わるまでお前はおかし抜きだ」

照「そんな! 酷い!菫の鬼! 悪魔! 」

揺杏「うっはは! おかしって! 子どもかよ!?」

灼「そんなことしても脱走率が上がるだけなのでは……」

照「! そう、おかし食べに外に行くから! 練習出ないよ!」

菫「ふざけるな! お前は3連覇を前にしたインハイチャンピオンだろうが! 下級生の手本になるべくだな……!」

揺杏「そうだよ! 照ちゃんしっかりしないと……こんな風に!」

菫『はやや~☆』

憧「揺杏! っふふふふ……けほっ、けほっ!」

漫「こ、これは……っふ、ふふ……か、体を張って笑いをとる上級生の鏡ですわ……っ!」

菫「なんでお前がその動画を持ってるんだよ!?」

揺杏「照ちゃんに頼んだらくれたから……」

菫「だいたい私がはやりんのファンなのは誰にも言うなって言っておいただろ!? なにやってんだよ!? おい、その動画消せ! 早く!」

揺杏「待ってよ、友だちに送るから……」

菫「お前! ほんと、この……お前!」

絹恵「ま、まあ落ち着いてくださいよ、弘世、さん……ほら、揺杏ちゃんもあんまりやり過ぎたら弘世さんに悪いで?」

揺杏「わかってるって! 冗談冗談……人が嫌がることはあんまりしないもんだよな!」

憧「あんまり、なのね……」

揺杏「いやあ、人をおちょくるのって楽しいよな!」

灼「揺杏と爽の悪い癖」

揺杏「反省してまーす」

菫「絶対反省してないだろ!?」


憧「あ、そうだ……絹恵さん、末原さんの方はどうですか?」

絹恵「メール返って来ぃひんから、まだ練習中なのかも……」

漫「……いっそうちの宿行きます?」

灼「いいんですか?」

漫「んー……照ちゃんと弘世様は個人戦もあるし、秘密の特訓みたいなのやってたらあがれへんかもしれんけど……」

照「とりあえず、行くだけ行ってみよう」

菫「……というかだな、私のセンスがダサいってどういうことだ!? 納得いかん!」

灼「好きな服を着るのが一番だと思……うんだけど……」

揺杏「ん? どうしたの? 灼、そこは一貫してブレなかったのに……」

灼「……私が変な服着てたら、一緒に歩くとき憧や揺杏が恥ずかしいのかな……って」

憧「あ、灼さん……! 私たちのことを思って……!?」

揺杏「……ばっきゃろー! 恥ずかしくなんかねぇよ! 灼みたいな友だちを持って幸せだぜ!」

灼「ありがと……これからは、多少は自重するから……」

憧「……ヤバい、泣きそう」

揺杏「感動した……!」

憧「うん……! きっといつかしずもわかってくれるって希望が持てた! この調子で頑張ろう! うん!」

揺杏「あ、一応これだけは言っとくけど……私は灼の独特のセンス大好きだから! そこに惚れたから!」

灼「ん……そんな風に言われると照れるけど……」

照「呼んだ?」

灼「……すみません、呼んでないです」

照「……寂しいから混ぜて」

菫「私が相手してやってるだろ」

照「…………」

照「混ぜて」

灼「どうぞ」

菫「私のなにが不満なんだ!?」


――――――

漫「じゃあ、ちょっと待っててください。 監督と話してつけてきますんで」

絹恵「ただいま帰りました! 赤阪監督おりますか?」



揺杏「急に来ちゃったけど大丈夫かな?」

灼「揺杏でもそんなこと気にするんだ」

揺杏「私、けっこう礼儀正しいだろー?」

菫「その口でそれを言うのか」

憧「ただの小心者でしょ」

照「まあ、たぶん大丈夫だよ」

菫「なぜだ? 上重も言っていたが阿知賀の二人や岩館はともかく、私たちは個人戦での直接対戦の可能性も高いし……」

照「最近、私は友だち増える一方だから」

菫「は?」

照「流れが来てる」

菫「お前バカだろ?」

絹恵「お待たせしました! 入っていいそうです!」

照「ほら」

菫「その勝ち誇った顔をやめろ!」

恭子「ちょっと待って! タンマ! ストップ!」

照「?」

灼「……ダメ?」

絹恵「大丈夫ですよ、末原先輩照れてるだけですから」

憧「中でいったいなにが……?」

絹恵「入ればわかりますよー」


郁乃「いらっしゃーい! お客さんは大歓迎やで~」

灼「お邪魔します」

菫「失礼します。 急に押し掛けてしまい申し訳ありません」

郁乃「ええよええよ~今日の練習は、ちょっと趣向を変えて楽しい特訓やから~」

恭子「入るなって! 入るなって言ったのに!」

絹恵「あはは! 大丈夫ですよ、末原先輩かわいいですって!」

憧「……なぜフリフリのドレスを?」

揺杏「夢の国のお姫様みたいな?」

郁乃「振り込んだら罰ゲームでお着替えなんよ~」

恭子「見るな! こんな……こんな恥ずかしい格好……」

菫「……いいじゃないか。 かわいいぞ」

漫「ふふ……くくっ……似合ってますよ、末原先輩」

恭子「ほっとけ! 漫ちゃんは後でデコに油性な!」

漫「そんな殺生な!?」

照「菫も着たいんでしょ?」

菫「……べ、別に、そんなことはない!」

洋榎「で? 絹と漫からあんたらが来たとは聞いたけど、なんの用事なん?」

灼「そんなの、洋榎さんに会いに来たに決まってるじゃないですか」

洋榎「お、やっぱりか! ほら、灼にはアメちゃんやるで、アメちゃん!」

灼「ども」

憧「灼さん……話進まないからさ」

灼「ごめ……つい」

由子「追加の衣装持ってきたのよー」

郁乃「ゆーこちゃんありがと~……さ、末原ちゃんは次の衣装はなにがいーい?」

恭子「制服に戻してください……」

郁乃「それじゃあ洋榎ちゃんから直撃とってなー」

洋榎「よっしゃ!うちからそう簡単に毟れると思うなよ、恭子!」

恭子「メゲるわ……」


恭子「っていうか! しばらくコレやってましたけど! 全然意味がわからないんですけど!?」

絹恵「そうですよ! こんなおもろいことやってるなら最初から混ぜてくれたってええやないですか! 私だって末原先輩着せ替え人形にしたかったのに!」

由子「そこじゃないと思うのよー」

漫「でもどうせ遊ぶんなら声かけてほしかったですわ」

郁乃「遊びじゃなくて特訓なんやけど……説明いる~?」

恭子「当然ですよ!」

郁乃「ほら、毎日毎日プロのすっごい人たちと打つのはためになるけど大変だろうな~って思ってー」

郁乃「罰ゲームとかあれば負けたくない気持ちもちゃんと持って、楽しく麻雀も打てるやろー?」

恭子「なんで罰ゲームが着替えなんですか!?」

郁乃「……そんなに嫌だったん?」

恭子「こんなこっ恥ずかしい衣装着せられたら嫌にもなりますわ!」

郁乃「それなら、罰ゲームとしては成功やね~」

恭子「ぐむっ」

郁乃「もう、そんなに嫌がらんで楽しんでほしいんやけどね~逆境を楽しめるぐらいの大物になってもらわんと~」

洋榎「せやせや! 今回はちょっと着替えるだけでええんやから! 大会に比べたらどうってことないやろ?」

恭子「……そら、主将の言う通りかもしれませんが……つーかこの衣装はどこから出てきてるんです?」

郁乃「今日のためにゆーこちゃんと一緒に買ってきたんやけど……」

由子「監督とショッピングとっても楽しかったのよー」

恭子「仲ええな!? なんや今日のためって!?」

郁乃「末原ちゃんにいろんなかっこさせたろと思って~」

恭子「なんやそれ!? っていうかみんな私のこと狙ってますよね!?」

洋榎「恭子いじるのがいっちゃん楽しいしな」

由子「息抜きよ、息抜き……あんまり深く考えないでいいのよー」


郁乃「で、話を戻すけど……今日はどうしたん? 洋榎ちゃんに会いに来ただけじゃないやろ~?」

漫「照ちゃんが……」

恭子「漫ちゃん! 宮永照にちゃん付けとは偉くなったもんやなぁ!?」

洋榎「デコ出せ、デコ!」

漫「ひぃ!? ちが、違いますよ! 照ちゃんがそう呼べって言うから!」

恭子「……宮永さん、ホンマですか?」

照「うん。 末原さんも私のことは名前で呼んでくれて構わない」

恭子「いや、いきなりそんな……」

照「ほら、私も恭子ちゃんって呼ぶから」

恭子「えぇ……?」

洋榎「まあええやんか恭子。 別に不都合もないやろ」

憧「宮永さんってああいう人なの?」

灼「……アレでやえさん押しきったから、味をしめてるんだと思」

漫「……そんでもって、照ちゃんが弘世様のセンスが絶望的だからって相談をしてはったんでうちの末原先輩もなんとかならんかなーってお願いしたんですわ」

恭子「……漫ちゃん、それどういう意味や?」

漫「え? あ、やべっ……」

絹恵「大丈夫ですよ、末原先輩! 末原先輩はちょっとダサいのが妙に似合ってるしかっこええですから!」

恭子「絹ちゃん私のことそんな風に思ってたんか!?」

洋榎「まあまあ、実際問題恭子ダサいししゃーないやろ?」

恭子「主将かて人のこと言えるほどやないやろ!?」

由子「恭子は麻雀に一生懸命なのはええけど、もっと身の回りのことにも気をつかったほうがいいのよー」

郁乃「そうそう、末原ちゃんほんとはかわいいんやから~」

恭子「……はぁ、そうですか……」


郁乃「まあ、そういうことならここらの衣装とか適当に使ってくれて構わんよ~」

揺杏「マジっすか! あざーっす!」

憧「ネタっぽいのだけじゃなくて普通にお洒落なのもあるんですね……」

郁乃「今日のために用意したのもあるけど、一部うちらの私物やからな~」

由子「普通にショッピング楽しんじゃったのよー」

洋榎「なんでゆーこは監督とそんな仲ええんや……」

照「……菫がさっきからフリフリドレスを凝視してるんだけど」

菫「い、いや! 別にそんなことは!」

郁乃「あ、それかわいいやろ~? はやりんっぽい衣装でも末原ちゃんに着せて遊ぼうと思って~」

恭子「なんで買い物行く時点で私狙いなんですか!?」

灼「……卓も借りていいですか?」

郁乃「ん~? 別に構わんけど……個人戦の選手同士で打ったらアカンよ? うちでみんなが打ってくれるんなら全然ありがたいんやけど~」

菫「……おい、鷺森……さすがに私はここで打つのは」

灼「振り込むと罰ゲームで着替えさせられるらしいですよ……フリフリの服とかに」

菫「!」

照「……菫、打とうか?」

菫「ま、まあ、たまには罰ゲームとか、そういうのも緊張感があっていいかもしれないな、うん」

灼「憧、揺杏……こっちで打ってるから、いろいろ考えといて」

憧「はいはーい」

揺杏「まかして!」

照「ロン、タンヤオのみ」

菫「しまったーふりこんでしまったー」

灼「じゃあ、そこのフリフリに着替えてきてくださいね」

菫「罰ゲームだからな! 仕方ないよな! 別に全然着たくないけど!!」

照「……別に、フリフリが着たいなら素直に言えばいいのに」

灼「体面を崩したくないんでしょう……こういう時なら、好きにしていいと思いますけど」


郁乃「そうそう! 服だって、本当は好きなの着るのが一番なんやで~」

菫「赤阪監督……」

郁乃「そうやなぁ……たとえば制服なんかには、みんなで同じ服を着ることで集団の一体感や仲間意識を増す効果があるんやで~」

照「へぇ……」

郁乃「身に付ける服で、着てる人に心理的影響が出るってことやから~……自分の好みの服を着て、テンション上がるんならそれは麻雀にもいい影響があると思うんよ~」

恭子「……じゃあなんでこんなこと……2回戦の後もなんか着替えさせられましたし!」

郁乃「あれは……末原ちゃんが引きずらないように、新しい格好になって身も心もリフレッシュして頑張ってほしいな~って」

恭子「……適当なこと言ってるだけじゃないですよね?」

郁乃「え~? 私だって、ちゃんとした監督さんになろうと思って頑張ってるんやから疑わんでよ~」

恭子「…………まあ、ええですけど」

菫「着替えてきたぞ! どうだ?」

恭子「ぶほっ!」

照「……驚くほど似合わない」

灼「表情が固いからですね。 もっと笑顔で……はやりんの曲を歌う時みたいに」

菫「……こ、こうか?」

灼「素敵です」

洋榎「ふ、ふふっ…弘世、ノリノリやんか……つかなんではやりん?」

漫「ああ、コレ見てくださいよ主将」

菫『はや~☆』

洋榎「げほっ!? うっはははは!!え、なに!? なにコレ!? あっははは!」

菫「おい!? なんで上重までその動画持ってるんだよ!?」

漫「照ちゃんに頼んだらくれたんで……」

照「友だちの頼みだから……」

菫「私も友だちだろ!? 広めるなって言ってるのに!! っていうかさっき岩館に消させてただろうが! なに普通に広めてんだよ!?」

洋榎「あちゃー……漫、これはデコに油性は避けられんな」

恭子「弘世さん、漫ちゃんのデコに好きなもん書いてええですよ」

漫「そんな!? 先輩方それだけ笑っておいて酷いやないですか!」


菫「それにしても……」

照「どうした?」

菫「いや、こういう服は普段まったく着ないが……そんなに似合わないか?」

照「……どうだろう」

灼「……赤阪監督も言ってましたけど、自分の着たい服を着るのが一番なんじゃないですか?」

菫「鷺森……君に言われると説得力があるな」

照「……タヌキさんTシャツだからね」

灼「……弘世さんは真面目で、手を抜くのも下手なタイプみたいですし……こういうとこで適度に発散した方がいいと思」

菫「鷺森……そうだな、ありがとう……白糸台の部長という重責を負いながら団体戦の優勝は逃すし、それだというのに最近は照も淡もしょっちゅう脱走するし……胃が痛むばかりの毎日で」

照「……ごめん」

菫「そうだよな、私はこんなに苦労してるんだし……別にちょっとはやりんが大好きだったり、フリフリの服とか着たって許されるよな!」

照「す、菫……?」

菫「ああ、鷺森……よかったら連絡先を教えてくれないか? 君とは仲よくやれそうだ」

灼「ええ、よろしくお願いします」

菫「今年いい結果を出したことだし、来年は今年以上にプレッシャーのかかる1年になるだろう……ひとつ上の、同じ部長として君を助けることもできるだろう。 遠慮なく頼ってくれ」

灼「それは、本気で助か……」

照「ちょっと菫、灼は私の……」

菫「別に私が鷺森と仲よくなったところでお前になんの不都合もないだろう?」

照「……それは、そうだけど」

菫「ああ、そうだ……鷺森ははやりん好きか?」

灼「私は普通……でも、はやりん好きな友だちがけっこういるから、紹介します」

菫「それはうれしいな。 今まで立場とかを考えるとあまり周囲に公言もしていなくてな、語り合える友人が照しかいなかったんだ」

灼「……あとでカラオケとか行きますか?」

菫「ああ! いいな、是非行かせてもらおう!……ふふ~ん♪ 時には~HAYARIに~♪」



憧「……なんか、弘世様が嫌な方に吹っ切れてんだけど」

揺杏「いやいや、あれでこそ灼っしょ! 楽しくなってきたな~」

揺杏「それにしても……灼の周りってさ、変なやつばっかりだよな」

憧「……揺杏がその筆頭でしょ」

揺杏「そんなに褒めんなよ~」

憧「ちっとも褒めてないから!」


カン!

姫松の人間関係の中心はやっぱり末原ちゃんな気がする
あと、最近気づいたけど弘世様好きです


今更だけどすんげぇ濃い数日間だよな

>>1のせいで原作に弘世様出てきたら普通に吹き出しそうなんだがw

むしろ弘世とか菫とかの文字列見るだけで笑えるレベル
スエハラー先輩きゃわわ

もはやサザエさん時空に突入してるよな。

乙だ!
灼も菫も大好きだぜ!

>>775>>782原作だとたしか団体戦個人戦の間は一日しかないんですよね…まあ、別に投下する用に卒業ネタとか書き溜めしてますけどどうせ四月以降に何か書いたら三年生はまた三年生するだろうとも思いますし、そういうものだと思っていただければ
>>778->>779個人的に立っているだけで面白い咲キャラランキングトップが弘世様です。同率一位に塞さんがいて三位以降は空席です

のぞたんイェイ~&くろたんイェイ~
あの、間に合わなかったので…すみません投下はまた後日何か別で

忙しくてのんびり構えてましたが高校の卒業式ってたぶん三月前半ですよね…三月中ならセーフなのかなぁ

すみません投下は月火辺りになりそうです。くそ忙しい…次回は>>398ちゃちゃのん予定です
ついでに予約してた阿知賀のブルーレイボックスも届かないしストレスがマッハ。メゲる

昨日、まこ「それ、もらってもええかのう?」久「自分のがあるでしょ」
で清澄の卒業ネタ投下したんでお暇だったら見てやってください(苦し紛れの宣伝)

来ました!すみません!忙しい!
投下します


東京での滞在もそこそこの期間になり、毎日のお散歩コースもだいたい決まってきた

時には玄ちゃんや憧ちゃん、チームの仲間と一緒に町中を歩いてみたり……というか、そうやって歩き回らないとみんなと麻雀を打って、お茶を飲んで、のんびりお昼寝して……それで1日が終わってしまう

せっかく東京まで出てきているのにこれでは吉野にいるときと変わらない。 そう思って毎日外に出るようにしているのだけれど……これを続けるうちに、私もだんだんと友人が増えてきた

例えば、ここの角を曲がったところにはベンチがあって、いつも一休みしていくんだけど……

泉「あ、宥さん……どうも、こんにちは!」

宥「泉ちゃん、こんにちは……もしかして、待ってた?」

泉「ええ、まぁ……ちょっとお話してってもええですか?」

宥「もちろんだよ~」

毎日同じ場所を通ることで、こうして会いに来てくれる人ができたのだ

もちろん、誰にも会わない日もあるけど……こちらで仲良くなった人はだいたいインターハイ関係の人だし、個人戦前の忙しい時期にこうして時間を作ってくれるのはうれしいことです

宥「なにかあったの?」

泉「いや、まあ……なにかってわけじゃないんですけどね……ほら、私って団体戦の選手だったじゃないですか?」

宥「うん……千里山の長い歴史の中でも、一年生でスタメンになった人は数少ないって聞くし、あの江口さんだって公式戦で活躍し始めたのは二年生からだよね?泉ちゃんすごいなぁ」

泉「いやぁ、そんなことありますけど……って、そうじゃなくってですね……」

宥「違うの?」

泉「違いませんけど! そこは当然すごいんですけどね……話の焦点はそこじゃないんですよ」

宥「そっかー」

泉「私……その、準決でダメダメだったじゃないですか? それで、やっぱりいろいろと考えるわけですよ」

宥「……う、うん……ごめんね?」

泉「いや、謝らんでくださいよ……私かて二回戦でやられた分も宥さんから取り返したいって思ってるとこありましたし」

泉「……まあ、考えても仕方ないってのはわかってるんですけどね……先輩たちも私のこと責めたりしないし……だからこそちょっとキツいんですけど」


泉ちゃんは、千里山女子という名門校で一年生にして団体戦の代表メンバーに選ばれる実力者だ

かなり気にしているようだけど、今大会では経験不足もあり……あまりいい結果を出せなかった。 ……直接対局した私が言うと、自慢しているみたいでちょっと感じが悪いかな?

泉「どうせなら『お前のせいで負けたんだぞアホ!』とか言われた方が楽なんですけどね……」

泉「私が選手に選ばれたことでメンバー外された先輩もいるわけですし……アピールもしたかったしやっぱりもっと……うーん」

宥「……泉ちゃんは、あと二年間あるんだから、ね? 秋の選抜や来年の大会で取り返せばいいと思うな」

泉「……まあ、たしかに今この場でなんとかできる問題じゃないんですよね……結局結果出すしかないわけですし」

泉「あー……はぁ……」

宥「……大丈夫?」

泉「こう……今、やっぱりちょっと難しい立場なんで……」

宥「うん……そっか、そうだよね……大変でしょ?」

泉「そうですね……団体メンバーの先輩方には可愛がってもらってますし、監督にも期待してもらってて……それでもやっぱり一年坊が生意気やー言う人もおるんで……今回はダメだったんでなんも言えないですけど」

泉「今日もほんとは自由時間は自主練にあてるつもりだったんですけど……あはは……しんどくって出てきちゃいましたわ」

泉「……ほんっと、情けないなぁ」

宥「……頑張りすぎてもよくないよ?… 私でよかったらいくらでもお話聞くからね」

泉「宥さん……」

よしよしとしょげかえった泉ちゃんの頭を撫でる。 ……玄ちゃんが落ち込んだときはいつもこうやって慰めるんだけど、よくよく考えれば高校生にもなってこれはよくなかっただろうか

泉「宥さーん!」

宥「わわっ」

抱きつかれてしまった。 ……とりあえずこれでよかったらしい

泉「ってあっつ! 宥さん暑いってか熱っ!」

宥「わわっ」

今度は飛び退かれてしまった。 ちょっと寂しい


泉「え!? なんで!? ちょっと厚着しすぎじやろ!?」

宥「あったかくってちょうどいいよ?」

泉「んなわけないやろ! 何枚着てるんです?」

宥「……四枚ぐらい?」

ちょっと嘘をついた

泉「そりゃあっついわ!」

それでも怒られた

宥「む、むしろ泉ちゃんこそその制服じゃ寒いんじゃ……」

泉「夏場はこれでも暑いぐらい……って会うたびこの話してるような……いや、むしろ宥さんあっついは定番ネタとして……もっと笑える用に……」

宥「……泉ちゃん?」

泉「あ、すみません……飲み物買ってきます! 宥さんもなんか飲みます?」

宥「え、えっと……あったかーいお茶とか」

泉「夏に売ってるわけないやろ!」

宥「……お、おまかせします。 ありがとう泉ちゃん」

泉「いいえー」

……あ、気づいたら奢ってもらうことになってる

うーん……なんだか会うたびに飲み物とかもらっちゃってる気がするなぁ……私の方がお姉さんなんだし、次は私が出そう、うん。


泉「お茶でよかったですよね?」

宥「うん、ありがとう……今度は私が出すからね」

泉「いいんですよ別に……こっちがお世話になってしもうてるんで」

宥「そうかなあ……?」

いっつも黙ってお話聞いてるだけで、お世話してるって感じじゃないんだけど……

泉「そうなんです! あ、今日のお散歩ご一緒してもええですか?」

宥「もちろん! 泉ちゃんこそ、いいの?」

泉「今日は気分転換ってことで……普段なら絶対言いませんけど、明日から頑張りますわ」

宥「……うん。 じゃあ今日は泉ちゃんがいっぱい気を抜けるように頑張るね」

泉「……わざわざ頑張らんでも、もうだいぶ気ぃ抜けてきましたわ」

宥「……私、もうちょっとしっかりした方がいいかなぁ」

泉「いやいや、宥さんはやるべき時にしっかりできるじゃないですか。 だから今のまま、癒し枠で平気ですよ」

宥「……私、癒し枠なの?」

泉「そりゃもう! 先輩方に囲まれてるとなかなか気を抜けないですしね……急なボケにもつっこまなですし、油断も隙もありませんわ」

宥「……それはそれで楽しそうだけど」

泉「楽しいですけどね……みんな私には厳しいんですよ。 麻雀にせよなんにせよ」

宥「厳しくされるのは、期待の裏返しだよ?」

泉「そうですかね、やっぱり……もっと頑張らんとなー」


泉「ん……あれ、白糸台の亦野じゃないですか?」

宥「あ、ほんとだ……誠子ちゃーん!」

泉「あら、仲ええんですか……」

誠子「宥さん……と、千里山の二条? どうも……」

泉ちゃんとしばらく歩くと、小さな公園があって……ここではよくひなたぼっこをしている。 ……さすがにちょっと暑くてあまりのんびりはしていかないんだけれど

最近はここで誠子ちゃんとよく会う。 ……疲れた顔でいることが多いのでちょっと心配だ

宥「こんにちは、誠子ちゃん」

誠子「珍しいですね、誰かと一緒にこっちに来るの……二条さんも、えっと……一応はじめましてでいいかな?」

泉「そうですね……どうも二条泉です、よろしく……なんか、大丈夫ですか? めっちゃ疲れてません?」

誠子「……うちも、いろいろあってね」

はぁ、と大きなため息をひとつ。 ……本当に大丈夫なのかな……?

泉「……ああ、亦野さんも準決で私以上にやらかしましたもんね」

誠子「……そういうことは思っても口に出すなって」

泉「あ、すみません失礼しました……」

誠子「はぁ……というか、そっちはそっちでヤバいけど……最近はそれ以上に大変なことが多くて……」

宥「お話聞こうか? あまり無理しないでね?」

泉「それにしても六万近い失点より大変っていったい何事なんです?」

誠子「だーからいちいち言うなって! 生意気な一年坊だな!」

泉「い、いひゃいれす! ふみまへん!」

誠子「まあ、慣れてるからいいんだけどね……二条さ、ちゃんと寝れてる?」

泉「はい?」

誠子「ちょっと肌荒れてるから……あまり気にしない方がいいぞ? まだ二年あるし、私みたいにもっとやらかした奴もいるんだからさ」

泉「……うす」


宥「誠子ちゃん」

誠子「あ、すみません……どうしました?」

宥「優しいのは誠子ちゃんのいいところだけど、あんまり自分を貶めちゃダメだよ? 誠子ちゃんだって気にしすぎないで、ね?」

誠子「……はい、ありがとうございます」

宥「うん! ……それで、なにがあったの?」

誠子「……うちの淡とか宮永先輩とか、いるじゃないですか?」

宥「うん……灼ちゃんとか穏乃ちゃんが仲良くしてもらってるみたいで」

誠子「……ふたりとも私にあとは頼んだ、って言って交互に練習抜け出しては遊び回ってるんですよ」

宥「……なんだか、ごめんね?」

泉「……王者白糸台、そんなんで大丈夫なんです?」

誠子「たぶん大丈夫じゃないだろ……それでもって毎日毎日弘世先輩のお説教に私も巻き込まれてまともに練習もできないし……」

泉「あちゃー……最悪やないですか」

誠子「それでも宮永先輩も淡もアホみたいに強いから私からはちょっといろいろ言いづらいし……言ったところで聞いてくれないし……」

宥「た、大変だね……」

誠子「それでも、弘世先輩だって大変なのもわかってたから……しっかり支えていこうと思ってたんだけど……」

宥「……けど?」

誠子「ちょっと前に、少し事件がありまして……」

宥「……もしかして、弘世様の……?」

泉「弘世様?」

誠子「宥さんなんで……ああ、赤土監督か……」


誠子「あれから……少しずつ狂っていったんですよね……」

泉「え、いや……弘世様って」

宥「あのね、弘世さんって人気者で学校にファンクラブあるんだって」

泉「ふ、ファンクラブって……」

誠子「その弘世様がこの間……練習を抜け出した宮永先輩に呼び出されて出かけていったんですけど……」

泉「……もう状況設定自体がそうとう酷いですよね……」

誠子「なんか、制服で出て行ったのに帰ってきたら……フワフワの……そう、はやりんみたいな服装になってて」

泉「ぶっ!? は、はや……弘世が!? 似合わなっ! なんすかそれ超見たいんすけど!」

誠子「『私ばっかり苦労するのはおかしい』とか『はやりんを好きで何が悪い』とかなんとか言い出して……」

宥「あー……」

泉「はやりん……ひ、弘世がはやりんの……ふ、くくっ……」

誠子「よくわからないんですけど、疲労とストレスでネジが外れたんですかね……もうどうすればいいのか……」

……この間、灼ちゃんが弘世さんとお話ししてきたって言ってたような……

宥「……ごめんね、誠子ちゃん」

誠子「宥さんは関係ないじゃないですか……なんにせよ、弘世先輩まであんなことになってしまうと……個人戦はもしかして絶望的なんじゃ……」

泉「……チャンピオンが勝手に崩れてくれるんなら、うちとしては助かりますけどね」

誠子「まあ、そんな簡単に崩れる人たちじゃないとは思うんだけど……はぁ……胃が痛い……」


宥「そ、そんなに誠子ちゃんがいろいろ背負い込まなくてもいいと思うよ?」

誠子「でも……もしかしたら、弘世先輩を追い詰めたのは私なんじゃ……団体戦は後半あまり結果出せなかったし……淡の手綱も握りきれてないし……」

泉「いや、団体戦はともかく大星が制御できてないんは部長の弘世さんにも責任ありますよ。 チャンピオンの方も同じですって」

宥「そうそう! 必要ないところまで責任感じなくていいんだよ!」

誠子「そう……ですよね、淡が言うこと聞かないのは前からだし、宮永先輩が自由なのも前からだし、弘世先輩は……うん、まあ……うん」

泉「個人戦前の大事な時期ですから! きっとよそでハッスルした分自分で調整してますって! 白糸台の部長とエース、次期エースでしょう!?」

誠子「そうかなぁ……?」

宥「そうだよ! ……えっと、たとえ調整失敗してたって……うん、自己責任じゃないかな?」

泉「そうですよ! 亦野さんには責任ないですって!」

誠子「……そうだよな、うん……とりあえず私にできることから、少しずつ部に貢献すればいいよな……」

宥「自分にできることからコツコツと……大事なことだよ、うん」

泉「とりあえず大星たちには注意しといて、あとは自分の失策分取り返しましょうよ! 秋選抜に来年のインハイに……リベンジの機会はまだまだたくさんあるんですから!」

誠子「……そうだな。 何はともあれ自分のミスだけでも取り返さないと……この際淡はともかく、宮永先輩や弘世先輩の面倒まで見てる余裕は私にもないし……」

誠子「…………なんで先輩ふたりの面倒見ないといけない事態になってるんだろ……」

泉「せ、先輩の面倒見るぐらいよくあることですって! その、うちだって園城寺先輩とか体弱いからみんなでフォローしましたし!」

宥「阿知賀も! えっと……わ、私がちょっとアレだから玄ちゃんたちにお世話かけっぱなしだし……部長だって灼ちゃんだし!」

誠子「そっか……そうなんだ……みんな大変なんだなあ……私の苦労なんてたいしたことないんだな、うん……」

たぶん……いや、確実に相当苦労してる方だと思うけど……誠子ちゃんの精神衛生上言わない方がいいんだろうなあ……


宥「……よぉし! 誠子ちゃん、泉ちゃん、一緒にご飯食べに行こ? 私、おごっちゃうから!」

泉「ええんですか? あざーす!」

誠子「えっ……いや、でもそんな、悪いですし……」

宥「ふたりに元気になってほしいし……私の方が、ちょっとだけお姉ちゃんだから!」

泉「先輩がこう言ってるんですから甘えとくもんですよ、亦野さん」

誠子「……それじゃあ、すみません。 宥さん、お世話になります」

宥「お姉ちゃんにおまかせあれ、だよ~」

泉「……にしてもほんと、宥さんはお姉ちゃんって感じですよねー」

誠子「ああ、それはすごくわかる」

宥「え……えへへ、そうかな?」

お姉ちゃんっぽいってことは、あれだよね? 望さんみたいに、しっかりもので頼りになるとか、そういうことだよね?

よくおっとりしすぎだって言われるし、そういう評価は結構うれしい……

泉「なんかね、かわいらしくって包み込むような優しさがあって……やっぱりお姉ちゃんって感じですよね」

誠子「うん、なんか……どう呼ぶかと言われるとお姉ちゃんだよね。 姉さんとか、姉貴って感じじゃないし」

宥「……んん?」

なんだか、思ってたのとは違う方向性の話だったらしい

泉「んー……姉御!」

誠子「それはむしろ二条んとこの江口さんとかじゃない?」

泉「アレはどちらかと言うと兄貴ですね」

誠子「はは、たしかに……じゃあ、姉上とか」

泉「弘世さんとかの方がそんな感じしません?」

誠子「たしかに……弘世様感あるな、姉上」

泉「だから弘世様ってなんやねん! その呼び方絶対おかしいですって!」

誠子「そう呼ばれてるもんは仕方ないだろ? 私が呼んでるわけじゃないし……」

宥「……阿知賀ではわりと弘世様で定着したけど」

誠子「えぇ!?」

泉「どういうこっちゃ!? 阿知賀の方たち弘世のファンなんですか!?」

宥「ふ、ふふっ……あ、ある意味そうかも……」


誠子「……あの、宥さんもしかして……?」

宥「その……ど、動画が……歌って踊ってるやつ……白水さんから赤土先生にメールで送られて来たのを偶然……」

誠子「ああ……弘世先輩……」

泉「え? え? ちょっとなんですか? 仲間はずれにせんでくださいよー」

宥「私、データ持ってないから……今度動画送るね」

誠子「宥さんそれは……いや、もう普通にカミングアウトしたしもう広まってもいいのかな……」

誠子「ほら、これ……弘世先輩、はやりんのファンだったらしくてさ」

菫『はやっ☆』

泉「あっはは! 似合わなっ! ……え、でもめっちゃ歌とダンスのレベル高いっすね……気持ち悪いレベルで」

宥「き、気持ち悪いって……」

泉「いや、でもこの路線はさすがに……むしろウケるんかなぁ……チャンピオンとかの方が似合いそうですけど」

誠子「宮永先輩? ……ああ、たしかに外から見るとそんな感じか……マスコミ対応とか正直普段と違いすぎて違和感すごいよ? 牌のお姉さん路線ならそっちの清水谷さんとかのが似合うんじゃない?」

泉「あー……言われてみるとたしかにお姉さん感あるかもしれませんね。 ちょっと天然入ってて子どもや大きなお友だちにもウケそうですわ」

宥「……大きなお友だち?」

泉「いるんですよ、そういう人たちが……あ、宥さんも結構いけそうですよね」

宥「えぇ!? む、無理だよ私には……麻雀はともかく、人前で歌ったり踊ったりは……」

誠子「あー……たしかにそういうの苦手そうですもんね。 でも、実際ちょっと気になりますよねー次世代牌のお姉さんが誰になるのか」

宥「え? はやりん辞めちゃうの?」

誠子「いや、毎年結構言われてるんですよ……その、はやりん見た目はともかく実年齢が……」

泉「そろそろお姉さんで通すのもキツいですからね……まあ、某体操のお兄さんみたいにずっとお兄さんって呼ばれるような人もいるわけですけど」

誠子「あ、でもこの前はやりんと偶然会ったけど超綺麗だったよ……お姉さんで余裕で通じるってアレ」

泉「まあ、正直テレビの方がちょっとアレですよね。 わざわざ(28)とか積極的にいじりにいってますし……」


宥「そういえば、牌のお姉さんってどうやって選ばれるのかなぁ?」

泉「そりゃあ……どうなんですかね?」

誠子「私たちが物心ついた頃にはもうはやりんだったよね……イメージ強すぎて前の人覚えてないよ」

泉「インハイで活躍した人とかから選ぶんですかね? 麻雀の実績ある程度ないとたぶん選ばれませんよねー」

誠子「あとは……容姿とか歌唱力とか?」

宥「やっぱりアイドルのイメージ強いもんね……はやりんはトッププロだけど……」

泉「私らの世代だとどこら辺が候補になるんですかね……雑誌とかの取り上げられ方だとうちの清水谷部長や神代とか……亦野さんとこに負けてましたけど松庵の多治比辺りもありますかね?」

誠子「清澄の原村なんかはインターミドルから騒がれてるよね……打った印象では機械っぽくてなんか違う気もするけど……ああ、有珠山の真屋とかはやりん意識してない?」

宥「獅子原さんが打倒はやりんって言ってたよ~」

誠子「倒すんだ……あとは、鹿老渡の佐々野とか……あれ?」

泉「はい? どうしました?」

誠子「あそこの橋のとこ……佐々野じゃないか?」

宥「んー?」

正面の橋の上……直接会ったことはないけれど、たしかに麻雀雑誌で見た佐々野さんに見える

こんなところで何をしてるんだろう……? 東京の川にはお魚さんもいなそうだけど……

泉「も、もしかして……団体戦での役満振り込みを気に病んで川に身を投げるつもりなんじゃ……」

宥「えぇ!? そ、そんな、まさか……」

誠子「いや……ありえない話ではありませんよ」

宥「うそぉ!?」


誠子「いえ、インハイみたいな大舞台での失敗はトラウマになるんですよ……」

泉「ええ……キツいんですよね。 夢に見ますもん……」

宥「あ……」

泉ちゃんも誠子ちゃんも、今年はちょっとうまくいかなかったから……身近なところでも、赤土先生は十年前のインターハイを境に一度麻雀から離れることになってるし……

泉「昨日も園城寺先輩が病院に運び込まれる夢見たんですよね……私が一位抜けしないと手術受けられないのにどうやっても勝てなくて……だんだん先輩が弱ってくんですよ……」

誠子「私も……昨日は鎖に縛られた変態に追いかけ回された上に妖怪に身体中しゃぶられて、最後には巨大なボウリングの玉に轢き潰される夢を見て……」

泉「それインハイも麻雀も関係ないやろ!? ただ単に怖いわ!」

宥「あ……あったかくない夢だね……って! それどころじゃないよ! と、止めないと!」

誠子「そうだった! 何かあってからじゃ遅いし! 行くよ、二条!」

泉「あ、はい! そうですね! ……佐々野さーん!」

誠子「佐々野さんストップ! 早まらないでくださーい!」

いちご「…………ん?」

誠子「待ってくださーい!佐々野さーん!」

宥「わー! まってー!」

泉「うおおおおお! 佐々野さーん! うおおおおお!」

いちご「ひゃあ!? な、なんじゃなんじゃ!?」

誠子「逃げたぞ!」

泉「追いますよ!」

宥「う、うん! 」


――――――

泉「ええですか? そりゃあ、大きな失敗だったかもしれませんけどね……死んだらどうにもならないじゃないですか」

誠子「佐々野さんはまだ個人戦もありますし……その、やっぱり団体戦とは全然違うってわかってますけど……全然取り返せますよ!」

宥「失敗は忘れちゃダメだけど、気にしすぎたらもっとダメですよ! その悔しさ、辛さを前向きなパワーに変えないと!」

いちご「お、おう……その、ひとつ質問してもええか?」

誠子「はい? ……どうぞ」

いちご「……なんでちゃちゃのんはこんなにお説教されとるんじゃろうか……?」

泉「そんなん、佐々野さんが身投げなんかしようとするからに決まってるじゃないですか!」

いちご「へ?」

誠子「ダメですよ、命を粗末にしちゃあ……」

いちご「いやいや! ちょっと待って! なんの話じゃ!?」

宥「ですから、佐々野さんが橋から身投げを……」

いちご「身投げなんかせんって! そりゃあちょっと黄昏れとったけど……さすがに死んだりはせんよ!」

泉「え?」

宥「……なんだ、勘違いかぁ……よかったぁ」

誠子「す、すみません……お騒がせしまして」

いちご「あんまり危機迫った表情で走ってくるからむしろ殺されるんじゃないかと思ったわ……」

泉「あはは……すみませんでした」


いちご「それにしても……そんなに、思い詰めとるように見えたんじゃろうか?」

泉「まあ、わりと……」

誠子「なんとなく自分を重ねてしまったというか……」

いちご「……正直、敗退決まったときは消えたくなったけどなあ……ちゃちゃのんが役満振ったので勢い死んだっていうか……先鋒次鋒とよかったのに……」

誠子「……私だって大将戦を前に約6万点の失点を……あはは……」

泉「私も先輩の頑張りをしっかり繋げられなくって……」

宥「えっと、えっと……み、みんな元気だして……」

いちご「はぁ……ええなぁ……あんた、阿知賀の松実さん……お姉ちゃんの方じゃろ? 成績よかったもんなぁ……」

泉「宥さんは超優等生ですよね……公式戦ほとんどプラスですから……」

誠子「いいなぁ……すごいなぁ……」

宥「えっ……えぇ……?」

な、なんか、みんなちょっと怖い感じに……

泉「あー……思い出したらなんかまた凹んできましたわ……」

いちご「……つーかあんた、ちょっと黙っててくれんか? 関西弁聞いとると愛宕のアホ面思い出して頭痛くなるんじゃ……」

泉「そりゃちょっと横暴じゃありませんかね!?」

いちご「あいつ対局中もずっと煽ってくるしマナー最悪じゃったわ……」

誠子「愛宕さんは騒がしいので有名ですよね……腕がいいのも有名ですけど」

いちご「はぁ……ほんと、最悪じゃ……あんたも大変じゃったろ? 準決の白水バカヅキしとったし……」

誠子「二回戦ではギリギリとはいえ稼ぎ勝ってたし、まさかあそこまでボッコボコにされるとは……二条んとこの船久保には甘いとこ全部突かれたし、宥さんのとこの鷺森も凄い気迫で……」

宥「……その、準決勝は、阿知賀にとっては特別だったから……」


いちご「はぁ……」

泉「はぁ……」

誠子「はぁ……」

宥「そ、その……ため息をつくと幸せが逃げちゃうって言うし、その……」

いちご「幸せなんかとうに逃げてったわ……」

宥「さ、佐々野さん……」

いちご「あー……もう、どうすりゃええんじゃろうか……」

泉「佐々野さん、個人戦あるじゃないですか……私なんかは汚名返上の機会が遠くてキツいっすわ」

いちご「個人戦……はぁ……正直、軽くトラウマになってて……牌触るのもちょっと怖いぐらいじゃ……」

誠子「……でも、ビビってらんないのも事実ですよね。 決勝はなんとか打ち切ったけど……やっぱり、少し……」

泉「わかります……周囲の目も、ねぇ……」

いちご「ちゃちゃのんなんか、熱い手のひら返しじゃ……雑誌なんかも散々騒ぎ立てといて、負けたら期待外れだのなんだの……こっちは大会前に練習時間削って取材に付き合ってやっとったっちゅーに……」

宥「……佐々野さん、すっごく注目されてましたもんね……」

いちご「結局、ちゃちゃのんがかわいいから騒いどっただけなんじゃなぁ……雀士としては、たいして評価されてなかったってことじゃろ?」

宥「そ、そんなことないと思いますけど……」

誠子「……自分でかわいいとか言っちゃいます? いや、佐々野さんかわいいですけどね……」

泉「……その口ぶりからすると、やっぱりプロとか目指してはるんですか? ここまで来ると個人戦で取り返すしかないですよ?」

いちご「そうじゃなあ……ここからが踏ん張りどころなんじゃが……」


いちご「……去年頃から感じとったけど……ちゃちゃのん、麻雀向いてないんじゃろうか……?」

宥「え……そんな、そんなことは……」

いちご「同世代に宮永とか辻垣内や……憎っくき愛宕みたいなのがおって、すぐ下に荒川や神代みたいなんも出てきて……全国でそこそこの成績を出す自信はあっても、そこら辺の格上に勝つんは正直厳しいって……そう思ってる自分がおるんもたしかなんじゃ……」

宥「それは……その……」

宮永さんや、荒川さんがとんでもなく強いのはたしかだ。 私も、その強さは身をもって感じている

いちご「かわいいだけじゃあ、やっていけんのかもしれん……」

泉「……佐々野さん」

いちご「……なんじゃ?」

泉「いちいち自分のことかわいいとかなんとか、めっちゃ鼻につきますわ。 つか高校生にもなって一人称ちゃちゃのんってどうなんですかね?」

いちご「余計なお世話じゃ!」

誠子「……というか、去年から普通にインハイ参加してますし……実力だってあるじゃないですか! 気持ちはよくわかりますけど、自信持って打たなきゃダメだって、それは私今年のインハイですごく強く感じたんですよ!」

いちご「……それは、たしかにそうじゃな。 勝てないと思って打って、勝てた試しなんてないからのう……」

泉「……っていうか、かわいいだけでも十分武器になるじゃないですか」

いちご「へ?」

泉「いや、それこそ本当にかわいいから注目されてただけで雀士として評価されてなかったとしてもですよ? あれだけ特集組まれて雑誌乗ってたんですから全然強みになってるじゃないですか。 一般にも知名度かなり高いですよ」

いちご「そ、そうかのう?」

泉「いいじゃないですか、かわいいんですから。 去年からのインハイの出場経験もあるんだし、最悪今年もダメでも「こら二条! そういうことは言わない!」っと、失礼……とにかく、はやりんの後釜狙ってみるとか客寄せパンダでもなんでも、その枠でとりあえずプロ入っちゃうとか」

いちご「パンダって……ちゃちゃのんはもっと、実力で評価されたいんじゃが……」

泉「だから! 佐々野さん実力あるんですから続けてれば評価も後からついてきますって! きっかけはなんでも……それだけかわいけりゃ、チャンスに繋げる武器になりますよ」


いちご「…………」

誠子「…………」

宥「…………」

泉「……あれ? なんか変なこと言いましたかね?」

いちご「いや、ちょっと感心しとったわ……」

宥「うぅ……私、お姉ちゃんなのになんにも言えなくって……泉ちゃんすごいなぁ……」

泉「え? え? そうですか?」

誠子「二条って、そういう考え方できるんだね」

泉「まあ、私も名門千里山で打ってますからね。 生き残るために必死ですよ……一年生で団体メンバー入るためには努力は欠かせませんし、それだけじゃなくって上へのアピールの機会の確保に、それをしっかり活かすのも重要ですから」

誠子「ちゃっかりしっかりやってきたんだなあ……」

いちご「……うん、少し元気出てきた!」

宥「ほんとですか?」

いちご「開き直れたわ……打つだけ打って、それでダメでもちゃちゃのんかわええし! 麻雀続けてればそのうちなんとかなるじゃろ!」

誠子「あらら……まあ間違っちゃいませんけど……」

泉「……それにしても自分のことかわいいとかあんまり言わん方がええですよ? 同性に嫌われるタイプ……」

いちご「うっさいわ! ちゃちゃのんは友だちいっぱいじゃし愛されキャラじゃ!」

泉「だから自分で言うことじゃ……」

いちご「……な、あんた名前なんじゃっけ? 千里山の次鋒じゃろ?」

泉「え、あ……泉です、二条泉」

いちご「ふぅん……じゃ、泉。 私からも言わせてもらうがな……?」

泉「はい?」

いちご「あんた、その改造制服はないじゃろ」

泉「うぇ!?」


泉「なに言ってるんですか!? これは超重要な……」

いちご「いやいや」

誠子「まあ、ちょっと……ね、宥さん」

宥「えぇ……わ、私に振られても……」

泉「いや、これはですね! 事情があるんですよ!」

いちご「事情って……いやいや! 事情もなにもないじゃろうが……」

泉「それがですね、この間町を歩いてたら……こう、小さな女の子が泣いてたんですわ。 話を聞いたらおつかいの途中だったらしいんですけど……」

誠子「いや、ごめん。 その話と制服の関連性が全くわからない」

泉「ほら、エコバッグってあるじゃないですか? ビニール袋使わないで、おうちから買い物袋持ってきましょうっていう……それがね、破れちゃったらしくて」

いちご「は?」

泉「だからこう、制服の袖を破ってあて布にして縫い合わせてあげて……」

宥「泉ちゃんあったかいねぇ……」

泉「だから突っ込めや!!」

宥「えぇ!?」

誠子「宥さん、こう……ちょっと、さすがにネタだってわかりません?」

いちご「あっはは! お姉ちゃん天然じゃな?」

宥「うぅ……そんなつもりは、ないんですけど……」


泉「……まあ、この制服はアレですよ。 サッカー選手が目立つために奇抜な髪型にするとか、そういう感じの意味もありますから」

誠子「あー……でも、一年生だろ? よくそれで千里山の麻雀部に乗り込んだね?」

泉「まぁ、自信ありましたし……ある程度目立たないと一年生なんてやっぱり試合出してもらえませんからねー」

いちご「それはたしかに……あ、お姉ちゃんのマフラーもそういうやつなんじゃろうか? 夏場なのによくそんなの着けてられるなぁ」

宥「あ、いや……これは、あったかくないから……」

いちご「へぁ!? さすがに冗談じゃろ!? 」

誠子「それが、冗談じゃないんですよね……」

泉「宥さんは、特殊ですから……」

いちご「特殊すぎるじゃろ……そんなこともあるんじゃなぁ……」

誠子「そんなこともあるみたいですよ」

泉「考えてもわかりませんよねー」

宥「うぅ……あ、その! 佐々野さん、今からお時間ありますか?」

いちご「ん? うん……ほら、ちょっと部員のみんなとも顔会わせづらくて出てきたとこあるし……」

誠子「わかります……」

泉「ほんと、会わせる顔がないってことありますよね……」

あ……ま、また暗くなってる……

宥「その、これからみんなでお食事行くところだったんです! よかったらご一緒しませんか? 私のおごりですから!」

いちご「……ええの? それじゃあ、せっかくだしお邪魔させてもらおうかのう」

誠子「なにか食べたいものとかあります?」

いちご「ちゃちゃのんは……そうじゃなあ、久しぶりにお好み焼きでも……傷心じゃしな! 女子力低下な気もするけど、がっつり食べたい気分なんじゃ!」

泉「おっ、ええじゃないですか! 関東の店のレベル確認してやりますわ!」

宥「よぉし! それじゃあ、行こっか!」


誠子「…………」

宥「…………」

泉「なんや! 広島風ってアホですか!? あんなもんお好みと違いますよ!」

いちご「なんじゃと!? これだから関西もんは嫌なんじゃ!」

誠子「……あ、あの……そんなことで喧嘩しなくても……」

泉「そんなこととはなんですか!?」
いちご「そんなこととはなんじゃ!?」

誠子「す、すみません! 失言でした……」

いちご「だいたい、関西もんはマナーからしてなってないんじゃ! 愛宕のアホみたいなやつばっかで……」

泉「はぁ!? そんなん佐々野さんに言われたくないですわ! つーか洋榎さんみたいないかにもすぎる人と一緒にせんでくださいよ! アレは特別ですわ!」

誠子「……今、愛宕さんの悪口言ってなかった?」

泉「へ? 気のせいですよ!」

宥「あ、あの……もうちょっと落ち着いて……」

いちご「あ、こっちの方焼けてるからお姉ちゃん食べてええよっ」

宥「あ、ありがとう……佐々野さん」

泉「あ! 宥さんそんなん食べたらアカン! こっちの! こっちの食べてください!」

宥「えっと、その、あ、ありがとう……?」

いちご「なんじゃ、さっきから! ちゃちゃのんの邪魔するんはやめるんじゃ!」

泉「だから自分のことちゃちゃのん言うんはやめてくださいよ! 痛々しいですから!」

いちご「なんじゃと!? 変な制服着とるやつに言われとうないわ!」

泉「なんやと! そんなこと言ったらなんですかいちごって! キラキラネームですか!? 恥ずかしいわ!」

いちご「むむぅ~! 泉のアホ!」

泉「いちごのアホ!」

いちご「アホって言った方がアホなんじゃ! このアホ!」

泉「いちごも今アホって言うとるやないか! そもそも先に言ったんもいちごやろ!」




誠子「……仲良くなったみたいでなによりですね」

宥「……そうだね」


カン!

なんでも拾ってく精神だけど、描写薄い子は毎回ちょっと悩みます

事情により四月の頭ごろまでPC触れないので投下はしばらくできません。スマホからはきついので…
書き溜めはできるだけするつもりなのでネタでもキャラでも書き捨ててってもらえれば適当に拾いたいです。よろしくお願いします

乙です
あと出てきてないのって大沼プロかこーこちゃん以外の女子アナ勢くらいしか思いつかないけど他に誰かいたっけ?

玉子以外の越谷が出てないかな

慕ちゃんとこーすけは四日間は同衾したってことでいいんですね? 龍門渕日和と合わさって毎度ビッグガンガン強すぎ

>>815だいたい出てきた気もしますね。ただ>>816の越谷とか新免さんとか友清とか言われるとイメージで何とかすることになるのでそこら辺はご容赦をば

アラフォー、シズ、憧、末原によるジャージ同好会

お久しぶりです。最新話は国麻の情報などいろいろ出てきて捗りますね。我らがアイドル弘世様も後頭部が登場していました!

投下します。戒能さんとかアナウンサーとか


はやり「はるえちゃーん!」

良子「どーもです」

晴絵「瑞原プロ、戒能プロ……すみません、お待たせしましたか?」

はやり「ううん、はやりたちも今来たところだよっ☆」

先日の麻雀バーでの久しぶりの再会……それこそ、戒能プロとは10年ぶりに会ったことになる

しばらく会わないうちに立派になって……今では新人王の若手のトップを走るプロ雀士だ。 今日は、今さらだけどそのお祝い……私の奢りで飲みにでも……というお話

……なんだか飲みに行ってばかりのような気もするけど、私は瑞原さんや小鍛治さん、野依さんとの再会も10年ぶりだし……彼女たちは彼女たちで現役の最前線を張るトッププロであり普段は顔を合わせてもろくに会話する時間もないらしい

高校生全国麻雀大会……つまりはインターハイのことだけど、この期間だけは解説の仕事などで多くのプロが一ヶ所に集まる希少な時期であり、多くのプロが少し羽を休める期間にもなっているらしい……団体戦と個人戦の間の期間ということでその他の仕事も多少は入っているようだが、普段に比べれば時間もあるんだろう

まあ、正直なところみんな忙しいし一ヶ所に集まってるうちになにかと理由つけて飲みたいだけなんだけど

良子「……あの、赤土さん……やっぱり昔みたいに呼んでいただけませんかね?」

晴絵「なぁに照れてんの、新人王取った若手のトップがさ」

良子「そうは言ってもまだプロ二年目ですよ? まだまだ慣れませんし……今はオフですから。 プライベートぐらいいいでしょう?」

晴絵「ま、それもそうか……良子ちゃん飲めるの? この前そんなに飲んでなかったよね」

良子「お酒、まだ慣れてないんですよ……誕生日からここ三ヶ月ぐらいけっこう忙しかったですし、うっかり飲んであとに引いたら最悪です」

晴絵「真面目だなぁ……ほんとしっかりした子になって……」

はやり「もう、はるえちゃんだってまだまだ若いんだからっ! そんなおばあちゃんみたいなこと言わないのっ!」

晴絵「瑞原さんは若すぎですよ……」

良子「はやりさんはほんと見た目変わりませんよね……10年前から髪伸ばしたくらいですか?」

はやり「まあ、職業柄いろいろ気を遣ってるからね……はるえちゃんもよしこちゃんも、ちゃんとケアしとかないとダメだぞっ☆ ……30越えた辺りから、いろいろグイグイくるらしいから……」

晴絵「はいはーい」

良子「ラジャです」

はやり「……あんまり響いてなさそうだなぁ……麻雀一筋もいいけど、女を捨てちゃダメだよ……?」


良子「まだ20ですし。 ヤングですから。 まだまだ余裕はあります」

晴絵「そうそう! まだまだ若いから大丈夫ですよ!」

はやり「もう……はるえちゃんだって私とふたつしか違わないんだから……」

晴絵「……瑞原さん、それ自分が……」

はやり「……カードにもベテランの感があるとか書かれちゃうからね……はぁ……」

良子「はやりさんもさっさと結婚しちゃえばいいじゃないですか」

はやり「はやりはみんなのはやりだから……結婚はできないんだよ……」

良子「正直、そろそろファンのみなさんも心配してるんじゃないですかね」

晴絵「許されるんじゃないですか、結婚」

はやり「アイドルは恋愛しないの!」

晴絵「言ってることはわかりますけどね……」

はやり「むー……そういうはるえちゃんこそ、ご結婚の予定とかあるんですかー?」

晴絵「……相手すらいないです」

良子「人のこと言えないじゃないですか」

晴絵「そういう良子ちゃんはどうなの? スキャンダラスな話題はさー」

良子「ありませんし、当分は要らないです。 去年新人王もらったとはいえぺーぺーの新人ですから。 麻雀に集中します」

晴絵「そう言ってタイミング逃して散々弄られてる人がいるのを忘れるなよー?」

良子「…………そうですね」

はやり「はぁ……この話題、誰も得しないしやめよう……?」

晴絵「全くもってその通りで……」


はやり「……とりあえず、どっか入ろっか?」

良子「賛成です。 赤土さん、今日はご馳走になります」

晴絵「おう! 良子ちゃんがプロになった時も新人王取った時もなんもしてないしね……私が出すからまかせてくれよ」

まあ、瑞原さんも良子ちゃんもこういう時にバカみたいに飲み食いするタイプじゃないしな……あまり潤ってるわけじゃないけど、財布の中身はなんとかなるだろう

うちの子で言えば憧なんかはけっこう……まあ、甘えていい相手をしっかり判断できてるからいいのか。 私にはたかっても玄やしずにはしないだろうし

こういう時にご一緒したくないのは……

恒子「あっ! ハルちゃんだ!」

晴絵「げっ……こーこちゃん!?」

恒子「げっとはなんだよー! なにしてんの? 暇? 一緒に飲み行く? 行こうか! よっしゃけってーい!」

晴絵「ちょ、ちょっと待って! 急に、え? なに?」

はやり「こーこちゃんちょっとストップ! はるえちゃん取らないでよー」

恒子「あっ! はやりんだ! それに、えっと……戒能プロ?」

良子「どもです……たしか、小鍛治さんと組んでた……」

恒子「スーパーアナウンサー福与恒子でーす! よろしく!」

晴絵「相変わらず元気だねこーこちゃん……飲みって、小鍛治さんと?」

恒子「いやいや、すこやんは私しか友達いないけど私は他にも友だちいるからさー」

はやり「すこやちゃんにも友だちはいるよ!? はやりとか、りさちゃんとか……」

恒子「あはは、そうだっけ? そんで今日は他局の先輩アナウンサーを誘っててね」

晴絵「へぇ……中継の放映権とか取り合ってるみたいだしあんま仲良くないのかと思ってた……」

恒子「いやぁ、私これでも新人だし? そういうの知らないふりしてコネ作っとこうかと思って! ヨコの繋がりも大事だよねー」

良子「……案外大物だったりします?」

恒子「ビッグになります! 何かあったら言ってね! 今は特になにもできないけど!」


はやり「はや~……ほんとによく人集まったねぇ」

恒子「まあ……すこやんだってはやりんやハルちゃんや野依プロとかとライバルなのに仲良くしてるわけじゃないですか? 私だってねぇ……局こそ違えど同じ大会の実況頑張ってきたわけだし、打ち上げとかしたっていいと思うわけですよ」

良子「それは一理あるかもしれませんね」

晴絵「うちの生徒たちも他校の子とけっこう仲良くやってるしな……」

はやり「実況のアナウンサーっていうと、りさちゃんと組んでたみさきちゃんとか?」

恒子「そうですね! 村吉アナと針生アナと、戒能プロと組んでた佐藤アナ呼んでます!」

良子「ほほう」

はやり「……針生アナって、こーこちゃんと……その、相性悪そうだけど……大丈夫なの?」

恒子「声かけたときめっちゃ嫌そうな顔されました! たぶん今日はお説教されると思います!」

晴絵「そのわりには元気だね、こーこちゃん……」

恒子「まあ、私のキャラじゃ仕方ないしね! きっちりした人だし……まあ、業界の先輩とお話しできる機会ができただけ儲けもんだよねー」

良子「……意外と真面目ですか?」

恒子「バカっぽいキャラだけどバカではないからね! そういう良子ちゃんも不思議な言葉遣いのキャラで売り出し中じゃん? 大変じゃない?」

良子「いきなり良子ちゃんって……」

恒子「あ、嫌だった?」

良子「ノーウェイノーウェイ。 今はプライベートですし、私の方が年下ですから構いませんよ」

恒子「よかったぁ……っていうか言葉遣いも素?」

良子「ええ、わりと」

恒子「はぁー……良子ちゃん面白いねぇ」

良子「福与アナに言われると複雑ですね」

恒子「こーこちゃんでいいよ? ……で、今日はなんの集まり? 一緒に飲み行く?」

晴絵「いやまあ飲み行くけど……一緒に行くのはどうなの? 針生アナとか、先輩アナウンサーとの集まりでしょ?」

恒子「人数多い方が楽しいし!」

晴絵「そりゃそうかもだけど……」

良子「まあ、佐藤アナに挨拶ぐらいさせていただきましょうかね」

はやり「はやりもアナウンサーさんたちなら顔見知りだし……ご挨拶はさせてもらおうかなっ☆」

恒子「よっしゃ! じゃあ行こうか! そろそろ集合時間過ぎちゃうし……」

晴絵「それはマズイだろ……また怒られる材料増えるぞ?」

恒子「どうせ怒られるなら変わんないって! さ、いこいこ!」


――――――

恒子「どーもっ! すみませんお待たせしましたっ!」

裕子「いえ、ギリギリですけど時間前ですし……戒能プロに瑞原プロ? お疲れさまです」

良子「どうも、お疲れさまです」

はやり「お疲れさまですっ☆」

みさき「お疲れさまです」

えり「お疲れさまです、瑞原プロ、戒能プロ。 それと……」

晴絵「はじめまして。 阿知賀女子監督の赤土晴絵です」

えり「ああ……失礼しました。 針生えり、アナウンサーです。 よろしくお願いします……ところで」

恒子「はい?」

えり「そもそも、声をかけたのもあなたでしょう? せめて約束の時間の10分前には……」

裕子「まあまあ、一応間に合ってますし……」

みさき「そもそも、そういう人なのはわかってたじゃないですか。 いちいち怒らないでくださいよ」

えり「村吉アナ、そういう問題では……」

恒子「すみませーん! 悪いのは私ですし、村吉アナを怒らないでくださいよ、針生アナ!」

みさき「そうですよ。 悪いのは福与さんですし」

裕子「……む、村吉アナも少し言い方を、なんと言うか……」

えり「はぁ……まあ、お説教は後にしましょう。 瑞原プロたちは……」

はやり「ちょうどはるえちゃんとよしこちゃんと一緒だったところでこーこちゃんに会ったんだ☆」

良子「お邪魔でなければ、トゥギャザーしてもよろしいでしょうか?」

裕子「トゥ、トゥギャ……ええ、まあ私は構いませんが……」

みさき「針生アナがいいのであれば」

えり「……もちろん、構いませんよ。 ただ、福与アナも予定と変わるのであればちゃんと連絡を……」

恒子「ごめんなさーい!」

えり「…………」

みさき「だからいちいちイライラしないでくださいよ。 わかりきってたことなんですから」

恒子「村吉アナキツいっすね!」

みさき「事実を言ってるだけですよ」

晴絵「……ほんとにキツいなぁ」


――――――

恒子「えーそれではみなさん! インハイの実況に解説、それに監督とお疲れさまでした! とりあえずかんぱーい!」

「「「「「「かんぱーい!」」」」」」

良子「お疲れさまでした、佐藤アナ。 いろいろと助けていただいて……」

裕子「いえ、こちらこそ……麻雀に関しては私も至らないところが多く……」

はやり「よしこちゃんは解説のお仕事は初めてだったんだっけ?」

良子「地方のイベントなんかでは何度かありましたがこの規模の大会では初めてでしたね」

恒子「初体験か!」

えり「なんでそのワードをチョイスするのか……というか、あなたも新人でしょうに」

恒子「はい! 就職1年目からいい仕事もらえてラッキーでした! これからもバリバリ稼ぎますよー!」

えり「…………」

晴絵「こーこちゃん、ちょっとさ、ね? あまりさ……」

みさき「注意するだけ時間と労力の無駄なのでは? ……赤土監督もお疲れさまでした。 団体戦三位おめでとうございます」

晴絵「あ、これはどうも……」

みさき「……野依プロから10年前に瑞原プロや小鍛治プロと一緒に対局して、準決勝で敗退されたと聞いていますが……」

晴絵「いきなりぶっこむなぁ……そうですよ。 今回は教え子たちにいろいろと託してたんですけど……それにしても村吉アナ、野依さんと仲いいんですね。 あまりそういうの話すタイプでもないのに……」

みさき「まあ、何年か一緒にこの仕事やらせていただいてますから……仲はいい方だと思いますよ」

えり「……そのわりに野依プロにキツいですよね、村吉さん」

みさき「いいんじゃないですか? ウケてますし」

恒子「それは大事ですよね!」


裕子「福与アナも小鍛治プロとのコンビは評判が良かったですね」

恒子「ありがとうございます!」

はやり「すこやちゃんの解説、ちょっと辛口だからね……こーこちゃんのお陰でそういう棘みたいなのが緩和されたんじゃないかなっ☆」

良子「小鍛治さん、やっぱり他の人と見え方が違うところありますからね……」

晴絵「そういう良子ちゃんは他の人に見えないものが見えてるじゃないか」

良子「はは、たしかにそうですね」

裕子「……あの、今のは視野が広いとか、そういう意味ですよね?」

良子「いえ、文字通りの意味です。 例えば針生アナの後ろに……」

えり「!?」

良子「……冗談です。 なにもいないですよ?」

えり「たちの悪い冗談はやめてください!」

良子「すみません……ただ、水回りとか少し気を付けてくださいね」

えり「なんですか!? 本当にやめてくださいよ!」

恒子「あはは! 意外とオカルト系苦手なんですねー」

みさき「おばけ怖いとかいい年してなんのアピールですか?」

えり「さすがに怒りますよ!? だいたい、野依プロにもそういう口の聞き方をして……それで険悪な仲にでもなったら友人と共に仕事もひとつ失いますし……」

みさき「ああ、それは大丈夫ですよ」

恒子「ほほう? それは二人の信頼関係はちょっと口悪いぐらいしゃ揺るぎません的なやつですか?」

みさき「そもそもあの人私しか友だちいませんから、仲悪くなったりはないです」

晴絵「いやいや! 野依さんも友だちぐらいいるからね!?」

はやり「はやりとかはるえちゃんとか、すこやちゃんとか!」

みさき「ああ、そういえば……でも」

晴絵「でも?」

みさき「みなさんはまあいいとして、他に友だちいるんですか?」


晴絵「…………あー、それは……ほら、ねえ?」

はやり「えっと……よ、よしこちゃんもいるし……」

良子「友人として扱ってくれるのはうれしいですが、正確には後輩というか妹分というか……」

はやり「……そうだね」

晴絵「……そりゃあちょっと口下手だけど! 野依さんは本当にいい人で……」

みさき「いやもう友だちいない前提のフォローじゃないですか」

裕子「……どうしてそんなに当たり強いんですかね……?」

みさき「普通ですよ、普通」

えり「……ほんと、よくそれで今までやってこれましたね」

みさき「媚びない姿勢が評価されたと言いますか……」

恒子「かわいい顔して毒舌とか面白いですしねー」

裕子「その、村吉アナは童顔ですよね……私なんかよく実年齢より上に見られるから羨ましいです」

はやり「みさきちゃんは……たしか、はやりの2つ下だっけ?」

みさき「すごい年取った気がするのでその言い方はやめてほしいんですが……まあ、そうですよ」

はやり「うぅ……はやりがおばちゃんみたいな言い方しないでよぉ……」

晴絵「あ、同い年なんですね……ひとつかふたつぐらい下なのかと……」

みさき「同い年なのでお気軽にどうぞ……赤土さん顔広いみたいですし、なんかあったときはパイプ繋いでくださいね」

晴絵「堂々とコネ作り宣言しますね!?」

みさき「そういえば、佐藤アナは私たちよりも年下ですよね?」

晴絵「えっ?」


裕子「……今年で25になります」

晴絵「え!? ひとつ下なの? すごい大人っぽいからてっきり上かと……」

裕子「よくあるんですけど……先輩に敬語で話しかけられたりとか……いったいどうすればいいのかと……」

恒子「いいんじゃないすか? 偉そうにしてれば」

えり「そんなわけないでしょう! 福与アナは少し自分がもう学生ではなくひとりの社会人になっているということを自覚して……」

良子「あー、私からしてみれば頼りになるお姉さんですから。 慣れない仕事でしたし、たくさんフォローしていただいて助かりました」

裕子「……そう言っていただけると、うれしいのですが……」

良子「元気だしてください。 佐藤アナはキュートですし、なにも問題ありませんよ」

裕子「は、はぁ……? どうも?」

はやり「そうそう! ちょっと年上に見られるくらい大丈夫だよ! はやりなんてまだ若いのに年齢をネタにされて……」

みさき「若い?」

晴絵「瑞原さん酔い回ってへこみはじめたからやめてあげて!」

恒子「はやりんは泣き上戸なの?」

はやり「泣いてないもんっ! はやりが泣いてたらみんなを笑顔にすることなんてできないんだからっ!」

良子「ハンカチどうぞ」

はやり「ありがとぅ……」

えり「……あの、ちょっとよろしいでしょうか?」

晴絵「はい?」


えり「前々から思っていたのですが……」

恒子「なになに? もったいぶらずに教えてくださいよ~」

えり「それ! それなんですよ!」

恒子「はい?」

えり「福与アナをはじめとして、言葉遣いがしっかりしていない人が多すぎます!」

恒子「え? 私がその代表なんですか!?」

みさき「当然じゃないですか。 自覚してないんですか?」

良子「そんなこと言ったら村吉アナだってなかなか……」

晴絵「言葉遣いがどうこうって言うか……みんな個性ありすぎなんだよなぁ」

裕子「……まあ、たしかに」

はやり「うーん……えりちゃんが怒るのももっともかもね……」

えり「なんで他人事みたいに言ってるんですか!? 赤土さんと佐藤アナ以外は当てはまるでしょう!?」

はやり「えっ?」

良子「マジですか」

みさき「一緒にしないでくださいよ」

えり「村吉アナは口悪すぎです! 戒能プロも変な英語とか使わないでくださいよ! 実況の佐藤アナ困ってたじゃないですか!」

良子「む……それは、失礼しました」

裕子「あ、いえ! その……プロ雀士は個性的な方が多いですし、それに合わせるのも私の腕の見せどころと言いますか……」

えり「そうやって甘やかすからプロの方が好き放題するんですよ!」

恒子「あっ! それわかります! すこやんなんて「好き勝手してるのはあなたでしょう! 小鍛治プロはまともに仕事こなしてるじゃないですか!」あれー?」

良子「……針生アナ、ストレス溜まってますね?」

えり「ストレスも溜まりますよ! 新入りのアナウンサーはアホだし!」

はやり「あ、あの、えりちゃんちょっと飲みすぎじゃ……」

えり「大丈夫ですよ!」

恒子「……あの、もしかしてアホって私ですか?」

えり「決まってるでしょう!? それに変なプロ雀士と組まされるし……!」

晴絵「あー……たしかに、針生アナは咏ちゃんのテンションに合わせるのキツそう……」

はやり「うたちゃん、いい子だよ?」

えり「私はああいう適当な人と組むよりも、もっと理知的でまともな人とまともな中継をしたいんです! 例えば……小鍛治プロとか、赤土さんとか!」

晴絵「あぁ……へ!? わ、私!?」


えり「プロ入りするとか、そんな噂聞いてますよ? 実際どうなんですか?」

晴絵「えーと、まあ、いろいろ考え中というか……」

恒子「っていうか、三尋木プロ面白いじゃないですか! なにが気に入らないんですか?」

えり「適当なところですよ!あとは……適当なところとか!」

良子「どれだけ適当なところ気に入らないんですか」

はやり「やっぱり飲みすぎなんじゃ……」

晴絵「まあ、咏ちゃんは扱い面倒だよね」

えり「ええ、本当に! ああいうなにするかわからない人苦手なんですよ!」

恒子「たしかに! すこやんも……」

えり「お前だよ! 小鍛治プロじゃなくてお前だよ!」

裕子「針生アナ、少し落ち着いて……」

えり「だいたいあなたはもっと礼儀というものを……」

恒子「うぃーす」

裕子「……針生アナもずいぶん酷い言葉遣いになってますよ?」

みさき「そんなんじゃ人のことは言えませんね」

えり「……失礼、つい。 しかし、あなたたちだって多少は不満はあるでしょう?」

裕子「え、それは……その……」

良子「……遠慮なく言ってほしいのですが」

裕子「その、不可思議な言葉遣いも個性ですし……戒能プロはこれから売り出していく方なのですからある程度は好きにして構いませんよ? 常識の範囲内でならば……」

良子「……どうも、ありがとうございます」

えり「……村吉アナは?」

みさき「私ですか? 別に、野依プロ苛めるの楽しいですし……」

晴絵「あれはそういうプレイなの!?」


恒子「私はいっぱい不満ありますよ! たとえば……」

えり「…………」

はやり「えりちゃん怒らないで! こーこちゃん悪気ないから! こういう子なの!」

えり「……そういえば、プロの方々も私たちアナウンサーに不満とかあるんじゃないですか?」

はやり「えっ? はやりたち?」

恒子「えっ? 無視?」

みさき「ああ、それはたしかに気になりますね」

裕子「こちらに思うところがあればプロ雀士の方たちも当然なにかしらありますよね……」

晴絵「……まあ、私も今後そういう仕事する可能性もあるし両者の話は聞いておきたいかなー」

はやり「はやりは……特にないかなあ。 もう長い付き合いだし、なにかあれば直接言っちゃうよ?」

良子「私は、先ほど言った通り助けていただいてばかりですし感謝しています。 長くプロとして続けたいですしこのまま一緒にやっていければうれしいですが……」

裕子「……ふふ、ありがとうございます」

えり「…………」

恒子「あはは! けっこうどこも仲良くやってるじゃないですか!」

えり「……不満がありそうなのは小鍛治プロぐらいですかね」

恒子「えっ? なんですこやんが私に不満持つんですか?」

みさき「まあ、三尋木プロと小鍛治プロ交換したらそれはそれで面白そうですけどね」

晴絵「……針生アナと小鍛治さんの中継はともかく、こーこちゃんと咏ちゃんの中継は事故しか起きなそうだな……」


恒子「え? なんで!? 事故なんか起きないって! 絶対面白くなるよ!?」

はやり「たしかに、楽しい中継にはなるだろうねっ☆」

裕子「その……スリルのある放送になることは間違いないでしょうね」

みさき「ろくな放送にならなそうですけど」

えり「まったくです」

晴絵「ふむ……」

――

――――

恒子『さあ始まりました決勝戦! 三尋木プロの注目の選手は?』

咏『わっかんねー! すべてがわっかんねー!』

恒子『私もわっかんねー! 麻雀とか知らんし!』

咏『あー! なんだよー! 真似すんなよー!』

恒子『知らんし! 真似してねーし! ……あ、リーチ入りましたよ!』

咏『マジで? うわっほんとだ! 最近の高校生は活きがいいねー』

恒子『こらこら! 咏ちゃん小学生なのにそんな口聞いたらダメでしょ!』

咏『あ!? 誰がチビだこのアホアナウンサー!』

恒子『なんだとー!? 誰がアホだチビッ子めー!』

咏『身長はかんけーねーし! アホ!』

恒子『チビ!』


――――――

晴絵「……うん、ろくなことにならなそうだな」

恒子「ハルちゃんなんか失礼なこと考えてなかった?」

晴絵「ん? いや……たぶん無難な感じだと思うんだけど……」

えり「……やめましょう。 考えてたら頭が痛くなってきました……」

はやり「……ねぇ、えりちゃん」

えり「どうしました、瑞原プロ?」

はやり「……プロとしても選手たちの手の内を見抜いてもそれを公共の電波に乗せたら有利不利が生まれちゃうし、けっこう解説するのも大変なんだ」

えり「それは、まあ……理解しているつもりですが……」

はやり「咏ちゃんも、ふざけてる訳じゃないと思うんだ。 そりゃあ、普段からそういう誤解をされちゃうような態度だっていうのはあるかもしれないけど……麻雀に対してはすっごくひたむきで真面目な子なんだよ?」

えり「…………」

はやり「だから、あまり嫌わないで……ちゃんとお話ししてみて? きっといいところもたくさん見つかるからさ」

みさき「……ただの痛いおばさんじゃなかったんですね。 いいことも言えるじゃないですか」

はやり「みさきちゃん……はやりだってね、あんまり直接的に言われると傷つくんだよ?」

みさき「……すみません、言い過ぎました。 なんだかんだお酒いれてテンション上がっちゃってますね」

晴絵「そこはちゃんと謝るんだね」

みさき「今のはどう考えても私が悪いですし……それに、毒舌にしても相手はちゃんと選んでますよ」

良子「そうは思えませんでしたが……」

みさき「……みなさんの心が広いってことですね」


恒子「こうしてみると、わりとどこも仲良くやってるんですねー」

えり「……みたいですね」

恒子「仲悪いのは針生アナのとこだけですね!」

みさき「協調性ないんじゃないですか?」

えり「…………」

裕子「針生アナすみません! あとでよく言っておきますから!」

みさき「私の方が先輩ですけど?」

裕子「す、すみません! 村吉アナ!」

えり「……まあ、別に、仲が悪いわけではないんですけど……」

晴絵「あー……なんか、うん。 わかります。 咏ちゃんちょっと……ね? イライラしますよね」

はやり「ちょっとはるえちゃん……!」

えり「そうなんですよ! ちゃんとやれるだけの力もあるのにいつも適当で……!」

晴絵「というか、昔から気に入らないんですよね! あのチビ……ことあるごとに私の邪魔をして……」

良子「私怨入ってませんか?」

晴絵「入ってるけど! ちょっと前にもあいつのせいで生徒たちの信頼を失いそうになったし……!」

裕子「いや……それはさすがに赤土さんの方にも問題があったのでは……?」


晴絵「くっそー……思い出したらイライラしてきた! 電話して文句言ってやる!」

えり「そうですね、不満は溜め込まない方がいいです。 今日気づきました」

恒子「針生アナ、ハッスルしてきましたね?」

良子「それ、どう考えても良くないハッスルですよね」

裕子「おふたりとも、少し落ち着いて……飲みすぎはお体にもよくありませんし……」

恒子「まあまあ! いいじゃないですか! 面白いですし!」

みさき「それは大事なところですね」

良子「っていうか、パッと電話できちゃう辺りけっこう仲良くないですか? もう0時回ってますけど……」

はやり「お酒が入って何してるのかわからなくなっちゃう人もいるんだよ……」

良子「はぁ……勉強になります」

晴絵「もしもし!」

咏『もしもーし? ハルちゃん? こんな時間にどうしたの? ねみーんだけど……』

晴絵「子どもか! まだまだ夜は長いぞ!」

咏『ん……? あっ! 酔ってるだろ! なんで私も誘わねーんだよ!』

晴絵「咏ちゃんお酒飲めないだろ?」

咏『飲めるし! この前だって一緒に……あっ! 今のバカにしてたろ!? 25だし! ほんのちょっと身長低いかもしれなくもないけど25だし!』

晴絵「今ね今ね、瑞原さんと良子ちゃんとー」

咏『って聞けよ! そして呼べよ! 嫌がらせか!?』

晴絵「うん! あとね、こーこちゃんと佐藤アナと村吉アナと針生アナと一緒なんだー」

咏『うん! じゃねーよ! つーかなんでその面子!? えりちゃんたちもいんの!?』

晴絵「うらやましいか? はい、針生アナ」

えり「こんばんは、お疲れさまです!」

咏『あ、おう! おつかれー』

えり「あのですね! ちょっと前々から言いたかったんですけど!」

咏『うん? なに?』


えり「あなたは若手のトッププロとして、日本代表のエースとして活躍しているいわば日本の顔です! そのあなたが全国放送で知らんだのわからんだの適当な態度で臨むことであなたの、ひいてはチームの、日本の品格を貶めて……」

咏『長い長い! なに言ってんのかわっかんねー!』

えり「真面目に聞いてください! ですからあなたがですね……」

咏『聞くから! 短く簡潔にしてよえりちゃん!』

えり「いいから真面目にやれ!」

咏『はいはい。 んでさー』

えり「んでさーじゃないですよ!」

晴絵「そーだそーだ! 真面目に聞いてるのかー!」

恒子「そーだそーだー! いいぞー! もっとやれー!」

裕子「あの、周辺のお客様方のご迷惑に……」

みさき「佐藤アナ、うるさいから黙れって言っていいんですよ」

裕子「さすがにそれは言えませんよ!」

えり「だいたいあなたは毎回毎回……」

晴絵「もっと解説として真摯な態度でだな……」

咏『つーか個人戦選手の牌譜チェックしてるからまた今度でいい? 知らんけど』

えり「あ、すみません」

晴絵「ごめん」

咏『今度はちゃんと誘えよー』

晴絵「うん……またね……」

えり「…………」

晴絵「…………」

えり「…………」

晴絵「…………」

恒子「真面目か!」

えり「真面目でいいんですよ!」


はやり「ほら、うたちゃんだってちゃんとやってるんだよ? 適当に見えても、プロとしてちゃんと準備してお仕事にのぞんでるんだから……」

えり「……わかってはいるんですけどね。 どうしても……あの態度が、許せなくって……」

良子「……針生アナは少し真面目過ぎますね。 少し力の抜き方も覚えた方がいいかもしれません……私のような小娘に言われても、と思うかもしれませんが」

えり「いえ……よく回りに言われていましたし、おっしゃる通りかと……」

みさき「もっと福与アナみたいなアホと付き合いを持つといいかもしれませんね」

恒子「そうですね! 私みたいな……アホとはなんですか! 私、超理知的じゃないですか!」

みさき「理知的の定義がだいぶずれてますね」

恒子「ほら、私の目標は針生アナみたいな? 理知的で美しいアナウンサーですし?」

えり「……はぁ!?」

裕子「これはまた、意外な……」

みさき「適当に持ち上げてるだけですよ」

恒子「いやいや! 適当じゃないですって! そりゃあ、最近は私みたいなバラエティ向きで見た目もかわいい女子アナが売れてますけど……」

晴絵「自分で言うなよ……」

恒子「事実だから! まあ、それでもやっぱり本来は針生アナみたいな女性アナウンサーが理想的だと思うんですよね! 今はこのやり方しかできないんでこれで行きますけど! 将来的にはもっといろいろ……」

えり「……福与アナ」

恒子「はい?」

えり「私は……まあ、あなたのような人は嫌いです」

恒子「ありゃ……はっきり言いますね」

えり「事実ですから……今日だって説教してやろうと思って来たぐらいですし」

恒子「あはは、それは知ってました」

えり「……しかし、向上心を持って努力する人間は好きです。 あなたが真面目に努力するというのなら力になりたいと思います」

恒子「針生アナ……!」


えり「それに、あなたは私が持っていないものを持っていますし……」

みさき「福与アナは素晴らしいアホですからね」

裕子「もっとその、柔軟なーとか、そういう言い方をですね……」

はやり「ふふっ、うまくいけばふたりにプラスになるんじゃないかなっ☆」

みさき「下手するとふたりともアホに……」

晴絵「それは考えたくない状況だなー……」

良子「……福与アナレベルのアホになった針生アナとか見てみたいですけどね」

恒子「あー! 良子ちゃんまでアホとか言いはじめた! ひっでーなあもう!」

えり「福与アナ、アナウンサーならそのような汚い言葉は使わずに……」

恒子「うお……早速始まった……」

はやり「んー……反対に、えりちゃんはもっとくだけた口調になってもいいと思うなっ☆」

えり「……はい?」

晴絵「ああ、たしかに……それじゃあ、福与アナじゃなくてこーこちゃんで。 私のことはハルちゃんで」

えり「え、いや、そんな……」

恒子「そうですね! 私が針生アナに教育していただけるのはたいへんありがたいことですが、針生アナも少し気楽にすることを覚えていただかないと!」

えり「な、何を言って……」

はやり「ほらほら! えりちゃん! 今はオフなんだし、ね?」

えり「……こ、こーこちゃんは、もっと落ち着きをもって……」

恒子「やっべー! 針生アナにこーこちゃんって呼ばれちゃった!」

裕子「……違和感すごいですね」

みさき「動画録りました」

えり「ちょ、なにしてるんですか村吉アナ!」

みさき「ですから、動画を録りました」

えり「それはわかってますよ!」


晴絵「ふふ……なんだかんだ、いい感じなんじゃないですか?」

はやり「そうだねー……えりちゃんも、こーこちゃんに慣れればうたちゃんとももっと打ち解けられるんじゃないかな」

良子「……プロ雀士は個性が強すぎると言われましたが、アナウンサーの方々も大概だと思います」

晴絵「ははっ、たしかにねー」

はやり「……はるえちゃんはさ、もしプロになって解説のお仕事が来たらどんなアナウンサーさんと組みたい?」

晴絵「あー……そうですねぇ……」

こーこちゃんとなら……楽しくやれるだろうけど、ちょっと騒がしすぎるかな?

針生アナとなら真っ当な中継をできるだろうけど……少し真面目で固すぎるかもしれない

……こう考えると、ふたりを足して2で割るぐらいでちょうどいいのかもしれない

晴絵「……あれ、こうなるともしかして村吉アナぐらいがちょうどいいのかな?」

みさき「私ですか?」

恒子「じゃあ、一回やってみよう!」

晴絵「へ?」

えり「福与アナ……じゃなくて、こーこちゃん! また無茶ぶりを……」

良子「いいんじゃないですか? 赤土さんは知識も観察力もありますし、話す方もお得意ですから解説も上手そうです」

晴絵「え? なんでハードル上げるの?」

はやり「イメージトレーニングも大切だよっ☆ 」

晴絵「えっ? これやってみる感じですか?」

みさき「では、今年の団体決勝戦の想定で……」


みさき「……さて、始まりましたインターハイ女子団体決勝戦。 解説は赤土プロをお迎えしております。 よろしくお願いします」

晴絵「よろしくお願いします」

みさき「赤土プロは10年前のインターハイに、奈良県代表阿知賀女子の選手として出場しており……」

良子「そういえば、最初はプロのプロフィール説明がありましたね」

裕子「ちゃんと赤土さんのプロフィールチェックしてたんですね、村吉アナ」

えり「勤勉なのはいいことです」

みさき「準決勝では現在プロとして活躍している小鍛治プロ、瑞原プロ、野依プロと対局し無様に敗退しました」

晴絵「その言い方は酷いだろ!?」

みさき「では、先鋒戦について赤土プロの見解をお聞きしたいのですが……」

晴絵「……はい。 阿知賀の松実選手、清澄の片岡選手、臨海の辻垣内選手……みんな高い実力の持ち主ですがやはり宮永選手がひとつ抜けています。 準決勝に引き続き、三者がいかにして彼女を止めるかという戦いになるでしょうね」

みさき「そうですか。 準決勝と同じような展開に……退屈ですね」

晴絵「選手たちは真面目にやってるんだぞ!?」

みさき「では、注目の選手は……」

晴絵「……そうですね、昨年三位の辻垣内選手は宮永選手へのリベンジにも燃えているでしょうし、実力的にも彼女に一太刀浴びせるとしたら彼女になるでしょう。 他家のコントロールも巧い選手です……高い火力を持つ松実選手や片岡選手を利用して場の流れを支配する展開も充分に考えられますから、鳴きによる仕掛けなどには注目して……」

みさき「話が長いです。 簡潔にお願いします」

晴絵「……辻垣内選手が宮永選手をいかにして追い詰めるかに注目ですね」

みさき「ありがとうございます。 ……片岡選手、ポンです。 仕掛けが入りましたね」

晴絵「片岡選手は準決勝から火力よりも速度を重視する傾向が見えていましたから……」


――――――



みさき「どうでしたか?」


晴絵「佐藤アナがいいです」


普通が一番です


カン!

村吉さんとか実は好きでした
それと三尋木プロとか、シノハユや本編で情報が追加されたら今までの投下分の人間関係等は引き継ぎますが、設定には寄せるつもりですので多少ズレが出てもその辺はご容赦を…

リッツもアニメで佐藤アナ見て何でこの人スーツの胸開けてるの?と思ったらしいが送った設定見たらそういう指定だったとか
忘れてんじゃねーよw

>>859立先生疲れすぎですわ…佐藤アナの露出にはスレ的にはあえて触れない方針。もっと凄い子たちがいるから仕方ないね

フライングだけどしずたんイェイ~
間に合わないので涙をのんでスルー。次回は>>825ジャージ組予定中です。しず
もしくは灼ちゃん誕生日で!一週間あれば間に合うかな?登場キャラ等希望があれば募りたい所存~

イベント物はスレ時空の問題で本編の夏以降の時間軸…つまりこの時期だと灼玄三年、あこしず二年、宥姉が大学一年になりますがご容赦を

こんばんは! あらたんイェイ~
投下していきますー


玄『あっ』

灼「……なに?」

玄『ほら、日付回ったから……灼ちゃん、お誕生日おめでとう!』

灼「ああ……ありがと」

そういえば、明日……というか、今日だったか……ついこの間穏乃のお祝いをしたというのにすっかり忘れていた

ひとつ学年も上がって、ハルちゃんもプロチームと無事に契約して学校を去り……阿知賀女子麻雀部部長として、しっかりしないといけない

そんな気持ちから自分自身のことが多少疎かになっていたのかもしれない

新しい顧問の先生も麻雀にはあまり詳しくないみたいだし……ただ、インハイで結果も出したしハルちゃんのこともある。 学校全体で麻雀部を応援してくれている……しっかり今年も結果を出したい

まずは部員の勧誘から……うん、こう考えるとやっぱり去年の清澄と似ている環境だ。 また竹井さんに相談してみようか……

玄『灼ちゃん?』

灼「あ、ごめ……」

もともと、玄とも勧誘をどうするかって話をしてたんだった……急に誕生日とか言われて忘れてた

だってちょっと……いや、かなりうれしかったし

玄『ねえねえ、灼ちゃん』

灼「なに?」

玄『私が一番だったよね?』

灼「……なにが?」

玄『お誕生日のお祝い!』

灼「うん」

玄『やったぁ!』

灼「……なにがそんなにうれしいの?」

玄『だって、一番に灼ちゃんにお祝い言えたから! 親友だもんね!』

灼「……そか」

玄『そうだよ~』

なんだ、もう……アレだな。 恥ずかしい子だな、玄は。 いや、こっちが勝手に恥ずかしがってるんだけど

……ハルちゃんが麻雀から離れたのと同時に私も麻雀から離れて、玄とも少し疎遠気味になってた時期があったけど……それでも誕生日のお祝いは毎年言いに来てくれたっけ

よく覚えていたものだと感心してたけど……親友とか言われると、なんか、恥ずかしくなってきた

玄は、いい子だ。 本当に。 ……親友だし、よく知ってる


玄『あ、灼ちゃん! ちょっとお電話かわるね?』

灼「ん」

宥『灼ちゃ~ん』

灼「宥さん、こんばんは」

宥『こんばんは~お誕生日おめでとう~』

灼「ありがとうございます……大学の方はどうですか?」

宥『うーん……まだよくわからないけど、うまくやっていけると思うよ。 知り合いがいてよかったよ~』

宥さんは、大阪の麻雀がけっこう強いらしい学校に進学した……らしいというのは、単純にインカレの方はあまり知らないというだけだ。 宥さんが頑張るんだし、これからは少し調べてみようか

……話を戻すと、キャンパスの方で千里山……元千里山か。 園城寺さんと出会ったらしい

インハイで活躍したものの、体調の問題でその後の大会は出たり出なかったりで安定せず、プロはいったん諦めてとりあえず大学でのんびりやる……なんて話を二条さんや清水谷さんから……宥さんや穏乃経由で聞いていたけど、まさか宥さんと進学先が一緒になるとは思わなかった。 これも縁ってやつかな?

宥『そういえば、明日……今日? の、お昼からだよね?』

灼「はい……照さんたちの、プロデビュー戦」

宥『灼ちゃんも見に行くんでしょ? 会場で合流できるかな~』

4月に入ってプロリーグも開幕し、新人プロたちも出場機会が出てくる

照『試合に出れそうだから、予定が合えば見に来て』

そんなシンプルな手紙と一緒に大阪会場での観戦チケットが1枚届いたのは先週のことだ

……その2日後にやえさんから連絡が来て、チケットを3枚ほど追加で送ってくれた

やえ『……人数分用意できなくて悪かったわね』

そんな風に言っていたけど、ちょうどよく……と言ったら変になるが宥さんは園城寺さん繋がりで、対局が組まれている別チーム所属の江口セーラさんからチケットをもらえたらしい。 園城寺さんと一緒に観戦に行くそうだ

やえ『私の出場機会はまだ先になりそうだけど、見に来てやってよ。 あんたの誕生日だから絶対勝つって、張り切ってたから』

そんな風に言われると見に行かないわけにもいかない

せっかくの仮入部期間に一日とはいえ学校を空けてしまうのは問題かもしれないが、これも勉強の一環だ。 遊びに行くわけじゃない

……遊びに行くわけじゃないから!


玄『小走さんがチケットくれたんだよね? ちゃんとお礼言わなきゃ……あ、でも会えるかなぁ?』

宥『試合後なら少しぐらい会えるんじゃないかなぁ』

玄『試合後だとミーティングとかもあるかもしれないし……』

宥『でも試合前に行くのは無理だよぉ……玄ちゃんたちは学校もあるし……』

学校をサボるのはさすがに……だもんね。 授業が終わってからだと……中堅戦ぐらいには間に合うだろうか?

玄『それにしても、なんだか変な感じだよねぇ……夏に打った人たちがもうプロになってるなんて』

灼「それは、たしかに……」

宥『知り合いも多くて誰を応援するか困っちゃうねぇ』

灼「そうですね……みんなにお世話になってるし……」

照さんとやえさん、江口さん、洋榎さん、それに弘世さ……弘世さん

多くの知人がプロ入りしたので当然と言えば当然だけど、よくも今回これだけ集まったものだ

……弘世さん、これから人気出たら世間的に弘世様が定着しちゃうんじゃないだろうか

いや、大宮だしはやりんみたいな呼び名で定着するのだろうか

…………すーみん、とか?

まあいいや、なんでも

正直、あだ名よりもみんなにどんな称号が付けられるかの方が気になる

『Grand Master』とか『The Gunpowder』とか、カッコいいの付くんだよね。 誰が命名してるのか知らないけど

なんだろう、アレかな? 『光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士』とか、そういう感じかな?

あ、弘世さんはそのまま『Sharpshooter』かな?

まあ、この話も今のところはどうでもいい……とりあえず、今回は照さんを応援させてもらうとしよう。 試合のチケットも頂いてしまったことだし、やえさんも同じチームだから一番縁も深いし……そもそも、直接対決が起こることもそうそうないだろうし、要所要所で知り合いを応援すればいいだろう

宥『灼ちゃーん』

灼「……はい」

宥『私、明日は朝一番で園城寺さんと一緒に会場行くから、今日はそろそろ寝ちゃうね~』

灼「わかりました……おやすみなさい」

宥『おやすみ~』

玄『おやすみ、お姉ちゃん』


灼「……玄はまだ寝ないの?」

玄『だって、勧誘とか、そういうお話も途中だったし……』

灼「……もう眠いでしょ?」

玄『……眠くないよ?』

灼「……今、欠伸したでしょ」

玄『してないよ? ……してないよ?』

灼「いいよ、無理しなくて……私も眠いし。 また明日考えよ」

玄『ん……うん、わかった。 ……ふぁ』

灼「やっぱり欠伸した」

玄『えへへ、ほんとはちょっぴりおねむだったのです……それじゃあまた明日ね、灼ちゃん』

灼「ん……おやすみ、玄」

玄との通話を切ると、いくつかメールを受信していることに気づく

穏乃に憧に……他にも、夏のインターハイで知り合った人たちから

『誕生日おめでとう』

それだけのことなのに、すごくうれしく感じる

穏乃も憧も、明日学校で会うんだからその時でもいいのに……

ニヤニヤしてる自分がちょっと気持ち悪いな、なんて考えながらみんなに返信をして、ひとまずベットに入った

テンション上がっちゃって、子どもか、私は

灼「……あ、ハルちゃんも…………」

プロ入りして、私に構ってる暇なんてないだろうに……

灼「……ふふふっ」

単純に明日の試合が楽しみなのもあるけど、本当にうれしくて、うれしくて……

……ちゃんと眠れるか、心配だ


――――――

憧「あ、灼さんおは「灼さーーん!!」しず、声でかい!」

灼「おはよ」

穏乃「おはようございます! お誕生日おめでとうございます!」

憧「おめでと! せっかく大阪まで行くし、また服とか買ってく?」

灼「ありがと……試合、最後まで見たらたぶんそんなに時間ないよ?」

憧「むぅ……やっぱり? ご飯食べて帰ってくるようかなー」

穏乃「まあいいじゃん! おいしいもの食べて帰ってこようよ! 今日は奢りますよ! 奢り!」

灼「いいよ、気持ちだけで……この前新しいジャージ買ってたし。 キツいでしょ?」

穏乃「いや、それでも灼さんの方が大切……」

憧「ちょっと待ったぁ!」

穏乃「う?」

憧「えっ? ……え? またジャージ買ったの……?」

穏乃「奮発していいの買っちゃった! ほら、新年度だしジャージも新しく心機一転! 頑張ろうかなって……」

憧「もっとちゃんとした服を買いなさいよ!?」

穏乃「ちゃんとしたジャージ買ったよ?」

憧「だから……あーもう!」

このやり取り、いつまで続くんだろうか

憧も諦めずによくやるものだ……

灼「……あまり騒ぐと目立つよ?」

憧「っ……と、まあいいわ。 この件に関してはまた後でじっくりと……」

穏乃「あっ! 玄さん! おはようございまーす!」

玄「おはようみんな!」

憧「あ! ちょっとしず! 聞いてるの!?」

たぶん、聞いてないよ

そして、聞いてたとしても響いてないよ

灼「……とりあえず、今日の学校が終わったら駅に集合で」


――――――

電車に乗って大阪に向かう……対局の方はまだまだ点数も平らで、じっくりと進んでいるようだ

ネットで配信されている対局の様子を、早回しで先鋒戦からチェックする

憧「瑞原プロ、さすがに先鋒戦で振り切れなかったかー」

穏乃「野依プロはやっぱり守備固いもん」

灼「やっぱり三尋木プロ稼ぎすぎ……」

玄「あ! 次鋒戦、弘世さ……弘世さん出てるね!」

灼「……フリフリの衣装着てるね」

憧「……大宮のユニフォーム、はやりん寄りだからね」

穏乃「あ、振り込んだ! うーん……弘世さ……弘世さんといえどもプロ相手だとキツいかなぁ……」

憧「でも……これ! 南2と南3で狙い撃ち決めてる!」

玄「神戸と大阪から取り返してトントンかな?」

今日の前半戦は大宮から瑞原プロ、神戸から野依プロが出場しており、かなり盛り上がったようである

瑞原プロからバトンを引き継いだ弘世さんは今のところは微失点と言ったところだが……まあ、プロ一戦目でこれなら全然いいんじゃないだろうか

得意の狙い撃ちも決めているし、自分の武器が通じるということでむしろ自信になったんじゃないかな……

憧「あ、速報! 横浜がツモ和了りで次鋒戦終了!」

穏乃「あちゃー……弘世さ……弘世さん、ちょっとマイナスかぁ」

灼「多少は仕方ないよ……中堅戦、オーダーどうなってる?」

憧「速報……更新まだでーす」

玄「……ん、もしもし? お姉ちゃん?」

穏乃「宥さんですか?」

灼「現地からリアルタイム中継……」

憧「宥ねえ! オーダーは!?」

宥『今、こっ……い盛り……よ~』

電話口からは、歓声でかき消され気味の宥さんの声が聞こえる

どうやら、相当な盛り上がっているらしい


玄「うん……うん……大阪の中堅が洋榎さんで神戸が江口さん!?」

憧「ほんとに!? ライバル対決か!」

穏乃「愛宕プロ……お母さんの方も! たしか大阪で中堅だったよね!?」

それは、盛り上がりそうだ……大阪は最近低迷気味だったし、今季オフで以前エースだった愛宕プロの娘、洋榎さんを獲得したことでかなり戦意を上げていた

洋榎さんは小学生時代から全国大会で結果を出しているし地元開催の試合だ。 ここで当ててきたのはまあ当然とも言えるだろう

そして、神戸。 同じ関西圏から名門千里山で二年生からエースを張っていた江口さんを獲得している。 チームの顔の野依プロが堅守を売りにしていることから火力の高い江口さんを引っ張っていったんだろうと言われているが……

……大阪と神戸は、どうも互いにライバル意識が強いらしい。 互いに大阪の名門校である姫松・千里山からエースを引き抜いてきているわけだし、どっちがより良い人材を獲ったか白黒つけたいんだろう

単純に地元の期待の星であるふたりのライバル対決だ。話題にもなる

穏乃「見たい見たい! 間に合うかな!?」

憧「騒いでも電車は早くならないって! 恥ずかしいからおとなしくしててよ、もう……」

灼「……後半戦には間に合うんじゃないかな、たぶん」

玄「うん、うん……わかった。 ありがとうお姉ちゃん」

憧「切れた?」

玄「うん。 なかなか聞こえないし……状況動いたら教えてくれるって~」

穏乃「うー……待ちきれない! テンション上がってきた!」

憧「だーかーら、やめろっての!」

穏乃「あうっ」

玄「ふたりとも! 仲よくしないとダメだよ~」

……仲いいな、この子ら。 小学生みたいになってるけども


会場の最寄り駅に到着した時点で、前半戦は南3局……横浜の選手が速攻で安手を江口さんから出和了りしたところだ

穏乃「ああっ! セーラさん振っちゃった!」

憧「江口セーラなら2900ぐらいすぐ取り返すっしょ」

灼「……この映像見る限り、洋榎さん確実に煽ってるよね」

玄「……まあ、あのふたりも仲いいし平気なんじゃないかな……?」

憧「平気ではないでしょ……前々からのことだけど、プロなら模範になるべきじゃないの?」

灼「たしかに……」

そんな会話をしながら、会場まで軽く駆け足で向かう……後半戦の開始には間に合うな

穏乃「見えたっ! 会場!」

憧「スピード上げないっ!」

灼「……じゃ、私はここで……」

玄「え!? 灼ちゃん見に行かないの!?」

灼「そうじゃなくて……みんなのはやえさんが用意したけど、私のは照さんが用意したから……」

憧「あ、観戦席……」

灼「わりと遠い」

玄「そんなぁ……」

どうせモニター観戦なんだから席なんて自由でいいと思うんだけど、プロの試合ともなるとそうはいかないらしい……まあ、安全管理の問題とかもあるんだろうし仕方ないけど

穏乃「……残念だけど、仕方ないですね……」

灼「ふたりともそんなに落ち込まなくても……」

玄「だって、せっかくだし一緒に見たかったよ……」

憧「試合終わればすぐ会えるんだし我慢しなさいよ……そもそも小走さんがチケット送ってくれたから私たちも来れたんだし……」

灼「……残念だけど、また後で」

穏乃「うー……よしっ! 応援頑張りましょうねっ!」


3人と別れて自分の観戦席に向かう……まあ、こればっかりは本当に仕方ないんだけど……ひとりで観戦か……

灼「…………ちょっとさびし……」

最近……いや、夏ごろ……ううん、麻雀をまたはじめてからかな

ハルちゃんが麻雀を棄てて、それに拗ねて、ちょっとひねくれて……なんとなく人と距離を置くようになって……

友だちはいたけど、素直に、仲よくしたりなんかはできなかったように思う

それが、また玄と一緒に過ごすようになって、宥さんとも昔みたいに話すようになって……穏乃と憧とも仲よくなって……

県大会でやえさんをはじめとした晩成の人たちと

東京に出る途中に千里山の人たちと会って……清澄のみんなや憩さんたち、他にもたくさんの人たちと出会って……ひとりで過ごす時間はほとんどなくなって

昔は、別にひとりでもなんともなかったのになあ……

……ちょっと感慨深い。 麻雀やっててよかった、なんて思ってみたり

咲「あっ、灼ちゃん」

玉子「遅かったであるなあ」

灼「今日は授業があったから……」

玉子「照の出番に間に合ってよかったのである!」

咲「お姉ちゃん、ここまで出番ないとたぶん大将だねー」

灼「そだね……」

灼「ん?」

玉子「どうかしたのであるか?」

咲「どうしたの?」

灼「咲と、玉子さん!?」

玉子「ずいぶんと久しぶりであるなあ」

咲「たまに電話はしてたけど、顔合わせるのは久しぶりだよねー」

灼「いや、そうだけど、そうじゃなくて……」


灼「……照さんに呼ばれたの?」

玉子「うむ! デビュー戦だから是非と言ってチケットを送ってくれたのである! お陰で四月早々に学校をサボってしまったのである……」

咲「あはは……私も今日はサボっちゃいました……お姉ちゃんが絶対来てって言うから……」

灼「……そか」

なんだ、もう……それならそれで照さんも最初から教えてくれればいいのに……ああ、1枚だけだったのもこっちの分取ってたからか……

そんなことより……まず、疑問がひとつ……いや、ふたつ

灼「ふたり、知り合いだったっけ?」

玉子「初対面である!」

咲「お姉ちゃんが友達呼んでるって言ってたから……えへへ、玉子さんいい人だからすぐに仲よくなれたよ」

灼「……そう」

……咲には伝えてたのか。 なんだろう、これは……ああ、照さんだしな。 たぶんサプライズの一巻とかなんだろう

……それじゃあ、最大の疑問

灼「……咲、ひとりで来れたの?」

咲「まさか! お父さんと一緒に来たよ?」

灼「ああ……それは、まあそうか」

デビュー戦だから、ってチケット送ったなら家族全員に届くよね、そりゃあ

そもそも、咲がひとりで大阪まで来れるわけないし……咲も今暗に認めてたし

灼「……そっちの空き席?」

咲「うん、お父さんとお母さんの席。 お姉ちゃんの出番まで外で話してるって」

灼「……よかったね」

咲「うん!」

詳しくは、結局聞いてないけど……また家族みんなで仲よく暮らすんだって、咲は夏にそう言ってた

照さんが関東のチームと契約したからそうはいかなかったみたいだけど……それでも、家族仲は良好になってるらしい

……本当に、よかった


咲「あ……そういえば、灼ちゃん」

灼「なに?」

咲「お誕生日おめでとう」

玉子「おめでとう!」

灼「……ありがと」

咲「本当は、昨日の夜のうちにメールしようと思ってたんだけど……ちょっと、よくわからなくって……」

灼「……大丈夫。 届いてたよ、空メール」

努力は伝わってきた。 努力は。

……夏の終わりにスマホ買ったって言ってたと思うんだけど、いまだに使い方がわからないのか……

玉子「私もそうしたいのはやまやまだったのであるが……照がサプライズだと言っていたのでな! どうせなら直接言おうと思ったのである!」

灼「わざわざ、ども……」

玉子「なぁに、直接言われた方がうれしいであろう? 今度食事でも奢ってやるのである! なんでも好きなものを言うとよいぞ!」

灼「……夏にそれを言って照さんが…………」

玉子「…………灼、すまん……さすがにアレの二の舞はノーである……」

灼「お気持ちだけで充分……」

咲「すみません、お姉ちゃんがご迷惑を……」

玉子「なに、咲が気にすることでもないのである! 」

灼「……でも、それとなく言っといた方がいいよ。 照さん、さすがにちょっとおかし食べすぎだと思……」

咲「だよね……」


なんて、そんな話をしているうちに対局は進み中堅戦も終了した

……収支は江口さんの方がプラスだけど、洋榎さんの大阪が一位キープしてるんだよなぁ……あ、なんかまたもめてる

いや、じゃれてるのか

洋榎さん、もうちょっとなんとかならないのか……昔からああいうコミュニケーションの取り方してるんだろうけど……それこそ憧の言ってた通りプロなんだから

というか、インハイの時から思ってたけど……中継のカメラって試合の合間とか撮るとこないのはわかるけどさ、関係ないところ映しすぎだよね

去年の夏の県大会とか……晩成が敗退したあとにやえさんが巽さんと抱き合ってるの撮られてて後から顔真っ赤にして怒ってたし

咲「……副将戦まで何分ぐらいあるっけ?」

玉子「10分休憩である!」

咲「わ、私ちょっとおトイレ行ってきます」

灼「……ひとりで行ったら帰ってこれないでしょ? ついてく」

咲「べ、別にひとりでも……」

灼「ほんとに?」

咲「……お願いします」

……なんで毎回こういうときにちょっと強がるのか。 別に迷惑だとも思ってないのに……

玉子「ふーむ……それでは、これでなにか飲み物でも買ってきてほしいのである!」

灼「あ、はい……」

ポンと渡される千円札

玉子「お釣りで好きなものを買ってきてよいぞ~」

咲「え、でも、ちょっともらいすぎじゃ……」

玉子「?」

灼「……ありがとうございます。 飲み物、なんでもいいですか?」

玉子「よきに~」


咲「いいのかな、こんなにもらっちゃって……」

灼「玉子さん、ああいう人だから」

咲「……もしかして、この調子でお姉ちゃんに……」

灼「……照さん、ほんとに遠慮しないよね」

咲「恥ずかしいなぁ……」

それにしても、玉子さんのああいうとこは先輩っぽいな。 器が大きい感じする。 千円だけど

……私もやってみようかな。 下のふたりにおつかい頼んでみたり……



灼『穏乃、憧、おつかい頼んでもいい?』

憧『えー』

穏乃『まかせてください!』

灼『てきとうに、飲み物を……』

玄『お茶淹れようか?』

灼『……えと、ジュースを…………』

玄『そっか! じゃあ私が行ってくるからみんなで練習しててよ!』

灼『……これ、お金』

玄『いいよいいよ、ジュースぐらい私が出すから!』

灼『いや、そういうわけには……』

玄『いってきまーす!』

灼『あ、ちょっと……』

……そもそも穏乃と憧のふたりをおつかいに行かせること事態無理なんじゃないか?

…………まあいいか、そもそもキャラじゃないし


灼「……じゃ、売店で適当に買ってくるから。 用が済んでも動かないで待ってて。 迎えに来るから」

咲「え、でも」

灼「待ってて」

咲「……はーい」

灼「よろしい」

咲がお花を摘んでる間に買い出しに……時間があるなら待っててもよかったけど、休憩時間短いしね

咲と歩いてたら間違いなくいつの間にかはぐれて迷子になるし……これって、方向音痴とかそういう話じゃない気もするんだけどどうなんだろうか

玉子さんと、咲と、自分の分の飲み物と……適当にみんなで食べられるおかしでも買っていこうか

「鷺森灼?」

灼「?」

浩子「ああ、やっぱり……松実宥さんが来とるって言うとったんで」

絹恵「久しぶりやね! 灼ちゃん!」

灼「あら、ども……今日は洋榎さんの応援?」

浩子「いや、セーラの応援ですわ……あのアホ、チケット代ケチりよったんで」

絹恵「あはは! まあ、お姉ちゃんらしいわなぁ……さっきもまたセーラさんとじゃれとったし、朝はちょっと固かったけどあんま緊張せんでいけたみたいや」

浩子「そういう点ではラッキーやったな。 顔見知り相手で落ち着いたみたいやし」

灼「なるほど……」

洋榎さんでも緊張とかするのか……まあ、元プロの母親のこととかもいろいろあるだろうし当然か

……宥さんの名前が出たと言うことは、たぶん一緒の席を取ってあるんだろう。 江口さんに用意してもらったって言ってたし……宥さんと園城寺さん、絹ちゃんと船久保さん……この面子だと二条さんも来てそうだ。 宥さんとも仲がいいし


浩子「ああ、そういえば鷺森さんお誕生日ですよね? おめでとうございます」

灼「……ども」

……宥さんに聞いたのかな?

絹恵「え? そうなん? 言ってくれたらなんか用意しとったのにー」

灼「そんな気にしなくても……」

絹恵「あ! じゃあ、とりあえずこれ! 今買ったたこ焼きあげるわ! まだ手ぇつけとらへんし!」

灼「そんな、気持ちだけで充分……」

絹恵「ええからええから! こっちはなんかあげたいんやもん……友だちなんやから遠慮せんでよ」

灼「……ありがと。 いただきます」

絹ちゃんは礼儀正しく義理堅い。 同い年なのにすごくしっかりしてるし……身体も……

……まあ、気にしても仕方がない。 この体型じゃないと着れない服もあるし……揺杏だって素晴らしい個性だって言ってたし……うん、気にしてない。 気にしてないぞ、うん

絹恵「にしても浩子ちゃんよく灼ちゃんの誕生日なんて知っとったなぁ……私聞いたことなかったわー」

浩子「インハイ前に散々情報収集したから覚えとったんや……頭に入れたデータはいつでも引き出せるようにしとかんと意味ないやろ?」

クイッと眼鏡を持ち上げてニヤリと笑う船久保さん

今年、県予選で晩成を破れば彼女の率いる千里山とも確実に戦うことになる……去年はこちらのデータが少ない状況で全国に臨めたけど今年はそうもいかない。 辛い戦いが続くだろう……

……船久保さんも絹ちゃんも友だちなんだけど、なんとなく船久保さんはライバルって意識が強い。 大会で直接打ったからかな?

負けたくないと、思う


絹恵「あ! そういえば一昨日は浩子ちゃんも誕生日だったんやで!」

灼「へぇ……おめでとう」

浩子「どうもです。 一足お先に18や」

絹恵「私は当分17や……なんかずるない? 18とか超大人な感じするやん?」

灼「男だったら結婚もできるしね」

浩子「女やから16で結婚できるけどな」

灼「……18禁コーナーにも」

浩子「入れんわ」

灼「……せやな」

浩子「せやせや」

絹恵「そう考えるとあんま変わらんなぁ」

浩子「実際、私と絹ちゃんでそんなに顕著な差なんてないやろ」

灼「…………そうだね、眼鏡キャラなのも一緒だし」

浩子「おう、胸見るのやめーや」

灼「……何も言ってないのに」

絹恵「こんなんあってもジャマなだけやで?」

浩子「絹ちゃん、それは持ってる側が言ったらアカンわ」

灼「持ってない側が言うのと少し意味合い変わってくるから」

絹恵「え? か、堪忍な……」


なんて、バカらしい話をしてるとポケットから振動……メールかな?

灼「ちょっと失礼……」



咲『』



灼「あ」

忘れてた。 やっぱり空メなのか。 というか電話した方が早いのに……電話の操作はできるはずだよね? 夏以降、咲からも電話はかかってきたし……

灼「……ごめ、ちょっと連れが…………」

浩子「ああ、すみません。 むしろこっちが引き留めてしまって……」

絹恵「っていうか副将戦も始まっとるやん! すっかり忘れてたわー」

浩子「ま、洋榎とセーラの出番は見れたしちょっとぐらいええやろ」

絹恵「一応録画もしてきたしな! お姉ちゃんのデビュー戦やし!」

浩子「恥ずかしい結果にならんくてよかったな」

……なんだかんだ愛宕一族で仲いいんじゃないか。 そりゃあ、悪いだろうなんて思ったこともなかったけど

灼「……じゃ、また」

浩子「ええ。 春期では会えなかったしな……しっかり人数揃えて来ぃや」

絹恵「今度はもっと時間に余裕あるときに大阪来てぇや! あ、なんなら試合終わったらお姉ちゃんたちに会い行くし時間あるなら連絡ちょうだい!」

灼「ん……ありがと」

互いに大きく手を振って別れる……とりあえず、咲が移動していないことを祈りながらお手洗いに向かった


灼「……咲」

咲「あ、灼ちゃん!」

灼「ごめん、待たせちゃって……副将戦も始まっちゃってるし……」

咲「うぅ……置いていかれちゃったかと思ったよ……」

本当に、これは申し訳ない……咲を放っておいて別の友だちと話してたわけだし

……咲、ちょっと泣きそうだし

灼「……ごめんね」

咲「……大丈夫だよ、灼ちゃんちゃんと来てくれたし」

咲「……それよりもさ! 私、頑張ったんだよ! ちゃんとメールできたでしょ?」

灼「…………来たよ、空メール」

咲「えぇ!? おかしいなぁ……ちゃんとできたと思ったんだけど……」

……何をどうやったら送信するときにメールが白紙になるんだろうか

まあ、福路さんなんかは機械に触ると爆発するらしいしそういうこともあるっちゃあるのかもしれない

……いや、ないって。 おかしいよ、両方。 特に福路さんは

咲「……はいっ! メール送ったよ! 今度こそ……」

灼「…………」

咲『』

灼「……できてないけど」

咲「あれっ? 本当に……? 変だなぁ……」

……まあ、かわいいからいいか

灼「よしよし、いいこいいこ」

咲「むー……背伸びしてまで撫でないでよ……」

……咲、意外と大きいよね。 いや、私が小さいんだけど


玉子「灼、咲……」

咲「ごめんなさい、副将戦始まっちゃってますね」

灼「玉子さん、すみません……お待たせしてしまって。 お茶ですが、どうぞ」

玉子「うぅ……寂しかったのである……もしこのままふたりが帰ってこないうちに咲と照の親だけ帰ってきてしまったらどうしようかと……」

それはたしかにキツい

友だちの親って、なんか距離感難しすぎるし……望さんにはよくしてもらってるけど、憧のお姉さんだしまたちょっと違うか

玉子「はぁ……ようやく少し安心できたのである……試合の方もよく知らないプロばっかりで……」

咲「ああ……私もあまり詳しくないから……お姉ちゃんのチームメイトも三尋木プロとやえさんぐらいしか知らないし……」

灼「……咲、やえさんと知り合いだったの?」

咲「ちょっと前にお姉ちゃんが友だちだって紹介してくれて……夏の個人戦で顔も知ってたし、二月三月辺りにお話もしたよ。 私、冬休みはお姉ちゃんのおうちにも行ってたから」

……ということは、照さんはやえさんを家に泊めてたのか。 バレンタインにそんな感じの話をしてた気がするし

それにしても、タイミング被らないようにスケジュール調整とかしないのか

……あ、いや、できないのか。 照さんだもんね……弘世さんも自分のことで忙しかっただろうし

……亦野さんがお世話やらされてたりしなくてよかった

玉子「どうせなら、やえも今日出番があればよかったのであるがなあ」

咲「ふふ、お姉ちゃんも一緒にデビュー戦したかったって言ってましたよ」

灼「ん……でも、新人ふたりを同時投入はかなりの冒険になっちゃうし」

玉子「いっそ照を先鋒にしてみても面白かったと思うのであるが……」

灼「野依プロと瑞原プロがいるし、それもね……」

咲「そのふたりの相手は三尋木プロじゃないと厳しいよね……」


プロの試合を楽しみに来た。 それは嘘じゃないんだけれども……こう、ずっと知り合いが試合に出ていただけになんとなくてこう、はっきり言うと退屈な感じだ

みんなそれほどプロに詳しいわけでもないのに、各選手の起用、運用についてあれやこれやと議論してみたりして楽しむ

結局、やえさんと照さんを使えって文句を言うだけなんだけれども

咲「あ、副将戦終わる?」

玉子「これ前半戦であるか? 後半戦であるか?」

灼「さあ……?」

途中から全然モニター見てなかった……せっかく来たのに、もったいない

まあ、照さんを見に来たんだから問題ないといえば問題はないんだけど

灼「……そういえば、もこは? 照さん呼ばなかったのかな?」

玉子「もこ、そんな人の一杯いるところは怖いから行きたくないってごねたらしいのである」

灼「……らしいっちゃ、らしいけど」

咲「もこって、対木もこちゃん? 国麻で打ったなぁ……」

玉子「もこは、ちょっと人見知りするのでな」

灼「照さん、構いすぎて何回か噛みつかれてましたよね」

玉子「懐かしいのである……」

咲「ふふ……もう、お姉ちゃんのことだからケーキとか顔にグイグイ押しつけたりしたんでしょ?」

灼「ん……私もやられたことある」

玉子「照ももこも、たいがい変なやつであるからなあ」

灼「それ、玉子さんが言う?」

咲「……灼ちゃんが言うの?」

……つまるところ、みんな変なやつなんだな


咲「……あっ! お姉ちゃん! お姉ちゃん出てきたよっ!」

灼「ふふっ……咲、はしゃぎすぎ」

玉子「おお……こうしてみると、やっぱり照はプロになったのだなあ……」

会場の大型モニターには、宮永照の姿。 会場のロードスターズファンたちも大いに盛り上がっている

インターハイ個人戦三連覇の英雄だ。 小鍛治健夜の後継たる新人として世間的にも注目されている

中堅戦、副将戦と勢いに乗られて押し込まれた横浜は現在4位、トップとの点差は34000点……高校の大会だったら余裕で逆転してしまったようにも思えるけど、今度の戦場はプロが相手だ。 果たしてどこまで通用するのか……

照『……ツモ、300・500』

咲「和了った! お姉ちゃんが和了ったよ!」

灼「ふふっ……もう、見ればわかるよ」

玉子「速い! さすがである!」



照『ロン、2900』



照『ロン、7700』



照『ツモ、4000オール』



灼「……照さん、すごすぎない?」

玉子「むむむ……桁違いなのである……」

咲「私のお姉ちゃんだよ! 私の!」

……ほんとにはしゃいでるな。 疎遠な期間が長かっただけに喜びも大きいんだろうけど。 かわいいな、くそっ

玉子「そんなこと言ったら、私の親友であるぞ!」

灼「そこ、張り合うの……?」

というか、そんなこと言ったら私の親友でもあるし……


結局連続和了はそれ以上続かなかったけれど、その後も細かく打点を刻んで逆転。 照さんは派手にプロデビュー戦を飾った

……洋榎さんは今までと変わらない堅実な守備と攻撃で互角以上にプロと渡り合ったし、江口さんも持ち味である高い火力を見せつけた。 弘世さんだって収支はマイナスになってしまったものの得意の狙い撃ちで流れを打ち止めにしたし、みんな新人としてはかなりの活躍をしたんだけど……その印象をかき消してしまう程の大活躍だ

咲「勝った! お姉ちゃん勝ったよ!」

灼「うん。 すごい……」

玉子「本当にすごいのである……」

言葉もない、といったところか。 すごすぎて呆然としてる

咲は座席でぴょんぴょんと跳ねてはしゃいでいる。 かわいい

咲「見た? 最後の和了り! こう、ぐわーって来てバーンって!」

灼「……とりあえず落ち着こうか」

子どもか。 自分も相当打てるのに、なんだその感想は

いや、私もテンション上がっちゃって拳とか思いっきり握りこんじゃってるけど

……ちょっと恥ずかし

玉子「む! モニター、ヒーローインタビュー! 照である!」

灼「……照さんが逆転したしね、当然」

咲「やったぁ! すごいすごい!」

だから咲は……いや、もういいか。 私もちょっとはしゃぎたい気分だし


『宮永選手、大逆転です! おめでとうございます!』

照『ありがとうございます!』

咲「お姉ちゃん! お姉ちゃんだ!」

玉子「照がしゃべった! しゃべっているのである!」

そりゃあ、会場MCのお姉さんがインタビューに行ってるんだからしゃべるだろう。 クララが立ったみたいに言わなくても……

それにしても、会場の歓声もすごい。 みんなテンション上がりっぱなしだ

三尋木プロがいるのに宮永照まで獲って……この活躍を見るとロードスターズは今季も安泰かな

照『自分の力がどこまで通用するのか不安もありましたが、同じチームの先輩方や支えてくれる友人、家族……なによりも応援してくださるファンの皆様のお陰で……』

咲「お姉ちゃん、すっごく緊張してるなあ……」

玉子「そうであるか? 昔からあんな感じでテキパキと取材には答えていたであろう?」

咲「それっぽいこと言ってるだけですよ。 嘘は言ってないんだろうけど、すごく……なんというか、明るくてハキハキしてて……普段と全然違うでしょう?」

灼「……正直、はじめて話したとき驚いた。 いつもニコニコしながら立派なこと言ってたし……」

咲「そういうものだって思ってたからなんじゃないかな? 高校の間はお決まりの文句をいくつか用意しておけば対応できたんだろうけど……今後メディアの前で話す機会も増えるだろうし、ボロが出ちゃわないか心配だなぁ……」

玉子「照は存外不器用であるからなあ……」

灼「麻雀の方の実力はあるし、多少話すの失敗しても大丈夫だよ」

咲「そういう問題じゃないけどね……っていうかお父さんとお母さん帰ってこなかったなぁ……ちゃんと見てるのかなあ」

灼「……私たちがいたから、気を遣わせちゃったかな……?」

玉子「むぅ……まあ、会場は広いし席に戻らずとも後ろの方で立ち見とかもできなくはないのである」

『それでは、会場のファンのみなさんに一言お願いします!』

照『チームが日本一になれるように精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします!』

……いつの間にやらインタビューも佳境になっていたらしい

照さんはそつなくこなして無難に締めたようだ


咲「あ、お姉ちゃん……ようやく終わったからホッとしたみたい」

玉子「……そうなのであるか? いつもの笑顔であるぞ?」

灼「いつもの作り笑顔だね」

咲「あはは……たしかに、取材の時とかいつもあんな感じだよね……ほら、お姉ちゃんの顔見てくださいよ ちょっと気が抜けてますもん……やっぱり苦手なんだな、ああいうの……」

灼「……とてもそんな感じには見えないけど」

……あんまりすごいんで直接話してないと忘れがちだけど、照さんもやっぱり私のひとつ年上の女の子なんだよね

普段はあまり口数も多くないし私が思ってるよりも大変で負担になってるのかもしれない

そして、きれいに締まったと思ったら……モニターの中でMCのお姉さんが慌てた様子でまた口を開く……たぶん、この人も新人なんだろう。 聞くべきことを聞き忘れて焦ったのかもしれない

……別に、そのまま終わっておけばこっちにはわからないのに

『宮永選手、プロ入り一戦目で大逆転の初勝利です! 今、この喜びを一番に伝えたい人は?』

照『灼、勝ったよ。 誕生日おめでとう。 ぶいっ』

『えっ?』

照『あっ』

照『……い、いや、違う。 今のは、アレ。 アレです。 その、ほら……あ、その、咲、違う。 す、菫、助け……あ、いや、菫はいないんだった、や、やえ……うん……えっと、えーと』

照『…………』

照『ありがとうございました! さよなら!』

『え、あー、その、宮永選手でした! ありがとうございました!』


ぶいっ。 じゃねーよ

あっ。 じゃねーよ

なにやってんだあの人……ピースサインとかいらないから

完全に放送事故じゃないか。 最後なかったことにして逃げてるし

というか、名前出されちゃったんだけど

玉子「……最後の質問、完全に素だったのである」

咲「終わったと思って油断してたから……なにも考えずにそのままポロっと言っちゃったんじゃないかな……?」

灼「…………」

玉子「……世間の今までのイメージ、完全に崩壊したのである」

咲「早速ボロが出るというか、ボロボロになったね……」

灼「…………」

咲「……大丈夫? 灼ちゃん」

灼「……ちょっと、名前呼ばないで」

咲「え……」

灼「違……その、目立つから」

咲「あ、ああ、そういうこと……そうだね、珍しい名前だしね」

玉子「……とりあえず、ここでボケッとしていても仕方がないのである。 照は試合のあとなら少しぐらい会えそうだと言ってたのであるが……」

咲「……今ので反省会じゃないかなぁ」

灼「……玄たちと合流しよっか」

咲「ああ、阿知賀のみんなで来てるんだ」

灼「ん……やえさんが人数分チケットくれたから」

玉子「では、私も挨拶ぐらいはしていくのである……早く戻らないと、明日も学校があるのでな」

灼「……日帰り?」

玉子「昨日の夜にこっちに来たので一泊二日である! まあ、さすがにこの時期からサボりぐせをつけてはいかんからなあ」

灼「……お疲れさまです」

玉子「いやいや、今日は楽しかったのである! 試合も、灼や咲と会えたのも満足であるぞ!」


――――――

穏乃「久しぶり、咲! お姉さん初勝利おめでとう!」

玄「……えっと、宮永さんすごかったね! 咲ちゃん!」

咲「久しぶり! ありがとうございます!」

憧「……ほんと、すごかったわ。 信じらんない」

咲「……あはは」

怜「おいしいなぁ、灼ちゃん」

灼「……おいしいんですかね」

絹恵「謎の人物『アラタ』って話題になってるで? SNSとかでもホットワードに……」

宥「灼ちゃんあったかーい?」

泉「ホット言うてもそういうことではなくってですね……」

浩子「んー……珍しい名前だし、誕生日まで割れてるとなるとすぐに特定されるんやないか? 去年のインハイから多少プロフィール出てるわけやし……」

灼「……勘弁してほし」

照さん、気を抜きすぎ……人前で緊張するのはわかるし、私もあそこから追加でなんか聞かれるとは思わなかったし

ただ、パッとアレが出た時点で……本当に、私のためにも勝つって思ってたんだと思うとうれしかった。 初試合でもっと他にも考えることあっただろうに……

まあ、それとこれとは話は別なんだけど

絹恵「……あ、ちょっとごめんな、電話……お姉ちゃんからや!」

咲「え、お姉ちゃん?」

絹恵「あ、こっちのお姉ちゃんで……」

咲「あ、そうですよね……私に電話来たのかと思ったよ」

怜「お姉ちゃんお姉ちゃんややこしいなぁ、お姉ちゃん」

宥「ややこしいねぇ」

玄「お姉ちゃんもお姉ちゃんだからややこしいよぉ」

憧「ややこしいからあんたも黙ってなさいよ、玄」


絹ちゃんが電話を始めると、外野が何故かお姉ちゃん談義で盛り上がり始める

……そういえば、船久保さんから見ると洋榎さんは従姉妹だしお姉さんみたいなものなのかな……?

灼「…………」

浩子「……? ああ、特にそういう感じでもないですよ。 あいつアホやし。 世話焼いてやってるぐらいですわ」

灼「……ま、その方が想像つくかな」

……なんだかんだでお姉さんしてる洋榎さんも想像つくんだけどね

絹恵「灼ちゃん、はいこれ」

灼「ん?」

洋榎『おう、灼! 今日はうちの応援にわざわざ来てくれてどうもな!』

灼「……あ、はい、ども」

なんか、そういうことになってるらしい。 たしかに応援はしてたけど……まあいいか

洋榎『いやあ、堅実で華麗な打ち回しで話題をかっさらう予定だったんやけどな? 宮永が逆転とかしたせいで霞んでまうわ……中堅ってのはそういうとこは損やな。 後から出番来た方がそりゃあ印象にも残るってもんや……まあ、それでもうちの力をもってすればそのうち麻雀といえば愛宕洋榎って時代が来るんやけどな!うちの打ち筋は玄人好みなんや! 真の麻雀好きは宮永みたいなのよりうちの方が好きやねん!セーラの奴もボコってやったしある程度は満足だわ! あ、宮永と言えば自分おいしいなぁ? 全国ネットで名前まで出されて……誕生日やって? おめでとな! 今からミーティングやから特になんもできんけど浩子にでもたかっといてくれてええから……』

……相変わらずよくしゃべる人だな。 口を挟むタイミングがない

洋榎『んじゃ、そういうわけで! じゃな!』

灼「あ」

切られた

随分と一方的なコミュニケーションだったな

絹恵「お姉ちゃん、なんやって?」

灼「……なんかいろいろ言ってたよ」

絹恵「あはは、ごめんな? なんだかんだでお姉ちゃんも緊張しててん……チームは逆転されたけど結果はよかったから安心したんやろなあ」

浩子「セーラにちょっかいかけてなんとか平静を取り戻した感じでしたからね……ほい、鷺森さん」

灼「……なに?」

浩子「電話。 セーラや」


いつの間に電話なんか繋がったんだろうか……まあ、気にしても仕方がない。 代われと言うなら代わっておこう

灼「……もしもし」

セーラ『おう! 鷺森、誕生日おめでとさん! 』

灼「ありがとうございます」

セーラ『これからミーティングあんねん、たいして話もできんけどな……どやった? 区間トップや! 洋榎のやつ捲ってやれんかったのは無念やけどな』

灼「よかったですよ。 持ち味の火力、活きてたと思います」

セーラ『そやんな? 俺の火力も捨てたもんやないやろ? 大阪、俺と洋榎のどっち獲るかで散々悩んだらしいからな……神戸で活躍しまくって洋榎より俺を獲っとけばよかったって思わせたるねん。 プロ入りして目標が一個増えたわ』

……江口さんは、ちゃんとこっちと話しをする気があるみたいでよかった

セーラ『……なあ、宮永やらかしとったが大丈夫か?』

灼「……さあ、まだどうなるんだか……照さんの方はいろいろと不味そうですけど」

セーラ『そらそやな! あいつも大概やで……竜華もやらかしタイプだしいろいろ心配になってきたわ……俺も怜も、浩子も付いてやれないからなぁ』

清水谷さんも、プロ入りしている。 今週中には出番があるだろうと言われているがどうなるものやら……

セーラ『ああ、怜と言えば元気にやっとるんか? 最近直接会えてないねん……仕方ないんやけどな。 学校の方で宥姉ちゃんと一緒になってよかったわ……なんだかんだで俺も竜華もずっと一緒で離れるの初めてで不安なんや。 過保護にし過ぎな気もするんやけどな』

灼「ん……だいじょぶだと思います。 宥さんも園城寺さんと一緒になって安心したみたいで……麻雀部にもふたりで入って楽しくやってるみたいですよ」

セーラ『そうか! 鷺森の目から見ても楽しそうなら大丈夫やろな!』

……どうも、かなり信用してもらえてるらしい。 かなりうれしかったりする

セーラ『ああ、そんでな……『セーラ!』 あ、はい! すんません! 今行きます!』

灼「……今のって」

セーラ『おう、野依プロや! いや、あの人あんま喋らんから……うぉ、ちょ、テンション上がってきたわ! 声かけられてもうた! すまんな! じゃあ行ってくるわ!』

灼「お疲れさまです……」


浩子「……なんや、セーラの奴浮かれてませんでした?」

灼「……野依プロに声かけられてた」

浩子「はぁ……チームメイトなのにそんなんか……まあ、あの人相当の口下手やしそんなもんなんかなぁ」

咲「いやいや、うちのお姉ちゃんはそんなもんじゃないですよ!」

絹恵「いや、うちのお姉ちゃんかて……」

玄「おもちならうちのお姉ちゃんが一番……」

怜「うっへっへ……たしかに、お姉ちゃんは竜華に負けず劣らずええ体しとるよなぁ……」

宥「く、くろちゃー……園城寺さんも……」

浩子「ああ、あっちの話か……何事かと思ったわ」

今度は姉自慢大会になってるらしい……変態ふたりは自重しろ。 宥さん困ってるじゃないか

憧「……灼さん、携帯鳴ってるよ?」

灼「あ……ごめ、ありがと」

試合後すぐでこの辺りはまだまだ人が多い……気がつかなかった

やえ『照がやらかしたからちょっと会えなそう。 ちゃんと説教しとくから安心して帰りなさい』

……まあ、そうなっちゃうか

灼「……照さんとやえさん、会えなそうだって」

穏乃「えぇー! ……まあ、仕方ないかあ……プロともなると、今日の試合の反省会とかもみっちりやるんだろうし!」

灼「……そうだね」

そういうことにしておこう。 穏乃にとってはふたりは(直接のではないけれど)かっこよくてしっかりものの先輩らしいし、夢を壊してはいけないだろう

咲「うぅ……お姉ちゃん、久しぶりに家族でご飯食べられると思ったのに……」

……こっちはちょっとかわいそ

灼「……一緒にご飯食べいく?」

咲「うーん……そうしたいけど、今日は家族で来てるから」

灼「うん……そうだね。 それじゃあ、また今度だ」

咲「うん……遅くても、また夏には会えるから」

灼「……そだね」

また、数ヵ月後にはインハイがある……ちゃんと会えるように、頑張らないと

浩子「宮永さん、思ったよりも自信家なんやな」

咲「え、あ、そういうわけでは……」

……咲はすぐちっちゃくなるんだから……もうちょっと、自信持ってもいいと思うんだけど


――――――

咲と別れ、大阪のみんなと食事を済ませて――私の誕生日だし、洋榎さん・江口さんもデビュー戦で活躍したからって、けっこう豪華なお食事をいただいてしまった――帰りの電車に乗る

宥さんは、今日はこのまま園城寺さんのおうちにお世話になるらしい。 その方が学校に近いし……いつも玄と一緒にいるイメージがあったけど、大学に上がってまた少し意識が変わってきたようだ

とても仲のいい姉妹だけど……妹離れが始まってるのかもしれない。 玄はお姉ちゃんに友達が増えてよかった~、なんて言ってたけど、ちょっと寂しそうだ

……もうちょっと、構ってあげようかな。 結局、宥さんと一緒にいられる時間が減って寂しいのは私も……きっと、憧も穏乃も同じなんだし

ちら、と視線をやると玄と穏乃はぴったりくっついて眠ってしまっている。 はしゃぎ疲れたんだろう

灼「……憧」

憧「んー? なに?」

灼「今日、どだった?」

憧「楽しかったよー。 灼さん様々! 瑞原プロの対局生で見れなかったのは残念だけどね……菫さんの対局にも間に合わなかったし」

……夏以来、憧はなんだかんだで瑞原プロ、はやりんのファンになってしまったらしい

何度かライブも行ったようだし、会場で弘世さんとも会ったりしたらしい……いつの間にか仲良くなってたようで驚かされる

灼「ん……それに、やっぱり会えなかったしね。 残念……あ」

憧「……ふふ、また電話? 今日は人気者だね、灼さん」

灼「弘世さんだ……出てもいいかな? 電車だけど……」

憧「菫さん? いいんじゃない? この車両私たちしかいないし」

灼「……じゃ、失礼して」


菫『やあ、鷺森……誕生日おめでとう。 今、平気か?』

灼「ありがとうございます……だいじょぶです。 デビュー戦お疲れさまでした」

菫『ああ、ありがとう……今回試合に出た新人四人でマイナスなのは私だけだ……少し情けないな』

灼「そんなことな……プロでも通用してましたよ。 普通はいきなり結果出せたりしませんから……」

菫『ふっ……ありがとう。 実は、さっきまでのミーティングでもはや……瑞原プロに褒められたんだ。 もっと鍛練を積めば充分後を任せられるようになるって……』

ちょっと、いやかなりウキウキしてるのが声からわかる。 私も、ハルちゃんに褒められるとうれしかったし……弘世さんもそういう気持ちなんだろう

憧「すごいじゃないですか! はやりんに!?」

菫『ああ、憧も一緒なんだな……うれしかったよ、本当に。 ……憧れの瑞原プロが今は私のチームメイトだ。 好きなものは好きで仕方がないが……私もプロになったんだ。いつまでも1ファンの気分ではいられない……努力して、肩を並べられる雀士になれるよう頑張るよ』

灼「……そして、ゆくゆくはアイドルに?」

菫『それは当然……あ、いや! まずは一人前の雀士になるとこからだ! そりゃあ、私だって小さい頃はアイドルに憧れたりすることもあったが……いや、はやりんには憧れているけど、その……』

憧「菫さん、テンパりすぎ」

こう、つい、からかいたくなるんだよな……真面目な話をしていたのに申し訳ない

菫『あ、ああ! そういえば! 鷺森に謝りたかったんだ! 照が迷惑をかけただろう?』

相も変わらず話題転換の下手な人だ……本当にすまなそうに言うものだから、適当に流すつもりもないんだけど

灼「ん……それはそうですけど……別に弘世さんが謝ることではないですから……」

菫『いや、しかし私の管理が……』

憧「管理もなにも、もう違うチームじゃないですか」

菫『……言われてみればその通りだな。 照も私の名前を出していたし、なんだか世話を焼いてやらんといけない気がして……』

灼「……やえさんがなんとかしてくれると思います」

菫『小走が心配だよ……あいつの世話は体力がいるんだ。 話もいまいち聞かないし……』

憧「小走先輩は世話好きですから、悪態つきながらなんだかんだで面倒見ますよ」

菫『ふふ……そうだな。 少し、寂しい気もするが……』


菫『……それじゃあ、遅くにすまなかったな。 今日の牌譜の確認もしたいし、そろそろ失礼するよ』

灼「ん……あまり根詰めないでくださいね。 休むのも仕事のうちです」

憧「また連絡くださいね! 応援してますから!」

菫『ああ、ありがとう……鷺森、憧。 おやすみ』

灼「おやすみなさい……」

憧「……菫さん、大変そうだね」

灼「でも、楽しそうだった」

憧「うん……憧れの人と一緒なんだもん。 灼さんだってわかるでしょ?」

灼「ん……弘世さん、モチベも高そうだし……これからまだまだ伸びるんじゃないかな。 目の前に目標にしてる人がいるんだもん。 いくらでも頑張れるよ……頑張りすぎが心配だけど」

憧「ほんとそれよね……まあ、体調管理の大切さもちゃんとわかってる人だから平気だと思うけど……菫さん、ちょっと……夢中になる性質だしなぁ」

はやりんとかね。 ……まあそれこそ、そのはやりんが側に付いてるわけだし、危なそうならしっかり止めてくれるだろう

憧「あ、菫さんから連絡来たわけだし……そろそろ小走先輩や照さんも手が空くんじゃない?」

灼「……連絡してみても、いいかな?」

憧「してあげたら? 照さんなんてそれこそやらかしちゃったし……あっちから連絡とりづらいかもしれないわよ?」

灼「ふむ……」

そう言われてみるとそうかもしれない。 夏ごろとかは咲とのことも……けっこう、そういうの気にする人なんだよね

……普段からもっといろいろ気にするようにすれば失敗も減ると思うんだけど

灼「……じゃ、電話してみる」

憧「うん、それがいいわよ」


灼「ところで……さっきから気になってたんだけど」

憧「……なに?」

灼「さっきからくっつきすぎじゃ……」

憧「……これくらいの距離じゃないと電話聞こえないし」

灼「…………」

憧「……別にいいでしょ!? だってしずと玄引っ付いて寝ちゃったし! 暇だし! さびしいじゃん!」

灼「怒らないでよ……別に、全然いいから」

憧「むー……それなら最初から言わないでよねー」

憧は、付き合いが長くなるにつれてちょこちょこ甘えてくるようになった。 他の人の目がない時だけだけど

普段はしっかりちゃっかり者の憧だけど、こういう時はやっぱり下っ子なんだなと思う

穏乃は、けっこう早い段階で懐いてくれたし、礼儀正しくて……無邪気にこっちを慕ってくれてるのもわかるから思う存分かわいがれる後輩なんだけど……

逆に憧は、慣れてからは友だちのように気安く会話するしあんまり後輩って感じはしない。 むしろ、普段に反してたまにこうして甘えてくるからこそ年の近い妹みたいに感じる

灼「…………」

憧「……なに? なんで撫でるの?」

灼「……別に、かわいいから」

憧「……んへへ。 なぁに言ってんの、今さら」

灼「かわいいかわいい」

憧「知ってますー」


灼「……それじゃ、改めて」

憧「おー……いきますかー」

照『……もしもし』

灼「照さん、お疲れさま」

照『……ごめん、灼……ちょっと、油断しちゃって……』

灼「ん……だいじょぶだから、気にしないで」

照『……すっごく怒られた。 チームの人にも、やえにも……三尋木プロは面白いからいいよって言ってたけど……』

やえ『いいわけないでしょ! このバカ! あんた、プロとしての自覚が足りないのよ!』

照『……ごめんなさい』

やえ『だいたい、三尋木プロは三尋木プロでアレなのよ! ……もう、結局上も活躍してたしいいよーみたいな感じで! 強けりゃなんでもいいわけ!? そんなんだから風紀が乱れんのよ!』

憧「……小走先輩、いきなり上層部批判ですか?」

やえ『糺すべきところは糺さないとダメに決まってんでしょ!』

灼「それは、まあ……仰る通りで」

やえ『はぁ……まったく……弘世はよくこんなのと三年間もやれたわね……』

照『あ……ごめん、やえ……見捨てないで……』

やえ『見捨てるわけないでしょ、友だちなんだから』

照『やえ……!』

やえ『……あ、その……っ! か、勘違いしないでよ!? 別に、同じチームになっちゃったから、仕方なくだかんねっ!?』

照『……ふふ、わかった』

やえ『なに笑ってんのよ!?』

憧「……相変わらずね」

灼「ほんと……安心した」


照『あ、灼……改めて、誕生日おめでとう。 今日は勝ててよかった』

灼「ありがと……試合、カッコよかった。 咲もよろこんでた」

照『……そう? 灼に迷惑かけちゃったから……咲にも連絡しづらくて……』

灼「だいじょぶ……咲、照さんが活躍してすごくうれしそうだったから、早く連絡してあげてください」

照『……ん、わかった。 ありがと』

やえ『……おめでと。 悪いわね、たいしたもの用意できなくって』

灼「そんな、試合に招待してくれただけでも充分……しかも、憧たちの分まで」

憧「やっぱり、プロの試合は違いますね……空気を肌で感じるとまたちょっと違う感じがしました」

やえ『そう? ……それなら、よかったけど』

灼「……やえさんは、いつ頃出番来そう?」

やえ『ん……今回照がよかったかんね。 新人試していきたいみたいだし、今日みたいに瑞原プロや野依プロみたいなのと当たらない日ならすぐにでも使ってくれるんじゃないかしら』

憧「ああ……そこらのプロなら三尋木プロが蹴散らしちゃいますもんね」

やえ『たぶん、次鋒で起用されると思うわ……三尋木プロが点差つければ多少コケても後ろで取り返せるし、ね』

灼「……もっと自信持ちなよ」

やえ『通用する自信はあるわよ……ただ、客観的に見るとどうやっても私は実力的に照に劣るかんね……チーム的にもそういう試し方するだろうなって話』

照『……たとえコケても心配はいらない』

やえ『……私は、新人だからコケても仕方ないとか、そういう言い訳したくないの』

照『それはわかってる。 そうじゃなくって……』

やえ『なによ?』

照『私の面倒を見れるのはやえだけ。 チームも放り出したりしない』

やえ『…………』

憧「…………」

灼「…………」

照『……?』

やえ『なに不思議そうな顔してんのよ! このアホッ!』


そのままやえさんのお説教が始まり、当分まともに話もできなそうだったし、降車駅も近づいてきたので別れを告げて電話を切った

憧「……照さんってさ、なんかもう……なんなのかしらね?」

灼「ふふ……ほんと、普段はあんな感じだからね。 試合中とは大違い……かわいいと思うし、好きだけど」

憧「……私とどっちが好き?」

灼「恋人か」

ぺちっ

憧「あたっ……もう、冗談じゃん」

灼「別に、痛くないでしょ」

憧「そうだけどさー……私、大好きな先輩にぶたれて傷つきましたー」

灼「はいはい……ごめんね」

憧「……また撫でてー」

灼「よしよし」

憧「……んふふ」

玄「ふぁ……んん……なにしてるの? 灼ちゃん、憧ちゃん」

憧「ふきゅ」

灼「あ、玄……おはよ」

玄「んー……おはよ……朝?」

灼「夜だよ……そろそろ吉野着くよ」

玄「ん……あ、そっかぁ……試合……憧ちゃん、そんなに離れてどうしたの?」

憧「べ、別に!? なんもないわよ!? ちょっと暑いから離れてただけだし!?」

玄「……そうなの? まだ夜は冷えると思うけど……えへへ、穏乃ちゃん、体温高くてあったかーい……」

灼「玄、まだ寝ぼけてる?」

玄「んー……ちょっと……」


疲れてるのもわかるし、眠いのもわかる

でも、さすがに人ひとりおぶる力は私たちにはないんだよなぁ……

灼「……穏乃、ほら、そろそろ着くよ……起きて」

穏乃「んむぅ……だっこぉ……」

灼「それはさすがに無理……」

憧「し、しず! ほら、早く起きなさいよ! 寝るのは帰ってからにしなさいって!」

玄「憧ちゃん? どうしたの? さっきからなんか変だよ?」

憧「き、気のせいよ! 別に、変とかじゃないし!」

……憧も見られて照れるぐらいならやらなきゃいいのに

灼「……ほら、穏乃」

穏乃「ふぁい……んん、おはようございます……」

灼「動ける?」

穏乃「……はい! 大丈夫です! ちょっと寝て完全回復です!」

玄「ふぁ……穏乃ちゃんは寝起きいいねぇ……」

穏乃「はい! 元気一杯ですよ!」

憧「この時間に元気一杯になってどうすんのよ……」

穏乃「大丈夫! 私、寝つきもいいから!」

憧「それはよく知ってるわよ……」

灼「ほら、元気なのはいいことだけど……夜だから、少し声落として……」

穏乃「あ……えへへ、すみません……」


――――――

公子「おかえりなさい」

灼「ただいま、おばあちゃん……」

公子「今日は楽しかったかい?」

灼「うん……すごかったよ」

公子「そうかい……よかったねえ。 ああ、灼に荷物来てたから、部屋に置いといたよ」

灼「ん、ありがと……シャワー浴びるね」

穏乃と、憧と、玄と別れてやっと帰宅……やっぱりプロの対局を直に見て、なんだかんだみんなテンションが高くなってて……コンビニの前で長いこと話し込んでしまった

もう、夜中の11時を回ってしまった。 早く寝ないと明日に響く……久しぶりに会う友だちとも会えたし、興奮しっぱなしだったからかなり疲れを感じる

今日はもうサッとシャワーを浴びて、寝ることにしよう

灼「……あ、これ、荷物…………」

北海道? あ、揺杏だ……

寝ようと思ってたけれど、たぶん誕生日に物を贈ってくれたんだろう。 さすがにこれは明日に回すわけにはいかないか

段ボールを開けると、物の上に、一枚の手紙が……『開ける時に電話して!』……もう、ちょっと遅い時間だけど大丈夫かな?


揺杏『灼! 遅かったじゃんかよー……フラれたかと思ったわー』

灼「……揺杏、遅くなってごめん」

揺杏『ん? 全然いいって、電話くれたし! 誕生日おめでとうな!』

灼「……ふふ、ありがと」

揺杏『こんな時間までなにやってたんだよーこの不良娘め……世間は大変なことになってるぞ?』

灼「今日は、麻雀の試合見に行ってて……世間?」

揺杏『ぶはっ! じゃあ、もしかして現場にいたの!? 照ちゃんの試合! ってか、ヒロイン!』

灼「……ん、いたよ」

揺杏『あっはっは! アレ、なんなの!? マジやべぇ! 灼、もう特定されてるぞー?』

灼「うぇ……マジですか?」

揺杏『マジマジ! マジっすよ鷺森さん……そもそもインハイの時期に『ケーキをドカ食いする宮永照と座敷わらし』みたいな画像が少し出回ってたし!』

灼「え……なにそれは……」

揺杏『照ちゃん有名人だし? つーかアレだけケーキ食ってりゃそりゃ目立つっしょー』

灼「……それはそうだね」

制服のことも多かったし、そりゃあバレるか……SNSで勝手にそういう画像バラまくのはどうかと思うけど

揺杏『それに、アラタって珍しい名前だし、誕生日までわれてりゃそりゃあねー』

……船久保さんもおんなじこと言ってたな

…………まあ、いいや。 気にしても仕方ないし、もしかしたら宮永照のファンの女の子とかが麻雀部に来てくれるかもしれないし……うん、そう思おう。 そう思わないとやってられない


揺杏『まあ、その事はとりあえず置いといてさ! 私の送った荷物、見た!? 超自信作なんだけど!』

灼「ん……これから。 自信作? 楽しみ……」

揺杏『へへ、これはすごいぞー……パジャマに使えるから是非今日から使ってほしいね!』

灼「開けるよ…………こ、これは……!」

雪のように真っ白な布地。 長袖の先の方は手袋のようになっており、フードには耳。 おしりの部分にはふわふわのしっぽがくっついている

灼「まさか……これ、これは……揺杏!」

揺杏『そう! ウサギドラちゃんパジャマだ!』

灼「!!!!!!」

お風呂あがりに着たパジャマをパッと脱ぎ捨て、急いで着替える。 フードをかぶり、手の先まできっちり着こんで両腕を上に伸ばすと完全にウサギドラちゃんだ

灼「おお……おお……!」

揺杏『どうだ!? 完璧だろ!? ちゃんとフードと両腕、全部の顔の表情までしっかりこだわったんだぜ!』

灼「ゆ、揺杏……! これ、これ、すごっ……! かわいい! ベリーキュート……! パーフェクト……!」

揺杏『へへっ……よろこんでもらえてよかったぜ! 私の全身全霊と愛をたっぷり込めたんだぞー?』

灼「愛してる! 揺杏最高!」

揺杏『よっしゃ! 相思相愛だなー? んっふっふ……灼のテンション上がりすぎて怖いくらいだわー』

灼「私もちょっと自分が怖い……! そして揺杏の才能が怖い……揺杏、恐ろしい子……!」

揺杏『白眼剥いてない? 大丈夫? ……あっ! 写メ! 写メ送ってね! 私の最高傑作を身にまとった灼のキュートな姿を!』

灼「わかった……! 送る! すぐにでも……!」

揺杏『へへへ……今日は私や照ちゃんの愛を存分に感じただろー? どうだった、18の誕生日はさ?』

灼「ふふっ……揺杏、そんなの、わかってるくせに」



灼「今までで、一番……!」


カン!

改めてあらたんイェイ~
ギリギリ当日セーフだと言い張る所存
人数増えると長くなるけど仕方ない…よね?

次回は前回の宣言通りジャージ組予定です

阿知賀は二年連続で晩成たおしてインターハイ出れるのか
まあ王者がいなくなったし部員集まれば余裕か

>>917-918阿知賀VS晩成の構図だと一年経つことで阿知賀の有利な状況って実は結構消えますよね。それぞれの打ち筋が割れてる上に稼ぎ頭の宥ねえは卒業、ハルちゃんがプロ入りすれば指揮官もいなくなりますし…
ただ、奈良の地区予選は参加校数が変わらなければシード校がいないっていうのはポイントですね。早い段階で当たる可能性もあり基本晩成一強の環境だから、互いに勝てなそうだと思えば別の二校から稼いでしまえばいいという…
原作年度でも晩成は先鋒戦から大将戦までで点差詰めてるし名門の層の厚さもあるだろうからなんだかんだいい勝負になりそうなイメージです。結局玄が仕事するかどうかで決まりそう

投下しますー



運命の出会い(数日ぶり、二度目)



穏乃「そう! これは運命なんですよ! とうとう巡りあったんですよ!」

恭子「え? え? なに? 意味わからんのやけど……」

穏乃「ですからね、運命なんですよ! 国広さんや薄墨さんと出会った時にも感じたんですけど!」

恭子「はぁ……? いや、もうちょっとわかるように……」

洋榎「わかったで!」

恭子「主将!?」

穏乃「わかりましたか! さすがです洋榎さん!」

洋榎「ふっふーん……これくらい当然や! つまり、超天才的スーパー美少女雀士洋榎さんに会いに来たんやろ?」

穏乃「あっ、全然違います。 すみません」

洋榎「……あ、そう…………」

漫「おはようございまーす……あれ? 高鴨やん。 いらっしゃい、なにしに来たん?」

洋榎「……漫! なに笑とるんや! デコ出せデコ!」

漫「へ!? ちょ、いったい何事……あっ! ちょ、やめ、やめーや! なんですか急に!?」

洋榎「逃げんなや! アホ漫! 待てぇや!」

恭子「はぁ…………なにやってんや、あのアホどもは……騒がしくってごめんな?」

穏乃「……いえ、その、こちらこそ急に……個人戦の準備もあるのにお邪魔してしまって……」

恭子「そんなん気にせんでもええって……たまには息抜きもせななー……で、今日はどうしたん?」

穏乃「その、どうしても末原さんにお会いしたくて!」

恭子「私に? なんでまた……」


穏乃「これです!」

恭子「ん? スマホ……私の写真?」

絹恵「あ! 私のイチオシショットやん!」

恭子「うぉ!? き、絹ちゃん!? いつの間に……」

絹恵「漫ちゃんのすぐ後ろにおったんですよー」

穏乃「灼さんに見せてもらったんですよ! この、ジャージを羽織った末原さんの写真を!」

恭子「えぇ……なんでそんなん流出しとるん……? つーかこないだみんなで散々ダサいダサい言うとったやんか……」

絹恵「いやいや、大丈夫ですって! 全然いけますよ!」

恭子「どこに行くんや……絹ちゃんにだっさい奴だと思われてたんがいっちゃんショックやったんやで……?」

絹恵「ほら、私はそんな末原先輩が好きですから!」

恭子「はぁ……最近絹ちゃんがようわからんわ……で? この写真がどう絡んでくるん?」

穏乃「ふっふっふ……私の格好を見てなにか気づきませんか?」

恭子「……? いつも通りやんな?」

穏乃「そうです! いつも通りの……」

恭子「……ジャージか?」

穏乃「はい! 私、実はこう見えてジャージ愛好家なんですよ!」

恭子「あ、うん。 それは知っとったわ」

穏乃「本当ですか!? さすが姫松の参謀……!」

恭子「さすがもなにも見たまんまやんか……」


穏乃「見てください! 末原さんの、この着こなし!」

恭子「見てくださいもなにも……私やで?」

穏乃「超カッコいいじゃないですか!」

恭子「……んん?」

穏乃「ですよね、絹恵さん!」

絹恵「な! いやぁこの良さがわかるとは高鴨さんもなかなかやるなぁ」

穏乃「ジャージに関しては専門家を自負していますからね、私は!」

恭子「なんや、ジャージの専門家って……」

穏乃「そりゃあ、ジャージの素材からデザイン、着こなしまで幅広くなんでもですよ!」

恭子「どういうこっちゃ……」

絹恵「でもでも、この末原先輩のジャージの着こなし! ホンマに完璧ですって!」

穏乃「肩に羽織った風にたなびくジャージ! 鋭い眼差しに組んだ腕!」

絹恵「凛々しい! 素敵やん!」

恭子「な、なんや……急に褒めたりして……」

穏乃「いえいえ! 前々から思ってたんですよね! 末原さんカッコいいなーって!」

恭子「カッコよくないわ……私ダサいし……」

絹恵「……もうっ! なに拗ねてんのもう! もう! 恭子ちゃんかわええなぁ!」

恭子「こらっ! 絹ちゃん! どつくのはええけど恭子ちゃんはダメやって! 二年前までとは違うんやから……先輩後輩のケジメやで!」

絹恵「あ……すんません! 末原先輩かわええからつい……」

恭子「かわいくないし……私ダサいし……」

絹恵「だから拗ねないでくださいって!」


由子「恭子はいちいち気にしすぎなのよー」

恭子「ゆーこ……おったんか」

由子「今来たとこなのよー? 高鴨さんいらっしゃーい」

穏乃「こんにちは、真瀬さん! 」

由子「ふふっ、高鴨さんはいっつも元気で花丸満点なのよー」

穏乃「元気が私の取り柄ですっ!」

由子「とっても素敵なところなのよー」

絹恵「高鴨さんはメンタル強いもんなぁ」

由子「それに比べて……恭子?」

恭子「……なんや?」

由子「恭子はダメダメよー?」

恭子「そんなん知っとるわ……いちいち言わんでもええやん……」

由子「だから、そういうのがダメなのよー? そうやっていじいじしたってどうにもならないのよー」

絹恵「末原先輩、実力も人望もあるんやから……もっと堂々としてほしいです!」

由子「そうそう! 赤阪監督も言ってたけど、恭子は本当は強いし、かわええんやからー」

穏乃「そうですよ! 自信過剰はいけないかもしれませんけど、相応の自信は持たなきゃダメです! この写真の時のように堂々と!」

恭子「……励ましてくれるのはありがたいんやけど、その写真恥ずかしいから消してくれんかな……?」

穏乃「そんな! こんなにカッコいいのに!」

絹恵「それを消すなんてとんでもない!」


恭子「……まあええ、で? そのジャージ専門家の高鴨が私になんの用なん?」

穏乃「ジャージ愛好家の同志として末原さんとお話ししたいなーって!」

恭子「なるほどなぁ……ひとつええか?」

穏乃「はい! なんですか?」

恭子「私、別に毎日ジャージ着とるわけじゃ……」

由子「高鴨さん! とりあえず恭子連れ出してもらって構わないのよー」

穏乃「本当ですか!? やったー!」

恭子「えっ、ちょっとゆーこ! なに勝手に……」

由子「監督には私からちゃんと言っとくのよー」

恭子「そういう問題やなくって……」

由子「ちょっと高鴨さんにたくさん褒められて自信つけてくるといいのよー! 身内の私たちに褒められても素直に自信にならないんでしょう?」

恭子「……それは、まあ…………」

絹恵「それじゃあ、私は待ってますかね……高鴨さん! 末原先輩のジャージ写真たくさん撮って送ってな!」

穏乃「任せてください!」

恭子「ジャージ写真って……体育祭とかでもないのに……意味わからへん……」

由子「ま、息抜きだと思って楽しんでくるといいのよー」

穏乃「末原さんっ! 行きましょう!」

恭子「わかったから、そんなに引っ張らんで……すまん、じゃあちょっと出てくるわ」

由子「いってらっしゃいなのよー」

絹恵「頑張ってください!」


――――――

恭子「……なあ、高鴨」

穏乃「はいっ!」

恭子「なんでジャージなん?」

穏乃「なんで……?」

恭子「いや、だって……ジャージって、女子高生が普段着にするようなもんでもないやろ?」

穏乃「えっ」

恭子「……えっ?」

穏乃「いやいや、まさか」

恭子「え……流行ってんの? 嘘やん……」

穏乃「あ、いや……流行ってはいないですけど。 たぶん」

恭子「え、たぶん?」

穏乃「まあ、たしかに年中ジャージの女子高生は私以外に知らないですけど……」

恭子「せやろな……安心したわ……」

穏乃「……なんで自信なさげなんです?」

恭子「いや、私、流行りとか疎くて……」

穏乃「そうなんですか? ちなみに今流行ってるのはこういう……」

恭子「ほー……いや、これ服やなくて布切れやろ!?」

穏乃「はぁ……これが今の最先端なんですよ……やっぱり先を行きすぎて理解されないというか……」

恭子「それ、ほんとに流行ってるんか……? っていうか、この子、どっかで見たような……えーと」

穏乃「龍門渕の国広一さんです! 私の親友で同志で尊敬する素晴らしい人で……」

恭子「……よくこんな格好してるやつを尊敬できるなぁ」

穏乃「え? 超お洒落でかわいいじゃないですか?」

恭子「…………マジで言うとるんか?」

穏乃「え? わからないんですか?」

恭子「えっ……?」

穏乃「えっ」

恭子「……やっぱり、私、ほら、センスないねん……ダサダサやねんな……」

穏乃「いやいやいやいや! 末原さん超カッコいいですから!」

恭子「ええんや、もう……そんな、慰めなんか……」


穏乃「さっき真瀬さんや絹恵さんにも言われたじゃないですか! 末原さん素敵ですから! 自信持ってくださいよ!」

恭子「そんなん言われてもなぁ……」

穏乃「少なくとも! 去年の段階でこの素敵ジャージファッションをしていた時点でセンス爆発的ですよ!」

恭子「自爆した気分なんやけど……」

穏乃「眠ってるんですよ! 潜在センスがもう吹っ切れてるというか!」

恭子「やめて……なんか、もう辛いわ……」

穏乃「……落ち着いてくださいよ、末原さん。 そんなに自分を貶めたって仕方ないじゃないですか」

恭子「高鴨……」

穏乃「まずは、私がジャージの素晴らしさについてしっかり教えてあげますから!」

恭子「……はい?」

穏乃「いいですか、ジャージというのは……」

恭子「え、ちょっと待っ……」

穏乃「まず、ジャージとは魂です! 半身です!」

恭子「ちょっと待てって! これ絶対アカンやつ……」

穏乃「だいたいジャージだって有名なスポーツ用品メーカーがお洒落なものも作って販売してますし……」

恭子「あれ!? 普通にジャージファッションの真面目な話とかもするん!?」

穏乃「ジャージってとっても機能的じゃないですか? 運動にも適してますし……」

恭子「脈絡がない! ちょっとは話す順番とか考えとき!?」

穏乃「私、この格好でよく山とか登りますし……」

恭子「危ないからやめときや!?」


穏乃「っていうか、さっきも言いかけたんですけど……」

恭子「……なんや?」

穏乃「たしかに、ジャージを外出着にする女子高生は少ないかもしれませんけど! 普段着にしてる子はけっこういますよ!」

恭子「それは……まあ、部屋着にするなら楽やしな」

穏乃「あと、運動部の人とか!」

恭子「それは運動するから着てるだけやろ!?」

穏乃「あの、地上最強と言われる小鍛治健夜プロだってジャージ愛好者ですよ!?」

恭子「え、そうなん?」

穏乃「本人が言ってました! 実家でジャージじゃないと落ち着かないって!」

恭子「あっ……」

穏乃「う? どうしたんですか?」

恭子「いや、小鍛治プロ……うん、なんでもないわ……」

穏乃「? ……そうですか?」

恭子「……というか、小鍛治プロと親交でもあるんか? そんな話したなんて聞いたことないで?」

穏乃「……その、団体戦決勝の卓を見に行ったときに、小鍛治プロも見学に来てて、ちょっと……」

恭子「なんでその状況でそんな話がでたのかまったくわからんのやけど……」

穏乃「……つまり、ジャージってやっぱりすごいってことじゃないですかね!」

恭子「……もうそれでええわ」


恭子「……高鴨、この短時間でだいぶイメージ変わったわ……」

穏乃「え? そうですか?」

恭子「だって、なぁ……?」

穏乃「なぁ、と言われましても……」

恭子「元気で礼儀正しい子やなーと思ってたんやけど……」

穏乃「あ……私、なにか失礼なことしちゃいましたか……?」

恭子「あ、いや! そういうことやなくて……その、思ってたよりも、あー……情熱的、なんやな……?」

穏乃「情熱的……いいですね! そう、情熱的なんですよ! 燃えてるんです!」

恭子「……高鴨は、熱いなぁ」

穏乃「そりゃ、もう! 阿知賀の熱血担当ですよ、私は!」

恭子「そういうもんか……まあ、阿知賀の面子なら高鴨が赤担当な感じもするわ」

穏乃「あはは! 戦隊ヒーロー的なやつですか? 姫松もけっこうきれいに別れてますよねー……洋榎さんが赤で末原さんが青で……」

恭子「んー……漫ちゃん緑で絹ちゃんが黄、ゆーこが桃やな」

穏乃「でも、真瀬さんは桃というか白っぽいですよね」

恭子「あー……たしかに、ゆーこは桃より白な感じするかもなぁ……阿知賀だと、新子が桃枠やな。 おしゃれやし、かわええし」

穏乃「そうですねー……私、赤でいいんですかね? リーダーは灼さんですけど」

恭子「まあ、鷺森が部長やんな」

穏乃「けっこう熱いんですよ、灼さんも」

恭子「へぇ……静かに燃えるタイプなんやね」

穏乃「あ、でも宥さんもあったかいのが好きなんですよね。 赤色は宥さんかなぁ……」

恭子「松実のお姉さんは、あんまりリーダータイプって感じはせんけど……」

穏乃「……あっ! でも部室を守ってたのは玄さんなんですよね! 玄さんがいないとうちの麻雀部もなかったことだし、ここは赤を譲った方が……」

恭子「随分と真っ赤なチームになったなぁ……」

穏乃「あ、そこです! 私たちの泊まってるとこ! 案内しますね!」

恭子「はあ!? ……よくこんな豪華な宿を…………さすがお嬢様学校……」


穏乃「どうぞ!」

恭子「どうも、お邪魔しますー」

憧「邪魔するんなら帰ってねー」

恭子「ほな、失礼しますわ……ってなんでやねん!?」

憧「意外とノリいい!?」

恭子「え? むしろやらんの?」

憧「いやあ……まさか末原さんがノッてくるとは……なんというか、真面目ちゃんですし」

恭子「そら否定のしようもないけど……えぇ……? むしろこれ以外にどう反応するん……?」

憧「え? 別に……」

恭子「別に!? なんや別にって……そんなんやと生き残れんで……?」

憧「生死に関わる!?」

恭子「社会的に……」

憧「社会的に!?」

穏乃「……あれ、憧だけ? みんなは?」

憧「玄と灼さんはふたりでどっか行ったわよ。 宥姉はいつものお散歩じゃない?」

穏乃「え……憧は? まさか、置いてかれたの?」

恭子「す、既に社会的に……」

憧「違いますよ!? ハブとかじゃないし! 私は私で人と会う予定が……」

恭子「無理せんでもええで? ほら……今は高鴨も、一応私もおるんやし……」

穏乃「何があっても親友だよ、憧!」

憧「だーかーらー!」


恭子「まあ冗談はこの辺にしといて……」

穏乃「誰と会うの? 赤土先生は?」

憧「むー……ハルエはお客さんが来るって言ってたけど、今は出てる。 私は、国広さんと……」

穏乃「え、国広さん? 憧が? 井上さんじゃなくて?」

憧「べべべ別に井上さんはかか、関係ないでしょ!?」

穏乃「ああ、憧、緊張しちゃって誘えないもんね……」

憧「はぁ!? べ、っつに、きき緊張とかしないし!? と、とも、友だちと遊びに行くのに緊張とかああありえないから!」

恭子「なあ、気になることがあるんやけど……」

憧「だだ、だから井上さんのことは別に特別気にしてないって言ってるじゃないですか!?」

恭子「私なんも言っとらんやん……龍門渕からは今年個人戦出場選手おらんやろ? さっきから聞いとると東京来てるんか?」

穏乃「清澄の応援で出てきてるんですよ。 私たちも前に練習試合したこともあって……かなり親密なんですよ!」

憧「し、親密!? と、友だち以上恋人未満ぐらいかしら!?」

恭子「……新子さっきから大丈夫か? 実はアホなんか?」

穏乃「たまにこうなっちゃうんですよねー……それにしても、国広さん来るんだ! ちょうどよかった! 私も連絡しようと思ってたんですよ! 末原さんにも紹介しますね!」

恭子「おう……それはありがたいわ。 長野の龍門渕……秋以降、それに来年も大会で出会う機会も多いやろし……」

穏乃「国広さんのファッションセンスはずば抜けてますからね! この前岩館さんが服を作るって話をしてたらしいじゃないですか! 国広さんの服は参考になりますよ!」

恭子「……ギャグやんな?」

穏乃「えっ?」

恭子「え、あ……いやいや、メゲたらアカン……落ち着け……」

憧「だから落ち着いてますって!」

恭子「あんたのこと言っとらんわ! ホンマに落ち着けや!」


恭子「なんやこの子ら……普通のしっかりした子たちやと思っとったのに……とんだ暴れん坊や……」

穏乃「いやぁ、すみません……ちょっと、今日はテンションめっちゃ高くて!」

憧「はぁ……はぁ……大丈夫です、もう落ち着いてますから……」

恭子「新子……さっきから、そっちで光ってる携帯あんたのやないの?」

憧「うぇ!? ……あ、国広さん! もう下に来てるって! ちょっと迎えに行ってきます!」

恭子「……さっきから忙しい子やなぁ」

穏乃「普段はああじゃないんですけどねー」

恭子「この前会ったときは普通やったもんな……」

穏乃「ま、いろいろあるんですよ。 あのくらいの年頃の娘にはね……」

恭子「あんた同い年やろ! いくつや!」

穏乃「16です!」

恭子「知っとるわ! そういうことやないねん!」

穏乃「じゃあどういうことですか?」

恭子「どういうことって……えぇ……?」

穏乃「あはは! 冗談ですよ、冗談!」

恭子「……高鴨、今日マジでテンション高いな?」

穏乃「そりゃあ、末原さんとご一緒できてうれしいですから!」

恭子「……そ、そうか」

穏乃「はい!」

恭子「…………お、おう」

穏乃「……あれ? 照れてます?」

恭子「べ、べつに……そんなことあらへんで?」


憧「ただいまー」

一「お邪魔しまーす」

恭子「邪魔するんなら帰ってやー」

一「それじゃあまたねー……ってどうしてさ!?」

憧「!?」

恭子「ほら! ノッてくるやん! 関西人でもないのに!」

憧「えぇー……」

穏乃「国広さんどこでそんな技術を……」

一「去年全国行くときにさ、透華が対関西人のマナーもちゃんと学ばないとダメだって言うから……」

憧「……私、やっぱり龍門渕さんのことよくわかんない…………」

恭子「……な、高鴨、ちょっと」

穏乃「え? ……あ、すみません! 国広さん、こちら大阪の姫松で大将をやってらした末原恭子さんです! 末原さん、こちらは長野龍門渕の中堅の国広一さんです!」

恭子「はじめまして、姫松の末原です」

一「あ、これはどうも……龍門渕の国広です。 よろしくお願いします」

恭子「こちらこそよろしくお願いします……今日は運がええみたいやな。 あの龍門渕の国広さんと知り合えるとは……」

一「それはこっちの台詞ですよ。 あの末原さんと……試合もチェックしてましたよ? 特に、準決勝で宮永さんたち相手にあんな……」

恭子「はは……負けたらどうにもならんわ。 結果が全てとは言わんし、漫ちゃんや絹ちゃんには大きかったけど……私にとっては最後のインハイやったしなぁ……」

一「……すみません、末原さん」

恭子「ああ、いや……謝らんでよ、私が最近センチメンタルに過ぎるだけやから……ま、個人戦にそれ以降の大会やインカレ、プロだって…………団体の敗戦だって無駄にはならん……無駄にはせん……絶対に……!」


晴絵「お、いいねー熱いねー」

恭子「おわぁ!?」

穏乃「あ、赤土先生! お帰りなさい!」

憧「ちょっと、入るならノックぐらいしてよねー」

晴絵「はいはい、ごめんごめん」

一「お邪魔してます、赤土監督」

恭子「お、お邪魔してます……」

晴絵「いらっしゃい……ね、末原さん」

恭子「は、はい!」

晴絵「……その気持ちさ、絶対に忘れちゃダメだよ。 そこで折れたり、腐ったりしたら…………」

恭子「…………」

晴絵「……離れようと思っても、麻雀を忘れることなんてできないから……」

恭子「…………」

晴絵「……ああ、ごめん。 私もこの件についてはちょっとセンチメートルで……」

恭子「……そこはセンチメンタルやろ」

晴絵「はは、いいツッコミ……ね、小鍛治さん?」

健夜「う、うん……その、ごめんなさい……」

晴絵「それこそ謝らないでくださいよ……私が勝手に負けて勝手に潰れたんですから」

健夜「いや、そうは言ってもやっぱりさぁ……」

恭子「!?!?!?」

一「こ、小鍛治プロ!?」

憧「え、ちょ……はぁ!? マジで!?」

穏乃「小鍛治プロ!? うわ、え? すごいっ! なんでっ!?」


健夜「え、なんでと言われても……ちょっと暇だったから遊びに……」

晴絵「ははっ! なんか学生時代を思い出しますねー……私もちょっと暇だと望のとこ行ったり……」

一「うわぁ……あ、あの小鍛治プロが遊びにくるんだ……」

憧「っていうか小鍛治プロ暇なんだ……」

恭子「はぁ……ホンマに暇なわけないやろ。 あの小鍛治プロやで?」

穏乃「え……でも、嘘つく必要なんて……」

恭子「……もしかして赤土監督、プロ行くんやないか?」

穏乃「えっ!? な、なんでそれを……」

恭子「やっぱりな……そんな感じの噂も耳にしとったんや……学生時代、小鍛治プロに唯一跳ね満以上のダメージを当てたのが赤土監督や言うやないか……スカウトに来たんやないの? 契約関係とかもあるし、そうそう漏らせる話じゃないんやろ……」

穏乃「な、なるほど……!」

一「それじゃあ、高鴨さんも新子さんも大変だ……下手したら、赤土監督の評価下げちゃうかも……」

憧「そ、そういうことに言われるとちょっと緊張するんですけど……」

穏乃「ど、どうしよう……私、失礼なことしちゃってないかな……」

恭子「失礼のないように気を付けないとアカンで……」

健夜「……ねぇ、赤土さん……なんか、私さ……」

晴絵「まあ、そういうことにしておきましょうよ……言わなきゃわかりませんし、夢を壊しちゃいけませんって……みんなプロを目指して純粋に頑張ってるんですから」


晴絵「っていうかうちのはしずと憧だけ? せっかくあの小鍛治プロが来てくれたのに……」

健夜「ちょっと、やめてよ赤土さん……」

憧「三人とも出かけちゃったわよ」

穏乃「もったいなかったですね……あの小鍛治プロが来てるというのに……」

一「なんたってあの小鍛治プロだもんね……」

恭子「あの小鍛治プロが来てくださってるのになぁ……」

健夜「みんなで変に持ち上げるのやめて!?」

恭子「いやいや……変にもなにも、あの小鍛治健夜ですよ?」

晴絵「そうそう、その雷名は日本どころか世界に轟いてるじゃないですか」

一「そうですよね……世界ランク二位まで行ってるし、国内でも永世七冠保持ですし……」

穏乃「世界戦でも魔王みたいな……じゃなくて、英雄的な大活躍で!」

憧「化け物みたいな……じゃなくて、神様みたいなもんよね」

健夜「奈良のふたりは私のことちょっと嫌いだよね!? 恨まれてるよね!?」

穏乃「まさか! ほんと、すごいですし憧れてますよ! ね?」

憧「ね! まあ、私は瑞原プロとかの方が好きだけど……」

穏乃「あ、それを言ったら私も三尋木プロとかの方が……」

健夜「やっぱり私のことどうでもいいよね!? そこまで興味ないよね!?」

恭子「さ、さっそく失礼な感じに……」

一「ふふ……ふたりともけっこうマイペースなんですよ」


穏乃「と言うより、むしろ私は小鍛治プロに興味津々なんですけど! 少々お時間よろしいですか!?」

健夜「え……うん、暇だし全然大丈夫だけど……」

晴絵「お、積極的でいいぞーしず! 小鍛治さんレベルの雀士とお話しできる機会なんてそうそうないし、いろいろアドバイスもらっとけー」

一「新子さんももっと積極的にならないと……」

憧「ななな、なんの話ですかね!?」

恭子「……たしかになかなかない機会や…………うちはプロ雀士を呼んで指導してもらったりはけっこうあるけど、さすがに小鍛治プロレベルは……」

穏乃「あの、小鍛治プロの普段着てるジャージってどこのメーカーのですか?」

健夜「ああ、ジャージ……ジャージ!?」

恭子「ここでジャージ!?」

一「ああ、小鍛治プロもジャージストだったんだ」

晴絵「ジャージスト!?」

一「? ジャージ愛好家のことですけど……」

憧「語感で意味はなんとなくわかったけどはじめて聞きましたよ!?」

一「末原さんも超上級ジャージストだって高鴨さんが」

恭子「仲間にされとる!?」

健夜「いや……高校の時の学校指定のやつだけど……」

恭子「そして普通に答えとる!?」

憧「物持ちいいなぁ……20年前なのに……」

健夜「10年前だよ!? アラサーだよ!」

一「おお……生アラサーだよ! だぁ……」

恭子「やっぱキレッキレやな……」

健夜「持ちネタじゃないよ!?」

晴絵「こーこちゃんと散々やってるしもう手遅れですって」

健夜「手遅れの行き遅れ!?」

晴絵「言ってませんよ!?」


――――――

穏乃「えー、それでは、改めて始めさせていただきますが……」

恭子「おい……なんか、はじまったで?」

一「安心してください、末原さん……高鴨さんのジャージプレゼンが始まるだけですから」

健夜「ジャージのプレゼン!?」

晴絵「えー……せっかく小鍛治さん来てるのにそんな……」

穏乃「小鍛治プロが来ているからですよ! それに、元々末原さんにするつもりでしたし!」

恭子「高鴨は私をどうしたいんや……」

憧「ああ……どうしよう……灼さんと揺杏呼んでもこの場じゃ頼りにならないし、巴さん呼んだら薄墨さんもついてきそうだし……」

一「あはは」

憧「あははじゃ……っくぅ……国広さんを引き離す手はあるっちゃあるけど……むむむ……」

穏乃「小鍛治プロも末原さんも高校指定のジャージを着用されているようですが……まずは手元の資料をご覧ください」

憧「ふーん……っていつの間にこんなの用意してたのよ!?」

穏乃「いやぁ、末原さんに会いに行くって決めてから用意を進めてて……」

恭子「意外と周到やな!?」

穏乃「あ、それに私物ですけど実物のジャージもいくつか……どうぞ、手に取っていただいて結構ですので……」

健夜「あ、これ……かなりいいやつじゃない?」

恭子「ん? ほぉ……これは、なかなか……」

憧「なんで興味惹かれてんですか!? ……あ、でもたしかに……」

一「ふふふ……さすがのジャージマイスターだね」

晴絵「こりゃあ……部屋着にするには値が張りそうだなぁ……」


穏乃「甘いですよ、赤土先生……手元の資料からもわかる通り、ジャージも機能性だけでなくデザイン性も向上していてですね……」

恭子「たしかに、お洒落やな……トレーニングウェアとしては」

憧「トレーニングウェアとしては、ね……」

穏乃「え、なに……その言い方、ちょっと引っ掛かるんだけど……?」

憧「ジャージとしてオシャレでも外出着にはならないって言ってんの!」

穏乃「……は?」

憧「は? ってなによ! は? って!?」

穏乃「え? なに言ってんの? ギャグ?」

一「新子さんにはちょっと早かったかな?」

憧「なんで私がおかしいみたいになってんの!? おかしいのはそっちでしょ!?」

穏乃「ははっ」

一「ふふふっ」

憧「あぁ! もう! ムカツク!! なによ、なんなのよ、もう!!」

恭子「新子、ちょっと落ち着けや……ほら、カッカしてもどうにもならんで?」

健夜「さ、さすがに私もジャージで外出は……」

晴絵「……逆にどこまでなら行けます? 近所のコンビニぐらいまでは行っちゃいます?」

健夜「うーん……いや、さすがにコンビニまでは……あ、でも朝のゴミ出しぐらいならジャージで……」

憧「それはそれでどうかと思いますけど、女として……特に有名人なんですから……」

健夜「……お洒落な子に言われるとダメージ大きいね……なんか、ちょっと……ふふふ……」

晴絵「小鍛治さんしっかり!? 」


恭子「……にしても、これけっこう着心地ええなぁ」

穏乃「でしょう? こう、ジャージの素晴らしさというものをですね……あ、小鍛治プロもどうぞ!」

健夜「え? ああ、じゃあせっかくだし……」

憧「ってなんで試着とかしちゃってんですか!?」

恭子「いや、ジャージのプレゼンとしては悪くないやろ……こっちの資料も良くできてるし……ほら、メーカーごとの違いとか傾向までしっかり……」

健夜「貯金もけっこうあるし買ってみてもいいかもなぁ……」

憧「……しず! こんなん作る暇あるならもっと他にすることあるでしょ!?」

穏乃「こんなんって……良くできてるってみんな言ってくれてるじゃん。 ほら、憧もちゃんと読んでってば」

憧「……まあ、たしかにいいかもしれないけど……絶対に普段着にはならないからね!? ジャージなんて着ても体育の時間ぐらいだし!」

穏乃「はぁ……これだけ言ってもわからないなんて……」

一「まあ、ゆっくり時間をかけていけばいいよ」

憧「どれだけ時間かけてもわからないからね!?」

穏乃「だって、私なんてジャージ何着持ってると思ってるの? 普段着、外出着、運動着、おしゃれ着に一張羅にパジャマ用に……」

恭子「え? それ全部ジャージなん?」

憧「多い! 多すぎ! おかしいでしょ!?」

健夜「フォーマルなジャージってどんなのか気になるなぁ……」

晴絵「はははっ……そんなのあったら楽なんですけどねー」

健夜「やっぱり楽なんだよね、ジャージ……」

一「好感触だよ、高鴨さん!」

穏乃「はい! 頑張った甲斐がありました!」


憧「なんなの……なんなのよこれ……」

恭子「……なんや、苦労してそうやな、新子……」

憧「おかしいじゃないですか! なんでジャージが流行ってるみたいな感じに!?」

恭子「いや、まあ、流行ってはないわな……でも、別にジャージ自体は悪くないやろ?」

憧「いやでも……っ!」

恭子「だから、普段町中をジャージで練り歩くのはおかしいけどな? それこそ授業でも使うし、いいジャージを使うこと自体は特に問題ないやろ?」

憧「……言われてみれば、それはたしかに……」

恭子「だから、なんとかしたいのならメゲたらアカン。 ジャージどうこうよりも、高鴨を変えなアカンのやからな……あんたが諦めたらそれで仕舞いやで?」

憧「す、末原さん……!」

健夜「ねぇ、高鴨さん……おすすめのジャージとか……」

穏乃「ああ、部屋着用なんですよね? そしたら三ページ目の……これとか、これとか……外出着はいいですか?」

健夜「さすがにジャージだとね……運動するならともかく……」

穏乃「運動も大切ですよ! 麻雀も長い時間打つには体力も要りますし……体力作りのトレーニングとかもなんなら私がメニューを……」

健夜「へぇ……そういうのも得意なんだ」

穏乃「鍛えてますからね! 筋トレとか、なんならダイエット用の運動だって……」

健夜「……最近、お腹回りが気にならないこともないような……」

晴絵「……実は、私も……地元戻ってからごはん美味しくてつい食べ過ぎて……」

一「それに、着たい服を選ぶのにも体型とかは気になりますよね……」

憧「国広さんめっちゃ細いじゃないですか……いや実は私も最近、ちょっと服きついような気がしなくも……」

恭子「気のせいやないの? 新子もめっちゃ細いやん……それに、それだけかわいけりゃ男のひとりやふたりぐらいおるんやないの?」

憧「ふきゅ」


穏乃「ああ、憧はそっち方面全然ですよ? できるフリしてますけど」

憧「な、なな、しず! ちょ、なに言ってんのよ!?」

一「実はボク、今日は恋愛相談で呼ばれたんですけどね……新子さん今片思い中で」

憧「え、あ、いや! 別に、そ、そういうわけじゃないんですけどね!? ね!? す、す……き、とか、そういうんじゃ!」

恭子「はぁ……新子みたいな子でもうまくいかないんやなぁ……」

健夜「女子高生ってさ、羨ましいね……青春してるんだなぁ……」

晴絵「私らは麻雀に青春捧げちゃいましたしね……」

健夜「……やっぱりさ、ちょっとくらい努力しないとダメなのかな……」

晴絵「麻雀麻雀でやって来て、これからプロ目指すとなると時間もないですけど……やっぱり結婚とかはひとつの……ね、アレですもんね……」

健夜「アレだもんね……」

穏乃「……アレ?」

恭子「ほら、ふたりともなんかしら複雑なもんがあるんやろ……」

一「あまり触れない方向で……」

穏乃「わかりました! ……それじゃあ、まずは努力してみましょう! トレーニングしてみましょうか!」

晴絵「……まあ、なにか機会でもないと始めないし……」

健夜「たしかに……ここで一回気持ちを切り替えてなにか始めてみないとズルズルとこのまま……」

一「おお……高鴨さんのプレゼンでやる気になってる……」

恭子「意外と才能あるんやないの? 熱血系やしスポーツインストラクターなんかの道も……」

憧「今は麻雀に集中してほしいんですけど……」

恭子「新子も大変やな……麻雀に高鴨の軌道修正に恋に……」

憧「ええ、ほんとに……って! ちが、最後のは、違いますから!」


健夜「んー……まあ、赤土さんも実際日本リーグで打ってたからわかると思うけど……けっこう体力要るよ。 まあ、私はそこまで疲れる相手と打ったことはないけど……」

恭子「……相変わらずちょっと毒ありますね」

健夜「え? どこが?」

晴絵「まあ、体力はあるにこしたことないですね……長丁場の対局だって考えられますし……」

健夜「それに、赤土さんが今後どうするのかわからないけど……はやりちゃんをはじめとしたアイドル系の売り方というか……グラビアの仕事とか来る可能性もあるし、身体は絞っといた方が……私はあまりやらないけど」

憧「やらない? 仕事が来ないんじゃなくって?」

健夜「やっぱり私のこと嫌いだよね!? グラビアって言っても水着とかばっかりじゃないから! ……私、自分で言うのもなんだけどそこそこ人気あるからね……? 仕事自体は来るんだよ……?」

一「そこそこって……人気すごい高いじゃないですか……」

恭子「やっぱり圧倒的に強いですからね……世界戦で結果出しまくって日本麻雀の地位を上げましたし」

穏乃「そうですね……そのあまりの強さに、うちの赤土先生も小鍛治プロにやられてトラウマ作って……」

健夜「やっぱり恨んでるよね!?」

晴絵「はは……恥ずかしいからほじくり返さないでくれよ」

健夜「と、とにかく! 今はトレーニングの話だよ! 麻雀のためにも、その他諸々のためにも!」

晴絵「そうですね……今後のためにも気合入れて! 雀力の基礎は体力から!」

穏乃「おっ! いいですね! 熱意がないと運動は続かないですから! 習慣にしないとトレーニングの意味がないですからね!」

恭子「それはそうやな。 麻雀だって毎日練習せなアカン……自分も、後輩にだって厳しく指導しとるしな」

憧「継続は力なりって言いますしねー」

一「新子さんだってそっちのタイプでしょ? ボクも透華が毎日頑張ってるの見てるし……続けることは大事だよね」


健夜「それじゃあ、まずは……」

晴絵「ええ、そうですね……」


健夜「とりあえず、ジャージ買おう!」
晴絵「とりあえず、ジャージ買おう!」


憧「形から入った!? って言うかハモった!? 意外と仲いいなあんたら!?」

一「形も大事だよ? もちろん内実も伴わないとだけどね」

恭子「部屋着にならなきゃええけどな……私も買っとくかな、お洒落なやつ」

憧「買うんですか!? ジャージを!?」

恭子「お洒落なやつな。 お洒落なやつ……デザイン性の高いジャージな」

憧「ダサいって言われたの相当根に持ってますよね!? すみません!」

穏乃「だから末原さんはカッコいいですって! ほら、今試着していただいてるジャージだって似合ってますよ!」

恭子「ん? ……そ、そうか?」

憧「騙されてますよ!? ジャージですから! ジャージ! ジャージの良さは認めても普段着にするのは絶対に認めませんよ!?」

恭子「いや……でも、ほら……高鴨って素直やし……」

一「他人のいいところを素直に褒めれるのは高鴨さんの素敵なところですよね」

憧「末原さんはいつも通りもっと警戒心持ってくださいよ!?」

穏乃「あ、末原さんそのままちょっと腕組んでくでさい! 絹恵さんに写メ送るんで!」

恭子「ん……こ、こうか?」

穏乃「素敵ですよ! 末原さん!」


穏乃「よかったら、そのジャージこのまま差し上げますよ! 十分着れそうですし!」

恭子「いや、さすがにそれは悪いやろ? ちゃんと買ってくるから……」

穏乃「いえいえ、これも縁ですから! きっとそのジャージも末原さんに来てもらった方が喜びますよ!」

恭子「しかしな……」

一「ほら、高鴨さんもこう言ってますし……友情の証なんです、ジャージが絆を紡ぐんですよ……ボクのこの手枷が絆であるように……」

恭子「国広……」

憧「なんかいい話みたいにするのやめてくれます!? 意味わかんないですからね!?」

健夜「新子さん、学校やチームを越えた絆っていうのはね、後々絶対に自分を助けてくれるんだよ」

晴絵「そう……私が今こうしてここにいるのも回りの人たちが助けてくれたからで……」

憧「だからいい話風にすんなって言ってんでしょ!?」

恭子「……そういうことなら、受け取らせてもらうわ」

穏乃「はい! どうぞ!」

恭子「……なあ、高鴨」

穏乃「なんですか?」

恭子「このジャージ……ほら、な?」

穏乃「……? どこか変でしたか?」

恭子「あ、いや……催促するみたいで悪いんやけど、ほらワンセットでもらえんと困るっちゅーかな……」

穏乃「……?」


恭子「だから、その……下の方を」

穏乃「した?」

恭子「えっ?」

穏乃「う?」

一「なんの話?」

穏乃「???」

恭子「???」

一「???」

憧「うっ……ぐすっ……」

恭子「泣いてる!?」

憧「末原さんがまともな人でよかったよぉ……」

恭子「……えっ?」

穏乃「?」

一「?」

憧「ひっく……ぐすっ……」

恭子「えっ?」



恭子「メゲるわ……」



カン!

次回は…有珠山+はやりんか、すばら辺りかと
週一で来るのが目標ですが五月の頭に染谷先輩とかこーすけとかあるし…できる限り頑張りたいなぁ

ジャージ試着するのに全裸になる奴はそういないだろ!?なんだよこのスレ国広くんとはっちゃんしかいないのかよ…
>>善野監督:温存したと思ってもらえれば…なんと今月25日は弘世様の誕生日と言うだけでなく、ビッグガンガンの発売日でシノハユがセンターカラーで小学校全国大会編に突入するんですよね!(ダイマ)善野さんやハルちゃんの出番も楽しみです

本日はワハハこと蒲原さんの誕生日です。さとたんイェイ~
次の投下で埋まりそうですし、あとで慌てるのもアレなんで先に次スレだけ立てておきます

次スレ:穏乃「個人戦、見学していくんですね!」【咲ーSaki-】穏乃「個人戦、見学していくんですね!」【咲ーSaki-】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429626227/)

【咲ーSaki-】付いてなかったので今更ながら追加。
気が早いけど>>1000はよほど無理なこと言われなければ優先的に消化するつもりです
引き続きよろしくお願いします

個人的には憧→穏ってiPSみたいなネタにされるほどにはあんまり感じてなかったんですけどね。服交換するって言い始めたときに流石に何言ってんだこの子ってなりましたけど
予定変更して埋め用のネタを投下。ちょうどいいしこの話で


穏乃「憧はさ……」

憧「んー?」

穏乃「最近、私の格好に文句言うじゃん?」

憧「そりゃそうでしょ」

穏乃「おかしくない?」

憧「おかしくないから」

穏乃「えー? でも、国広さんとか薄墨さんとか……」

憧「おかしいのはしずと国広さんと薄墨さんだから」

穏乃「でもさー」

憧「なによー」

穏乃「憧だって、本当は私みたいな格好したいと思ってるんでしょ?」

憧「はぁ!? 何をどうしたらそうなるわけ!?」

穏乃「忘れたとは言わせない! 準決勝の時、私と服を交換したことを!」

憧「やめてよ! 忘れたいんだから!」

穏乃「ジャージ、着たかったんでしょ?」

憧「しずが制服着てなかったからに決まってんでしょ!?」

穏乃「ははっ、またまたー」

憧「なんなの!? なんでそんな自信満々なの!?」


灼「……いろいろ言うわりには、朝普通に穏乃がジャージで行くの止めなかったよね」

憧「灼さんまでなに言ってんの!? 私があの格好したかったとでも!?」

灼「そうは言ってな……別に、疑問に思ったから聞いただけ……」

玄「私も、ちゃんと制服で行きなさい! なんて急に言い出したからびっくりしたよー」

憧「それが普通でしょ!? あの江口セーラだって普段は学ランなのに試合の時は制服に……」

玄「それなら、朝会場に行く前に言えばよかったんじゃないかな?」

憧「そ、そんなの! ……私だって緊張してたし、いつもしずがジャージだから違和感なくてつい忘れちゃったの! 仕方ないでしょ!?」

宥「……あ」

灼「どうしました?」

宥「うん……憧ちゃんは制服で行くのが普通だって言ってたけど、永水の人たちは巫女装束だし……臨海のネリーさんとか、明らかに私服の人もいたなーって」

憧「……あの人たちは、ちょっと特殊なの! 宥姉だって夏なのにマフラーしてるでしょ!?」

宥「ご、ごめんなさい……」

穏乃「ちょっと憧、怒鳴らないでよ……宥さんはなにも間違ったこと言ってないじゃん」

憧「あ、ごめ……ちょ、しず! そのドヤ顔やめなさいよ! なに勝ち誇ってんの!?」


玄「でもそっかぁ……たしかに、普通は制服を着るものなのかもしれないけど、規則的には服装の指定はなかったんだね」

穏乃「つまり、憧はやっぱり私のジャージスタイルの素晴らしさに気づいて……」

憧「違うっつーの! っていうか、指定がなかったとしても制服着るのが普通だから!」

灼「二回戦まで、穏乃はジャージで出場してたけど……」

憧「だから、二回戦で江口セーラと打ってて気づいたの! 私だって、そこまで気づかなかったのは感覚麻痺してたかなって思うけど! 気づかなかったんだもん! 仕方ないじゃん!」

穏乃「……憧」

憧「なによ!?」

穏乃「任せてよ、いいジャージ選んであげるからさ!」

憧「しず話聞いてた!?」

穏乃「照れなくてもいいんだよ? そりゃあ、今まで否定してきた手前……今さら『しずみたいな素敵なファッションしたーい!』なんて言いづらいのかもしれないけどさ……」

憧「今の物真似めっちゃ腹立つんだけど!?」

灼「……あ、揺杏? 今なかなか面白いことになってるんだけど」

憧「灼さん!? ちょっと、余計なやつ呼ばないでよ!」

穏乃「あ、国広さんですか? 今憧が……」

憧「だから呼び出すなって!」

玄「ね、ね、憧ちゃん!」

憧「あーもう! なによ!?」

玄「空気を読んで薄墨さんにも連絡しといたよ!」

憧「余計なことすんな!」

玄「えぇ!?」


玄「怒られちゃったよ、お姉ちゃん……」

宥「玄ちゃん……落ち込まないで……」

灼「ナイスプレイだよ、玄」

憧「灼さんはどっちの味方なわけ!?」

灼「中立……ある程度まで面白くなるように引っ掻き回すつもりだけど」

憧「灼さんは東京来てから悪い友達に悪い影響受けすぎ!」

灼「ふふ……最近人生楽し……」

憧「そりゃあよかったわね!」

初美「憧ちゃんもこれから楽しくなりますよー?」

一「ようやく同じステージに立てたんだね、新子さん」

憧「きゃあ!? え? 国広さんに薄墨さん!? もう来たの!?」

一「同志が増えたと聞いて居ても立ってもいられず……」

初美「マイノリティですからねー……今は」

穏乃「いやーやっぱり大親友の憧が仲間に加わってくれるとなると心強いんですよね!」

憧「親友……はともかく、勝手に仲間に加えんなって言ってるでしょ!?」

宥「憧ちゃんは嫌なの?」

憧「むしろ宥姉だったら仲間になっちゃうわけ!?」

宥「……あ、あの格好はあったかくなさそうだし」

憧「ほら! ほら! やっぱり宥姉だって嫌なんじゃん!」


初美「穏乃ちゃん、今日も素敵ですよー」

穏乃「ありがとうございます! そういう薄墨さんだって……」

一「巫女装束の着こなし、サイコーに決まってますよ!」

初美「いえいえ、一ちゃんのファッションにはかないませんよー」

憧「ああ! また頭痛くなるような謎の褒め合いが始まってるし!」

玄「まあまあ、憧ちゃんもそんなに怒らないでさ……」

憧「だって! あんな、あんなのの仲間に……玄だって嫌でしょ!?」

玄「たとえ嫌だったとしても、そんな風に怒ってちゃ話にならないよ? ちゃんとお話して問題を解決しないと……」

憧「あんたは他人事だからそんな風に言えるのよ! じゃあ、例えばあんたの大好きな石戸さんとかがあんな格好してたらどう思う!?」

玄「石戸さんが……?」


玄「!?!?!?」


憧「ほら、玄だって……」

玄「お、おもちがとんでもないことに!」

憧「しまった! こいつ変態だった!!」

玄「あ、憧ちゃんも一回薄墨さんや国広さんに衣装を借りてみたらいいんじゃないかな!? そりゃあ、圧倒的にささやかでおもちレベルには達してないけどそこそこ……」

憧「あんたぶん殴るわよ!?」


玄「うぅ……いたいよぅ……」

宥「玄ちゃん大丈夫……?」

憧「はぁ……はぁ……この、バカどもめ……!」

灼「暴力はダメ、絶対」

憧「う……それは、まあ……ごめん、玄」

玄「うん……私も、ごめんね憧ちゃん……パッド入れるぐらい胸が小さいの気にしてるの知ってるたのに、私……」

憧「あー! わー! バカ! アホ玄! なに言ってんの!? 事実無根だし! バーカバーカ!」

灼「憧、残念な子になってるよ?」

穏乃「憧、ちょっといい?」

憧「なによ!? 私は別にパッドとか入れてませんけど!?」

穏乃「いや、だからさ……やっぱり憧はいきなり国広さん系の衣装はハードル高いかなーと思って……」

初美「実家が神社らしいし、私のと同じ仕様の巫女装束を分けて差し上げようかと思いまして……」

一「まあ、高鴨さんがいるし馴染みもあるだろうから高鴨さんがコーデしてあげてもいいと思うけど……」

憧「仲間になる前提で話が進んでるのはどうしてかな!?」


憧「うう……もうやだ……だれか助けて……」

?「私を呼んだかな?」

憧「!?」

玄「こ、この声は……!」

揺杏「私だ!」

憧「帰れ!」

揺杏「ひでぇ!?」

宥「あったかくない……」

揺杏「そーだそーだ! お姉ちゃんの言う通りだぞ! せっかくこうして顔を出したのに!」

憧「あんた絶対助けに来てないじゃん! 遊びに来ただけじゃん!」

揺杏「てへっ」

灼「あ、今のかわい……」

揺杏「えー? やめろよー照れるじゃんかよー」

憧「いちゃつくな! ウザいんだけど!」

揺杏「なんだよ! 冷たくするのやめろよ! 傷つきやすいんだぞ! ガラスのハートなんだから!」

灼「イジメカッコ悪い」

憧「あーはいはい! すみませんでした!」

揺杏「ちゃんと謝れよー」

憧「揺杏うっさい!」

揺杏「さーせん……」


揺杏「憧ちゃんが冷たい……」

灼「よしよし、元気だして……」

初美「揺杏ちゃーん、よかったら先日お話しした巫女装束なんですけどー」

揺杏「あ、だいたいできてますよ! 今度はっちゃんさんのとこ持ってくんで……」

憧「なにか恐ろしい計画が進行してる!?」

一「……あのさ、新子さん」

憧「……なんですか?」

一「そこまで頑なに拒否しなくてもいいじゃない。 それこそ、一度は身に付けてるんだし」

憧「いや、むしろ一度身に付けちゃったことも黒歴史だし今後一切着たくないんですけど」

一「でも、純くんだってボクたちみたいなファッションが……」

憧「ふきゅ!?」

揺杏「え、マジで!? ギャグでしょ!?」

一「ギャグ?」

穏乃「ほら、憧だってちょっと着てもいいかなって今思ったんじゃない?」

憧「え、あ、いや……そんなまさか……」

玄「憧ちゃん!」

憧「玄……?」


玄「私は……その、好きな人のために努力するのはすごくいいことだと思うよ?」

憧「…………」

玄「わ、私だって、その……やっぱり、好きな人に振り向いてもらえるなら、ファッションだってあんまり詳しくないけど頑張りたいと思うし……」

憧「言ってることはわかるけど……」

玄「けど、でも、って言って言い訳して! なにもしなかったら、きっとずっとこのままだよ!?」

憧「!」

玄「だから、憧ちゃんが井上さんに振り向いてもらうために頑張るのはすごくいいことだって思うな……」

憧「玄…………ん……!?」

憧「べべべ、別に井上さんが好きとかそういうこと一言も言ってないんですけど!? はぁ!? い、意味わかんないんですけど!?」

宥「憧ちゃんは照れ屋さんだねぇ」

揺杏「バレバレなのになー」

憧「だから違うってば!」

灼「っていうか、井上さんが……って、どこ情報?」

一「え? だってボクと純くん親友だし」

穏乃「親友なら理解してくれてますよね!」

初美「当然ですよー」

憧「また根拠のない自信か!? あぶなっ! 騙されるとこだった! 」

灼「え、騙されるとこだったの……?」

揺杏「憧ちゃんって頭いいけどバカだよなー」


揺杏「にしてもさ……」

灼「うん」

揺杏「玄ちゃんの説得、よかったよ!」

灼「ん……熱い友情が伝わってきた……」

玄「え? えへへ……そうかなぁ?」

揺杏「熱い恋心もな!」

玄「ふぇ!?」

宥「あったかーい」

灼「あったかいですねぇ」

玄「え? えぇ!? 今のは、その、一般論と言うか……」

灼「またまた……ねぇ?」

憧「ねー」

玄「え、ちがっ……もう! にやにやしないでよぉ!」

初美「玄ちゃんのためなら全力で協力しますよー?」

穏乃「服とかも用意しますから!」

憧「それはやめてあげて! 成功するもんも成功しないわよ!?」

揺杏「むしろ男受けはすんじゃない? ちょっとセクシーな感じで」

憧「国広さんみたいなのはセクシーとかそういう範囲を逸脱してるからね!?」


憧「うーん……私は玄らしくもっとおしとやかで清楚な方がいいと思うんだけど……」

灼「穏乃たちのは……なんというか、切れ味鋭すぎるからね」

宥「肌が出すぎであったかくなさそうだし……」

揺杏「お姉ちゃんは肌隠れすぎで逆にヤバイけどなー」

一「まあ、相手のリサーチなら任せてよ!」

玄「え? ま、任せるって……」

一「だって玄さんの好きな人って「はわわっ! だめぇ! 秘密だから!」あ、ごめんごめん……デリカシーなかったね」

揺杏「ふたりともめっちゃわかりやすいし全然隠せてないけどなー」

玄「も、もうっ! 今は憧ちゃんの話でしょ!?」

憧「ちょ、玄! あんたねぇ!」

穏乃「おっと、そうだった!」

初美「ついつい恋バナに釣られるところでしたよー」

一「そうだね、そもそもこの話を進めるのは新子さんのためにもなるし……」

憧「むしろ確実に足引っ張りますから! 勘弁してくださいよ!」

宥「憧ちゃん、ダメだよそんな風な言い方は……お友だちを信じてあげて?」

憧「宥姉……」

憧「……いやだからそういう話じゃないからね!? 友だちを信じるとかはともかく、服装は全然別の話だからね!?」


灼「……とりあえず、ここまでの話をまとめると」

揺杏「お、さすが部長! まとめに入ったねーさすが頼りになるっ! よっ! 大頭領!」

灼「……ども」

揺杏「なに照れてんだよー」

宥「灼ちゃんかわいー」

玄「かわいー」

灼「も、もう……ちょっとやめてよ……」

憧「和んでないで進めるなら進めてくれる!?」

灼「んんっ…………失礼。 まず、穏乃と国広さんと薄墨さんは憧に協力したい。 素敵なファッションチームの仲間として迎えたい」

穏乃「はい! その通りです!」

一「やっぱり新子さんみたいな子と一緒にオシャレしたいよねー」

初美「穏乃ちゃんの親友ですしねー! これからも是非仲よくやっていきたいですよー」

灼「逆に、憧の方は……センスが合わないし、あまりそういう服は着たくないと主張してる」

憧「その通り!」

灼「…………面倒だし、多数決でい……?」

穏乃「それだっ!」

憧「そんなわけあるかっ! いいわけないでしょ!?」


灼「……じゃあ、そもそもの争点である準決勝の話でもしよっか」

初美「準決勝ですかー?」

一「なにかあったの?」

玄「あ、そっか……おふたりは知らないんですね……」

宥「穏乃ちゃん、準決勝では制服だったでしょ? あれ、憧ちゃんの制服だったんですよー」

初美「え? どういうことですかー?」

穏乃「私と服を交換したんです!」

一「え……新子さん、もしかして高鴨さんのファッションを真似したくてそんなことを……」

憧「違いますってば! なんでそういう流れになるんですか! おかしいでしょ! 」

初美「むしろそれ以外の理由で服を交換する意図が見えないんですがー……」

憧「単純に他に替えの服がその場になかっただけですから!」

揺杏「つーかマジでなんで服を交換するとかいう発想に至ったわけ? 意味不明で怖いです……」

玄「あ、今の本内さんの真似けっこう似てましたね」

揺杏「マジ? ちょっと今後持ちネタにしようかな……」

憧「余計な話を始めないでくれる!?」


灼「じゃ、遠慮なくどぞ……」

憧「…………私、しずのこと好きだから……」

穏乃「……うん」

憧「だから、公式大会なのにちゃんと制服も着てこれないバカだって世間の人に思われたらイヤで……」

揺杏「あ、ちょっと待って」

憧「……なによ?」

揺杏「今の、はっちゃんさんのことバカにした?」

初美「ん? ……あ、ほんとですよー! ちょっとバカにしましたねー!?」

憧「あ、いや! そんなつもりでは……」

初美「私たちの間ではこれが正装なんですよー! 学校の制服とか知ったこっちゃないんですよー!」

憧「それはそれでどうかと思いますよ!?」

一「みんなで同じ格好してれば違和感そんなにないしね……」

灼「赤信号、みんなで渡れば怖くない」

揺杏「そう言って、あいつは逝っちまった……」

憧「こら! また変な小芝居はじめようとしたでしょ!? 要らないから!」

揺杏「ちぇ、灼と遊びに来たのにー」

灼「けちー」


一「まあ、つまり新子さんは……高鴨さんがちゃんと服装も整えられない子だと思われるのがイヤで服を交換したってこと?」

憧「まあ、そんなとこですけど……」

宥「あったかい思いやりなんだねー」

玄「これも、熱い友情だね!」

灼「なるほど……つまり、江口さんを見てちゃんと制服着ないとヤバいんじゃ……って焦って、普通じゃ考えられない服の交換という暴挙に……」

揺杏「憧ちゃんは焦るとけっこうアホなことするよねー」

憧「うっさい! だってしずに制服着せないとヤバいと思ったんだもん! 咄嗟の判断だったんだもん!」

玄「たしかに、他に着替えとかもなかったし交換するしかなかったのかもねー」

憧「そうなの! 仕方なかったの! しずの服を着たんじゃなくって、しずに制服を着せたの!」

穏乃「……憧!」

憧「な、なによ……しずだって、私のことバカだと思ってんでしょ……」

穏乃「そんなことないよ! 憧が私のこと考えてくれてたんだって……ちゃんとわかったから! 私、うれしいよ!」

憧「しず……」

一「いい話だね……」

初美「きれいにまとまりましたねー」


穏乃「憧! 改めてありがとう! 私、憧と親友でよかった!」

憧「……なによ、そんなこと今さら言わなくたって……わかってるから」

穏乃「へへ、そっか!」

揺杏「親友のために、恥ずかしい思いをする道を選んだってことか……」

憧「う……まあ、絶対嫌だったけど控え室から出なければ身内しかいないし……仕方なく……」

灼「ふふ……やっぱり、憧はいい子だね」

憧「へへ……じゃない! やめてよ、みんなの前で撫でるの!」

灼「照れ屋さんなんだから……」

穏乃「私、憧に本当に感謝してる! 秋以降の大会はさ、ちゃんと制服来てくよ……たしかに、気づかなかったけどやっぱり基本のマナーだもんね」

憧「ん……わかってくれたならいいのよ」

穏乃「うん! それに、ちゃんとお礼もしたいから……」

憧「いいわよ、そんなの……親友として、当然のことをしただけなんだから」

穏乃「ううん! それじゃあ私の気が済まないから!」

玄「憧ちゃん、それこそ穏乃ちゃんと憧ちゃんの仲なんだから遠慮なんかしないの、ね?」

宥「お互いにお互いのことを思ってすることなんだから……憧ちゃんが穏乃ちゃんに助けてもらったら、その時はまたお礼すればいいんだから」

憧「……うん、わかった」



穏乃「それじゃあ、憧のためにカッコいい服、用意するね!」


初美「そういうことなら手を貸しますよー!」


一「うん、絶対に素敵なものを準備するよ!」


揺杏「裁縫はまかせろ!」灼「バリバリー」



憧「やめて!」


カン!

テンパってとりあえず制服着せたら自分の着るものがなかっただけ説

残り少ないし埋めていただければ幸いです

1000なら宥姉がちゃちゃのんとお茶してるところに爽と由暉子が現れてちゃちゃのんと由暉子(と言うか爽)が一触即発に

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom