早川あおいちゃんスレ (319)

>>1が思いつくままにあおいちゃんのSSを投下するだけのスレ
すべてにおいて不定期 かつ書き溜めゼロ

主人公×あおいがメインの予定

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1412168623

頑張れ

(※>>1は野球に疎い パワポケ7の野球レベルと思ってくれて良いです)

****

【ヒロイン】

先発はあおい先輩。中継ぎは私、そして抑えは小波先輩。
最近では「猫の手勝利の黄金パターン」などと呼ばれる流れを経て、勝利をもぎ取ったのは昨日のこと。

完全休養日を手にした私は、様々な出来事を経て――そこには小波先輩の活躍も大きい――大の仲良しとなったあおい先輩の家に招かれていた。
タイミング的に先輩の休養日も重なり、キャットハンズ二大美少女プレイヤー(そもそも女性選手は我らがキャットハンズにしかいないけど)による宅飲み女子会と相成った。
絶賛料理を勉強中というあおい先輩の手料理をいただきながら、ハイビジョンで映し出される野球中継を眺める。
結局休みの日でも仕事とは切っても切り離せないのは私たちがプロである故か。まあともかく。
私たちが見ているのは我らが愛すべきキャットハンズと、同リーグの宿敵やんきーズの試合だ。

手に汗握る攻防の末、メガネ……もとい矢部先輩が俊足を生かした切込みを見せ、そこから我ら猫の手打線は大爆発。
そう、そして何より今日一番の活躍を見せたのは、昨日の勝利の立役者である小波先輩。なんと今日は3番右翼手での出場だ。
昨日の疲れなど露とも見せず、三安打猛打賞、内一本は本塁打という超絶化け物っぷりをテレビ越しに見せてくれた。
流石はあの猪狩守と同世代筆頭を争うだけのことはある。猪狩投手も化け物じみた打撃翌力なんだよなぁあれ……カイザースとの交流戦は怖いったらない。

てなわけで小波先輩の大活躍でキャットハンズは快勝なわけなのだけれど。
私の目の前で同じくテレビを食い入るように見つめているあおい先輩の顔、その蕩け具合と言ったらもう……なんと言えばいいのだろう?

「すごいなぁ……えへへ……もう、ほんとにすごいんだから……」

うわ言のように小波先輩への賞賛の言葉をつぶやきながら、今日のハイライトをにへらにへらと眺めているあおい先輩。
マウンドに立ち、バッターボックスに立つ強敵たちを気丈に睨み返す闘志溢れるあおい先輩の姿など今や影も形も見えやしない。
全国のあおい先輩にあこがれる野球少女が今の先輩の姿を見たらどう思うんだろう、と少し心配せざるを得ない。
……まぁ、気持ちはわかるけどね。小波先輩の活躍は私だって嬉しいし。いやしかしここまで蕩けるのもなかなか……。

「あっ、みずき、みずき! ホームランだよホームラン!」
「そうですね、小波先輩が打ちましたね。これで3回目のリプレイですね」
「これで今シーズン15号だよ!」

そのセリフは4回目です、あおい先輩。
……小波先輩が関わるとどうしても乙女モード全開になるんだよねえあおい先輩。
もちろんそれが悪いわけじゃないしむしろ私としては応援する気持ちも強いんだけど……まぁ、この雰囲気、オーラを直浴びするというのはなかなか……。

そんな私の苦悩に、小波先輩一色で染まっているあおい先輩が気付くわけもなく。
ハイライトが終了して残念がっているあおい先輩は次に流れるヒーローインタビューにくぎ付けだ。
多分小波先輩が出てくるとは思うけど……。

『放送席放送席、今日のヒーローインタビューです』
「きたっ!」
「きましたねぇ」

女性MCの側のお立ち台に立ちまばゆいフラッシュを一身に浴びるのはやっぱり三安打猛打賞の活躍を見せた小波先輩。
そしてその隣で小波先輩よりも数段鼻高々に笑うメガ……矢部先輩だ。今日の膠着状態を打ち破ったのは矢部先輩のお手柄もあるし選出に誤りはないな、うん。

10の後輩みずきは可愛い過ぎるよなぁ…
なお同級生みずきは

『今日のヒーローはもちろんこの人、ミスターキャットハンズこと小波選手と、切り込み隊長矢部選手です!』
「どうも、矢部でやんす!」

小波先輩の前に覆いかぶさるよう、食い気味にインタビューを受ける矢部先輩。
これはいつものことだし矢部先輩はこういう愉快なキャラクターで愛されているので私としては別段思うところはないのだが。
まぁ、隣の人は、違うよね。

「矢部君、邪魔……」

なんか黒いもの垂れ流してるような気がするけど気のせいかなぁ。あはは、気のせい気のせいきっと気のせい。
気のせいにさせてくださいお願いします。なんでもしますから!

なんで大好きなあおい先輩の家に来て私が胃を痛めなくちゃいけないんだ恨むぞメガネ!

『今日は三安打猛打賞と大活躍でしたね、小波選手!』
「ありがとうございます。昨日の勝ちをいい流れで繋いで来れてよかったです」

矢部先輩のインタビューをほどほどに流したMCは、今日の真なる主役小波先輩へとそのターゲットを変える。
賞賛を受けた先輩は人当たりのいい柔和な笑みを浮かべ、すらすらとインタビューに答えていった。
私の隣ではその様子をとても満足げに聞いているあおい先輩。ほほえましい限りである。

小波先輩は野球の才も化け物じみてるのだけど、人たらしという面でも一線を画している……と私は思う。
小波先輩の台頭以来キャットハンズの団結力は凄いものだし、かくいう私も先輩のお陰でチームやあおい先輩に馴染めた経緯を持つ。


……ただひとつ問題なのは、そう……あの甘いマスクで微笑まれ、一瞬でもくらっと来ない女性はいないこと、とか?

『小波選手、ズバリ、今年の目標は日本一ですね?』
「え? ええ、それはもちろん……」

普段冷静な小波先輩の声が若干動揺の色に染まる。そして中継に映し出される映像に私の心臓は跳ねた。
ドキドキとかじゃなくて、ヒヤヒヤで。だってMC食い気味だよ。小波先輩にむちゃくちゃ近づいてますよあれ。
軽く小波先輩の腕を握ってるようにも見えたりなんだりしちゃったりして……。
……私は恐る恐るあおい先輩のほうを盗み見た。

「うー……近い……近いよー……」

おや。
私の想像とか若干違って、あおい先輩はどす黒い何かを垂れ流すわけでもなくただただぷっくらとその頬を膨らませていた。

「小波君ってば、にやけてる……やらしい……」

クッションをぎゅっ、と握りしめながら、MCと小波先輩との距離感に愚痴をこぼすあおい先輩。
やだもう、なんなのこのかわいい生き物。小波先輩を取られると思って嫉妬してるんだなぁ……。

「だ、だいたい、ボクのほうがあなたよりずっと小波君と触れ合ってるし……」

ついにはMCに対して自分が優位だということをアピールする発言まで飛び出してきた。
ここにはいない人に聞こえないこと言っても無駄なのにそれでも言っちゃうあおい先輩の必死さ。
そしてその可愛さといったらないもんだ。ないったらない。

「……小波君の隣はボクって決まってるのにぃ……」
「くうぅ……」
「え? ちょ、みずき、どうしたの胸なんか押さえて! 大丈夫!?」

あおい先輩が血相変えて私を心配してくれているのだけれど……。
違うんです、違うんですあおい先輩。あおい先輩の必死さが可愛すぎてちょっと胸が痛くなったというかそれだけなんです。

……ヒーローインタビューひとつ見るのだって一苦労だなぁ、ほんと。

***

「ねぇ、みずきちゃん」

数日後。完投勝利を果たしお立ち台に上っているあおい先輩をベンチで眺めていた私は、隣に座る小波先輩からの声に思わず振り向いた。
いつも飄々としている風の小波先輩の声にあまり余裕がないのはどうしたことだろうか。
疑問に思う私を尻目に、小波先輩がその答え――思わず笑ってしまうような――を述べる。

「……あのリポーター、あおいちゃんにちょっと近すぎないかなぁ」
「……ぷっ」

確かに、あおい先輩にヒーローインタビューを敢行している男性リポーターは食い気味に見えた。
それはまるで先日あおい先輩の家で見たあの女性MCのよう。……というか、この人たちはまったく。

「なんで笑うのさ? なにかおかしいこと言ったかな」
「いえ……ふふふ、先輩たちって似た者同士ですよねー」
「そう?」

そうですよ。まったく、心配するところが全く同じなのは素晴らしくお似合いというかなんというか。

見てるこっちはいろいろ楽しかったり辛かったりですよ、ほんとにね。

こんな感じで気が向いたら思いつくまま不定期に時系列めちゃくちゃでお送りいたします。
小波(主人公)、あおいちゃんは恋恋高校→キャットハンズ くらいは確定事項か。


ではまたいずれ

乙!
みずきは脈無しか…悲しいなぁ…
もう一回10やってみようかな


10のopっていいよね

視点変更も使いこなせばもっと面白くなりそう

>>11
あおいちゃんスレだからね……しかたないね……

>>12
素晴らしい

>>13
意識してみます


あおいちゃんって恋恋高校→ロッテ→キャットハンズじゃん……忘れてたわ

小波君:恋恋高校→オリックス→キャットハンズ
あおい:恋恋高校→ロッテ→キャットハンズ
矢部君:恋恋高校→日ハム→キャットハンズ

かな? 揃いすぎィ!

【自宅でいちゃこら】


「うー……ん……?」

なんだかとても幸せな夢を見ていた気がする。
あと少しでクライマックス、ってとこでボクの脳味噌は活動を再開したらしく、夢の続きを眺めることは叶わなかった。
ゆっくりと瞼を開ける。ぐわんぐわんと頭の中で鐘が鳴ってるような酷い感覚に顔をしかめた。
間違いない、二日酔いだ。えーと、昨日はそんなに飲んだんだっけ……?

ぼやける思考をどうにかまとめ、そこでボクは昨日のゲームで我らがキャットハンズがリーグ優勝を成し遂げたことを思い出した。
そう、選手全員でビールかけやらなにやらどんちゃん騒ぎした後、小波君、矢部君、みずきと飲みに繰り出して……。
繰り出して……それから先の記憶がない。

いったいどれだけ飲んだというのやら。思い出せないほど飲んで潰れたのか。
べろんべろんに酔ってしまった姿を小波君に見られてしまったのではないかと思うと若干肝が冷える。

男だらけの世界に飛び込んでいるし性格も女の子らしくはないけど、自分自身ではしっかり乙女のつもりだ。
あられもない姿を想い人に見せてしまうというのはそこそこ堪える。

「……まあ、いまさら仕方がないけど」

ブルーになりながら独り言ちて、ボクは自分がベッドの上に寝転んでいることに気が付いた。
ご丁寧にタオルケットもかけられていて、隣ではみずきがすやすやと寝息を立てている。
……ボク、どこで寝てるの? このベッド、ボクの家にあるやつじゃないんだけど……。

そこまで思い至って、昨晩の記憶がより鮮明に脳裏に浮かび上がってくる。
どうせだったら小波君の家で飲もう! とかなんとかボクが提案して、矢部君とみずきと一緒に小波君の家に無理やり上がり込んだんだ。
そこには当然ボクなりの下心が満載だったわけだけど……うわー! なにやってんのボク!
人様の家に上がり込んで酒を潰れるほど飲んでその上小波君のベッドに寝かせてもらって……。

「え? 小波君のベッド……?」

ごくり、と。
唾を飲み込む喉がやけに大きく鳴いた気がした。
小波君のベッドに、寝転んでる? いつも小波君が寝てる場所で、ボクも寝てた……?

「あ……っ」

……隣ですやすや眠るみずきの顔が小波君に変わっていくように見えて、ボクは思わずシーツに顔をうずめた。
な、なんだかもう、まともでいられないくらい恥ずかしいしそれ以上にこう、嬉しさがこみあげてくるのはどうしたことかな!?
両手でシーツをむんずと掴んで顔を覆い、両足をバタバタさせてしまう。もう、なんなのさあ!

「うあ~!」
「……あ、起きたんだ」
「ぴゃぁっ!?」

背後からかかった優しい声に思わず飛び起きる。
恐る恐る振り向いた先には、優しげにこちらを見やる家主――小波君の姿が。
み、見られたかな、今の奇行……。うぅ……。

ふかふかのソファに腰かけ、ボクは隣に座る小波君お手製の朝食を頂いていた。
ボクはあまり料理が得意じゃないから最近練習しているのだけど、小波君のこの腕前を見せられるとちょっと積み上げた自信も一撃で粉砕されてしまう。
得意じゃないことあるのかなぁ、小波君……。スクランブルエッグを口に運びながらそんなことを考える。
小波君はボクの隣で珈琲を啜りながら、正面のテレビでニュースを見ていた。
折しもニュースの話題は昨日リーグ優勝を決めたキャットハンズについてである。

昨日はボクが抑え、そして小波君は捕手起用という、珍しいオーダーで勝利をもぎ取った。
ファンも少しビックリな起用法かもだけど、ボクにとってはむしろその逆だったり。
高校の時はいつもこうだったしね。だから昨日はいつもよりテンションが上がって、すごく球が走ってたと思う。

リプレイで見る自分の姿というのはくすぐったいけど、うん、やっぱり絶好調。小波君がキャッチャーだからって張り切り過ぎたみたい。

「ね、小波君。昨日は勝ててよかったね」
「ん? そうだね。でも、あおいちゃんが投げたんだから当然じゃない?」
「えへへ、キミが捕ってくれたからね。小波君がいれば、ボクは負けないよ」

これは冗談なんかじゃなくて、本気。
小波君が側にいてくれれば、本当に、ボクは負ける気がしない。
体のずっと深い奥底から、どんどんと力があふれ出してくるんだ。それはもう、ずっと、高校時代から、変わらない。

「……ねえ、小波君」
「ん?」
「えいっ」

隣の小波君により近づいて、ぎゅっと彼の腕を抱きしめた。
小波君は驚いた風でもなく、ただただ優しげにボクを見つめている。……ちょっとくらい反応してくれてもよくない?

まあ、でも……こんなに密着できたのもなんだか久しぶりな気がするし。思うさま甘えちゃおうかな。
ぎゅーっ、とより強く腕を抱いて、体重をまるきり小波君に預けてしまう。

「えへへー……」
「まったく、あおいちゃんは……」

若干呆れたように。でもやっぱり優しげで、そこに拒絶の意思など微塵もなくて。
小波君の大きな優しい手が、ボクの頭を静かに撫でた。瞬間、痺れるような甘い感覚がボクの体を駆け巡る。
ボクはこうして小波君に撫でられてるときが、一番好きかもしれない。

「んぅ……」
「…………」

頭を撫でていた小波君の手が徐々に下がって、ボクの頬に触れた。
もにゅもにゅと一通りボクの頬の感触を楽しむ小波君。……もう。

「はは、柔らかい」
「……小波君ってば……」
「ごめんごめん……」

言いながら、ボクたちの視線が重なり合う。
……あ、れ? これって、もしかしてその……そういう? 雰囲気の? あれですか?

冷静な表情の中に熱を帯びた瞳でこちらを見据える小波君。
ボクはまるでその雰囲気に呑まれてしまいそうで、気が付けば小波君により距離を詰めていて――、


「あ~、よく寝たでやんす~」


――ボクたちは全力で距離を離した。あっぶない! 本当にもう、危ない!
でもナイスだよ矢部君! うん! 間違いない!

「……アンタたちなんかやけに距離あいてるでやんすね。怪しいでやんす」

勘が鋭いな、矢部君!

尻切れトンボ だが終わり
多分延々とこんなんが続くよ! 気が向く限りな!

おつ
高校時代の話しとかも書いてほしいな

抑えに外野に捕手って

>>20
考えてはいますよ

>>21
せ、精神バグ……(震え声)

【制服デート?】

「た、大変でやんす、大変でやんす!」

ドタバタと足を鳴らし室内練習場にやってきた矢部の姿に、キャッチボール中だったあおいとみずきは首を傾げた。
息せき切って駆けてきたらしい矢部は息も絶え絶えで、普段試合中に見せる以上の速度で走ってきたのではと思わせるほどだ。
ぜーはーぜーはー、わざとらしいほどに肩を上下させる矢部に対し、先に口を開いたのは高校時代からの友人でもあるあおいだった。

「矢部君……大丈夫?」

社交辞令半分、本心半分。しかし聞きながらも二人はキャッチボールを止めない。
加えてあおいの後ろに控えるみずきは半眼っぽかったが、矢部は気にしないことにした。

「そ、それがでやんすね……だ、大ニュースというかスクープなのでやんすよ……」
「……どういうニュースなんです、矢部先輩」

諦めの感情を滲ませてみずきが問う。


「聞いて驚くなでやんす! あの小波君が女子高生とデートしてたのでやんす!」


――後に矢部はこう語る。

「え? あの時でやんすか? ……あおいちゃんとみずきちゃんの目が一気に濁ったように見えたでやんすね……あと練習場の温度が少し下がった感じが……思い出したくないでやんす……」

精神バグ懐かし過ぎる
あれをするには2軍のクソ守備と1軍の他球団を相手にしないといけなかったからな…

矢部っちは日ハムに戻って多田野とイチャイチャして、どうぞ

なお多田野

「矢部君……それ、どういうことかな?」

一体全体、可憐なその外見のどこからそんなドスの利いた声を出せるのだろう。
矢部がそんな疑問を抱かずにはおれないほどの声音であおいが問うた。

「適当なこと言ってたら承知しませんよ」

威圧感の特殊能力がついてるんじゃないかと錯覚するほどのオーラを出しながらみずきが続く。
ここにきて矢部は見たままをありのまま伝えようと考えた自分の失策に気が付いた。が、時すでに遅し。
じりじりと、キャットハンズの誇る美少女プレーヤー二人が矢部の発言の真意を解くために迫りくる。
傍から見れば羨ましい光景であるのかもしれない。だが矢部が抱いた感情は恐怖であった。チビりそう。

「お、お、おお、落ち着くでやんすよ二人とも……」
「落ち着いてるよ? ボクはいっつも冷静だよ?」
「短気持ちのあおいちゃんが言っても説得力が」
「え?」

矢部はひれ伏した。

「……で、矢部先輩。小波先輩が女子高生とデートしてたっていうのは本当なんですか?」
「は、はいでやんす……たまたま街で小波君を見かけたから声をかけようと思ったら、制服姿の女の子と手をつな――はっ!?」
「手を……?」
「つな……?」

矢部昭雄、またも痛恨のエラー。
矢部は内心で叫んだ。これは痛い。目の前の女子二人が孕んだ怒気といったら、並の男なら気絶しそうな勢いだ。

「……みずき、練習は切り上げよう!」
「はい、あおい先輩! 行きましょう!」

それでいいのか、と矢部に問うだけの気力は残されていなかった。

なにより矢部は、これでも高校時代の小波とあおいを最も近くで見てきた人間である。
彼らには幸せになってもらいたいと矢部なりに考えているからこそ、目にしてしまった衝撃的なシーンをあおいたちに伝えたわけで。

「……あ、オイラも行くでやんす! 案内するでやんす!」

……とはいえ、結局のところ野次馬根性も半分以上は混じっているのだが。


***

(私は勢いに任せて何をやっているんだ……)

握った手から伝わる温度に、思考はほぼ溶けかけていた。
久々の再会にいてもたってもおられずに、無理矢理に手を取ってしまった。

「……おーい、どこまで行くつもりなんだ?」

振り返れば、長い間焦がれていた表情。それだけで、聖の胸中は満たされた。
それと同時に、もっとずっとこの顔を眺めていたいという欲求もまた生まれてくる。

「ひ、久しぶりの再会なんだ……少しくらい付き合ってくれたって罰は当たらないだろう?」
「もちろん、付き合うことに異存はないけど」

足を止め、振り向きながら聖が問う。
返された小波の答えに胸を撫で下ろしつつ、聖はこれからどうしようかと思いを巡らせた。


聖と小波は、俗にいう幼馴染みだ。
5歳ほど年上の小波を、聖は幼い時分から兄のように慕っていた。
小波が恋恋高校に進学を決めた時、聖の第一志望校は確定したし(結局恋恋高校へは進学しなかったが)
小波がプロ野球界に飛び込んだとき、聖もまたそこへ向かう決意を抱いた。
それくらい、聖にとって小波の存在は大きい。けれど。

「――プロ入りしてからはずっと顔も見せてくれなかったな」
「あー……それは、悪かったと思ってる」
「今日は4年分、きっちり付き合ってもらうからな。に、兄さん」

握る手に力を込め、聖は小波の瞳を見据えて言う。
若干声が上ずったのは、あまりに久しぶりな呼び方をしたからだ。少し恥ずかしい。

「わかった、今日はとことん聖に付き合うよ」
「ほ、本当か!? ありがとう、兄さん」

小波からの返答に、嬉しさのあまり小躍りしそうになってしまう。
顔を合わせられず、テレビの向こうに映る小波を見るしかなかった4年間のなんと味気のなかったこと。
ようやく今日から失った日々を取り戻しにかかることができるんだ――聖の心が期待に弾む。

「――へえ、兄さんねえー?」
「て……手、繋いでる……」
「やっぱり制服デートでやんすか! 羨ましいでやんす!」

――しかし、その聖のテンションを下げたのはよりにもよってとても聞き覚えのある声であった。
聖タチバナでバッテリーを組んでいた1学年上の先輩――去年キャットハンズに入団した橘みずきの声だ。

弾かれたように振り向く聖の視界に飛び込んできたのは、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるみずきと、
キャットハンズの俊足巧打の外野手、矢部昭雄……そして、聖は個人的に最も警戒している人――早川あおいの三人。

「な、なぜみずきがここに……」
「あれ、三人とも奇遇だね。どうしたの?」

ちなみに能天気な小波は聖と手を繋いでいる状況にもかかわらず普通に挨拶を交わしていた。

「ど、どうしたもこうしたもないよ! 小波君が女子高生と、で、デートしてるっていうから!」
「そうですよ小波先輩! いつの間に聖と知り合って……というか聖とデートしてくれるなら私にもチャンスは……」
「なー! で、でーとなどという浮ついたものでは……」
「小波君はオイラの敵でやんすー! うわーん!」
「ええっ!? っていうか、みんな思い思いにしゃべりすぎだよ……」

このちょっとした騒動が収まるには小一時間かかったという。

途中で飽きた感マックスで笑う
小波君フラグメイカーすぎんよー

>>24
パワプロ10ほんと懐かしい
もう10年近く前か……まだ近鉄とかダイエーがあるし

>>25
TDN……悲しいなぁ

雅ちゃん出したい欲

今気づいたけどスレタイに偽りありになりつつあんじゃねーか!


何も問題ないな

(ハーレムじゃ)いかんのか?

ハーレムでいいじゃん(いいじゃん)

【スレタイ通りに頑張ろう】


「お待たせ、晩飯はカレーだよ」

小波君が運んできてくれたのは、二人分のカレー皿。スパイスの香りが食欲をそそってしょうがない。
目の前に並べられたお手製カレーはとても美味しそうで、これを食べられるボクは実に幸せ者だなあ、と思う。
でもさ、何の疑問もなく喜んでるけど、普通ボクが作ってあげる側だよね……。

「……今度はボクが料理、作るね」
「何なら今度は一緒に作ろうか」
「えっ、いいの? うんうん、絶対一緒に作る! 約束だからね!」

小波くんははいはい、と笑いながら約束してくれた。
台所で肩を並べて料理を作る男女二人なんて、なんだか新婚みたいだなぁ、なんて……えへへ。

……待てよ。
今日は小波くんの家に何度目かのお泊りなわけだけど、今までに特に何かがあったことは全くない……。
ボクって女の子として意識されてるのかな。ちょっと疑問。

「ねー、小波君」
「ん?」
「あーん」

だから、今日はちょっぴり攻めてみよう!
カレーを掬ったスプーンを、正面に座る小波君の口元に突き出す。
いわゆる、「あーん」だ。恋人やそれに準ずる間柄の二人にのみ許された行為。
ボクが使っても、問題はないはず……ないで欲しい……。

「ありがとう」

小波くんはお礼を言って、躊躇いなくぱくりとカレーを口にした。
臆面もなく「あーん」を越えるとは……やるね小波君。

「じゃ、俺からもお返ししないとね。はい、あおいちゃん」
「えっ、あっ、えっと……」
「あーん」

逆に小波君から突き出されるスプーン。こ、これ、結構恥ずかしいね……。
やってる分にはよかったんだけど、いざやられる側になるとなかなか……。

ボクが逡巡しているうちに、小波君はスプーンを引っ込めてしまって――ああ、勿体なかったかなあ――少しだけ意地の悪い笑みを浮かべた。

「……口移しのほうが良かったりする? でも普通飲み物だよなあ」
「えっ、あのっ、いやっ、そのっ!」
「いや、冗談だよ?」

小波君の冗談は本気なのかどうなのかわからないんだよお……。
結局ボクはその日、あーんをしてもらうチャンスを逃してしまったのだった。はぁ。

ついに1レスで終わらせ始めてんぞコイツぅ
まあイチャコラさせんのが目的だからね 野球関係ねぇ!

>>32-35
ハーレムにするんだったら雅ちゃんも必要ですね(にっこり)

おう可愛い雅ちゃんあくしろよ

>>36
当たり前だよなぁ?

雅ちゃんはよう

10、14のみずきと15の聖ちゃんぐう好き
手元にないから確認できないのが悔しいけれども
そもそもみずきってあおい先輩呼びだったっけ。あおいさんだった気がしないでもないけどまあいいか

>>37-39
雅ちゃんはあおいちゃんと同世代だよな
またも小波君にフラグが立ってしまわれるのか……
まあいまさらだね しょうがないね

【雅ちゃん】

女子高生でありながら野球部に所属し、甲子園を目指している子がいる――。
そんな噂を耳にしたのはつい一週間ほど前。それからはずっと何をするにも上の空で、私は今日、ついに行動に移すことにした。

件の子が所属しているという恋恋高校に向かい、その姿をこの目で見るんだ。
「女性選手は高校野球に参加できない」――苛立たしいルールに真っ向から挑もうとしている、その眩い姿を。

「……ここが、恋恋高校かぁ」

恋恋高校は元女子校で、去年共学になったばかり。
私も入学を考えないではなかったけれど、野球を続けるためにとき青への入学を選んだ。
……男になって野球を続けようとする私と、女のまま、ルールに立ち向かおうとしている噂の子。

強い子だと思う。私には真似できそうになくて、嫉妬心を抱かずにはおれなかった。

「ううん、よそう……。えっと、そもそも部外者は入れるのかな」

私は男の象徴である学ランを着ているから、対外的には男子に見えるはずだ。
けれど、元女子校である恋恋高校が他校の男子生徒に厳しい目を向けるのは必至だろう。
勇み足でやってきたけど、少し早計だったかもしれない。……今から着替えるといってもそもそも服がない。

「うーん……どうしたものかな……」
「ん、見学ですか?」
「えっ?」

背後からかけられた声に振り向く。
いつの間にか私の後ろに、恋恋高校の――数少ないであろう――男子生徒が立っていた。
校門前でうんうん唸る他校の男子がいたら気にするのも当然か……失敗しちゃったかな、と苦い思いを抱いたのだけど。

よくよくその顔を見たとき、私は驚きを隠せなかった。

「――っ、こ、小波君!?」
「俺を知って……って、その声、雅ちゃん?」

だって、中学時代のチームメイトである小波君が、私の目の前にいたのだから。

「ど、どうして小波君が恋恋にいるの? 帝王実業に進んだハズじゃ……」

小波くん。私の中学時代のチームメイトで、その実力は折り紙付き。
チームこそ県大会止まりだったけど、小波君個人の実力は全国でも有数のものだと思う。
彼がマウンドに上がった試合は、守る私たちも安心して伸び伸びとプレーできたものだ。

その実力は県外にだって知れ渡っていたから、当然強豪からの推薦もあった。
小波くんは県外の甲子園常連、帝王実業高校に進んだと記憶していたのだけれど……。

「話すと長くなるからね。とりあえず食堂でゆっくり話そうか」
「う、うん……」

ニコニコと笑う小波くんに案内されて、私は恋恋高校の敷地へ足を踏み入れた。
小波くんの顔が利いているのか何なのか、特に咎められるようなこともなく、すんなりと食堂に到着してしまった。

……すごいなあ恋恋高校。食堂一つとってもおしゃれだ。というか食堂ってよりカフェテリアだよねこれ。

「お、席も空いてる。ちょうどいいや、座って」
「うん」

小波くんに続いて席に座り、私たちは向かい合う形になった。
昔から凛々しかったけど、顔を見ない間により一層小波君は凛々しさを増した気がする。
なんだかずっと真正面で顔を見ているのが恥ずかしくなって、私はふと視線を逸らした。

「どうしたの?」
「ちょっと恥ずかしくて……そ、それより! どうして小波君が恋恋にいるの?」
「俺は雅ちゃんが学ラン着てる理由も気になるけど」

そ、それは、その……。

「まぁ、まずは俺からだよね。……簡単に言うと、推薦を取り消されたんだ」
「えっ!?」

中学卒業の時は何も言ってなかったのに……。
そこまで考えて、それは私も同じことだったかと思い直す。
私が何かを言える立場じゃあ、ないよね。私は静かに小波君の言葉の続きを待った。

「中学卒業すぐに、トラックに轢かれちゃってね。野球は二度とできないって医者から言われて、それで」
「……えっ」

なんでもないことであるかのように軽く続けられた小波君の言葉に、私は言葉を失ってしまう。
トラックに轢かれたとか、選手生命が絶たれたとか……そんなの、軽く流せることなんかじゃ……。

「そんなことになってたなんて……全然、知らなかった……」

小波君だったらあたり前のように帝王でレギュラーになって、
いずれ甲子園の実況でその姿を目にするんだろうと、漠然と信じ込んでいた。
だけど、小波君がそんな過酷な現状にあったなんて、私、ぜんぜん……。

「……小波君。私でよければ、力になるからね」

小波君が野球を失ってしまったことは、私としても辛い。彼のプレーには人を引き付ける何かがあるから。
遊撃手というポジションで、彼の投球を間近に見ることができたのは、私の自慢でもある。

そんな彼のために、私は少しでも力になりたいと思った。
だって私は、昔から、あなたのことが――。


「雅ちゃん、ありがとう」
「小波君……」
「……でも、何か勘違いしてない?」
「え?」

勘違いって、なにを?

「俺は別に野球をやめたわけじゃないよ。帝王の推薦は取り消されたけど」
「え……それじゃあ……?」
「うん、恋恋高校野球部のキャプテン、小波です。よろしくね」

にっこりと笑う小波君。


「え、ええええええええっ!?」


私の絶叫が、カフェテリアにこだました。

「こ、小波君、選手生命が絶たれたんじゃ……」
「うん……のハズだったんだけど、なんか気が付いてたら治ってたんだ。おまけに事故の前より実力が上がってる気がするし」

……それ、大丈夫なの?
ちょっと不安になるけど、それよりも。

「小波君、恋恋で野球を続けてたんだね……」
「俺から野球を取ったら何も残らないからね」
「そんなことないよ。……でも、小波君が野球してないのは確かに考えられないもんね」

過程はどうあれ、小波君が野球を続けているということに私は胸を撫で下ろした。よかった。本当に。

「じゃ、今度は俺からの質問なんだけど。雅ちゃん、なんで学ラン着てるの?」
「あ、あー……その、ね……」

答えにくい質問だけど、小波君も自分のことを話してくれたんだから。
私も腹を括って、ちゃんと答えよう。……自分の卑怯さに向き合うことになってしまうけど……。

女性選手は高校野球が出来ないこと、ならば性別を偽ろうと思い立ったこと、そのためにときめき青春高校を選んだこと。
ひとつひとつ説明していく間も、小波君は身じろぎひとつせずに真剣に聞いてくれていた。
だけど、その真摯な目で見つめられるのは、逆に私の心を締め付ける。
……自分の弱さを、最も知られたくない人に自ら伝えているのだから。


「――――って、ことなんだ。……幻滅、した?」

最後まで説明しきって、私は小波君の反応を伺った。正直なところ、すごく怖い。

「幻滅なんかしないよ。ただ正直、ビックリした」
「びっくり?」
「とき青って性別も確認しないんだね……」

あ、そっちなんだ……。でも、安心する。
小波君がするはずもないけれど、もし罵倒なんかされたらどうしようかって思っていたし。

「……今日恋恋に来たのはね、女の子のままでありながら野球部に所属してる子の噂を聞いたからなんだ」
「そうだったのか……」
「自分と比べてしまって、きっと落ち込むだろうけど……でも、そんな強い子のこと、見てみたくて」 

「あー、小波君! こんなところにいた!」
「噂をすればなんとやらだね」

そう言って小波君が視線を送る先には、ユニフォームに身を包んだ緑髪の女の子。そうか、彼女が。
きっと練習に姿を見せない小波君を探しに来たんだろう。小波君を引き留めてしまったことに罪悪感を覚えた。

「あれ、小波君誰かとお茶してるの……? あ、他校の人?」
「はじめまして、小山雅です」
「あ、どうも。ボクは早川あおいです」

私と早川さんが、互いに挨拶を交わす。
私には選べなかった道を選んだ強い子で、小波君と一緒に野球ができる、女の子。

「……早川さん、か」

きっと抱くだろうと思っていた嫉妬心は、予想よりも遥かに大きく燃え上がりつつあった。
小波君と同じチームにいられることが、羨ましくて仕方がない。

今日、久々に再会しただけで、こんなにも強く焦がれるなんて思いもよらなかったけれど。
でも、私は早川さんへの嫉妬を消すことはできなかった。

「小波君、小山さんとはどういう?」
「中学時代のチームメイトだよ」
「ふーん……」

小波君から私との関係を聞いた早川さんが、こちらを一瞥する。
彼女の勝ち気な瞳の奥には、私と同じ匂いを感じた。つまり彼女もまた、小波君を――。

「……ま、何はともあれよろしくね、小山さん」
「はい、早川さん」

……自分から逃げておいて、正道を歩む人に嫉妬して。加えて元チームメイトと一緒にプレーすることにすら妬いて。
自分の浅ましさをまざまざと思い知ってしまった。

早川さんから差し出された手を握り返したけれど、胸にくすぶる黒い炎は長らく消えないだろう。

おう雅ちゃん出したで
あと小波君の化け物スペックはダイジョーブ博士成功ということでひとつ


キャットハンズの女性遊撃手って雅ちゃんのことなんですか!
気になって夜しか眠れません!

アカンキャットハンズ優勝してまう

>>47
これは大正義キャットハンズ不可避
なおチームの要小波選手を巡って数名の選手が水面下で争いを繰り広げているもよう


あおいさんのお泊りとかすっぱ抜かれたらヤバそう
逆に既成事実でリードできるのか

これは9の主人公かな?

>>49
イエスだね
パワプロ9と10の主人公の立場を混ぜこぜにしてる感じ
9と10がベースになってると思ってくれて構わんやで~

【たまには男同士で】

「小波君、久しぶりに男同士の親睦を深めないでやんすか?」
「ぜひ!」

ある日の試合後、そう語りかけてきた矢部に対し小波は満面の笑みで答えた。
しかもやけに嬉しそうである。これはいったいどうしたことだろうかと矢部が考えるうちに、小波はてきぱきと荷物をまとめ矢部を急かした。

「早くいこう矢部君、焼肉なんてどうだろう」
「いいでやんすね~。でもなんでそんな急いでるんでやんす?」
「詳しくはまた後で話すよ。だから早く行こう、俺もうおなかペコペコだよ」

高校から七年近くの付き合いになる親友の頼みであるならば仕方がない。
小波の言う通り詳しくは店で聞くことに決め、矢部もまた荷物をまとめて二人は球場を後にした。

「ふっふっふ、小波くーん、今日はぶっちゃけてもらっちゃうでやんすよ~」
「ぶっちゃけるって、何をさ?」
「そりゃーもう、いろいろでやんす!」


* * * 


「小波くん、今日も大活躍だったね! 一緒に夕食でも……あ」
「小波せんぱーい、今日こそ一緒にパワ堂のプリン食べましょうね……って」
「兄さん、捕手としての心構えをもう一度教えてもらいたく……む?」
「小波くん、一緒に試合のリプレイみようよ! 私の弱点とか教えてほしいな……あれ?」

「みずき、聖、雅ちゃん……どうしたの三人とも?」
「それはわたしの台詞ですよあおい先輩」
「私は兄さんを探していたのだが……」
「私もだけど……まぁ、多分みんなそうだよね」

「「「「…………」」」」

「よし、今日は勝ちを祝って女子会でもしよっか!」
「いいですね、乗りました!」
「うむ、たまには悪くない」
「じゃあさ、バーッと、焼肉でも行っちゃおうか?」


* * *

そういうスレじゃないのは分かるが
主人公の設定適当すぎる

>>52
そこんとこは許してくれよな~頼むよ~
あおいちゃんとのバッテリーもあおいちゃんとの継投もできるって……最高やん?


聖ちゃんが幼馴染みとか雅ちゃんがチームメイトとか、そこんとこは話の都合ということで

パワプロの設定なんかガバガバだからセーフ

俺も恋々で主人公投手だったけど最後のアウトは主人公捕手にして優勝バッテリーって演出したからセーフ

2013ならオールA170㌔SAもすごく頑張れば作れるから…(震え声)

【トラック×】

甲子園を沸かせたあの選手に悲劇!

プロ野球初の女性選手早川あおい(現ロッテ)とのバッテリーで去年夏の甲子園を湧かせ、
オープン戦でも獅子奮迅の大活躍を見せた期待の若手小波選手が、昨晩未明交通事故に巻き込まれた。
すぐさま救急車で病院に運ばれたため命に別条はないものの、怪我が余りに酷く今期中の復帰は絶望的だという。
加えて後遺症も懸念される。期待の新人に降りかかったあまりに痛ましい事故に、選手を始め、
高校時代からのライバルと知られる猪狩守(現巨人)も動揺を隠せなかった。

≪パワフルスポーツ 3月31日付けより抜粋≫



その紙面を目にした瞬間、小山雅は震える手で携帯電話を取り出した。
連絡先から小波を探し、通話ボタンを押す……手前で指を止める。そんな行為を幾度と繰り返し、雅は瞼を閉じ、静かに息を吸った。

(落ち着いて。落ち着くんだ……)

小波はいまだ入院中だ。連絡をしたところで迷惑にしかならない。
やりようのない悔しさに雅は携帯電話を強く握った。視界が滲んでいる。泣いているのか。

「……小波くんの一年が……無駄になっちゃうよお……」

ついに堪え切れず、雅は膝を落として泣いた。
自分に再び勇気をくれた小波が、またも野球を奪われようとしている。しかも、自らに非はない最悪の形で。
そんなことが許されていいのか、と雅は憤る。しかし、どうにもならないのだ。

「小波くん……」

ぽつりと雅が呟いた瞬間、強く握った携帯が震えた。
着信のコール。差出人は、高校時代の盟友にして最大のライバル――早川あおい。
……通話ボタンを押し、雅はあおいの声を待った。

「……雅ちゃん」

あおいの声は普段勝ち気な彼女の姿からはとても信じられないほどに弱弱しく、今にも消えてしまいそうなほどだ。

「早川さん……見たんだね、ニュース……」
「うん……」

答えるあおいの声は震えている。
無理もない、と雅は思った。自分ですらこれだけ動揺しているのだ。
ついこの前まで一緒に甲子園で大暴れした相棒が選手生命の危機にあるのだから、あおいの受けたショックはいかばかりか。

「……どうしよう、ボク……、ボク……」

鼻を啜る音が電話越しに響く。雅もつられそうになったが、待て、と思い直す。
ここで二人声をあげて泣いたところで、何かが変わるわけじゃないんだから。だから落ち着け、小山雅……!

「早川さん、落ち着いて……私もショックで、正直、膝が震えてる……」
「雅ちゃん……」
「で、でも、私たちがこうしてたところで、どうにもならないよ。だから今は……お互いに、やれることを、やるしかないよ」

あおいはプロ野球選手としてロッテに入団。
雅は女性野球選手として社会人野球を続け、プロ入りを目指している。
互いに、目指す道ははっきりとしているのだ。

「小波君が回復した時に、ちゃんと迎えてあげられるように……、私たちが……がんばって……がんばら、なきゃ……」
「うん……そう、だよね……」
「だから、今は早川さんも……シーズンに、集中して……」

プロ入り1年目がどれほど大事か。プロ選手でない雅になってわかる。
自分の怪我が原因であおいが心乱したと知れば、小波はきっと、自身を責めることだろう。
それだけはさせちゃいけない。何がなんだって、そんなことがあってはいけない。

「……わかったよ、ありがとう、雅ちゃん」
「うん……」
「ただね、ごめん、ひとつお願いがあるんだ」

あおいの声に若干の気丈さが戻る。
雅はひとり胸を撫で下ろし、続く言葉を待つ。

「ボクは……野球に集中する。今は、何が何でも」
「うん」
「だから、小波くんには、雅ちゃんがついていてあげてほしいんだ」

え、と雅が驚きの声を漏らした。

「キミとボク、きっと小波くんを思う気持ちは誰にだって負けないと思うから。だから、ボクの分まで、託していい?」
「……早川さん」
「キミだって野球に集中したいだろうけど……だから、ボク、すごくわがまま言ってるけど……でも……誰かが……」

ううん、と雅は首を振った。
あおいの想いは、確かに伝わった。

「わかった。任せて」
「……うん、任せたよ」

二人に、これ以上の言葉はいらなかった。

トラックに轢かれることに定評のある主人公。
なおそのたびにダイジョーブに成功するので足し引きで強くなってくるもよう

ここでのケガが元でトレード要員→キャットハンズに、かな

あーそうだ
一応参考までにどの娘メインがいいとかあったら聞かせていただきたい 
書くかは気分だしあおいちゃんスレやからメインあおいちゃんに変わりはないんやけど


どの娘メインとかじゃなくて
どの娘の話が欲しい、とかですね

ちょっとみずきが弱い気もしなくもないどころか最弱まであるな……

とある日のあおい、みずき、主人公、矢部をそれぞれの視点で見てみたい

ひじりん

【たまには男同士で2】

「さーて、それじゃそろそろ何を急いでいたのか話してもらおうかでやんす」

本拠地近くの焼肉屋で最高級和牛をしこたま注文した後、矢部がそう切り出した。
焼き肉の食欲を刺激する匂いに内心涎をこらえつつ、小波が静かに口を開く。

「最近どうもひとりの時間が少なくて」
「今もオイラと二人でやんすよ?」

それは確かにそうだけど、と笑い小波が続ける。

「……ここ二週間、ずっと女性陣の誰かしらと一緒にいるんだよ」

言った瞬間、矢部が机に突っ伏した。ごちん、と鈍い音が響き、思わず小波の肩が跳ねる。

「だ、大丈夫、矢部君?」
「……なんという羨ましい悩みでやんすか……なんという、なんという……」
「えっ、ちょっ、なんで泣いて……」

思わず男泣きを始める矢部に小波は狼狽する。
これこそは持つ者の余裕であり、持たざる者とは決してわかりあえない証左であろう。
小波には矢部が突っ伏した理由も、さめざめ涙を流す理由も、その一片とて想像がつかないからである。

「ぜ、ぜーたくな悩みに過ぎるでやんすよ小波くん! オイラもう恋恋時代で慣れっこだったと思ってたでやんすけど!」
「は、はぁ……」
「で、どうひとりの時間が少ないのか詳しくでやんす」

メガネをきらりと光らせて、矢部が身を乗り出しながら尋ねてくる。
小波は宙に視線を彷徨わせた後、思い出しように指折り数えながらこれまでのことを話し始めた。

「えーと、あおいちゃんとはフォームのチェックをしたね」
「ほう」
「みずきちゃんとはストレッチで、聖とは投げ込み。雅ちゃんとは守備連携の練習かな」
「二人きりで練習でやんすか……」
「うん。その後で飯食いに行ったけど……それくらいかな」

球界のアイドルたちとマンツーマンで練習してディナー行ってそれくらいとはどういう了見でやんすか、とは矢部の悲痛な心の叫びである。



* * *

「意外とすいててよかったね」
「本当ですね。あー、食欲をそそる匂い……」
「カロリーとの戦いだな……」
「あはは、まぁ、前借りってことで……。……って、ちょっと待ってみんな」
「どしたんですか、雅先輩」
「あそこ。……あれって小波君と矢部君だよね?」
「あ、ほんとだ。こんなところにいたんだ……」
「私たちには気づいていないようだな」
「男二人で焼肉かー。どんな話してるんでしょうね?」

「小波くん、今日はぶっちゃけトークでやんすよ! ずばり我が猫手女性選手で一番のタイプは誰でやんすか?」
「ま、またそういう話を……」

「「「「!?」」」」

(ナイスだよ矢部君!)
(やりますね矢部先輩!)
(ナイスアシストだ矢部先輩)
(矢部君、ありがとう……!)

女性陣の心がひとつになった!

* * *

これくらいの話のがさくさく行けるので好き
とりあえず今日はここまで 次回は未定

>>63-64
ありがとう
参考にさせてもらいやす

ただでさえパワプロのSSは貴重なのに後輩みずきとか俺得なんでみずきメインの話を…
なんでもしますから!

ん?

今なんでもするって

言ったよね?

言ったよね?

>>67
後輩みずきは生意気可愛いっすねぇー

わた七瀬はるかさんも加えることは可能ですか

ほぼ同時刻に被って草

* * *

【たまには男同士で3】

「…………」

誰も口を開こうとはしなかった。妙な緊張がキャットハンズ女性陣の間に広がっていた。
知らず、自分の口内が乾燥していることに気付いたあおいが、周りはどうかと視線を巡らせる。
みずきの顔からは普段のような余裕のある笑みが消え、その表情はひどく堅い。
聖は常日頃のポーカーフェイスを崩してはいなかったが、瞬きの回数が増えているように見受けられた。
雅に至っては明らかに動揺し、忙しなく髪の一房を弄っている。

無理もない。

注文した焼肉4人前に手を伸ばそうともせず、皆が皆一様に固まり緊張した面持ちで耳をそばだてる。
彼女たちの目的は当然、四人全員が憎からず――もとい恋慕している小波の台詞だ。

つい先ほど矢部から飛び出した、「キャットハンズ女性陣でだれが一番タイプか」という質問。
この答え如何によっては、この後の趨勢が決まるといっても過言ではないのだから。

故に。女性陣は静かに、しかし溢れんばかりの闘志を胸に、小波の答えを待つのである。

「えー、タイプってのは答え辛いなぁ……」
「なんででやんすか?」

聞こえ来る小波の言葉と、対する矢部の質問。女性陣全員の気持ちはまたも矢部と一つになった。

「だってここで答えたら矢部君絶対あとで冷やかすでしょ」
「そんなことしないでやんすよ?」

むしろしてほしい、とすら考えてしまう女性陣である。
自分が指名されさえすれば、矢部という外堀を埋めるチャンスだ。

だが、もし違ったら――? 想像したくない未来に心が冷える。

「全員の好きなところを言ってくってのじゃダメ?」
「浮気者でやんすねぇ……」
「いや、そういうんじゃなくてさぁ……」

そのまま続けさせろ、矢部! とは、女性陣全員の心の叫びであった。

>>72
ほむらちゃんもな、加えたくはあったッス

でもやべー勢いッスよ小波くん 刺される

>>72
はるかちゃんも良いなら倉橋さんと幸子も良いよね…?
というか決定版の修学旅行は物足りない

>>75
ほむらも恋恋高校生として出そうかなーとか考えてたから、
恋恋が修羅場になっちゃうッスねー

>>76
(修羅場を楽しんだら)いかんのか?

はるかちゃんって一度好きになったらとことん尽くしてくれそう
倒れた所を助けてくれたし

倉橋さんと取り合いになったら言うこと無し
栗原舞も四条澄香もみんな好き
9のヒロインは全員可愛い

>>77
このスレだと恋恋時代は あおいvs雅 的なふいんきがあるので修羅場が拡大の予感ですね

とりあえず続き書かなきゃッス

【テノヒラクルー】

「ナイスピッチ、小波くん」
「うん、ありがとう」

リリーフとして登板した初回をきっちり三者凡退に抑え、ベンチへ戻ってきた小波先輩をあおい先輩が出迎える。
二人の間に変な緊張感とかぎこちなさは全くなくて。だけれども、ただのチームメイトだけではない――そんな雰囲気を感じさせる。
それは言うなれば相棒とかそういった類の二人が醸し出す雰囲気で。わたしはさすがだな、と感嘆のため息を漏らす他はなかった。

「絶好調だね」
「あおいちゃんの勝ちがかかってるからね。頑張らないわけにはいかないよ」
「ふふ、ありがと」

仲睦まじい二人の会話に、ベンチの雰囲気も温かく見守る雰囲気のものに変わる。
わたしもついこの前まではチームメイトと同じ側に立って、二人を応援する気持ち満々だった。

――敵わない。

けれど、今浮かんで消えた思いはもっと苦々しいもので、わたしは自分自身に驚きを隠せなかった。
敵わない、なんて。どうしてそんなことを思ったのか。
ベンチに座り、会話を続ける二人を視界に入れぬよう極力視線を外へと逸らし考える。

小波先輩のお陰で色々なわだかまりが解消されて、姉とも、あおい先輩とも仲良くなれた。
初めに抱いたのは純粋に尊敬の気持ち。次いで憧れ。気が付けばわたしは小波先輩を目で追っていた。

その時から、わたしは小波先輩とあおい先輩を純粋に見れなくなってしまったように思える。
大好きなあおい先輩のハズなのに……小波先輩と一緒のあおい先輩を、大好きとは言えない。

「……っ」

ガシガシと髪をかき乱し、気を紛らわせる。
なんて醜いことを考えているんだろう。泣きたくなってきた。

二人の恋人以上な会話が耳に入って、より一層心が締め付けられていく。
この感情を認めるのは容易い。けれど認めるわけにはいかないと、わたしは無理矢理この思いに蓋をする。

だけどきっと。抑えれば抑えるだけ、想いは強く、大きく、膨らんでいく――。

このスレの相関的に精神的な面であおいに立ち向かえるのはひじりんだけっぽいなーって思ったッス
それだけッス! 次回もよろしくッス!

乙ッス!

乙!
後輩みずきはこのもどかしい感じが良い

ほむらちゃん大好きっぽいし出して修羅場拡張でいいじゃないか!

とりあえず支援しとく

http://i.imgur.com/s3nQg00.jpg
http://i.imgur.com/MXxZNEu.jpg
http://i.imgur.com/0oOSsqb.jpg
http://i.imgur.com/QJwZFCz.jpg
http://i.imgur.com/xCpHKbI.jpg
http://i.imgur.com/xELX8uE.jpg

やめとけ

>>81
ありがとうッス! 

>>82
ひじりん出現でみずきも吹っ切れる感じかなー

>>83
ほむらちゃんぐうかわ

>>84
トキセーのユニって猛虎魂感じるよね


>>63を参考にちょっとやるかな

【ターニング・ポイント】


「……え? もう一度お願いするでやんす」

ある日の鎌ヶ谷。
夜の試合、そしていずれ来たる1軍帯同の日々のため汗を流していたオイラの耳に飛び込んできたのは、

「矢部、お前をトレードに出すことになった」

2軍監督からの、予想だにしない一言でやんした……。

恋恋高校、不動の一番打者。俊足巧打のイケメン外野手矢部昭雄といえば、三年前の甲子園を恋恋フィーバーの渦に巻き込んだ立役者の一人でやんす。
キャプテンの小波くん、エースにして紅一点のあおいちゃん、そしてオイラの恋恋高校BIG3(オイラ命名)はその年のドラフトで全員がプロ入り。
オイラは日ハム、あおいちゃんはロッテ、小波君はカイザースへの入団を果たしたのでやんす。
ドラフト5位の下位入団とはいえ、あの恋恋高校出身ということでオイラの注目度は他の同期に比しても高かったでやんす。

が・・・駄目・・・・・!

高校時代からのウィークポイントであるチャンスの弱さはプロとして致命的だったでやんす。
加えてウリは俊足だけで、守備も平均より少し劣る程度……打撃は言わずもがな……。
結局、甲子園を沸かせたオイラもプロ入り後ずっと2軍生活。いずれ活躍するでやんす、と思い続けてもう21でやんす……。

そして、これ。現実は非情でやんす。

「……トレード、でやんすか……」
「ああ……もうすぐ春季キャンプだ。そこからは相手先に合流してほしい」
「……了解したでやんす」

1軍出場もないまま放出とは……ウチのフロントも酷でやんすね。

「矢部、これはチャンスだと考えろ。お前の芽を出せなかった俺が言うのもなんだが……」
「……」
「場所が変われば、出せるものも当然変わる。お前の武器を見つけてこい。お前は出来る奴だ」
「か、監督……」

オイラ、不覚にも泣きそうでやんす。
ずっと厳しかった2軍監督がそんな風に思っていてくれたなんてオイラ感激でやんす……。
ガンダーロボVのリーンフォース特攻と同じぐらい涙腺に来てるでやんすよ……!

そうでやんす、これをチャンスを考えないでどうするのでやんすか!
オイラは自分の頬を軽く叩いて、気合を入れなおしたでやんす。

「監督……オイラ新天地でも頑張るでやんす!」
「ああ、その意気だ矢部」
「ところで、オイラはどのチームへ行くのでやんすか?」
「おお、そうだったな。お前の新しいホームは、キャットハンズだ」


* * *

確かにリーンホース特攻は泣く

「……はい、ええ、はい……」

休養日ということで、ボクがプロ入り後も相変わらず仲良くしてくれるはるかと一緒に街に繰り出したんだけど。
お茶でもしながら近況報告しようと立ち寄った喫茶店で、ボクの携帯が震え始めた。着信者は球団のコーチ。
休みの日に何だろうと訝しみながら電話を取ったボクを待ち受けていたのは、いずれは、と予想していたものだった。
心構えを全くしていなかったわけじゃない。だけど、コーチの声が耳に入るたび、表情が硬くなっていくのを感じる。
正面に座るはるかを心配させてしまうのでは、と思って極力平静を装うとするのだけど……ダメだ、上手くいかないや。

「……わかりました。ご連絡ありがとうございます。……はい、はい」

通話を切って、ボクは視線を手元のコーヒーカップに移した。折角頼んだホットなのに、もう温くなっている。
口を開こうとしないボクを心配してか、はるかがこちらを覗き込むようにして口を開いた。

「あおい、何かあったの?」
「……うん、まぁ」

無理矢理笑い顔を見せるけど、多分無理があるんだろうなあ。
案の定はるかを余計に心配させてしまったようで、はるかの瞳が真剣みを帯びた。

「あおい、無理してるよ」
「あはは……そっかな。あー、うん、そうかも……」
「あおい……」

悲しげに目を伏せるはるかにいたたまれなくなって、ボクは何があったかを正直に話すことにした。
いや、本当は聞いてほしかった。このタイミングで電話がかかってきたのは僥倖だと思う。

「ボク、トレードに出されることになったよ」
「……っ」

はるかが目を見開いた。

恋恋高校野球部が甲子園出場を成し遂げて3年。
ボクと矢部君、そして小波君の野球部創設メンバーは全員がプロ入りした。
だけど、全員がその芽を完全に出し切れてはいなかった。

矢部君は1軍試合の出場機会ゼロ。
ボクは初年度から1軍帯同だったけど、プロとして満足できるだけの成績は残せちゃいない。
小波君は、オープン戦直前に交通事故に巻き込まれて初年度をふいに。続く次年度もリハビリに費やしている。

一時期は世間の話題をかっさらった恋恋出身の三人は、全員が壁にぶち当たっている。
それでもまだ、ボクは恵まれているほうだ。……だけれどその恵まれ方は、本意じゃあない。

女性であることを前面に押し出した起用。言い方を悪くすれば、客寄せパンダ。
男だったら間違いなく2軍送りになるような成績を残しても1軍帯同が許されるのは、そういうわけだ。
初めは憤って必ず見返してやると奮起したけど、プロの壁は厚かった。……結局、ボクはどこか諦めを抱いて日々を過ごしていた。

そこには小波君がいないことも大いに関係している。プロ失格だってのはわかってることだ。
だけどボクは小波君と野球がしたかった。三人全員のプロ入り決定後に誓い合ったんだ。「オールスターで会おう」って。
だけど小波君はもう、選手として復帰できるかだって危ういところにいる。

「……だからさ、最近少し投げやりだったの」

でも、やっぱりダメだったんだ。
真剣に向き合わなくちゃ、相手が真剣に向き合ってくれるはずもないってこと、ボクはこの短い間に忘れてしまったのかも。

「キャットハンズにトレードに出されるって聞いて。ボクはもうチームに必要ないと思われてるんだなって考えちゃったらさ……」

ぽつり、と涙が一粒落ちた。
泣くな。泣くんじゃない早川あおい。全部自業自得だろ。何をやってるんだよ……。

心の中でそう叫ぶけど、一度決壊したら、もう後は流れ溢れ出るのが止まることはなかった。

「……っ、悔しいよ……悔しいよぉ……!」
「あおい……」
「敵に通用しないのも……必要とされてないのも……! 小波君のことも、全部……ぜんぶ、悔しい……!」

涙を流すボクの隣で、はるかはずっと静かにボクを背を撫でてくれていた。
何も言わずただ寄り添ってくれるはるかの存在に、ボクの心はいったいどれだけ救われたことだろう。


* * *

平日昼のバッティングセンターはお客の入りが少ないので、私は受付の向こうで堂々と趣味に勤しむことができた。
贔屓選手の打席動画を収集し、自分の好みの内容に編集していく。高校卒業後はこの趣味により多くの時間を割くことができている。本当に幸せだ。
あ! も、もちろん、店番だってちゃんとこなしてるっス!

「誰に言い訳してるの?」
「えっ? あっ、いらっしゃいッス、小波くん!」
「うん。今日もよろしく」

いけないいけない。どうも独り言を聞かれていたらしい。
代金を払ってコインを手にし、マシンのほうへと消えていく背中は、私の一番の贔屓選手のもの。
かつて甲子園出場を成し遂げた恋恋高校野球部のキャプテンにして、高校時代は同級生でもあった小波君だ。
たんぽぽカイザースに1位指名で入団後、オープン戦を前に事故で戦線離脱。その後一年かけて怪我を克服し、現在はリハビリ中。
即戦力間違いなしだった彼がいまだ日の目を見れていないことはファン第一号の私としては辛いけれど、ゆっくりとでいいから着実に調子を戻し、いずれは球界を背負って立って行ってほしいと思う。
いや、彼ならばできる。間違いない。

動画編集をそこそこに終え、私は唯一のお客である小波君のもとへ向かった。
彼がこのバッティングセンターに顔を見せるようになったのは二月ほど前。それから週に二回くらいの割合で打ちに来ている。

「……ふっ」

小波君のスイングをネット越しに拝見。
大怪我のせいで体のバランスが崩れたのか何なのか。高校時代の神がかり的なスイングスピードは鳴りを潜めてしまっていた。
小波君が復調できなかったら野球界の多大な損失っス……。

「……ほむらちゃん」
「はいっス!」
「俺のスイング、戻ってる?」

こちらを振り向き問いかける小波君に、私は首を振って答えた。
高校時代の惚れ惚れする彼のスイングを知っている身として、決して嘘はつけない。

「そうか……事故ってのはやだね」
「……ほんとに。悔しいッス」
「はは、ありがと。……猪狩には水をあけられっぱなしだしな、頑張んなくちゃ」

――応援するッスよ、小波くん!


ピピピピ、と、携帯の着信音が鳴り響いたのはそんな時だった。
そして、その知らせこそが全てのターニングポイントになるとは……その時の誰も、知る由はなかったッス。

「あ、俺の携帯だ。……猪狩から?」
「えっ! 猪狩選手っスか!? 話しちゃうッスか!? 録音していいッスか!?」
「や、さすがに録音は……」

お、おっと。いけないいけない、つい興奮してしまった。
猪狩守、ジャイアンツの若きエース候補である彼は、高校時代から小波君とはライバルの間柄にある。
今でも思い出せる、高校3年夏の地方大会決勝、あかつき大附属対恋恋! あの名勝負を間近で録画した私のビデオはもはや家宝といっても過言ではない。
とにかく、小波君と猪狩選手にはいろいろと深い関係があるのだけれども。まさか直接電話で連絡しあう仲とは!

「……うん、うん……え? 猪狩コンツェルンがカイザースを買収?」
「ファッ!?」

小波君の口から飛び出した言葉に、思わず私も携帯を操作しスポーツニュースのウェブページを開く。
トップに躍り出ている文言は小波君が漏らしたのと同じ、「猪狩コンツェルン、たんぽぽカイザースを買収」の文字。
ってことは、小波君の所属球団はたんぽぽカイザースから猪狩カイザースになるってことか。
一気に名前が締まった感じがする。失礼か。

「……ああ、うん、わかった。……ああ、そうだな……覚悟はしてるよ。うん、ありがとう」
「……?」
「わかった、切るぞ。……ああそうだ猪狩、必ずお前に追いつくからな」

や、やばいッス、今の台詞は録音しとくべきだったッスよ! 痺れるッス!

猪狩選手との短い通話を終えた小波君は、困ったように頬を掻きながらこちらを向いた。

「……猪狩のとこがウチを買収か……はは、まいったね」
「何がッスか?」
「……今の俺は、間違いなく放出対象だろうからさ」
「そ、そんな……小波君に限ってそんなことはないッス! ほむらが断言するッスよ!」

だって、だって小波君は、ほむらが知りうる限りで最高のプレーヤーッスから!
そう私が続けても、小波君は微笑みながら首を振るだけだった。

そんな顔しないでほしいのに……、私には、それ以上何かを言うことはできやしない。彼の辛さを知らない私に、他に何を言えるわけがない。

「電話だ。……しかもコーチから」

震える携帯を私に見せて、小波君はが通話を始める。

彼の予想通り、「猪狩カイザースが小波君をトレードで放出する」という内容を伝えるものだった。
彼が行く先は、まったりキャットハンズ。パ・リーグの最下位常連。

だけど、今日、この日こそがターニング・ポイントだった。
だから私は、そんな日を当事者のそばで立ち会えたことを、ちょっとした自慢に思う。


* * *

「あ」
「え」
「お」

球団事務所の前で鉢合わせた三人がほぼ同時に声を上げた。

「あ、あおいちゃんに、小波くんでやんすか!? どうして!?」
「小波君……!? 矢部君も!? なんで!?」
「矢部君とあおいちゃん、いったい何が……」

全員が目を真ん丸にして訊く。

「オイラキャットハンズにトレード入団でやんすよ」
「ボクはトレードでキャットハンズに」
「俺はキャットハンズにトレードで……」

再び、全員が目を丸くする。

「…………」

そして、流れる沈黙。

「……ぷ、くくっ……あははは」

誰が始めに笑い出したのか。
くすくすと零れた笑いはやがて三人に伝播し、気付けば三人は大きく笑い始めた。

「まさか、まさかでやんすね、ふふふ」
「ほんとだね、あははっ……」
「こんなこともあるんだなぁ……くくっ」

全員がトレードに出され、そして一つのチームに集まった。
高校時代の思い出が、鮮烈に蘇ってくる。

きっと、この二人がいれば全てが変わる。変われるはずだ。

「またよろしくね、二人とも!」
「オイラたち、目指せ甲子園は成し遂げたでやんす!」
「だったら次は、目指せ日本一、だな!」

三人の笑いが、春の青空に吸い込まれていった。

最後雑ゥ!
こういう経緯で全員キャットハンズに来ましたよ、的な

この後小波君はダイジョーブに成功して復調、あおいちゃんとのバッテリー復活、矢部君二人に触発されて大活躍となるんじゃないかな

あ~良いっすね~
矢部はミートを引いてパワーを足した右打ちの天谷のイメージ
やらかし癖もあってる気がする

次回はひじりんメインの予定!

やっぱ10のOPは曲もアニメも最高だわ 
パワフルズの面々がベンチから飛び出してくシーンぐう好き
ストーリー仕立てのOPはええなあ……。

>>95
フェンスよじ登って捕ってくれるんすかね なんとなく似合うな

>>63です。
リクエストしたみたいになって申し訳ないです。
ありがとうございます。

あ、いや、なんかこっちこそすいません
てかみずきおらんし

妄想のとっかかりに使わしてもらったって感じッス!
きっかけがあれば妄想ってすげー捗るからな~

>>96
オナニーバックホームしてくれるよ(白目)
10はOPは曲も映像も良いよね
藍沢姉がユニフォーム出すところがお気に入り

>>99
あのOPでいったいどれだけキャットハンズ編の映像を妄想したことやら……

10くらい濃密なサクセスやりたいなあ
最近のはあっさりしててさみC
まあ10は長過ぎな気もあるけど

9のサクセスはギャルゲーとしても優秀だった

>>100
各球団のOP欲しいよねぇ…
10は試合多すぎて長いのがなぁ…
それでも今の1 2年しかないサクセスよりは断然好き

ぶっちゃけ女性でアンダーって90出ていい方だよな

二次にマジレスなんて意味無いけど

アンダー90?凄い胸板と貧乳だな!

>>101
マネジみんな可愛いよね
ポタ3の彼女もかわいいッス

>>102
サクセスはもう少し長くやりたいねー

>>103
MAX139km投げるあおいちゃんは化け物
短気で150kmとかすごい

>>104
三角フラスコだけでなくさらに苦しみを背負ってしまうのか

【おねだりひじりん】

私のプロ野球選手としてのはじめてのシーズンが開幕して、今日でちょうど二月。
開幕1軍こそ果たし、みずきの「開幕1軍じゃなかったら罰ゲームね」という宣告をどうにか回避したものの、私はいまだ出番に恵まれていなかった。
不服があるわけではない。女性で捕手、高卒1年目という使いにくさの塊のような存在であることは自分が重々承知していることだ。
今は素直に1軍選手のプレーを間近に感じ、目を肥やす時だろう。急いては事を仕損じる、だ。

そんな風に考えていたその日、対やんきーズ戦の試合直前。世渡監督から告げられた一言は私を吃驚させた。

「六道、お前今日スタメンな」
「はい……は、えっ!?」

ぽん、と私の肩を叩いた世渡監督は、私からの追及を察したのか、あるいは別の用事があったのか、そそくさとベンチ裏に消えてしまった。
急な出来事に私はベンチで呆然と立ちつくす他ない。スタメンなど……まだ私には早すぎるのでは……。
もごもごと脳裏に浮かぶ反論を反芻する。が、監督はすでに去ってしまっているのだから何の意味はない。

「聖」

どれくらい慌てていたのだろう。声をかけられて初めて、私は目の前の人影に気が付いた。
眼前に立つのは、私の幼馴染みにしてキャットハンズを代表するスター選手。
投手、捕手、右翼手をこなすスーパープレイヤー、小波その人である。

「に、兄さん」

5歳の年の差があるから、私は昔から彼のことを「兄さん」と呼んでいる。
プロ入りしてからもこれを治すつもりはなかった。……何のとは言わないが、牽制は大事だと思う。

「初スタメンか。おめでとう」
「き、聞いていたのか」

兄さんが祝福してくれるのは素直にありがたいが、私はそれ以上に緊張で押しつぶされそうだった。
高校時代、みずきの球を受けていたころは感じなかったのに。全方位から重圧がかかってくる気がする。
これがプロの重みというやつなのだろうか。

「座古田さんが怪我しちゃったからな……当分は聖がマスクを被ると思う」
「え」

私は知らなかったが、兄さん曰くキャットハンズの正捕手である座古田選手はほんのつい先ほど全治一か月の怪我を負ってしまったのだという。
兄さんは「座古田さんの怪我はキャットハンズ5月の風物詩だからな……」などとのんきに呟いているが……。いいのだろうか、それで。

「ま、ともかく初先発だ、しっかりアピールしてこい」
「う、うむ……」

にっこり笑う兄さんからは、私への期待を存分に感じることができる。
だが、私の胸中に広がるのはただただ漠然とした不安だ。
上手くやれるのか。きちんとリードできるのか。ミスをしないだろうか。
考えれば考えるだけ、嫌な場面が脳裏をよぎる。ワイルドピッチ、後逸、カバーミス。考えればきりがない。

「……に、兄さん、私に出来るだろうか」
「珍しく弱気だな」
「わ、私だって、心細くなる時くらいはある……っ」

けらけらと笑う兄さんはまるで私が図太いかのように言うので、思わずムキになってしまった。

「なーに、聖だったら余裕だよ。俺が保証する」
「う、ん……」

胸を叩いてそう言ってくれる兄さんだったが、私の不安は晴れない。
……小さいとき、私が不安がっていたら兄さんはいつも何をしてくれていただろうかと。つい、そんなことを考えた。

そして、私はつい、それを口に出してしまった。

「……兄さん、頭を撫でてほしい、ぞ」
「は、い……?」

兄さんの笑顔が強張ったのがわかった。
私だって自分が寝ぼけたことを言っているのはわかる。高校を卒業した者の頼みごとじゃない。

「兄さんは、私が落ち着かないときは優しく頭を撫でてくれていただろう」
「いや、それはお互い小さい頃の話だろ」
「で、でも、そうしてくれれば、今日だって……」

うぐ、と兄さんが呻いた。あと一押しか。
……そんな思いがよぎって、私は何をしているんだったろうかと素に戻りそうになった。
だが考えるのはなしだ。これはチャンスと言える。

あおい先輩とみずきはブルペンで肩を作っているだろう。雅先輩は守備練習中。

――今がチャンスだ。今しかないのだ、兄さん(錯乱)

いいぞ~

「私の、はじめての試合だ。……叶うなら、兄さんの力を借りて全力で臨みたい」

この気持ちに嘘はない。
途中から目的と手段が入れ替わっていたが、嘘ではない。本当だ。

「……わかった。他でもない聖のためだ。いくらでも撫でるよ」
「兄さん……!」

「他でもない」「聖のため」。
期せずして兄さんの口から飛び出した言葉に、口の端が吊り上がりそうになるのを押し殺すのに苦労した。

キャットハンズには私の他に女性選手が三人所属しているが、名前を呼び捨てで呼ばれているのは私しかいない。
これは幼馴染みであるが故のアドバンテージであり、私の密かな自慢でもある。
加えてここで頭を撫でてもらったとなれば、私はまた少し自慢が増えることになってしまうな……ふふ。

「聖、頑張れよ」
「ん……」

兄さんの大きい手が私の頭に伸びてきて、優しく髪を撫でた。
兄さんが触れた部分からじんわりと熱が広がって、私の全身を包んでいくような感覚を覚える。
昔を思い出すと同時に、どうしようもないくらいに胸がいっぱいになる。
もっと、ずっと、撫でていてほしい。

「……さて、こんなもんかな」
「あ……」

時間にすれば30秒ほどか。兄さんの手が私の頭から離れた。
名残惜しさを覚えるが、文句などいえるわけもない。むしろ感謝しかない。

「……ありがとう、兄さん。これで今日の私は完璧だ」
「あ、頭を撫でただけでか?」

ふふ、兄さんは自分の力を知らないようだ。
あおい先輩にこれと同じことをしたら、完封勝利を挙げるのではなかろうか。
けれど、こうして頭を撫でてもらうのは私だけの特権でありたいと思うのは……我がまま、かな。

* * *

ちなみに、兄さんから力をもらった私は初の先発試合で大活躍し、お立ち台に登った。
しかし、話はそこだけでは終わらない。

なんと試合前の中継で、私の頭を優しく撫でる兄さんと私の姿が全国ネットで放送されていたのだ。
あおい先輩と雅先輩からは羨望を一身に受け、みずきからはやけに複雑そうな視線を投げかけられた。

……何はともあれ、これで一歩リードしただろうか? なんて、な。

ひじりんメインだったッス
幼馴染み設定は強い

ひじりんかわいいよひじりん

>>111
みんな可愛いからなあ……等しく出番をあげたいですねえ……

次回は焼肉編の予定(しかし予定は未定)

ミスターキャットハンズは小波だろうけど、ミスキャットハンズは誰なのかな!?
戦争始まっちゃいますね!

ここは一夫多妻制で手を打とう

【いらいらみずき】

「小波くん、キャッチボールしようよ」

試合前の練習時間。小波先輩を誘うあおい先輩の声が耳に飛び込んできて、わたしはふと聞きたくない、と思った。
最近、あおい先輩たちを見るのが辛くなってきている。蓋をしたつもりだったのに、抑え込めば抑え込むだけ想いが強まっていくかのようだ。

……認めれば楽になるだろう。だが、認めていいものなのだろうか。
私は自信に芽生えたこの想いを言葉にできる。名付けることもできる。
けれど、頭の片隅に「それはいけない」と警鐘を鳴らす自分が確かにいるのだ。

小波先輩とあおい先輩の培ってきた大事な関係に横槍を入れることが許されるのか。
答えはノーだ。私は去年、二人を間近で見て、そう決めたのだ。

しかし、今年チームに加わった雅先輩と聖の存在も、わたしの心をかき乱す原因の一端となっている。
先日、小波先輩が聖の頭を撫でるシーンが中継に映し出されてから、わたしの胸中のもやもやはより一層深さを増した。
あおい先輩だけじゃなくて、聖と小波先輩が二人でいる場面を見ていても、どのような表情をすればいいのかわからなくなってしまう。
聖や雅先輩の、小波先輩への距離感は、わたしが諦めたラインをはるかに超えているから。

子供じみている。自分が我慢してるから、聖たちも我慢するべきだと、わたしの心はそう言っている。
でも、二人はより小波先輩に近づこうとするだろう。そしてわたしはそれを遠巻きに眺めるだけ。
だってそう決めたんだから。わたしは自分で、そう決めた……。


「ごめん、あおいちゃん。今日はみずきちゃんとキャッチボールするよ」
「ん、そっか。わかった。……おーい矢部君、キャッチボールしよー」
「待ってましたでやんすゥゥゥゥ!」


恋恋高校トリオが、わたしと離れたところで楽しげに会話を交わしている。会話の内容は聞こえない。
最近は、わたしの方から小波先輩たちと距離を取ってしまっている。
側にいると自分の浅ましさばかりが浮き彫りになって、辛いから。

――いくじなし、ともう一人の私が呟いた気がした。

誰とも顔を合わせる気になれなくて、わたしは一人ストレッチをすることにした。
股を開いて上半身をぐいぐい倒す。そういえばあおい先輩と一緒にストレッチしたのはいつが最後だったろうかと考えた。
あまりに幼稚な嫉妬心が、せっかく縮めることのできたあおい先輩との距離を再び離そうとしている。
だけど今のわたしには、そうしてあおい先輩から距離を置くほか選べなくて。
あおい先輩と小波先輩を見るのが辛いから、二人から目を逸らすことしかできないんだ。

「……小学生じゃないんだから」

吐き捨てる。
ずっと胸につかえが残ったままで、とてもじゃないがまともな投球ができるとは思えない。
早く落ち着かなくちゃ。そんな思いが、余計に焦りを生んでいく。

「……ん、しょっ」
「みずきちゃん」
「ひゃあっ!?」

再び前屈していると、背中に誰かの声と手が振ってきた。背中に触れられた感触に驚いて奇声を上げてしまう。
思わず加えられた外力によって上半身がべたーんと地について、わたしはこの不埒者は誰かと睨み付けるように振り向いた。

……立っていたのは、悪戯っぽそうに笑う小波先輩。
嬉しい、けど、嬉しくない。いろいろ感情がない交ぜになって、わたしはつい冷たく言葉を返していた。

「急になんですか、小波先輩」
「や、最近みずきちゃんと話してない気がしてさ」

事実だ。わたしが小波先輩を避けているから。
けれど、自分からそれに気が付いてわざわざ話しかけに来てくれるとは思ってもいなかった。

そこに嬉しさを感じてしまう自分が嫌になる。

「何か悩みがあるなら言ってほしいな」

小波先輩はそう言う。
悩みはある。だけど、こんなこと口に出せるはずもなかった。
――あおい先輩に嫉妬している。だなんて。

「なんでもないです。大丈夫です」
「みずきちゃん」

小波先輩の口調は優しい。本当にわたしを心配してくれているんだと感じる。

だからこそ、言えない。言いたい気持ちがないといえば嘘になる。
けれど、認めたら最後、わたしはもう戻れなくなる気がしてならないから。

「……」
「心配してくださってありがとうございます。でも、大丈夫ですから……」

ストレッチを切り上げて、わたしはその場から逃げ出すために立ち上がった。
これ以上小波先輩の近くにいると、私は余計におかしくなってしまう。

「……待って、みずきちゃん」
「ま、待ちません」
「もう一度、前と同じ賭けをしよう」

小波先輩の口から飛び出した提案。
それは、わたしがあおい先輩と仲良くなれたきっかけで。

わたしが、小波先輩に惹かれはじめた最初の――。

「今日の試合、俺は完封勝利する。ホームランも打つ」
「……そ、そんなのできっこ」
「やるよ。だから、俺がやり遂げたら、頼むから話してほしい。キミの悩みを」

完封勝利に加えて、ホームランも打つなんて、無茶に過ぎる。
そう反論しようと振り向いたわたしだった。けど、小波先輩の瞳は真剣そのものだった。
この人はどこまでもまっすぐに、私を救おうとしてくれている。前と、同じように。

「そんな顔してるみずきちゃんを見たくはない。だから」

……どこまでも小波先輩の声音は真剣で。

わたしは静かに、頷くことしかできなかった。

なんか微妙だな……まあいいや
時間かかり過ぎだけど今日の分おーわり
小波先輩はやるよ


>>113
あおいちゃんが強そうだが全員チャンスありますねえ

>>114
正妻は誰なんですかねぇ?

これは惚れますわ

投手と野手の二刀流なだけでなく抑えも先発もやるのか

この主人公は田中マーさん以上の酷使ですわ

>>119
みずきルートもいいよね!

>>120
基本抑え 先発は小波のわがまま的な……?
まあ深くは考えてない パワポケ7レベルの野球ですよ

>>121
回復5持ちなんじゃないですかね(すっとぼけ)

>>122
パワポケ7といことは試合に負けたら皆洗脳されるのか…

ありです。

マーさんだって24勝したし、多少はね?

>>123
プロで敗北が許されないとか酷過ぎる

>>124
小波選手の成績が想像つきませんね……

【ミスターキャットハンズは誰だ】

「あ、小波さん」

ある日のこと。
ボクと一緒に球場入りしようとしていた小波君を、キャットハンズの宣伝部長が引き留めた。
なんとなくボクも立ち止まってしまい、二人の会話を聞く形になる。

「どうしたんですか?」
「いやね、今度小波さんのグッズを新しく売り出すつもりなんだけど、アオリをどうしようかなと思って」

困ったように笑う宣伝部長は、どうやら当の本人の知恵を借りるためにわざわざ球場近くで待っていたようだ。
でも、そういうのを本人に考えさせるものなのかなぁ?

「はぁ、アオリですか……」
「ミスターキャットハンズ監修とかでいいんじゃない?」

小波君がこういうの考えるのは苦手だとわかってるから、思わずそう口を挟んでしまった。
こちらを振り向いた小波君と宣伝部長がそれぞれ対照的な顔を見せたのが面白い。

「いいですねあおいさん! それいきましょうか!」
「い、いや、ミスターキャットハンズってのはまだ俺には早いんじゃ……」
「クリーンナップ兼守護神じゃない」

野手と投手の二刀流で球場を沸かせる小波君の人気はキャットハンズでも随一だ。
移籍して二年、怪我などなかったかのような破竹の活躍ぶりを見せる小波君にこそ、ミスターキャットハンズの称号はふさわしいと思うけど。

「いや、それだったら俺よりも佐賀さんのほうがミスターに相応しいんじゃ」
「確かに佐賀さんはウチの生え抜きですしねえ」

うんうん、と頷く宣伝部長。
キャットハンズのセンターを守る佐賀さんはボクたちより数年年上の中堅選手。
ものすごい身体能力を誇るけど、なぜか長年2軍暮らしだった悲運の選手でもある。
ただ、レギュラーに定着し始めたのはボクら恋恋同期三人が揃って移籍し始めたころと同じ。
条件的には小波君とそう変わらないんじゃないかな。


ちなみに、敵チームにとってレフト矢部君、センター佐賀さん、ライト小波君という鉄壁の布陣は悪夢以外の何物でもないだろう。
逆を返せば、ボクら投手にとってはこれほど頼りになる外野もそういないんだけれど。

佐賀さんもキャットハンズかよぉ(歓喜)
すげえステータスだったよな

「あとは座古田さんとか」
「ああ……」
「うん……」

小波君が出した名前に、ボクと宣伝部長の二人はそろって同じような相槌を打った。
座古田さんは佐賀さんと同じくキャットハンズ生え抜きの正捕手。ボクも幾度となく球を受けてもらっている。
けれどもこの座古田選手とにかく怪我をしやすい人で、座古田選手の怪我がキャットハンズの春の風物詩になってる節がある。
復帰したらそこそこ成績を帳尻合わせしてくるからすごいんだけど……期待の新人捕手(そしてライバル)聖も去年入団して、ちょっと危ないかも。

怪我という点を見ればある意味ミスターキャットハンズなのかもしれない(失礼)

「やっぱり小波さんがミスターに相応しいですって」
「うん、ボクもそう思う」

話をまとめにかかった宣伝部長に、ボクも同意する。
もう小波君はキャットハンズの顔だし。誰も異論を唱えはしないだろう。

「……はぁ、ありがとうございます。でももうちょっと監督とかと相談した方が……」
「あ、それもそうですね。ではそうします!」

あ、まだしてなかったんだ。
そう思うボクと小波君を置いて、宣伝部長は球場へと消えていった。
思い立ったら即行動タイプだよなあ、あの人……。

「……じゃ、俺たちも入ろうか」
「うん。……あ、そうだ小波君」

ちょっと悪戯めいた質問を思いついてしまった。
たまには小波君を困らせてみよっと。

「小波君がミスターキャットハンズなのは確定として、ミスキャットハンズは誰だと思う?」
「あおいちゃん」
「やっぱり悩む? みずきたちにも質問……え?」
「あおいちゃんだと思う」

何の迷いもなく言いきった小波君にびっくりしてしまう。
いや、嬉しいんだけどね? でも悩むそぶりも何もなかったし。

「俺がミスターキャットハンズなら、隣にいるのはあおいちゃんであるべきだと思う」

――あ、ダメだ、ボクの負けだ。

小波君を困らせるどころか、ボクがすっごく困ってる。
嬉しさのあまり、にやけそうになるのを止めるのがつらいもの。

スレタイ通りに行くんだよぉ!

たまにはスレタイ通りにいかないとね!
雅ちゃんが薄くなってきたかな?

>>127
大正義キャットハンズ
実を言うとサードに清本を放り込もうかと思った

佐賀さんは確かAAAABだったかな。パワー220とかいう化け物

>>130
清本入れたらV9待ったなし!
それに比べカイザースのドリトンとか言う扇風機

佐賀 中
矢部 左
小波 右(投・捕)
小山 遊
六道 捕

だから後は一、二、三塁か。
二塁は永瀬とかどうだろうとか考えてた あの容姿ならキャットハンズでも映えますよ!

>>131
三振に強振多用 あっ……(察し)
清本とかいうキレ2製造機はトラウマ過ぎる

>>132
キレ2を量産する清本とか言う畜生
ファッキュー帝王

永瀬とか言う恵まれた容姿からクソみたいな能力しかもスペ

【ひじりん主人公化】

「雅先輩、キャッチボールをしないか」

試合前の練習時間。私にそう声をかけてきてくれたのは、同期入団の六道聖ちゃん。
私と同じ女性選手で、ポジションはキャッチャーだ。

「うん、喜んで。でも先輩はつけないでよ。雅でいいのに」
「そうはいかない」

ふるふると首を振りながら答える聖ちゃんは高校を卒業したばかりだから18歳。
一方の私は今やキャットハンズの顔とも呼べる早川さんと同い年だから23歳になる。
確かに5年差は大きいけど、同期なんだから気にすることないのにな……。

「女性野球選手としての先達だ。敬意は払うべきだ」
「でも私、高校時代は……」

ときめき青春高校の野球部に所属していたころ、私は自分を男と偽って野球をプレーしていた。
女性選手は甲子園に出場できないという規約の前に私が取った道は「男になること」だったから。
甲子園出場は成し遂げたけれど、そこには女性選手としての小山雅はいない。

甲子園に出場したことは素直に私の誇りだけれど、私はその裏に、どうしてもまだ心残りを抱えている。
それは私と同じような境遇にありながら、女性選手として鮮烈に輝きを放った早川さんが側にいることも大きい。

「無論、先輩が性別を偽っていたことは知っている」
「あ、そうだったんだ」
「中継を見てすぐにわかったさ。そういう雰囲気には敏感になる」

なんだか懐かしい物言いだ。早川さんにもそんなこと言われたっけな。

「だったら、なおのこと私を尊敬する理由がないよ」
「何故だ?」

「嘘、ついたじゃない」

私は嘘をついていた。時間が経っても、脳裏にはその思いがチラついて離れない。

「ふむ……そうか。だが私は貫き通したことは評価されるべきだと思うが」
「貫き通した……?」
「自分で選んで決めた道を貫いただろう」

静かに微笑みながら、聖ちゃんが言葉を紡ぐ。

「女性選手として野球を続けることも、女性でありながら男として野球を続けるのも、私には等しく厳しい道だと思うが」
「……」
「私やみずきは先輩たちが拓いた道を歩かせてもらってきたんだ。あまり卑下されては困るな」

そんな風に言われたのは初めてのことだったから、私は面食らってしまった。
自分の選択を、そういう視点で見たことはなかったな……。

「……自分の道を貫いた、か」
「そうだ。あおい先輩と雅先輩は互いに自分の道を貫いたんだ。何も恥じることなどない」

……ふふっ。
年下の子に全力で励まされるなんて思いもしなかった。
でも、嬉しいな。誰かに認めてもらえるってことは、すごく嬉しい。

「ありがとう、聖ちゃん。気が楽になったよ」
「む、そうか? ならばいいのだが」

こんな風に思ってくれる人がいるんだから、恐れることなんてないはずだよね。

――いつか必ず、この迷いに決着をつけよう。

きっと、それは遠くない日に出来るはずだ。

当スレではひじりんと雅ちゃんは同期入団でござい
野手同士仲良しっぽそう 当然小波を巡ってはライバルですが

>>133
エラー チャンス2 ケガ2  
(アカン)

雅ちゃんを思い出すため2011決やってたら戦国時代編に嵌った おもしろい

戦国時代編だったら一夫多妻もできる……?

【思いつき戦国時代編】

「今晩はボクの番じゃないかと思うんだけど?」
「いいえ、あおい様。今日はわたしの番です」
「二人とも話にならん。今宵は私の番のはずだ」
「ま、待ってよ、私だってちゃんと順番待ってるんだから……」

時は戦国時代、所は関東、小波城。
戦国時代のニュースタンダード「野球」を武器に、名もなき浪人から成り上がった男小波の居城である。

野球を用いた国盗りの世にあって、「野球が生業だ」と語る小波の活躍は目覚ましく、彼は瞬く間にその勢力版図を広げていった。
名だたる名家の武田や織田らと肩を並べるだけの国力(野球戦力)を手にした小波であったが、彼にはひとつ悩みがあった。

それこそが、今小波の目の前で繰り広げられている、四人の少女たちの言い争いなのだが……。

「昨日の合戦の勝利は、ボクの活躍があってこそだったと思うよ」

緑のおさげを揺らし、勝ち気な表情で語るのはあおい姫。
道端で気を失い、かつ「ミライからやってきた」と語る怪しい浪人であった小波を助け、彼の道程についてきた娘である。
小波の武将としての大成、その影には、常にあおい姫の活躍があったといっても過言ではない。

「途中まではですけど。あおい様はお得意のまりんぼーるで被弾しましたよね? 後を継いで抑えたのはわたしですよ」

にやりと笑いながらあおいが昨日の合戦で被弾し降板したことを持ち出したのは、青い髪が眩しいみずき姫。
近頃勢力を伸ばし始めた小波を脅威に思った彼女の生家が、獅子身中の虫としての働きを期待して小波に差し出した娘だ。
なお、元来あまのじゃくなところがあるみずき姫は生家のことなどすっかり忘れ、小波家の一家臣として働いている。

「それを言うのであれば投手である二人の活躍は、私のリードがあってこそだろう。故に私に譲るべきだ」

みずき姫に反論するよう口を開いたのは、紫の髪と着物が映える聖姫。
もともとは小波と敵対していた家の家臣であったが、その能力の高さを買われその軍門に下った娘だ。
優れた捕手である彼女が、同じく優れた投手としての力を持つ小波に入れ込むのにそう時間はかからなかった。

「三人とも……順番はしっかり守ってよ。それに、私だって打点でも守備でも活躍したし……」

黄色の髪をするりと流し、若干控えめに意見を述べるのは雅姫。
聖姫と同じく小波家とは敵対していた家の当主であったが、男装してまでその役目を勤め上げていた娘だ。
小波家に合戦で敗れ軍門に下ったのち、あるがままの自分でいることを許してくれた小波に惚れこんでいる。

まぁ、そんなこんなで。

「小波くん、今晩の夜伽はボクの番だよね?」
「いいえ、わたしです!」
「違う、私だ」
「だ、だから、順番的には私だって……」


「……矢部ノ助君、助けてくれ! 毎晩毎晩、俺ももう無理だ!」
「爆発してしまえでやんすぅぅぅ!」

やっぱりマリンボールは被弾する運命

夜伽でまた被弾しちゃうね(ゲス顔)

>>139
マリンボールは打ちやすいし……
クレッセントムーンはなんか急に打ちにくくなってない?

>>140
内野安打○が付きそうですねえ……

弾道イベントはよ

クレッセントムーンはシンカー→スライダーの二段変化になってるから打ちにくくなってる
CPUも打ちにくい魔球
ちなみにマリンボールは据え置き
エフェクトがついてさらに打ちやすくなってしまった

>>142
戦国時代編は弾道イベントの宝庫そうですねぇ(ゲス顔)

>>143
そうだったんだ……
マリンボールの水は笑う それでもあおいちゃんを使うけど(そして被弾)


キャットハンズ編と並行して戦国時代編も書こ

【戦国時代編・1】

「おーい、もしもーし」

ぺちぺち。

「息はあるのに目が開かないなあ……大丈夫ー?」

ぺちぺち。

「こんなところで寝てたら風邪ひくよ」

ぺちぺち。
頬を軽く張られている感覚を覚える。
どうにも頭がぼーっとして働かない。そんなに長い間寝ていたのだったか。
自分はいったいどうしたんだったっけ、と記憶の糸を辿った小波の脳裏に、恐ろしい光景が思い出される。

――こちらへ向けて全力で突っ込んでくる鉄の塊。甲高いクラクションを鳴らし猛進してくる2tトラック。

「うわああああああっ!」
「ひゃっ!」

あまりの恐ろしさに叫び、小波は飛び起きた。また野球が出来なくなってしまう。
今までは運が良すぎただけだ。もう今度こそ、間違いなく、野球はできなくなるだろう。確信めいた予感がある。
乱れる息を整えながら、小波は自分のコンディションをチェックした。
腕はついている、足もある。動かしても痛みはない。

「よ、よかった……」

安堵のため息。奇跡的にかすり傷程度で済んだのだろうか。
だが安心はできない。一度病院へ向かって精密検査を――。

「なんっにもよくないよっ!」
「うおっ!?」

耳元に怒号が飛ぶ。びっくりして声の出所を探ると、小波のすぐそばに尻餅をついた少女の姿があった。
よくよく見知った顔だ。ごめん、と謝って小波は目の前の少女に手を差し出す。
彼女は早川あおい――小波の野球人生の中で、最も長くチームメイトをやっている者の一人だ。

しかしどうにも彼女の雰囲気は、小波の記憶にあるあおいとは若干異なっているように思えた。

「あおい……ちゃん、だよね?」
「え? なんでボクの名前知ってるの?」

何でも何もあるものだろうか。
小波はそこではじめて、目の前のあおいが小波の知るあおいではないことに気付いた。

顔の造形こそ変わらないが、着ている服も纏う雰囲気も、あおいとは違う。
目の前にいるのは女性野球選手のあおいではなく、言うなれば「村娘のあおい」といった風に思える。

更新終わり?

「……? ……!?」

違和感を感じて周囲を見回した小波は愕然とした。
近代的な街並みはそこになく、いったいどこの秘境だよと突っ込みたくなるような光景が地平の果てまで続いているではないか。
今の今まで小波が寝転がっていたのは舗装されたアスファルトではなく、土だ。髪や背中に土がついているので手で払い落とす。

「な、なにが……」
「……ねえキミ、本当に大丈夫?」

目の前の「あおい」が不信感を隠そうともせずに、一応尋ねる。

「ああ……うん……」

小波は一度深呼吸し、冷静になることを試みた。
眼前のあおいの様子を見るに、彼女はこの急激な文明退化に衝撃を受けている体ではない。
ということはこの状況に早くから適応しているはず――というか、服装からしてそれしかないか。

「あおいちゃん」
「うん。……で、なんでボクの名前知ってるのよ」
「今って、何時代か知ってる?」

なんとなく思い浮かんだ可能性がひとつ。
昨日の晩に読んでいた本が「安土桃山自衛隊」だったので、そこにインスピレーションを得たのだが。

「戦国時代じゃない。どこもかしこも争っててさ」
「……あ、はは……そう、ですか……」

小波の嫌な予感は的中である。
……どうやら事故に巻き込まれて戦国時代に飛んできてしまったようだ。
(※時代を尋ねられて普通戦国時代とは答えませんが話の都合上!)

(……こんなことがあるものなのか?)
「キミ……なんかまだ頭が回ってないみたいだね。ボクの村に来なよ」
「え、いいの?」
「そのままほっといて死なれても寝覚めが悪いしね。それに、山菜取りが上手くいったからキミの分くらいは余裕なんだ」

そう言ったあおいが、籠いっぱいの山菜を見せびらかし得意げに笑う。
かくして、小波はあおいの住む村に厄介になることになったのであった――。

あおいの紹介で村長と二言三言言葉を交わした小波は――「おや、あおいさんもついに婿を連れてきましたか」「違うよ!」――なし崩し的に彼女の家に数日世話になることが決まった。
小波自身、自分がよく知る女性と同じ風貌のあおいのことは気になっていたし、何より戦国時代にひとり現代人が取り残されて生き抜ける気がしなかったので有難い話であった。

「なん……!?」

で。
「ボクは晩ごはん作ってるから、村の中でも見てくれば?」とあおいに勧められた小波は、彼女の言に素直に従い村を散策していたのだが。
その中で、小波はその想像の範疇をはるかに超えるものを目にした。

「とった、とったどー!」
「おー! あうとじゃ!」

――村人が、野球をしている。

四人程度でノックくらいしか出来ていないが、それでも確かに村人たちは野球をしていた。

(……野球が日本に来たのって1800年代だったよな)

あまり歴史に詳しいわけではないが、戦国時代に日本人が野球を嗜んでいたなどという話を聞いたことはない。
だが、間違いなく、村人たちは小波の目の前で、野球に興じている。
ということは、

「……俺の知ってる戦国時代とは違うのか?」
「おや、小波殿。野球に興味がおありですか? まぁ、時代は野球ですからなぁ」
「村長さん」

いつのまにか小波の隣に立ち、ほっほ、と笑うのは先ほどあおいとともに挨拶に伺った村長である。

「あの、時代は野球というのは?」
「ご存じありませんか? 大名たちは野球合戦によって国盗りをしているではないですか」

ご存じあるものか、と小波は内心突っ込まざるを得なかった。
野球で国盗りってどういうことだ。わけがわからないにもほどがある。

「野球が強いものが勝ち、野球が弱いものは負ける。世は弱肉強食……」
「は、はぁ……」
「我が村もこのままでは淘汰されてしまいますわい……」

寂しげに呟く村長に、小波はかける言葉を持たなかった。
野球が全ての基準なのだろうか。……えらい世界に来てしまったぞ。

* * *

「どうぞ、召し上がれ」
「ありがとう……」

頬を引き攣らせながら、小波はあおいが作ってくれた晩御飯に視線を落とした。
時代が時代なので質素である。それについて何の文句を言えやしようか。
しかし、炭化してない部分を探すのが難しい料理というのは、料理としてどうなのだろうと疑問を抱かずにはおれない。

「食べないの?」
「……いや、いただくよ。ありがとう」
「うん、召し上がれ」

冷や汗をだらだら流しながら、小波は恐る恐る炭化したなにかを箸で摘まんで口の中に放り込んだ。
じゃりじゃりと砂みたいなものを噛む感触が広がり思わずえずきそうになるが、意外にも味はまともだった。

「この見た目で……」
「何か言った!?」
「な、なんでもないよ! あはは、なんでもないです」

目を吊り上げて小波を威嚇するあおいに対し慌ててフォローを返し、小波は勢いよく晩飯を掻きこんだ。
うむ、食べさせてもらっているだけありがたいと思わなければ。

それから数分は二人向かい合って黙々と食事をしていたが、沈黙に耐えきれず小波は口を開いていた。

「あのさ、あおいちゃん」
「なあに?」
「今、野球が流行ってるんだね」
「うん、そうだよ。野球への備えは戦への備え、ってね。……まあ、ウチの村は上手くいってないんだけど」

小波の問いに答えたあおいが目を伏せる。その声音と表情からは明らかな落胆が見て取れた。

「野球が大流行して以来、何をするにも野球が全てなんだ。ボクらの村は野球が弱い以前に人数が足りなくて……」

なるほど、と小波の合点がいく。先ほどの村長の呟きはそれが理由か。
まるで恋恋高校みたいだな、とふと思った。
同時に、目の前の少女があおいであるが故に生まれる疑問を口に出す。

「あおいちゃんは野球しないのか?」

その言葉にあおいは目を丸くし、そして力なく首を振った。

「……うん、ボクは無理なんだ。投手以外しかできないから」

ボクの球を捕れる人がいなくてね。
そういって寂しげに笑ったあおいの顔に、高二の夏にあおいが見せたあの表情が被って見えた。

――その顔はダメなんだ、ダメなんだよあおいちゃん。俺はその顔を見るのが、きっと世界で一番つらいから。

戦国時代編やりすぎだろ!
いったんここでストップしてまたキャットハンズに戻るやで~(たぶん)

あおい→みずき→聖→雅的なノリで仲間にしていって天下統一、対ペリーやね
多分そういう流れでサクサクやるよ、戦国時代編


やっぱり小波さんサイドはあおいちゃん一強か……?

台詞に致命的ミス発見 アカン……

>>149

×「……うん、ボクは無理なんだ。投手以外しかできないから」

○「……うん、ボクは無理なんだ。投手以外できないから」


脳内補完お願いします……

ハーレムエンドはよ

優秀なスポーツ選手の遺伝子は残さなきゃいけないからね
小波くんはいろんなタイプの遺伝子を遺さなきゃ(ゲス顔)

むしろ戦国メインでやってほしい

見てくれる人がいるっていうのはうれしいことですね いやほんと

>>152
お、お待ちあれ……

>>153
戦国時代で種付けした結果が現代で花開くと……たまげたなあ。

>>154
ほう
戦国時代編が楽しくて2011ばっかやっちゃう……悔しい……

【いらいらみずき2】

『0-0で迎えた9回表、マウンドに立つのはなんと今日先発の守護神小波! このまま投げぬくのか!』

マウンドで滝のように流れ落ちる汗を拭う先輩の姿を見て、わたしは下らぬ意地を張ったことに後悔の念を抱いた。

キャットハンズ躍動の原動力はまさに小波先輩の双肩にある。
基本は3番ライトでクリーンナップを勤め上げ、あおい先輩がマウンドに立てばその球を受ける。
わたしを始めとした中継ぎ陣がリードを奪ったまま最終回を迎えれば、クローザーとして登板する。

無尽蔵のスタミナと回復力を有するとはいえ、半ば狂った起用をされている小波先輩。
そんな先輩を無謀にも先発投手へと駆り立てたのは、他でもないわたしのわがままな態度が原因だ。

「先輩……ごめんなさい……」

この試合に先発し完封勝利を収め、かつ本塁打を打つ――それが、試合前に小波先輩が語ったわたしへの賭け。
わたしが素直になりさえすれば、小波先輩が苦しむことはなかったのに、なのに、わたしは……。

唇をぎゅっと噛み締め、ただただわたしは小波先輩への謝罪の言葉を繰り返した。

「みずき」
「っ、あ、あおい先輩……」

祈るような気持ちでマウンドを見つめていると、いま一番聞きたくない声が隣からかかってきた。
わたしの顔を軽く覗き込み、肩を優しく叩いて、あおい先輩はマウンド上の小波先輩に視線を移す。

「心配だよね、小波くん」
「……」

わたしは答えない。
あおい先輩の大事な人を苦しめているのはわたしなんです、だから。話しかけないで……。

「さっきね、監督に直訴したんだ。ボクを出してくださいって」
「……」
「でもダメだった。なんか小波くんが今日はどうしても投げぬきたいって……そう言うんだってさ」

あおい先輩の語る言葉に、打ちのめされそうになる。
小波先輩をそこまでさせた責任は、すべてわたしにあるから。

「小波くんが何を考えてるのかは、よくわからないけど……」
「……」
「多分それって、みずきに関係することだよね」

あおい先輩の一言に目を見開いた。どうして。
弾かれたように隣を見ると、先輩は怒るでもなく、ただただ優しげに微笑んでいた。

「わ、わかるんですか……?」
「やっぱりそっかぁ」

若干困ったように頬を掻き、笑うあおい先輩。
わたしは耐えきれず先輩から目を逸らし、視線を落とした。
マウンドを見ているのも、隣を見ているのも、辛くて仕方がない。

「みずき、ちゃんと小波くんを見なきゃ」
「で、でも、わたし……」
「ダメ。小波くんが何のために投げてるのか、みずきがちゃんと見てないと」

その言葉にはっとした。
――罪悪感ばかりが先に立って、わたしは真面目に小波先輩を見ていなかった。
もう、嫌になる。自分の情けなさばかり目の当たりにさせられて、わたしは……。

「……っ、ごめんなさい、先輩、わたしが……わたしが子供っぽい意地を張ったばかりに……」

気付けば、涙が流れ落ちていた。ズボンを握りしめ必死に耐えようとするけれど、ダメだった。
罪悪感、自己嫌悪、優しくしてくれるあおい先輩への劣等感。頭の中で全部ぐちゃぐちゃになる。

「わわっ、みずき、落ち着いて……ね、大丈夫、泣かないでもいいから……」
「先輩、ごめんなさい……わたし、わたし……ぐすっ……」
「みずき……」

* * *

苦しみながら9回表も無失点に抑えた小波くんがベンチに戻ってくる。
ボクは用意していたタオルとドリンクを手渡すけれど、9回裏の打順は1番の矢部くんから。
すぐに小波くんの出番が来てしまう。心配だな。

「小波くん、大丈夫なの?」
「ああ。お膳立ては整ったからね、あとは賭けに勝つだけさ」

そう言って笑う小波くんの横で、みずきがびくりと肩を揺らした。
結局どうにか泣き止ませることに成功はしたけれど、いったいこの二人に何があったんだろう。
大事な妹分であるみずきの不調は、ボクにとって心穏やかではいられない案件だ。

「……小波くん、みずきと何かあったの?」
「うん、まあね」

苦笑しながら、小波くんがみずきの方へと視線をやる。
対するみずきは視線を床に落としたまま、何かを堪えるようにベンチに座っている。

「みずきちゃん」

小波くんはみずきの元へ足を向けると、そのまま勢いよくその帽子をはぎ取った。

「わっ、わっ……」

隠れていた表情が露わになって、みずきが慌てる。

「みずきちゃん、賭けには勝たせてもらうよ。もうすぐ俺の打席だ」
「……せ、先輩、わたし、その……」
「おっと……はは、なんだ。その様子だと、素直になってくれそうだね」

にっこり笑った小波くんが、みずきの頭を撫でた。

「――でも、最後までやりきってこそだ。ちゃんと見ててくれよ」

* * *

その日、小波先輩が放ったのは膠着を破るサヨナラホームラン。
一人で投げ抜き、試合を決める一撃をも放った小波先輩はまたもキャットハンズ史にその名を轟かせることになった。

小波先輩は自分の宣言を見事に果たした。
だったらもう、わたしは素直になる以外、報いる術を持たないだろう。

「小波先輩……お疲れ様です」
「や、みずきちゃん」

試合後、わたしは球場の駐車場で小波先輩がやってくるのを待っていた。
まごう事なき今日のヒーローだった小波先輩への歓声はファン、チームともに凄まじく、なかなか解放されないでいたようだ。
かく言うわたしはそそくさとベンチを後にし、ずっとここで精神を落ち着けていたのだけれど。

「……完封とホームラン、本当にしちゃうなんて」
「上手くいってよかったよ」

笑う小波先輩につられて、わたしも笑みを漏らした。
なんだか、久しぶりに笑えたな。

やっぱりこの人はすごい。本当に敵わない。

「ここで待っててくれたってことは、話してくれるってことだよね」
「はい。誰よりも先に、小波先輩に。わたしが先輩に報いるにはそれしかないですから」
「報いるって……俺は俺のやりたいことをしただけだけどね」

そのやりたいことというのが、わたしを助けることなのだから。
まったく、この人は本当に……。

「……ふう。それじゃ言いますね先輩」
「うん、聞くよ」

深呼吸して、腹を括る。
もう迷わない。自分の気持ちにも嘘はつかない。
あおい先輩に申し訳ないだなんて――そんなの、自分勝手で傲慢だし。ね。

「わたし、あおい先輩に嫉妬してたんです」
「うん、嫉妬……?」

「――わたし、小波先輩が好きなんです。だから、嫉妬」

わたしはついに自分の想いを認めて、口に出した。
目の前で鳩が豆鉄砲くらったような顔をしている小波先輩は、普段の凛々しさが抜け落ちてしまったようでなんだかおかしかった。

少し遅れたけど、わたしも参戦しますから。まずはあおい先輩に、宣戦布告かな――。

みずきちゃんパート長すぎな気がしたのでむりくり締めた
勢い任せが多いけど簡便な!

パワターありでキャットハンズやりてえ……

あ~小波君カッコええんじゃ~
もう一度10リメイクオナシャス!
ただし3DはNG

みずきちゃんかわいすぎ
あおいちゃんのファンになります

キャットハンズファンは毎試合絶頂射精しとるんやろうなぁ
なお小波くんは毎日猫手女子に絶頂射精しとる模様(ゲス顔)

>>161
2014は予約したやで~
携帯機で栄冠とか最高ですね

>>162
これにはあおいさんもにっこり

>>163
小波を放出したカイザースのフロントはぼろくそ言われてそう
あとキャットハンズ小波選手の嫁考察スレとか立ってんじゃないですかね……?

【矢部くん、スレを楽しむ】

二年連続Aクラスを成し遂げ、強豪チームの仲間入りを果たしたボクたちキャットハンズ。
小技でかき乱す矢部くんや雅ちゃんとか、小波くん佐賀さんのクリーンナップとか、打線の強力さで言えばおそらくカイザースですらボクらに追いつけはしないだろう。
でもボクたちがカイザースととことん違うのは、その雰囲気のゆるさだ。

シーズン中に親会社が撤退して小波くんがスポンサー交渉に向かうくらいだから、押して知るべしってところかな……。
ちなみに今はミゾットスポーツが親会社だから、そうそう撤退とかにはならないと思う。強豪チームとして名も売れて来ているしね。

話がずれた。まあとにかく、キャットハンズの雰囲気はゆるいってことなんだ。
ボクとしてはやりやすくて助かってるんだけど、だけどね。

「だからと言って、だよ? 試合前にベンチでノートパソコンいじってるのはどうなのかなあ、矢部くん……」
「ID野球でやんすよ、ID野球」
「今明らかにネットサーフィンしてたじゃない……」

微妙ににやにや笑いながら画面を高速スクロールしてるところ見ちゃったんだからね!

「うぐ、そこまで見られてたでやんすか……」
「なにかヘンなページ見てたんじゃないでしょうね」
「ち、違うでやんすよ!? オイラそういうのは家で一人で見るでやんすから」

別にいらないよ、そんな情報!
と思うのと同時、小波くんはそういうことに興味あったりするのかなあ、なんてことを考えてしまった。
や、小波くんだって男の子だし……興味ないはずないけど……でも、でも、ううん……。

「何を唸ってるでやんすか……」
「あ、ごめん。……で、何を見てたのよ?」
「某匿名掲示板でやんす!」

得意げに画面を見せてくる矢部くん。
某匿名掲示板、ねえ。あんまりいい印象はないんだよねえ。選手が見るもんじゃないよ。
ロッテ所属一年目につい見てしまってひどく打ちのめされた過去を思い出す。

「まあそれを言ったらオイラもぼろくそでやんすから。それよりこれでやんす」
「なにこれ……はぁ!? 『小波選手の嫁を考察するスレ』だって!?」
「チームメイトにもファンにもネットでも、小波くんは大人気でやんすねえ」

おかしそうに笑う矢部くんだけど、ボクとしてはなにを勝手にという思いの方が強い。
なんで小波くんのお、お嫁さんを、名前も知らない人に心配されなきゃならないのさ!
……なんてことを考えたところで、ボクも別にどうこう言えた立場じゃないかと気付いた。

「なかなか興味深いでやんすよこれ。我がキャットハンズ選手陣が最有力候補でやんすね」
「へえ、見る目あるじゃんネット弁慶たち!」
「ひどいでやんすね、あおいちゃん……」

ちょっとだけ見直してもいいかな! ちょっとだけね!
でもそんなこと言われるとその中の序列が気になってしまうのが乙女ゴコロだよね。

「というわけで、ボクの考察結果はどんなもんなの?」
「あけっぴろげでやんすね……いやまあ、いいでやんすが……」
「恋恋高校時代からの付き合いだし、意外といい線行くんじゃないかな?」

ちょっと待つでやんす、という矢部君の言葉に従ってしばし待機。

「コメントを抜粋するでやんす。『あおいの登板時にマスク被るのは小波だから、これはもう嫁確定』」
「よおし!」
「『甲子園でもバッテリー組んでたし嫁だろ』『高校の同級生が再びチームメイトになったという流れで腹一杯』」

ボクは思わずガッツポーズしていた。これは……行けるんじゃ!

「『……でも同じ立場に矢部もいるんだよなぁ』『左翼を守る矢部、右翼を守る小波、間に聳え立つ佐賀……』」
「ん、流れが……」
「『ベンチでもよくじゃれあってるしなあ矢部と小波』『矢部しかないやろ!』……ってなんでやんすかこれは!」

聞きたいのはこっちだよ!
その後矢部君とギャーギャー騒ぎながらスレッドを見返してみたら、どうも彼らの脳内では小波くんと矢部くんがカップルになっているようだった。
……やっぱり某匿名掲示板を見てもろくなことにならないね。はっきりわかった。

あと、猪狩君はカイザースを出て行った小波くんを思って日々自分を慰めているキャラにされていてかわいそうだとおもいました、まる


おしまい

悪乗りが過ぎた感
まあいいや、次回は戦国時代編やで~

猪狩弟は神童大好きだし、猪狩兄も小波を思って自分を慰めてて(意味深)も違和感無いんだよなぁ

なんJなら仕方ないね(レ)

まあ猪狩兄は大きかった(意味深)らしいからね仕方ないね

よっしゃ!ホモスレやんけ!!

男矢部スレのキャラづけ

・メインキャラ
『矢部』サブカルチャーと小波を愛するスレの主役。あおいたち女性陣を泥棒猫と呼んで憚らない。佐賀が天敵。
『小波』男矢部スレのヒロイン。登場人物のほぼ全員から狙われている根っからのヒロイン気質。
『猪狩守』カイザースを出て行った小波を思い日々自分を慰めている球界のエース。金に飽かして小波を強奪しようと画策している。

・レギュラー
『あおい』泥棒猫その1にして矢部最大のライバル。小波を捕手に使えるのはあおいだけ!
『佐賀』レフトの矢部とライトの小波の逢瀬を阻止する球界最高のセンター。常識人。
『猪狩進』矢部スレにおいて小波に興味を持たない稀有な存在。
『六道』泥棒猫その2。小波に頭を撫でられているシーンが中継されてから一躍人気キャラとなった。

準レギュラー
『みずき』泥棒猫その3。影が薄い
『小山』泥棒猫その4。影が薄い。
『座古田』小波とは関係ないところでいっつも怪我をしている。


>>168
業の深い兄弟だな……

>>169
仕方ない

>>170
あのイベント好き

>>171
男矢部スレ

座古田「ハウスドゥ!」

よっしゃ、ホモスレやんけ!

都合により今日明日は投下できませんー
ではの

【小波選手、移籍する】

「なんですかそれ、聞いてませんよカントク!」
「お、落ち着け早川……」

交流戦も終了してペナントレースへの気合をきっちり入れなおさないといけない時期になって。
ボクはつい先ほど耳に飛び込んできたばかりの知らせに憤慨しながら、世渡カントクに詰め寄っていた。
ボクの剣幕に押されているのかカントクはしどろもどろで、周りの選手たちもボクを怖がって近寄ろうとはしない。
でも、とにかく今はこれを問い詰めなきゃいけないんだ!

「小波くんがカイザースに行くって、どういうことですか!?」

ついさっき、死にそうな顔のみずきから聞いたこの新情報。
確認しようにも小波くんの姿は見えず、こうなっては事情を一番よく知るであろうカントクに直接聞こうと思い立ったというわけ。

小波くんは知っての通りキャットハンズの要であり、ボクにとっての大事な大事なチームメイトなんだ。
一選手である以上ボクは球団の意向には逆らえない。けど、小波くんを放出するなんて――それも、小波くんを捨てたカイザースに――黙っていられるわけがない。

「放り出した小波くんが活躍したからって、金にあかせて獲得するつもりなんですか! カイザースは!?」

だいたい、ボク、小波くん、矢部君の三人は、キャットハンズという新天地に真の居場所を見つけたんだ。
球団だってそれは重々承知のはずなのに、また小波くんをカイザースに戻すなんて――。

「早川、あのな、何を勘違いしてるか知らんが、キャットハンズが小波を放出するわけないだろう……」
「へ? そうなんですか?」

呆れ顔のカントクの言葉に、ボクは我に返った。
周りから安堵のため息が漏れ聞こえてくる。

「普通に考えて小波を出したらファンに殺されるだろうが」
「……たしかに」
「冷静になってくれよ……」

あ、あはは……。
ついコーフンしちゃって……。
なんだ、小波くんは放出されるわけじゃないんだね……。

「って、カイザースに移籍するのは事実なんですか!?」
「あ、ああ、それは事実だ……。早川お前、レンタル移籍って知ってるか」
「レンタル移籍?」

初めて聞く単語に首をかしげる。
ボクがその謎の制度を知らないとわかったカントクがため息をついた。

「お前、もっとニュースとか見ろよ……小波しか見てないだろ……」
「あ、わかります? 一昨日の小波くんの投球も最高で……って違いますよ何言ってるんですか!」
「まぁとにかくだな、昨日プロ野球にもレンタル移籍制度が制定されたんだよ」

レンタル移籍とは。
お金を払うことで別チームの選手を一定期間自チームに所属させることができる制度なんだそうだ。
球界の盟主である某大正義と新進気鋭の金満球団カイザースが強力に推し進めたらしく、その新制度初の適用者として小波くんが選ばれたらしい。
カイザースとしては、キャットハンズのスターとして活躍する元カイザースの小波くんが、再びあの青ユニフォームに袖を通す姿をファンにお見せしたい、らしい。
猪狩くんと小波くん、高校野球でしのぎを削ったライバル同士の共闘を実現させることで野球人気をどうのこうの。
……ちなみにカイザースは現在セ・リーグの第3位。明らかに順位底上げのために獲ったな!

「だいたいなんでウチもそれを呑んだんですか? 小波くんがいなくなったらウチだって」
「そこだよ。キャットハンズは小波に頼りすぎな面がある。二ヶ月くらい、小波無しでもやれることを証明してもらわんとな」
「なるほど……」

まあ、確かにカントクの言うことは一理ある。
ボクたちはあらゆる面で小波くんに頼りっぱなしだ。
強肩の右翼手、絶対的守護神、ボクのことを誰よりわかってくれてる女房役……。
強豪キャットハンズとはいうものの、決して小波くんのワンマンチームではないってことを証明してみせろと、カントクはそう言いたいんだろう。

「……で、本音は?」
「小波の二年分の年俸で二ヶ月レンタルだからな……」

……恐るべし、猪狩コンツェルン。

長らく投下しとらんですまんかったの!
これで猪狩と小波がチームメイトになれるな……

制度について深いツッコミは無しで!

オールスターで小波vsあおいとかやりたいな

チームメイト(意味深)
懐かしいなカントク表記
キャットハンズだけカタカナなんだよね

小波のお尻がレンタルされるのか…

嫁考察スレが盛り上がるな

キャットハンズファンはヒヤヒヤもんやろうなぁ
カイザースサイドは全力で小波を引きこもうとしてくるだろうし

今日も投下できへん……
次回は思いついたら綾乃ちゃん出したいです

>>179
猪狩さんサイドは大喜びでしょうねえ……

>>180-181
嫁考察スレの盛り上がりが超加速しそう

>>182
なりふり構わず獲りにきそう

思いついたらはるかちゃんも書いて欲しいなあ(乙です!期待してゆっくり待ってます!)

【綾乃・はるか・幸子ルート】

元お嬢様学校たる恋恋高校の設備への投資額は、近辺の高校の水準を凌駕していることはよく知られたことだ。
昼休みには柔らかな陽光の差すカフェテリアで、年端もいかぬ高校生たちが優雅にティータイムを楽しむ姿を目にすることが出来るのだから。
提供されるメニューも高級喫茶店もかくやと言わんばかりの品ぞろえ。この生活水準に慣れたら将来苦労しやしないだろうかと、昼食のトレーを手に高木幸子はぼんやり考えた。
かつて恋恋高校の一生徒としてカフェを利用していた幸子は、今は一教師としてその恩恵に預かっている。
赴任初年度、仕事では慣れぬことも多いとはいえ、勝手知りたる母校の間取り。幸子は迷うことなく目的のテーブル目掛け歩を進めた。
人ごみを縫って歩き、目的地を視界に収める。円形の洒落たテーブルには既に二人の先客がいて、幸子の到着を待っていた。

「ごめんごめん、遅くなったね」

片手で謝罪のポーズを作りながら席に着く。
昼休み前、3,4時限目の体育こそが幸子の領分である。
目の前に座る二人の同僚もそれはよく分かっていることなので咎める素振りなどはまるでない。

「では、全員揃ったことですしいただきましょうか」

幸子から向かって右手に座る、七瀬はるかが口を開いた。
栗色の髪をふわりと流したはるかはまさしくこの恋恋高校に相応しいタイプだ、と幸子は常々思っている。

「そうですわね。それでは……」

次いで、向かって左に座る倉橋綾乃が続けた。
どこぞのハーフかクォーターか。金糸の髪が眩しい異国のお姫様然とした彼女もまた、恋恋高校に相応しいだろう。

……結局のところ自分が一番相応しくないという結論に至りそうになるので、幸子は考えるのをやめた。

高木幸子、七瀬はるか、倉橋綾乃。この三人は全員が恋恋高校の出身で、同級生にあたる。
また、今年が赴任初年度の新米教師であることも同じで、過去の経緯から接点の多かった三人はいつしか意気投合し、親友とも呼べる間柄になっていた。
まったく人生不思議なものだ、と幸子はある種の感慨を抱かずにはいられない。
自分もそうだが、あの綾乃とはるかがこうして仲良く会話に花を咲かせているのだから。

「それで、実際野球部の実力はどうですの?」
「そうですね……やっぱりエースの鈴本君は抜きんでています。けれど……」

野球部トークを始めた二人の会話には混じらず、幸子は聞き耳を立てつつ食事を進めた。
恋恋高校野球部――元女子校であるが故に歴史の浅いこの部活は、それでもかつて夏の甲子園出場という快挙を成し遂げている。
その原動力となったのは、三人の同級生であり、今やスポーツニュースで名を聞かないことの方が少ないキャットハンズのリードオフマン矢部昭雄と、キューティー・サブマリンこと早川あおい。
はるかは彼らのマネージャーとして常に野球部の傍らにあり、それがあって今は恋恋高校野球部の監督を務めている。
一方の綾乃はといえば、かつては幸子と同じく野球部――というよりははるかとあおい――を目の敵にしていた時分もあったが、今はとある理由で野球部の顧問を務めている。

人、そして人間関係というものは本当に変わるものだ。幸子は感慨深げに頷いた。
ちなみに幸子はといえば高校時代と変わらず女子ソフトボール部の監督とコーチを兼任している。

野球部とソフトボール部によるグラウンドの取り合いも起こってはいない。平和にやっている。

(……まぁ、つっかかってたのはアタシだけど)

ミールを口に運びながら幸子が考えたのは、その自分が常に突っかかっていた同級生の姿だった。
我ながら笑ってしまうが、あの飄々とした男の気を引きたい一心で野球部に喧嘩を売っていた節がある。
結局思いを自覚したのは高校を卒業してからだったし、その頃には遥か遠い存在になってしまっていたのだけれど。

「……小波、か」

不意に口に出してしまった。
我に返った時、目の前には何故か闘志を露わにする綾乃とはるかの姿があった。

「幸子、なんで小波様の名前が出てくるんですの?」
「まさか連絡を取り合ってるんですか? 教えてください」
「いや、違うよ。ただ思い出しただけさ」

二人がむきになるのにはそれなりのわけがある。
綾乃とはるかの二人とも小波に惹かれていたというのもそうだが、矢部やあおいと同じく、それ以上の期待を背負って球界入りした小波は、入団初年度に交通事故に巻き込まれて選手生命を絶たれてしまったのだ。
野球部を作り、甲子園まで連れて行ったのも小波。野球をするために生まれてきたような男が野球を奪われてしまった。その胸中はいかばかりか。
連絡を取ったところで、かける言葉など見つからないだろう。そうするうちに月日は流れて今や三人社会人である。
いったい小波はどこで何をしているのだろう。願わくは野球から離れていないでほしい、と思うけれど。

「早川さんだったら連絡を取り合っているのではないんですの?」
「それがあおいもあまり連絡が取れないらしくて」

自分の呟きが元で、いつの間にか議題は小波のことになっていた。
高校時代から小波とはとりわけ仲の良かったあおいですら連絡が取れないとすると、もはや打つ手はないと言えよう。

「うら若き乙女の心をかき乱して失踪とは、まったく罪深い男だね」
「――なーるほど、幸子は乙女なのか。知らなかった、覚えておくよ」
「は……?」

急に背後から降ってきた声に一瞬思考が停止した。
目の前の二人に目をやれば、自分の頭上にがっちり視線が固定されていて、驚きのあまり声も出ない状況のようだ。
落ち着け、落ち着け高木幸子と心で唱える。この声には聞き覚えがある。しかし期待していいものだろうか。
もう四年以上前の声を覚えているものだろうか? しかもこのタイミングで現れるものか? とはいえ迷っている時ではない、覚悟を決めよう。

すぅ、と一回深呼吸して、幸子は止まらず振り向いた。

「や」

にこやかに手を挙げる男。
やはり、聞き間違いではなかったようだ。
忘れるはずはない。見間違うはずもない。
自分の心をかき乱すだけかき乱して、姿を消し、そしてまた現れたコイツは――。

「――小波!」
「久しぶりだな、幸子、綾乃さん、はるかちゃん」

恋恋高校野球部、初代キャプテン。小波その人が立っていた。

小波とか言うイケメン
野球部に突っかかってきたのはあおいではなく小波目当てだったんやね(ゲス顔)

「こ、小波様……小波様、ですの……?」

何度も何度も瞬きを繰り返し、綾乃は目の前に立つ男がふと消えてしまわないかを確かめようとする。
震える声でかけられた問いに対し、小波はしっかりと力強く頷き応えた。

「そうだよ、綾乃さん。恋恋高校野球部初代キャプテン、小波ただいま参上ってね」
「……ゆ、夢ではないかしら……幸子、抓ってくださる?」
「いや、現実だよ。アタシにも見えてるから」

綾乃の気持ちもわからないではなかったが、やんわりと拒絶しておく。
何より綾乃の透き通るような白い肌に傷をつける真似をするのは許しがたい。

「小波さん……。小波さんなんですよね……?」
「うん、そうだよはるかちゃん。久しぶり」
「はい……本当に……」

感極まってしまったのか、はるかは目を潤ませながら声を震わせた。
いわゆる感動の再会、というやつか。幸子は決してそれだけで済ませていいとは思っていなかったが。

「小波。アンタ今の今まで何してたんだい。きっちり全部吐いてもらうよ」
「ああ、そうだね。とりあえず結論だけ述べると、俺は今日から恋恋高校に世話になる」

「倉橋家にいらっしゃいますのね!?」と興奮のあまり立ち上がった綾乃を、はるかが静かに席に押し戻した。

「結論になってないだろ、それ」
「ははは、ごめん。野球部のコーチになるってことさ」

笑いながらそう言った小波の言葉に、はるかの顔がぱあっと輝いた。
はるかは野球部の監督。小波がコーチとなれば心強いことこの上ないだろう。
それに一緒に仕事ができるということでもあるし。……羨ましく思ってしまうのは致し方のないことだ。

「アンタ、コーチなんてできるのかい?」
「事故ったあと、大学に入ってスポーツ医学を勉強してきた。それに全力とは言えないが打てるし投げもできるんだ」
「そうかい。だったらまあ、いいけどさ」

事故にあったことを軽く流した小波の姿に、幸子は静かに胸を撫で下ろした。
自分なりの折り合いをつけたようだ。心配することは何もないだろう。

「綾乃さん、はるかちゃん。俺にも野球部のこと、背負わせてくれよ。よろしくな」
「は、はいっ、小波様!」
「よろしくお願いします、小波さん」
「あと、幸子。高校時代の対戦成績はちょうど五分だからな、決着つけようぜ」
「……ったく。仕方ないやつだね、アンタも」

そうは言うものの、頬が緩んでしまうのは仕方のないことだ。
幸子は自分にそう言い聞かせながら、小波の帰還を祝福した。

以上、綾乃・はるか・幸子ルート。

事故ったあとダイジョーブにて復帰→キャットハンズルート
事故ったあとコーチとして恋恋へ→恋恋高校ルート

って感じくらいしか思いつかなかったよ……。
でもまあ恋恋組メインで出せるしいっかなーって!

>>184
思いついた結果がこれだよ! 許してちょんまげ

>>188
あおい→小波なんやろなぁ
地味に幸子と名前呼びなのも大きい

やっぱ恋々高校編って最高ですわ
2つのルートを合わせたハーレムEDオナシャス!
はるかは専属トレーナーになれば良いんじゃないですかね…?

マッサージ(意味深)ですね

【弾道が上がった!】

七瀬はるかは上機嫌だった。
助手席に腰かけながらカーオーディオを操作し、5年前に流行した名曲を流し始める。
輝かしい高校時代、あおいと共に幾度も聞いたイントロが流れだす。気分よく鼻唄を歌いながら、隣の運転席を流し見た。
ハンドルを握るのは、ついこの前同僚として恋恋高校に赴任してきた小波だ。
はるかと同じく青春時代を懐かしんでか、無意識にフレーズを口ずさんでいる。
しかしその眼差しはいたって真剣そのもので、その凛とした横顔を間近で見られることにはるかは内心喝采を挙げた。

今回のこの外出は、野球部の次期合宿先の下見を兼ねた小旅行である。
山奥にあってグラウンドが併設された老舗旅館(温泉つき)という好物件。下見に行かない理由がなかった。

小波に運転を任せ、自分は助手席に座る。
まるで恋人同士の旅行みたいですね、と言ったら小波はどのような反応を返すだろう。
訊いてみたい欲求に駆られたが、はるかはすんでのところで自制した。まだ攻め時ではない。

なにせ――、

「うー……納ッ得ッ、いきませんわー……」

後部座席からさぞや悔しそうな呻き声。はるかの同僚、野球部顧問の綾乃が歯ぎしりしていた。
出発前の席決めじゃんけんで華麗な勝利を決めたはるかが助手席、綾乃は後部座席が決まったためである。

「勝負の世界は非情なのよ、綾乃」
「わたくしも小波様の隣に座りたかったですわ……」
「いや、はは……ていうか、あのさ……下見に三人も必要なの……? いまさらだけど」

困ったように笑った小波が至極当り前の疑問を述べたが、はるかと綾乃は黙殺した。
温泉、そして旅館。小波を連れてこない理由がないし、小波のいない下見に意味はないのである(正論)

「いいんじゃないの。人数がいればその分多角的な評価を下せるだろ」

再び後部座席から飛んでくる勝ち気そうな声。女子ソフトボール部監督兼コーチの幸子のものだ。
彼女に至ってはもはや野球部関係者ですらない。小波に関係があるといえばそれまでだが。

「俺は幸子がいるのもびっくりなんだけど」
「なんだい、アタシはいちゃいけないってか」
「……いや、常識人だから二人を止めてくれるものと思ってた」

小波からの評価に幸子がうぐ、と声を詰まらせる。
はるかとしては聞き捨てならないのだけれども、あながち間違いではないのかもしれなかった。

* * *

目的地に到着した一行のはるかを除いた三人は、旅館の入口に待機していた。
予約等ははるかが一人でこなしてくれたらしく、チェックインもそのまま彼女に一任する形になっている。
旅館の施設案内や近辺の観光スポット等の情報に目を通しながら、小波が口を開いた。

「ふーん、温泉があるのか」
「気持ちよさそうじゃないか」

監督兼コーチとしてバリバリ現役でソフトボールに勤しむ幸子は嬉しそうだ。
体もほぐれるし美肌に効果があると言われれば喜ばない女子はいない。効果の程度はどうであれ。

「……混浴ではありませんのね」

なぜか残念そうな声音の綾乃に小波は己の目を疑った。
自分の知っている高校時代の綾乃の姿とはいささか乖離している感が否めないのだがこれいかに。

「小波様の背中をお流しできると思っておりましたのに」
「やめてね、俺の理性飛びそうだから」

綾乃は……というより、はるかも幸子もあおいも、小波が近しい女性は皆が皆揃って美人と形容されるに足る。
その中でも綾乃の人形然とした美しさは際立っているわけで、そんな彼女に背中など流してもらった日には理性のタガが外れるのを覚悟せねばなるまい。
旅館というシチュエーションが余計にまずい。

「ま、さすがに部屋は男女別だろうし。運転疲れもあるだろうからゆっくり休みなよ」
「ああ、ありがとな幸子……」

常識人と認めるに足る幸子の良識っぷりに小波は胸中でうれし涙を流した。
が、現実は非情である。

「小波さん、謝らないといけないことがあります」

会話を続けていた三人の元に戻ってきたはるかが、若干――本当にごくごく若干――その表情を暗くして言った。
背中に悪寒を感じつつも、小波はその続きを促す。いささか想像はついているのだけれど。

「予約で手違いがあって、部屋がひとつしか取れていませんでした」
「オッケーわかった、俺は車で寝るよ」

予感的中である。小波はすぐさま車のキーをポケットから取り出して踵を返した。
が、彼の前に立ちふさがる影がひとつ。

「待った。アンタ運転で疲れてるだろ、その上車で寝かせるわけにはいかないよ」
「幸子、今はその常識人っぷりはまったくいらない……」

心から小波を慮ってくれているであろう幸子の提案は、良識と親切心に満ち溢れている。
けれども、それはある種地獄というか狂宴というかそういうものへの片道切符なのですがそれは。

「そ、そうですわ、小波様を車なんかで寝かせるわけには……。はるか、追加で部屋は取れませんでしたの?」
「はい、開いてませんでした」

先ほどの暗い表情はどこへやら。今や満面にこにこ笑顔の七瀬はるか嬢である。
ここまで連れてこられたこと自体が罠だったのだと悟るも時すでに遅し。

「で、でしたら、小波様もわたくし達と一緒の部屋で寝ていただく他ありませんわね……」
「だね」
「はい、綾乃の言う通りです」

小波、ここに至って完璧に逃げ道を封じられたことを悟る。

「というわけで小波さん、よろしくお願いしますね?」
「……は、はるかちゃん、あのさ。何をよろしくするのかな……」
「……ふふ。据え膳食わぬはなんとやら、ですよ?」

くす、と笑みを零したはるかの姿は妖しさに満ち溢れていて。
小波は今晩、自分に降りかかる運命を知った。

旅館・浴衣・3人というとんでもない男ですね小波くん
あおいちゃんが怒ってますよいいんですか

>>191
【キャットハンズルート】
あおい、みずき、聖、雅

【恋恋高校ルート】
はるか、綾乃、幸子、(鈴本)

7人ですかぁ……多いですねぇ……。
ほむらちゃんは純粋なファンっぽさがあるんでまあ……。


>>192
旅館でマッサージ(意味深)ですかね?

小波お前男だろ、ヤれよ(直球)
恋々高校日常編めっちゃ見たい

多分はるかが口ずさんでたのは恋々高校編のBGMですね…

あおいちゃんともやっちゃえばええんやで(ニッコリ)
小波とか言うイケメンな天才野球選手は種牡馬に最適だね(ゲス顔)

はるかさんの出番くれてありがとうございます!
ああああああまた9やりてえええええええええええ

【恋恋高校の日常・1】

熱かった夏が終わり、野球部からは三年生が引退、二年生を中心とした新チームが発足しつつある頃。
残暑がいまだ残る中、恋恋高校のグラウンドはいつにもまして騒がしかった。
喧噪の中心にあるのはつい先日野球部のコーチに着任したばかりの小波と、その同級生であり同じく恋恋女子ソフト部の監督兼コーチの高木幸子。
野球部のグラウンドで向かい合う二人は、しかし不敵な笑みを湛えたまま向かい合っていた。

「まさかこれが長らく続いてるなんて知らなかったよ」
「どうやらウチの伝統になってるみたいでね。ようやく雌雄を決することが出来そうじゃないか?」
「まったくだ」

くつくつと笑い声を零す二人の周りでは、野球部と女子ソフト部の面々が二人と同じく闘志を秘めた眼差しのまま向かい合っている。
恋恋高校、月に一度の恒例行事。その名も『異種球技格闘戦』の火ぶたが、まもなく切って落とされようとしているのだ。

「思えばグラウンドの使用権を賭けた子供じみた勝負だったけど……」
「こうして伝統として残り、続く中、再びアタシとアンタが舞い戻ってきた……」
「だったら続けないわけにはいかないよな?」
「ああ、もちろんさ」

最初に異種球技格闘戦を始めたのは、何を隠そう野球部キャプテンの小波と女子ソフト部主将の幸子、この二人であった。
当時は野球部とソフト部でグラウンドが共用であったがために勃発した突発的な戦いであったが、野球部マネージャーかつ恋恋高校理事長の孫娘であった綾乃の一声にてグラウンドが増設されることが決定。
異種球技格闘戦はたったの一度で幕を閉じた……はずだったのだが。

なんだかんだで勝負事が大好きな小波と、負けん気の強い幸子の二人である。
月に一度のこの勝負は野球部とソフト部の恒例行事として続き、今に至るというわけだ。

「ふっふっふ、今年のソフト部はアタシたちの時とはまた一味も二味も違うんだ。タカ、ちーちゃん、アンタらの力を見せてやんな!」
「言うなぁ幸子。とはいえ野球部だって俺以上のエースを抱えてるんだぜ? 鈴本、頼んだぞ!」

二人に名を呼ばれた互いの部のエースたちが声を張り上げる。

「四番、エースは当然アタシだ。三振に切って落としてやるよ、小波!」
「四番キャッチャーは俺の領分だ。柵越え見せてやるよ、幸子!」

お互いスタメンに食い込む気満々の大人げない指導者を抱えながらも、両部のボルテージは最高潮に達しようとしていた。

多分小波と幸子は大人げない対決を繰り広げていると思われる。
猪狩や幸子等、勝負っ気の強い相手を前にすると小波くんは闘志むき出しになるようですね。

>>198
ちょっと学生時代編やりたい欲も出てきた

>>199
ひじりんとの子が能力一番ヤバそう

>>200
言われなかったら出そうともしなかっただろうし、むしろありがたい限りやで!

高校時代編の3人の絡みもみたいし大人編の3人もみたいこの気持ちは…
ヤバイやっぱり、はるか 綾乃 幸子の3人めっちゃ良いわ

現在2枚技を使って猪狩君を滅多打ち中
すまんな猪狩

ちょろインのちーちゃんをもっとオナシャス!

【恋恋高校編その1】

人生というものはどう転がっていくのか本当にわからないものである。
明るい未来を思い描いていたはずが一瞬にして打ち砕かれたり、絶望の色に染まった視界のなかにきらめく一筋の光明を得たり。
世は不条理と、言葉には出来ない何か大きな力の作用に満ち溢れているに違いない。
桜吹雪の舞う校庭を歩きながら、小波九はそんなことをぼんやり考えていた。

小波が歩を進めるたび、周囲の女生徒たちがひそひそと何事かの囁き声を交わす。
視線を落とすと、腕をがっちりと固定するは純白のギプス。
入学初日から不自由な片腕を引っ提げている謎の男子生徒を見れば、周囲の反応も致し方のないことだろうか。

極力周囲のことは気にしないようにしながら、小波はひたすらに真っ直ぐ道を進んだ。
実を言うと片足にもまたギプスが巻かれていたりして、松葉杖での登校である。インパクトは十分に過ぎるだろう。

「お、見えた見えた……」

目を細め、感嘆の言葉を漏らす。いつみても美しい校舎だ。
桜の花弁のカーテンの向こうに、桃色との対比が映える純白の校舎が聳え立つ。
今日から小波の学び舎となる恋恋高校である。
由緒正しい名門女子校であった恋恋も、少子化という荒波に揉まれ、今年から共学と相成った。
そして、小波はその記念すべき第一期男子生徒の一人となる。

……人生というものはどう転がっていくのか本当にわからない。
ついひと月前までは、恋恋高校に進学するなどとは露とも考えていなかったのだから。

野球選手として優秀な才能を持っていた小波は中学野球でも当然のごとく活躍し、名門野球部を擁する帝王実業高校への進学を決めていた。
しかし、スポーツ選手にとって体は資本。ごくごく当たり前の論理の前に、事故によって選手生命を絶たれた小波の、球児としての道は閉ざされた。
あまりにもお先真っ暗、あわや中学浪人が決定かと思われたのがなんと中学卒業後。
流石の小波も悲嘆にくれたが、伝手によって既に募集を締め切っていた恋恋高校の試験を特例受験させてもらい、合格。そして今に至る。

昇降口まで歩を進め、今日から三年お世話になる校舎を見上げた。
ここで俺は何を成そうか。野球はもう出来ないけれど、野球はまだ好きなままだ。
しかし、恋恋高校は元女子校。野球部などあるはずもない。……とくれば。
恋恋への入学が決定してから思い描いていたビジョンをもう一度脳裏で反芻し、小波は改めて己を鼓舞した。
選手としてやれないのならば、俺は――。

「こ、小波様!」

――焦ったように自分を呼ぶ声に、思考を中断。不自由な足に苦労しながら振り返った小波の視線の先に、『恩人』の姿があった。
金の髪に、それと同じ色の瞳。幼さが見え隠れしながらも、見る者を魅了する整った顔立ち。
纏う雰囲気はまさしく恋恋高校に相応しい『お嬢様』のそれで、歩くたび周囲には美しい花々が舞うかのよう。

彼女は恋恋高校理事長の孫娘、倉橋綾乃。
小波の『恩人』であり、綾乃にとってもまた、小波は『恩人』であった。

「や、綾乃さん。今日から三年間よろしく」
「は、はい、よろしくお願いいたしますわ……」

片手を挙げ微笑んだ小波にぽけー、と見惚れる綾乃。やや紅潮した頬、熱の籠った視線、恥ずかしさと嬉しさの入り混じる声。
見れば十中八九誰もが気付くであろう、そんな態度を綾乃が見せているにも関わらず、小波は普段の態度をまるで崩さなかった。
というよりは気付いていないといった方が正しいか。鈍感を地で行く男だった。
 
「……って、そうではありませんの! 小波様にはわたくしがついて参りますのに!」
「でも、悪いよ。綾乃さんにはさんざん世話になったんだから」
「何を仰いますの! わたくし、小波様には一生かかっても返しきれないだけの恩義が……」

とくとくと語る綾乃に、小波は「大げさだなぁ」という感想を抱いた。
綾乃と小波の出会いはひと月前、小波が交通事故に巻き込まれた日に遡る。
何のことはない。小波が綾乃を2tトラックから庇った結果が、今のギプス装備である。

「わたくし、本当に、取り返しのつかないことをしてしまったのですから……」
「お、おいおい……俺はやりたいことをやっただけだよ。だからそんな顔しないでよ……」

トラックに轢かれた後すぐさま搬送された小波が入院した先に、綾乃は毎日、足しげく通ってきた。
その中でお互い会話を交わし、互いのことを知ったというわけだ。小波が野球をできなくなったことも、綾乃は知っている。
そして、その責任が誰にあるのか、綾乃は痛いほどに知っていて、だから自らを責め続けているのだ。
綾乃の悲痛な表情を前にすると、小波は胸が苦しくなる。誰かの悲しげな表情を見るのが、小波には何よりも辛かった。

――こんな顔をされてしまった以上は、やっぱり俺は野球から離れるわけにはいかないな。

まずは綾乃に、自分の思い描く未来を話してみよう。そうすれば少しは、彼女の顔も晴れるだろうか。

ちまちま学生時代編も進めるでよ~ オリキャラ多くなりそうだから塩梅考えます

なんかこれだと綾乃さんメインヒロインっぽいけどあおいちゃんスレだからねこれ!
あと小波くんのフルネームは小波九になりました。由来はパワプロ9と右翼手から。安直!


>>203
恋恋の三人は書いてて楽しかったんで多分出番多くなるんじゃないかなあ

>>204
実は2013はあまりやってないのでちーちゃんの印象も薄いんだよな
バかわいい感じだったよね確か。 OP見るだけで満足しちゃってた

選手全員女でいいじゃん(いいじゃん)
やべっちはポイーで
綾乃さんはな~決定版の修学旅行イベントじゃ全然物足りなかったよ…

>>208
このスレではマネージャーやってもらう予定です(小波と結ばれるとは言ってない)

ほんといいキャラなのに出番がなあ……

>>209
やったぜ
昔幸子さんは捕手として野球部に入ってくれるかもって本気で思ってたのに見事に外れたんだよなぁ…
綾乃さんよりイベントが少ない幸子さん…

聖の兄のような幼馴染みで、
雅のチームメイトかつ憧れで、
彩乃を身を挺して救い、
はるかが倒れたところを助け、
幸子とはライバル的存在で、
みずきがチームに溶け込むきっかけを作り、
あおいとは高校時代から互いに一番通じ合っている相棒

小波くんの詰め込みっぷりよ


>>210
聖ジャスミンに幸子出ると思ってた

>>211
幸子さん出なくて残念だったよな…
でもジャスミン好きよ~
ハーレムプレイ出来るしモブくっそ強いし

恋々編プレイしてたら何か書きたくなる衝動に駆られる程内容が濃いわ

パワプロ2014買ってきたやで~
今作はペナントが特に楽しみですわ

叶うならサクセスで小波君作りたいけど多分無理

>>212
モブにイチローレベルの逸材が混じってて草
矢部田ちゃんのメガネの下は超美少女と信じて疑わないよ俺ぁ

>>213
ラグナロクやってから送ろう(提案)
小波君はどんな能力してるんですかね…

そらオールA青特能全部持ちよ
なおトラック☓持ちの模様

直前まで恋恋やってたせいか試合のテンポについていけないwww

>>214-215
野手能力はオールBの中にちらほらAがある感じかなぁ
キャッチャー◎とレーザービームは持ってそう

トラック×は確実に持ってる

バレンタインに男からチョコもらうイベントで尻上がりのコツとかいかんでしょ……

ファッ!?
俺も買おうかなぁ…
試合BGMがどんな感じなのか気になる
毎回決勝戦は熱いんだけどね

【小波くんご乱心】

長くて、暑くて、熱かった恋恋高校の夏が終わった。
まだちょっとの暑さもあるけれど、季節は徐々に秋に差し掛かろうとしている。
恋恋高校が甲子園を熱狂の渦に巻き込んで、ひと月。
ボクたち恋恋高校野球部の面々は、いわゆる燃え尽き症候群に罹患していた。

「夏、終わったでやんすねー」
「だね」
「ねー」

蒸し暑さの中を秋風がするりと撫でていく昼休みの屋上。
ボク、小波君、矢部君の三人はいつものように連れ立って昼食をとっていた。

「引退ってさみしいもんでやんすねー」
「だね」
「ねー」

野球部設立以来の夢を叶えたボクたちは、晴れて野球部を引退した。
三年生が夏を過ぎたら引退するのはごくごく当然。とはいうものの、ボクたちはやっぱり心にぽっかり穴が開いた気持ちを抑えることはできなかった。
ずっとずっと打ち込んできたものから離れてしまえば、こんなものなのかな。なんだか不思議だ。

「ああ、無性に体を動かしたいでやんす……けど引退した三年が部活に顔を出したら新チームが台無しでやんす」
「だね」
「ねー」

ボクと小波くんの相槌はえらく適当だ。
心ここにあらずとはこのことなんだろうな、と思う。
当然引退した今だってランニングとか投げ込みは欠かしていないけど、部活に出ていないというのはそれだけで違うものだ。

「清本君は何してるの」
「受験勉強してたでやんすよ」
「ほぇー……」

我ら恋恋高校の頼れる四番、無口なスラッガー清本君はすでに気持ちを切り替えて受験勉強に勤しんでいるようだ。素晴らしい。
かく言うボクらは全員プロ志望届を提出していて、小波くんはもとよりボクも矢部くんも指名は確実の状況にある。放課後になれば全員顔を突き合わせて自主トレに励んでいるけど、昼間はどうにも無気力だ。

「西強大学志望だったっけ……清本君だったら推薦もらえるだろうに」
「文武両道を極めてこそ最強なんだってさ」
「流石は清本語検定1級保持者の小波くんでやんす。オイラそこまでは読み取れなかったでやんすよ」

くだらない会話を続けながら、ボクらの昼休みは流れていった。

きんこんかんこん、と規則正しいチャイムの音が構内に響く。
昼休み終了5分前の予鈴が鳴ったようだ。

「あー、もう予鈴でやんす」

よっこいせ、とオヤジくさい呟きを漏らしながら矢部君が立ち上がる。
いくら無気力ダメ人間状態とはいえ、授業はしっかりと受ける心積もりらしい。
まあ、ボクだってそのつもりではあるけどさ。……ちょっと面倒だと思ってしまうのは仕方がない。

「じゃ、オイラ日直なんで先行ってるでやんすよ」

ひらひらと手を振りながら屋上を後にする矢部君の背中を見つめながら、ボクは小波くんが立ち上がる素振りを見せないことに首を捻った。
いつもだったら「じゃ、行こうか」とか言いながら立ち上がるはずなんだけどな。

「小波くん、どうかしたの?」

振り向き問うと、小波くんはいつものように優しく笑って首を振った。

「たまには俺も不良じみたことがしたくなってさ」
「サボりってこと?」
「そ、サボり」

珍しい。
小波くんが自主的にサボろうとするなんて滅多にあることじゃない。
大抵は矢部くんかボクの提案に苦笑しながら乗っかってくるんだけどな。
この燃え尽き症候群、相当小波くんを蝕んでいると見える。

「でも次、世界史の遠藤先生だよ。ほら、行こ?」

座ったまま立ち上がろうとしない小波くんに腕を差し出す。
体格では劣るとはいえ、小波くんを引っ張り持ち上げることなんてワケないからね。
……そんなことを考えていたボクだったのだけれど。

「――よっ、と」
「え? ちょ、小波く」

ぽすん、と。
そんな擬音が相応しいだろうか。

欠けたパズルにピースがきっちり嵌るかのような、そんな見事な動きとタイミングで。
ボクはいつの間にやら小波君の腕の中に納まっていた。
要は差し出した腕を逆に引っ張られて、体ごと抱きしめられた形になる。

――抱きしめられてるのか、ボク。なんてこったい。

「ちょ、ちょっと、小波くん。どーしたの急に」
「まあ、気まぐれだと思って」

女子高生が気まぐれで抱きしめられて良いものなんだろうか。ボクにはわからない。

「……落ち着く」
「あのさ……小波くん、授業、はじまっちゃうよ」
「授業よりはあおいちゃんを抱きしめる方が大事」

この人は何を言ってるんだろう、本当に……。
若干呆れてしまったけれど、抱き留められていることの安心感と幸福感は確かに授業よりは数倍も魅力的だった。

「……じゃあ小波くん、ボクも寝るから。しっかり抱きしめててね」
「うん」

小波くんの答えを聞いて、ボクは安心して彼にすべてを委ねた。
まあ、悪いようにはされないだろう。そもそも、このシチュエーションは嬉しいし。


小波くんご乱心。でも悪くない。
背に回る小波くんの腕に喜びを覚えながら、ボクはまどろみの中に落ちて行った。

定期的にスレタイ通りいかないといけない病がですね

>>218
試合BGMは個人的にはあまり印象に残らなかった
決勝も2011決勝とか2013決勝に比べるとあまり
ちゃんと聞けば違うのかもしれないけど。

>>222
2013の地方大会は微妙だったんだよなぁ…
今回はあんまり印象に残らないかぁ…
まぁ買って聴いてみれば分かるか
わざわざありがとう

しかし清本もいるとかヤバイ

【みずきご乱心】

小波先輩は優しい人だ。
彼と知り合って二年。わたしは幾度となく先輩の優しさに救われてきた。
姉、あおい先輩との和解、あおい先輩への嫉妬心の噴出、成績低迷からの復活。
挙げればキリはなく、キャットハンズの「優秀な中継ぎ」である橘みずきは、小波先輩の力がなくては存在しえなかったことだろう。
それだけ、わたしは小波先輩に恩義がある。

だけど今、わたしはその恩を仇で返そうとしていた。

「……せんぱい」

呟き、わたしは下に組み敷いた小波先輩を見つめる。
わたしを射抜く小波先輩の視線に怒りの色はない。困惑と、不出来な妹を慈しむかのような慈愛の色があるだけだ
女性に馬乗りになられてもなお、これである。

ああ、いったいわたしは今どんな表情をしているのだろう。いつもの悪戯めいた顔か、それとも蕩けきった雌の顔か。
どちらにせよ、ここまで来た以上わたしに立ち止まるという選択肢はなかった。

「……みずきちゃん、なんのつもり?」
「強攻策ですよ、せんぱい」

そう、強攻策。
いつもいつもその優しさのせいで女性の影がちらついて離れない先輩を、独り占めするための。

「わたし、先輩が欲しいです」
「欲しいって、あのね――」
「答えは聞きませんからね。わたしはただ頂いていくだけですから」

そうだ。いつか手に入る時を待ち、日々を悶々と過ごすのならば。
先に奪い、奪ってもらえばいいのだと思い至ったのはつい昨日のこと。

「そして、わたしのはじめても。奪ってもらいます」
「ちょ、っと」

わたしの宣言に、小波先輩が目に見えて狼狽したのがわかった。
それがいつもの飄々とした先輩の姿とは少し遠かったからなんだかおかしくて、わたしはより一層先輩を困らせたいと思ってしまった。
困らせて。焦らせて。先輩が狼狽える姿を見たい。わたしだけに、先輩の困った顔を見せてほしい。

「先輩。大好きです……」

小波先輩は優しい人だ。
だから、わたしを無理矢理引き剥がすような、そんな手荒な真似はしない。

それがわかっているから、わたしは小波先輩の唇を奪った。


* * *


「きゃあああっ!?」
「うわっ!?」
「えっ! あっ! なにっ! 今の!?」
「みずきちゃん、どうしたの?」
「えっ、小波先ぱ……あっ、っ、あれって、夢……? 夢!?」
「あの、大丈夫?」
「あっ、いや、違います、大丈夫です、何でもないんです! ごめんなさい! あれはその、えっと! うわあああああああ!」
「ちょ、みずきちゃん、みずきちゃん!? どこ行くの!?」
「ごめんなさいごめんなさい! わたしあんな無理矢理はしませんから!」
「……な、何がなんなんだ……?」
「小波くーん。みずきに無理やりがどうのとか聞こえたけどー?」
「いや、誤解だからね……」


* * *

夢オチ的なアレ

サクセスやってたらこの時間だよ早く寝よう

早期購入特典あおいちゃんやった…

ワイひじりんやった…

あおいちゃんスレを立てておきながらあおいちゃんを引けない>>1がいるらしい

ワイはみずきちゃんやったで
一人称が私なことに違和感を覚えるも後輩キャラのみずきちはやはりかわいいと再認識

【4月1週/小波くんの野望】

恋恋高校のカフェテリアに、倉橋綾乃の驚愕の色に満ち溢れた声がこだまする。

「や、野球部を、創部するとおっしゃいますの!?」

小波から告げられた彼の野望に対し、綾乃は驚きのあまり行儀悪く椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がってしまった。
周囲の生徒からの視線にばつが悪くなり、若干頬を赤らめながら座りなおした綾乃は、目の前で微笑を浮かべる小波に対し先の宣言の真意を問うた。

「小波様、野球部を作ると……そうおっしゃいました?」
「うん。野球部を作りたいと思ってる」

静かに頷く小波の目を見て、綾乃は彼が真剣であることを悟る。
無論、小波に恋する綾乃としては、小波のやることなすこと全てを応援したい心積もりである。
しかし、恋恋高校の現状がそれを許さないということを、小波が理解しているのか。それが心配であった。

「こんなことをわたくしが言うのは筋違いですけれど……小波様は、野球を……」
「うん、俺はもう選手は出来ないだろうね」

綾乃をトラックから庇ったが故に、小波は選手生命を絶たれる怪我に合い、野球を奪われたのだ。
小波の口から改めて聞くことで、綾乃は自分の罪深さをより強く自覚せざるを得なくなる。

「申し訳ございません……」
「待って待って、綾乃さん。……俺、綾乃さんのそんな顔は見たくないから、野球部を作りたいんだ」
「え……?」

小波の口から飛び出した言葉に、綾乃は思わず頬を抑えた。彼の言う顔とはどんな顔だろう。
嫁入り前の娘が見せられないような顔をしていたらどうしましょう、と勝手に混乱する綾乃を差し置き、小波は言葉を繋げた。

「綾乃さんは俺から野球を奪ったと思って、苦しんでるよね。でも、俺はそう思っちゃいないよ」
「それは……どういう……?」
「選手じゃなくたって野球はできるさ。監督、マネージャー、コーチ、スコアラー、野球に関わるのは何も選手だけじゃないんだ」

――どうあったって俺は野球を続けるから。だから綾乃さんは、俺から何を奪ったわけでもないんだよ。

小波の言葉が、綾乃の胸にすっと沁みていく。小波と知り合えて本当に良かったと、綾乃は心の底からそう思った。

なんで俺は友沢なんだよ
女の子がよかった…

あれ、このルートは選手じゃないんだっけ?
それともこの後にジョーブ先生が来るのかな…

>>230
友沢さん有用なコツ教えてくれるしありがたいけど……でも男だからね。仕方ないね。
風薙のが妖怪コツお化けって感じだけど

>>231
これは普通に恋恋高校(学生編)
思いつくままにやってるから時系列めちゃくちゃだけど、小波くんの経歴は下の通り

恋恋高校→カイザース→(事故後ダイジョーブ成功)→キャットハンズ
恋恋高校→カイザース→(事故後ダイジョーブ失敗)→恋恋高校(はるか・綾乃・幸子ルート)

友沢ルートでいいじゃん(いいじゃん)

ダイジョーブが出現しなかったんじゃなくて失敗したんか…事故った上に失敗って小波君もうボロボロやんけ

【道は分かたれた】

バックネット裏の特等席に腰かけていた綾乃の耳に、ウグイス嬢のコールが飛び込んできた。

『ピッチャー座子山にかわりまして、あおい』

9回裏キャットハンズの守備。中継ぎの座子山に代わりマウンドに登るのは同級生だった早川あおい。
5年前に千葉ロッテに入団し、2年前トレードによってキャットハンズへ移籍したプロ野球初の女性選手である。

ロッテ時代はそこまでの活躍を見せなかったけれど、早川あおいという投手はキャットハンズという新天地で花開いたようだ。
あおいの名がコールされた途端、外野の応援席がより一層騒がしく、賑やかになった。掲げられている横断幕も、その殆どがあおいの活躍を信じて疑わない文面だ。
そんな光景を前にして、綾乃は自分のことでないにもかかわらず、誇らしく思った。

野球部のマネージャーを務めていた高校時代、あおいとはよく揉めたものだ。
喧嘩友達のような間柄であったと思う。そんな相手が、こうして球界のアイドルになっているのだ。
少しくらい、友人であることに優越感を覚えても罰は当たるまい。

マウンドへと足を向けるあおいの背中は、高校時代よりも大きく頼もしく見える。
揺れるおさげにも変わりはない。けれど、きっとその心にはぽっかり穴が開いたままだろう。
あおいから視線を外した綾乃は、隣に座る小波の表情を盗み見る。

ひたすらに真剣な面持ちで、マウンドをじっと見つめている彼の胸にはどんな思いが去来しているのか。
プロ入りこそ果たしたものの、一度とて試合に出場することなく、夢半ばで倒れた小波が抱えているのは、どんな思いだろう。
野球への未練だとか。あおいへの未練だとか。……考えて、胸がちくりと痛んだ。

「……どうかしたの、綾乃さん」
「あっ、いえ……なんでもありませんわ……」

視線を向けられていることを悟ったのか、小波が綾乃の顔を覗き込むようにして問う。
期せずして近まる距離にどきまぎしながら、綾乃は答えをごまかした。
しかし、聡い小波のことだ。きっと自分の考えていることなどお見通しなのだろうな、とも思う。

「……まぁ、悔しいよね」

視線をマウンドに戻した小波がぽつりと呟く。やはりお見通しだったようだ。
マウンドに登ったあおいがロージンバッグを弄ぶ姿を視界に収めつつ、綾乃は小波の言葉の続きを待った。

「ハムからは矢部くんが来て、ロッテからはあおいちゃん。二人を見てると、高校時代を思い出す」

言われて、綾乃はその視線をレフトへと向けた。
丸メガネが印象的だった同級生矢部昭雄が、ぱしりとグラブを叩いて気合を入れている。
彼もまた日本ハム時代は一軍経験ゼロであったが、あおいと時を同じくしたキャットハンズへの移籍と共に、その才能を開花させた。
今やキャットハンズに欠かせないリードオフマンとして、その親しみやすいキャラクターと共に人気選手の一人となっている。

「……あの中に混じれないのは、本気で悔しいよ」

放たれた小波の声に秘められた深い悲しみに、綾乃は身を切り裂かれそうな思いを抱く。
どうして彼が野球を奪われなくてはならないのか。一度取り戻した野球を再び失った彼の心境を思うと堪らない。
もしこの世に神がいるとするならば、小波への所業はあまりに残酷に過ぎる。

「……って、俺が誘って見に来てるのにこれじゃダメだな」
「小波様……」
「ま、悔しいのはそうだけどさ。矢部君とあおいちゃんを応援したい気持ちに嘘はないよ」

そう言って笑った姿が余りにも痛々しく思えて、綾乃は小波の手を強く握りしめた。

「綾乃さん……?」
「……わたくしも、小波様のそのような顔、見たくはありません……」
「……ああ、そっか。そんな顔、してた?」

小波の問いかけに、綾乃は静かに頷いた。

つまり綾乃 はるか 幸子の3人はプロ野球選手小波とは結婚出来ないのか…
悲しいなぁ…

こらハーレムで幸せにしてあげるしかないね(ニッコリ)

あああああおいちゃん引けねえええええええ

>>237
概ねそんな感じのイメージかな?
なんかここんところあおいと綾乃が強すぎて雅ちゃんとかひじりんとかの影やばいなまじで

>こらハーレムで幸せにしてあげるしかないね(ニッコリ)

???「キャットハンズの年俸じゃ皆を養えないだろうからカイザースに来るといいよ(ニッコリ)」

申し訳ないが守ちゃんはNG

>>238
まぁ綾乃さんや幸子さんはゲームで影薄かったから多少はね?
恋々高校編はもう少しイベント増やして欲しかった…

猪狩君は球団買収時にお父さんに小波残留を頼まなかった時点でアウトなんだよなぁ…

サクセス疲れてきたからペナントで大正義横浜プレイするんじゃ

>>239
守、矢部、友沢でハーレムやね(ニッコリ)


>>240
恵まれた設定から糞みたいな出番……ひどい

>猪狩君は球団買収時にお父さんに小波残留を頼まなかった時点でアウトなんだよなぁ…

一理ある

【練習試合】


(参ったなぁ……)

三塁側のベンチから自身に投げかけられる鋭い視線に、小波はばつの悪さを感じながら肩を竦めた。
今日の恋恋高校は他校を招いての練習試合を予定していたのだが、その相手校が小波には少々予想外であった。
練習試合が催されることは知っていたが、相手校のことを訊いても「小波様の手は煩わせませんわ!」と豪語した綾乃がまったく教えてくれなかったので、小波には心の準備も何もなかったのである。

「小波さん、どうかしたんですか?」

隣のはるかが、珍しく落ち着いた様子を見せない小波を訝しむ。

「あ、いや。ちょっと相手校に知り合いがいてね……」
「知り合い……聖タチバナにですか?」

三塁側で練習試合の準備に勤しむのは聖タチバナ学園高校の野球部。
去年のドラフトでキャットハンズに1位指名された女性選手、橘みずきを擁していた気鋭の高校である。
そして、そのみずきの一学年下にもひとり女性選手が所属しているのだが、その彼女が――。

(うへぇ……)

いよいよ居心地が悪くなった小波は、目立たないよう恋恋高校のエース鈴本の陰に隠れた。

「あの、小波さん?」
「ちょっと隠れさせてくれ」
「小波さんの方が背高いんだから隠れてはないのでは……」

正論である。しかし自分を今にも射殺そうとしているのではと疑うほどキツい視線に延々晒されているのは辛い。

「タチバナに行ってたとは……知らなかったな……」

歳を食うごとに実家に戻る頻度は少なくなって、挙句大怪我からの引退、そして大学卒業である。
高校卒業後の小波は正直忙しすぎた。忙しさにかまけてほとんど連絡を取っていなかったのは事実だ。

しかし、忙しかったというは単なる言い訳か。

「逃げだよなぁ……」

ずっと自分を追いかけてくれていた少女が、満足に野球もできない自分に失望してしまうことを恐れていた。
弱い自分を、幼馴染みで妹のような存在であった彼女にだけは見てほしくなかった。見られたくなかった。
きっと、心のどこかではそんな思いが働いていて、だからこそ小波は彼女を避けていたのだろう。


――聖タチバナ学園のキャプテン、六道聖は、試合が始まるその時までずっと小波を睨み続けていた。

* * *

「本日はありがとうございました」

投手戦の様相を呈し、引き分けに終わった試合後。
恋恋高校のベンチに聖タチバナの監督と共に聖が挨拶に来た時、小波の居心地の悪さは最高潮を極めた。
丁寧にお辞儀をする聖にはるかと綾乃は頬が緩んでいるようだが、小波としてはそうもいかない。
今日これで、自分が恋恋高校にいることは聖に露見した。これからどう対応すべきか、よくよく考えねばなるまい。

「聖、いいリードだったよ」
「大輔か。お前の投球もよかったぞ」

互いの健闘を称え合う両校の主将は顔見知りのようであったが、小波の心はそんなところになかった。
自分も恋恋のコーチとして挨拶に来てくれた相手にしっかりと応えねばならない。だがしかし今まで全く連絡も取っていなかった聖相手に何を言えば。
対応策を考えるけれども、頭の中で纏まらずぐるぐると回る。


「――恋恋高校の小波さん。私に何か言うことがあるのではないか?」


そうこう小波が一人悩んでいるうち、ついにその時がやってきた。
我に返った小波の眼前には、硬い表情を崩さぬ聖が立っている。

最後に会ったのはプロ入り直前くらいだったろうか。
四年の時を経て成長した幼馴染みを見て小波は、より一層綺麗になったな、と場違いな感想を抱いた。

「……久しぶり」
「久しぶり、じゃない! 今まで何をしていたんだ!」

急に声を荒げる聖の姿に、周囲の皆が目を剥いた。
試合中の冷静な姿からは想像もつかない激昂ぶりと、その怒りの矛先が小波に向いていることがより皆の頭を混乱させる。

「事故にあったり、クビになったり……とか? いやぁ、不運だった……」
「そんなことは知っている……!」

場を和ませようと言ってみたが、やはり逆効果だったようだ。
より聖の怒りを深めた結果になり、小波は困ったように頭を掻いた。

「……ごめん」
「……どうして連絡のひとつもくれなかった? どうして私からの電話に出てくれなかった? どうしてだ……」

目を伏せ、力なく呟く聖の姿は弱弱しい。
自分が思っていた以上にこの幼馴染みを苦しませていたことに、小波はいまさらながら本当に後悔した。

「……怖かったんだよ。俺、もう野球選手じゃないから」
「……怖かった、だと?」
「聖がもう、俺を追いかけてくれなくなるような気がして……それで、かな」
「…………」

小波の告白に、聖は呆けたように目を丸くした。

視線を落とし、両手を固く握りしめる。

「……ふざけるな」

そして、聖は絞り出すように声を震わせた。

「……ふざけるな! そんなこと……あるわけないだろう……!」
「聖……」
「私が、兄さんに失望するとでも思ったのか! たかが怪我ひとつで、貴方を見放すと思ったのか!?」

それは聖の悲痛な叫びであった。
兄のように慕っていた小波が、自分をその程度の人間としか見てくれていなかったというのか。
小波を切り捨て、過去の人間として扱うような真似をする周囲の人間たちと、同列に見られたというのか。

――小波は、自分を信頼していなかったのか。

「ふざけるな……ふざけるなぁ……っ!」

小波にそんな風に思われていたということが、聖には何よりも悲しく、悔しかった。
誰よりも小波を尊敬している自負がある。なのに、当の本人はそう見てはくれなかった。

「私は……私が、そんなことを……ふざけるなよ、兄さん……」

駄々っ子のように繰り返す聖は、いつしか涙を流していた。
悔しさと、悲しさと、あらゆる負の感情がごちゃ混ぜになって、聖の心を埋め尽くしていく。

「聖、ごめん……俺……」
「謝罪などいらない……。兄さんの馬鹿……馬鹿、馬鹿め。ばか、ばかぁ……」
「聖……。本当に、ごめん……」
「にいさんの、ばか……!」

小波の胸にしがみつき、聖は自分を隠さずひたすらに涙を流した。

* * *

恋恋高校から聖の実家――西満涙寺――がある町までは車で一時間ほどの距離にある。
高校時代は実家を出て独り暮らしをしていた小波は、流れていく風景に懐かしさを覚えた。

「……」
「……」

運転席に座る小波の隣には、口を真一文字に結んだ聖が腰かけている。
「泣かせた責任は取ってくださいね」とはるかに凄まれ、聖タチバナの面々と共に帰らなかった聖を送り届けることになったのだ。
大泣きさせた手前自分が送り届けてもいいものだろうかと思ったが、はるかとしては、この二人きりの間にわだかまりを解いて来いと言いたいのだろう。

はるかの気遣いに感謝しながら、小波はハンドルを握りしめた。

「なぁ、聖……」
「……」
「……少し寄り道しようか」

聖は応えない。

「パワ堂のきんつば、好きだろ」
「…………甘味でつるつもりか」
「まぁ、うん」

否定はできない。
パワ堂のきんつばは、聖の昔からの好物だ。

「……それも良いが、寄り道はいらない。ただ、うちの寺に来い」
「はい?」
「兄さんに拒否権は認めないぞ」

そう言われては、返す言葉はなかった。
目的地は変えず、小波は西満涙寺を目指して車を走らせた。

* * *

西満涙寺は聖の生家であり、幼き日の小波も幾度となく世話になったことのある由緒正しいお寺である。
世話になったと言ってもその広い境内を素振りに利用させてもらっていただけだが、その時に寺の一人娘である聖と出会ったのが、二人の関係の始まりだ。

「今日は上がっていってもらうぞ」
「……え?」

車をコインパーキングに止め、境内に足を踏み入れた小波に聖が言った。
断れない立場にあるとはいえ、その要求には若干首を傾げざるを得ない。
なんとなくだが、要求がエスカレートしていきそうなのは気のせいだろうか。

「……兄さんに拒否権があると思うのか?」
「……いや、ない」

諦めたように両手をホールドアップすると、聖は再会してから初めてその頬を緩めた。
家に招かれるくらいで聖との仲を修復できるのならば、安いものだと思う。
心なしか嬉しそうに見える小さな背に続いて、小波は玄関をくぐる。

「久々だな、聖の家に来るの」
「ああ。四年も連絡をよこさなければそうだろうな」
「……すいません」

聖の皮肉に謝ることしかできなかったが、先ほどよりはよほどまともに話せていると言えよう。
一応進展はしているよな、と考えつつ、小波は聖に招かれるがまま居間に向かう。

「それじゃ、適当に座っていてくれ。用意をしてくる」
「えーと、聖さん? 何の用意ですかね」
「……夕食は当然食べていくよな、兄さん?」

これ、はいかイエス以外の答えは許されていないんだろうなぁ……と半ば諦めつつ、小波は控えめに頷いた。
本気で要求がエスカレートしている気がしてならない。大丈夫だろうか?

聖が用意してくれた夕食は、塩サバを中心に白米、味噌汁、漬物が並ぶザ・和食とも言うべき逸品であった。
私服の着物に着替えた聖が、どうだと言わんばかりにこちらを見つめている。
和食の調理には自信があるのだろう。出来栄えは完璧だ。

「……流石だな、聖。これだけ料理が上手けりゃいつでも嫁に行けそうだ」
「な……何を言ってるんだ兄さんは。ば、馬鹿じゃないのか?」

小波の感想に聖が頬を緩ませた。
喜ぶ要素あっただろうかと首を捻る小波は、そこで止せばいいのに余計なひと言を投下する。

「あおいちゃんのはなかなか個性的だったからね……」
「……やはり馬鹿だな兄さんは」
「え、ひどくない?」

酷いのは小波の頭の中身である。

「……まあいい、食べるぞ」
「あ、うん」

腰を下ろした聖が嘆息した理由に思い至らず、小波はまたも首を捻った。

「……いただきますだ」
「いただきます」

なんやかんやで夕食までご馳走になっているが、このままだとズルズル引っ張られそうな気がしないでもない。
素早く夕食を頂いたら、最後に聖ともう一度話してお暇しよう。

「うん、おいしいな」
「そうか……ふふ。白飯も、おかわりがあるぞ」
「ありがとう。……ところでお父さんはよかったのか?」
「うむ。父は今日帰らないからな」

へー、そうなのか。と箸を進めながら相槌を打った小波は、続くであろう聖の台詞を予想していなかった。
考えればすぐにでもわかりそうなものだが、徐々に近まっていく距離感に安心しきっていたのもある。

「というわけで兄さん、今日は泊まっていくといい」
「……!?」
「積もる話がたくさんある。……言っておくが兄さんに拒否権はないぞ」
「いや、でも」
「四年間放っておかれたんだからな、私は」

……小波が首を横に振ることは出来そうになかった。

この後滅茶苦茶…!?

セッ



「兄さん、少し遠いのではないか?」
「……遠くもなるだろ。むしろお前はどうしてそんなに落ち着いてるんだ」
「恥ずべきところなどないつもりだ」

そういう問題じゃないだろう、という小波の呟きが、立ち込める湯気の中に消えていく。
六道家の風呂は一般家庭のそれとは違い、なぜか温泉が湧き出る広い露天風呂である。
泳げさえするのではないかと思えるくらい広い六道家の露店風呂に、小波は聖と共に浸かっていた。

こんなことになろうとは本当に考えていなかった。
頭の回転が全く追いつかず、小波はただただ狼狽していた。
下手すると高校時代の地方大会決勝、9回裏ツーアウト一打勝ち越しの場面で猪狩をバッターに迎えた時よりも緊張しているのではないか。

タオルを巻いているとはいえ、薄い布をはぎ取れば一糸まとわぬ聖がすぐ側にいるわけで。
しかも聖は高校三年生である。女子高生と一緒に風呂って指導者的にアウトなんじゃないのかとか指導者じゃなくてもアウトだとかいろいろな言い訳が頭の中に流れて行った。

「それとも、兄さんは邪なことでも考えているのか?」
「まさか……」
「……別に、考えていても構わないが、な」

聖の呟きは聞かなかったことにして、小波は今日の本題に切り込んでいくことにした。
期せずして再会し、聖を泣かせてしまったことは事実である。
四年間の間、勝手な思い込みで聖を深く悲しませてしまったことも。

「聖」
「どうした、兄さん」
「俺の思い込みのせいで、聖を深く傷つけた。……本当にすまなかった」
「……そうだな、酷く悲しかったぞ。信頼されていないようで」

それについては、本当に謝ることしかできない。
トラックに轢かれただけでなく、その後何故だかより悪化した怪我が元で叶えた夢を壊されて。
言い訳にしかならないが、戦力外になった時の小波は本当に何をも考えられず、信じられない状態だったのだ。

「それで結局、再会したらこれだしな……本当に、ごめん。聖」
「……うん、もう、構わないぞ。兄さんにまた会えたんだ。それだけで、私はうれしいから」
「ひじ――りっ!?」

声のする方向に顔を向けた小波は目を剥いた。
すぐ隣に迫っていた聖が、その白く細い腕を小波の首元に絡ませ、抱き付いてくる。
タオル越しとはいえ、色々とまずい。とにかくまずい。

「おい聖、やめ……!」
「拒否権があると……思っているのか?」

耳元で熱っぽく囁く聖は、小波の知っている『妹』のような聖とは違う。

「四年分……一晩で取り戻させてもらうからな、兄さん」

耳朶を打つ蕩けるような聖の声音が、風呂の熱と共に小波の正常な思考を奪っていくように思えた。

この後滅茶苦茶セッ(ryやな……

日シリ見ながら書いてたらこんな時間やで

おう続きはやくしろよ(候)

できればノーカットで描写はよ

キャットハンズルートでも恋恋ルートでも結ばれる可能性のあるひじりんはすごい
これもどれも15の神楽坂をプレイしてしまったせいなんやな……

>>252-253
なお濡れ場は書けないもよう

あおいちゃんとはなんだったのか

【修羅場(?)】

車窓の外に見える風景が徐々に懐かしいものに変わっていくにつれ、ボクの心はどんどんと落ち込んでいくように思えた。
登校する時いつもはるかと歩いた道。野球部のランニングで走った河川敷。小波くんと休日に待ち合わせをした公園。
どこまでも輝かしかった高校時代を強く想起させる、そんな風景を見るのはとても辛い。
大事な思い出には、手を伸ばしたところで届かない。ずっと記憶の中にあって、そしていつか今よりもより遥か遠くへと消えて行ってしまうのだ。
小波くんが遠くへ行ってしまったように。
小波くんとの思い出も、遠くへ消えて行ってしまうのに。
それなのに、思い出さずにはいられない。

「……」
「あおい先輩?」

ボクが黙りこくったのを見て、隣に座っている可愛い後輩が心配そうな声音でこちらを気にした。
隣の子は橘みずき。今年キャットハンズに入団した高卒ドラ1のサウスポーで、ボクと同じ女性プロ野球選手。

今日はお互いにオフということでみずきに遊びに誘われたのだけど。
……実家に遊び用の車の送迎を頼めるってすごいね、みずき。黒服なんてボク初めて見たよ。

「ねぇみずき。わざわざ車まで用意してもらってあれだけど……どこに行くつもりなの?」
「へへーん、あおい先輩にぜひとも紹介したい人がいるんですよー」

楽しそうに笑うみずきは可愛らしい。
色々あって初めは上手くいかなかったけど、今はこうして仲良くなることが出来た。
よかった、と思う。

「紹介したい人って、恋人か何か?」
「えっ? いやだなぁ、違いますよお。……そ・れ・に、恋人だったらあおい先輩一択って決めてますからね~」
「アハハ、ありがと……」

冗談めかすみずきには悪いけれど、今のボクは話に乗ってあげられるようなテンションじゃなかった。
ちょっとだけ冷たい態度をとってしまったのを悪く感じていると、何かを察したのかみずきは黙って背もたれに体を預けた。

「そういえば先輩って、時々すごーく悲しそうな目をしますよね」
「え、そうかな?」
「カイザースの話題が流れたときとか特に、です」

よく見ている、とボクは内心でみずきの観察眼に舌を巻いた。

かつてのお荷物ぶりはどこへやら。
猪狩守、猪狩進の兄弟バッテリーに加え、気鋭の高卒遊撃手友沢亮を抱えるカイザースはセ・リーグの優勝筆頭チームだ。
そして本当だったら、その中には小波くんがいてしかるべきだったんだ。
けれど彼はカイザースにいない。

球界から彼は消えてしまった。ボクと矢部くんを置いて。
昔、大学に入ったという連絡だけは受けたけれど、それはあまりにも事務的なメールで。
あまりに簡素なメールから彼が内心に抱える闇に触れた気がして、もう同じ目線には立てないのだろうかと酷く落ち込んだのを覚えている。

あれから四年か。小波くんはいったい何をしているんだろう。
野球はやめて、社会人として生きているのかな。もう、恋人とかもできているのかもしれない。
――いやだな、考えたくないや。

ボクは頬杖を突きながら流れる景色を眺め続けた。

「はーい、ここです。ここ」
「……にしまんるい、じ?」

あれから数十分の後に到着したのは由緒正しい、という表現がよく似合う大きなお寺。
側には『西満涙寺』と書かれた石碑が立っていて、投手としては心穏やかではいられない名前だな、と感じた。

ボクに紹介したい人がいるって言ってたっけ。住職さんかな。
みずきはここで座禅でも組むつもりなんだろうか。
……あまり集中出来てないボクを正そうと思ったのか。だとすれば本当によく気が付く後輩だ。勿体ないくらいに。

ボクがそんなことを考えている間に、軽快な足取りを見せたみずきは迷うことなく本堂の脇にある平屋のインターホンを押していた。
玄関には『六道』の札がかけられている。六道、六道……。
どこかで聞いたこと、あったような。

「ひーじーりー! 遊びに来たわよー!」
「……ああ、六道聖ちゃん」

ぽん、と手を打ち思い出す。
高校時代、聖タチバナ学園のエースとして君臨していたみずきとバッテリーを組んでいたのが、何を隠そう女性捕手の六道聖。
甲子園の中継で矢部くんや座古田さんが鼻を伸ばしていたのを覚えている。「キャットハンズのことだ、指名するだろう」という佐賀さんの呟きも記憶に新しい。
そうか、みずきが紹介したいと言ったのは同じ女性野球選手の聖ちゃんだったんだ。

確かにボクは女性野球選手として先駆者の立場にある。ボクが拓いたというにはおこがましいけれど、それでも同じ道を歩こうとしてくれている後輩に会うのはボクにもいい刺激になると思う。

「……あれ、おっかしいな。いつもならすぐ出てくるんですけど」
「いないのかな?」

だとしたら、残念だな。
もう少し待ってそれでもだめなら、と言葉を続けようとしている間に、みずきはインターホンを連打していた。

「み、みずき。気安い関係だからこそ許されるのかもしれないけれどね……親しき仲にも礼儀ありと」
「あ、足音聞こえますよ、出てきます」
「……んもう」

人生の先輩としてしっかり伝えとこうと思ったんだけどなぁ。
確かに引き戸の向こうからはどたどたと足音が聞こえてきていて、ボクは件の六道聖ちゃんとの面会に心が躍るのを感じた。
最近久しく感じていなかった感覚だな。

そして、扉は開かれた。

「あー、すみません。お待たせしま、し……た……」
「え?」
「……ぁ」

――ボクは、言葉を失った。
引き戸の向こうから現れたのは、ボクが誰よりも再会を熱望してやまなかった、あの、小波くんだったのだから。

「……あ、おい、ちゃん……?」

そうだよ、小波くん。
叫びたい。けど、驚きすぎて、嬉しすぎて、ボクは口をぱくぱく動かすくらいしか出来なかった。

変わっていない。四年経っても、小波くんの雰囲気は昔と全然変わらない。
驚きながらもボクに投げかけてくれる声は相変わらず優しくて、ボクは漏れ出そうになる涙を堪えられそうになかった。

「――兄さん、客人か?」
「わ、バカ、聖、そんな恰好で外に出るな」
「ちょ、聖あんたなんて恰好してんのよ」
「……え? み、みずきか!? なー!?」

小波くんの後ろから急に出てきて、そしてドタバタと消えていったのは、白襦袢を着崩した女の子。
彼女がきっと六道聖ちゃんだろう。……さて、いつの間にか涙は引いているようだ。それよりも。

「……小波くん。久しぶり」
「あ、ああ……久しぶり」
「兄さんとか、白襦袢とか、穏やかじゃないね?」

ボクの心も穏やかじゃないけどね。四年間ボクをほったらかしで、何をやってたのかな、小波くん?

ちょっと時系列めちゃくちゃすぎんよー

これだと小波が恋恋に来てることはるかが伝えてないことになるよな……
はるか嬢が小波を独り占めのために連絡しなかった説出てきちゃいますよまずいですよこれは

事後かどうかはご想像にお任せします

事後一発妊娠満塁引退サヨナラコース!!

あおいちゃんは寿引退かなぁ

【オールスター】

年に一度の球宴、オールスターゲーム。
プロ野球ファンにとって、贔屓チームのゲームと日本シリーズを除けばこれほど興味深く楽しみなものはないだろう。
ファンが選んだドリームチームが戦う、夢のような二日間。

私はファンの一人として、このオールスターゲームの観戦にやってきていた。
そして、隣にはなんと――、

「雅ちゃん、唐揚げ買ってきたよ」
「あ、小波くん、ありがとっ」

――そう、小波くんがいる! 
二人きりで遊びに出かけるのは中学生以来だから、私の心は踊りに踊りまくっている。

「おいおい、小波ぃ、俺にはないのかよ~?」
「もちろんありますよ、座古田さん」
「おっ、やりぃ! サンキューな」

……ちょっと訂正。正確には二人きりじゃない。
私たちの後ろの席には「ある意味ミスターキャットハンズ」こと座古田さんがいる。
5月の怪我、そして7月近くまでの離脱は最早球団の風物詩。怪我をしない座古田は座古田じゃないとファンや監督にまで言われてしまう特異な先輩だ。
怪我から復帰すると毎シーズン帳尻合わせのように成績を上げるので、怪我をしないと力が出せないキャラ付けまでされているとか。
まぁ、ともかく。私、小波くん、そして座古田さんの三人は、キャットハンズの同僚も多数選出されているこのオールスターを見に来ている、というわけだ。

「しかしよ、お前も不運だったよなぁ、小波」
「なにがですか?」
「本当だったらお前は選ばれてなきゃならんだろ、オールスター」

座古田さんの指摘に、私もそうだよね、と頷いた。
リーグ1守備範囲の広いキャットハンズ外野陣の一角を担い、守護神として君臨し、打っては3番クリーンナップ。
毎度毎度のことながら、化け物のような活躍ぶりを見せる小波くんがオールスターで選出されないのはどういうことか、と言うと。

「カイザースの小波か、キャットハンズの小波かで票が真っ二つだもんな」
「いや、はは……」
「あのままカイザースに取られちゃうんじゃないかってひやひやしたよ」

そう、ついこの前までレンタル移籍制度によってカイザースの一員としてプレーしていた小波くんは、ファン投票で『キャットハンズの小波』と『カイザースの小波』とで票を大きく二分したのだ。

カイザースでの小波くんはキャットハンズと同じリリーフだけでなく、なんとまさかのセカンド起用をされた。
カイザースのショート友沢選手と堅守のセンターラインを形成し、6-4-3のダブルプレーの時とか、その流れるような守備にカイザースファンを大いに沸かせたそうだ。

ユーティリティプレイヤーという一言で片づけていいものなのか。
ただ一つ言えることは、私も小波くんとセンターラインを守りたいということだ。
セカンド小波九、ショート小山雅。カバーとか、グラブトスとか、連係プレーとか! したいな!

「まあ、久々の休養日ということで……」
「流石のスタミナお化けも無理か」
「そうですね……」
「うん、今日はお客さんとして楽しもうよ」

キャットハンズが所属するのはパ・リーグだから、同僚のみんなはオールパシフィックに選出されている。
センターは文句なしに佐賀さん。レフトは小波くんがいない間三番に起用された矢部くん。
先発にはあおいちゃん。中継ぎにみずきちゃん。キャッチャーには聖ちゃんと、キャットハンズからは5人出場だ。
一方のオールセントラルで目立つのは何より先発にカイザースの猪狩守君。キャッチャーに弟の猪狩進君、ショート友沢君。
あおいちゃんと猪狩君の投手対決は、ネットだと「小波争奪戦」と銘打たれているのだとか。どうしてそうなったのか私にはわからないけど。

「あおいちゃんと猪狩か……地方大会の再現みたいだな」
「ああ、そういやお前と早川……ついでに矢部も猪狩んとこに勝って甲子園か」
「はい。甲子園よりも印象は強いですね」
「ほーん……」

ちなみに私の母校ときめき青春高校は甲子園に出場し、小波くんたちの恋恋高校とあたって敗北している。
決着はプロでつけよう、とあおいちゃんと約束し、私は今こうしてここにいる。
小波くんとのことも、ちゃんと決着つけなくちゃね!

「なんだ、猪狩がパのベンチに向かってるぞ」
「あおいちゃんと何か話してますね? なんだと思う、小波くん」
「さあ……? 猪狩の考えることはたまにわからないからなぁ」

私たちが謎の行動をとった猪狩君を眺めていると、あおいちゃんが顔を真っ赤にして何事かを叫んでいるのが見えた。
球場の歓声に包まれて聞こえないけど、猪狩君、いったい何言ったんだろう。


* * *

「やあ早川さん」
「あ、猪狩君。高校以来の両先発だね」
「あの地方大会決勝は忘れられない。リベンジさせてもらうよ」
「うん、望むところだよ」
「それと、そろそろ決着をつけようじゃないか」
「えっ?」
「どちらが小波に相応しいかの決着をね」
「えっ、ちょ、ええっ!?」
「ハハハ、小波(のライバル)には僕が相応しいということをこの球宴で証明して見せよう」
「えっ、あの……ま、負けないよっ! 絶対、小波くんは渡さないからね!?」

「わたしも渡すつもりないんだけどなぁ……」
「右に同じく、だ」

* * *

守君は別に小波を愛してるとかそういうわけじゃないです
ライバルとして好いているだけですよ! ホントダヨ?

セカンドもやるようになって友沢ルート待ったなし

座古田さんは地味にお気に入り
なおパワフルズにはパワプロ選手と奥居選手がいてオールスターに選出されているもよう

奥井とパワプロ君もいるプロ野球界とか人気絶頂待ったなし!

猪狩兄貴迫真の宣戦

あのさぁ…

ホm…カイザースルートはよ!

ホモも女も行ける野球日本代表とかどうですかね(ゲス

>>265
猪狩世代は化け物だらけ

>>266
小波の嫁ダービーに堂々参戦か

>>267
すまんの

>>268
カイザースルートはそれはそれで熱いのかもしれない

>>269
アリやな!

【正妻の余裕】

「せーんぱいっ♪」
「ぐえっ」

ここ最近、みずきと兄さんの距離が近いことに私は地味に危機感を抱いていた。
前までは遠巻きに私やあおい先輩の攻勢を見つめているだけだったはずが、今はこうして隙あらば先輩に抱き付いてアピール攻勢をかけているのだ。
もともとあまのじゃくで小悪魔的な性格のみずきであるから、兄さんもただの気まぐれだろうと踏んであまり真剣に取り合ってはいないが……。

「……どう見る、あおい先輩」

私は隣にいる最大のライバル――と私は思っている――あおい先輩に訊いてみた。
みずきの攻勢について、あおい先輩としては何か思うところはないのだろうか。

「えっと、なにがかな?」
「……兄さんとみずきの距離についてだ。少し近すぎではないか?」

思い返すとあまり私は他人のことをとやかく言えた義理ではないのだが、それでも練習中にああもベタベタされては……むぅ。
いや、正直に言えば私も兄さんに抱きつきたいし頭は撫でてもらいたいが。

「近い、か……ボクはそう思わないけど……」
「そ、そうか……」

意外だ。
あおい先輩と兄さんは高校時代からの友人――あくまで友人だ。ここは重要である――である故、もう少し違った感想があるものと思っていた。
なんとなく拍子抜けしてしまった私は、逆に考えすぎなのだろうか。……うん、そうに違いない。

「私が気にしすぎなだけだったようだ。すまない」
「ボクはみずきよりももっと可愛がってもらってるからねー」
「……え?」

意味深なセリフを残し、鼻唄を歌いながら消えていくあおい先輩。
サイドのおさげを兄さんに弄ばれ嬉し恥ずかしな表情を見せているみずきよりもなお、可愛がってもらっている、と……?
ま、待て待て。どういうことだ。兄さんとあおい先輩はまだそんな懇ろな関係ではないはず……いや、しかし。

「ど、どういうことなんだ! 可愛がってもらってるのか!?」

結局あおい先輩の一言が気になって、その日の練習には全く身が入らなかった。
動きにキレがないことを兄さんに指摘され、その後二人きりで追加練習ができたのだけは大きな収穫である。

だが、あおい先輩……あなたの余裕は、あれか、正妻の余裕というやつなのか……!?

時間がないので1レス
あおいちゃんには正妻の余裕があると思います。

でも結局慌てて小波に甘えに行くに100ペリカ

倍プッシュで

金をちょっと積めば大谷とか山田を強奪できて草 これはアカン

>>273
あおいちゃんスレなんでね、やっぱりあおいちゃんがメインではないのかという結論にね
いつもこの結論に至ってるな(そして聖に浮気する)

【あおい、キレる】

「みんな! 今日は、なにが、なんでも、勝つよ!」

かつてないほどに目尻を吊り上げたあおいが、地の底から轟くような声を出した。
試合前、円陣を組んで気合を入れるはずだったチームメイトたちが、先発投手のその迫力ある姿に若干気圧される。

「わ、わかったでやんす……」
「ボクが一点も取らせず投げぬくから。だからみんなは、とにかく得点をもぎ取って」

有無を言わさぬあおいの宣言に、残りのチームメイトは恐る恐る頷く。
あおいがこうも激昂するにはそれなりのわけがある。

パ・リーグAクラスの常連にして、同時に球界へと参入したキャットハンズ最大のライバル球団、極亜久やんきーズ。
今日は当のやんきーズとの三連戦最終日であるが……。

「子どもを、質に入れてでも、勝つんだよ!」
「ひぃぃ……」
「どこの監督でやんすか……」
「たとえ負けても勝つってことだよ! 矢部君!」

すべての問題は、あおいの鋭い視線が注がれる三塁側のベンチにある。


「先輩がわたしの球を受けてくれるなんて嬉しいです!」
「うん、俺もみずきちゃんのクレッセントムーンを受けられるのは嬉しいよ。よろしくね」
「こ、子どもじゃないんですから、頭撫でないでくださいよ!」
「あれ、嫌だった?」
「う、それは、そのぅ……いやじゃ、ないですケド」

何故か、三塁側やんきーズのベンチには、紫と黒を基調としたやんきーズのユニフォームに身を包む小波とみずきの姿があった。
しかも、いつもはみずきが一方的に距離を詰めているだけのはずなのに、今日に至っては小波が自分からみずきといちゃいちゃしている風すらある。
昨日急に連絡が取れなくなったと思ったらこれである。なんで一昨日まで対戦していた相手チームの選手に混じっているのかいろいろ言いたいことはあるけれど、とにかく。

「あのポジションは誰にも譲れない!」
「私もひそかに狙っているのだが」
「実は私も……」

ここに、キャットハンズ内紛の火蓋が切って落とされた!

レンタル&レンタル
球界のやられチン事小波選手

モグラーズの北条監督がいますねぇ…
懐かしい

「小波くんとみずきを、よくも誑かしてくれたなっ、このぉ!」
「な、なんやこの嬢ちゃんの気迫……」

初回、小波ではなく座古田によるリードのためボール先行気味の投球になったとはいえ、リーグ有数の強打者である番堂を三振に切って落としたあおいは、続く二番三番も凡打に抑え三者凡退で一回表を終えた。
ベンチへと引き上げるあおいと入れ替わるようにして、やんきーズのユニフォームを身にまとったみずきがマウンドへ上がる。
自分がそこにいることにまるで疑問を抱いていない風なのはどうしたことか。

「……いったいどうしてしまったんだ、みずきは」

座古田がマスクを被っているため一塁手として起用されている聖が、相方の奇妙な行動に首を捻る。

「なんでもいいよ。とにかく勝って二人の目を覚まして小波君といちゃいちゃするんだ」
「うむ……いや、うむではない! 聞き捨てならんぞあおい先輩!」
「聞こえないね! さあ聖、二番打者なんだからネクストに行かなきゃ!」

聖の追及をばっさりかわし、あおいはベンチへ戻る。
座古田からドリンクを受け取ってベンチに腰を下ろすと、あおいはみずき相手にやりにくそうな矢部へと声援を送った。

「矢部君! いけー! ぶちかませー!」
「小波ぃ……橘ぁ……早く戻ってきてくれぇ……」

隣でわめくあおいの姿に涙をこぼした座古田の呟きは儚く球場の歓声にかき消されていった。

とかなんとか言ってる間にみずきのスクリューをうまく捕らえた矢部が右中間を破るツーベースヒットを放ち、バッターボックスへは二番の聖が入る。

* * *

「……兄さん、いったいみずきと一緒になにがどうなってこうなったんだ?」
「お、逆ささやき戦術か。聖、さすがだな」
「真面目に答えろ、兄さん」

混乱している様子はあまりないが、聖は敬愛する小波がいつもより少しテンションが高いように思えた。
熱に浮かされているというか、なんか、少しとらえどころがない感じだ。
……そんなことを考えていたら、いつの間にかツーストライクに追い込まれていた。

「聖、ツーストライクだよ」
「なに、ここからだ」
「そっか」

マウンド上のみずきがちら、と矢部の姿を肩越しに確認し、セットポジションから球を放った――。

「なあ聖――」
(よし、これは絶好球――)
「――やっぱり聖が一番かわいいな」

「なー!?」

「ストライクッ! バッターアウト!」

不意打ちのささやき戦術に思わず見逃し三振。
ベンチであおいが何事かを叫んでいるのが見えたが、これは勘弁願いたい。

「っ、く、不意打ちとは……」

これには雅先輩も苦労するだろうなぁ、と聖はぼんやり思った。

* * *

小波がすごいんじゃなくてバッターがチョロいんじゃ…

こんなん絶対三振しますやん…

これはキャッチャー◎ですわ

キャッチャー◎でささやき戦術持ちとかちょっと強すぎんよ~

座古田熱也にとって、小波という選手は、捕手としてのライバルであり、キャットハンズの精神的支柱であり、その球を受けることに喜びを感じる素晴らしい投手の一人である。
その小波が左バッターボックスに入り、バットを構える――ベンチから見慣れているはずのその行為が、敵に回した今はあまりに恐ろしく見えて、座古田は思わず息を漏らした。
味方にすればこれほど頼もしい男もいないが、敵に回してこれほど怖い男もそういるまい。
キャットハンズを相手取るチームの捕手は毎度こんな思いを味わっていたのだろうかと、同情の念すら抱きそうになる。
だが、過程はどうあれ今小波はキャットハンズの敵であり、最大のライバルやんきーズの四番を張っている。
ここで小波を抑えなければ、やんきーズを勢いづかせることは必至。あとあおいにぶちのめされそう。
マウンドのあおいは気迫十分気合十分、小波を三振に切って落とす気満々なのは素直に頼もしい。
が、あおいの正女房でもある小波に対し急造の自分がどこまで対抗し得るのか。

(弱気はいかんな弱気は……よっし、抑える! 勝てる、勝てるんだ!)

気合を入れなければ。ミットを叩き、座古田は臨戦態勢に入った。

(……つっても、どこに投げさせても打たれそうなのはマジでやべぇけど……)

気合を入れ直したと思った途端これである。
小波の影響力は敵チームに対するものよりも、自軍キャットハンズへ対するものの方が大きいのだ。

「……座古田さん」
「おう、なんだ小波。ささやき破りか」
「いえ……俺、なんであおいちゃんと敵同士になってるんですかね」

何を言ってるんだこいつは。
座古田は「それを聞きたいのはこっちだよ」と喉まででかかった台詞を飲み込んだ。
今のうちだ、と思い直して、あおいに外角低めギリギリのコースを要求する。

「ストライクッ!」

闘志溢れるあおいの全力ストレートが見事に決まって、まずは1ストライク。
小波はといえば、あおいを相手取っていることに対し未だ首を捻っているようだ。
……薬でも飲まされたんじゃないだろうかと座古田は本気で心配になった。

「小波ぃ、お前、なにがどうなってこうなってんだよ」
「なにがどうなってって……てか、それより座古田さん」
「どうした?」
「……なんで座古田さんがあおいちゃんの球受けてるんですか」

おや、と座古田は軽く目を見張った。
冷静沈着ながらも人あたりがよく――ついでにキャットハンズ女性陣に大人気――滅多に動揺の色などは見せない小波が、明確に不機嫌な声を漏らしたのだ。
どうやら小波は、座古田があおいの球を受けているのが気に入らないと見える。
……全ては小波がやんきーズの一員となっていることに原因があるのだが。

(待てよ……)

これは利用できるかもしれない、と思い直す。
二回表が始まる直前、ベンチで蕩けていた聖が「囁かれた」だのなんだの言っていたのを思い出したのだ。
ここは意趣返しと行こうではないか。

「……まぁ、これには深い理由があってだな」
「深い理由……」
「ストライク!」

喋りながらもコースは要求し、フロントドアの高速シンカーで簡単に2ストライクと追い込んだ。
ささやき戦術は得意ではないが、これならなんとかなりそうな気がする。

「……そうさ小波ィ! お前がいない間に、早川は奪わせてもらったぜ!」
「なっ……!?」

そして最後はあおいお得意のマリンボールで空振り三振!
またたびスタジアムが大歓声に包まれた。

――小波、お前、早川のことになると冷静さを失うな! この試合もらったぞ!

内心喝采を上げた座古田が、小波のことになるとあおいもまた冷静さを失うのに気づいたのはそのすぐ後のことだった。
似た者同士というかなんというか……なんなんだろうこいつら早く結婚しろよとは、キャットハンズ選手会長座古田熱也心の叫びである。

>>279
間違いなくバッターがチョロい

>>280
キャットハンズは小波が敵に回った瞬間一気に勢いなくなりそうだからね 仕方ないね

>>281-282
ささやき戦術(女性限定)とかなんじゃないですかねぇ(ゲス顔)

これ座古田さん、小波君帰って来たときの事考えてるんですかね…?
多分締め上げられるやろなぁ…

小波君この後炎を纏いながらあおいちゃんへの愛を叫びそう

予告ホームランぽくバットでマウンド上のあおいちゃんを指す小波とそれに見とれるあおいちゃんオネシャス!

8回裏を迎えて、キャットハンズ、やんきーズの両軍ともに、スコアボードには0が連なっていた。
やんきーズの先発みずきは甘く入ったボールを外野に運ばれ毎回ヒットを許すものの、後続をきっちり抑えて無失点。
一方キャットハンズの先発あおいは二回裏に四番小波を三振に切って落としてから圧巻の投球を見せ、やんきーズの破壊的打線から二桁の三振を奪い、かつこの回までヒットを許さない完璧なピッチングである。
しかも、小波からはなんと二打席連続三振。これには座古田のささやき戦術が大いに関係しているのだが、ともあれ。

『小波! 嫁相手だからって気ィ抜くなよ~!』
(ひでー野次だな)

この回の先頭打者は小波。
バッターボックスに小波が入るのと同時にやんきーズファンからの野次が飛ぶ。
まあ言いたい気持ちもわかるが、それよりやんきーズのファンとしてこの状況に疑問はないのだろうかと、座古田は本気で不思議に思った。
が、ファンは本気で小波をやんきーズの一員として応援し、声援を送っている。多分これがやんきーズというチームの色なのだろう。
よくよく思い返せばパワフルズの選手であるはずの奥居とかがしれっとやんきーズ打線に混じってることもあるので、今回はたまたま小波がその対象になったということか。

(……カイザースといいやんきーズといいメチャクチャやりやがる)

小波にライト、キャッチャー、クローザーを任せるキャットハンズも大概ではあるのだが。

(ま、いいや……ここで小波を抑える……。そうしなくちゃ早川にぶちのめされる)

8歳は年下の女性野球選手にガチビビりする選手会長は果たしてそれでいいのであろうか。
あおいへ外へ向かうシンカーを要求して、座古田は小波に対し効果覿面なささやき戦術の準備を始めた。

「小波、早川の事なんだが……」
「座古田さん、俺、考えてたんですけど」
「お、おう……?」

二回、五回の打席とは打って変わってはっきりと毅然とした態度を見せる小波に面食らってしまう。
幾分か持ち直したということなのであろうか。だとすれば厄介極まりない。
既にあおいは振りかぶっている。どうせボール球だから見逃してくれと願いつつ、座古田は小波の言葉の続きを待った。

「あおいちゃんが俺以外を選ぶわけないじゃないですか」
「……お、おう、そうだな」
「ボール!」

傍から見ていてもそう思うので、座古田は相槌を打つくらいしかない。
だが小波がこんなこと言ってると知って、ベンチのみずきや聖、雅はどう思うだろうなあ、と痛めなくても良いのに胃を痛めてしまった。

「というわけで迷いは晴れました。俺は全力であおいちゃんからホームランを打ちます」
「迷い晴れてんならキャットハンズに戻れよ」
「……座古田さん、タイム取ってあおいちゃんに伝えてほしいことあるんですけど」
「あ、無視なのね……つーかお前ほんと無茶苦茶言うね……」

* * *

「おい早川」
「座古田さん、急にタイムなんか取ってどうしたんですか?」
「小波からの伝言。『悪いけどここでパーフェクトピッチングは崩させてもらう』だとさ」
「へぇ……挑戦的ですね、バカ小波くんのくせに……」
「ああ、いや、続きがあってな……なんつーかなー、その、『完全試合は俺とバッテリー組む時までとっといてくれ』って」
「……そ、そうですか」
「律儀に伝えに行く俺がアホだったなこれ……」

* * *

座古田さんは被害者、はっきりわかんだね

完全に夫婦やんけ
そして座古田さんの扱いに泣く
多分某スレでは矢部と争ってるんやろなぁ…

>>285
雨降って地固まる的なあれで余計小波とあおいちゃんが仲良くなるだけですかね

>>286
リーグ優勝決めた後とかにお姫様抱っこくらいはしそう

>>287
おっしゃ、考えとくで~

>>290
たしかに……

今日でスレ立ててちょうどひと月か……小波ニー最高や!

『某スレ嫁ダービー寸評』

・座古田熱也
小波入団当初からキャットハンズの要としてチームを支えていた春先怪我男。現選手会長。
交流戦ではたいてい姿を消していることから、セ・リーグファンには幻の男呼ばわりされている。
小波の初勝利や初セーブ試合で女房役だったため、小波レジェンドの始まりを見届けた男としてスレ内人気が高い。
プライベートでも一緒にオールスター観戦に行っていたりと仲が良好なことからやっぱり強い。

・矢部明雄
キャットハンズのリードオフマン。
恋恋高校のチームメイトとして甲子園出場を成し遂げ、再びキャットハンズでチームメイトになるという漫画のような流れが受けに受けて嫁候補筆頭。
(あおいも全く同じ立場なのだがノンケ以外の目には映らないようだ)
休日によく遊んでいるという証言もあり、かつ小波がカイザースへ一時移籍した際その定位置である三番打者へ抜擢されたことなどから総合的に最強という見方をされる。

・猪狩守
スレの影なる主役。
レンタル移籍制度導入は小波が欲しいがための猪狩守の我侭という珍説まで立てられる始末。
猪狩が先発の対阪神戦でカイザース打線が井川の前に沈黙する中ひとり気を吐き猪狩に勝ち星をつけた小波の働き振りはスレを熱狂の渦に巻き込んだ。

・六道聖
キャットハンズ五月の華。座古田がマスクを被る時は一塁を守っている。
何よりも全国中継で流れた頭撫でシーンの印象が強烈であり、スレ内のノンケからはかなりの人気を誇る。
実は幼馴染だったという事実や「兄さん」呼びがヒロインにて発覚したこともあり、矢部、座古田、猪狩等の強敵に続く立ち位置を獲得している。

・早川あおい
スレで彼女の名前を出すと空気が読めない扱いをされる。
六道は許されてなぜ早川は許されないのか。

早速ネタにされてて草
そしてこの世界で井川が好投してるのが泣ける

そら(ホモが盛り上がるスレで小波君のリアル嫁候補の名前出)そう(ものなら空気読めない扱いされる)よ

聖とあおいちゃん以外の女性陣が全く話題に出て無くて草
今後小波君と女性陣のイベントどんどん起こってスレが盛り上がっていく流れになるんやろうなぁ

そら(某実況板でホモ以外の者の名前出したら)そう(総すかん食らう)よ

>>293
世界観はパワプロ10まんま
対ホークスだったか対近鉄で対左打者2の地獄を見る

>>294
みずきも雅も薄すぎるよなぁ……反省

>>295
六道は許される風潮……

>>296
井川が最高に打ちづらいのは12だよな
黒田も井川と同じでリリース○の影響ですげえ打ちづらかった

【プレイングマネージャールート】

少し自惚れじみたことを言うけれど、私が球界を引退したのと時を同じくして、プロ野球人気は落ち込んできたように思う。
猪狩進くんや、やんきーズの番堂さんのメジャー行きが重なっていたのもあるから、私の引退だけが全てというわけじゃないけれど。
それでも、小波くんと一緒にキャットハンズでプレーしていたあの頃に比べれば、確かにプロ野球への熱狂は鳴りを潜めつつあった。

「……やっぱり、小波くんが怪我したのが大きいのかな」

私と一緒にプレーした最終年、小波くんはキャットハンズを日本一に導いて、かつ三冠王のタイトルを獲得した。
でも、ミスターキャットハンズだけじゃなく球界を代表する名選手としてより一層の活躍を期待された小波くんは、その年のオフに『また』トラックに轢かれたのだ。
これで人生三度目だねと小波くんはあっけらかんと笑っていたけれど、ここまで来ると偶然とは思えない。

結局、小波くんはその翌年に惜しまれながら引退。
同じく怪我から復帰した猪狩くんの例もあったからきっと、とは思ったけれど、そう上手くはいかなかった。
しかも「過去二回の例を見るに、アテがあるんだよね」とかなんとか言い残してどこかへ行ってしまうし。

「小波くんのバカ。ボクも連れてってくれればいいのにさ」

ボク、もうアラサーに片足つっこみかけてるんだよ?
……なんだか久々に自分のことをボクなんて呼んだ気がする。

「あ……もうすぐナイターじゃない。見なきゃ」

ちら、と壁にかかった時計を見ると、もうすぐキャットハンズのナイター中継が始まる時間帯になっていた。
はるかや綾乃たちと一緒に恋恋高校で後進の育成に努めるようになった今も、キャットハンズの中継は欠かさず見ている。
やっぱり愛着があるし、なにより大事なチームメイトたちとの繋がりをまだ保っていられるような気がするし。

ボク――じゃない、私と小波くんが引退したあと、キャットハンズの顔ぶれは若干変わってきた。
佐賀さんはポスティングで海外に行ったし、座古田さんはスタメンマスクを完全に聖に譲った。
もともと打てる捕手だった座古田さんは代打の切り札的存在として、変わらずキャットハンズにとって頼もしい人だ。

雅ちゃんもスタメンからは外れることが多くなってきて、最近は守備固めに使われている。
守備で稼げる選手だから、まだまだキャットハンズには必要な人材だ。いずれ守備走塁コーチも兼任するんじゃないかな。

みずきと聖は相変わらず息のあったキャットハンズのゴールデンバッテリー。
先発に転向したみずきは、魔球クレッセントムーンと、ボクの伝授したマリンボール、そして小波くんお得意の高速スライダーを駆使するリーグ有数のスーパーエースになった。
髪をお下げに変えたみずきは大人びたなぁ。

聖は座古田さんから譲り受けたスタメンマスクを被り、キャットハンズ投手陣を支える名女房。
昨シーズンは首位打者争いの一角に食い込んでいたから、今年に期待だね。

矢部くんは佐賀さんの穴を埋めるようにセンターに転向、キャットハンズの核弾頭として君臨している。
三試合連続で初回先頭打者ホームランを出したりして、より一層頼れる一番打者といった体だ。

でも、やっぱり色々様変わりしちゃったから、強豪キャットハンズの面影は薄れつつある。

「……さみしいな」

仕方がないことだけどね。
中継に映し出される懐かしいみんなの姿を見て、ボクはどうしようもなく彼らが恋しくなった。

その時、テレビの上段にテロップが流れた。
それは新しい時代の幕開けにして、小波くんの新しい戦いのはじまりだったわけなんだけど……。

『プロ野球界に新球団参入。新球団は津々家バルカンズとシャイニングバスターズの2球団』
『シャイニングバスターズの監督には、選手兼任監督として元キャットハンズ小波九選手が就任』


キャットハンズのみんなには悪いけれど、ボクはナイターそっちのけで携帯電話をひっつかみ小波くんの電話番号をコールした。

トラック×の貫禄は伊達ではない
まあキャットハンズルートの先にはこういうルートもあるんじゃないかなーという妄想程度で。
お下げ先輩みずきの可愛さはガチ

なお小波くんのアテとは加藤先生ひいては裏に控えるダイジョーブ博士のもよう
メス入れられまくってますねぇ

>>297
サークルチェンジの変化量ヤバかった

>メス入れられまくってる
館山かな?

色んなルートがありますねぇ…

【ヒロイン2】

9回裏同点の場面から連打でサヨナラ勝利をもぎ取った私と兄さんは、今日のヒーローとしてヒーローインタビューに呼ばれていた。
私と兄さんは二番三番と打順がつながるため、いつかはと心の中で期待していたのだが、どうやら今日がその日らしい。
嬉しさのあまり漏れ出そうになる笑みを抑えつつ、私は兄さんと共にお立ち台に登る。
焚かれるフラッシュと、全方位から私たちを包み込むかのような歓声。まだまだこういう雰囲気には慣れないが、気分はすこぶる良い。

「放送席、放送席、本日のヒーローは今日3打点かつサヨナラのランナーになった六道選手と、サヨナラヒットを放った小波選手です」

二人並んでお立ち台に立ったあと、アナウンサーがそう言ってからインタビューが始まった。
ヒーローインタビューに呼ばれることが数多い兄さんはその受け答えもハッキリしていて、かつ場を盛り上げることも忘れない完璧な対応を見せている。
しかし隣にいる私はそう上手くできそうにない。場慣れしていないというのもあるし、何よりすぐ傍の兄さんに見られながらインタビューに答えるというのが難しいというものだ。

「――六道選手、今日はチーム得点の半分以上を一人で叩き出す大活躍でしたね!」

そうこうしているうちに、インタビューは私の番になっていた。目の前に突き出されるマイクに若干気圧される。

「……昨日はノーヒットでしたから、今日は上手くいってよかったです」

昨日は散々だったので、今日は活躍できてよかった。心の底からそう思う。

「何か気をつけたことなどあるのでしょうか?」
「昔から調子が悪い時は兄さんからアドバイスを仰いでいます」

言って、私は隣の兄さんを仰ぎ見た。
かく言う兄さんはバツの悪そうな顔で苦笑いを浮かべているが……どうかしたのか?

「に、兄さん……ですか?」
「む……? 兄さんは兄さんで……あ」

はたと気づく。
ついいつものノリで、公共の電波に乗せて「兄さん」呼びを……!
慌てるも時はすでに遅し。アナウンサーの興味は私の「兄さん」呼びとその視線の先にいる兄さんに向いていた。

「六道選手は小波選手を兄さんと呼んでいるんですか? お兄ちゃんじゃなくて?」

若干興奮したように食いついてくるアナウンサーはなんなんだいったい。
私が上手く受け答えできずにおろおろしていると、見かねた兄さんが助け舟を出してくれた。

「はは、僕と聖はいわゆる幼馴染というやつなんですよ。昔から兄さんと呼ばれています」
「なるほど……!」
「聖はいつまで経っても可愛い妹みたいなものですね」

ぽん、と私の頭に手を置く兄さん。
嬉しくもあるが、少し複雑だ……。

「兄さん。私は妹に収まるつもりはないぞ」
「や、そりゃもともと聖は妹じゃないし……」

すっとぼけたことを抜かす兄さんに比して、アナウンサーの方は私の言葉の意図を読み取ったらしい。
しきりにベンチのあおい先輩に視線をやる姿に少し噴き出してしまった。

……まぁ、今はまだこの立場でも構わない。

>>300
ダイジョーブ博士には貴重なサンプルとしてマークされているであろうことは間違いない

どうも思いつかんので今日の投下は無しで

個人的にサクセスといえば試合曲ってイメージだけれど、
2010日本シリーズや2011甲子園決勝とかを聞いてると試合風のSSにしたくなる

試合を文章にするって難しいよな
俺も書いてみたいけど試合書ける気がしないわ
一色さん、そらいろな書いてくれよなぁ…

10決や2010みたいにプロ野球編の試合BGMって結構好き

>>304
数こなすほかはないんだろうなあ……

若草野球部好きやった
新作書いてるのかと思ったら止まってるのね……残念

高校野球編もいいけどプロが相手だとやっぱり燃えるんだよね

【あおい、相談する】

「矢部君、ちょっと付き合って」
「え、オイラでやんすか? 小波くんじゃなくて」
「ううん、矢部君に用事」

練習後、着替えを終えて更衣室から出てきた矢部を待ち構えていたのは、やけに不機嫌そうなあおいであった。
しかも矢部を直々のご指名と来ている。
あおいのことなので自分ではなく小波に用があるのではと勘ぐった矢部であったが、その予想は簡単に裏切られた。

「さ、行こう矢部君。色々と相談があるんだ」

正直言うと、厄介ごとの匂いしかしない。
あおいが小波にベタ惚れなのは矢部も重々承知のことだし、何より小波も女性陣の中ではおそらくあおいを特別視している。
二人で完成しきっている人間関係の中に、いくら高校時代の親友とはいえずけずけ入り込むべきではないと、矢部の直感が警鐘を鳴らしていた。
それに、今日は家に直行して昨晩地上波初放送だった「ガンダーロボUC」の録画をじっくり眺めようと思っていたのだ。

「あの……相談って、小波くんじゃダメなんでやんすか? オイラちょっと用事が……」
「その小波くんのことで相談があるの。矢部君にしか相談できないからさ」
「う……そうしおらしい姿を見せられると弱るでやんす……」

常に勝気なあおいに伏し目がちに語られると弱くなるのは男の性か。
力になってあげたいと思わせるのは才能であろう。

「……じゃあ、相談に乗るでやんすよ……」
「うん、ありがとう矢部君!」
「ど、どういたしましてでやんす」

ぱあっと顔を輝かせるあおいの顔はあまりにも可愛らしくて、矢部はつい一線を超えそうになる自分を制した。

――オイラ、落ち着くでやんす! あおいちゃんに手を出した瞬間に小波くんに殺されるでやんすよ!


* * *

「あれ、小波先輩。女子更衣室の近くまで来てどーしたんですか?」
「覗きは感心しないぞ、兄さん」

追加の練習を終え、女子更衣室近くまで足を運んでいた小波に同じく着替えを終えたみずきと聖が声をかけた。

「いや、覗きじゃないからね」

最近食事を共にすることも少なかったので、今日は久しぶりにあおいと矢部を誘って恋恋同期で夕食でもと考えていたのだ。
しかし矢部の気配もあおいの気配もなく、携帯にも連絡がつかないのでこうして更衣室付近までやってきた次第である。

「それより、あおいちゃんいないかな?」

小波の言葉に、みずきと聖の二人はむっとした顔を見せる。

「それより、かぁ……」
「まったく。……兄さん、夕餉に付き合ってもらうぞ」
「え、いや俺はあおいちゃんと矢部君に」
「その二人ならさっき二人きりで帰りましたよーだ」
「え。み、みずきちゃんそれ詳しく……」
「はい、いいから行くぞ兄さん」

みずきと聖に両脇を抱えられ、問いかけ虚しく小波はずるずると引きずられていった。

もう1ヶ月経つのか…

駄目みたいですね……

悲しいなぁ……

落ちる前に…

http://i.imgur.com/drOsuve.jpg
http://i.imgur.com/j7zdSxE.jpg

下手くそですまんな。なんもかんも野球仙人が悪いんや

ガラスのハートワロタ

すまん……すまんなの……
12月中には投下するから許してください!
なんでもしますから!

ん?

いま

なんでも

するって

言ったよね?

キャットハンズなら忘れてはいけないイベントが・・・(ry

パワプロ9しかやって無いけどいちゃラブいいねえ

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