アロワナ…それは漢の魚 (16)
シルバーアロワナ「…ふ」
シルバーアロワナ「…ふはは」
シルバーアロワナ「…ふはははは!」
ブラックアロワナ「お…おう…どしたいきなり…」
シルバーアロワナ「…どしたいきなりって…お前はもうちょっと嬉しそうな顔しろよ!」
シルバーアロワナ「今までアジアの影に隠れてた俺たちが、ようやく…
ようやく目を向けられてきてるんだぞ!」
ブラックアロワナ「ん…まぁ、そうかもなぁ」
シルバーアロワナ「昔はつらかった…なんせ俺達って安いだろ?」
ブラックアロワナ「アジアアロワナにくらべりゃあなぁ…」
シルバーアロワナ「だからよ…扱いが雑というか…2mもない水槽でよ…高さもクッソ
低いところにぶちこんで、餌も金魚ばかり…俺たちは浮いてる昆虫が
嗜好的で至高だっつうのによ!」
ブラックアロワナ「まぁ、辛かったわ…」
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シルバーアロワナ「そんな扱いばっかりだからブッサイクになるんだよ!目だって
飛び出しちまうっつうんだよ!」
ブラックアロワナ「そうだよなぁ…あんな魚ばっかりの食生活じゃ目も飛び出すわ」
シルバーアロワナ「けど俺なんかまだマシだったな…悪いなブラック…お前の方が
小さい頃は虚弱体質だもんなぁ…」
ブラックアロワナ「まぁな…タンクカーストも低めだしな」
※タンクカースト(水槽内序列・階級 実際こんな言葉はない)
ブラックアロワナ「けどまぁおっきくなれば俺のかっこよさはなかなかよ」
シルバーアロワナ「お前のヒレは青みが濃いからな…確かにそれは一目置くわ」
シルバーアロワナ「だが、スタイルは俺のがイケてる!」
ブラックアロワナ「まぁガッチリしてるしな」
ブラックアロワナ「けど、お前の良さを引き出せる人って一握りだぜ」
シルバーアロワナ「…ほんとだよなぁ」
シルバーアロワナ「けど最近増えてるらしいぜ!俺達を仕上げることに重きを置く
物好きが!」
ブラックアロワナ(物好き言うなよ…)
シルバーアロワナ「この調子で増えてくれればいずれはにっくきアジアを…)
アジアアロワナ「ふ…小物が一生懸命に吠えてやがる」
シルバーアロワナ「あ!噂をすれば貴様!」
ブラックアロワナ「おぉ紅尾じゃんひさぶ」
アジアアロワナ(紅尾金龍・以下紅尾)「よぉブラックにシルバー…久しぶりだな」
紅尾「にしてもさっきお前ら…目を向けてもらえたとかなんとか騒いでたな」
シルバーアロワナ「だったらなんだってんだよ!」
紅尾「…ふ、お前らが目を向けてもらえたとか言ってもよww」
紅尾「俺達アジアと比べようとか月とスッポンじゃねぇかwww」
シルバーアロワナ「…なんだと!」
紅尾「…こないだのフィッシュマガジンのアロワナ特集…お前たち載ってなかったぞ www」
シルバーアロワナ「…ぐぬぬ…」
紅尾「結局アロワナっていったらよぉ…俺達アジアが代表なんだよ」
紅尾「お前たち大衆魚は後先考えないサラリーマンに買われて、飼いきれな くなって、また出戻りさせられるのがお似合いなんだよwww」
シルバーアロワナ「テメーコノヤロー言わせておけば…」
ブラックアロワナ「…」
紅尾「まぁ運がよければずっと飼って貰えるかもな、120くらいのちいせぇ
水槽でな!ハハハハwwww」
シルバーアロワナ「くっそぉ…ちくしょう!」
ブラックアロワナ「…」
ブラックアロワナ「あのよぉ紅尾…」
そうです!ホンソメもラーテルも書いたよwww
紅尾「あ?なんだよブラック」
ブラックアロワナ「なんかさっきからアジアが代表とかなんやらってお前が偉そうに言っ てるけどさ」
ブラックアロワナ「…アジアアロワナとしてじゃなく、紅尾金龍としてのお前ってさ」
ブラックアロワナ「正直下火だよな」
紅尾「…な!?」
ブラックアロワナ「お前この間3万くれぇで売られてたじゃんセール品で」
紅尾「っテメェ!」
シルバーアロワナ「え?…まじ?…wwwww」
シルバーアロワナ「おいおい紅尾さーんwwwwアジアアロワナとしてその値段は恥ずかし くっすかwwww」
紅尾「うるせぇ!だっ…だまれ!」
ブラックアロワナ「しかもお前だけじゃねぇよ…過背さんも青龍も今結構リーズナブル じゃねぇか」
紅尾「だまれだまれ!俺達はなぁ…確かに下火だよ…」
紅尾「だけど…だけどなぁ!俺達がどんなに下火でもなぁ!」
紅尾「お前らより価値が下回ることはねぇ!」
ブラックアロワナ「…お前の言う価値ってなに?」
紅尾「そっ…そりゃあ…」
紅尾「分かりやすく言うなら…希少性とか、値段とかだよ!」
ブラックアロワナ「…へぇ、値段ねぇ…」
紅尾「そっそうさ!」
ブラックアロワナ「これ見てみ?」つPC
紅尾「あ!?なんだってんだ…」
A級シルバーアロワナ 98000円 SOLD OUT
紅尾「な…なんだと…」
ブラックアロワナ「まぁ確かによ…お前たちアジアは勢いあるよ」
ブラックアロワナ「特にスタイルバッファローやウルティマレッド、ジョホールゴールデ ンは俺達も希少性で言えば叶わねぇ…あいつらはカッコいいよ」
紅尾「…」
ブラックアロワナ「だけどよぉ…希少性と価値ってイコールじゃねぇだろ」
ブラックアロワナ「確かに値段とかさ、希少性も価値のひとつではあるよ」
ブラックアロワナ「けど重要なのはさ…どんだけ大切にされるかってのがキモなんじゃ
ねぇかな?」
紅尾「…」
ブラックアロワナ「このA級シルバーアロワナってやつさ…4mくらいの水槽で
エサとか水質とか入念に愛情込めて世話された賜物なんだよ」
ブラックアロワナ「そして長い年月をかけてようやくA級としての判を押されて
いくんだぜ?」
シルバーアロワナ「うおぉ…俺が…10万!?」
ブラックアロワナ「かたやお前たち紅尾とかはさ…空前のアロワナブームのときに
増やされに増やされて、結局今じゃセール品じゃん」
紅尾「…う!うるせぇ!俺がダメでもな!さっき上がったスタイルバッファローさん達が
いるじゃねぇか!」
ブラックアロワナ「…お前はそのスタイルバッファローやウルティマレッドとかには
なれないんだぜ?一生お前は紅尾なんだよ」
紅尾「なっ!?」
ブラックアロワナ「…もうわかったろ?紅尾や過背なんかの肩書きの時代はもう終わりを
迎えようとしてるんだぞ?」
ブラックアロワナ「これから俺達アロワナが迎える時代はな…希少性じゃない」
ブラックアロワナ「どれだけ大切に扱われるか…これにかかってるんだぜ?」
シルバーアロワナ(俺の出番なくね?ほとんどブラック話してるじゃん)
ブラックアロワナ「俺達アロワナはよ…買い方ひとつで姿が大きくかわっちまう」
ブラックアロワナ「だからこそ…長い年月をかけてもらってその価値が決まる魚
なんだと思うんだよ」
紅尾「…っく…」
ブラックアロワナ「そりゃ希少性や肩書きで買ってく人間はいるよ」
ブラックアロワナ「好きで買うならいいさ、きっと大切に扱われて極上のアロワナに
なれるだろうさ」
ブラックアロワナ「けど…ウン万円の魚飼ってますーって、ファッションやステイタス感 覚で買う人もいるんだ」
ブラックアロワナ「けど、所詮はファッション…飽きられたらその先に芽はないぜ?」
ブラックアロワナ「特に俺達アクアリウムは面倒だからな、そうなるともう絶望的だ」
ブラックアロワナ「しかも俺達はそこそこ頑丈なんだぜ?だから死のうにも[ピーーー]ず生き続 けるんだぜ?その絶望的な中で」
ブラックアロワナ「そんな状態に置かれたアジアアロワナに、人間は価値を見いだすと思うか?」
紅尾「…うるせぇ!」
紅尾「…そんなのは、わかってんだよ…」
紅尾「…所詮俺達低級アジアアロワナはなぁ…下を見て安心するしかねぇんだよ!」
ブラックアロワナ「お前もバカだな…」
ブラックアロワナ「お前こそでかくなってこそのアロワナじゃん」
ブラックアロワナ「そんなお前が下見て安心したいなんて言うんじゃねぇよ」
ブラックアロワナ「お前はもっと上を目指せる魚じゃねぇか!なんだよ金色の体に
赤いヒレって!超かっこいいじゃねぇかよ!」
紅尾「ブラック…」
ブラックアロワナ「…だからよ、もっと自信もてって!いつかお前のことを仕上げてくれ る飼い主が現れるさ!」
紅尾「…そうだよな!俺ならもっと輝けるよな!」
ーーーカランカラーン(イラッシャイマセー)
ブラックアロワナ「…ほら…お客さんだぜ…もしかしたらお前かもしれないぞ?」
紅尾「…おっおう!」
紅尾「…ブラック…シルバー…」
紅尾「さっきはその…すまなかったな…見下すようなこと言ってよ…」
ブラックアロワナ「なぁに…きにすんな」
シルバーアロワナ(俺ほとんど蚊帳の外だったな…)「あぁ!そうだよ!」
俺「すみませーん!この魚ください!」
ブラックアロワナ「おい!アロワナコーナーでなんか買い求めるようだぞ!」
シルバーアロワナ「まじか!おれか!?おれだよな!?」
紅尾「いや…もしかしたら俺かも知れねぇ!」
店員「この魚でよろしいですか?」
俺「はい!アロワナのなかで一番好きなんですよ!ガチムチでカッコいいしアグレッシブ
じゃないですか!」
ノーザンバラムンディ「じゃあなお前らお先にー♪」
ブラックアロワナ「…な?」
ブラックアロワナ「…言った通りだったろ?」
ブラックアロワナ「…希少性じゃねぇんだよ」
シルバーアロワナ「…だな」
紅尾「…」
おわり
一番好きなんですよノーザンバラムンディ
乙
アロワナは夢がある
さ、参考画像…
画像のはりかたがわからない…だと…?
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