やよい「オセロで真剣勝負です!」 (266)
※アイマス×オセロSS
※オリジナル世界観注意
※設定諸々の崩壊注意
※書き溜め完結済みです
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1411745330
※オセロAAの表示テストです
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何これは(困惑
※どうやらブラウザや携帯ごとに“スペース”のサイズが細かく異なっているようです。
※ちょうどぴったりジャストになってくれるファイアフォックスを想定環境として、書き進めていきたいと思います。
―――765プロ事務所・社長室―――
高木「……こんなことになってしまって、本当にすまない……」
P「……いえ……悪いのは社長ではないじゃありませんか」
高木「黒井のやつも、なりふり構わなくなってきたということだね……」
P「勝算は、どれくらいなんですか……?」
高木「……今回はヤツが“黒”なんだ。厳しい……戦いになるだろう……」
P「そう、ですか……」
高木「もちろん最善を尽くすつもりではあるッ……! ……が、しかし……」
P「ええ、わかっています。……最悪の場合も考えて、覚悟は決めておきます」
高木「……すまない……本当に、すまない……」
P「……失礼します」ペコッ
―――765プロ事務所―――
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春香「え、うっそぉ!? なんでこうなったの!? 隅全部取ったのに、隅以外全部取られちゃったッ!?」
ガチャッ
P「…………」チラッ
やよい「うっうー! また勝ちましたぁ!」ピョコン
春香「さ、三連敗……とほほ」ガクッ
亜美「あははっ! はるるん弱々ですな→」
真美「これは着ぐるみ剥がされちゃいますな→」
律子「それを言うなら“身ぐるみ剥がされる”でしょ?」
デュエル脳ならぬオセロ脳の世界か、期待
P「……オセロ……やってるのか」
春香「あ、プロデューサーさん! 最近のオセロってすごいですね! 挟んだら勝手に色が変わるんですよ!」
亜美「はるるんは むしろ、いっぽ→てきに挟まれてたけどね→」
真美「ぼろくそに負かされまくってるよね→」
春香「うぅ……やよいが強すぎるんだよぉ……」ガクッ
やよい「えへへっ、いつも家族とやってますから!」
P「……そうか。じゃあきっと、うちのアイドルの中で一番オセロが強いのは、やよいってことになるのかな」
亜美「アイドルだけじゃなくって、兄ちゃんとか社長も勝てないかもしれないYO!」
真美「やよいっちの強さは、末期左折のごとくですからなぁ」ウンウン
律子「アイドルに悪鬼羅刹とか言わないの。……だけど確かに、それくらいやよいは強いと思いますね」
P「じゃあ、俺とも一局打ってもらえないか?」
やよい「ええっ!? プロデューサーとですか!?」
P「ああ、本気で戦ってほしい。なんなら、なにか賭けたっていいぞ」
亜美「じゃあマネーっしょ!」
真美「ばばーんと、100万円!」
律子「こら、お金を賭けるなんて法律違反よ!」
P「ああ、いいぞ」
亜美「え?」
真美「え?」
律子「……はい? プ、プロデューサー殿?」
P「俺が負けたら、やよいに100万……いや、『1000万円』払う。いま誓約書を書くから待っててくれ」サラサラ
春香「いッ……!?」
亜美真美「「イッセンマン!?」」
やよい「い、いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅーまん、ひゃくまん、せんまん……ヴぇえっ!?」
律子「ちょっ、ちょ、なに言ってるんですか!?」
やよい「プ、プロデューサー……?」オロオロ
P「よし書けた。いや、“賭けた”だな。『1000万円』だ」ペラッ
律子「は、判子とサインまで……」
P「ただしこっちが1000万円賭けたんだ。やよいにもなにか賭けてもらうぞ」
やよい「……えっ?」
P「そうだな。やよいが負けたら、今日一日、俺の言うことにすべて従ってもらう。『すべて』だ」
春香「な、なに言ってるんですか、プロデューサーさん! やめましょうよ、こんなの!」
P「春香」
春香「っ、は、はいっ?」
P「亜美。真美。律子」
亜美「え、なに?」
真美「兄ちゃん……?」
律子「……」
P「俺は『真剣』だ。冗談でこんなことはしない」
P「アイドルのために、事務所のために……今日までも、今日からも……もちろん今日も」
P「やよい。このオセロ……『ぜったい負けるな』……いいな?」
やよい「うっ、あ、えっと……」ビクビク
P「それじゃあ、始めようか。石を並べよう」カチャカチャ
やよい「は、はい……」パチッ、パチッ
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P「やよい、違う」
やよい「えっ!?」ビクッ
P「石の初期配置は、こうだ」パチッ、パチッ
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亜美「そ、そんなのどっちでもおんなじなんじゃ……」
P「そうだな。食事の『いただきます』とか『テーブルマナー』みたいなものだ」
律子「……プロデューサー殿?」
P「一般的に、オセロは後攻有利と言われている……」スッ
パチンッ
P「だから今回は俺が『黒』で……やよいが『白』だ」
やよい「……っ」スッ
P「あらためて、もう一度言うが……」
やよい「!?」ビクッ
P「この一局に、『1000万円』がかかってる。そして俺が勝ったら、俺はやよいに『1000万円に匹敵する命令』をするだろう」
やよい「……うっ、は、はい……」
P「絶対に、負けるなよ。オセロの『1手目』には意味なんてないが、『2手目』で勝負が決まることもあるぞ」
やよい「うぅ……」プルプル
パチ…
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P「……“ななめ取り”か」
真美「な、なにそれ?」
律子「……文字通り、『2手目』で相手の石をななめに取ることよ。縦に取ったら“縦取り”で……」
【縦取り】
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律子「横に並べるように取ったら“並び取り”というの」
【並び取り】
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亜美「それって、なにか違うの?」
律子「ここからいろんな『定石』に発展していくんだけど、この『2手目』によって展開が大きく違ってくるわ」
P「さすが律子、この前渡したオセロ教本はもう読んでたか」
律子「どうしてあんな本を渡されたのかはわかりませんけど、まぁ、一応……」
P「ちなみに“並び取り”は黒有利とされていて、打たれることはほぼ無いな」スッ
パチンッ
やよい「……」スッ
パチンッ
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P「………………。」
春香「プロデューサーさん、考え込んじゃった……」
亜美「まだ5手目なのにね」
律子「この『5手目』をどう打つかで、急戦型か持久戦型か、はたまた混戦型かが決まるのよ」
真美「え、オセロってそういうゲームだったっけ……!?」;
P「……」スッ
パチンッ
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律子「“牛定石”……! どうやらプロデューサー殿は、じっくりやよいの出方を窺うみたいね」ゴクリ…
P「さあ来い、やよい」
やよい「……っ」スッ
パチ…
パチッ
パチン
パチンッ
パチ
P「……意識的にしろ……無意識的にしろ。“開放度”の概念は理解しているみたいだな」
やよい「……?」
亜美「ヘイ律っちゃん!」
真美「解説よろ→」
律子「……ひっくり返そうとしている先の石が、どれだけ周囲を囲まれているかの度合いのことを、“開放度”と言うのよ」
P「当然、開放度は少ない方がいいに決まっている」
春香(だめだ、ぜんぜんついていけないよぉ……こんなだから3連敗するのかな);
パチッ
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律子「“開放度3”の“中割り”……!」
P「ここまでは素人だって打てる。戦況がややこしくなってくるのはここからだぞ……やよい」
やよい「っ」スッ
パチッ
パチンッ
パチ
パチッ
まるで意味が分からんぞ!(AA略
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P「……ほう、e7か」
やよい「えっ」ビクッ
P「いや、悪い手じゃないんだがな……」スッ
パチッ
パチン
バチッ
パチ…
パチッ
やよい「……っ!!」
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亜美「おおー、なんだかやよいっちが兄ちゃんを端っこに追い詰めてるカンジ?」
真美「いやいや兄ちゃんも負けておりませんぞ? 一進一退のコーボーですな→」
やよい「……ううっ」;
春香「なんか、やよいの顔色が悪くないですか……?」
律子「やよいが押され始めてるのよ。まだ表面張力でギリギリ均衡は保たれてるって感じだけど……このままじゃ、マズイわ」
春香「ええっ!?」
やよい「っ」ヒュッ
バチンッ
P「ほう……h5か」
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P「臆せず潜り込んできたか。超至近距離で、殴り合うつもりか?」
やよい「……」
P「その意気は買うが……大丈夫か? ―――『傾く』ぞ」スッ
バチンッ
パチン
パチッ
パチ
やよい「……くっ、うぅっ……!!」;
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真美「え、なになにっ!? どっちが勝ってるの!?」
亜美「も→、解説してくれないと全然わかんないYO!」
春香「……やよいの顔色からして……」
律子「ええ、おそらくは……」
P「……オセロは、チェスや将棋、囲碁……ほかのボードゲームと比べて、圧倒的に『インファイト』だ」
やよい「……?」;
P「駒や石同士がぶつかり合ったときにだけ戦いが生じるそれらと違って、オセロは『最初』から『最後』まで」
やよい「……」;
P「ずっと鍔迫り合いだ。一瞬でも気を抜いたら、一瞬でもバランスを崩したら、即座に首を刎ねられる」
やよい「……っ」;;
P「そういう“スポーツ”だ。将棋が『缶蹴り』なら、オセロは『腕相撲』。―――さぁ、打ってこい」
やよい「っ」スッ
パチッ
バヂッ
パチン
パチ
やよい「!?」
P「……。」
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律子「一度はやよいの白壁に潜り込んたのに、そこから壁を崩してさらに取り囲んだ……!?」
P「最善手だけが手筋じゃない……読めるか? 俺の動きが……俺の狙いが」
やよい「……うぅっ」スッ
パチ…
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P「“b5”……そうか、そうだよな。『ソコ』だよな……。ソコが、やよいの打てる中で、最高の一手だ。素晴らしいよ」
やよい「……っ」;
P「配られた手札の中で常に最善を尽くすのが、やよいの最大の強みだと俺は思う。なぁ、そうは思わないか?」
やよい「……プロデューサー」
P「だけど遅い。もう『ソコ』は、とっくの昔にぶっちぎってしまったんだよ」スッ
バチッ
P「周回遅れだぞッ、やよい……!」
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やよい「はっ、かッ……!?」ガタッ
律子「こ、これは……」;
春香「まずいんですかっ!?」
律子「まずいなんてもんじゃないわ……!」
P「オセロは最後まで、どう転ぶのかわからない競技だ」
やよい「……!」;
P「だから。ここからも俺の手が緩むことはないし、油断や慢心も一切しない。……全力だ、当然な」
やよい「う、うぅぅ!!」スッ
パチンッ
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真美「あっ! 端っこが!!」;
バチッ
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亜美「あ、あれ? 端っこ取らないの……?」
春香「……いつでも取れるってことかな」
律子「いえ、『潜り』対策だと思うけど……でも、どのみちもう……」
やよい「っ!!」スッ
パチッ
バチンッ
バチッ
P「……やよい、お前はどうしてアイドルになったんだっけ?」
やよい「えっ? ……そ、それは……おうちに、お金を入れるために……」
P「じゃあ、この戦いに勝って1000万円手に入ったら、アイドルやめるか?」
律子「ちょ、プロデューサー殿!?」
やよい「や、やめません! 私は、みんなといっしょに、ファンの人たちに笑顔を届けたいって……そう思ってますっ!!」
P「みんなといっしょに……か。……その『みんな』に……」
やよい「……?」
P「いや、なんでもない。俺はやよいのそういうところが大好きだよ」
やよい「はわっ!? だっ……!?」///
P「そして……ごめんな」スッ
パチンッ
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P「これでもう、俺には追いつけない。やよい、お前の負けだ」
やよい「―――っ!!」
亜美「ええっ!?」
真美「ま、まだ隅っこ1個も埋まってないよ!?」
律子「残り23手を、読み切ったっていうんですか……!?」
P「そんな大げさなものじゃない。でも、やよいもわかるだろ?」
やよい「……っ!!」スッ
P「……続けるか。……まぁ、いいだろう」スッ
パチッ
バチッ
パチン
パチ…
バチンッ!!
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やよい「ぐぅ、ッ……!?」;
律子「……っ」
春香「や、やよい……」
亜美「え、なに!? これもう終わっちゃったの!?」
真美「オセロに詰みがあるなんて初耳だYO!」
P「……もうやめろ、やよい。たとえやよいが最善手だけを打ち続けたとしても、ここからじゃ俺には勝てない」
やよい「……や……やめません」
P「やよい……」
やよい「今日のプロデューサー、なんだかヘンです。でもプロデューサーが、なにもないのにこんな勝負させるはずないです!」
P「……」
やよい「プロデューサー、最初に『ぜったい負けるな』って言いました! なにか、なにか事情があるんですよねっ!?」ジワッ
P「……」
やよい「もしこれに負けたら、プロデューサーが、どこか遠いところに行っちゃうような気がして……!」ポロポロ
P「…………」
やよい「だから、負けるわけには……いかないんですっ!!!」ヒュッ
パチンッ
P「………………やよい。おまえは本当に、やさしい子だよ」スッ
パチッ
バチッ
パチ…
パチンッ
……
…………
………………
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律子「……黒34、白30。やよいも最後まで善戦したけど……」
やよい「うっ……ヒック……」ポロポロ
亜美「や、やよいっち……」
真美「だ、だいじょ→ぶ……?」ナデナデ
春香「……プロデューサーさん、これ、いったいどういうつもりだったんですか?」
P「どうもこうもないさ。ただ、やよいのオセロの腕前を見てみたくってな」
春香「それだけのために、1000万円賭けたっていうんですか……?」
P「本気になってもらいたくってな。もっとも、やよいの性格からして、金額にあまり意味はなかったようだが」
律子「さきほど社長室を出てきてから、顔色が優れないようですが……それが関係しているんですか?」
P「……明日には全部終わってる。どうなるかは、俺にもわからないが」
春香「私たちにも話せないことなんですか?」
P「……」
やよい「ぐすっ……ぐしゅっ……」ポロポロ
P「やよい、今日のレッスンはお休みだ」ナデナデ
やよい「……ぷろでゅーさぁ……」グスッ
P「おいで。見せたいものがあるんだ」
やよい「……ヒック……は、はいっ……」
P「すまん、みんな。出かけてくるよ」
―――都心・リバーシホテル 最上階―――
やよい「―――」ポカーン
P「圧巻だろ? 古今東西のアイドルやプロデューサーが、揃いも揃ってオセロ盤と睨めっこだ」
やよい「え……あの、これっ」
P「やよい、番組に出演するアイドルは、どうやって決められると思う?」
やよい「それは……オーディションとか……営業とか」
P「違う」
やよい「へっ?」
P「それは表面部分の、綺麗な幻想だ。誰が起用されるかっていうのは、オーディションの前からすでに決まっているんだよ」
やよい「え、えっ……?」;
P「『真剣師』って知ってるか? 賭け将棋や賭け麻雀なんかで生計を立ててる人間のことだ」
やよい「……。」
P「ここでオセロを打ってる人間、全員がその『真剣師』だ。……そして、俺もな」
やよい「……はい?」;
P「あのオセロ一局に、番組出演の切符とか、ライブのハコとか、有名作曲家の曲とかが賭けられてるんだ」
やよい「はいっ!?」;
P「冗談みたいだろ? 俺も、社長にここへ連れられたときは耳を疑った。だけどな、これが芸能界の裏側、真実なんだ」
やよい「え、ええっと……」;
P「いいか、よく聞け。」
P「 この世界は オセロで回っている。 」
P「オセロが強ければすべてが手に入り、弱ければ踏み潰されて消えていく。……それが世界の真実なんだ」
やよい「……ご、ごめんなさい。ぜ、ぜんぜんついていけません!!」;
P「いや、いいんだ。なんの説明もなく、いきなりこれじゃあな」
やよい「これ、ドッキリですかっ!?」
P「その発言は、芸能人としてはペケだぞ」
やよい「はわっ、ごめんなさい!」
P「まぁ残念ながらドッキリじゃない」
やよい「ド、ドッキリじゃないんですかぁ……」
P「まぁ仮にドッキリだったとしても、ドッキリだとは教えないけどな普通」
やよい「そ、それもそうですね。…………えっ! じゃあドッキリなんですかぁ!?」
P「ドッキリじゃないよ」
やよい「なんだ、やっぱりドッキリじゃないんですか」ホッ
P「……」
やよい「…………あれっ!?」
P(かわいい)
「あ、あのっ」
やよい「?」
「わ、私と一局お願いします!」
やよい「え、わ、私ですかぁ!? ええっと……!」
P「キミは○○プロのアイドルだね? かまわないよ。やよい、打ってあげな」
やよい「え、あ、はいっ」
「こちらの『ベット』は、これです」ペラッ
P「ふむ……では、こちらはコレを賭けよう」ペラッ
「ええっ!?」
やよい「え、な、なにを賭けたんですかっ?」
P「こないだ伊織に取ってきて、アイツが喜んでた番組あるだろ?」
やよい「は、はい。ずっと出たかったって言ってました。……えっ、まさか!?」
P「俺も取るのにかなり苦労した番組だから、負けないでくれよ? ……伊織に殺されるからな」
やよい「は、はわわっ……!!」ガクガク
P「じゃあ、あそこの席で打とうか」スタスタ
「はいっ!」
やよい「は、はい……」;
……
…………
………………
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「……あっ……ああ……」プルプル
やよい「……プ、プロデューサー」
P「やよい、忘れるなよ。伊織の番組がかかってるんだぞ」
やよい「は、はいっ……」
「ヒック……トモちゃんのために……負けられないっ……!!」スッ
パチン
やよい「……。」
P「やよい。容赦するな」
やよい「うっ、は、はい……」スッ
パチッ
パチッ
パチッ
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「う、ぁ……うわぁぁああああんっ……!!」ポロポロ
やよい「う、あ、あの……」ズキズキ
P「やよい、これは『真剣勝負』だ。情けも容赦も介在しないんだ。対局に勝ったなら、ベットしたものは必ず移動する」
やよい「……でも」
P「対局は終わった。行くぞ」スタスタ
やよい「は、はい……」ガタッ
P「……」スタスタ
やよい「……」チラッ
やよい「っ!?」ビクッ
≪―――この時≫
「……ッ!!」 ギリィッ…!!
≪やよいは生まれて初めて、“憎しみ”の込められた視線を向けられた≫
やよい「……っ!?」ゾクッ
P「……ここで“真剣”を続けていれば、ずっとああいった視線に晒され続ける。夢を、希望を奪われた者の逆恨みだ」
やよい「あっ……」ヘタッ
P「腰が抜けたか?」
やよい「わ、私のせいで……」
P「そうだな。やよいの右手が、あの子と、それからトモちゃんとかいう子の未来を刈り取ったんだ」
やよい「―――っ」
P「だけどそれは、今までだってそうだっただろう?」
やよい「……え?」
P「オーディションでやよいが受かったら、他の全員の未来を奪ったのと同じじゃないか」
やよい「それは……」
P「学校のテストだって、受験だって、就活だって、見えにくく工夫されているだけで、本質はなにも変わらないんだよ」
やよい「そう、だったんですね……」
P「ああそうだ。スーパーで並んでる肉だって綺麗に見えるが、突き詰めれば生き物を殺した残骸だろう? それと同じだ」
やよい「……私、そんなこと考えたこともありませんでした……」
P「あの子から奪った番組は、やよいが出てあげるんだ。いいな」
やよい「……は、はい」
P「そろそろ帰ろう。立てるか? ほら」スッ
やよい「…………はい」ギュッ
―――車内―――
やよい「この世界がオセロで回ってるってことは、わかりました」
P「うん」
やよい「だけど、どうして今までそれをナイショにしてたんですか?」
P「オーディションが形式だけのものだとか、営業に意味なんてないとかさ。みんなには、そういう汚い部分を見せたくなかったんだ」
やよい「……」
P「今までは、俺1人でずっと戦ってきたんだ。社長クラスは、戦っていい相手の数に制限があるからな。ずっと俺が仕事を取ってきた」
やよい「ほかの事務所は、アイドルも真剣勝負してましたね」
P「ああ、そういう事務所もある。たとえば、961プロの『プロジェクト・フェアリー』は、全員が凄腕の真剣師なんだ」
やよい「そのほうが、ほんとは楽なんですよね?」
P「……まあな。だけどアイドルとしてみんなに夢を見せている765プロのみんなには、アイドルに対して夢を抱いててほしいんだ」
やよい「プロデューサー……ほんとに、ありがとうございますっ!」ガルーン
P「おいおい、やめてくれ。これは社長の、事務所の方針なんだから。俺を持ち上げないでくれ」
やよい「私、765プロでアイドルができて幸せですっ!」
P「……うん。俺もだよ」
やよい「だけど、どうして私に、ほんとのことを教えてくれたんですか?」
P「……。さっきのホテルでな……今夜、高木社長と黒井社長が『真剣』で対局することになってる」
やよい「え?」
P「黒井社長が、ずっと前から裏で手を回してたみたいでな。この戦いは避けられないんだ」
やよい「は、はぁ……」
P「黒井社長は、この勝負に負けたら『プロジェクト・フェアリー』を765プロに移譲すると言っている」
やよい「……ええっ!?」
P「我那覇響、星井美希、四条貴音……全員がアイドルとしても真剣師としても一流だ。そうなれば、765プロの天下だろう」
やよい「……じゃ、じゃあ、もしも高木社長が負けたら……?」
P「『俺』が―――961プロに移ることになる」
やよい「っ!?」
P「さっきも言った通り、765プロを切り盛りしてるのは実質俺一人だ。音無さんはオセロできないし、社長も対局制限がある」
やよい「じゃあ、プロデューサーがいなくなったら……」
P「765プロが、終わる」
やよい「……ぇ……あ……!?」パクパク
P「そうならないように、遠くないうちに律子にはプロデューサーとしての能力やオセロの棋力を身につけさせようとしてたんだが……」
やよい「ま、間に合わなかったんですか……?」
P「そういうことだ。だから、今夜の対局の結果次第では、俺は明日、765プロから消えるだろう」
やよい「そっ、そんなの……!!」
P「黒井社長も、とうとう全力で潰しにきたってことだ。最後は高木社長との一騎打ちで決着をつけるつもりなんだろう」
やよい「しゃ、社長はオセロ強いんですよね?」
P「俺なんかじゃ完封されるくらい強い。100回戦ったって、100回負けるだろう」
やよい「じゃ、じゃあ……!」
P「だが黒井社長も同じくらい強い。勝率は、ほとんど五分らしい。しかも今回、使う色が……こっちが『白』で、向こうが『黒』なんだ」
やよい「それが、どうかしたんですか? 白なら、有利なんじゃ……」
P「やよい。社長の色は?」
やよい「え、全身まっくろ……あっ!!」
P「あの2人の実力は互角……だが常に『持ち石が黒だった方』が勝ってきたらしいんだ。交互に色を変えるから、勝率が五分なんだよ」
やよい「えっと、つまり……今回は高木社長が白だから、負けるかもってことですかっ!?」
P「そうなるな。もちろん、そんなのはジンクスだ。勝敗を確定するものじゃない」
やよい「……」
P「だけど、なんだか胸騒ぎがしてな。だから今日、一応、念のため、万が一に備えて……やよいに真実を話したんだ」
やよい「プロデューサーがいなくなっても、765プロがなくならないように……ですか?」
P「そうだ。そして、もしも俺がいなくなったとき、765プロの未来は……やよい、お前に託す」
やよい「―――っ!!」
P「それが、さっきの真剣勝負に勝った、俺からの『1000万円分の命令』だ。……頼んだぞ」
やよい「…………は、はい」
P「大人の身勝手に付き合わせてしまって、本当に申し訳ないと思っている。できることならやよいも、なにも知らずにいてほしかった」
やよい「……」
P「やよい1人に、こんな重荷を背負わせてしまうなんて、プロデューサー失格だとは思う。……恨んでくれても構わない」
やよい「……私が、私たちが今日までアイドルを続けられたのは、プロデューサーのおかげです。だから、恨むわけありませんっ!」
P「やよい……」
キキッ
P「……着いた。やよいの家だ」
やよい「はい。……プロデューサー。今までだって、961プロとは何度もいろいろありました」
P「ああ、そうだな」
やよい「そのたびに、みんなで乗り越えてきました!」
P「……ああ」
やよい「今回だって、きっと大丈夫です! 社長が勝って、明日も、明後日も、ずっとずーっと! プロデューサーといっしょです!!」
P「……やよいは、強いな。オセロだけじゃない。そういう強さをやよいの中に見たからこそ、俺はやよいに真実を話した」
やよい「強さ……ですか?」
P「ただオセロが強いだけじゃ、真剣勝負は生き残れない。折れない、曲がらない、挫けない……それが本当の強さなんだ」
やよい「……折れない、曲がらない、挫けない……?」
P「俺も、社長を、765プロの底力を信じるよ。きっと明日になれば、また笑いながらいっしょに仕事ができる」
やよい「はいっ!!」
P「それじゃ、やよい。“また明日”!」ニコッ
やよい「はいっ! “また明日”!」ニコッ
≪ ……翌日、彼の机には辞表が置かれており――― ≫
≪ 彼が765プロ事務所に現れることはなかった。 ≫
―――社長室―――
高木「………………。」
ガチャッ
やよい「……」スタスタ
高木「…………。」
やよい「……社長」
高木「…………。」
やよい「 負けたんですか? 」
高木「……」ピクッ
やよい「プロデューサーは、961プロに行っちゃったんですか?」
高木「……高槻君? なぜ、キミがそれを……」
やよい「みんなが困ってます。プロデューサーがいなくなって」
高木「ああ……しかし、彼ほどの逸材の代わりなど……」
やよい「“代わり”なんていりませんっ!!!」
高木「!?」ハッ
やよい「……私の……プロデューサーの大好きだった765プロには、“代わり”なんていません」
高木「……そうだったね。その通りだ。失言だった、すまない」
やよい「私が“打ちます”!! プロデューサーの代わりに、765プロは私が守りますっ!!」
高木「―――っ!! そう、か。そうだったのか、高槻君。キミは、彼が残した……」
やよい「プロデューサーはぜったいぜったい、ぜ~~~ったい!! 私が取り返しますっ!!!」
高木「……高槻君。」
やよい「はいっ!!!」
高木「さきほどから私の顔に、すさまじくツバが飛びまくっているんだがねぇ……」ビチョッ
やよい「はわっ!? ご、ごめんなさい!」ガルーン
高木「いや、構わないよ。……しかしそうか。こんなにも頼もしい火種が残っていたというのに、私が呆けている場合ではない」スクッ
やよい「社長……!」
高木「私なりに最大限、手を回してみよう。それから当然だが、彼がいない間は、アイドルたちの活動もすべて私がフォローする」
やよい「でも、社長はあんまりオセロしちゃいけないんじゃ……」
高木「極力使わないようにしているが、何事にも裏技というものがある。2週間ほどなら、どうにかなるだろう。逆に言えば……」
やよい「はいっ! 2週間で、プロデューサーを取り戻します!!」
高木「……彼も、高槻君に託すというのは、身を焼かれるような苦渋の決断だっただろう。……申し訳ない」
やよい「いいえ、私はプロデューサーに頼ってもらえて幸せです!!」
高木「……黒井に敗れた私だが……しかし人を見る目だけは、本当に、心の底から誇りたい」
―――事務所―――
春香「……。」
千早「……。」
伊織「……。」
雪歩「……。」
真「……。」
亜美「……。」
真美「……。」
あずさ「……。」
律子「……。」
小鳥「……。」
バンッ!!
全員「っ!!」
やよい「みなさん! プロデューサーは私がぜったいに、ぜーったいに取り戻します!!」
やよい「だからお願いします! プロデューサーが安心できるように、お仕事がんばってください!!」
やよい「プロデューサーががんばって取ってきてくれたお仕事をがんばってください!!」
やよい「それじゃあ……、行ってきますっ!!!」ガルーン
ガチャッ
タタタタタッ…
全員「 」ポカーン
律子「あの様子だと、予想通り昨日のことが関係してるみたいね。しかも、やよいは事情を全部知ってる……と」
小鳥「……やよいちゃん」
春香「ってことはやっぱり、いきなり辞職なんて、なにか事情があったんですよね!?」
真「やよい、今、取り戻すって言ってたよね! もしかして……」
雪歩「プロデューサー、戻ってきてくれる……のかなぁ?」
千早「……いなくなってからじゃないと、どれだけ大切だったかに気づけないのね。知ってたはずなのに……」
亜美「これってつまり、勇者やよいっちが、囚われの兄ちゃん姫を きゅ→しゅつ作戦ってこと!?」
真美「やよいっちってばお水臭いYO! 真美たちだって戦いたいのに→!」
あずさ「私たちなりの戦いかたは、やよいちゃんの言った通り、きちんとお仕事をこなすこと……じゃないかしら」
伊織「あずさの言う通りよ。……助けが必要なら、やよいは、ちゃんと言ってくれるわ。ぜったいね」
ガチャッ
高木「そういうことだね。さぁ、現場へは私が送っていこう。彼のことは私や高槻君に任せ、キミたちはファンのために頑張ってくれたまえ」
伊織「やよいを危ない目に遭わせたら……」クイッ!! (首を掻っ切るジェスチャー)
高木「き、肝に銘じておくよ……」;
春香「よぉし、それじゃあみんな集まって! プロデューサーさんが戻ってくるまで、私たちだけで頑張ろう!!」スッ
「「「765プローっ、ファイトー!!」」」
―――961プロ・社長室―――
黒井「君を765プロから解雇させるだけでもよかったのだがな」
黒井「それではあっさり復職されかねんので、こうして飼い殺しにしようと思い立ったわけだ」
黒井「それにこの方が、奴にとっても堪えるだろうからね……」
黒井「なぁ、『元』765プロのプロデューサー君?」
P「……。」
黒井「ふん、君の処遇は、私に掌握されているということは肝に銘じておくことだ」
黒井「それから……君は私を憎んでいるだろうが、その憎しみは961プロのなにも知らないアイドルたちにも向けられているのかね?」
P「!!」
黒井「くれぐれも、罪のない、私のかわいいアイドルたちを悲しませるようなことだけは控えてくれたまえ」
P「……っ」
黒井「君はたしか、高木のボディガードもやっていたのだったな?」
P「……ええ」
黒井「それなら、しばらくは『プロジェクト・フェアリー』の付き人として働くことだ」
黒井「『真剣』は、もう少し君という人間を見極めてから任せるとしよう」
P「……了解しました」
黒井「くれぐれも、この私を失望させないでくれたまえ。ハーッハッハッハ!」
―――961プロ―――
P「……」スタスタ
響「あーっ! 変態プロダクションの変態プロデューサー!!」ビシィ
P「……?」キョロキョロ
響「いや、自分たち2人のほかには誰もいないから……」;
P「言っとくが、今の俺は961プロに所属している」
響「そ、そんなこと知ってるぞ!」
P「だから俺を変態プロダクションの変態プロデューサーだと言うと、キミも変態プロダクションのアイドルってことになるぞ?」
響「えっ!? ち、ちがうぞ! そういう意味で言ったんじゃない!」
P「さらに言うなら、俺が変態プロデューサーだとすると、黒井社長はそんな人間を雇うような変態社長ということになる」
響「えええええっ!? ち、ちがっ……!?」ワタワタ
P「…………ぷっ、はははっ! ごめんな、冗談が過ぎたよ」
響「うぅ~~~! 新人のくせに、完璧な自分をからかうなんて、生意気だぞっ!」プンスカ
P「ごめんごめん。えっと、キミは『プロジェクト・フェアリー』の我那覇さんだったかな?」
響「うん、そうだぞ!」
P「俺はP。黒井社長の命令で、しばらく『プロジェクト・フェアリー』の付き人として働くことになった。よろしく頼むよ」
響「ええ~っ!? 付き人ってなに!? そんなのいらないぞ!」
P「そうか? 荷物を持ったり、車を回したり、局の人間と代わりに交渉したり、いろいろ便利だと思うけどなぁ」
響(うっ……そう言われると、たしかに便利かも……。でも今いらないって言っちゃったし……);
P「まぁ変態といっしょに行動したくはないだろうしな。それじゃあ、もしなにか用事ができたら呼んでくれ」スタスタ
響「ちょ、ちょっと待って!」
P「……?」
響「えっと、付き人じゃなくって…………そう、ペット! ペットとしてなら……その、いっしょに行動してあげても、いいぞ」プイッ
P「……。」
響「……。」
P「……変態?」
響「うがーっ!!」///
キリがいいので、今日はここまでです。
オセロ盤AAが壮絶なるめんどくささで後悔しています。
乙!
もっと細かく対局描写していいのよ?
普通にほのぼのなSSだと思って開いたらシリアスでしかも面白くてかなりビビってる
ただしAAはガラケーだからかずれまくりでわけわからないから雰囲気を楽しんでる
>>45のオセロ盤AA、間違えてました。
黒一色じゃなくって、白一色です。すみませんでした。
―――リバーシホテル 最上階―――
≪このホテルにおける『真剣』には2種類ある≫
≪一つ目が『CtoC』方式。 それぞれの持っているもの―――仕事や場所など―――を1対1でベットする≫
≪二つ目が『BtoC』方式。 企業や局によって売られてきた仕事を景品として、複数人で競い合う≫
≪無論、人気の高い仕事にはそれだけ多くの真剣師が集まるため、競争率も平均棋力も桁違いとなる≫
≪しかし今日の『真剣』による波乱は、いつもとは一味違っていた≫
やよい「……」ヒュン
パチンッ!!
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「ま……負けました……っ!!」ガクッ
「つ、つよい……」
「あんな子、いたかしら?」
「あれってもしかして、765プロじゃない?」
「うそ、765プロってプロデューサー1人で回してるんじゃなかった?」
「その人、961プロに引き抜かれたらしいよ? なんでも代表同士の真剣で……」
やよい「……。」
やよい(うぅー、やっぱりいきなり勝ちすぎると注目されちゃうよね……)
やよい(だけど私の目的は、お仕事を取ることじゃないっ! とにかく今は、『真剣師ランク』を上げないと……!)
≪初級者が上級者に狩られて餌にされないように、それぞれの真剣師たちには『真剣師ランク』というものが設定されている≫
≪AからFまであるランクにおいて、『CtoC』で対決できるのは1ランク差までである≫
≪『BtoC』においてはランク差が無視されるが、より高いランクの真剣師を倒すと多くのランクポイントが蓄積する≫
やよい(さっきからいっぱい戦って、できるだけ圧勝するようにしてるから……ポイントも溜まってきた)
やよい(961プロの真剣師は、ほとんどが『Aランク』だって受付のお姉さんが言ってたし……)
やよい(2週間以内に、せめて最低でも『Bランク』にはならなくっちゃ!)
やよい(そのためには……)
やよい(勝って)
パチッ
やよい(勝って!)
パチンッ
やよい(勝って!!)
パチンッ!!
やよい(待っててください、プロデューサー……!!)
―――961プロ社用車―――
P(……あれからもう3日か。早いもんだな)
P「車内で本なんか読んで、酔わないか?」
響「慣れればどうってことないぞ」ペラッ
P(オセロの学習本か……。いわゆる『詰めオセロ』ってヤツだな)
響「……ここでg8に打つと、ウイングになっちゃうから……」ブツブツ
P(ビジュアルレッスン、ダンスレッスン、ボーカルレッスン……そして移動中や休憩中にオセロの勉強か)
響「あれ、でもここでブロックのままだと潜られて……いや、余裕手で凌げば……」ブツブツ
P(このちっこい体のどこに、そんな体力があるのやら)
響「……変態プロデューサー。さっきからジロジロ見て、なにか用?」ジトッ
P「いや、ずいぶん熱心なんだなと思ってさ」
響「これくらい当たり前だぞ。うかうかしてたら、ほかの2人に置いてかれちゃう」
P「フェアリーはあくまで新人アイドル推進プロジェクトってだけだから、本来ユニットじゃないもんな」
響「うん。だから、あの2人も倒すべきライバルなんだぞ。王者は1人って、黒井社長がいつも言ってるもん」
P「仲間同士でピリピリしてるのって、なんか嫌だな。……いや、961プロの方針に口出しするわけじゃないが」
響「なぁなぁのアイドルごっこじゃ、あっというまに潰されて消えていくだけだよ」
P「潰させないし、消させないよ。そのために俺が……プロデューサーがいるんだからな」
響「……!」
P「いや、つっても、そのプロデューサーが無様に引き抜かれたんじゃな……。かっこつかないよ、ホント」
響「今じゃ自分のペットだもんな」クスクス
P「はぁ、やれやれ……」
響「ちゃんと自分の言うことを聞いてれば、悪いようにはしないぞ。自分、ペットは家族だと思ってるからね!」
P「ほぉ、俺と我那覇さんが家族か……」
響「う、ぁ、それは、そういうことじゃ、なくって……!」///
P「そういえば我那覇さんは、いっぱい動物を飼ってるんだっけ?」
響「うん、そうだぞっ!」
P「犬とか猫とかか?」
響「うんとね……ハムスターのハム蔵と、蛇のへび香、シマリスのシマ男、オウムのオウ助と、うさぎのうさ江、ねこのねこ吉、ワニのワニ子、豚のブタ太、犬のいぬ美、モモンガのモモ次郎だぞ!」
P「ど、動物園にでも住んでるのか……!?」
響「前はハム蔵といつも一緒だったんだけど、961プロでは怒られるから、お留守番してもらってるんだぞ」
P「ハムスターといつも一緒……? ……っと、そうだ……」ゴソゴソ
響「?」
P「ほら、スポーツドリンク。ちゃんと水分は摂取しないと倒れるぞ。あとカロリーメイトも」ポイッ
響「え、あ、……うん」
P「勉強もいいが、休めるときにはきちんと休んでくれ。そうやって根詰めてると、見てる方も心配で気が気じゃないんだ」
響「よ、余計なお世話だぞっ」
P「そうだろうけどな。まぁ、心の片隅には置いといてくれ」
響「う、うん……………ぁりがと」ボソッ
P「え?」
響「うがーっ! な、なんでもないぞっ!」///
―――高槻家―――
パチッ パチッ…
やよい「…………。……。」ブツブツ
パチッ
かすみ「ずっとブツブツ言いながら1人でオセロしてる……」
長介「……や、やよい姉ちゃん、どうしちゃったんだ?」
かすみ「なにか悪いものでも食べちゃったのかなぁ……?」;
やよい「……。…………。」ブツブツ
パチッ
やよい(プロデューサーがいなくなってから、明日でちょうど1週間……)
パチッ
やよい(今日やっと、真剣師ランクがCになった。このペースなら、きっともうすぐBランクになれるはず)
パチッ
やよい(さいきんは、家事も勉強もレッスンもそっちのけでオセロばっかりやってるけど……私、すこしは強くなれたのかな?)
パチッ
やよい(社長もいろいろ頑張ってくれてるみたいで、『真剣』のセッティングは心配ないって言ってくれてる……)
パチッ
やよい(あとは私が―――勝つだけだよねっ!)
パチンッ!!
―――テレビ局―――
P(961プロに引きずり込まれてから、今日でちょうど1週間が経った)
P(『プロジェクト・フェアリー』の子たちはそれぞれが個性的すぎて、制御するのに大変な苦労がかかったが……)
P(俺は、この1週間のほとんどずっと、特に目を離せないような危なっかしさのある我那覇さんに付きっきりになっていた)
P(そのおかげか、彼女もすこしは俺のことを信頼してくれるようになった……のかもしれない)
響「もぉ~、おっそーい!!」
P「スマン、星井さんをレッスンに行かせるのに手間取ってな……」
響「言い訳はいいぞ! ……もう、付き人なんだったら自分を待たせないでよね!」
P「あれ? 付き人じゃなくてペットなんじゃなかったか?」
響「そ、それはもういいのっ! この1週間の働きを評価して……えっと、昇格してあげる!」プイッ
P「おお、それは素直に嬉しいな。頑張った甲斐があったってもんだ」
響「うっ、そ、そうなんだ。ふーん」///
P「さてと、待たせて悪かったな。じゃあ961プロに向か―――」
やよい「プロデューサー……?」
P「……や」
P「―――やよいっ!!」ダッ
やよい「プロデューサー!!」ダッ
響「……え?」
P「元気にしてたか!? 無茶してないか!?」
やよい「はいっ! 元気いっぱいです! プロデューサーも元気そうでよかったです!」
P「もう1週間になるか……ずいぶん長いこと、やよいの顔を見てなかった気がするよ」
やよい「私もです! でも、元通りになるまでの辛抱です! 昨日、Cランクになりましたからっ!」
P「元通り……? Cランク? もしかして―――」
グイッ
P「おっと」ヨロッ
響「……。」ギュッ
P「我那覇さん……? ちょっと待っててくれ。5分……いや、3分で済むから」
響「だめだぞ……。だめ。今すぐ961プロに帰るんだから……」グイグイ
やよい「あの、プロデューサー。その人、もしかして……」
P「ああ。961プロ、『プロジェクト・フェアリー』の我那覇 響さんだ」
やよい「あっ、やっぱり!」
P「我那覇さん、この子は765プロの高槻やよいだ。ほらやよい、ご挨拶」
やよい「はいっ! 高槻やよいです、よろしくおねがいしまーっす!」ガルーン
響「……うん」
P「我那覇さん?」
やよい「プロデューサー、今日このあと、どこかで会えませんか? ちょっとお話ししたいことがあるんです!」
P「え、いや、でも……」
響「いいぞ」
P「……え?」
響「いいぞ、会ってきても。自分、1人で帰るから」
P「いや、そういうわけには……」
響「ただしっ……このやよいって子が、自分との『真剣』に勝てたらだぞ!」
P「えっ!?」
やよい「!」
響「さっきの“Cランク”って、真剣師ランクのことだろ? なら、『真剣』で打てるよな?」
P「ちょ、なに言って……」
響「やよいが勝ったら……Pさんはこれから先ずっと、自分との付き添いの時間に抜け出して、765プロに顔を出してきていいぞ」
やよい「……!」
響「どうする?」
P「いや、いくら私的な『真剣』だって言っても、我那覇さんの真剣師ランクは……!!」
やよい「うっうー! 受けて立ちます! 響さん、私と『真剣』で勝負です!」
P「おい、やよい! まだ我那覇さんが勝った時の条件も聞いてないんだぞ!?」
やよい「はわっ、そうでしたぁ!」
響「心配しなくても、ぜんぜん大したことない条件だぞ」
やよい「そ、そうなんですか……?」
響「ああ、ぜんぜん大したことない……」ニヤッ
響「自分が勝ったら、Pさんにはこれから先ずっと、やよいのことを『高槻さん』って呼んでもらう。そして―――」
響「逆に自分のことは、『響』って、呼んでもらうぞ」
―――961プロ社用車―――
響「次のスケジュールまで時間がないから、“3分切れ負け”でいいか?」
やよい「3分、切れ負け……?」
響「なんだ、真剣師なのに知らないのか? この“対局時計”を使うんだ」スッ
やよい「な、なんだか目覚まし時計が横に2つ、くっついたみたいな時計ですね……?」
響「今は『5分』に設定してあるから、≪5:00|5:00≫ってなってる。そして自分の方のボタンを押すと……」タンッ
≪4:57|5:00≫ カチッ カチッ カチッ…
やよい「はわっ、私の方の時間が動き出しました!」
響「で、やよいの方のボタンを押すと……」タンッ
≪4:57|4:56≫ カチッ カチッ カチッ カチッ…
響「やよいのカウントダウンは止まって、今度はこっちの時間が減っていく。この時間がゼロになって無くなったら、負けだ」
やよい「それで、3分『切れ負け』ってことですねっ!」
響「そうだぞ。そして今回は、この制限時間を『3分』にする。互いに30手ずつ打つから、平均すると1手につき『6秒』」
やよい(……自分の時間の使い方はよくわからないけど……最初のほうは2秒かからないペースで打つから、たぶんだいじょうぶ……だよね?)
響「961プロの方針で、なるべく『黒』を使えって言われてるんだけど……そっちが後手でもいいか?」
やよい「はい、だいじょうぶです!」
P「なぁ、やよい。引き返すんだったら今だぞ。やよいにも考えがあるんだろうが、しかしこれは……」
やよい「だいじょうぶです、プロデューサー。私を信じてくださいっ!」
P「……っ」
響「終わったか? ここから先、Pさんは口出し無用だからね。―――それじゃあ、始めるぞ」ピッ
≪3:00|3:00≫
やよい・響「「お願いしますっ!!」」
ザワッ…
やよい「―――っ!!?」ゾクッ
≪やよいは……≫
響「 ……。 」 ゴォォオオオオッ!!!!
≪“闘気”や“殺気”といったものの存在を、生まれて初めて明確に認識した。≫
やよい「……ひっ!?」ヨロッ
≪それは1週間前、名も知らないアイドルによって向けられた逆恨みの『敗者の憎悪』などとは比べ物にならないほどの……≫
≪圧倒的な、『王者の威圧感』だった。≫
響「 行くぞ…… 」スッ
バチンッ!! タンッ
やよい「かっ……はッ……!?」ビリビリッ
やよい(これがっ……! 961プロの真剣師! 『本物』の……!!)
P「やよい! もう対局時計は動いてるぞ!」
やよい「!!」ハッ
≪2:51|3:00≫ カチッ カチッ…
やよい「っ!!」スッ
パチンッ タンッ
響「……」スッ
バチンッ タンッ
パチッ タンッ
バチン タンッ
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≪2:48|2:57≫
響「『虎定石』か。自分の一番好きな定石だぞ」
やよい(で、できるだけ序盤で、時間を稼いでおかないと……!)パチッ タンッ
響「……」スゥ…
やよい(響さんのプレッシャーが、ちっちゃくなってく……?)
響「……」スッ
やよい(完全に、消えちゃった……)
パチ… タンッ
パチン タンッ
パチ タンッ
パチンッ タンッ
……
…………
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≪2:38|2:50≫
やよい(私が先に辺に足を下ろした……ここからどう来るのかな?)
やよい(残り時間はちょっとずつ離されてるけど、でもまだぜんぜんだいじょうぶだし……)
やよい(戦況は五分……辺に構える私と、中央を陣取る響さんの戦いだ……!)
パチッ タンッ
パチン タンッ
バチッ タンッ
パチッ タンッ
※すみません、盤面が違っていました。正しくはこうです↓
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≪2:38|2:50≫
やよい(私が先に辺に足を下ろした……ここからどう来るのかな?)
やよい(残り時間はちょっとずつ離されてるけど、でもまだぜんぜんだいじょうぶだし……)
やよい(戦況は五分……辺に構える私と、中央を陣取る響さんの戦いだ……!)
パチッ タンッ
パチン タンッ
バチッ タンッ
パチッ タンッ
響「……」パチッ タンッ
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≪2:29|2:45≫
響「……。」
やよい(響さん、最初のすごいふいんきとくらべて、ぜんぜん静かになっちゃった……)
やよい(だけどちっとも打つペースは遅くなってない。むしろ早くなってるような……)
やよい(ううん、だめ。自分の一手に集中しなくちゃっ!)
やよい(響さんが今打った、a6の『A打ち』……こっちに不利はつかないはずだけど)
やよい(でも、このあとの流れ次第では余裕手にすごい差が出ちゃうかも……)
響「……。」
……
…………
―――765プロ事務所―――
亜美「はっ!?」ビビッ
律子「な、なに? どうしたの、亜美?」
亜美「『A打ちってなんだよ!』っていう電波を受信した気がする!!」
律子「……はぁ?」
亜美「律っちゃん、『A打ち』ってなに!?」
律子「……A打ちっていうのはね、」
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律子「オセロ盤の四隅から2マス離れた、辺に隣するマスのことを『A』というの。そこに打つから『A打ち』ってわけ」
律子「つまり、(a3)(a6)(c1)(c8)(f1)(f8)(h3)(h6)の8マスね」
律子「ちなみに同じ辺の2つの『A』だけに石が打たれていることを、『ダブルA打ち』と呼ぶわ」
律子「その2ヶ所に石を置いておけば、残りの辺のどこに相手が石を打ってきても、速攻でカウンターを仕掛けられるの」
律子「余裕手……つまり『打っても相手に有利にならない場所』が稼げて、相手の余裕手を潰せるから有利になるのよ」
亜美「ふむふむ」
亜美(なるほどわからん)
律子「『A』の間にある2マスは、『B』というわね。他の『A』や『C』と違って地味だけどね」
律子「さらに言うなら、四隅の隣で、辺に面してるマスを『C』と呼ぶわ」
律子「つまり(a2)(a7)(b1)(b8)(g1)(g8)(h2)(h7)の8つのマスね」
律子「そして四隅のななめに面してる4つのマス……(b2)(b7)(g2)(g7)のことを『X』と呼ぶわ」
律子「『X打ち』を『打たされる』っていうのは、だいたい最悪のパターンね。隅が取られることがほぼ確定するわけだから」
律子「自分から打つ場合は、だいたい『ウイング潰し』のためかしら」
律子「そうそう、辺の形にも名称があって……」パチッ パチッ…
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律子「左辺の形を『ウイング』、下辺の形を『ブロック』、右辺の形を『山』と呼ぶわ」
律子「どれがいいかは状況次第だけど、大抵の場合『山』が良くて『ウイング』は悪い形ね。なぜなら……」
亜美「うあうあ→、頭がフットーしちゃいそうだよ→!!」プシュー
律子「……これくらいにしておきましょうか」
律子「もう、これくらいは理解できないとダメよ?」
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≪1:38|2:29≫
やよい(上下で勢力がわかれた……左辺は響さんに押さえ込まれてる……右辺は私が壁を作らせた)
やよい(こうなってきちゃうと、下辺のダブルA打ちはかなり厄介になってくる……)
やよい(ここから特に読み合いが重要だけど……いまは折り返し地点で、時間はまだ半分以上ある。だいじょうぶ、いけるっ!)
やよい(ほんとはC打ちなんて危険だからやりたくないけど、ここで黒の壁を壊さずにすめば、左辺の余裕手を潰せる……!)
やよい「……」パチッ タンッ
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≪1:29|2:29≫
響「……」パチッ タンッ
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やよい(よしっ、余裕手を1つ潰した! そしてこっちはXを背にした壁を……)パチッ タンッ
やよい「―――っ!?」ゾクッ
響「 」 ゴォォオオオオッ!!!!
やよい(ひっ、響さんのプレッシャーが、いきなり、また……!?)ビリビリ
響「……」スッ
バヂンッ タンッ
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≪1:26|2:24≫
やよい「あっ……くっ……!?」
やよい(h3……!! 『二回目』のダブルA打ち! しかもこれは……今度は……!!)
やよい(もう私には余裕手がない! どこに打っても響さんの反撃をうけて、X打ちを誘われるような、そんな一手!!)
やよい(相手の攻撃をいなすような、腰の引けたダブルA打ちじゃない……!)
やよい(こっちの攻撃を誘って、近づいてきたところで一気に息の根を止めるような……『一撃必殺のダブルA打ち』!!)
やよい「……っ!!」ハッ
響「 どうした? 時間は進んでるぞ? 」 ゴォォォオオオッ!!!
やよい(やっとわかった! ま、まるでおっきな猛獣の目の前にいるような、この威圧感……!!)
やよい(響さんがさっきまでおとなしかったのは……獣が狩りで獲物に襲いかかるまで、息をひそめるのとおんなじだったんだ!)
やよい(私はずっと狙われていたんだ! そして今っ! 響さんの『牙』が、もう目の前までせまってる!!);
やよい(気づくのが遅すぎた……! この2つの黒い牙が、私の逃げ道を完全にふさいでる……!!)
やよい「うぅっ……!」
≪1:12|2:24≫
やよい(時間が……もう、私のほうから“牙”の中に飛び込んでいくしかない……)パチ タンッ
響「……」バチンッ タンッ
やよい(完全に余裕手も潰された……)パチ タンッ
響「……」バチンッ タンッ
やよい(もう、ここしか……X打ちしかない……)パチ タンッ
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≪1:03|2:20≫
響「終わったぞ」パチッ タンッ
やよい「…………まだ……終わってません」パチ タンッ
響「強がりも、そこまでいくと痛々しいぞ。オセロに逆転はないんだ」パチッ タンッ
やよい「……オセロは……最後まで、どう転ぶのかわからない競技です……」パチッ タンッ
P「!」
響「それは相手の緩手を期待するってことか? 残念だけど、やよい程度がどう頑張ったって、自分には勝てっこないぞ」パチッ タンッ
やよい「……たしかに……勝てません。今の私じゃ、響さんには……」パチン タンッ
響「そうだろうな」パチッ タンッ
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≪0:52|2:08≫
やよい「でもっ! それはこれからずっと響さんに勝てないってことじゃありません!」パチッ タンッ
響「……なんだって?」パチッ タンッ
やよい「今は勝てなくっても、いつかぜったい……ううん、1週間後には、響さんに勝って見せます! ぜったいにっ!!」パチッ タンッ
響「ふ、ふふ。あははっ! 1週間で自分に勝つだって? この程度の実力でか? あはは、お笑いだぞ!」パチッ タンッ
やよい「……プロデューサーは……ぜったいぜったい、765プロに取り戻して見せますっ!!」パチッ タンッ
P「……っ!!」
響「それなら黒井社長に言って、自分が勝負の場をセッティングしてやるぞ。そこで決着をつけるか?」パチッ タンッ
やよい「望むところですっ!」パチッ タンッ
響「その日が、765プロの命日だぞ」パチッ タンッ
やよい「いいえ! プロデューサー復帰の、おめでとうパーティの日です!」パチッ タンッ
響「ま、とりあえず……この『真剣』は自分の勝ちだな」パチッ タンッ
やよい「……。」パチッ タンッ
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≪0:40|2:08≫
響「黒34、白30……まぁ、結構頑張ったんじゃないか?」
やよい「………………」
響「うん、ちょうどいい時間だぞ。いったん961プロに戻らなきゃいけないから、やよいはもう降りてくれ」ガチャ
やよい「……は、い……」フラフラ
P「や、やよい……」
響「違うでしょ、Pさん」
P「……え?」
響「『真剣』に勝ったのは自分だぞ。……忘れちゃったの?」
P「…………“高槻さん”」
やよい「―――っ!!」ドクンッ…!!
響「ふふっ♪ それじゃ、やよい。1週間後を楽しみにしてるぞ。それまでに、ちょっとは腕を磨いておくといいぞ」バタンッ
ブロロ…
やよい「……っ」ヘタッ
やよい「…………。」
やよい「………………。」
―――765プロ―――
伊織「……今日もやよいはいないの?」
亜美「も→、いおりんってば、それ今日で1000回目だYO!」
伊織「さすがにそんなには言ってないわよ!!」
真美「まったく、いおりんは恋する乙女ですな→」
律子「事務所にはあんまり顔を出さないけど、あの子も一応ちゃんと仕事には行ってるわよ」
伊織「そ、そう……」
ガチャッ
やよい「……。」
伊織「あっ!!」
亜美「噂をすればなんとやらだYO!」
真美「やよいっちってば持ってるね→」
やよい「……」フラフラ
律子「……やよい?」
伊織「やよい、どうしたの―――」
やよい「っ」ギュッ
伊織「ふぇっ!?」///
亜美「わーぉ!」
真美「禁断の……!」
伊織「アンタたちは黙ってなさいっ! ……やよい、どうしたの? なにかあったの?」
やよい「……うぅ……うわぁぁああああああんっ!!」ポロポロ
伊織「っ!?」ビクッ
やよい「うわああああああああんっ!!」ギュゥゥ
伊織「や、やよい……!?」
やよい「負げちゃっだ……! 勝てなかっだ……!! 悔しい……悔じいよぉ……!!」ポロポロ
伊織「やよい……」
やよい「次は絶対負けないもん……負げないっ……!! うぅぅわぁああああああああんっ!!」ギュゥゥ
……
…………
………………
やよい「あと1週間で、私は961プロの響さんよりオセロが強くならないといけないんです……」
律子「……ごめんなさい、やよい。意味がまったく分からないわ。もうちょっと噛み砕いてくれないかしら」
やよい「私が響さんにオセロで勝てば、プロデューサーが765プロに帰ってくるんです」
律子「余計にわからなくなったわよ!?」
伊織「もしかして、あまり詳しくは言えないことなのかしら?」
やよい「……できれば、みんなには知ってほしくないかなって」
伊織「じゃあ、聞かないわ」
やよい「え?」
伊織「いいわね、律子。とにかく961プロのアニマル女にオセロで勝つこと……それだけわかってれば十分よ」
亜美「さっすがいおりん、男前ですな→!」
真美「今朝からずっと、やよい~やよい~ってずっと泣いてたとは思えませんな→!」
伊織「泣いてはいないわよ!!」
やよい「伊織ちゃん……」
律子「プロデューサー殿が唐突にオセロを勧めてきたのも、なにか関係ありそうね。けどまぁ、今は聞かないでおくわ」
やよい「律子さん……」
伊織「それで、そのアニマル女には勝てそうなの?」
律子「勝算はどれくらい?」
やよい「さっき負けてきました……私より、ずっとずっと強いです」
律子「……オセロみたいなゲームで、それほどの実力差を、たった1週間でひっくり返すのは……」
やよい「で、でも……それでも勝ちたいです! 勝たなきゃいけないんです!!」
伊織「わかってるわよ。あんなプロデューサーでも、勝手に取られたままじゃ癪だもの」
律子「とりあえず理論的なところは私でも補完してあげられるけど、それでも勝算は、かなり楽観的に見積もってもせいぜい五分……」
亜美「それならズルするっきゃないっしょ!」
真美「そうそう、番外選出だYO!」
律子「……盤外戦術って言いたいのかしら? でも、どうやって?」
亜美「そりゃもう、睨んで凄んで、怒らせてビビらせちゃうんだYO!」
真美「よ→するに、やよいっちが強くなるんじゃなくって、相手を弱くしちゃえばイイんでしょ?」
伊織「アンタたちにしては、まともなこと言うじゃない」
やよい「でも、そんなのいいのかな……?」
伊織「どうせ相手が961プロなら、今回のこともどうせ汚い手を使ってきたんでしょ?」
亜美「それならこっちも報復絶倒!」
真美「因果合法だYO!」
律子「事ここに至って、綺麗ごとも言ってられない……か。よし、その方向で作戦を練りましょう!」
伊織「やよいにばっかり戦わせたりしないんだから! 私たちも力を合わせるわよ!!」
亜美真美「「お→!!」」
やよい「みんな……」ジワッ
休憩です。
―――961プロ・社長室―――
黒井「“真剣”の話は響ちゃんから聞いたよ。随分と慕われているようじゃないか。765プロでの仲良しごっこも無駄ではなかったようで何よりだ」
P「……どうするつもりですか」
黒井「じつを言うと、高木の奴もなにやら手を回しているようでね」
黒井「響ちゃんに言われるまでもなく、765プロとの対決は実現しそうではあったのだ」
P「高木社長……」
黒井「765プロに思わぬ伏兵がいたことは驚きだが、しかし戦力としては話にならん。何度やっても響ちゃんに勝つことなどできまい」
P(それは……)
黒井「今度こそ、765プロを完膚なきまでの叩きのめして見せようじゃないか。ハーッハッハッハ!」
―――961プロ―――
P「……」スタスタ
響「Pさん!」トテテ
P「我那…………響か」
響「えへへ、そうだぞ♪」ニコッ
P「俺を待ってたのか。先に戻ってても良かったのに」
響「うん……ねぇ、Pさん」
P「なんだ?」
響「怒ってる? 自分がやよいにイジワルしたこと……」
P「……あれは、やよ……高槻さんも納得した真剣勝負だった。なにかと響に有利な条件だったが、正々堂々の結果だ」
響「じゃあ、怒ってないの?」
P「怒ってはいないが……高槻さんのあんな顔を見たのは初めてだった。面白くない気分なのは確かだな」
響「……。」
P「まぁ、たかが付き人を気にする必要もないよ。さ、レッスンにでも行ったらどうだ?」
響「……行かないぞ」
P「え?」
響「ね、Pさん。これから2人で遊びに行っちゃおうよ」ニッ
P「は……? それは、どういう……」
響「いいからいいからっ! ほら、これは命令だぞっ!」グイグイ
P「ちょっ、響……!?」
―――動物園―――
響「ほらほら、Pさん早く!」
P「お、おい……いい加減、手を放してくれないか。誰かにバレたら……」
響「変装してるし、大丈夫だぞ! それにパパラッチがいても、黒井社長が揉み消してくれるからね!」
P「それ俺の存在も一緒に揉み消されそうなんだけどなぁ……」
響「もうっ! 今を時めくアイドルと、手を繋いで動物園だぞ? もっと喜びなよ!」
P「嬉しいは嬉しいんだけどな」
響「……! 嬉しいんだ……ふぅん」///
P「しかし元プロデューサーとしては、周りの目が気になるんだよ」
響「そんなこと言って、人目のない自分の家に連れ込む気だろ! 変態プロデューサー!」
P「おいおい、勘弁してくれ……」
響「ふふ、冗談だぞ」ニコッ
P「なんだか響は最近、よく笑ってくれるようになったよな」
響「え……そう、かな?」
P「ああ。最初は俺のこと警戒してずっと睨んでたのに、今じゃこうして手を取って笑ってくれてる」
響「……う、うん」///
P「響は猫みたいだと思ってたんだが、今はどっちかといえば犬みたいだなって思うよ」
響「……。」
P「おっと、気を悪くしたか? 動物に例えるなんて失礼―――」
響「その通り、なのかも」
P「え?」
響「自分、沖縄出身だってことは知ってるよね?」
P「あ、ああ」
響「もちろん実家も家族も沖縄で、自分1人だけで、こんなに離れた東京の都会で、アイドルやってるんだ」
P「……うん」
響「最初は黒井社長の言う通り、アイドルっていうのは孤独なもので、みんな同じ寂しさの中で頑張ってるんだと思ってた」
P「……」
響「だけど765プロは、みんな仲良さそうで、まるで家族みたいで……Pさんのことを尊敬してるのも伝わってきた」
P「!」
響「自分、どっちが正しいのかよくわかんなくなっちゃって……気がついたら、こっちに移ってきたPさんに声をかけてたんだ」
P「……そういうことだったのか。じゃあ、あの時会ったのは偶然じゃなくて……」
響「うん……。Pさんのこと、見に行ったんだ。まさか自分たちの付き人になるなんて思わなかったけど……好都合だった」
P「見極めるため……か?」
響「うん。きっとどっちが間違ってるとかじゃないんだ。だから“自分に合ってるやり方”はどっちなのか、知りたかったんだ」
P「その様子だと、響はどっちかといえば、765プロの方が合ってそうだな」ナデナデ
響「……そう、かも」///
P「それなら……」
響「だけど黒井社長には、今日までお世話になった恩がある。それに良い人だし……だから」
P「……そっか。それが響の答えなら、俺はなにも言わないよ」
響「うん……。でも、今日Pさんとやよいが仲良さそうにしてるのを見て、羨ましくて、悔しくて……」
P「……だからやよ……高槻さんに『真剣』を申し込んで、あんな条件を提示したのか」
響「そう、だぞ……あの時は冷静じゃなかったんだ。ごめんなさい。もう無理して、高槻さんって呼ばなくてもいいぞ……」
P「……俺が響の付き人である限りは、全力でお前のことを傍でサポートするからさ。だから寂しがることなんてないぞ」ポンポン
響「……えへへ。やっぱりPさんって、にぃにとそっくりだぞ」///
P「にぃに……? お兄さんか?」
響「うんっ! だからこんなに……心を許せるのかも」
P「嬉しいよ、響」
響「ほんとっ!? じゃあ、自分も嬉しいぞ!」ニコッ
P「そっか」ニコッ
響「よーし、今度はあっちのふれあいコーナーに行ってみるぞ!!」グイッ
P「こらこら、走らなくても動物は逃げないぞ?」
響「えへへっ!」///
―――765プロ―――
律子「いろいろとわかってることがあるというのは大きいわね。まず、手番が確定している」
やよい「手番……響さんが『黒』ってことですね」
律子「そう。白番は縦・横・ななめをまず選択して定石を誘導できる。戦況の誘導をすることができるのはとても有利だわ」
やよい「でも、それでも前回は負けちゃいました……」
律子「それはやよいが、状況の有利さを上手に生かせていなかったからよ」
やよい「……?」
律子「まず、相手はおそらく、あらゆる定石を読み込んで、無数の実践の中で勘を磨いてきたはずよ」
やよい「どうしてですか?」
律子「自分から“3分切れ負け”を指定すると言うのは、つまり“早打ち”に自信があるということよ」
やよい「はい……たしかに、最終的に響さんは、1分くらいしか使っていませんでした」
律子「それは多くの実践の中で、最善手を短時間で見極める勘を養ってきたということを意味するのよ」
やよい「なるほど……」
オセロって普通にほのぼのと楽しめるもんだと思ってた…
律子「では、そんな圧倒的な経験値の差を埋めるにはどうしたらいいか……それはズバリ、これよ!」スッ
パチンッ!!
やよい「えっ……これって……!!」
律子「ええ。少しオセロを齧ったことがある人なら、絶対にこんな手は打たない。“だからこそ”なのよ」
やよい「……でも、この手は……」
律子「ええ。けど、これが不利になるのは、相手が正しく最善手を打ち続けた場合に限った話よ」ニッ
やよい「!」
律子「相手はきっと、こんな手は見たことがない。だからこそ、これで相手の今日までの経験は、すべて白紙に戻される」
やよい「……っ」
律子「そしてこちらは、これ“のみ”を想定して練習を続けることで“経験で勝る”。これが私の授ける『秘策』よ」
やよい「……やってみます!!」
律子「オセロの理論的なところは、いつでも私が補完するから、頼りにしてね」ニコッ
やよい「律子さん……ありがとうございますっ!」ガルーン
―――961プロ―――
P「あの、星井さん。そろそろレッスンに……」
美希「あふぅ……あれはもうカンペキだから、問題ないって思うな」ゴロゴロ
P「いや、でも……」
美希「付き人さん、付き人なのに口出しすぎだって思うの。ミキは、ミキのやりかたで頂点を目指すの」グデーン
P「うーん……。実際結果を出してるんだから、なんとも言い難いものがあるが」
美希「でしょ?」
P「仕方ない、イチゴババロアは響にあげるか」スタスタ
美希「ちょっと待つのっ!!」ガバッ
P「なんでしょう?」
美希「イチゴババロアって、どういうことなの!?」
P「レッスンで疲れた子にあげるために買ってきたんだけど……わりと高かったから、1個しかなくって」
美希「うぅ~~っ……」
P「おーい、響ー」スタスタ
美希「わ、わかったの! ちゃんとレッスンに行くの!」
P「そっか、それは助かるよ」ニコッ
美希「むぅ~。付き人さん、ナマイキだと思うな」ムスッ
P「……それに、その枕の下に見えてるオセロ教本……ダラけてるように見えても、しっかり頭の中でオセロしてるみたいだし」
美希「!」ギクッ
P「これは頑張り屋さんへのご褒美だよ」
美希「……ほんとに、ナマイキなの」プクッ
―――765プロ―――
やよい「こ、こう……?」ニヘラ
亜美「ちがうちがーう! 甘いよ甘い!!」
真美「もっとこんな感じで、目を細めて……」
亜美「あごをあげて……」
真美「ニタァ……って感じで!」
亜美「養豚場の豚を見るような目で!」
やよい「あぅぅ……こんなの、ホントに意味あるの?」;
亜美「あるYO!」
真美「大ありだYO!」
やよい「でもでも、やっぱりこういうのって良くないっていうか……」
亜美「やよいっちは、兄ちゃんを取られて悔しくないの!?」
やよい「そ、それは、くやしいよっ……!」
真美「だったら、その感情をすべて解放するのだ! 今こそダークネスやよいっち覚醒の時!」
やよい「だ、だーくねす?」;
亜美「やよいっち……良い子でいて765プロが終わるのと」
真美「悪い子になってでも兄ちゃんを奪い返すの……」
亜美・真美「「いったいどっちがイ→んだいっ!?」」
やよい「……!」
亜美「さぁさぁ!」
真美「どうするのやよいっち」
やよい「私……私は……」
やよい「 ……こういう、顔? 」ゴォォオオッ!!
亜美「わーお! すごい! イイ表情だよやよいっち! はるるん閣下よりイイ顔してる!」
真美「まずはステップ1だね! よーし、お次はバリゾーゴンの練習だYO!」
やよい「な、なんか強そうな怪獣みたいな名前……!」ゴクリ…
―――961プロ―――
ブロロ…
P「よし、ついたぞ」ガチャッ
貴音「P殿、ありがとうございます」ペコッ
P「ははっ、四条さんは礼儀正しいな」
貴音「そのようなことは……」
P「そんなことあるさ。響なんて、第一声が「変態プロデューサー」だったからなぁ」
貴音「……響に、なにかしたのですか?」ジッ
P「そ、そんなことないぞ!? 大方、黒井社長に吹き込まれたことを真に受けたんだろう」
貴音「やはりあれは、真ではなかったのですね」
P「ああ。まぁ悪意の嘘というよりは、黒井社長も765プロにライバル意識を持ってもらいたかったんだろうな」
貴音「……」
P「さ、早く戻ろう」スタスタ
貴音「あの、P殿」
P「うん?」
貴音「近頃の響の様子は、如何ですか?」
P「んー、まぁ、なんだか生き生きしてるような気がするな」
貴音「そうですか……」
P「なにか気になることでもあるのか?」
貴音「いえ、そういったことでは……」
P「響のことでなにか心配なら、直接本人と話してみたらどうだ?」
貴音「響と、ですか?」
P「ああ。せっかく同じプロジェクトの仲間なんだからさ。腹を割って話すのも悪くないんじゃないか?」
貴音「しかし、961の方針は……」
P「ああ……王者は常に一人、だったか」
貴音「はい。ですので……」
P「だけどさ、四条さん。どんな王様にも、友達くらいはいるんじゃないか?」
貴音「―――。」
秘策には響はひっかかりそうだが貴音には先に手を読まれ回避され美希には天性の勘で効かなさそうだ
P「ボクシングチャンピオンだって、総理大臣だって、トップアイドルだって……友達くらい、いると思うけどな」
貴音「……馴れ合いになるかどうかは、各々の自制心によるもの……ということですか」
P「まぁ、そういうことだな。キミたち3人は、仲が悪いわけでもなさそうだし、もう少し歩み寄ってもいいんじゃないかな」
貴音「……」
P「なんて、俺が961プロの方針に口出してもな……はは」ポリポリ
貴音「いえ……真、勉強になりました。感謝いたします」ペコッ
P「お、おう……?」
貴音「ふふっ、それではP殿、これから皆で食事でも如何でしょうか?」
P「お、いいな! 今日くらいはハメを外して、なに食べても良いぞ」ニコッ
貴音「では、前々から興味のあった店がありますので、よろしければそちらへ参りましょう」
P「よしわかった! それじゃあ、みんなを集めて出発だ!」
貴音「はい」ニコッ
―――765プロ・社長室―――
高木「高槻くん……聞いたよ、真剣師ランクが、ついに……」
やよい「はいっ! Bランクになりました! これでいつでも、響さんと戦えます!」
高木「まさかこんな短期間で、Bランクまで上り詰めるとは……本当に大した才能だと感心するよ」
やよい「プロデューサーに、765プロを任されましたから!」
高木「……そうだね。ついに明日、決戦の日となったが……仕上がりはどうだね?」
やよい「勝てるかどうかは、正直、あんまりわかりません。響さんは、とっても強いです」
高木「ああ、その通りだ」
やよい「でも、勝たなきゃいけないってことは、わかってます。なので全力で、ぜったい勝ってみせます!!」
高木「……彼と、プロジェクト・フェアリーの価値は同等だった。当然、今回もそれなりのものを賭けなければならない」
やよい「!」
高木「私は今回、この765プロそのものを、賭けようと思う。彼の価値は今、それほど大きいものだと確信しているからね」
やよい「765プロ、そのもの……」
高木「当然負ければ、この765プロは961プロに吸収される。……だがどのみち彼が戻らなければ、辿る末路は同じだろうという判断だ」
やよい「……そうです! プロデューサーがいるからこその、765プロですから!」
高木「勝ってくれたまえ、高槻君! そして必ずや、彼を……!」
やよい「うっうー!! まかせてくださいっ!!」ガルーン
―――765プロ事務所―――
ガチャッ…
やよい「……」トボトボ
伊織「やよい」
やよい「!」ビクッ
伊織「浮かない顔ね」スタスタ
やよい「そ、そんなこと、ないよ……? 私は、元気で……」
伊織「……」ギュッ
やよい「い、伊織ちゃん……!?」///
伊織「1人でなんでも背負い込まないの。やよいは1人じゃないんだから」ギュゥゥ
やよい「…………っ」ジワッ
伊織「不安なんでしょ?」
やよい「……うん……私のせいで……私が、負けたら……765プロが、なくなっちゃうかもってぇ……!」ポロポロ
伊織「ええ……でも、やよいが全力を尽くして戦ってくれることくらい、みんな知ってるもの。誰も文句なんて言わないわ」ナデナデ
やよい「でもぉ……!」
伊織「負けたときのことなんて、考えるだけ無駄よ。なにかあったら、私がなんとかしてみせるから……だから、安心しなさい」
やよい「いおりぢゃん……!!」グスッ
伊織「ほら、涙はあのバカが帰ってきたときまでとっときなさい」フキフキ
やよい「うんっ……」
伊織「やよいは代表として戦うだけで、1人で戦うわけじゃないわ」
やよい「!」
伊織「みんなで戦うの! そのことを、覚えときなさいよね。にひひっ♪」ニコッ
やよい「うわぁああああああんっ!! いおりぢゃぁああん!!」ギュゥゥ
―――961プロ―――
響「ねぇ、Pさん。明日はいよいよ、自分とやよいとの対決だぞ」
P「そう、だな……いよいよか」
響「……やっぱりPさんは、自分に負けてほしいのか?」
P「え?」
響「やよいが勝って、765プロに戻りたいのか?」ジッ
P「……961プロで出会った、響たちとの日々は、充実していたように思うよ」
響「!」
P「だけどやっぱり、俺の居場所はここじゃない……765プロだと思うんだ」
響「……っ」
P「あそこには、俺の帰りを待ってくれてるアイドルたちがいる……」
響「自分は……? ねぇ、自分はっ!?」
P「響……?」
そういえば美希は元々は765プロにいたわけじゃなく最初から961プロにいたことになってるのかな?
響「せっかく、この2週間で、こうやって仲良くなったのに……!」
P「俺は、“真剣”の……勝負の結果に従うことしかできない。俺やみんなの意思が、どうであろうとな」
響「……じゃあ……明日は絶対に、自分が勝つぞ。もう一度やよいを叩き潰して、765プロも終わりだよ」
P「そうはならないと、俺は信じてる」
響「……っ!!」
P「でもな、響」
響「?」
P「俺の居場所は765プロだと思う。……でも、だからって響に負けろとか、頑張るなとか言ったりはしないよ」
響「え……」
P「響も、精いっぱい頑張ってくれ。正々堂々、全力でな」ナデナデ
響「あ、ぅ……うん……!」///
>>154 そういうことになってます。
≪それぞれの想いと思惑が交錯する中で、ついに決戦当日を迎えた≫
≪リバーシホテルのVIPルームで行われるその対局は中継され―――≫
≪全国の真剣師たちが、その結末を固唾を飲んで見守っていた≫
―――リバーシホテル 最上階・VIPルーム―――
黒井「フン、尻尾を巻いて逃げ出さなかったようだな。そこだけは褒めてやる、弱小プロダクション」
高木「大切なものを、取り戻さなければならないのでね」
黒井「抜かせ、高木。今日が貴様の……いや、貴様たちの最後となるだろうなぁ?」
高木「私は、私のスカウトしたアイドルの力を信じるさ。きっとお前に恥をかかせてくれることだろう」
黒井「フン、口の減らない奴だ……」
黒井「響ちゃん、キミの力で765プロを叩き潰すのだ!!」
高木「高槻君……準備はいいね?」
響「ルールは前回と同じ“3分切れ負け”で、自分が先手。問題はあるか?」
やよい「べつに」
響「……? なんだ、緊張してるのか? 無理もないさー、1週間前は自分の圧勝だったんだ、今回も……」
やよい「“そんなこと”より、プロデューサーは来てないんですか?」キョロキョロ
響「なっ!? そんなことって……!」
黒井「フッ、来いとは言ったんだがね。彼はうちのアイドルたちの現場にでも向かっているのだろう。所詮はその程度の絆というわけだ」
高木「……またなにか手を回したようだな」
黒井「さて、なんのことかね?」
響「ふふん、聞いたかやよい? Pさんは961プロの仕事を優先したみたいだぞ」
やよい「……」
響「でも安心するといいぞ! 今回賭けられてるのは765プロそのものだからね。負けても961プロでまた会えるぞ」ニヤッ
やよい「……」
響「……ねぇ、なんとか言ったらどうなんだ? この中継は音声は拾ってないんだぞ? それとも緊張しすぎて、声も出せな―――」
やよい「はぁ、うるさ」ボソッ
響「―――は、ぇ?」
やよい「じゃあ、そろそろ始めましょうか。そっちが先手ですよね。はいどうぞ」
響「ちょ、ちょっと待て! 今、なんて言ったッ!?」///
やよい「……響さんって、いっぱい動物飼ってるんですよね? じゃあ、犬とかも?」
響「え……まぁ、そうだけど」
やよい「弱い犬ほどよく吠えるって言いますけど……ふふっ、飼い主がこれじゃ、その犬も、さぞかしよく吠えるんでしょうねぇ」クスッ
響「―――ッ」ピキッ
やよい「あ、また吠えるんですか? 元気でいいですねぇ。わんわん♪」クスクス
響「やよいッ!!」ガタッ
黒井「響ちゃん!」
響「っ」ビクッ
黒井「安い挑発に乗るんじゃない。座って、さっさと始めたまえ」
響「……は、はい……っ」ピクピクッ
やよい「私が正直なせいで、飼い主さんに怒られちゃいましたね。ごめんなさーい」ニヘラ
響「……ッ!!」ピキピキ
やよい「ところで、ここ、なんだか動物園みたいな匂いがしませんか?」キョロキョロ
響「……は? べつにそんな匂いは……」
やよい「あっ。すみません、デリカシーがありませんでした。失礼なことを言ってしまって、ごめんなさい」ペコッ
響「え? ………………あっ!!!!」ブチッ
やよい「さて、そろそろ対局を始めましょうか。社長、お願いします」
響「……ッ」ピクピクッ
高木「では、対局を開始するよ。対局、始め!」ピッ
≪3:00|2:58≫ カチッ カチッ…
響「……く、くそっ」スッ
バヂッ ダンッ!!
≪2:58|2:54≫ カチッ カチッ…
やよい「ところで響さん、どうして最初の対局で、“3分切れ負け”を指定したんですか?」
響「は……? やよい、もう時計は動いてるんだぞ……?」
やよい「あれ? ……あははっ、もしかして響さん、ビビってるんですか?」クスクス
響「なっ……!?」///
やよい「1週間前に圧勝したから今回も~、とか言いつつ、時間が足りなくなるかもってソワソワしてるんですかぁ? 可愛いですね!」
響「ち、違う! 自分はともかく、やよいは時間が足りなくなるだろうと思って言ってやったんだぞ! ビビってなんかない!!」
やよい「ああ、そういえば響さんって、早打ちが得意なんですもんね?」
響「え……まぁ、そうだけど」
やよい「だから“3分切れ負け”にしたんですもんね? 前回も、今回も」ニヤッ
響「―――ッ!?」
やよい「響さんは頭がいいですねー。尊敬しちゃいますー」スッ
パチッ、タンッ
≪2:19|2:52≫ カチッ カチッ…
やよい「ほら、早くしないと、最後の方で焦っちゃいますよ? せっかく自分に有利なルールに根回ししたのに」クスッ
響「違うッ!! あのときは時間がなかったから……!!」
やよい「じゃあ、今回は? たしか対戦内容は、響さんが指定したって聞きましたけど」
響「それは、だって、前回とおんなじルールで戦うのが、いいだろうって思って……!」
やよい「ふぅん、そういう言い訳を用意してきたんですね」
響「い、言い訳じゃない!!」ジワッ
やよい「そうやって、がんばっていろんな手を使いながら、コツコツAランクまで上り詰めたんですね。ご苦労様です」ニコッ
響「じ、自分は実力でここまで上り詰めたんだ! どんなルールだって、やよいなんかに負けたりしない!!」
やよい「ふぅん……まぁ、もう対局が始まっちゃいましたから、なんとでも言えますよねぇ」
響「くっ……ぐぅ!!」ギリッ
響は挑発に弱いからなぁ…貴音なら独自の空気を乱さず面妖なと冷静に打ち
美希ならぽけーとしながらあふぅ…のんびりと打ちそう
貴音は回りでラーメンをちらつかせたら弱そうだ
負けたあとの響のケアなら任せとけ!
>>170
この貴音はらぁめん好きかわからないから微妙だ
>>171
お前に任せるわけにはいかない!ここは同じ沖縄生まれのオレに任せろ!!
尚、本籍は親父側の鹿児島のもよう
そういや木星はまだいないのかな?
フェアリー全員が765に移ったあとに出るのか秘密兵器としてフェアリーも知らず裏で鍛えられてるのか
やよい(はわわっ……! ご、ごめんなさい響さん~っ!!)アセアセ
やよい(響さんが怒ってるってことは、亜美と真美に教わった『バリゾーゴン作戦』は成功したのかな……?)
やよい(前回、私が残した“40秒”を使って、響さんを怒らせて時間を使わせる作戦……)
やよい(亜美と真美が言うには、そうすれば響さんは絶対に1分以上は打ってこないって言ってたけど、ホントかな?)
やよい(こんなのズルイし、響さんにはごめんなさいだけど……私、どうしても勝たないといけないんです……!!)
やよい(台本の通りに悪い子を演じてでも、私はプロデューサーを取り戻して、765プロを守りますっ!!)
>>175
SPと2の世界観がそもそも違うから出なさそう
出たとしても咲みたく女性>>>>>男性の可能性は十分にある
やよい「そういえば響さん、もしこれに負けたらどうするんですか?」
響「……え?」
やよい「黒井社長が長い時間をかけて、やっと成功させた作戦を響さんが台無しにしたら……クビじゃないですか?」ニヤッ
響「そ、そんなこと……!」チラッ
黒井「ウィ。当然だ。その程度の小娘に負けるような軟弱アイドルは、961プロには必要ない」イライラ
響「えっ……!?」ゾクッ
やよい「わぁ、大変ですね! お仕事クビになったら、ペットたちはどうやって食べさせていくんですか?」
響「そ、それは……」
やよい「みんな沖縄に連れては帰れませんよね? もしかして、食べちゃうとか?」クスッ
響「そ、そんなわけないだろッ! みんな自分の家族なんだ!!」
やよい「じゃあ、お給料もないのに頑張って食べさせていくんですね。もしも、この対局に負けたら、ですけど」
響「……か、勝てばいいだけだぞ」
やよい「そうですね。勝たないと、家族みんなが飢え死にしちゃいますから」ニコッ
響「……っ」ゾクッ
>>177
そういやSPではフェアリーは敵だが2ではもともと765設定なんだっけ?
そう考えると木星は出番なしで終わりそうだ
黒井「響ちゃん! いいからさっさと打ちたまえ!!」
響「っ!?」ビクッ
≪2:19|1:22≫ カチッ カチッ…
響「わっ、もう時間が……!」スッ
響「―――えっ!?」
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響(なん……だ……!? なッ、“並び取り”ぃぃい!? こんな白不利の手を打ってくるなんて、なに考えてるんだ!?)
響(っていうか、こ、これは、どこに打てばいいんだ……!? こんな手を打ってくる相手なんか、今まで……!)
響(真ん中……か? 綺麗な中割りだし、開放度も一番低いし、D6が最善手……なんだよな?)
響(ああもう、時間がないぞっ! 悩んでる暇なんてない!!)スッ
パチッ タンッ…
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≪2:19|1:08≫
やよい「っ」パチッ タンッ!!
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響(ノータイム!?)
響(えっと、えっと……!!)
響(た、多分ここ!!)パチッ タンッ
やよい「っ」パチッ タンッ
響「……うっ、ぐっ……!?」
響(集中、集中するんだ自分……!!)ゴォォオッ!!
やよい(今度は、律子さんに教わった『並び取り作戦』……!)
やよい(響さんも、まさかこんな大事な場面で、白不利って言われてる並び取りを打ってくるなんて思わないはず)
やよい(そして並び取りが不利になるのは、“先手が正しく受けた場合”だけ。つまり相手が焦って緩手を打てば、白有利にもなる!)
やよい(かなりぎゃんぶるな作戦だけど、普通に縦取りとかななめ取りで戦って、経験の差で負けるよりも……)
やよい(この一週間、並び取りの練習と研究だけをし続けてきた……こっちの方が、まだ勝機はあるっ!!)
やよい(『ねずみ定石』も『牛定石合流』もさせない……! あくまで響さんが見たことのない盤面を保つ!)
やよい(オセロは最初のリードが一番重要だから、この10手以内で響さんが緩手を打ってくれれば……!)
オセロって怖い…本当そう思わされるSSだよ
響「……ナイ……ケラレ……」ブツブツ
パチンッ タンッ
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やよい「……っ」パチッ タンッ
やよい(なかなか緩手を打ってくれない……さすが響さん、まったく知らない局面でも、冷静に最善手を打ち続けてる……)
やよい(最初で緩手を打ってもらえないと、後半になると『並び取り作戦』のデメリットの方が大きくなって、リードを守られちゃう……)
響「……マケ……レナイ……」ブツブツ
バチッ ダンッ
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パチッ タンッ
バチッ タンッ
パチンッ タンッ
パチ タンッ
パチンッ タンッ
パチッ タンッ
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響「 負けられないっ……!! 」ゴォォオオオオッ!!
やよい(う、うそ……まったく緩手がない!? リードもしっかり守られてる……このままじゃ……!?)
―――961プロ―――
P「……さて、そろそろ響が帰ってくる頃かな? まったく、決戦前に仕事なんて、黒井社長もなに考えてるんだか……」
美希「響は戻ってこないよ?」スタスタ
P「え……星井さん?」
美希「だって、付き人さんに教えた決戦の予定時刻は、ウソだもん」
P「は?」
美希「黒井社長がね、付き人さんには来てほしくないんだって」
P「なっ……!?」
美希「だからミキ、付き人さんを騙すように指示されたの」
P「も、もう対局は始まってるのか!?」
美希「ううん、まだだよ。今から行けばギリギリ間に合うかもしれないけど……3分切れ負けだし、どうだろうね」
P「くそっ……!」ダッ
美希「……」スッ
P「なんのつもりだ、星井さん……そこをどいてくれ!」
美希「ここを通りたければ、ミキを倒していくの。……もちろん、“真剣”でね」ニッ
P「なんだって……?」
美希「なんだか付き人さんって強いらしいし、一度本気でやってみたかったの。だからわざわざ、ウソのこと教えに来てあげたんだよ?」
P「……オセロなら後でいくらでもしてやるから……!」
美希「それじゃあダメなの。今なら付き人さんは、正真正銘ホンキ出してくれるでしょ?」
P「……」
美希「フェアリーの中でも、響は『安定して強い』ってカンジなの。だから大事な勝負には、響が呼ばれるんだけど……」
P「知ってるさ。星井さんは『テンション次第で実力が大きく変動する』ってタイプなんだろう?」
美希「そうだよ。だから調子が良いときはミキ、誰にも負けたことないの。本気を出せば、負け知らずってカンジ!」
P「そう言うってことは、今日は調子が良いみたいだな」
美希「そうなの! 今日は特に絶好調で……あーあ、今日の“真剣”、響でも負けないだろうけど、ミキならもっと楽勝できたのにな」
P「……俺が勝ったら、言うことをきいてもらうぞ」
美希「うん、いいよ。ミキに勝てたら、付き人さんの言うこと、なんでもきいてあげる」
P「じゃあ俺が負けたら星井さんの言うことをきく。それでいいか?」
美希「ふふっ、なにを命令しちゃおっかな~。『ミキ専属のおにぎり係』とか?」
P「俺の命令は、もう決まったぞ」
美希「なに?」
P「『そこをどけ』、だ」
美希「……ふぅん」ニヤッ
P「それじゃあ“真剣”を始めようか」
美希「なら、対局室に……」
P「いや、俺たちにはそんなもの、必要ないだろ?」
美希「……! アハッ☆ 付き人さん、面白いねっ! 見直しちゃったかも」
P「時間がない。そっちが黒なんだろ?」
美希「絶好調のミキに『目隠しオセロ』を挑むなんて……すごく面白いよ……!」
美希「叩き潰してあげる!!」バッ
美希「c4!」
P「e3!」
美希「f5!」
P「e6!」
美希「f6!」
P「c5!」
美希「f4!!」
P「g6!!」
美希「f7!!」
P「f3!!」
美希「……アハッ☆ 強い強い! ミキ、こんなにワクワクしてるの、久しぶりなの!」
P「俺もだよ。この、見えない刀で斬り合ってるような感覚……しばらく味わってなかったよ」
美希「今のミキ、すっごいキラキラしてるかも!!」
P「もっとキラキラさせてやるさ」
美希「素敵っ!!」
美希「もうミキ、抑えられない……!! 本気で行くから―――」ザワッ…!!
美希「 最後までついて来てね、付き人さん!! 」ゴォォオオオッ!!!
―――リバーシホテル・最上階・VIPルーム―――
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やよい「……っ」
やよい(つ、強すぎる……! これ……もう、どこに打っても敗勢なんじゃ……);
やよい(私だって、最善手とまではいかなくても、良い手ばっかり打ってたと思う! 緩手はなかったはず!)
やよい(でも響さんがそれ以上に、あの状況からほとんど最善手だけを打ち続けた……!)
やよい(あれだけいろんな作戦を用意したのに、それが通用しないなんて……);
やよい(ただ唯一、勝ち目があるとすれば、それは……)チラッ
≪1:21|0:18≫
やよい「……っ」パチッ タンッ
響「っ」パチッ タンッ
やよい(いくら早打ちの響さんでも、まったく見たことのない局面から始まったこの勝負でノータイム打ちはできなかった)
やよい(だから序盤、響さんは残り時間が少ないのに、長考しなくちゃいけない場面がいくつもあった)
やよい(ここまで局面が進んでいれば、いつものペースで打っていけてるみたいけど……)
やよい(オセロで考える時間が必要なのは、序盤から中盤にかけての戦局の分かれ目と―――)
やよい(そして、残り数手をどこから埋めていくかで大きく石数が変動する『最終番』!)
やよい(響さんはそこで、私の考慮時間だけで答えを出して、自分の手番が回ってきたらノータイムで打たなきゃいけない)
やよい(そこで響さんが緩手を打つのを期待するしかない……!!)
やよい(響さんがここまでに緩手を打ってくれないことは、計画外だけど、想定内でもある)
やよい(だから私はこの一週間、響さんが緩手を打たなかった場合のことも考えて“ななめ取り戦法”の特訓をしてきた)
やよい(私にとってこの局面と、そして『最終番』の石模様は頭に焼き付いてる……こっちもノータイムで、響さんに考慮時間は与えない!)
高木「高槻君……わずかな時間でこれほどまでに……」
黒井「フン……だが、じつに弱小プロダクションらしい姑息な手だったな」
高木「我那覇君は時間がない。勝負はどうなるかわからないぞ」
黒井「認めてやろう……弱者の工夫はな。そしてあの娘に光るところがないとは、思わん」
高木「!」
黒井「だが高木、貴様もわかっているだろう? もう残り数手……ここまで来れば、響ちゃんは緩手なぞ打たない」
高木「……っ」
黒井「ノータイムのインファイト合戦でも、圧倒的な経験差で響ちゃんが捻じ伏せる。それは揺るがん」
高木「……私は信じるよ。私のスカウトしたアイドルを……そして」
やよい「っ」パチッ タンッ
響「っ」パチッ タンッ
バチッ タンッ
パチンッ タンッ
パチッ タンッ
パチッ タンッ
バチッ タンッ
パチンッ タンッ
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≪1:15|0:12≫
響(隅を3つと下辺をほぼ制圧した……でも、まだ油断はできない!)
響(隅を取って喜ぶのは初心者だけだ……最悪、四隅全部を取らせても勝つことも、一応はできなくもない)
響(やよいも強い……まるで肉を切らせて骨を断つみたいに、隅を取らせて辺を占領つもりだ)
響(だけど、もうかなり勝勢なのも事実だ……残り時間はわずかだけど、焦らなくていい)
響(負けるわけにはいかない……961プロのために、自分と家族のために……そして……!)
やよい「っ」バチッ タンッ
響「Pさんは渡さない……Pさんは自分のだ!!」パチンッ タンッ
やよい「っ!? プ、プロデューサーは、私たちの大切な人ですっ!! 響さんにはあげません!!」パチッ タンッ
響「Pさんのことを考えると、胸がいっぱいになる。Pさんが自分を高めてくれる! 今の自分は―――『完璧』だッ!!」
バチッ ダンッ!!
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≪1:12|0:09≫
やよい「……か、はッ……うぅ……!?」;
やよい(ついにここまで緩手無し……! 響さん、本当にすごい……)ヨロッ
響(いつもは終盤に残ってるはずの考慮時間がないから、ちゃんと読めない……正解かどうかがわからない……!)
黒井「……終わったな。高槻やよいが残りすべて最善手を打っても、黒35、白29……『6石差』だ」ボソッ
高木「……ッ」ギリッ
やよい(これで、負け……765プロが、終わる……? そんな……そんなのって……)
やよい(ごめんなさい、みんな……ごめんなさい、プロデューサー……!!)ジワッ
バダンッ!!
P「……はぁ、はぁ……」ゼェゼェ
やよい「プ……プロデューサー!?」
響「Pさん!?」///
高木「プロデューサー君……!」
黒井「何っ、馬鹿な……!?」
P「やよい!!」ダッ
やよい「っ!!」/// ドキッ
響「―――」
P「……まだ、決着はついてないみたいだな……」チラッ
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≪1:04|0:09≫ カチッ カチッ…
やよい「でも、私……このままじゃ……」ジワッ
P「おいおいやよい。俺が前に教えたこと、忘れたか?」
やよい「ふぇ……?」ウルウル
P「オセロは最後まで、どう転ぶのかわからない競技だぞ?」ニコッ
やよい「!」
>>197 >>203
※なんでここにきて盤面ミスったし……修正です。
P「やよい!!」ダッ
やよい「っ!!」/// ドキッ
響「―――」
P「……まだ、決着はついてないみたいだな……」チラッ
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≪1:04|0:09≫ カチッ カチッ…
やよい「でも、私……このままじゃ……」ジワッ
P「おいおいやよい。俺が前に教えたこと、忘れたか?」
やよい「ふぇ……?」ウルウル
P「オセロは最後まで、どう転ぶのかわからない競技だぞ?」ニコッ
やよい「!」
P「勝て、やよいっ!!」
やよい「……は、はいっ!!」/// ジワッ
やよい「 うっうー!! ぜったい、勝ちますっ!! 」ゴォォォオオッ!!
バチンッ ダンッ!!
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≪0:48|0:09≫
Pはやよいに何か話し掛けるのはダメだろ
真剣勝負に水を差してるな
>>207 黒ちゃんが先にやってるので。。。
響(『勝て、やよい』……? 『頑張れ』じゃなくって……?)ドクン…
響(自分には、『負けろとは言わない』って言ったのに……)ドクン…
響(やよいには―――)ドクン…
黒井「響ちゃん、なにをボサっとしている!!」
響「はっ!?」ビクッ
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≪1:04|0:06≫ カチッ カチッ…
響(自分が打てる場所は『g4』、『h2』、『h3』……どこが正解だ!?)
響(3択……残り数秒……外したら人生終了……!!)ゾクッ
響(どこだ……どこが最善手なんだっ……!?)
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≪1:04|0:05≫ カチッ…
響「こ、ここだっ!!」パチッ タンッ
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≪1:04|0:04≫
黒井「なっ……!?」ガタッ
高木「!!」
響「え、あっ……?」
やよい(響さんが打てた場所……g4、h2、h3)
やよい(そのうちg4、h2に打たれたら負けだった―――)
やよい(だけどっ!!)スッ
やよい(『h3』は……!!)
響(まさか……まさかッ!?)
やよい「っ」バチッ ダンッ!!
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響(『h5』しか打つ場所がない……!! 『指定打ち』された!? 自分が、やよいに!?)パチッ タンッ
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やよい「っ!」バヂッ!!
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やよい「っ!!!」バヂッ ダンッ!!
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高木「わずかな望みを繋ぐ三連撃……!! しかもまた『指定打ち』とは……!」
黒井「馬鹿な……! こんな……馬鹿なッ!! あの局面から……!!」
P「これが、『オセロ』だ!」
響「うそだ、うそだ、こんなの……!!」パチッ タンッ…
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やよい「っ!!!」バヂッ ダンッ
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響「う、うそだぁぁああああああっ!!!」パチッ タンッ
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やよい「これで……!!」スッ
やよい「終わりですっ!!」ヒュッ
バヂィィィンッ!!
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≪0:40|0:01≫
高木「黒31、白33……『2石差』で、高槻君の勝ちだ!!」
やよい「ゃ、やった……? わた、私……かった……?」
P「ああっ! やよいの勝ちだ!!」
やよい「……ぷ」
やよい「ぷろりゅーさぁぁああああああっ!!」ダキッ
P「やよいっ……!!」ダキッ
やよい「やりまじだぁぁ! わだじ、勝ぢまじだぁぁああ!!」ポロポロ
P「ああ……! すごいぞ、やよい! 本当に……! よく頑張ったな、やよい!!」ギュゥゥ
Pは響にあんなこと言っといてひどいやつだな…
黒ちゃんの場合は「注意」だから違くね?
Pは景品なんだし景品が話し掛けるのはダメだろ
響「―――そ、んな……」ヘタッ
黒井「……ッ!!」ピクピク
高木「黒井、“真剣”の結果は―――」
黒井「わかっているッ!! クソッ!!」スタスタ
響「あっ、黒井社長!? 待ってよ!!」
黒井「……なんだ」
響「う、うそ……だよね? 自分のこと、捨てたりしない、よねっ……!?」
黒井「……先ほども言った通りだ。くだらん挑発に乗って、こんな弱小プロの小娘に負けるような者は、961プロには必要ない!!」
響「っ!? じ、自分、頑張るから!! 次はもう、負けたりしないから……だから!!」
黒井「この世界に『次』はないんだよ!! せっかく今日まで手塩にかけて育ててやったのに、恥をかかせやがって!!」
響「―――っ!?」
黒井「どこへでも消えるがいい!!」スタスタ
ガチャッ バタンッ!!
響「―――ぅ、ぁ……」ヘタッ
やよい「……響さん」
P「……。」
響「は……はは……おかしいよ、おかしい……」ユラッ
響「Pさん……Pさん……あはは……自分、もう……」フラフラ
ギュッ
P「!」
響「捨てないで……Pさん、捨てないでぇ……! もう自分、Pさんしかぁ……」ポロポロ
P「……響」
P「……やよい」チラッ
やよい「はいっ! プロデューサーなら、きっとそう言ってくれるって思ってましたっ!」ニコッ
P「……高木社長」
高木「他所のプロダクションからの引き抜きは“真剣”を介するべきだが……黒井もああ言っていることだ」ニッ
響「……ぐしゅっ……ひっく、Pざぁん……」ポロポロ
P「……なぁ、響」
P「765プロに、響の力を貸してくれないか?」
―――リバーシホテル・最上階―――
黒井「クソッ……!!」スタスタ
黒井「!」ザワッ…
貴音「 ……。 」ゴォォオオオオッ!!
黒井「……やぁ、貴音ちゃんか。どうしたんだい、こんなところで……?」
貴音「黒井殿。今すぐ、響を連れ戻してください」
黒井「……なに?」
貴音「響はフェアリーに必要な存在です。ですので、どうか」
黒井「さっきのを、聞いていたのか……。たしかに響ちゃんの『安定性』は大きな強みだが、あれは代替のきく戦力でしかない」
貴音「……代替?」
黒井「しかし美希ちゃんの『爆発力』と、そして条件さえ整えばフェアリー最強となる『潜在能力』の貴音ちゃん。2人がいれば―――」
貴音「そのようなことを言っているのではありません」
黒井「……?」
貴音「どうやらあの方と違い、『アイドルとして』ではなく『人として』のわたくしたちは見えない様子ですね」
黒井「なんだと……?」
貴音「黒井殿。今この場で、貴方に“真剣”を申し込みます」ザワッ…!!
黒井「―――!?」
貴音「わたくしが勝てば、即刻、響は連れ戻していただきます」
黒井「……キミが負ければ?」
貴音「その時は、我々の長である貴方へと噛みついた罰として、わたくしは961プロを去りましょう」
黒井「……そういうことか」ギロッ
貴音「はい。“そういうこと”です」
黒井「良いだろう……この私に盾突いた、その愚かさに敬意を表して……私自ら、引導を渡してくれる!!」
貴音「いざ」
黒井「“真剣”に」
貴音・黒井「「勝負ッ!!」」
貴音は多分黒ちゃんと取引(?)して真剣で勝てば響を再び961へみたいな流れだと思ってたい
美希の場合はPに負けたがその強さに惚れて「ハニー」呼びになりそのまま765へと的に妄想したがありえねぇーよwwwwと自らを笑った
確かにh3以外だと右端取り切れないから響の勝ちなのか…終盤ってこわいのね
≪765プロと961プロの決戦の結果は、瞬く間に真剣師たちに知れ渡り……≫
≪そして同時に、『プロジェクト・フェアリー』凍結の知らせが世間を賑わせた≫
≪そして、決戦翌日≫
>>227
マジか…
―――765プロ事務所―――
「「「プロデューサー、おかえりなさーいっ!!」」」
P「ただいま、みんな! 心配かけてすまなかった!」
春香「ほんとですよぉ! いきなりいなくなっちゃうんですから!!」
真「びっくりしちゃいましたよ!!」
雪歩「辞表って聞いたとき、気絶しちゃうかと思いましたぁ……」ウルッ
千早「……まぁ、戻ってきてくださったのなら、いいんですけれど」
亜美「一部の人は、心配しすぎて大変なことになっちゃってたもんね→」チラッ
真美「そ→そ→、ね、いおりん?」ポンッ
伊織「べ、べつに、心配なんてしてないわよっ!」///
あずさ「あらあら、うふふ。でも戻ってきてくださって、本当によかったです」
律子「いきなりいなくなられたら困りますよ! プロデューサー殿以外に、こんな個性的なメンバーの面倒見きれるわけないんですからね!」
小鳥「いろんな意味で、プロデューサーさんはみんなの支えなんですから」ニコッ
高木「や、やれやれ……ようやく私も一休みできそうだねぇ」ホッ
P「2週間もいなくなって迷惑かけたぶん、バリバリ働いて挽回するからなっ!」
P「やよいに貰ったチャンスで、みんなをトップアイドルにしてみせるよ」ニコッ
やよい「うっうー! 私もがんばりまーっす!!」ピョコン
春香「それで……あの、プロデューサーさん……そちらの人たちは?」
響「……」///
美希「あふぅ」ポケー
貴音「……」ペコリ
P「まぁ、なんていうか……拾った」
春香「拾った!?」
P「あ、プリプリの方が男の子らしいですかね?」
響「961社長に捨てられたところを、Pさんが拾ってくれたんだぞっ」///
貴音「わたくしも似たような経緯です」
美希「美希は、ハニーについていくって決めたのっ!! 黒井社長、ポカーンってしてたけど、そんなのカンケーないの!」
春香「は、“ハニー”……?」
美希「絶好調のミキが負けるなんて、すっごいショックで、でもすっごいワクワクしたの!」
美希「まだまだミキは強くなれる、もっとキラキラできるんだって!」
>>226が的中してるww
P「ああ。きっと星井さんなら……」
美希「“美希”っ!!」
P「……美希なら、もっとキラキラできるよ」
美希「アハッ☆ 信じてるよ、ハニー♪」ギュッ
響「あーっ! ずるいぞ、美希! Pさんは自分のなんだから!」/// ギュッ
貴音「……ふむ。では、わたくしも」ギュッ
伊織「な、なにやってんのよアンタたち! こらプロデューサー、アンタも! なにデレデレしちゃってんのよ!?」
P「えっ!? いや、べつに……」
美希「むぅ。デコちゃんうるさいの」
伊織「でッ!?」デチョーン
律子「はぁ……またアクの強いのを持って帰ってきて……」
小鳥「ふふっ、賑やかになりそうですね」ニコッ
やよい「うっうー! それでは新生765プロで、これからもっとも~っと、頑張っていきましょう!」スッ
「「「765プローっ、ファイトー!!」」」
やよい「オセロで真剣勝負です!」 ―――了。
>>234
自分でも驚きだよ…
>>226 わかりやすいのは勘弁してください……w 美希はこれしかないと思うので
最初は将棋でやろうと思ったのですが、棋譜作成が大変なのでオセロにしました。
……オセロの方がもっと大変でした。
途中でご指摘がありましたように、
このSSの『オセロ』に『将棋』を代入して、『初期ドラゴンボール』を足すと、だいたい【ハチワンダイバー】になります。
それでは、HTML化依頼を出してきます。
長らくお付き合いしてくださった方々、ご支援等、ありがとうございました!
棋力
高木=黒井>>>貴音(上限)>>>P>美希(上限)>>響>>美希(下限)>やよい>貴音(下限)>>>真剣師>>>その他>>>春香
なぜ春香さんはこういうSSでオチみたいに扱われるのか…
このSSまとめへのコメント
このssおもしろいのにpvすくないな。何でだろ?
ストーリーもよく出来てるし、もっと色んな人に見てほしいんだけど……。