春香「見て!ジュピターの二人がテレビに出てるよ!」 (244)

北斗『まさか司会者さんがこんなに美しいとは思いませんでした』

MC『美しいってそんな///』

北斗『美しさの秘訣を教えてもらいたいのですが?』

MC『えーっと…』

翔太『こらこら北斗君、質問される側が質問しちゃってどうするのさ』

北斗『おっと、そうだった』

ハハハハハハ

春香「相変わらず凄い人気ですね」

律子「あの画面越しからでも伝わる圧倒的なオーラ…、侮れないわね」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1411740041

翔太「やっぱ北斗君、ちょっとぎこちなくない?」

春香・律子「!?」ビクッ!

北斗「ダンスはどうも不得意なんだよな」

律子「あなたたち、どうしてここにいるの!?」

北斗「チャオ☆」

P「さっき偶然見かけてな、せっかくだから連れてきたんだ」

律子「プロデューサー!」

翔太「ちなみにこれ録画ね」

P「今お茶持ってくるから待っててくれ」

北斗「あ、俺も手伝います」

春香「………それで新しい事務所でなんか変わったことなかった?」

翔太「う~ん、そもそも新しい事務所が変わり者の集まりだから」

翔太「変わったとしても変わった実感があんまりないんだよね~」

翔太「あ、でも面白い話を聞いたよ」

春香「何々?」

翔太「あるお兄さんがメキシコで…」

P「お茶持ってきたぞ~」

北斗「はい、どうぞ」

律子「あ、どうもご丁寧に」

北斗「いい気分転換になりましたよ」

翔太「ありがとう、お姉さんたち♪」

律子「どういたしまして」

春香「また来てね~」

翔太「はーい♪」

プルルルルル

P「あ、美希から迎えのメールだ」

P「それじゃあ俺、行ってくるよ」

春香「行ってらっしゃい」

北斗「いい気分転換にはなったかい?」

翔太「うん、ばっちりだよ!」

北斗「俺もだ」

北斗「これなら次のライブでは最大の力でアピールができそうだ」

翔太「北斗君、女の子の前だといつも最大でしょ」

北斗「ははっ、まあな」

北斗「じゃあ、俺帰りこっちだから」

北斗「また事務所で会おうな」

翔太「またね~」

今日はここまで

北斗(さてと、このまま帰るとするか…)

ダダダダダ

北斗(ん?)

ドン!

北斗「うわっ!」バタリ

冬馬「がっ!」バタリ

北斗「いってて…、一体何が…」

冬馬「………」

北斗「…お前、また!」

冬馬「…すまん、急いでいるから…」ダダダッ

北斗「…」

病院

冬馬「買ってきたぞ ほら、クリームソーダSPだ」

三条馬静「くりーむ…そーだ…?」

冬馬「覚えてないのか? マネージャー、俺のためにわざわざ買ったり作ったりしてただろ?」

静「…そうなんだ」

冬馬「本当にギリギリだったんだぜ、あともう一人並んでいたらゲットできなかったんだ」

冬馬「苦労して手に入れたんだ、だから感謝しろよな!」

静「…ありがとう」

静「………」

冬馬「…どうした? 飲まないのか?」

静「………」フルフルフルフル

冬馬「…わかったよ、なら飲ませてやるよ」

冬馬「ほら、ストローを咥えて」

静「あっ…」ダラダラ

冬馬「おいおい、もったいないだろ せっかくの限定物のソーダが無駄になるぞ」

冬馬「俺だって本当は飲みたいんだぜ」

静「…ごめんなさい」

冬馬「全く…、世話が焼けるな」

冬馬「ほら、拭いてやるから 動くなよ」

静「ええ…」

冬馬「これでよしっと…」

静「ごめんなさい…」

冬馬「別にいいさ、気にするなよ」

冬馬「あ、そうだ さっき北斗に会ったんだ」

冬馬「急いでいたからまともに話せなかったけど元気にしてたぜ」

冬馬「だけど女性の前だと倍以上元気になるけどな!」ハハハッ!

冬馬「あいつは本当にすげえよ、二次元の女でさえ虜にしちまうんだ」

冬馬「あいつの女に対するコミュ力を俺に少しくらい分けてほしいぜ」

静「…そう」

冬馬「それじゃあ、俺戻るから」

冬馬「また来るからな、今度は二人で一緒に飲もうぜ」

靜「ええ…」

ガラガラ ピシャン!

冬馬「…」

ドン!

冬馬「………」グスン


看護婦「天ヶ瀬さん! また部屋から抜け出して!」

看護婦「安静にしてなきゃダメって何度言ったらわかるのですか!」

冬馬「…すみません」

看護婦「全く…、外に出たい気持ちはわかりますけど勝手に出て行ったら私たちも困ります!」

看護婦「反省してください!」

冬馬「…はい」

315プロ事務所

翔太「おはよー、北斗君♪」

山村賢「それじゃあまだ彼女を…」

北斗「ええ、ずっと気にしているようですね」

翔太「二人ともどうかしたの~? 何話してるの?」

賢「あ、翔太さん」

北斗「昨日、帰りの途中で冬馬に会った」

翔太「…!?」

北斗「また抜け出したんだろう、彼女のために」

翔太「………」

今はここまで

翔太「あれ、冬馬君は別に悪くないのに…」

北斗「静さんがあんなことになったのに対してまだ責任を感じているんだろう」

翔太「…どうしてこんなことになったんだろうね?」

北斗「ほんと、どうしてだろうな…」

賢「………」

一ヶ月前

静「はい、着いたわよ」

冬馬「すげぇでかい会場だな」

冬馬「こりゃ大暴れができそうだぜ!」

北斗「今日は確か…ライブの後何をやるのでしたっけ?」

静「ライブの後は握手会や写真会を行うわ」

冬馬「握手に写真か…」

翔太「僕と北斗君ならともかくヘタレの冬馬君は大丈夫なの?」

冬馬「ば、馬鹿にするな! それくらいできるさ! あとヘタレ言うな!」

北斗「ならお手並みを拝見させてもらおうか」

冬馬「おう! やってやるぜ!」

ワイワイ ガヤガヤ

冬馬・翔太・北斗(恋を始めるポーズ)

キャアアアアアアアアアアア! キャアアアアアアアアアアア!

冬馬(決まった!)

スタッフ「それでは20分後にジュピターの握手会を行います」

スタッフ「それまで休憩になります」

楽屋

静「お疲れ様、みんな今日も絶好調ね!」

冬馬「当然だ、俺はいつだって絶好調だぜ!」

北斗「さて、それじゃあ俺は先に行ってるよ」

冬馬「まだ早くないか?」

北斗「ああ、でも俺は早く…」

冬馬「エンジェルちゃんに会いたい…だろ?」

北斗「まあね☆」

翔太「じゃあ僕も行くよ」

冬馬「俺は少し休んでから行くぜ」

翔太「それじゃあまた後でね♪」

冬馬「そうかい で、どうだ? 俺の普段の様子は」

静「そうね~、一言で言えばチョロい?」

冬馬「チョ…!?」

静「忠実で騙されやすいって感じかしら? からかい甲斐があるわ」

冬馬「誰が騙されやすいだ!?」

静「あれ、違ったかしら? 前に長い間騙されて続けられていたって翔太君聞いたけど」

冬馬「あいつ…」

静「それじゃあ私たちも行きましょうか、そろそろ時間だから」

冬馬「ああ(後でとっちめてやるかあの野郎)」

静「あっ」

冬馬「どうしたんだ?」

静「携帯忘れてきちゃったわ」

静「先に行ってて、取りに戻るから」

冬馬「わかった」



静「さ~て、携帯携帯っと…」

静「どこに置いたのかしら?」



…バチッ バチバチッ

女子「握手してください!」

北斗「はい、どうぞ」

女子「写真もお願いします!」

北斗「もちろん、喜んで☆」


女性「翔太君! 写真お願い!」

男性「僕もお願いできるかな?」

翔太「はーい♪」


幼女「あくしゅ、おねがいします」

冬馬「ああ、いいぜ」

幼女「ありがとう♪」

冬馬(凄い行列だな…ライブより疲れるぜ…)

ジリリリリリリリリリリ!

冬馬「な、なんだ!?」

ナニ? ドウシタノ? ナンダナンダ!?

スタッフ1「大変です! 第三エリアのあたりから火災が起きました!」

スタッフ2「みなさん、イベントは中止です! 速やかに批難してください!」

カジ!? タシカニケムリガ マズイゾ ニゲロ!

女性たち「キャアアアア! キャアアアア!」ダダダダダダ

男性たち「どけ! 俺が先だ!」ダダダダダダ

スタッフ3「落ち着いてください!」

冬馬「おい、確か俺たちの楽屋って…」

北斗「第三エリアだな…」

翔太「ジョバちゃんは?」

冬馬「携帯を取りに戻ってそれっきり…」

冬馬(まさか!?)

冬馬「くそっ!」ダッ!

北斗「おい、待て!」

モクモクモクモク

冬馬(煙の勢いが強い…おまけに熱い…)

冬馬(途中の水道でおもいっきり水をかぶったからなんとかなるが…)

冬馬(前が見えない…、マネージャーはどこだ!?)

ガッ!

冬馬「うわっ!」ドン!

冬馬「くっ…なんだ!?」

静「」

冬馬「マネージャー!? おい、しっかりしろ!」

冬馬(気を失ってる…、早く戻らないと…)

ゴオオオオオオオオ

冬馬(クソッ! 炎の勢いが強くなってきたか…!)

冬馬(とりあえず火傷しないように水浸しのジャケットを着せよう)スゥ…

冬馬(早く脱出しないと!)ヒョイ

ダダダダダダッ

冬馬(はあ…はあ…流石に疲れ…)

ゴオオオオオオオオオオオオオオ!

バキバキメキッ!

冬馬(天井が…! このままじゃマネージャーに当たる!)

冬馬(クソッ!)スッ

ガラガラガラガラ ドン!

ジュウウウウウウウウウ

冬馬「か"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」

冬馬「こ…こんな…」ガクリ

ダダダダダダッ

冬馬「…ぁ?」

消防隊員A「大丈夫か!?」

冬馬「…お、遅い…ぜ…」ガクン…

消防隊員A「おい、どうした? しっかりしろ!」

消防隊員A「クソッ… B、C 二人を外に送ってくれ」

消防隊員B・C「了解!」

冬馬「…」

静「…」

北斗「冬馬…、ひどい火傷だ…」

翔太「二人は…二人は助かるんですよね?」

救急隊員「できる限りのことはする」

バタン

ピーポーピーポー

翌日

病院

冬馬父「冬馬は!? 冬馬は無事なんだろうな!?」

翔太「冬馬のお父さん!」

北斗「落ち着いてください、これから説明があるので」

冬馬父「なんでこんなことになったんだ…」

北斗「電気室の漏電が原因らしいです」

北斗「今回の火災ではみんな騒ぎが大きくなる前に避難したので死者も負傷者もいません」

北斗「あの二人以外は」

翔太「ジョバちゃんをかばってこんなことに…」

冬馬父「あの子らしいといえばあの子らしいが…」

冬馬父「あんないい子が…なぜ…」

医者「お子さんは幸い皮下組織には火傷の影響はありませんでした」

医者「命に別状はありませんでしたが広範囲に渡り火傷のあとがあります」

医者「既に皮膚の上皮化を行い今は安静にしています」

医者「およそ1ヶ月ほどで回復するでしょう」

冬馬父「そうですか…」

北斗「静さんは…静さんはどうなんですか!?」

医者「それが…」

――――――――――――
――――――――
――――

冬馬「…ん?」パチッ

冬馬父「気がついたか!?」

冬馬「あれ? 親父…どうして?」

冬馬父「お前が大怪我したと聞いたから四国まで遥々飛んできたんだぞ!」

冬馬父「こんな無茶しやがって…」

冬馬「す、すまねぇ…」

冬馬「ところでマネージャーは…?」

翔太「ジョバちゃんは…」

北斗「………」

冬馬「記憶障害…?」

北斗「一時的に脳に酸素が送られなかったからそのとき脳に異常が起こったらしい」

北斗「あの後すぐに酸素を吸入して応急処置を済まして事態を最小限にまで抑えた」

北斗「もし遅れていたら記憶どころか全機能が失っていた可能性があった」

冬馬「………」

北斗「責任を感じているのか? 気持ちはわかるがお前は最悪の事態を避けたんだぞ」

冬馬「だが…」

看護婦「時間が来たので面会は終了です」

冬馬父「それじゃあな冬馬、一週間ほどは見舞いに来てやる」

北斗「ゆっくり休め」

翔太「それじゃあ」

冬馬「…」

765プロ

キャスター『先日、LIVE会場で火災が起こり、二名が意識不明の重体を負いました』

キャスター『重体を負ったのは人気アイドルグループ、ジュピターのメンバー』

キャスター『天ヶ瀬冬馬さんとそのマネージャーである三条馬静さんです』

キャスター『二人は既に意識を回復しており……』

春香「そんな…」

真美「あまとうが…重体だなんて…」

亜美「大丈夫なの?」

P「とりあえず明日あたりお見舞いに行ってみるか…」

今日はここまで

翌日

P「やあ、見舞いに来たぞ」

P「ニュースを見たよ、とにかく無事で何よりだ」

冬馬「ああ…」

P「これ、俺が用意した見舞いの品だ」

P「春香達が用意したのもあるぞ」

冬馬「わざわざすまないな…」

P「そんな顔しないで元気だせよ ほら、うちのアイドルの写真集もあるぞ」

冬馬「ああ…」

P「…」

北斗「見てどうでしたか? 彼の様子」

P「心ここに非ずって感じだな」

北斗「あなたが来る前に俺が来たとき、既にあんな感じで」

P「昨日もこんな感じだったのか?」

北斗「いえ、昨日は一応意識ははっきりしていました」

P「一晩のうちにああなった原因はわかるか?」

北斗「ええ…おそらく原因は…」

P「………………」

北斗「ということです」

P「一体どうしたらいいんだ…」

北斗「とりあえず今は様子を見るしかありません」

P「北斗たちはどうするんだ? 二人で続けるのか?」

北斗「ええ、冬馬は脱退したわけではないので続けるつもりです」

北斗「解散したりしたら冬馬の戻る場所がなくなりますからね」

P「それじゃあ何か困ったことがあったら言ってくれ、助けになってやるから」

北斗「わかりました」

その後、ニュースを見てたくさんの人が見舞いに来た

ファン「ファンクラブのみんなが作った千羽鶴です、退院してまたライブを見せてください!」

冬馬「ああ…わかった」

クラスメイト「学校のみんなで折った千羽鶴です、早く元気になってね」

冬馬「ああ…わかった」

山村賢「事務所のみんなが折った千羽鶴です、みんな、あなたが帰ってくるのを待っています」

冬馬「ああ…わかった」

黒井「ふん…、随分無様な姿になったな 私のところから離れたからこうなったのだ」

冬馬「そうだな…」

黒井「何だその返答は? 真面目に答える気があるのか!?」

冬馬「ああ…」

黒井「たくっ…受け取れ、これくらいあれば治療費全額払ってもお釣りが来るだろう」

冬馬「ああ…」

黒井「…これはここに置いておくぞ」

数日後

冬馬「………」

ガラガラ ピシャン

コツン コツン コツン コツン

冬馬「………」

ガラガラ ピシャン

静「誰?」

冬馬「俺だ」

静「どなた…?」

冬馬「覚えてないのか、本当に?」

静「ごめんなさい…」

冬馬「そんな…」

冬馬「…」

――――――――――――
――――――――
――――

静「冬馬…?」

冬馬「そうだ そしてあなたは三条馬静、俺たちジュピターのマネージャーをやってたんだ」

静「まねー…じゃー…?」

冬馬「簡単に言うと俺たちの面倒を見たりしていたんだ」

静「ごめんなさい…、覚えてなくて」

冬馬「気にしなくていいぜ、時間はたくさんあるんだ」

冬馬「ゆっくり時間をかけて思い出せば良いさ」

静「…」

冬馬「また来るからな」

ガラガラ ピシャン

冬馬「…あっ」

看護婦「天ヶ瀬さん! 何勝手に出て行ってるのですか!?」

看護婦「まだ動ける状態ではないのですよ!」

看護婦「そんな無理をして皮膚の回復が遅れたらどうするのですか!?」

冬馬「すみません…」

看護婦「もう勝手に出て行かないでください!」

冬馬「はい…」

今はここまで

1週間後

冬馬(変装)「よし…」

冬馬「いくか…」ガラガラ


ケーキ屋

店員「いらっしゃいませー」

冬馬「これ二つお願いします」

店員「お会計はこれくらいになります」

冬馬「どうぞ」

店員「ありがとうございました」

冬馬(うう…背中が焼ける…)

病院

冬馬「ほら、ケーキ買ってきたぞマネージャー」

静「けぇき?」

冬馬「マネージャーが好きだったケーキだ、一緒に食べようぜ」

静「うん」

冬馬「うまそうだろ? ほらよ」

静「………」

冬馬「食べないのか?」

静「…食べさせて」

冬馬「……え?」

静「食器、うまく持てない」

冬馬「…わかった」

冬馬「ほら、アーンして」

静「…んっ……」

冬馬「ほら」

静「…」ボロボロ

冬馬「おいおいこぼさないでくれよ、せっかく買ったんだから」

静「ごめんなさい…」

冬馬「大丈夫だ 安心しろ、まだあるから」

冬馬「もう一度だ、はい」

静「んん…はむっ…」パクッ

冬馬「よし、どうだ? うまいか?」

静「口の中…、なんだか不思議な味がする」

静「とてもおいしい…」

冬馬「今までは何を食べていたんだ?」

静「今までは食べたもの…あまり味しなかった」

冬馬「ならこれ食べて思いっきりこのおいしさを感じておくんだ、いいか?」

静「うん」

冬馬「よし、はいもう一口…」

冬馬「ご馳走様」

静「ごちそうさま…」

冬馬「もしまた食べたかったら買ってきてやるよ」

静「ありがとう」

冬馬「それじゃあな」

静「またね」

ガラガラ ピシャ

冬馬(早く着替えないと看護婦が来ちまう…)サササッ

冬馬(また外にでていたなんて知れたらまずいからな…)サササッ

冬馬(よし! 着替え完了!)

ガラガラ

看護婦「天ヶ瀬さーん、お薬の時間ですよ」

冬馬「はい」

数日後

冬馬「ほら、またケーキ買って来たぞ」

冬馬「今回は俺の好きな味を買ってきた」

冬馬「食ってみるか?」

静「うん」

冬馬「わかった ほら、アーン」

静「アーン…」パクッ

冬馬「どうだ?」

静「…おいしい」

冬馬「もっと食ってみるか?」

静「うん」

冬馬「よし ほら…、口開けて…」

静「ごちそうさま…、今日もありがとう」

冬馬「喜んでくれて何よりだ」

冬馬「今度はまた別のものを持ってきてやるぜ」

静「はい」

冬馬「それじゃあな」

ガラガラ ピシャン



冬馬「………」

さらに数日後

冬馬「昨日、北斗に頼んでアルバムを届けてもらったんだ」

冬馬「見ろ、俺たちが写ってるぜ」

静「本当ね」

冬馬「ほら、マネージャーも一緒に写ってるぜ」

冬馬「いい顔してるじゃねぇか」

静「私、こんな顔してたんだ…」

冬馬「全部思い出したら一緒にこの写真のような顔してまた撮ろうぜ」

静「うん」

冬馬「そうだ、確かこの時間帯はジュピターが歌番組に参加していたんだ」

冬馬「ちょうどいい、北斗たちが俺のいないジュピターをどういう風にまとめているのか見てみようぜ」

静「ええ…」

北斗・翔太(恋をはじめようのポーズ)

冬馬「流石あの二人、俺がいなくても踊れてる」

静「………」

冬馬「もしものためになんかのアクシデントで二人になったときに二人用のダンスの練習をしておいたんだ」

冬馬「これならしばらくはジュピターの人気も落ちずにすむな」

静「冬馬もあれ、できるの?」

冬馬「当たり前だ、それに三人でやれば今テレビで写っているあれ以上のことができるんだ!」

冬馬「退院したら見せてやるぜ」

静「楽しみにしてる…」

翌日

医者「おかしいですね… 予定では大体回復してもいいはずなのですが…」

医者「冬馬さん、何か回復を妨げるようなことをしていませんか?」

冬馬「…いえ」

医者「ふむ…、まあ念のため言っておきますが」

医者「あなたの背中の皮膚は簡単に言うと生まれたての赤ん坊とほぼ同じ状態です」

医者「そんな状態で外出などをしたら皮膚が傷つく可能性があるので」

医者「外出は控えてください、一応言っておきますがいいですか?」

冬馬「わかりました」

数日後

アリガトウゴザイマシター

冬馬「今日はこれでいこう」

冬馬「しかしこれだけやってもマネージャーの記憶改善の進展が全くない…」

冬馬「一体どうしたら…」

???「おい」

冬馬「え?」

北斗「お前…、こんなところで何をしているんだ!?」

冬馬「…!?」

今日はここまで

北斗「何で病院にいるはずのお前がいるんだ!?」

北斗「まさか抜け出したのか! まだ外に出てもいいほど回復していないはずだろ!?」

冬馬「…すまん、説教は後で聞く だから行かせてくれ、急いでいるんだ」クルッ

北斗「おい、待て!」

冬馬「…」

北斗「お前が抜け出す理由は静さんのためか?」

冬馬「だったら何だよ」

北斗「静さんを元に戻したい気持ちはわかる」

北斗「だがだからってお前が身を削る必要はないだろ」

北斗「ケーキとか買いたかったら俺に頼めば良いだろ、何で頼ってくれない?」

冬馬「………」

北斗「冬馬?」

冬馬「オレノセイデアアナッタンダ… オレガワルインダ…」ブツブツ

冬馬「コレハオレノモンダイナンダ…、オレガカイケツシナイトイミガナイ…」ブツブツ

北斗「おい…、お前何を言ってるんだ…?」

冬馬「すまん…、本当に急いでいるんだ」ササッ

北斗「………」

病院

冬馬「やあ、マネージャー」

静「冬馬君…、また来てくれたんだ」

冬馬「ああ ほら、またケーキを買ってきたんだ」

冬馬「一緒に食べようぜ」

静「うん」

静「ごちそうさま」

冬馬「ご馳走様」

冬馬「これもなかなかうまかったな」

静「いつもありがとう」

冬馬「別に良いさ、それじゃあ俺そろそろ…」

ガラガラ

看護婦「三条馬さ~ん、そろそろ診察の………!?」

冬馬(ヤベッ!?)ギクッ

看護婦「天ヶ瀬さん!? 何でここにいるのですか!?」

看護婦「いや、それ以前にその格好は何ですか!?」

看護婦「まさか外出をしていたのですか…?」

冬馬「………」

――――――――――――
――――――――
――――

医者「まさかとは思ったけど本当に出て行くとはね…」

冬馬「すいません…」

医者「彼女を気遣う気持ちはわかるよ、でもね…」

医者「君の体を壊してまで面倒を見てもらっても彼女は喜ぶとは思わないよ」

医者「面倒を見るのは君の体が治った後でもできるでしょ」

医者「大丈夫、こっちも記憶を戻す方法をやってみるから」

医者「今はゆっくり休みなさい、いいね…」

冬馬「はい…」

現在

北斗「…という話を冬馬が抜け出した後に医者から聞いたけど」

翔太「今でも全く懲りずに抜け出して買っているんだね」

北斗「そう、そのせいで本来退院予定であった日でも回復しなかったから」

北斗「今でも入院中…、静さんの心配より自分の心配をしないとこのまま何時までたっても退院できないぞ」

翔太「どうしよう…」

賢「あの…」

北斗「ん? どうしたんだ、賢?」

賢「この方法はどうでしょうか…?」

病院

冬馬(誰もいないかな)ソロリ…

北斗「チャオ☆」ヒョイ

冬馬「うわっ!?」

北斗「はいはい、怪我人はベッドに休みなさい」グググ…

冬馬「お前、何のつもりだ!?」

北斗「それはこっちのセリフだ、お前が治らないとジュピターの活動がやりにくいんだ」

北斗「もともと三人のグループを二人でやるのはかなり大変なんだぞ」

北斗「あ、静さんのほうは翔太が見てやってるから安心して寝てろ」

冬馬「だが…」

北斗「 寝 て ろ 」

冬馬「はい…」

北斗「…」

冬馬「なあ、何時までいるんだ?」

北斗「お前が寝静まってからだ」

冬馬「アイドル活動をしなくてもいいのか?」

北斗「社長に頼んで休暇を取った」

冬馬「トイレとか行きたくないか?」

北斗「いや」

冬馬「何か食べたいなら買ってきてやろうか?」

北斗「いや」

冬馬「なんか漫画読みたいなら持ってきてやろうか?」

北斗「そんなに彼女に会いたいのか?」

冬馬「…」

北斗「どうしたんだ? いつもの冬馬なら」

北斗「『なっ! バ、バカなことを言うな そんなわけないだろ!』とかいうのに」

冬馬「…」

北斗「…深くは追求しないがこれだけは言っておくぞ」

北斗「静さんを心配いるのはお前だけじゃない、みんな心配しているんだ」

北斗「静さんのことは俺たちに任せて、お前は治るまで休め わかったか?」

冬馬「わかった…」

北斗(この反応…また抜け出すな…)

北斗(仕方ない…ここはピンチヒッターをよぶか)

次の日

冬馬「………」キョロキョロ

???「何を警戒している?」

冬馬「!?」

桜庭薫「抜け出そうとしても無駄だぞ」

冬馬「桜庭さん! なんで!?」

薫「君の友人から頼まれたんだ、だが今そんなことはどうでもいい」

薫「とりあえず背中を見せてみろ」グイッ

冬馬「あっ、ちょっと!?」

薫「ふむ…」

薫「背中の一部が化膿しているな、このままだと全体に広がっていずれ死ぬぞ」

冬馬「はあああああ!? 嘘だろ!?」

薫「医者の言ってることが信用できないとでも?」

薫「僕は外科医であって皮膚科医ではないが君の背中の状態を分析することくらいはできる」

冬馬「マ、マジか…」

薫「治療法は2週間ほど安静にしていることだが…君にできるのか?」

薫「かなりの苦行だぞ?」

冬馬「あ、当たり前だ! それにまだ死ぬわけにはいかねえ!」

薫「ならもう外出しないと約束するか?」

冬馬「ああ、もうでない!」

薫「ならいい、それでは僕は帰る」クルッ

冬馬(先に死んじまったらマネージャーに会えなくなっちまう…我慢するしかないか)

薫(単純すぎる…、天道といい勝負だな)

薫(これくらい脅しておけば大丈夫だろ)

今日はここまで

終わり方はいくつか考えてあるけどハッピーかバットか迷ってる

見直したら>>1に抜けてた部分があったから訂正

北斗『まさか司会者さんがこんなに美しいとは思いませんでした』

MC『美しいってそんな///』

北斗『美しさの秘訣を教えてもらいたいのですが?』

MC『えーっと…』

翔太『こらこら北斗君、質問される側が質問しちゃってどうするのさ』

北斗『おっと、そうだった』

ハハハハハハ

春香「相変わらず凄い人気ですね」

律子「あの画面越しからでも伝わる圧倒的なオーラ…、侮れないわね」

司会『それでは二人に歌ってもらいましょう! 曲はAlice or Guilty』

キャー キャー

春香「やっぱり二人ともうまいね」

律子「二人だけでよくあれを踊れるわね」



―――――――――

冬馬「…」

―冬―――馬―――

冬馬「!?」ガバッ!

冬馬「夢か…」

冬馬「………」


翌日

冬馬「…」

―冬―――馬―――

冬馬「…ちょっとくらいならいいよな」

冬馬「一回だけなら死にやしない」ヌギヌギ

冬馬「そうだ、一回出るだけだ」ハキハキ

冬馬「すぐに終わるから大丈夫だ、うん」ソローリ

一時間後

薫「調子はどうだい?」

静「ええ、大丈夫よ」

北斗「それはよかったです」

ガラガラ

冬馬「よおマネージャー、ゼリー買ってきてやった…ぜ…!?」

北斗・薫「!?」

静「あ、冬馬君…」

北斗「お前…何だその格好は…? また外にでたのか!?」

薫「あの話が嘘だとわかって出て行ったのかそれとも」

薫「死ぬつもりで彼女の面倒を見に来ようとしていたのか…」

冬馬「………」

北斗「目をそらすな」

冬馬「………」

北斗・薫「はぁ…」

事務所

翔太「また冬馬君抜け出したの?」

北斗「ああ、懲りずにね」

薫「彼のマネージャーに対する執念は凄まじいものだ」

薫「あの様子だとどんなに脅してもまた言いつけを破るだろう…」

北斗「何か良い方法ないか、賢?」

賢「それならプランBがありますが…」

翔太「何そのプランBって…?」

賢「それは…」

賢「…という作戦です」

薫「…なるほど、確かにこれなら彼はもう外出する必要はないな」

薫「問題はこの計画を彼女が応じるかだが…」

北斗「何とか説得するしかないね」

翔太「うまくいくといいけど…、でないと何時までたっても冬馬君戻ってこないよ…」

北斗「まあやるだけやってみよう」

北斗「おそらく冬馬が静さんを心配しているように静さんも冬馬のことを心配しているはずだ」

翔太「確かにやってみないとわからないね」

病院

静「わかった…やってみる」

翔太「おお、あっさりうまくいった」

薫「先ほどまでしていたうまくいくかどうかの心配の話が馬鹿らしくなった」

静「私のためにわざわざ冬馬君が自分から苦しむようなことをさせたくない」

北斗「なら話は早いですね、早速準備をしましょう」

薫「それじゃあ僕は移せるかどうかかけ合ってみよう」

北斗「お願いします」

翌日

―――馬―――

――冬馬―――

冬馬「…ん?」パチッ

冬馬「夢か…」

静「冬馬君」

冬馬「………」スゥ…

ホッペツンツン

冬馬「…夢じゃねぇのか」

静「夢って?」

冬馬「いや、何でもねえ それよりも…」

冬馬「なんでマネージャーが俺の病室の中にいるんだ?」

静「北斗君たちから頼まれた、冬馬君の面倒を見るように」

冬馬「え?」

静「部屋もわざわざ隣に引っ越した、お菓子とかも北斗君が買ってきてくれた」

静「これでもう冬馬君はわざわざ外出する必要はない」

静「冬馬君は私のために身を削ってまで面倒を見てくれた」

静「今度は私が冬馬君の面倒を見る、だから元気になるまで外にでないで」

静「わかった?」

冬馬「わ…わかった…」

静「よろしい…」

冬馬(そっか…心配していたはずが逆に心配されていたのか…)

冬馬(何やってんだよ俺、情けねえな…けど…)

冬馬「ありがとう…」

静「どういたしまして」

冬馬(ヤベッ、口に出ちまった… まあいいや)

さらに数日後

静「はい、冬馬君 ゼリー持ってきたよ」

冬馬「おお、サンキュ 俺、ピーチ味貰うぜ」

静「どう、おいしい?」

冬馬「ああ、かなりうまいぜ」モグモグ

静「そう…、よかった」ニコッ

冬馬「ああ!」ニコッ


北斗「あれから冬馬は全く出てこないな」

翔太「これでもう大丈夫だね♪」

薫「ならそろそろ帰るとしようか」

賢「早く元気になると良いですね」

マネージャーの努力のおかげで冬馬のやけどはみるみる回復していった

そして数週間後

医者「もう完全に治りましたので退院してもいいですよ」

冬馬「よっしゃあ!」

北斗「そもそも冬馬、お前がもう少しおとなしくしていればもっと早く退院できたのに…」

冬馬「あ、すまん…」

北斗「ま、そんなことは今はいいや」

北斗「先生、静さんは?」

医者「彼女はこの数週間で随分体調がよくなり一応生活ができるくらいは回復しました」

医者「しかし記憶は私たちの力不足で回復には至りませんでした…」

北斗「そうですか…」

医者「生活ができるといっても一人で暮らすにはかなり苦ではあるかと」

医者「ここはヘルパーを利用したほうがいいかと…」

冬馬「ちょっと待ったァ!」

医者「え?」

冬馬「ペルパーを使う必要はない、俺が世話をする!」

医者・北斗「え!?」

冬馬「何だその驚きよう…、何か問題があるのか?」

北斗「いや色々問題あるだろ!?」

北斗「仮にもマネージャーだぞ! 女性だぞ! しかもお前はアイドルだぞ!」

北斗「それにほかにも…」

冬馬「だからどうした! マネージャーを元に戻すためだったらそんなこと関係ねぇ!」

医者「確かにここ最近の好調の要因は天ヶ瀬さんの影響かもしれませんが…」

冬馬「頼む! お願いだ、俺にやらせてくれ!」

冬馬「俺が面倒を見ないと記憶が戻ることは絶対にないんだ!」

北斗「何を根拠に言ってるんだ…、大体同棲するだけで記憶が戻るわけないだろ!」

冬馬「それじゃあ他に方法があるのか!?」

北斗「それは……」

冬馬「俺はマネージャーが元に戻るならわずかな可能性にかけてみるぜ」

北斗「本気なのか?」

冬馬「俺はいつだって本気だ!」

北斗「…はぁ、こうなったらもう止められないな」

北斗「わかったよ、お前に任せる」

北斗「あと、このことは社長に掛け合ってみるよ」

冬馬「すまねぇ…」

北斗「というわけですけどよろしいですか?」

医者「私は別にかまいません」

北斗「ありがとうございます 冬馬、彼女に変なことはするなよ…ってそんなこと考えるだけ無駄か」

冬馬「どういう意味だそれ!?」

冬馬宅

冬馬「ということで今日からここがマネージャーの家だ」

冬馬「まあ家といってもマンションだけどな!」

冬馬「マネージャーの荷物もちゃんと届けさせたぜ」

静「でも…」

冬馬「遠慮する必要はないんだぜ、俺が望んでやったことだからさ」

静「…それじゃあお言葉に甘えて、おじゃまします」

冬馬「いや、ただいまだ」

静「…ただいま」

ズラアアアアアアア

冬馬「あ…」

静「…フィギュア、好きなんだ」

冬馬「ま、まあな 俺こういうロボット系のフィギュア集めるのが趣味でな…」

冬馬「…引いたりしてないか?」

静「ううん、そんなことない」

冬馬「本当か?」

静「本当よ、人の趣味を悪く言うことなんてしないわ」

冬馬「そりゃありがてぇぜ」

冬馬「あ、そうだ せっかくの退院祝いだ」

冬馬「さっき買ってきた食材で俺が腕を振るってうまい飯をつくってやるよ!」

静「楽しみね」

冬馬「しばらく作ってなかったから鈍ってなければいいが…」

数十分後

冬馬「よし、俺特製のカレー完成だ」

静「おいしそうね」

冬馬「以前マネージャーにご馳走したはずだけど覚えてないか?」

静「ごめんなさい…」

冬馬「そうか、ならこれ食ってまた覚えればいいさ」

冬馬「はい、どうぞ」

静「いただきます」

静「ごちそうさま、なんだか懐かしい味だったわ」

冬馬「本当か!? それでなんか思い出したか!?」

静「い、いえ…、特に…」

冬馬「そ、そうか…すまねぇ、取り乱して…」

冬馬「まあしばらくは記憶が戻るまでずっとここでくつろいでくれ」

冬馬「大丈夫だ、面倒はちゃんと見てやるからさ!」

静「ありがとう」

ピピー

冬馬「あ、風呂沸いたようだな 先に入っておくか?」

静「ええ」

洗面所

冬馬「それじゃあ着替えここにおいておくから」

ワカッタ

冬馬「何かあったら呼んでくれ」

ハーイ

プルルルル

冬馬「あ、電話だ」ガチャッ

冬馬「はい、もしもし」

北斗『俺だけど調子はどうだい?』

冬馬「ああ、北斗か マネージャーのおかげですっかり元気になったぜ!」

冬馬「明日からライブをやってもいいくらいだ!」

北斗『ははっ、それはよかった ところで静さんの様子は?』

冬馬「好調だ、あと今、風呂に入ってるよ」

北斗『…え? ゴメン、よく聞こえなかった』

冬馬「だから風呂に入ってるって」

北斗『冬馬、自分の言ったことをもう一度よく考えろ』

北斗『何かおかしくないか?』

冬馬「おかしいってどこがだ?」

北斗『気づかないのか? 初心のお前が…』

トウマクーン、シャンプーキレチャッター

冬馬「あ、マネージャーが呼んでる 悪いが話の続きはまた明日な、じゃ」ピッ

北斗『あ、おいちょっと!』ガチャッ

冬馬「今新しいの持ってくるから待っててくれ!」

北斗宅

P『そうか、もう冬馬退院したのか』

北斗「はい、おかげさまでなんとか回復しました」

P『それはよかった ところで、冬馬たちのマネージャーさんは?』

北斗「静さんですか? 実は…」

北斗「…というわけです」

P『…すまん、ちょっと整理がつかない 冬馬が女性を家に泊めている?』

北斗「はい」

P『あの対女コミュ力小学生以下の冬馬が?』

北斗「はい」

P『…頭が痛くなってきた』

北斗「俺も同じですよ、以前の冬馬とはまるで違う」

北斗「わかりやすくいうとツンの部分がなくなったような感じがするんです」

北斗「後、以前から様子が変だったことも何度か見受けられました…」

P『そもそもあの二人ってどういう関係だ?』

P『風呂の話が本当ならアイドルとマネージャーとの関係じゃないはずだ』

北斗「ええ、入院していた時から様子を見ていたのですがかなり特別な関係になってます」

北斗「恋人というより家族、姉弟、母子…そんな感じに近いです」

北斗「とりあえずやましいことは考えてないのは確かです」

P『…なんか俺にはとてもついていけそうにないな』

P『とりあえず退院おめでとうとあいつに伝えてくれ』

北斗「わかりました、それではこれで」

P『ああ、じゃあな』

冬馬「ふぃ~、背中ヒリヒリするが風呂なんてほんとひさしぶりだな~」

冬馬「今までの疲れが吹っ飛んだ気分だ!」

静「冬馬君」

冬馬「ん、どうしたんだマネージャー」

静「この写真の人は?」

冬馬「ああ、母さんだ 俺が小さい頃に亡くなっちまった」

静「…ごめんなさい」

冬馬「別に気にすることはない、もう過ぎたことだ」

冬馬「そんなことよりほら、そろそろ寝る時間だぜ 明日は事務所に行くからさ」

静「でもベッド、一つしかないよ?」

冬馬「俺ソファーで寝るから、マネージャー使ってくれ」

静「でも…」

冬馬「何度もいうけど遠慮する必要ないぜ、ゆっくり寝てくれ それじゃあお休み!」ヒョイ

静「あっ…」

静「…ありがとう」

静「ZZz…」

冬馬「…」

冬馬(病院の看病から同棲までやっているが全く進展がない…)

冬馬(これからもずっとマネージャーの記憶は戻らないままのか?)

冬馬(それとも今までの方法とは別の方法をやればいいのか?)

冬馬(もし仮にとても難しいが記憶が戻る方法があるとしたら何だってやってやる)

冬馬(マネージャーさえ元に戻ってくれれば…俺はどうなっても…)



静「ん…」パチッ

冬馬「おう、おはよう」

静「おはよう、冬馬君」

冬馬「パンがやけたからはやくきがえてたべようぜ!」

静「冬馬君?」

冬馬「どうしたんだマネージャー、おれのかおになにかついてるか?」

静「いいえ…」

冬馬「ならはやくきがえてたべようぜ、ジャムはきがえるあいだにぬっておくから」

冬馬「ジャムはいちごにするか? それともブルーベリー?」

静「苺で」

今日はここまで

三条馬静さんの活躍が見たい方はD@YS OF Jupiterをどうぞ!(姑息な宣伝)

事務所

冬馬「あまがせとうま、かんぜんふっかつだ!」

北斗「おかえり、冬馬」

翔太「もう~、まちくたびれたよ」

翔太「二人でジュピターまとめるの大変だったんだからね」

冬馬「わりぃわりぃ、だがこのおれがふっかつしたからにはもうだいじょうぶだ」

冬馬「きょうからジュピターをまたさんにんでやろうじゃねえか!」

北斗「おう!」

翔太「うん!」

静「みんな活き活きしてるね」

翔太「あ、ジョバちゃんも来ていたんだ!」

冬馬「ここはマネージャーにとっておもいでのばしょだからな」

冬馬「なにかおもいだすきっかけになるかもしれないとおもってつれてきたんだ」

北斗「なるほどね それで静さん、何か懐かしい感じとかしませんか?」

静「少しだけ見覚えがあるような…」

冬馬「ほんとうか! それでなにかおもいだしたか!?」

北斗「冬馬、少し落ち着け 最近変だぞ」

冬馬「あ、すまん…」

翔太「それで、もうダンスとかできるの?」

冬馬「もちろんだ! ほら、れんぞくでばくてんだってできるぜ!」クルックルッ

北斗「絶好調だな、ならもう安心だ」

翔太「それじゃあジョバちゃん、みんなに会わせてあげるからついてきて」

静「ええ」

冬馬「あ、おれもいくぜ!」

かのん「マネージャーさん、かのんのこと覚えてないの?」

静「ごめんなさい…」

四季「夏でマジメガパネェことをしたの忘れたのかマネージャーちゃん!?」

静「ごめんなさい…」

神谷「イギリスで追いはぎの勉強をしていた話も?」ワナワナ

東雲「動揺のしすぎでいろいろ混ざってますよ」


翔太「ダメだった、かすりもしない」

北斗「ほんと、まいったな…」

静「思い出せなくてごめんなさい…」

冬馬「………」

冬馬「なあ、ひとつていあんがあるんだ」

北斗「提案?」

冬馬「おれたちのライブをみてもらえばきっとおもいだしてくれるとおもうんだ」

北斗「ライブ? 確かに静さんは過去に何度も見ているが…」

北斗「…いや、もはや何も言うまい やって見なくちゃわからないからな」

翔太「だね♪」

北斗「ちょうど一週間後に天ヶ瀬冬馬復活記念ライブを開催する予定なんだ」

冬馬「マジかよ!?」

北斗「そのときに静さんに見せてやろうじゃないか、俺たちのライブを」

翔太「感謝してよね、冬馬君のために大きな会場を用意したんだから」

冬馬「そりゃありがてぇぜ!」

北斗「それじゃあその日まで練習しようか」

冬馬「おう!」

冬馬「ハッ、ハッ!」タン タン

冬馬「フッ…ハッ!」タタン!

北斗「見事だな…短い時間でもう前の感覚を取り戻している」

翔太「やっぱすごいね~」

静「すごい…、こんなにきれいに踊れるんだ…」

冬馬「よし! こんなもんかな!」

北斗「冬馬…、やっぱお前は最高だ!」

翔太「この調子で一週間後も頑張ろう!」

冬馬「おう!」

冬馬「マネージャー、たのしみにしてくれよな」

冬馬「あまりのすごさにきっとなにもかもおもいだすぜ!」

静「うん、わかった」

冬馬「それじゃあそろそろおれたちかえるから」

北斗「ああ、またな」

翔太「じゃあね♪」

冬馬宅

冬馬「さてと…ゆうはんのしたくでもしようかな」

静「冬馬君」

冬馬「ん、どうかしたか?」

静「私のためになんか無理をしてない?」

冬馬「むり? へいきさ、たいしたことねぇ」

静「…」

冬馬「そんなふあんそうなかおすんじゃねぇよ」

冬馬「しんぱいするきもちはありがてぇけどおれはこのとおりだいじょうぶだ」

冬馬「そもそもいちばんつらいのはきおくがないマネージャーだ」

冬馬「だからおれがぜんりょくでサポートしてやるからあんしんしろ わかったか?」

静「わかった…」

冬馬「よし、ならめしができるまでテレビでもみていてくれ」

静「うん」



静「ZZz…」

冬馬「………」

冬馬(そう、いちばん辛いのはマネージャーなんだ…)

冬馬(俺の力不足のせいでこんだけ月日がたってもまったく戻らないんだ…)

冬馬(マネージャー、頼むから一秒でも早く戻ってくれ…)

冬馬(俺にできることがあったら何でもやってやる…)

冬馬(だから…)

そしてライブ当日の朝

静「ん、んん~」ノビー

静「ふぅ…」

冬馬「オオ、オきたか」

静「おはよう、冬馬君」

冬馬「きョウはまちにまッたらイぶだからイそごウぜ」

冬馬「じュンびはもウすませてアるからめしくッてはやくイこうぜ!」

静「うん」

315プロ事務所前

冬馬「よウ、またせたな」

北斗「待たされたよ」

翔太「ジョバちゃんおはよう!」

静「おはよう、みんな」

薫「これで全員だな、それじゃあみんな車に乗ってくれ」

一同「はーい」

ブロロロロ

北斗「すみません、桜庭さん わざわざこんなことをさせて…」

薫「いくら代わりがいないからって最近僕に頼りっぱなしじゃないのか?」

薫「そもそも僕はタクシードライバーじゃないんだぞ」

翔太「知ってるよ、ド○○○んでしょ♪」

薫「違う…、アイドルだ! 本来はこんなことをする立場じゃない!」

薫「他に代わりはいなかったのか!?」

北斗「確かに運転なら他の人に頼むことができます」

北斗「しかしマネージャーの容態を調べることができるのは医者であるあなたしかいません」

北斗「マネージャーの様子を見ること、それがあなたをよんだ一番の理由です」

薫「…なるほど、確かに患者の面倒を見るのは医者の仕事だな」

薫「わかった、しばらくは僕が君たちのマネージャーの代わりをやろう」

薫「だが彼女が元に戻るまでだぞ、いいか?」

北斗「ええ」

静「ごめんなさい…、こんなことをさせて」

薫「大丈夫だ、問題ない」

ライブ会場

ワアアアアアア ワアアアアアア

冬馬「すごイかンきャくのかずだな」

北斗「みんな、お前が戻ってくるのを待ってたんだよ」

翔太「今回のライブはすごいんだよ! 生中継で全国に放送しているんだよ!」

北斗「つまり全国のみんながお前の復活の瞬間を見ることができるということさ」

冬馬「ま、まじかよ…」

冬馬「ヤベッ、なンかきンちョウしてきた…」プルプル

北斗「落ち着け、俺たちと一緒だったら大丈夫だろ?」

翔太「そうだよ、三人一緒だったら怖くないよ!」

冬馬「べ、べつにこわがッてなンかねェよ!」

冬馬「けど…、オまエらがいてくれたらこころづよイぜ」

北斗「そうか、それじゃあいこうか みんなが期待して待ってる」

翔太「うん!」

冬馬「オウ!」

765プロ

春香「あ、始まったみたいですよ」

P「本当だ、これでようやくもとのジュピターに戻ったな」


961プロ

黒井「…」ゴクゴク


四国

冬馬父「始まったか、ここまで長かったな~」

冬馬父「妻よ、見ているかい? 冬馬がようやく舞台に上がるんだぞ」

北斗「エンジェルちゃん達! ついに俺たちのリーダーが復活したよ☆」

冬馬「またせたな! アまがせとウまかンぜンふッかつだ!」

冬馬「オれがイなイジュピターはもりアがりがかけるだろ?」

冬馬「だがオれがきたからにはもウダイジョウブダ」

冬馬「キョウハタイクツシナイヒニシテヤルゼ!」

ワアアアアアアアア! ワアアアアアアアア!

北斗「それじゃあいこうか!」

翔太「うん!」

冬馬「オウ!」

冬馬(見ていてくれよ、マネージャー)

薫「始まるぞ」

静「ええ」

アイシテル アイシテル イツカミライデ

薫「どうだ?」

静「………」

静(この感じ…、この光景…)

静(私はずっと前から知っているような…)

冬馬(どうだ、マネージャー これがあんたにできる精一杯で最高の贈り物だ!)ボクガキミニ

冬馬(俺が…マネージャーに…精一杯…) チカウカラ

冬馬(精一杯…マネージャー……) ゲッチュー イコウ サアイケル

冬馬(マネージャ…これが俺にできる) ドンナトキデモ フタリナラバ

冬馬(最高の…)コイヨハジメヨウ

冬馬「ヨ…」フラッ

バタリ

北斗・翔太・薫・静・観客「!?」


ピキーン

静「冬馬ァ!」

P「な、何が起こった!?」

春香「え、何!?」


黒井「!?」ブゥゥゥゥゥゥゥゥ!

黒井「ゲホッ、ゴホッ、ガハッ!」


冬馬父「冬馬!?」

北斗「おい、どうした しっかりしろ!?」

冬馬「ハァ…ハァ…」

北斗「す、すごい熱だ…」

翔太「スタッフさん! せんせぇ! 誰か!」

薫「おい、早く救急車をよべ!」

スタッフ「わ、わかりました」

静「どいて!」

翔太「うわっ、ジョバちゃん!」

静「しっかりしなさい、冬馬君」

冬馬「ハァ…ハ…」ガクリッ

静「ちょっと…、目を覚ましなさいよ!」

静「ねぇ! 起きなさいよ!」

北斗「静さん…まさか…」


ピーポーピーポー

病院

翔太「それじゃあ全部思い出したんだね」

静「ええ、まだ頭の整理が追いつかないけど」

北斗「せっかく冬馬のおかげで記憶が戻ったのに…」

北斗「当の本人はまた病院送りなんて…」

薫「原因を聞いてきた」

翔太「それで、何だったの?」

薫「どうやら強いストレスとプレッシャーによる高熱だ」

静「ストレス…まさか私のせいで…」

翔太「ジョバちゃん、自分を責めないで ジョバちゃんは何も悪くないから」

薫「今点滴を打って安定剤を投与して落ち着かせている」

薫「しばらくは安静にしたほうがいいということだ」

薫「とりあえず今はそっとしておこう」

北斗「わかりました」

翌日

病院

キャスター『先日、ジュピターの天ヶ瀬冬馬さんはライブ中に倒れ緊急搬送をされました』

北斗「どのニュースでもこの話題でいっぱいだな」

翔太「ネットの掲示板も冬馬君の話題でいっぱいだよ」

静「せっかく戻ったのに…どうしてまた…」

冬馬父「冬馬の様子は!?」

翔太「あ、冬馬君のお父さん」

北斗「今病室にいるらしいですけど状況は医者から聞かないと…」

冬馬父「…はぁ、なんでまたあの子がこんな…」

静「申し訳ございません…、今回の件は私の責任です」

静「冬馬君が私のために尽くしたことでこんなことに…」

冬馬父「自分を責めないでください、冬馬は今まであなたのために頑張ってきたのでしょう?」

冬馬父「今のあなたの状態を冬馬が知ったらきっと喜ぶでしょう」

冬馬父「俺の苦労がついに報われた、自分のしたことは無駄じゃなかったと言ってね」

冬馬父「なぁに、高熱もすぐに直りますよ きっと元気なあの子の姿をもうすぐ見れるでしょう」

静「そうですか…」

医者「みなさん、お待たせしました」

冬馬父「それで、冬馬は!?」

医者「容態はよくなりました、面会は一応許可します」

医者「しかし…」

北斗・翔太「冬馬!」ダッ

静「冬馬君!」ダッ

医者「ちょ、ちょっと話を聞いて!」

医者「あの、せめてお父さんだけでも…」

冬馬父「えっ?」

冬馬「うぅ…なんか変な気分だ…」

北斗「冬馬!」

冬馬「あっ?」

北斗「熱が下がったんだな、よかった!」

北斗「あ、そうだ 朗報だ、静さんの記憶が戻ったんだ!」

冬馬「えっ?」

静「冬馬君、私のために色々面倒を見てくれたことを覚えているわ!」

静「本当にありがとう! おかげで三条馬静、完全復活よ!」

翔太「おめでとう、冬馬君 これで全部元に戻ったんだよ♪」

冬馬「おい、盛り上がってるところ悪いがちょっと待ってくれ」

冬馬「あんたら、俺を誰かと間違えてないか?」

続きは夕方

静「…えっ?」

北斗「おい冬馬、冗談にしては面白くないぞ」

冬馬「冬馬って誰だ? 俺のことを言ってるのか?」

翔太「冬馬君が冬馬君じゃないなら誰なの?」

冬馬「俺か? 俺は…」

冬馬「………」

冬馬「………あれ?」

北斗「ま、まさか…」

冬馬父「冬馬!」

冬馬「あ?」

冬馬父「お前、私のことがわかるか!?」

冬馬「あっ、えっ? おっさん誰?」

冬馬父「本当に覚えてないのか?」

冬馬「覚えてないかって…初めて会ったから覚えるも何も…」

冬馬父「そ…そんな…」

冬馬父「実の父の顔を忘れたのか…?」

冬馬「え? 親父?」

冬馬父「ああっ…なんてことだ…」

――――――――――――
――――――――
――――

北斗「…つまりなんらかの精神的なショックを受け続けて高熱および記憶喪失になったということですか?」

医者「はい、そういうことになります」

冬馬父「それで、どうしたら直りますか!?」

医者「なんらかの強いショックを再び与えるのが一番効率的としか…」

冬馬父「そうですか…」

静「せっかく全て元に戻ったと思ったのに…」

北斗「冬馬… お前、一人でずっと頑張ってきたんだな…」

北斗「なのに俺はたいして力に慣れなかった…」

北斗「何のための仲間なんだろうな…」

冬馬「はっ? 俺がアイドル?」

翔太「そうだよ、日本で最も有名なアイドルグループ、Jupiterのリーダーなんだ」

冬馬「ジュピター? 木星?」

翔太「そうだよ」

冬馬「はぁ~、そうなのか…」

冬馬「俺がアイドルか… なんかカッコいいな!」

翔太「うん、そうだよ… とてもカッコよかったよ」

冬馬「アイドル… アイドル! 悪くないな! へへへっ♪」

北斗「冬馬の調子は?」

翔太「自分がアイドルだったことすら忘れていたよ」

翔太「あと、普段の冬馬君とはあまり変わらなかったよ」

翔太「まるでいつもの冬馬君から記憶だけを抜き取ったような感じ、感情や性格はそのまま」

北斗「はぁ…、なんでこんなに次々と面倒なことが起きるんだ…」

翔太「それで、これからどうするの?」

北斗「まずは冬馬をどうするかだ、自分が誰なのかわからないあの状態じゃ一人暮らしさせるのには無理がある」

冬馬父「せめて私が単身赴任さえしていなければ面倒を見ることができるのですが…」

冬馬父「四国に連れていくという方法もありますがそれだけでは記憶など戻りそうもないでしょう…」

静「私が!」

三人「え?」

静「私が冬馬君の面倒を見ます!」

翔太「あ~、うん…」

北斗「デジャヴを感じたな」

冬馬父「まあ、そのほうが心強いですね」

冬馬父「おじさん一人と一緒に暮らすより若い人たちと一緒にいたほうが彼にとっても嬉しいでしょう」

静「え? 何その反応、もっと驚くかと思った」

北斗「前にも同じことがあったからね、冬馬が静さんの面倒を見るとか」

静「あっ…そうだった…」

北斗「それじゃあよろしくお願いします」

冬馬父「冬馬をお願いします」

翔太「よろしくお願いね」

静「…ええ、しっかりやるわ」

冬馬「ふぅ…、やっと退院できた」

北斗「それで冬馬、聞いてくれ」

冬馬「俺がその冬馬だったら、なんだ?」

北斗「これからは彼女がお前の面倒を見ることになる」

冬馬「えっ?」

静「改めて自己紹介するわ、三条馬静よ 静でいいわ、よろしく」

冬馬「よ、よろしく…ってどういうことだよオイ!」

冬馬「いきなりすぎるだろ、説明しろよ!」

北斗「一応聞いておくが冬馬、もう一度アイドルをやってみないか?」

冬馬「え? アイドル?」

冬馬「…まあ、悪くないかな 面白そうだし…」

北斗「そうか、それで彼女は俺たちのマネージャーでもあるんだ」

冬馬「えっ?」

北斗「だから彼女がお前の記憶が戻るまで一緒に暮らしてもらう」

冬馬「ちょっ、ちょっと待ってくれ! 俺が女性と二人暮らしだって!?」

冬馬「そんなことできるわけねェだろ!」

冬馬「だいたいアイドルとマネージャー、若い男女が屋根の下って問題あるだろ!」

北斗・翔太「お前が言うな!」

冬馬「え、なに!?」

北斗「はぁ…、言っておくが拒否権はないぞ どうしても嫌だったら記憶を思い出せ」

冬馬「そんな無茶な…」

北斗「翔太、静さん 無理矢理連れて行きましょう」

翔太「うん」

静「ええ」

冬馬「おいちょっ…待て、馬鹿やめろオイ! やめ…ぎゃああああ!」

静宅

静「というわけでここが冬馬君の新しい家よ!」

静「といってもマンションだけどね」

静「あ、荷物はもう中に入れてあるから」

冬馬「おい…、本当にいいのか?」

冬馬「その…、俺なんかがあんたと一緒に暮らすなんて…」

静「何をいまさら… ほら、さっさと入った入った!」ググッ

冬馬「わわわわちょっと…!」

冬馬「意外ときれいなんだな」

静「何? 缶ビールや服が散らばってるダメな大人の部屋を想像していたの?」

冬馬「い、いや…そういうわけじゃ…」

静「まあいいわ、とりあえず案内するからついて来て」

冬馬「おう」



静「…それでここがあなたの部屋、どう? わかった?」

冬馬「ああ、だいたいわかったぜ」

静「よろしい、それじゃあご飯作るから適当にくつろいで」

冬馬「おう」

春香『どうしてこんなことをするの!?』

千早『あなたが私のインベルを奪ったからよ!』

ピッ

伊織『私は今、無人島にいます…』

ピッ

キャスター『961プロダクションが赤字のため社員を500名解雇処分に…』

ピッ

冬馬「いい番組ねーな」

静「ご飯できたわ」

冬馬「おう、サンキュ」

冬馬「ご馳走様、うまかったぜ」

静「それはよかったわ」

ピピー

静「お風呂温まったから先に入りなさい」

冬馬「ふ、風呂!?」

静「どうしたの? 入らないの?」

冬馬「あ、いやその…えっと…」

静「あ、もしかして恥ずかしがってる?」

冬馬「ば、馬鹿なことを言うな! んなわけねェだろ!」

静「じゃあ入りなさい、私が入れないでしょ!」

冬馬「おう! 入ってやるよ!」

静「下着とパジャマここにおいて置くから」

パンツハカッテニオクンジャネェ!

プルルルルル

静「あ、電話だ」ガチャッ

静「はい、もしもし」

北斗『俺ですけど、冬馬の様子はどうですか?』

静「あ、北斗君 記憶がないことを除けばただの冬馬君よ」

北斗『そうですか それで今、冬馬は何を?』

静「今お風呂に入ってるわ」

北斗『………え?』

静「大丈夫よ、やましいことなんて一切ないわ!」

シズー リンスガキレタゼー

静「あ、冬馬君がよんでるから切るね」ピッ


静「はい、リンスお待たせ~」ガラガラ

冬馬「わああああああああ! 開けるなああああ見るなあああああああ!」

P『テレビ見たぜ、ホントびっくりしたよ』P『それで冬馬の様子は?』

北斗「それが…」


北斗「…というわけです」

P『なんか前より深刻になってないか?』

北斗「ええ、もうどうすればいいのか…」

P『しかし冬馬がねぇ… なんか羨ましいな』

P『向こうは家族のような微笑ましい感じだからまだいいけどこっちはな~』

北斗「どうかしたんですか?」

P『それは…』プロデューサーサン、ダレトハナシテルンデスカ?

P『あ、いやこれはだな… おいやめろはr…』ピッ

北斗「もしもし? もしもし!?」

冬馬「あがったぜ」

静「随分遅かったわね、何をしてたの?」

冬馬「湯船に使ってただけだぞ」

静「そう、それじゃあ次は私ね」

冬馬「ゆっくりしてこいよ」

冬馬「さてと…俺一人になったことだし…」ガサゴソ

冬馬「せっかくだから荷物に入ってあったこのアルバムでも見てみるか」

冬馬「………」ペラッ

冬馬「へぇ~、これが俺のアイドル時代のやつか…」ペラッ

冬馬「なかなか洒落てるじゃねえか」ペラッ

冬馬「なんかいい顔してるな、結構カッコいいな」ペラッ

冬馬「ぷっ! この写真の俺の顔の落書き変なの!」ペラッ

冬馬「………」ペラッ

冬馬「こんなに面白いことあったのに全く記憶にねぇ…」

冬馬「はぁ…、この写真のいい顔してる俺ってどんな気持ちだったんだろうな」

静「ふぅ…さっぱりした」

冬馬「…」

静「あれ? 冬馬君どうかしたの?」

冬馬「アルバムを見ていたんだ」

静「ふ~ん…、アルバムをね…」

冬馬「こんなに楽しそうなことをしたのに覚えてないなんて、正直悔しいぜ…」

静「…ねえ、明日事務所に行きましょうか」

冬馬「事務所?」

静「ええ、あそこにはあなたの思い出の場所でもあるのよ」

静「きっと記憶の鍵に繋がると思うわ!」

冬馬「なるほどな…、いいぜ どうせやることがなかったんだ」

静「決まりね」

事務所

冬馬「ここか…」

賢「おかえりなさい冬馬さん…といっても覚えていませんか」

冬馬「すまん、でも話は聞いてるぜ 山村さんだっけ?」

賢「ええ、そうです」

北斗「やあ、冬馬」

翔太「来てくれたんだね」

冬馬「よお」

静「それで、なんか思い出した?」

冬馬「全然」

静「そう…」

翔太「そうだ! せっかくだからみんなにあっていこうよ!」ググッ

冬馬「お、おい引っ張るなよ」

静「あ、私も」

志狼「俺と一緒に遊んだことを忘れたのか兄ちゃん!?」

冬馬「ああ、すまねぇ…」

輝「俺と一緒に飯食ったこともか!?」

冬馬「面目ねぇ…」

神谷「前に追いはぎでメキシコが紅茶を飲んで」ワナワナ

東雲「神谷、もう休みなさい」

翔太「ダメだった」

冬馬「すまん…」

静「困ったわ…」

北斗「いつか見た光景だな」

静「それでどうしよう…」

冬馬「とりあえず俺にダンスや歌をやらせてくれないか?」

冬馬「何か思い出すかもしれないんだ」

北斗「これも似たようなセリフをいつか聞いたことがあるな、まあいいけどさ」

冬馬「~~~♪」

北斗「本当に記憶がなくなっているのか?」

翔太「体はしっかりと覚えているようだね~」

静「まさに天才ね」

冬馬「…なんか変な感じだな、初めてとは思えないような…」

北斗「リズムの記憶が体に刻み込まれているんだよ」

翔太「でもこれだったらライブとかうまくいきそうだね」

静「そうだ! 今度テレビで他のアイドルとのソロのライブバトルがあるから参加しましょうか!」

冬馬「え?」

北斗「それはいい、もしかしたら何か変わるかもしれません」

翔太「よし、そうしよう!」

冬馬「…なんだか話が変な方向に進んだが、これはこれで面白そうだな」

数日後

冬馬「ここが会場か…」

北斗「結構でかいだろ」

翔太「ここでたくさんのライバルたちが競い合うんだ」

静「冬馬君、緊張してない?」

冬馬「緊張? んなわけねェだろ、むしろ興奮して震えがとまらねェぜ!」

北斗(あ、いつもの冬馬だ)

北斗(…ん、あれは?)

春香「あ、冬馬君だ!」

P「おお、冬馬 元気そうだな」

冬馬「…あんたらは?」

春香「あ、そうか… 頭、悪くなっちゃったんだよね…」

P「春香、大体あってるがかなり間違ってるぞ」

春香「改めて自己紹介するね、765プロの私は天海春香です!」

冬馬「765…天海…ふ~ん」

冬馬「俺は天ヶ瀬冬馬だ、よろしく」

冬馬「今回のライブ、悪いが俺が勝たせてもらうぜ」

冬馬「じゃあな、会場で会おう」スッ

P「………」

春香「何あれ?」

北斗「頭悪くなったんだよ、それもかなり深刻に…」

ライブ開始、そして終了

司会者「投票と審査員の審査の結果が完了しましたそれでは結果を発表します」

司会者「優勝者は…二位との票を圧倒的な差をつけた765プロの天海春香さんです!」

春香「やったぁ!」

司会者「ちなみに二位は伊集院北斗さんでした」

翔太「冬馬君は…あらら、五位だね…」

冬馬「ちっ…」

P「お疲れ春香、上出来だったぞ」

春香「ありがとうございます!」

冬馬「おい」

春香「えっ?」

冬馬「今回は負けたけど次はそうはいかないからな」

冬馬「次こそ絶対勝つから覚えておけよ!」

冬馬「じゃあな」スッ

春香「…あれほんとなに?」

北斗「ただの黒歴史だ、覚えなくていいよ」

翔太「迷惑かけてごめんなさい」

静「それで、何か思い出した?」

冬馬「あっ…やべっ… あの時、夢中になってたから忘れてた」

静「もう~、何やってるのよ」

冬馬「すまん、次あるときは思い出すから」

静「お願いね」

冬馬(しかし俺、こんなすげェことをやってたんだな…)

冬馬(負けちまったけどまだ震えが止まらねェ…すげえ楽しいぜ!)

今日はここまで
もしかしたら明日か明後日で終わるかな

961プロ、やっぱジュピターいなくなって経営難なのか…そんな状況でも金置いていったのか、黒井社長…

ところで、春香の反応の理由がわからないんだが、どうして「何あれ?」とか「あれほんとなに?」ってリアクションになるんだ?
冬馬ってこうじゃないのか?実際…なんか違ったっけ?何も春香が疑問に思う要素ないような…

北斗「…とまあこんな感じだ、今の冬馬は以前の冬馬」

北斗「つまり961プロにいたとき、もしくはそれ以前のような雰囲気になっている冬馬だ」

翔太「今まで何度かあったのに初対面見たいな感じして戸惑っちゃうのも無理ないよ」

春香「そんな…、かわいそう… でも冬馬君すごいな…」

春香「自分を犠牲にしてまでマネージャーさんのことを救ってあげたんだね」

北斗「結果的に言えばとてもかっこいいけど現実はこれだ」

北斗「あいつが彼女を救ったことも、今まで彼女と過ごした日々も全く覚えていない」

北斗「一番の功績者である冬馬に与えられた仕打ちがこれだ、残酷すぎる…」

どうしよ、765組の出番与えようかな
一応パターン2つ作ってあるけど

いや、分岐
765組介入だと逆が混じっていないほうだとギャグ要素少なめもしくは皆無

ゴメン、逆じゃなくてギャグの間違い

春香「ねぇ、私にできることって何かないかな?」

翔太「できること?」

春香「うん! このまま放っておくわけにもいかないよ」

北斗「気持ちはありがたいけどこれは俺たちの問題なんだ」

北斗「迷惑をかけるわけにはいかない」

春香「迷惑なんかじゃないよ! それに困ってる時にはお互い様ですよ!」

P「北斗、前に言ったじゃないか、何かあったら俺たちに頼ってくれって」

北斗「…わかりました、力を貸してください」

春香「任せてください!」

春香「…という訳で冬馬君を元に戻すお手伝いをします!」

P「俺たちがいれば百人力だぞ冬馬」

冬馬「…それで、俺をよんだって訳か? 北斗」

北斗「まあね」

春香「アシスタントは」

亜美「亜美と」

真美「真美だよ!」

北斗「大丈夫ですか?」ゴニョゴニョ

P「二人がどうしてもって言うから…結果は神のみぞ知るだ」ゴニョゴニョ

冬馬「…なんか不安だが」

亜美「亜美達にかかれば~」

真美「あまとうのあんな記憶やこんな記憶を思い出させちゃうことができちゃうよ~」

冬馬「…じゃあ、よろしく頼むぜ」

亜美・真美「ラジャー!」

冬馬「それで、まずはどうするんだ?」

真美「記憶を戻すにはショック療法が一番といいますからな~」

亜美「ここはショックが強いところに行って思い出させたほうがいいっしょー!」

真美「という訳でレッツゴー!」

冬馬「あ、おいちょっと!」

遊園地

冬馬「本当にここで記憶が戻るのか?」

真美「もちろん! まずはジェットコースターに乗ってショックを与えよう!」

亜美「おーう!」

冬馬「え?」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

亜美「キャーーーーーーー!」

真美「キャーーーーーーー!」

冬馬「ギャアアアアアアアアアアア!!!」



ギャアアアアアアアアア

春香「あれってただ二人が遊びたいだけじゃ…」

P「だな…」

北斗「………」

冬馬「はぁ…はぁ…、死ぬかと思った…」

亜美「どうあまとう? なんか思い出した?」

冬馬「いや、まったく…」

亜美「効果がないみたいだ… だったら今度は別の乗り物に乗ろー!」

真美「じゃあ次はフリーフォールに乗ろー!」

亜美「おー!」

冬馬「おい待て、ちょっとは休憩を…」

ギャアアアアアアアアア!


北斗「……楽しそうですね」

春香「そうですね…」

P「俺にはそうは思えない」

亜美「めっちゃ楽しかったね真美!」

真美「そうだね亜美!」

冬馬「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"…………」グデー

亜美「あまとうも楽しそうでよかったよ」

真美「来た甲斐がありましたな~」

北斗「………」

P「スマン、北斗」

春香「なんかゴメンなさい…」

北斗「いや俺に謝られても…」

真美「ねぇねぇ、真美たちのどが渇いたからジュース飲もうよ」

亜美「飲もう飲もう!」

冬馬「な…なんか飲み物を…」

北斗「じゃああっちのフードコートで飲もうか」

フードコート

北斗「はい冬馬、どうぞ」

冬馬「クリームソーダ?」

北斗「お前はソーダが好物だったんだ」

冬馬「そうだっけ?」

亜美「あまとうは文字通りあまとうなんだね~」

冬馬「あまとう言うな! たくっ…」ズズー

冬馬「!?」

冬馬「ガハッ! ゴホッ、ゲホッ!」

北斗「お、おい冬馬?」

―ほら、クリームソーダだ わざわざ並んで買ってきたから感謝しろよ―

冬馬「ゴホッ…、なんだ?」

春香「冬馬君、大丈夫?」

P「おい、しっかりしろ!」

冬馬「口の中が爆発したような感じだ…俺これが好きだったのか…」

冬馬「確かに味は俺好みだが…」

冬馬(今のって…)

真美「あまとう汚いよ~」

冬馬「ああ、悪い…」

冬馬「ごちそうさま…」

亜美「それじゃあ休憩したことだし次は…」

冬馬「悪いが今日は帰らせてもらうぜ」

春香「え?」

冬馬「急用を思い出した、じゃあな」

春香「ああちょっと…!」

P「行っちゃったな」

北斗「そうですね」

真美「じゃあ兄ちゃんとほくほくでいいや」

亜美「はいジェットコースターもう一度乗るよ~」

P「おいちょっと待て」

北斗「俺はまだ心の準備が…」

ギャアアアアアアアアアアアアアアア!

冬馬「ただいま」

静「あら、お帰りなさい 随分早かったわね」

冬馬「ああ」

静「どうかしたの?」

冬馬「静、クリームソーダに関して何か思い当たることないか?」

冬馬「俺の好物らしいんだが…」

静「ええ、そうよ あなたのクリームソーダに関する愛は凄いものだったわ」

静「私が入院していたころも飲んでいたくらいにね」

冬馬「ふ~ん」

静「せっかくだから久しぶりに作ってみようかしら」

静「飲んでみる?」

冬馬「ああ、いただくぜ」

静「はい、どうぞ」

冬馬「いただきます…」ゴクゴク

静「どう?」

冬馬「かなりうまいぜ」

静「そう、よかったわ」

冬馬「ところで他に俺の好きなものって何かわかるか?」

静「確か歌にダンスは当たり前だとして、フィギュアだったかしら?」

冬馬「フィギュア…、荷物にあったな」

冬馬「あれで戻るとは思えないが…」

冬馬「まあいいや、時間はたくさんあるんだ あせらなくていいか」

冬馬「俺、先風呂はいってるから」

静「はーい」

シャアアアアアアア

冬馬(一応進展があったがあれだけだったな…)

冬馬(多分このまま続けても変わらないな…、別のことでもやってみるか…)

冬馬(とりあえず普通に生活でもしようかな)

学校

クラスメイトA「よお冬馬、久しぶりだな 元気だったか?」

冬馬「ああ、元気だぜ」

クラスメイトA「それで、俺のことがわかるか?」

冬馬「すまん…覚えてないんだ」

クラスメイトA「マジかよ…」

クラスメイトB「えーっ、冬馬君私のこと忘れちゃったの!?」

クラスメイトB「前にあんなことやこんなことをしたの覚えてないの!?」

冬馬「あんなこと?」

クラスメイトA「騙されるな、やろうとしたら全部お前が悉く断ったんだ」

冬馬「そうなのか」

クラスメイトB「てへっ☆」

秋葉原

冬馬「おお…! このフィギュアすげぇカッケぇ…」

JK「あの…、もしかして天ヶ瀬冬馬さんですか?」

冬馬「え? ああ、そうだけど…」

JK「うそー! 私ジュピターのファンだったんです!」

JK「この手紙、どうぞ…」

冬馬「えっ? ああ、ありが………」

JK「これ、北斗様に渡してください!」

冬馬「……………ああ、いいぜ…」

JK「ありがとうございます! 応援してます、頑張ってください!」

JK「それじゃ!」タタタッ

冬馬「…」グスン

居酒屋前

黒井「お前…、私のことを覚えてないのか?」ヒック

冬馬「すまん、全く記憶にないんだ」

黒井「そんな…このセレブでインパクトが強い私のことを…ああ…」ガクリ

高木「おいしっかりしろ! スマンね、彼は深い悩みを抱えて、それで酒に溺れてね」

高木「ほら、立てるか?」

黒井「話せ! 貴様の力など死んでも借りん!」

高木「わかったわかった、さあ行くぞ」テクテク

ハナセエエエエエエエ!

冬馬「ああ、行っちゃった」

冬馬(悩みか…)

広場

響「冬馬、お前を元に戻すために手を貸してやるぞ」

春香「強いストレスで記憶を失ったのならストレス解消をしたらいいのです!」

響「という訳でリラックス効果のあるアニマルセラピーを試してみることにしたんだ」

P「まあやるだけやってみよう」

冬馬「………」

ワニ子「グウウウウウ」

へび香「シャアアアアア」

冬馬「おい、なんかすげぇやばい動物が見えるが…」

響「全員人になれてるからなんくるないさー!」

冬馬「いや大丈夫じゃないだろこれ、やばいって」

響「みんな、行ってこい!」

冬馬「おいやめろマジでヤバ…」

ワアアアアアアアアアアアアアア!

冬馬「おーよしよし」ナデナデ

ワニ子「グウウウウウ////」

響「おお、もう手なづけた」

春香「これで後は効果があるのを待つだけ!」

しばらくして

冬馬「こいつらかわいいな、もって帰っていいか?」

響「ダメだぞ! ハム蔵たちは大切な家族だぞ!」

春香「リラックスはできたようですが効果なしですね…」

P「やっぱダメか…」

そんな日々が、毎日続いていった

その時の冬馬はとても活き活きして、楽しそうな顔をしていた

冬馬「あー、今日も楽しい一日だったな」

冬馬「ただいまー」

静「おかえりなさーい」

冬馬「静、ごはんできた?」

静「もうすぐできるからそれまでお風呂はいってて」

冬馬「わかった」

ザッパアアアアアン

冬馬(ふぅ…、結構遊び疲れたな…)

冬馬(いろいろあったけどかなり楽しかったぜ、またやってみてぇな)

冬馬(……楽しい、やってみたい? あれ、なんで?)

冬馬(何で俺こんなことを考えたんだ…!? これじゃあ…)

冬馬「なあ静…」

静「何?」

冬馬「今度の日曜、どっか二人で出かけないか?」

静「え?」

冬馬「そうだな…、俺が前行った遊園地に行ってみるか」

静「いいの?」

冬馬「ああ」

静「あ、それってもしかしてデート?」

冬馬「…ああ、デートだ」

静(えっ!?)

遊園地

ワイワイ ガヤガヤ

静「かなり人多いね」

冬馬「人は多いほうが盛り上がりが凄くていいぜ」

静「それもそうね」

冬馬「それじゃあまずはコーヒーカップから」

静「まずジェットコースターに乗りましょうよ!」

冬馬「えっ、ちょっと…」

マタカヨオオオオオオオオオオオオオ!

数時間後

静「ああ~、楽しかった♪」

冬馬「俺もとても満足したぜ」

静「これでほぼ全て乗ったわね」

冬馬「ああ、あと一つ乗ってないのは…」

冬馬「あれだけだな」

静「あれね」

観覧車

静「いい景色ね」

冬馬「ああ、きれいだ」

静「…ねぇ冬馬君、この景色を見るためにここに来たわけじゃないでしょ」

冬馬「…まあな、今までのアトラクション巡りはこの瞬間のために心を落ち着かせたいだけだったんだ」

静「それで、話って何?」

冬馬「…」

冬馬「俺、毎回アイドル活動や遊びや学校とかやって普段の生活がどのようなことかわかってきたんだ」

冬馬「前の感覚が戻ってきたんだが…それでいて怖いんだ」

静「怖い?」

冬馬「この生活に完全に慣れたら記憶がなくなっていることすら忘れてしまうかもしれない」

冬馬「過去の俺がどんな感じだったのかも思い出す機会すらも永遠になくなるかもしれない」

冬馬「もしそんなことがおきたら…そうなったら…」グスン

ギュッ

冬馬「えっ?」

静「やっと言ってくれたんだね、悩み」

静「無理して一人でずっと抱え込む必要はないのよ」

静「正直私のしてあげることはこれしかないけど…」

静「あなたの悩みや不安を思いっきり不満を胸の中にぶつけなさい」

冬馬「ああ、わかった…」ギュッ

静「何があっても私が側にいるから安心して」

冬馬「ああ…」

冬馬「…カッコ悪ィ所を見せちまったな」

静「私は意外な一面が見れて嬉しかったな」

冬馬「なんだよそれ、北斗たちには絶対言うなよ」

静「はいはい、さあ帰りましょうか」

静「次のライブのために準備をしないと」

冬馬「ああ」

一週間後

ライブ会場

冬馬「夜のライブというのも悪くねェな」

冬馬「よし、気合入れていくぞ!」

北斗「ああ…」

翔太「うん…」

冬馬「どうしたんだよその反応、元気ねぇじゃねえか」

冬馬「まさかまだ俺の記憶が戻らないことを気にしているのか?」

北斗「まあな…」

冬馬「別にお前らが悔やむ必要はねェよ、それに俺は気にしてねェから」

冬馬「今お前たちの目の前にいる男は過去のことを引きずってくよくよしているように見えるか?」

翔太「…ううん」

冬馬「だろ、だから別にいいんだ 気にする必要はねぇ」

冬馬「失った思い出が戻ることがないなら、また新しい思い出を作ればいいだけだ」

冬馬「わかったか?」

北斗「まったく、お前は本当にポジティブだな」

翔太「ずっと前までは悩みを抱え続けていた人には思えないよ」

北斗「わかった、もうくよくよしない これからもよろしく頼むぞ」

冬馬「おう!」

冬馬「それじゃあ早速行くか 北斗、翔太」

北斗たち「ああ!」

静(無理しちゃって…)

キャー キャー

冬馬(正直すげェ気にしているが…、あいつらを不安にさせるわけにはいかねぇからな…)

翔太「お客さんいっぱいだ~♪」

北斗「どこかにかわいい子は…」

フッ…

冬馬「!?」

翔太「何々!?」

北斗「停電?」

静「そんな、こんなときに…」

冬馬「…っ!」

キャアアアアアアア キャアアアアアアア

冬馬「大丈夫だ、すぐに明かりをつける!」

冬馬「危ないからそこから動くなよ、待っててくれみんな!」

静「流石ね、一気に観客をまとめるなんて」

冬馬「ファンにもしものことがあったら悪いからな」

冬馬「しかしこう暗くちゃ足元も見えないな…」

冬馬「お前ら怪我するなよ、俺あっちを修理するから」

翔太「じゃあ僕も修理を手伝う!」

北斗「一刻も早くエンジェルちゃん達の笑顔が見たいからね☆」

静「私も手伝うわ、冬馬君」

冬馬「よし、来てくれ静」

冬馬「クソッ、よくわからないな…」

静「ねぇ冬馬君」

冬馬「なんだ?」

静「ごめんなさい、私の力不足のせいで…」

冬馬「…まあ確かに記憶が戻らないのは不安しかしなくてしかたねぇ」

冬馬「だけどいつまでもそのことに引きずってちゃいけないと俺も思うんだ」

冬馬「そもそも俺が全部忘れなかったら静の記憶はそのまま忘れたままになっていたかもしれないだろ?」

冬馬「それに、俺も今の生活は悪くないと思ってるぜ」

冬馬「いいじゃねえか 静は復活、俺はアイドルライフを満喫、結果オーライだ!」

静「…」

バチッ

冬馬「おっ、手ごたえありだな 今明かりつくか試してみるから」

静「ええ」

冬馬「ほいっと」

カチッ

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

翔太「な、なに!?」

北斗「爆発音らしいけど…、冬馬のところからだ」

北斗「まさか二人に何か…!?」

翔太「急がないと!」

北斗「うん」

パチパチパチパチパチパチ

静「う、う~ん…一体何が…!?」チラッ

冬馬「」

静「冬馬君…!? しっかりして!」

静「ひどい怪我…頭から血が出てるし、左手首も変な方向に曲がっている…」

静「…何を間違えたのか電気をつけようとしたらブレーカーが爆発したのね」

静「それよりも燃えている、早くここから離れないと…!」ググッ

冬馬「」

冬馬(何だろ…体が、熱い…)

冬馬(この感じ、いつか感じたことあるな)

冬馬(何かとても大事なことを忘れているような…)

北斗「静さん、大丈夫ですか!?」

静「ええ、でも冬馬君が…」

北斗「うっ…ひどい怪我だ…」

北斗「翔太、お前は見るな 戻ってスタッフさんたちに消防車と救急車をよぶように伝えてくれ」

翔太「う、うん わかった!」

北斗「聞こえるか? しっかりしろ!」

冬馬(誰だろ? なんか懐かしい声が聞こえる…)

静「早くしないと火が来るわ!」

北斗「くっ…、もたもたしている場合じゃないか」

北斗「急いで運びましょう、俺はここを持つので静さんはここを…」

静「ええ、わかったわ」

静「冬馬君、今運ぶからね」グッ

冬馬(ああ、そっか この感じ、前に感じたことがあると思ったら)

冬馬(前に似たようなことやったんだっけ、随分懐かしいな)

冬馬(確か俺はマネージャーを助けようとしたらやけどして重症になったんだっけ?)

冬馬(それでマネージャーの記憶はぶっ飛んたんだよな)

冬馬(あの後は面倒見ようと必死だったなぁ~)

冬馬(確か無理しすぎて北斗たちに怒られたっけ?)

冬馬(その後マネージャー直々に面倒を見たんだよな)

冬馬(あの時は嬉しかったな…)

冬馬(マネージャーともう一度一緒にすごしたいな…)フフッ

北斗「こんな状況でも笑っていますよ…」

静「なんか夢を見ているようね」

救急隊員「お待たせしました、それでけが人は?」

北斗「彼です」

冬馬「」

救急隊員「これはひどい…、急いで連れて行きましょう」

救急隊員「皆さんも早く…」

翔太「うん」

静「ええ」

北斗「わかりました それとスタッフさん、後のことをお願いします」

スタッフ「わかりました」

ピーポーピーポー

冬馬「…んっ」パチッ

翔太「あっ、気がついた」

静「冬馬君! 大丈夫?」

冬馬「へへっ、また病院送りかよ…」

冬馬「これで…3度目だぜ…」

北斗「3度目? 冬馬、お前…」

冬馬「悪いな、話の続きは…後だ…」

冬馬「今は、休ませて…くれ…」ガクッ

静「冬馬君!?」

冬馬「ZZz…」

北斗「眠っているようですね」

翔太「でもあの反応、もしかして…!?」

静「………」

P『本当か!?』

北斗「はい、体をかなり痛めましたが元に戻ることに成功しました」

P『そりゃよかった! 春香たちが聞いたら喜ぶぞ!』

北斗「みなさんに協力してくれてありがとうと伝えておいてください」

P『ああ、わかった あとおめでとう!』

北斗「ありがとうございます、それじゃ」ピッ

北斗「…ふぅ、やっと全部終わったな」

10日後

病院 野外休憩所

冬馬「………」

静「やっと見つけたわ、探し回ったのよ」

静「男の子ってじっとしているのが嫌いなのかしら?」

冬馬「まあな」

静「それで、全部思い出した?」

冬馬「ああ、だか俺の記憶がぶっ飛んていた頃はあまり覚えてねぇ…」

冬馬「まあ、それ以前のことは全部思い出したから結果オーライだな」

静「そう…、それじゃあ私と一緒にすごしたことも忘れたの?」

冬馬「一緒? 俺の家でマネージャーと過ごした日々のことか?」

静「いいえ、そっちじゃなくて…」

静「…まあいっか、もう過ぎたことだし」

冬馬「…ただ、俺の側に誰かが支えてくれた気がするんだ」

冬馬「もしかしたらそれがマネージャーかもな…」

静「そっか、ええ、きっとそうね」

冬馬「しかし俺って何度も入院してるな」

冬馬「入院系アイドルって流行るかな?」

静「面白いセンスだけど流行らないと思うわ、そもそもあまり動けないでしょ」

冬馬「それもそうだ、やっぱアイドルやるなら体調がいいときに限るな」

静「それなら早くその左手を戻して帰ってきなさいね」

冬馬「おう!」

静「それで冬馬君、話があるの…」

冬馬「奇遇だな、俺も言いたいことがあるんだ」

静「ほんと?」

冬馬「だが今ここで話すのはあれだな、人が多い」

冬馬「あっちで話そうか」

静「ええ」スッ

冬馬「ん?」

静「いこうか、冬馬」

冬馬「ああ、静」

ギュッ

少女「という話をママから聞いたんだけど」

女子A「えぇ~! プロデューサー若い頃そんなことをやってたの!?」

女子B「ドラマチック~☆」

女子A「それで、二人はその後何を話してたの?」

少女「それは…」

???「ほほ~う…」

三人「!?」ビクッ

冬馬「随分懐かしい話をしているじゃないか」ニコニコ

少女「パ、パパ…」

女子A「そ…そろそろ暗くなってきたからあたし帰るね」スタコラサッサ

女子B「それじゃあまた明日ね☆ じゃあねプロデューサー」スタコラサッサ

冬馬「ああ、またな」

冬馬「さて…」チラッ

少女「…えっと~、その~…」

冬馬「俺たちも帰るぞ、先に外にでてなさい」

少女「は~い」

ブロロロロロ

少女「ねえ、こっちは家じゃないよ?」

冬馬「寄り道してケーキを買うんだ」

少女「え!? ケーキ!?」

冬馬「ああ、あの話を聞いたらなんか懐かしくなってな」

冬馬「お前も食べたいだろ」

少女「うん! ケーキ大好き! 買ってくれるパパも大好き!」

冬馬「はははっ、それはよかった」

冬馬「この反応だったら静や娘たちも大喜びだな」

冬馬宅前

少女「ケ~キ♪ ケーキ♪ 苺のケーキ♪」

冬馬「そうだ、あの話の続きを聞きたくないか?」

少女「え!? あの話に続きがあったの?」

冬馬「ああ、だがそれはケーキを食べてる間に話してやるよ」

少女「はーい!」

冬馬「さあ、早く入った入った!」

少女「はいはい、ただいま~」

オネエチャンオカエリナサーイ

冬馬(正直、あんなことが昔あったなんて今でも信じられない)

冬馬(だけど、あれがあったおかげで)

冬馬「ただいま」

冬馬(今の生活があるんだよな)

静「おかえりなさい」

冬馬(まさに結果オーライだな!)

終わり

北斗「お前はソーダが好物だったんだ」

冬馬「そうだっけ?」

なんか笑った


二つのジュピター本の設定とSideMの設定をミックスしたんだな
「Jupiter」の方と同じように961プロ抜けだして、でもマネージャーは「D@YS OF Jupiter」の方で、仲間はSideMなんだな
マジで冬馬散々だなーと思ってたら自分でも入院系アイドルとか言い出して笑ったwwww
面白かったし最後幸せになってよかった、記憶戻ったら真の力とか発揮するようになって春香に勝ったりしないかな~とか密かに期待してたけどwwww
楽しめました

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