紳士は 鋭い突きを 放った!
ゾンビは 13ダメージ食らった! ゾンビは 倒れた
魔法使い「やったな!戦士!見事な突きだったぜ!」
僧侶「お怪我はありませんか?」
紳士「うむ、無傷ですぞ」
勇者「誰テメエ」
紳士「ぬ?勇者殿いかがなされたか?」
勇者「誰テメエ」
魔法使い「それはギャグか何かか?まさか本当に仲間のことを忘れちまったわけじゃねーよな?」
僧侶「まさか戦闘の最中に頭を打ったんじゃ……」
勇者「いや、お前らまで何言ってんだよ……こんなオッサン仲間にした覚えはねーよ」
紳士「オッサンとは失礼な、私はまだ30代ですぞ?」
勇者「知るか、黙れ」
僧侶「本当に勇者さんどうしちゃったんですか……?」
勇者「こっちが聞きたいよ、というか何で今まで気付かなかったんだ俺は」
紳士「ハッハッハッ、勇者殿さてはまだ寝ぼけておられるな?」
勇者「そうかもな、分かったから少し静かにしていてくれ」
勇者「いいか?こういう時こそ冷静にならなきゃならないんだ、まず俺の意見を聞いてくれ」
魔法使い・僧侶「「分か(った・りました)」」
勇者「まず俺の知っている戦士はあんなんじゃない、俺と同年代だしもっとムキムキだ、髭もなければシルクハットも被ってない」
魔法使い「お前が気付かないうちにイメチェンしたんじゃないの?」
勇者「一日二日で筋肉が落ちるか、っつーの」
僧侶「髪型変わると印象まで変わるって聞きますし、元々老け顔だったんじゃ……」
勇者「さっき自分で30代って言ってたよね?」
紳士「シルクハットを指摘するよりタキシードを指摘したほうがいいと思いますぞ」
勇者「いい加減にしないと剣抜くぞ」
勇者「! 分かったぞ!さてはお前魔王の手下だな!?」
紳士「おやまぁ」
勇者「俺たちの信頼関係を崩す作戦か?さすが魔王、やることが汚いぜ!」
紳士「ふむむ……」
勇者「魔法使いと僧侶は催眠術的なものをかけられてるに違いない!」
紳士「ほうほう…」
勇者「本物の戦士をどこへやった!?早く答えなければ斬るぞ!」
紳士「あらまぁ」
勇者「その相鎚ウザいからやめろ!」
勇者「あああ!もうムシャクシャする!叩き斬ってやる!!」
魔法使い「通り魔みてぇだ」
勇者は 剣を振るった!
紳士は ヒラリと身をかわした!
勇者「なっ!?」(俺の斬撃をかわしただと!?)
紳士「筋はいい……が、まだ青いですぞ」
紳士は 突きを放った!
勇者は 後ろに吹っ飛んだ!
僧侶「勇者!!」
紳士「この剣は鍛錬用のフルーレですからご心配なく」
勇者「くっ……!」
紳士「勇者殿、あなたが私を戦士と認めたくないなら認めなくても結構ですぞ、ただ……」
紳士「何の為に己の剣を振るっているのかは如何なる時も忘れないでもらいたいですぞ」
勇者「……何者だよあんた」
紳士「しがない戦士ですぞ……でもまぁ、その呼び方が気にいらないなら『紳士』と呼んでくれても構いませんぞ」
勇者「絶対にいつかアンタの口から真実を話させてみせるからな、オッサン」
紳士「ホホッ」
それから時は流れ場面は魔王城最上階へ移る
紳士「……」
勇者「ついにここまで辿り着いたぞ!魔王!!」
魔王?『クックック……!久しぶりだな、勇者よ……!!』
勇者「なっ……お、お前は……!!」
僧侶「戦士さん……」
戦士「そうだよ、俺がお前の幼なじみであり、仲間であり、親の仇であり、殺すべき相手であり、葬る者である魔王だ」
勇者「……嘘だ…」
戦士「嘘じゃないし夢じゃないんだな、コレが、なんだったら昔みたいに頬をつねってやろうか?」
勇者「……何で…」
戦士「うん?人間のフリをしてた理由か?だって面白いじゃん!お前のその絶望した顔がみたかったからわざわざ18年間も人間やってたんだぜ?」
魔法使い「戦士!貴様ァッ!!」
戦士「その顔を見るのはあの夜以来になるけどやっぱり最高だなぁ?な?紳士さんよぉ」
勇者「あの夜?」
あの夜
魔法使い・僧侶「」
勇者「せ……戦士…何…で…?」
戦士「本当はもうちょっと楽しみたかったけどお前ら成長早いからさ、面倒になる前に始末することにしたんだ」
戦士「じゃあな、勇者」
魔王は 魔力を込めた剣を振るった!
紳士は 剣を受け止めた!
戦士「誰テメエ」
紳士「ホホッ、貴様何ぞに名乗る名は持ち合わせていないですぞ!!」
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・
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僧侶「……あ、あなたは…?」
紳士「しがない紳士ですぞ、大丈夫、奴は追い払っておきましたぞ」
僧侶「…勇者さんと魔法使いさんは!?」
紳士「二人とも治療は既に済ましておきましたぞ」
魔法使い「グッ!痛ぇ……」
僧侶「魔法使いさん!」
魔法使い「一体何が起こったんだ…?」
僧侶「この人が私たちを助けて下さったんです」
紳士「目を覚まして早々悪いですが、少し話しがありますぞ」
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・
・
僧侶「嘘……」
紳士「残酷だがこれが真実ですぞ……」
魔法使い「……一番辛いのは勇者だ、兄弟同然で育った奴が親の仇だったなんてよぉ……俺なら心が折れちまうぜ…」
紳士「そこで一つ相談があるんですぞ」
魔法使い「?」
紳士「私は勇者殿の記憶を、今夜起こった悲劇の記憶を消そうと思ってるんですぞ」
魔法使い・僧侶「!?」
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