男 「仮想生活体感ゲーム?」(16)


男 「プレイヤーの脳内をスキャンして、それで得たデータを元に仮想現実を生産」

男 「プレイヤーはその仮想現実を五感を駆使して生きていけて、現実世界に限りなく近い楽しみ方ができるゲームか…」

男 「友に進められて買ってみたけど、どんなものなのか…」

男 「えっと、このヘルメット型のゲーム機を装着? そして電源を……」

カチッ

(……ううっ)

「ねえ朝だよ起きて、起きてお兄ちゃん」

男 「ん、俺の部屋に……俺の妹か」

妹 「あ、起きたねお兄ちゃん」ニッコリ

男 (……いつもと同じ光景?)

妹 「早く支度して降りてきてね?」 タタタ

男 「あ、ああ……」

男 (……始まっているんだよな、もう)

1階

男 「……」

妹 「お兄ちゃん眠そうな顔してるけど、寝不足?」

男 「いや、そういうわけじゃ……」

男 (まるで現実みたいだ……、出来事も含めてだけど)

妹 「そうなの? あ、もう私遅刻しそうだから先いくね!」 タタタ

男 「あ、ああ……」

男 (とりあえずパン食べるか)

男 「学校のある日って設定らしい、じゃあ俺もぼちぼち…」

ガチャ

幼なじみ 「おっはよー! 今日もいい朝だねぇ」

男 「ん、幼か 待っててくれたのか?」

幼 「当然! いつものことじゃん!」

男 「いつもの、か 確かに」

男 (現実も含めてだけどな……)

幼 「変な男 じゃ、いこうー!」タタタ

男 「テンション高いな……」タッタッ

男 (……ゲームだよな?)

男「そんなこんなで学校に…」

幼 「じゃ、男 また放課後にね!」

男 「また放課後」

ガラガラ

友 「よう男!」

男 「友……」

男 (これはまさか、俺が一番強く望んでいたのは日常ってオチなのか?)

友 「なんか覇気がないな、どうしたよ? 悩み事か?」

男 「いや、そういうわけじゃ…… 」

男 (……ゲームなら、別に授業抜けても問題ないよな?)

男 「……ちょっと屋上行ってくるよ」

友 「なっ、待て早まるな男!」

ガラガラ

男 (……)

屋上

男 (……風も感じられるんだな)

男 (さて、いつもの日常を淡々と過ごしているようにも思えるこれは一応ゲームらしい)

男 (ゲーム内なら別に犯罪を犯そうがなにをしようが問題ない、よな……?)

男 (リセットしたいと強く願えば自由にリセット可能、さてなにをしてみようか……)

男 「……なんていうか、やっぱり現実のほうが一番って気もしてきた」

男 「ゲーム内で強い衝撃を受ければ、ゲーム終了できるんだっけか」

男 「じゃ、ここから飛び降りて終わるか」

バタン ブチン

今生きている現実は実はゲームで、
一度その中で死を向かえることでゲームは終わりを告げて本当の現実が始まる、かもしれません

……おやすみなさい

...恐ろしいゲームだった

ゲーム終了させる為に人生を終了させなきゃならんとか、これの製作者は自殺推進派か!?

...どうやら、ネットでも不評、悪評が絶えないようだ。まぁ無理もないが…

...ん?
このヘルメット…よく見たら、何かディスクを挿すスロットがあるぞ

...なるほど、取説にも『別売のデータディスクを挿入する事で一味変わった日常を体験できる』とある

体験時の世界が日常(本物)か非日常(偽物)かを判断できるって訳だ

~一週間後~

男「どうせなら破棄する前に、非日常ってやつを体験してみてからでも遅くないだろう」

...独り言を呟きながら、取り寄せておいたデータディスクを開封する

男「いくつか取り寄せてみたが、マジキチだな」

『周りの女は全て自分に惚れる!ハーレムモード』

『偽物でしかありえない?血湧き肉踊る!青春モード』

『これがゲームか!ヒーローは君だ!特撮モード』

『現実でヤれば犯罪でもゲームだから許される!世紀末モード』

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