モバP「想いを塗った星彩」 (52)
モバマスSSです。
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古典シリーズです。
なんか名前の表記が変になってますかね。
事務所
杏「むむむ…」
P「なにしてるんだ?」
杏「いや、丁度秤があったからさ、実験を」
P「実験?」
杏「一番重い飴はどれかなって」
P「同じ袋から取り出した奴じゃそこまで変わらないだろうに…」
杏「ま。そうだけどさ。どうせなら大きい方を食べたいじゃん」
P「どっちも食うんだろ?」
杏「よく分かってるじゃん」ヒョイ
P「しかし、秤なんてあったんだな」
杏「闇のゲームを思い出すね」
P「懐かしいな。嘘を吐くと勝手に秤が動くんだよな」
杏「そそ。椅子に食べられたような気がするよ」
P「そうだっけか」
杏「さぁ?忘れた」
文香「…幸せってなんでしょうか」
P「昼時に話すには重いテーマだな…」
文香「あ、そういう意味ではなくてですね…」
P「どういう意味だ?」
文香「ただ、幸せな人生とか、不幸な星の下とか言うじゃないですか」
P「確かに言うな」
文香「だからどこかに基準でもあるのかな…と」
P「その人の考えによるんだろうな」
P「不幸じゃなきゃ、幸福だし、幸せじゃなきゃ不幸だろ?」
文香「まぁ、そうかもしれませんけど…」
P「もしかしたら、こうやってアイドルになったことは文香にとって不幸かもしれないぞ?」
文香「……え?」
P「本屋にフラリと行って買い物が出来なくなるかもしれない。外をひっそりと歩けなくなるかもしれない」
文香「…確かに、それは不幸かもしれません。でも―」
P「文香が楽しんでアイドルをやってくれているのは分かってるよ」
文香「そうですか…」ホッ
P「と言うか、そうか。もし、アイドルになっただけでそんな風になるなら、シンデレラになったら凄いことになりそうだな」
文香「自由が無くなるかもしれませんね」
文香「テレビの中の方が悠々自適に過ごせるかもしれません」
P「それも凄い話だよな…」
文香「そうですね…」
文香「シンデレラって皆なりたいもの…なんですよね?」
P「まぁ、シンデレラガールになりたくないアイドルはいないだろうな。一番ってことだし」
文香「なるほど…。勿論人気がある方が選ばれるのは自明の理ですが、あまりにもライバルが多いと色々裏でありそうですね」
P「そこら辺はどうなんだろうなぁ…漫画とかドラマである嫉妬故に…!みたいなことはないと思うけど」
文香「まぁ、経験はありませんね」
P「そうだろうなぁ…」
文香「シンデレラガールが決まった日の晩には何か起こるかもしれませんね」
P「面白いことはないと思うぞ…」
文香「…確かに、自分で言いましたがあまり楽しい雰囲気にはならなそうですね」
P「五種類の方法で殺される事件が起きるかもな」
文香「あぁ…言われてみれば」
P「まぁ冗談だけどな」
文香「えぇ、知っています」
ちひろ「たまに、お二人って不思議な会話をしてますよね…」
P「そうですか?」
文香「そう…でしょうか?」
ちひろ「いえ、自覚がないならいいんですけど…」
文香「…はい」
事務所
P「そういや幸子」
幸子「なんですか?」
P「今度ロケがあるじゃないか」
幸子「ありますね。確か四人くらいでだったと思いますけど」
P「そうそう」
幸子「それがどうかしましたか?」
P「ちょっと収録の関係で泊まりになりそうだから親御さんに言っておけよ」
幸子「泊まりなんですか?」
P「夜景とかも背景に使ったりしたいみたいらしくて。流石にそれから帰るのは時間的にな」
幸子「なるほど。分かりました」
P「ありがとな」
幸子「…ちなみに、あと三人って誰でしたっけ?」
P「菜々さん達と泰葉」
幸子「楓さん達はセットなんですね…」
P「あんまり他意はないんだけどな」
幸子「まぁ、いいですよ」
P「それじゃ、当日よろしくな」
幸子「はい。任せて下さい…っていつでしたっけ?」
P「三日後だな。急な連絡になって悪い」
幸子「構いませんよ。急に決まったことでしょうし」
P「幸子は偉いな」
幸子「それに加えてカワイイですよ」
P「そうだなそうだな」
幸子「子供扱いですね…」
P「そういうつもりはないんだけどな」
幸子「それじゃ、大人扱いですか?」
P「アイドル扱いだな」
幸子「どんな扱い方ですかそれは…」
P「どういう風なんだろうな…」
幸子「…さぁ?」
三日後
車内
P「さてと…行くか」
楓「えぇ、さっと行きましょう」
菜々「これくらいの人数だと学生の旅行みたいですねー」
幸子「まぁ…言われてみれば」
P「まぁ、あくまで仕事なんでそこまでハメ外さないように…」
菜々「分かってますよー」
P「楓さんも木刀とか買わないで下さいね」
楓「京都に行くんじゃないんですから問題ないですよ。そもそも修学旅行じゃないんで」
幸子「京都なら買ってたんですか…」
泰葉「木刀かぁ…」
楓「ポーズ決めて写真とか撮ったりしましたねぇ…」
P「本当ですか?」
楓「こっそりとですけどね。流石に友達がいる前だと恥ずかしかったですし」
P「なるほど…」
P「そう言えば幸子は修学旅行とかどこに行ったんだ?」
幸子「ボクのとこですか?確か…奈良とかだったような…」
菜々「奈良ですかー大仏とか見たりしたんですか?」
幸子「そうですね。まぁ、プロデューサーさんがスケジュールを開けてくれたおかげで全日程出ることが出来ました」
泰葉「おー、それは良かったですね」
P「出来るだけ学校の行事には出してやりたいからな。アイドルである前に学生なんだし」
楓「スケジュールはどうなってましたっけ?」
P「午後にロケ現場に入って半日撮影して。翌日に朝のシーンを撮って帰る予定ですね」
菜々「あー、だから泊まりになったんですね」
P「多分、こっちとしてもそっちの方が皆も疲れないってことで交渉してたしな」
楓「気を遣ってくれていますね」
P「まぁ、皆一人一人が事務所の看板を背負ってる訳だから、全力で取り組んで貰いたいしな」
泰葉「看板…」
P「誰かが失敗や問題を起こしたら、まず、どこどこの誰。みたいな風に言われるだろ?」
P「自分の実力と離れた所で話が決まってるのは悔しいじゃないか」
楓「なるほど…」
菜々「確かにそうですね。悪いレッテルは貼られたくないです」
幸子「たまにはいいこと言いますね」
P「お、幸子褒めてくれるのか?」
幸子「ボクだっていいことを言ったら褒めますよ」
P「そうかありがとな。ただ気張り過ぎなくてもいいけど」
泰葉「楽しみながら、それを表現すればいいんですよね」
ロケ地
P「着いたぞー」
幸子「綺麗ですね。観光地としては最高です」
楓「風情がありますね。旅番組にはぴったりです」
菜々「写真撮っとこっと」
泰葉「あ、どうせだったら菜々さん、一緒に撮りましょうよ」
菜々「いいですね」
楓「そういえば…」
P「どうかしましたか?」
楓「今回はちひろさんは来ないんですね」
菜々「あー…懐かしいですね」
P「来ないですね。仕事があるからと言ってました」
楓「あの時に比べて随分人が増えましたからね」
菜々「そうですねぇ…」
P「全くです」
泰葉「なんの話をしてるんですか?」
菜々「こうやってロケに行った時に周子ちゃんをスカウトしたんですよ」
P「たまたまだけどな」
楓「またまたー」
P「本当にそうですって」
泰葉「なんか聞いたことありますよ。上着貸して貰ったって」
P「あー、そんなことあったなぁ」
楓「朝帰りでしたっけ?」
P「そんなことはないですよ。記憶を捏造しないで下さい」
P「それじゃ、楓さんと泰葉。幸子と菜々さんで別れて撮影な。皆頑張ってな」
菜々「ウサミンパワーで頑張りますよ」
幸子「ボクに掛かれば楽勝ですよ」ドヤ
P「さて…事務所の方を大丈夫かな」ピポパ
ガチャ
ちひろ『はい。もしもしー』
P「あ、どうもお疲れ様です」
ちひろ『お疲れ様です。どうかしましたか?』
P「いえ、無事に現場に着いた報告と何か起きてないか気になりまして…」
ちひろ『あぁ、なるほど。大丈夫ですよ』
P「それは良かったです」
ちひろ『はい。あ、え?うん。そうですよ』
P「どうかしましたか?」
ちひろ『いえ、ちょっと変わって欲しい人がいるみたいで』
P「どうぞ」
凛『もしもし』
P「凛か。どうかしたか?」
凛『ちょっとね。あ、でもそっか…』
P「どうかしたのか?」
凛『質問したいことあったけど、冷静に考えたら明日帰ってくるんだよね』
P「そうだな。緊急じゃないならその時にお願いしていいか」
凛『うん。ごめんね』
P「別にいいって。あ、そうだ凛」
凛『なに?』
P「事務所にお土産買って行こうと思うんだけど何か希望はあるか?」
凛『別にないけど。皆で食べれるものならいいんじゃないの?』
P「やっぱりそうだよな。ありがとな」
凛『あ、ちょっと待って』
P「どうかしたか?」
凛『後でお金払うから、キーホルダーみたいの買ってきてくれない?』
P「キーホルダー?」
凛『うん。今まで携帯に付けてた奴が古くなっちゃって』
P「分かった。それじゃあな」
凛『うん。ばいばい』
事務所
凛「ありがと。ちひろさん」
ちひろ「いえいえ~」ニヤニヤ
凛「…なに?」
ちひろ「いえいえ。可愛いなって」
凛「そう?」
ちひろ「えぇ。とっても」
凛「…そうかな」ポリポリ
ロケ地
P「さてと…俺も出来ることでもやるか」
幸子「事務所に電話していたんですか?」
P「そうだな。問題ないってさ」
幸子「まぁ、たった一日ですしね」
P「確かにな。幸子は休憩か?」
幸子「えぇ。菜々さんはお土産屋にいますね」
P「思い出にでも浸ってるのかな」
幸子「どうでしょうか。お土産屋って見てるだけでも楽しいですからね」
P「幸子は行かなくていいのか?」
幸子「…ここにいちゃダメですか?」
P「いや、全く問題ないけど」
幸子「ならいいじゃないですか」
P「そうだな」
幸子「そうなんです」
P「なぁ幸子」
幸子「なんですか?」
P「空が青い理由って知ってるか?」
幸子「は?なんです?藪から棒に」
P「いや、いい天気だからさ」
幸子「そうですか。なんでしょうねぇ…知りません。答えはなんですか?」
P「答えか?」
P「俺もこの間テレビで見たんだが、空が青いのは太陽からの光の内、青色だけが散乱されるかららしい」
幸子「光って確か七色なんでしたっけ?」
P「虹がそうだからそうなんだろうな」
P「青い光だけ捕まえるから空が青いんだと」
幸子「他の色はどこに行くんでしょうか…」
P「さぁな。細かいことは俺も分からない」
幸子「そうですか。あ、休憩が終わりみたいです。行ってきますね」
P「あぁ、行ってらっしゃい」
夜
ホテル
P「お疲れ様。明日も頑張ろう」
楓「温泉に行ってきますね」
P「わざわざ言わなくても…。俺は部屋は別なんだし」
楓「まぁいいじゃないですか」
菜々「お風呂上がったらナナ達の部屋に来ますか?」
P「どうしてです?」
楓「お酒が待ってるんですよ♪」
P「あぁ、そういうことですか」
楓「そういうことです。それではー」
幸子「元気ですね…」
泰葉「早く大人になってPさんに晩酌とかしてみたいです」
P「ははは。その時は宜しく頼むな」
泰葉「はい」
P「二人はこれからどうするんだ?出来れば、ホテルの中にいて欲しいんだけど…」
幸子「中庭があるんで、そこに行こうかなと」
泰葉「さっき、ここに入る時に見つけたんですよ」
P「なるほど。それじゃ、俺も行くよ」
中庭
P「綺麗な夜空だなぁ…」
幸子「ロマンチックですね」
泰葉「携帯のカメラじゃ撮れないのが難点ですよね」ウーン
P「確かに撮っても真っ暗だな」
幸子「いいカメラだと撮れるみたいですけどね」
P「まぁ、実際に見てる人達の独り占めってことにしておこう」
泰葉「何だか得した気分ですね」
幸子「えぇ。そうですね」
P「二人は星に詳しかったりするのか?」
泰葉「いえ…私は誰かに話せるほどは詳しくは」
幸子「ボクもオリオン座と蠍座くらいしか」
P「まぁ、俺もそれくらいしか分からないし、似たようなもんだな」
泰葉「昔の人の想像力は凄いですよね。点と点を結んで色んな動物をイメージしてたんですから」
P「そうだな」
幸子「今見ても正直どうしてそうなったか分からないですけどね」
幸子「あ、そう言えば」
P「どうかしたのか?」
幸子「空が青い理由を聞きましたけど、海が青い理由はなんなんですか?」
P「同じだろうな。光の散乱だろう」
泰葉「散乱…?」
P「俺もテレビで見ただけだから何とも言えないが、青い光だけ跳ね返るから青く見えるらしいぞ」
泰葉「へぇ…なんだかロマンチックじゃないですね」
P「そう言われるとそうだよな」
泰葉「神様の涙とかの方がいいなぁって」
幸子「なんかファンタジーですね」
泰葉「ですね」
幸子「そろそろお風呂にでも行きますか?」
泰葉「そうしましょっか。あ、付いてきちゃダメですからね」
P「付いていかないよ」
楓の部屋
楓「それでは…乾杯」
菜々「かんぱーい」
P「乾杯」
幸子「乾杯です」
泰葉「かんぱーい」
楓「これだけの人数だと少し窮屈ですね」
菜々「ま。しょうがないですよ」
幸子「このジュース美味しいですね」
泰葉「ここの名産だって書いてありました」
P「なるほどな」
楓「こっちにもそれと似た焼酎がありますよー」
P「もうビール開けたんですか…」
楓「こんなに大勢でワイワイするのなんて久しぶりでして」
P「まぁ、確かに…」
楓「Pさんは飲んでくれないし、菜々ちゃんか、ちひろさんぐらいしか飲んでくれないので…」
菜々「ナナは…いえ、なんでもないです」
幸子「あははは…」
泰葉「おつまみって意外と美味しいですねー♪」パクパク
楓「それでですね…」
菜々「はい」ゴクリ
幸子「ど、どうなったんですか」
P(楽しんでるみたいで良かった…)
チョンチョン
P「ん?」
泰葉「ちょっといいですか?」コソコソ
P「どうかしたのか?」
泰葉「ちょっと一緒に来てくれませんか?」
P「いいけど…」
泰葉「ありがとうございます」
P「部屋の外出るのか?」
泰葉「はい」
P「それなら…楓さん。何か買ってくるものありますか?」
楓「そうですねぇ…甘いおつまみが欲しいです」
P「分かりましたー」
廊下
P「それで、どうしたんだ?」
泰葉「もう一回夜空が見たくなったんです」
P「確かに一人じゃ危ないからな」
泰葉「…鈍いですねっ!」プイッ
P「鈍い…あ、幸子も呼んだ方がいいか?」
泰葉「そっちじゃなくて…まぁ、いいです」
中庭
P「さっきより綺麗だな」
泰葉「周りの光が減ったせいでしょうか」
P「そうだろうな」
P「今見えてる星ってさ」
泰葉「はい?」
P「もうないかもしれないんだよな」
泰葉「そうなんですか?」
P「あぁ、その星が光を発してから俺達に届くまでかなりの距離があるからな」
泰葉「そうなんですね」
P「もしかして、今の俺達に輝きを見せる為に、何万光年も離れた所からここまで来てくれたのかもしれない」
泰葉「ちょっとロマンチックですね」
P「そうだな。お、あの星が見えるなんて珍しいな」
泰葉「え、どれですか?」
P「あれだよ」グイ
泰葉「きゃっ…」
泰葉(ち、近いっ)
P「あの赤い星。色まで見えるなんてなぁ」
泰葉「どれですか?」
P「あれだよ」
泰葉「あ、あれですか。凄いですねー」アハハ
P「だよなぁ」
泰葉「……」ジー
P「どうかしたか?」
泰葉「あ、いえですね。Pさんの目にも星が映ってるなぁって」
P「星を見てるからな」
泰葉「そうですね。今は私が映ってます」フフ
泰葉「こうやって空を見上げれば同じ景色が瞳には映っているんでしょうか」
P「哲学的な話か?」
泰葉「そんな話じゃないですよ。ただ、私とPさんが見ている景色が一緒だったら嬉しい。それだけです」
P「そうか…」
泰葉「私はあんまり星のこととか詳しくは分からないんですけど…あの星は分かります」スッ
P「北極星か」
泰葉「はい。Pさんは私にとっての北極星です。健やかなる時も病める時も。苦難にぶち当たって足を止めてしまった時も。目印でいてくれる存在です」
P「買い被り過ぎだな」
泰葉「どうでしょうか」
泰葉「私は、前のプロデューサーさんに言われてこの事務所に来ました」
P「そうだったな」
泰葉「はい。私は、Pさんあなたに会えて良かったと思います」
泰葉「Pさんはそう思ってくれます…か?」チラ
P「あぁ。この業界に入る前から知ってた岡崎泰葉をプロデュース出来て嬉しいよ」
泰葉「それでいいです。今は」ニコ
泰葉「あ、そろそろ戻らないとですね」
P「そうだな。確か甘いおつまみだったっけ」
泰葉「そうですそうです」
P「それじゃ、何か言われる前に帰るか」
泰葉「はい。そうですね」
泰葉「あ、ちょっと待って下さい」
P「ん?」
泰葉「もうちょっとこっちに来てください」
P「うん」
泰葉「えいっ」カシャ
P「写真か?」
泰葉「記念です。記念」
泰葉(私の想いもあの星たちと同じように、何年、何万光年掛けてもあなたの元へ届かせてみせます絶対に)
楓の部屋
P「ただいま戻りました」
幸子「あれ?泰葉さんは?」
P「疲れたから寝るってさ」
楓「遅かったですねー」
P「ちょっと何を買うか迷ってまして」
楓「ま。そういうことにしておきますか」
P「これどうですかね?」
菜々「お饅頭って喉につっかえそうですね…」
P「一応チョコとかもありますけど…」
幸子「一個貰いますね」
P「あぁ、いいぞ」
幸子「中々美味しいですね」モグモグ
楓「それじゃ、第二回戦開始で行きましょー」
幸子「そう言えば、何を話してたんですか?」
P「泰葉とか?」
幸子「えぇ」
P「星の話だよ」
幸子「流れ星でも見えましたか?」
P「残念ながら見れなかったな」
幸子「もし見えたら何をお願いするつもりだったんです?」
P「皆が成功することかな…」
幸子「願われた方も堪ったもんじゃないですね…」
P「言われてみれば。幸子は?」
幸子「ボクはですね。似てますけど、お仕事が一杯来て欲しいなって」
P「トップアイドルになりたいとかではないんだ」
幸子「それは、自分で叶える目標です。誰かに願うものじゃないと思いますよ」
P「カッコいいな」
幸子「そうですかね…」
P「あぁ、その意思は大事にしていてくれ」
幸子「勿論ですよ」
ネムクナッテキマシタネ
デスネー
幸子「ふぁぁ。そろそろ眠くなってきました」
P「それじゃ送ろうか?」
幸子「隣ですからいいですよ」
P「そうか」
幸子「あ、でも。寝る前に水を一本買いたいんで付いてきてくれますか?」
P「分かった」
バタン
楓「そろそろ寝ますか。プロデューサーさんたちも帰ったようですし」
菜々「えぇ。そうしましょう。おやすみなさい」
楓「連絡だけいれておきますか」
ロビー
P「中々エレベーターが来なかったな」
幸子「まぁ、しょうがないですよ。そういう時もあります」
幸子「大変ですね」
P「なにがだ?」
幸子「こうやって色々な人のスケジュール管理をするのが」
P「そうでもないけどな」
幸子「ならいいんですけどね」
P「あぁ、それじゃあな」
幸子「えぇ、おやすみなさ――」
ガチガチ
幸子「…ん?」
P「どうかしたか?」
幸子「あー…なるほど」
P「どうかしたのか?」
幸子「ここオートロックみたいでして。泰葉さんが入ってそのまま寝てしまったので…」
P「入れなくなったと」
幸子「みたいですね」
P「起こすのも可哀想だしなぁ…」
幸子「流石に…」
P「楓さん達の部屋にでもいれて貰うか?」
幸子「それしかないですよね…」
P「ん?留守電?」
P「誰だろ?」
楓『あ、お疲れ様ですー。私達もう寝ますね。おやすみウッサミーン』
P「え。ちょっと…」
幸子「どうかしましたか?」
P「楓さん達寝ちゃったって」
幸子「え…」
P「酒飲んでたから起きない可能性もあるな…」
幸子「明日も早いですから起こすのも悪いですよね…」
P「しかも俺達が出てからすぐ寝たみたいだな」
幸子「勘違いしちゃったんでしょうか。もうお開きだって」
P「かもな」
幸子「……」
幸子(えっと…つまり…あれですよね?)
P「……」
P「あのさ…」
幸子「ぼ、ボクはお風呂場でもいいですからっ!」
P「いや、明日もあるからそれはダメだろ」
幸子「Pさんだって明日も運転とかありますし」
P「とにかく、ちゃんと幸子はベッドで寝ること」
幸子「えっと…そのすみません」
P「いいって」
Pの部屋
幸子「もう寝る準備が出来ていたのは幸いでした」
幸子「歯を磨いてすぐ寝ますね」
P「あぁ、そうしよう」
幸子(何も意識しちゃダメですよボク…)
幸子「…ふー」
P「大丈夫か?」
幸子「い、いきなり顔を出さないで下さいよっ!」
P「悪い悪い」
幸子「いいですけど…」
幸子(髭剃りとか男の人の私物っぽいのが置いてある…)
幸子(なんか、同棲とかしてるみたいですね…)ニヤニヤ
*
P(椅子で寝れば問題なさそうだな)
P(うん。そうしよう)
幸子「あ、あのっ!使い終わりました…」
P「お、そうか。ありがとな」
幸子「は、はいっ!」
幸子「何だか…この雰囲気ちょっとアレですね」
幸子「相手のお風呂を待ってるみたいで…その…」カァァァ
幸子(意識しちゃダメだって)
幸子「寝なきゃ…」
幸子「……むにゃ」
幸子(今何時だろ…)
幸子「五時ですか…まだ寝れますね」
幸子「Pさんは…」キョロキョロ
幸子「あ…」
幸子(椅子に座って寝てる…)
幸子「ボクの為に…」
幸子(寝てるよね…?)
幸子「えっとですね…Pさん」
幸子(もうちょっと小声の方がいいかな)
幸子「普段はあんまり言えないですけどね。ボクは感謝してるんです。アイドルにしてくれて」
幸子「お仕事をくれて。そりゃ…全部が楽しい訳じゃなかったですけど、Pさんがいたから乗り切ることが出来ました」
幸子「学校以外の知り合いが増えました」
幸子「少しずつ有名になるにつれて、ボクが必要と言ってくれる人もいました」
幸子「言葉で言っても足りないと思います」
幸子「だけど、言葉ではっきり言えることもあります」
幸子「これから先もずっとずっと先も、それこそボクがおばさんになってカワイくなくなっても…!」
幸子「ボクにはPさんがひ――」
ピリリリ
幸子「うひゃあ!」ビク
P「うぉ!」ビクッ
幸子「な、なんですか?」
P「すまん。アラームだ。起こしちゃったか?」
幸子「い、いえ、大丈夫です…」
P「そうか。悪いな。もう消したからもう一回寝てくれ。おやすみ」
幸子「は、はい…。おやすみなさい」
翌朝
泰葉「ごめんなさいっ!」ペコリ
幸子「いいですって」
泰葉「オートロックってすっかり忘れてまして…」
P「まぁ、しょうがないさ」
楓「そんなことがあったんですねぇ」
P「昨日のおやすみウッサミーンは可愛かったですよ」
楓「あ、そうですか?それじゃこれからそうやって言うことにしますね。菜々ちゃんが」
菜々「えっ!ナナがですか!?」
幸子「ふふっ」クスクス
P「幸子、体は大丈夫か?」
幸子「えぇ、バッチリですよ。今日もカワイイボクです」
P「それなら安心だ」
P「さっ!今日も撮影頑張るぞ!」
車内
P「そう言えば幸子」
幸子「なんですか?」
P「アラームなった時さ」
幸子「はい」
P「なんであんな近くにいたんだ?」
幸子「えっ」
幸子「あー、アラームを止めようとしたんですよ」
P「なるほどな。悪かったな。寝てたのに」
幸子「だからいいですって。まぁ、邪魔だったのは否めませんけども…」
事務所
P「ただいま戻りました」
凛「おかえり」
ちひろ「お帰りなさい」
P「あ、ちひろさん。これみんなで分けて下さい」
ちひろ「あ、分かりましたー」
P「あ、そうだ凛」
凛「うん。なに?」ワクワク
P「あんまり女の子受けするキーホルダーが分からなくて無難なので悪いけど…」
凛「いや、それでいいって。青色が好きなのは覚えててくれたんだね」
P「まぁな」
凛「ありがと。いくらだった?」
P「数百円だからいいよ」
凛「そっか…それじゃ、今度飲み物でも買ってあげる。それでいい?」
P「あぁ、それでいいよ」
凛「それじゃ、ありがとね」
ガチャ
周子「お、Pさんお帰り」
P「ただいま」
周子「さっきさ、凛とすれ違ったんだけど」
P「うん」
周子「Pさん、凛に何かした?」
P「俺か?」
周子「うん。だって、凛が凄い嬉しそうな顔してたからね」
終わりです。
見て下さった方ありがとうございました。
最近、単発で書いてたのもあって中々書くことが出来なくてすみませんでした。
やはり、星とかは浪漫がありますよね。
何かあればどうぞ。
それでは失礼いたしました。
乙 コナンの受け売りだけど海が青い理由は光の散乱じゃなくて反射じゃなかった?
乙です。これ続きものですか?とても良かった
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません