絵里「つよくてにゅーげーむ」 part3 (620)
《前スレ 絵里「つよくてにゅーげーむ」 part2》
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《前々スレ 絵里「つよくてにゅーげーむ」》
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希「現実……?」
にこ「ええ。現実」
にこ「私たちにとって、ここは紛れもない現実の世界よ」
海未「どうしたんですか、2人とも」
凛「なになに?」
にこ「ちょっと気になることがあるから聞いてみただけよ」
花陽「気になること?」
真姫「でも今は練習中でしょ? 後にしてもいいんじゃない?」
にこ「いや、ずっと引っ掛かってたのよ」
にこ「あんたが見てる夢って何なの?」
にこ「本当にこれ、夢だっていうの?」
希「それは……」
希(ウチが何度も経験したのは、夢を通しての世界……)
希(でももし……それが夢じゃなかったとしたら)
海未「夢じゃ……ない?」
花陽「そうなの? 希ちゃん」
穂乃果「……そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないかなぁ」
希「えっ?」
穂乃果「もしこの世界が夢だったとしても、私たちがいることには変わりないんでしょ?」
にこ「いや、そういう問題じゃなくて……」
穂乃果「じゃあ聞くよ?」
にこ「え、何をよ」
穂乃果「この世界が本当に夢だったら、にこちゃんはラブライブ優勝を目指すの……諦める?」
にこ「……」
凛「そんなの決まってるにゃ!」
花陽「うんっ」
真姫「そうね」
にこ「ええ。諦めるはずがないわ」
穂乃果「だよねっ!」
希「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「だから、深く考えても考えなくても一緒なんだよ」
にこ「……ま、そうかもね」
にこ「悪かったわね、練習止めちゃって。さあ、続きをやりましょう」
海未「……そうですね。今はラブライブへ向けての練習が先です」
花陽「うん、絵里ちゃんとことりちゃんが帰ってくるまで、しっかり練習しないとね」
希「……」
真姫「希、今は……」
希「あ、うん。わかってる」
希(もしここが夢じゃなかったら、かぁ)
希(夢じゃなければ何になるんかな)
希「現実……とか?」
希(いやいや、まさかそんなはずは……)
『過去に戻れるおまじない、って知ってる?』
希(過去に戻れる……)
希(夢だから、何度も繰り返すことができた)
希(夢だから、いろんな方法を試せた)
希(夢だから、知らないものは出て来なかった)
希(でも、最後の1回以外――――――――)
希(夢なのに、思い通りにならなかった)
ここまで
本当にここまで
またせたにゃー
遅れて悪い
前スレ>>1000のほのにこキャッチボール確認
真姫「希」
希「あ、ご、ごめん真姫ちゃん。今集中する――――――――」
真姫「夢って、何なのかしらね」
希「……夢?」
真姫「そう、夢」
真姫「私たちが寝てる間に見るものだけが夢なのかしら?」
希「……どういう意味?」
真姫「いや、なんとなくね」
花陽「真姫ちゃん?」
真姫「だってそうでしょ? 夢って言うのは他にも……」
穂乃果「そうだね。みんなでラブライブ優勝を目指すのも1つの夢だよね」
希「!」
凛「そっか、起きてても夢は見るにゃ」
海未「ああ、確かに言われてみればそうですね」
にこ「まるで夢みたい、とかで出てくる夢って意味?」
真姫「そうよ」
希「夢……なるほど、そんな考え、なんで思いつかなかったんやろ」
にこ「あんたは意外と頑固だからね。自分の中で考えてることを中心に物事を考えてない?」
希(……どうやったかな。でも、ウチはそうやって来た……やんな?)
希(たった1つの願いをかなえるために、ほとんど同じ方法で何度も繰り返してきた)
希(それは、にこっちたちを信じてなかったわけじゃなくて――――――――)
希(1人でしかできない、って勝手に決めつけてたから?)
希「じゃあもしかしてウチは……夢を見てるんじゃなくて――――――――」
にこ「現実の世界で、夢を叶えに来たんじゃないの?」
にこ「夢のような現実を見るために……とか」
海未「夢を、叶えに……?」
凛「なんだかメルヘンチックだね」
希「そ、そんな非科学的な……」
穂乃果「それ、希ちゃんが言うの?」
希「え?」
真姫「そうよ、希ならこう言うじゃない」
『スピリチュアルやろ?』
希「……ああ、そうやね」
にこ「でもよくわかんないわね。夢を叶えに、って」
凛「じゃあここはやっぱり現実の世界?」
花陽「そうなるね」
穂乃果「ん? でも、海未ちゃんたちも現実の世界から来てるよね?」
海未「パラレルワールド……」
凛「パラソル?」
穂乃果「なんで傘?」
真姫「2人はあっち行ってなさい」
にこ「あー、あれ? 世界は無数に存在するとかなんとかのやつ?」
海未「はい、でも信じられません。実際にパラレルワールドが存在するかどうかなんて……」
穂乃果「そこはほら、希ちゃんのスピリチュアルパワーで」
希「うーん……このおまじないって結構呪術めいたところあるしなぁ」
花陽「ええっ!?」
海未「そ、そうなんですか?」
希「だってほら、人の意識に働きかけて夢を見させる……それって完全にオカルトやん?」
海未「……悪魔と契約したような気分です」
花陽「す、すごいことしてたんだぁ……」
凛「へぇー! なんだか漫画やアニメの話みたい!」
にこ「そうね」
海未「はい。眉唾物ですね」
希「あはは、それ前も言ってたなぁ」
海未「ええ。しかしまさかこんなことになっていたなんて……とても信じられませんよ」
希「でもそう考えると辻褄が合うなぁ……」
花陽「何かわかったの?」
希「うん。そういう類の話はちょっと聞いたことがあって」
海未「またオカルトですか?」
希「そんな感じ」
穂乃果「希ちゃん、なんでも知ってるんだね」
希「いや、これは誰かから聞いたものなんよ。今はもう、思い出そうとしても思い出せないけど」
真姫「何よそれ……記憶障害か何かじゃないの?」
凛「えっ」
希「いや、たぶん違うと思う。たぶんこのおまじないを使ってうろちょろしすぎたから、記憶がすり変わってるんやろうなぁ」
にこ「どういうことよ」
希「人から聞いたことをたくさんの人に教えてるうちに、自分が誰から教えてもらったかがわからなくなってるんよ」
海未「私たちに教えたせいでしょうか……」
希「ううん、それは違う」
希(でもまさかこれが夢じゃなかったなんて……ウチは何で気づかなかったんやろ)
希(そういうオカルトの類なら、すぐに結びついたはず……)
希(……やっぱり、どこかで夢と思いたかったんかな)
希(夢ならなかったことにできる)
希(夢なら失敗してもやり直せる)
希(夢なら、あんな風にえりちを悲しませることだってなかった――――――――)
にこ「何よ、辛気臭い顔して」
穂乃果「そうだよぉ。そんな顔してると元気が逃げちゃうよ?」
希「ん、そうやね。ありがとう2人とも」
海未「衝撃の事実でしたね」
花陽「うん」
希「海未ちゃん、花陽ちゃん。巻き込んでごめん」
海未「何を言っているんですか、希」
花陽「うん、希ちゃんは何か勘違いしてる」
希「え?」
海未「私たちは、自ら望んでこちらへ来たんです」
花陽「だから、希ちゃんだけが気に止む必要はないよ」
希「……」
希「……ありがとう」
希(あぁ……そっか。こんなに近くに味方がいたんやね)
凛「あ、かよちんと海未ちゃんが、希ちゃんを泣かせたにゃー」
穂乃果「なんですと!?」
海未「えっ、あ、す、すみません希!」
花陽「ご、ごめんね希ちゃん!」
希「ううん、大丈夫……」
希(あれれ、ウチっていつからこんなに涙もろかったっけ)
凛「それで希ちゃん、どうするの?」
希「え? どうするって……」
真姫「絵里を現実に引き戻すんでしょ? でもこっちも現実ならどうするのってことよ」
希「あ……」
にこ「ま、どうにかなるでしょ」
海未「にこ、その自信はどこから来るんですか……」
にこ「だってそのおまじないとかいうの、意識に働きかけるんでしょ? ならこっちから絵里の意識に働きかければいいんじゃない」
凛「な、なんだかにこちゃんが……」
穂乃果「賢そうなこと言ってる……!?」
凛「裏切り者にゃー!」
穂乃果「であえであえー!」
にこ「ふっ……精神論なら自信あるわ。鋼のメンタルを持つにこにーに死角などなし!」
凛「賢くなさそう」
穂乃果「うん」
にこ「……」
真姫「鋼……」
にこ「とにかく! 帰るところへ帰らせればいいんでしょ!」
花陽「ま、まあそういうことになるね」
凛「ずいぶん乱暴じゃない? その言い方だと絵里ちゃんをビンタして起こしそう」
にこ「手段は選ばないわ」
穂乃果「にこちゃんやっぱり悪代官だね」
にこ「違うわよ。アイドルに向かって何言ってるのよ」
希「まあそれはともかくとして、意識に働きかけるのは有効かもね」
海未「意識、ですか……確かに気持ちが落ち着かない状態では実力が発揮できませんよね」
穂乃果「あ、海未ちゃんそれ弓道の話?」
海未「ええ、そうですよ。よくわかりましたね」
穂乃果「えへへー、だって幼馴染だから」
希(幼馴染かぁ……そういえば、えりちとにこっちが幼馴染やった夢があったなぁ)
希(……)
希(あれ? そういえばいつから、ウチは誰かを頼って目的を達成しようとしてたんやろ)
希(ずっと1人でやってたのに、いつの間にか誰かの手を借りてた……)
希(あれ? いつから?)
希(そういえば成功した時も、μ'sのみんなの力が必要やった……)
希(んん? なんでやったっけ?)
『えりちを助けるために、みんなの力が必要なん』
希(そう、自分自身でウチは、この世界のみんなに声をかけた)
希(……どうして?)
穂乃果「どうしたの、希ちゃん」
希「あ、いや、ちょっと考え事」
穂乃果「考え事?」
希「うん。そんなに気にしなくても大丈夫やで」
穂乃果「そっかぁ」
穂乃果「でもやっぱり、何だか雰囲気変わって来るよね」
希「雰囲気?」
穂乃果「そう、μ'sの雰囲気が、ね」
希「え? なんで?」
穂乃果「ほら、絵里ちゃんとことりちゃんがいないとさ」
「何かが足りないって言うか」
穂乃果「そんな気持ちに……」
希「足りない……」
穂乃果「あれ? どうしたの希ちゃん?」
希「……なんでこんな大切なこと、ずっと忘れてたんやろ」
穂乃果「の、希ちゃん!? 大丈夫!?」
にこ「ちょっと、何があったのよ」
穂乃果「希ちゃんが……」
海未「急にどうしたんですか……」
花陽「希ちゃん……」
凛「……」
真姫「……」
絵里「希? また生徒会の仕事?」
希『うん、多くて大変かなー』
絵里「私も手伝うって言ったじゃない」
希『えりちにはスクールアイドルがあるやろ? それを頑張って』
絵里「むー……でも仕事を押し付けるわけには」
希『ダーメ、いいから練習の続きに行ってきて』
絵里「あ、ちょっと、わかったから! 押さないでってば!」
絵里「私、スクールアイドルやめようかな、って……」
希『ええっ!? なんで急に……!』
絵里「急じゃないわ。前々から考えてたのよ」
希『そ、それでも……えりちはアイドル嫌なん?』
絵里「ううん、違う。アイドルは好きよ」
希『それならなんで――――――――』
絵里「わからないわ。でもね……」
「何かが足りない。そんな気がするのよ」
穂乃果「……」
海未「……!」
花陽「希ちゃん……」
凛「希ちゃん!」
希「わっ、え、な、何?」
真姫「ちょっと、大丈夫なの? 今にも倒れそうだったけど……」
にこ「病院、行った方がいいんじゃないの?」
希(倒れそう……?)
希「いや、大丈夫やって」
花陽「本当? ふらふらしてたよ?」
希「うん、なんでもない」
海未「無理は禁物ですよ?」
穂乃果「うんうん、海未ちゃんの言う通りだよ」
希「わかってるよ」
凛「それならいいんだけど……熱とかない?」
希「ないない」
希(……このおまじないっていうのは、夢を見るために意識を集中させる)
希(夢じゃなくてパラレルワールドに行くとしたら、おそらく意識だけを飛ばして別の世界に行くって感じかな)
希(それで今、意識が完全にブレたってことは――――――――)
希(誰かがウチに、おまじないをかけてる)
希(でもあの視点はウチじゃなかった)
希(あれはえりちの見ていた世界……)
希(えりちがウチに……?)
希(まさかもう、思い出してるん?)
希(それとも――――――――)
希(ウチらのいる世界とは、別のえりちの仕業?)
希(このおまじないって、別の人にもできるんかな?)
希(でも一体、どこのパラレルワールドのえりちが……?)
希(……えりち、ウチに何か伝えようとしてるん?)
希(あんな嫌な記憶まで思い出させるなんて……どういうことなんやろ)
ここまで
1つ展開を増やす度に複雑化していくプロット
フラグ回収漏れありそうで怖い
更新は12時過ぎます
あと前スレでことぱなリクエストしてくれた人いたね
見逃しててすまん 今度建てる
そっか、こののんたんもおまじない何度も使用してる訳だもんな
骨組みと着地点はしっかり決めて書いてそうな1だから任せとけば大丈夫なんじゃないか?
他の話も同時進行してくれてる訳だしww
あとから読み返して、こういう事だったのかと気づくのも乙な物だと思うしな
>>61
着地点にオブジェクトがどんどん増えていくよ
でもエタることはないと思う
絵里「はぁ、あと1つかぁ……」
絵里(考えてみるとなんだかあっけなかったわね。結構いろんなことも聞けたし)
絵里(それにしても不思議よね、パラレルワールドに行けるなんて)
絵里「おまじない……名前がもっといろいろかっこいい名前だったらよかったのかも」
絵里(思いつかないけど)
絵里(でも今回は、あれだけ長くいたって感じだったのに6分しか経ってなかった)
絵里「不思議ね……不思議すぎるわ」
絵里「あ、また何か忘れてないかしら。メモメモ……」
絵里(ことりのいない間は、ダンスレッスンの後にメモをまとめる……なんだか日課ぽくなってきた)
絵里「あの世界の私は、にこと遊ぶための時間を確保するため、生徒会の仕事の先読みをしようとした……」
絵里「でも行った先の世界が楽しすぎて、帰り方を忘れてしまった」
絵里(そんなことがあるのよね。気を付けなくちゃ)
絵里「それで無理やり帰ろうとして、たどり着いたのがここだった、ってわけね」
絵里(……そう考えると変ね。何で私たちはここに集まったのかしら)
絵里「他の私とは話せなかったけど、普通に考えてみるとおかしいわよね?」
絵里「……また謎が深まったわ」
絵里(また後で聞いてみようかしら。長くなっちゃいそうだから明日辺りにでも……)
絵里「あれ、今回忘れてること……何もない?」
絵里「やった! これでもう、手掛かりを得ても忘れることはないわね」
絵里(まあ向こうの私のインパクトが強すぎたせいもあるんだろうけど……)
絵里「まあそれは置いとくとして」
絵里「あと、一貫しておかしかったところがあるとすれば……」
絵里(希の行動、よね)
絵里「何かにつけて希の行動がすべて違ってた」
絵里「生徒会の仕事を1人でやろうとしたり、何より――――――――」
絵里「μ'sに入っていなかった」
絵里「オカルト研究部にいた希は憑依された、とか言ってたわよね?」
絵里「それって……やっぱり希がおまじないを使った、ってこと?」
絵里(うん、たぶんそれに違いない)
絵里(でも……)
絵里「どこの世界の希が使ったのかしら……それがわかればいろいろわかると思うんだけど」
絵里「……難しいこと考えてたらお腹すいてきた……パン食べよう」
絵里(……はっ! あっちの私っぽくなってる!?)
短いけどここまで
おまじない→希 の結びつきができたので、解決に1歩近づいたよ
おいついたぁぁだあ
>>72
おいつかれたぁ
更新は明日の夜になるよ 待たせてすまん
にこ「今日の練習はここまでにしましょう」
希「え、もう?」
にこ「あんまり根を詰めすぎてもよくないわ」
花陽「そうだね」
凛「にこちゃんなんだか部長みたいにゃ」
にこ「部長なんだけど」
穂乃果「これからどうしよっか。みんなでどこか行く?」
真姫「穂乃果、それ休憩になってないわよ」
穂乃果「えー、ダメ?」
花陽「わ、私はどこか行きたい……かなぁ?」
凛「はーい! けってーい! かよちんの意志を尊重します」
花陽「ええっ!?」
にこ「まあそれくらいいいでしょ。現実だってわかったわけだし」
穂乃果「にこちゃんのおごり?」
にこ「にこにーアタック食らわせるわよ」
海未「物理的ですね」
花陽「新しい技なの!?」
にこ「え、いや、単なる思い付き……」
希(花陽ちゃんの食いつきすごいなぁ……アイドルの決めポーズだから?)
穂乃果「穂乃果もそんな技ほしい」
凛「ほのほのアタック?」
穂乃果「ほのほのほのほの」
凛「りんりんりんりん」
真姫「何言ってるのよ」
凛「ほら、真姫ちゃんも一緒に」
穂乃果「はやくはやく」
真姫「え、ええっ」
にこ「最近できたファミレスでいいでしょ」
海未「そうですね」
花陽「うんっ」
にこ「ほら、行くわよ――――――――」
真姫「ま、まきまき……」
にこ「……あんた何やってんの」
真姫「」
希(真姫ちゃん……)
にこ「どっちだっけ」
穂乃果「その角を右に曲がるの」
凛「あれ? 左じゃなかったかにゃー?」
海未「間をとってまっすぐ進みましょう」
真姫「間とったら一生つかないわよ」
希「みんな楽しそうやなぁ」
花陽「……ねぇ、希ちゃん」
希「んー?」
花陽「希ちゃんたちって、A-RISEの演説は聞き取れなかったんでしょ?」
希「うん、まあそうやね。存在自体が曖昧やったから」
花陽「……今、この道って初めて通るよね? 希ちゃんは道、見えてるの?」
希「!」
希(そういえば……あれ?)
希(確かにこんな道、通ったことない。ってことは――――――――)
希「いや、今は現実……やね」
希「……現実」
希(まさか、夢じゃなくて現実って意識したから、こんな風に景色がはっきりと……)
希「あ……!」
『あ、ご、ごめんなさいっ! 現実です!』
『ねぇ花陽、最後にもう1度だけ確認させて』
『夢じゃないよ。ここは現実』
『そうよね……うん、もう大丈夫』
希「そんな……そんな簡単なことやったなんて……」
花陽「え、ど、どうしたの希ちゃん!?」
真姫「何!?」
凛「希ちゃん!?」
希「あ、ごめんごめん。ちょっと拍子抜けしただけで……」
穂乃果「そう? ならいいけど……」
希(意識って大切なんやね……はぁ)
希「花陽ちゃん」
花陽「な、なに?」
希「自分がにこっちを奮い立たせるために、なんて言ってた?」
花陽「え? それは……ここは夢じゃなくて現実だ、って」
花陽「……ええっ!?」
海未「今度はどうしました!?」
にこ「なんなのよもー!?」
希「ごめんごめん」
花陽「そ、それで? それだけで?」
希「たぶんそのせいで、花陽ちゃんの意識がいつの間にかすり替わってたんやろうなぁ……」
希「この世界が現実って思えるように」
希(言霊ってやつ? それなら、よく知らないはずのA-RISEの演説を聞けたって言うのも納得できる)
希(つくづく信じられないことばっかり起こる……うーん、おまじないっていうのも間違ってないなぁ)
花陽「……それなら絵里ちゃんも、そう思ってたりするのかな」
希「え?」
花陽「絵里ちゃんも、こっちの世界が現実だって理解してたら……パリの街並みとかがわかるのかも」
希「うーん……どうやろ。えりち、ちゃんと意識保ってるんかなぁ?」
希(これだけ長くこっちにいたら、もうとっくに現実とか夢とかの垣根を忘れてるような気もするけど)
希「メールでもして聞いてみる? パリの街並みはどうですか、って」
花陽「うん。やってみる価値はあるよ」
花陽「希ちゃん」
希「ん?」
花陽「それでもし、絵里ちゃんがきちんとパリが見えてたら……」
希「……どこで気付いたか、やね」
花陽「うん」
希(でもそれなら普通に帰ってこられるような気もするけど……)
希(いや、もしかすると、気付いた上でこっちを自分のいるべき場所って勘違いしてるかも)
希(もしそうなったとしたら……えりちをかどわかす元凶は一体――――――――)
海未「あ、2人とも、見えてきましたよ」
凛「本当にまっすぐだったなんて……」
穂乃果「海未ちゃんすごい!」
海未「それほどでもありませんよ」
真姫「……ん? あそこにいるのって……」
にこ「!」
希「あれ、にこっちどうしたん?」
にこ「あのシルエットは……見間違えるはずもないわ」
花陽「え……ああっ!」
凛「か、かよちんまで?」
海未「どうしたと言うんですか」
にこ「あのにじみ出るオーラ……」
花陽「誇り高い強者の風格……」
希「ん? あれって……」
ツバサ「……あら? あなたたち、μ'sの――――――――」
にこ「サインください!」
花陽「あ、握手してください!」
希(な、なるほど……A-RISEの綺羅さん)
海未「……ああ、A-RISEの方ですね」
凛「わー! こんなところで会えるなんて! ついでにサインください!」
真姫「ついで、って何よ」
ここまで
ツバサさんの出番は少ないのだ
ツバサ「絢瀬さんと南さんが海外留学してるって話、本当なの?」
凛「そうだよー。もうちょっとで帰って来るけどね」
海未「綺羅さん、ドリンクは何にしますか? 私、とってきますよ」
穂乃果「穂乃果はオレンジー!」
真姫「カフェオレがいいわ」
ツバサ「私はメロンソーダでお願い。あとツバサって呼んでくれて構わないわ」
穂乃果「ツバサさん?」
ツバサ「ええ、高坂さん」
穂乃果「えー、穂乃果は穂乃果でいいよぉ」
凛「凛も、凛って呼んでほしいにゃ」
ツバサ「あら、そう?」
希(ずいぶんフレンドリーやね……)
希「それに比べてこっちは……」
花陽「にこちゃん、ライスにする? ご飯にする?」
にこ「フィッシュにしましょう」
希「……まあ仕方ないか」
にこ「ていうかあんたたち! どうしてそんなに馴れ馴れしいのよ!」
穂乃果「え? だってスピーチの後、仲良くしようって言ってくれたよ?」
ツバサ「そうね。同じラブライブの出場グループとして、仲良くやりたいものだわ」
凛「ほらー。にこちゃん聞いてなかったの?」
希「ウチと海未ちゃんはともかく、2人は聞こえてたんやろ?」
にこ「いや、もうA-RISEの3人が近づいてきただけで……」
花陽「意識がもうろうと……」
希(なるほど)
ツバサ「2人はなんて呼べばいいかしら」
穂乃果「にこちゃんと花陽ちゃん!」
ツバサ「にこさん、花陽さん」
にこ「」
花陽「」
穂乃果「あれ、2人とも固まっちゃった」
真姫「相当憧れてたんでしょ」
ツバサ「あら、うれしい」
花陽「だだ、だって、あのA-RISEのツバサさんと一緒にお食事だよ!?」
にこ「この店で1番いいものを頼まないと……!」
真姫「落ち着きなさいよ2人とも」
凛「1番高いのって、この厚切りステーキだよ? ツバサさん食べられる?」
ツバサ「今はそんなに入らないかも」
にこ「ど、どうすれば……」
花陽「あ、あれ? フォークってどっちの手で持つんだっけ?」
ツバサ「ふふっ」
にこ「!?」
花陽「お、お見苦しいところを……!」
ツバサ「いや、楽しいと思ってね」
穂乃果「楽しい?」
ツバサ「ええ、みんな仲が良くて、2人もメンバーがいなくたってしっかり機能してる」
ツバサ「素敵なグループね。μ'sって」
希「ありがとうございます」
ツバサ「そんなにかしこまらないで。私、そういうのは苦手なのよ」
にこ「困った」
花陽「困ったね」
ツバサ「ふふ」
海未「飲み物、持ってきましたよ」
真姫「ん、ありがとう」
穂乃果「ありがとう海未ちゃん」
凛「海未ちゃんえらいえらい」
ツバサ「海未さんはいつもそういうポジションなの?」
海未「え? いや、ただ席が通路側だったので」
ツバサ「そうなの」
海未「はい。にこも通路側ですが、かなり緊張しているようなので」
にこ「こ、コラ!」
ツバサ「緊張……ね」
ツバサ「あなたたちは緊張、しないの?」
希「緊張……?」
にこ「ラブライブ出場に対して、ですか?」
ツバサ「ええ。人前で踊ること、歌うことについてよ」
花陽「……緊張」
凛「緊張かぁ……あんまり気にしてなかったね」
ツバサ「え?」
真姫「そうね」
海未「はい。あまり考えていませんね」
ツバサ「それは……どうしてかしら?」
穂乃果「何でかなぁ? 希ちゃん、わかる?」
希「うーん……たぶん、精一杯だから?」
ツバサ「精一杯?」
花陽「はい。みんなで歌って踊って……もう頭の中がいっぱいになります」
凛「うんうん。緊張は確かにするけど、すっごく楽しいから!」
ツバサ「……本当に素敵ね」
穂乃果「ツバサさん?」
ツバサ「どうしたらそんなに仲良くなれるの? ねぇねぇ」
真姫「えっ、ちょ、近っ」
にこ「あんた文句言うなら変わりなさいよ!」
ツバサ「たった3人なのに一緒にいられる時間が取れないのよ、どうしたらいいと思う?」
海未「え、ええっ?」
希(あれー? ツバサさんってこういうキャラやったん?)
ツバサ「ありがとう、色々参考になったわ」
穂乃果「こちらこそ! 楽しかったよー!」
ツバサ「本戦では、お互いが悔いのないように頑張りましょう」
にこ「はいっ!」
花陽「よろしくお願いします!」
真姫「……あんな人だったのね」
希(竜巻みたいな人やったなぁ……)
ツバサ「あ、そうそう。1つ聞きたいことがあったんだけど」
凛「なに?」
ツバサ「μ'sって、誰が考えた名前なの?」
海未「ああ、それは……」
花陽「考えたのは……」
希「あ、ウチが――――――――」
『希、ミューズって知ってる?』
『石鹸?』
『違うわよ。音楽とかの……そうね、芸術の神様のこと』
『へー』
希「……ウチが考えたん……やんな?」
にこ「何で疑問形なのよ。そうでしょ?」
穂乃果「うんうん。希ちゃんが決めたんだよね」
『ミューズかぁ……なんか強そうやね』
『いやいや、そうじゃなくて』
『?』
凛「うん、希ちゃんが名前をつけたんでしょ?」
希「……?」
ツバサ「そうなのね。それってやっぱり――――――――」
『私たちスクールアイドルでしょ? だから、それにちなんだ名前が必要じゃない』
『ああ、そうやね。いつまでたってもスクールアイドルグループじゃかっこ悪いし』
『だからそこでこの名前よ。ミューズ、それは――――――――』
希「9人の歌の女神にちなんで……」
ツバサ「あ、やっぱり」
ツバサ「ふふ、教えてくれてありがとう。それじゃ、またね」
海未「はい」
花陽「また本戦で!」
希「……」
希(さっきの、一体いつの……)
希(そういえばウチは、いつから……μ'sって名前をつけたん?)
ここまで
次のラストワールドでだいたいフラグ回収するよ
途中寝オチしてた すまぬ
まきころ続編
真姫「妹っていいものね」こころ「海水浴編!」
→真姫「妹っていいものね」こころ「海水浴編!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411481573/)
絵里「……」
絵里(ことりから遅くなるってメールが来た)
絵里(ダンスの練習も終わった)
絵里(……よし)
絵里「おやすみなさーい」
絵里(これが最後なんだから、早めに終わらせるに越したことはないわね)
絵里「……」
絵里「…………」
絵里(眠れないっ……!)
絵里(そんな、どうして!?)
絵里「うーん、早く寝ないといけないのに……」
絵里(そうだ、羊を数えてみようかしら)
絵里(ひつじがいっぴき)
絵里(ひつじがにひき)
絵里(ひつじがさんびき……)
絵里(……ん? 羊って数え方、匹であってるの?)
絵里(動物って何頭とかいう時あるし……)
絵里(困ったわ。眼が冴えてきた)
絵里「でもよく考えたら、日ごろたくさん寝るようになったからね……その反動が来てるのかしら」
絵里(仕事しなくていいっていいわよね。面倒な書類もないし、ずっとごろごろしてられるし)
絵里(……い、いけない! このままじゃニートになってしまう!)
絵里「日本のみんなは元気かしら……あんまり連絡来ないけど」
絵里「……みんなに会いたい」
絵里(いや、こう考えるのはよくないわね。向こうの世界の居心地のよさを忘れられなくなりそう)
絵里「私は後悔なんてしない」
絵里「みんなと離れている時間も、いつかきっといい思い出になる」
絵里(……なんちゃって)
絵里(うぅ、なんだかポエムみたい)
絵里「あああ、なんか思い出すだけで恥ずかしくなってきた……」
絵里「穴があったら入りたい……あ、もうベッドでいいわね」
絵里「うー……この部屋に監視カメラとかあったらどうしよ」
絵里(普段はこんなこと言わないのに……考えもしないのに)
絵里「うー、意識すればするほど思い出しちゃう……」
絵里(そうだ、無心、無心よ。何も考えなければ大丈夫だわ)
絵里(……)
絵里「……」
絵里(ベッドふかふか……)
絵里「うわっ!? ね、寝てた……」
絵里(ってあれ? ここ、部室?)
絵里「あ、もう別の世界なのね」
絵里(……まず目に入るこれ。何なのかしら、この積まれた板チョコは)
絵里「ん? メモが置いてある……おまじない?」
絵里(ああ、これがこっちの世界のおまじないのやり方なのね)
絵里(そういえば、誰もいないってパターンは初めてかも……)
絵里「静かね。今何時なのかしら」
絵里「……ええっ!? 下校時刻とっくに過ぎてるじゃない!」
絵里「は、早く帰らないと!」
絵里(生徒会長なのに校則を破るなんて、そんなことできないわ!)
絵里(えっと、帰り道は……とりあえずいつも通りで帰りましょう)
絵里「靴はこっちに……」
絵里「うわぁ!? な、何!?」
絵里(ロッカー開けたらいっぱい落ちてきた……)
絵里(……なにこれ。手紙?)
絵里(ああ、ファンレターの類ね。拾わないと……)
絵里「よし、早く帰らないと」
絵里「ただいまー!」
亜里沙「おかえりお姉ちゃん。遅かったね」
絵里「亜里沙はいるのね。うん」
亜里沙「?」
絵里「亜里沙、私たちは何人姉妹?」
亜里沙「2人だよ?」
絵里「うん。そうよね」
絵里(ここは変わってないみたいね)
亜里沙「お姉ちゃん、へんなのー」
絵里「あはは」
亜里沙「あ、今日はお姉ちゃんの好きなボルシチだよ」
絵里「わ、本当!?」
亜里沙「うん。お母さんが作ってくれたの」
絵里(わー、ボルシチねぇ……お腹すいてきた)
絵里「とりあえず、部屋に鞄、置いてくるわ」
亜里沙「うん」
絵里(ボルシチ食べたかったのよね……今は私の体は寝てるけど)
絵里(部屋は……こっちね。うん、変わってない)
絵里「……あれ? 私の部屋、ちょっと変ね」
絵里(アイドルのポスターなんて飾ってたっけ?)
絵里「それにこれって――――――――」
絵里(μ'sのみんなと撮った写真!?)
絵里(希もちゃんと写ってる……!)
絵里「……もしかしてここ、私が希の説得に成功した世界なのかしら?」
絵里「ふふ、やっぱりμ'sはこうでなくちゃね」
絵里(なんだ、幸先良いじゃないの)
絵里「まあちゃんと、希には会ってみなくちゃいけないけど……」
絵里「あ、お弁当箱出さなきゃ」
絵里(たぶん今日もいつも通りの学校なら、お弁当箱があるはずよね)
絵里「あれ、何か入ってる……」
絵里(ノート、よね? でも表紙の文字が私の字じゃない)
絵里「誰かのを間違えて持って帰って来ちゃったのかしら……」
絵里「……ん? 今の表紙の教科の名前――――――――」
絵里(明らかに教科名じゃなかったわよね? いったい誰の……)
絵里「なになに?」
絵里「School idol diary?」
ここまで
通りすがりのスクールアイドルが訪れた最後の世界はSIDの世界!
すまん
急遽用事が出来たので更新は土日になる
part3で終わる?
追いついた
遅れてすまない
SIDワールドのネタがSIDっぽくなかったから消してたの
今から考え直したところをちょろっとだけ更新するよ
絵里「……ふむ」
絵里「……なるほど」
絵里「……ふふ」
絵里(この世界では、みんな楽しそうにしてたのね)
絵里(望んだ未来の形、って感じかしら?)
絵里「えっ、真姫って自転車乗れなかったんだ」
絵里「ことりもボランティアしてるみたいだし……結構知らないところがあるのね」
絵里「海未のお姉さんって私に似てるんだ……へぇ」
絵里(ん、私の番はどこなのかしら)
絵里「あ、これね」
絵里「……」
絵里「……う」
絵里(ちょっと恥ずかしいかも……)
絵里「でもこれ、いいわね」
絵里(私が考えたのかしら? それとも誰かが?)
『叶え、私たちの夢』
絵里「ふふ、日本に戻ったらみんなに教えてあげなくちゃ」
絵里「……ふわぁ。結局全部読んじゃったわね」
絵里「今何時――――――――」
絵里「えっ」
絵里(よ、4時半!?)
絵里「ああっ、こんなに夜更かししてたら……早く寝なきゃ明日は学校が……!」
絵里「……って、今日金曜日じゃない」
絵里(いや、もう昨日ね)
絵里(夜更かしはお肌の大敵! だけど今日くらいは……良いわよね?)
絵里「でもちょっと夜更かししすぎたわね……あれ?」
絵里「今日のお当番、絢瀬絵里――――――――」
絵里(な、何か書かなきゃ!)
絵里(でも何やったかわからない)
絵里「うぅ、明日誰かに聞かないと……」
絵里「誰に聞こうかしら……やっぱり希?」
絵里(でも遊ぶ予定とかしてないわよね)
絵里「あ、携帯のメールとか見れば色々わかるかも」
絵里「んーと……あった!」
絵里(12時半に希の家に……あ、ちゃんと約束してるのね)
絵里「希の家、場所が変わってないといいけど……まあ今日は寝ましょう」
――――――――
絵里「……んん、朝……?」
絵里(最近普通に寝てなかったから、起きるの変な感じ)
絵里「良く寝た……っていうか夜更かししすぎ――――――――」
絵里「あれ?」
絵里「なんで……」
絵里「希に海未に花陽……なんでこんなところで寝てるの?」
希「……」
海未「……」
花陽「……」
絵里「寝てる……おーい」
希「……えりち」
絵里「私はここにいるわよ?」
海未「絵里……」
花陽「絵里ちゃん……」
絵里(なんでみんな私の名前を……夢の中で私はどんなことしてるのかしら)
絵里「……って、おかしいわね。もしかして、夢?」
絵里「うーん……変な夢」
――――――――ああ、やっぱり自分で気が付かなきゃ意味がないのね――――――――
絵里「あ、私? どこにいるの?」
絵里「もしかして……別の世界に飛んじゃったとか?」
――――――――いいえ、気にしないで。さあ、もう起きなさい――――――――
絵里「え、もうそんな時間なの?」
絵里「そういえばそんな気も……」
絵里「なんだか、眠く――――――――」
絵里「……う」
絵里(明るい……)
絵里「だれもいない……わよね」
絵里「今何時かしら……」
絵里「……」
絵里「5時……」
絵里(2度寝したい。でも起きられる自信がない)
絵里「よし、起きましょう」
絵里「んー、それにしてもなんだったのかしら。あの夢」
絵里「すごく懐かしいような……そんな気がしたけど」
絵里(でもただの夢なら夢なのよね。希たちが私の部屋にいるわけないし)
絵里「はぁ、シャワーでも浴びようかしら」
絵里「……ねむい」
ここまで
一旦元の元の世界に帰ってきたよ
SID編はこれからが本番です(短いと思うけど)
要望が多かったので、以前やった、にこ幼馴染・希後輩ワールドのスピンオフ(そんなに長くない)をやろうと思います
やるなら別スレがいいかな?
誘導オナシャス
追い付いた!長いのにそれを全く感じないくらい面白い
絵里「まだ7時……」
絵里(暇だわ)
絵里「このままだと寝ちゃいそうだし……そうだ、散歩にでも行こうかしら」
絵里「亜里沙、起きてる?」
亜里沙「……」
絵里「ふふ、やっぱり寝てるわね」
絵里(書置きでも残しておきましょう)
絵里「行ってきまーす」
絵里「……あれ?」
絵里(私の家ってこんなところにあったっけ?)
絵里「何だか景色が違うような……んん?」
ことり「あっ、絵里ちゃんだぁ♪」
絵里「あ、ことり!」
海未「ああ、絵里ですか。おはようございます」
絵里「ええ、おはよう」
海未「絵里、寝癖がついていますよ」
絵里「え」
ことり「そんな絵里ちゃんもかわいいっ!」
絵里「えー、そう?」
海未「クスクス……早く行かなければならないのではありませんか?」
ことり「あ、そうだった~! すっかり忘れちゃってたみたいっ」
ことり「絵里ちゃんも一緒に来る?」
絵里「へ? どこに?」
海未「商店街まで、ですよ」
ことり「こ、これ! 海未ちゃんっ!!」
海未「これですか」
絵里(2人はさっきから何をしてるのかしら)
絵里(というか私はどうして朝からこんなところに連れてこられたのかしら)
ことり「い、いくよ!」
海未「はい、頑張ってくださいっ!」
絵里(……何かしら。ガチャガチャ?)
ことり「えーいっ!」
海未「ど、どうですか!?」
ことり「これは……」
海未「これは……?」
ことり「ハズレだよぉぉ……すんすん」
海未「残念でしたね、ことり。また明日挑戦しましょう」
ことり「うん……」
絵里「あのー、2人は何をしてるの?」
ことり「カプセルトイ集めだよぉ」
絵里(……あ! ダイアリーに書いてあったやつね!)
海未「私はその付き添いです。終わったら稽古がありますので」
絵里「ああ、日舞とか剣道とか弓道とか」
海未「1日ですべてをやるわけではありませんよ?」
ことり「でもでも、海未ちゃんの袴姿……素敵なんだよねぇ♪」
海未「こ、ことり! あれはそういうコスプレなどではなくて……」
ことり「フフ、知ってるよ」
絵里(な、なんだかおかしい! 若者のノリというかなんというか……)
絵里(って、私も若者だけど!)
絵里(なんだろ……このフレッシュさが私には足りない気がする)
絵里(どうしてかしら……どこが違うのかしら)
海未「絵里、これから予定はありますか?」
絵里「あ、お昼からね」
ことり「そっかぁ、今日は絵里ちゃんにもついてきてもらおうかと思ったんだけどざーんねんっ。また今度にしようね♪」
海未「ええ、そうですね♪」
絵里(よくわからないけど……)
絵里「そうするわ。ええ」
絵里(何故か私の返事だけが浮いて見えるような気がする……ショック)
絵里「……はぁ」
絵里(若さとは何かについて考えさせられる1日だわ)
絵里(ん? そういえばことり、結局どこに行く気だったのかしら)
凛「あー! 絵里ちゃんニャ!」
絵里「あら凛。奇遇ね」
凛「キグーだね」
絵里(意味わかってなさそう)
凛「絵里ちゃんは何してたの?」
絵里「散歩よ」
凛「……たのしいの?」
絵里「普通……かしら」
絵里「じゃあ凛は何してたの?」
凛「これから真姫ちゃんのお家にレッツゴーニャ☆」
凛「そーだ! 絵里ちゃんもおいでよっ!」
絵里「え、ちょ、ええええ!?」
絵里(な、、なんで私、こんなに連れ去られてばっかりなの!?)
にこ「あ、もしかしてそこにいるのって……ズバリ! 凛ちゃんに絵里ちゃんね!」
凛「あれ? ニコちゃん?」
絵里(あ、私の知らないタイプのにこね)
絵里「にこは何してたの」
にこ「それはヒ・ミ・ツ♪」
絵里(むむむ)
にこ「ニコは今日、ちょーっと忙しいからまた今度ねっ! バイバイニコー!」
凛「あ、行っちゃった」
絵里(この世界の人間は風のように去るのが普通なのね)
凛「ついたー! ここが真姫ちゃんのお家っ☆」
絵里(このあたりは一緒なのね)
絵里「ていうか、遊ぶにはちょっと早すぎない? まだ8時回ってないけど……」
凛「朝から一緒にいる方が、ず~っと長く遊べない?」
絵里(おお、夏休みの小学生みたいなこと言ってる)
絵里「でも確かにそれは一理あるわ」
凛「でしょ~? 楽しい時間はいーっぱい、あればあるほど楽しいニャ!」
絵里「楽しくない時間は?」
凛「あー、ダメダメ。凛は今プライベートだから、そういうお話は聞こえなーい」
絵里「ふふ、何それ」
凛「ニコちゃんが言ってたんだぁ~☆ こういう返し方をするとアイドルっぽいって!」
絵里(にこがねぇ……そういうところはあんまり変わってない、と)
凛「もう真姫ちゃん起きてるかな?」
絵里「え、今から来るって言ってないの!?」
凛「ドッキリも楽しい時間の1つだからねっ!」
絵里(凛、あなた清々しいまでに一直線ね。その姿勢素敵だわ)
絵里「でもそれはそれ、これはこれよ。急に来られたって困るでしょ」
凛「凛は大歓迎ニャ♪」
絵里「おへそ出して布団蹴飛ばしてる姿見られても?」
凛「う」
絵里「ぼさぼさの髪の毛に、ヨダレの跡があったとしても?」
凛「ご、ごめんなさーいっ!!」
絵里「素直でよろしい」
絵里「……そういえば花陽は?」
凛「かよちん?」
絵里「うん。あなたたちいつも一緒にいるでしょ?」
凛「かよちんは今、朝ごはん食べてるよ」
絵里「ええっ」
凛「だからジャマしないようにーって、かよちんに内緒で出てきたの」
凛「朝ごはん食べてる時のかよちん、すごく幸せそうだもん」
絵里(真姫のことも考えてあげて)
絵里「凛は朝ごはん、食べたの?」
凛「うん! えーっと、あんまりお腹に溜まらないコーンフレーク」
絵里「ダメじゃない」
凛「ほんとだ! ど、どうしよう。真姫ちゃんのお家でお腹がぐーって鳴ったりしたら、恥ずかしくて死んじゃうかもニャ……」
絵里(やっぱり、そういうところは気にするんだ)
凛「ラーメン食べなきゃ」
絵里「その使命感はどこから来たのよ」
凛「ええっ!? 凛の命のミナトモ、ラーメンさまさまだよぉ」
絵里「みなもと、源よ」
凛「あれれ、凛ってばカンチガイ?」
絵里「ええ」
凛「恥ずかしいニャ」
絵里「ふふっ、そうね」
凛「このことは内緒だよ? みんなに言ったら……」
絵里「言ったら?」
凛「絵里ちゃんは5日間、ラーメン禁止の刑!!」
絵里(いたくもかゆくもない)
凛「それじゃ、凛は朝ごはん食べに帰るねっ」
絵里「気を付けてね」
凛「はーい……あ! にゃんこちゃん!」
絵里「言ったそばから!」
凛「おおっとぉ。気を付けて触らないとビックリしちゃうよね♪」
絵里「そういう意味じゃないけど……まあいいか」
絵里(にしても、恐ろしい脊髄反射ね)
絵里(私、ちゃんと昼まで持つかしら)
ここまで
ハートが出ないのねー
乙
いつも更新楽しみにしてるよー
まきころちゃんもあるからスピンオフは無理せず>>1のペースで書いてくださいな
ハートなしでSID世界を表現するのはなかなか難しそうね・・・
乙
キャラの口調とかがまったく違和感なくてすごい。
まさしくSID世界って感じがする。ハートあったらもっと表現できそう
特に凛ちゃんのにゃーの頻度がSSとは思えないくらい絶妙だわ
きっと何度も読み返したんだろうなぁ
文章から>>1のラブライブ!への愛が伝わってくるわ。
読んでて>>1のこの世界の話をずっと読んでたいと純粋に思ったわ
あら
酉がでない
絵里(……凛も帰っちゃったし、私も帰ろう)
絵里(いや、ここまで来たからには、また誰かと会いたいわね)
絵里「でも朝早いし……」
絵里(あ、もしかしたら穂むらが開いてるかもしれない)
絵里「お金は……よし、ちゃんとある」
絵里(真姫の家がここだから……あっちね)
真姫「わ、わわっ」
絵里「え、真姫――――――――」
絵里(……なんで自転車?)
真姫「え、絵里ちゃん! ちょっと助け……うわぁ!?」
絵里「おおっと!」
真姫「た、助かった……」
絵里「どうしたのよ、真姫」
真姫「い、いや。さっきサドルが急に落ちて……」
絵里「怪我はない?」
真姫「大丈夫……ちょっとびっくりしただけよ」
絵里(それならよかった)
絵里「……でもどうして自転車? それに制服着てるし」
真姫「あ、これは、その……」
絵里「?」
真姫「今日、練習あると思ってて……」
真姫「慌てて出てきた、のよ。間に合わ、なきゃ……大変だから」
絵里「……」
真姫「……もう、なに」
真姫「そんなにジロジロ見ないで……」
絵里(かわいい)
絵里「真姫も案外そういうところあるのね」
真姫「こ、今回はたまたまよ。いつもはこんな間違いしないし」
絵里「へぇー」
真姫「う……信じてない」
真姫「絵里ちゃん、そんな風に意地悪してるとモテないわよ?」
絵里「それもいいかもしれないわね」
真姫「?」
絵里「そういえば真姫、ちゃんと自転車乗れるようになったのよね」
真姫「そ、そうよ! みんなの前にスイスイ~って登場して驚かせ……」
真姫「じゃなかった。優等生の真姫ちゃんは遅刻しないっていうのを改めて……」
絵里「優等生の真姫ちゃん」
真姫「う、な、なによその目は!」
絵里「何でもないわ」
真姫「なんでもないわけないでしょ! そんなにお目々キラキラさせておいて!!」
絵里「え、そんな顔してた?」
真姫「してる」
絵里(この世界の真姫って、ずいぶんからかいやすいわね……なんて思ってたせいね)
絵里「あ、そうだ。さっき凛が遊びに来てたわよ」
真姫「凛が?」
絵里「ええ。予定がないなら遊んであげて。暇そうにしてたから」
真姫「ふーん……じゃあ行ってあげようかな♪」
絵里「え、そんな顔してた?」
真姫「してる」
絵里(この世界の真姫って、ずいぶんからかいやすいわね……なんて思ってたせいね)
絵里「あ、そうだ。さっき凛が遊びに来てたわよ」
真姫「凛ちゃんが?」
絵里「ええ。予定がないなら遊んであげて。暇そうにしてたから」
真姫「ふーん……じゃあ行ってあげようかな♪」
絵里「サドルはきちんと直してからね?」
真姫「あ、これってどうやって直すの?」
絵里「えっ」
真姫「あ、違っ、その」
絵里「……ペダルはどこかわかる? ブレーキは知ってるとして……」
真姫「し、知ってる!!」
絵里(ほんと、からかいやすいというか……ふふ)
真姫「……絵里ちゃんってそんなだった? もっと優しかったと思うんだけど」
絵里(あ、いけない)
絵里「たまにはそういう時だってあるわ。たまには、ね」
真姫「ホント? ならいいけど」
絵里「そうだ。私もあっちに用があるから、一緒に行く?」
真姫「そうするわ……一緒の方向なら仕方ないしね」
絵里「あ、やっぱりあっちに用事なかった」
真姫「なっ」
絵里「どうしたの?」
真姫「……なんでもないけど」
絵里(わかりやすい)
絵里「いや、やっぱり用事があったわ。一緒に行きましょう」
真姫「……本当よね? 今度はウソじゃない?」
絵里「ええ。本当よ」
真姫「それならいいわ」
絵里(ああ、ここでやっぱり嘘って言いたくなるのは仕方ないわよね……でも我慢しなきゃ)
ここまで
SIDの真姫ちゃんって丸くなってるよね たぶん
おつ
呼び方確認しながらやってるんだな、さすが
やっと追いついた!まったく>>1はおもしろい話ばっかり書きすぎよ!
もっとにこの出番も増やして欲しいニコ♥
初期設定、漫画設定、SID設定の世界はわかるけど他の世界の元ネタってあるん?
>>204
まとめるからまってて
更新は12時過ぎる
>>204
1回目の「穂乃果を呼び出した・希が入ってないだけ」の世界は、単純に「希がμ'sに入らなかったら」って設定(絵里の中でリーダーは穂乃果という認識)
2回目の「にこを呼び出した」世界は「絵里が何らかの違和感により諦めようとしたら」って設定(絵里の中でのリーダーは部長のにこ)
3回目は漫画
4回目の「凛妹・にこ幼馴染・希後輩」の世界は初期設定とオリジナルを混ぜただけ
5回目の今はSID
設定とか元ネタとかは本編に関係ないけど、キャラ同士の関係の変化は結構関係ある
絵里「あ、じゃあ私はここまでね」
真姫「ええ、それじゃまた明日……ううん、あさってね」
絵里「うん。気を付けて行くのよ」
真姫「わかってるってば、もう私は乗れるんだから!」
絵里(あ、行っちゃった)
絵里(……よろよろしてるけど、本当に大丈夫なのかしら?)
絵里「って、お店の前で突っ立ってるのも悪いわね」
絵里(結構早めの時間だけど……開いてるわよね?)
絵里「ごめんくださーい」
穂乃果「いらっしゃいませ~♪ お客さんが今日、最初のお客さんですよ……」
絵里「あら、穂乃果」
穂乃果「あれ? あれれ?? 絵里ちゃん!?」
絵里「そうよ」
穂乃果「わ~い! こんなに朝早くから来てくれるなんて……実は穂乃果に会いに来てくれたとか♡」
絵里「そういうことでもいいわ」
穂乃果「それならそうと言ってくれればいいのに~。穂乃果、今日はずぅっと店番なんだよ」
絵里「何か悪いことでもしたの?」
穂乃果「してないよぉ。ただね? おいしそうな、ぷるぷるなプリンが置いてあってね?」
絵里「うん」
穂乃果「つい食べちゃったんだ! ……ユッキーのだとは知らずに」
絵里(妹の雪穂ちゃんのことね)
穂乃果「そしたらもうユッキー、カンカンに怒っちゃって……今日は私の分まで店番してよねっ! って、怒られちゃったんだぁ」
絵里(自業自得のような気がするけど……)
穂乃果「って、いけないいけない! 絵里ちゃんはお客さんだもん。待たせちゃいけないよね♡」
絵里「別に気にしなくていいわよ? そんなに急いでないし」
穂乃果「ううん、こういうところは真面目にやらないとね!」
絵里「あら、偉いわね」
穂乃果「動いてないと寝ちゃいそうだから♪」
絵里「前言撤回」
穂乃果「本日の穂むらのオススメは、このフンワリあま~いイチゴ大福ですっ!」
穂乃果「穂乃果も大好きです! イチゴ、おいしいよねぇ」
絵里「つまみ食いしたらダメよ?」
穂乃果「そんなことはしないよ! 穂乃果だって決めるときはビシっと決めるんだから!」
絵里「あ、そうよね。疑ってごめんなさい」
穂乃果「絵里ちゃん、謝るのはいいから、その代わりに……」
絵里「その代わりに……?」
穂乃果「いらっしゃいませ~」
絵里「い、いらっしゃいませ……」
穂乃果「声が小さいよ、絵里ちゃん。そんなのじゃ店番にならないよ??」
絵里(どうしてこんなことに……)
穂乃果「絵里ちゃん、ちょっとコンビニまで行ってユッキーのプリン買ってくるから……それまでよろしくね♡」
絵里「私、ちゃんと対応できないかもしれないわよ?」
穂乃果「すぐに帰って来るから、待ってて!」
絵里「あ、ほ、穂乃果!」
穂乃果「いってきます!」
絵里(ま、また風のように去って行った……)
絵里(店番……穂むらのセキュリティはこんなのでいいのかしら)
絵里(狙い澄ましたように私のサイズの割烹着あるし……って、もしかしてこれ、穂乃果のお母さんのものじゃ……)
絵里「!」
絵里(い、今、外に人影が……! まずい!)
花陽「ごめんくださ~い」
絵里「えっ」
花陽「……あれれ?? 花陽、おうち間違えちゃった??」
絵里「いや、ここで合ってるわよ」
花陽「そうだよね? よかったぁ~」
花陽「でもでも、何で絵里ちゃんがここにいるの? あっ! もしかしてバイト?」
絵里「強制労働を強いられたのよ」
花陽「ええっ!? ど、どうして!?」
絵里(花陽の反応も面白いわね)
絵里「それより花陽」
花陽「さ、最低賃金が……」
絵里「はなよー」
花陽「え? どうしたの?」
絵里「その手のじょうろ、どうしてそんなの持ってるの?」
花陽「ああ、これは水やりのだよ♪」
絵里「……あ、花壇の?」
花陽「うんっ♡」
絵里「今の時期だと何の花が咲くのかしら」
花陽「学校の花壇には、ホウセンカが咲いてたよぉ」
絵里「ホウセンカかぁ……」
絵里(私も小学校の頃、栽培したようなしてないような)
花陽「こんなに暑い日が続いちゃうと、やっぱりお花さんも大変だと思って」
花陽「きっと暑くて、カラカラになっちゃうと思ったら、居ても立ってもいられなくなっちゃったの」
絵里「ふふ、花陽らしいかも」
花陽「そうなのかなぁ? でも絵里ちゃんが言うんだから、きっとそうだよねっ♪」
すまぬ ここまでだ
次回 穂乃果帰還、花陽との修羅場(ほのぼの)
穂乃果「たっだいまー!」
絵里「あら、お帰り穂乃果」
花陽「あ、穂乃果ちゃん。お邪魔してます」
穂乃果「って、花陽ちゃん!?」
花陽「うん、おはよう」
穂乃果「おはよう……じゃなくて! 絵里ちゃん、ちゃんと接客してた~?」
絵里「してない」
穂乃果「ダメダメ、そんな顔じゃお客さん怖がっちゃうよぉ?」
絵里(私もお客さんなのよ)
穂乃果「まずはニッコリ笑顔だよっ。こんな風に~♡」
絵里「だから、そうじゃなくて」
穂乃果「接客の基本は笑顔! おばあちゃんもそう言ってたもん」
絵里「接客は」
穂乃果「そのままだとお客さんにスマイルを届けられないよ?」
絵里「穂乃果!」
穂乃果「ひゃあ!?」
絵里「わたしも、おきゃくさん」
絵里「わかる?」
穂乃果「……そうだった!」
花陽「ええっ!? そ、そうなの?」
絵里「そうなのよ。穂乃果が仕事押し付けて行っちゃうから……」
穂乃果「ちゃ、ちゃんとすぐ帰ってきたよ! プリンあるし」
絵里「そういう問題じゃなーい!」
穂乃果「きゃーっ!? ごめんなさい!」
絵里「……もう。次はないわよ?」
穂乃果「……えへへ」
絵里「?」
穂乃果「なんだか、絵里ちゃんがいつもの雰囲気に戻ってきた気がする」
絵里「いつもの、って……」
花陽「ああ、確かにいつもより落ち着いてる感じしてたねぇ」
絵里(どういうこと? また私、世界に染まってきて――――――――)
穂乃果「そういうクールなのも似合うけどぉ~……やっぱり絵里ちゃんはこうじゃなきゃ! フフッ♡」
花陽「そうだね♪」
絵里(でも、ちょっとしか話してない花陽にも見抜かれてたなんて……)
絵里(また入れ替わったりしちゃうのかしら……?)
絵里「って、ごめんね花陽。待たせちゃって」
花陽「いいよぉ。絵里ちゃんと話せてるから」
絵里(花陽が天使に見える。元からだけど)
穂乃果「絵里ちゃんずる~い! 花陽ちゃんばっかりヒイキしちゃってー」
絵里「穂乃果はお客さんじゃないもの」
穂乃果「えー、絵里ちゃんサービスしてよぉ」
絵里「しません。それより早く場所代わりなさい」
穂乃果「ヤダヤダ! 絵里ちゃんが何かサービスしてくれないと動かないもん!」
花陽「クスクス、穂乃果ちゃんヤキモチさんなんだね♡」
絵里「やれやれ……」
絵里(まさか生きてて実際に、やれやれなんて言葉使うとは思わなかったわ)
絵里「穂乃果」
穂乃果「サービス?」
絵里「それそれ」
穂乃果「わーい! なになに? 何してくれるの??」
絵里「ほぉら、たかいたか~い!」
穂乃果「わ~っ!」
穂乃果「って、そんなのじゃ喜ばないよ。穂乃果は子どもじゃないんだから、もう」
絵里(えっ、今喜んでたのどこの誰?)
絵里「じゃあどうしようかしら……うーん」
花陽「絵里ちゃん」
絵里「ん?」
花陽「いつもみたいにぎゅ~ってしてあげればいいんだよ♪」
絵里「いつもみたいに……」
絵里(私はいつもされる側だったわね)
絵里「穂乃果」
穂乃果「サービス!」
絵里「それそれ」
絵里「ぎゅー」
穂乃果「……」
絵里(いや、これなんか違う気がする。もっと腕を下げてぎゅっと抱き寄せて……)
絵里「はまった!」
穂乃果「……う、うぅ」
絵里「あれ? どうしたの穂乃果」
穂乃果「あ、あの……こんなマジメなハグは初めてっていうか……」
絵里「……ああ、ごめん」
花陽「……」
絵里(ん? 今度は花陽が……)
花陽「……いいなぁ」
絵里「」
花陽「あっ、今のは……その」
絵里「つかまえたわよっ♡」
花陽「ひゃっ、つかまっちゃった」
穂乃果「絵里ちゃんの浮気者~!」
絵里(やだこれ楽しい)
ここまで
更新滞りまくってすまん
1日が28時間くらいあればいいのに(´・ω・`)
絵里「……つかれた」
絵里(結局どのくらいじゃれあってたのかしら。結構な時間経ってたけど……)
絵里「……もう10時すぎ」
絵里(2時間も……なんてこと)
絵里「でも……結構楽しかったわね♪」
絵里(あれ? 今、こっちの穂乃果たちみたいな感じだったような)
絵里「……あっ、おまんじゅう買い忘れた」
絵里「今から戻るのもなぁ……うーん」
絵里(何も持っていかないのも悪いし、スーパーとかでお菓子でも買って行きましょう)
絵里「希の好きなお菓子って何だったかしら……」
にこ「あ~っ! 絵里ちゃんだ!」
絵里「あれ、にこ?」
にこ「せいか~い! こんなところでまた会うなんて、これもウンメイってやつニコっ♡」
絵里「それは言い過ぎじゃない?」
にこ「ううん、アイドルにとって、ラッキーであることはとぉっても大事!」
絵里(ん? ラッキーの話してたっけ?)
にこ「時には笑いの女神さまに微笑んでもらえるアイドルじゃないと、スクールアイドルだからって悠長に構えてるヒマはないニコよ!」
絵里「ちょ、ちょっとにこ、声が大きいって」
にこ「あっ、いけないいけない。ニコってばアイドルのことになっちゃうと、つい熱くなっちゃって♡」
絵里(ふふ、ここでもやっぱり、にこは相変わらずアイドルが好きなのね)
にこ「ムムッ、絵里ちゃん笑ってる~?」
絵里「ごめんごめん。にこがあまりにも楽しそうだったから」
にこ「?」
絵里「それで、にこは今まで何してたの?」
にこ「ニコはスーパーでアルバイト♪ 今日もニコの宣伝のおかげで、在庫がなくなっちゃうくらいソーセージが売れちゃった♡」
にこ「これもニコのアイドルオーラのお・か・げ?」
絵里(……もしかすると、あながち否定できないかもしれないわね)
絵里「あ、そうだ。スーパーでバイトしてたなら、お安い商品教えてもらえないかしら?」
にこ「おっ! 思わぬところでお客さんゲ~ット♪ さあさあ、絵里ちゃんをお店までエスコートするニコ~!」
絵里「わわ、は、速い!」
絵里(でも、こんな朝早くからバイトなんて……)
にこ「ちょうど欲しかったアイドルグッズがあったから、絵里ちゃんも売り上げに貢献してねっ♡」
にこ「アルバイト増やしてもギリギリ間に合うかどうかの限定商品だから助かるニコ!」
絵里(うん。思ったより大丈夫そうね、うん)
にこ「……ねぇ絵里ちゃん」
絵里「なに?」
にこ「もしかして……希ちゃんの好きなお菓子、知らないとか?」
絵里「」
絵里(鋭い)
絵里「い、いや、そんな」
にこ「だって絵里ちゃん、さきからずぅっとおんなじところをグルグル回ってるもん」
絵里(バレてた)
にこ「……ねぇ絵里ちゃん」
絵里「なに?」
にこ「もしかして……希ちゃんの好きなお菓子、知らないとか?」
絵里「」
絵里(鋭い)
絵里「い、いや、そんな」
にこ「だって絵里ちゃん、さっきからずぅっとおんなじところをグルグル回ってるもん」
絵里(バレてた)
にこ「それってちょっと意外かも。絵里ちゃん、いっつも希ちゃんといっしょにいるから~……」
にこ「ハッ! まさか、いっしょにいるのは絵里ちゃんじゃなくて、双子の妹のえりりちゃんだったりして!」
絵里「そんなことないわよ。希とは今日も約束してるんだから」
絵里「ただ、その……」
絵里(希の趣味が、元の世界の希の趣味と同じかどうかが心配なだけで……)
にこ「でも希ちゃん、最近ちょっと変な感じだったニコ」
絵里「変……って?」
にこ「う~ん……なんていうか、焦ってる?」
にこ「いつもはニコも憧れるフンワリ系の、ぽわぽわ~って感じの希ちゃんが……なんだか余裕がないって感じで」
絵里(余裕がない……)
にこ「ちょっと不思議ちゃんだった希ちゃんが、不思議なこと全然言ってなかったから……あ、もしかして絵里ちゃん、ケンカ?」
絵里「ううん、覚えはないけど……」
絵里(喧嘩なんてしてたら、約束なんてしにくいわよね? ってことは、何か別の理由があったのかしら?)
すまん 睡眠不足で倒れてた(∀`*ゞ)
きょうはここまでー またあした
また明日と言ったな
あれは嘘だ
ごめんなさい
やっと休みとれた 昼くらいから更新します
絵里(喧嘩、かぁ……)
絵里(もしかして、もしかすると……)
絵里「ううーん……」
絵里「って、道はこっちで合ってるかしら?」
希「あ、エリち。待ってたで」
絵里「あ、希。こんにちは」
希「やっぱり……ぎょーさん連れてたみたいやなぁ……」
絵里「え? 何?」
希「鬼の子っていうより、今はまさに可能性を秘めた龍?」
希「フフ、えらいつよなったなぁ」
絵里「?」
絵里(希が何を言ってるかわからない……ていうか、希の関西弁ってこんなに強かったっけ?)
希「エリち、どこから来たん?」
絵里「家からよ? 途中でいろんなところに寄ったけど」
希「そないなこと聞いてるん……あ、エリち、ちょっとこっち」
絵里「ん?」
希「そのまま、後ろ向いて」
絵里「??」
希「……くんくん」
絵里「!?」
絵里「ちょ、の、希!?」
希「トワレ……うん、エリちの匂いは変わらずやね」
絵里(トワ?)
希「とりあえず中、入ろか」
絵里「あ、うん」
絵里(にこが言ってた不思議なこと言ってたって、このことだったの?)
絵里「……」
絵里(希の部屋……ずいぶん綺麗にしてるのね)
希「エリち、もっとくつろいでええんよ? いつもみたいに」
希「って、そうやね。今はわかるわけあらへんか」
絵里(……今気づいたけど、希って――――――――)
希「えーっと、パラレルワールドのエリち……変な感じやけど、はじめまして?」
絵里(やっぱりバレてる!)
絵里(こ、ここは素直に乗った方がいいのかしら)
絵里(いやいや、でもそんな)
絵里(でもこの希なら意外と)
絵里(って言ってもさすがに)
『……それでもウチを頼ってくれたらうれしいけどなぁ』
『そうねぇ、最初に頼るのは希かも』
『ふふっ、それはうれしい』
絵里(……)
絵里「はじめまして、希」
希「うん、はじめまして」
絵里「……にしても、どうしてわかったの?」
希「なんとなーく気配が、エリちと別物な感じがせぇへん?」
絵里「わからないわ」
希「あらら、エリちにはわからへんの?」
絵里「うん」
希「まあ、それがエリちらしくて好きかな」
絵里(ぐぬぬ)
絵里「そうやって私をバカにしてると、お土産はあげません」
希「エリちのいけずぅ~」
絵里「はいはい」
希「ああ、これはエリちに見せた方がええんかな」
絵里「……何それ?」
希「ウチの個人ダイアリー♡」
希「スクールアイドルダイアリーとは別の、ほんまのウチの日記帳♪」
絵里「どうして希の日記帳を見せるの? 交換日記?」
希「エリち、今この段階でそないなこと言うん?」
絵里「え、じゃあ……そういう趣味?」
希「察しが悪いエリちもかわいいなぁ♡ でも今、ウチら何の話してた?」
絵里「それは、パラレル――――――――」
絵里「あ! まさか手がかり!?」
希「ご名答!」
絵里「見せてもらっていいの?」
希「ええよ、その代わり……この日と、それからこの日の間までやで? 他のところは見たらあかんよ?」
絵里「ありがとう!」
希「おおきに♡」
絵里「まずはこの日以外から……」
希「エリち!?」
絵里「冗談よ、冗談♡」
希「パラレルワールドのエリちっていじわるやなぁ……」
絵里(本質は変わってないと思うけどね♪)
絵里「何が書いてあったの?」
希「それは見てのお楽しみってことで」
絵里「そうね。じゃあ見てみるわ」
~~~~~~~~
『1日目』
こっちの状況は元の世界とあまり変わらない。
えりちはどうやらまだμ'sに入っていないらしい。
でも今度こそ、成功させてみる。
『2日目』
えりちは変わらず生徒会長。
ウチも変わらず副会長。
元と近い関係でシミュレーションできるのは実にありがたい。
えりちが入らないまま夏を過ぎると、μ'sで知名度を上げられていないせいで、生徒会の仕事がいろいろと増えてしまう。
タイムリミットはそれまで。
時間はあるし、まだまだ慎重に計画を練らないといけない。
『3日目』
とりあえず忘れそうやったからって、こっちの自分の日記に経過を書くのは悪いかなぁ。
あとで消しとこう。
あ、それか新しいの買ってこようかな。
『4日目』
今日はすごいことに気付いた。
μ'sが出来上がろうとしている今、ウチが穂乃果ちゃんたちに関わろうとすると……えりちが嫉妬してた!
これはもしかしたらチャンスかも。
でも関西弁ってこんなに難しいもんなんやね……真似するの疲れてきたで。
『5日目』
外堀を埋める。
そうすれば、えりちの逃げ場はなくなるはず。
ってことで、レッツ手回し~♪
今回はかなり希望がある気がする。
『6日目』
えりちはしぶとい。
なかなかμ'sに入ってくれない。
外堀はまだまだ埋まりそうにない。
『10日目』
いつも通り、えりち以外がμ'sに加入した。
外堀は埋まったはず。
えりちはどう動くんかな?
『13日目』
いつもなら、このあたりでえりちが折れる。
ちょっと前に行ったウチが下級生やった夢では、えりちとの関係が離れすぎててすぐにあきらめることになったけど、今回はそういうのもなさそう。
えりちがμ'sをやめないためにはどうしたらいいんかな?
『1 日 』
わかった。
徹夜 悩 だ甲斐が った
当に必要 のは こと。
もう戻
消し忘れ た
ちゃ と
~~~~~~~~
絵里「……」
絵里(希は確かにおまじないを使ってた……)
希「エリち、わかる? ウチはよう理解できへんくて」
絵里(希はたぶん……いや、絶対に)
絵里(私をμ'sに加入させようとしていた)
絵里(希が後輩の夢……それって前に私が行ったところよね?)
絵里(しかもこれ、何度もおまじないを使ってるようなことがほのめかされてる)
絵里(最後のページはたぶん……徹夜で悩んで消し忘れた、ってこと?)
絵里(元の世界を忘れないように、帰るまでのタイムリミットがあって、成功して慌てて帰ったのね)
絵里(最後だけ、しかも雑に消えてるのは、眠くてちゃんと消せなかったのかしら)
絵里(……これはすごく重要な手がかりだわ)
絵里「……肝心な部分が消されてるけど」
希「エリち、そない真面目な顔してたら、眉間にシワが寄ってまうよ?」
絵里「あ、うん。ごめん」
絵里「……!」
絵里(ちょっと待って、そういえば希は、誰におまじないを教わったの?)
絵里(いや、そもそもおかしいわ)
絵里(私はどうして、おまじないを知ってるの?)
絵里(自分に教えられる前から、知っていたはずよね? じゃないと……)
絵里(じゃないと……何? 私がおまじないを使ったのは、教えられてから使ったのが初めてじゃ……)
絵里「……ちがう」
希「え?」
絵里「ちがうわ、ここは……ここは違う」
希「え、エリち? 落ち着いて?」
絵里「大丈夫、心配しないで」
絵里「どうして、こんな簡単なこと、気付かなかったのかしら……」
絵里(私の体に、本来の持ち主の私の心がいる、それは『そこが私の世界じゃない』から)
絵里「ちょっと考えればわかったはずなのに――――――――」
『過去に戻れるおまじない、って知ってる?』
絵里「私は、希に教えられてここへ来たんじゃない――――――――」
ここまで
のんたんのおまじない使用は絵里をμ'sに加入させるため
かゆ うま
書いてて同じこと思ってたよ
こうしん
絵里「まさかこれが、帰り道を忘れるってこと……?」
絵里(あの世界の私みたいに、戻れなくなって――――――――)
絵里(私も、あの私たちと同じように……そっか)
絵里「ありがとう、希」
希「エリち……そんな顔してたら、悪い気に捕まってまうで」
絵里「そう、よね。うん」
絵里(すぐに戻るべきなのはわかってる……でも、私は今のμ'sを置いて行くわけにはいかない)
絵里「私がまず、するべきことは――――――――」
絵里(……そうだったのね)
絵里「え、何? 頭に直接……」
絵里(希も私と……やっぱり、あの時の希は、希じゃなかった)
絵里「別の意識が勝手に……ああ、あなたはこっちの私? この世界の私なのね?」
絵里(ええ、そうよ。ここまで連れてきてくれてありがとう)
希「んん?? 1つの身体に心が2つ……いや、もう少し多いかもしれへんなぁ」
絵里「希、わかるの?」
希「ほんのちょーっとだけ。だって、明らかに雰囲気別人やもん」
絵里「それなら話は早いわ。ちょっと色々あってね」
絵里(道理で見つからないはずだわ……)
絵里「何か知ってるの?」
絵里(それは、きっと……帰れば説明してくれるはずよ。すべて、ね)
希「自分と対話……フムフム、エリちは器用なことするもんや」
絵里「自分からできるようになったわけじゃないわ」
絵里(絵里、あなたは一旦、目を覚ますべきよ)
絵里(ここはもう、大丈夫だから)
絵里「ええ、そうね……」
絵里「あの絢瀬絵里は、すべてを知ってるの?」
絵里(そうでしょうね。私たちがたどり着いた先があそこだったのも、偶然じゃなかったのかもしれない)
絵里「……希、ありがとう」
希「ううん、ウチは何にもしてへんよ」
希「大切なこと……やるべきこと、見つけたんやね♡」
絵里「そういうこと」
絵里「なんだかごめんなさい、せっかくの休日なのに変なことばっかりで」
希「親友のためなら、そないなこと気にしてられへんよ」
希「自分の好きなように、思うがままに行動すればよろしいやん♪」
絵里「フフ、ありがとう」
絵里(ねぇ、わたし)
絵里「なに?」
絵里(元の世界に戻ったら、希に伝えておいてくれる?)
絵里「何を?」
絵里(あなたが思ったことよ。あなたは私なんだから、わかるでしょ?)
絵里「……なるほどね」
絵里(きっと、あなたの世界の希と、私が出会った希は同じ世界の人よ)
絵里(だから、お願い)
絵里「ええ、任せて」
希「なになに? ヒミツのお話? ウチも混ぜてぇや♡」
絵里「そんなに心配しなくても、ちゃんと教えてくれるわよ」
希「エリちが?」
絵里「そう。私が、ね♡」
希「クスクス。エリち、なんとなくエリちに似てきてる」
絵里「え? こっちの私に、ってこと?」
希「うん♪」
希「やっぱりおんなじエリちなんやし、ほんまに似てるっていうのは当たり前のことかもしれんなぁ」
絵里「おんなじ……」
絵里(……なるほどね)
絵里「わかったの?」
絵里(ええ)
絵里(同じ私なんだから、環境次第でどんな私にでもなれるってことよ)
絵里「どんな、私にも……」
絵里「そっか……うん。ありがとう希」
希「だから気にせんでええって♪」
絵里「……それに私も」
絵里(フフ、お互い様よ)
絵里「2人のおかげでいろんなことに気付くことができたわ」
絵里「……それじゃ名残惜しいけど、私はもう行くわ」
絵里(今度は迷わないようにね)
絵里「うん」
希「短い間やったけど、楽しかったで。また遊びにきてな?」
絵里「できたら、必ず来るわ」
絵里(さよなら)
希「またね、エリち♡」
絵里「ええ、さよなら!」
――――――――
――――
――
絵里「さて、聞きたいことが山ほど増えちゃったわね……」
絵里(でももう今日は……うん)
絵里(明日、ことりを送り出さなきゃいけないし、もう寝ましょう)
絵里「おやすみなさい」
ことり「くー……」
ここまで
忘れたと思うからスケジュール載せとく
★現在の進行状況
パリ到着→絵里の調子が悪い・おまじないについて「この世界の」絵里から説明を受ける
1日目→昼:μ’sが存在しない世界(呼び出し穂乃果)・夜:希が加入していない世界(呼び出しにこ)
2日目→昼:コミカライズの世界・昼~夜:おまじないについて聞く(その2)・夜:希後輩の世界
3日目→昼:SIDの世界 ←イマココ
4日目→
5日目→朝:帰国
絵里「……って、あれ?」
絵里(おそとまっくら……まさか!)
絵里「よ、夜になってる!? 何で!?」
ことり「うぅ……ん」
絵里(あ、ことりが起きちゃう。静かにしないと)
絵里(……ああ、時間の経ち方が違ったのね)
絵里(明後日には帰国するんだから、寝過ごしたりしないようにしないと)
絵里(それにしても、ことりの寝顔ってカワイイのね。フフ♡)
抜けてたからつけたし
乙です
最初におまじないを知って使ったすべてを知ってる絵里がいて、その絵里がおまじないを希に使って色んな世界の絵里におまじないを教えた。そして、おまじないを知った色んな世界の絵里たちが他の世界に行きだすように仕向けた。その理由は最初の絵里が見た「ある理想の世界」を色んな世界の絵里たちにも見てもらうため(もしくは「ハッピーエンドを迎えられなかったわたしたち」を救うためとか)。しかし色んな世界の絵里たちが帰り方を忘れてしまうという問題が発生する。その問題を解決するために主人公の絵里にもおまじないを伝えた。
考察はして構わないって書いてあったから考察してみた。
読み直しとかは特にしてないから既に分かってることとか間違ってる部分があるかもしれん。
あと「この世界」の本来の絵里は最初からパラレルワールドについて知ってて絵里に過去改変を任せてるんだよね。
駄文を長々と失礼しました。
>>292
何がとは言わないがスバラシイ
更新は11時すぎます
用事
更新は明日
すまん
絵里「ことり、今日で学校に行くのは最終日よ。はい、簡単なサンドイッチだけど持って行って」
ことり「ありがとう絵里ちゃん。行ってくるね」
絵里「行ってらっしゃい」
ことり「……絵里ちゃん」
絵里「ん?」
ことり「ちょっと変わった?」
絵里「何が?」
ことり「……ううん、私の見間違いだよっ、いってきまーす!」
絵里「?」
絵里(今日でパリも最後ね)
絵里(明日は早朝からの出発だし、観光できるのは今日くらいかしら?)
絵里「……なーんて、最後の大仕事が残ってるわけだけど」
絵里(きっとことりの帰りは遅いわ。あの子、なんだかんだであっちの学校でうまくやってるみたいだもの)
絵里(友達もできた、なんて言ってたし……お別れ会みたいなのくらい、してくれるわよね?)
絵里「……はぁ」
絵里(今更だけど、緊張してきた)
絵里(真実を知るのって……こんな風に緊張するものなのね)
絵里「いや、違う」
絵里(自分が真実を知らないことが、怖い)
絵里(ここが、本当の世界じゃないってことが……すごく怖い)
絵里「……ううん、私は私よ。何があっても変わらない」
絵里「私は――――――――」
絵里(どんな私にだって、なれるんだから)
――――――――
「おはよう、私」
あら、寝なくてもこっちに来ることができるなんて。
「慣れたのよ。たぶんね」
ええ、私だもの。そのくらいできるはずよ。
「聞きたいことが山ほどあるの」
知ってるわ。私から聞いてる。
「それなら話が早いわね……じゃあまず1つ目」
「おまじないを見つけたのは、誰?」
いきなりね。
「ええ、いきなりよ」
もしかして、怒ってる?
「私ならわかるでしょ? 緊張してるのよ」
「これ以上、自分で自分のことを忘れてるかもしれないのが」
安心して。これ以上は何も、忘れてることはないから。
「……ならよかった」
「でも、どうしてそんなことわかるの? やっぱり――――――――」
ええ、そうよ。
おまじないの発案者は、私。
この世界の絢瀬絵里、ただ1人よ。
「……やっぱり」
さすが私ね。鋭いわ。
「ふぅん、そうかしら? 別の世界では鈍かったわ」
そうね。
「おしゃべりはここまでにしましょう。どこからどこまでを知ってるの?」
どこから、どこまで?
「そうよ。おまじないについて、私たちについて」
すべて。
「すべて?」
そう、すべて。
それを理解してもらうには、どうやっておまじないができたかを説明しなきゃね。
……まあ、すごく簡単なことよ。
「簡単?」
ええ。ただ単純に、願うだけ。
生半可な祈りじゃなく、ひたすら真剣に。
過去に戻ってやり直したい、って願うの。
「……それだけなの?」
それだけ、なんて言われてもね。あの時の私は確かに病んでいたから。
「病んで……? どういうこと?」
「あなたは確かに、穂乃果たちにいい表情はしていなかったみたいだけど……それなら私と変わらないじゃない?」
いいえ、違うわ。考え方の根本から。
「?」
私が初めておまじないを知ったのは、あなたが来る、たった数日前のことなのよ。
「数日前!?」
ええ。たった数日前。
それだけで私のいた環境は劇的に変わったのよ。
「……あなたの元いた環境って?」
聞きたい?
「ええ」
迷子になった私たちみたいに、ハッピーな世界ばかりじゃないってことを、嫌でも知ることになるわよ?
「私のことでしょ? どんな私だって、私は私よ」
……そう。あなた、変わったわね。
「それはどうかしら」
ふふ、余裕じゃない。なら話してあげる。
「どうぞ」
生徒会に入った当初、私は希とそれほど仲が良くなかったわ。
「私も初めはそんな感じだったけど」
その関係は、3年生になっても依然として変わらなかった。
「……なるほど、それは結構キツいわね」
その通り。ずっと私が彼女を拒んでいたから。
「どうして……なんて、聞かないでもわかるわ」
「希の差しのべた手を取らない私がいる世界があったって、おかしくはないもの」
ええ、そういうことよ。私は色々と余裕がなかったから。
入学当初から、なんとなく気付いてたわ。
入学者数が過去よりも少ない。
だんだんと減ってきているのは目に見えて明らかだったもの。
廃校のお知らせなんて、わかりきってたことじゃない。
「あらあら、ずいぶんと達観した私なのね」
あなたも、気付いていたんでしょ? 他の世界の私たちも、ほとんど気付いていたし。
「でもね、私は希の手をとったわ」
……そうね。どの世界を見ても、孤独でいることを貫いたのは私だけだった。
「それで、どこにも逃げ場がなくて疲れたってわけ?」
そうよ。もう、何もかもどうしていいかわからなくなったの。
音ノ木坂学院を終わらせることがいいことなのか、それとも必至にあがいてでも止めるべきなのか。
相談する相手も、時間も、成し遂げる方法も、意味も何もかもわからなかった。
だから――――――――
「……ほら、こっちに来て」
なんでよ。
「自分の泣き顔なんて見たくないわ」
……泣いてなんてないわ。あの時、一生分泣いたもの。
「たかが高校生が、一生なんて語れないわ」
……そう。
「μ'sのみんなはここにはいないけど、私がそばにいるわ」
「それに今のあなたは1人じゃないもの」
それは……どうかしらね。
「どういう意味?」
いえ、話を戻しましょう。
そんなこんなで私の願いは叶えられたわ。
泣き疲れて、倒れて、あの時に希の手をとっていればよかったって、願いながら眠りについたら、ね。
「それが、おまじない?」
そういうこと。
初めは戸惑ったわ。自分が何をしているのか、どこにいるのかすらわからなかった。
そしてすぐに気付いたの。周りにいる「みんな」に。
「μ'sのみんな?」
そう。まだ名前はないスクールアイドルグループで、私はその中の一員だった。
胸が震えたわ。本当に願いが叶ったんだ、って。
いきなり倒れた自分を心配してくれる人が、こんなにもいたことに。
それを素直に受け止められる自分がいたことに。
それで、私はその世界の絢瀬絵里になりきってしばらく過ごしたの。
「楽しかったでしょう」
ええ、すごく。
もう2度と元の世界に戻りたくないと思うくらいに。
「でもそれじゃ、ダメなのよね」
うん。しばらく夢のような日々を過ごして気付いたわ。
ここは私がいていい場所じゃない。
そんな風にね。
……それで、すぐ帰ってきたの。
「地獄のような現実に?」
まあ、ね。
あれが夢だとわかってショックだったわ。少し鬱っぽくなってた。
「今もそうでしょ?」
どうかしら。
「もう少し寄りかかってきてもいいのよ?」
自分に甘える趣味はないわ。
「強がりなのね」
あなたもね。
……まあそれで、いつも通り学校に行って、生徒会の仕事をして。
仕事が終わったら、いつも通り家に帰るの。
そんな風に考えながら、私は学校に行ったわ。
「偉いじゃない」
頭を撫でないで。
「私だったら、きっと折れてたもの」
……私はもう、折れるものなんてなかったから。
「それでどうなったの? 続き、あるんでしょ?」
あるから、あるから触るのを止めなさい。
それで学校について、いつも通り教室に向かおうとしたのよ。
3年経っても、友人関係の何ら変わりない学校に。
「そしたら?」
ええ。びっくりすることが起こったの。
希が倒れたのよ。私の目の間で。
「それって……」
その通りよ。
あの時の希が、私に会いに来たの。
「教えてたの? おまじないのこと」
夢だと思ってたから。
1番親しかった彼女になら、話してもいいと思ってね。
それがまさか、こんな形で再開するきっかけになるなんて思わなかったけど。
「希はあなたがわかったの?」
ええ。いつもの私じゃないって見抜いたのも希だったし、希はこっちに来てからすぐ、私をあの時の私だと認識したわ。
薄幸そうな感情のない腑抜けた表情、って言われたけど。
「それでもうれしかったんでしょ?」
……ええ。そうね。
って、私を子ども扱いしてない? さっきから対応が子どもに向けてのそれと同じよ?
「なんとなく思春期の娘を持った気分で」
はぁ……私に甘やかされる日が来るなんて、思ってもみなかったわ。
「それでそれで?」
少しの間だけ、希と話したわ。
これからのこととか、どうするかとかについて。
「相談相手ができたのね」
そうなるわ。
まあ、長くいたらどうなるかわからないってことで、すぐに返したんだけど。
「自分に酷なことばかりするのね」
私の身よりも優先するのは当然だわ。
「ああ、私もそう言うと思う」
だから、言ってるじゃない。
「じゃあ、そこからおまじないが広まったってこと?」
希からどうにかして伝わっていったのよ。
「それが巡り廻って私のところに来た、ってわけ?」
そうなるわね。
「へぇ……不思議ね」
おまじない自体も信じられないような出来事だわ。
「……って、それだけで終わりなの?」
いえ、まだ続きがあるわ。
私がおまじないを使って、叶えたい夢ができたの。
それは――――――――
ここまで
自分すらもハーレムに入れるエリチカ
へへ、頭のなかがぐちゃぐちゃだぜ
乙です
ああ、やっぱりおまじないの発案者は「この世界」の絵里だったか。
叶えたい夢ってのはやっぱり絵里の性格からして「他の世界も幸せにする」とかなんだろうなぁ。
「この世界」からおまじないが生まれてから数ヶ月で劇的に状況が変わりまくってるな。
読んでて>>292で考えた考察を推敲しなおそうと思ったわ。でもおまじないの発案者がわかって
逆に情報が足りなくなったからもう少し待ってます。
現在読んでるラブライブssで一番好きです。がんばってください
乙
終わった後全部読み返すのが楽しみだけど終わってほしくないジレンマがああああ
まさかこれ終わりが近い?まだはやいよお、終わらないでくれ~
重要なパートきてたー乙
希はこのオリジナルえりちにただもっぺん会おうとしておまじないを繰り返してたのか、
それともこのオリジナルをも救えるエリチカを探す為におまじないを広めて回ってたのか?
>>319-320
がんばれ あともう少しだ
>>321 >>325
いい着眼点です それは前々々、前々プロットのネタだった
>>322 >>324
>>143
更新は明日になるよ
あと100レスとか言ってた頃が懐かしい
それ聞いて安心したよ、この先数年は余裕で楽しめるじゃないか
ちなみにスレタイで「つよくてにゅーげーむ」って言ってるのはこのオリジナル(?)エリチカって
認識でいいのかな?
上がってきたのでついでに更新
あと97スレだと完結まで約8年1か月かかりますわ
>>330
たぶん
もしかしたら代わるかも
――――――――この世界を、あの世界と同じように作り替えること。
「世界を?」
そう、世界よ。
希たちと一緒に、この学院を救うの。
「熱くなっちゃったのね」
ええ、ガラにもなくよ。
でもそれには、情報が足りなかった。
まず希のことすら何も知らなかったのよ。
「だから、いろんな世界に行ったの?」
ご名答。
「どうだった? 他の世界は」
どこも幸せそうだったわ。
「あら、それはよかった」
みんながμ'sに入って、みんなで仲良くして……みんなの好きなものや好きなこと、いろんなものを知ることができたわ。
「……待って」
何かしら。
「私の行った世界のほとんどは、希がμ'sに入ってなかったわ」
ええ、知ってるわ。
「それなのに、どうして?」
「μ'sは存在しないはずなのに」
ただ、ごく普通に考えればわかることよ。
「?」
未来が変わってる、だけ。
「未来が……?」
ええ。
あなたも気付いてるでしょ? 希が何をしようとしていたか。
「私をμ'sに加入させる……ってことよね?」
そうよ。希はそれだけを叶えるために、少なくとも100回以上はおまじないを使ってる。
「ええっ!?」
ちょっと、耳元で大きな声出さないで。
「あ、ごめんなさい」
「でも……100回よ? 私だって10回もしてないのに……」
それだけあなたに、μ'sに入ってほしかったのよ。
「……そっか」
「って、希のこともわかるの?」
おまじないの応用よ。意識だけを飛ばすことなんて容易にできるわ。
ちょうどこっちに来てるみたいだし。
「……」
驚かないのね。
「怒られちゃうから黙ったのよ。内心、すごくびっくりしてる」
ふふ、律儀なのね。
「自分がよく知ってるでしょ?」
そうね。
んんっ……はぁ、なんだか眠くなってきたわ。
「え、ちょ、ちょっと待って! まだ聞きたいことがいっぱいある!」
知ってるわ。だけど、この状態で話すのってすごく疲れるのよ。
「なんで?」
普段は意識しない部分を無理やり引き出してるわけだから。
「……よくわかんない」
それはそうよ。私も、こんなことされたの初めてだもの。
「じゃ、じゃあ聞きたいこと、早めに聞くわ」
どうぞ。
「まず、迷子の私たちを集めたのはどうして?」
「それと、最初に穂乃果たちにツンツンした態度をとってた理由は?」
ふむ、それね。
簡単な話よ。希の書き換えてしまった世界を戻しに行ったのよ。
「戻す……って?」
言ったでしょ、未来が変わったって。
「うん」
希がいろいろと画策してる間に、自然とμ'sができるはずだった世界が、できなくなってしまった。
私だけに重点を置きすぎたせいね。仕方ないわ。
「ちょ、ちょっと待って。自然とμ'sができる? どういう意味?」
それは簡単な話よ。
「簡単なの?」
実際にどの世界でも、あなた……つまり私を含めた9人は、必ず親しい間柄にあったはずよ。
「そういえば……」
不思議よね。私たちの関係って、切っても切れないの。
誰かが何もしてなくても、自然と出会っちゃうの。
あなたの世界でもそうだったでしょ?
真姫が凛や花陽と接点を持ったり、偶然にこと邂逅したり。
「……なるほど。確かにそれは偶然ね」
希の言葉を借りるなら……そう、スピリチュアルってやつ?
「あ、でも迷子の私たちを集めた理由がわからないわ」
「あなたなら、彼女たちの未来も書き換えられたはずじゃないの?」
使いすぎたのよ、おまじないを。
「え?」
希の変えた世界を追ってるうちに、どうしてかおまじないの方法が広まっちゃったのよね。
もしかすると、希が気付いたり、誰かに話しちゃったりしたのかもしれない。
だから、あなたの世界の希以外が変えてしまった未来を書き換えるには、どうしても膨大な回数のおまじないの仕様が必要なの。
それに加えて、私はこっちの世界にμ'sを作るためだけにもおまじないを使い続けた。
その反動が来ちゃったってわけ。
「反動って……そんなものあるの?」
「大丈夫なの!?」
落ち着いて。これ以上おまじないを使わなければ心配ないから。
「よかったぁ……ん? よかったのかしら」
よかったのよ、これで。
ただ単に、おまじないを使いすぎたせいで元の身体に戻りづらくなったみたいなのよ。
「……」
「!?」
反応遅いわね。
「だ、だっていろんなことが起こりすぎてて……」
それで、書き換えているうちに出会った私たちを連れてきたのはよかったんだけど、返すことだけができなかったのよ。
それがあの私たちよ。
「出会ったの?」
ええ。
世界によって起きたときに進んでる時間が違うのは、どうしてか知ってる?
「ううん」
わかりやすく言うと、意識を飛ばす先の世界には距離があるの。
「距離って、つまり……どこからどこまで行く、みたいなやつ?」
あたり。
「へぇ、知らなかった」
実際にパラレルワールドに行っている時間は、別の世界の時間に応じた分だけなの。
その世界が遠ければ遠いほど、往復に時間がかかって現実での時間もかかるの。
あの私たちは、その移動の最中にくっついてきてたみたいなの。移動中は意識がないから、くっついてきてる自覚もなかったんだけど。
「どうやって気付いたの? 自分以外の自分がいるって」
おまじないをやろうとして意識を集中させたとき、偶然声が聞こえてね。
「……なら、穂乃果たちにいい顔をしてなかったのは?」
別の世界の私を呼ぶためよ。
「私を?」
あなたをね。
もう私に、世界を行き来できるだけの余力は残ってなかったの。さっき言った通りね。
だから私の代わりに、私たちを元の世界に還してあげられる私を捜してたの。
「ああ! おまじないは望んだ夢を見られるって……」
そう、過去をやり直したいはずの私が、どこかに残っているはずだと思って。
「……絢瀬絵里ホイホイみたい」
案外簡単に捕まったわよね。
「そっか、状況を再現してたわけね……内心はデレデレだった、と」
身を裂くような思いで頑張った甲斐があったわ。
「つらかったのね。よしよし」
あなたも同じこと、してたじゃない。よしよし。
「そうよねぇ……穂乃果や凛とか、普段笑ってる子に悲しい顔されると、心臓が締め付けられそうになるわよね」
あと希が心配そうな顔で見て来るのにも耐え難いものがあったわ。
「お互い、苦労したのね」
本当にね。もう、終わったわけだけど。
「終わった?」
終わったわ。もう、おまじないを知っている私や希のいる世界はあなたの世界だけ。
「え? でも、膨大な量の世界に行き来したんでしょ? それならその分だけ……」
満たされた世界で、他の世界に逃避しようなんて考える私はいないでしょ?
ま、あなたは例外だったみたいだけど。
「う」
仕方ないわ。あなたは特に粘ったもの。そう思うのは当然よ。
「そうなの? 私、粘った方?」
粘った方よ。スクールアイドルって聞いて、面白そうだから混ぜてって言った私もどこかにいたわ。
「ちょっと心当たりあるわね」
それで、聞きたいことはまだある?
「いや、ちょっと待って。今整理してる」
「パラレルワールド同士には距離があって、それの移動時間によって、現実で経つ時間が違う……その移動中に引き寄せられてきたのが迷子の私たち」
「その私たちを還す前に、あなたは反動でおまじないを使えなくなった」
「だから別の私に代行してもらうため、穂乃果たちにツンツンしてた……」
「あってる?」
あってるわ。
「それで今、おまじないの使用を危惧する必要はない」
「あと心配があるのは私の世界の希と、私だけ」
そう。
「……希はどうして、私をμ'sに入れたかったのかしら?」
意識は飛ばせても、そこまではわからないわ。
あなたも、別の世界での私の記憶はわからなかったでしょう?
「ああ、そうね」
……明日は帰国でしょ? なら、遅れないように気を付けてね。
「え? どうしたの急に」
そろそろ終わらせないと、きっと夜になるわ。
「……えっ」
「で、でも、世界の移動はしてないから……」
言ったでしょ? この状態で私に会うのって疲れるのよ。
「ってことは……」
そうよ。ただ単純に、疲労で寝る時間が増えるだけよ。
前もそうだったでしょ?
「忘れてたっ!」
なら早く寝なさい。
「はっ、はい!」
「えっと、帰国の準備して、希にいろいろ聞いて……ああ! やることいっぱいある!」
そうね。
「あ、それと……」
なに?
「おやすみなさい! また会いに来るわ!」
あなたはおはよう、よ。いい結果を待ってるわ。
――――――――
ここまで
果たして絵里たちは、無事に元の世界に還ることができるのか
わからないとこあったら質問してね
合ってるか整理させてくれ
絵里をμ'sにどうにかして入れたくて100回以上おまじない使ったのは「この世界」の希?
最初の方の現実で絵里におまじないを教えた希は現実の希じゃなくて「この世界」の希?
初歩にかえるような質問で申し訳ないんですが
おまじないを使うと使った人の意識が、飛んだ世界のその人の意識を隅に押しやるってことでいい?
体を乗っ取ってる状態になるというか
オリジナル絵里は主人公絵里の世界に飛んできて(くっついてるエリチカズを還すため)るけど、
今は主人公絵里の意識が表に出てる状態で安定してるのかな・・・
>>356
そうそう
おまじないで別世界で体を使う場合、意識を押しやるような形で憑依するか、すでに別世界に行っているときに借りるかどっちか
こっちの世界の絵里は、おまじない自体ができないだけであって、このやり直し世界では普通に活動できる
前にいろんな世界に行った時に別世界の自分と話せたようにただ裏にいるだけ
希後輩の世界の絵里みたいに、その気になれば表にも出てこられるよ
横から質問を重ねるようで申し訳ないんだけど
「裏にいる状態」って事は普通に意識もあって別世界の自分からの干渉に関しても認識出来ている
別世界の自分が乗り移るのをやめた後いわゆる浦島太郎みたいな状態になる事はない、っていう理解であってるかな?
簡単にいうと乗り移った時間中は記憶共有アリの二重人格になるみたいな…アカン、混乱してきた
>>358
裏にいる=表面上の行動はできないけど、中からは見えてる
幼馴染にことの雰囲気悪化の際にピンポイントであのポンコツチカが出てきたように、外で何してるかの感覚は共有してる
君の最後の行で言ってることが正解
でも漫画世界の希にそれができなかったのは理由があります
それもまた少ししてから本編で
言いだしっぺでパンツインテール
にこ「選ばれし髪型って何よ」
→にこ「選ばれし髪型って何よ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413005673/)
波及して一番笑ったのはおれだわ
こうしんするよ
絵里「……ぃよっし」
絵里(私がやることは、たったひとつ)
絵里「希と一緒に……元の世界に戻る!」
絵里(……って言っても、まだ何の作戦も立ってないんだけど)
絵里「さて。何から始めようかしら……まずは……」
絵里(まずは今が何時か確認しないと……よし、まだ12時ね)
絵里「……そういえばこの前見た、希たちが私の部屋で寝てる夢は、現実だったのかしら」
絵里(だとすると、海未や花陽もこっちに来てるはずよね?)
絵里(……なんで来てるのかしら)
絵里「あ、私が起きないから、助けに来たとか?」
絵里(……あり得るわね)
絵里(最初は謝罪からかなぁ)
絵里「とりあえず、おまじないについては話してもらった通りよね」
絵里「多すぎてあんまり覚えてないけど……」
絵里「……はぁ、考えすぎてお腹すいた。ご飯食べよう」
絵里「あっ、そういえば昨日買ったパスタがあるんだった」
絵里(フフ、お昼は何にしようかしら。無難にミートソース? それとも気取ってカルボナーラとか♡)
絵里「……」
絵里(とりあえず私は、影響を受け過ぎだと思う)
絵里「まあ晩ご飯は出るし、簡単なのでいいわね」
絵里「ことりは何時ごろ帰って来るのかしら……あんまり遅くなると、明日の出発の準備もあるし……」
絵里「ん? そういえば携帯、どこ置いたっけ」
絵里(ベッドの近く……は、ない)
絵里(クローゼットの近く……にもない)
絵里「あれ? ない?」
絵里(な、なくした!?)
絵里「い、いや! そんなはずはないわ! だって――――――――」
絵里(だって、お買い物以外にホテルから出てない)
絵里(……)
絵里「本当に付き添いじゃない……もっとお土産とか買えばよかった」
絵里(絶対みんな楽しみにしてるわ。そんな風なこと言ってたし)
絵里「……パンでいいかな」
絵里「うん、ダメよね」
絵里「ああ、お土産はことりが帰ってきてから買いに行っても……って、遅いわね」
絵里「うーん。どんなお土産がいいのかしら? 食べ物?」
絵里(食べ物……だと量がいるわね)
絵里「まあ一番わかりやすい落としどころよね。食べ物にしましょう」
絵里「ついでに観光しちゃったりして~♪」
絵里(って、いけないいけない。携帯のこと忘れるところだった)
絵里「あ、もしかしたら寝てるとき、ベッドの下に落としたのかも」
絵里「……あった!」
絵里(キズとかついてないわよね? よかったぁ……)
絵里「んん? 奥に見えるあれ、何かしら」
絵里(メモ……?)
絵里「私がおまじないについてまとめたメモ? これも落としてたのね……」
絵里「……って、これ。私のじゃないわね」
絵里(こんなにかわいらしいメモは持ってないし……)
絵里(うん、使えればなんでもいいのよ)
絵里(じゃなくて、これは一体誰の……)
絵里「……ことりの、よね」
絵里(2人しかいないわけだし)
絵里「ん、何か書いてある」
絵里「えっと……絵里ちゃんに、無理させないようにする……?」
絵里(つまり……どういうこと?)
絵里「私、そんなに無理してた覚えはないけど……」
絵里(いや、してたわね。熱出したり)
絵里「……心配かけすぎ、かぁ」
絵里「そうね。頼らせてばかりじゃダメね」
絵里(いつまでも私が、みんなを引っ張っていけるわけじゃないんだから……)
絵里「……」
絵里(ちょ、ちょっと悲しくなってきたわね……やめやめ)
絵里「気分転換に、お土産でも買いに行きましょう」
絵里(……別れの話は保留、ね)
ことり「絵里ちゃん、ただいま!」
絵里「おかえりなさい。学校、どうだった?」
ことり「クラスのみんながね、お土産に、って! こんなにたくさんだよっ!」
絵里「わぁ、本当にたくさんね。よかったじゃない」
ことり「えへへー」
絵里「ふーん。こんなに色々……」
絵里(……あぁ、今日買ってきたお土産と被ってるのばっかり)
ことり「絵里ちゃん?」
絵里「え?」
ことり「どうしたの? なんだか変な顔してたけど……」
絵里「ああ、気にしないで。大したことじゃないから」
絵里(お土産がたくさんあったって、困ることはないものね)
ことり「でもこれ以上お土産買っちゃうと、飛行機に乗れなかったりしちゃうかも♪」
絵里「」
ことり「……え?」
絵里「食べましょう」
ことり「え? ええ?」
絵里「仕方ないわ。国へ帰るためよ」
ことり「ど、どういうこと?」
絵里「部屋の片隅に積まれたあの荷物……見える?」
ことり「……!」
絵里「……」
ことり「……食べよう」
絵里「ことり……!」
ことり「旅行カバンより体重が重くなっちゃいそうだけど……」
絵里(もう私は何も考えないわ)
ここまで
次はいよいよクライマックス
その前に帰国が困難前途多難
すまん
今日は台風に備えて早く寝なくちゃいけない
更新は明日になる
絵里「……げふ」
ことり「ううー……絵里ちゃん、ちょっと寝るね」
絵里「肩貸すわ」
ことり「ありがとう……」
絵里(結局朝まで食べ続けるはめになった……飛行機の座席のベルトが心なしかキツイ……)
絵里(でもおいしかったわね)
ことり「すー……」
絵里(ことり、相変わらず寝るの早い)
絵里(昨日もこうやって私の肩に頭を乗せて寝てたけど、痛くないのかしら)
ことり「……えりちゃん」
絵里「ん? どうしたの?」
ことり「……えり、ちゃん」
絵里(ああ、寝言ね)
絵里「まだ到着まで時間あるわよ。ゆっくり寝ておきましょう」
ことり「……うね」
絵里「?」
ことり「がんば、ろうね」
絵里「……ええ」
絵里(私は、向こうに帰ったら――――――――)
絵里(……いや、もう決心はついてるわ。決めたんだから、私)
凛「絵里ちゃんとことりちゃん、まだかなー」
花陽「凛ちゃん、ちょっと気が早いよぉ」
希「そうやね。まだ時間あるし、今から行ってもすることないよ」
にこ「……で、わざわざ穂乃果の家に集まる必要あったの?」
穂乃果「あるよ!」
にこ「何?」
穂乃果「絵里ちゃん対策会議を行うためです」
真姫「対策会議?」
穂乃果「だって、絵里ちゃんにどうやって思い出してもらえるか考えないと」
希「うん。やっぱり1番手っ取り早いのは、直接教えたりするのが……」
にこ「実はあんたは未来から来た、って?」
希「そうそう」
凛「絵里ちゃん、今までに信じてくれたの?」
希「えりちは素直やから、すぐに信じてくれたんよ。前も話したやろ?」
海未「ああ、希がおまじないを使っていた話ですね」
花陽「希ちゃんは絵里ちゃんのために頑張ってたんだよねっ」
希「そんな、ウチは頑張ってなんか……」
希(えりちが本当に必要としてたものに、気付けてなかったもん)
真姫「でも、今の希がいなかったら、今のμ'sはなかったんでしょ? 自信持っていいと思うわ」
海未「ええ。絵里にもそのことを知ってもらいたいですし」
希「えりちに? ……それはやめときたいなぁ」
穂乃果「どうして? 希ちゃん、すっごく大変だったんでしょ?」
希「えりちには、変に気を遣ってほしくないんよ」
希(ウチもえりちに助けられたところあるし……)
海未「そうですか。なら仕方ありませんね」
希「あれ、いいん?」
海未「希が言いたくないというのなら、私たちはそれに従うまでです」
花陽「うんっ、希ちゃんのことだし、希ちゃんが決めないとね」
にこ「ま、そうなるわね」
凛「……ねぇ、みんな」
希「ん?」
海未「凛、どうしました?」
凛「もしだよ? もしもの話……」
凛「もしも、絵里ちゃんが気付いてたら……どうするの?」
真姫「気付くって……こっちが自分のいるべき場所じゃないって気付いてたら、ってこと?」
凛「うん」
海未「……希、それって確率的にどうなんですか?」
希「ううーん……かなり、というかほとんどありえないとは思うんよ」
凛「そうなの? だったら気にしなくてもいいかにゃ?」
穂乃果「でも、もしもに備えるのは大事だよ! 穂乃果がそっちの世界で倒れたみたいに、もしもの時の備えがないと!」
希(穂乃果ちゃん……成長してる)
希(普通に考えたら、えりちが気付いてるとすれば、ことりちゃんから何らかの連絡があると思うんやけど……)
希(ちゃんと、えりちには無理させないようにってメール送っといたし)
真姫「じゃあ……気付いてると仮定して、どうして絵里は私たちに何の連絡も寄越さないの?」
海未「それは……絵里がこちらの心配を知らないから、ではないですか?」
凛「でも絵里ちゃん、こっちが自分の世界だって思ってた時期があるんだよね? 凛だったらびっくりしちゃうよぉ」
穂乃果「穂乃果も、誰かに話しちゃうと思う。心配になるし……」
花陽「もし思い出してたなら、海未ちゃんと私がこっちに来てたことも知ってるはずだよね?」
希(もしかして、えりちはもう元の世界に戻ってたり……)
希(いやいや、それならおまじないのことまで思い出してないと……)
希(んん? そしたら、そもそもえりちが思い出した理由は一体――――――――)
希「……あ!」
にこ「え、何?」
花陽「何かわかったんですか?」
希「ありえる! 凛ちゃんの仮定、ありえる方法が1つだけ……」
凛「本当!?」
穂乃果「ど、どんな方法!?」
希「それは……こっちの世界のえりちとの、接触」
にこ「……同じ人間が2人いるってこと?」
希「いや、そうやなくて……心の隅に追いやってるはずのもう1つの自意識は、ひょんなことで出てきたりするんよ」
希「それで、心の中で対話する……みたいな」
希(実際にウチも、オカルト研究部に入ってた時、そんな感じのことがあったし……)
海未「……もしや、私たちもそれができるのでは?」
花陽「えっ」
凛「そっか、絵里ちゃんができるなら、かよちんも海未ちゃんもできるはずだよね?」
希「それはないかも」
穂乃果「え? どうして?」
希「自分の体にもう1つの魂がやってきたとして、何も知らなかった場合にそんなこと信じられると思う?」
にこ「思わないわね」
希「うん、そういうこと。その体の持ち主が対話を試みようとしない限りは、対話なんかできない」
希「つまり、おまじないを知ってるか、自分の中にもう1人の自分がいるって気付いてないと、新しく来た自分の存在は認識できないんよ」
希(ウチも最初の頃は……そうやったし。ただ単に勝手に月日が過ぎてるだけとしか思えなかった)
海未「では、この世界の私たちは、おまじないを知らない……と」
希「そもそもウチが、えりち以外におまじないを教えたのは初めてやったからね」
にこ「そうなの?」
希「うん」
真姫「なんで今回だけ教えたの?」
希「うーん……ちょっと自分に余裕ができたから、気が緩んでたんかも」
希「でも実際、海未ちゃんは花陽ちゃんの協力があってこその、この状況やからね。これも運命やったんかも」
穂乃果「デスティニー……」
海未「英語で言い直されても……」
凛「……あ、そろそろ時間じゃないかにゃ?」
花陽「そうだね、もう行かないと。亜里沙ちゃんとは空港で合流だったよね?」
凛「うん!」
にこ「ま、絵里が思い出してても思い出してなくても、やることは1つよ」
海未「やること、とは?」
穂乃果「まずはお礼を言うんだよねっ!」
真姫「それと、私たちにもっと頼れ、って言うんでしょ」
にこ「あっ、ちょっと、にこのセリフとらないでよ」
希「ふふ、相変わらずやね」
希(……もし、えりちが思い出してたら、か)
希(えりちは、このおまじないを教えたウチを……どう思ってるんかな?)
希(喜んでくれると思ったから、こうして教えたわけやけど……)
希(おせっかい、なんかな?)
希(でもやっぱり、えりちには――――――――)
希(あの時のえりちじゃなくても、μ'sを楽しんでほしいから)
ここまで
あの時のえりち、とは一体どの時の絵里なのか
そして絵里の決心とはいかに
>>359で言ってた漫画版希が対話できなかった理由は、おまじないを知らなかったからです
自分以外の存在には気づいていたから、中途半端に存在を理解しただけでした
ほののぞ
希「穂乃果ちゃんに懐かれた」
→希「穂乃果ちゃんに懐かれた」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413289728/)
リクエストは今悩み中なので、もう少し待ってて
更新は12時過ぎる
すまん
今日は更新できなくなった
明日明後日ももしかしたら無理かもしれん
遅くても金曜日には帰って来るわ
ただいま
もう台風来なくてよかった
絵里「……やっと着いた、わね」
絵里(みんなは来てるのかしら)
ことり「やっとみんなに会えるね!」
絵里「そうね」
ことり「絵里ちゃん、早く行こう!」
絵里「ああ、それなんだけど――――――――」
希「たぶんこの便やんな?」
にこ「ええ、そう言ってたわ」
穂乃果「絵里ちゃんとことりちゃん、まだかなー?」
海未「もうすぐですよ」
花陽「待ち遠しいね」
凛「……あ! あそこにいるの、ことりちゃんじゃない?」
真姫「え、どこよ」
凛「ほら、あそこだよ、あそこ!」
真姫「……?」
凛「絶対そうだよ!」
真姫「海未、見える?」
海未「いえ……うーん」
穂乃果「……わかんない」
にこ「どの人のこと言ってるわけ?」
凛「あの大きい鞄持ってる人のうしろのうしろ」
花陽「ええっ!? あんな距離見えるの!?」
真姫「何族の生まれなのよ……」
希(ん? でもことりちゃんだけ? えりちは?)
海未「……む、確かにあのシルエットは……」
穂乃果「あ、本当だ」
真姫「ええっ、私まだわからないんだけど」
花陽「私も……」
凛「ほら、あれは絶対ことりちゃんだって!」
にこ「……ああ!」
希「あ、見えてきた!」
穂乃果「ことりちゃーん! こっちこっちー!」
海未「ことり!」
真姫「ああ、ぶんぶん手を振ってるのがことりね」
花陽「あ!」
凛「やっとわかった?」
真姫「ここからだと見えないのよ。ほら、真正面だし。ね、花陽」
花陽「う、うん」
にこ「そんなに言い訳しちゃって。ふふ、自分も早く見つけたかったわけね」
希「真姫ちゃん必死に捜してたもんなぁ」
真姫「う」
穂乃果「こーとりちゃーん!」
ことり「みんなぁー!」
希「ほら、今なら真姫ちゃん抱きつきに行っても違和感ないで」
凛「真姫ちゃん行くにゃ!」
真姫「行かないってば!」
にこ「ちょ、ちょっと! 何でにこを押すのよ!」
海未「わ、急に暴れないでください」
花陽「おかえりことりちゃん!」
ことり「ただいま花陽ちゃんっ!」
ことり「……あれ? 何で喧嘩してるの?」
凛「あー! かよちんぬけがけー!」
花陽「えっ!? みんな来てなかったの……?」
穂乃果「さっきにこちゃんが穂乃果のこと押してきたんだよぉ」
にこ「にこも誰かに押されたんだってば!」
海未「ひとまず落ち着いてください、誰に押されたとかで言い争ってる場合ではありません」
凛「……そうだね。せっかくことりちゃんが帰ってきたのに、こんな風じゃダメだよね」
にこ「凛……」
凛「にこちゃん、真姫ちゃんと間違えて押しちゃってごめんね」
真姫「凛……」
にこ「あんただったのね……まあいいけど」
穂乃果「でも穂乃果たちが抜け出すのに大変だったのに、花陽ちゃんはよく最初に走っていけたね」
花陽「あ、私は端の方にいたから」
にこ「率先してことりに抱きつくため?」
花陽「い、いや、そういうわけじゃ……」
真姫「花陽、やるときはやるのね……」
花陽「ええっ」
海未「……では改めて、おかえりなさい、ことり」
穂乃果「おかえりっ!」
にこ「おかえり」
凛「おかえりー!」
真姫「おかえりなさい」
希「おかえり!」
ことり「ただいまっ!」
ことり「……そういえば、亜里沙ちゃんは来てないの?」
穂乃果「ああ、亜里沙ちゃんね、さっきお手洗いに行っちゃって」
海未「何でも今日が待ち遠しくて夜も眠れなかったらしくて……」
ことり「大丈夫なの……?」
凛「きっと大丈夫にゃ。おかえりの旗とか作ってくれたんだよ」
にこ「完成度高いわよね、これ」
真姫「振り忘れたけどね」
凛「あっ」
希「それで、ことりちゃん」
ことり「なに?」
希「……えりちはどうしたん?」
海未「そうですね、ことりはどうして1人で?」
花陽「うん、絵里ちゃんはどこに行っちゃったの?」
ことり「……絵里ちゃんは――――――――」
穂乃果「ま、まさか迷子!?」
凛「パンにつられて空港で……!?」
にこ「やりかねないわね」
真姫「ええ」
ことり「ち、ちがうよぉ!」
穂乃果「え? じゃあ……」
ことり「あのね、絵里ちゃんは――――――――」
ことり「元の世界に、帰っちゃったの」
ここまで
カエッチャッタノォ!?
希「……えええええっ!?」
花陽「ど、どういうこと!?」
海未「帰った……って、思い出したんですか!?」
ことり「い、いや、詳しいことは私もよくわからなくて……」
希(で、でもそれは、ちゃんとえりちに会えるってこと……!)
希「2人とも! 戻ろう!」
海未「はい!」
花陽「うんっ!」
にこ「えっ、ちょ」
凛「つまり絵里ちゃんは……?」
穂乃果「絵里ちゃん、帰ってきたんだよね?」
真姫「違うわよ。元の世界にって言ってたから……」
希「お礼はまた後でするから!」
凛「いってらっしゃーい」
真姫「えっ、このまま送り出していいの?」
希「んん……あれ? えりち帰ってきてないん?」
花陽「ことりちゃんだけ?」
海未「ことり、絵里は一体――――――――」
ことり「……よし、絵里ちゃーん!」
穂乃果「え、いるの?」
真姫「どこに?」
にこ「あ、ちょっと待って。今気づいたけど……」
凛「?」
にこ「あそこに、明らかに怪しい……夏場なのにコート着てサングラスかけた不審者がいるんだけど」
絵里「ぎくっ」
凛「ほんとだ」
穂乃果「暑くないのかなぁ?」
海未「帽子まで被って……さぞ寒がりなんでしょうね」
花陽「あ、あんまりじろじろ見たら悪いよぉ」
海未「そうですね、詮索するのはやめておきましょう」
絵里「ほっ……」
にこ「あれどう考えても絵里よ」
絵里「」
にこ「帽子から金髪見えてるし」
絵里「」
希「あ、隠した」
絵里(ま、マズイわ……完全にバレてる)
絵里(ここでことりの声に合わせて華麗に登場する予定だったのに……しまった、にこの鋭さを忘れてたわ)
絵里(……いや、絶対これ私のミスよね)
――――――――登場は派手な方がいいわ! ほの……とかう……書記の子にインパクトを!――――――――
――――――――ま、お遊びの心は必要よね♡――――――――
絵里(……この2人のせいか)
絵里(って、結局戻ってきてるじゃないの! あんまり賢くない私と、ダイアリーの私!)
――――――――ここにはずーっといたからすぐ遊びに来られたわ――――――――
絵里(遊びじゃないのよ?)
――――――――えー、でも早速スクールアイドルやるってなっちゃって、何すればいいかわからなくて聞きに来たのよ――――――――
絵里(にこになんとかしてもらいなさいよ! 頼れるんでしょ!)
――――――――私も、ダイアリーに書くことがなくて……何にしようかしら?――――――――
絵里(あのね、私は今重大な決断を……)
絵里(って、この世界の私はどこよ!)
――――――――ごめんなさい……まさか普通に戻って来るとは――――――――
絵里(謝らないでよ……私もどうしていいかわからないわ)
絵里(あのね、今から大事なことをするからよく聞いて)
――――――――何? サンバ?――――――――
絵里(……)
――――――――私たちは静かにしておきましょ。きっと愛の告白よ♪――――――――
絵里(もうそれでいいわ)
絵里(……)
絵里「よし、静かになった……」
絵里「私はここよ!」
にこ「知ってる」
希「にこっち、合わせてあげな」
穂乃果「わ、絵里ちゃん汗すごい」
絵里(……とりあえずやることをやりましょう)
凛「絵里ちゃん、おかえり」
絵里「ただいま。あのね、ちょっと大事な話が……」
穂乃果「絵里ちゃんおかえり!」
絵里「うん、ただいま。それで、少し……」
海未「おかえりなさい、絵里」
絵里「ただいま。だからね、最初に聞いて……」
花陽「絵里ちゃん、おかえり」
絵里「ただいま。それで話っていうのは……」
希「えりち、おかえりー」
絵里「……ただいま」
絵里(全然話せない)
真姫「それで、話っていうのは?」
絵里「そうそう! それよ!」
ことり「絵里ちゃん、なんであの作戦だったの?」
絵里「まずあの3人を帰らせたのは、この世界の海未と花陽、それに希にお礼を言いたかったからなのよ」
海未「私たちに……」
花陽「お礼?」
絵里(……あれ? 2人はおまじないのこと、知らなかったっけ?)
希「……あ、そっか。さっきまで記憶がぼやーっとしてたってことは、ウチはおまじないされてたってこと?」
絵里「ん? 希はそこまで知ってるの?」
希「……あれ?」
にこ「もー、ややこしいわね。後でいいでしょ、後で」
絵里「あ、うん」
絵里(……何で希が詳しいおまじないのことを? まだ私が知らなかったから、話してないはずよね?)
――――――――パラレルワールドの影響力よ――――――――
絵里(え? この世界の私……よね?)
――――――――ええ、私よ。まあ詳しいことは希に聞いたらいいんじゃないかしら――――――――
――――――――私は少し休むわ。2人がうるさくてね……――――――――
絵里(ふふ、お疲れ様)
絵里「とりあえず」
凛「とりあえず?」
絵里「みんな、今日までありがとう」
穂乃果「……お別れしちゃうの?」
絵里「あ、そうじゃないわ。ここまで私を……助けてくれて」
希「助けられたのはウチらの方やで」
花陽「そうだよぉ。絵里ちゃんがいなかったら、私たちはラブライブ出場なんて……」
絵里「いいえ、これはあなたたち自身の実力よ」
絵里(もちろん、こっちの私も……ね)
絵里「μ'sは9人いてμ'sだから……特に希!」
希「は、はいっ!」
絵里「……ま、言わなくても大丈夫ね」
希「ええっ、そこまで言われたら気になるんやけど」
絵里「大丈夫なのよ、みんなとは妙なつながりがあるから」
ことり「……絵里ちゃん」
絵里「え?」
ことり「絵里ちゃんって、寝るたびになんだか……大人っぽくなってるよね」
花陽「」
海未「」
穂乃果「?」
凛「どうしたの?」
海未「えええっ、えっ、絵里!? ぱ、パリでことりと何を!?」
花陽「ね、寝るって……そ、そういう? 大人っぽくって……え、え……」
絵里「ちょっと待って、2人は何か色々勘違いをしてるわ」
ことり「?」
真姫「一緒に寝たの?」
絵里「まあそうだけど……」
絵里(ベッドは別だったけど、距離は近かったし)
海未「」
ことり「シャワーを覗かれちゃったりしたねっ」
絵里「あれは事故よ」
花陽「」
海未「2人はパリに行って何をしてきたんですか!?」
花陽「絵里ちゃん!」
絵里(きっとおまじないのせいで混乱してるのね)
絵里「待って、順に追って話すから」
ことり「激しかったよね」
希「!?」
絵里「ああ、練習ね。空いた時間少なかったから無理やり詰め込んで……って、どうしたのみんな」
にこ「いや、ことりがふざけてるってやっと気づいただけよ」
ことり「えへへ、こういうのちょっとやってみたくて……」
海未「そ、そうだったんですか?」
花陽「ことりちゃん……」
ことり「楽しくてつい……」
絵里「もう、遊んでる場合じゃないのよ?」
ことり「うん、ごめんね」
穂乃果「絵里ちゃん、大人っぽくなったの?」
絵里「まあ、いろんなことが体験できたのよ。いろいろあってね」
希「いろいろばっかり」
絵里「詳しく話してると時間が無くなっちゃうのよ。そろそろ戻ってくるだろうし」
凛「順を追って話すって言ってたのに?」
絵里「そ、それはそれ。これはこれよ」
絵里(タイムリミットを忘れてたとかじゃないわよ。うん)
絵里「とりあえずこれは、私の最初の世界から来た3人を一旦返すためにやったことだから」
凛「うそついたの?」
穂乃果「絵里ちゃん」
絵里「……あのね、2人が真顔でそういうこと聞いてくるとダメよ。罪悪感がすごいわ」
真姫「仕方ないわよ。だって希たち、絵里をどうにかするまではテコでも帰りそうになかったし」
にこ「真姫ちゃん、それ追い討ちだから」
真姫「あっ」
絵里「ご、ごめんなさい……」
絵里「お礼が言いたかったのよ、先に」
絵里「ちゃんと帰ってきたら3人にも謝るわ」
穂乃果「それなら大丈夫だねっ」
凛「うん!」
絵里(よかった)
海未「ふむ……よくわかりませんが、ありがたくお礼の言葉は受け取っておきますね」
花陽「うん、こっちこそありがとう、絵里ちゃん」
希「まあウチは頼ってくれただけでもうれしいんやけどね」
絵里「ええ、ありがとう……」
絵里(よし、ちゃんとお礼は言えたわね)
絵里(こっちの3人の協力も必要不可欠だったし、何より大切な仲間だから……)
絵里「……あれ、そういえば亜里沙は?」
にこ「ああ、あの子はさっきお手洗いに……」
亜里沙「……お姉ちゃん! ことりさん!」
絵里「亜里沙! ただいま!」
ことり「ただいま」
亜里沙「ヨロレイヒー!」
絵里(たぶんアローハみたいなことを言いたかったのよね)
ここまで
亜里沙のヨロレイヒーはちゃんと裏声です
か し こ い か わ い い
更新です
絵里「ああ、もっと話したいことは色々あるんだけど……」
希「まあまあ、また後で話してくれたらいいやん?」
海未「はい、状況がよく呑み込めませんが、私たちのことは後でいいんですよ」
花陽「いつでも会えるんだから、ねっ」
絵里(そっか、海未と花陽はまだ私に会えると――――――――)
絵里「あの、私は……!」
希「……えりち? えりちやんな?」
絵里(あれ、雰囲気が変わった)
海未「絵里!」
花陽「え、絵里ちゃん!? 戻ってるんじゃなかったの? あれ? どっちの絵里ちゃん?」
絵里(……タイムリミットね)
絵里「ごめんね、騙したりして」
希「えりち、なんでこんなこと……」
海未「希。きっと絵里には何か理由があったのでしょう」
絵里「後でできないことをやっておこうと思っただけよ」
穂乃果「後でできない……?」
絵里「ううん、気にしないで」
花陽「で、でもよかったぁ……絵里ちゃん、元の世界のことは覚えてるんだよね?」
絵里「ええ、ちゃんと覚えてるわ」
希「……よかった」
絵里「さて、帰ってきたことだし……みんなでぱーっと遊びに行きましょう!」
ことり「え?」
亜里沙「どこに行くの?」
絵里「理事長のところよ。お土産、頼まれてたでしょ?」
海未「そうなんですか?」
絵里(あれ。海未たちには言ってなかったかしら)
絵里(記憶があやふやね……まあ、それだけたくさんのことがあったってことよね)
絵里「かえってそうそうで悪いけど、一緒に付き合ってくれない?」
凛「もちろんにゃ!」
にこ「しょーがないわね」
真姫「別にいいけど」
希「ぷぷ、2人とも素直じゃないなぁ」
真姫「ちょっ、だ、誰が素直じゃないって言うのよ!」
にこ「正直どうでもいいわ」
絵里「」
にこ「久しぶりにあんたのバカっぽい顔が見られてもうお腹いっぱいよ」
絵里「にこ……」
ことり「え、絵里ちゃん、そこは喜んでいいところなの……?」
絵里(ああ、この空気よね。やっぱりμ'sはこうでなくちゃ)
穂乃果「それじゃあ学院へ、レッツゴー!」
絵里「理事長、お久しぶりです」
理事長「はっ」
穂乃果「……なにこれ? 帰国おめでとう……って書いてある?」
海未「垂れ幕ですね」
希「なんで理事長室にこんな……」
亜里沙「ああっ、あんなところに雲が!」
絵里(あ、亜里沙……我が妹ながら話をそらすの下手ね……)
花陽「ええっ!? く、クモ!?」
にこ「うぇえ!? ど、どこよ!?」
絵里(そらせてるし)
理事長「コホン、おかえりなさいみなさん」
凛「凛たちは日本にいたよー?」
理事長「間違えましたね。おかえりなさい、絢瀬さん。そして……」
理事長「……えっと」
真姫「実の娘の名前を忘れてるの……!?」
理事長「ああ、そうそうことり」
ことり「お、お母さん!?」
理事長「ごめんなさい……2人が帰って来るの、楽しみで寝られなくて」
穂乃果「あはは、亜里沙ちゃんみたいなこと言ってる」
理事長「つい眠れないついでに、亜里沙さんとこんな垂れ幕まで作ってしまって……」
絵里(むしろ共犯だったね)
亜里沙「ペペロンチーノ……」
絵里(こればっかりは亜里沙が何を言いたいかわからない)
にこ「確かに、理事長の目元にクマが……」
花陽「クマ!?」
海未「えっ」
絵里(なにこの流れ)
絵里「とりあえず理事長、お土産です」
理事長「あら、うれしい。何かしら?」
ことり「開けてみてっ」
理事長「そうさせてもらうわ」
理事長「……? お菓子の包み紙?」
絵里「あっ、食べた方だった」
ことり「ごめんねお母さん、こっちだったみたい」
理事長「ふふ、いいのよ。また開けてみてもいいの?」
絵里「どうぞ」
理事長「……わぁ、素敵ね。砂糖菓子?」
ことり「留学先での友達が、お土産にってくれたの」
理事長「ありがとう。大切にするわ」
絵里「食べてくださいね」
理事長「……亜里沙さん、冷凍保存って砂糖菓子にも応用できるのかしら」
亜里沙「冷凍はマグロしか聞いたことがありません……」
絵里(なんだか仲良くなってる)
穂乃果「ねぇねぇ」
凛「凛たちにもお土産は?」
絵里「ちゃんと用意してあるわ。まだ食べちゃダメよ?」
穂乃果「やったー!」
凛「ありがとう!」
絵里「お礼ならことりにも言ってあげて。そのうちの2割はことりが選んだの」
希「なんで2割?」
絵里「……国へ帰るための苦しい戦いがあったのよ」
ことり「苦しかったね……」
海未「!?」
絵里「ああ、そうだ希」
希「んー? どしたんえりち」
絵里「生徒会室に忘れ物してたの、回収しに行くの、付き合ってくれない?」
希「うん、いいよ」
にこ「私たちもついてってあげるわよ?」
絵里「大丈夫よ、そのくらい。ね、希」
希「ん? うん、たぶん」
絵里「えっ、たぶんなの?」
希「えりち、この学校の道とか忘れてそうやし」
真姫「有り得る」
絵里「ありえないわよ、さすがにそれは」
絵里(別の世界で何度生徒会室に足を運んだと思ってるのよ、って言っても伝わらないわよね)
絵里「それじゃ、すぐ戻って来るから待っててくれる?」
花陽「はーい」
穂乃果「絵里ちゃん何忘れたの? お弁当箱?」
海未「そ、それは持ち帰りたくありませんね……」
絵里「違うわよ。別のものよ」
亜里沙「……ラブレ――――――――」
絵里「亜里沙、お姉ちゃんそんなにモテません」
亜里沙「どう思います?」
理事長「ああ、絢瀬さんの下足箱っていつもラブレターはみ出てるのよね」
凛「えー! そうなの!?」
絵里(理事長が堂々とプライバシーの侵害を)
希「ほら、えりち。早く行かないと生徒会室に置いて行かれるで」
絵里「この学院の生徒会室はどうなってるのよ」
亜里沙「ハラショー! メタモルフォーゼ?」
絵里(なんでこういう単語は言えるのかしら)
真姫「行くなら早く行ってきなさい。待ってるから」
ことり「鍵は開いてるの?」
理事長「ああ、生徒会室は東條さんたちが活動していたので、ちゃんと開けてありますよ」
絵里(希たち……まさか、私の代わりに?)
希「えりちに頼ってばっかりなんはよくないやろ? ささ、行こうえりち」
絵里「……ふふ、そうね」
絵里「……ああ、やっぱりここよね」
絵里(落ち着くわ。この生徒会室の空気は)
絵里「希ならわかってるでしょ。なんでここに来たか」
希「うん、長い付き合いやもん。えりち、ウチから聞きたいこと……あるんやろ?」
絵里「ええ、そうよ。私が取りに来た忘れ物は――――――――」
絵里「あなたが経験した、私以外の絢瀬絵里との日々について、よ」
ここまで
亜里沙のペペロンチーノは、日本語で言う「てへぺろ」的な何か
希「やっぱり、そう来ると思ってたで」
絵里「いつから?」
希「えりちを見た、その時から」
絵里「ふふ、流石ね。いろんなところで私を見てきただけあるわ」
希「……えりち、このおまじないについては誰から聞いたん?」
絵里「無論、私よ」
希「……やっぱりかぁ」
絵里「そこまでわかってたの?」
希「なんとなく、やね。ウチに意識をぶつけてくるなんて器用な真似ができるのって、そのくらいしか心当たりなかったから」
絵里「ふーむ……」
希「?」
絵里「ちょっと聞いていいかしら?」
希「いいよ」
絵里「希は……いったい誰にこのおまじないを教えてもらったの?」
希「それは――――――――」
希「無論、ウチやで」
絵里「……希」
希「なに?」
絵里「嘘はよくないわ」
希「えっ、バレた?」
絵里「バレバレよ。何でそんな嘘つくの」
希「正直、なんて言ったらいいかわからなくて」
希「確かに思いついたんはウチなんやけど、半分はえりちに教えてもらったというか」
絵里「私に? どこの?」
希「ううん、それは知らないんよ。だって、ちゃんと話してすらいないから」
絵里「?」
希「まあ、いつやったか……ずっと前に、えりちがすごくいい笑顔で生徒会室にいるのが見えたんよ」
絵里「私が?」
絵里(いつだったかしら……私がそんな風に笑ってた時期なんてあった?)
絵里(今はもう、すごく笑えてるとは思うんだけど)
希「うん。いつも仏頂面してるえりちが、あんなに綺麗に笑うんやなぁ、って思って」
絵里「……もしかしてその時、私はおまじないされてたのかしら」
希「どうかな? でもあの時のえりちは、本当にうれしそうにしてたのを覚えてるよ」
希「それで、えりちがあんな風に笑ったところ、ほとんど見たことないと思って」
希「それからずーっと、もやもやしてたん」
絵里「じゃあ、おまじないを知ったのは?」
希「今年の春ごろやね」
絵里「ええっ!? そ、そんなに最近なの!?」
希「そうやで。案外そんなんばっかりやって」
絵里(確かに、この世界の私がおまじないを知ったって言うのも最近だったわね)
絵里「それで希は……どうして私をμ'sに入れようとしてたの?」
希「あそこもバレてるん?」
絵里「まあ、いろんな世界に行ったからね」
絵里(希の変えてしまった未来を正しに、とは言えないわよね)
希「まあ、ウチがえりちをμ'sに入れたかった理由は……わかるんと違う?」
絵里「えっと……うーん、わからないわ」
希「単純に、これだけ」
希「えりちがまた笑ってる顔を見てみたかった。ただそれだけのため」
絵里「……μ'sに、ね」
希「事実、どの世界でもえりちは楽しそうに笑ってくれたんよ。μ'sに入ったら」
希「そのシミュレーションをただ、元の世界で実行するだけでよかったはずやったんよ」
絵里「でも、結果は違った?」
希「そう。どうしたってえりちは、最後に決まってこう言うんよ」
希「何かが足りない、って」
希「穂乃果ちゃんたちのところにえりちが行けば、ずっと笑ってくれるはず」
希「そんなはずやったんやけど……」
希「えりちはずーっと、どうしたって足りない足りないって」
絵里「それは当たり前よ」
希「……ウチにとっては当たり前じゃなかった」
絵里「今の私なら、すぐにこう言ってあげるわ」
絵里「希、あなたが足りないのよ、って」
希「そう……それだけ。たった、ウチ1人の存在だけやったんよ」
希「えりちを笑顔にできるのは、残りの7人じゃなくて、ウチを含めた8人やった」
希「……白状すると、ウチはうれしかったん」
希「だからあの……ダイアリーの世界で、えりちからμ'sに誘われたとき……ウチは戸惑ったんよ」
絵里「……なるほどね。希はその、ダイアリーの世界で答えを見つけたってわけ」
希「うん。それをあの、元の世界で実行しただけなんよ」
希「……がっかりした? 綿密に練られたプランの上で、えりちをμ'sに入れたって聞いて」
絵里「いいえ。どの世界でも、希は不器用なんだって知ることができたから、そんなこと全然気にならなかったわ」
希「……そっか。よかった」
絵里「だからあんな風に言ったのね」
希「え?」
絵里「いや、希にしてはずいぶん唐突だと思って」
希「ええ? 何の話?」
絵里「9人や、ウチを入れて」
希「」
絵里「どう? 似てた?」
希「だ、だだっ、だってあれは!」
絵里「あれは?」
希「穂乃果ちゃんたちが自然と、えりちを誘う流れになっちゃってたから……」
絵里「あら、私はすぐにでも、希を誘おうと思ってたわ」
希「ウチだってあの時は焦ったんよ……あんな展開初めて見たんやもん」
絵里「ふふ、希だって焦るのね」
希「うぅ……えりちのいじわる」
絵里「それで希、まだ内緒にしてること、あるんじゃない?」
希「……まだちょこっとだけ」
絵里「聞いてもいいかしら」
希「うん、あと2つだけやし」
絵里「2つ? 本当にそれだけ?」
希「ウチなんかのことより、えりちの方がもっと不思議。どうやって意識を戻したん?」
絵里「まあ、時間がないからそれは後で話すわ」
希「……約束してくれる?」
絵里「もちろんよ」
にこ「……」
にこ(心配するまでもなかったわね)
にこ(もう、戻っても大丈夫そうかしら)
にこ「はぁ……知らないふりをするってのも、案外疲れるのよね」
にこ(でもちゃんとやり切れたし……にこって演技派?)
にこ(ま、おまじないなんて変なもの、盗み聞きしてた時は冗談だと思ってたけど……)
にこ(楽しかったわよ。2人とも)
にこ「先に未来で待ってるわ――――――――」
にこ「あんたたち、まだ忘れ物探してるわけ?」
希「え? にこっち?」
絵里「ああ、ごめんなさい。もう戻るわ」
にこ「それならいいけど……うーん、なんだか頭痛いわね」
希「どこかぶつけたん? 大丈夫?」
にこ「大丈夫よ」
絵里「本当に?」
にこ「だから、もう大丈夫だってば」
ここまで
3年生組はなかよし
絵里誕
絵里「暗闇のバースデー」
→絵里「暗闇のバースデー」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413893647/)
すまぬ
更新はまた明日
亜里沙「あ、お姉ちゃん! 忘れもの、あった?」
絵里「あったわよ」
理事長「そう。絢瀬さん、今日はもう帰って休んだ方がいいわ」
穂乃果「うんうん、明後日はついに本戦スタートなんだし!」
絵里(ああ、そうか……明後日が)
絵里「うん、わかってるわ穂乃果」
穂乃果「えへへ、絵里ちゃんに頭なでられるの久しぶりだなぁ」
絵里「みんなも今日は休みましょう。私の為にいろいろ頑張ってくれたんでしょ? 希から聞いたわ」
海未「いえ、私たちは何も……」
凛「うん。結局絵里ちゃん1人で解決出来ちゃったみたいだし」
絵里「それでも、その気持ちはうれしかったの。ありがとう」
真姫「……絵里、ちょっと絵里っぽくない」
絵里「え」
理事長「そうねぇ……もっとふわふわしてた気がするわ」
絵里「ふわ……」
にこ「天然のバカだったのに」
絵里「ええっ」
絵里(わ、私、そんな風に見られてたの……?)
希「えりちもえりちで、いろいろ成長したんよ」
海未「なるほど、そういうことですか」
絵里「納得されると傷つくんだけど……」
亜里沙「お姉ちゃん、マインドマインド」
絵里「それは否定を伴う形でないといけないのよ、亜里沙」
花陽「でも、絵里ちゃんがちゃんと戻ってきてくれてよかったぁ……これで本戦も頑張れるね!」
絵里「本戦……そうね、私もしっかりやるわ」
絵里(私が……うん)
希「えりち、今日はどうする? このまま……話さずに帰る?」
絵里「いいえ、希には聞きたいことがあるから」
にこ「さっきも何か話してたじゃない」
絵里「あら、にこ。盗み聞きはよくないわよ?」
にこ「盗み聞きなんかじゃなくて、遅かったから見に行っただけで……あれ、何で私、見に行ったのかしら」
希「?」
ことり「あ、じゃあみんなにお土産を渡しておくねっ。絵里ちゃんは、その間に希ちゃんと話してくればいいよ」
絵里「ありがとうことり。そうさせてもらうわ」
希「えりち、せっかく秘密にしてたのに、話してしまっていいん?」
絵里「隠しても無駄じゃない? だったらいっそ、そう言ってしまった方が楽よ」
希「無駄なん?」
絵里「そうよ。私は嘘を吐くの、下手だから」
希「へぇ、えりちがそんなこと言うなんて」
絵里「自分の知らない面を見たからわかるのよ」
希「……あー、やっぱりえりち、おまじないの中でおまじないをしたんやね」
絵里「話が早くて助かるわ」
希「知らない、って怖いなぁ」
絵里「ええ、もしかしたらずっと、おまじないを使い続けていたかもしれない」
絵里「私たちのいた世界も、実は本当の世界じゃなかったり――――――――」
希「」
絵里「ごめん、嘘だから。ごめんなさい希、震えないで」
希「それで、えりちの聞きたいことって?」
絵里「ああ、希は、別の世界の自分に会ったことがあるのかなーって」
希「うん、あるよ」
絵里「えっ」
絵里(わ、私だけかと思ってた……)
絵里(でもそうよね。希も自分で気づいたんだから、この世界の私みたいに何か特殊なことができても……)
希「おまじないで行った先に、体の持ち主のウチが話しかけてきたんよ」
絵里(私と一緒だ)
ここまで
10月中に終わるかな
こういうのに乗ってまた長引かせるのはやめろよ?
更新は土日になるます
>>501
大丈夫
このスレのうちに終わると思う
またせた
ちょっとだけ更新する
絵里「へぇ、どんな風だったの?」
希「えっと……まだ慣れてなかった頃やったと思うんやけど、急に話しかけられたん」
希「はじめましてー、って」
絵里(なかなかフレンドリーね)
希「そこのウチは、結構いろいろなところに行ってたみたいで」
絵里「ふむふむ」
希「その時はウチも、てっきり夢の中の現象やと思ってたから、あんまり気にしてなかったんよ」
絵里「何か言ってたこと覚えてる?」
希「うん、まあ一応」
希「えりちは1人で抱え込みやすいから、しっかり支えてあげた方がいい、って」
絵里「……私のことについて言ってたの?」
希「うん。でも今思うと、あれってどこか別の世界にいる特定のえりちに向けて言った言葉みたいな気がする」
絵里(……もしかして、この世界の私が最初に会った希だったのかも)
絵里「それで、希は私の為におまじないを使い続けたの?」
希「そうやね。こんなに時間はかかってしまったけど」
絵里「あ、そうそう。あとね」
希「ん?」
絵里「希たちが元の世界に戻ってるとき、この世界の希はおまじないのことを知ってたのよ」
希「ああ、ウチらを騙したとき?」
絵里「ご、ごめんなさい……」
希「ふふ、冗談やって」
絵里「その……おまじないの影響ってわかる?」
希「うん」
絵里(やっぱり……)
希「たとえば……そうやね、μ'sって名前はえりちが考えた! なんて言ったら信じる?」
絵里「……えっ!?」
希「そもそもμ'sって名前は、ウチが思いついたものじゃないんよ」
絵里「ええっ、で、でも、希がμ'sって……」
希「μ'sなんて名前がない世界もあったんと違う?」
絵里「あったわ。最初の方に」
希「そういうことやで」
絵里「?」
希「もともとその世界の身体を借りてるせいか、借りてた方の記憶とか思いとかが残ることがたまーにあるんよ」
希「それで、いつのまにかどの世界でもμ'sって名前が広まってた……というわけ」
絵里「……じゃあ、そもそも希はどこでその名前を私から聞いたの?」
希「あー、どこやったかなぁ。結構最初の方の世界で、えりちと音楽の話してたんよ」
絵里「音楽?」
希「そうそう。それでミューズって女神さまがいるっていう話になって」
希「その世界ではもう、穂乃果ちゃんたちがスクールアイドルとして活躍してて……」
絵里「え? 私たちも入ってた?」
希「ううん。えりちは、あの子たちに任せましょうって言ってた」
希「えりちがずっと入りたかったん、ウチには気付かれなかったから失敗しちゃったけど」
絵里「……そっか」
絵里「素直な私もいるものね」
希「えりちは性格ころころ変わってたからなぁ。1回ウチがえりちのお姉ちゃんやったところもあったなぁ」
絵里「えっ、なにそれ」
希「あの時のえりちは甘えん坊さんで……思い出すだけでもかわいい!」
絵里「そ、それなら希が後輩だったところもあったわよ。希かわいかった!」
希「あ、あの世界は大変やった……」
絵里「え?」
希「だってえりち、ふわふわしてて全然捕まらなくて……」
絵里(……あの世界は仕方ないわ)
希「って、それよりえりちはどんなことしてたん?」
絵里「私?」
希「うん、そっちの方が気になる」
絵里「そうねぇ……私もいろんな世界に行ったものね」
希「聞かせて聞かせて」
絵里「ええ、わかったわ。何から聞きたい?」
希「それじゃあ――――――――」
ここまで
伏線が難敵
今週の金曜日まで更新できない
すまぬ
だだいま
更新は夜遅くになる
絵里「……ただいま」
絵里(いろんなことが聞けたわね)
絵里(先に帰ってる、なんて言ったらみんなは心配するかと思ったけど、そうでもなかったし)
絵里「はー……久しぶりの我が家!」
――――――――おかえりなさい――――――――
絵里「ええ、ただいま。他の2人は?」
――――――――話疲れて寝ちゃったわ――――――――
絵里「ふふ、そっか」
――――――――どうして? どの私かわかったのは何故かしら?――――――――
絵里「ちょっとの間でも、人にはクセっていうのがあるのよ。それが自分であってもね」
――――――――ふぅん……そうなのね――――――――
絵里「ええ」
――――――――で、どうするの? 希には全部話しちゃったわけだけど――――――――
絵里「さて、どうしようかしら」
――――――――亜里沙も希たちに任せて、いったい何をする気なの?――――――――
絵里「……私もね、考えたのよ」
絵里「自分がどうすべきかっていうことを……ね」
絵里「あなたはもう、察しがいいからわかってるんじゃないの?」
――――――――いいえ、全然わからないわ――――――――
絵里「ふむふむ。私なのに?」
――――――――私たちは同じ絢瀬絵里であっても、考え方の根本を除けば、置かれた環境によってどんな発想をするかは異なるもの――――――――
――――――――特に今のあなたは……何か突拍子もないことをしそう――――――――
絵里「あたり」
――――――――あたり?――――――――
絵里「そう。当たりよ。大正解」
絵里「こうしていろんな自分に出会ったことで、気付いたことがあるの」
――――――――それは?――――――――
絵里「私はもっと、もっと自由にのびのびとしてていいってこと」
――――――――……なるほどね――――――――
絵里「あ、これから何を言うか、わかった?」
――――――――ええ、察しがついたわ。確かにこのままじゃどうしようもないわね――――――――
絵里「そういうことよ」
――――――――希たちには話したの?――――――――
絵里「あなたから伝えておいてくれない?」
――――――――そんな大役を任せる気?――――――――
絵里「あら、役不足だったかしら」
――――――――そんなわけないでしょ――――――――
絵里「フフッ、ちょっとからかってみただけよ♡」
――――――――えらくご機嫌ね――――――――
絵里「だって自由だから」
――――――――今更だけどね。誰にも縛られてなんていなかったのに――――――――
絵里「そうね。もう私、頼られてばかりじゃダメだもの」
――――――――だから、私に任せるの?――――――――
絵里「ええ。信頼できる自分自身に」
――――――――私は頼られる側ってわけね――――――――
絵里「それはどうかしら。きっとあなたは何もしなくても大丈夫だと思うわ」
――――――――それって……どういう意味?――――――――
絵里「あなたはこれまで、私や希のためにずっと頑張ってきた」
絵里「μ'sを作るために、ずっと頑張ってきたじゃない。だから――――――――」
絵里「もう、イレギュラーの私の役目はここでおしまい。これからは本物のあなたが体験していくべきなの」
――――――――結構、長かったわね。ここまで――――――――
絵里「そうねー。最初から話しかけてくれれば、こんなまどろっこしいことにならずに済んだのに」
――――――――……はっ、そ、その手が――――――――
絵里「……」
――――――――……――――――――
絵里「何はともあれ、丸く収まったし。これでよし!」
――――――――そうね。考えちゃダメよ――――――――
絵里「あ、そうだ。冷蔵庫に穂乃果の残したチョコがあるんだった」
――――――――半分は分けてあげる――――――――
絵里「やった!」
これを半分食べたらお別れね
ええ、ちゃんと半分残しておいてよ
半分食べ終わるまでに、別れの言葉を考えてればいいのよ
えっ、そんな突飛な……
いただきまーす
ちょ、ちょっと待って!
絵里「……」
絵里「ああ、確かに私ならそうするかもね」
絵里(心にぽっかり穴が開いた気分)
絵里「チョコ、まだ1口しか食べてないのに行っちゃうなんて……ね」
絵里(……苦い。ミルクチョコレートなのに)
――――――――
絵里「……はっ!」
絵里「ここは……えっと……」
絵里(私の部屋……よね? うん、希たちが寝てる……)
絵里「……」
絵里(心にぽっかり穴が開いた気分)
絵里「……やっぱり、お別れするのは自分が相手でも寂しいわね」
絵里(私、どのくらい眠ってたのかしら……)
絵里「わ、すごい。1日経ってない」
絵里(意外と近い世界だったのね。ご近所さんみたいな)
絵里「はー。向こうの私は、穂乃果たちになんて言われてるかしら」
絵里「きっと向こうにいるこっちの希たちも、すぐに怒って帰って来ると思うし……」
絵里(逃げよう)
とりあえず区切れ悪いけどここまで
帰ってきたエリーチカ逃げるの巻
絵里「とりあえず今は……あら? 9時?」
絵里(ああ、暗いと思ったらカーテン閉めてたっけ)
絵里「わ、眩しい」
絵里(そっか。私がこっちの世界で寝たのが昨日の晩だったから、今は土曜日の朝なのね)
絵里「……希たち、もしかして泊まり込みでここにいたり……」
絵里(……せめてチョコを置いとこう)
絵里「3人とも、ごめんね。ちょっとやらなくちゃいけないことがあるの」
希「……」
海未「……」
花陽「……」
絵里(……って言っても、こっちのみんなの様子を見たいだけなんだけど)
絵里「すぐ戻って来るから」
絵里(たぶん)
絵里「さーて。どこに行こうかしら」
絵里(亜里沙はもう家にいなかった……ってことは、穂乃果の妹さんと遊んでたりするのかしら? ちょっと遊ぶには早すぎる気もするけど)
絵里「ふむ……じゃあ穂むらに行けば会える?」
絵里(えっと、穂むらってこの時間帯には開いてたわよね?)
絵里「……」
絵里(そっか、もういないんだった。いけないけない)
絵里「変わらないわね……このあたりの景色は」
絵里(少し肌寒いのは、あっちが春とか夏とかばっかりだったせいよね)
絵里「はー……」
絵里(もう秋かぁ)
絵里「……ん? あそこにいるのって……」
絵里「凛と真姫?」
凛「あー! 絵里ちゃん!」
真姫「いいところにいたわね、絵里」
絵里「え? どうしたの?」
凛「あの木の上にいるの、わかる?」
絵里「なになに?」
真姫「ほら、あれよ」
絵里「……猫?」
凛「うん、木に登って降りられないみたいで……」
真姫「私の身長じゃ、ちょっと届かないのよ」
凛「真姫ちゃんは木登りできないだけにゃ」
真姫「ぐっ」
絵里「あはは」
絵里「じゃあ私があの猫を助けてあげればいいのね?」
凛「うんっ」
真姫「……って、凛なら木登りできるんじゃないの?」
凛「あ、ええっと――――――――」
絵里「凛はアレルギーあるし、万が一落としたら大変だもの。お姉ちゃんに任せなさい」
凛「えっ、なんで……」
真姫「お姉ちゃん?」
絵里(あっ、しまった)
絵里「はい、もう大丈夫よ」
凛「絵里ちゃんありがとう!」
真姫「すごいわね。絵里って意外とそういうの得意なの?」
絵里「ふふん。すごいでしょ」
凛「すごいにゃー!」
真姫「……絵里、何でそんなにうれしそうなの?」
絵里「えっ」
凛「あ、猫ちゃん逃げちゃった」
絵里「別にうれしそうとか、そんな……」
真姫「……あやしい」
凛「?」
絵里(こ、こっちの真姫ってこんなに鋭かったっけ?)
絵里「わ、私、用事あるから! また明日ね!」
凛「あっ、絵里ちゃんも逃げた!」
真姫「明日は日曜日でしょー!」
絵里「じゃああさって―!」
絵里「ふー、なんとか逃げ切れたわね」
絵里(あの2人、なんであんな時間に……まさか、いつぞやの世界みたいに朝から遊んでたのかしら)
絵里「なーんて……」
絵里(あ、もう穂むらに着いちゃった)
絵里(ん、よかった。開いてるわね)
絵里「ごめんくださーい」
穂乃果「いらっしゃいませ! お客さんが今日、最初のお客さんで……」
穂乃果「って、絵里ちゃん!」
絵里(あら、この展開前も見た気がする)
絵里「最初のお客さまってやつ、流行ってるの?」
穂乃果「ううん。穂乃果が考えただけだよ」
絵里「へぇ」
穂乃果「あ、今は絵里ちゃん、お客さんだからちゃんと接客するよ。本日のおすすめは、海未ちゃんも大好きなおまんじゅうでーす」
絵里(ふふ、こっちの穂乃果はちゃんと接客してくれるんだ)
絵里「じゃあ、おまんじゅうを……3つくれる?」
穂乃果「かしこまりました!」
絵里「そうだ穂乃果」
穂乃果「はーい」
絵里「亜里沙、遊びに来てない?」
穂乃果「ああ。亜里沙ちゃん? 雪穂と2人で遊びに行ったよー」
絵里「……やっぱり」
穂乃果「はい、おまちどおさま」
絵里「じゃあこれ、お金ね」
穂乃果「え? くれるの?」
絵里「亜里沙たちのことについての情報料よ……なんちゃって」
穂乃果「かっこいいね」
絵里「そうかしら」
穂乃果「ええっ!? 絵里ちゃんが言い出したのに!」
絵里(おもしろい)
ここまで
火曜日にはたぶんおわる
たぶん
おくれた
更新する
絵里「……」
穂乃果「……? 絵里ちゃん、どうしたの?」
絵里「ああ、ちょっとね」
穂乃果「んんー? 絵里ちゃん、何か悩み事?」
絵里「……悩んでるように見えちゃう?」
穂乃果「うん」
絵里「そっか」
絵里「ねぇ、穂乃果」
穂乃果「なに?」
絵里「私の悩み、聞いてくれる?」
穂乃果「いいよ! 何でも話して!」
絵里「……ふふっ、ありがとう。解決したわ」
穂乃果「えっ、まだなにも聞いてないよ?」
絵里「穂乃果、海未やことりと一緒に頑張るのよ」
絵里(……私たち3年生は、もう卒業するんだから)
穂乃果「うん、頑張るけど……なんで?」
絵里「いずれわかるわ。じゃあね、穂乃果」
穂乃果「あ、絵里ちゃんおまんじゅう忘れてるよー!」
絵里(かっこよくしまらなかった……私らしい、のかもしれないけど)
絵里(色々聞かれちゃう前に、さっさと出ちゃいましょう――――――――)
絵里(って、誰か入ってくる!)
ことり「……あれ、絵里ちゃん? 絵里ちゃんもおまんじゅう買いに来たの?」
絵里「え、ことり?」
穂乃果「あ、ことりちゃん、いらっしゃーい」
ことり「穂乃果ちゃん、いつものやつちょうだいっ」
穂乃果「へいただいま!」
絵里「その掛け声はアイドルとしてどうかと思うわよ?」
ことり「ふふ、そうだね」
絵里(……って、いけないいけない。希たちが起きる前に……そうだ、にこの様子も見ておきたいわね)
穂乃果「あ、まだできてないんだった……お父さん! ことりちゃんのやつできてるー?」
絵里(穂乃果も中に行っちゃったし……行くなら今ね)
絵里「ことり、じゃあまた今度」
ことり「あれ、もう行っちゃうの?」
絵里「ええ。ちょっと急ぎの用事があるから」
ことり「そっかぁ。気を付けて行ってらっしゃい」
絵里(そういえば向こうのパリじゃ、私が送り出す側だったわね)
絵里「行ってきます」
ことり「えへへ、なんだか新婚さんみたいだね」
絵里「ここは穂乃果の家だけどね」
ことり「ふふ」
絵里(そういえば、にこって休日は何をしてるのかしら)
絵里「前はバイトをしてたわよね……たしかこのあたりで」
にこ「……ん? 絵里?」
絵里(いた)
絵里「にこ、久しぶり」
にこ「……」
絵里(……何か考えてる?)
にこ「……昨日も会ったでしょ?」
絵里(あれ、そうだっけ。こっちの世界での昨日は、確か――――――――)
にこ「ほ、ほら。学校でよ。練習では会えなかったけど」
絵里「ああ、そうね」
絵里「ねぇ、にこ」
にこ「何よ」
絵里「疲れてる?」
にこ「別に、そんなことないわよ。寝起きでちょっと頭が回ってないだけ」
絵里「寝起きで……何でこんなところに?」
にこ「あんたの家に……いや、なんでもないわ」
絵里「えっ、気になる」
にこ「教えてあげない」
絵里「えー、なんでよー」
にこ「あんたが心配ばっかりかけるから、ちょっと疲れてるだけよ」
絵里「私が?」
絵里(あっちでは結構迷惑かけてるけど……こっちのにこに、何か迷惑かけてたかしら)
にこ「……絵里」
絵里「はい」
にこ「その……私たち、友達でしょ? もっと頼ってくれて構わないわ」
絵里「……」
絵里(こ、このにこのかわいさ……なんだか懐かしい気がする)
にこ「それだけよ。じゃあね」
絵里「にこ……さっきから話しかけてるそれ、電柱よ」
にこ「えっ」
にこ「……」
絵里「……」
絵里(言わなきゃよかった)
にこ「……ん? あの後ろの3人って……」
絵里「え? 後ろ?」
希「えりち」
絵里「うわあああああ!?」
希「えりち、おはよう」
絵里「……おはようございます」
希「えりち、目を見て話し合おう?」
絵里「ごめんなさい」
希「ウチ、怒ってないよ。2回も誰にも言わずに先に行っちゃったことなんて、全然怒ってない」
絵里「……もうしません」
海未「見つけましたよ。絵里」
花陽「絵里ちゃん……」
絵里「」
海未「私たちはもう、ラブライブに出場する気でしたよ。それなのになぜ、何も言わずに……!」
絵里「だ、だって! 向こうの私も努力してたんだから、ずっと私が居座ってたら……」
花陽「絵里ちゃん、私たちのこと嫌いになっちゃったの……?」
絵里「そ、そんなことないわ! ちゃんとあっちの私に頼んで……」
希「……」
絵里「ごめんなさい」
にこ「……お疲れ様。まあ、私にはよくわからないけど」
絵里(あれ? にこならラブライブって言葉に反応しそうなものだけど……)
希「えりち、とりあえずお家に戻ろう?」
絵里「せ、せめてにこも一緒に!」
にこ「ええっ!?」
絵里「……はー、疲れた」
希「まだ言ってるん? 一応もう1日経ってるけど……」
絵里「だって、あの後ずーっとお説教だったじゃない」
希「あれは……うん、3人やったし、ついヒートアップして」
絵里「まあ、流石にあれは私も悪いから仕方ないけど……うー、やっぱり生徒会の仕事とか集中できないわね。やめやめ!」
希「休憩するん? 珍しい」
絵里「私は自由に、なるべく自分のやりたいように生きていくことにしたの」
希「……へぇー、えりち、やっと素直になったってこと?」
絵里「まあ、そんなところかしら」
絵里「生徒会の仕事を放りだしてまで、今日の練習は行ったりしないけど……」
希「うん」
絵里「生徒会役員の引継ぎが終わったら、なるべく自由に過ごすのよ」
希「そう。えりちが楽しそうで何よりやで」
絵里「……今思えば、不思議よね。パラレルワールドとか、って」
希「そうやね。でも、楽しかったやろ?」
絵里「ええ、もちろんよ。迷惑はたくさんかけちゃったけど」
希「もうその話はナシって、海未ちゃんと花陽ちゃんと決めたやん?」
絵里「あ、ごめん」
希「……そういえば、にこっちは今日どうしてるん? 練習? 昨日は無理やりえりちに連行されて……」
絵里「ああ、にこは練習よ。生徒会の仕事を手伝う、なんて言ってくれたんだけど……」
希「あ、それ花陽ちゃんも言いに来てたなぁ」
絵里「そうそう。2人とも断っちゃんったんだけどね」
希「なんで?」
絵里「……決められた期間中は、自分の力で仕事を全うしたいの」
希「ウチはその、自分の中に入ってる?」
絵里「ええ」
希「うん。それならよろしい」
絵里「……そうだ、希」
希「ん?」
絵里「飲み物、買いに行かない?」
希「うん。いいよ」
絵里「ちょっと話でもしながら、ね」
希「これからのことについて?」
絵里「すごい、よくわかったわね」
希「だって今のえりち、前しか見てないやん」
絵里「ふふ、そうね」
希「飲むの、何にする?」
絵里「えっと……」
希「あっ」
絵里「どうしたの?」
希「ウチが買ったやつが2個出てきた」
絵里「故障かしら」
希「どうなんやろ」
絵里「せっかくだし、2つもらったら?」
希「えっ、いいんかなぁ?」
絵里「大丈夫よ。たぶん当たりだから」
希「あはは」
希「でもウチ1人じゃ飲みきれ……あっ、もう片方はえりちにあげる!」
絵里「いいの?」
希「うん」
絵里「これは……おごりってやつになるのかしら? どんな反応すればいいかわからないわ」
希「おごりのジュースはおいしいなー、とか?」
絵里「あ、それいいわね。今度使おうっと」
希「それで、これからどうするん?」
絵里「まずは生徒会の引継ぎね」
希「あー。でも立候補する人いるんかな? 廃校を免れたって言っても――――――――」
絵里「ほら、いるじゃない。私たちのすぐそばに」
希「えっ?」
絵里「カリスマ性もあるし、リーダーシップもある。足りないところは補い合える、そんな3人の2年生が……」
希「……あ、その手が」
絵里「誰かに任せる、なんて考えたことなかったから、あっちの世界で見てきて助かったわ」
希「その3人の運営する生徒会は、えりちのお眼鏡にかなったん?」
絵里「申し分ない……とまでは言い切れないけどね」
希「それでそれで?」
絵里「次は……そうね。スクールアイドルについてよ」
絵里「もうラブライブが終わっちゃった今、私たちμ'sが活動する理由もなさそうに見える……しかーし!」
希「しかし?」
絵里「μ'sを大々的にアピールして、学院の入学者数をもっと増やします」
希「なるほど」
絵里「これが私のやりたいことよ」
希「あれ、2つだけ?」
絵里「ええ。これからまだまだ増えるけど」
希「えりち、楽しそうやね。おまじないを教えたときとは大違い」
絵里「だってまだやりたことはたくさんあるのよ? 生徒会の仕事とかばーっかりやってたせいで、頭が固くなっちゃってるのよね」
絵里「それに、まだ秋なのよ? まだまだ時間はあるわ」
希「えりちの言葉聞いてると、元気出て来るなぁ」
絵里「前向きなのが大切よね。それに、私たちならなんだってできるはずよ!」
希「もう1回くらいラブライブがあったらなぁ」
絵里「そうねぇ。きっと次こそは、みんなで一緒に優勝できるわ」
希「えりちはA-RISEに会ってないから強気やなぁ」
絵里「そんなに強そうだった?」
希「それはもちろん」
絵里「でも、ラブライブがあったらって提案したのは希よね? ……もちろん、勝てる見込みがあるのよね?」
希「さーて、それはμ'sの頑張り次第かな」
絵里「そうね。打倒A-RISEを目指して頑張らないと」
希「えりち、目的がすり替わってる」
絵里「でもA-RISEには勝ってみたいわ」
希「おお、真顔でそんな大胆な」
絵里「みんなで叶えるのよ!」
希「えりちの夢を?」
絵里「そうなるわね」
希「ふふ」
絵里「えへへ」
絵里「あ。あと合宿も行きたい」
希「うんうん」
絵里「みんなでキャンプとか、いいわよねぇ」
希「それもやりたいことの1つやね」
絵里「ええ。やるからには全部やるわ!」
絵里「……私がやりたいってみんなにバレないようにね」
希「そんな、恥ずかしがらなくても」
絵里「ま、今はこう言ってるけど、たぶんやる時には忘れてるでしょうね」
希「ふむふむ」
絵里「よーし、燃えてきたわね……」
希「でも生徒会役員の選挙、まだ先やで?」
絵里「今のうちに、穂乃果たちに仕事を仕込んでおくべきかしら」
希「細工は流々?」
絵里「ええ。やるからには徹底的に……」
希「えりち、悪役みたい」
絵里「ふふ。でも絶対叶えるわよ、私の夢!」
希「その夢は、きっとみんなの夢になると思うなぁ」
絵里「そうなの?」
希「カードがそう、告げてるんや……たぶん」
絵里「そこは確証が欲しかったわ」
希「あはは、ごめんごめん。でもウチらならきっとできるよ」
絵里「そうね……じゃあ、未来の夢の為に頑張りましょう。手始めに、生徒会の仕事から」
希「うんっ」
おわり
このお話の続きはアニメ2期で
みたいな
前に言ってたスピンオフのやつは後日立てる
リンク貼れたらこっちに貼る
このSSまとめへのコメント
やっと追いついた
続き楽しみだなぁ
無事おわってよかった
とりあえず、春夏秋冬シリーズに期待待ってるよ
はなよのパラレルワールドで見たことない光景が見えてたのは?