モバP「ライブバトルの演出を変えたい?」速水奏 渋谷凛「Exactly」 (56)

モバP「特技名を変えたい?」 凛「うん」の続きです。

注意事項

凛と奏が蒼い。

他のアイドルも水銀汚染されている。

正田作品ネタ多数。

千川ちひろ CV ○割れスプーン。

それでも良ければご覧くださいませ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1410709051

~朝 CGプロ事務所~

凛(皆、おはよう。“超越する人の理(ツァラトゥストラ・ユーヴァーメンシュ)”渋谷凛と……イタッ)正座中

奏(“愛すべからざる光(メフィストフェレス)”速水奏よ……あ、足が)正座中

凛(まずは……なんで私たちが正座なんかさせられているのか……語ることにしようか)

奏(私たちの創造をPさんにボツにされた後……私たちが図らずもPさんに対して行った
ささやかな抵抗を)

 
~一週間前 ライブ会場~

奏「ふむ……」

私を奏は興味深げな目で見ていた。その背後や足元には何百もの総軍(ファン)が蠢いている。

あの軍団をこれ以上指揮させてはいけない。たしかCGプロの武装親衛隊(ファンクラブ)は私のを除いても40師団ほどあったはずだ。たった三つの連携で一髪千鈞を拾った私に、あれ以上の波状攻撃は剣呑すぎる。

奏「確かに厄介だわ、その覇道」

奏「いいわ、では少し趣向を変えましょうか」

凛「……?」

不明なセリフに眉を顰めたのと同時だった。

奏「既に理解したと思うけど、私は私の軍勢(レギオン)を操れる」
聖槍(マイク)をこちらに向け、構えを取る奏。あそこから私を撃つつもり?

奏の一撃が指向性の大破壊をもたらすのは知っている……でもステージを跨いだこの距離では私には当たらない。いったい何を考えている。

奏「ボーカルに特化したアイドルには歌を、ダンスに特化したアイドルにはダンスアピールを、ビジュアルに特化したアイドルには、ビジュアルアピールを、各々得意とする分野を宛がい一つのライブの中でそれを指揮するのが、指揮官(センター)の冥利よ。有り体に言えば、人を操る手管……それに長けていなければ将(センター)にはなれない」

何だ……何が言いたい?

奏「故によ……こうは考えられないかしら?私は総軍の総てを知っている」

奏「その魂……その渇望、我が内海(ヴェルトール)に融けるいと小さき寵児たち……彼女達は私で、
私は彼女達よ」

奏「今や同化しているのよ、私達は」

聖槍が不気味に震えだす。同時に膨れ上がる暴力的な凶念と茸の匂い。

その匂いには覚えがある。まさか―

奏「ああ、日の光は要らぬ。ならば夜こそ我が世界」

奏「夜に無敵となる魔人になりたい。この畜生に染まる血を絞り出し、我を新生させる耽美と暴虐と殺戮の化身――闇の不死鳥」

奏 輝子「枯れ落ちろ恋人(タケノコ)――Der Rosenkavalier Schwarzwald(死森の薔薇騎士)」

瞬間、私の全身に抉るような虚脱感が襲い掛かった。

凛「がぁぁぁぁぁぁぁっ――」

立てない。指や足に力が入らない……まるで奏に私の全精力が吸い上げられているかのようだ。

上空に出現した月がみるみる赤く染まっていく。これは血で飽食した夜の世界。

凛「輝……子?」

間違いないこの気配は輝子のものだ。

奏「その業は吸収、略奪……私のグラズヘイムによく似た技だけど、敵の弱体化を狙うというのは余り私の好みではないわね」

奏「とはいえ……貴方に敗れ去った寵児たちの祈りよ。ならば一矢報いさせてあげるのが
情けというものでしょう」

凛「……ッ」

この虚脱感……明らかに体力を奪われている。まずい……今攻撃を受けたら躱す自信が―

奏「でもね……凛、貴方は貴方自身が思っているほど惰弱ではないわ。この危機的状況でもまだ足掻くかも知れない……いや足掻くでしょうね。ならばこそ念には念を、よ」

そして再び聖槍に狂気が満ちる。今度は兎の影が槍の周りを蠢き収束する――まさか今度は

奏「この身は悠久を生きし者。ゆえに誰もが我を置き去り先へ行く」

奏「追い縋りたいが追いつけない。才は届かず、生の瞬間が異なる差を埋めたいと願う。
故に足を引くのだ――水底の魔性」

奏 菜々「波立て遊べよ――Csejte Ungarn Nachtzehrer(拷問城の食人影)」

凛「―――ッ!?」

私の足元に影が迫る。この技も初見の技だが、直感的に理解した。この影に触れたらまずい。

凛「づあぁぁ――っ」
力の入れづらい体を無理矢理動かし、影から全力で逃れる。奏の口上から誰の創造かは察しはついた。

凛「菜々さんっ……!」

奏「そのはしこい足を封じてあげる。貴方を停止させるというのも中々皮肉だと思うのだけれど」

他人の足を引くという渇望。ふざけないで、こんなのは今の菜々さんの渇望じゃないし、私の超越とは別物だ。

私は仲間と何処までも疾走し、駆け抜けることを願う。この停止は私とは真逆だ、屈するんじゃない!!

凛「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

弱体化しているとはいえこちらは流出位階。幾ら奏の創造とは言え、私のルールの方が上位にある。迷うな――

いきなり百八十度方向転換し、助走を限界までつけて、私は影の海に突っ込んだ。

あれに触れれば一瞬動きが止まる。奏はその隙を見逃さない。なら、その隙を利用する―

凛「おおおおオオッ!」

迫る食人影の中心に一刀を叩きこむ。影は消えたものの……案の定、私の動きは減速する。

奏「止まったわね」

聖槍に満ちる神気。その霊力が破壊力に変換され、大破壊の一撃が放たれようとしている。

奏「加減はしないわ。もはやそんなモノは生涯しない」

奏「ここで終わるならそれまでの事。私は星々の果てまで怒りの日を進軍させる」

奏「auf Wiedersehen(さらば、眠れ)―とはならない事を祈りましょうか」
そして遂に黄金の爆光が炸裂した。

凛「―――――――」

迫る破壊の超霊力―確かにまるで手加減していない。

影の影響により動けはするが、回避は出来ない。そして私も回避するつもりは無かった。

凛「があぁぁぁァァッ――!」

迫る破壊の黄金光を私はマイクを盾にして受け止めていた。

奏「へぇ……」

全身が振動に蹂躙される。四肢は痙攣し、毛細血管ははじけ飛び、目からも血が迸った。

凛「負けるか――ッ」

そうだ負けるか、負けて堪るかっ!

たとえ奏が何百の戦奴を抱えていても、そんな支配と隷属しかない関係に私たちは負けたりしない!

そうだ私達だ。私は一人じゃない!

凛「来てっ……!」

噛み締めた歯が軋む。両の手の骨に罅が入ったがそんなのはすべて無視した。

来て、力を貸して。奏の総軍勢を凌駕する、私たちの絆(レギオン)を見せつけよう。


凛「アーニャ……」

さっきアーニャの声を聴いたよ。

凛「加蓮……」

腐れ縁なんだから最後まで付き合ってくれるでしょ?

凛「だから――」

爆ぜる黄金の破壊光の中、私は全身全霊で吼えていた。

来て、ここに集まってと。

カッコつけた台詞なんて要らない。私の語彙で私の魂(こころ)をそのままに伝えたいから――

ねぇ、皆。このラストライブで私と卯月にだけ美味しい所を取られていいの?

そんな訳ないよね――だったら。

凛「一緒にぶっ倒すよッ!」

ノリを弁えた私の仲間が、私の声に応えて苦笑と共に私を迎えていたんだ。

その時、ありえない事が起こった。彼女にとってありえない事―

全力で撃ったはずの一撃が弾き返され、その一撃は天の紅い月を撃ち抜き、虚脱の呪いを消滅させていた。

奏「――――――」

これ?これを狙っていたというの?

輝子の創造によって生み出された月を撃ち抜くには、確かに飛び道具が必要――だが。

奏「――――く」

何?何なのそれは?もはや作戦ですらない。

“速水奏の全力を弾く”事が前提の作戦なんて、もはや前提から破綻している。

全力、全力だったのよ。今まで一度として必殺の機会は逃した事は無いし、その時ですら全力は出し切れていなかった。

故にありえない事―彼女のプライドが粉々になるほどの衝撃。

だから、だろうか

奏「――く、は」

良く分からないものが口から漏れる。だがコレは初めての事では無いし、良く知っていた事――

だけど初めて、初めてなの。

奏「く、くは、ははは」

初めて行うが故、あまり上手くない。これではまるで嗚咽のようだ。

いや、あるいは嗚咽なのかな。ああ、いい。もう面倒よ。

泣かせて、この私を。

奮わせて、この私を。

この身は生れたばかりの新世界―

ならばこそ、これは私の産声と呼ぶべきものなのだろう。

奏「ははははははははははははは――――――――ッ!!」

天に響き渡る笑いと共に私は歓喜というものを初めて知っ――

モバP「長げぇんだよっ!!」スパコーン!!

奏「痛っ!!」

一応ここまで。夜のテンションってこわい。

続きます。 

奏「もう!痛いじゃないPさん」

凛「そうだよ、殴ることはないじゃん」

モバP「余りにも、反省していないようだったからな」

モバP「まったく……先日のライブでやらかしたのにまだそれか」

凛「やらかしたって……ちょっとライブでテンションが上がって詠唱しただけじゃん」

奏「そうよ。で、詠唱ついでにちょっと流出しただけじゃない」

モバP「後半それ中心になってただろうが!ファンも首かしげてただろうが!」

奏「でもファンは喜んでたじゃない。結果オーライよ」

凛「だよね」

モバP「ああ、ファンの反応は良かった。だが……お前たちのお蔭でウチには中二くさい仕事ばかり来るようになったがな」

凛「蘭子は今、撮影でいないんだよね」

奏「オファー来てから“招き蕩う黄金劇場”の練習ばかりしていたわね。輝いていたわ」

モバP「はぁ……聖○戦争とか宇宙を億回創造し億回破壊するロボットが出てくるゲームとかのオファーばっか受けてる気がするなぁ」

凛「いいじゃん、仕事が増えたんだから」

奏「それにPさんもそういう仕事ばっかり受けてくるじゃない。ほら、あの幻想公演とか」

モバP「まぁ、ファンには受けてるしな。それに、アレは以前から好評だったからな」

凛「メンバーとお話が変わったんだよね」

奏「監督もね。最初は、驚いたけど」

モバP「ああ、あの萩原雪歩が監督に抜擢されたからなぁ……あれは、うん。色々と凄かった」

凛「私も出たかったのに……」

奏「今更言っても仕方ないわよ。それに私たちが出ていなくても皆頑張ってたじゃない」


~幻想公演 偶像戦神館學園八命陣 ラストバトルシーン~

亜季「不思議ですね……貴方の考えていることが分かる。まったく老害扱いとは耳が痛い……これでもまだ青いと言われている身なのでありますが」

マキノ「きっと、阿頼耶を共有している影響なのでしょう。私も貴方の考えていることが伝わってくる……相変わらずね」

亜季「それはそれは……お褒めに預かり恐懼感激の極みなれば……ですが一つ言わせてもらいましょう。私は子を見込んでいるからこそ殴るのであります……そして殴るのが好きなわけでも決してない。血も戦争も好かんと答えたはずですが……それをもって治罰している……故、文句は無いでありましょう」

マキノ「大有りよ!」

亜季「例えば……このような未来は何としても防がねばならない。そこは同意を得られると思うのですが……皆殺しのイェホーシュアよ」

マキノ「……!」

“形”か、ならいったい何を

亜季「リトルボォォォイ!!」

マキノ「……っ!」

今のの日本に生きる者ならば知らぬ者などいない最も有名な核兵器。通称広島原爆。こんなモノを創り出すなんて……だが

マキノ「おぉぉぉぉォォォッ――!!」

いくら原子爆弾とはいえ、原子炉を創形しその爆発、放射線を防いでしまえば何の問題もない。

ドッガァァァァァン!!!

マキノ「ちっ!」

こんなモノを使うなんて……私が防げなければ自分だってタダじゃすまないのに……!

阿頼耶(依田芳乃)「そう、そなたなら当然のように防げるだろうとおもっていたのですよー。大和亜季は八神マキノの力量を世界の何より信頼しているのですー……ならばーあなたも見せてあげましょうー臆する必要はありませんよー。負けてはおりませんよー」

マキノ「当たり前よ!!……来なさい拓海!力を貸して!」

拓海の破断で自分の自重を3000倍に上げ一撃を叩きこむ。

亜季「そうですか……ならばこればどうでありますか?」

亜季「ツァァァァァリ…ボンバァァァァァ!!!」

マキノ「飛ばせ!友紀!」

爆弾であろうと玉であることには変わりは無い。なら友紀の破段で大気圏外へと吹き飛ばす!!

ズドォォォォォォォン!!!

だが流石は地上最強の水爆というべきか……その衝撃は地上にまで易々と届き

マキノ「があぁぁァァッ!」

マキノ「ゴホオッ……!」

想定外のダメージは負ったが、防いだ、防いだぞ!

だが防いだとはいえ……あんなモノを創り出すなんて……化物め

亜季「く、くく、ははははははははははは!!!!!」

亜季「それを言うなら……あの瞬間にこれだけの網を張った貴方こそ、流石であります」

亜季「良いでありますなぁ……勇者はそうでなくてはならない」

亜季「貴方と貴方の仲間達は素晴らしい!!」

亜季「私の楽園(ぱらいぞ)を彩る初の住人として……実に申し分ない働きであります!!」

マキノ「最近の魔王は褒め殺しが趣味なのかしら。気持ち悪いのよ!!」

亜季「よって……その閉塞を破るとすればこうでありましょう」

亜季「相手の精神状態を狂わせ、阿頼耶の声を聴いているのが雑音にしか思えないようにしてしまう……」

亜季「若しくは“読まれていようが関係ない”そんな一撃を叩きこむ事……テレポートなどさせませんよ。先とは速度のケタが違う」

亜季「ああ……私もこれだけは気に入っているのであります……裁きの様に、悪くない」

亜季「名も実にそれらしくあるでしょう」

亜季「ロッズ・フロォム・・・・ゴォォォッドォォォォォォ!!!」

>>19
破断→破段

ゴォォォォォォォォ!!!!

超音速で迫りくる神の杖に対抗するには友紀の破段じゃ足りない……ならば

マキノ「行くわよ!茄子ぉぉォォッ!!」

最高の運気と引き換えにそれに見合ったモノを奪い去る茄子の急段。以前は五感総てを引き換えにしてもあの一撃は防げなかった。だが盧生(アイドル)として覚醒した今ならば

マキノ「ぐ、がはっ、があぁぁぁぁァァ――!!」

マキノ「腎臓一つよ……!持って行けぇぇぇぇ!!」

腎臓一つという対価であの神の杖を消し去る事に成功した。

マキノ「か、グゥ、かはぁっ……!」

マキノ「……貴方は言ったわね……読まれていようが関係ない技を使えばいい……」

マキノ「犬飼現八――信道ッ!!」

「相手と自身に戻りたい時間があり、且つ、その時間が同じであること」本来なら達成が困難な美波の急段の条件は、“茄子の起こした奇跡をもう一度見てみたい”と思う亜季自身の抗えない衝動によって達成された。

その結果――時間は神の杖が放たれる前にまで遡り、私は神の杖を放とうとする亜季に渾身のカウンターを食らわせた。

亜季「ぐッ……」

マキノ「そして……今こそ確信したわ。私の破段は、やはりこの為にあったのよ。
仲間の力を借りるため……数多の未来(祈り)へ至るための戦の真よ!!」

マキノ「もう以前とは違う!さぁ、どうする!大和亜季っ!」

亜季「く、は、はは、はぁっはははははははははははははは――――!!!!」

亜季「いや全くその通り。私には紡げない未来であります」

亜季「私は……誰も信じていない女でありますからなぁ」

亜季「ともあれ……これで過去と未来の擦り合わせは終わったわけでありますが……
貴方は以前より進化している……私とは違う先を見ている」

亜季「それが証明されていれば……これ以上試しあう必要もない」

そうだ。ここから始まる戦いは盧生(アイドル)としての民衆(集合無意識)の支持の取り合い……

マキノ「犬川荘助――義任ぉぉ!!」

その戦いの前準備として夏樹の急段で今までの戦いで傷ついた人々の身体と荒廃した街、人心を回復させる。

亜季「これから先は、正しく比喩では無い神話の具現であります」

亜季「私も貴方も阿頼耶からそれを引きずり出してぶつけ合う」

そう。ここからは阿頼耶にある人が偶像(アイドル)をぶつけ合うライブバトル――

マキノ「そして……これを見ている人達が何を想うかが勝敗を分ける」

マキノ「憧憬、導き(しるべ)、つまり……進むべき正道への希求なら私に傾き―」

亜季「脅威、危機感、総じて追い立てられた結果ならば私に傾く―」

亜季「では始めましょうか」

マキノ 亜季『――急段・顕象――』

マキノ「犬江親兵衛――仁ッッ!!」

亜季「斯く在れかし――聖四文字ゥゥゥゥ!!!」

亜季「このようになぁ!!」

亜季の軍刀による一撃が山々を吹き飛ばす。

亜季「私に貴方達を愛させてくれぇぇぇぇ!!」

マキノ「私もスパルタなのは認めるけど……自立を促さない奴が偉そうに抜かすなぁァァ!!」

マキノ「一番絶望しているのも貴方で、一番勇気がないのも貴方よ!!」

マキノ「分かりやすく目に見えなければ無いも同じで価値もないだと……笑わせるなよ……顔を洗って出直して来いッ!」

マキノ「思えば、夢で見た未来にも貴方の様な奴はいたわ……」

マキノ「何も出来ないからって……自分の日常がつまらないからって都合よく壊れてくれないかと抜かす腰抜け達がね」

亜季「ああ、いましたなぁ」

亜季「だが彼らが負け犬と見られるのは実際に何も起こらんからであります。そして壊す努力すらせんからだ……」

亜季「私は努力したし今もしている。無論当然これからも」

亜季「しかし……先の口振りからすると、つまりアレでありますな」

亜季「貴方は私に……勇気の何たるかを教えてくれるという訳でありますかぁ」

亜季「倒し、力づくで叩き伏せ、尻を蹴り上げつつ分からせるのではなく……その生き様と背中で導なるものを見せてくれると?」

マキノ「期待していなさい。これでも教えるのはいつもの事だし得意技よ」

亜季「はは、くくくくくくはははははは……良いでしょう。ならばその時私は敗北を認めましょう。己が弱者だと知って散るのも一興であります」

亜季「そんな未来……もし訪れるのなら見てみたい」

マキノ「見せてやるわよッ!!」

マキノ 亜季『――終段・顕象――』

マキノ「仁義八光、如是畜生発菩提心ッ」

マキノ「仁義礼智忠信孝悌――」

マキノ「親兵衛(美希)、荘介(真)、大角(貴音)、毛野(千早)、道節(あずさ)、現八(律子)、信乃(春香)、小文吾(響)ッ」

亜季「海原に住まう者・血塗れの三日月(フォーモリア・クロウ・クルワッハ)!!」

 ~


凛「出たかったなぁホント」ツンツン
 
モバP「突っつくな……悪かったから……でもアレは凄かったよな、まさかマキノが」

奏「最初は不遇極まるとか言ってたけど……やっぱり素質はあったわね」

凛「うん。亜季も凄い気合が入ってたよね。音響機械が壊れそうになるくらい」

モバP「ハイティーンのメンツで組んだから少し心配だったんだが……やっぱり皆プロだな」

奏「でね……そろそろ本題に入りたいんだけど」

モバP「ああ、そういえば俺に正座させられる前に言いたいことがあるって言った来たんだったな……何だ?また特技名か?」

凛「ううん。今度はライブバトルの演出を変えたいなと思って」

モバP「却下する前に……一応聞こうか。何でだ」

奏「前に特技名を変えたのは良かったのだけど……ほら、ライブバトルでの特技発動とか盛り上げる時の演出って矢印が出るだけじゃない」

奏「で特技名が混沌より溢れよ怒りの日とかだと……何だか……その、萎えるのよ」

凛「気合入れて詠唱してもパフォーマンスしても演出があれだと……ね」

モバP「詠唱とか派手なパフォーマンスをしない選択肢は」

凛 奏「ない」

モバP「ですよねー」

モバP「まぁ良い。がライブバトルにお前たちのやってる詠唱なんか入れたら長すぎてキリがないぞ」

奏「だから縮めるのよ。ほら幻想公演で皆がやっていた急段や破段……あれならそんなに時間はかからないでしょ?」

モバP「確かに……だがどうやってやるんだ?」

凛「それは……こんな風に」

~~~~~~~~


東豪寺麗華「クズね……自分一人だけでは何にも為せない……それどころか、
仲間の足まで引っ張って……まさに疫病神ね」

ほたる「疫病神?ふふふ……今、私の事を嘲笑いましたね」

ほたる「干キ萎ミ病ミ枯セ。盈チ乾ルガ如、沈ミ臥セ」

ほたる「――急段、顕象――」

ほたる「生死之縛・玻璃爛宮逆サ磔」

麗華「何!?何なの!?照明が落ちて、音響も!?」

ほたる「空気が旨い!くじが当たる!素晴らしい!これが、不運(ぜつぼう)の消える感触というものかッ!」

~~~~~~~~~~~

凛「って感じでやればデバフって感じがするし、かっこいいでしょ」

モバP「因みにほたるが使っていた能力は何なんだ?」

奏「相手の『輝き』と自身の『病み』の等価交換……相手が自身に対し負の感情を持って意識を向ける事とほたるちゃんが相手を羨ましいと思う事を条件に発動し、相手の運や才能、肉体を奪い、代わりに自分の不運や闇を押し付ける」

モバP「つまりどういうことだってばよ」

奏「そうね……Pさん相手だったら、プロデュースの才能やらが奪われて、ガチャが一生当たらなくなるくらいかしら」

モバP「勘弁してください……ってか凄く強くないかソレ?それに……逆さに磔にされたミイラを演出に使うのはちょっとなぁ」

奏「だったらこんなのもあるわよ」

~~~~~~

ありす(巴さんとのライブバトル……さっきから妙に規則性が見えますね。これは…将棋?)

村上巴(今じゃ!)

巴「三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝(さんごくそうでんいんようかんかつほきないでん)」

巴「――急段・顕象――」

巴「軍法持用・金烏玉兎釈迦ノ掌(ぐんほうじよう・きんうぎょくとしゃかまんだら)ァ!!」
~~~~~~
モバP「これは……具体的にはどんな内容なんだ?」

奏「敵と味方を自らの創り上げた異空間のゲーム盤の駒として当て嵌める。一口で言えばこんな所ね」

モバP「もはやライブですらないんですがそれは」

奏「あら……巴さんらしくて良いと思ったのだけど」

モバP「はぁ……付き合ってられないなぁ……演出の方は考えとくから、任せといてくれ。はぁ……かえで☆マギカの撮影を見に行かないと」

加蓮「……」

凛「ああ、美優さんが悪魔みゆみゆになるあの映画?」

モバP「ああ、美優さんが衣装が恥ずかしいって言っててな……すこし話に行かなくてはいけないんだ」

奏「残念……もっと話していたかったのに……美波さんが弟くんに告白された話とか」

モバP「済まないが……また今度な」

凛「頑張ってねプロデューサー」

ギィィ……バタン

凛「さてと……他の人のも考えてあげようか」


奏「そうね……」

ちひろ「ストップ!ストップですよ!奏ちゃん」

奏「ちひろさん……どうしたの?」

ちひろ「時間!もうそろそろ雑誌の取材の準備に行かないと」

奏「あら……凛、貴方といると時間が経つのが早いわね。じゃまたね」

凛「うん、頑張ってきて」

ちひろ「さぁ、凛ちゃんも後少ししたら765プロの音無さんと打ち合わせですよ」

凛「え?音無さんと?なんで」

ちひろ「今度、765プロが主催してやる舞台の打合せするからってわざわざウチに来てくださったんですよ」

凛「ああ、今行くよ。音無さんとだったら色々と話が出来そうだし」

カツカツカツ

加蓮「ちひろさん……少しだけ凛を借りてもいいかな」

ちひろ「打ち合わせが終わった後でも良いなら……凛ちゃん?」

凛「うん……いいよ。打ち合わせが終わった後ね」

加蓮「うん。待ってる」

一旦休憩。 

因みに言っておくと加蓮は司狼ポジションです。

続き

こっから百合シーン。


加蓮「……遅かったね、凛」

凛「加蓮……」

加蓮「……お互いさ、随分様変わりしたよね」(司狼の服着用)

凛「うん、そうだね……気づけばお互いこんな姿になって」(蓮の服着用)

加蓮「まぁ……カッコは変だけどさ……こうして話してる分には変わりないんだけどね……なんて言うか、いろいろ変わったね」

加蓮「鬼を斬るためには鬼となる。毒に対抗するには毒持ってくる」

加蓮「まぁ、道理としてはテンプレだけど……凛にとっては不満だよね」

加蓮「ま、今回ばかりは同感だよ。私も取るものを間違えた」

加蓮「鼻が曲がりそうなほど(中二)臭い。臭い取れないよ」

凛「そうだね……我ながら、むせ返りそうだよ」

加蓮「変化のない日常ってモノを壊してみれば、残ってみたのはガランドウか……笑えないよ」

加蓮「もう少し上手く立ち回ってれば、お互い満たされてたのかもね」

凛「意味の無い仮定は嫌いじゃなかったの、加蓮」

加蓮「嫌いだよ……ヘドが出る」

加蓮「そういう事言ってる奴はやっぱりろくな奴じゃなかったし」

凛「加蓮、どういうこと?何を言いたいの?」

加蓮「さあね……それで、だよ」

加蓮「アンタ、何流れに乗せられて中二ってるの?」

凛「な、加蓮、何言ってるの?おかしいよ」

加蓮「はぁ……凛こそ何言ってるの」

加蓮「中二しすぎてボケた?若年性健忘症なの?」

凛「だから……っ、何で中二してるとかそんな事……!」

加蓮「ああソレ?別段不思議な事じゃないでしょ」

加蓮「簡単な理屈でしょ。なら鈍感なアンタでも気付けるよう分かりやすく言ってあげようか!?」

加蓮「私達は高校生でアイドルなのに今更に中二してるのはどういう事だって聞いてるのよ私は!」


凛「ふざけないで!何それ!何考えてるの!?」

凛「ありえないよ、そんな事言わないで何で言うの、そんな事言うタイプじゃないじゃんキャラ違うよ加蓮!!」

加蓮「何言ってるの……言ったじゃん、おかしいって」

加蓮「今の状況を良く頭を冷やして考えて」

加蓮「今ならまだ間に合う、私はね、さっきからそう言ってるの」

加蓮「今すぐお互いフザけたカッコやめてちゃんとした言動すれば普通のアイドルに戻れるかもしれないってさ」

加蓮「考えてもみなよ……凛」

加蓮「仮に私達が今から組んで、都合良く友情パワー発揮して?トップアイドル狙えるだとか?」

加蓮「ねぇ……本気で思ってんの」

凛「……それは!」

加蓮「無理だよね……子供でも分かる」

加蓮「つまり中二じゃ結果は見えてるワケ」

加蓮「アンタも言ったでしょ?トップアイドルになるのは大変だって、今のままぶつかったら全員木端微塵だよ」

加蓮「でもさ……『まだ』戻れるんだよ!?」

加蓮「要は……この『まだ』をどう取るかでしょ」

凛「どう取るって……良い方と悪い方に……」

加蓮「そう『まだ』私たちは完全じゃない」

加蓮「『まだ』私たちは戻って来れる、こう考えると全然話は違ってくる」

凛「……うん」

加蓮「ねぇ、よく考えてみたら笑い話じゃないコレ?」

加蓮「ヘタすれば、今でもトップアイドル狙える私たちが、中二病の王様気取りだよ!?それが精一杯ときてる」

加蓮「不幸中の幸いか……ファンも全然減ってない。別に私たちが中二病だからってファンになったわけじゃないしさ、あとは私たちが大人になれば気兼ねなくイケるよ」

加蓮「そうすれば話は簡単。黒歴史全部閉じ込めたまま、全員でそっぽ向けばいいんだ」

凛「……っ」

加蓮「そういう事。で、黒歴史捨てた私達でトップアイドルになれば、それですべてチャラ、完璧でしょ?」

加蓮「だから……さ。凛に出来ないなら私がやってあげる」

凛「ふざけるな……!」

凛「ふざけんな……加蓮ッ!!」ドカッ

凛「そんな事認められるか、許容できるか!解脱するなんて……そんな選択肢、私は絶対に」

加蓮「ふざけてるのはそっちよ!!」ドカッ

加蓮「いつまでもそんな理屈が通ると思ってんの!?私はね……本気だよ!凛こそ頭冷やしてもう一度良く考えてみろ!」

加蓮「卯月も今や影響を受け始めてる!未央もだよ!」

加蓮「もう今更アンタが意地張る理由なんてもうどこにも残ってないのよ!」

加蓮「凛!アンタ言ったよね『無くなったら帰って来ない、今あるモノを大事にする』って、アレは何?どういう事?今と比べてさ」

加蓮「失ったら他の物に縋り付く言い訳なの?違うの!?」

加蓮「今の凛はね、ホントに大事なモノが見えてない……今の凛は忘れるのがヤダって全部抱え込んでる子供だよ!!」

加蓮「帰って来ないよ!わかるでしょ!」

加蓮「そうだよ帰って来ないんだよ!何も!何も!何一つも!」

加蓮「恥ずかしくないの!?私は……中二病キャラじゃないって吼えてみなよ!!」

加蓮「こっちもね……もう時間がない」

凛「時間……ねぇ、どういう事なの加蓮!?」

加蓮「私もさ……このままだと『あっち(ピヨピヨ)』に堕ちる」

加蓮「堕ちたら即、あそこに積み上げられた腐った小鳥みたいになるのよ」

凛「なっ……」

加蓮「驚く事でも無いよ……当然の理屈。中二作品には衆道あり……中二作品についたオマケまで背負っちゃったのよ……私」

加蓮「このままいくと即刻アチラ行き。抵抗も出来ない、猶予も無い。一発吠え面かかせるには今しか無いの」

加蓮「最後に勝ちを狙って何が悪い」

凛「……加蓮こそ、何言ってるの、らしくないよ……そんな弱気な加蓮」

凛「優等生らしさなんて要らない……バカでしょ私達!?大人が手を焼く問題児でしょ!
ならそれらしく行けばいいだけでしょ!?」

凛「カッコつけてるのはソッチだよ……偉そうに切り捨てる算段なんかしないでよ……」

凛「加蓮も何もかも……私に残った大切なモノなのに……バカ加蓮……ッ!」

凛「勘違いしないでよ、加蓮こそ何私の大事なモノを切り捨てようとしてるの、何で……私の許可なくそんな事……そんな辛いことを一人で」

凛「失いたくない。加蓮だって蒼さだって……もし亡くしたら私は……」

凛「私は絶対に置き去りなんかにしない何もかも!」

加蓮「はぁ…………ッ」

加蓮「はぁ、全く……この中二病患者は……いつまでもペラペラ……いつまで夢物語(メルヘン)ブッこいてるつもりよ!!」

ドカッ!!

凛「ぐぁ……!」

凛「加蓮……っ」

加蓮「怒った?このジゴロ女。誰にも彼にもいい顔して……嫌だ、やりたくない、その上アレまでするなって!」

加蓮「誰にでもいい顔して流れに乗ろうとするから、結局誰かに寄りかかって、おんぶに抱っこかよ!いい歳してさ!」

加蓮「何でもかんでもスグ誰かに与えちゃうからソレがアキレス腱になってる!」

加蓮「自分だけでなんとかしようとするのもその裏返しでしょ!?」

加蓮「誰かがいなきゃ立てないからって、そっちばっか見て、結局自分はそのザマか!」

加蓮「おかげでいつでも皆のアイドルでいようとする様になってる……見てられないね」

凛「何だと……ッ!」

加蓮「違うの?」

加蓮「……来なよ凛。ケンカの続きだよ。私と凛のケリを今つけようじゃないか」

凛「――ぇうぁぁぁぁぁぁァァッ!!!!」

凛「ああアッ!!」

加蓮「く、はァ、はぁ、……腑抜けてんじゃないわよ、腰が入ってないのよ!!」バキッ

凛「づうぁッ……ナメるな……効くか、寝ぼけてんなよ加蓮!!」

凛「なんで……加蓮はいつもいつも……っ!」

加蓮「アンタがイケるのにイこうとしないからでしょうが……ッ!」

凛「そんなに行きたかったの、こんな場所まで、こんなところまで!」

加蓮「当然でしょうが……ッ。大体、アンタはいつももどかしいのよッ!」

加蓮「同じことばかり飽きもせず……ずっと思ってきたよ私は……っ!」

加蓮「何でこんな奴が普通の日常を楽しめるのかってねぇ……ッ!」

ズドッ!!

凛「がはッ―」

凛「こっちだって同じ事思ってたのよッ!なんでこんな奴が私の隣に居るんだろうって
なんでこんなどうかしてる奴と一緒に居るんだって……ッ!」

凛「大人ぶりたいなら勝手にやってなよ!決まって私を巻き込まないでッ!」

加蓮「ハッ……人の性格になにケチつけてんのよ、このトラブルメーカーが!!」

ズドッ!!

凛「っこの、そっちこそどの口で言ってんのよ!!」

加蓮「そうだ……先走った凛をフォローするのも私、やれるのにやらない凛の背中を押すのも私……苦労したよ、特に前者はねッ!」

ドカッ!!

加蓮「上手く趣向を凝らして、奈緒も付いてこれるようにして、お膳立てまで整えて……!」

加蓮「あとは、一番かき回してくれるバカ呼んで楽しんでた!尻が重いのよ、床にくっついてんの!?」

加蓮「そんなに嫌なら離れればいいのに、凛は私の事を待ってたでしょ!」

凛「誰が……加蓮の事なんか待つかっ!!」

加蓮「待ってたでしょうが!興味が無いふりして……見え見えなのよ!」

加蓮「嫌なら動くな!邪魔しないで!私に全部任せてばっかで代替案も出せないくせにッ!」

加蓮「答えがあるなら躊躇すんな!それっぽく振る舞ってチャラになるかぁッ!!」

加蓮「いい加減目を覚ませ!この妄想女!!」

ドカッ!!

凛「う…っぷ……ふざけんな……もう何も見捨てない!!アンタに奪わせない……ッ!そしてもうアンタを何処にも一人で行かせないッ!」

加蓮「ったく……それが」

加蓮「寝ぼけてるって言ってんのよ、このバカ凛がぁっ!!」

ちひろ「くっふふふふふふふふ……ふ、はははははははははははははは――――!!」

ちひろ「素晴らしい。何という喜劇、何という友情か!」

ちひろ「予想以上だ、感激だよ痺れが止まらぬ、憧憬すらしよう」

ちひろ「交差する思惑、互いの意地、信じているのはその論点か、はたまた相手自信をこそか、その願いはどの終点を目指している?希望まで無形の混沌ではあるまい」

ちひろ「君らは譲れぬ結末を描いて、互いを誇りに思っているのだから」

ちひろ「ああ、見ておられますか小鳥さん。あれぞ『友』、純愛なる共演の活劇」

ちひろ「我らが歓喜の幕開け。私とあなたが形にすることが出来なかった語らいを今、我らの現身が歌い上げている」

ちひろ「す ば ら し い」

ちひろ「その一言に尽きる」

ちひろ「いや……それすら足らぬな」

ちひろ「弁には自負があったのだが、言葉に出来ぬ」

ちひろ「出来ていいものではない、したくない」

ちひろ「指揮者の仮面を被り、あの葛藤を形にするのは神聖さに泥を塗る行為だ。
見守っていたい。久々に思ったよ、終わって欲しくないとさえ」

ちひろ「ああ、貴方達は本当に、何処まで私の瞳を焦がすのだ。語りえぬ物は沈黙しなければならない……よく言ったものだ、貴方たちにもこの言葉を贈ろう」

ちひろ「ふふふっふふ……まるで貴方の様ではありませんかプロデューサー」

モバP「もうついていけません……」机の下に潜る

ちひろ「何を嘆くことがあろうか、我が同胞よ」机の下に入る

ちひろ「見給え、あそこには全てがある。彼女たちは真に素晴らしい」

ちひろ「友愛を抱き、互いを壊して形となす愛の証明」

ちひろ「同時にそれは互いの心情を汲みながら、そのために憎悪で拒絶した絶縁の嘆きでもある」

ちひろ「矛盾だ、矛盾がなされているのだよ、プロデューサー」

ちひろ「さながら空を飛翔しつつ、深海へ潜行しているかのような荒唐無稽さだ。
踏破し、脱却し、道理を置き去って旋回する雲雀、奏でる囀りの応酬が、互いの羽を毟り合うたび反響し、心地よく世界を満たす……羨むしかあるまい、脱帽するよ、今、彼女たちはこの世界に二人きりなのだ」

ちひろ「魔道に頼るのではなく、築き上げた絆で、私の軛を跳ね除けている……いかなる物にも縛られていない」

ちひろ「総ての感情を瞬間に、永劫と等しく感じ取り、それすら流れ落ちる飛瀑の一滴」

ちひろ「凄まじいな、素晴らしいな、止めることなど誰に出来よう」

ちひろ「許せないから壊すのではない」

ちひろ「信じている、しかし何故かその願いを砕いている」

ちひろ「憎しみより激しく、愛より慈悲深く、それは何故?」

ちひろ「認められぬから奪うのではない。認めている、その道を羨んでもいた」

ちひろ「だが与え、けれど奪い、されど無視して、そして通り過ぎながら壊死を望む」

ちひろ「彼女たちは今、語り合っているのだ。かつてないほどに激しく、そして凄絶に」

ちひろ「君をこう見ていた、君をこう感じていたと事細かに叫んでいる」

ちひろ「相手に解かってもらうために、判ってやるために、分からせるために、思い出を語り合い、大切で仕方ないとその持て余した感情をぶつけ合っている。そこに下らぬ虚飾は一切がない。すべて剥ぎ取られ、裸の己をさらけ出す」

ちひろ「なんと素晴らしい。これぞ魂の決闘だ」

モバP「キノコーキノコ―ボッチノコー♪」

ちひろ「ああ、難解だったかね?美しい顔が歪んでいるよ」

ちひろ「また、婉曲的だったか……ならば、こう言おう」

ちひろ「彼女たちは今、かつてないほどに愛し合っているのだよプロデューサー」

ちひろ「理解できぬかね?私もそうだ」

ちひろ「故に、美しいと感じる」

凛「ぁあああああァァッ!!」

ドグッ!!

加蓮「ふ、ぐぁっうぅ……おおォォォッ!!」

加蓮「大体、初めて会った時からさ……毎度こんな感じだったよね……!」

加蓮「いつまでも飽きやしないアンタ引っぺがしてさその度に毎度のようにブチ切れる……面倒な女だよねッ!」

凛「……ッ!それの、何が!」

加蓮「悪いんだよ!!」

加蓮「鬱陶しいのよ、私の美感に抵触してイライラさせてくる……!」

加蓮「ガラクタ何時まで抱えてんのよ!失くしたのよ!いい加減残像にまで縋り付くなぁッ!!」

加蓮「勝手に背負うな!命懸けて、気張って……意地張るとこ間違えっぱなしなのよ!!」

加蓮「頼んでもないのに……人の理屈に突っかかってきてるのはどっちよ!?ああッ!!?」

加蓮「だってのに……アンタはごねて、ちっとも大人にならない子供のままだ……!」

加蓮「この阿呆が!気合で何でも解決できれば、この世に宗教も法律も生まれてないよッ!!イエスも仏陀も芳乃も要るかァ!!」

加蓮「ねぇ……いい加減どうすればいいか分かったでしょ……!何も捨てたくないんなら
私を殺ってケリつけて来い!!勝ちたいんならそれくらいやってよ!ええ!?甘ちゃんがァ!!」

加蓮「言われたからやらないって聖人かよこのボケ!!どうしても自分の在り方貫き通したいなら『ぶっ殺してやる』くらい言ってみたらどうなの!?ああッ!!?」

凛「ふざけんなって言ってんでしょ!そんな理屈私は……」

凛「知った事じゃない!どれも御免だ!加蓮を捨てるなんて……言われたって絶対やってやらない……!」

加蓮「じゃあ何だ!?どうしたいのか言ってよ!?」

凛「私は……もう何も見捨てない!仲間も……自分も守り抜く!もう誰にも……私の大事なモノは傷つけさせないッ!!」

凛「そして、アンタも……加蓮の事も……見捨てないッ!」

凛「大切なんだよ!!勝手に見限れるか!!秤になんてかけられるか舐めないでよバカ加蓮ッ!!!」

加蓮「うるさいッ!!それでどうにかならないから手詰まり何でしょうが!!」

凛「うるさいのはそっちだ!寝言言ってるのもそっちだ!私はそんなの認めない!何度だって言ってやる!」

凛「抱えて進んで何が悪い!!」

凛「私と加蓮で出来ない事なんて何もない!!」

凛「今までも、これからも!加蓮が居れば私の勝率上がるからやってるんだ!」

凛「貴方となら……勝てるでしょ!!?」

凛「私たちはそうだったはずでしょ!?腹立つけど加蓮は凄いよ!組めば無敵だよ!!
奈緒も加えればなおさらだ!!」

凛「売られたケンカだよ!?何で買わないんだよ!?中二貫いて勝たなきゃ、逃げでしょそれは!!?」

凛「だから殴り込みをかけるのは私達だ!!欠員出さずにアイドル全員ぶっ倒しに行くんだよ!!」

凛「私と加蓮と奈緒で勝つ!!三人で勝つんだ!!誰も負けない失わない、最高でカッコいい完全勝利!!」

凛「それが!!」

凛「私たちの勝利でしょう!!?」

バキッ!!

加蓮「どうやってだよ……ッ!!」

加蓮「だから案だせって私は言ってるでしょうがぁッ!!」

凛「知るか!バカ加蓮!アンタが考えるんだよ!大得意でしょそういうの!!」

加蓮「考えろって……アンタねぇ、何人に頼ってんのよ!?飾りか!?その頭はァ!!」

加蓮「アンタが何とかしろよ!!」

加蓮「なにアンタぶん殴ってる奴……アテにしようとしてんだぁァッ!!」

凛「悪いの!?アンタをあてにして!?何でも出来るんでしょ自称ヒロインさんはさァッ!!」

加蓮「自称はどっちよ!!このコメディリリーフがァァッ!!」

凛「がはぁっ……」

加蓮「どう……凛……愉しい?」

凛「んなわけないでしょ……!」

凛「私は、マゾヒストじゃない……!」

加蓮「ならさ……いい加減倒れてよ……凛。大丈夫、目が覚める頃には全ては終わってるからさァァッ!!」

加蓮「できないことはやってあげる……汚れるのは私で良い……!!……そろそろウザいんだ、落ちとけよ!なぁ!!」

凛「落ちるか!落ちて堪るか!!……渡せるかッ!!背負って叫んで何が悪い!!誰にも文句は言わせない!!」

凛「縛りつけてでも……アンタを止める……!!」

凛「私が道を創るから、そうなったら着いてきてよ!!」

加蓮「ははっ……おかしくなった?キャラじゃないよ、似合ってないよ」

加蓮「今のアンタに……それが出来る訳ないでしょうが!!」

凛「いや……私がやる……!私が主役なんだよ!!脇役はすっこんでろ!!だから……ここで絶対に止めてやる!!」

凛「私がなんとかするのを……黙って見てろッ!!」

凛「もう逃げない!!受け取りなんてしない!!信じてみなよ!!楽勝だよ!!?」

凛「私は……今まで、アンタのバカについてこられたんだから……!!」

加蓮「はは、ははは、はははははははははははははは――――吼えたわねッ!!」

加蓮「アンタが私を超えられる!?即決即行の私に!?そんな事今まで一度もなかったよね!!?」

凛「……さあね、だからこれが最初だよ!!」

加蓮「ならぁ……やってみろォォッ!!!永遠の蒼二才がぁッ!!」

凛「ああ、やってあげる!!」

加蓮「凛ッ!!」

凛「加蓮ッ!!」

ドカッ!!

加蓮「か、はぁ…はは、あ、おォォォォォォアァぁァァァッ!!」

凛「ぅが、ぁああぁァァァあああああァァァッ!!」

ドカッ!!



……ドサリ



凛「はぁ、はぁ、私の、勝ちだね、加蓮……!」

加蓮「あーあ……はぁ、負けたか」

加蓮「でも、まぁ……いいか、凛になら」

加蓮「ねぇ……これ良いケンカだったよね」

凛「はぁ……もうごめんだよ。体中が痛い」

加蓮「凛……はさ、やっぱりずるいよ。いいとこ全部持っていって」

凛「はは……何言ってんの……もう」

加蓮「はぁ……こうしてお互い80年代ドラマの真似事をやってみたわけだけど……やってみたら悪くないよコレ」

凛「ただの意地の張り合いだったけど……テンプレもたまには悪くないね」

加蓮「うん……悪くない。凛となら……悪くない」

加蓮「さあ、無敵の主人公様……凛、アンタは勝てるよ。行って来い、私たちの分まで宜しく頼むわ」

バタリ!!!

凛「加蓮……体も治りきってないのに……まさか」

小鳥「はははははははははははははは―――!!!!素晴らしい!感激したぞ!見事なり」

小鳥「何と心の踊る決闘、我々の凱旋にはふさわしいファンファーレよ」

小鳥「久方ぶりだな……なかなかに濡れたよ」

小鳥「その友愛……破壊に行きついた情の姿、私の理想とするものだ」

小鳥「喜ぶがいい、誇れ、そして自覚せよ」

小鳥「その大義、噛み締めてむせび泣くがいい」

小鳥「さぁ……待ち望んだ百合の誕生を祝おう!!」

ちひろ「く、くは、はは、ははははははは――――!!!!」

ちひろ「……ああ、もどかしい。歌い上げたい、詩に書きとどめたい、同人誌(本)へと綴り後世に伝えたい」

ちひろ「乞い願うよ、留めたかったほど……」

ちひろ「心から喝采しよう、貴方達を創って本当に良かった」

ちひろ「誇りに思うよ、我が代役」

ちひろ「貴方達が娘で、私の鼻も高いというもの」

ちひろ「素晴らしい完成度だ。今こそ、賛美歌を捧げよう」

ちひろ「その誕生、出生を認めよう。貴方達は我々の福音となったのだから」

ちひろ「愛しき子よ、さぁ立ち上がれ。敵が来るぞ、女神の剣を取り立ち向かえ。
まだ全てが終わったわけではない。一つでも大切なものが残っている、ならやることは決まっているだろう」

ちひろ「戦うのだ」

ちひろ「それが君こそが出来る唯一の歌劇」

ちひろ「さぁ、薙ぎ払いたまえ、その歌声で」

ちひろ「新世界への道を開き、旧世界の万象遍くすべてを打ち払うのだ」

モバP「あ、ああ、皆、皆が侵されていく……」

凛「黙れ――!」

凛「お前ら……ふざけるな!ふざけるなよ!!ふざけるな!!!」

凛「アンタ達みたいな腐った塵屑が!何、私の加蓮を値踏みしてるんだ……!!」

凛「とっくに死んで腐りきった蛆虫まみれのその頭でこいつを量るな!!」

凛「そこに居ろ……!!私が、貴様ら総て、」

凛「二度と戻れない未婚地獄(ヴァルハラ)へと突き落としてやる!!!」

凛「うぉぉォォォォォォ―――」

柳清良「おい」

他全員「え?」

清良「アイドルが……なんで殴り合いをしているのか……これはこれはお仕置きが必要ですねぇ」ビキビキ

清良「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ」

他全員(や、やば)

清良「六算祓エヤ、滅・滅・滅・滅、亡・亡・亡ォォォ!」

他全員「ぁぁああああああああぁぁあ―――!!!!」

終わり

次回予告(嘘)

ある者は過去に決着を

新田美波「弱いわね、自分の真すら貫けない。その情けなさは流石に悪魔だと言ってあげる」

美波「怒っているのは愛海(あなた)。羨ましがっているのも愛海(あなた)。一緒にしないで、私の弟は断じてそんなに弱くない!!」

美波「私は弟を信じてる」

美波「だから私は貴方に勝てる!!」

棟方愛海「ほざけよ、悪魔(アタシ達)の生贄(オカズ)風情がァッ!!」

ある者は未来を創るため

未央「曙光曼荼羅ァ――八百ォォ万ゥ!」

森久保乃々「卍曼荼羅ァ――無量大数ゥ!」

そしてある者は欲望を肯定する

三船美優「いったはずですよ。もう二度と」

美優「貴方を離さない」

高垣楓「やめて、美優さん」

楓「私が裂けちゃう――!」

そして……人々の物語は終わりへと収束する

奏「おお、身が震える。魂が叫ぶ。これが歓喜か、これが恐怖か! 私は今、生きているッ!!至高の天はここにあり!」

ちひろ「未知を願った、それのみを願った、その果てに筋書きを外れたのなら確かに是と言えるのかもしれんがね……だが座にある私は否と告げる」

ちひろ「ああ嫌だ、認めない、このような終わりなど許せない。ゆえにお前たちはもういらんこれから先は女神(シンデレラガール)の独り舞台でなくてはならぬから」

ちひろ「用済みの役者には退場願おう。それが私の……座の意思と知れ」

凛「これが最後の戦い……自覚しろ、永劫回帰の終焉だ」

終わり 

これで終わりです。あーもうめちゃくちゃだよ。

次は芳乃が牛丼屋でもやるSSでも書こうかな。

乙、はじゅーんはやっぱりもりくぼか
そのうち加蓮(cvクマ吉)に「ふざけんなこの根性なしどもが!玉ついてんのか切り落とすぞォ!」って言って貰えるはずだったわけですねわかりません


元ネタはなんなのなの?

>>52
9割方、正田崇脚本作品の
神座万象シリーズと「相州戦神館學園八命陣」辺りから

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom