男「ちょっとまって」委員長「何ですか?」 (121)


関連作

店員「はい、コーヒー」男「ありがとうございます」

男「ちょっとまって」幼馴染み「え?」


続編です
上のスレは見なくてもいいですが下のスレは
前作なので是非見て欲しいです

今回も拙い話ですが見てくれると嬉しいです





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――――教室

男「委員長って去年も同じクラスだったっけ?」

委員長「……副長くん、忘れたんですか?私にとっては衝撃的な出会いだったんですが」

男「委員長って、影薄くて」

委員長「酷いこと言いますね副長くんは。言われた人の気持ちを考えたことはありますか?」

男「……ごめん。軽率だった」

委員長「……副長くんは心理学を学んでは?」

男「…………今度見てみるよ」


――――一年前

委員長「怪我で入院してる?」

幼馴染み「そ。男っていうんだけど、入学式前に事故って一ヶ月入院してんの」

委員長「道理でまだ姿を見ていないんですか」

幼馴染み「それで、何の用なの?プリントとかなら私が届けてるけど」

委員長「いえ、気になっただけです」

幼馴染み「まあでも、もうちょっとで退院だからクラスに来るよ」

委員長「そうですか。分かりました」


委員長「今日から、男くんが来るんですか?」

幼馴染み「そうなんだけど…………あ、校門にいた」

委員長「これでやっと全員揃いましたね」

幼馴染み「そういうことね。まあ確かに全員揃ったことなかったからねー」

ガラッ

男「…………」キョロキョロ

幼馴染み「男ー。こっちこっち」

男「お、幼馴染み。おはよう、ってそっちの方は」

幼馴染み「このクラスの委員長」

委員長「初めまして、男くん。私、委員長といいます。何か分からないことがあったら聞いてください」

男「…………り」

幼馴染み「り?」



男「リアル委員長キャラキタコレッッッッ!!」



委員長「ひっ」ビクッ


男「敬語っ!メガネっ!そして三つ編みかと思いきや黒髪ロングっ!完っ璧っだっ!」グッ!


委員長「ひゃっ」


男「個人的には古臭いと言われる三つ編みも好きだが今の時代は間違いなく黒髪清楚っ!さあ!これからよろしくおね」


バシッ!


――――現在

委員長「あの時の変態が何故生徒会と副長に…………」

男「去年の話か。俺は変わったよ、あれから」

委員長「一ヶ月後に既に変わってましたよ…………何がありましたかその間に」

男「うん、なんていうか運命的な出会いを」

委員長「運命が多すぎるのでは?」

男「俺の人生だから、俺が運命と決めたら運命なの!」

委員長「では、私との出会いも」

男「いや、それが覚えてないんだよ」

委員長「……なかなか酷いことを言うじゃないですか」

男「ごめん。本当に心理学やったほうがいいな俺」

委員長「とりあえずこれを早く片付けましょう。文化祭で何をやるのか決まってないのは私たちのクラスだけらしいですから」

男「ほとんどの意見が否定されてたからな」

委員長「しょーもない意見を言うからです。メイド喫茶ってなんですかふざけてるんですか?」

男「それ俺の意見じゃないし!友の意見だそれ!」

委員長「友さんも友さんで変態ですよね……」


男「別に俺は普通の喫茶店くらいでいいし」

委員長「私も異論はないです」

男「なんでさっきの学活の時間でこの意見が出なかったんだろうか」

委員長「皆が普通に無駄を付けるからです。なになに風喫茶とか」

男「はぁ……もう普通の喫茶店でいいよね」

委員長「ではそれで提出しましょうか」

男「んじゃ、喫茶店、と」カリカリ

委員長「食物の出し物になるので、メニューはコーヒーとちょっとしたお菓子、ですかね」

男「クッキーとかでいいんじゃない?二種類作ってさ」

委員長「ならばコーヒーだけでなく紅茶も出しますか。あと砂糖も必要ですね」

男「……委員長すげぇな。そこまで思いつかないわ俺だと」カリカリ

委員長「喫茶店……で働いてた知りあいがいるので」

男「あ、じゃあその人が働いてたとこからコーヒーとか紅茶を買えばいいんじゃない?」

委員長「なるほど、それはいいと思います」

男「あとはクッキーとかは作れるから大丈夫かな」

委員長「クッキーの材料費とかはクラスから徴収しますね。あと机を合わせてテーブルクロスとかも買わなければいけないですね」

男「あ、そっか」カリカリ

委員長「やることはいっぱいありますよ」

男「……やっぱ勝てねぇな委員長に」


――――翌日

委員長「ということで喫茶店をやります」

クラスメート「オオーーーー!!」

男「接客と料理と会計で分けるんでまあ、好きな方に」

クラスメート「お前料理できるだろ」「接客とかコミュ障の俺に無理」「誰か計算得意なやつはいる?」

幼馴染み「私料理しよっ!」

友「いや、やめとけ。死人が出る」

男「いや、それが最近料理のレベルが上がってんだよ」

女「へぇ、そうなの?どれくらい?」

男「食べることに挑戦できるくらいにはなってる」

友「それどんくらいだよ」

女「とりあえず幼馴染みは接客ね」

男「じゃ俺料理するわ」

友「接客やろ」

女「私と委員長で会計やろっかな」

委員長「会計ですか?いいですよ。私もやります」


男「じゃ、あとは服装とかか」

委員長「接客の人の服装には少しアテがあるのでそこから借りようと」

男「そうか、そこから借りればいいのか」

幼馴染み「さすがっ!」

友「なにが、さすがっ!なんだ」

委員長「とりあえず、明日か明後日くらいに頼みに行くので副長くんついてきてください」

男「おう、いいよ。あとで連絡して」

委員長「あ、あと連絡先教えてくれますか?」

男「あ、まだ教えてなかったっけ」

委員長「はい」


――――夜

委員長「姉さんの電話は」ピ

委員長「…………」プルルルル

委員長「…………」プルルルル

委員長「…………」プルルルル

委員長「…………」プルルルル

委員長「…………!」ガチャ

委員長「姉さん?」



元店員『妹?なにか用か?』



元店員『そうか、あのバーの』

委員長「うん」

元店員『それならそこの店長と少年に連絡を入れておく。店長ならわかる人だから話を聞くといい』

委員長「うん、ありがとう」

元店員『あ、あと少年には手を出すなよ』

委員長「知ってるよ。姉さんの恋人なんでしょ?」

元店員『……ま、まあ、そういうことだ。またな。』

委員長「うん、よろしくね」

元店員『ああ』


――――翌日

委員長「そういうわけで、明日土曜日なのでそのバーに行きます」

男「へぇ、バーか」

委員長「はい。そこの店員でしたので」

委員長「店長の人と交渉したいと思います」

男「ん、分かった。じゃあ、あとで詳しい時間教えて」

委員長「はい」


――――翌日

委員長「どうも、副長くん」

男「こんにちは、委員長。そのバーってここから近いの?」

委員長「はい、歩いて五、六分ですので」

男「じゃ、すぐ行こうか」

委員長「行きましょうか」


――――とあるバー

ガチャ

男「……うお、すげ」

委員長「あの、すいません。誰かいますか?」

男「…………」

委員長「…………」

男「……あれ、いないのかな?」

委員長「あの!すいません!」

ガチャ

店長「おっと、ごめんね。とりあえず座って座って」

男「あ、すいません。失礼します」

委員長「あの、話」

店長「ああ、うん、聞いてるよ。元店員ちゃんからね。まあ、今はもう東京行っちゃって働いてないけど」

男「あ、そうなんですか。じゃあ、少し制服を見せてもらいたいんですけど、いいですか?」

店長「うん、いいよ。それくらいなら。ちょっと待って、奥から出してくる」

男「あ、ありがとうございます」


男「コーヒーとか紅茶って、どれくらいいるかな」

委員長「文化祭が二日間の開催なので、制服は七枚ほど、コーヒーと紅茶は少し分からないのであとで店長さんに聞きます」

男「そっか、分かった」

店長「あったよ。まだ余りがたくさんあるからさ、借りるならいつでも大丈夫だよ」

男「これですか。なんか、喫茶店よりもいいですね」

店長「そう?ありがとう。数年前から変えてないから古臭いかもね」

男「いや、俺は好きですよ」

店長「……へぇ、君もか」

男「君も?」

店長「好きって言ってくれたのが他に二人いたからね。そうか……」

男「?」

店長「まあ、制服ならいいけど、他にいるものがあるんだよね?」

委員長「あ、はい。コーヒーと紅茶を作るので、よろしければ頂きたいのですが」

店長「へぇ、コーヒー紅茶か。まあいいけれど、喫茶店とかバーの奴は値がつくからね」

男「お金なら払いますので」

店長「ごめん。そういう問題じゃなくて。あ、丁度いい!少し条件があるんだ」

委員長「条件、ですか」

店長「まあ、そんな難しいことじゃないからさ」

男「なんですか?」

店長「夏休みの間なんだけど」


店長「ここでバイトしてほしいんだ」


――――夏休み、バー

ガチャ

男「こ、こんにちは」

委員長「こんにちは」

?「あ、来たね。新人達が」

男「あ、よろしくお願いします。店員さん」

店員「うん、こんにちは。今日からよろしくね」

委員長「いつも姉がお世話になってます」

店員「ああ、君が妹さんか。なるほど、確かに似てるね」

男「え、姉って」

委員長「私の姉さんがここで働いてたんです。この人は姉さんの恋人です」

店員「妹さんから言われると嬉しいね。今は遠距離恋愛だけど、確かもうすぐ戻ってくるって言ってなかった?」

委員長「夏休みに少しだけ戻ってくるって言ってました」

店員「そっか。楽しみだなぁ。春以来会ってないからなぁ」

男「あの、今日からよろしくお願いします」

店員「あ、そうだね。忘れてた。じゃあ、制服取ってくるから着替えてね。更衣室、てか控え室?ていうのかな。そこの扉の奥だから」

男「あ、ありがとうございます」

店員「LとMでいいかな。ごめんね、男女共用しかないんだ。じゃ、待っといて」


男「おー、なんかいいですね」

店員「でしょ!僕も好きなんだよこの制服。カッコよくてね」

委員長「姉さんとはいつ会ったんですか?」

店員「えーっと、三年前、かな。僕が大学受験する年だったから」

委員長「そうなのですか」

男「あ、なにかすることとかありますか?」

店員「まあ、最初は机とか床とか掃除してもらおうかな」

男「はい!」

委員長「分かりました」

店員「僕も最初は掃除してたなぁ。今思うとあの頃が辛かった……。元店員さんはどっか行っちゃったし……」

男「あ、そういえば店長さんは」

店員「ん?ああ。店長は今日は休みだよ。夏休みになると毎年店長の休みが増えるんだ。僕のシフトも増えるけど」


ガチャ

?「よっす」

店員「ん?お、よう」

?「なんか似合うな」

店員「また言うか」

男「い、いらっしゃいませ?」

?「ん?あれ?新しい人?」

店員「ああ、男くんと元店員さんの妹さん」

男「は、はじめまして」

委員長「はじめまして」

?「おい、お前ちょっと前にここは一人だけとか言ってなかったか?なんで新人がいるんだよおい」

店員「俺のせいじゃねぇ。店長に聞いて。あ、そうだ。こいつが友」

店員友「お、はじめまして。店員友だ。こいつとは高校以来の友達」

店員「もうすぐ仕事だから。ほら、さっさと出てけ」

店員友「扱いひでぇな。全く。じゃあな。俺何しに来たんだよ……」

ガチャ

バタン

店員「よし、じゃあ開店するか。よろしく頼むよ」

男「はい!」

委員長「はい」


男「ありがとうございましたー」

委員長「人、少ないですね」

男「まあ、まだ正午過ぎだからかなぁ。バーっていうと夜のイメージがあるから」

店員「人いない?」

男「あ、はい」

店員「んー、よし。じゃあ、コーヒー飲む?」

男「え、いいんですか?」

店員「いいよ。ここのコーヒーは店長に認められないと作れないんだ。僕は認められたから」

男「そういえば、コーヒーはここではどうやって淹れるんですか?」

店員「別に、殆どのバーとかと同じだと思うけどね」

男「教えてください」

店員「君にはまだ早い。ここで一人前くらいになったらまた言ってよ」


男「委員長、これあの席に運んでくれる?」

委員長「分かりました、副長くん」

店員「うん!新人の人が来るとやっぱり嬉しいね」

男「そうですか?」

店員「そうだよ。ここでは自分の方が先輩なんだっていう感じがなんか嬉しくなるね。あと、少し楽が出来るようになるし」

男「でも、働くのって辛くないですか?」

店員「別に?僕は辛くないよ。僕らが就いてる仕事は直接的に人の役に立てるから、そう考えると逆に楽しくなるよ」

委員長「副長くん、追加の注文が」

男「店員さん、お願いします」

店員「任せといて!」


委員長「今、なにを話していたんですか?」

男「いや、仕事について、かな?いずれは俺らも仕事に就かなきゃならんからさ。皆より先に仕事をしている俺らって、結構いい経験してんじゃね?」

委員長「……まあ、高校生ではあまりできない体験ですが」

男「たとえ高校生でも、人の役に立てるんだな」

委員長「学校でも同じですよ」

男「え?」

委員長「生徒会や委員会、全てがほかの生徒の役に立ってます。学校は社会の縮図とはこういうことじゃないですか?」

男「……うん」

委員長「副長くんも、既に役に立ってます。社会にでても、不安なことなんて会社に就けるかどうかだけだと思います」

男「……やっぱ委員長だな」


店員「さてと、もう高校生は帰宅しようか」

男「え、いいんですか?」

店員「まだ夕方だけど、ここからは忙しくなるし、酔っ払いの客とかが来るんだ。あと夜だけのバイトの人とか来るしね」

男「そうなんですか」

委員長「では、失礼します」

男「し、失礼します」

店員「うん、じゃあね」


――――家

男「ただいま」

妹「お帰り、お兄ちゃん。どこ行ってたの」

男「ん?あぁ、学校。文化祭の準備とか忙しくて」

妹「……ふーん。ま、いいや」

男「もしかして、飯の準備?」

妹「うん、そうだけど」

男「ちょうどいいや。俺も手伝うよ」

妹「いやいや、お兄ちゃんはゆっくり休んでて。疲れてるでしょ?」

男「え、いや、そんなに疲れてないんだけど」

妹「でも!休んでて。どうせ明日も行くんでしょ?」

男「……はぁ、負けたよ。悪い、妹」

妹「嘘つくのが悪いよ。お兄ちゃん」


男「……ってこと。明日も行く」

妹「へぇ、すごいじゃん。バーでアルバイトって」

男「そうか?」

妹「あれやるんでしょ。なんか銀の容器にジュース入れて両手で持ってシャカシャカ振るんでしょ?」

男「高校生が酒なんか作んねぇよ。あと、それは夜だけ」

妹「そうなの?じゃあ昼は?」

男「別に、普通に喫茶店やってるだけ」

妹「なんか、今までの理想が一気に崩れたなー」

男「昼から酒なんて提供してないよ。アニメじゃあるまいし」

妹「ねぇ、明日行っていい?」

男「絶対来るな!」


今日はここまでにします

自分が明日早いですからね

また明日同じくらいの時間に載せます

よければ、また見てくれると嬉しいです


どうもこんばんは

また今日も始めていきます

よろしければまた見てくれると嬉しいです


――――正午前

男「じゃ、行ってくるから。来んなよ」

妹「行かないよ。私も宿題あるし。お兄ちゃんはやったの」

男「……その話はしないでくれ、今忙しいんだ」

妹「ま、いいけど。遅くならないでね」

男「そこは大丈夫だ。行ってきます」

妹「いってらっしゃい」

ガチャ

バタン

妹「さてと、当然ながら行きますかな」

妹「一人で行くのもあれだから、幼馴染みさんと行こうかな」

妹「ちょうど近いし」


妹「幼馴染みさんいなかった」

妹「今何してんだろあの人」

妹「夏休み入ったばっかなのに」

妹「あー、どうしよ。一人で行くのもあれだからなぁ……」

友「あれ、妹ちゃんじゃね?」

妹「あ、えーと、友さん」

友「久しぶり、男いる?」

妹「あー、今外出してますけど」

友「そっかー」

妹「兄さんになにかありましたか?」

友「いや、夏休みの宿題の一覧プリントなくしたから貸してもらおうと」

妹「あとで言っておきます」

妹「あ、そういえば兄さんがバイトしてるんですけど知ってましたか?」

友「え、あいつがバイト?いや、全然知らないけど」

妹「やっぱり……今から行きませんか?そのバイトを見に」

友「いーね。行きてぇわ」

妹「行きましょう」


――――バー

男「ありがとうございましたー」

店員「お疲れ」

男「お疲れ様です。って、まだそんなに疲れてないですけど」

店員「まあ、言ってみただけ」

委員長「お疲れ様です」

店員「うん、お疲れ様」

男「お客さん多いですね」

店員「今日は土曜日だからね。仕事が休みの人が多いんだよきっと」

男「いつもこんなですか?」

店員「うん。でもいつもは店長がいるからこんなに忙しくはないけど」

男「そうですか」

委員長「では明日もですか?」

店員「いや、明日は店長がいるから多分大丈夫だよ。てか、明日は君たちは休みじゃないかな?」

男「あ、そうでした」


――――バー、店外

妹「本格的なバーですね」

友「へぇ、綺麗な店だ」

妹「なんで、兄さんはここで働いているのでしょうか」

友「あいつ、別にバイトするとか言ってなかったのになぁ」

妹「あ、誰か一緒に働いてますよ」

友「んー、知らない人だわ。あっ、待て。あれ委員長じゃね?」

妹「委員長?」

友「同じクラスのやつ。あいつも働いてるとか何があったんだ…………んー?」

妹「よし、では行きましょう」

友「…………いや、悪いけどここまでにしようか」

妹「え?」

友「友人が働いてる邪魔をしたくねぇんだ。俺はやられて嫌なことはしたくねぇから」

妹「…………そうですか、じゃあ、私も帰ります」

友「そうしてくれ。悪いね」

妹「いえ、大丈夫です」

妹(次は幼馴染みさんを連れてこようかな)


――――家

男「ただいま」

妹「お疲れ」

男「おう。飯ある?腹へった」

妹「まだ準備中。もうちょっと待って」

男「あー、んじゃ何かある?」

妹「コーヒーなら」

男「今日腐るほど飲んだからいい」

妹「じゃ、ない。待ってて」

男「仕方ないか、寝よ」

妹「ちょっ、ソファで寝ないで!汗がつく!」

男「別にいいだろ!いつも寝てんだから」

妹「ソファって寝るもんじゃないでしょ。普通座るもんでしょ」

男「もう、無理」

妹「飯抜きね」

男「やっぱ風呂入ってくる。待って」


男「ごちそうさま」

妹「ごちそうさまでした」

男「俺もう寝るわ」

妹「そう?そんなにキツいの?バイト」

男「んー、キツいかは分からんな。もしかしたらこれが普通なのかもしれんし」

妹「体調悪くならないようにね。少しだけ心配してるから」

男「…………ありがとよ」


――――バー

男「もう八月か」

店員「そっか。もう八月になっちゃったんだね」

男「八月に何かあるんですか?」

店員「いや、ないけど、高校生時代宿題がやばかった事があってね。君は大丈夫かな?」

男「…………だ、大丈夫大丈夫です!ちゃんと終わりますよ!」

店員「この時点で手をつけてないのはやばいかもね」

男「……………………」

店員「大丈夫?真っ白だよ?」

委員長「副長くん、もしややってないのですか?」

男「…………委員長、助けて」

委員長「自分の責任では」

男「うん、そうだけど……」

委員長「……まぁ、少しだけ手伝いますよ。バイトのお礼として」

男「ほ、ほんと!?マジ助かる!」


委員長「次の休みは土曜日なので、その日でいいですか?」

男「うん!おっけおっけ!バイト終わったあとまた連絡してよ」

委員長「分かりました」

店員「あ、男くん、そう言えば来週休むんだっけ?」

男「え、あ、そうだ。部活で休みます。三日ほど」

店員「ほら、その間委員長ちゃんが働くから、先にお礼でもしとくといいよ。ちょうど一緒に勉強するんだろう?」

男「……そうですね。いいと思います!」

店員「じゃ、あと1ヶ月だから、頑張ってね」

男「はい!」

店員「宿題もね」

男「は、い……」


――――夜

男「お、委員長からメールきてる」

男「土曜日の午前九時から、図書館、で……」

男「図書館っていったら中央図書館か」

男「ちょっと遠いけど大丈夫か」

男「あ、昼飯どうすんだ」

男「メールしとこ」

コンコン

男「ん?誰?」

妹「お兄ちゃん今いい?」

男「いいよ」

ガチャ

男「どした?」


妹「ちょっと宿題分かんなくて」

男「え、いやお前頭いいじゃん」

妹「高二の範囲なの。だから教科書貸して欲しいなと」

男「あぁ、そういうことか。ま、進学校の女子高だからな。ちょい待って」ガサゴソ

妹「お兄ちゃんは宿題大丈夫なの?」

男「くっ、どいつもこいつも」ガサゴソ

妹「いやいや、流石に手つけてないとかないでしょ」

男「大丈夫だよ、ちゃんと終わらせるから」ガサゴソ

妹「終わらせるじゃなくて終わるって言ってよ……あと、どんだけ探してんの?」

男「いや、最近机弄ってないから……」ガサゴソ

妹「全然ダメじゃん……何やってんの……」


男「お、あったあった」ガサ

妹「きったな!もうボロボロじゃん!まだ夏だよ!?まだ半年もあるんだよ!?」

男「うるせぇ!文句言うなよ!傷つくんだよ!参考書も心も!」

妹「文句言うよ!まだ五ヶ月しか経ってないのにもうボロボロとかどこの受験生だよ!」

男「く……」

妹「はぁ、まぁそのボロボロでいいや。貸して」

男「はぁ……あ、金曜に返せよ」

妹「え?なんで?」

男「まあ、使うから」

妹「別に使うならその日に言えばいいじゃん。同じ家に住んでるんだし」

妹「あ、もしかして勉強しにいくの?私も行きたい」

男「ダメダメ。相手も困るし」

妹「相手?え、もしや勉強会?幼馴染みさん?」

男「く、墓穴を」


妹「へぇー。お兄ちゃんが、ね。私も行く」

男「いやだから相手も困るから」

妹「その人に許可とればいいんでしょ?とってよ」

男「……っ……一応聞いてみる」

妹「よろしく~、じゃ私勉強してるから」


委員長「あ、メール」

委員長「……昼食……そうだ。何も考えてない……」

委員長「図書館の近くには、確かデパートがあったかな。そこでなにか食べようかな」

委員長「って、またメール」

委員長「副長くんはメールが早いな」

委員長「私機械苦手だから、申し訳ないな」

委員長「……妹さん?副長くん、の」

委員長「まだ、会ったことがないから、丁度いい機会かも」

委員長「いいですよ、と」

委員長「あ、あと昼食のことも」

委員長「なんでだろう」


委員長「私、少しだけ楽しみと思ってる」


――――土曜日

男「よし、これでいいかな」

妹「あ、もう行く?」

男「ああ、遠いから気をつけろよ」

妹「は~い」

男(委員長があっさりOKを出すとは)

男「まあ、あの委員長だから普通だけど」

妹「よし、行こう?お兄ちゃん」

男「ああ」


男(図書館までは自転車で約三十分はかかる)

男(今日は自転車ではなくバスで行くことにした)

男(何と言うのか分からないが、その街だけをぐるぐる巡るアレだ)

男(バス代は二百円と少しお得)

男(時間帯も丁度合っていたので、運が良かった)

妹「バス、なんか久しぶり」

男「俺は修学旅行以来だな」

妹「ああ、なんか五月頃に行ったよね」

男「北海道にな。飛行機で」

妹「白いブラックサンダーまだあるよ?」

男「あれうまいから残したくなる。どっかこの辺で売ってないかな……」

妹「残念、北海道にしかないでしょ」

男「だよなぁ」


妹「今日はバイト無いんだね」

男「今日は休み。店長がいる日だから安心なの」

妹「ふーん」

男「…………」

妹「……あ、そういえば今日って誰なの?」

男「ああ、同じクラスの委員長さん。頭良すぎる」

妹「へぇー!よかった!」

男「良かったってなんだ」

妹「お兄ちゃんは成績だけいいから」

男「く、なんか言い返せねぇ……」


妹「長いね」

男「長いな」


――――中央図書館前

委員長「副長くん、おはようございます」

男「委員長、おはよう」

委員長「そちらにいるのが妹さん?」

妹「は、はじめまして。兄さんがお世話になってます。妹です」

委員長「こちらこそ。男さんと同じクラスの委員長です」

妹「兄さんは学校では真面目ですか?」

男「おい」

委員長「あまり真面目ではないですよ」

男「ちょっと委員長、答えなくてもいいじゃん。あと俺はちゃんと真面目にやってるし!テキトー言うな!」

妹「夜ご飯抜きね」

男「理不尽すぎる!」


――――図書館内、学習席

委員長「では、私は妹さんを教えますので、分からないところがあれば聞いてください。気が向いたら答えますので」

男「気が向いたらって……」

妹「どうせ分かるんでしょ?別に聞かなくてもいいじゃん」

男「ふん、あまり俺を舐めるなよ。学校のテストはできても模試は全然出来ないからな。今年の夏休みの宿題が進研模試の過去問集だから、ほとんど分からん」

妹「それはそれでダメじゃん……。そういえば、最近の模試どうだったの?」

男「いつも通りだ」

委員長「いつも通りですけど」

妹「言ってることは同じだけどなんか安心感が違う」

委員長「副長くん、数学のときに開始十分で寝てましたよね」

男「久々の休みだったからなぁ、疲れが取れたよ」

妹「あのさぁ……」

委員長「とりあえず始めましょうか」

男「おし、じゃやるかな」

妹「委員長さん、よろしくお願いします」

委員長「はい、お願いします」


――――一時間半後

男「ふー。ちょっとジュース買ってくる」

妹「あ、私ファンタグレープ」

男「人使い荒ぇ……っておい、金は?」

妹「つけといて」

男「…………分かったよ、委員長は?」

委員長「私はまだ大丈夫ですよ」

男「ん、了解」

妹「あ、小さいペットボトルにして」

男「?それでいいのか?」

妹「うん」

男「了解」


――――休憩室

男「リアルゴールドは、と」ウィーン

?「きゃっ」コケッ

男「ん?うおっ」ドンッ

バシャアッ

?「すっすいません!だっ大丈夫ですか!?」アワアワ

男「ああっあ、いやっ、大丈夫です!そちらこそ!だい、って、あれ?女?」

女「えっ、なんで知って、男?」

男「おう。なんか久しぶりだなぁ」

女「なんで、ここに」

男「おい、なんかリアクションがおかしいぞ。ありえないみたいな顔するな」

女「い、いや。なんか意外だったから」

男「あー、まあ、普段の俺だったら来ないかな。今日はちょっとね」

女「そっか。誰かと来てるの?あ、幼馴染み?」

男「いや、今日は委員長。夏休みの宿題手伝ってもらってる」

女「委員長……へぇ」

男「あっ!ちょっと待て!タオルタオル!」

女「ん?あ、そうだったね。とりあえずトイレ行ってきたら?トイレットペーパーあるし」

男「くっ」ダッ

女「頑張ってねー」


男「シミになってる……」

女「ごめんね。まさかこんな位置にかけるなんて……フッ」

男「笑うなよ!傷つくんだよ!」

女「ごめんごめん、ついつい吹き出しちゃうからそれ。でも、この歳になってお漏らしはちょっと……」

男「お前のせいだろ!……うぅ、戻れねぇよぉ……」

女「どんまい!」

男「お前は悪魔か」

女「そういえば、幼馴染みいないの?」

男「あいつは、最近見てないな。どうせ部活だろ。女はないのか?部活」

女「今日は休み。で、暇になったからそこのデパートに用があるけど十時に開店だからその間図書館に」

男「もう十時半だぞ?」

女「うん、だからもう行くね?」

男「そっか、行ってらっしゃい」

女「うん、また学校でね」ウィーン

男「ああ」

男「さてと、と」

男「リアルゴールド」ピッゴトン

男「ファンタグレープ」ピッゴトン

男「…………」

男「コーヒー、でいいな」ピッゴトン


男「はー、疲れた」プシュッ

男「リアルゴールドはやっぱいいね」ゴクゴク

男「あ、メールきてる」

男「……幼馴染み?写メ添付されてるし」ゴクゴク

男「ブフォッ!」

男「げほっげほっ、うぇっ」

男「『似合うー?』って、水着の写真がきた」

男「なんでこんな際どいのを……試着室か?」

男「……あー、だめだ。あの一件以来意識しちゃってる」

男「……うん、『似合ってる』と」

男「……いや、やっぱ『黒は似合わん』と」


――――学習席

妹「委員長さんは、兄さんのことどう思ってますか?」

委員長「……どう、っていうと」

妹「簡単に言えば好きとか嫌いとかです」

委員長「…………別に嫌いではないですよ」

妹「へぇー、では好きなんですか?」

委員長「そう言う事ではないです。好きとかはない、です」

妹「ふむ、委員長さんは兄さんとはどれほどの付き合いですか?」

委員長「まだ一年と四ヶ月です」

妹「そろそろ兄さんのことを評価できると思いますよ」

委員長「評価?」

妹「はい。改めて言いますけど、兄さんのことはどう思ってますか?今回は総合評価で」

委員長「…………副長くんは優しい人だと思います。私も副長くんには助けられてます。それと、副長くんは生徒会に入ってますし、すごい人です」

妹「でも、それは客観的な評価ですよね。委員長さん自身はどう思ってますか?」

委員長「それは…………」

男「ただいま」

妹「やっときた。遅いー」

男「悪かったな。ちょっと色々あって」

妹「委員長さん」

委員長「っ、はい?」

妹「あとで、話しましょう」

男「ん?なんか邪魔したか?」

妹「んーん、別に」

男「ならいいけど」


男「はい、ファンタ」

妹「ん、ありがとう」

男「委員長、コーヒー」

委員長「え、私は別に」

男「委員長だけないのは可哀想だし」

委員長「……ありがとう……ございます」

妹「て、兄さんそのシミ、どうしたの?」

男「ん、あぁ、ちょっとジュースが」

妹「な、なんで下からジュース出してんの……?」

男「違ぇよ!」


――――一時間半後

委員長「すいません、十二時十五分なので、そろそろ昼食にしませんか?」

男「もうそんな時間か。じゃあ、行こうか」

妹「どこですか?」

男「あ、妹に教えてなかったな。そこにデパートあるだろ。そこ」

妹「ふーん」

男「あ、でも早く行かないと混むんじゃ」

委員長「予約してあるので大丈夫です」

男「へぇ、すげぇ」

妹「兄さんよりもすごい」

男「あのねぇ……」

委員長「では、行きましょうか」


――――デパート一階、レストラン街

男「イタリアン…だと…?」

妹「いいじゃん!イタリアン!」

委員長「ありがとうございます。では、入りましょうか」

男「あ、ちょっと待って、トイレ行ってくる」

妹「先入ってるね」

男「おう」


男「ふー、間に合った」

男「って、またメール。幼馴染みか」

男「『どう!』て言われても」

男「……『白も似合わん』と」

男「さて、飯食うかなと、あら?メールがまだあった」

男「女?」

男「『デパートで幼馴染みに会ったよ』、え、あいつここにいんのかよ」

男「なら、さっさと食ってさっさと出るかな。今はあんまり会いたくないし」


男「いただきます」

委員長「いただきます」

妹「いただきます」

男「……このピザうめぇ!」

妹「スパゲティ美味しい!」

委員長「ありがとうございます。私は前に一度ここにきたことがあって」

男「だからこの店知ってたのか」

妹「知らなかった、こんなに美味しいなんて」

委員長「とりあえず早く食べて勉強しましょう」

男「ん、了解」

妹「美味しい」


男「あー食べた食べた」

妹「ピザ、おっきくなかった?」

男「大きかった。こんなにピザ食ったの久しぶりだわ」

委員長「何か用事とかありますか?せっかくデパートに来たので……」

妹「あ、私ちょっと行く」

男「俺も本屋行ってくる。委員長は?」

委員長「私も本屋に行こうと」

男「お、ちょうど良かった。じゃ、一緒に行こうぜ」

委員長「……はい」

妹「じゃねー」

男「おう、終わったら電話しろよ」


――――デパート二階、書店

男「あったあった」

委員長「…………マンガですか」

男「今日新刊出るから、帰りに行こうと思ってたけどさ」

委員長「私はあまり好きではないです。こういうのは」

男「うん、なんとなくわかる」

委員長「私はあちらの方を見ているので、なにかあれば」

男「ん、了解」


――――デパート三階、ファッションコーナー

妹「うーん、やっぱおっきー」

妹「このデパートも久しぶりだからなー」

妹「どこになにがあったっけ?」

妹「ま、とりあえず一周しよっと」

幼馴染み「あれ?妹ちゃん?」

妹「あ、幼馴染みさん。お久しぶりです」

女「知り合いなの?」

幼馴染み「男の妹」

妹「はじめまして、妹といいます」

女「こちらこそ、男の同級生の女です」

幼馴染み「妹ちゃん、ここで何してるの?」

妹「私は少し服をみようと。幼馴染みさんたちは」

幼馴染み「ちょっとね」

女「水着をみてたの」

幼馴染み「ちょ、女!秘密にしといてよ!」

妹「水着、ですか」

幼馴染み「うん、ちょっと海に行こうとね」

妹「もしかして、兄さんもですか?」


幼馴染み「あー、いや、男は誘ってない。誘ったらくるかなあいつ」

妹「ちょっと難しいです」

幼馴染み「だよねー」

女「そういえば男は?」

妹「兄さんなら二階の本屋にいますよ。委員長さんと」

幼馴染み「ちょっと本屋行ってくる」ダッ

女「えっ」

妹「頑張ってください」グッ

女「えっ」


――――デパート二階、本屋

男「委員長ー」

委員長「はい?なんですか副長くん」

男「ちょっと雑貨みてくる」

委員長「分かりました。あとで携帯に連絡して下さい」

男「おう、了解」


――――デパート一階、雑貨店

男「さてと、来週の天体観測用の買わなきゃ……」

男「何がいるかな……?」

男「もう泊まるとこは決まってるし、何か」

男「後輩に聞いてみるか」

男「『来週、なんかいる?』と」

男「って、新入生の後輩に聞いても分からんよな」

男「まあ、一応送信しとこ」

男「さて、なんか見るか」

?「あれ、先輩?」

男「え、後輩?」

後輩「久しぶりですね、先輩」


――――二階、本屋

幼馴染み「男は、と」

委員長「あら、幼馴染みさん?」

幼馴染み「委員長さん、久しぶり」

委員長「お久しぶりですね」

幼馴染み「男見なかった?」

委員長「副長くんなら、雑貨をみにいくと言って行きましたよ?」

幼馴染み「それって、いつ?」

委員長「ちょっと前です」

幼馴染み「ありがと!」ダッ

委員長「…………」

委員長「幼馴染みさんは、副長くんのことが好きなんですか?」

委員長「…………」

――― 妹「委員長さんは、兄さんのことどう思ってますか?」

委員長「私は……―――」


――――デパート一階、雑貨店

男「後輩、なんでここに?」

後輩「それは先輩と同じだと思いますよ。同じ店にいるんですから」

男「そうかもな。ところで、良かったのか?」

後輩「はい。一応親の許可は取りましたし、なんなら使用人さんもつけると」

男「それはいいや。たぶん大丈夫だろうから」

後輩「そういうと思って断りました。私と先輩だけですよ」

男「…………なんかそういう言い方になるのかな。やっぱり」

後輩「私は嬉しいですよ?」

男「なんでだ?異性と二人で暮らすのは嫌いじゃないのか?」

後輩「それは分かんないですけど、先輩なら大丈夫です」

男「……そっか。まあ、俺も今は妹がいるからな。慣れてるし」

後輩「えっ、妹さんがいるんですか?」

男「あ、言ってなかったっけ。いるよ。寮に行ってる」

後輩「そうなんですか。頭いいんですね!先輩と違って」

男「お前は先輩を敬え」


後輩「先輩は宿題やりましたか?」

男「やってないけど……」

後輩「ですよねー!」

男「いちいちひでぇ!」

後輩「まあ私も終わってないですけど」

男「だよね」

後輩「最後の五日で終わらせますよ」

男「終わるのか?去年多かったような気が……」

後輩「大丈夫です!あのくらいなら五日あれば充分です!」

男「す、すごい自信だな。お前英語出来ないんじゃなかったのか?」

後輩「それは来週先輩に手伝ってもらうのでー」

男「おい、いつ俺が了承した?」

後輩「手伝ってくれますか?」

男「く…………仕方ないな、少しならな」

後輩「ありがとうございます!」


――――デパート四階、雑貨屋

幼馴染み「男ー?」

幼馴染み「いない……」

幼馴染み「委員長、もしかして嘘ついた?」

幼馴染み「いや、でもそんな様子じゃないし……」

幼馴染み「他の所?」

幼馴染み「確か一階にもあった気が……」

幼馴染み「一階、行こう」


――――デパート一階、雑貨店

男「さて、そろそろ行くかな」

後輩「もう行っちゃうんですか?」

男「うん、ちょっとね」

後輩「そうですか。では、また来週にお会いしましょう」

男「うん、また来週」

後輩「ではではー」

男「じゃあ」


――――デパート三階、ファッションコーナー

妹「今日はありがとうございました」

女「こちらこそ、楽しかったから」

妹「女さんは、流行に詳しいんですね」

女「まあね、伊達に女子高生やってないよ」

妹「やっぱり、流行に乗ることはいいことなんですか?」

女「それは分かんないよ。私は分かんないからこそ、実際にやらないと嫌なタイプの人間だからさ。でも、乗って失敗したことはあんまりないよ」

妹「……今日はありがとうございました」ペコ

女「いやいや、またいつか一緒に来ようよ」

妹「またいつか、お願いします」

女「うん!あ、連絡先教えて」


――――デパート一階~二階、エスカレーター

男「…………」プルルルル

男「あ、もしもし?委員長?」

委員長『はい?副長くんですか?』

男「うん、終わったからとりあえずそっち行く。今どこにいる?」

委員長『まだ本屋です。妹さんはきますか?』

男「あ、そうだった。まだ電話来てないから、あとでかける」

委員長『分かりました。早く来てくださいね』

男「おう、分かった」


――――デパート一階、雑貨店

幼馴染み「……いない……」

幼馴染み「ここまでいないとは」

幼馴染み「…………」

幼馴染み「うぅ…………」


――――デパート一階

委員長「では、行きましょうか」

妹「お願いします」

男「また、勉強かー」

委員長「副長くんはまだ終わってないでしょう」

男「うん、まあそうだけど」

委員長「なら、大丈夫ですね」

妹「行こ、兄さん」

男「……おう」

委員長「そういえば幼馴染みさんが探してましたが」

男「あー、大体分かるからいい。てか用があるならメールすりゃいいのに」

委員長「……そうですか。では行きましょうか」


――――デパート前

幼馴染み「…………」

女「やっほー、幼馴染み?」

幼馴染み「…………女?」

女「男に会えた?」

幼馴染み「…………」

女「ダメだったかー」

幼馴染み「…………」

女「まあ、また学校が始まれば会えるし、てか家隣じゃん」

幼馴染み「…………」

女「別に、夕食にお邪魔していいんじゃない?」

幼馴染み「……そう?」

女「そう」

幼馴染み「……頑張る」

女「頑張れ」


――――中央図書館前

男「今日はありがとう、委員長」

委員長「こちらこそ、楽しかったです」

妹「ありがとうございました。また教えてください」

委員長「もちろんです」

男「委員長の家はここから近いの?」

委員長「はい、大体歩いてなら、七分くらいです」

男「そっか。じゃ、また明日」

委員長「はい、また明日」

妹「さようなら、委員長さん」

委員長「さようなら」


――――バス内

妹「お兄ちゃん、すごいね」

男「は?何が?」

妹「んーん、こっちの話」

男「こっちに俺は含まれてないのか」

妹「何言ってるかわかんない」

男「宿題、進んだか?」

妹「終わったよ。委員長さんのおかげで」

男「はやっ!マジかよ……」

妹「お兄ちゃんは?」

男「……まだ」

妹「はー、まったくダメダメだね」

男「……うん、まったくだな」

妹「ま、別にいいけど」


妹「……」ウトウト

男「どうした?眠いか?」

妹「少し」ウトウト

男「ほら、肩貸してやるから寝ろ。夕食は俺が作る」

妹「……」コテ

妹「……」スースー

男「……早いな」

妹「……」スースー

男「……お疲れ」ナデナデ


――――委員長の家

委員長「ただいま」

?「おかえり」

委員長「っ!」タッ

ガチャ

委員長「…………おかえり」


元店員「ただいま」


委員長「いつ帰ったの?」

元店員「今日の昼前くらいか?まあその話は食べながらしよう」

委員長「え、夕食」

元店員「私が作った。調味料がどこにあるか忘れたから少し手間取ったがな」


委員長「……いただきます」

元店員「いただきます」

委員長「…………いきなり帰ってこなくても良かったのに」

元店員「すまない、伝える時間がなかったからな」

委員長「明日は来るの?バーに」

元店員「当然だ。少年に会わないとな。あと、店長にも」

委員長「そっか」

元店員「バイトは上手くいってるのか?」

委員長「うん。店員さんにも助けられてるし、それに副……店長さんにも助けられてるし」

元店員「そうか。そういえば二人で働いてるんだったな」

委員長「…………なんで知ってるの?」

元店員「少年に聞いた。バイトの状態とかも聞きたかったからな」

委員長「店員さん……」

元店員「で、その子とはいい雰囲気なのか?」

委員長「ぶふっ」

元店員「フフッ、面白いな」

委員長「からかわないで……。別にそんなことは……」

元店員「なんだ、まだなのか。まぁ、いずれなるか?」

委員長「いずれもない。絶対」

元店員「本当か?」

委員長「…………多分」


元店員「フフッ。そうか。お前はその子が好きなのか」

委員長「べっ!別に好きとかは……」

元店員「そうか?案外心の中では既にその子が気になってるとか?」

委員長「それは……」

元店員「まあ、明日私はバーに行ってその子に会ってみよう。妹の心を奪ったというその子にな」

委員長「まだ奪われてない!」

元店員「あと、少年にも早く会いたいからな……」

委員長「…………」


今日はここまでにします

次も同じくらいの時間から

始めたいと思います

また見てくれると嬉しいです

おつ
前作のあと幼馴染進展なかったのかと思ってたけど相当空回ってた様子が窺えるな
幼馴染がんばれ

ところで前から思ってたけど「載せる」っての違和感半端ない
せめて「書く」「貼る」「投下」とかにして
というか現実に引き戻されて萎えるからできればSS以外の文書くのやめて
たとえば>>26の例で言うと
 >どうもこんばんは →リアルタイムで夜に見てる人がすべてじゃない
 >また今日も始めていきます →見りゃ分かるからはよ
 >よろしければまた見てくれると嬉しいです →そのために開いた
ってなる
「今日はここまで」「つづく」(と必要なら予告)だけでいいと思う


>>78

御指摘ありがとうございます

しかし、自分は今までこれでやってきたのでこの方がしっくりくるんです

読んでくれる人達に対してそれなりの感謝などは
示したいと思っています

不快だとしても個人的にはそういう態度は
取りたくないのです


これが読者と作者の価値観の違いか
スポーツのサポーターは「感謝の言葉」と「試合内容」のどちらを選手に求める?
「巻末コメントで慣れ合いしてるつまらない漫画」と「長期休載するけど面白い漫画」とどっちが読みたい?
極端な話、「接客が丁寧な店員」と「接客は悪いが割引券くれる店員」のどっちが嬉しい?
言葉尻だけの感謝なんて誰得だ
SS作者なら感謝の気持ちはSSの内容という形にして示してほしい、これが読者の価値観

>>1の過去なんてどうでもいいが古き悪しき作法に囚われすぎだと思う
せっかく指摘されたこの機会にいま1度読者視点で考えなおしてみては

とここまで書いて気づいたがここ速報だったか
余計な指摘してすまんかったな、今まで通り慣れ合っててくれ


>>80

指摘ありがと

確かにそうか
次からは変える

あと、そのたとえは作品がつまらんてことだよね
申し訳ない

定期的に更新してきちんと終わらせてくれれば他はどうでも良いです
俺は面白いと思うよ

つまらなかったら長文レスなんてせずそっ閉じするよ
面白いからこそ無関係なところで評価下げるのはもったいないと言いたかった

>>82,83

ありがとう


ども

書くよ


――――翌日、バー

元店員「おはよう」

委員長「おはようございます」

男「おはよう、委員長。それと……?」

元店員「君が妹の友達か?」

男「え、妹って」

元店員「姉の元店員だ。よろしく」

男「あ、どうも!ありがとうございました!」

元店員「ん?ああ、いや別に構わないよ。丁度運が良かっただけだから」

男「ありがとうございました」

元店員「ところで、少年はいないか?」

男「少年?て、誰ですか?」

元店員「あ、悪い。店員、だったな」

男「店員さんなら、さっき奥にいました。あ、でもそろそろ出てくると」

ガチャ

店員「あ、来た?いつもどおり掃除を……」

元店員「久しぶりだな、少年」


店員「……お久しぶりです!いつ帰ってきたんですか?」

元店員「つい昨日だ。十日程休みを取ったから、今日から少年の家に行っていいか?」

店員「おおぉぉお!どうぞ!来てください!」

元店員「ありがとう、少年」

男「そういえば恋人って言ってたよな」

委員長「はい。出会いもここって言ってました」

男「なんかすごいな。小説っぽい」

委員長「確かにそうです」

店員「男くん、こっち来て」チョイチョイ

男「なんか呼ばれた」


元店員「君か」

男「えっ、何がですか」

元店員「妹のクラスメートなのか?」

男「委員長ですか?はい、そうですけど」

元店員「そうか。妹をよろしく頼むよ。あいつは知らないところで考え込むから、よく見ておいてくれ」

男「……はい」

店員「話はそれでいいかな?」

男「はい。掃除、でしたよね」

店員「うん、よろしくね。元店員さんは……コーヒー、飲みますか?」

元店員「ああ、それじゃ、頂こうかな」


店員「じゃ、僕休憩入るね」

男「はい、分かりました」

委員長「…………」


―――― 元店員「案外心の中では既にその子が気になってるとか?」


委員長(……私は…………)

委員長(……もしかして…………)

委員長(……既に副長くんが……)


男「委員長!」


委員長「ひゃっ!ななな」グラッ

男「うおっ!委員長倒れ――」ガシッ

委員長「きゃっ!」グイッ

ドシン!

委員長「――――っ!」

男「…………ふー、危なかったぁ。大丈夫だった?委員長」

委員長「え、あ、だい、大丈夫、です」//

委員長(副長くんに、一瞬抱きしめられた)

男「そっか。よかったー怖かったー。いきなり倒れてきたから」フー

委員長「……ごめんなさい」

男「大丈夫、考えすぎは体に毒だよ」

委員長(私は……なんてことを)


――――夕方

店員「さて、高校生は帰宅の時間だ」

男「はい。ありがとうございました」

委員長「ありがとうございました」

店員「元店員さん、もう少し待っててください。今から夜の人が来るまでなので、奥で待ちますか?」

元店員「そうだな、そうした方がいいだろう」

男「お疲れ様でした」

委員長「お疲れ様でした」

ガチャ

店長「こんばんは。いるかな?」

男「店長さん。こんばんは」

店員「こんばんは。今日はすごい人が来ましたよ!」

店長「すごい人?誰だい?」

元店員「店長さん、お久しぶりです」

店長「おお、元店員ちゃん、久しぶり。よく来てくれたね。いつまでこっちに?」

元店員「十日ほどです」

店長「そうか。店員くん、よかったね」

店員「はい!」

店長「あ!そうそうちょうど良かった。実はプールの券をもらったんだけど、使い時がなくてね。来週行ってくるといい」ペラ

店員「これって、大きいところじゃないですか。どうして」

店長「古い友人がそこで働いていて、まあ、もらっちゃった。四枚あるんだけど、高校生たちも一緒に、行ってくるといい」

男「え!いいんですか!?」

店長「その日は休みにしておくよ」


――――翌週、駅

男「どうも、今日はよろしくお願いします!」

店員「まあなんていうか、運が良かったね」

元店員「うむ。それに、天気に恵まれたな」

男「委員長、水着買ったの?」

委員長「…………」

元店員「昨日、一緒に買ってきたよ。妹、別に無視しなくてもいいのでは?」

委員長「む、無視なんてしてないです」

店員「まあまあ、今日は暑いしさ。早く行こうよ。僕も元店員さんの水着姿見たいし」

元店員「そうか?フフッなら早く行こうか」


委員長「…………別に無視なんて……」


――――プール

店員「おおぉぉぉお!元店員さん、かわいいです!」

元店員「ありがとう。妹と選んだから不安だったからな」

委員長「…………」

男「お、委員長。似合ってるよ」

委員長「っ!……ありがとうございます」

元店員「フフッ」

委員長「……うぅ」

店員「じゃ、行こうか、男くん」ダッ

男「はい!」ダッ

元店員「二人は元気がいいな」

委員長「…………」

元店員「どうした?お前も年頃の高校生なのだから、一緒に遊んできてもいいんだぞ?」

委員長「……その間、姉さんはどうするのですか?」

元店員「それは…………ふむ」

委員長「ですから、姉さんも行きましょう?」

元店員「……そうだな、すまない」


男「ウォータースライダー長ぇ!」

店員「そりゃあ、日本で有名なとこだからさ、でかいよ。さぁ、行こうか!」タッ

男「はい!」タッ

元店員「……勝てる気がしない」

委員長「さっきまであんなに泳いでいたのに……、子供みたいに」

元店員「確かに、あの二人はどことなく似てるな」

委員長「……私はあれには乗らないです」

元店員「そうか。私も絶叫系は苦手だな」

委員長「……姉さんはあの人のどこが好きになったのですか?」

元店員「……ほう、意外だな。妹が恋愛事について私に聞くとは。何かあったのか?」

委員長「べ、別にそんなことはないです。少し気になっただけで」

元店員「フフ、まあいい。……少年は、私が働いていたあの店に唯一来てくれた同年代だったからな。それまで恋愛沙汰に縁がなかった私にとって、新しい人生のきっかけだ」

元店員「きっと少年が来なかったら私は一生恋愛などしなかっただろう。それと、私は少年の笑顔に心が満たされ、好きになった」

元店員「恋心とは不思議なもので、一つ好きになるといつしか全部好きになるものだ」

委員長「…………」

元店員「あの二人はどこか似ている。そして私達も姉妹だから似ている」

委員長「…………」

元店員「私はその片方を好きになったんだ。妹はもう片方が好きになることはないのか?」

委員長「っ…………分かりません」

元店員「おや、否定しないのかい?」

委員長「…………」


店員「あー!また負けたー!」

男「ハハハ!泳ぎなら得意なんすよ」

店員「くそっ!ラスト勝負だ!」

男「絶対負けないですよ!」

元店員「…………あの二人もよくやる」

委員長「…………」

元店員「ん?妹、楽しんでるか?」

委員長「……それどころじゃないんです今。考えることがいっぱいで」

元店員「程々にしておけ。恋は盲目だ」

委員長「…………」

元店員「答えならいつか出せ。急いでもいい結果は出ない」

委員長「…………うん」

元店員「お、あの二人は休憩か。ほら、行ってこい」トン

委員長「う、い、行ってこいって……」

元店員「恋愛については初心者だが私の方が先輩だ。好感度を上げるチャンスを逃すなよ?」

委員長「――――っ!」タッ


――――プールサイド

元店員「お疲れ、少年」

店員「おお、元店員さん。見ましたか?最後勝てましたよ」

元店員「最後だけ、じゃないか?」

店員「う、まあそうですけど」

元店員「…………」チラ

店員「元店員さん?妹さんが気になるんですか?」

元店員「ああ、妹の恋愛が心配でね」

店員「恋愛、ですか」

元店員「私と似ているからな。もしかしたら失敗するんじゃないかと」

店員「はは、それはないと思いますよ」

元店員「?」

店員「男くんは僕と似てるから、大丈夫です」


男「うあー、負けた……」ゴロン

委員長「副長くん、速かったですね」

男「うお、委員長。いつの間に」

委員長「今来ました。あんなに遊んで、疲れてないのですか?」

男「すげぇ疲れてる」

委員長「……はぁ」

男「……委員長楽しんでる?」

委員長「っ、……はい」

男「嘘」

委員長「!」

男「俺まだ委員長と遊んでないし。今日がそれで終わるのはつまらん」

委員長「……でも」

男「ほら、行こうよ。てか、一緒に遊ぼう」スッ

委員長「……はい!でも、そろそろ昼なので昼食を食べてからで」

男「えー、今出した手の意味無ぇー」


委員長「姉さん。そろそろ昼にしましょう?」

元店員「もうそんな時間か。この辺にレストランとか」

店員「あるよ。ここは大きいところだからレストランも一部にあるんだ。そこ行ってからまた遊ぼう」

男「おお、ここ予想以上にでけぇ」

元店員「それでは、何を食べようか」

店員「僕はなんでもいいよ」

元店員「私もなんでもいい。高校生たちで決めてくれ」

男「委員長は?」

委員長「私は……なんでも」

男「えー」

店員「はは、まあ向こう行ってから決めようか」


――――昼

男「委員長!ウォータースライダー乗るぞ!」

委員長「副長くん、はしゃぎすぎですよ」

店員「ほら、大丈夫じゃないですか」

元店員「ほんとだな。でもどうして」

店員「僕は元店員さんに自分からいきましたよね。多分男くんも同じだと思ったからです」

元店員「……懐かしいな」

店員「三年前ですか?」

元店員「ああ。あの頃は私達もあのような感じだったのだろうかと思うと」

店員「いやいや。今も、じゃないですか?昨日の夜のこと忘れませんよ」

元店員「っ!」//

店員「まさか酔うと人が変わるとは」

元店員「あっあれは、忘れてくれ!」//

店員「無理デース」

元店員「くぅ……」//

店員「大丈夫です。可愛かったですよ?」

元店員「うぅ……」//


男「うそっ!委員長速ぇ!」

委員長「これでも中学は水泳部です」

店員「まあ、でも僕も昨日は楽しかったです。本当にありがとうございました」

元店員「……?なんの話だ?」

店員「元店員さんに会えて、しかも家にまで来てくれました。僕は幸せですね」

元店員「…………フフ、変わったな」

店員「そうですか?あまり変わってないと」

元店員「あの時よりも、ずっと大人になっている。これはこれで好きだよ」

店員「……おお、こんなにはっきりと言うとは。元店員さんも変わりましたね」

元店員「三年もあれば、変わるだろう」

店員「僕は前の方が好きですけどね」

元店員「君は意地悪だな」

店員「何も言わずに東京にいく元店員さんほどじゃないです」

元店員「…………フフ」

店員「あ、今前と同じ感じが」

元店員「そうか?」

店員「はい!」


――――夕方

男「今日はありがとうございました」

委員長「ありがとうございました」

店員「いやいや。僕たちも面白かったし」

元店員「私も面白かったな」

男「元店員さんは、もう東京に行くんですか?」

元店員「ん?まだいるぞ」

店員「僕が明日休みとっちゃったから、一緒に旅行行くんだ」

男「え、マジですか」

店員「約束だからねー」

委員長「約束……?」

元店員「フフ、懐かしいな」

店員「ということだから、明日頑張ってね」

男「はい!」

店員「じゃあねー」

委員長「では、副長くんも気をつけてくださいね」

男「おう、じゃあな」

委員長「はい。さようなら」


――――家

男「ただいま」

幼馴染み「おかえりー」ギュッ

男「えっ」


男「……あのさぁ」

幼馴染み「んー?」ギュッ

妹「どうしたの?お兄ちゃん」

男「離れて」

幼馴染み「だーめ」ギュッ

男「……なんでだよ」

妹「デパートで会わなかったからって……」

幼馴染み「だから」ギュッ

男「だからなんだよ……妹ー、助けて」

妹「女さんから止められてる」

男「お前ら!謀ったなぁ!」


幼馴染み「メールであんなに言われたら見せたくなくなるよ!」

妹「え、何か言ったの?お兄ちゃん」

男「そんなひどいこと言ったか?」

幼馴染み「ひどいよ!せっかくいろんな種類のを着たのになんで色についてしか評価しないの!?」

男「あ、あー。はいはい。いやだってそれ以外に言うことないし」

妹「うわーこれはひどいと思う」

男「て、おい。なんで人のメールを勝手に読ませるんだ」

幼馴染み「でしょ?」

妹「これはお兄ちゃんが悪いと思う」

男「妹まで言うのか」

幼馴染み「ということで夕飯抜きね」

男「ちょっと待て。それとこれは話が別だ」


――――夕食後

男「思ったけど俺のせいじゃないよねさっきの話」

幼馴染み「いや、普通に男のせいだと思う」

妹「私も」

男「はいはい。もういいよ俺のせいで」

幼馴染み「じゃ、お詫びになにかしてくれる?」ニヤニヤ

男「……またアイスか?」

幼馴染み「そゆこと。じゃ待ってるからねー」

妹「私もねー」

男「はいはい、てか、夕食食ったら帰れよ……」

幼馴染み「その態度と同じくらい冷たいアイスを」


幼馴染み「私はさ」

妹「はい、何ですか?愚痴ですか?」

幼馴染み「……なんか言いたくなくなっちゃったよ……」

妹「あ、そういうのはいいので」

幼馴染み「兄妹揃って冷たい……。……私はさ、男のことが好きなんだよね」

妹「はあ」

幼馴染み「男はさ、私のことをどうやら恋愛対象として見てない気がするの」

妹「はい」

幼馴染み「だけど、これからどうすればいいのか分かんない」

妹「へえ」

幼馴染み「……私って、男に相応しくないのかな?」

妹「……相応しいとは思います」

幼馴染み「!」

妹「けれど、お兄ちゃんはきっと、今の生活が一番なのではないですか?」

妹「幼馴染みさんのゴールと、お兄ちゃんのゴールは多分違うんだと思います」

幼馴染み「…………それじゃあ」


幼馴染み「私は……どうすればいいの……」


男「ほい、ガリガリ君」

幼馴染み「え、ハーゲンダッツは?」

男「高ぇよ。無理無理」

妹「前は買ってきたのに……」

男「あれは俺にとってすごい痛かった」

妹「まあ、ありがとうね、お兄ちゃん」

男「ん、ああ」

幼馴染み「ハーゲンダッツの方がよかったのに」

男「自分で買ってこい」


幼馴染み「そういえばさ」

男「なに」

幼馴染み「男って、日曜暇?」

男「いや、暇じゃない」

幼馴染み「え、嘘」

男「なんだよ、残念そうな顔して」

幼馴染み「いやー、皆で海に行こうかなと予定立ててたんだけど……」

男「悪いが空いていない。ほか当たれ」

幼馴染み「委員長さんも都合悪いって言われちゃったし……妹ちゃん来る?」

妹「え、いいんですか?」

幼馴染み「うん!みんないいと思うよ!」

妹「じゃあ行きます!」

男「行ってこい」


幼馴染み「せっかく男に水着見せようと思ったのに……」ブツブツ


男「なんか言った?」

幼馴染み「なんでもなーい」


――――バイト最終日、日曜

男「おはようございます」

店長「やあ、おはよう。今日で最終日だからね。気合入れて頑張って」

男「はい!」

委員長「おはようございます」

店長「よし、二人とも。まずは掃除からだ」

店長「特に今日でラストだから綺麗にしてってね」

男「はい!」


男「ありがとうございましたー」

店長「はいコーヒー。これはあのお客さんにね」

委員長「はい。分かりました」

ガチャ

男「いらっしゃいませ!」

店員「ごめん、遅れた」

男「て、店員さん。珍しいですね」

店員「元店員さんの見送りにね。今日で帰るから……」

男「ああ、そうだったんですか」

店員「うん、よし。今日も頑張ろう」

委員長「姉さん、今日だったんですか」

男「え、委員長聞いてなかったの?」

委員長「姉さんはいきなり現れていきなり消える人ですから、いつものことです」


――――夕方

店長「さて、高校生たちはこれでおしまいだね」

男「もう、ですか」

店長「一ヶ月もありがとうね。おかげで助かったよ」

委員長「こちらこそ、貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました」

店長「ということで約束のコーヒーと紅茶だ。ダージリンだけど良かったかな?」

男「え、だ、だーじりん?」

委員長「紅茶の種類ですよ。ありがとうございます」

店長「多分これで二日分には足りると思うけど、足りなかったらまた来るといい」

男「ありがとうございます!」

店長「それと制服とあとテーブルクロスと……まあこれらはあとにしよう」

店員「とりあえず、お疲れ様。またいつかバーにおいでよ。今度は客として」

男「絶対行きます!」

店長「ああ、あと夏休みにすごく働いてくれたからご褒美だ。はい」スッ

男「封筒?って、バイト代ですか!?いえいえっ、コーヒーと紅茶とその他で十分ですよ!そんなお金とか……」

店長「大丈夫。これも人生経験の一部だからさ。もらっておくれよ」

男「……あ、ありがとうございます!」

店員「文化祭、楽しみにしてるからね」

男「はい!ありがとうございました!」


――――夏休み明け、学校

委員長「ということで、夏休みの宿題を集めます」

クラスメート「数学長い」「英語が一番きつかったわ」「漢字もう見たくねぇ」「今年は最高だったわ」

幼馴染み「男、終わったの?」

男「お陰様でな。そういう幼馴染みは」

幼馴染み「もちろん終わってる」

友「そういや幼馴染みすげぇな。県大会で二位って」

幼馴染み「走り高跳びだけどね」

女「友も確か県大会のベストエイト行ったよね」

友「今年のうちのサッカー部は何故か強いからな。一年の実力が高くて」

男「だから友、ベンチだったのか」

友「うるせ。ベンチでも県には行ったからな。いいんだよ」

女「そういえば、文化祭は大丈夫なの?」

幼馴染み「そうそう、なんもやってないけど……」

男「それなら心配するな。大丈夫だ。委員長が手伝ってくれたから」

幼馴染み(初耳)

女「ならいいけど」


――――文化祭前日

委員長「そこの椅子はあちらの席に四つ並べてください」テキパキ

男「すげー、委員長。すげえ働いてる」

友「別に外観ならいくらでも変えれるからいいけど、肝心の味はどうなの?」

男「大丈夫だ。本場の人に教えてもらったから」

女「それってすごいんじゃないの?」

男「さあ、飲んでみ」コト

友「ではお言葉に甘えて……」ゴクゴク

友「なにこれ!マジうめぇ!」

女「美味しい!すごいね!男くん!」

男「だろ!」


委員長「接客の人、制服のサイズを教えてください。当日振り分けますので」

男「お、呼んでんぞ友」

友「ほんとだ。じゃいってくる」

男「…………」ゴクゴク

男「はー、やっぱり店員さんには勝てねぇな」

女「男くん」

男「ん?どーした?」

女「やることなくて暇」

男「ハハハ。会計は当日だからな。それだったら装飾の手伝いでも行ってきたら?」

女「えーいやだ」

男「わがままだなぁ」

女「そういえば日曜に海に行ったんだよ」

男「ああ、そういや幼馴染み言ってたな」

女「幼馴染み、新しい水着が見せれなくて残念そうだった」

男「あー、…………」

女「だからさ、少しくらい謝ったら?」

男「…………そうだな。謝っとく」


委員長「仕事は終わりです。明日からの文化祭、楽しみましょう」

クラスメート「オーーーー!!」

幼馴染み「このあと前夜祭やるんだって。男も来る?」

男「当然。友もだろ?」

友「ああ」

女「私も行くよ」

男「あとは……ちょっと委員長誘ってくる」タッ

幼馴染み「っ……」

女「どんまい。幼馴染み」

幼馴染み「……別に、大丈夫」

女「嘘つけ」


男「委員長ー」

委員長「はい?何ですか、副長くん」

男「なんか、みんなでこのあと前夜祭をやるらしいんだけど、委員長も行く?」

委員長「前夜祭、ですか」

男「近くの焼肉屋らしいけど」

委員長「副長くんは行くのですか?」

男「え?うん。行くけど」

委員長「……行きます」

男「お、本当?よかった。委員長ならもしかしたら行かないとか言いそうだったけど」

委員長「多分、昔の私なら断っていたと思います。だから、変わったのでしょうね」

男「……そっか。それはいいことじゃない?」

委員長「はい。私もそう思います」


委員長(この夏休みで私は変わり、吹っ切れたと思う)

委員長(副長くんだって、去年からすごく変わった)


委員長(私は、今の副長くんのことが好きです)


委員長(優しいところも、面白いところも、それでいてちゃんと周りを心配していところも)

委員長(きっと私が知らないところはいっぱいあるけれど、副長くんは悪い人ではない)

委員長(人は変わることによっていい人になるのならば)

委員長(きっと、新しく変わった私も、少しでもいい人になれたと思う)

委員長(だから)




委員長「行きましょう、男くん」



――――『男くん』のとなりに、相応しい人になりたいな






ありがとでした

もう続編は書いてるんで待っといて

あと、文化祭編も書こうかと

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年04月21日 (金) 01:07:55   ID: fDDyjQB8

色々足りてない
幼稚
もっと他の作品読んで勉強してください

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