猫「起きて」  男「んー」 (25)


猫「もう6時よ。いつまで寝てるの」

男「ん」

猫「起きなさいってば」

男「8時に起きれば仕事間に合う」

猫「しってるわ」

男「遊んでほしいの?」

猫「そういうわけじゃないわ」

男「おなかすいた?」

猫「うーん、あんまり」

男「ならもう少し寝かせて」

猫「だめよ」バシバシ

男「叩かないで。なんで起こそうとするの」

猫「早起きした方が体にいいからよ。はい、起きて」プニプニプニプニ

男「わかった。起きる。起きるから。鼻のところプニプニしないで」

犬と女の書いた人?

>>2
おお、あれ読んでくれたのか!
そうです。あれ書いた者です。
>>1だけで気づくってすごい


猫「本当に朝に弱いわね。まったく、だらしない人」

男「君みたいに寝たいときに寝られないから。朝くらいゆっくり寝ないと」

猫「休みの日は一日中ぐうすか寝てることの言い訳にはなってないわ」

男「ぐうすかっていえば、昔ブースカって怪獣がいたね」

猫「あなたは話しをそらすのがとっても下手ね」

男「ブースカランドっていう公園があってね。何度か連れて行ってもらったことがあったよ。懐かしいなあ」

猫「力技に出たわね」

男「今はね、もうなくなっちゃったんだって。ブースカランド」

猫「あら、そうなの。思い出の場所がなくなってしまうのは少し寂しいわね」


男「今日の朝は卵かけごはんにしようかな」

猫「あなたいつもは起きるの遅いけど、それでも毎日ちゃんと朝ごはんを食べるのは偉いと思うわ」

男「朝ごはんを食べないのは偉くないの?」

猫「偉くないわ。人間は早起きして朝ごはんを食べる生き物だもの」

男「じゃあ君も偉くないね。あんまり朝食べないし」

猫「『人間は』って言ったでしょ。猫はいいのよ」

男「なんだそれ。ていうかちょっとそこどいてほしいな。ご飯よそえない」

猫「あったかいの。炊飯器の上はあたしのベストプライスよ。」

男「ペストプ『レ』イスね。」ヒョイ

猫「あー! あたしのベストプレイスが……」


男「白米に生卵としょうゆをかけるだけで、こんなにも素晴らしい料理になるってすごいよね」モグモグ

猫「卵かけごはん食べるたびに言うわよね、それ」

男「週に一回は言ってるね。ていうか、さっき君が朝ごはんあんまり食べないって話ししたけどさ」

猫「したわね」

男「君って昼とか夜もあんまり食べないよね」

猫「毎回大盛りなんだもの。いっきにたくさん食べるのは苦手なのよ」

男「え、そうだったのか。じゃあちょっと食事の時間と量を変えよう」

猫「ありがとう。優しいのね」

男「それほどでもないよ」

猫「ついでだから中身も変えましょう。そうね、次からはホットケーキがいいわ」

男「それはダメ」

猫「ケチ」

獣姦ある?

>>9
すまん、ない


男「トイレ行こっと」

猫「そういえばまだトイレ行ってないわね。いつもは起きてすぐ行くのに」

男「そうなんだよ。ゆうべは珍しく夜中にトイレ行ったからだね」

猫「あ」

男「?」

猫「い、いや? なんでもないわ」

男「あ、そう? たぶん寝る前に結構お酒飲んじゃったせいだと……」

男「」

男「……なるほどね。やってくれたのう」

猫「あたしじゃないわ。きっとオバケのしわざよ。オバケというか妖怪ね。妖怪トイレットペーパーちらし、みたいな」

男「なんか明け方にカラカラ音がなってる気はしたんだ」

猫「その時間は寝てたわ」

男「最近やってなかったと思ったら久々にやりよったのう」

猫「あたしじゃないわ。トイレットペーパーで遊ぶおばけを見たもの」

男「君がいうと一瞬ほんとっぽいけど、三秒前と言ってること違うよ」


男「まずい。早起きしたわりに、意外と時間ギリギリ」

猫「あらら」

男「誰のせいだと思ってるの」

猫「さあ」

男「君だよ」

猫「よく言うわ。早起きしたからってのんびり支度してたせいもあるんじゃないかしら?」

男「……まあ、あるかも」

猫「それに、あたしが起こしてあげなかったらトイレットペーパーの片づけは朝のうちに終わらなかったと思わない?」

男「うん。うん? うーん……」

猫「ぜったいに終わらなかったわ」

男「いや、そこに納得してないわけじゃなくて」

猫「ほら、もうなんでもいいから、急ぎなさい。遅れるわ」

男「なんだかなあ…。でも確かにこの調子じゃあ遅刻だ。行ってきます」

猫「行ってらっしゃーい」

バタン

猫「危ない危ない」


男「ただいまー」

猫「おかえりなさい」

男「君が家に来る前は、猫はお出迎えなんてしてくれない動物だと思ってたよ」

猫「あら、偏見ね」

男「うん。そうだったみたいね。君は毎日おかえりって玄関まで来てくれるもんね」

猫「ついでにいえば、猫って結構甘えるのがスキな生き物なのよ」ゴロン

男「はいはい」モフモフ

猫「♪」

男「(*´ω`*)」モフモフ

猫「♪」ゴロゴロ

男「(*´ω`*)」モフモ…

猫「はい。どうも」スタスタ

男「(´・ω・`)」


男「僕は猫は出迎えなんてしないと誤解していたわけだけれども」

猫「うん」

男「君も人間に関して誤解していることがあるよ」

猫「あら、そうなの? それはよくないわね。あたしはどんな誤解をしているの?」

男「君は、人間はみんな早起きをする生き物で、早起きは全ての人間にとっていいことだと思っているよね」

猫「思っているわ。まさかそれは本当のことではないの?」

男「うん。人間でも早起きじゃない人はいるし、早起きがどんな状況でも体にいいとは限らないんだよ」

猫「それは知らなかったわ。じゃああなたは人の道を外れた生活をしていたわけじゃなかったのね」

男「その通り。そういうわけで、今後はなるべく朝は起こさないで欲しいな」

猫「それは無理よ」

男「なんで」

猫「猫は人間が朝寝てる姿を見ると起こしたくなる生き物だからよ」

男「これは一本とられたなあ」

猫(……ただの屁理屈に何を感心しているのかしら)


男「……」カタカタ

猫「パソコン好きね。そんなにパソコンばかりやってると目が悪くなっちゃうわよ」

男「もう悪くなってるからいいや」カタカタ

猫「ふーん」スタスタ チョコン

男「あの」

猫「なあに」

男「そこに座られると画面が見えないよ」

猫「あら、それは失礼」スタスタ

男「……」カタカタ

猫「……」

男「……あの」

猫「なあに」

男「なんでじっとこっち見てるの」

猫「あら、よく気づいたわね。これはね、あなたを観察しているの」

男「どうしてまたそんなことを始めたの?」

猫「人間について誤解していることを少しでも減らそうと思ってね。そのためには人間をよく観察することが大切よ」

男「素晴らしい向上心だね」


男「明日は休みだけど、また誰かさんに起こされるだろうから、今日は早めに寝るとしようかな」

男「……今日君にこのセリフを言うのは三回目な気がする。そこどいてほしいな」

猫「いいじゃない。あなたも入ってくれば」

男「いやいや、ベッドのど真ん中を占領しながら、入ってくれば、とか言われても」

猫「ここが一番居心地がいいのよ」

男「どいてくれそうにないから力ずくでどかします」ヒョイ

猫「あー! あたしのベストプレイスが……」

男「覚えたね」

猫「覚えたわ」

猫「まあ、ここも悪くないかも」

男「でしょ。じゃあおやすみ」

猫「はい、おやすみなさい」


猫と男のとある金曜日のお話でした。


おわり

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