男「俺は男」(15)

男「成績優秀、頭脳明晰」

男「オマケにモテる」


ガラッ

ガヤガヤ

ア、ハヨ-…デサ-…

男「…はよーっす」


男「(と思いたかった…)」


現実とは厳しいものである。

「よう男。シケたツラしてんな」



着席して一息ついた直後。背後から声が飛んで来た。

男「……なんだ、お前か」


友「お前とは何だ。ふん、<ゴースト>と呼ばれる俺にずいぶん馴れ馴れしいな」


「おーい佐々木ー席に着けー」

友「あっはいすみません…」


こいつは友。まごうことなき厨二だ。

友、もといゴーストの席は丁度俺の前。

友「なあなあ、お前将来の職業とか決まった?」

男「…いや、特には」

友「ちっせえ人間だなぁ~」


うぜぇな。後でヴァーチェにツボマッサージの刑に処してもらおう。

いつも通りHRをゴーストとの雑談で潰した後。
各々机に伸びていた俺達の所へ、巨神兵がやって来た。


ヴァーチェ「おい男、数学のプリントを見せてくれ」


なんという威圧感。これにより、彼は周りからヴァーチェと呼ばれている。
ガンダム00直撃世代だからね、仕方ないね。

男「悪いな、数学はやってない」

ヴァーチェ「じゃあ古文は」

男「以下同文」

ヴァーチェ「物理!」

男「すまんな」

ヴァーチェ「C英語っ!」

男「……」

ヴァーチェ「破滅だァァ!!」


敢えてもう一度言おう。現実とは厳しいものであると。


友「しゃーねーな、俺が全部見せてやるよ」

ヴァーチェ「お、さんきゅー」


最初から出せや。あと俺にも見せろや。

男「おい、わざと見えないようにしなくたって良いだろ」

友「いやお前無勉でもそこそこ取れるだろ」

ヴァーチェ「だな、ライバルは少ないに越した事はない」

男「この屑共め…」


日本男児たるもの、ここは遺憾の意を表さねばなるまい。
俺が徹底抗戦の構えを取ろうとしたその時だった。


殺伐とした戦場に天使が舞い降りた。


幼馴染「ねえ、男」

俺達の視線が声の主に釘付けになる。

クラス1位を誇る容姿を持つツインテール美少女。
つつましやかな胸元がチャーミングな美少女。
決して主張し過ぎない胸部が素敵な美少

幼馴染「死ね」

男「え?す…すいません」


お前は死ねと言われたら死ぬのか。いや、ないだろう。
つまり働けと言われても働かなくて良いのである。大発見。


幼馴染「ぼーっとしてないで。用事があるの」

男「あ、はい。何でしょうか」

これは…フラグか?き、期待なんていてないんだか

幼馴染「この前の150円返して」

男「……」

ええと、小銭入れは…。あったあった。

男「はい、ありがとうございました」

幼馴染「ん」

淡々と進む作業。社畜の鑑である。


幼馴染「それじゃ」


そう言い残すと、彼女は足早に去って行った。

ヴァーチェ「可愛いかったな…」

友「正に天の上の存在!だな…」

男「…はー……」


再三言おう。

現実とは厳しいものである。

友「やっぱり幼馴染ちゃんお前に気があるんじゃねえの」

ヴァーチェ「難しい所だな…」

男「だぁら違うって」


昼休み。男子高校生の最大の癒やしの時間。

こんな時まで愉快な仲間たちに囲まれて不快指数がやばい。
ついでに言うと、唐揚げ食ってるヴァーチェ、お前の血糖値もたぶんやばい。

友「でもさ、何か男の事気にしてる感じあるよな?」

男「まあ待て。お前は女を知らなさ過ぎる」

友「んだよ!俺はそこいらのホストなんぞより格上だよ」


お前はゴーストかホストかどっちかに決めろ。
ゴースト…ホスト…ああ、聞き覚えがあると思ったらホーンテッドに居るあの白骨爺さんか。


男「まず、女の中には、告白された回数をステータスとする奴がいる」

ヴァーチェ「というと?」

男「相手をその気させて振るっつー鬼畜の所業だよ」

友「うっそだろ…」

ヴァーチェ「……それ、独身の妄想なんじゃ」

男「やめたまえ」

男「つまり、慎重に構えるべきなんだよ、男ってのは」

友「分からなくもねぇけど…」

働かざる事山のごとしってな。

ヴァーチェ「そういえば、男はどこで幼馴染ちゃんから金借りたんだ」

男「普段通ってる下の自販機で」

友「今日はいいのかよ」

男「持参だよ持参」

友「ふーん…あろ、幼馴染ちゃんいねぇなぁ」

ヴァーチェ「…本当だ」

男「良いから飯食っちまおうぜ」


ーーーーー

ーー

そうして今日も授業をこなし、時は放課後。

友「おい男」

振り返れば、ゴーストが。

友「一緒に聖地に行こうぜ」

男「一人で行ってろ」

友「なっ!ま、待てって」

こいつの言う聖地とはヨドバシの事である。ビックはおもちゃが少ないからNGらしい。

友「ほら、ヴァーチェも来るってよ」

ヴァーチェ「すまんな、今日はデートがあるから無理」

そう、何を隠そうヴァーチェは彼女持ちである。

友「お前はほんと羨ましいぜ」

彼は安易にリア充云々と言ったりはしない。
殺意8割、嫉妬2割の視線をぶつけるのが最近のトレンドだとか。

男「とにかく、俺は買い物があるから」

友「ちっ、覚えてろよ」

ヴァーチェ「友、古文のプリント」


俺は教室を出た後、ドアを勢いよく閉めた。

「なっ!?」

「うぉっ」


これが俺のやり方だ。ヴァーチェめ、せいぜいATMにされるが良い。

やりようのない気持ちを抑えつつ、俺は振り返って足を踏み出しーー


幼馴染「……、ぁ…」

男「!……」


突然のエンカウント。


幼馴染「い…今帰るの」

男「……そうだけど」


幼馴染「……」

男「…な、何だよ」

幼馴染「…そっちこそ」

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