小鳥「特別でもなんでもない日」 (15)
本日、9/9は音無小鳥の誕生日!!
…を過ぎた特別でもなんでもないただの平日。
(今年の誕生日も、結局何もなく終わっちゃったなぁ)
そう、何もなかった。
…いや、何もなかったって言ったら失礼か。
おめでとうのメールとか、プレゼントはもらったし、うれしかったけど…
…結局一人ぼっちだった。
P「…ごめんなさい、ほんとは昨日できればよかったんですけど…」
私が何を考えてるか分かったんだろうか。
プロデューサーさんが申し訳なさそうに話す。
今日は仕事が早く終わったし、一緒に飲みに行きましょうよって彼が誘ってくれた。
小鳥「い、いいんですよ!お仕事は大事ですし!」
私はハッとして返事をした。
違うんです、プロデューサーさんを責めているわけじゃあ…
小鳥「…それに、私の誕生日なんかめでたくありませんし」
…そう、めでたくない。歳の事もあるけど、やっぱり何もないって事がめでたくない。
誕生日に何か素敵な事を期待しても何も起こらないのは知ってるのに、
何か起こるんじゃないかってなんだかんだ期待して…でもいつもいつも何も起こらず。
勝手に期待して、当然何もなくて、一人で落ち込む。
なんだか馬鹿みたいだなぁ私。
…まぁ針山みたいにローソクさされたケーキを出されないだけマシだったか、うん。
P「そんなことないですってば…」
プロデューサーさんが声をかけてくれる。
こんな事ばっかり考えてちゃ、プロデューサーさんに悪いよなぁ…よし。
小鳥「…早く注文しなくちゃ!」
せっかく誘ってくれたんだもの、楽しくいかなきゃ!
P「そ、そうですね!何がいいですか?」
小鳥「じゃ、生で!」
P「分かりました。じゃあ僕も生で!」
プロデューサーさんがここにきて初めて笑ってくれた気がする。
そうよ、楽しくいかなきゃ…
――――――――――
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小鳥「…はぁ、情けないなぁ、いい年して、恋人も好きな人もいなくて」
…って思ってたのに、進んでいくうちに結局また愚痴みたいな事言い始めてしまった。
ほんと情けないな私…
P「音無さん…」
あぁぁ、ごめんなさいほんとこんなくだらない2X歳の愚痴に付き合わせてごめんなさい。
せっかく二人っきりで飲みなのに、こんなんじゃ私二度と飲みに誘われないんじゃないの…
小鳥「…恋人、欲しいなぁ」
結局私は恋人って存在が欲しいだけなんだろうか。
それとも、好きになってくれる人が欲しいんだろうか。
でもなんで欲しいんだろうか。
年だから?経験ないから?焦ってるから?寂しいから?
…まぁ全部か。
P「…音無さんはとても魅力的だし、すぐにでも見つかりますよ」
小鳥「あはは、ありがとうございます。」
ははは…私とお酒を飲む人は毎回これと似た感じの事を言ってくれる。
でも、実際見つからないんだなぁ…
それに私の中身は妄想ばっかだし何より年がね…ははは…はぁ…
P「…ほんとですよ?」
…ふぅーん…本当ですか。そうですか。
お酒飲んでニヤついてる顔で言われても、ねぇ。
小鳥「じゃあ私と付き合ってくれます?」
P「僕が?」
プロデューサーさんはきょとんとしたような顔をみせた。
やっぱりね。そりゃ、そういう顔もしますわ。
小鳥「さっき言ったじゃないですか。魅力的だって…」
さて、どう出てくれますかね。
P「…はい、いいですよ」
あ、ちょっとうれしい。お世辞とはいえ、うれしい。
これでお酒が入ってなくて、真剣な表情で言ってくれたら死ねるんだろうなたぶん…
さっきまでの濁った気持ちがすこし澄んだ気がする。
小鳥「…ふふ、ありがとうございます。そう言ってくれるだけでもうれしいですよ。」
ありがとうねプロデューサーさん。プロデューサーさんはやさしいn
P「だから、いいですって」
…へ?いや、だからありがとうございます気持ちはうれしいですって。
小鳥「ごめんなさい、気を遣わせちゃって」
…うれしいんですけど、あの、その辺で切ってくれなきゃ笑い飛ばせないじゃないですか。
段々とうれしい気持ちがしぼんでく。
P「…音無さん、付き合いましょうよ」
ちょ、ちょっと…お世辞とはいえ、そんな言葉まで出さないでくださいよ!
そんなこと言ったって…プロデューサーさんはお酒入ってるし…
…どうせ明日には忘れるんでしょ?
小鳥「…プロデューサーさん、いい加減にしてくれませんか?」
ちょっと強く言ってしまった気がする。でも、もう正直この話題には触れないでほs
P「それは、こっちのセリフですよ!」
プロデューサーさんは怒ったような声をだした。
予想外だった。「す、すいません…」とでも苦笑いするかなと思っていたから。
周りの人たちも一瞬びくっとした様子でこちらを見ている。恥ずかしい。
小鳥「え、ちょ、Pさん?」
P「…確かにお酒は飲んでますけど、ちゃんと自分の意志で答えているつもりですよ。」
すぐに声を下げて、プロデューサーさんが話を続けた。
P「なのにさっきから、全然ちゃんと聞いてくれないし…」
P「そもそも、さっきから何ですか。自分の事をダメだ駄目だって言い続けて…」
小鳥「…」
そりゃ、愚痴ばっかり聞くのなんて面白くないですよね…やっぱ愚痴ったの悪かったなぁ…
今になって後悔してる。
P「僕は…僕は悲しいです」
小鳥「悲しい?」
P「悲しいですよ!」
…そりゃそうよね。
誕生日祝ってもらえないことをすねた挙句今祝おうとしてくれてる人にこんな愚痴って…
P「…悲しいですよ…僕は… … …」
…話している途中でプロデューサーさんがうつむいてしまった。
小鳥「…だ、大丈夫?Pさ…」
『さん』を言い切る前にプロデューサーさんは立ち上がった。
相変わらずうつむいて、顔は見せないようにしてる。
P「…ごめんなさい、頭がなんかちゃんと回ってないみたいです。」
P「お代、置いておきます。…ごめんなさい」
そういってPさんはお金だけ置いて店を出ていってしまった。
小鳥「…」
…
…はぁ、やっちゃった…
――――――――――
結局昨日は私も早めに切り上げてしまった。
あんな状況から一人で楽しく飲むなんて無理でしょ…
それに、今日も仕事だし。楽しくない飲みを続ける理由なんてないわよ…
事務所についた。今日も私が一番乗りみたいだ。
仕事の準備をしつつ、昨日の事が頭に浮かぶ。
『悲しいです』
…プロデューサーさん、怒っているんじゃないだろうか。
小鳥(…大丈夫、酒入ってたんだし、覚えてないって…いつも通り接すればいいんだ。いつも通り…)
そう思っていると、事務所の扉が開いた。
小鳥「あ、おはようございます!プロデュー…さ…」
P「あ… …おはようございます」
すごい疲れた顔してる。あ、これ、完璧に覚えてるな。
そらそうよね。現にいま私が覚えてるんだもの。
…うわぁ、超気まずい…いつも通り…なんて無理だって…
小鳥「…」
P「…」
…私の事を怒っているんだろうか。それとも呆れているんだろうか。
――――――――――
小鳥(…はぁ…)
結局今日も一人ぼっちで残業。定時はとっくにすぎてしまった。
仕事の量もあるけど、こんな状態で仕事に身なんか入りませんよ…
小鳥(…ほんと、バカなことしたなぁ)
仕事してるのに、頭の中では一日通して昨日の反省をしていた気がする。
反省しても反省しても足りないくらいだけども。
ふと、事務所の扉がガチャリと開いた。
え、こんな時間に?
扉の方を見るとそこにはプロデューサーさんがいた。
えっ、直帰じゃなかったの今日!?
びっくりして思わず目を開く。
小鳥「ぷ、プロデューサーさん、今日直帰だったんじゃないですか!?」
P「あ…音無さん、よかった」
よかった?なに?何がよかったの?プロデューサーさん?
P「実は、まだちょっと仕事残ってて…」
P「あと、それと昨日の事をちゃんと謝ろうと思って」
…ほんと底抜けにやさしい人だなぁ。
昨日なんて、10:0で私が悪いに決まっているのに…
小鳥「ち、違いますよ、悪いのは…私なんです」
…そうだ。私が悪いんだ。
いきなりあんな愚痴して、付き合ってくれたプロデューサーさんに向かってあんな…
P「いえ…悪いのは僕です。いきなりあんな声出した挙句、誘ったくせにさっさと帰ってしまって…最低な男です。」
小鳥「わ…私…本当はもっと早く謝ろうと思ってたんですけど…」
小鳥「…プロデューサーさん…その…怒ってるかな、なんて…」
…聞くまでもないでしょ…
P「そんな!怒ってなんていませんよ!」
P「…でも、悲しかったです。」
小鳥「え?」
昨日も言われた。悲しい。でも、悲しいって、何が悲しいのか…いまだにピンと来ない。
プロデューサーさんは寂しそうな笑顔を見せて、私の隣のデスクに着いた。
P「僕は音無さんの事を、本気で魅力的な女性だと思っています。」
P「音無さんがいたから、ダメな僕だってここまで頑張れたんです。」
P「なのに、その音無さんが自分の事を魅力ない魅力ないって言い続けるのはとても悲しいです」
小鳥「…」
…確かにあの時の愚痴はどーせ私なんか~みたいな事いっぱい言ってた気はする…
そっか、それで…
P「これでも僕は…一応…ですね…」
プロデューサーさんは机に顔を伏せ、言葉をつづけた。
小鳥「…?」
P「…音無さんの事…好きですよ?」
小鳥「!」
多分お酒も飲んでないし、顔…は…わからないけど…
でも、嘘は言ってないって雰囲気でわかる。
…う、うれしい。
P「ちっとも…釣り合わないだろうし…あなたはきっと…僕の事なんか眼中にないんでしょうが…」
P「………」
プロデューサーさんの言葉が止まった。
P「………す…ま…せん…グスッ…」
小鳥「えっ、ぷ、プロデューサーさん!?」
代わりにすすり泣くような音が聞こえてきた。
い、意外と泣き虫ですね、プロデューサーさん…いや…これは…私のせい…ですよね…
小鳥「……」
私もつられて泣きそうになっている。
自分の為に泣かれるって初めてなもので…
泣きそうなのをこらえてプロデューサーさんに話しかける。
小鳥「…プロデューサーさん、こっちを向いてくれませんか」
P「ごめんなさい…っ今…見せられない顔…してます…」
ぜひとも泣き顔も見てみたい…じゃなくて!!
小鳥「じゃ、じゃあ、顔見せなくても…いいです…いいです、から…」
プロデューサーさんは椅子をこちらに向けてくれた。
うつむいていたから顔は見れなかったけど、今はそれでいい。
私はそのままプロデューサーをあやすようにして、そっと抱きしめた。
…なんかまるでおかあさんみたいな…いや、よそう。
小鳥「…プロデューサーさん…結構泣き虫なんですね…」
…つられて泣きそうになってる私が言えたことじゃないか…
P「ごめんなさい…音無…さん…」
プロデューサーさんも私の背中に手を回してくれた。
一瞬びっくりしたけど、うれしかった。
小鳥「いいんですよ」
P「ごめんなさい…情けなくて、泣き虫で、ダメで…」
そっか…悲しいってこういう事か…
小鳥「…プロデューサーさん。私、プロデューサーさんの気持ち今ならわかります。」
P「えっ…」
小鳥「お願いだから、私の好きな人の事を悪く言わないでください…ね?」
――――――――――
P「…ありがとう…ございます、もう大丈夫です」
プロデューサーさんが泣き止んだみたいだ。
小鳥「落ち着きました?…よかった」
私はそっと手を離した。
プロデューサーさんの目と鼻が真っ赤だ…
でも、こちらを見て微笑んでくれたから安心した。
P「音無さん」
小鳥「は、はい!」
プロデューサーさんは目をごしごしこすり、こちらに視線を向けた。
P「もう一回、目を見て言わせてください」
P「音無さんの事、好きです。」
小鳥「プロデューサーさん…」
さっきもうれしかったけど…顔を見て言われると、もっとうれしくなってしまう…
P「…だから、もう自分の事をダメだダメだって言うのは…やめてください…」
小鳥「…わ、私も、プロデューサーさんが好き、です!」
小鳥「頑張ってるのも知ってるし、ダメなんかじゃないです!だから……だからっ…」
あなたも、ダメだなんて言わないで…
…って続けるつもりだったのに、気づいたら涙が出ていた。
P「…あはは、なんだか僕たち…似た者同士ですね」
小鳥「あ、あははっ…っ…」
私も泣き虫だったんだな…でも、プロデューサーさんが笑ってくれt
「!!」
…プロデューサーさんに抱きしめられた。どうも今度は私があやされる番らしい。
自分を好きだと言ってくれる人に抱きしめられたと喜ぶべきやら…
年上が年下にあやされるなんて情けないと落ち込むべきやら…
でも、どちらにせよすごく安心する…私はそのまま素直に抱きしめられることにした。
――――――――――
小鳥「…それにしても」
P「はい?」
小鳥「夜景の見えるレストランだとか、有名なデートスポットだとか…」
小鳥「告白ってそういう場所でやるものだと思ってましたけど、まさか仕事場で…」
小鳥「しかも残業中に告白されるなんて思いませんでした…」
小鳥「おまけに、二人とも泣きじゃくった顔で抱きしめあうなんて…ロマンも何もないですよね…」
P「ごめんなさい…」
小鳥「…ふふ、でも、私はこれでよかったなって…」
P「え?」
小鳥「ここが無ければ、私たちも出会っていなかったわけですし…」
小鳥「それに、プロデューサーさんの泣き顔みれましたし。結構可愛かったですよ?」
P「お、音無さんってば!」
小鳥「ふふ、小鳥、でいいですよ。」
P「っ…小鳥さん…」
小鳥「はい、Pさん」
そうよね…楽しくいかなきゃ…ね!
おわり
すいません駄文ですが、お邪魔しました。衝動的にガッと。
初めて書いたんで文章とかがたがただと思います。
どうもありがとうございました。
すいません駄文ですが、お邪魔しました。衝動的にガッと。
初めて書いたんで文章とかがたがただと思います。
どうもありがとうございました。
おまけ
P「だいたい、結婚したい結婚したいって…僕だって、結婚したいですよ。
小鳥さんのお嫁さんになりたいですよ…」
よ、嫁って…まったく、さっきまでのいいムードが台無しじゃないですか!
小鳥「もう…私がPさんのお嫁さんになるんじゃないですか?」
P「あ、そ、そうですね。ごめんなさい、はは」
小鳥「あはは…」
はは… … なんかとんでもないことをさらっと言いあった気がするけど…
…はは…ま…まぁいっか…はは…
読んでくださってありがとうございました!
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