穂乃果「お祭りの帰り道」 (29)

ちょっと大きくなったほのうみ

百合・微エロ・過去捏造・キャラ崩壊有り
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お祭りの帰り道
隣を歩く海未ちゃんは穂乃果と違って涼しげな顔
珍しくまとめてる髪のおかげで見えちゃう首筋だって汗なんてほとんどかいてないみたい
ほとんど着崩れしていない浴衣も穂乃果と大違い

強引に付けた顔の横のきつねのお面が穂乃果のことをじっとみてる

「海未ちゃんがお面付けるのって久しぶりだよね」

「あなたが強引に付けたんですけどね」

「えへへ…でも本当に久しぶりなんだよ?」

「そうでしたか?」

「穂乃果の記憶によると!」

「穂乃果の記憶だと少々不安ですね」

そう言ってクスリと笑う海未ちゃんはとっても美人だなって思う
昔から海未ちゃんは美人だったけど
最近益々綺麗になった気がする

穂乃果は全然変わってないから
どんどん変っていく海未ちゃんが
遠くに行ったような気がして寂しくなっちゃう

お面だって昔の海未ちゃんに戻ってくれないかな――なんて考えた結果だし

――こんなこと思ってたら海未ちゃんに失礼だよねってわかってるけど
それでも海未ちゃんと離れたくないから
ずっとこのままの関係でいたいから

本当は前も穂乃果が強引に付けたんだけど
海未ちゃんは覚えてくれてないのかな?

「穂乃果だって大事な事はわすれないもん」

「私も大事な事――穂乃果との思い出はちゃんと覚えていますよ」

「お面のことは忘れてたのに?」

「お面のことだってちゃんと覚えてますよ…前も狐のお面でしたね」

「じゃあなんでとぼけたのさ」

「ちょっとした悪戯心ですよ」

「海未ちゃんは穂乃果を虐めて楽しいの?」

「イジメだなんて…失礼ですね。私が大事な穂乃果にそんなことするわけないじゃないですか」

ほら、すぐこんな事言ってくる
こんなことで照れちゃうのが悔しくて
誤魔化すように海未ちゃんの腕を抓ってみる

変わっちゃった海未ちゃんへの抗議も兼ねて――

「これはイジメじゃないですか?」

「違うもん」

「それでは――」

照れ隠しですね――なんてわざわざ言ってくる
ついもっと強く抓っちゃった

痛いですなんて言いながらすっごく笑顔の海未ちゃん

「いちいち言わなくてもいいのに……」

「穂乃果が可愛いので…つい言ってしまうのです」

最近はずっとこんな感じで
いつでも余裕気な海未ちゃんに必死な感じの穂乃果

「昔の海未ちゃんはもっと可愛かったのにな……」

「……それは今の私は可愛くないということですか?」

あ、ちょっと泣きそうな顔
やっぱり可愛いなあ海未ちゃんは

「うーん…なんていうか可愛げがなくなって美人になったみたいな?」

「なんですかそれ」

「海未ちゃんばっかり大人になってずるいってこと!」

「あなただって大人になってきてるでしょう」

「どんなところが?」

「昔より無茶をしなくなりましたね」

「穂乃果ってそんなに無茶してたかな?」

「いっぱいしてきましたね」

「そうかなあ……」

「今はもう私が面倒を見なくて良いんだなと思うと…嬉しくも寂しくもあります」

そう言って物憂げな表情を見せる海未ちゃんはなんというか……

「薄幸の美女って感じだね!」

「なにがですか」

「海未ちゃん」

「あなた意味分かって言ってるんですか?」

「分かってるよお」

疑るような目で見てくる海未ちゃん

「海未ちゃんは幸薄そうでいっぱい苦労しそう!」

「失礼ですね」

「そうかな?」

「そうです」

「でも大丈夫だよ!穂乃果がちゃんと幸せにしてあげるから!」

昔だったらはっきり言えたのに
今の海未ちゃんを前にしたら冗談めかしてしか言えなくなってる

昔だったら顔を真っ赤にしてくれてたけど
今はきっとそんなことないんだろうなあ

「……」

「……」

ツッコミが来ない……

もしかして照れっちゃてる?
期待しながら横目でチラッと見てみる

うわっ…すっごい笑顔だ……

「何にやけてんのさ」

「そんなににやけてますか?」

「すっごくにやけてる」

「ふふふ」

「もう一回抓っちゃうよ」

「どうぞ」

海未ちゃんがにやけ面で腕を差し出してくる
そんな海未ちゃんを驚かしたくなったから

海未ちゃんの腕に思いっきり抱きついて
そのまま腕を組んで路地に押し込んじゃう

それでも穂乃果を見るその目は余裕気で
つい海未ちゃんをビルの壁に押し付けちゃった

「穂乃果、浴衣が汚れちゃいます」

「海未ちゃん穂乃果の事子供扱いしてるでしょ」

「ですから浴衣が……」

「目瞑ってて」

「……ん」

まるで穂乃果のする事がわかってたみたいな態度で
……ムカつく

「ん…ちゅ……」

「ふっ…ん…ちゅ……」

「ん…っ……」

啄ばむ様なキスを何回かしてみたけど
海未ちゃんがニヤケてるような気がしたので
海未ちゃんの唇を舌でこじ開け……

「ん……」

「ふぁ…んっ…あ……」

……こじ開けようとしたら海未ちゃんの舌が逆に穂乃果の口の中に侵入してくる

「ふ…あっ……」

突然のことに驚いちゃって肺の中の酸素を出しちゃった

「はっ…んっ……」

ダメ…息が続かない

「ん…みちゃ…ん!?ん~~!?」

頭の後ろに海未ちゃんの腕が回ってくる
海未ちゃんから離れようとしても離れられない

「ふっ…んっ……」

息ができない……
苦し……

「んっ…ぷはあっ……」

やっと解放された……
死んじゃうかと思った……

「大丈夫ですか?」

その場でへたれ込んだ穂乃果を見るその目は少し嬉しそうで
また負けちゃったんだなって思った

「誰の…せいさあ……」

「最初に手を出してきたのはあなたです」

「そうだけどさあ……」

「とっとと立ってください。帰りますよ」

「ちょっと待って海未ちゃん」

「どうかしましたか?」

「おんぶして」

「嫌です」

「海未ちゃんのせいで腰が抜けたの」

「私のせいですか?」

「海未ちゃんがおんぶしてくれないならここにずっといるからね」

「……ちょっとだけですよ」

「ふふふ…ありがと海未ちゃん」

あなたが吹っかけたきたんですからあなたが悪いんですからねと言いながら
海未ちゃんがしゃがんでくれる


――着物の衿から見える海未ちゃんの背中

そこにつけられた赤い爪痕
昨日の夜のことを思い出して
顔が真っ赤になっちゃうのがわかった

「なんでそんな髪型にしちゃったのさあ……」

真っ赤な顔を見られたくないから海未ちゃんの背中に顔を押し付けてぼやく

「えっ、と…変ですか……?」

不安気な声がする
でもそうじゃなくて…そうじゃないんだよお……

「海未ちゃんのばかぁ……」

「なんなんですかあなたは…失礼ですね」

海未ちゃんはこの跡のこと知ってるのかなあ……
なんて考えてたら海未ちゃんのちょっと怒った風な声

「おんぶ…してほしいんじゃないんですか?」

「ま、待って!すぐ乗ります!」

まったく…なんて言う海未ちゃんの背中は昔よりずっと頼もしい
思い切って飛びついたら昔と変わらない匂いがする

「もっとゆっくり乗ってください……」

「えへへ~ごめんね海未ちゃん」

「立ち上がるのでしっかり捕まってってくださいね」

「うん」

穂乃果を背負ってもスッと立ち上がる海未ちゃんはやっぱり昔とは違う

「重くない?大丈夫?」

「穂乃果が今日食べたものの分だけ重くなってますね」

「そういうことじゃなくて……」

「鍛えてるから大丈夫ですよ」

「こういう時は重くないって答えるものじゃないのかな」

「重くはないですよ」

「……昔おんぶしてもらった時は海未ちゃんもっとフラフラだったのにね」

「いつの話をしているんですか」

「海未ちゃんがまだ素直だったころの話かな」

「落としますよ」

「しがみ付いてるから無駄だもんね」

そうですかなんて素っ気なく言って海未ちゃんは黙っちゃう
やっぱり余裕気な海未ちゃんが憎たらしい

海未ちゃんの首筋が月明かりで白く光って艶めかしく見える
薄暗い部屋の中でだって白く輝いて見えるその肌はいつだって穂乃果を惑わせてくる
変な気持ちになっちゃうのが怖くて目を瞑ってみた

あ…だめだ
頭が海未ちゃんの匂いでいっぱいになる

「海未ちゃんの汗の匂いがする……」

「ちょっと…やめてくださいっ」

「良い匂いだよ?」

「そういう問題ではありません」

「穂乃果は好きなんだ~この匂い」

まったく…なんてぼやいてる海未ちゃんの足がちょっと速くなった気がする
照れてくれてるのかな…なんて

ちょっと目を開けてみれば海未ちゃんの真っ赤なお耳
思わず噛み付きたくなったけど我慢我慢

「耳真っ赤だね」

「誰のせいだと……」

久しぶりに海未ちゃんが照れてくれたような気がして
嬉しく思っちゃう

「海未ちゃん…今日も泊っていっていい?」

「構いませんが…連絡はキチンとしてくださいね」

「はーい」

「……」

「……」

二人して黙っちゃう
海未ちゃんも穂乃果みたいにドキドキしてくれてるのかな
……してくれてるといいな

「夏ももうすぐ終わっちゃうね……」

「そうですね……」

「夏が終わっても穂乃果たちはアツアツでいようね♪」

「……オヤジ臭いです」

「そ、そう?」

「色々台無しですよ」

「ごめんね」

「まあ…穂乃果らしいと言えば穂乃果らしいですよね」

「褒めてくれてる?」

「呆れてます」

海未ちゃんひどいなんて言ってじゃれ合ってたら
すぐに海未ちゃんのお家に着いちゃった

浴衣を脱ぐのが勿体なくて
しばらく着てたいって海未ちゃんに言ったら
渋々だけどOKがもらえたから
縁側に二人で座って庭をぼーっと眺めてる
繋いだ手がちょっと熱い

海未ちゃんがお面を脱いで穂乃果の膝の上に乗せてくる

「お面…取っちゃったの?」

「付けていて欲しいのですか?」

「似合ってたのにな」

「そうですか?…でももう被らなくてもいいでしょう」

「そっかー」

「穂乃果が被っておいてください。きっと可愛いですよ?」

「穂乃果はいいや」

お面を脱いだ海未ちゃんはもう今の海未ちゃんで
膝の上に乗せた狐のお面は穂乃果のことを嘲笑ってるような気がした

「来年も…一緒に行けるかな?」

「穂乃果が私と一緒に行きたいのであれば」

「海未ちゃんが行きたいなら穂乃果も行きたいな」

「では来年も…一緒に行きましょうね」

「うんっ!」

そう言って笑う海未ちゃんのおでこの汗は
つないだ手の熱さが
もう少し続くと言っているようだった

終わり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月11日 (木) 18:00:53   ID: 05OGjKrr

大変よろしい

2 :  SS好きの774さん   2014年09月12日 (金) 01:02:01   ID: GKIza16X

素晴らしい
流石ほのうみ

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