――2014年6月 ブラジル・イトゥ 日本代表宿舎
長友「冗談やろ」
本田「もちろん俺やって見間違いやと思いたい」
香川「でも圭祐くんはそれを見てしまったんやな」
本田「ああ。ついさっきこの宿舎の洗面所で、確かに見てしまったんや」
岡崎「夢の鏡ってあれやんな。昔セーラームーンでやってた…」
本田「そうや。あの形状は間違いない。あのアニメで見たとおりの夢の鏡やった」
長友「てことは、ウッチーは例の赤い壁にはりつけにされてたわけか?」
本田「ああそうや」
香川「うーん、エイジさんが誰かと一緒に仕掛けた悪戯ちゃうかな…」
長友「実際に確かめてみんと何ともいえんなぁ」
香川「とにかく洗面所に行ってみよう。くれぐれも気づかれへんように」
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コソコソ…
岡崎「あのドアやな」
内田『あああーっ!!』
香川「中からかすかに叫び声が聞こえる……ウッチーの声や」
長友「どうやら襲われてるのは本当みたいやな」
本田「よし、まず小回りの利く佑都が素早くドアノブを回してくれ」
長友「ああ」
本田「そして扉が開いたらオカがダイビングヘッドで中に入って注意を引きつける。この作戦でいこう」
岡崎「了解や」
香川「まずい。ウッチーの叫び声が止まった」
長友「よし、突入!」ガチャ
岡崎「そぉぉぉい!」ピョーン
本田「ウッチー! 大丈夫か!?」
内田「う…」
香川「よかった。気を失ってるだけみたいや」
長友「おい、エイジさんがどこにも見当たらんぞ」
本田「引き出しも空っぽや。他に隠れられる場所もない……どういうことや?」
香川「とにかくウッチーの回復を待って、事情を聞いてみよう」
――内田の部屋
内田「あれ…?」
長友「気がついたか」
内田「俺は確か、洗面所に…」
本田「洗面所で倒れてたところを俺らが運び出したんや」
内田「そっか……ありがとう、みんな」
長友「早速なんやけどウッチー、洗面所で一体何があったんだ?」
内田「えっと……一人で顔を洗っていたら、その最中にエイジさんが入ってきて――」
本田「ってことは、襲ってきた相手はやっぱりエイジさんなんか?」
内田「ううん、あれはエイジさんじゃない。変装してただけで、俺らの知らない奴なんだ」
岡崎「なんやて?」
本田「じゃあ、その怪しい奴がウッチーの夢の鏡を狙ってエイジさんに化けて宿舎に侵入してたわけか」
内田「……夢の鏡?」
長友「ウッチー知らないのか、セーラームーン」
内田「いや、知ってるよ。ペガサスがどうのこうのって話で出てきた鏡だよな。まさか本物だとは……」
内田「でも言われてみれば確かに、アニメで観たのと同じ手順で拘束されたような気がする」
香川「にしてもみんな意外とセーラームーン知ってるもんなんやね」
長友「俺は姉ちゃんがいるから、自然と隣で一緒に観てたな」
岡崎「俺んちはスラムダンクとぬ~べ~目当てで土曜の夜は6チャンネルって決まってたんや」
内田「俺もだいたいそんな感じかな」
岡崎「まあ友達の前ではその時間俺は平成教育委員会を観てたって設定で通したけど」
香川「オカちゃんが平成教育委員会……似合わへんw」
本田「エイジさんの潔白が証明されたのは良しとして、その怪しい奴の目的は一体何なんや?」
岡崎「何って、ウッチーの夢の鏡を狙うことやろ。信じられへんけど、犯人はあのアニメの悪の組織ってことやろ」
本田「何のためにや。何のためにそんなことする必要があるんや」
本田「あれはあくまでもアニメ。しかも俺らが小さい頃、ちょうどJリーグの創成期頃に放送されてた作品や」
本田「そんなアニメの悪の組織が、なんでわざわざ2014年のこのブラジルの俺らの宿舎に現れたんや」
香川「うーん……」
長友「まだ色々調べる必要がありそうだな」
本田「とにかく、騒ぎが大きくなるのは危険や。本物のエイジさんの居場所もわからんからな」
長友「ああ。この件は今のところ、俺ら5人だけの秘密にしておくべきだな」
ガチャ
吉田「伝説~の~コンビニ~♪」
長友「って言ってるそばから…」
内田「麻也、ノックぐらいしろよ」
吉田「あれ、この状況はもしかして…」
香川「いや、その……」
長友「……そうそう、秘密の作戦会議や」
本田「せや。こうして集まって士気を高め合ってたんや」
香川(佑都も圭祐くんも、麻也に黙ったままこの場を切り抜けるつもりか)
吉田「だったら俺も呼んでくれればよかったのに」
本田「すまんな。最終的にはみんなで集まる予定やったんやけど、先に来たメンバーだけで始めてしまってたんや」
吉田「よし。そうと決まれば早速会議を再開させよう」
???「あら、そうはいかないわよ」
本田「誰や!?」
川島?「オーッホッホッホ」
吉田「え、エイジさん?」
本田「麻也、気をつけろ。そいつはエイジさんと違う」
川島?「あらあら、いい男がこんなにたくさん……ボクのベロンだったクレスポが大騒ぎだわ」
長友「お前、何者なんだ」
川島?「うふふ。日本のセレソンのみんなにも自己紹介しなきゃね」パチンッ
バサッ
ゴリラーズ・アイ「ボクはアマゾントリオのスーパーサブ、ゴリラーズ・アイよ。よろしくネ」
岡崎「ゴ、ゴリラ?」
ゴリラーズ・アイ「ワン……ツー……」
本田「――あかん、みんな伏せろ!」
ゴリラーズ・アイ「スリー!!」
バーン
吉田「アッーーーーーーー!!」キラキラキラー
岡崎「麻也の夢の鏡が!」
長友「一番体でかいからあの拘束装置を避けきれんかったのか…」
ゴリラーズ・アイ「うーんあまり好みじゃないけど仕方ないわね。彼の夢からいただくとしようかしら」
内田「待て、麻也から離れろ!」
ゴリラーズ・アイ「待つもんですか。ボクの標的は君達セレソン全員の夢の鏡なんですからネ」
香川「俺ら全員の……?」
内田「お前、さっき俺の夢の鏡に何をしたんだ?」
ゴリラーズ・アイ「何もしてないわ。持ち帰るつもりだったけど、他の4人に気づかれて未遂で終わっちゃったからネ」
本田「本物のエイジさんはどこや?」
ゴリラーズ・アイ「知らないわよ。でもあまりにいい男だったから洋服借りて変装させてもらったわ(はぁと)」
岡崎「なんて奴や……」
長友「エイジさん……」
香川「この野郎っ……くらえ、俺の必殺シュートや!」
ゴリラーズ・アイ「おっと」ヒュンッ シュタッ
香川「なっ……俺のシュートをバク転でかわしつつ両足で挟んで止めるなんて…」
ゴリラーズ・アイ「このブラジルで育ったボクにフッチボルで対抗するなんて100年早いわよ」
岡崎「お前ブラジル人なんか?」
ゴリラーズ・アイ「当たり前でしょ。なにせアマゾンよアマゾン。日本で活動してる他の三人がおかしいのよ」
長友「確かにあのアニメの敵キャラって世界規模で活動してるはずなのに基本的に麻布十番から出ないからな」
本田「納得してる場合とちゃうで佑都。この状況をどう切り抜けるか考えるんや」
ゴリラーズ・アイ「あら、まだ諦めないつもり? あんた達も大人しく夢の鏡を渡しなさいよ」
本田「くっ…」
???「その必要はないよ」
カァー カァー
香川「な、なんや?」
ビュン バサバサ
ゴリラーズ・アイ「ちょっ、イタタタ」
長友「急に窓からカラスが」
本田「脚が三本……八咫烏か!」
カラッペ「ふう。間に合ってよかったよ、みんな」
香川「君らはもしや、代表のマスコットの…」
カララ「そうだよ。カラッペとカララだ」
カラッペ「ケイスケ、君はこの状況を切り抜ける策を必死に考えていたよね」
本田「ああ。こいつをどうにかして、麻也とエイジさんを助けなあかん」
カララ「だったら是非、僕らの話を聞いてくれないかな」
カラッペ「実は僕らは遥か昔、とある使命を持って他の惑星からこの地球にやってきた宇宙人なんだ」
カララ「ところが特殊な力を使っていたところを地球人に見られて以来、神話に描かれて祭られるようになったんだ」
岡崎「急に話のスケールがでかくなったな」
長友「で、君らの使命って一体…?」
カラッペ「運命を背負った戦士に、力を提供することさ」
カララ「その戦士とは、ケイスケ、シンジ、ユウト、アツト、オカちゃん。君達のことなんだ」
本田「俺らが…」
香川「運命を背負った戦士…?」
岡崎「ちょっと待って、俺だけ下の名前被ってるせいであだ名で呼ばれてるやん」
カラッペ「えーっと確か君達セーラームーン世代だったよね」
香川「そうやけど」
カララ「じゃあ詳しい説明は省いて単刀直入に言うね。君達の前世はシルバーミレニアムの王家の家臣だったんだ」
長友「まあこの流れからいくとそんなこと言われるんじゃないかと思ってたよ」
カラッペ「運命を背負った君達は月の王女に刃向う者達と戦わなければならないんだ」
香川「俺らが戦うって……セーラー戦士は助けに来てくれへんの?」
内田「地球の裏側にいるから無理なんじゃね?」
パァァ
カララ「さあみんな、そのリストバンドをはめて変身するんだ」
長友「変身って……まさかあの衣装になったりしないよな?」
カラッペ「もちろんそのまさかさ」
香川「ありえへん!」
香川「無理や。ウッチーならともかく、オカちゃんがあの格好なんて完全に放送事故やん」
岡崎「自分、ひとのこと言えるんかいな…」
カラッペ「さあみんな、戦うんだ。あいつを倒さなきゃ、マヤを助けられないんだよ」
内田「うーん。そんな羞恥心を背負ってまで戦う必要ある? 何かあいつを追っ払う別の方法を編み出せばいいんじゃ」
カララ「他の方法なんてないよ。さあ、今すぐ変身するんだ!」
長友「頑なに変身させようとしてるところが怪しいな」
本田「……わかった。やったろうやないか」
香川「圭祐くん!?」
本田「確かにあの衣装は恥ずかしい。そんなリスクを負わずに、頭を使って合理的に解決した方がいいに決まってる」
本田「でも策を練る時間を犠牲にして変身し、ちゃっちゃと奴を倒す。そういう考え方もできると思うねん」
長友「お前…正気か?」
本田「だって考えてみぃや。俺ら今カラスと会話してるねんで。既に正気の沙汰ちゃうやろ」
本田「俺のリストバンドはどれや?」
カラッペ「真ん中の『4』と書かれてあるものだよ」
本田「よっしゃ。任せろ」サッ
カララ「その前に君のその腕時計、どっちか外しといてよね」
長友「……ええい、どうにでもなれ!」サッ
岡崎「新しいいじられネタができたと考えて、やるしかないやん!」サッ
香川「そうや。チャットの件をばらされてもうた俺に、失うものなんてない!」サッ
内田「マジかー…」サッ
カラッペ「目覚めなさい。青い戦士(サムライブルー)よ!!」カッ!
ゴリラーズ・アイ「あ、あんた達は…」
ババーン
香川「ようわからんけど、これ以上お前の好きにさせるわけにはいかへん」
長友「さあ、麻也を解放してもらうぞ」
岡崎「こっちは5人でお前は1人や」
内田「大人しく降参した方が身のためだと思うけど…」
本田「降参せんのなら、こっちも容赦せえへんで」
ゴリラーズ・アイ「ウホッ――じゃなくて、くそぅ。こうなったら……出ておいで、ボクのレムレス」
ゴリラーズ・アイ「ドリブル名人フェイント星矢くん!!」
デデデレーレレ デーレレ デーレレー♪
フェイント星矢くん「ペガサスファンタジスター!!」
香川「ああそうや。セーラームーンに出てくる怪人ってこんな感じやったわー」
長友「深夜番組に出てくるマニアックな芸人みたいなこの珍妙なデザイン、懐かしいな」
ゴリラーズ・アイ「フェイント星矢くん、あとは任せたわよ」ヒュンッ
本田「あ、コラ逃げんな!」
内田「おっと麻也が解放された」
吉田「」
岡崎「大丈夫。本人も夢の鏡も無事や」
フェイント星矢くん「オーイェー」
長友「こいつさっきからめっちゃシザースしてるな」
香川「とにかく早くこいつを倒さんと…」
内田「できれば俺の部屋で暴れないでほしいんだけど」
本田「よし、とりあえずベランダに追い込もう」
フェイント星矢くん「今こそ羽ばたけッ」ピョーン
長友「げっ、こいつベランダから飛び降りやがった」
カラッペ「相手はドリブラー。狭いベランダよりも、いっそ練習場で戦った方が安全だと思うよ」
岡崎「そうはいうてもここ二階やで」
カララ「変身して身体能力が上がった君達なら、この程度の高さなんてへっちゃらだよ」
本田「よっしゃ、跳ぶで」ピョーン
――練習場
岡崎「追い詰めたで」
香川「いくらドリブル名人でも、さすがに5人抜きは無理やろ」
本田「いや、気をつけろ。あいつの足の動き、妙やで」
フェイント星矢くん「小宇宙は……燃えているかッ!」ニョキキッ
長友「足が増えた…やと…」
内田「まるで『すーぱーさぶっ劇場』での嘉人さんだ」
フェイント星矢くん「トラブルの嵐ならー」スイー
岡崎「あかん、なんやこの動きは!」
フェイント星矢くん「ドリブルでかわしちゃえー」スイスイー
香川「こんなん反則や」
本田「なあ…あいつが持ってるボール、だんだん光輝いてきてないか?」
岡崎「まさか全員かわし切った後、宿舎に向かってシュートを撃つつもりか!?」
カララ「大変だ。あのエナジーの塊をくらったら、建物どころか町も無事では済まない!」
本田「カラッペ、俺らに何か必殺技とかないんか?」
岡崎「そうや。電撃の無回転シュートとか、炎のダイビングヘッドとか」
カラッペ「そうだった。説明が遅れていたね」
長友「早くしてくれ。俺とウッチーで時間を稼いでるうちに!」
カラッペ「ケイスケ。さっき外した腕時計を出してごらん」
本田「これか? なんや急に輝き出したぞ」パァァ
カラッペ「浄化の力を持つ不思議な腕時計へと変化したんだ。それをフリスビーの要領で相手にぶつけるんだ」
岡崎「もうサッカー関係なくなってるやん」
本田「気にしてもしゃあない。やったるで」パァァ
香川「とりあえず、俺とオカちゃんで奴の動きを攪乱して佑都達から引き剥がそう」
フェイント星矢くん「オー…イェ!?」
岡崎「ライトニングヘッド!」ピカー
フェイント星矢くん「オー、まぶしィェー!!」
岡崎「今や、圭祐!」
本田「ミンティアラ・アクション!!」ブゥンッ
シャキーン!
フェイント星矢くん「ステージ・アウトォーーッ」ガラガラガラー
岡崎「やった! 倒したで!」
本田「…腑に落ちへん」
カラッペ「何がだい?」
本田「ザコ怪人一体を相手に五人がかりで苦戦した末、大げさな攻撃でようやく倒すなんて。納得できんわ」
長友「でもセーラームーンの戦闘っていつもそんな感じだったような」
岡崎「まあこれで一応一件落着やな」
本田「いや、まだ終わってへん。奴の狙いは俺ら全員の夢の鏡や。またいつ襲ってくるかわからんぞ」
長友「しかしなんでまた俺らの夢の鏡を狙うんだろうな」
内田「わざわざこの2014年のブラジルに手先を寄越してまで狙ったわけでしょ。あのゴリラは元々現地在住らしいけど」
香川「そうまでして、なんで俺らなんやろ…」
本田「…まさか奴らが狙っとるのは、日本チームだけやなく、W杯に出場するメンバー全員の夢なんか?」
岡崎「そんなアホな」
長友「でも一理あるかもしれんな。今大会は警備の問題が懸念されてたし、特にこの宿舎の一部はまだ工事中や」
本田「現地の手先が作業員に紛れて侵入し、エイジさんを襲って成り代わることも容易かったわけやな」
香川「なら、他の代表チームの宿舎も既に狙われてるかもしれへん」
内田「そうだ。後で役に立つかと思って――さっき隙をついてオカマゴリラの写メを撮っておいたんだ」
長友「でかしたウッチー。早速その画像をカッサーノ達に送って心当たりがあるかどうか聞いてみよう」
――数分後、本田の部屋
本田「どうや?」
長友「ビンゴや。イタリア、ブラジル、オランダ、アルゼンチン、コロンビア、ウルグアイ、クロアチアの宿舎で目撃情報が出た」
岡崎「韓国とコスタリカからも証言が取れたで」
香川「ドイツの宿舎では襲われたグロスクロイツがパニクって大暴れしたらしい」
内田「やばいな。このままだといずれ大ごとになってしまう」
本田「奴がもう一度この宿舎に現れたら、今度こそ必ず…」
今野『うわぁーーー!!』
香川「って言ってるそばからこれや」
――今野の部屋
岡崎「今ちゃんさん! やっぱり夢の鏡を取り出されてる…」
香川「そして気絶してもなお目力がある…」
本田「今ちゃんがはいりに似てることについてはどうでもええねん。あのゴリラはどこや?」
???「クスクスクス……ゴリラーズ・アイはいないよー」
長友「誰や!」
ペレペレ「あたしはアマゾネスカルテットの予備登録メンバー、球蹴りペレペレだよー」
岡崎「アマゾネスなんちゃら…そんなんもおったなー」
内田「こいつもブラジル人みたいだし、見た目もサンバダンサーっぽい感じだね」
香川(……褐色ロリ巨乳…俺の守備範囲ではないか)
ペレペレ「お褒め頂き光栄だよー。でもそのおじちゃんの夢はいただいちゃうからねー」
???「そうはさせないッ!」
???「ジ・エンド・オブ・ラブ・ブラスター!!」ビューンッ
ペレペレ「痛ーい! 何者だよー!?」
長谷部「心の乱れに誘われて、キャプテン長谷部華麗に参上ッ!」ババーン
岡崎「ハセさん!?」
内田「羞恥心に負けず、律儀に技の名前や決め台詞まで言っちゃうとか…」
長友「まじめかっ!」
遠藤「実はハセは以前から戦士として覚醒してたんや」
本田「ヤットさん! 変身してないけど、その言葉からするにまさかヤットさんも…」
遠藤「ああ。今まで黙っててごめんな」
岡崎「じゃあヤットさんはいつ戦士に?」
遠藤「だいぶ前にミノオキャッスルでキングカマモティから力を授かったんや」
香川「でも今はなんで戦闘コスチュームじゃなくジャージを着てはるんですか」
遠藤「風呂に入ってて出遅れたから」
遠藤「とにかく俺も変身して加勢しよう」パァァ
香川「うわ、変身BGMが情熱大陸や」
岡崎「しかもヤットさんの変身バンク、めっちゃ尻を強調するやん」
内田「なんかもう着いていけないわ…」
ペレペレ「むーっ、セーラー戦士(?)がこんなにいるなんて聞いてないよー」プンスカ
ペレペレ「えーい出てきてあたしのレムレスちゃん、華麗なるパス回し黄金のカルテット!」
レムレス達「「「「フォルツァーーー!!!」」」」ガヤガヤガヤ
長友「おいおい部屋の人口密度どうなってんだよ」
内田「でもひとの部屋でなら躊躇なく暴れられるね」
遠藤「やめたれ」
長谷部「エイトフォースプレー!」プシュー
ペレペレ「あれれー霧で視界がーっ」
長谷部「さあ、今のうちに外におびき出そう」
内田「またこの流れか」
――練習場
ペレペレ「待て待てーっ!」
香川「なんで律儀に俺らを追いかけてくるんやろ。今のうちに他の人を襲うことだってできるはずやのに」
長友「セーラームーンの敵キャラの矛盾点をいちいち気にしてたらきりがないぞ」
長谷部「――よし、ここなら安全だ。さっさと片付けてしまおう」
ペレペレ「ふーんだ。緑のグラウンドであたし達に刃向うなんて100億万年早いんだよーっ」
ペレペレ「ジー子ちゃん、ソクラ徹子ちゃん、ファル香ちゃん、セレー奈ちゃん。あいつらを滅茶苦茶にしちゃってー!」
レムレス達「「「「バモース!!」」」」
本田「おいおい、こいつらめっちゃパス回すやん」
香川「パス回しなら俺らやって負けてへんはずやのに…!」
ジー子ちゃん「オマエラ、一人でできてナーイッ! ドライブシューッ!」ビューンッ
内田「しまった、パスに気を取られて…」
長友「ウッチー、危ない!」
内田(まずい、避けられない――ッ)
バシッ
ジー子ちゃん「ギャーッ!」
内田「えっ?」
岡崎「空から何かがウッチーの足元に降ってきたことでボールの軌道が変わったで」
本田「これは……デカいきゅうり!!」
長友「そこの外灯の上に誰かいるぞ」
川島「ピュアーな青年のピュアーな夢を狙う不埒者は、このボールキャッチ仮面が許さん」ジャーン
香川「エイジさん! 無事やったんですね!」
川島「エイジさんとは誰のことかな。私はボールキャッチ仮面」ファサァ
岡崎「いや、いくら仮面越しとはいえその石原軍団風の顔は間違いなくエイジさんですやん」
内田「もうやだ帰りたい」
ペレペレ「むうーっ、ゴリラ! 早く来なさーい!」
ウィーン
ゴリラーズ・アイ「もうー小娘ったら人使い荒いんだから」チラッ
ゴリラーズ・アイ「あらまぁ、いい男」キュン
川島「ギクッ。こんな珍妙な格好をしてるのに、なぜホモが発情するんだ」
岡崎「やっぱりエイジさんやん」
長谷部「どうやら決着をつける時が来たようだな」
本田「お前らに一つ聞きたいことがある。全チームの夢の鏡を狙う中で、なんで一番最初に俺らを狙ったんや」
ゴリラーズ・アイ「それはね……あんた達が最も分不相応な夢をお持ちだからよw」
本田「なんやと?」
ゴリラーズ・アイ「あんた達、このブラジルには何しに来たんだったかしら?」
香川「もちろんW杯に出場して、優勝を狙うためや」
ペレペレ「優wwww勝wwwwwww」
本田「何がおかしいんや」
ペレペレ「いや…だってさぁ(笑)」
ゴリラーズ・アイ「ウフフ。まあどっちにしろ今回のW杯は我らがカナリア軍団が優勝間違いなしだけどね」
ゴリラーズ・アイ「スペインだろうがドイツだろうがメッシだろうが、7-1でフルボッコにしてやるわ」
本田「お前らに何を言われようが関係ない。俺らは優勝を目指し、最高の準備をする。それだけや」
ゴリラーズ・アイ「本当に威勢のいいお兄さんね。でも今のあんた達に何ができるというのかしら」
ペレペレ「レムレス・トランスフォーム!!」ビビビビビ
ジー子ちゃん「マリーシアー」ガシャーンッ!
岡崎「なんや? ザコ怪人達がゴリラの体に吸収されて変形していく…」
ゴリラーズ・アイ「フフフ。今のボクは黄金の中盤の力を宿した究極のサッカーマシーンと化したのよ」ババーン
ペレペレ「いくら親善試合でオランダに引き分けたからって、あなた達が敵うわけないんだよー」クスクス
ゴリラーズ・アイ「そうそう。どうせ本大会でもコロンビアのかわい子ちゃんにボコボコにされて終わりよ」
ゴリラーズ・アイ「どうやら今の彼は最高に充実している様子だから…でも残念ね。彼の夢の鏡はボクがいただいちゃったわ」
長谷部「なんだと…」
長友「……! グアリンが電話に出ない。まさかお前…」
ゴリラーズ・アイ「ウフフ。どうせならファルカオの夢の鏡もぜひいただきたかったわ///」
香川「許さへん……お前らだけは絶対に…」
長友「例え対戦相手であっても、同じ目標に向かって突き進む戦友だ」
岡崎「W杯優勝を目指す世界中のサッカー選手の夢を根こそぎ狙うなんて」
内田「ここに辿り着くまで、みんなどれだけ厳しい練習を積んできたか…」
遠藤「さすがの俺もはらわた煮えくり返ってきたわ」
長谷部「そんな卑劣な奴らは、俺達サムライブルーが」
本田「サッカーの神に代わっておしおきや!」ババーン
ゴリラーズ・アイ「ハイハイなんとでも言いなさい。どっちにしろボクが一瞬で黙らせてあげるから」シャキーン
本田「それはどうかな。相手がどんなに強かろうが少なくとも勝ちにいく、勝ちに行く姿勢を示そうとする――」
本田「それだけで可能性は切り開けるはずや」
ゴリラーズ・アイ「御託はもうたくさん。あんた達が本気以上の力を出したところでたかが知れてるっての!」
ゴリラーズ・アイ「味わうがいいわ。これがW杯優勝5回を誇るサッカー王国のシュートよッッ!!」ドガァッ
ドゴーンッ!
本田「ぐはっ……」ゴゴゴゴ
長友「圭祐!!」
ゴリラーズ・アイ「おやまあ。戦士の能力を開放してようやく受け止めているようだけれど、やせ我慢がいつまで続くかしらね」
岡崎「プリン体カットバリアー!!」パァァ
内田「ビビビッテサンダー!!」バリバリバリィ
本田「オカ…ウッチー…」ゴゴゴゴ
香川「圭祐くんはまたそうやってどんどん自分を追い込む。どうせなら俺らも着いていっていいやろ」
長谷部「そうそう。サッカーは組織があってこそだからな」
長友「チームに信頼をおけるから、個人の準備に集中できる――圭祐、前にそう言ってたよな」
遠藤「俺らにも積み上げてきたものがある。おかげで今は誰がどこでどんな風に動くのかが手に取るようにわかる」
香川「大丈夫、俺らは最高のチームや。絶対に負けへん」
本田「真司…みんな…」
本田「――ああ。俺も大丈夫や。大事なことならちゃんとわかってる」
本田「どんなピンチのときも絶対諦めない……俺の中の乙女本田がそう言うてるんや」
川島「その意気だ。さあサムライブルー達よ、その者共に自分達の力を見せてやるのだ」
香川「俺達の…力…」
カラッペ「ケイスケ、装着している方の腕時計を外して、もう片方の腕時計にかざしてごらん」
本田「こうか?」パァァァ
本田「な、なんやこれは。魔法少女のステッキみたいになったで」
カララ「ケイスケの二つの時計は日本用と世界用。その二つが融合したことで、そこに込められた想いも掛け合わされた」
カラッペ「そのステッキには、君達のサッカーへの情熱をそのまま魔力に変える力があるんだ」
長谷部「なるほど、ここに全員のエナジーを結集させてあいつにぶつければ――」
遠藤「きっと……いや、必ず倒せる」
ゴリラーズ・アイ「何をこしゃくな真似を。あんた達日本人が何人かかってこようが、関係ないのよ!!」
本田「それでも俺は……いや、俺らは信じてる」グッ
香川「……」ガシッ
長友「……」ガシッ
岡崎「……」ガシッ
内田「……」ガシッ
長谷部「……」ガシッ
遠藤「……」ガシッ
本田「俺らはみんなが受け継いできてくれた、日本サッカーの力を……信じてるんや!!!」
カッ!!
ゴリラーズ・アイ「な、何っ…!?」
本田「悪しきパワーよ!!」
香川「ここから立ち去れ!!」
全員「「「「「「「「はあああああああああッッッ!!!」」」」」」」」
ドガガガーーーッ
ゴリラーズ・アイ「」
ペレペレ「ひーっ、おぼえてやがれだよーっ」ピューッ
岡崎「倒した…のか…?」
長友「見ろ、奪われていた夢の鏡が空中に」
パァァァ
内田「あちこちに飛び去っていく…どうやら持ち主の元に帰っていったみたいだね」
長友「……もしもしグアリン? 無事か!? よかった…」
長谷部「これでようやく一件落着かな」
遠藤「しかしパワーアップしたゴリラ怪人は半端なかったな。あのガタイ、フッキどころじゃないぞ」
香川「でもそんなすごい奴を力を振り絞ってどうにか倒せたのは、今後への自信になりますよね」
本田「ああ。これをW杯への弾みにして、勢いを切らさんようにしたいな」
香川「これはもう優勝間違いなしやな!」
ワイワイ…
岡崎「ん、待てよ? こういう展開、確かスラムダンクで……」
おわり
川島「最後に一言。このSSはフィクションであり、実際の人物・団体、出来事などとは一切関係がない」
川島「それでは諸君、さらばだ。また会おう」
本当の本当におわり
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