いつものように真姫ちゃんを怒らせちゃったかな。
そう思っていつものように茶化す準備をする。
でも、なんだかこの日だけは様子が違ってた。
真姫「ニコちゃん」
じっと、ニコのことを見て名前を呼ぶ真姫ちゃん。
今日はそういう気分じゃない?
もしかして本当に怒らせちゃった?
でもニコ今日は真姫ちゃんを怒らせるようなことしてないよね?
そんな考えがぐるぐるぐるぐるって頭を巡る。
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真姫「真面目な話なの。茶化さないで聞いて」
ニコの方を見てたはずの真姫ちゃんの澄んだ綺麗な瞳は、いつの間にかニコの目をじっと見つめてた。
にこ「う、うん」
そんなマッキーに気圧されて、ニコは素直に頷く。
何を怒らせちゃったんだろう?
とりあえず謝った方がいいかな?
相変わらず頭の中はばらばらに散らばってて、なんだか混乱してきちゃった。
そんなニコを見つめて、マッキーは微かに頬を赤らめているように見えた。
頬を赤らめて――見間違いじゃない。
確かにマッキーは頬を赤らめてる。
夕日のせいでも、他の何物のせいでもない。
マッキー自身が自身の頬を赤らめている。
それを見て、ぴこんって。
ニコの頭に一つの可能性が浮かんでくる。
待って、マッキー――それはダメ。
真姫「ニコちゃん、私は」
――やめて。
それ以上はダメ。
真姫「ニコちゃんのことが――」
やめて!
それ以上言っちゃったら――。
真姫「好き、なのよ」
そんなニコの心の叫びも虚しく、真姫ちゃんは言ってしまった。
ニコが恐れてた一言。
でも大丈夫、まだニコが頑張れば。
にこ「マッキーもニコにメロメロになっちゃったニコね? でもー、ニコはみんなのものだk」
真姫「ふざけないで!」
真姫ちゃんが大きな声で怒鳴る。
いつもなら「いやーん、マッキーってば雷様よりこわいニコ」とか「あんまり怒ると小皺が増えるニコよ?」とか言って誤魔化すところなんだけど――今回ばかりはそんなことしても悪化するだけ。
どうすればいい?
ニコはこうならないように細心の注意をはらってきたはずなのに。
真姫ちゃんと初めて会ったとき、ニコはこの子を脆そうな子だと思った。
誰かが守ってあげなきゃ壊れちゃいそうな繊細な少女。
でも、この子は優しくされたらすぐになびいてしまいそうな、いわゆるちょろい子だっていうことも見てすぐに分かった。
だからニコは守ってあげながらも、マッキーの嫌いそうなキャラを演じて、この事態を避けてた――つもりだった。
アイドルは恋愛禁止――我らがリーダーは女の子同士なら平気! だとかそんな感じのことを言ってるみたいだけど――ニコは例外なんてないと思ってる。
だったらここで否定をすればいい――ううん、そんなことできるはずもない。
この子は脆い子なんだから。
お金持ちの家に育って、何でも欲しいものは手に入ったであろうこの子。
挫折を味あわせるなんてことはこの子の心を壊してしまうかもしれない。
――ううん、そんなことは言い訳。
この子はそこまで脆い子じゃない。
本当はニコ自身怖いんだ――マッキーを失っちゃうことが。
にこ「あ、あのね」
本当は、ニコだって嬉しい。
こんなニコを好きになってくれる人がいること。
好きになってくれたのが――ニコが好きな相手だっていうこと。
でも、ニコは小さいころからアイドルになりたくて、だから恋愛なんてできない。
マッキーのそばにいられるだけでよかったのに。
将来的には超有名なアイドルになって、冠番組をもって、美人天才女医になった真姫ちゃんをゲストとして番組に呼ぶのが、かすかな夢だったのに――。
アイドルを選ぶか――恋を選ぶか。
ニコは今そんな窮地に立たされてる。
真姫「……」
マッキーは静かにニコをじっと見て、ニコの返事を待ってる。
ニコは目を閉じて思い出す。
マッキーとふざけて、笑いあった時間を。
にこ「真姫ちゃん」
目をゆっくりと開いて――ニコが名前を呼ぶと彼女の身体はぴくんと、微かに震えたのが見て取れた。
にこ「ごめんね。真姫ちゃんの想いには答えられない」
ニコが彼女にだけ届くくらいの声でそう答えると、ぽたり、ぽたりと屋上の床が濡れる。
1滴、2滴――段々と大きく真姫ちゃんの足元を濡らしていくそれは。
紛れもなく彼女の目から零れていた。
泣かせてしまった罪悪感に苛まれながら、ニコ自信も悲しくなってきちゃって。
ダメ――このままじゃ涙と想いがあふれ出ちゃう。
だから、最後に一言。
大好きな彼女に言ってあげた。
にこ「でもね。ニコも、真姫ちゃんのこと大好きだよ?」
真姫「なら、なんで……?」
彼女は困惑した表情でニコを穴が開きそうなほど見つめる。
大好きなら、なんで? 彼女の顔にはそう鮮明に書かれているように――ニコの目には映った。
にこ「だって――ニコはアイドルだから」
今にも零れそうな涙をこらえて――ニコは営業スマイルを浮かべる。
アイドルはどんなときでも笑顔でいなきゃいけないから。
真姫「あ、アイドルだからって、何よそれ!」
彼女の声は、表情は、困惑から怒気へと変わっていった。
わけのわからないことを言っているニコへの怒り。
もしかしたら、ニコの夢見るアイドルという職業への怒りも含まれてるのかもしれない。
にこ「ニコね、小さいころからアイドルになりたいって。そう夢見てきたの」
真姫ちゃんの向こうの――もう大分低くなって沈む間際の夕日を見て言葉を紡ぐ。
にこ「だからニコは恋愛なんてしてる暇はなくて、そもそもアイドルは恋愛禁止だから――」
パアンと、乾いた音が屋上に響く。
彼女が振り切った状態で静止した右手。
ニコの左頬に残る鈍い痛み。
一体、何が起こったんだろう。
ニコが彼女にはたかれた、その事実を受け入れるのに多少時間を費やしてしまった。
真姫「最低!」
真姫「私が嫌いなら最初からそう言ってよ!」
真姫「理由なんてつけないでよ! 嫌いって言ってよ!」
捲し立てる彼女に一言。
今度こそ本当に最後に――もう一言だけ。
にこ「大好き、真姫ちゃん」
パアンと。
もう一度乾いた音が屋上に響いて――ぽたりぽたりとドアに向けて彼女の瞳から溢れる雫が床を揺らしていった。
いつの間にか日は完全に落ちていて、薄暗い屋上にニコはただ一人、茫然と立っている。
にこ「さようなら、ニコの初恋」
呟く声はと胸に秘めた想いは。
誰に届くわけでもなく――闇に消えていった。
おわり
以上短いけど終わり。
SID風に書きたかったけど難しいね。
このSSまとめへのコメント
にこにーはなんで振ったんや?
アイドルが夢だからでしょ?
ちょっと雑じゃね…
話を上手いこと落とせればすごく面白くなりそうなのに勿体無いって印象
作者の長編作品あったら読んでみたい
にこまきなんか書いてんじゃねぇよおおおおー死んどけカス
キモい死ね、
ぶっ殻すぞ、糞がきが
↑ガキはお前。