希「実はにこっちと付き合ってたんよ」(147)
真姫「は……? え……?」
希「だから、昔にこっちと付き合ってたんよ」
真姫「な、なに言い出すのよ、急に」
希「真姫ちゃん、最近にこっちとイイ感じだから、教えといた方がいいかな思て」
真姫「いらないわよ、そんな気遣い! そもそも私とにこちゃんがイイ感じなんて、そんな……どうしてそうなるのよ」
希「あれ、違った?」
真姫「違うわよ。別に、にこちゃんのことなんか……」
希「でもにこっちは真姫ちゃんのこと、よく話してくるよ?」
真姫「ほ、ホントに?」
希「ほら、やっぱり気にしてるやん」
真姫「っ……カマかけたのね」
希「真姫ちゃんが素直じゃないのが悪いんよ」
真姫「ふんっ……どんな悪口言われてるのか気になっただけよ」
希「もうちょっと素直になった方がいいよ? にこっちにもキッカケが必要なんよ、一歩踏み込むための」
真姫「……知ったふうなことを言うのね」
希「そうやね。真姫ちゃんよりは知ってると思うで」
真姫「そっちの方がにこちゃんとの付き合い長いんだから当たり前でしょ」
希「長いだけじゃわからんようなことも知っとるよ? 例えば、にこっちはキスのとき右からする、とか」
真姫「ずいぶんと想像力が豊かなようで」
希「認めたくない?」
真姫「認めるもなにも、どうでもいいって言ってるでしょ」
希「本当にどうでもいいん?」
真姫「ええ」
希「そっかぁ。じゃあこの話はこれでオシマイやね」
真姫「そうね。じゃあ失礼するわ」
希「今からにこっちに会って直接問いただすつもり?」
真姫「……読心術の自慢でもしたいわけ?」
希「真姫ちゃんがわかりやすいだけやない?」
真姫「ひとつ忠告してあげるけど、世話焼きもいきすぎるとただの出しゃばりになるから気をつけた方がいいわよ」
希「うん、ありがたく受け取っとくで」
にこ「夜は一段と冷えるわねー」
真姫「もう冬だもの。当たり前よ」
にこ「こんな寒い中このにこにーをわざわざ呼び出したんだから、よっぽどのことなんでしょうね?」
真姫「大事じゃなきゃ呼び出しちゃダメなわけ?」
にこ「は?」
真姫「ただ会いたいってだけじゃダメなの? 用事がなきゃ私に会いたくない?」
にこ「そんなことないけど……真姫ちゃん、どうしたの? なんかあった?」
真姫「そうね……なにかあったのはたしかよ」
真姫「にこちゃん……にこちゃんが以前希と付き合ってたって本当?」
にこ「え……」
真姫「どうなの?」
にこ「ちょ、ちょっとなに言ってるのかわからないにこ~」
真姫「誤魔化すってことは本当なのね?」
にこ「ま、待ってよ。なんで急にそんな話になんの? にこと希? どう見てもそんな感じじゃないでしょ!?」
真姫「友達いなかったのに希とだけは普通に話してたじゃない」
にこ「し、失礼ねっ! 友達くらい、少しは……いなかったけど」
にこ「だからってなんで付き合ってるとかなんのよ! ぶっ飛びすぎでしょうが!」
真姫「私が聞いてるのは付き合ってたかどうかなんだけど」
にこ「付き合ってないわよ! んなわけないでしょ!」
真姫「本当に?」
にこ「にこが真姫ちゃんにウソついたこと、今まであった?」
真姫「……たくさんあったわよね」
にこ「うっ……とにかく付き合ってないから。変なこと聞かないでよ」
にこ「つーか誰に吹き込まれたのよ、そんなデタラメ」
真姫「さぁ、誰だったかしら」
にこ「ちょっと! にこはちゃんと答えたんだから真姫ちゃんも答えてよ!」
真姫「どうでもいいでしょ。それよりもにこちゃん、寒いんだけど」
にこ「呼び出したのはそっちでしょうが」
真姫「寒い」
にこ「どっか入る?」
真姫「……あっためてよ」
にこ「……真姫ちゃんってば、ホントにズルい」
にこ「今日の真姫ちゃんさぁ、やけに素直じゃない?」
真姫「そうでもないけど」
にこ「そっかなぁ」
真姫「そうよ」
にこ「まぁいいけどさぁ……それよりもそろそろ帰んない?」
真姫「もう少し一緒にいたい」
にこ「……やっぱり変よ、今日の真姫ちゃん」
翌日
にこ「真姫ちゃんになに言ったのよ!」
希「そんな怖い顔してると福が逃げてくで?」
にこ「はぐらかさないで! 真姫ちゃんに余計なこと吹き込んだのは希でしょ!?」
希「余計なことは言っとらんよ」
にこ「じゃあなに言ったのよ!」
希「ウチとにこっちは昔付き合ってたって」
にこ「それが余計だっつってんのよ!」
希「でも真姫ちゃんには知る権利があるやろ?」
にこ「わざわざ教えるようなことでもないでしょ! 真姫ちゃんだって言われなければ気にしなかったのに……!」
希「付き合ってからウチとの関係を知る方が真姫ちゃんは辛いと思わん?」
にこ「そもそも知りようがないわよ!」
希「にこっち、隠すの下手やん。きっといずれバレてたで」
にこ「バレないわよ……モノも、気持ちも、あんたとの思い出はもう全部整理したから」
希「ウチはまだ大切にとってあるよ? にこっちからもらったもの」
にこ「さっさと捨てちゃいなさいよ、そんなもん……」
希「形あるモノだったら、簡単に捨てられるんやけどねぇ……」
にこ「今さらなんなのよ……邪魔する気?」
希「そんな気ないよ。少しも妬いてないって言ったらウソになるけど」
にこ「じゃあなんなのよ」
希「真姫ちゃんは知っておいた方がいいやん」
にこ「知ってもなんも得ないでしょ」
希「あとから知るよりも、先に知っといた方が気持ちの整理がつくやん? 別れる原因になるかもしれないし」
にこ「まだ付き合ってもないっつーの」
希「もう秒読み段階やん?」
にこ「どうだかねぇ……」
にこ「希は……祝福してくれるの?」
希「ウチにそれ聞く?」
にこ「……ごめん」
希「まあ、くっつくならふたりには幸せになってもらいたいと思ってるで」
にこ「そっか……ありがと」
希「でもやっぱり心配かも」
にこ「なにが?」
希「にこっちがうまく甘えられるか。にこっち、強がりだから」
にこ「別にいいのよ。にこの方が年上なんだし、あっちに甘えさせてやんないと」
希「そうやって年上ぶろうとして無理するのが心配や言うてるんよ。そんなんじゃ長続きしないと思う」
にこ「大丈夫よ。真姫ちゃんは大人びてるから、言うほど甘えてこないでしょ」
希「ううん、真姫ちゃんは甘えるのが下手なだけや。だからにこっちだけにはめいっぱい甘えてるやろ?」
にこ「そうかもしんないけど……でも、恋人ってそういうさ、他人には見せられないとこもさらけ出せるものでしょ?」
希「そうやね。じゃあにこっちはちゃんと真姫ちゃんに甘えてる? さらけ出してる?」
にこ「ま、一応は……」
希「本当はもっと甘えたいんやないの?」
にこ「別に、にこは今でも充分だし……それにあんただって甘えてこなかったじゃない。甘えてたのはいつもにこで」
希「そんなことないよ? ウチはちゃんと甘えてたよ。にこっちが気づいてないだけで」
にこ「そうだったかなぁ……」
希「そうやで。だからにこっちと真姫ちゃんはちょっと心配なんよ」
にこ「平気だってば。希に心配されるようなことじゃ──」
希「なんなら、またウチに甘えてみる?」
にこ「え?」
希「ウチはええよ? にこっちにとって都合のいい女」
にこ「希、あんた……」
にこ「あんた……あんたって本当にしたたかねぇ~」
希「あ、バレた?」
にこ「バレバレよ、ったく」
希「んーイケると思ったんやけどなぁ」
にこ「今のにこは真姫ちゃんしか見えてないの。真姫ちゃん一筋なの」
希「残念」
にこ「なーにが幸せになってもらいたいと思ってるよ。よく言うわ」
希「それも本心やで? 今のは半分冗談で」
にこ「半分本気だったと」
希「にこっちに求められたらウチは断れないし」
にこ「するわけないでしょ、今さら」
にこ「まあいいわ。あんたのお節介を無駄にしないように、真姫ちゃんにはちゃんと説明しとく」
希「うん、それがええと思う」
にこ「でも! これ以上真姫ちゃんに変なこと教えんじゃないわよ!」
希「にこっちの性感帯とか?」
にこ「そういうことじゃないわよ! それもダメだけど! つーかまだ覚えてんの!?」
希「忘れられるわけないやん」
にこ「はやく忘れなさいよぉ、もおぉ……」
真姫「つまり、私にウソついたのね」
にこ「いや、まあウソっていうか? 真姫ちゃんのためを思って、ね?」
真姫「ウソにはかわりないじゃない」
にこ「そうだけど……怒ってる?」
真姫「怒ってないように見える?」
にこ「わ、悪かったわよ。でも、真姫ちゃんのためっていうのはホントよ?」
真姫「そうじゃなかったらこんなもんじゃ済んでないわよ」
にこ「ご、ごめんなさぁい……」
真姫「はぁ……にこちゃんのバカ」
真姫「だいたいね、にこちゃんが昔希と付き合ってたからってなんだって言うのよ」
にこ「真姫ちゃん昨日気にしてたじゃない」
真姫「はぁ!? 別ににこちゃんの過去が気になったわけじゃないわよ! 希が意味深なこと言ってくるから!」
にこ「それ、なにが違うの?」
真姫「全然違うでしょ! わかんないの?」
にこ「うん」
真姫「あーもうっ……す、少しはにこちゃんのことも気になったけど。ホントに少しだけど」
にこ「あ、そうなんだ」
真姫「っ……なんでそこで嬉しそうな顔すんのよ! にこちゃんのバカ!」
真姫「ねぇ……」
にこ「んー?」
真姫「にこちゃんは気にならないわけ?」
にこ「なにがぁ?」
真姫「だから、私のっ……や、やっぱりなんでもない」
にこ「だって真姫ちゃん、いない歴16年でしょ?」
真姫「わかってるなら最初から答えなさいよ!」
真姫「にこちゃん、あんまり調子にのらないでよね」
にこ「ちょーっとからかっただけでしょぉ」
真姫「こっちはにこちゃんのせいであんまり眠れなかったのよ」
にこ「あれ? 少ししか気にしてなかったんじゃないの?」
真姫「……バカ。もういい」
にこ「あ、拗ねないでよ。ごめんね、真姫ちゃん」
真姫「やだ、許さない」
にこ「膝枕してあげるから、ね? ぐっすり眠れるよ」
真姫「……みんなが来る前に起こしなさいよ」
後日
希「にこっちと順調みたいやね」
真姫「おかげさまでね」
希「どっちから告ったん?」
真姫「希、知ってるくせに聞いてるでしょ」
希「真姫ちゃん、読心術使えたん?」
真姫「いい加減、希のやり口には慣れっこよ」
希「んー……察しがよすぎるのはつまらんで?」
真姫「そう何度も引っかかってあげる私じゃないわよ」
希「にこっちとはもう寝たん?」
真姫「ね、ねっ……!? な、なに言ってるのよ!」
希「真姫ちゃんもまだまだやねぇ」
真姫「くっ……べ、別にいいのよ。私達は健全な付き合いをしてるんだから」
希「じゃあ毎日部室に残ってなにしてるん?」
真姫「なんだっていいでしょ!」
希「先生に見つかってμ's解散とかなったら困るで?」
真姫「そんな変なことしてないわよ!」
真姫「希は、にこちゃんと……し、してたわけ?」
希「んー? まあ、人並みにはしてたんやないかな」
真姫「ふ、ふぅん……ま、まぁどうでもいいけ──」
希「にこっち、すごく可愛いんよ? 終わったらすぐ寝ちゃうんやけど、抱きついてきて離さないんやで」
真姫「やっぱり喧嘩売ってるでしょ? ねぇ、そうでしょ?」
希「ヤキモチくらいやかせてくれたってええやん?」
真姫「ヤキモチどころか奪う気があるようにしか見えないんだけど」
希「どうやろね……悔しいのはたしかだけど。にこっちと一番長い時間を共有したのはウチやし」
真姫「そんなの、すぐ追い抜いてやるわよ」
希「にこっちが一番辛い時期にとなりにいたのもウチやし」
真姫「それ、は……」
希「にこっちが孤立したとき、イジメられないように根回ししたのもウチやし」
真姫「……そこまで好きなら、どうして別れたのよ」
希「だってウチ、フラれたし」
真姫「え、そうなの?」
希「うん。去年の今頃くらいかな?」
真姫「その割には今も仲良いわね」
希「喧嘩別れやないし、ちゃんと話し合ってお互い納得した上で、やからね」
希「だから、やっぱり……うん、悔しいってのが一番正しい表現やね」
真姫「希の気持ち、わかるわ……って言うのはおこがましいわね」
希「そうやね。きっと真姫ちゃんは十分の一も理解できてないと思うよ」
真姫「たしかに、にこちゃんが今も笑っていられるのは希のおかげかもしれないけど……もう子離れしてもいいんじゃない?」
希「……真姫ちゃんもうまいこと言うやん」
真姫「にこちゃんはもう大丈夫よ。仲間がいるし、もともとそこまで弱くないでしょ」
希「うん、そうやね……」
真姫「だから安心して私に任せてちょうだい」
希「……それでも真姫ちゃんに任せるのは不安やなぁ」
真姫「なんでよ」
希「真姫ちゃん、にこっちのこと気持ちよくしてあげられるん?」
真姫「な……なんでそういう話になるのよ!?」
希「恋人の付き合いにはそういうのがすごく大事なんよ?」
真姫「だからってねぇ……!」
希「にこっちは見てのとおり受けやから、真姫ちゃんがしてあげる側なんよ? できる?」
真姫「で、できるわよ! この私を誰だと思ってるのよ!」
希「んー……やっぱり不安やなぁ。真姫ちゃんって、すごく下手そう」
真姫「な、なんですってぇ!?」
希「真姫ちゃんが下手なのってにこっちが泣きついてきたら、ウチどうすればいいんやろ」
真姫「ありえないわよ!」
希「もしかしたらウチに戻ってきちゃうかも? やっぱり慣れた相手がいいって」
真姫「どんな妄想よ! にこちゃんは私を選んだんだから、今さら希のとこにいくわけないでしょ!」
希「いっそ寝取るのもありやんな? にこっち、実は大きい胸好きやし」
真姫「私だってまだ大きくなるわよ! それよりも私のにこちゃんに手を出したら承知しないわよ!?」
希「私のにこちゃん、ねぇ……」
真姫「なによ! 事実でしょ! もう希のじゃなくて私のよ! 私のにこちゃん!」
希「じゃあにこっちの性感帯言えるん?」
真姫「言えるわよ! み……耳でしょ!」
希「え、それだけ?」
真姫「まだあるわよ! うなじに、首筋に──」
にこ「あんた達、なに騒いでんのよ……」
にこ「はぁぁっ!? そんなことで言い争ってたの!? つーか大声で話してんじゃないわよ!」
真姫「ご、ごめん……」
にこ「希ぃ……どうせあんたのせいでしょ? 真姫ちゃんからかうのはやめてよ! 真姫ちゃん単純なんだから!」
真姫「誰が単純よ!」
にこ「真姫ちゃんも! 希の相手なんてまともにしちゃダメ!」
希「にこっちひどいなぁ。にこっちのためなのに」
にこ「どーこがにこのためよっ!」
希「にこっち、ちゃんと満足できてるん?」
にこ「できてるけど」
希「でもまだしてないんやろ?」
にこ「真姫ちゃんは希じゃないの。真姫ちゃんには真姫ちゃんのペースがあるからこれでいいの」
希「真姫ちゃんがヘタレなだけやんな」
真姫「だ、だ、誰がヘタレよ!」
にこ「そこはヘタレじゃなくて奥手って言ってあげてよ!」
真姫「にこちゃんも全然フォローになってないから! 付き合ってすぐそういうことすると軽く見えるからしないだけよ!」
希「にこっち、正直に言うてみ? 物足りないときあるやろ?」
にこ「ないってば」
希「でもひとりで寂しい夜とかあるんやない?」
にこ「まぁ……たまにね」
希「そういうときはウチを呼んでくれてもええんよ? にこっちのために夜は空けてるから」
真姫「ちょっと希! にこちゃんに色目使うのはやめてよ!」
希「真姫ちゃんがにこっちに寂しい思いさせてるからやん?」
真姫「これから気をつけるわよ! ってにこちゃんどこ見てんのよ!」
にこ「え? な、なにが!?」
真姫「今、希の胸見てたでしょ……」
希「だから言うたやん? にこっちは大きい方が好きだって」
にこ「ちょ、誤解を招くようなこと言うんじゃないわよ!」
真姫「ホントなの? にこちゃん」
にこ「真姫ちゃんも……希の言うことをいちいち真に受けちゃダメよ」
真姫「じゃあ私のと希の、どっちが好きなのよ」
にこ「いや、それは……真姫ちゃんのに決まってるじゃない」
真姫「なによ今の間。っていうか今チラッと希のを見たでしょ」
にこ「き、気のせいだと思うにこ~」
真姫「っ……もういいわよ! 先帰るわ!」
にこ「あ、ちょっと真姫ちゃん!」
真姫「ついてこないで!」
にこ「はぁぁ……希のせいで真姫ちゃん怒っちゃったじゃない」
希「ホント可愛いなぁ、真姫ちゃん」
にこ「あんた、真姫ちゃんをたきつけたいのか邪魔したいのか、どっちなのよ」
希「どっちやろねぇ」
にこ「まぁいいけどさ……言っとくけど、真姫ちゃん傷つけたら許さないわよ」
希「それはないって。むしろにこっちの方が真姫ちゃんを傷つけること多いんやない?」
にこ「そうかもね……でも付き合うってそういうもんでしょ」
希「そうやね。それよりも追わないでいいん? きっと昇降口とかで待っとるよ、にこっちのこと」
にこ「わかってる。みんなにはテキトーに言い訳しといて」
希「ん、りょーかい」
にこ「やーっと見つけた」
真姫「……ついてこないでって言ったでしょ」
にこ「あれって真姫ちゃん語で追いかけてって意味でしょ?」
真姫「なによその言語、意味わかんない」
にこ「にこにはわかるからいいの。たぶんμ's全員わかるけど」
真姫「どうせ私は素直じゃないわよ……」
にこ「そこが真姫ちゃんの可愛いところで、にこが好きになったところだから」
真姫「ホント、にこちゃんの言うとおりね」
にこ「え?」
真姫「私は単純ってことよ」
真姫「ごめんね、手のかかる恋人で」
にこ「どうしたのよ、急に」
真姫「希みたいに優しい恋人の方がいいでしょ? 胸だって大きいし」
にこ「胸はどうでもいいっての……真姫ちゃんだって優しいじゃない。にこは知ってるわよ」
真姫「でも……私、にこちゃんに甘えてばかりだし。今だって、本当はにこちゃんが追ってきてくれることわかってた、期待してた」
にこ「恋人だもの、それくらいするわよ」
真姫「私はにこちゃんになにもしてあげられてない……いつも、与えられるだけ」
にこ「ま、なんだかんだ言ってにこの方が先輩だし、今はいいんじゃない? 真姫ちゃんもそのうち余裕持てるって」
真姫「その前に私がにこちゃんに捨てられるかも」
にこ「真姫ちゃん、それ本気で言ってる?」
真姫「……」
にこ「そういうこと言われる方が辛いよ。にこのこと信じてないってことでしょ?」
真姫「ちがっ、違うの! にこちゃんのことは信じてるわ!」
にこ「じゃあにこが真姫ちゃんを見捨てるわけないってわかるでしょ?」
真姫「うん……でも私、希みたいになれる自信ない」
にこ「誰も希になれなんて言ってないでしょ。つーか困るわよ、それ」
真姫「希みたいになったらにこちゃんが甘えられるでしょ?」
にこ「別に希は関係ないわよ。真姫ちゃんは変に希を意識しすぎ!」
真姫「だって……希の方がにこちゃんのこと、理解してるような気がして」
にこ「だからなによ。にこの今の恋人は誰!?」
真姫「私、だけど」
にこ「でしょ!? それだけで充分じゃない! それだけで希なんて相手にならないわよ!」
真姫「でも私……まだにこちゃんとキスしかしてないし」
にこ「付き合って1ヶ月も経ってないんだから当たり前よ! 希の言うこと本気にしないの!」
にこ「ったくもう……いつもの自信家の真姫ちゃんはどこいっちゃったのよ」
真姫「うるさいわね。私だって弱気になることくらいあるわよ……」
にこ「はぁー……あのね、真姫ちゃんは好きなだけにこに甘えていいのよ? こうやって弱音吐いたっていいし。付き合ってるんだから」
真姫「ウザくないの……?」
にこ「全然。真姫ちゃんが甘えられるのはにこだけでしょ? だからね、甘えてもらえると嬉しいのよ、本当に」
真姫「そう、なんだ……」
にこ「うん。お返しとか、今は考えないでいいから。真姫ちゃんがもう少し大人になったら、そのときはにこが甘えさせてもらうから」
真姫「にこちゃん、ありがと……大好き」
にこ「にこも、真姫ちゃんのこと大好き」
にこ「あーでも、希にいちいち真姫ちゃんをバカにされるのは腹立つわねー」
真姫「別にいいわよ。腹立たしいけど、幸福税みたいなものでしょ」
にこ「……真姫ちゃんがその気なら、にこはいつでもいいんだけどなぁ」
真姫「はぁ? なにが……ヴェェェ!? な、な、なっ、なに言い出すのよ!」
にこ「だってそしたらもう希も文句言えないでしょ?」
真姫「だっ、だからって急にっ、そんなっ……!」
にこ「ダメ?」
真姫「ダメじゃ、ないけどっ! で、でも私、ホントにそういうの疎いのよっ、だからっ……!」
にこ「にこがリードしてあげるから、ね? 今夜真姫ちゃんちに泊まっていい?」
真姫「ほ、本気なのぉっ!? っていうか今日!?」
にこ「希も知らないにこの性感帯教えてあげるから、さ……しようよ、真姫ちゃん」
真姫「う……うん」
のぞにこまきおわり
このSSまとめへのコメント
希が可哀想だなぁ。
このにこちょっとひどい
にこまき厨の希サゲにしか見えない