フリーター「今日は給料日か…」 (84)

―コンビニATM―

フリーター「店長が4月から給料あげてくれるって言ってたもんな…」

フリーター「はは・・・そんなもんだよな・・・」

フリーター「バイトリーダーとして頑張ってんのによ…」

フリーター「今日はでも昇給のお祝いだ…」

フリーター「カップヌードルキングサイズw」

フリーター「ここでまさかのから揚げ弁当も投入だw」

店員「いらっしゃいませ~ 揚げたてのチキンいかがですか~」

フリーター(今日は給料日だ)

フリーター「ひとつください」

店員「ありがとうございます♪ お弁当は温めますか?」

フリーター「お願いします」

フリーター(俺が正社員だったら…この子と付き合えたのかな…)

―アパート―

フリーター「あっ」

フリーター「チキンが入ってない…」

フリーター「なんだよあの店員さん…でも気付かなかった俺が悪いんだ…」

フリーター「あの子は悪くない…」ズルズル…

フリーター「うまいなあ…カップヌードルは…」

―――

フリーター「部屋の片づけでもしよう…」 どさっ

フリーター「あっ… 大学時代の写真…」

フリーター「…」

フリーター「俺だけなんだよな・・・俺だけ・・・俺だけが就活決まらなくて・・・」

フリーター「俺が無能なだけだったんだ…社会は悪くない…」

―牛丼屋―

フリーター「おはようございます」

おばちゃん「入って~」

フリーター「今日も`ワンオペ`ですよね…」

おばちゃん「当り前よ~。息子が待ってるから早く変わってね」

フリーター「今着替えます…」

フリーター(就活が決まらなまま、卒業して、大学時代からバイトしているこの牛丼屋で生計を立てている…)

フリーター(気付けば夜勤アルバイト…すべては就活が決まらなかった俺が悪いんだ…)

フリーター「入りま~す」

フリーター(そうだ。お客さんの前では…元気に…)

おばちゃん「それじゃあ、後はよろしくね」

フリーター「はいっ」

―深夜2時―

フリーター「いらっしゃいませ~」

大学生1「何食べるよ~」

大学生2「牛丼大盛りっしょw」

大学生3「お前デブじゃんwwww」

大学生2「うるせえよwww」

フリーター(…懐かしいな・・・昔は俺も、こうやって、飲み会の後にみんなで牛丼食べてたな・・・)

フリーター(こいつらは奨学金とか…親の仕送りで…のうのうと牛丼を食べてるんだ…)

フリーター(たかだが数百円の食べ物。それを食べるのにどんな思いで働いてるか…君たちには分からないんだろうな・・・)

大学生1「ヒソヒソ…(あの店員いつもいるよなw)」

大学生2「ヒソヒソ…(ワンオペ騒動の後もよく辞めずにいれるわw)」

大学生3「ヒソヒソ…(他にねーんだろw)」

フリーター(その通りだよ…でも僕は君たちよりはるかに偉いんだ…僕は自立している…)

―朝―

プルルルルルルル

フリーター(電話か…)

店長「あ、もしもし?ちょっと1時間ぐらい遅れるね 待ってて」ブチッ

フリーター「あの…」ツーツーツー

ドカタ「すみませ~ん」

フリーター「はい!なんでしょう!」

ドカタ「牛丼並みで!」

フリーター(まただ…朝は工事の人たちがたくさん来る…店長はそれが嫌で俺にやらせているんだ…)

DQN「おい」

フリーター「はいっ!ご注文は!?」

DQN「その前に水持ってこいよ無能!」

フリーター「もうしわけありませんっ!今すぐお持ちしますw」

初老「お兄さんお兄さん、注文良いかな」

フリーター「少々お待ちください!」



フリーター(つらい)

つらいつらいつらいつらいつらいつらい…

―朝9時―

店長「おはっよ~」

フリーター「おはようございます」

店長「やっぱ君がいると助かるな~ 残業代もしっかりつけておくからね」

フリーター「ありがとうございます!」

フリーター(この褒め言葉にいつも救われている…店長を救っているはずなのに…)

―アパート―

テレビ「昼ナンデス~」

フリーター「もうお昼か…連勤だし、早く寝ないと…」

テレビ「今日は格安ランチ特集~♪」

フリーター「…」

テレビ「フェラナンデス君1号、今日はどこのお店に行くのかな?」ピョコピョコ

テレビ「新宿の有名料理店○○!実はこのお店のランチは実にお得ナンデス!」

テレビ「わ~うまそうだにゃ~っ!」ピョコピョコ

フリーター「あ、おいしそうだな・・・」

テレビ「お値段はなんと!1480円!」スタジオざわ~~~

テレビ「やっす~い!これならランチ女子会にぴったりですね!」

フリーター「ふざえてるよ…こんなの…」プチッ

フリーター「絶対おいしくないし、安くないんだ…」

フリーター「みんな見栄を張っているだけなんだ…」

フリーター「コンビニ弁当のほうがおいしいに決まってる。」

フリーター「寝よう…」

プルルルルルルルル プルルルルル…

フリーター「あっ!!!!!!!!!!」

フリーター「もしもし!?」

おばちゃん「何やってんのよ!!!!!!!!!」

フリーター「すみません寝てました!今すぐ行きます!」

おばちゃん「なに?私を苦しめようとしてるの?早く代わってよね!」

フリーター「今すぐ行きます…」

フリーター(最悪だ…寝坊した…)

ザーーーー

フリーター「雨だ…でも自転車で行かないと…時間が無い…」※いつもは歩いている

フリーター「危ないけど傘をさして行こう…」

ザーーーー

フリーター「濡れるなあ…でも制服に着替えれば問題は無い…」シャアー

ザ―――

警官「君!止まりなさい!」

フリーター「ああっ」

警官「傘をさしながら自転車をこいではいけません」

警官「君、大学生?」

フリーター「いえ…あ、あの、急いでるんです…」

警官「見ればわかるよ」

警官「君は大学生?」

フリーター「違います」

警官「なんだね、働いているのか」

フリーター「はい」

警官「それなら尚更許せないな・・・」

フリーター(尚更…?大学生だったら許されるのか…?)

フリーター(頑張って働いているのに、大学生はどうして許されるんだよ…)

フリーター(でも、傘さし運転が悪いんだ…寝坊したのが悪いんだ…)

警官「ちょっとだけ調べるよ、いいね」

―牛丼屋―

店長「終わりだね」

フリーター「え?」

店長「なんかもういいんだよ。次遅刻したら解雇って冗談で言ってたけどさ もういいわ」

フリーター「え…」

店長「だって君、何かと理由つけて結構遅刻するよね?」

フリーター「それは、警察に足止めされてり、ちょっと夜勤が続いて寝坊したり… 時計が止まってたりして…」

店長「それ、理由じゃないから」

フリーター「でも」

店長「でもじゃないから。普通は遅刻しないんだよ」

店長「君の事大学時代から雇ってて、ちょっと年上の子どもみたいに思ってたけどさ…いや、そう思ってるから言うけど」

店長「そういうところなんだよ、すべて 結局は。」

フリーター「…」

店長「君と同じ条件の人間がいても、寝坊しない工夫する人もいるし、警察に呼びとめられる危険性を排除してカッパを着てくる人だっているんだろうよ」

フリーター「…」

店長「はい、さっき頑張って給料計算した分。この封筒持って行って帰って ゆうて一日分なんだけど」

フリーター「…はい」

店長「一応言っておくね。いままでありがとうね」

―アパート―

フリーター「履歴書…履歴書書かなきゃ…」

フリーター「コンビニからでもいい…」

フリーター「這いつくばって生きるんだ…」

フリーター「もう夜勤はやめよう…遅刻してしまう…」

フリーター「・・・・・・・・」

フリーター「もう駄目だ」

フリーター「分かっていたけど」

フリーター「ずっと延命措置をして生きていたんだ…」

フリーター「仕事が決まらなかったその日から…」

フリーター「何が違ったんだろう…何が…本当に悪いのは自分だけだったのかな…」

フリーター「いっそ、悪いことでもやって」

フリーター「捕まってしまおうかな…」

ー3日後ー

先輩「あとはピッピッピとバーコード読むだけだから」

フリーター「はい」

先輩「いやぁ~。うちのコンビニさ、夜勤少なくて。俺と同じ時間入ってくれる人が来てくれて良かったわ~」

フリーター(結局、夜勤になっちゃった。。。でも、周りは優しい人たちだ。頑張れそうだ)

先輩(俺の後釜が出来たな あとはバックれるだけだ)

フリーター「頑張りますね!」

先輩「おう!」

ーアパートー

フリーター「いろいろ、考えたけど、やっぱり働いている」

フリーター「たぶん、牛丼屋は、俺には合わなかったんだ」

フリーター「新しいバイト先のコンビニは、店長も先輩も優しい」

フリーター「女子高生もかわいいし。。。」

フリーター「今度こそ、上手く行きそうだ」

何が?

フリーター「何で上手く行くんだろう。。。」

フリーター「コンビニの夜勤で、上手く行くって何だろう」

フリーター「お金をもらうことなのかな」

ーコンビニ 休憩室ー

先輩「今日まで一緒だな」

フリーター「はい」

先輩「仕事慣れてきたかい?」

フリーター「はい!先輩のお陰で!」

先輩「そかそか」

フリーター(今度はなんか、うまく行きそうだな)

フリーター「あ、先輩!LINE、教えてくださいよ!」

先輩「いいぜ。。。あっ、今日スマホ忘れたわ!最悪!」

フリーター「じゃあ、次の時で!」

先輩「おう。あ、客だ。お前まだ休んでて良いぞ」

フリーター「はいっ!」

フリーター(先輩、さっきスマホいじってたけど。。。)

フリーター(プライベートは別の人なのかな。)

ーアパートー

フリーター「今日は仕事が無い。久しぶりにテレビでも見るかな」

テレビ「大震災ー失業者は今」

フリーター「生きてるだけで丸儲けなんだ。。。」

フリーター「アルバイトだって仕事なんだ。誇れる仕事。社会を動かしてるんだ」

プルルルルル プルルルルル

フリーター「あれ、店長から電話?」

店長「あ、フリーター君?悪いんだけど今日、出てもらえる?」

フリーター「え?今日は、確か先輩だったような」

店長「あいつ、連絡取れなくなって、今もバイトこないんだよね。とりあえず代わりで出てもらえるかな?」

フリーター「はい!」

ーコンビニ 休憩室ー

店長「なんか悪いねぇ」

フリーター「いえいえ、それより先輩は大丈夫なんですかねー?」

店長「ありゃバックれかもな。」

フリーター「え?」

店長「俺も、何年もさ、コンビニ経営して、何人も雇ってきたけど、バックれとか普通なんだよなぁみんな」

店長「ま、アルバイトなんて責任感は無いし、そんなもんなのかなー」スパーッ

フリーター「先輩はバックれたりなんかしませんよー。」

店長「それならいいんだけどさ。君も辞めたりしないでな。俺、死んでしまうわ」

フリーター「とりあえず先輩がいない間は俺が出ますよ!」

フリーター「いらっしゃいませ!」

明くる日も

フリーター「いらっしゃいませ!」

明くる日も

フリーター「お弁当は温めますか?」

先輩は現れなかった

フリーター「ありがとうございました!」

身体に鞭を打った

フリーター「申し訳ありません!」

店長の言う、「アルバイトは責任感が無い」と言う言葉が悔しかった

フリーター(俺がいなきゃ、店は回らないんだ)

夜勤の日々を繰り返すこと約一ヶ月

お客さん「え!?ちょっと!」

僕は倒れた

ー病院ー

医者「あとは退院を待つのみです」

店長「ありがとうございます」

フリーター「ここは。。。」

店長「ごめんなフリーター君。俺がもっと早く気づいてりゃ。。。君は過労で倒れたんだ」

フリーター「えっ?」

店長「とりあえず、治療費とかは出しておいたよ。保険証とか無いから、ちょっと高かったけど」

フリーター「お店は???夜勤は???シフトは回るんですか???」

店長「落ち着いて」

店長「なんとか、なってるよ。なんとか、なるもんなんだ。結局。代わりはいたから大丈夫」

フリーター「。。。」

店長「だからもう、申し訳ないが、仕事はいい」

フリーター「え?」

店長「気づかなかった俺が悪いんだよ。今はほら、ブラック企業だとかそんな言葉あるだろ?」

店長「過労で倒れた人をまた働かせるなんて俺には無理なんだ」

店長「治療費を、手切れ金だと思ってくれ。 それじゃあ。ほら、シフト忙しいからさ。さようなら」

フリーター「店長!頑張れますよ!俺!」

店長「君が良くてもさ、世間は許さないんだよ。俺もブラック店長なんてレッテルは貼られたくないんだ」

フリーター「まさに、見知らぬ天井。。。」

フリーター「どうしてなんだろう」

フリーター「親にも役所にも頼らずに、自立して、アルバイトだって馬鹿にしないで、頑張ってるのに」

フリーター「何一つ、報われていない」

フリーター「生きてるだけで丸儲け、なんて、嘘なのかもしれない」

フリーター「もし、この治療費を、保険証の無い俺が払っていたら。。。」

フリーター「次のバイト、探さないと」

フリーター「…あいつは、あいつがばっくれてさえいなければ。今度こそ、上手く行ってたのに」

フリーター「考えてみれば、俺は悪くないんだ。、」

フリーター「レジはコンビニのアルバイト経験で慣れています!」

フリーター「記憶力は、あるほうです!前は牛丼屋でたくさんのオーダーを瞬時に覚えてました!」

ーーー職を転々としているようですが?

フリーター「前回は倒れてしまって、前々回は。。。店長と合わなくて」

ーーー倒れた!?病気持ちなのかい?

フリーター「いや、そうではなく、働きすぎで。。。」

ーーー分かりました。合否は明日までに連絡します。

フリーター「お願いします」

ーーー履歴書は一応、返却しますね

フリーター(また、返却された)

履歴書の職歴は転々としたバイトの店名で埋まった。

フリーター「なかなか、決まらないな」

やっとの思い出決まったバイト先は、

フリーター「私は悪くありません」

俺以外の何者かの力によって解雇に陥れられた

フリーター「本日からアルバイトで入ります!」

何件も

フリーター「俺のせいだって言うのかよ!」

まるで俺に死ねと言ってるような

フリーター「あーあー、やめてやるよこんな、クソバイト!」

それでも延命措置の人生はしばらく続いた

フリーター「次のバイトは。。。」

何のために生きているのかも分からず

底なし沼には底があった。

フリーター「働けますよ!」

ある、一定の期間を過ぎると、俺を雇う場所はなくなっていた

フリーター「生活のためなんです」

そりゃそうだ。こんか田舎、雇用は限られている。それに

フリーター「まだまだ力仕事は出来ますって!」

気がつけば30後半になっていた。

フリーター「クソが」

底なし沼の底に着いた時

フリーター「もうだめかな」

一本の蜘蛛の糸が垂れてきた

フリーター「お、雇用安定政策?期待できるかな?」

その蜘蛛の糸を掴むとそれは

フリーター「何も変わらねえじゃん」

先端に輪っかのついた縄になっていた

フリーター「生きてるだけで丸儲け、そんなこと、無かったな」

その輪っかを頭に通すのに、躊躇はしなかった

フリーター「生きるって何だろうな」

フリーター「さような」

プルルルル プルルルル

フリーター「もしもし!?え?採用?ありがとうございます!」

フリーター「え?明日から入れって?もちろんですよ!」

フリーター「はい、はい、はい、分かりました!」

清掃屋「こりゃあ酷い有様だ」

ー完ー

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom