リヴァイ「小さな贈り物」(32)



ハンジ「おーい! リヴァーイ!」

リヴァイ「あ?」

ハンジ「もうすぐ私の誕生日だから何贈るか考えといてね」

リヴァイ「ああ? なんでそんなもん考えねぇといけね――」

ハンジ「あ! ナナバー!」スタスタ

リヴァイ「……」


ナナバ「何? ハンジ?」

ハンジ「もうすぐ私の誕生日だからさ」

ナナバ「あぁ、分かってるよ。いつものようにちょっとした物贈らせてもらうよ」

ハンジ「うん、大仰な物はいらないからね」


リヴァイ「……」



――――――――――――


リヴァイ「アイツはいつも全員に贈り物をねだってやがるのか?」

エルヴィン「ん?」

リヴァイ「メガネだ」

エルヴィン「あぁ、ハンジか。そうだろうな」

リヴァイ「ふてぶてしい奴だな」

エルヴィン「ははっ、まぁそういうな。理由はあるんだよ」

リヴァイ「理由?」

エルヴィン「……君は誕生日にハンジから何も貰わなかったのか?」

リヴァイ「……貰った。スカーフをやたら沢山」


エルヴィン「それなら返すべきじゃないか?」

リヴァイ「……」

エルヴィン「ちょっとした物で構わない筈だ」

リヴァイ「……考えておく」

エルヴィン「もう戻るだろ? ついでにハンジにこれを返しておいてくれないか?」スッ

リヴァイ「巨人の資料? テメェで返せ」

エルヴィン「俺はまだ仕事が残っているんだ。今日中に返しておきたくてな」

リヴァイ「使いっぱしりにするんじゃねぇよ」

エルヴィン「頼むよ」

リヴァイ「……」チッ



―――
――



――コンコンコン


ハンジ「はいはーい」ガチャッ

リヴァイ「……」

ハンジ「おや、リヴァイ。どうしたの?」

リヴァイ「エルヴィンの使いっぱしりだ」スッ

ハンジ「あぁ、資料か。ありがとう」

リヴァイ「……前もそのパジャマじゃなかったか?」


ハンジ「そうだよ、よく覚えてるね」

リヴァイ「その柄は一度見たら忘れられねぇ」

ハンジ「巨人パジャマ! 手作り!!」

リヴァイ「無駄に器用さを発揮してんじゃねぇよ」

ハンジ「これともう一着しか持ってないんだよね」

リヴァイ「……二着だけなのか?」

ハンジ「寝るだけだからいいでしょ」

リヴァイ「よくねぇだろ……」

ハンジ「どっちも洗った時は私服で寝てるよ? たまに兵服のまま寝る事もあるけど」


リヴァイ「疲れねぇか?」

ハンジ「別に? 慣れたよ」

リヴァイ「そうか……」

ハンジ「それに研究室で夜を明かすことも少なくないからね」

リヴァイ「ちゃんと部屋で寝ろ」

ハンジ「大抵の睡眠を椅子で済ませちゃう人に言われたくないね」

リヴァイ「…………とにかく、返したからな」

ハンジ「うん。おやすみー」

リヴァイ「ああ」


――パタンッ



――――――――――――


ハンジ「ハピバ! 私!!」

リヴァイ「自分で言うな」

モブリット「ははっ、お誕生日おめでとうございます、ハンジ分隊長」

ハンジ「ありがとう!」

モブリット「どうぞ、これを」スッ

ハンジ「おぉ、悪いね」

リヴァイ「部下にもねだったのか?」

ハンジ「いいじゃん別に。ハンカチとかそういう小物しかねだってないよ」

リヴァイ「物がどうとかいう問題じゃねぇだろ」

モブリット「ま、まあまあリヴァイ兵長。
どのみちみんなハンジ分隊長の誕生日は知っていますから、ねだられなくても贈ってますよ」


ハンジ「だってさ」ニヒッ

リヴァイ「……」チッ

ケイジ「ハンジさん、おめでとうございます」スッ

ゴーグル「おめでとうございます」スッ

ニファ「どうぞ、ハンジ分隊長」スッ

ハンジ「おぉ! ありがとうね、みんな!!」ウヒョー!

リヴァイ「……」

モブリット「あぁ、丁度良かったみんな、演習について話があるんだ」

ケイジ「ああ、わかった。行こう」

ニファ「あ、先にプレゼント渡しちゃいましたけど夜はちょっとしたパーティーしますからね」

ハンジ「えー? それはいいよ、悪いよ」


ニファ「何言ってるんですか、もう準備しちゃいましたからキャンセルは無しですよ」

ハンジ「うはは、なら仕方ないな。嬉しいよ、ありがとう」

リヴァイ「……」

ハンジ「リヴァイも来てくれるよね?」

リヴァイ「気が向いたらな」

ハンジ「ちょっとくらいならお酒もあると思うよ?」

リヴァイ「……なら行くか」

ハンジ「あはは! 人類最強、お酒で釣れたよ」ケラケラ

リヴァイ「……」フンッ

ハンジ「さて、仕事しなきゃね。じゃ、リヴァイ、楽しみにしてるからね」フリフリ

リヴァイ「……」



―――
――



一同「「「「「おめでとうございます! ハンジ分隊長!!」」」」」

ハンジ「――――何これぇぇ!!」キラキラ+

*巨人を模した飾付け*

ハンジ「巨人だらけだぁぁ!! すげぇぇ!!」ワッヒョーイ!!

リヴァイ「……」ゲンナリ

ニファ「特別に許可を頂いて、飾付けしたんです」

ケイジ「飾付け……大変でした……」ドンヨリ

ペトラ「巨人のオーナメント、手作りなんですよ……」ドンヨリ


オルオ「頑張りました……」ドンヨリ

ハンジ「マジか!? あ、もしかしてエルヴィンが突然資料の借用要請したのってこれの為?」

ニファ「ええ、驚かせようと思いまして」フフッ

ハンジ「うっひゃあぁ!! ありがとう!! 貰って帰っていい!?」

エルド「お好きなだけどうぞ」

ハンジ「やった!! あれもいいな、あ、これも!!」

ゴーグル「全部持って帰っても大した量ではないと思いますよ」

グンタ「終わったらまとめておきますよ」

ハンジ「本当に!? ありがとうね!」

モブリット「……喜んで頂けて何よりですよ」

ハンジ「うん! 嬉しいよ! 本当にありがとぉぉぉ!!!」キラキラ+


リヴァイ「……気味の悪い集会だな……」

モブリット「言わないでください……みんな思ってますから」

リヴァイ「……そうだな」

ハンジ「ありがとう、みんな! まさかこんな飾付けしてくれて、こんなに集まってくれるとは!」

ペトラ「何言ってるんですか。当然ですよ」

ニファ「そうですよ!」

エルド「いつもお世話になっていますし」

ゴーグル「このくらいしても返せないくらいの恩もありますから」

グンタ「仕事で来れない奴も来たがっていましたよ」

ケイジ「あ、そいつらからプレゼント預かってますから後で渡しますね」

オルオ「まぁ俺が来ないと始まりませんし」フッ

ペトラ「……それ絶対兵長じゃないからね」


ナナバ「お祭り騒ぎが好きな連中も多いからね、おめでとうハンジ」

ハンジ「ナナバ、それはただの騒ぎ目当てになっちゃうんだけど?」

ナナバ「あはは、冗談だよ。はい」ポンッ

ハンジ「ありがとう! ハンカチだね」

ナナバ「小さい物の方がいいだろ?」

ハンジ「うん、いつもありがとうね」

ナナバ「どう致しまして」

ミケ「……」ポンッ

ハンジ「ミケ! わぁ、ありがとう!」

ミケ「大した物じゃない」

ハンジ「それでいいんだよ」

エルヴィン「ハンジ、おめでとう」ポンッ


ハンジ「エルヴィン! 仕事中じゃないの?」

エルヴィン「ああ、今は休憩中だ。すぐ戻るがな」

ハンジ「わざわざ持ってきてくれたのか……ありがとう」

エルヴィン「どう致しまして。ではな」スタスタ

ハンジ「うん、ありがとうねー!」フリフリ

リヴァイ「……」

ナナバ「リヴァイ、来たんだ」

リヴァイ「……酒に釣られた」

ミケ「お前も案外簡単だな」

リヴァイ「うるせぇな」

ナナバ「ま、飲むだけ飲んでいけばいいんじゃない?」


ニファ「はい、皆さんどうぞー。グラスひとつずつ取ってくださいね」カチャカチャ

一同「「「「「かんぱーい!!」」」」」

――ワイワイガヤガヤ……

リヴァイ「……」

ハンジ「リヴァイ、飲んでるー?」

リヴァイ「ああ、それ以外にする事ねぇからな」

ハンジ「私への祝いの言葉やプレゼントはー?」

リヴァイ「また一つ年取れてよかったな。プレゼントは忘れた」ズズズズ

ハンジ「わざわざ事前に言ったのに。あとそれ祝いの言葉?」

リヴァイ「祝いの言葉だが?」


ハンジ「まぁいいか、リヴァイだし」

リヴァイ「……」

ハンジ「後日でもいいからできれば頂戴ね」

リヴァイ「……ああ」

ケイジ「ハンジ分隊長!」

ハンジ「あ、はいはーい」スタスタ

リヴァイ「……」ズズズズ…

ナナバ「や、リヴァイ、飲んでる?」

リヴァイ「見ての通りだが」

ミケ「お前はザルだからな」

ナナバ「どれだけ飲んだら酔うの?」


リヴァイ「さぁな」カチャンッ

ミケ「もう飲まないのか?」

リヴァイ「俺がいたら無駄に酒が減る」ガタッ

ナナバ「だからってもう行くのかい?」

リヴァイ「……片付けには戻る」

ミケ「くっ、リヴァイらしいな」

リヴァイ「下手すると全員酔っ払って片付けしねぇままお開きになるかもしれねぇからな」

ナナバ「本当に掃除好きだね」

リヴァイ「散らかってるのが平気な方が分からねぇよ。じゃあな」スタスタ…

ナナバ「……行っちゃったよ」

ミケ「あれじゃちょっと酒飲みに来ただけだな」


ハンジ「あれー? リヴァイはー?」

ナナバ「帰ったよ。でも片付けに戻ってくるってさ」

ハンジ「えぇ? だとしても主役に一言くらい言っていけよ」

ミケ「片付けに戻るからいいと思ったんじゃないか?」

ハンジ「片付けにねぇ……」

ミケ「?」

ハンジ「……二人とも、今みんなで一発芸やってんだ。強制参加だよ!」

ミケナナバ「「!!」」

ナナバ「わ、私、ちょっと用事思い出した」

ミケ「エルヴィンを手伝わなければ」

――ガシッ!


ミケナナバ「「!!」」

ハンジ「逃がすと思う?」ニヤァ

ミケ「くっ……」

ナナバ「今回は何を……!?」

ハンジ「モノマネか、腹おどりが流行中」

ミケ「まだモノマネの方がマシか……?」

ナナバ「くっ! 早く逃げなきゃいけなかったのに忘れてた!!」

ハンジ「どちらかやらないと帰さないからねぇー」フフフー

ナナバ「どちらかじゃなくてもいいだろ!」

ミケ「やはりここはエルヴィンのモノマネだろうか……? いや、リヴァイの方が……」ブツブツ

ナナバ「なんであんたはやる気満々なんだ!」



―――
――



――カチャカチャ……


リヴァイ「……主役が片付けか?」

ハンジ「やぁ、リヴァイ……ぶはっ! 完璧お掃除スタイルだね!」ケラケラ

お掃除リヴァイ「掃除しに来たからな。一人でやってるのか?」

ハンジ「みんなには祝ってもらっただけで充分だったから帰ってもらったんだ」

お掃除リヴァイ「……お前は休んでろ、俺がやる」

ハンジ「あはは、いいよ。一緒にやろう」

お掃除リヴァイ「……」スタスタ…

ハンジ「あ、そうだ! ねぇ見て! プレゼントの山だよ!」


お掃除リヴァイ「小物が大量だな」

ハンジ「うん、そうリクエストしたからね。あまり大きい物貰っても返すの大変だし」

お掃除リヴァイ「返すのか?」

ハンジ「うん、ハンカチとかだけどね」

お掃除リヴァイ「そうなのか」

ハンジ「……」スッ

お掃除リヴァイ「なんだ? その手は?」

ハンジ「その包み、ごみ袋じゃなくて私への贈り物でしょ?」ニコー

お掃除リヴァイ「……ほら」ボスッ

ハンジ「おっと。ふふっ、掃除する為の準備だけじゃなく、
これ部屋に忘れたから取りに戻ったんだよね?」ガサガサ

お掃除リヴァイ「……さぁな」


ハンジ「なぁんだろなぁ? 楽しみぃー」ウキウキ

お掃除リヴァイ「……」

ハンジ「おぉ……パジャマだ」

お掃除リヴァイ「二着しかねぇとか言ってただろ」

ハンジ「マジか! ありがとう!! 大事にするよ!」ヘヘッ

お掃除リヴァイ「……みんなにねだっている理由ってのはなんだ?」カチャカチャ

ハンジ「えっ?」

お掃除リヴァイ「ふてぶてしいだけじゃねぇんだろ?」カチャンッ

ハンジ「……んー……小さな物ならさ、ずっと持っていられるだろ?」

お掃除リヴァイ「あ?」ゴシゴシ

ハンジ「大きなものだと大変だからね……使った後、くれた人の名前を書いて保存しているんだ」

お掃除リヴァイ「……」ゴシゴシ


ハンジ「そして私のも小さな物なら持っていてもらえるかなって思ってさ」ゴシゴシ

お掃除リヴァイ「……先に言え。大きなモン渡しちまっただろうが」チッ

ハンジ「あはは! そういやあなたには言ってなかったっけか。小さな物でいいって」

お掃除リヴァイ「ああ、エルヴィンからちょっとした物とは言われたが、小さな物とは聞いてねぇ」ポイッポイッ

ハンジ「ごめんごめん、でも嬉しいよ。ありがとう、リヴァイ」ポイッ

お掃除リヴァイ「……なぁ」ガサガサッ

ハンジ「何?」

お掃除リヴァイ「……それを見てツラくなったりしねぇのか?」ガサッ…

ハンジ「……いいや? だってさ、リヴァイ。
みんな……突然いなくなっちゃうからその場で‘何か’を持ち帰るのは難しい事が多いでしょう?」

お掃除リヴァイ「……」

ハンジ「残ったものは家族の元に送られる。当たり前だけどね」


ハンジ「でもさ……」

ハンジ「私が彼等から貰った物は私の物だから……私の元に残せる」

お掃除リヴァイ「……」

ハンジ「生きた証を持っておけるなんてこんなありがたい事はないよ。
私のも誰かがずっと持っていてくれるかもしれないし」

お掃除リヴァイ「……」

ハンジ「だからツラくはないよ」

お掃除リヴァイ「そうか……」

ハンジ「うん。それにあなただって持って帰れる時は持ち帰っているじゃないか」

お掃除リヴァイ「……」

ハンジ「私は先に渡して、そして頂いておくことにしただけだよ」

お掃除リヴァイ「……そういや俺にも小さな物とは言えねぇ物贈ったな?」ガサガサッギュッ


ハンジ「いや、そうでもないでしょ。それにあれだけ贈ったらそうそう無くならないだろうし」

お掃除リヴァイ「……まぁ、な」ドサッ

ハンジ「ふふっ、大事にしてね?」

お掃除リヴァイ「……毎日変えているんだ。すぐにダメになる」フキフキ

ハンジ「えぇー?」

お掃除リヴァイ「だから今年もよこせ」

ハンジ「!」

お掃除リヴァイ「必ずだ」

ハンジ「あ……」

お掃除リヴァイ「片付いた。後は皿やらコップやらを洗うだけだ」

ハンジ「おぉ!? 速ぇ!!」

お掃除リヴァイ「お前はもう戻れ。俺がやっておく」


ハンジ「え……でも」

お掃除リヴァイ「お前が洗うと皿やコップが生き残れる気がしねぇ」

ハンジ「失礼だなぁー。でもま、今日はお言葉に甘えるよ。ありがとう、リヴァイ」

お掃除リヴァイ「……ああ」

ハンジ「……おやすみ」

お掃除リヴァイ「……」



――スタスタスタスタ……


ハンジ「……ふっ、くくく……“必ず”か」

ハンジ「……頑張って生き残らなきゃ……約束は守らないといけないからね」クスッ



――――――――――――


ハンジ「リヴァイ、おはよう!」

リヴァイ「朝から馬鹿みてぇに元気だな」

ハンジ「リヴァイは朝だというのに陰気だね」

リヴァイ「うるせぇな」

ハンジ「昨日の、跡形もなく綺麗になっててびっくりしたよ」

リヴァイ「当然だ」

ハンジ「あはは! さすがリヴァイだわ!」

リヴァイ「……」

ハンジ「……ねぇ」


リヴァイ「あ?」

ハンジ「来年のプレゼントも期待しているからね?」

リヴァイ「……」

ハンジ「忘れちゃダメだよ?」ニヒッ

リヴァイ「ああ……」

ハンジ「約束だからねー、じゃね」スタスタ…

リヴァイ「……」

リヴァイ「………約束、な」





おしまい

山もなけりゃ谷もない
見てくれた方ありがとうございましたーノシ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月29日 (月) 18:11:42   ID: GOm3Boi2

ハンジさんいい奴っつ!(;o;)
乙よかった!!!!!!

2 :  ✨リヴァイ✨   2014年12月24日 (水) 15:36:35   ID: xBBpdUe5

乙!いい話でした!仲間っていいなーって思ったよ!!ぜひまた書いてください*\(^o^)/*リヴァハン大好き!!

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