森久保乃々「ふふふ……『もりくぼの森』ですけどぉぉぉッ!!!!」 (79)

モバマスSSです。

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森久保乃々「あわわわ……こ、こんなお仕事、むーりぃー……」ガタガタ


P「乃々ーっ!頼むから降りてきてくれー!」


乃々「い、いやですけど……降りたらこのままお仕事だって、知ってますけど……」


緒方智絵里「の、乃々ちゃん!大丈夫だから、一緒に頑張ろう……?」


乃々「あぅ……い、いえ、緒方さんには騙されませんけど……」


智絵里「!」ガーンッ


P「智絵里!」


向井拓海「……はぁー、仕方ねぇな。アタシがやってやっから、変わってくれ」


智絵里「た、拓海さん……!」



拓海「よっと……ほら、乃々。みんな困ってんだろ」ヒョイッ


乃々「!!」


拓海「恥ずかしいってのも分かるけどよ……だったらさっさと終わらせた方がいいだろ?」


乃々(あぁ……セクシーでワイルドでこわいライオンさんが……!!!)


乃々(食べられる……あぅぅ、短い命でしたけど……でも、それよりも…………)


乃々(…………………………………だ)


乃々「…………嫌だ」ボソッ


拓海「ん?」


乃々「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…………こんなお仕事、もう嫌なんですけど…………!!」


拓海「の、乃々?!」


乃々「ふふ、ふふふ、ふふふふふ……!!!」ゴゴゴゴゴゴ……


拓海「どうしたんだよ!?おいP、なんか乃々がおかしく……っ!!」


P「た、拓海?!」


智絵里「拓海さんっ!?」


乃々「だったらお仕事も、何もかも……!!」ドドドドドド……


拓海「おい乃々ッ!!だからどうしたんだよッ!!?」




ドドドドドドドド……!!!




乃々「ふふ、ふふふふ……『もりくぼの森』ですけどぉぉぉッ!!!!」カッ





P「うわぁぁぁぁぁっ!!?」


拓海「あぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」


智絵里「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」





――――――――――――



――――――――



――――



――――



――――――――



――――――――――――



パチッ



P「あ、あれ……?」



P「!」



P「ここは……っ!?」



ザワザワザワザワ……


ホロロロロロロ……


ジジジジジジ……




P「さっきまで俺は……スタジオにいたんだよな……?」



P「これじゃ、まるで……森じゃないか……!!」




P「……乃々!!」




P「拓海!!!智絵里っ!!!!」




シーン……




P「クソッ……ダメだ、返事が帰ってこない……!!」




P「どうなってんだ……!?」




フラフラ……


P「とりあえず歩いているが……誰もいないな……」


P「ここはどこなんだ、みんなは無事なのか……!?」ゴクッ




P「どれくらい……経ったんだろう……」


P「さっきも同じ道を通った気がする……」




P「……だ、大丈夫だ……みんな、ちゃんと無事なんだ……」


P「……大丈夫だろ!?大丈夫なら返事しろよッ!!?」



ガサッ


P「!」



ガサガサッ


P「だ、誰かいるのか!?」



P「乃々!?」


P「拓海か!?智絵里かっ!?」


ガサッ……


??「あっ……」


P「!」


岡崎泰葉「P、さん……!!」


P「泰葉!!」


泰葉「Pさん、本当に、Pさん……ですよね……!?」ブワッ


泰葉「あ、あれ、おかしいな……私、どうして涙が……」グスッ


P「泰葉ぁぁぁぁっ!!!」ギュゥッ


泰葉「うっ……ぐすっ、Pさん……っ!!」ボロボロ



泰葉「うあぁぁぁぁぁ……!!」


――――


P「落ち着いたか、泰葉?」


泰葉「あ……はい。ありがとうございます」


泰葉「……Pさん、この森ができる前のこと、覚えていますか?」


P「森ができる前?」


泰葉「はい。私は千夏さんや真尋さん、悠貴ちゃんと一緒に衣装を合わせてました」


泰葉「そうしたらいきなり、地鳴りみたいなのが聞こえて……」


泰葉「……気付いたら、誰も、いなくて……」グスッ


P「……そうか」ポンッ


ナデナデ……


P「俺は、乃々と拓海と智絵里の三人を見ていた」


P「そしたら乃々が恥ずかしがったのか、セットの上に隠れたんだ」


P「拓海が乃々を説得しようとセットに足をかけたら、乃々の様子がおかしくなって……」


泰葉「乃々さんが……?」


P「そしたら、スタジオが森になってて、みんなとはぐれてて……」


P「森を彷徨っていたら、泰葉に会ったんだ」


泰葉「そう、ですか……」


P「……あれ、確か……」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



乃々『ふふ、ふふふふ……『もりくぼの森』ですけどぉぉぉッ!!!!』カッ



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



P「もりくぼの……森……?」


泰葉「もりくぼの森、ですか?」


P「確か乃々が、そう言ってたような……」


泰葉「……もりくぼの森、乃々さんの森……」


P「どうした?」


泰葉「もしかして、乃々さんが隠れるための森じゃないかな、って思うんです」


P「乃々が隠れるための、森?」


P「そんなの、どうやって……」


泰葉「でも、実際に私達は森にいますよね。スタジオにいたはずなのに」


P「……」



泰葉「まるで魔法みたいですけど……これは、乃々さんが逃げるためだったんじゃないでしょうか」


P「……そう、信じるしかないか……」


泰葉「私もそうだとは言い切れませんけど、きっと……」


P「そしたら、乃々はどこに……!」


泰葉「……分かりません。でも、きっと森の奥にいると思います」


泰葉「森から出たら、お仕事が待っている……乃々さんがそう思っているかもしれませんし」


P「そうか……」



P「泰葉はここで待ってろ。俺は乃々に助けに行く」


泰葉「Pさん!?」


P「……何があるか分からないからな。それに、他のみんなもこの近くにいるかもしれない」


泰葉「でも……私も、乃々さんを助けに行きます!」


P「……無理だけはするなよ、泰葉」


泰葉「はい……!」


ザッザッザッ……


P「……進んでも進んでも、ずっと森しかないな……」


泰葉「そうですね……」


P「無理するなよ泰葉、衣装のままでずっと歩きっぱなしだし……」


泰葉「いえ、大丈夫ですよ……!」




P「はぁっ……はぁっ……本当に奥に、進んでいるのかっ……!?」


泰葉「……!」


ドサッ


P「泰葉っ!!?」


泰葉「だ、だいじょう、ぶ……です……」ゼェハァ


P「どうしたんだ泰葉!?大丈夫じゃないだろ!!?」


泰葉「P、さん……何か、少しずつ……変なものを、感じませんか……っ」


P「変な、もの……!?」


泰葉「はい……だんだん、私の心のなかで……何かが、なにかが……」


P「どうしたんだよ泰葉!!?しっかりしてくれ!!」


泰葉「Pさんは……気を確かに……きっと、みんな……」


泰葉「みんなが――」


P「泰葉っ!!泰葉っ!!?」







P「泰葉ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」






泰葉「……ふわぁ……」



泰葉「……あの、Pさん……もう私、歩くのもお仕事するのも、むーりぃー……なんですけど……」



P「……えっ?」



泰葉「私はひつじですし……このまま、乃々さんの森でぐっすり寝ていたんですけど……」ゴロンッ



P「おい、泰葉。何してんだよ。乃々の真似は上手いけど……」



泰葉「この森が消えたらお仕事とか……おかざきには、むーりぃー……」



P「……おい?!泰葉!!?しっかりしろ!!!」



P「あ……あぁ……な、なんてこった……」















P「泰葉が乃々になっちまった……」














P「どうなってるんだ……!!?」


P「いや、待てよ……ここは『もりくぼの森』なんだ……」


P「もしかしたらここにいると、みんな乃々みたいに仕事をせず森に帰りたくなるんじゃ……!!?」


P「泰葉!!泰葉しっかりしろ!!」


泰葉「眠くて……むーりぃー……」フワァ


P「……っ!!」



P「もう、泰葉はダメだ……乃々化してしまった……」グスッ


P「……」ヒョイッ


P「泰葉、せめてしっかり捕まってろよ……」


泰葉「それくらいなら、頑張りますけど……」


泰葉「Pさんの背中……温かくて……すりーぴぃ……」スゥ


ザッザッザッ……


P「…………」


P(こっちの方向に歩いていたら、泰葉の乃々化が進んでいった……)


P(もしかしたら、こっちに乃々がいるのかもしれない……)


P「…………」


泰葉「すぅ……」スヤスヤ


P「待ってろ泰葉、もう少しで元に戻れるからな……」



ザッザッザッ……


P「どれくらい……俺は、歩いているんだ……」


P「さっきから、奥に進んでいる気がしない……」


泰葉「ん……」モゾッ


P「泰葉……」




P「本当に……泰葉は、元に戻るんだよな……?」


P「俺は、俺達は……元の世界に、帰れるんだよな……?」


P「…………」


ザッザッザッザッ……


P「…………?」


P「何か、聞こえる……?」



……!!



P「誰か居るのか……?」



……プロデューサーサンッ……!!



P「!!」


P「おーいっ!!誰かいるのかーっ!!!」


ザッザッザッ……!!


P「はぁっ、はぁっ……おーいっ!!」



ガサガサガサッ!!


乙倉悠貴「プロデューサーさんっ!!!?」


P「ゆ、悠貴!?大丈夫か!?」


悠貴「は、はいっ!でも向こうに真尋さんと千夏さんがっ……!!」グスッ


P「分かった!案内してくれっ!!」


悠貴「はいっ!!」グスッ


――――


北川真尋「ちゅー……ふふ、ねずみいいよね……お仕事は、したくないけど……」


相川千夏「首を長くしてお仕事を待ってたけど……やっぱり、むーりぃーだわ……」


P「真尋!千夏!!」


悠貴「私がお二人を見つけた時には、もうっ……」グスッ


悠貴「どうしていいか、分かんなくてっ……うっ、ううぅ……」ポロポロ


P「やっぱりか……やっぱり、みんな乃々化してしまうのか……!!?」


P「お、俺は……乃々化は……い、嫌だっ……」ゾワッ


悠貴「プロデューサーさんっ……?」


P「悠貴……」




P「…………」


P「……うおおおおおおおおおっ!!なーにがもりくぼの森じゃあっ!!」


悠貴「わっ、ぷ、プロデューサーさんっ!?」


P「みんなが乃々化する!?仕事をしたくない!!?ずっと森に隠れていたい!!!?」


P「俺は仕事がしたくてしたくて堪らないんだッ!!!!」


P「お前達の、みんなの輝く姿や笑顔が見れるならっ!!!」


P「いつかアイドルを辞めた時に、アイドルをやってよかったって笑ってくれるならっ!!!!」


P「俺はいくらでも働く!!!みんなが見せてくれる一瞬の輝きのために、俺はいるんだッ!!!!!」


悠貴「……っ!」



P「いいかっ乃々ッ!!!俺は忘れていないからなっ!!!」


P「乃々が辞めたくならないアイドルになりたいって、言ってくれたのを覚えているからなッ!!!!!」


P「どんなことがあってもお前を支えるって、約束したんだからなーッ!!!!!!」



P「……はぁー、スッキリした……」


P「あっ!!ご、ごめんな、悠貴!?」


悠貴「い、いえ……私は、大丈夫ですから……っ!」ツーッ


P「……悠貴。こっちおいで」


悠貴「あ、あのっ……こ、これはっ」


P「一人で、心細かったんだろ。先輩が二人とも、乃々みたいになって……」


悠貴「……はいっ」グスッ


P「大丈夫だ。俺がついてる」


悠貴「はいっ」ポロポロ


P「……よく頑張ったな」ナデナデ


悠貴「うぅぅ……!!プロデューサーさぁんっ……あぁぁぁぁあぁ……!!」


――――


P「みんな、一人で辛かったんだな……」


悠貴「みんな、ですかっ?」


P「ああ。泰葉もそうだったんだ」


悠貴「そうですかっ……あのっ、プロデューサーさん。この森っていったい……」


P「……さっき、泰葉と話してたんだが……」



悠貴「みなさんが乃々さんみたいになる……『もりくぼの森』ですかっ……」


P「かもしれない。だって、こんなの非現実的だろ」


悠貴「でも、現実に起こっているんですよねっ……」


P「ああ……信じて貰えるかはわからないけど、さっきまで泰葉は平然としてたんだ」


悠貴「いえっ……私は、信じますっ」


P「そういえば、さっき泰葉が倒れたときに……何か変なものを感じるって」


悠貴「変なものですかっ?」


P「ああ……そういえば、悠貴は大丈夫なのか?」


悠貴「あれ……本当だ、なんともないですっ」


P「一体何が原因なんだ……?」



悠貴「……そういえば、みなさんと衣装を合わせる前に乃々さんを見かけましたっ」


P「本当か!?」


悠貴「はいっ!あの、その……お手洗いから戻る途中だったんですが……」


悠貴「乃々さんが誰か男の人と話しててっ……少し泣きそうになってましたっ」


P「その、誰かって……流石にそこまでは分からないか」


悠貴「はいっ……ごめんなさい、あんまりお役に立てなくて……」


P「ううん、ありがとな悠貴」


P「……やっぱり、原因を確かめるには行くしかないか……」


P「悠貴、どうする?ついてくるか?」


悠貴「えっ……わ、私は……」


悠貴「ついて行きたいですけど、お二人がっ……」


P「あ……」



真尋「まひろでちゅー……あははっ……」


千夏「自然体で……いいわね……」


悠貴「お二人が心配ですしっ、泰葉さんも……」


泰葉「すぅ……」


P「……」


P「……真尋、千夏。立てるか」


真尋「えー……何するの、Pさん……」


P「えっと……そうだ」


P「こんな森の中で寝てたら風邪引くからぞ。あっちに小屋があるから布団で寝よう」


千夏「……そうね……あれ、でも私達は動物でしょ……?」


P「それは衣装だけだ。ほら、歩けるか?」


千夏「うーん……」


P「悠貴、千夏に肩貸してあげてくれ」


悠貴「はいっ!」


P「真尋は……ごめんな。泰葉がいるから肩は貸せないけど、ほら」


真尋「うん……分かったけど……」


P「手を離すなよ。転ぶぞ」



P「……みんなを、置いていけないからな」


悠貴「もちろんですっ!みなさん、大切な先輩ですからっ……!」


P「ごめんな悠貴、巻き込んでしまって……」


悠貴「……仕方ないですよっ」


悠貴「私っ、プロデューサーさんやみなさんと一緒にお仕事できるのがとっても楽しみですからっ!」


悠貴「だからっ……私も頑張りますっ!!」


P「……そっか。ありがとな」


ザッザッザッ……


P「だいぶ歩いたな……悠貴、大丈夫か?」


悠貴「はいっ……まだ、なんとかっ……」


P「……」


P「一旦、休憩しよう」



P「……そういえば、何かポケットに入ってないのか……?」


悠貴「あっ、確かに……!」


P「携帯……あれ、電源付かない……」


悠貴「私もですっ……!」


P「他に……何か使えそうなもの……っ!」


悠貴「何かありましたかっ?」


P「……悠貴、ほら」スッ


悠貴「あっ……飴、ですかっ」


P「うん。悠貴にあげるよ」


悠貴「えっ、でもっ……」


P「俺の分もあるから」ヒョイッ


悠貴「……じゃあ、ありがとうございますっ」パクッ



悠貴「……なんだか、落ち着きますねっ」


P「ずっと張り詰めたまま、歩いてばっかりだったからな」


悠貴「そうですねっ……あの、プロデューサーさんっ」


P「どうした?」


悠貴「……さっきは、ありがとうございますっ」


悠貴「なんだか恥ずかしいところ、見せちゃいましたねっ」クスッ


P「俺だって、カッコ悪いとこ見せちまったしな」ハハッ



悠貴「……よしっ!行きましょう、プロデューサーさんっ!」


P「おう!」


――――


ザッザッザッ……


悠貴「……あれっ?プロデューサーさんっ、あれって……」


P「……本当だ、木々が開けてる……」



ガサガサ……


P「……!」


悠貴「プロデュ……んっ」モゴッ


P「静かに……!」ボソッ



P(あそこにいるのは……間違いない!)



P「……乃々!」


乃々「ひゃぅっ?!」


P「やっと見つけた……乃々、ここにいたのか」ガサッガサッ


悠貴「あっ、見てくださいプロデューサーさんっ!」


P「!」



拓海「アタシが……百獣の王とか……むーりぃーだっつってんだろ……」


智絵里「ちえりだぴょん……うぅ、やっぱり私には……」



P「拓海、智絵里……これで、みんな見つかったな……乃々!」


乃々「ひぃっ……ど、どうしてここまで来れるんですか……」


P「ってことは、やっぱりこの森には何かあるんだな?」


乃々「あ、あぅ……」


乃々「というか……どうしてプロデューサーさんと乙倉さんには効いていないんですか……」


悠貴「もしかしてっ、みなさんがお仕事がしたくなくなった原因って本当に……」


乃々「はい……もりくぼがやりましたけど……皆さんの持ってるお仕事への不満を、ちょっと開放しただけですけど……」


P「だからみんな、乃々みたいにやる気がなくなっていたのか……」



P「……ん?お仕事への不満?」


悠貴「!」


P「……ほら、悠貴!言ってやれ!」


悠貴「はいっ!あのっ、乃々さんっ!」


乃々「な、なんですか……」


悠貴「私はお仕事が、とっても楽しくて!不満なんてありませんっ!!」


悠貴「確かに生野菜を食べるのはびっくりしましたけどっ……だって、アイドルが!」


悠貴「アイドルが楽しいからっ!!だから、私はもっとお仕事がしたいんですっ!!」


乃々「!?」


P「ついでに俺からも言わせてくれ」


P「俺達が思っている仕事への不満を、ちょっと開放した、だって……?」


乃々「そ、そうですけど……」


P「へぇ……?いいか、乃々……」



P「俺はッ!!!社畜だッ!!!!」


乃々「!!!?」


P「……それに、乃々が仕事したくない理由……なんかあるんだろう?」


乃々「あっ!い、いえ……それはお仕事が、恥ずかしいから、です、けど……」


P「それくらい分かるぞ。付き合い長いんだし」


乃々「あぅ……」


P「ほら、はやく戻ろう。さっさと仕事なんて終わらせちまおう、な?」


乃々「と、とにかくむーりぃー……このお仕事だけは……!!!」


乃々「……み、皆さん……突撃ですけどぉッ!!!」



P「!?」


悠貴「の、乃々さんっ!?」



拓海「なぁP……いいだろぉ?このまま仕事しなくたってよぉ……」ゾロゾロ


智絵里「悠貴ちゃん……やっぱりこういう衣装って、恥ずかしいよねっ……むーりぃーだよね……?」ゾロゾロ


P「まるでゾンビだ……なっ!?」ガシッ


泰葉「ねぇ……Pさん……?このまま私と一緒に寝てましょうよ……お仕事なんて忘れて……」ギュゥゥ


千夏「悠貴ちゃん……ほら、お仕事なんかしなくても……こうしていましょう……?」


真尋「ほら……Pさんも悠貴ちゃんも……ねー?」


悠貴「うぅっ……みなさんっ……!!」


P「わぁっ、やめ、あっ!!」ドサッ


拓海「じっとしてろよP……ほら、そんなに働くこともねぇだろ……?」


智絵里「悠貴ちゃん……一緒にのんびりしてようよ……?お仕事なんて、忘れて……」


悠貴「プロデューサーさんっ!!!」



悠貴「うぅぅ……やめてください、みなさんっ……!」グスッ


乃々「いやですけど……もりくぼはずっと、ここで……」


悠貴「私は、私はっ……!!」


悠貴「ずっと憧れてた、可愛いアイドルになりたくてっ……!!」


悠貴「プロデューサーさんや、みなさんに出会って、可愛いアイドルに近付いたのにっ……!!」ドドドドドド……!!!


乃々「お、乙倉さん……!!?」


P「こ、これはまさかっ!!」



悠貴「だから、だからっ……一緒に頑張りましょうっ!?」グスッ


悠貴「恥ずかしくても、嫌なことがあっても……私は、乗り越えたいんですっ!!」


悠貴「ずっとダメだと思ってた私を、皆さんが変えてくれたから……っ!!!」ゴゴゴゴゴゴ……!!!



乃々「あわわわ……!!!お、乙倉さん、それだけは本当にむーりぃー……!!!!」


悠貴「……!!」キッ!!


悠貴「私もっ……!!!乃々さんが『もりくぼの森』ならっ……!!!!」



ドドドドドドドド……!!!




悠貴「『おとくらの倉』ですっ!!!!」カァッ




乃々「いーやーあー……!!!」





乃々「あっ、や、やめてほしいんですけど……!!!」





ギギギ……





乃々「あ、待って、待っ――」
















バタン




P「……終わったのか?」



ゴゴゴゴゴゴ……



悠貴「あっ!見てください、プロデューサーさんっ!」



P「森が……消えてゆく……」



悠貴「ほらっ、森がスタジオに戻ってますっ……!」



P「……やっと、終わったんだな」



悠貴「……はいっ!」


P「……そうだ、皆は!?」


拓海「ん……あ、あれ……アタシ、こんなところで何してんだ……?」パチッ


智絵里「ふわぁ……って、ええっ!?も、もしかして私、寝ちゃってました……!?」


P「……!!!」ブワッ


P「拓海っ!!智絵里ーっ!!!」ガバッ


拓海「なっ!?何してんだよP!?離れろ気持ち悪い!!」グイッ


P「良かったなぁ……!!本当に良かったなぁ……!!!」グスッ


智絵里「え、Pさん……!?ほ、ほら、泣かないでください……!」アワワワ


拓海「アタシら衣装着てんだから!!何だか知らねぇけど考えろっての!!」


悠貴「あ、あはははっ……ほらプロデューサーさん、ハンカチですよっ」


P「うぅぅぅぅぅ……!!」ボロボロ


――――


P(それから。乃々を除く皆は、スタジオに倒れていた)


P(意識を失っていただけ……らしい)


P(時計は……不思議なことに、5分しか進んでいない)


P(なんだったのかは、よく分からない。皆に聞いてみたが……)



泰葉「もりくぼの森……?なんだか可愛い響きですね」


真尋「それで、もりくぼの森がどうしたのっ?」


千夏「……?それより、乃々ちゃんはどこにいったのかしら」



P「……みんな、覚えていないらしい」


悠貴「本当に、何だったんでしょうねっ……?」


P「さあなぁ……俺には分からん」


P(残ったのは俺と悠貴の記憶と、ふたつの飴の包み紙だけだった)


P(それから……『おとくらの倉』だが)


P「まだ残ってる……」


悠貴「こういうところに閉じ込められるのって、怖いですよねっ……」


P「ああ、考えただけでもぞっとするな」



ギギギ……



悠貴「開きましたっ」


P「乃々!大丈夫、か……」




P(結論から言うと、乃々は無事だった……が、しかし)


乃々「ぷ、プロデューサーさん……!!撮影はもう終わっちゃいましたか!?」


P「の、乃々……?」


乃々「その……プロデューサーさんや、皆さんが似合うって言ってくれたから……」


乃々「が、頑張ろうと思ったんですけど……!!」


悠貴「乃々……さん……!?」


P「どうした乃々!?」


乃々「あんまり目立つのは苦手ですけど……プロデューサーさんがちゃんと見てくれればもりくぼは……」


P「……乃々!」


乃々「は、はい……?」


P「……頑張ろうな」


乃々「……はい、ですけど……!」



P(今日一日、悠貴のフレッシュさが伝染った)



P(乃々が仕事をしたくない理由は……)


乃々「あ、あの……こうですか……ひゃっ!」パシャッ


「ぐふふふ……いいよぉ乃々ちゃん……!!次はこうやって……!!」


乃々「ひぃぃ……で、でも、頑張りますけど……あっ!」パシャッ


「うへへ……おっと、失礼……!」ダラァ


乃々「あの、ちょっとカメラが近すぎる気が……!」



P(間違いなくこのカメラマンだろうな。腕以外は最悪だと業界でも有名な奴だ)


P(セクハラまがいの行為が多くて……トラウマを持ってる人は多いと聞く)


P「……失礼、流石にやり過ぎではありませんか?」


「な、何を言っているんだい……!!僕のやり方に文句があるのか!!」


P「乃々が怖がっています。ただの撮影ですよね?私情はお控えください」


「うるさいな、君は僕が誰だか知っているのか!?」


P「ええ。カメラの腕だけは確か、他は評価に値しないと」


「この……!!」


P「……ああ、調度良くこんなところにスタドリの瓶が」スッ



ググググ……


パリンッ!!


「!!?!?」


乃々「ひゃぁっ!!?」


P「……おっと、失礼」


P「……ところで、髪の毛に糸くずが付いていますが……お払い致しましょうか?」


「ひ、ひぃぃ……!!!」ドサッ


P「おお!尻餅をついたら糸くずが取れましたよ!よかったですねぇ」ハハッ


P「それじゃあ、割ってしまった瓶を片付けますので……くれぐれも、粗相のないようお願いしますね」


「は、はひぃ……」ガタガタ


P「それじゃ乃々、頑張るんだぞ」


乃々「え、えっと……はい……」


――――


P「お疲れ様、乃々」


乃々「あ……ありがとう、ございます……ですけど」


P「……もしかして、あのカメラマンが嫌だったのか?」


乃々「……はい……その、さっき通路ですれ違った時に……声をかけられて……」


乃々「可愛いね、とか言ってくれたんですけど……すごく、目つきとかが気持ち悪くて……」


乃々「肩を掴まれて……襲われるかと思ったんですけど……」グスッ


P「……ごめんな、気付いてやれなくて」


乃々「いえ……プロデューサーさんが、助けてくれましたから……」


乃々「やっぱり、プロデューサーさんと一緒なら……少しだけ、頑張れそうですけど……」ニコッ


P「……そっか」


P「なぁ、乃々……アイドルは、楽しいか?」


乃々「アイドル、ですか……?」


乃々「……分かりません」


乃々「でも……辞めたくないアイドルには、なれそうです……」


P「そうか」


乃々「はい……だって、岡崎さんや乙倉さん……事務所の皆さんが一緒ですし」


乃々「何よりも、プロデューサーさんが……もりくぼを、ううん……」


乃々「私を支えてくれますから……辞めたく、ないですけど……」ニコッ


P「……ありがとな」ポフンッ


乃々「え……」


P「そう言ってくれると、嬉しいよ」ナデナデ


乃々「そ、そうですか……えへへ……」


乃々「うぅ……でも、なんだか恥ずかしくなってきたんですけど……」カァァァ


P「そうか?俺はちゃんと、乃々の思ってることが聞けて嬉しいけどな」


乃々「あぅ……ずるいんですけど……」



乃々「そ、そんなプロデューサーさんは……もりくぼの森にご招待してあげませんけど……」


P「!!!?」


乃々「え、あ、あの……そんなに、驚かなくても……」


P「い、いや……ごめんな」



乃々「……もりくぼの森で、プロデューサーさんと二人で、お仕事もせずに暮らすんです」


乃々「いいと思いませんか?」


P「……まあ、数十年後くらいにそうなったら……いいなと思うよ」


乃々「ふふ……それまでは、その……アイドル、頑張ってもいいかなって、思ってます」ニコッ

おわり!
ありがとうございました!

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