(学園都市 とある公園)
??1「いやー、ここが学園都市か。やっと着いたぜ」
??2「しかしビルがスゲーや。ウチの地元なんか目じゃねーな」
自動販売機(バチッ!、ジーガー…、ゴトン)
??1「ってーと、とりあえずどこ行きゃいいのかね…お?なんか自販機にケリ入れてる人が…」
??2「懐かしいなー。俺もガキの頃よくやったなー」
御坂「…」
??1「あの人は確か…。おーい!!」
??2「あ、おい待てよ」
御坂「…?(誰よアイツ等…見ない顔ね…)」
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??1「いやいや、そこにいらっしゃるのは学園三位の能力者、(超電磁砲:レールガン)こと御坂美琴さんではないでしょうか?」
御坂「だったら何よ…サインならお断りよ」
??1「いやいや、おれも運がいい。学園に来ていきなり会えるとはねえ…」
??2「おい、第三位ってめちゃくちゃ強い能力者なんじゃねえの?しかもレールガンって名前からして危険度がハイレベルなんですけど…」
御坂「(何よ、ファンか何か?シカトするに限るわね…こういうのは)」
??1「いやどうも、おれは詠矢…詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)ってもんだよろしくなー」
??2「あっ、俺は琥来宇数葉(コキウ スウハ)っていいます。」
御坂「(はいはい無視無視。相手するとロクな事無いわ)」
詠矢「あ、おいおい、どこ行くんだ!(って…会えたはいいがどうするかね…あ、そうだ!)…ちょいと御坂さん」
御坂「…」
詠矢「それ犯罪だろ?」
御坂「…」
琥来宇「お、おい空希…」
詠矢「電流を操作して自動販売機を誤作動させ、金を払わずに商品を手に入れる。普通に窃盗だよな?」
御坂「…」
琥来宇「バカヤロウ!下手に刺激してんじゃねえよ!2人とも丸コゲになっちまうぞ!」
詠矢「いいのかねえ、学園第三位の能力者とあろう人が、小銭ケチって窃盗なんて」
御坂「…」
詠矢「あんたは強くて、その振る舞いを周囲が容認してるのかも知れないが、こう公然と…」
御坂「うっさいわねぇ!!どうせもいいでしょそんな事!」
琥来宇「そーだそーだ!!そういうのは本人がいいって言ってんだからどうでもいいんだよ!!」
詠矢「いや、よくないっしょ。刑法的に」
御坂「だいたい、アンタ達に何の関係があるのよ!!」
琥来宇「このバカ!!俺も数に入っちまったじゃねえか!!ここに来て早々感電死とか笑えねえぞ!!」
詠矢「俺らが関係してようがいまいが、それが犯罪であることは事実」
琥来宇「何お前、俺も道連れにする気かこのクソメガネ。ポテチ食った手でレンズ触るぞコラ」
御坂「(ビキッ…)何よ、喧嘩売ってるワケ?(バチッ)」
詠矢「…まあ、そんな感じかな」
琥来宇「あ、俺は売ってませんからね。全部このバカ1人の責任ですからね。私、見た目は金髪チャラ男でも中身は紳士ですからね」
御坂「…いい度胸ねぇ…。じゃあ、お望み通り私の電撃で躍らせてあげるわ(バチッ)」
琥来宇「ヤベ、退避ー!(ダダッ)」
詠矢「ちょちょ!ちょっと待って!」
御坂「何よ!今更逃げれるとでも思ってんの!?」
詠矢「いや、違う。ちょっと離れただけ。5メートルも有れば十分かな」
御坂「?何言ってんの?私の能力知らないの?」
詠矢「いや、知ってる知ってる。ちゃんと調べてきた。超強力な発電能力だよな?」
御坂「知ってるなら、無駄だってわからない?…もういいわ、死んでなさい!!(バチバチッ)」」
詠矢「大丈夫、空気は絶縁体だ。ここまでは届かない」
御坂「…?(あれ、おかしい、電撃が飛ばない)」
詠矢「ごく近い距離なら、空気中でも放電現象が起こる場合は有るけど、これぐらい離れてればまず大丈夫」
御坂「…!?(あれ、あれ、何度やっても飛ばない!!…電気はちゃんと起きてるのに!)」
詠矢「(お、効果アリ…かな?)」
琥来宇「今の内に自販機の後ろに隠れよう…(コソコソ)」
御坂「…アンタ…なんかやったわね…」
詠矢「多分…ね」
御坂「能力…者…」
詠矢「そうなるかな」
御坂「…なんか、アンタ嫌な雰囲気ね。その軽口、後悔させてあげるわ!!…!!(最大級の電撃を!)」
詠矢「お…電圧を上げてるのかな?それはいい判断だ。空気の絶縁限界を超える約300万V/mが有れば空気中でも電子雪崩が起こって雷を起こすことが出来る。但し!!」
御坂「さっきからゴチャゴチャうるさいわね!!でも…これでっ!!(バチッ!…バリバリ!)
詠矢「空気中に放電された電気は、一番近くにある電気抵抗の少ない物質に向かって流れる。この状況では、恐らく…」
自動販売機「(バチッ!!…ガガ…。プツン)」
琥来宇「うわっ!!危ねっ!!」
御坂「えっ!?電撃が…」
詠矢「窃盗に器物破損が追加…か」
琥来宇「おいコラこのクソメガネー!!危うく俺に電撃が当たるとこだったじゃねーか!!」
御坂「なによ…これ…どういうこと!?アンタ何したのよ!!」
詠矢「いや…もういいんだ、十分使えることわかったし」
御坂「はあ?」
琥来宇「聞いてんのかコノヤロー!!レンズ割るぞコラー!!」
詠矢「ご協力ありがとうございました。そんじゃまた」
御坂「ちょっと、アンタみたいな得体のしれない奴、このまま逃がすとでも思ってんの?」
詠矢「あ、いやいや、ゴメンゴメン。怒らせたのは謝るからさ…」
御坂「うるさいっ!!電撃が飛ばないならこれよ!!(チャキ)」
詠矢「おっと、そのコインはレールガンですな!。えーっと、どうだっけかな(ポチポチ)」
御坂「…ナニ携帯なんか見てるのよ…」
詠矢「いや、うろ覚えなもんで…。と、電気伝導体の二本のレールの間にこれまた伝道物質を配置し、回路を形成して荷電することよってローレンツ力を発生させて打ち出す…。てことは…レールはどこにあるんだ?」
御坂「はい?レール?」
詠矢「うん。安定した加速を行う為には、かなり長いレールが必要となる。コインは恐らく鉄をクロムメッキしたものだろうから弾丸としては使えるけど、砲身が無いのが問題だな」
御坂「…空気中の物質をプラズマ化して、加速レールとする…簡単な話よ」
詠矢「…え?空気をプラズマ化…いや、それなら伝導体にはなるけど飛散しちゃうし、空中に固定する方法がないと…」
御坂「関係ないわよ。今までだってそうやって来たし、何も問題ないわ」
詠矢「(ヤベ、居直った。もしかしてヤバイ?)。いや、だからですね…原理が…」
御坂「うるさいっ!!死っねえええええぇぇ!!(ビシュゥゥゥゥ…ン!!!)」
詠矢「どおうわっ!!ヤバイヤバイ、ヤバイってマジで!」
琥来宇「何だよアレ…。ピッコロの魔貫光殺砲かよ…」
御坂「へえ…上手く避けたわね…(さすがに威力は落としたけど、ホントに上手く避けた…)」
詠矢「(撃ちやがった…。論証が弱かったか?。ってーと、別の切り口が必要だな…)」
琥来宇「 (俺も頑張ればカメハメ波とかビックバンアタックとか撃てるかな?その前に舞空術だな) 」
御坂「…さあて、アンタともう1人の能力、詳しく聞かせてもらいましょうか?それとも…消し炭になりたい?(チャキ)」
詠矢「そういやあ、そろそろ昼時だけど…御坂サン、腹減ってないか?」
御坂「…あんたバカじゃないの?何の関係があるのよそんなこと!!」
詠矢「御坂サンが発電を行っているとして、電気を発生させてるのは体細胞だ。だとすれば、発電のために大量のエネルギーが必要になる。細胞活動のエネルギーは糖。血中の糖だ。空腹時は危険だぞ…」
御坂「…(あれ?なんか、体が…)」
琥来宇「 (あっ、そもそも今金髪じゃん…。スーパーサイヤ人になれないじゃん…) 」
詠矢「急激な血糖値の低下は発作を引き起こす。具体的な症状としては、大量の冷や汗、動悸、振戦、譫妄!!」
御坂「(冷や汗が止まらない…、何で急に…た、立ってられない!)(ガクッ)」
詠矢「いや、いろいろゴメン。えーっと…さっき盗ってたジュース、あ、あったあった。『黒豆サイダー』?。ま、糖度高そうだからこれ飲めば多分回復するよ」
御坂「ちょ…っと…待ちなさ…」
詠矢「んじゃ、失礼しま
琥来宇「界王拳っ!!ダリャアアァッ!!! (バキッ) 」
詠矢「グフゥッ!!? (ズザー) 」
琥来宇「こんの大馬鹿野郎が!!テメェの勝手な行動のせいで俺まで睨まれたらどうすんだゴルゥアッ!!」
詠矢「 (ピクピク) 」
琥来宇「取り敢えず今はこの状況を誰かに見つかる前に全力ダッシュじゃー!!」
白井「お姉さま!!お姉さま!!」
御坂「く…黒子…っ…」
白井「どうなさいましたの!?真っ青ですわよ!!」
御坂「ちょっと…それ…取って…」
白井「(缶ジュース?)は、はい、こちらですの?」
御坂「(プシッ)…(ゴクゴク)」
白井「…(ハラハラ)」
御坂「…ふう、ちょっと落ち着いた…」
白井「どうなされましたの?」
御坂「なんか変な奴らに合って…、最初は追っ払ってやろうと思ったんだけど…」
白井「ま、まさか…お姉さまを退けたと?」
御坂「いや、そうじゃないんだけど…。なんかゴチャゴチャうるさい奴らでさ、話聞いてるとなんか調子出なくって」
白井「少なくとも、お姉さまから逃げおおせたのは確かなようですわね。何かの能力者…ですの?」
御坂「そうみたい…。はぐらかして、詳しくは分からなかったけど…」
白井「それは見過ごせませんわね…。黒子がたまたま通りかかったからよかったものの…」
御坂「なんか、ヤな感じの奴だったわね。強さは感じないんだけど…なんていうか、掴みどころの無い感じ…」
白井「これは、ジャッジメントとして対応する必要がありますわね。お姉さま、相手の特徴は覚えていらして?」
御坂「うん、それは覚えてる…。1人は黒縁メガネで、眉毛が太くて…。もう1人は金髪だった…」
白井「支部で詳しくお聞きします。移動しましょう」
(ジャッジメント177支部)
初春「(ヨメヤ ソラキ)と(コキウ スウハ)ですか…。在学者の名簿にはありませんね…(カタカタ)」
白井「しかし、自分から名前を名乗るとは大胆なお二方ですわね」
御坂「聞いてもいないのに勝手に名乗ったのよね…。背格好からして、多分高校生ぐらいかなあ…」
初春「ダメです。中等部、高等部含めて検索しましたけどヒットしませんね」
白井「能力者なら、学園のバンクに登録があるはずですのに…まさか偽名?」
御坂「偽名なら、もっと普通の名前にするでしょうし…あ…そういえば」
白井「何か思い出されまして?」
御坂「学園に来ていきなりアタシに会ったって言ってた…もしかして…」
白井「学園都市に初めて来たと…初春!転入者名簿ですわ!」
初春「はい!!(カタカタ)あ、ありました!(詠矢空希・琥来宇数葉 高等部1年)2人共2日前に転入届が受理されたばかりです。また正式に生徒名簿には登録されてなかったみたいですね」
御坂「やっぱり高校生か。えーっとなになに…レベル0、無能力者。ただし学園での正式な測定は未実施…」
白井「外部での簡易検査では、能力は検出されなかったようですわね…」
御坂「なーんか、ますますよくわかんないわね」
白井「なんにせよ、お姉さまに危害を加えたことは事実。捨て置けませんわ…居場所さえ分かれば…」
初春「…あの…」
白井「何ですの?」
初春「転入者名簿に顔写真があります。これを監視カメラの記録と照合すれば…」
白井「足取りが分かりますわ!流石ですわね初春」
初春「はい!ありがとうございます!では早速(カタカタ)、第7学区の、170号カメラの記録と照合できますね…5分前のログです」
白井「そこなら、ここのすぐ近くですわね…。私なら一瞬ですわ」
御坂「じゃあ、アタシも一緒に行くわ。このままじゃ気が済まないし!…って…と…(グラッ)」
白井「いけません!お姉さまはまだ本調子ではありませんわ。ここは黒子が…そのお二方をひっ捕らえて、お姉さまの前に引き出して差し上げますわ!」
初春「それに、これはジャッジメントとしてのお仕事でもありますから、御坂さんはどうか休んでて下さい」
御坂「…わかった、今回ばかりはおとなしくしといたほうがよさそうね…」
白井「どうかご自愛下さいませ。では初春、正確な位置をお願いしますわ!」
初春「はい!」
(第7学区 路地裏)
店主「はーい、かけそば2つお待ちどう!」
詠矢「チクショウまだヒリヒリしやがる (ズルズル)」
琥来宇「俺を巻き込んだ罰だと思うんだな (ズルズル)」
詠矢「何も思いっ切り殴らなくてもいいじゃねえかよ。それにお前死なないじゃん (ズルズル)」
琥来宇「まだ不死身と決まったわけじゃねーだろ。用心に越したことはないって言うしな(ズルズル)」
詠矢・琥来宇「ごちそうーさまー」
店主「あい、まいどー」
詠矢「さて…転居申請だっけか。どこ行きゃいいのかな(ポチポチ)」
琥来宇「その前に食後のデザート食おうぜ。もちろんお前の奢りで
白井「ちょっと、そこのお二方…」
詠矢「あ、はい?俺らのことっすか?」
琥来宇「ご一緒に食後のデザートでもいかがかな?もちろんこのメガネ奢り
白井「詠矢空希と琥来宇数葉…ご本人に間違いございませんこと?」
詠矢「ええ、まあ…間違いございませんが…どちらさん?(お、結構かわいいじゃねえの。中学生ぐらいかね…)」
琥来宇「(なーんかヤな予感…)」
白井「ジャッジメントですの!!(ビシッ)」
詠矢「ジャッジメント…えーっと、確か、学園内の治安維持に努める学生で構成された組織…だったかな」
琥来宇「つまり、ポリ公みたいなモン?」
白井「お分かりなら話は早い…。ジャッジメントの権限にてあなた方を拘束します!」
詠矢「でーっ!!て、なんですかいきなり容疑者ですか!(流石にいろいろマズかったかな、さっきのは…)」
琥来宇「もー勘弁してよー。今日1日で色んなイベント起こりすぎだよー。ギャルゲーかよー」
白井「あなた方にはいろいろとお伺いしたいことがあります。素直に同行して頂けませんか?」
琥来宇「いやー俺たちこれから漫才の路上ライブしなきゃいけないんでこの後はちょっと…」
詠矢「…」
白井「下手な嘘はバレバレですわ。お答えなさい!」
琥来宇「 (クソッ、これ以上メンドクセーことにならないようにここは素直に従って
詠矢「…俺達の容疑は?」
白井・琥来宇「は?」
詠矢「俺達が拘束されるのは何の容疑だって聞いてるんだよ」
琥来宇「え?何を言ってるのかな君は?」
白井「…いえ、まだ罪状が確定したわけではありませんが…」
詠矢「容疑者じゃなけりゃ、任意同行にすらならねえだろう。不審者への職質レベルなら、従う必要はねえよな…」
琥来宇「おい空希!頼むからこれ以上事態をややこしくしないでくれよ!補導歴付くけど素直に従えば早く帰してくれるかもしんねーし!」
白井「いえ、あなた方にはお姉さまに危害を加えたという疑いがありますわ!」
詠矢「お姉さま?って…もしかして、えー…あの第三位の人かな」
白井「そうですわ。ご本人の証言から、先ほどお姉さまと関わったのはあなたであることは明白!」
琥来宇「ほら見ろやっぱ変なことに巻き込まれちまったじゃねーか!だから言ったのにこのクソメガネ!そのメガネぶっ壊してコンタクトにしてやろーか!?」
詠矢「そりゃ関わったかもしれんが、俺達はあの人には指一本触れてない。因果関係が成立するか?」
白井「何らかの能力を使われたと、ほのめかしていませんのこと?」
詠矢「どうだったかなあ…。それに、俺達はレベル0、無能力者だぜ?」
琥来宇「 (何カッコつけてんのコイツ。いつか[ピーーー]) 」
白井「あなた…いろいろと面度なお方ですわね」
詠矢「昔から理屈っぽい性格でねえ。友達がコイツしかいねえんだこれがまた…」
琥来宇「 (俺は今直ぐコイツと絶縁したいけどな) 」
白井「聞いてせんわそんなこと…。いずれにせよ、素直に従わないのはやましいことがある証拠!」
詠矢「いやー、権力側の人間っていつもそう言うんだよねえ」
琥来宇「おい馬鹿ヤメロ。火に油なんか注ぎやがって」
白井「(イラッ)、では、同行していただけないと?」
詠矢「とりあえず、今の段階では『やだね』だ」
琥来宇「あらヤダこの子、今度は火薬をぶちまけたわ。爆弾テロでも起こすつもりなのかしら」
白井「では、力ずくですわね。やはりあなた方を野放しには出来ません!!」(シュン!!)
詠矢「(消えた…?)…!!(って、いきなり目の前に!)」
白井「はっ!!(ガシッ)せいっ!!」
琥来宇「あーもう終わったわ。学園都市に来て1日経たず内にもう補導歴ついたわ。お先真っ暗だわ」
詠矢「(襟首と袖を!投げる気か…!!)よっと!(ババッ)」
白井「…!(引き手を切った!!体を裁いて釣り手も!!)…」
詠矢「あぶねえあぶねえ。テレポーターさんか…ちょっと離れさせてもらうぜ」
白井「やりますわね…、わたくしの捕縛術から簡単に逃れるとは…」
詠矢「一応心得はあるもんでね。さあ、どうする?いくら瞬間移動が出来ても、拘束するには俺を組み伏せる必要があるぜ?」
白井「他に方法はいくらでもありますわわ!いきますわ…」
詠矢「あーちょっと待ってくれ!!」
白井「…なんですの」
詠矢「テレポーターってさあ、瞬間的に位置を移動するわけだよな?」
白井「そうですわよ。それが何か?」
琥来宇「もう就職先ホテルモスクワにしようかなー。でも三合会も良いしなぁー。どっちにしろ外国語勉強しなきゃなー」
詠矢「転移先の物体はどうなるわけ?分子の重複とか起こらないのかな?」
白井「問題ありませんわ。わたくしの転移は…!(そういえばお姉さまがおっしゃってましたわ『ゴチャゴチャうるさい奴』と。まさか能力と何か関係が…)」
詠矢「えーっと、どう問題ないのかな?」
白井「…答える必要はありませんわ。あなたのご質問には何か別の意図を感じます」
詠矢「(あ、気付かれたか…。ま、しょうがない)いやあ、単なる好奇心だけどね」
白井「ご質問なら後で支部でゆっくりと。但し、わたくしの質問に答えて頂くのが先ですけど…(シュン)」
詠矢「…(また消えた、今度はどっから来る!)・・・どあっ!(上かっ!!)」
白井「(よし、倒しましたわ!。後は針で拘束!)…ふっ!!」
琥来宇「ラグーン商会は駄目だ。もう日本人キャラが居るし」
詠矢「(な!針!どっからあんなもん、投げる気か!)…!!(ゴロゴロ)」
白井「(キイン、タスタスタス)…!(針が地面に!転がって逃げた…)」
詠矢「…よいしょっと・・・。っとにあぶねえなあ…。手裏剣か。投げた…訳じゃなさそうだな」
白井「…」
詠矢「投げただけじゃ、金属の針がアスファルトに刺さるわけねえ。地面に向かって転移させた、ってとこか」
白井「あなた…何者ですの…」
詠矢「ただの理屈っぽい高校生ですよ」
白井「なら今のはどうやって避けたと…」
詠矢「いや、偶然あんたの手に針が見えたんでね。投げられるかと思ったんで転がって逃げた。そんだけさ」
白井「…たったそれだけのきっかけで…」
琥来宇「………」
詠矢「だが、今のでわかった。テレポーターがどうやって転移先を指定しているか」
白井「…」
詠矢「指定先は『座標』だな。物を投げるのと同じ。『どの位置に向けて転移する』と指定して物体を送り込んでいる。俺が回避行動を取って針を避けられたのが証拠」
白井「それが…どうかしましたの?」
詠矢「座標なら、対抗する方法はある。要するに、狙いを定めさせなければいい(ザッ)常に動きまわってる対象には、当てにくいはず!(ダッ)」
白井「く…!(どういうことですの!針が当たらない…。この状態では細部を狙って拘束するのは無理ですわ!)…仕方ありません!多少の怪我は覚悟して頂きます!」
詠矢「しかも、銃弾や投擲と違って到達点までの軌道がない。つまり!!」
白井「(方向転換する瞬間なら、動きが止まはず。直接体に針を!)…そこっ!!(シュン)」
詠矢「相手に近づいても、流れ弾に当たる心配はねえ!一旦狙いをつけさせれば、距離を詰めた方が有利!!(ザッ)」
白井「(まさか!いきなりこっちに向かって!外したっ!!)…!」
詠矢「どっせい!!上段正拳!!」
白井「…!!(ダメ!演算が間に合わない!!)」
琥来宇「キャオラッ!!! (ドガシャッ) 」
詠矢「グボァッ!!?」
白井「…え?…(ドロップキック?)」
琥来宇「こんのおバカ!!レベル5の次はジャッジメントなんぞに喧嘩売りおって!!これ以上騒ぎを大きくしたらもうこの街に居られなくなっちまうでしょーが!! (ゲシッゲシッ) 」
詠矢「ちょっ…痛い痛いって…」
白井「…」
詠矢「殴るつもりはなかったんだし…」
琥来宇「言い訳になるかド阿呆が!!今のはどう見ても完全に正当防衛成立しちゃうだろーが!!小学生でもわかるわ!!」
白井「…(ガシッ)…(シュン)」
琥来宇「あイテー!」
詠矢「のごあっっ!(なんだ、いきなり頭から落ちた!?)」
白井「…(キイン)…(タスタスタス)…ふう、拘束完了ですわ」
詠矢「ひでえなー、転移した対象の方向まで変えられるのか。受け身とれねえっての…」
琥来宇「畜生、俺まで逮捕かよ…。間接的にアンタを助けたんだぞー」
白井「あなたが勝手に動いただけですわ」
琥来宇「形はどうあれ助けてもらったら”ありがとう”の1つも言えんのかね最近の若いのは…」
白井「手こずらせてくれましたわね…」
詠矢「いやー、ゴメン。悪気はなかったんだけどねえ。『論証』に入るとつい熱くなっちまって」
琥来宇「誰かコイツ凍らせろ。マグロみたいに永遠に冷凍保存してしまえ」
白井「では、おとなしくご同行して頂けると?」
詠矢「はいはい、転がされて、一張羅の袖口を縫い付けられて抵抗する気力もございません。どこなりとお連れ下さい」
琥来宇「 (一応俺は逃げられるんだけどね。今は黙っておこう) 」
白井「最初からおとなしくそうおっしゃっていれば…。とりあえず、あなた方の能力、手短にご説明いただけます?」
詠矢「すいません、せめて立って話したいんですがー」
白井「口まで拘束した覚えはございません。そのままでどうぞ」
詠矢「うわ地味にひでえ」
琥来宇「パンツ見ちゃうぞー」
白井「で、なんですの?あなた方の能力。お姉さまの言った通り、あなたの言葉を聞いてると調子が狂いましてよ?」
琥来宇「 (スルーしたってことは見ても良いのか?) 」
詠矢「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれました!。俺の能力はなあ!『論証を立てることによって、相手の能力を変質させる力』だ!」
白井「変質?まさそのような能力が…」
詠矢「いや、今日俺は確信に至った。この能力は間違いなく有る。そして、おれはこの力をこう名付けた。絶対反論(マ ジ レ ス)と!!!!」
白井「最低のネーミングセンスですわね…」
琥来宇「まさにそのとうりだね。有吉にもっとマシな名前付けてもらえ」
詠矢「あ、ダメかな?でも気に入ってるんで変えねえぞ」
白井「ご自由に…。ですが、もしその力が本当なら、かなり特殊な能力ですわね。まさか、パーソナルリアリティに干渉する力…?」
詠矢「はい?ぱーそなる・・・りありてぃ?」
琥来宇「パーソナルなアリエッティ?借り暮らしの?」
白井「そういえば、学園に来られたばかりでしたわね。ご存知無いでしょう。ご心配無くとも、カリキュラムの中で習いますわ」
詠矢「はあ…ソウナンデスカ。楽しみにしときます…」
琥来宇「俺勉強キライー」
白井「ところで、そちらの随分大人しかった方は何の能力だったんですの?」
琥来宇「俺?俺のは詳しくはわからんけど、『自分の形をあらゆるものに変える』みたいな感じだぞ」
白井「自分の形を変える?変身でもするんですの?」
詠矢「見てりゃわかるさ」
琥来宇「まあこんな感じかな (スルスル) 」
白井「なっ!?体が服の隙間から出てきましたわ!?」
琥来宇「今のは『自分の体を不定形な状態にして縫い付けてある服から出た』って感じかな。さすがに服は能力に影響しないみたいだし」
白井「でも、今のあなたは服を着ているように見えますけど…?」
琥来宇「服を着ているように形を変えているだけだよ。女の前でナニを晒せるほど度胸は無いしね。それじゃあ元に戻るぜ」
白井「穴の開いた元の服に戻るんですの?」
琥来宇「このままだと演算し続けなくちゃいけないからめんどくさいし、なんか変な気分になるからね (スルスル) 」
白井「変わった方ですわね…。それにあなたの能力なら簡単に抜け出せれるのに逃げないんですのね」
琥来宇「逃げても状況が悪くなるだけだしな」
詠矢「ちなみにその能力の名前は
白井「別に聞いてませんの」
琥来宇「言ったらロメロスペシャル3時間の刑ね」
白井「では、連行致します。よろしいですの?(ガシッ)」
詠矢「えー、あ、そうか。転移するんですな。接触者と同時転移も可能とは便利ですなあ」
琥来宇「ホントホント、遅刻もしないし交通費も浮くな。銀行強盗なんかも楽チンだろうな」
白井「わたくしはレベル4ですのよ。これくらいは朝飯前」
詠矢「あ、でもでもさあ!」
白井「なんですの…行きますわよ…」
琥来宇「俺、テレポートって初めてなのでお手柔らかに…」
詠矢「こうやって、移動するときに、おれだけ上空に転移させられるとさあ」
白井「え?・・・(シュン)」
琥来宇「うわっ!(シュン)」
詠矢「死ぬしかないよなあ…(シュン)」
ジャッジメント177支部)
白井「(シュン)」
琥来宇「うおっ!景色が変わってコンクリートジャングルから室内に!」
初春「あ、おかえりなさい!どうでしたか?」
御坂「結構時間かかったわねえ…、て、黒子とソイツの2人なの?」
白井「へ?…2人?」
琥来宇「あら?クソメガネは?」
初春「あれ、もしかしてもう1人は取り逃がしちゃったとか…」
琥来宇「いや、一緒に捕まったはずだぜ」
白井「あ………」
御坂「…?」
白井「あ…あわあわわわわわわわわ!置いてきてしまいましたわ!!」
初春「置いてきたって…どういうことですか?」
琥来宇「別にあんな奴無視しても良くね?それよりみんなでマリオパーティやろうぜ!」
白井「た、確かに接触して転移しましたの!でもわたくし達だけが戻ってきたということは!どこかに…」
御坂「まさか、黒子の能力が暴発したっていうの?…え、じゃあ、置いてきたってどこに?」
白井「え…、どこと申されましても…あ!上空ですわ!」
御坂・初春「上空!?」
琥来宇「わーお、紐無しバンジーだね。」
詠矢「あー、おれ落ちてるなあ…」
詠矢「うわこれどうしょうもなくね?…」
詠矢「…」
詠矢「……つまんねえ人生だったなー……」
打止「おかいものっ!おかいものっ!とミサカはミサカはうれしさのあまりお出かけの目的を連呼してみたり!」
一方「ったく、っせーな…。食料の買出しに行くだけだろーが…」
打止「でも一緒にお出かけはそれだけで楽しいんだよ?なんてミサカはミサカは素直に同意を求めてみたり!」
一方「ケッ…ナニ言ってやがんだ…。いいから静かにしやがれ!」
ショッピングモールに向かう橋の上を歩く少女と、それを追う学園第一位能力者の青年。青白い首筋をもたげて、なんとなく空を見る。
一方「しっかし…腹立つぐれえいい天気だな…あ?」
青年の視界、つまりは上空に何かが写った。そしてそれはすぐに人の形をしていることに気づく。
だが、形より圧倒的に重要なことは、それが自然落下してくるということだ。前を小走りに進む少女の頭上に。狙い済ましたように。
一方「ちょ…なんだアレは!!…あぶねえっっ!!!」
青年は走る。だが杖が必要な足は付いていかず、上半身だけが先行する。半ば飛び掛るような状態で、なんとか少女の頭上に手をかざすことが出来た瞬間、落下物が彼の腕に触れた。
一方「っつ!!…!」
彼の能力「ベクトル変換」が発動する。落下物は水平に弾き飛ばされ、橋の欄干を通り越し、水柱を上げながら水面に叩きつけられた。
打止「ひゃあっ!!とミサカはミサカは驚きを隠せないでいたり・・・」
一方「なンだ……?」
詠矢「(あれ、俺まだ意識あるな)」
詠矢「(なんかものすごい衝撃を感じたんだが)」
詠矢「(感じたってことは生きてるんだよな?)」
詠矢「(そうだ、確か水に落ちたんだ)」
詠矢「(えーっと、つまり今水中にいるわけで)」
詠矢「(…取り合えず浮上しないと死ぬ!)」
詠矢「ぶわっ!」
詠矢「あぶねえ、せっかく命拾いしたのにまた死ぬとこだった!」
一方「なンだテメェは!!自殺ならヨソでヤレやァ!!!!」
詠矢「えー、なんと言うか。事故なんですよ」
一方「ンだぁ?…事故だと?」
詠矢「事情を説明すと簡単なようなややこしいような…」
詠矢「とにかく、助かったよ。あんたも何かの能力者なのかな?」
詠矢「確か俺は橋の上に落下するはずだった」
詠矢「だが気づいたら川に落ちてた」
詠矢「突風が吹いたとかそんなチャチなレベルじゃなく、俺の体は弾き飛ばされてる」
詠矢「なら、やっぱり何かの能力によって助けられたと考えるべきだよな」
詠矢「というわけで、ありがとう。助かったよ」
一方「……なンかゴチャゴチャ回りくどい奴だな」
打止「…(ジー)」
一方「どしたぁ?」
打止「…(オカイモノ)」
一方「アア、そうだったな…」
詠矢「あー、なんか用があるなら行ってくれ。後は自力でなんとかするから」
一方「言われ無くてもそうすらァ…。じゃあな飛び降り野郎…おら、行くぞガキ…(スタスタ)」
打止「…(ペコリ)…(スタスタ)」
詠矢「行っちまったか…」
詠矢「ていうかあの顔どっかで見たことあるような…」
詠矢「…まあいいか、そのうち思い出すだろう」
詠矢「さあて、これからどうするかな」
詠矢「取り合えず位置検索か(ポチポチ)」
詠矢「あ…」
詠矢「完全水没、だよな…。携帯が…電源も入らねえ…」
詠矢「水没じゃ保障対象外だよなあ…。か…金が…」
詠矢「しょうがねえ、適当に地図見ながら歩くか」
詠矢「取り合えず置いてきた荷物を回収しねえとな」
詠矢「さっきのソバ屋どこかな」
詠矢「フロ屋も探さねえとな…(トボトボ)」
詠矢「あ、そうだ、俺は連行される所だったんだよな」
詠矢「嫌疑がかけられてるんなら、ちゃんと出頭しとかないとな…」
詠矢「これ以上ジャッジメントと事を構えるつもりもないし」
詠矢「とはいえ、何処に行ったもんだか…」
詠矢「その辺の人に聞いてわかるかな?」
詠矢「…不審者扱いされるのがオチか」
詠矢「あのツインテールの娘、名前ぐらい聞いとけばよかったな」
詠矢「さあて、どうするかな…」
嘆いたって始まらない。取り合えず俺は歩きながら考えることにした。
都市の案内板を頼りに、どうにか元の場所に戻った俺は荷物を回収することに成功した。
フロでも入りたかったがあいにく銭湯は見つからず、ネットカフェのコインシャワーで体を流すと、
万が一にと持ってきた私服に着替える。
水に落ちたときの打ち身で体のあちこちが軋む。まったく落ち着ける状況ではなかったが、考える
時間だけは十分に確保出来た。
俺は思考に結論を出し、一番近くにある図書館へ向かった。
(第七学区 図書館)
白井「探しましたわよ…詠矢さん」
詠矢「お、いいタイミングだねえ。ちょうど一冊読み終わったとこだ」
白井「まるで見つかるのを待ってたかのような口ぶりですわね」
詠矢「そう、その通り。自分で出頭しようと思ったんだけど…」
詠矢「何処に行ったらいいかも分からなくてね」
詠矢「今日最初に会ったときも」
詠矢「俺をピンポイントで見つけてたろ?」
詠矢「だから、そちらさんには何らかの位置検索の方法があると考えた」
白井「変な所には頭が回りますわね…」
白井「確かに、監視カメラの記録であなたの姿を追跡しましたわ」
詠矢「やっぱそうか。ならここで待ってて正解だったな」
詠矢「図書館の中なら監視体制はバッチリだろうし」
詠矢「ついでにいろいろと情報を仕入れられるしな」
白井「ま、ご無事で何より…」
白井「そのご様子ですと、特に危険な場所に転移したわけでもなさそうですわね」
詠矢「それがそうでもなくてさ。気づいたら空中だっんだよ」
詠矢「これがまた結構な高さでさ。マジで死ぬかと思ったぜ」
白井「え…?ではそこからどうやって…」
詠矢「いや、なんか能力者の人が偶然通りかかってさ」
詠矢「多分念動系か何かだと思うんだけど」
詠矢「弾き飛ばして川に落としてくれたんだわ」
白井「たまたま?能力者に助けられたと…?」
詠矢「たまたま。運が良かったってことになるのかな」
詠矢「まあ、どっちかっていうと悪運になるんだろけどね」
白井「そうでしたの…。でも、わたくしもその悪運に感謝しないといけませんわね」
白井「危うく殺人犯になるところでしたわ」
詠矢「まー、基本俺が余計なこと言ったからだからな…以後自重するよ」
白井「そうしていただけると助かります」
白井「では、早速ご同行いただきましょうか?貴方のお友達も待っておりますわよ」
詠矢「はいはい、じゃあ読んだ本は元の位置に…」
詠矢「お待たせ。んじゃ行きましょうか」
白井「はい。では向こうの出口から行きますわ」
詠矢「あ、あれ…?」
白井「なんですの?」
詠矢「テレポートで移動しねえの?」
白井「…ここからでは距離がありすぎます。徒歩で向かいますの」
詠矢「なるほど距離、か。ってーことは転移にも射程があるってことだ…」
白井「…(ジロッ)」
詠矢「あ…いやいやいや、もう余計なこと言わないって…!(アセ)」
白井「…参りますわよ…」
詠矢「うーい…(なんかやりずれーな…)」
(ジャッジメント177支部)
白井「こちらですわ…(ガチャ)」
詠矢「まいどどーm
琥来宇「ウッシャアアアァァ!勝ったあああぁぁ!」
御坂「あぁー!また負けたー!」
初春「これで御坂さん、10連敗ですね」
御坂「アンタ、ズルしてんじゃないわよね!?」
琥来宇「おいおい負け続けたからって勝者を疑うのは意地汚いぜ?それでもレベル5なのかい?」
詠矢「……」
白井「何してるんですの?」
初春「琥来宇さんが暇だからなんかしようって言い出して、たまたま有ったトランプで2人でずっとババぬきやってるんですよ。」
白井「お姉さまは負けず嫌いでしたわね…」
御坂「もう1回!もう1回勝負よ!」
琥来宇「良いぜ、何度でも勝負してやんよ!フゥーハハハァー、俺の連勝記録は止まらない~♪」
御坂「あ…!」
琥来宇「ん?」
詠矢「あ……」
琥来宇「何だお前生きてたんか。どーせどっかの公園の木にでも引っかかってたんだろ?」
白井「いえ、高所の空中だったそうですの」
琥来宇「…マジで?」
御坂「アンタ……さっきはよくもやってくれたわね!!(バチッ)」
詠矢「や、やめろって…!だから怒らせたのは謝るからさ…」
御坂「…謝ってすむ問題かしら?…(ビリバチッ)」
白井「お、お姉さま。支部で電撃はちょっと…」
初春「や、やめてください!パソコンが!!」
詠矢「……」
琥来宇「うぅ!ペースメーカーがっ!」
初春「えぇっ!!大変!!」
琥来宇「いや嘘だから。イッツオールフィクションだから」
詠矢「……わかった…確かにそうだ。謝ってすむ問題じゃないかもな」
詠矢「俺も腹は括った。御坂サンの気の済むようにしてくれ」
御坂「…え?」
詠矢「まあ、正直俺も、副作用まで誘発出来るとは思わなかった」
詠矢「だが、御坂サンを危険な状態にしたことは事実だ」
詠矢「だから、煮るなり焼くなり、好きにしてくれ」
御坂「…アンタ、いきなり居直るなんてどうゆうつもりよ!」
白井「そんな勝手な言い分が通ると思ってらっしゃいますの!?」
琥来宇「そーだそーだ![ピーーー]このメガネ野郎!ポン刀で腹切れ!」
初春「 (友達のはずの琥来宇さんが1番酷いこと言ってる…) 」
詠矢「どうもこうもねえさ。俺はただ謝りたいだけだ」
詠矢「それでも許されねえってんなら」
詠矢「そっちの気の済むようにしてもらうのが一番いい」
詠矢「俺は一切の抵抗はしない。もちろん『論証』もだ」
御坂「…」
琥来宇「逝っちまう前に遺産は俺に渡すように遺書を書いとけよ」
白井「あなた達本当に親友同士なんですの?」
詠矢「…さあ。いいぜ」
御坂「…」
初春「…(ハラハラ)」
琥来宇「(腹へったなー)」
白井「…あ、あの…まさか、お姉さま?」
御坂「…」
白井「お姉さま!!」
御坂「…(ガシッ)」
詠矢「(腕を…?)」
御坂「…!(バチッ!!)」
詠矢「ぎゃうぁ(ビクンッ)!!!…ッつつ…」
白井「…!」
初春「…!」
琥来宇「コエー…。まるでスタンガンだな…」
御坂「フン…いいわ、このくらいで許してあげる」
琥来宇「あれ?もしかして坂田師匠?」
詠矢「このくらいって十分痛いんですけど…(ビクビク)」
御坂「気絶しない程度に抑えといたわよ。アンタには聞きたいことがあるし」
詠矢「それは…ご配慮の程痛み入ります…。(ビク)
まあ、これで済ましてもらえるなら安いもんだわな」
琥来宇「運が良かったなオメー」
詠矢「でもなあ御坂サン」
御坂「……何よ」
詠矢「窃盗はよくねえよな?刑法的に」
御坂「…」
琥来宇「この馬鹿ちっとも成長しちゃあいねえな。マジで切腹させっか?」
初春「やめて下さい」
詠矢「一応反省しといたほうがいいんじゃねの?」
白井「窃盗?…なんの話ですの?」
御坂「え?…あ…えっと…」
白井「お姉さま…まさかまた…」
詠矢「また…って…常習犯だったのか?」
琥来宇「えげつなっ!」
御坂「…え…って……、た、たまたま小銭が無くて、ちょっと面倒になったから……つい…」
白井「……」
詠矢「……」
琥来宇「 (昔を思い出すなぁ) 」
御坂「…悪かったわよ…、もう二度とやらない…」
白井「本当ですの?」
御坂「本当だってば…」
白井「そうおっしゃるなら大目に見ますけど…、常盤台のエースともあろうお方が…浅ましい真似は謹んで下さいまし!」
琥来宇「レベル5ってこんなんばっかなの?」
初春「た、多分違うと思います…」
御坂「だから、やらないって言ってるじゃない!もう…」
詠矢「えーっと…、まあ、ジャッジメントの人が大目に見るってんだから、俺がこれ以上何も言うことはねえな」
琥来宇「 (俺もレベル5になれば許されんのかな?やはりこの街は力が全てなのか?) 」
詠矢「じゃあ、この話は終わりってことで…」
白井「そうですわね…では、本題に移りましょうか」
白井「改めて自己紹介ですわ。わたくしはジャッジメントの白井黒子と申します。詠矢さん、琥来宇さん、あなた方にいくつかお聞きしたいことがあります」
詠矢「なんなりと…。答えられることは答えるぜ」
琥来宇「尋問ならカツ丼を出せい」
初春「そんなのありませんよ」
白井「では、まず詠矢さんの能力について…」
琥来宇「俺は後かい?」
白井「ええ、しばらく待っていて下さい」
琥来宇「初春さーん。しりとりしようぜー」
初春「やりませんよ」
詠矢「名前は絶対反論(マジレス)…。能力者に対して、論証を立てることによってその能力を変質させる…」
詠矢「さっき説明した通りだね」
白井「もう少し詳しくお願いします」
詠矢「っても…。俺にもよくわかってない部分も多いんだけどな」
詠矢「お二人さんと手合わせしたことで、かなり理解出来た」
御坂「…ていうと?」
詠矢「論証が完全じゃなくても、変質は発生する」
詠矢「ハッタリでも何でも構わない。相手が俺の言うことをある程度認めた時点で、能力が発動するみたいだな」
御坂「でも私の場合、電撃が撃てないって認めた訳じゃないわよ?」
詠矢「まあ、その辺は度合いの問題でさ」
詠矢「完全に認めなくても、対象の心の中『あれ、そうだっけ?』ってレベルのわずかな引っかかりでも作れれば」
詠矢「変質は一定の効果を生む」
白井「…確かに、わたくしもあなたの言葉を聞いてから転移の精度が落ちましたわ」
詠矢「どっかで俺の言葉が引っかかって、能力の精度が落ちたんだろう」
白井「…厄介な能力ですわね…。やはり、パーソナルリアリティに干渉する力…」
琥来宇「 (今日の木曜洋画は何だろーなー) 」
詠矢「いや、それはどうかな?」
詠矢「さっき図書館で一通りのことは調べたんだけど」
詠矢「能力者ってのは、パーソナルリアリティ…『自分だけの現実』を観測して」
詠矢「物理的には起こり得ない超常現象を引き起こす…だっけか?」
白井「そうですわ。学園の能力者は全て個別の現実を持っています」
白井「その現実は能力者によって千差万別…」
詠矢「俺はついさっきまでそんなことは知りもしなかった」
詠矢「そんな状態で、いきなり干渉する力を得るってのもねえ…」
詠矢「ただ言葉による暗示によって、能力を出させないようにしてるのかもしれないし」
詠矢「解釈としてはどうとでも取れるわな」
琥来宇「 (眠いなー) 」
御坂「何よあんた。人の能力についてはどうのこうの文句付けるくせに自分の能力は全然適当じゃない」
詠矢「いいんだよ、俺は適当で」
詠矢「同じ能力を持った奴が表れない限り、俺の能力が『論証』される事は無いわけだからな」
白井「なんて自分勝手な…」
詠矢「パーソナルリアリティなんてそもそも自分勝手なもんだ」
詠矢「自分の思いだけで、物理法則だって簡単に捻じ曲げちまうんだからな」
御坂「そういっちゃえばそうだけどさ…なんか釈然としないわね…」
詠矢「ま、能力についてはこれぐらいだな。俺だって知らないことは話せない」
琥来宇「 (早くガールフレンドの続きやりてーなー。甘利ちゃんに頭パッカーンされてぇー) 」
白井「では続いて琥来宇さんに質問いたしますわ」
琥来宇「おう、やっと出番か」
白井「あなたは確か自分の形をあらゆるものに変える能力でしたね?」
琥来宇「おうよ」
御坂「へー、例えば?」
琥来宇「例えば… (チラッ) 」
初春「?」
琥来宇は初春を見ると彼の顔は影のように黒くなり、その形は初春と同じ形のシルエットになると
琥来宇「こんな風に」
白井「なっ!?」
初春「目の前に私が!!」
御坂「初春さんが2人!?」
琥来宇の顔は初春そっくりになっていた
白井「なるほど…。あなたの顔の形を初春の形に変えたんですのね?」
琥来宇(顔だけ初春)「そういうことさ。」
詠矢「声は変わらないけどね」
御坂「そういえばそうね。声はそのまま…」
琥来宇「喉の構造を変えれば何とかなりそうだけど、それが難しくてね…」
白井「Yシャツとズボンを履いて声が低い初春…」
初春「何か…ちょっと不気味です…」
琥来宇「はいはい今すぐ戻しますよ」
御坂「ねえねえ他には?」
琥来宇「そうだな…。」
すると、琥来宇の両手の爪が黒くなり、鋭く伸びだした
御坂「おおっ!」
白井「まるで獣の爪ですわね」
琥来宇「ガオー、引っ掻いちゃうぞー」
初春「形を変える時は黒くなるみたいですね」
白井「この物質は何ですの?」
琥来宇「それがわからないんだよねー。色々試してみたけど水でも泥でも影でもないみてーなんだ」
御坂「影?」
詠矢「明るさに関係なく能力が使えるみたいなんだ」
白井「しかし正式な測定は未実施とはいえ、レベル0というのはおかしいですわね」
琥来宇「そ-だな。早く測ってみたいぜ!」
詠矢「ところで、他に何か質問あるかい?」
白井「一通り能力に関しては理解できましたわ。ではお言葉に甘えて、もう一つ…」
詠矢「どうぞ」
琥来宇「体重は秘密ですぅー」
御坂「誰もそんなこと聞かないわよ」
白井「学園都市に来られた目的は?」
詠矢「まず第一に、自分の能力をちゃんと確かめる。さっき説明した通り、俺の能力は能力者がいないと確かめようが無いんでね。
んで次に、この能力で出来る事を探すため。以上二点です」
琥来宇「俺もコイツとほぼ同じだな」
白井「意外と真っ当な理由ですわね…」
詠矢「そんなもんだよ。別に野心とか野望とかねえし…」
御坂「その割には、いきなり突っかかって来たわね…」
詠矢「いや、だからアレはゴメンって。その辺は白井サンも改めて謝るよ」
琥来宇「俺からもキツく言っときますんで」
詠矢「お前は俺の母ちゃんか」
白井「その話はもうよろしいですわ。こちらも少し強引過ぎましたし…」
御坂「でもさあ、アンタ等どうやって自分の能力に気づいたの?能力者に会わないと解りようが無いじゃない」
詠矢「あ、それ説明してなかったな、なかなか鋭いね御坂サン。
実は俺、能力者に会ったのは御坂さんが初めてじゃないんだ。俺の近所に、学園都市で能力開発してた奴がいてね」
白井「まあ、どちら様ですの?」
詠矢「白井サンも知らないような低レベル能力者らしいんだけどね。
で、そいつが帰省で家に帰って来た時に、なんかつまんないことで言い合いになってさ。話の流れで、相手の能力を変質させちまったんだよ…」
御坂「それで自分の能力に気づいたわけね」
詠矢「そうなんだ。変質はすぐに収まったんだけど、もしかしたらって思って。
で、ここに来た目的、につながる訳ですよ」
白井「一応、話の筋は通ってますわね」
詠矢「信じるか信じないかはそちらさんの自由だけどね。嘘は言ってねえよ」
琥来宇「ハローバイバイの関かお前は」
初春「誰ですか?」
琥来宇「俺は確か中2の時だったかなー」
御坂「何かあったの?」
琥来宇「夏休みに雷にうたれて車にひかれた。しかも1日の内で」
初春「えぇ…」
白井「よくまあ平然と…」
詠矢「コイツと仲良くなったのは中3の時だったけど、俺は不死身なんだぜーってクラスのみんなに言いふらしてたな」
琥来宇「人の黒歴史話してそんなに楽しいんかコラ?
そういえば、昔から傷がすぐに治ってたってお袋が言ってたな」
御坂「生まれつきその能力みたいね」
詠矢「さて、尋問は以上かな?終わりなら…帰らせてもらっていいかい?」
白井「そうですわね…事情聴取はこれぐらいですわね…」
琥来宇「うわーい。終わったー」
白井「初春、調書の方はよろしいですの?」
初春「はい、バッチリです…(カタカタ)」
琥来宇「お疲れさんです(ペコリ)」
初春「あ、はい…どもです…(ペコリ)」
白井「では、今日はこれでお引取り頂いて結構です。但し!次に出頭をお願いすることがあったら、素直に従うように」
琥来宇「イエッサー」
詠矢「じゃ、部屋に荷物が届くころなんでそろそろ帰らせてもらうわ。んじゃ…あっと、白井サン」
白井「なんですの?」
詠矢「俺にも一つだけ聞きたいことがあるんだけどさ、いいかな?」
白井「答えられることなら答えますわ」
詠矢「白井サンの能力。射程はどれくらいなんだい?」
白井「…お答えするのは少し躊躇しますわね」
詠矢「俺のことを信用出来ないのも無理は無いと思うが…」
詠矢「どうしても確認したいことがあってね。頼むよ」
白井「ま、よろしいですわ。わたくしの空間移動の射程は最大81.5m…」
詠矢「当然、直線距離だよな…。なるほど…81.5mか…」
白井「なんですの?」
詠矢「いや、まだアレだな…。話すにはまだ立証が足りないかな…」
白井「…」
御坂「次は絶対に負けないんだからねっ!」
琥来宇「望むところだ!この琥来宇数葉、ババぬきといえど勝負には容赦せん!」
初春「御坂さん、まだ根に持ってたんですね…」
詠矢「んじゃ、皆さんまたなー」
琥来宇「バイバーイ」
御坂「またって…もうアンタには会いたくないんだけど…」
琥来宇「ププッ、お前嫌われてやんのー」
詠矢「まあ、そう言いなさんな。縁があればまた会うさ。
そんじゃまた」
佐天「(ガチャ)やっほー、こんにちわー。遊びに来たよー!」
詠矢「…」
琥来宇「…」
御坂「…」
白井「…」
初春「…」
佐天「…」
佐天「(え…何この空気…)」
琥来宇「(恐ろしい子…。一気にお通夜モードだぞコレ…。まさか、そういう能力なのか…?)」
初春「…あ…佐天さん…こんにちわ…」
佐天「うん…こんちわ…初春」
詠矢「…んじゃ、入れ違いで失礼するわ」
琥来宇「サイナラー」
佐天「えっと…あなた達…は…?」
詠矢「容疑者だよ…(ニヤリ)」
琥来宇「彼の弁護士です(キリッ)」
佐天「…へ?」
詠矢・琥来宇「…」
佐天「…?(行っちゃった)」
佐天「初春、今の2人は?」
初春「ちょっと、事情を聞いていた人…ですね。なんか特殊な能力者みたいで…」
佐天「へえ…能力者…なんだ」
初春「2人ともレベルは0みたいなんですけど」
佐天「…ふーん…」
白井「……」
白井「本当レベル0なのかどうかは、本格的な検査を待つ必要がありますけど…」
御坂「どうしたの黒子?さっきからなんか考えてるけど・・・」
白井「あの方がわたくしに聞いたこと、少し気がかりですわね」
御坂「黒子の能力の射程の話?」
白井「ええ、なぜあの情報が必要だったのか…。何も裏が無ければよろしいのですが」
御坂「さあ…何考えてるわかんないヤツだし。確かに気にはなるわね」
白井「…本当に、何も無ければいいのですが…」
琥来宇「じゃあ俺の部屋はコッチだから」
詠矢「おう、じゃーなー」
(学生寮 詠矢の部屋)
詠矢「ふう、荷解きはこんなもんかな」
詠矢「やっぱ荷物は少なめにして正解だな」
詠矢「しかし学生寮って言うから、もっとみすぼらしい部屋を覚悟してたんだが」
詠矢「なかなかどうして、立派なモンじゃねえの」
詠矢「ベットもでかいしな…よっと(ゴロン)」
詠矢「(しかし、初日からいろいろあったなあ…)」
詠矢「(流石にちょっと疲れたかな…)」
詠矢「(考えることも増えたしな)」
詠矢「……」
詠矢「(白井サンの転移の射程は81.5m…)」
詠矢「(俺が飛ばされた橋の上は、それよりはるかに離れた場所だった)」
詠矢「(このことが何を意味するのか…)」
詠矢「(俺が、絶対反論の定義を)」
詠矢「(能力の『変質』だとあえて言った理由)」
詠矢「(ある一点の可能性を考えて、だったが・・・)」
詠矢「(まだ立証する根拠が足りないな)」
詠矢「(だが、もしかすると、もしかするかも知れんねえ…)」
詠矢「(まあ、いいや。また今度考えよう)」
詠矢「(ねむ…)」
詠矢「……」
詠矢「……」
詠矢「ん…」
詠矢「あれ…?寝ちまったのか?」
詠矢「うわ、もうこんな時間じゃねえか…」
詠矢「今日中に携帯を変え行くつもりだったのに」
詠矢「まあ、いいか。明日にすれば…」
詠矢「しかし…腹減ったな…」
詠矢「時間も時間だし当然か」
詠矢「今からなんか作るのも面倒だな…」
詠矢「コンビニでも行くか…」
店員「ありがとうございましたー」
詠矢「やっぱコンビニ来ると高く付くなあ」
詠矢「安いスーパー探して、ちゃんと自炊しねえとな」
詠矢「あー腹減った…先に唐翌翌翌揚げ食っちまうか(ムグ)」
詠矢「(モグモグ)…」
詠矢「(モグ)…あれ?」
詠矢「寮はどっちだっけか?」
詠矢「えーっと…」
詠矢「うわ…完全に迷っちまったな…」
詠矢「携帯無いといろいろ面倒だなー」
??「ハァ…ハァ…くそっ!!」
詠矢「…?なんか人の声が…?誰かいるのか?」
??「うわっ!…(ドサッ)」
詠矢「?(路地から人か…)。おい、アンタ大丈夫か!?」
??「来るな!!巻き込まれるぞ!!」
詠矢「巻き込むって何の話だよ…ってなんだ、あちこち怪我してるし」
詠矢「これは…火傷か?…まあとりあえず病院行こう。肩貸すぜ…よいしょっと」
??「マズイ追いつかれたか!?。とにかく逃げないと!」
詠矢「へ?なんかヤバイの?…あれ…なんか…熱い?」
??「伏せろ!!」
詠矢「…!!!」
路地の奥から、空間を嘗め尽くすように赤い波が近づいてくる。それは猛烈な熱を伴った炎だ。
詠矢「…!お、おい。なんだありゃ!」
??「くそっ!!(キュイーン!!)」
詠矢「なっ!炎が…消えた!?」
??「……」
詠矢「…こりゃあんたの言うとおり、逃げるのが正解かね」
詠矢「とりあえず…そうだな、あっちのビルの影にでも隠れよう」
詠矢「上手くいけばやり過ごせるかも知れねえ」
??「いや、あいつらの狙いは俺なんだ。通りすがりの人を巻き込むわけにはいかない」
詠矢「…面白いじゃねえの。そんな台詞、リアルで聞けるとは思わなかったぜ」
詠矢「というわけで、ちょいと関わらせてもらうぜ?」
??「え?って…あんた、何考えてんだって…おい!!」
詠矢「はいそうと決まったらとっとと走る!!」
詠矢「…ふう…少し落ち着いたか…」
詠矢「ここは路地からも死角になってる。そうそうは見つからないだろう」
??「…あんた…どうゆうつもりだ…」
詠矢「面白そうだから関わらせてくれって、さっき言わなかったか?」
??「面白くなんかねえよ!これは冗談で踏み込んでいい世界じゃない」
??「相手はこっちの命なんかなんとも思ってないんだ」
詠矢「生きるか死ぬかってんなら、アンタも同じだろ?それを解った上で、俺だけを逃がそうとした」
??「……」
詠矢「そんな人を、見捨てて逃げたくはねえな」
??「…あんた…」
詠矢「そういうこった。ま、数が多い方が生存確率も上がるぜ」
詠矢「とりあえず、情報を整理しようか」
詠矢「まずは自己紹介からだな。俺は詠矢、詠矢空希ってもんだ…よろしくな」
??「…俺は上条…当麻…だ。よろしく」
一方その頃…
琥来宇「おぉー。やっぱ学園都市ってスゲーんだなー。」
琥来宇は学園都市を散歩していた。
大都会の街並みに清掃ロボと、まるでSF映画の近未来都市かのような感覚に興奮していた。
琥来宇「男なら誰しもこういうのに憧れるよなー。」
あちこち歩き回り、次は路地裏に入ってみた。
琥来宇「ヌフフ…。もしかしたら怪しい店とか有っちゃったりして」
そう思いながら散歩を続けていると、ある光景が目に入った。
琥来宇「ん?」
スキルアウトA「よぉ姉ちゃん、今ヒマかい?俺達とちょっくら遊ぼうぜ?」
スキルアウトB「もちろん断ったら…わかるよな?」
??「あれ~。それって結局、私のこと脅してるって訳?」
見るからに悪人面の男が2人、金髪碧眼の少女に絡んで来ていた。
琥来宇はそれを見ると真っ先に走って行き…
スキルアウトA「そうだよ、わかってんじゃん。」
スキルアウトB「さあさあ、痛い目に会いたくなかったらグヘェッ!!」
スキルアウトBの顔に強烈な飛び蹴りを喰らわし、スキルアウトBを大きく吹っ飛ばした。
??「えっ…?」
スキルアウトA「なっ…!何だぁ!?」
琥来宇「やいやいやいやい!!この俺の目の前でこちらの可憐な少女を脅して連れて行こうだなんて、例えお天道様が許してもこの俺が許さんぞ!!」
スキルアウトA「誰だテメェは!」
琥来宇「貴様の様な奴に名乗る名前は無い!!琥来宇数葉だ!!」
??「いや結局名乗ってんじゃん」
スキルアウトA「この野郎、ふざけたことしやがって…(チャキッ)」
琥来宇「そんなリンゴも切れなさそうな小っちゃいナイフでやるつもりか?」
スキルアウトA「へっ!丸腰のテメェよりかはマシだと思うぜ。」
琥来宇「これでもか?」
すると琥来宇は、両手をトゲトゲの鉄球のような形に変えた
スキルアウトA「なっ…!!何だそりゃあっ!!」
??「(コイツ…、能力者…!?)」
琥来宇「さあさあ、どうするんだい?」
スキルアウトA「ぐっ…。」
琥来宇「残念!!タイムオーバーだ!!(バキャッ)」
スキルアウトA「グワァッ!!(ドサッ)」
琥来宇「悪いな、俺は気が短くてな」
琥来宇「大丈夫かい?」
??「色々ツッコミどころは有ったけど、結局助かったって訳よ」
琥来宇「普通に言えんのかツンデレめ」
??「ハイハイありがとね。コキウ…スウハだったっけ?」
琥来宇「おうよっ!ソッチは?」
フレンダ「私はフレンダよ。よろしくねっ」
琥来宇「よろしくなっ。それよりキミ、良い金髪してるね!『チームパツキンズ』に入らないかい?」
フレンダ「『チームパツキンズ』?何それ?」
琥来宇「噂に聞いてたんだが、この学園都市は治安がロアナプラやスティルウォーター並に悪いようだな」
フレンダ「まあ大体合ってる訳よ。ロアナプラやスティルウォーターがどこかは知らないけど」
琥来宇「そこで俺は考えた!『悪い奴はブン殴ってやろう』がモットーの自警団『チームパツキンズ』を!」
フレンダ「えっ…」
琥来宇「どうだ!?入ってくれるか!?」
フレンダ「とっ…取り敢えず場所を変えるってワケよ。結局コイツ等が起きたらめんどくさいことになる訳だし…」
今のところ2人のスキルアウトは完全にダウンしており、起きる様子は無かった
琥来宇「それもそうだな。良し、善は急げだ!(ダッ)」
フレンダ「(結局、スキルアウト以上にめんどくさいことになっちゃった訳よ…)(トボトボ)」
琥来宇「なあなあ、結局どこで話するんだ?」
フレンダ「え?そっ…そうね…、そこの喫茶店なんてどう?」
琥来宇「OKって訳よ」
フレンダ「さっきから私のマネしないでよ」
琥来宇「いやー、変わった口癖だなぁと思ってねー」
フレンダ「(結局、男子と2人きりで喫茶店に入る形になっちゃった訳よ…。何でこんなことに…。)」
琥来宇「このデビルタワーパフェとビッグマウンテンプリンとホワイトクリームミルクコーヒーをお願いします」
ウェイトレス「はい、かしこまりました」
琥来宇「フレンダはコーヒーだけで良かったのか?」
フレンダ「うん。私はこの缶詰食べてるから平気って訳よ」
琥来宇「缶詰ってアンタ…。出禁になっちまうぞ…?」
フレンダ「そっちこそ、聞くだけで甘そうなものばっか食べて太らないの?」
琥来宇「そん時は体型を変えれば良いことだし」
フレンダ「?」
琥来宇「そんなことより、『チームパツキンズ』への入部の件は?」
フレンダ「その前にいくつか質問が有るんだけど」
琥来宇「OKOK。何でも答えてあげましょう」
フレンダ「チーム名から察するに、金髪じゃなきゃいけない訳?」
琥来宇「んなことはねえぞ。誰でも大歓迎だぜ。金髪が良いのは個人的な理由だし」
フレンダ「どんな?」
琥来宇「自分と同じ特徴が有ると親近感湧くだろ?」
フレンダ「ええっと…(コイツ、こんなんで大丈夫なの?)」
琥来宇「噂が広まれば、『金髪の悪魔』だなんて言われちゃうかもしれないなー」
フレンダ「(さっきの戦いっぷりを見た様子だと恐らくレベル3以上の能力者。上手く勧誘して仲間にすれば役に立つかも)」
ウェイトレス「お待たせしました。ご注文のデビルタワーパフェとビッグマウンテンプリンとホワイトクリームミルクコーヒーで御座います」
琥来宇「おおっ!キタキター!」
フレンダ「(うっ…。凄く甘い匂い…。見てるだけで糖尿病になりそう…)」
琥来宇「ウメえウメえ(モグモグ)」
フレンダ「ねえ琥来宇、アンタの能力って一体何なの?」
琥来宇「俺か?俺のは『自分の形をあらゆるものに変える』能力だ。まだ測ってないから名前やレベルは知らんけど」
フレンダ「(それで両手が変わった訳ね)それってさ、例えば誰かに変身したり出来る?」
琥来宇「出来るよ、ホラ」
そう言うと琥来宇の顔と髪型はフレンダに変わっていった。ベレー帽も被っている。
フレンダ「おぉー。私ソックリ」
琥来宇「結局、そういう訳よ」
フレンダ「あれ?何か声が変…」
琥来宇「声は喉の構造を変えなきゃならないんだよ。さっきは適当に変えてみたけど、やっぱ違和感有るね」
フレンダ「もしかして、狭い場所とかに侵入出来たりする訳?」
琥来宇「自分の体だけなら出来るぞ」
フレンダ「(結局これって暗部にとって使えるんじゃないの?)」
琥来宇「これ美味えな。リピーター確定だな」
琥来宇「他に質問は?(モグモグ)」
フレンダ「もう大丈夫な訳よ」
琥来宇「そうか。じゃあ『チームパツキンズ』に…」
フレンダ「アンタにお願いが有るんだけど」
琥来宇「何?彼女なら募集中だよ?」
フレンダ「結局、実は私もう別の組織に入ってる訳なのよ」
琥来宇「別の組織って…。もしや既に自警団が存在してんのか?」
フレンダ「そういう訳よ。そして琥来宇、お願いってのは結局アンタにも入ってもらいたい訳なんだけど。どうする?」
琥来宇「俺で良ければ是非!!」
フレンダ「よしっ!一応リーダーに相談してみるね(ヤリー、使えそうな奴が入ったわ)」
琥来宇「この俺が法律だぜ」
フレンダ「もしもし麦野ー?」
麦野「フレンダか、何の用?」
フレンダ「実はとっても良い人材をスカウトしちゃった訳なのよー」
麦野「あん?スカウトだぁ?」
フレンダ「そう。潜入も偵察も破壊工作だって出来ちゃう優れものって訳」
麦野「へぇ…」
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