ばあさん「踏ん張りが足りませんよ。それ頑張れ頑張れ」
じいさん「全然ダメじゃ! ばあさんも手伝ってくれ」ウンセウンセ
ばあさん「それ負けるな! 頑張れ頑張れ」
じいさん「いや、応援はええから、ちょっとばあさんも引っ張ってくれや!」ウンセウンセ
ばあさん「大丈夫大丈夫! できるできる!」
じいさん「できないから言うとるんじゃ! もうわし、じじいだぞ!」ウンセウンセ
ばあさん「かぶ食べろ、かぶ!」
じいさん「だからそれを今収穫しようとしてんじゃろうが!」ウンセウンセ
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ばあ「全然抜けませんね。これじゃ埒が明かないんで、ちょいとジーナちゃんをよんできますよ」
じい「そうしてくれ。そして何でお前は決して手伝おうとはせんのじゃ」ハァハァ
ばあ「ジーナちゃーん! ちょいと畑にきとくれー!」
***
家のなか
孫「なーに、おばあちゃん? 用件だけ伝えてー!」
***
ばあ「おじいさんが大きなかぶを引っこ抜こうとしとるんよー!」
***
孫「すごーい! 頑張ってねって言っといてー!」
***
ばあ「分かったよー!」
じい「分かったよー、じゃない! 手伝ってくれっていわんかい!」
***
じい「よーし抜くぞ! うんとこしょ! どっこいしょ!」ウンセウンセ
ばあ「おじいさん、頑張って! もう少しですよ!」
孫「いけるいける! おじいちゃんならきっとやれる!」
じい「うんとこしょ! どっこいしょ!」ウンセウンセ
ばあ「かぶに呼吸を合わせて!」
孫「そーれ、あと一息!」
じい「手伝えよ!」ハァハァ
ばあ「で、でも……。ホントにあと少しだったもんで……」
じい「全然じゃろうが! 全っっっ然じゃろうがっ! ピクリとも動いとらんわ!」
孫「私、おじいちゃんのこと、信じてる!」
じい「うそつくな! かぶが抜けなくてヒイヒイ言ってる老いぼれを笑ってるだけだろうが!」
ばあ「まぁまぁ、今度は犬を呼んできますよ」
じい「その前にいっぺん3人で試そうや!」
ばあ「ミール! ミール、おいで!」ピイッ
犬「ワンワン!」ハァハァ
ばあ「おじいさんがかぶを抜くのを手伝っておくれ」
犬「ワンッ!」
じい「今度はばあさんも手伝うんじゃぞ!」
孫「私、おばあちゃんを信じてる!」
じい「ジーナ、お前もじゃ!」
***
じい「よし、今度こそ! うんとこ、ぎゃあっ!」
犬「ぐるるるるるるぅぅぅ」ガウッガウッ
じい「痛い痛い! 足を噛んじゃいかん! 離せっ!」ジタバタ
ばあ「おやめ、ミール! そのくらいにしておきなさいっ!」
じい「そのくらいにしとけってなんじゃ! 最初から噛ませるつもりかよっ!」ジタバタ
孫「ミール! おじいちゃんの足は手羽先じゃないのよ!」
じい「手羽先じゃないって、いつもミールに鶏肉やってんのはお前か! やっちゃダメだって言っとるじゃろ!」ジタバタ
じい「そしていつまで噛んでんじゃ、お前!」ジタバタ
犬「ぐるるるるるるぅぅぅ」
ばあ「これっ!」ゴツン
犬「きゃいん!」ダダダッ
じい「ひいひい……えらい目に遭うた……主人を噛みやがってあいつ……」
孫「ミール、どうしちゃったんだろ……」
じい「こ、今度噛んだら保健所に連れてってやる……」
ばあ「すいません、明日あたりにでも連れてきますから……」
じい「い、いや冗談じゃよ……。そんな簡単に保健所には連れてかんわい」
ばあ「いえ、狂犬病なんですよ、あの子」
じい「狂犬病ッ!? す、すぐに殺せぇっ!」
孫「おじちゃんも傷口洗って病院行った方がいいよ」
じい「ひいいっ! 死んじまうっ!」バタバタ
***
病院
じい「せ、先生っ! 狂犬病の犬に噛まれちまった!」バタバタ
医者「そりゃ大変だ! 今から診察してワクチンを打ちますよ!」
じい「先生! わ、わしは死ぬんか!? ううう、嫌じゃ! まだ死にたくないんじゃ!」シクシク
医者「発症したら手遅れですが、今さっき噛まれたなら大丈夫かもしれません。とりあえず診察を急ぎましょう」
じい「お願いじゃぁ! 助けてくれぇ!」ポロポロ
医者「大丈夫! 私を信じてください!」
***
1時間後
じい「せ、先生! 結果はどうなんじゃ!?」ガシッ
医者「あ、普通に大丈夫でしたよ」
じい「へ?」
医者「感染してないです。よかったですね」
じい「……じゃ、じゃがわしは狂犬病もちの飼い犬に……」
医者「本当にお宅のわんちゃんが狂犬病をもってるか、一度確認をとった方がよろしいですね」
じい「……だ、だってうちのばあさんが……」
ばあ「失礼しますよ」ガチャッ
孫「失礼しまーす」スタスタ
犬「わんわん」ハッハッ
ばあ「せーのっ!」
ばあ孫「「ドッキリ、大成功!」」
犬「わんっ!」
じい「ふざけんなぁっ!」
医者「お帰りの際には窓口で診察料をお願いしますね」
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