猫「おお、ご主人」友「なん…だと……」(191)

友「ありのままに起こったことを話すぜ」

友「今日俺は放課後、我が幼馴染にして亜人ハーレムの王たるザ・フラグボーイこと男の多人数デートに(非常時の生贄として)半強制的に連行された」

友「今回は運良く何のトラブルにも巻き込まれずに無事家に帰りつけたのだが、普段必ず病院送りになっている身の上故になんとなく不吉な予感を抱いていたんだ」

友「そして周囲を警戒しつつ恐る恐る玄関を開けると」

猫「おかえりご主人。今日は早かったのだな」

友「家の中に、猫耳と尻尾を生やした黒髪ロングの13歳くらいの美少女(正直どストライクだ)が、俺をご主人などと呼んで出迎えてきた」

友「長々と語らせてもらったが、俺から言うべき言葉はひとつだ」

友「君、男と間違えてないか?」

猫「そんなことはないぞ。クロのご主人はご主人だけだ」

友「どうやら予感的中。この子はうちの飼い猫のクロらしい。どうしてこうなった」

友「……話を整理しよう」

猫「うむ」

友「君は俺が幼少期に川で流されているのを男と2人がかりで救出してそのままうちで飼うことになったクロで間違いないな」

猫「うむ!」

友「なんということでしょう」

友「そりゃ昔っから男と連れ立って悲喜交々様々な不思議体験を繰り返してきた身ではある」

友「しかしそれらの中心は常に男だったはずだ。俺自身の身に降り懸かるなど今まで起きたことはない」

猫「うむ。クロが初めてというわけだな」ポッ

友「照れ顔可愛い……」

友「それはさておき」

友「要するに何故今になって俺の身にこんな不思議体験が起きたのかと」

友「正直言おう、混乱して止まない」

猫「実はつい先刻めでたく尾が割れてな」

友「ほんとだ。2本ある」

友「いやそうじゃなくてね?」

友「まあいい。否、よくはないが事態の進展のためにも今は置いておこう」

友「なにせ目下最大の問題点はそんなところではないからだ」

猫「ふむ?」

友「首を傾げる仕草も可愛い……」

友「だが。だがしかし」

友「何故全裸なのかと問い詰めさせていただきたい」

猫「む? 猫が服を着るのは不自然だろ?」

友「もっともな見解だが人型をとる以上は自身を人間として扱い人間の常識に従った振る舞いをすることを要求する」

友「さしあたっては今すぐ奥の部屋に行け。でないと」

友の妹「ただいまー」

友「しまった手遅れだった。遺書は机の引き出しにしまってあります、よしなに」

妹「で、釈明は?」

友「不慮の事故だと申している」←簀巻き状態

妹「ok、晩御飯と明日の食事全抜きね」

友「殺生な……」

猫「クロは気にしてないぞ?」

妹「そういう問題じゃないの。女の子の裸を見たってことが問題なのよ」

友「玄関開けたら目の前に桃源郷が」

妹「明後日の食事も全抜きにする?」

友「申し訳ないとは思っている」

妹「……はぁ。とにかくクロちゃんに服着せてくるから、そこから動いたらダメだからね?」

友「一切合切の身動きを封じられた俺にわざわざそのような警告をする妹の警戒心の高さが好きだ」

妹「一週間食事全抜き」

友「殺生な……」

猫「理不尽すぎると思うぞ……」

友「妹がクロを連れ去ってしまったがために玄関で転がったままの簀巻き男、その名も友」

友「俺は今ここに更なる脅威の接近を予感していた」

友の姉「うーす。……なにしてんだオマエ」

友「これには虫さされより低く蟻地獄より浅い事情があるのです」

姉「妹の仕業ってわけね」

友「察しのいい家族で心底助かる」

姉「そしてオマエは今抵抗できないわけね」ニヤ…

友「訂正。悪戯だけはご勘弁」

姉「あーん? 聞こえんなあ!」

友「あ、靴下が」

友「ああ、なりませぬ姉上。ズボンに手をかけてはなりませぬ」

友「お戯れを。お戯れを」

友「あ」

友「ああ……」

友「いっそ殺せ」←全裸亀甲縛り状態

姉「簀巻きを解いた時の妹の反応のレポよろしくゥ~。シャワー浴びてくるわ」

友「さりげなく俺の衣類まで持っていかないで下さいマイシスター」

姉「聞こえんなあ!」

友「おのれ、美人の皮を被った女王様め」

妹「なにブツブツ言ってんの」

友「しまった、まだ対策も練っていないというのに」

猫「対策? なんのだ?」

友「クロを押し倒してもこの家を勘当されないための対策だ。白いワンピース似合いすぎ可愛すぎ結婚しよう俺の子を産んでくれ」

妹「ギロチンがいい? 首吊りがいい? それとも電気椅子?」

友「妹がバイオレンスすぎて生きるのがトゥライ」

猫「ケッコンって何だ?」

友「oh...」

妹「そういえば納屋にチェーンソーが」

友「ともはばらばらになった! とか流石に洒落にならないのでご勘弁を」

妹「まあいいや。邪魔だしもう解くよ」

友「待ちたまえ」

妹「もう解いた……って……」

猫「……ご主人……どうしたんだその姿……」

友「妹、チェーンソーを持ってこい」

妹「」

友「放心している。駄目か」

友「クロ、俺の喉笛を咬みちぎってはくれまいか」

猫「!?」

友「と、このようなことがあったわけだが」

悪魔娘「ついに幻覚を見たか……」

天使娘「男君に悪影響なので半径1km以内に近付かないで下さいね」

エルフ娘「いい医者を紹介しましょうか? ホモですけど」

ハーピー娘「自殺したくなったら声かけてくれ。樹海までひとっ飛びしてやるから」

狐娘「これこれお主ら、あまり無碍にしてやるな。こんなどうしようもない阿呆でも主様の友であるぞ」

ピクシー娘「それフォローじゃなくて追撃だよねー」

友「言いたいことは色々あるが今後の自らの立場を思い今は閉口に徹することとしよう」

男「ごめんな、友……」

ラミア娘「あらあら、今日も賑やかね」

男「あ。おはようございます会長」

友「ご機嫌麗しゅう」

鬼娘「おっす男。一緒に行こうぜ」

犬娘「あ! 男先輩おはようございまっす!」

ドラゴン娘「……む。男、おはよう」

男「あ、あぁ、みんなおはよう……」

友「毎日見ている光景とはいえ、相も変わらずなんと凄まじいことか」

男「好きでこうなったわけじゃないけどね……」ハァ…

友「さながら亜人ホイホイだな」

天使娘「男君を悪く言うと天罰が下りますよ」

友「言論弾圧を正当化するような神などこっちから願い下げだ」

悪魔娘「そうだそうだ! オマエたまにはいいこというなぁ」

天使娘「むっ、貴女どっちの味方なんですか!」

悪魔娘「オレは男の味方だ」キリッ

友「時に(俺が)罵られ、時に(俺が)ど突かれ、その一方で(男の元に)亜人の美少女達が集っていく」

友「登校風景としてはどうかと思わなくもないが、これが男とその周りの日常の光景である」

友「学校に着く頃には俺が満身創痍になっているのもいつものことだ」

モブx「ウィー、男モテモテ友ボロボロ、でも女は皆男にゴゥゴゥ!」

モブy「ドンマイシュウマイテンテコマイ、俺らの分まで頑張れ友yo!」
友「うざい、黙れ」

モブz「保健室行くか?」

友「心配御無用。伊達に長年男の相棒を務めてはいない。もとよりこの程度で保健室に立ち寄っていては真に保健室に行くべき連中の邪魔にしかならん。調子が悪ければ放課後にでも寄ればいいだろう」

モブa(相変わらず喋り方がウザいね……)ヒソヒソ

モブb(キャラ作りでもしてんじゃない?)ヒソヒソ

担任「オラァ! 席に戻れカス共ォ! それと男はもげろ!!」

男「ついでで罵倒しないで下さい!」

天使娘「神よ、あの教師に神罰を……」

悪魔娘「バカ言ってないでクラス戻るぞ。じゃあな、男、友」

友「比較的普通に接してくれる悪魔娘の存在の温かさよ……」

友「ハーレム王・男の学業成績はさほど芳しくはない」

歴史教師「えー人間界が異界と繋がってから云十年経つわけですが、初めてゲートが見つかったのは何年の何月何日か。男、答えろ」

男「うぇっ!? え、えーっと……」

天使娘「20xx年の☆月×日です!」ガラッ!

歴史教師「オイィィィイ!! 余所の授業に割り込んでくるんじゃねえぞゴルァアアア!!」

天使娘「男君を困らせるようなことが授業だなんて認めません!」

友「先生、無視して授業を進めて下さい」

悪魔娘「馬鹿、オマエ何してんだよ」

天使娘「あっ、ちょっ、離して!」

悪魔娘「失礼しましたー」

 ピシャッ

男「あぁぁぁぁぁ……」ガックシ…

体育教師「今日は体力測定をします。男女分かれて2人組を作って下さい」

モブo「ブヒィィィ! トラウマなんだな! トラウマなんだな!」ガタガタ

モブb「先生、またモブoが発狂してまーす」

モブo「ふ、2人組なんて幻想なんだな! ぼ、ぼくは一生御一人様なんだな!」ブルブル

体育教師「放置で」

男「!?」

友「相変わらず体育教師先生はすっぱり切り捨てなさる」

モブz「いちいち構ってたら授業進まねえし、しょうがないんじゃん?」
友「さもありなん」

友「で、これも見慣れた光景だな」

犬娘「男先輩頑張ってー!」

ハーピー娘「おいコラそこの女子、男から離れろぉ!」

鬼娘「そこのモブども! 男の前に立つんじゃない!」

ラミア娘「あらあら」

モブz「……お前らホント大変だな」

友「そこで間違っても羨ましいと口にしないモブzの心遣いが身に染みるよ」

モブz「毎朝全身包帯だらけで登校してくるお前を見てりゃ、なぁ……」

友「昨日は統計的にも珍しく一切の外的な怪我をせずにすんだのだがな。……引き替えに精神的に何とも形容し難い衝撃を受ける事態と相成ったわけだが」

モブz「平和に1日を終われねぇのかお前は……」

友「楽しんでいるから委細問題なしだ」

モブz(図太い……)

モブz「男とモブsが走るぞ」

友「現役陸上部短距離走エース兼主将にして我がクラスきってのイケメンであるところのモブsか」

友「爽やかな性格と恵まれた容姿、文武両道を地で行くスペックの高さを誇りながらも何故かガチホモだと噂されているモブsか」

モブz「えらく説明的だな……」

体育教師「よーい」

 ピーッ!

「「「男君、頑張ってー!!」」」

友「女子の声援が地鳴りのようだ……ほぼ亜人だが」

モブz「にしても男も速いな、モブsと並んでるぞ」

友「勉強はアレだが、生徒会からヘッドハンティングを受けていなければ全運動部が争奪戦を繰り広げかねないほどの運動能力を誇るからな」

友「しかし特定の部活動に所属しては男のハーレム体質がいらぬトラブルを招き入れかねん。結局生徒会役員の座に収まるのが一番だったというわけだ」

モブz「説明してる間に2人ともゴールしてるぞ」

友「解せぬ」

友「昼餉の時刻になったわけだがチャイムと同時に無数の亜人娘達に囲まれ迫られ身動きを封じられた男なのであった」

男「友、助けて!」

友「残念だが俺は妹から断食一週間の刑を処されている最中である。昼はおとなしくみんなと食ってくれ」

男「薄情者ぉぉぉぉぉぉ!!」

友「さて、水道水で胃を満たしてこの獣の唸りの如き腹の呻きを抑え込むこととしよう」

猫「あ、ご主人!」

友「何故いる……しかも制服姿とはまた愛らしい。よくやった」

猫「面と向かって言われると照れるぞ」

友「すまぬ」

猫「妹さんから弁当を届けるように言われたんだ。見てないところでまで律儀に断食しなくていいって」

友「飴と鞭とは、我が妹ながらやりおる」

友「一緒に食うか」

猫「うむ!」


モブz「友が女の子と一緒にいる……だと……」

友「ご馳走様でした」

猫「おじぞうさまでした」

友「この時期は暑さのためか中庭が空いていてありがたい」

猫「お昼寝したくなるなー」

友「寝るなら木陰に入るのがいい。なんなら膝を貸そう」

猫「お願いします」

友「ほら、おいで」ポンポン

猫「~♪」ゴロン



モブa「嘘……何これ幻覚?」

モブb「ありえないありえないありえないありえないありえないありえない……」

モブo「ふひ、ふひひ、ね、ネコミミ最高なんだな!」

モブx「友にも青春俺達どうすん柱の陰から覗き見るゥ!」

モブy「猫見て友見て頬抓る! 頬の痛みが知らせる現実!」

モブz「お前らあんまし騒ぐなって!」

モブa「ぐぬぬ、まさか友に先を越されるなんて」

モブb「そんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけない勘違いに決まってる勘違いに決まってる勘違いに決まってるだってじゃなきゃ今まで悪い噂流してきた意味ないじゃん絶対私以外好きにならないと思ってたのにこんなのありえないあるわけないあるわけない……」ブツブツブツ…

モブa「ちょ、モブb……?」

モブz「友の根も葉もない噂の出所はモブbだったのか……つか怖ぇよ」

モブo「ブヒィ、ヤンデレはno thank you.なんだな」

モブx「なるほど道理で友モテなーい!モブb恋愛容赦なーい、yo!」

モブy「だけど一人で空回りィ!告白しなくちゃ今が無い!hey!」

モブz「ラップ止めろ!」

モブxy「「普通に喋っていいのか?」」

モブa「ごめんやめて、逆に怖い」

猫「……」ウトウト

友「……」ナデナデ

友(……彼らははたして本当に気付かれていないと思っているのだろうか。
 このような開けた静かな場所で声を上げれば聞こえないはずもないと気付きそうなものだが。
 そも恐らくはこちらの会話も耳に届いていたはず。
 ならば逆も然りと考えるのが道理。
 大体あれは隠れているつもりなのか。
 細い木の影に6人も隠れきれるわけがないだろう。
 モブoなど素ではみ出ているぞ。
 面白いから黙っておくが)

猫「……にゃぅ…………くぅ……」

友(おっと、寝入ってしまったか)ナデナデ

友(寝顔も可愛いな)ナデナデ

猫「んー……ふへへ……」ニマニマ

友(顔がにやけている。夢でも見ているのか?)ナデナデ



モブb「ううぅぅぅ、ぐぎぎぎぎ……」ギリギリ…

モブa「ち、血の涙……!」

モブz「そんなにか……」

訂正

>>30
×告白しなくちゃ今がない
○告白しなくちゃ意味がない

>>31
×細い木の影
○細い柱の陰

モブb「う゛う゛う゛お゛お゛お゛……ッ!」メキメキメキッ

モブa「柱に亀裂がァアー―――ッ!?」

モブx「女の嫉妬は怖いもの!おいらの尻尾はまがい物!」

モブy「コンクリぶち抜くミラクルパゥワ!こいつが噂のアマゾネス!」

モブz「いやわけわかんねーしモブx尻尾ねえだろ」

モブo「ブヒィイ!ま、まるでセラスたんなんだな!きっとモブbは吸血鬼なんだな!」

モブz「お前はもっとわからん!」

モブb「…………」

モブb「決めたわ」ユラ…

モブb「私、モブキャラ卒業する!」

モブaoxyz「「「「「な、なんだってぇー―――!?」」」」」

モブb「今から私はb子よ!」

b子「今から私はb子よ!!」

モブa「2回言った!?」

モブo「だ、大事なことなんだな、ふひっ」

モブa「落ち着いてモブb!」

b子「b子!」

モブa「あ、b子」

b子「よし」

モブa「落ち着いてb子!私達はあくまでモブキャラなのよ!
 だからこそかえって友との接触機会があったのに、あんたモブキャラっていうアイデンティティ棄てたら下手すれば男の餌食よ!?」

b子「リスクを負わなくちゃ愛は掴めないわ!それに私はずっと友一筋、今更揺らいだりしない!」

b子「あんたにわかるの?立ち位置のせいで絶対振り向いてもらえないとわかりながら10年も片思いを貫いてきた私の気持ちが!」

b子「せめて奪われないようにと心を鬼にしあらゆる手をつくして友の評判を落としてきた私の努力が!!」

モブa「努力の仕方が完全に間違ってるよ!?」

b子「たとえntrれる危険を犯してでも!私は友を振り向かせると決めたのよ!」

b子「今しかない……今しかないのよ……!!」

モブz「歪み方がすげえな……」

b子「純愛よ!」

モブa「いやいや……」

訂正

>>36
×危険を犯してでも
○危険を冒してでも

b子「とにかく決めたったら決めたの!こればっかりはたとえモブaにも邪魔させないわ!」

モブa「b子……」

モブa「……」

モブa「わかったわ。b子がモブキャラの座を棄てるなら」

モブa「私も、モブキャラを止める!」

b子「!」

モブa「私は今からa美よ!b子の恋、私が全力でサポートするわ!」

b子「モブa!」

a美「a美よ」

b子「あ、a美」

a美「よし」

b子「改めて……a美、ありがとうっ!!」ダキッ

a美「任せて!絶対に友……いえ、友君を落とさせてみせるわ!!」ギュッ

モブz「どうしてこうなった」

訂正

>>40
×モブキャラを止める
○モブキャラを辞める

変なミスが多いな……

友(ここまで丸聞こえである。どうしたものか)

友(……まあいいか。なるようにしかなるまい)

 キーンコーンカーンコーン……

友「む、昼休みが終わってしまったか」

猫「すー……すー……」スヤスヤ

友(起こすのも忍びないが……ううむ)

「おーい、友」

友「む?」

モブs「次移動教室だぜ、遅刻するぞ?」

友「おお、2階の窓から身を乗り出してまでわざわざ伝えてくるとは、モブsよ、なんと気の利く男か」

友「しかしながら俺は今至福のひとときを堪能している最中である。モブs及び男と教員殿には申し訳ないが次の授業はサボらせていただく旨を返答とさせてもらいたい」

モブs「ん、わかった。ほどほどにな」

友「そう言い残し特に追及もなく颯爽と去っていくモブsなのであった。なんだあのイケメン」

友「まあいいか。今はクロのほうが大事だし」ナデナデ

猫「んー……くー……」ゴロゴロ

友(さて、いざサボると決めると暇なわけだが)

 カポッ カポッ カポッ

友「む、この独特の足音」

校長「やあ友君。サボりかい?」

友「そして聞く者を穏やかな気持ちにさせる実に優しい声色は高名な老占い師でもあるケンタウロス校長。こんにちは、お世話になってます。すみません、サボりです」

校長「ははは、そうかしこまらなくてもいい。別に叱りにきたわけじゃない」

友「はぁ」

校長「実は君に話があるんだが、ちょうどよかった。少しいいかね?」

友「いざサボってみるとやることが特にないという事実に今し方気付いたところです。どうぞ」

校長「では失礼……。さて、友君。最近変わったことはないかね?」

友「それは日常から変化した物事という意味でしょうか、と一応の確認をとらせていただきます」

校長「その通り。君は聡明だね。で、どうだい?」

友「第一にクロが猫又に変化したことがありますね。クロは今俺の膝で可愛い寝顔を惜しげなく見せつけているこの美少女です」

校長「ほお……なるほど、なるほど……」

友「それが何か?」

校長「君は男君の傍らで常にその数奇な運命を目にしてきた。そうだね?」

友「否定のしようもなくその通りです」

校長「さて、では君は運命とは絶対のものだと思うかい?」

友「否、とお答えします」

校長「それは何故かな?」

友「それじゃつまらないじゃないですか」

校長「……ふっ、くくく、はははははっ。なるほど、確かにその通り」

校長「そう、運命とは絶対ではない」

校長「占い師の私が言うことではないかもしれないが、人の運命とはほんの些細なことで劇的に変化するものだ」

校長「幼い頃の男君は、ごく普通の少年だったろう?」

友「よくご存知で」

校長「私は校長だからね。ところが今は多くの少女達に囲まれ実に刺激的な日々を送っていると聞く」

校長「平凡だった少年が、人々を魅了する才能を開花させ、その運命は大きく変化した」

校長「君はそのきっかけに心当たりがあるかな?」

友「……一応は」

校長「私はそのきっかけまでは知らないが、それが彼の転機というものだったのだろう」

友「では、俺にもそういった転機が訪れたと?」

校長「その通り」

友「ふむ……」

校長「繰り返しになるが、運命とはほんの些細なことで劇的に変化するものだ」

校長「そしてそこからどんな未来を得るのかは、友君。わかるね?」

友「はい」

校長「結構。さて、私の話は終わりだ。これで失礼させてもらうよ」

友「ありがとうございました」

校長「ああ、最後にもうひとつ」

校長「どんな道を歩むにせよ、後悔してはいけないよ」

友「はい」

校長「うん、いい返事だ。では失礼」

 カポッ カポッ カポッ

友「などというやり取りをしたものの」

猫「ご主人、銀匙だぞ銀匙!なんと5割引だぞ!」
 ブンブンブンブンブン! ←無茶苦茶尻尾振ってる

友「その日の放課後はいつもと変わらず結局男一味に巻き込まれ家とは反対方向のイ●ンモールに立ち寄る羽目になったのである」

友「違いと言えば、クロに引きずられることで一団から離れ珍しく(と言っても普段も全くないわけではないが)別行動をしている、という一点だろう」

猫「ぬおお!? なんだこのネズミモドキは! 超速いぞ!!」
 ブワッ ←尻尾膨らんだ

友「そして今はペットショップにいるわけだが、クロのテンションがまさしくうなぎ登りであり、店舗前を通る人や店員の好奇と慈愛の視線が恥ずかしいやらこそばゆいやらで何気に落ち着かない俺なのであった」

友「そしてクロは可愛い。黒髪ロングに対し爛漫快活という些細なギャップが俺のツボを強烈に刺激してくる。マジヤバい」

猫「ふおおお! なんだこの首輪は! すごいキラキラしてるぞ!!」

友「なんか素直ヒート思い出すな」

友「結局ねだられるままに銀匙ばかり5つも買わされた俺である。人型になっても食えるのか?」

猫「人間向けの食べ物は味が濃くて苦手だ」

友「なるほど。では考慮した味付けをするよう妹に伝えておこう」

猫「うむ」

友「さて、そろそろ」


男「ピクシー娘を離せ!」

dqn1「オォイ、何命令してんだ、よ!」ガッ!

男「ッ!」ガクッ

天使娘「男君!」

dqn2「おっとぉ、へへへ。抵抗したらこのチビちゃんがグシャッといくぜぇ?」

ピクシー娘「くぅ……っ」

友「ふむ、わかりやすい構図で実にありがたい」

猫「なんだあいつら、汚い顔してるな」

友「思っても言っちゃいけません」

dqn2「ああ?なんだテメ――」

友「口を開ききる間があったらこのスタンガンを避けろ、うつけ」

 バチィッ!

dqn2「エンッ!」ビリィイッ!!

ピクシー娘「おわ、友ナイス!」

dqn1「なっ、テメエ何しやがる!」

友「スタンガンでビリッと」

男「いやそういうことじゃないだろ」

dqn3「あっれー、dqn2やられてんじゃん」

dqn4「何コイツら、超上玉ばっかじゃん」

dqn5「何何?やっちゃっていいの?」

dqn6「やべー、テンション上がってきた、やべー」

友「……マドハンドのように増えたな」

猫「マドハンドに失礼だと思うぞ」

友「然り」

悪魔娘「ったく、だから一人でフラフラすんなっつったろバカ」

ピクシー娘「ごめーん……」

狐娘「友め、相変わらず間のいいやつじゃの」

友「見せ場ですので」キリッ

ハーピー娘「その一言で台無しだよ」

友「なんと」

dqn1「オイテメエ、かっこつけてんじゃねえぞゴラァ!」

友「ふむ」

友「特に格好をつけるという行為に及んでいるつもりはないが君らから見てそう感じるのならおそらくそうなのだろう。しかしご覧いただきたい。ここに在る全美少女はそこに立つハーレムの王にして我が幼馴染で学校を代表するモテ男こと男にばかり視線を向けており俺の行いに簡潔な感謝こそすれども好感度はわずかにですら上昇する気配を見せないこの道化を。この現状にありながら諸君らと対峙している俺の姿は果たしてカッコつけという言葉で表現してよいものだろうか。否。これはただの道化である。よって道化は道化らしく無様な舞を披露したいと考える所存だ」

dqn1「お……おお?」ヒキッ

dqn3「な、なんだこいつキモいぞ……」

dqn4「なんて残念なやつなんだ……」

dqn5「絶対友達になりたくねえ……」

dqn6「やべー、テンション下がってきた、やべー……」

友「失礼な」

友「そんな失礼なことを言う奴らはこの俺が成敗してやろう」スッ

dqn1「! やる気かテメエ!」

友「我が荒ぶる鷹の舞の餌食にしてやろう!どこからでもかかって」タンッ

オバハン「邪魔だよどきな!」

 ガッ!

友「あ」
dqns「「「あ」」」
亜人s「「「あー」」」

友「説明しよう。現在俺たちがいるのは3階ホールの吹き抜け近くである」

友「そして荒ぶる鷹の舞とは、空中高く飛び上がり荒ぶる鷹のポーズから様々な技を繰り出す我が父直伝のケンカ武術である」

友「つまり俺は空中におり、そこを通りすがりの大変ガタイのいいパンチパーマで紫色したオバハンに吹っ飛ばされたのである」

友「要するに」


 ヒュウウゥゥゥゥゥ……
<落ちるってことだああぁぁぁ……!


男・dqns・猫「「「ええええええええええええ!!?」」」ガビーン!?

訂正

>>53
×友「そんな失礼なことを言う奴らはこの俺が成敗してやろう」スッ
○友「そんな失礼なことを言う奴らはこの俺が成敗してくれる」スッ

×男・dqns・猫「「「ええええええええええええ!!?」」」ガビーン!?
○男・dqns・猫「「「ええええええええええええ!!?」」」ガビーン!!

<ガシャーン!

<うわあ!?ひ、人が……!?
<お、おい救急車だ!
<心配ご無用、この程度で医者にかかるほどヤワくはない。
<ちょっ!?

 ダダダダダ… ダダダダダダ…

友「待たせたな、さあ仕切り直そう」

dqn1「なんで平然としてんだ!?」ゴーン

dqn3「おい、コイツヤバくね」

dqn4「関わらないほうがいいんじゃあ……」

友「では改めて、我が荒ぶる鷹の舞を喰らうがいい!」タンッ


店員「すみません前通りま~す」

 ドカッ


 ヒュウウゥゥゥゥゥ…
<ああああぁぁぁぁぁぁ……!

男・dqns・猫「「「2回目ぇー―――っ!!?」」」ガビーン!!

<ぎゃあ!また来た!!
<ちょっと、本当に大丈夫なの!?
<ははははは、この程度なんでもござらん。
<いやいや君腕!腕が!

 ダダダダダ… ダダダダダダ…

友「待たせたな。もう一度仕切り直そう」プラーン

dqn5「腕があらぬ方向に曲がってるゥー―――!?」

男「友ォー―――!?」

友「むう、これでは荒ぶる鷹のポーズができん」

dqn1「いやテメエそういう問題じゃねえだろ!?」

猫「ご主人凄いな……」

鬼娘「なあ、次どこ行く?」

エルフ娘「そうですね、カラオケでも行きませんか?久しぶりにハーピー娘さんの歌が聞きたいです」

ハーピー娘「おっ、嬉しいこと言ってくれるじゃん♪よーし張り切っちゃうぜー」

犬娘「ほら男先輩、行きましょう」

男「いやいや友が!あ、こら引っ張らないで!」ズリズリ

男「友っ、友ォオー―――……!」ズリズリズリ…

猫「行っちゃた……」

妹「あら、クロ」

猫「あ、妹さん」

妹「ちょうどいいところに。今から特売があるから付き合ってくれる?」

猫「あ、でもご主人が」

妹「ほっときなさい。どうせいつもの馬鹿騒ぎでしょ」

猫「むう、妹さんが言うなら」

妹「平気平気。あ、それから……ごにょごにょ」

猫「! なんと、それはいいことを聞いたぞ!」

妹「特売の後2人で行きましょ」

猫「うむ!」

dqn6「やべー、いつの間にか誰もいねー、やべー」

友「ええい、不完全だが致し方なし。今度こそ受けてみよ!」

dqn1「嫌な予感しかしねえから止めろ!」

dqn3「くそっ、抑えつけろ!」

友「ふっ、幼少期からトラブルに巻き込まれ続けてきた俺にとってみれば貴様らの動きなどスローすぎて欠伸が出るぜ」クネクネ

dqn5「うわコイツ動きがキメえ!」

dqn6「タコってあんなかんじだよねー」

dqn4「お前も手伝えって!」

友「ふはははは!ヌルいヌルい!」クネクネ

友「そして今こそ受けてみよ!荒ぶる鷹の」タンッ


オバハン「邪魔ァア!!」

 ド ゴ ォ ッ !!


 ヒュウウゥゥゥゥゥ……
<まあああぁぁぁぁぁぁ…………


dqns「「「3度目ぇえー―――――――ッ!!?!?」」」


<ガシャーン!!

医者「君は馬鹿かネ」

友「返す言葉もない」

医者「まァやってしまったものは仕方ないネ。今夜一晩は動かさないようにネ」

友「毎度お世話になります」ペコリ

医者「怪我人を治すのが僕達の仕事だネ。でも君はもう少し怪我をしない努力をしたほうがいいネ」

友「前向きに検討しておきます」

医者「これ以上ないほど信用できない言葉だネ」フゥ…



dqn1「大丈夫かよお前……」

友「全治一晩だ」

dqns「「「!?」」」

友「ここの医者は優秀だからな。ほぼ毎日世話になっているが、一晩で治らなかったことはないぞ。病気や怪我をしたときはここにくるといい」

dqn3「なあ……やっぱ関わっちゃいけないやつに関わっちゃったんじゃね……」

dqn5「は、早く出よう!凄腕すぎて逆に怖え!」

dqn6「やべー、ドラマの録画予約忘れてた、やべー」

友「で、なんだかんだで連絡先交換して帰ってきた」

姉「あんた相変わらず意味不明ねぇ」グビッ

友「ううむ、特別おかしな振る舞いをしているつもりはないのだが」トクトクトク…

姉「まああんた自身が変人だもんねぇ」グイッ

友「失礼な」

友「時に何故俺は姉上のビールを注ぐなどという作業を片手でやらされているのでしょうか」

姉「そんなのあんたが零した時に罰ゲームするために決まってんじゃん」

友「なんという……」

>>1ですたい

今更だが一応酉つけとく
こっちも宜しく
携帯からだからurl間違ってるかもしれんが

農家「魔王とかフザけんな」
農家「魔王とかフザけんな」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/internet/14562/1334280240/)

幽霊「あら?」
幽霊「あら?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/internet/14562/1337276597/)


友「で、翌朝」

b子「おっおぉぉおはようっ!!」

a美「どもりすぎ、落ち着きなって」

友「何故かこの2人に待ち伏せられる俺なのであった」

モブz「俺もいるぜ……くぁ」フアァ…

友「何故いるのかという部分が気になりはするがそれよりも随分と眠そうだな」

モブz「a美に付き合わされて徹夜したからなぁ……」アフゥ… ボリボリ

a美「ちょっと、余計なこと言わないでってば」

モブz「うるせえバカ女」

a美「あ?」カチン

モブz「あ?」カチン

 ┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙・・・・

友「遅刻すんぞー」

友「ふむ」ポチポチ

to 男
件 すまん
 今日は合流せぬ(・ω・)独りで孤高に耐えてくれ
 冥福を祈る(-人-)南無

友「送信、そして電源オフ!」ピッ

友「さて行こうか」

モブz「やんのか?あ?」

a美「女だからってナメてんの?あ?」

b子「ちょ、ちょっと2人とも……」

友「愉しそうだから放置して先に行ってしまおう」スタスタ

b子「あ、友君が!あっ、わ、ええと!」

a美「……」チラッ

モブz「……」チラ チラッ

b子「」ビクッ

a美・モブz((さっさと行け!))←目で語っている

b子「! ごめん!」タッ

すまん酉変える、ググッたら過去に同じ酉のコテがおった

酉テス 今度は大丈夫かしら……

友(あの2人のわざとらしすぎる寸劇は本気で通じるつもりでやっているのだろうか……)

友(気付いていてノッてやる俺も俺ではあるが)

b子「ま、待って友君!」

友「はい」

b子「あ。あー、えっと」オドオド

友「話があるなら歩きながら聞こう。どうせ行き先は同じだからな」

b子「あっ、うん!」


友「こうして肩を並べるのは小学校での集団登校の時以来かな」

b子「あ、そ、そうね、うん!」

b子(うわー!うわー!なんで覚えてんの!?なんで覚えてんの!?ヤバい顔にやけそう!ああもう友君横顔カッコいいなあ!)キュンキュン

友(わたわたしておる。面白い)

友「それを思えば奇妙なものだ。小中高と同じ学び舎にありながらも、今日まで朝逢うことがなかったとは」

b子「いやぁ、見かけはしたけど……ほら、男君がさ」

友「あぁ」

友(実際問題として……)

b子「そういえば、いいの?男君ほっといて」

友「未だトラブルが絶えないとはいえ、物語で言うエンディングはとうに過ぎているからな。本来なら俺が干渉することのほうがおかしいのさ」

友(男と亜人娘達の関係は既に覆らない位置にある。昨日の騒動も俺がいなかったとして誰かが解決しただろう。ただ迅速に簡潔に終了させる手段としてこの身を投じたに過ぎない)

友「そっちこそいいのか?俺といると多少なれども目立つぞ」

b子「それは……あー……」

b子「……えーっと、あのさ」

友「うん」

b子「実は……友君の悪い噂流したの……私」ゴニョゴニョ

友「うん?」

b子「だっ、だからぁ!」

b子「友君がホモだとか友君がntr狙いだとか友君が男君とデキてるとか噂流したの!私が!!」

友「へー」

b子「」ズルッ

b子「いや、あの、へーって……それだけ?」

友「何が?」

b子「もっとこう、怒るとかさ……」

友「むしろイジメが治まって助かったが」

b子「へ?」

友「昔の話だけどな。やっかみやら嫉妬やらで色々あったのさ」

b子「そ、そうだったんだ……」

b子(全っ然気付かなかった……)

友「ふむ。それを思えばb子は恩人ということになるな。ありがとう」

b子「ふぇっ!?ちょ、や、私っ、そんな!」

友「だが」

 ぎゅむっ

b子「うぃ(痛)っ!?」

友「根も葉もない噂を流すのは感心しないなあ」

 ぎりぎりぎり……!

b子「ひゃひ!いひゃいいひゃいいひゃいはらへ!!」バシバシ!

友「はっはっは、伸びること伸びること!」

b子「~~~~っ!ふんっ!」

 コイーン

友「」

b子「あ……」

友「ああああああああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」ゴロゴロゴロゴロ…

b子「ご、ごめん!まさかそこに当たるなんて!」

友「おおおぉぉぉ゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙!!」ガクガクガク…

b子「わーっ!しっかりしてー!」



モブz「」ガタガタブルブル

a美「うわぁ、何してんだか……」

モブz「怖ぇ……惚れた相手に金的決めるかよ普通……」

a美「いや、たぶん腹にヒザ入れるつもりが身長の差を忘れてたんだと思うけど」

モブz「その分全力で入ったわけか……友のやつ、今度こそ死ぬんじゃねえか……?」

友「花畑の向こうに爺様が見えたぜ……」ゼー、ゼー、

b子「だ、大丈夫……?」

友「案ずるなかれと言いたいが、流石の友さんでも金的は無理です」ジリジリ…

b子「ちょ、なんでちょっと離れるのさ……」

友「その気がなくても身長差的にあまりにもクリティカルな位置に足が届くのがわかったからな。またカッとなって打ち込まれたら俺のゲイボルグが粉砕して友さんが友ちゃんになってしまうかもしれん」

b子「セリフ長っ!てか割と余裕あるんじゃん」

友「待て、動くな。今し方刻み込まれたばかりの死を垣間見るほどの恐怖はそうそう払拭できるものではない。ならん、ならんぞ」

b子「…………ふーん」

友「…………」

b子「…………」ジリ…

友「ッ!」タンッ ズシャアアアアアア!!

b子「ビビりすぎでしょ……」

b子(ちょっとヘコむわ……)

b子「もう……あーでも私が悪いんだよね……、ごめん」

友「うむ、許そう。だから動くな」

友「まあともかく、噂に関しては気にするな。むしろ自然発生した悪評のほうが余程たちが悪い」

b子「あ、うん。でも……ごめん」

友「ふむ」

友「b子は見た目ヤンキー娘なのに意外にも気にしいなのだな」

b子「ヤンキーて」

友「嫌いじゃないがな。さて、そろそろ行こう。本当に遅刻してしまう」

b子「……近付いても平気?」

友「…………ふむ」

友「b子、おいで」

b子「」キュン

a美・モブz((それでときめくんかい……))

a美「b子の将来が不安だわ……」

友「そこで隠れてる馬鹿2匹も出てこい」

モブz「げ、バレてたのか」

友「そちらから見えるんだからこちらからも見えるに決まっとろうが」

友「そうこうしているうちに学校だ」

b子「…………ね、ねえ、友君」

友「明日も皆一緒に来るか?俺としては歓迎するが」

b子「! うん!」パアッ

友(ういやつめ)

モブz「俺ん家反対方向なんだが……」

a美「b子のためよ。そのくらい我慢しなさい」

モブz「へいへい」

友「そろそろ携帯の電源を入れるか」ピロリン

友「案の定男の救援要請が凄まじいな」

友「む、dqn1からメールか」ポチポチ




to dqn1
件 助けて
 dqn2が出家した



友「…………」

友「!?」

担任「オラァ!全員座れこのカス共がァ!」

担任「出席!いねェカスは返事しろ!」

モブs「先生、無理です」

担任「黙れイケメン!貴様に発言権はねェ!」

モブo「ブヒィ、む、無茶苦茶なんだな」

モブz「毎朝怒鳴り散らしてよく飽きねーなぁ」

担任「んん?友はどうした?」

a美「なんか急用とかで校門のとこでどっか行っちゃいました」

担任「そうか。まあ友の事だしその内ふらっと戻るだろ」

担任「出席、と」

 ガラッ

男「ぜー、はー、す、すみません、遅刻……」

担任「男は欠席と」

男「うぇっ!?いや居ます!今来ましたよ!」

モブz「このあからさまな扱いの違いももう風物詩レベルだな」

a美「……考えてみたら友君って結構信用はあるのよね」

モブz「今更かよ」

a美「ウザいクドいキモいが先行しすぎてて気付かなかったのよ。あいつ絶対長ゼリフで損してるわ」

モブz「そうか?あれだって個性だろ。モブxyコンビのラップ喋りみてえなモンだし」

a美「いやどっちもウザいんだけど」

a美「っていうかモブxy、やけに静かね」

モブx「呼ばれたからには応えにゃ……ダメだ」ダラーン

モブy「インスピレイション出てこなーい……今日の俺達イケてなーい……」グデーン

a美「ありゃま」

モブo「フヒッ、そ、その2人は、と、友がいないと、フヒッ、テンションが、ひ、低いんだなっ」ブヒーッ

a美「あ、キモいから近付かないで」

モブo「ブヒ」

b子「はぁ……」ポケー…

a美「こっちはこっちで上の空だし」

モブx「テンション上げても友こなーい……観客いなくちゃ意味がなーい……」ダラーン

モブy「無人化会場閑古鳥ぃ……あーダメだ思いつかねえ……」グデーン

モブx「やっぱ友いねーと……」

a美「何中毒よ」

モブz「長ゼリフ中毒?」

a美「ろくでもないわね、それ」ハァ…

友「説明しよう」

友「現時刻は我が校の1時限目開始直後であり、世間一般的にもこの時間に校外を彷徨いている学徒は所謂不良に分類される者達が大半と言われているわけだが、さてはて何の因果か俺は今イオ●モールより更に向こうの山の中程にある寺院へと足を運ぶことになっているのだった」

友「ちなみに制服のままでは目立つので家に寄って黒yシャツと白のスラックスという上下反転カラーに換装してきた俺である。余計目立つ気がしないでもないが気のせいだろう」

友「尚、帰宅時に姉上に見つかり後日買い物に同行する約束という名の脅迫を受けたことをここに示しておこう」

友「などと申している間に門前に辿り着いた。しかし朝から坂道を登ることになろうとは……」

友「まあ普段のドタバタに比べれば楽なものだな」

dqn5「あ、友来た。こっちこっち」

友「やたら親しげに手を振って俺を呼ぶのはdqn5である。彼は比較的背が低く童顔で声もハスキーなので服装次第では女に間違えられることだろう。ただし年齢や性別の確認を取ったわけではなく制服からの推察であるためあるいは年下や男装女子である可能性も秘めている。真相は確かめないのが華だ」

dqn4「またなんか言ってんし……」

友「やあ」

dqn4「よ、お疲れ。悪いなわざわざ」

友「有事の際の緊急ダイヤル、町のみんなのピンチヒッター、その名も友でござい」

dqn4「……お前それ今考えたろ」

友「そのとうり」

dqn4「しょうもねぇ……」ハァ…

友「このどことなく倦怠感に包まれている背ェ高ノッポのdqn4はグループ内では常識人であるようだ。俺のボケを流すでもなく拾うでもなく申し訳程度に蹴り返してくる姿勢が少々a美に似ていなくもない」

友「ちなみにdqn6と共にカラオケ好きである。十八番は長■剛」

dqn4「さっきから誰に語ってんだよ」

友「考えるな、感じろ」キリッ

dqn5「友は今日もワケわかんねえなぁ」ケラケラ

dqn4「たまにお前らの順応性が羨ましいわ」

友「中毒性のある長ゼリフに定評のある友です、よしなに」

dqn4「そんな毒はドブにでも棄てろ」

dqn6「ウェーイ!」

友「! ウェーイ!」

dqn6「ウェイウェーイ!」

友「ウェイウェイウェーイ!」

dqn6「ウェウェウェウェウェーイ!」

友「ウェイウェイウェイウェイウェイウェーイ!」

dqn6・友「「ウェーイ!」」

dqn6・友「「ウェーイ!(ハイタッチ)」」パシンッ

友「dqn6はこんなかんじだ」

dqn4「なんかお前らは隣り合わせにしちゃならねえ気がする」

dqn3「なんだ、騒がしいと思ったら友か」

友「おお、音痴代表のdqn3ではないか」

dqn3「あ?」ビキッ

友「このようにとびきり気が短いdqn3である」

友「いやすまない軽い冗談だ胸倉掴まないでくれ顔が近い顔が近い顔が近い」

dqn1「友ッ!」バッ

友「やあ、dq――」

dqn1「よく来てくれた!ホントよく来てくれた!」ガシッ

友「半泣きで肩を掴まんでくれ」

dqn1「俺はもう、ホントどうすればいいか……!」

友「そのまま崩れ落ちるように倒れないでくれ、意外と重い」

友「グループのリーダー格であるらしいdqn1は少し男に似ている。基本的に頼りない雰囲気を纏っているのだがやる時はやるぞという気配も兼ね併せているので、あるいは主人公タイプの素養を持っているのかもしれない」

友「だが俺に泣きつくのは男だけで手一杯なのでどうか他の友を見つけてほしいと切に願う」

友「ちなみに言い忘れたが、彼らとは先日病院帰りにゲーセンカラオケラーメン屋とぐだぐだ一緒に回った挙げ句なんやかや打ち解けて、という過程を通じてそれなりに仲良しになったので別に俺が誰とでもいきなり仲良くなるとかそんな素養の持ち主ではないということをここに明記しておきたい」

友「おとなしく姉上の晩酌の供をしていたのも帰りが遅い俺に対して憤慨していた妹とクロを姉上がなだめて下さっていたが故である。最近家庭内の力関係において俺は最下位なのではないかと疑っているのだが、真相は母にしかわからないだろう」


友「で」


友「僅かな水音と鹿威(ししおど)しの拍子が響く立派な箱庭の直中で、玉砂利の上に半畳の畳を敷いて坐禅を組む一人の坊主がおった」

dqn2「………………」

友「後光が見える気がするが多分見間違いだろう」

友「というか、もう明らかに悟りを開いてる様子なのだが俺にどうしろと?」

住職「おや、あんたぁ、友君かね?」

友「? はぁ、まあ」

住職「おーおー、噂は聞いとるよ。
 あんでもえらい悪魔の召喚を邪魔しただとか、封印されとったタチの悪い妖怪を懲らしめただとかの」

友「ああ、それは間違いなく俺ですね。正確には俺の幼馴染であるところの男が中心人物なのですが」

友「というか、よくご存じですね」

住職「なあに、儂も仏門とはいえバケモンとやりあうこともあるでな。デキのええ孫どももおるし」

友「孫ですか」

住職「そこで坐禅組んどるのもそうじゃ。それと、自分で『t』なんて名乗っちょるのもおるのぉ」

友「なんと。こちらがtさんのご実家でしたか」

dqn1「何の話してんだろ……」

dqn3「覗き込んでねーで行ってこいよメンドくせぇ」プカー

dqn4「そう言うなって。コイツへたれなんだから」

dqn1「へたれ言うな」

dqn3「つーかdqn2のやつバンドどうすんだよ。辞めんのか?」スパー

dqn4「メインヴォーカルに抜けられるのは少し困るな」

dqn1「一度辞めると絶対二度とやらないからなぁ……説得できりゃいいんだけど」

dqn5「『できないこと好き』の『負けたがり』だっけ? 変なやつだよなぁ」

dqn4「負けたらスッパリ辞めるしな」

dqn1「あいつ昔から何やっても失敗しないから……」

dqn3「そこだけ聞くとクソウゼェな」プハー

住職「コレは兄と違うて昔っからふらふらしとってのお」

友「はあ」

友(コレ呼ばわり……)

住職「ようやくやる気になったのかの。急に儂のあとを継ぐと言い出しての」

住職「まあ儂としちゃあ嬉しいこっちゃが、友達らに一言もないのはいかんよなあ」

友「そうですねぇ」


友「話をまとめると」

dqn1「おう」

友「dqn2ことt弟は俺に負けたことを理由に悪さを止め寺に入り跡取り修行に入った」

友「しかしながら彼は諸君らとバンドを組んでおり脱退されると困る状況にありながら彼から一方的な離脱表明をなされ途方に暮れている、と」

dqn4「別に暮れちゃいないが、まあ困るわな」

dqn1「俺としてはdqn2に戻ってほしいんだよな。せっかく俺らで作ったバンドだしさ」

dqn3「俺はキョーミねぇ」

dqn5「dqn2が決めたんなら邪魔はできないかなぁ」

dqn6「やべー、ヴォーカルいねー、やべー」

友「ふーむ……」

友(……はて、首を突っ込むべきことでもないように思えるのだが)

dqn1「邪魔しないようにったってさ、そもそもバンド始めたのもdqn2からじゃん」

dqn5「始めたのが勝手なら辞めるのも勝手じゃね?」

dqn1「そんないいかげんな……」

dqn3「ゴネるなよ面倒くせぇな」

dqn4「おい、お前はもうちょっと言い方を」

dqn3「ここで騒いだってどうにもなりゃしねーだろが」

dqn5「結局はdqn2次第だしね」

dqn1「そりゃ……そうなんだよなぁ、はぁ……」

友「お、まとまったか?」

dqn4「dqn2の脱退は仕方ないとして。むしろ、じゃあバンドはどうするかってのが問題だよな」

友「ふむふむ」

dqn3「なくなると暇ンなるよなぁ」

dqn5「dqn3は普段から真面目にやってないじゃん」

dqn3「ばっかお前俺ぁドラマニで鍛えてんだよ」

友(こいつドラムスだったのか)

dqn1「俺はできれば続けたいかなぁ……一応曲も作ったし」

友「なんと、オリジナルとは」

dqn3「作曲はdqn6だけどな」

dqn6「んー?」

dqn4「……お前何してんだ」

dqn6「畳の目ぇ数えてんよー」

友(アホがおる……)

友「まあ諸君らがバンドを続けたいというなら、メンバーのアテがないでもないぞ」

dqn3「あ、マジで?」ズイッ

友「顔が近い」スス…

友「一応連絡を取ろう。大人数になるが、待ち合わせは」

dqn5「今から!」ハイッ

友「却下。放課後5時頃が妥当な所だな」

dqn1「同級生か?」

友「クラスメイトだ。なかなか愉快な連中だぞ」

dqn3「女いるか?」

dqn4「お前……」

友「いるにはいるが……いや、まあ会ってみればわかるか」

dqn4「なんか含みがあるな」

dqn3「女ならなんでもいいだろ。可愛けりゃサイコーだ」

友「本能に忠実な奴め」

友「さて……では話を進める前に」

dqn5「うん?」

友「ちとケジメをつけさせに行ってくる」スタスタスタ…

dqn1「ケジメ?」

dqn4「dqn2のことか?」

dqn3「はーん、あいつ何する気d」


  ず ごぉん !!


「ア゙ァ゙ー―――――~~ッ゙!!」

dqns「「「…………」」」


  ぎゃりんぎゃりんぎゃりんぎゃりん!

  ウィー…ガショーン、ドゴォン!

  ふょんふょんふょんみょん…

「ア゙ーッ゙! やめてとめてやめてとめてやめてとめてやめてとめてあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」

  ドタバタガタガタぐわぁーんガシャァン!!

  ゴィーン…


  ぷるるるる…がちゃっ


  ぱらららぱっぱっぱー♪


dqns(((レベルアップ!?)))ガビーン

友「ただいまー」スッキリ

dqn3「……おい、dqn1何したのか聞けよ」ヒソヒソ

dqn1「ばっ、嫌だよ怖ェ!」ヒソヒソ

dqn4「わけわかんねえ音が混ざりまくってたぞ……」ヒソヒソ

dqn5「ていうか最後のファンファーレは何さ……」ヒソヒソ

dqns「「「…………」」」ジィ…

友「? どうかしたか?」ツヤツヤ

dqns(((ツヤツヤしてる……!!)))ゾゾッ

友「まあそんなわけで約2名引きずって重役出勤ならぬ重役登校してきたわけだ」

<アンギャアアアアアアアアッ!!

a美「約て」

猫「ご主人、お茶を淹れたぞ」

友「おお、ありがとう。……うむ、よく冷えて美味い」

<ノ゙ーッ゙!ノ゙オ゙オ゙ォォォォォォォッ!!

モブz「で、当のdqn1・2はどうしたんだ?」

友「亜人娘の群に放り込んできた」

a美「鬼ね……」

友「自業自得、因果応報。曲がった性根は叩かねば直らんだろうて」

<オンドゥルルラギッタンディスk アウアッ!!

b子「それでさっきから悲鳴が聞こえるのかぁ……」

モブz「ちょっと待て最後おかしかったぞ」

モブo「フ、フヒヒ、き、気にしたら、ま、負けなんだな! フヒッ」

友「せめて冥福を祈ろう」合掌

モブx「大地に轟くdqnの叫び!雲を貫いてflyaway!」

モブy「奴らが絶叫俺達好調漲るパワーは“ざまあみろ”!」

モブxy「「ヘイ!」」パシンッ

a美「うるさい」モグモグ

モブz「調子が戻ったみたいだな」モグモグ

友「なんだ、熱射病にでもなっていたのか?」モグモグ

b子「なんか友君いないとテンション上がんないんだってさ」モグモグ

猫「変な人達だなー」モグモグ

モブo「フ、フヒヒッ、ユ、ユニーク、なんだなっ」モッチャモッチャ

友「さて、我が愛しき妹が俺のために早起きして丹誠込めて作った愛妻ならぬ愛妹弁当も平らげたことだし」

モブz(長い……)

友「寝るか」ウン

a美「寝るのかよ」

b子「…………」

b子(――はっ!これってチャンス!?)

b子「あっああああの友君ッ!」ズイッ

友「実質幼馴染的位置にありながらもモブキャラに徹することで男の毒牙を交わし続けた元モブbことb子、どうした」

モブz(長い…………)

b子「すっ、すぉの!良かったら私が、ひ、ひざま」
男「うわーん!助けて友えもーん!」ドタドタドタ!!

b子「」

a美「あちゃー……」

モブo「ブヒィ、最悪なんだな」

友「何事だハーレム王」

男「何事も何もさあ!」

<こっちにはいませんわ!
<男ぉー、怖くないぞ、戻ってこぉい
<せっかく先輩のために空き教室借りたんですけどねー
<あらあら
<やっぱり1人ずつのほうがいいのかなぁ
<……それは、喧嘩になるから
<まとめて相手をしてもらうのが一番じゃな

友「死ね」

男「死ね!?」ガーン!!

友「男冥利に尽きるだろうに、何が不満なのだお前は」

男「だってさ!みんななんかもう獲物を狙う獣の目でさあ!!」


b子「――それってこんな眼?」ゆら…


   ぞ  わ  っ


男「ひっ!?」ビクッ!

b子「いいよね、男は暢気でさ」

b子「何もしなくても女の子のほうから言い寄ってきてさ」

b子「こっちは延々死ぬ気で努力してさぁ」

b子「一大決心してモブキャラ卒業までしてさ?」

b子「そりゃあ簡単に結果が出るなんて勘違いしちゃいないよ」

b子「それでもだからこそ私は必死なわけよ」

b子「それこそ死ぬくらいの意気込みでチャンスを掴もうと頑張ってるわけよ」

b子「それが……何?怖い?だから逃げてきて?友君に助け求めて?私の邪魔しちゃって?」

b子「しかもまっっったく悪びれもしないで自分の言いたいことだけ言ってさぁ……」

b子「なんなの?」

b子「なんなのお前?お前友君の何なの?」

b子「むしろ友君はお前の何なの?」

b子「友えもんって便利キャラ扱いか?長年相棒を勤めてきた親友とも呼べる間柄の頼れる幼馴染に対して言うことがそれか?あ?」

b子「フザけてんのか?」

b子「ブチ殺すぞテメェ」

モブx「狂気が炸裂恐怖に戦慄、怒りの炎が天を衝く!」カタカタ

モブy「ガクガクブルブル震える体ァ、コイツが本気のプレッシャー!」ガタガタ

a美「あー、b子のマジギレ久しぶりに見たわ」

モブz「女って怖い……」

モブo「い、今のは男が悪いんだな」

b子「聞いてんのかよオイ!!」

男「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」ガクガクブルブル

a美「友君的にあれはどうなの?」

友「何が?」キラキラ

a美「……あんたなんでそんなイイ顔してんのよ」

友「いやあははは。俺のことで怒ってくれる女の子というのが貴重で」

猫「ご主人は家でもあくまで弄られる側だからな」

a美「ふーん」

モブz「自分で訊いておいて興味なしか!?」ガビーン

モブo「フヒ、a美も結構いい性格してるんだな」

a美「いやどう返せっつーのよ」

猫「くあ……」フアァ…

友「眠いか。おいで」

猫「ん……」ヨイショ

モブx「自然な動作で膝上ゲット、b子の勇気が蔑ろォ」モニョモニョ

モブy「黒髪美少女猫娘、こいつはまさかの漁夫の利かァッ」ボソボソ

モブz「気ぃ使って小声なのな」

悪魔娘「あ、男こんな所にいたのか」

男「ぎゃあっ!」

悪魔娘「その反応は傷つくぞ……」

男「う……ごめん」

b子「あんたらね、自分らの男くらいキッチリ管理しなさいよ」イライラ

悪魔娘「しらねーよ、今回オレはカンケーねえもん」

男「え?」
a美「ん?」
モブz「は?」
モブo「ブヒッ」
友「ふむ」

b子「そうなの?」

悪魔娘「なんだよ意外そうに」

悪魔娘「そもそもオレはセ「ま゙~~」とか興味ねーからなー」

悪魔娘「なんだよ奇声あげて」

友「もう少し言い方に気を使え阿呆」

悪魔娘「意味わかんね。まーとにかくオレは関係なしってこった」

a美「ふーん、ちょっと意外だわ」

悪魔娘「何が」

a美「あんた達はみんな男ラヴだと思ってたから」

悪魔娘「それ関係なくね? 男のことは好きだけどよ」

男「面と向かって言われると照れるんだけど……」

悪魔娘「ただの事実だぜ?」

モブz「突き抜けてんなぁ……」

悪魔娘「同じくらい友も好きだけどな」

b子「ハァ!?」
a美「ちょっ!?」
モブz「なん……だと……」

悪魔娘「魂うまそうだし。ってなんでそんな驚くんだオマエら」

モブo「ブヒィ、ま、まぎらわしいんだな」

友「悪魔娘は昔からこうなので正常に会話するには少々コツがいるのだ」

男「いやリアクションそれでいいの!?」

友「? 何かおかしいところがあったか?」

a美「会話の流れがわかんなくなってきたわ……」

b子「同じく……」

友「しかし食欲と愛欲を混同するのはいただけない」

悪魔娘「そうかぁ? 似たようなモンだろ」

モブz「じゃああれか、男の魂もうまそうなのか」

悪魔娘「…………」ジュルリ

男「無言で涎垂らされると怖いよ……」

友「モブsなら尻を見ている場面だな」

モブo「ウホッ、なんだな」

男「それはもっと怖いよ!」

友「そして去って行く二人である」

モブz「つか昼休みもうねえな」

b子「」ズーン…

a美「…………」ナデナデ

モブo「そ、そろそろ戻らないと、お、遅れるんだな」

友「ところで先程からチェケラコンビが静かなのだが」

モブz「チェケラてお前」

モブx・y カキカキカキカキ…

a美「ノート?」

モブx っ[安眠防害断じて反対、寝た子起こすのはナンセンス]

モブy っ[静かに休息些細な辛福、憩いの時間を大事にしyoゼ]

モブz「微妙に漢字間違えてんぞ」

モブx・y「「!?」」ガーン

友「意地でも声は出さないのか」

a美「変なやつら……」

友「何はともあれ放課後である」ベンベン

モブz「ギターどこから出した」

モブo「フヒヒ、し、しかもフライングブイなんだな」

友「うむ、姉上様の舎弟殿から譲り受けてな。連中にくれてやろうかと」ベベンベンベン

a美「三味線みたいな弾き方すんじゃないわよ」

b子(ギター似合うなー)

モブx「音楽は音で遊ぶもの、ギターは誰でも弾けるもの!」

モブy「bad音痴が弾いたらメロディーノイズィー、友の演奏は耳障りィ!」

友「ははは、ラップ調で無礼なやつらめ」ベンベベンベンベベン

友「とはいえ俺自身は奏でる側には興味がないのだ。見ての通り様にならんしな」ベベベベベベベンベンッ

モブz「充分楽しそうに見えるぞ」

b子「かっこいいのに……」

a美(b子の感性が理解できない……)

モブo「そ、そろそろ行った方がいいんだな」

モブz「クロちゃんは?」

友「気安く呼ぶな!!」カッ!!

モブz「えっ、す、すいません?」ビクッ

友「クロを他の男共に近付けるなど餓えた肉食獣の群の直中に丸々太った野兎を放り込むようなものだ! 次にクロの名を口走ったら貴様のそのハーレムキング男に負けずとも劣らぬ立派なイチモツを卸したての新紙でなます切りにしてやるからそう思えィ!!」

モブz「ちょおま何口走ってんの!?」
モブx「……」内股
モブy「……」股間ガード
モブo「」ガタガタガタガタガタガタ…

a美「なんかしれっとどうでもいい情報が垂れ流しになった気がすんだけど……」

友「余談ではあるがイチモツのサイズはモブo>男≒モブz>俺>日本男児の平均値>モブxy>越えられない壁>モブsである。修学旅行調べ」キリッ

モブz「うおおおおい!?何てことバラしてんだ!!」

a美「それを知ってどうしろっての!?」

b子(友君はそこそこなんだ……覚えとこ)


 カポッ カポッ カポッ

友「ナニはさておき」

a美「ナニ言うな!」

友「dqn1を回収したらさっさと移動するとしよう。5分前行動は学徒の常識である」

校長「流石は友君、良い心構えだね」

友「おや校長先生、奇遇ですね。それとも何かご用で?」

校長「うむ。いやなに、裏庭で何やらボロ雑巾のようになっている他校の生徒を拾ったのでね」

dqn1「」チーン†
dqn2、改めt弟「」ピクリトモシナイ

a美「」oh...
b子「うわぁ……」

モブo「ふひっ、ふ、浮浪者みたいなんだなっ」

モブz「いやもう浮浪者に失礼なレベルだろ……」

モブx「…………」合掌
モブy「…………」黙祷

《バレンタイン事変》


男「友ヘルゥゥゥゥゥゥプ!!」ダダダダダダ…!!

友「朝っぱらからどうしたハーレム王」

男「女子が!女子が怖い!!」ガシッ

友「すがり付きながら大声をあげられると流石に喧しいのだが」

<くっ、逃がしましたか!しかしバレンタインからは逃げられませんよ!

<犬っち出番だ!

<おまかせあれ!

<それダメなフラグじゃ……

友「ok、大体察した。大人しく捕獲されてこい」

男「そんな殺生な!?」

友「この際はっきり言わせてもらうが貴様、バレンタインというイベントが懇意な仲の女性が少ないないし居ない男どもにとってどれ程恨めしい行事であるか考えたことがあるのか。

  願っても祈っても家族からしか或いは家族からすらもチョコレートを授かること叶わずしかし僅かな希望を寄せて登校したははいいものの案の定義理チョコすらなく結局鞄の中身は教科書ノート筆記具だけという、

  中身が変わったわけでもないのにそこに深い絶望と失意が降り積もり重くなった鞄を持ってただ独り虚しく家路に着くという現実を目の当たりにした一般非モテ男児の心を確実にへし折りに来ているこの一大絶望イベントの日に!

  明らかに自分に対して好意を見せている女子から、それも多数からチョコレートを貰うことができるということがどれほど恵まれていることなのか貴様考えたことがあるのか!!

  それを言うに事欠いて怖いだと!?

  テメエちょっとそこに直れ骨という骨を粉々に砕いてエルフ娘んとこの病院に留年するまで閉じ込めてやる」

男「」

男(ヤバい、目が本気(マジ)だ……!!)ガタガタガタ…!!

悪魔娘「お、発見」

男「きゃあああああああああ!?」ビクーン!!

<はっ! 絹を裂くような男君の悲鳴!

<匂いを追うまでもなく発見ですよ!

<あらあら

友「チッ。命拾いしたな」( ゚д゚)、ペッ

悪魔娘「よーし行こうぜ男。今なら午前中搾られるくらいで済むだろ、きっと」ガッシ

男「搾るってなにを!?」

悪魔娘「言わせんな恥ずかしい」ズリズリ…

男「やめて! せめて平穏に一日過ごさせて! やだこの子力超強い!!」ズルズルズル

友「達者でなー」ヒラヒラ

男「助けて! 友! 友ォォォォォォォオォォ……!!(フェードアウト)」

友「赦せ男よ。これからはいい加減自力でなんとかするのだ」南無

モブz「騒がしいと思ったら……」

友「おお、あらゆる行事を経ても未だモブの域を脱しようとしないその不動っぷりに定評のあるモブzではないか」

モブz「誰に説明してんだ誰に」

モブz「今一人か?」

友「見えない人を含まないなら」

モブz「しれっと怖ぇな!? まあいいや、一人ならちょっと待ってろ」

友「ふむ?」

<ほらもう、動きなってば!

<むり……しんじゃう……

<ああもう! 何のために昨日頑張ったのさ!

<や、む、むり……あとにじゅうよじかんまって……!

<緊張しすぎィ! 今日渡さなきゃ意味ないでしょぉがあ!!

友「……あー」

モブz「丸聞こえだけどスルーしてやってくれ……」

友「うむ」

友「全世界の独り者の皆さん。貴殿方を裏切ることをどうか御許しください」

モブz「何言ってんのお前」

友「懺悔的な何かだ」

モブz(意味わかんねえ……)

a美「だああ! ほら、いい加減観念する!!」ドンッ

b子「ひょわっ! た、た、た……!」トットットッ… ピタッ

友「やあ」

b子「」ピシッ

b子「あ、あわわわわわわわわわわわわわ!!」カタカタカタカタカタカタ…

モブz(めっちゃ震えてる……)

a美「あーもー……」ハァ…

b子「う、ぁ、ぃ、ぁぅ……!」フルフル

友「b子よ、落ち着くのだ。顔色が赤いやら青いやらで大変愉快なことになっているぞ」

a美「いらんツッコミすな」スパーン

友「オウフ! どこから出したそのハリセン」

b子「き、きききききき……」カタカタカタ…

友(き?)

モブz「おい、無反応通り越してなんかヤバいぞ」

a美「b子? b子? 大丈夫?」

b子「き……き…………」

友「……?」

b子「………………きょ、きょうはいいてんきですね……」

a美「……」

モブz「……」

友「……」

三人(((そうきたか……)))

a美「ごめん友君、後任せた」ザッ

モブz「こりゃ俺にゃどうにもできねえわ」ザッ

友「待て何処へ行く」

a&z「「お邪魔虫は退散の方向で」」

友「マジでか」

b子「うん、大丈夫、深呼吸、深呼吸すれば、うん、うん……」ブツブツ

友「マジでか」



モブz「b子ちゃん緊張しすぎじゃねえのあれ」

a美「しょうがない気もするけど……友君相手に緊張するってのはわっかんないわ」

モブz「まああいつなら「感無量である」とか言って喜びそうな……いやでも喜んでる様が想像つかねえな」

a美「……それはわかるわ」

a美「うまくいくと思う?」

モブz「いくんじゃねえの? 友だし。知らんけど」

a美「あーそだ。ほいこれ」スッ

モブz「は?」

a美「いや は? じゃなく」

モブz「え、何これ死亡フラグかなんか?」

a美「何でよ。義理チョコよ義・理・チョ・コ」

モブz「え、マジで?」

a美「何よいらないわけ?」

モブz「ください」

a美「ん、はい」

モブz「……ありがとうございます。ってかマジどういう風の吹き回しだこれ」

a美「どうって……b子の手伝いで見本がてらいくつか作っただけよ。そんだけ」

モブz「……ふーん」

a美「他意はないわよ」

モブz「ないか」

a美「ないわね」

友「そして時は飛んで放課後」

男「」カサカサカサ…

友「教室前の廊下にすっかり干物と化した男が転がっていた」

男「かゆ…うま……」

友「南無三」

  ちーん†



b子「一生分緊張した……もう頑張れない……」グッタリ

a美「よしよし。結果は見てないけど頑張ったのはわかってるからねー。今は休みなさい」ナデナデ

b子「ふぁぅ……」フニャー

モブo「百合……あると思います、なんだな」キリッ

モブz「あるかボケ」パシーン

だめだ眠い
限界なんで切ります

友「さて。先日休暇をいただいた分今日は部活と洒落混むとしよう」

友「なお部活とは言うものの倶楽部活動ではなかったりするのだがその辺りの説明は長くなるため割愛する。さして物語に影響することもなし、機会があれば別の視点で語られることだろう」

モブz「だから誰に説明してんだよ誰に。あと別の視点ってなんだ」

友「気にするな。ハゲるぞ」

モブz「当然の疑問でハゲてたまるか!」

a美「いちいちつっこんでたらキリがなくない?」

男「最近ツッコミ役をモブzに奪われてる気がする」

モブz「前からこんななのかこいつ……」

友「無駄話はこのくらいにして俺はそろそろ行くぞ。また明日な」

b子「あ。うん、また明日」

b子(うぅ……会話に入れなかった……)ションボリ

モブx「俺達ここまで出番なーし!」

モブy「badあってもなくても変化なーし!」

x&y「「air(空気)!」」サムズアップ


~部室棟 角部屋~

友「呼ばれることなく友参上!」ガラッ

モブc「good-bye☆」ピシャッ

モブh「閉めるな閉めるな」ガラッ

友「おお、ハンマーヘッドの異名を持ち今時あまりにも立派な黒くて長くて太いリーゼントが特徴的なわりには身長がモブcとどっこいどっこいのモブh、括弧別の話で主役予定括弧閉じ、ではないか」

友「そして相方の身長150cm、体重30kgと聞くだけで不安になるような体格でありながら5tトラックを片手で投げ飛ばす驚異のパワーの持ち主であるところのキャノンボール・ガールことモブcではないか」

モブh「紹介長ェ!!」

モブc「こんにちはですよ先輩☆」キラッ☆

友「お前らがいるなんて珍しいな」

モブh「珍しいってなってるのが異常なんすけどね……ほんと珍しく暇なんで、たまには顔出そうかって話で」

友「相も変わらず律儀な男め。部長は不在か」

モブc「隠神さんちに行くって言ってましたですよ」

友「あぁ、例の件の後始末か。なんだ、俺の仕事がなくなってしまったではないかあやつめ」

友「しかし隠神殿の所とあっては戻るのは早くて明日か……ふむ、今日中に配りたかったところだが致し方なし」ゴソゴソ

モブh「? なんすか?」

友「二人に血夜虚霊徒なるものをくれてやろう」

モブh「字面がおかしい!?」

モブc「わーいですよ! ありがとうございますなのですよ☆」

友「うむうむ。心して貪り食うように」

モブh「貪りて……まあ、ありがとうございます」

友「これぞ文字通りの友チョコである」キリッ

モブh「……あれ、空調壊れた?」

モブc「エターナルフォースブリザード。みんなは死ぬ!」

友「せめて直にツッコミを入れてはくれまいか」

友「それはさておき、他の連中にも渡してやってくれ。数は足りているはずだ」ドサドサドサ

モブh「stay. 今どっから出したんすかこれ」

友「はははははははははは」

モブh「ちょっ、マジでどっから出したんすか!?」

ねむすぎる
また明日で

モブc「…………」ジュルリ

友「食うなよ?」

モブc「味見、そう味見なのです」

モブh「意地汚いことしようとすんなってーの」コツン

友「すまんが監視は任せた。俺は生徒会に顔を出して帰るとしよう」

モブh「あ、ちょい待ってください。確かモブcの鞄中に……」

モブc「うー! うー!」バタバタ

モブh「あ、これか。はい先輩」

友「おお。よもやお前らがチョコを用意してくるとは」

モブh「金出しあってっすけど、一応世話になってますんで」

友「ほんに律儀な男よのう。しかしよく食ってしまわなかったなモブc、偉いぞ」ナデクリナデクリ

モブc「むむっ、友先輩さては馬鹿にしていますですね! 我慢するくらいなんてことないのですよ!」プンプン

モブh「お陰で俺の財布は羽より軽いっすけどね……」

友「……今度仕事で色をつけてもらえるよう交渉しておこう」

モブh「ありがとうございます……」ハァ…

 ~生徒会室~

友「ちわー。三河屋でーす」ガラッ

ラミア娘「あらあら。いらっしゃい友君」

友「おや、生徒会長だけでしたか」

ラミア娘「みんなは今は買い出しに行っているわ。一時間くらいかかるかしらね」

友「では待つにも長いですね。ならば」ゴソゴソ

友「どうぞ。役員どもと亜人娘たちの分の友チョコです」

ラミア娘「あら、ありがとう。ふふ、友君は相変わらずなのね」クスクス

友「なんの話かは分かりかねますが、何事にも揺るぎないのがワタクシめの長所であると自負しておりますれば」

ラミア娘「直接渡すか男君に預けたらよかったんじゃない?」

友「自ら火種をばらまくほど愚かになったつもりはありませんよ」

友「そもそも恥ずかしいです」

ラミア娘「あら……“友ちゃん”にも羞恥心があったのね……」アラアラ

友「俺を何だと思っているのか今度じっくり話し合いましょうか“ラミア姉さん”」

友「で、帰路に着いたわけだが」

a美「よ」

友「よ」

友「b子は?」

a美「委員会だってさ。あんた今ひとりよね?」

友「まあ一応」

a美「近くに知り合いいる?」

友「草葉の陰から覗いているということがなければいないな」

a美「そ……」

友「どうした?」

a美「ん…………ほら、これ」スッ

友「……ふむ」

a美「なによ、さっさと受け取りなさいよ」

友「ああ、すまない。どういう意図があるのか思案していた」

a美「いいから受け取れっての!」グイッ

友「ありがとうございます」平伏

a美「ふん……」

友「まさか本命ということはあるまいな」

a美「んなっ!? なわけないでしょ義理よ義理! 超義理よ! 冗談じゃないわよこのバカ!!」

友「そこまで必死に否定しなくてもよくはないか」

a美「ど、どーゆー意味よ……っ」

友「聞き返されるとは思わなんだが。まあ、その、なんだ、ははははは」

a美「何よ! 笑ってんじゃないわよもう調子狂うわねあーもー!!」

友「そう怒鳴ってくれるな。俺からもこの友さんお手製チョコレート、略して友チョコを差し上げよう」

a美「……寒いわよそれ」

友「いらんのか?」

a美「…………要る」

友「うむ」

a美「なにこれメッセージカード?」

友「おっとここで開いてくれるなよ。俺とて羞恥の心くらいあるのだ」

a美「えっ」

友「その反応……どうやらa美とも二人きりでゆっくり話をする必要があるようだな」

a美「ふ、二人きり!? 駄目駄目駄目! あんたにはb子がいるでしょ!?」

友(反応が面白すぎる……)

友「ま、冗談はさておき。俺は寄るところがあるから帰らせてもらう」

a美「くっ……なんかいいようにからかわれた気がするけど……」

友「気のせいだ、気にするな」

友「ではまた明日な」

a美「……ん、また明日」



a美「…………あー」

a美(顔、熱……なんなのよもう)ハァ…

友「そして時間をフッ飛ばして家である」

友「そして簀巻きである」ゴローン

友「どうしてこうなった」ゴロゴロ

姉「クソ出来の悪い弟が生意気にもチョコを貰って帰ってきやがったからその制裁ね」ノッシ

友「ゴフッ。姉上、この状態で背中に座られるのは真面目に苦しくかつ制裁理由に納得がいかないのですがそれは」

姉「反論は不許可よ」

友「ですよねー」

姉「まあもう少ししたらほどいてやるからじっとしてな。多分すぐにお呼びがかかるだろうし」

友「よくわかりませんが承知しました。ですから退いてください」

姉「da☆me♪」

友「解せぬ」

妹「お姉ちゃん、もういい……なにしてんの」

友「うははははははへはは! あきまへん! 足の裏はあきまへんでぇはははははははは!!」ビタンビタン

姉「あぁん? 聞こえんなぁ! ほーら大人しくその鉄面皮を崩しな!」
コチョコチョコチョ

友「そう申されましても無自覚でありますればひゃひゃひゃははは! あっ痛! あかん! 足つった足つった足つったったった!!」バタバタバタバタ

妹「何してんのよ……」

姉「おー妹見てみ? こいつこんだけくすぐっても顔色ひとつ変わんねーの。我が弟ながらひくわー」

友「」ビクンビクン

妹「あのさ、それどころじゃない感じになってきてるんだけど……?」

猫「妹さん、まだ──ぬおう!?」ビクーン!

友「し…………死ぬ…………あかん…………」

猫「ご、ご主人ー────っ!!」

友「冥府の扉の前でハーディス卿とお洒落なティータイムを過ごしてしまった」

猫「なぁっ!? 駄目だぞ! ご主人が死んだらクロはっ、クロはっ……!」ブワッ

姉「こらこら、いつもの馬鹿話なんだから本気にしなーい」

友「いや意外と気さくな方なのですよハーディス卿。土産も持たされましたし」ナデナデ

猫「うゔゔ……」ゴロゴロ

姉「ア ホ か。ならその土産とやらを見せてみろっての」

友「ふむ。クロよ、顔を上げるがよい」

猫「ん」

友「猫はチョコを食えないからな。変わりと言っては何だが、新しい首輪を貰ってきた」カチャ…

猫「お? おお……!」

姉「よりによって首輪……」

妹「うわぁ……お姉ちゃんこれ警察呼んだほうがいい?」

友「茶々入れんな。で、これさえ着けていれば俺に万一のことがあっても逢いに来られるそうだ。どうだろう、クロに渡すにはこれ以上ないものと個人的には信じて疑わないのだが」

猫「それはプロポーズだと思っていいのか!」カッ

友「解釈が飛躍したなオイ!!」

妹「よし、通報しよう」

友「ノーウェイ、ノーウェイ。ストップだマイシスター」

姉「クロ助と結婚したけりゃ私を倒してからにしな!!」クワッ

友「何ゆえそうなる!?」

猫「頑張れご主人!」

友「あっ、クロ貴様状況を楽しんでいるな!?」

猫「おお、バレた」テレリ

友「可愛いから許す」ウン

妹「もしもし警察ですか? 家に性犯罪者がですね」

友「ノーウェイ、ノーウェイ! ストップだマイシスター!!」

リハビリがてら思い付きのままで書いてたらまだ終わらないという事態
しょうもねえ…

猫「�・♪ �・�・♪」フリフリ

妹「ご機嫌ね」

猫「うむ! これで死んでもご主人と一緒だからな!」

妹「あまり不吉なことを口に出さないでほしいんだけど……」



姉「で、あれホントに“派手っす”とかいうのから貰ったわけ?」

友「ハーディス卿だ姉上。ふっふっふ、俺はこう見えて人脈が星を覆うほどに広いのですよははは」

姉「まあなんでもいいけど」

友「そっけねえ」

友「時に何故俺は簀巻きにされていたのですか」

姉「それは夕飯の後のお楽しみってねー。ああそうそう、あんた宛の荷物がもっさり届いてるから確認しときなさい。部屋に置いといたから」

友「?」

友「成る程、もっさりだ」

友「具体的には部屋のど真ん中に荷物で柱が一本出来上がっておる」

友「何故縦に積んだ」

友「しかしなんというか……匂いが甘ったるい」

友「そこから察するに中身は案の定のアレなのだろうな」

友「…………」

友「とりあえず椅子を持ってこねば」



友「うーむ…………」

友「わかってはいた。わかってはいたのだが……」

友「全て出先の知人(性別:男or雄)もしくは亜人娘どもの親兄弟親族からという」

友「もうある意味御中元だこれ」

友「ここまでモテる気配がないといっそ清々しいな」

友「まあ、身近に僅かにいるのだから欲目を出す気はないのだが」

友「さすがにこれだけあると処分に困るな。一部は部室に──いや、モブcの餌付けに使うか」ウン

姉「犯罪臭いこと言ってんなよ。飯だよ」ガチャ

友「何故ノックしないのか」

姉「万一全裸だったらキ●●マ蹴り潰そうと思って」

友(そろそろ訴えたら勝て……たらいいなぁ)タマキュン



友「おや、本日何度目かのカカオ臭が」

妹「うわバレたし」

猫「思い切り溢したからな」

姉「そこは気付かないふりしろよオマエ」

妹「本当kyね。だからモテないんじゃないの?」

猫「むむっ、ご主人がモテるのはそれはそれで困るな」

猫「ご主人、是非そのままでいてくれ!」キリッ

友「なんだこの回り道したフルボッコ」


妹「というわけで今晩の夕食はチョコ尽くしになりました」ハイ

友「夕餉のメニューではないと思う」ハイ

猫「まずチョコ豚カツ」

友「重いな」

妹「ライスチョコ」

友「ライスがチョコだな」

姉「ホットチョコレート」

友「余計喉が乾くよな」

猫「温野菜サラダ、チョコレート漬け」

友「……漬け?」

妹「チョコレートとなめこの味噌汁」

友「何故合わせた」

姉「しょうがの代わりにチョコで豚肉のチョコ焼き」

友「溶けてる溶けてる、意味がねえ」

三人「「「そして最後にー」」」

三人「「「チョコレートケーキ、ウェディングサイズー!」」」

友「もしもし男か? あ、生徒会長。男は……はあ、そうですかすみません。いえ少々手に余る事態に陥りまして、はい、はい。え? はあ、わかりました。いえ、ありがとうございます。それでは」ピッ

友「そんなわけで」

友「今朝は恐ろしく胃がもたれているのだ」

モブz「頑張りすぎだろ……」

友「この歳で既に健康診断が怖い」

モブz「早死にしそうだな……いや訂正、お前は死ぬ気がしねえ。想像できねぇ」

友「俺もそう思う」ウン

友「時にモブzの戦績は如何様だったのだ?」

モブz「…………」

モブz「死ね」

友「!?」



【唐突に完】

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